JP2004117513A - 画像表示装置と画像表示方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スイッチングノイズ等による画質低下の防止
【解決手段】走査線の遷移期間、例えばスイッチング素子が導通状態から非導通状態に切り替えられる際に、走査線を低駆動能力で駆動することで、スイッチング素子のオン/オフ制御を行うために走査線に印加される信号を緩やかな立ち下がりの電圧信号とし、スイッチングノイズを抑制する。また、非遷移期間においては走査線を高駆動能力で駆動することで、走査線電位を電源ノイズやクロストークのイズの影響を受けにくい状態で安定させ、画素容量への影響を低減する。
【選択図】    図10

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像表示装置及び画像表示方法に関し、特にその走査線駆動に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばアクティブマトリクス方式を採用した画像表示装置として液晶表示装置が知られており、液晶プロジェクタ装置や、液晶ディスプレイ装置などに広く採用されている。
このようなアクティブマトリクス方式による液晶表示装置は、周知のように、例えば半導体基板に対して、MOS型トランジスタによる画素スイッチと、この画素スイッチに接続される画素容量とを備えた画素セル駆動回路がマトリクス状に配置されるようにして形成される。
つまり、水平方向に沿って複数の走査線が配されると共に、垂直方向に沿って複数のデータ線が配される。そして、これら走査線とデータ線との交点に対応する位置に対して、画素セル駆動回路が接続されるものである。そして、この半導体基板に対して、共通電極を形成した対向基板を対向させ、これら半導体基板と対向基板との間に液晶を封入するようにされる。このような構造によって液晶表示装置が構成される。
【0003】
また、このような液晶表示装置における画像表示のための駆動を簡単に説明すると次のようになる。
水平方向に配された走査線に対しては、例えば1水平走査期間ごとに、所定レベルの電圧を順次印加していくようにされる。つまり、走査線の順次走査を行っていくようにされる。このとき、走査が行われた走査線に接続されている複数の画素スイッチはオン状態となる。
これと共に、1水平走査期間内においては、データ線を駆動することが行われる。つまり、データ線に対してデータに応じた電圧を印加する。この場合、データ線に対して、順次データを印加する、いわゆる点順次駆動方式によるデータ線駆動などが行われる。
【0004】
印加されたデータは、上記のようにしてオン状態にある画素スイッチを介して画素容量に電荷として蓄積される。つまり、1水平ライン分の画素セルに対するデータの書き込みが行われるものである。このようにしてデータの書き込みが行われると、画素容量に蓄積された電荷と、対向電極に印加されるコモン電圧Vcomとの間に電位差が生じ、この電位差によって、その間に封入された液晶が励起されることになる。つまり、画素セルの駆動が行われる。
そして、このような1走査線ごとの画素セルの駆動が、走査線を順次走査するごとに実行されることで、例えば1画面分の画像が表示される。
【0005】
このような液晶表示装置では、配線間寄生容量やノイズが画素容量に影響して画面品質を低下させるものとなるが、そのようなノイズ等を低減する従来技術としては、例えば次に挙げるものが知られている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−30975号公報
【特許文献2】
特開平6−543833号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで近年、アクティブマトリクス型表示装置に対する一層の高精細化及び高リフレッシュレート化が求められている。しかし、高精細化を目指すその構造は省スペースと引き換えに配線間寄生容量の増加をうみ、これからますます進む動作の高速化によって生じる各種ノイズはその寄生容量を介してデータ信号に影響を与え、色むらなど画面の品質対して大きな問題となる。
【0008】
上記のように、各走査線に対しては、例えば1水平走査期間ごとに、所定レベルの電圧を順次印加していき、電圧印加(走査)が行われた走査線に接続されている複数の画素スイッチがオン状態となる。
この走査線の駆動には走査線一本に対し1つのフリップフロップと駆動回路(ドライバ)を有する走査線駆動回路を用いる。
