JP2004116932A - 温水暖房熱源機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】温水暖房熱源機は、循環経路内の温水の圧力を検出する圧力センサ49と、循環経路内の温水温度を検出する温度センサ50とを備え、循環ポンプ45が停止した状態において圧力センサ49により検出された圧力と温度センサ50により検出された温度に基づいて膨張タンク46内の水位Lを検知し、水位Lが上限水位LH以上であるときには、バーナの加熱運転を停止するように構成した。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、温水暖房熱源機に関し、特に、循環経路内の温水の圧力を検出する圧力検出手段により膨張タンクの水位を検知可能なものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、温水ヒータや温水床暖房等の暖房端末との間で温水を循環させる温水暖房熱源機には、温水の温度変化による体積膨張を吸収する為の膨張タンクが設けられている。一般的に、この膨張タンクには、膨張タンクの水位を検出する為の1又は複数の水位検出手段が設けられている。例えば、本願出願人が提案している温水暖房熱源機においては、膨張タンクに3つの水位電極が設けられており、これら3つの水位電極により、上限水位、下限水位、上限水位と下限水位との間の中間水位を夫々検出するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−313565号公報(第3−4頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の温水暖房熱源機においては、膨張タンクの水位を水位検出手段が設けられた位置でしか検知することができない。例えば、オーバーフローしそうな状態であっても前記水位検出手段ではその状態を検出できないため、オーバーフローする前に加熱運転を止めて水位を下げるなどの処置がとれず、オーバーフローを防止することが困難である。また、膨張タンク内の水位が下限位置よりすぐ上の位置にあり、膨張タンク内の水が不足する渇水状態に近い状態でも、水位検出手段によりその状態を検出できないため、渇水状態になってしまうのを未然に防止できない。さらに、検出したい複数の水位に対して夫々複数の水位検出手段を設ける必要があるため、製作コスト的にも不利である。
本発明の目的は、膨張タンク内の全範囲の水位を検知できるようにすること、膨張タンクからのオーバーフローを極力防止すること、等である。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の温水暖房熱源機は、バーナと、このバーナにより加熱される熱交換器と、暖房端末との間の循環経路において温水を循環させる為の循環ポンプと、温水の温度変化による体積膨張を吸収する為の膨張タンクとを備えた温水暖房熱源機において、循環経路内の温水の圧力を検出する圧力検出手段と、循環経路内の温水温度を検出する温度検出手段と、圧力検出手段により検出された圧力と温度検出手段により検出された温度に基づいて膨張タンク内の水位を検知するタンク水位検知手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0006】
圧力検出手段により膨張タンクのヘッド圧を検出でき、このヘッド圧を用いれば、タンク水位検知手段により膨張タンク内の全範囲の水位を検知することができるため、膨張タンク内の水位を検出する水位検出手段が不要になる。ここで、温度変化により温水が体積膨張して、温水の密度も温度によって変化するため、タンク水位検知手段で圧力検出手段により検出された圧力から膨張タンクの水位を検知する際には、この温水の温度変化も考慮する必要がある。そこで、タンク水位検知手段は、圧力検出手段により検出された圧力と温度検出手段により検出された温度に基づいて、膨張タンク内の水位を検知するように構成されている。
【0007】
請求項2の温水暖房熱源機は、請求項1の発明において、前記タンク水位検知手段により検知された膨張タンク内の水位が所定の上限水位以上である場合には、バーナによる加熱運転を停止するように構成したことを特徴とするものである。従って、膨張タンク内の水位が上限水位に達して、オーバーフローしそうな状態であるときには、バーナによる加熱運転を停止することで温水温度を下げ、膨張タンク内の水位を低下させて、オーバーフローを未然に防止することができる。
【0008】
