JP2004117455A - 微粒子人工結晶の製造装置および製造方法 - Google Patents

微粒子人工結晶の製造装置および製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】クラックなどの欠陥のない高品質な微粒子人工結晶を制御性良く得るための製造装置および製造方法を提供すること。
【解決手段】容器101に微粒子102を分散させた分散液103が入っている。上昇装置104に連結した基板105が保持され、分散液102中に浸漬している。この基板に対し、液面の直上付近に気流を噴射できるようにノズル106を設ける。分散液103に浸漬された基板が上方に引き上げられることによって、基板の表面に微粒子を含んだ液膜が形成される。引き上げられた基板に付着して膜状になった微粒子に対し気流を噴射することによって乾燥工程の速度および乾燥領域の移動方向を制御する。これにより、乾燥に伴う体積収縮によって引き起こされる構造上の歪を乾燥が完了していない領域にとどめることができ人工結晶におけるクラックなどの欠陥の発生を効果的に防止する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は微粒子人工結晶の製造技術に関し、特に高密度記録媒体、光学素子、表示装置などに応用できる欠陥のない高品質の微粒子人工結晶を製造できる微粒子人工結晶の製造装置および微粒子人工結晶の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
微粒子を基板上に配列し、人工結晶または微粒子膜を形成する技術としては以下に示すようなものが開示されている。
【0003】
a)特開平7−116502号公報(特許文献1)
固体または液体の基板を、微粒子の分散懸濁液と接触させ、雰囲気の空気またはガス、基板および懸濁液の3相接触線にあるメニスカス先端部を掃引展開して移動させる際にメニスカス先端部の移動速度、微粒子の体積分率、および液体蒸発速度を制御するという技術である。
【0004】
b)特開平8−229474号公報(特許文献2)
移流集積によって、粒径がナノメートルオーダーの微粒子の単粒子膜、多粒子膜の形成において、高分子からなるLB膜をバインダー層として用い、粒子薄膜の形成を制御するとともに転写基板に固定するものである。
【0005】
c)特開2000−126681号公報(特許文献3)
超微粒子の集合体からなる薄膜を固体基板上に形成する方法において、ナノ粒子を連続相が水相であり分散相が油相であるエマルションに分散させた分散液を固体基板上にインクジェットコーティングすることにより微粒子膜を形成する。
【0006】
d)特開2001−305359号公報(特許文献4)
光波長程度のサイズを有する一様な直径の球状粒子の懸濁液を、受け部を有する基板上に滴下し、球状粒子に荷重を加えて受け部内に球状粒子を凝集させる事でフォトニック構造体を製造する。懸濁液に遠心力などの荷重を加える事で受け部内に球状粒子を最密充填できて、1次元、2次元ないし3次元のフォトニック構造体として使用できる屈折率周期構造形成する技術である。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−116502号公報
【特許文献1】
特開平8−229474号公報
【特許文献1】
特開2000−126681号公報
【特許文献1】
特開2001−305359号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は微粒子人工結晶の製造装置に関わるものであり、特にクラックのない高品質な微粒子人工結晶を再現性よく形成することのできる製造装置に関わるものである。
【0009】
近年、材料を微粒子化することにより、バルク形状では得られなかった種々の特性が得られることが判明したことに加え、微粒子を形状や粒径などを精度良く形成する方法による研究成果が発表され、その応用面も積極的に研究されている。
当然、微粒子材料を微粒子そのままの形態で利用する提案も行われているが、さらに微粒子の特性を活かすために、微粒子を規則正しく配列し、その結果得られる性能を利用する応用研究も盛んである。
【0010】
例えば、上記特許文献1には、固体または液体の基板を、微粒子の分散懸濁液と接触させ、雰囲気の空気またはガス、基板および懸濁液の3相接触線にあるメニスカス先端部を掃引展開して移動させる際にメニスカス先端部の移動速度、微粒子の体積分率、および液体蒸発速度を制御するという技術が開示されているが、この技術においては、基板および懸濁液の3相接触線にあるメニスカス先端部を掃引展開して得られる微粒子膜は比較的高品質のものであるが、その微粒子膜の乾燥工程については、なんら工夫がなされていないために、最終的に得られる乾燥状態の微粒子膜には、液成分の乾燥時に起こる微粒子同士の密なパッキングにより、クラックがいたるところに発生し、高品質な微粒子膜は得られないという問題を有するものである。