即ち、フリップフロップで構成されるシフトレジスタによって送られる垂直方向画素の書き込みのタイミングによりドライバで走査線を変化させ、駆動する走査線に複数個接続されているスイッチング素子を導通させてデータ線から送られる画素データを電荷の流入、又は流出という形で画素容量へ書き込み、書き込みが終了すると走査線を再び変化させスイッチング素子を非導通状態にし、画素容量中の電荷を保持する。
【0009】
この場合、走査線が制御するスイッチング素子は、一方をデータ線と接続し、一方を直接画素容量と接続するものであるため、スイッチング素子の特性は画素容量中の電荷に直接影響し、その影響は画面品質に反映される。
そして高品質な画面を実現する上でこのスイッチング素子制御の問題となるのが、走査線によって制御される導通/非導通の切り替え時に起こるスイッチングノイズである。
【0010】
スイッチングノイズはスイッチング素子の導通、非導通を切り替える瞬間において発生し、特に走査線の急激な変化によって発生したスイッチングノイズは大きな画素容量中の電荷の流入、流出を引き起こす可能性がある。
特に、スイッチング素子を導通させ画素データを画素容量へ書き込んだ後、スイッチ素子を非導通にするため走査線を変化させる際に、急激な走査線の変化よってスイッチング素子を非導通にすると、それに伴いスイッチ素子からスイッチングノイズが生じ、すでに画素容量に書き込まれた画素データはこのスイッチングノイズの影響を受けてしまう。
【0011】
このスイッチングノイズの影響で画素容量中の電荷は電荷の流入、又は流出を起こし、その直後にスイッチング素子が非導通となってしまうため、画素容量には誤ったデータが書き込まれた状態となってしまう。これによって画面の品質は著しく失われる。
【0012】
このスイッチング素子のスイッチングノイズによる影響を防ぐための手段として、スイッチングノイズキャンセル回路を用いる方法がある。ところが、これには一般的に画素一つに対して一つのキャンセル回路と、一本の走査信号と逆相となる信号の配線が必要である。このため、小型化を目指すアクティブマトリクス型表示装置にとっては、スイッチングノイズキャンセル回路のためのスペースを確保する事が困難な場合が多く、適切ではない。
【0013】
また画素容量への影響としては、上記スイッチングノイズだけでなく、電源ノイズや、他の走査線に対応する画素容量への書き込みの際に起こるデータ線とのカップリング容量によりクロストークも考えなければならない。
即ち、スイッチング素子を導通/非道通で切り替える遷移期間におけるスイッチングノイズだけでなく、非遷移期間、例えばスイッチング素子が非道通とされている期間における電源ノイズやクロストークによる画素容量への影響も低減させることが求められている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような事情に応じてなされたもので、高精細化及び高リフレッシュレート化が求められる画像表示装置において、上記したスイッチングノイズ等による画像品質の低下を防止できるようにすることを目的とする。
【0015】
このため本発明の画像表示装置は、複数の走査線と複数のデータ線とがマトリクス状に配置され、上記走査線と上記データ線との交点の各々に対応して、画素容量と、上記走査線に印加される走査信号に応じて上記画素容量へ上記データ線を介してデータ信号を供給するスイッチング手段とが配置された画像表示手段と、上記データ線の各々に対して、上記データ信号を供給するデータ線駆動手段と、供給された垂直クロックに応じて上記複数の走査線を順次駆動すると共に、駆動する走査線を遷移させる期間において、上記走査線に対する駆動能力を非遷移期間における駆動能力よりも低くする走査線駆動手段とを備える。
また、上記走査線駆動手段は、上記垂直クロックに応じて上記走査信号を順次発生させるシフトレジスタと、上記走査線の各々に対応して設けられ、上記シフトレジスタから発生される上記走査信号に応じて上記走査線を駆動すると共に、供給される切り替え信号に応じて上記走査線の駆動能力を切り替える走査線駆動回路と、上記垂直クロックに応じて上記切り替え信号を生成し、上記走査線駆動回路へ供給する駆動能力切り替え制御回路とを含む。
【0016】
本発明の走査線駆動方法は、複数の走査線と複数のデータ線とがマトリクス状に配置され、上記走査線と上記データ線との交点の各々に対応して、画素容量と、上記走査線に印加される走査信号に応じて上記画素容量へ上記データ線を介してデータ信号を供給するスイッチング手段とが配置された画像表示装置に画像を表示させる方法であって、上記複数の走査線を順次駆動すると共に、駆動する走査線を遷移させる期間において、上記走査線に対する駆動能力を非遷移期間における駆動能力よりも低くするものである。