請求項3の温水暖房熱源機は、請求項1又は2の発明において、前記温水暖房熱源機と前記暖房端末とを含み温水暖房熱源機と暖房端末との間で温水を循環させる温水暖房システムの全保有水量を検知する保有水量検知手段を備え、この保有水量検知手段が、前記循環経路が全て連通した状態において、前記温度検出手段により検出された温度が異なる2つの温度状態で圧力検出手段により夫々検出された2つの圧力値を用いて前記全保有水量を検知することを特徴とするものである。
【0009】
保有水量検知手段で温水暖房システムの全保有水量を検知する場合には、まず、温水暖房熱源機と暖房端末との間の循環通路が全て連通した状態で、例えば、バーナによる加熱運転を所定時間行うことにより温水の温度を上昇させて、加熱運転前後の異なる温度状態における圧力を圧力検出手段により夫々検出する。ここで、温水の温度変化により温水には体積膨張が生じることになるが、その体積膨張量は、夫々の温度状態において圧力検出手段で検出された2つの圧力値(膨張タンクのヘッド圧)から求めることができる。従って、保有水量検知手段は、このようにして求めた体積膨張量と温度変化前後の温水温度とを用いて全保有水量を検知することができる。
【0010】
請求項4の温水暖房熱源機は、請求項3の発明において、前記保有水量検知手段により検知された温水暖房システムの全保有水量に基づいて前記膨張タンクに水を補給するときの水位の補給上限値を変更する最高水位変更手段を備えたことを特徴とするものである。温水暖房システムの全保有水量が多いほど、温度変化による温水の体積膨張量、つまり、膨張タンクにおける水位の変化量も多くなる。しかし、前記補給上限値が一定の値のまま変更できないとすると、全保有水量が多いときには、加熱運転中に膨張タンク内の水位が上昇したときに、膨張タンクに水を補給したにもかかわらず、その補給した水の一部がオーバーフローしてしまう虞がある。そこで、最高水位変更手段により、例えば、全保有水量が多い場合には補給上限値を低くし、逆に全保有水量が少ないときには補給上限値を高くするようにして、温水暖房熱源機の加熱運転中に膨張タンク内の水位がオーバーフローしない適当な位置になるように補給上限値を設定できる。
【0011】
請求項5の温水暖房熱源機は、請求項1〜4の発明において、前記温度検出手段で検出される温度が所定温度以下である状態で圧力検出手段により検出された圧力値を記憶する記憶手段を備え、温水暖房熱源機の暖房運転の停止状態が継続する期間中において、圧力検出手段で検出された圧力が、前記記憶手段に記憶された圧力よりも所定値以上大きいときには、循環経路内にエアが混入したと判定してエア抜き動作を行うように構成したことを特徴とするものである。
【0012】
例えば、暖房端末を構成する温水床暖房が2階に設置されており、温水床暖房内の樹脂管の内部が負圧になりやすい状況で、夏場などに温水暖房熱源機の暖房運転が所定長期間継続して停止していると、エアが樹脂管を透過して、循環経路内にエアが混入する虞がある。このようなエアの混入が続いて、多量のエアが循環経路内に混入した状態で温水暖房熱源機の暖房運転を開始してしまうと、循環ポンプにおいてキャビテーションが発生したり、熱交換器や暖房端末での熱交換効率が低下して所定の暖房能力を発揮できなくなったりする。そのため、従来では、所定期間毎(例えば、1ヶ月に1回)、無条件に循環ポンプを所定時間運転したりして、循環経路内のエア抜き動作を行うようにしていた。しかし、このように所定期間毎に無条件でエア抜き動作を行うと、エアが混入していない状態でも不必要に循環ポンプが運転されてしまうこともある。
【0013】
そこで、まず、運転停止後のエアが混入していない状態で且つ温水温度が所定温度以下の比較的低い温度である状態で、そのときの圧力検出手段で検出された以下のエア混入判定の基準となる圧力値を記憶手段に記憶させ、次に、温水暖房熱源機の暖房運転の停止状態が継続する期間中において、圧力検出手段で検出された圧力が、記憶手段に記憶された基準の圧力値よりも所定値以上大きいときには、循環経路内に混入したエアの分だけ膨張タンクの水位が上昇したと考えられるため、循環経路内にエアが混入したと判定してエア抜き動作を行う。つまり、循環経路に実際にエアが混入したときにのみエア抜き動作を行うことになる。
【0014】
請求項6の温水暖房熱源機は、請求項1〜5の発明において、前記循環経路が全て閉止された状態で温水暖房熱源機の加熱運転を行い、この加熱運転前後において圧力検出手段で検出された圧力と温度検出手段で検出された温度とに基づいて、温水に不凍液が混入されているか否かを判定する不凍液判定手段を備えたことを特徴とするものである。
【0015】