【0011】
また、上記特許文献2には、移流集積によって、粒径がナノメートルオーダーの微粒子の単粒子膜、多粒子膜の形成において、高分子からなるLB膜をバインダー層として用い、粒子薄膜の形成を制御するとともに転写基板に固定する技術が開示されているが、高分子からなるLB膜を形成する工程は複雑で、根本的に膜の構造が乱れやすいという欠点を有しているために、それを利用した微粒子膜はどうしても高品質にはなりえないという問題を有している。
【0012】
また、上記特許文献3には、超微粒子の集合体からなる薄膜を固体基板上に形成する方法において、ナノ粒子を連続相が水相であり分散相が油相であるエマルションに分散させた分散液を固体基板上にインクジェットコーティングすることにより微粒子膜を形成する技術が開示されている。しかし、この技術は、微粒子の配列技術というよりは成膜技術に近いもので、微粒子の形状や粒径、結晶性などを精度良く制御できるものではなく、応用可能な素子に適応できる高品質な人工結晶は得られないものである。
【0013】
また、上記特許文献4には、光波長程度のサイズを有する一様な直径の球状粒子の懸濁液を、受け部を有する基板上に滴下し、球状粒子に荷重を加えて受け部内に球状粒子を凝集させる事でフォトニック構造体を製造する。また懸濁液に遠心力などの荷重を加える事で受け部内に球状粒子を最密充填できて、1次元、2次元ないし3次元のフォトニック構造体として使用できる屈折率周期構造形成するという技術が開示されているが、この技術では基板に受け部を形成する工程が必要な上に、遠心力などの何らかの荷重を与えるための機構が必要になるなど、どうしても装置が大掛かりにならざるを得ないという問題がある。
【0014】
本発明の目的は、上述した問題を解決し、クラックなどの欠陥のない高品質な微粒子人工結晶を制御性良く得るための製造装置および製造方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、次のような構成を有する。以下、請求項毎の構成を述べる。
a)請求項1記載の発明は、微粒子を原料とした人工結晶の製造装置において、微粒子が分散した分散液を基板に供給する手段と、基板に供給された該分散液に対し気流を掃引しながら当てる手段を具備することを特徴としている。
【0016】
b)請求項2記載の発明は、分散液を基板に供給する手段が、分散液に浸漬した基板を上方に引き上げる手段であることを、請求項3記載の発明は、分散液を基板に供給する手段が、水平に保持した基板に分散液の滴下により供給することを特徴としている。
【0017】
c)請求項4記載の発明は、前記気流が、ナイフエッジ状の形状をしているスリットから発せられることを特徴とし、請求項5記載の発明は、前記気流が、アレイ状に並んだ細孔から発せられることを特徴としている。
【0018】
d)請求項6記載の発明は前記気流の温度を制御できる手段を、請求項7記載の発明は前記気流の湿度を制御できる手段を、請求項8記載の発明は前記気流に超音波を重畳することのできる手段を具備することを特徴としている。
【0019】
e)請求項9記載の発明は、前記微粒子が、形状、粒径の揃った分散性の良いものであることを特徴とし、請求項10記載の発明は、前記微粒子が、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、Pb(Zr,Ti)O3、酸化ガドリニウム、酸化イットリウム、またはポリスチレンのうちのひとつであることを特徴とし、請求項11記載の発明は、前記微粒子を分散させた分散液の液性を、基板および微粒子に応じて最適化することを特徴としている。
【0020】
f)請求項12記載の発明は、微粒子が分散した分散液を基板に供給する工程と、基板に供給された該分散液に対し気流を掃引しながら当てる工程を具備することを特徴としている。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の構成、および動作について図を用いて以下に説明する。
図1は、本発明による微粒子人工結晶製造装置の概略を模式的に示したものである。図1は、基板に対する分散液の供給方法が、分散液に浸漬した基板を上方に引き上げる方法であるものについての説明図である。
【0022】
構成を説明すると、容器(101)に微粒子(102)を分散させた分散液(103)が入っている。そこに、上昇装置(104)に連結した基板(105)が保持され、分散液(102)中に浸漬している。この基板に対し、液面の直上付近に気流を噴射できるようにノズル(106)が保持されている。
【0023】