【0017】
このような本発明によれば、走査線の遷移期間、即ちスイッチング素子が導通状態から非導通状態に切り替えられる際に、走査線が低駆動能力とされる。つまりスイッチング素子のオン/オフ制御を行う信号(走査線に印加される信号)は、その期間、緩やかな立ち下がりの電圧信号となる。
また、非遷移期間においては高駆動能力とされることで、走査線電位はノイズの影響を受けにくい状態で安定する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態としては、例えば液晶プロジェクタ装置などをはじめとする各種映像機器、電子機器に採用される、アクティブマトリクス方式の液晶表示装置を例に挙げる。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態としての液晶表示装置の構成例を示している。
この図に示す液晶表示装置の全体的な基本構造としては、半導体基板(表示素子)に対して、少なくとも、例えばマトリクス状に配列される画素セル駆動回路をはじめとする所要の回路を形成する。そして、この半導体基板に対して、共通電極を形成した対向基板を対向させ、これら半導体基板と対向基板との間に液晶を封入するようにした構造を有している。
【0020】
半導体基板としては、例えばシリコン(Si)の材質による基板を用い、その半導体基板に対して、水平方向に沿った走査線LV(LV1〜LVm)を垂直方向に順次形成すると共に、水平方向には、垂直方向に沿ったデータ線LH(LH1〜LHn)を形成する。
そして、このようにしてマトリクス状に配される走査線及びデータ線の交点に対して画素セル駆動回路4を配列して形成すると共に、垂直走査ドライバ1、水平走査ドライバ2とを形成するものである。
【0021】
先ず、マトリクス状の走査線及びデータ線の交点に形成される画素セル駆動回路4の回路構成を説明する。
1つの画素セル駆動回路4は、図示するように、画素スイッチGS、画素容量C、及び画素電極Pを備える。
画素スイッチGSは、例えばNチャンネル型トランジスタとしての構造を有している。画素スイッチGSのゲートは、走査線LVに対して接続され、ドレインは、データ線LHと接続される。
また、画素スイッチGSのソースは、画素容量Cの一端と接続される。画素容量Cの他端は、この場合にはグランドに対して接続される。
また、画素スイッチGSのソースと画素容量Cの接続点は、画素電極Pに対して接続される。
【0022】
このような画素セル駆動回路4は、所定数の走査線(ゲート線)LV1〜LVmと、所定数のデータ線LH1〜LHnによるm×n個の各交点に形成される。
従って、画素セル駆動回路4は、走査線LVとデータ線LHの配列に従って、行方向と列方向に沿って、マトリクス状に配列されるものとなる。
また、このようにして形成される半導体基板としては、各画素セル駆動回路4の画素電極Pがマトリクス状に配列されて表出している状態となる。
【0023】
また、上記のようにして画素セル駆動回路4が配列して形成される半導体基板に対向しては、コモン電圧Vcomが印加される共通電極が形成された対向基板が対向するようにして配置される。そして、この半導体基板と、対向基板との間に、液晶LCを封入する。このような構造によって本実施の形態の液晶表示装置におけるマトリクス型の表示部が構成される。
【0024】
また、上記半導体基板に対しては、垂直走査ドライバ1及び水平走査ドライバ2としての回路も形成される。
図2に水平走査ドライバ2の構成を示す。
水平走査ドライバ2は、データ線LH1〜LHnを駆動するために設けられる。つまり、データ線LH1〜LHnに対してデータ信号SIGを出力する。
この場合、水平走査ドライバ2は、水平シフトレジスタ21と、データ線数nに対応するn個のドライバYH1〜YHn、サンプリングスイッチSSW1〜SSWn、プリチャージスイッチPSW1〜PSWn、及びプリチャージ電流制御回路FI1〜FInを備えている。
サンプリングスイッチSSW1〜SSWnは、例えば画素スイッチと同様に、Nチャンネル型のトランジスタにより形成される。
【0025】
水平シフトレジスタ21は、水平走査信号H1〜Hnの出力ラインが引き出されており、これら水平走査信号H1〜Hnの出力の各々がドライバYH1〜YHnに対して入力されるようになっている。ドライバYH1〜YHnの出力は、それぞれ、サンプリングスイッチSSW1〜SSWnのゲートに対して接続される。