まず、循環経路が全て閉止されており、そのときの温水暖房熱源機内の保有水量が求められている状態で、温水暖房熱源機の加熱運転を行うと、温水暖房熱源機内の温水が循環して、この温水の温度が上昇する。ここで、温水中にエチレングリコール等の不凍液が混入されている状態と、不凍液が混入されていない状態とでは、密度や体積膨張量等、温水の物性値が異なることになる。そこで、不凍液判定手段は、例えば、加熱運転前後による圧力検出手段で検出された圧力と温度検出手段で検出された温度とに基づいて、不凍液が混入されていると仮定して体積膨張量及び温水暖房熱源機内の保有水量を算出し、この算出された保有水量と実際の保有水量とを比較するなどして、温水に不凍液が混入されているか否かを判定する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、台所や風呂等の設備への給湯と、暖房端末との間の温水循環とを夫々可能に構成した熱源機に本発明を適用したものである。
図1に示すように、熱源機1は、台所や風呂などの種々の設備や、暖房端末である温水ヒータ2(図2参照)及び温水床暖房3(図2参照)と夫々接続されており、この熱源機1と温水ヒータ2及び温水床暖房3などにより、熱源機1と暖房端末との間で温水を循環させる温水暖房システムが構成されている。
熱源機1は、台所や風呂等に給湯する為の給湯用熱源機本体4と、温水ヒータ2や温水床暖房3との間で温水を循環させる為の暖房用熱源機本体5とを有する。
【0017】
給湯用熱源機本体4は、バーナ10と、バーナ10で加熱される熱交換器11と、バーナ10に燃焼用空気を送り込む送風ファン12等を備えている。熱交換器11には給水管13と出湯管14とが接続され、バーナ10にはガス供給管15が接続されている。給水管13は、給水ポート16に接続されて熱交換器11まで延び、この給水管13には、給水量センサ17、給水温度センサ18等が設けられている。出湯管14は熱交換器11から出湯ポート20まで延び、この出湯管14には、温度センサ22,23と、出湯量を調節する流量制御弁24が設けられている。給水管13と出湯管14はバイパス管25で接続され、このバイパス管25にはバイパス流量を調整して出湯温度を制御するバイパス流量制御弁26も設けられている。
ガス供給管15には、元ガス電磁弁27と、燃料ガス流量を調整する給湯ガス比例制御弁28などが設けられ、バーナ10には、このバーナ10への燃料ガスの供給を遮断する為の給湯ガス電磁弁29も設けられている。
【0018】
暖房用熱源機本体5も、バーナ30と、バーナ30で加熱される熱交換器31と、バーナ30に燃焼用空気を送り込む送風ファン32等を備えている。バーナには、ガス供給管15から分岐した暖房ガス供給管33が接続され、この暖房ガス供給管33にはバーナ30への燃料ガスの供給量を調節する暖房ガス比例制御弁34が設けられ、バーナ30には、このバーナ30への燃料ガスの供給を遮断する為の暖房ガス電磁弁35も設けられている。
【0019】
熱交換器31には、温水ヒータ2及び温水床暖房3からの温水が通る温水戻り管36と、温水ヒータ2に供給される高温(例えば、約80℃)の温水が通る高温温水供給管37とが接続されている。温水戻り管36からは熱交換器11をバイパスして温水床暖房3に低温(例えば、約60℃)の温水を供給する為の低温温水供給管38と、高温温水供給管37に接続された機内循環用の温水循環管39が分岐している。
【0020】
ここで、温水戻り管36、高温温水供給管37、低温温水供給管38などにより本願発明の循環経路が構成されており、これら温水戻り管36、高温温水供給管37、低温温水供給管38は、夫々温水ヒータ2や温水床暖房3に設けられた開閉弁40〜43(図2参照)により開閉可能に構成されている。
【0021】
温水戻り管36には、循環経路において温水を循環させる為の循環ポンプ45と、循環経路内の温水の温度変化による体積膨張を吸収する為の膨張タンク46とが設けられている。この膨張タンク46には、膨張タンク46内の水位が上がりすぎたときに温水を一部排出する為のオーバーフロー口46aが設けられている。さらに、膨張タンク46には、膨張タンク46内の水位が下がりすぎたときに膨張タンク46に水を補給する為の補水管47の一端が接続され、補水管47の他端は給水ポート16に接続されている。この補水管47には補水弁48が設けられおり、後述するように、膨張タンク46内の水位が所定の下限水位以下に下がったときには、この補水弁48が開放されて給水ポート16から自動的に膨張タンク46に水が補給される。
【0022】
さらに、この膨張タンク46には、膨張タンク46のヘッド圧を検出する圧力センサ49(圧力検出手段)と、循環経路内の温水温度を検出する温度センサ50(温度検出手段)も設けられている。後述するように、この熱源機1は、圧力センサ49で検出された圧力と温度センサ50で検出された温水の温度に基づいて膨張タンク46内の水位を検出するように構成されているため、膨張タンク46には水位を検出する水位検出手段は設けられていない。尚、これら圧力センサ49と温度センサ50による検出値を用いて、後述するような、温水暖房システムに関する種々の処理が行われるようになっている。