次に動作について説明する。微粒子を分散させた分散液(103)に浸漬された基板が上方に引き上げられることによって、基板の表面に微粒子を含んだ液膜が形成される。それをそのまま乾燥して、微粒子膜を得るという技術はすでに開示されている。
【0024】
しかしながら、これらの従来技術では、結晶で言うところの欠陥に当たるクラックが発生することは避けられず、結晶品質の低下が重要な問題であった。この点については、後に詳細に述べる。本発明は、以下に述べるような特徴を有するためにこのようなクラックの発生を効果的に防止し、高品質の微粒子人工結晶を容易に得る技術を提供するものである。
【0025】
すなわち、引き上げられた基板に付着して膜状になった微粒子に対し、気流を噴射することにより、従来技術では制御されていなかった乾燥工程の速度および乾燥領域の移動方向を制御することにより、乾燥に伴う体積収縮によって引き起こされる構造上の歪を、まだ、乾燥が完了していない領域にとどめることによって、得られる人工結晶においてクラックなどの欠陥の発生を効果的に防止するものである。
【0026】
このことについて、図面を用いてさらに説明する。図2(a)〜(c)は基板(201)に付着した微粒子(202)が乾燥するときの様子を模式的に示した図である。図2(a)は、基板(201)に微粒子(202)が付着した直後の様子であり、このとき微粒子(202)間にはわずかな溶液成分が存在し、微粒子同士は完全に密着していない。また、このわずかに存在する溶液成分により、微粒子は微小な運動をすることが許される状態であるために、微粒子の配列状態は非常に良好な状態を保っている。
【0027】
この状態から、乾燥工程になんの制御も加えることなく、いわゆる自然乾燥を行なった結果得られる微粒子人工結晶の構造を模式的に示したのが図2(b)である。この場合は、いたるところで溶液成分の蒸発が起こり、それまで微粒子間に存在していたわずかな溶液成分が無くなり、微粒子同士が密着するような現象が起こる。その結果、生じた構造上の歪によって図中で示したようにクラック(203)が多数発生する。この結果このようにして得られる微粒子人工結晶は、光学応用上も大きな問題となる低品質の人工結晶になってしまう。
【0028】
それに対し、本発明による微粒子人工結晶形成の過程を模式的に示したものが図2(c)である。本発明によれば、基板上に付着した微粒子に対し気流を相対的に掃引しながら噴射することにより、乾燥する領域を特定の領域に限定することができ、且つその領域を1方向に移動せしめることを特徴としている。
【0029】
その結果、噴射する気流によって、乾燥が完了した領域と、まだ乾燥が完了しておらず、微粒子間に溶液成分が存在する領域とを制御することができる。図2のAの領域が、乾燥が完了し、微粒子同士が密着して配列した領域であり、Bの領域は微粒子間に溶液成分が存在する領域である。そして、領域Aと領域Bの境界面がちょうど気流が噴射されている領域と理解してよい。
【0030】
このようにすることにより、微粒子が乾燥して密着した結果生じる構造上の歪は、領域Bに逃がしてやることができ、そこでは、まだ溶液成分が存在するので、微粒子が自由に運動することができるために、品質の低下をもたらすような構造上の歪の集中は生じない。従って、歪の集中によるクラックなどは発生しない。
【0031】
本発明の特徴として、基板に噴射する気流の温度や湿度を制御するということがある。これは、あまりに急激な乾燥では、いかに噴射する気流を掃引させたとしても、クラックなどの欠陥の派生を完全に防止することはできない。そこで、蒸発速度を支配する因子である気流の温度や湿度を制御することは重要な技術になってくる。
【0032】
さらに本発明の特徴として、基板に噴射する気流に、超音波を重畳するということがある。これは、乾燥する直前の微粒子に対し、マイグレーションするエネルギーを与えることによって、各微粒子が、最も安定な位置に配列する現象を促進するものである。このことによって、クラックのみならず、微細な欠陥の発生も効果的に防止することができ、その結果、高品質の微粒子人工結晶を得ることができるものである。
【0033】
微粒子の分散した分散液を基板に供給する手段としては、これまで述べてきたような、分散液中に浸漬した基板を引き上げる方法以外にも適応できる手法はある。その一つとして、基板に分散液を滴下するという方法である。このプロセスの概略を図3に示す。この方法は、供給する分散液の量を厳密に制御できることから、再現性や、条件制御性に優れる方法である。
【0034】
つまり水平に保持した基板(301)に微粒子(302)が分散した分散液(303)のある決まった量を分取、滴下し、気流(304)を噴射しながらノズル(305)を掃引するというものである。この様子を示したのが図3である。すると、図4に示したように、気流が噴射され乾燥した微粒子はクラックを発生することなく配列するという現象が進む。その結果最終的には、図5に示したように、基板上に高品質の微粒子人工結晶が形成できる。当然のことであるが、ノズルを移動させるのではなく、基板のほうを移動させても、本発明の効果は得られるものである。