サンプリングスイッチSSW1〜SSWnのドレインに対しては、データ信号SIGが入力されるようになっている。また、サンプリングスイッチSSW1〜SSWnのソースは、それぞれ、データ線LH1〜LHnと接続される。
【0026】
またこの場合、データ線及び画素容量に対して所要のタイミングでプリチャージを行うためのプリチャージ回路系が備えられる。
即ちプリチャージスイッチPSW1〜PSWnの各ゲートに対しては、水平シフトレジスタ21からプリチャージタイミング信号PCHG1〜PCHGnが供給される。
プリチャージスイッチPSW1〜PSWnの各ドレインは、プリチャージ電流制御回路FI1〜FInを介してプリチャージ電圧Vpreに対して接続される。また、プリチャージスイッチPSW1〜PSWnのソースは、それぞれ、データ線LH1〜LHnに対して接続される。
【0027】
水平走査ドライバ2によるデータ線駆動のための動作としては、次のようになる。なお、ここでは、プリチャージ回路系の動作は省略し、水平走査ドライバ2における基本的なデータ線駆動のための動作のみについて述べる。
【0028】
水平走査ドライバ2内の水平シフトレジスタ21に対しては、水平スタート信号HSTと、水平クロックHCKが入力されている。
1水平ラインごとのデータ線の駆動は、垂直走査ドライバ1が或る1本の走査線の走査を開始した時点を起点として、所定のタイミングで開始されるものであるが、上記水平スタート信号HSTは、この1水平ラインにおけるデータ線駆動の開始を指示するための信号となる。
また、水平クロックHCKは、例えば1水平ラインを形成する画素を順次走査する周期に対応した、いわゆる画素周波数を有するクロックである。
【0029】
水平シフトレジスタ21の動作波形を図3に示す。
水平シフトレジスタ21は、水平スタート信号HSTにより指示されるタイミングで、走査信号の出力を開始する。
つまり、図3(b)の水平スタート信号HSTを、図3(a)の水平クロックHCKのタイミングによりシフトさせ、図3(c)に示すように水平走査信号H1〜Hnを順次出力していくことになる。なお、各水平走査信号H1〜Hnは、水平クロック信号HCKの周期に対応したパルス幅を有する信号波形を有する。
【0030】
このようにして順次出力される水平走査信号H1〜Hnは、それぞれドライバYH1〜YHnに入力され、ここで所定レベルの電圧に変換され、サンプリングスイッチSSW1〜SSWnに対してゲート電圧として印加されていく。これによって、サンプリングスイッチSSW1〜SSWnは、それぞれ水平走査信号H1〜Hnとしてのパルスが出力されている期間に対応して、順次オン状態となる。
【0031】
ここで、サンプリングスイッチSSW1〜SSWnのドレインに対しては、データ信号SIGが印加されるようになっている。データ信号SIGは、画素データに対応する電圧値を有した信号である。
そして、上記のようにしてサンプリングスイッチSSW1〜SSWnが水平走査信号H1〜Hnの出力タイミングに応じて順次オン状態となることで、データ信号SIGは、サンプリングスイッチSSW1〜SSWnのドレインからソースを介してデータ線LH1〜LHnに対して印加されることになる。
【0032】
このときには、垂直走査ドライバ1によってアクティブとなっている或る1つの走査線に接続されている画素スイッチSWがオン状態になっていることから、この走査線とデータ線LH1〜LHnとの交点にある画素セル駆動回路4の各画素容量Cには、データ線LH1〜LHnに順次印加されるデータに応じた電荷が蓄積される。つまり、データのサンプリング(書き込み)が行われる。
【0033】
上記のようにしてデータのサンプリングが行われた画素容量Cにおいては、蓄積された電荷に応じた電位が発生し、この電位は、同じ画素スイッチSWのソースと接続された画素電極Pにも発生することになる。
画素電極Pに対しては、液晶LCが介在するようにして、コモン電圧Vcomが印加されている共通電極が対向して配置されているのであるが、上記のようにして、画素電極Pにおいてデータに対応する電位が発生すると、この画素電極Pの電位と、コモン電圧Vcomとの電位差に応じて、その間に介在する液晶LCの液晶が反応して励起されることになる。つまり、画素セルが駆動され、画素単位での表示が行われることとなる。
【0034】
垂直走査ドライバ2は、行ごとに垂直方向への走査を行うために設けられる。つまり、画像表示を行うのにあたり、1水平走査期間ごとに、走査線LV1→LV2・・・LVmの順で、走査信号としてのパルス電圧(走査パルス)を出力することで、走査線を垂直方向に順次走査する。