【0023】
さらに、熱源機1は、風呂の浴槽(図示略)への落し込みと、浴槽内の水の追い焚きも可能に構成されている。即ち、出湯管14からは、浴槽への落し込み用の浴槽用分岐管51が分岐し、この浴槽用分岐管51は浴槽からの温水が通る温水戻り管52と合流している。温水は、浴槽用分岐管51に設けられた浴槽用循環ポンプ54により追い焚き用熱交換器55で加熱された後に温水供給管56から浴槽に供給される。追い焚き用熱交換器55には、高温温水供給管37から分岐した分岐管57も接続されており、追い焚き用熱交換器55において、熱交換器31からの高温の温水と、浴槽に供給される温水との間で熱交換が行われる。
【0024】
次に、熱源機1の制御系について、温水暖房システムに関する構成を中心に説明する。図2に示すように、熱源機1の制御を司る制御ユニット60は、図示しないマイクロコンピュータと入出力インターフェース等を有する。この制御ユニット60には、リモートコントローラ61(以下、リモコン61という)からの指令信号や、圧力センサ49、温度センサ50等からの信号が入力される。一方、制御ユニット60からは、循環ポンプ45、暖房ガス電磁弁35、補水弁48等に制御信号が出力され、さらに、温水ヒータ2や温水床暖房3の制御ユニットにも制御信号が出力される。
【0025】
制御ユニット60内のマイクロコンピュータのROMには、給湯に関する種々の制御プログラムの他、後述のタンク水位調整処理の制御プログラム、保有水量検出処理の制御プログラム、エア混入判定処理の制御プログラム等、暖房に関する種々の制御プログラムが格納されている。以下、これらタンク水位調整処理、保有水量検出処理、エア混入判定処理について順に説明する。
【0026】
まず、タンク水位調整処理について説明する。図3に示すように、膨張タンク46の下端部には圧力センサ49と温度センサ50が設けられており、タンク水位調整処理は、この圧力センサ49で検出される膨張タンク46のヘッド圧を用いて膨張タンク46内の水位Lを検知するとともに、膨張タンク46内の水位Lが上限水位LHを越えてオーバーフローが生じないように且つ下限水位LL以下になって温水が不足しないように、水位Lを上限水位LHと下限水位LLとの間の適切な水位に調整する為の処理である。しかし、ここで、バーナ30による加熱運転の前後では、循環経路を循環する温水温度が大きく変化するため、この温度変化により温水の体積が膨張して密度が小さくなる。従って、温度センサ50で検出された温度も考慮して、ヘッド圧から膨張タンク46内の水位を算出する必要がある。
【0027】
以下、タンク水位調整処理について、図4のフローチャートと図5のマップを参照して説明する。尚、以下の説明において、Si(i=10,11,12・・・)は、各ステップを示す。
このタンク水位調整処理は、熱源機1の暖房運転中(循環ポンプ45運転中)において所定時間毎に行われる。まず、循環ポンプ45が運転している状態では循環経路内の温水には循環ポンプ45の吐出圧が作用しているため、圧力センサ49により膨張タンク46のヘッド圧だけを検出するために循環ポンプ45を一旦停止させる(S10)。循環ポンプ45の停止後、膨張タンク46内の水位が安定した状態で圧力センサ49により検出された検出圧力Pと温度センサ50により検出された検出温度Tに基づいて、膨張タンク46内の水位Lを演算する (S11)。具体的には、温度Tにより温水の密度は異なるため、温度Tに対応する密度ρを図5のマップM1から求め、この密度ρと検出圧力Pを用いて水位Lを演算する。
【0028】
このようにして演算された水位Lが図3の上限水位LHよりも大きい場合には(S12:Yes)、オーバーフロー口46aからオーバーフローしそうな状態であるため、再び循環ポンプ45を運転し(S13)、バーナ30による加熱運転が行われている状態である場合には(S14:Yes)、暖房ガス電磁弁35を閉にして加熱運転を停止した状態で循環ポンプ45により温水を循環させて (S15)、温水温度を下げることで温水の体積膨張を減らしてオーバーフローを防止する。
【0029】
一方、水位Lが上限水位LHよりも低い場合であって(S12:No)、図3の下限水位LLよりもさらに低い状態では(S16:Yes)、膨張タンク46内の水がかなり少なく渇水状態に近い状態であるため、補水弁48を開にして (S17)、膨張タンク46内に水を補給する。膨張タンク46内に水を補給していくと、膨張タンク46内の水位Lは上昇していくため、圧力センサ49により検出された検出圧力Pと温度センサ50により検出された検出温度TとマップM1から水位Lを逐次演算し(S18)、この水位Lが図3に示す所定の補給上限値LSより大きくなるまで膨張タンク46に水を補給する。