【0035】
またさらに、本発明は、高品質の微粒子人工結晶を、分散液を用いることにより実現することを特徴のひとつとしている、すなわち、乾燥状態では、凝集しやすくなる超微粒子であっても、分散液という状態の利点を最大限に利用し分散性を向上させることにより凝集を防ぎ、pHの制御、例えば添加するイオン種を適切に選択、制御することにより、等電点の関係を利用することができる。その結果、高品質の微粒子人工結晶が得られるものである。
【0036】
この点についてさらに詳細に説明する。
一般に、例えば金属酸化物からなる微粒子を水中に浸漬すると、微粒子は正または負の電荷を持ち、電界が存在すると対向する電場を有する方向へ移動する。この現象が電気泳動現象である。この電気泳動現象によって、微粒子の水中における荷電すなわち界面電位(ゼータ電位)の存在を知ることができる。この界面電位は微粒子−水系のpHによって大きく変化する。
【0037】
一般に横軸に水系のpHを、縦軸に界面電位をとると、界面電位は水系のpHによって変化し、界面電位「0」を切る点の水系のpHを「等電点」と定義される。この現象から、一般的に金属酸化物微粒子表面の界面電位は、酸性側では正、アルカリ側では負の極性を取る。
【0038】
しかし、この等電点は材料によって大きく異なり、例えば、コロイダルシリカでは「2.0」、α−アルミナでは「9.0」、ヘマタイトでは「6.7」という値が紹介されている。つまり、等電点から離れるほど界面電位が大きくなり、酸性側にいくほど界面電位の値は正の大きい方に向かい、また逆に、アルカリ側にいくほど界面電位の値は負の大きい方に向かう。これはpHで制御することができるものである。
【0039】
pHの制御は、酸やアルカリの添加で、制御性よくコントロールできるものである。本発明では、この現象を積極的に利用するものであり、分散液の状態で微粒子の凝集を効果的に防ぐことができるものである。この結果、分散液を基板に供給した際にも、微粒子が凝集しない状態で存在するために、その後の配列の工程において、高品質の配列状態を容易に実現できるものである。この現象は、乾式プロセスでは得られない利点といえる。
【0040】
以下に実施例を用いて更に詳細に説明する。
(実施例1)
▲1▼ 粒子分散液の調整
以下の条件で微粒子分散液を調整した。
純水                    500ml
シリカ微粒子 (平均粒径:0.31μm)       15mg
上記の各成分を三角フラスコに入れ、マグネチックスターラーで1時間攪拌し、その後、超音波洗浄機に入れて、30分超音波分散を行った。
【0041】
▲2▼ 工結晶形成
▲1▼で調整した微粒子分散液のうち400mlを500mlビーカーに移し、マグネチックスターラーで緩やかに攪拌した。その中に基板として幅25mm、長さ50mm、厚さ1.1mmのガラス(コーニング#1737)を浸漬し、モーターを用いた上昇装置に連結した。基板のほぼ全体が浸漬された状態から、毎秒0.05mmの速度で静かに上に引き上げると同時に、気−液界面付近を狙って、ノズルに空気を導入しスリット状の気流として毎分40sccmの流量で噴射した。このとき、基板の裏面となる面に移動する基板のガイドとなる部材を接触させ、基板の上昇をスムーズに行なえるようにした。このようにして基板上に微粒子人工結晶を形成した。
【0042】
▲3▼人工結晶の評価結果
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により、基板上に配列した微粒子の配列の様子を評価したところ、クラックなどの欠陥がなく非常に規則正しく配列した人工結晶が得られていることを確認した。
【0043】
(実施例2)
▲1▼ 粒子分散液の調整
実施例1と同様に、以下の条件で微粒子分散液を調整した。
純水                    500ml
シリカ微粒子 (平均粒径:0.31μm)       15mg
上記の各成分を三角フラスコに入れ、マグネチックスターラーで1時間攪拌し、その後、超音波洗浄機に入れて、30分超音波分散を行った。
【0044】
▲2▼人工結晶形成
▲1▼で調整した微粒子分散液のうち400mlを500mlビーカーに移し、マグネチックスターラーで緩やかに攪拌した。その中に基板として幅25mm、長さ50mm、厚さ1.1mmのガラス(コーニング#1737)を浸漬し、モーターを用いた上昇装置に連結した。基板のほぼ全体が浸漬された状態から、毎秒0.05mmの速度で静かに上に引き上げると同時に、気−液界面付近を狙って、実施例1でも用いたノズルに対してヒーターを巻きつけた外径が1/4インチの銅パイプを通過させた窒素を導入しスリット状の気流として毎分30sccmの流量で噴射した。