【0035】
図4に垂直走査ドライバ1の構成を示している。
本実施の形態では、垂直走査ドライバ1は、図示するように、垂直シフトレジスタ11と、駆動能力切替制御回路12と、走査線数mに対応したm個のドライバYV1〜YVmとを有する構成とされる。
垂直シフトレジスタ3に対しては、垂直スタート信号VSTと、垂直クロックVCKが入力されている。
垂直スタート信号VSTは、例えばフレーム周期に対応するタイミングにより出力されるもので、1フレーム期間における垂直走査の開始を指示する信号である。また、垂直クロックVCKは、1水平走査周期ごとのタイミングで出力されるクロック信号である。
なお、図1及び図4では、垂直走査ドライバ1に水平クロックHCKが供給されているが、これは後述する図8の回路例で使用するためである。回路構成によっては、必ずしも垂直走査ドライバ1への水平クロックHCKの供給は不要となる場合がある。
【0036】
垂直シフトレジスタ11は、図5に示すように、垂直スタート信号VSTによる垂直走査開始の指示に応じて、垂直走査信号V1〜Vmを出力する。
即ち図5(b)の垂直スタート信号VSTを、図5(a)の垂直クロックVCKによってシフトしていくことで、1水平走査周期ごとのタイミングで、図5(c)のように垂直走査信号V1から走査信号Vmまでを順次出力することになる。
なお、図5において垂直走査信号V1〜Vmは、その立ち下がりエッジは垂直クロックVCKの立ち上がりと同期するが、立ち上がりエッジは、垂直クロックVCKの立ち上がりタイミングより遅れたものとなっている。これは、垂直シフトレジスタ11内において、垂直走査信号V1〜Vmの立ち上がりを遅らせる回路が設けられているためである。
【0037】
このようにして順次出力される垂直走査信号V1〜Vmは、それぞれドライバYV1〜YVmに入力され、ここで、所要の電圧レベルによる走査電圧に変換されて、走査線LV1〜LVmに対して出力される。
これにより、1水平走査期間ごとに、走査線LV1〜LVmに対して、順次、走査電圧を出力していく動作が得られる。そして、例えば走査線LV1に対して走査電圧が印加されたとすれば、この走査線LV1に接続されている複数の画素スイッチGSのゲートに対して、所定レベルのゲート電圧が印加されることとなって、これらの画素スイッチGSがオンとなるものである。
【0038】
以上は垂直走査ドライバ1の基本的な動作であるが、本例の場合、垂直走査ドライバ1におけるドライバYV1〜YVmには、駆動能力切替機能が設けられているとともに、各ドライバYV1〜YVmの駆動能力が、駆動能力切替制御回路12によって切り替えられる構成となっている。
【0039】
図6は駆動能力切替制御回路12としての回路の一例である。また図7に各部の動作波形を示す。
図6に示すように駆動能力切替制御回路12は、インバータ31,遅延部32、オアゲート33により構成される。
この駆動能力切替制御回路12には図7(a)に示す垂直クロックVCKが入力され、この垂直クロックVCKはインバータ31で反転されて図7(b)の反転垂直クロックVCK ̄とされる。
また垂直クロックVCKは遅延部32において時間dLだけ遅延されて図7(c)の遅延垂直クロックdVCKとされる。
この反転垂直クロックVCK ̄と遅延垂直クロックdVCKが、オアゲート33に供給され、オアゲート33から図7(d)に示す駆動能力切替制御信号φが出力される。
この駆動能力切替制御信号φは、垂直クロックVCKの立ち上がりから一定期間、Lレベルとなる信号となる。このLレベルの期間は、走査線の遷移期間に相当する。
【0040】
なお、遅延部32は、どのような構成であれ、垂直クロックVCKを時間dLだけ遅延させるものであればよいが、一例として図8のように構成できる。
即ち、3段のフリップフロップ34,35,36により構成し、各フリップフロップ34,35,36には動作クロックとして水平クロックHCKを供給する。そして、垂直クロックVCKが、水平クロックHCKのタイミングでシフトされることで、遅延垂直クロックdVCKが得られるようにする。この場合遅延時間dLは3水平クロック期間に相当する長さとなる。
【0041】
上記駆動能力切替制御信号φは、図4に示すように各走査線LV1〜LVmに対応して設けられているドライバYV1〜YVmに供給される。
このドライバYV1〜YVmは、図9のように構成されている。ドライバYV1〜YVmのうちの或るドライバを「ドライバYV(k)」として説明する。