【0030】
ここで、この補給上限値LSは、後述の保有水量検出処理において、温水暖房システム内の全保有水量Vに応じて決定される。水位Lが補給上限値LSに達すると(S19:Yes)、補水弁48を閉にして(S20)、水の補給を停止してから、再び循環ポンプ45を運転して(S21)、暖房運転を再開する。
尚、以上の説明において、制御ユニット60と、図4のフローチャートのS11と、図5のマップM1とが、本願発明のタンク水位検知手段に相当する。
【0031】
次に、保有水量検出処理について、図6のフローチャートと、図5、図7、図8のマップを参照して説明する。この保有水量検出処理は、温水ヒータ2や温水床暖房3との間の循環経路が全て連通した状態でバーナ30の加熱運転を行い、この加熱運転前後における温水の体積膨張量から温水暖房システム内の全保有水量Vを逆算する処理である。
【0032】
この保有水量検出処理は、暖房運転が行われていない状態で、リモコン61からこの保有水量検出処理を行うモードが選択されたときに実行される。まず、循環経路を全て連通させるために、温水ヒータ2と温水床暖房3の制御ユニットに夫々指令を下して全ての開閉弁40〜43を開放させる(S30)。そして、圧力センサ49による検出圧力P1と温度センサ50からの検出温度T1と図5のマップM1とにより、加熱運転前の膨張タンク46内の水位L1を演算する(S31)。
【0033】
次に、循環ポンプ45を運転するとともにバーナ30による加熱運転を開始し(S32)、温度センサ50による検出温度Tが所定の温度T0 に上昇するまで加熱運転を行い、TがT0 以上になったときに(S33:Yes)、循環ポンプ45を停止するとともに暖房ガス電磁弁35を閉止して加熱運転を停止する(S34)。そして、このときの検出圧力P2と検出温度T2とマップM1とにより、加熱運転後の膨張タンク46内の水位L2を演算する(S35)。
【0034】
ここで、この加熱運転による温水の体積膨張量ΔVは、膨張タンク46の断面積をAとして、
ΔV=(L2−L1)×A
で求められる。ここで、温度0℃の状態を基準とした場合の体膨張係数をβとすると、このβの温度Tに対する関係は図7に示すマップM2で示され、全保有水量Vは、
で求められる(S36)。
【0035】
ここで、この全保有水量Vが多いほど、バーナ30による加熱運転中の体積膨張量も大きくなるため、膨張タンク46へ水を補給する際の前述の補給上限値LSが一定の値であると、全保有水量Vが多いときには、せっかく補給した水が加熱運転中にオーバーフローしてしまう虞がある。そこで、全保有水量Vに応じて、補給上限値LSを以下のように変更する。
【0036】
即ち、図8に示すように、全保有水量Vと補給上限値LSとの関係は、3段階に変化するマップM3で表されている。全保有水量Vが第1のしきい値V1未満の場合には、補給上限値LSの値は最も大きな値であるLS1 となる。全保有水量Vが第1のしきい値V1以上で、V1よりも大きい第2のしきい値V2未満の場合には、補給上限値LSの値はLS1 よりも小さいLS2 となる。さらに、全保有水量がV3以上の場合には、補給上限値LSの値は最も小さな値であるLS3 となる。このようにして、全保有水量Vが多いときには補給上限値LSは小さくなり、逆に、全保有水量が少ないときには補給上限値LSは大きくなる。
つまり、膨張タンク46に水を補給する場合には、1回の補給水量を多くして補給回数を減らすために、できるだけ高い水位まで補給することが望ましいが、このS37の処理により、その補給上限値LSをオーバーフローしない適当な位置に設定できる。
【0037】
尚、以上の説明において、制御ユニット60と、図6のフローチャートのS30〜S36と、図7のマップM2とが、本願発明の保有水量検知手段に相当する。さらに、制御ユニット60と、図6のフローチャートのS37と、図8のマップM3とが、本願発明の最高水位変更手段に相当する。
【0038】
次に、エア混入判定処理について、図9のフローチャートを参照して説明する。夏場など、暖房運転を継続して長期間停止している状態(循環ポンプ45が長期間運転していない状態)では、温水床暖房3の樹脂管などから循環経路内にエアが混入して、暖房運転を開始したときに、循環経路に混入したエアにより循環ポンプ45にキャビテーションが発生したり、熱交換器31や温水ヒータ2、温水床暖房3における熱交換効率が低下して十分な暖房能力が出なくなる虞がある。そこで、このエア混入判定処理は、暖房運転の停止状態が継続する期間中の膨張タンク46のヘッド圧を圧力センサ49により適宜検出して、その検出圧力をエアが混入していない状態での膨張タンク46の基準のヘッド圧と比較することにより、循環経路内にエアが混入しているか否かを判定し、エアが混入したと判定したときにはエア抜き動作を行う。