【0045】
事前の実験で、この窒素は温度が65℃であることを確認している。実施例1と同様に、基板の裏面となる面に移動する基板のガイドとなる部材を接触させ、基板の上昇をスムーズに行なえるようにした。このようにして基板上に微粒子人工結晶を形成した。
【0046】
▲3▼人工結晶の評価結果
実施例1と同様に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により、基板上に配列した微粒子の配列の様子を評価したところ、クラックなどの欠陥がなく非常に規則正しく配列した人工結晶が得られていることを確認した。
【0047】
(実施例3)
▲1▼ 粒子分散液の調整
実施例1と同様に、以下の条件で微粒子分散液を調整した。
純水                    500ml
シリカ微粒子 (平均粒径:0.31μm)       15mg
上記の各成分を三角フラスコに入れ、マグネチックスターラーで1時間攪拌し、その後、超音波洗浄機に入れて、30分超音波分散を行った。
【0048】
▲2▼ 人工結晶形成
▲1▼で調整した微粒子分散液のうち400mlを500mlビーカーに移し、マグネチックスターラーで緩やかに攪拌した。その中に基板として幅25mm、長さ50mm、厚さ1.1mmのガラス(コーニング#1737)を浸漬し、モーターを用いた上昇装置に連結した。基板のほぼ全体が浸漬された状態から、毎秒0.05mmの速度で静かに上に引き上げると同時に、気−液界面付近を狙って、実施例1でも用いたノズルに、純水中をバブリングさせて水分を含ませた窒素を導入しスリット状の気流として毎分40sccmの流量で噴射した。
【0049】
事前の実験で、この窒素は湿度が80%RHであることを確認している。実施例1と同様に、基板の裏面となる面に移動する基板のガイドとなる部材を接触させ、基板の上昇をスムーズに行なえるようにした。このようにして基板上に微粒子人工結晶を形成した。
【0050】
▲3▼人工結晶の評価結果
実施例1と同様に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により、基板上に配列した微粒子の配列の様子を評価したところ、クラックなどの欠陥がなく非常に規則正しく配列した人工結晶が得られていることを確認した。
【0051】
(実施例4)
▲1▼粒子分散液の調整
実施例1と同様に、以下の条件で微粒子分散液を調整した。
純水                    500ml
シリカ微粒子 (平均粒径:0.31μm)       15mg
上記の各成分を三角フラスコに入れ、マグネチックスターラーで1時間攪拌し、その後、超音波洗浄機に入れて、30分超音波分散を行った。
【0052】
▲2▼人工結晶形成
▲1▼で調整した微粒子分散液のうち400mlを500mlビーカーに移し、マグネチックスターラーで緩やかに攪拌した。その中に基板として幅25mm、長さ50mm、厚さ1.1mmのガラス(コーニング#1737)を浸漬し、モーターを用いた上昇装置に連結した。基板のほぼ全体が浸漬された状態から、毎秒0.05mmの速度で静かに上に引き上げると同時に、気−液界面付近を狙って、実施例1でも用いたノズルに、窒素を導入しスリット状の気流として毎分40sccmの流量で噴射した。
【0053】
このときノズルの直前に内部に超音波発振素子を取り付けた外径3/8インチのステンレスパイプを設け、その中を通ってノズルに気体が導入されるようにした。超音波の発振周波数は外部に設けた制御回路により、24kHzとなるようにした。実施例1と同様に、基板の裏面となる面に移動する基板のガイドとなる部材を接触させ、基板の上昇をスムーズに行なえるようにした。このようにして基板上に微粒子人工結晶を形成した。
【0054】
▲3▼人工結晶の評価結果
実施例1と同様に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により、基板上に配列した微粒子の配列の様子を評価したところ、クラックなどの欠陥がなく非常に規則正しく配列した人工結晶が得られていることを確認した。
【0055】
(実施例5)
▲1▼微粒子分散液の調整
本実施例では、これまでの実施例とは異なり、微粒子としてアルミナを用い、かつ分散液を酸性とした。以下に詳細に説明する。純水500mLにアルミナ微粒子(平均粒径=1μm)を15mg液中に分散させ、更に液性を酸性に制御するために、塩酸(関東化学社製 JIS 特級 35.0−37.0%)を200μL添加した。分散液のpHは「2.55」であった。
【0056】
このようにする理由は、以下のことによる。
つまり、アルミナ微粒子の等電点は一般的に「9.0」といわれているので、純水のように、中性(pH=7.0)の溶液では界面電位がそれほど大きくはない。従って、アルミナ微粒子を制御性良くマイグレーションさせるには、液性を酸性側にして、界面電位を大きくすることが有効である。本発明のごとく、溶液系を用いることにより、液性も制御が可能となり、幅広い材料への応用が可能となるものである。