ドライバYV(k)は、インバータ41、アンドゲート42、PチャンネルMOSトランジスタM1及びNチャンネルMOSトランジスタM2,M3から構成される。
【0042】
上述した垂直シフトレジスタ11からの垂直走査信号V(k)はインバータ41により反転され、MOSトランジスタM1のゲートに供給されるとともに、MOSトランジスタM2のゲート及びアンドゲート42に供給される。アンドゲート42の出力はMOSトランジスタM3のゲートに供給される。
【0043】
走査線LV(k)の駆動タイミング、即ち走査線LV(k)に接続された複数の画素スイッチSGをオンとするタイミングは、垂直走査信号V(k)がHレベルの期間である。
そして、この垂直走査信号V(k)がHレベルの期間には、垂直走査信号V(k)がインバータ41を介してゲートに印加されるPチャンネルのMOSトランジスタM1は導通し、一方、NチャンネルのMOSトランジスタM2はオフとなる。また、この期間、アンドゲート42の出力はLレベルとなるためMOSトランジスタM3もオフとなる。
従って電圧VDDに基づいて、走査線LV(k)には画素スイッチSGをオンとする駆動電圧が発生する。
【0044】
図10(b)(e)には、垂直走査信号V(k)に基づいて、走査線LV(k)に駆動電圧が発生する様子を示している。また 図10(c)(f)には、次の垂直走査信号V(k+1)に基づいて、次の走査線LV(k+1)に駆動電圧が発生する様子を示している。
【0045】
垂直走査信号V(k)がHレベルからLレベルに変化すると、MOSトランジスタM1はオフとなり、MOSトランジスタM2はオンとなる。
このとき、アンドゲート42には駆動能力切替制御信号φが供給されており、この駆動能力切替制御信号φは、図10(d)に示すように、垂直走査信号V(k)の立ち下がりから一定期間、Lレベルとなる。
従ってこの間、MOSトランジスタM3はオフのままである。
そして、この一定期間を経過して駆動能力切替制御信号φがHレベルになると、アンドゲート42の出力はHレベルとなるため、MOSトランジスタM3はオンとなる。
【0046】
つまり、垂直走査信号V(k)が、HレベルからLレベルに変化した時点から一定期間として、駆動能力切替制御信号φがLレベルの期間(遷移期間)は、MOSトランジスタM2のみがオンとされ、その後、駆動能力切替制御信号φがHレベルとなってから、次に垂直走査信号V(k)がHレベルとなるまでの期間(非遷移期間)では、MOSトランジスタM2,M3の両方がオン状態となる。
【0047】
MOSトランジスタM2,M3については、MOSトランジスタM2は低駆動能力、MOSトランジスタM3は高駆動能力とされている。即ちゲート幅Wとゲート長Lによって示されるトランジスタサイズW/Lとして、MOSトランジスタM3の方が大きいものとされる。
このため、上記遷移期間はMOSトランジスタM2のみがオンとされることで、走査線LV(k)の電位は低駆動能力で緩やかに低電位に引っ張られ、一方、非遷移期間はMOSトランジスタM3もオンとなることから、走査線LV(k)の電位は高駆動能力で低電位に引っ張られることになる。
これにより、図10(e)(g)に示すように、走査線LV(k)の電圧は、低駆動能力とされる遷移期間において、緩やかに低下していく。つまり走査線LV(k)に接続された画素スイッチGSが、緩やかにターンオフすることになる。従って、画素スイッチGSがオフとなる際のスイッチングノイズが低減される。
【0048】
即ち本例では、走査線LV(k)の立ち下げの際に、ドライバYV(k)の駆動能力を走査線LV(k)に接続される負荷に対して低いものとし、高い時定数をもたせて動作させることで、画素スイッチGSで発生するスイッチングノイズを低減するものである。
画素スイッチGSのターンオフの際のスイッチングノイズは、画素容量Cへのデータ書込後に発生するものであって、書き込んだデータを変化させてしまうという悪影響があるが、ターンオフ時のスイッチングノイズが低減又は解消されることで、このような悪影響を防止できることになる。
【0049】
また、画素スイッチGSでスイッチングノイズが発生したとしても、走査線の立ち下がりの時定数が高いため、スイッチングノイズによる画素容量中の電荷への干渉が起きた後もスイッチング素子がオフするまでに時間があることになり、再び画素データは画素容量に書き込まれるため、スイッチングノイズによる影響は低減される。
【0050】
なお、画素スイッチGSがオンとされる際については、そのスイッチングノイズは大きな問題とはならない。これは、画素スイッチGSがオンとなった後に、データ線による画素データの書込が行われるためである。