【0039】
このエア混入判定処理が実行される前提として、まず、暖房運転終了後に所定短時間が経過して温水温度がほぼ常温のT0 (例えば、T0 =15℃)となったときに、その状態における圧力センサ49による検出圧力(基準圧力P0 )が制御ユニット60のマイクロコンピュータのメモリに記憶される。
エア混入判定処理は、前回の暖房運転終了後から所定期間(例えば、1日)経過する毎に実行される。エア混入判定処理が実行されると、まず、温度センサ50で検出された検出温度TとT0 との差が所定の温度差α1 (例えば、α1 =5℃)内であり(S40)、温水温度がほぼ常温である場合に、温水ヒータ2及び温水床暖房3の電磁開閉弁を全て開放して循環経路を連通させてから(S41)、そのときの膨張タンク46のヘッド圧を圧力センサ49により検出する。
【0040】
このとき、この検出圧力Pが基準圧力P0 よりも所定値α2 以上大きいときには(S42:Yes)、循環経路内にエアが混入してその分だけ膨張タンク46内の水位が上昇していると判定して、循環ポンプ45を所定時間(例えば、15分)運転して(S43)、循環経路内に混入したエアを膨張タンク46から抜くようにする。
尚、以上の説明において、制御ユニット60のマイクロコンピュータのメモリが本願発明の記憶手段に相当する。
【0041】
以上説明した熱源機1によれば、次のような効果が得られる。
1)タンク水位調整処理により、圧力センサ49により検出された圧力と、温度センサ50により検出された温度とに基づいて、膨張タンク46内の全範囲の水位を検知することができるので、膨張タンク46の水位を検出する水位検出手段を省略でき、製作コスト的に有利である。また、膨張タンク46の全範囲の水位を検知できるので、上限水位LHに近くオーバーフローしそうな状態や下限水位LLに近く渇水状態になる寸前の状態を検知したときに、加熱運転を停止してオーバーフローを極力防止したり、事前に膨張タンク46に水を補給して渇水状態になるのを未然に防止できる。
【0042】
2)保有水量検知処理により、加熱運転前後において圧力センサ49で夫々検出された2つの検出圧力の値により求められる温水の体積膨張量を用いて、温水暖房システムの全保有水量Vを検知でき、さらに、この全保有水量Vに基づいて膨張タンク46に水を補給する際の、膨張タンク46内の水位の補給上限値LSを変更できるので、全保有水量Vが多い場合には補給上限値LSを低くし、逆に全保有水量Vが少ないときには補給上限値LSを高くして、熱源機1の加熱運転中に膨張タンク46内の水位がオーバーフローしない適当な位置になるように補給上限値LSを設定できる。
【0043】
3)エア混入判定処理により、熱源機1の暖房運転の停止状態が継続する期間中において、圧力センサ49で検出された圧力が、制御ユニット60のマイクロコンピュータのメモリに記憶された基準の圧力値P0 よりも所定値以上大きいときには、循環経路内にエアが混入したと判定してエア抜き動作を行うので、循環経路に実際にエアが混入したときにのみエア抜き動作を行うことができ、不必要にエア抜き動作が行われることがなく、循環ポンプ45等、エア抜き動作において作動する種々の部品の耐久性を向上させることも可能になる。
【0044】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同じものについては同じ符号を付して、適宜その説明を省略する。
1]循環経路を全て閉止した状態での暖房用熱源機本体5内の保有水量V0 の値を予め求めておくことができる場合には、以下のような不凍液判定処理により、温水中にエチレングリコール等の不凍液が混入されているか否かを判定することができる。
温水に不凍液が混入されている状態と混入されていない状態とでは、温水の密度ρや体膨張係数β等の物性値の値が異なる。つまり、不凍液が混入されていない状態においては、図5のマップM1や図7のマップM2で示される関係が、不凍液が混入されている状態からずれることになる。そこで、不凍液判定処理は、圧力センサ49の検出圧力と温度センサ50の検出温度に基づいて検知された、循環経路が閉止された状態での保有水量Vsが、前述の物性値のずれに起因して正しい保有水量V0 から所定値以上ずれたときに、循環経路に不凍液が混入されていないと判定する。
【0045】
この不凍液判定処理は、例えば、熱源機1を現場に設置して試運転した後の、調整員によるリモコン61からの操作などにより実行されるようになっている。図10のフローチャートに示すように、不凍液判定処理が実行されると、循環経路を全て閉止するために、温水ヒータ2と温水床暖房3の制御ユニットに夫々指令を下して開閉弁を閉止させる(S50)。その状態で、温水に不凍液が混入されていると仮定して、圧力センサ49による検出圧力P4と温度センサ50からの検出温度T4と図5のマップM1とにより、加熱運転前の膨張タンク46内の水位L4を演算する(S51)。