【0057】
▲2▼人工結晶形成
▲1▼で調整した微粒子分散液のうち400mlを500mlビーカーに移し、マグネチックスターラーで緩やかに攪拌した。その中に基板として幅25mm、長さ50mm、厚さ1.1mmのガラス(コーニング#1737)を浸漬し、モーターを用いた上昇装置に連結した。基板のほぼ全体が浸漬された状態から、毎秒0.05mmの速度で静かに上に引き上げると同時に、気−液界面付近を狙って、ノズルに空気を導入しスリット状の気流として毎分40sccmの流量で噴射した。このとき、基板の裏面となる面に移動する基板のガイドとなる部材を接触させ、基板の上昇をスムーズに行なえるようにした。このようにして基板上に微粒子人工結晶を形成した。
【0058】
▲3▼人工結晶の評価結果
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により、基板上に配列した微粒子の配列の様子を評価したところ、クラックなどの欠陥がなく非常に規則正しく配列した人工結晶が得られていることを確認した。
【0059】
【発明の効果】
本発明の効果を請求項毎に述べる。
a)請求項1に対応する作用効果
請求項1記載の発明によれば、少なくとも微粒子が分散した分散液を基板に供給する手段と、基板に供給された該分散液に対し気流を掃引しながら当てる手段を具備しているために、結晶成長の方向性を精度良く制御することができ、クラックの発生を効果的に抑制し高品質の人工結晶を得ることができる。
【0060】
b)請求項2に対応する作用効果
請求項2記載の発明によれば、微粒子が分散した分散液を基板に供給する手段が、分散液に浸漬した基板を上方に引き上げるようにしているために、分散液の供給が容易で、大面積基板にも対応が可能である。
【0061】
c)請求項3に対応する作用効果
請求項3記載の発明によれば、微粒子が分散した分散液を基板に供給する手段が、水平に保持した基板に分散液の滴下により供給するようにしているために、請求項2と同様に、分散液の供給が容易で、大面積基板にも対応が可能である。
【0062】
d)請求項4に対応する作用効果
請求項4記載の発明によれば、気流がナイフエッジ状の形状をしているスリットから発せられるために、結晶の成長方向を規定しやすく、かつ、大面積基板であっても高品質化が容易である。
【0063】
e)請求項5に対応する作用効果
請求項5記載の発明によれば、気流がアレイ状に並んだ細孔から発せられるために、請求項4と同様に、結晶の成長方向を規定しやすく、かつ、大面積基板であっても高品質化が容易である。
【0064】
f)請求項6に対応する作用効果
請求項6記載の発明によれば、気流の温度を制御できる手段をさらに具備するために、蒸発速度を最適化することにより、高品質の人工結晶を容易に得ることができる。
【0065】
g)請求項7に対応する作用効果
請求項7記載の発明によれば、気流の温度を制御できる手段をさらに具備するために、請求項6と同様に、蒸発速度を最適化することにより、高品質の人工結晶を容易に得ることができる。
【0066】
h)請求項8に対応する作用効果
請求項8記載の発明によれば、気流に超音波を重畳することのできる手段をさらに具備するために、微粒子に対しマイグレーションするためのエネルギーを効果的に与えることができ、その結果、欠陥を修復し、高品質の人工結晶を容易に得ることができる。
【0067】
i)請求項9に対応する作用効果
請求項9記載の発明によれば、微粒子が、形状、粒径の揃った分散性の良いものであるために、高品質の人工結晶を容易に得ることができる。
【0068】
j)請求項10に対応する作用効果
請求項10記載の発明によれば、微粒子が、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、Pb(Zr,Ti)O3、酸化ガドリニウム、酸化イットリウム、またはポリスチレンのうちのひとつであるために、欠陥がなく微細でかつ高規則性を持った人工結晶が得られる。
【0069】
k)請求項11に対応する作用効果
請求項11記載の発明によれば、微粒子を分散させた分散液の液性を、基板および微粒子に応じて最適化するために、欠陥がなく微細でかつ高規則性を持った人工結晶が容易に得られる。
【0070】
l)請求項12に対応する作用効果
請求項12記載の発明によれば、微粒子が分散した分散液を基板に供給する工程と、基板に供給された該分散液に対し気流を掃引しながら当てる工程を有することによって、結晶成長の方向性を精度良く制御することができ、クラックの発生を効果的に抑制し高品質の人工結晶を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による微粒子人工結晶製造装置の概略を模式的に示したものである。