【0051】
また、本例では、上記遷移期間として、一定期間のみドライバYV(k)を低駆動能力とし、それ以降は高駆動能力の切り替えるようにしている。これは次の理由による。
【0052】
画素スイッチGSのスイッチングノイズを低減するためには、スイッチングノイズのトリガーとなる走査線の急激な変化を行なわなければよいため、上記のようにドライバYV(k)を低駆動能力とすればよい。
しかし、走査線の非遷移期間においても駆動能力を低くしておくと、非遷移期間におけるノイズの影響を受けやすい。
走査線LV(k)の非遷移期間、つまり画素スイッチGSを非導通状態にして画素容量中の電荷を保持する期間においても、走査線の駆動能力は低いままとしておくと、電源ノイズや他の走査線に対応する画素容量への書き込みの際に起こるデータ線と非遷移期間の走査線間のカップリング容量によりクロストークが起こった場合に、それらが走査線LV(k)の電位に影響を与えやすく、また走査線LV(k)に接続された画素スイッチGSの動作を保証できないものとなる。
【0053】
そのため本実施の形態では、上記遷移期間を経て画素スイッチGSが非導通状態とされた後は、走査線LV(k)の駆動能力を高駆動能力に切り替え、ノイズに対しても走査線LV(k)の低電位状態が維持できるようにするものである。即ち非遷移期間における電源ノイズやクロストークノイズによって、画素容量に悪影響が発生することを防止するものである。
【0054】
つまり本実施の形態では、走査線LV(k)に接続された画素スイッチGSをオンからオフにし、次の走査線LV(k+1)の走査に移行させる遷移期間において、走査線LV(k)を低駆動能力で駆動し、スイッチングノイズによる画素容量への悪影響を解消又は低減する。さらに、非遷移期間においては走査線LV(k)を高駆動能力で駆動し、電源ノイズやクロストークノイズによる画素容量への悪影響を解消又は低減する。
これにより、意図しない画素容量中の電荷の流入/流出を防ぎ、色むらの少ない高品質な画質を実現するものである。
【0055】
なお、図4及び図9の回路構成例によれば、駆動能力切替制御信号φはドライバYV1〜YVmに共通に供給されているため、各走査線LV1〜LVmは全て、それぞれ対応するドライバYV1〜YVmにおけるMOSトランジスタM3がオフとなることで、1水平期間毎に低駆動能力となる。つまり、走査していない走査線も、走査していた走査線と共に一時的に低駆動能力となる。しかしながら、これは特に問題とはならない。
上述のように、MOSトランジスタM3をオンとして高駆動能力とするのは、電源ノイズやクロストークノイズによる画素容量への悪影響を解消又は低減するためのものであるが、走査線が切り替わる期間、つまり走査線を低駆動能力で駆動する期間は、大きなノイズ源となる回路は動作せず、またデータ書込も行われないため、低駆動能力とされてもかまわないものである。
なお、ドライバYV(k)の回路構成を変形し、走査線LV(k)の走査期間が終了して次の走査線LV(k+1)に遷移する遷移期間のみ、その走査線LV(k)が低駆動能力となるようにしてもよい。
【0056】
また本実施の形態は、ドライバYV1〜YVmに、図9のように駆動能力切替のための構成を配し、さらに図6のような簡易な構成の駆動能力切替制御回路12を設けるのみで実現できるため小型化、省スペース化を目指す液晶表示装置としても好適である。
【0057】
以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明はアクティブマトリクス型表示装置に広く適用できる。
また、表示装置の構成、特に駆動能力切替制御回路12やドライバYV1〜YVm12の構成は、上記例に限定されず、各種変形例が考えられる。
【0058】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように本発明によれば、走査線の遷移期間、例えばスイッチング素子が導通状態から非導通状態に切り替えられる際に、走査線が低駆動能力とされるため、スイッチング素子のオン/オフ制御を行うために走査線に印加される信号は、その期間、緩やかな立ち下がりの電圧信号となる。このためスイッチング素子のターンオフは緩やかに行われ、スイッチングノイズが抑制され、スイッチングノイズによる画素容量への影響を低減又は解消できる。
また、非遷移期間においては走査線は高駆動能力とされることで、走査線電位はノイズの影響を受けにくい状態で安定するため、電源ノイズや、データ線とのカップリング容量によるクロストークの影響を低減することができる。