【0046】
次に、バーナ30による加熱運転を開始し(S52)、温度センサ50による検出温度Tが所定の温度T0 に上昇するまで温水循環管39により温水を暖房機1の内部で循環させながら加熱運転を行い、Tが所定温度TC より大きくなったときに(S53:Yes)、暖房ガス電磁弁35を閉止して加熱運転を停止する(S54)。そして、温水に不凍液が混入されていると仮定して、加熱運転後の検出圧力P5と検出温度T5とマップM1とにより、加熱運転後の膨張タンク46内の水位L5を演算する(S55)。そして前述した図6の保有水量検出処理におけるS36と同様に、水位L4,L5と図7のマップM2とにより、循環経路を全て閉止した状態における保有水量Vsを算出する(S56)。
【0047】
ここで、このように温水に不凍液が混入されていると仮定して算出された保有水量Vsが、予め求められた正しい保有水量V0 から所定値α3 以上にずれている場合には(S58:Yes)、不凍液が混入されていないと判定してリモコン61の液晶ディスプレイ等にその旨のメッセージを表示して(S58)、調整員の注意を喚起する。あるいは、警告用のランプを点灯させたり、警告音を発するようにしてもよい。
【0048】
この不凍液判定処理により、圧力センサ49で検出された検出圧力と温度センサ50で検出された検出温度とに基づいて温水に不凍液が混入されているか否かを判定できるので、循環経路に不凍液を投入したかかどうかの確認を容易に行うことができる。
尚、制御ユニット60と図10のフローチャートが本願発明の不凍液判定手段に相当する。
【0049】
2]圧力センサ49や温度センサ50は、必ずしも膨張タンク46に取り付ける必要はなく、温水戻り管36や高温温水供給管37、低温温水供給管38など、膨張タンク46のヘッド圧と循環経路の温水温度を検出できる種々の位置に取り付けることができる。さらに、圧力センサ49に循環ポンプ45の吐出圧が作用せず、温水の静圧だけを常に検出できるような位置に圧力センサ49を取り付けた場合には、図4のタンク水位調整処理において、膨張タンク46の水位を検知する度に循環ポンプ45を停止させる必要がなくなる。
【0050】
3]補水弁48を手動で開閉して膨張タンク46に水を補給するように構成された熱源機1において、図4のタンク水位調整処理のS16で水位Lが下限水位LLよりも低下していると判定された場合には、リモコン61に渇水状態に近いことを示すメッセージを表示させたりして、膨張タンク46への水の補給が必要であることを使用者に知らせるようにすればよい。
【0051】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、タンク水位検知手段は、圧力検出手段により検出された圧力と、温度検出手段により検出された温度とに基づいて、膨張タンク内の全範囲の水位を検知することができるので、膨張タンクの水位を検出する水位検出手段を省略でき、製作コスト的に有利である。また、膨張タンクの全ての水位を検知できるので、上限水位に近くオーバーフローしそうな状態や、下限水位に近く渇水状態になる寸前の状態を事前に検知できるため、オーバーフローや渇水状態が生じるのを極力防止できる。
【0052】
請求項2の発明によれば、タンク水位検知手段により検知された膨張タンク内の水位が所定の上限水位以上である場合には、バーナによる加熱運転を停止するように構成したので、膨張タンク内の水位が上限水位に達して、オーバーフローしそうな状態であるときには、バーナによる加熱運転を停止することで温水温度を下げ、膨張タンク内の水位を低下させることができるので、オーバーフローを未然に防止することができる。
【0053】
請求項3の発明によれば、温水暖房熱源機が、温水暖房システムの全保有水量を検知する保有水量検知手段を備え、この保有水量検知手段が、循環経路が全て連通した状態において、異なる2つの温度状態において圧力検出手段により夫々検出された2つの圧力値を用いて全保有水量を検知するので、夫々の温度状態において圧力検出手段で検出された2つの圧力からその温度変化により生じた温水の体積膨張量を求め、この体積膨張量及び温度変化前後での検出温度を用いて全保有水量を検知することができる。
【0054】
請求項4の発明によれば、最高水位変更手段は、保有水量検知手段により検知された温水暖房システムの全保有水量に基づいて前記膨張タンクに水を補給するときの水位の補給上限値を変更することができるので、例えば、全保有水量が多い場合には補給上限値を低くし、逆に全保有水量が少ないときには補給上限値を高くするようにして、温水暖房熱源機の加熱運転中に膨張タンク内の水位がオーバーフローしない適当な位置になるように補給上限値を設定できる。
