JP2004116599A - コントロールケーブル - Google Patents

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Asaya Toyohira
豊平 朝弥
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Honda Motor Co Ltd
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

【課題】インナーケーブルの外周面の潤滑油の油膜切れを防止してコントロールケーブル摺動抵抗の低減および耐久性の向上を図る。
【解決手段】コントロールケーブル5は、金属撚り線47の外周面を合成樹脂製のコーティング層48で覆ったインナーケーブル22と、インナーケーブル22を摺動自在に案内するために鋼線45を螺旋状に巻いて外周面をコーティング層46で覆ったアウターチューブ21と、アウターチューブ21およびインナーケーブル22間に配置した合成樹脂製のライナー23とを備える。インナーケーブル22の外周面を覆う合成樹脂製のコーティング層48に潤滑油を保持するための潤滑油保持溝48aを形成することにより、ライナー23の内周面およびコーティング層48の外周面の摺動部の潤滑油の油膜切れを防止して摺動抵抗の低減および耐久性の向上を図ることができる。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インナーケーブルと、インナーケーブルを摺動自在に案内すべく鋼線を螺旋状に巻いたアウターチューブと、アウターチューブおよびインナーケーブル間に配置したライナーとを備えたコントロールケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
ドライバーがハンドルに入力する操舵トルクを、ボーデンケーブル等の撓み易いコントロールケーブルでステアリングギヤボックスに伝達して車輪を転舵するケーブル式ステアリング装置が、例えば下記特許文献により公知である。
【0003】
かかるコントロールケーブルは、鋼線を螺旋状に巻いたアウターチューブの内部に金属縒線よりなるインナーケーブルを摺動自在に収納することで可撓性を持たせているが、共に金属製のアウターチューブおよびインナーケーブルが直接擦れ合って発生する摩擦力で操舵フィーリングが低下するのを防止すべく、アウターチューブおよびインナーケーブルの間に低摩擦係数で耐摩耗性に優れた合成樹脂製のライナーを配置している。
【0004】
【特許文献】
特開平8−2431号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところでライナーに対するインナーケーブルの摺動を更に円滑に行わせるために、金属縒線よりなるインナーケーブルの外周面を合成樹脂製のコーティング層で覆い、ライナーおよびコーティング層間に潤滑油を保持して摺動抵抗を一層低減させることが考えられる。しかしながら、ライナーの内周面およびコーティング層の外周面が共に平滑面であると充分な量の潤滑油を保持することができないため、インナーケーブルがライナーに対して接触する部分や、インナーケーブルがプーリに巻き付く部分に潤滑油の油膜切れが発生し、摺動抵抗の増加や耐久性の低下が発生する可能性がある。
【0006】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、インナーケーブルの外周面の潤滑油の油膜切れを防止してコントロールケーブルの摺動抵抗の低減および耐久性の向上を図ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、インナーケーブルと、インナーケーブルを摺動自在に案内すべく鋼線を螺旋状に巻いたアウターチューブと、アウターチューブおよびインナーケーブル間に配置したライナーとを備えたコントロールケーブルにおいて、インナーケーブルの外周面を覆う合成樹脂製のコーティング層に潤滑油を保持するための凹部を形成したことを特徴とするコントロールケーブルが提案される。
【0008】
上記構成によれば、ライナーの内周面に対して摺動するインナーケーブルの外周面に合成樹脂製のコーティング層を形成したので、インナーケーブルおよびライナー間の摺動抵抗を低減することができ、しかもコーティング層に潤滑油を保持するための凹部を形成したので、潤滑油の油膜切れを防止して摺動抵抗の低減および耐久性の向上を図ることができる。
【0009】
尚、実施例の圧延線45は本発明の鋼線に対応し、実施例の潤滑油保持溝48aおよび潤滑油保持穴48bは本発明の凹部に対応する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0011】