これらのことからノイズ等による画素容量への誤ったデータの書き込みを防ぐことができ、高品質な画質を実現できるという効果がある。特に高精細化及び高リフレッシュレート化が求められるアクティブマトリクス型表示装置に好適である。
【0059】
また、このような低駆動能力と高駆動能力を切り替えるためには、走査線駆動手段は、垂直クロックに応じて上記走査信号を順次発生させるシフトレジスタと、走査線の各々に対応して設けられシフトレジスタから発生される走査信号に応じて走査線を駆動すると共に供給される切り替え信号に応じて走査線の駆動能力を切り替える走査線駆動回路と、垂直クロックに応じて切り替え信号を生成し走査線駆動回路へ供給する駆動能力切り替え制御回路とを備えるようにすればよく、簡易な回路構成で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態としての液晶表示装置の構成例を示す回路図である。
【図2】実施の形態の水平走査ドライバの構成例の回路図である。
【図3】実施の形態の水平走査ドライバの動作タイミングの説明図である。
【図4】実施の形態の垂直走査ドライバの構成例の回路図である。
【図5】実施の形態の垂直走査ドライバにおける垂直シフトレジスタの動作タイミングの説明図である。
【図6】実施の形態の垂直走査ドライバにおける駆動能力切替制御回路の構成例の回路図である。
【図7】実施の形態の駆動能力切替制御回路の動作波形の説明図である。
【図8】実施の形態の駆動能力切替制御回路の遅延部の構成例の回路図である。
【図9】実施の形態の垂直走査ドライバにおけるドライバの構成例の回路図である。
【図10】実施の形態の垂直走査ドライバによる走査線駆動方式の説明図である。
【符号の説明】
1 垂直走査ドライバ、2 水平走査ドライバ、4 画素セル駆動回路、11垂直シフトレジスタ、12 駆動能力切替制御回路、YV1〜YVm,YH1〜YHn ドライバ、GS 画素スイッチ、C 画素容量、P 画素電極

Claims (3)

  1. 複数の走査線と複数のデータ線とがマトリクス状に配置され、上記走査線と上記データ線との交点の各々に対応して、画素容量と、上記走査線に印加される走査信号に応じて上記画素容量へ上記データ線を介してデータ信号を供給するスイッチング手段とが配置された画像表示手段と、
    上記データ線の各々に対して、上記データ信号を供給するデータ線駆動手段と、
    供給された垂直クロックに応じて上記複数の走査線を順次駆動すると共に、駆動する走査線を遷移させる期間において、上記走査線に対する駆動能力を非遷移期間における駆動能力よりも低くする走査線駆動手段と、
    を備えたことを特徴とする画像表示装置。
  2. 上記走査線駆動手段は、
    上記垂直クロックに応じて上記走査信号を順次発生させるシフトレジスタと、
    上記走査線の各々に対応して設けられ、上記シフトレジスタから発生される上記走査信号に応じて上記走査線を駆動すると共に、供給される切り替え信号に応じて上記走査線の駆動能力を切り替える走査線駆動回路と、
    上記垂直クロックに応じて上記切り替え信号を生成し、上記走査線駆動回路へ供給する駆動能力切り替え制御回路と、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 複数の走査線と複数のデータ線とがマトリクス状に配置され、上記走査線と上記データ線との交点の各々に対応して、画素容量と、上記走査線に印加される走査信号に応じて上記画素容量へ上記データ線を介してデータ信号を供給するスイッチング手段とが配置された画像表示装置に画像を表示させる方法であって、
    上記複数の走査線を順次駆動すると共に、駆動する走査線を遷移させる期間において、上記走査線に対する駆動能力を非遷移期間における駆動能力よりも低くすることを特徴とする画像表示方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100801782B1 (ko) 2005-04-26 2008-02-11 캐논 가부시끼가이샤 주사회로, 주사장치, 화상표시장치 및 텔레비전장치
JP2008181039A (ja) * 2007-01-26 2008-08-07 Sony Corp 表示装置、表示装置の駆動方法および電子機器
CN113990265A (zh) * 2018-06-25 2022-01-28 矽创电子股份有限公司 驱动方法及其驱动电路

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