【0055】
請求項5の発明によれば、運転停止後のエアが混入していない状態且つ温水温度が所定温度以下の低い温度である状態で、そのときの圧力検出手段で検出された以下の判定の基準となる圧力値を記憶手段に記憶させ、次に、温水暖房熱源機の暖房運転の停止状態が継続する期間中において、圧力検出手段で検出された圧力が、前記基準の圧力値よりも所定値以上大きいときには、循環経路内にエアが混入したと判定してエア抜き動作を行うので、循環経路に実際にエアが混入したときにのみエア抜き動作を行うことができ、不必要にエア抜き動作が行われることがない。また、循環ポンプ等、エア抜き動作において作動する種々の部品の耐久性を向上させることも可能になる。
【0056】
請求項6の発明によれば、不凍液判定手段は、温水暖房熱源機の加熱運転前後において、圧力検出手段で検出された圧力と温度検出手段で検出された温度とに基づいて温水に不凍液が混入されているか否かを判定できるので、循環経路に不凍液を投入したかかどうかの確認を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る熱源機の構成図である。
【図2】熱源機の制御系のブロック図である。
【図3】膨張タンク周辺の概略構成図である。
【図4】タンク水位調整処理のフローチャートである。
【図5】温水の温度と密度との関係を示すマップである。
【図6】保有水量検知処理のフローチャートである。
【図7】温水の温度と体膨張係数の関係を示すマップである。
【図8】全保有水量と補給上限値との関係を示すマップである。
【図9】エア混入判定処理のフローチャートである。
【図10】不凍液判定処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1 熱源機
2 温水ヒータ
3 温水床暖房
30 バーナ
31 熱交換器
36 温水戻り管
37 高温温水供給管
38 低温温水供給管
45 循環ポンプ
46 膨張タンク
49 圧力センサ
50 温度センサ
60 制御ユニット
Claims (6)
- バーナと、このバーナにより加熱される熱交換器と、暖房端末との間の循環経路において温水を循環させる為の循環ポンプと、温水の温度変化による体積膨張を吸収する為の膨張タンクとを備えた温水暖房熱源機において、
循環経路内の温水の圧力を検出する圧力検出手段と、循環経路内の温水温度を検出する温度検出手段と、圧力検出手段により検出された圧力と温度検出手段により検出された温度に基づいて膨張タンク内の水位を検知するタンク水位検知手段とを備えたことを特徴とする温水暖房熱源機。 - 前記タンク水位検知手段により検知された膨張タンク内の水位が所定の上限水位以上である場合には、バーナによる加熱運転を停止するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の温水暖房熱源機。
- 前記温水暖房熱源機と前記暖房端末とを含み温水暖房熱源機と暖房端末との間で温水を循環させる温水暖房システムの全保有水量を検知する保有水量検知手段を備え、この保有水量検知手段が、前記循環経路が全て連通した状態において、前記温度検出手段により検出された温度が異なる2つの温度状態で圧力検出手段により夫々検出された2つの圧力値を用いて前記全保有水量を検知することを特徴とする請求項1又は2に記載の温水暖房熱源機。
- 前記保有水量検知手段により検知された温水暖房システムの全保有水量に基づいて前記膨張タンクに水を補給するときの水位の補給上限値を変更する最高水位変更手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の温水暖房熱源機。
- 前記温度検出手段で検出される温度が所定温度以下である状態で圧力検出手段により検出された圧力値を記憶する記憶手段を備え、温水暖房熱源機の暖房運転の停止状態が継続する期間中において、圧力検出手段で検出された圧力が、前記記憶手段に記憶された圧力よりも所定値以上大きいときには、循環経路内にエアが混入したと判定してエア抜き動作を行うように構成したことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の温水暖房熱源機。
- 前記循環経路が全て閉止された状態で温水暖房熱源機の加熱運転を行い、この加熱運転前後において圧力検出手段で検出された圧力と温度検出手段で検出された温度とに基づいて、温水に不凍液が混入されているか否かを判定する不凍液判定手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の温水暖房熱源機。
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