【図2】基板に付着した微粒子が乾燥するときの様子を模式的に示した図である。
【図3】水平に保持した基板に微粒子分散液のある決まった量を分取、滴下し、気流を噴射しながらノズルを掃引することによって微粒子人工結晶を製造する方法を示す図である(その1)。
【図4】水平に保持した基板に微粒子分散液のある決まった量を分取、滴下し、気流を噴射しながらノズルを掃引することによって微粒子人工結晶を製造する方法を示す図である(その2)。
【図5】水平に保持した基板に微粒子分散液のある決まった量を分取、滴下し、気流を噴射しながらノズルを掃引することによって微粒子人工結晶を製造する方法を示す図である(その3)。
【符号の説明】
101:容器、
102,202,302:微粒子、
103,303:分散液、
104:上昇装置、
105,201,301:基板、
106:ノズル、
203:クラック、
304:気流、
305:ノズル。

Claims (12)

  1. 微粒子を原料とした人工結晶の製造装置において、少なくとも微粒子が分散した分散液を基板に供給する手段と、基板に供給された該分散液に対し気流を掃引しながら当てる手段を具備することを特徴とする微粒子人工結晶の製造装置。
  2. 前記微粒子が分散した分散液を基板に供給する手段が、分散液に浸漬した基板を上方に引き上げる手段であることを特徴とする請求項1に記載の微粒子人工結晶の製造装置。
  3. 前記微粒子が分散した分散液を基板に供給する手段が、水平に保持した基板に分散液の滴下により供給することを特徴とする請求項1に記載の微粒子人工結晶の製造装置。
  4. 前記気流が、ナイフエッジ状の形状をしているスリットから発せられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の微粒子人工結晶の製造装置。
  5. 前記気流が、アレイ状に並んだ細孔から発せられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の微粒子人工結晶の製造装置。
  6. 前記気流の温度を制御できる手段をさらに具備することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の微粒子人工結晶の製造装置。
  7. 前記気流の湿度を制御できる手段をさらに具備することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の微粒子人工結晶の製造装置。
  8. 前記気流に超音波を重畳することのできる手段をさらに具備することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の微粒子人工結晶の製造装置。
  9. 前記微粒子が、形状、粒径の揃った分散性の良いものであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の微粒子人工結晶の製造装置。
  10. 前記微粒子が、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、Pb(Zr,Ti)O、酸化ガドリニウム、酸化イットリウム、またはポリスチレンのうちのひとつであることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の微粒子人工結晶の製造装置。
  11. 前記微粒子を分散させた分散液の液性を、基板および微粒子に応じて最適化することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の微粒子人工結晶の製造装置。
  12. 微粒子を原料とした人工結晶の製造方法において、少なくとも微粒子が分散した分散液を基板に供給する工程と、基板に供給された該分散液に対し気流を掃引しながら当てる工程を具備することを特徴とする微粒子人工結晶の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011056626A (ja) * 2009-09-10 2011-03-24 Fuji Electric Systems Co Ltd 微粒子配列構造体及びその製造方法
JP2013521111A (ja) * 2010-03-02 2013-06-10 コミサリア ア レネルジ アトミク エ オ ゼネルジ アルテルナティヴ 組織化された粒子の層を基材上に付着させる方法
JP2019095574A (ja) * 2017-11-22 2019-06-20 住友ベークライト株式会社 光学装置の組み立て方法

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