図1〜図3は本発明の第1実施例を示すもので、図1はケーブル式ステアリング装置の全体斜視図、図2はコントロールケーブルの部分破断図、図3は図2の3−3線拡大断面図である。
【0012】
図1に示すように、自動車のハンドル1の前方に設けた駆動プーリハウジング2と、ステアリングギヤボックス3に設けた従動プーリハウジング4とが2本のコントロールケーブル5,6によって接続される。ステアリングギヤボックス3を貫通して車体左右方向に延びるステアリングロッド7の両端が、タイロッド8L,8Rを介して左右の車輪WL,WRを支持するナックル(図示せず)に接続される。
【0013】
ドライバーの操作によるハンドル1の回転は、駆動プーリハウジング2に収納した駆動プーリ(図示せず)から一対のコントロールケーブル5,6を介して従動プーリハウジング4の内部に収納した従動プーリ(図示せず)に伝達され、従動プーリの回転軸に設けたピニオン9がステアリングロッド7に設けたラック10に噛み合うことで、ステアリングロッド7が左右に移動して車輪WL,WRが転舵される。ドライバーによるハンドル1の操作をアシストすべく、従動プーリハウジング4にピニオン9を駆動するアシスト用モータ11が設けられる。
【0014】
一対のコントロールケーブル5,6の構造は同一であり、以下、図2および図3に基づいて一方のコントロールケーブル5の構造を説明する。
【0015】
コントロールケーブル5は、アウターチューブ21と、インナーケーブル22と、ライナー23とを備える。アウターチューブ21は長方形の二つの短辺を半円状に丸めた断面形状を有する鋼製の圧延線45を螺旋状に巻いた導管と、その導管の外周面を覆う合成樹脂製のコーティング層46とで構成される。アウターチューブ21の内部に摺動自在に収納されるインナーケーブル22は、撚り合わされた複数本の金属素線47…、あるいはそのようにして得られたストランドを複数本縒り合わせた金属撚り線47…と、集合した金属撚り線47…の外周面を覆う低摩擦係数で耐摩耗性に優れた合成樹脂製のコーティング層48とで構成される。コーティング層48は摩擦抵抗を低減する機能に加えて、集合した金属撚り線47…が解けるのを防止する機能も有している。アウターチューブ21の内周面とインナーケーブル22の外周面との間に配置されるライナー23も、低摩擦係数で耐摩耗性に優れた合成樹脂で構成される。
【0016】
尚、ライナー23は一方の端部がアウターチューブ21に対して固定されており、コントロールケーブル5が自由に撓むことを可能にしながら、ライナー23がアウターチューブ21から抜けないようになっている。
【0017】
図3に良く示されるように、インナーケーブル22のコーティング層48の外周面には、その軸方向に延びる複数本(実施例では4本)の潤滑油保持溝48a…が所定間隔(実施例では90°間隔)で形成されており、間隔を有して対向するライナー23の内周面とコーティング層48の外周面とにグリス等の潤滑油Gが塗布され、その潤滑油Gの一部はコーティング層48の潤滑油保持溝48a…の内部に保持される。
【0018】
さて、ハンドル1を操作すると、一対のコントロールケーブル5,6の一方のインナーケーブル22が引かれて他方のインナーケーブル22が緩められ、それぞれのインナーケーブル22はアウターチューブ21と一体のライナー23の内部を摺動する。このとき、ライナー23の内周面に対して摺動するインナーケーブル22のコーティング層48の外周面は潤滑油Gによって潤滑されるため、ライナー23およびコーティング層48間の摩擦抵抗が減少して操舵フィーリングが向上する。
【0019】
ところで、ライナー23およびコーティング層48の摺動面の潤滑油Gはコントロールケーブル5,6の端部からの流出等により次第に失われるため、前記摺動面の潤滑性能は次第に低下する。またインナーケーブル22が駆動プーリや従動プーリに巻き付く部分でもコーティング層48の表面の潤滑油Gが次第に失われ、インナーケーブル22の耐久性に悪影響が発生する。
【0020】
しかしながら本実施例によれば、図3に示すように、インナーケーブル22のコーティング層48に形成した潤滑油保持溝48a…に潤滑油Gが保持されているため、長期の使用後にも潤滑油保持溝48a…に保持された潤滑油Gによって摺動面の潤滑性能が確保され、摩擦抵抗の増加による操舵フィーリングの低下を回避することができる。また駆動プーリや従動プーリに巻き付いたインナーケーブル22も、潤滑油保持溝48a…に保持された潤滑油Gによってプーリとの間の潤滑性能が確保されるため、プーリとの接触部の摩耗が抑制されて耐久性が向上する。
【0021】
次に、図4に基づいて本発明の第2実施例を説明する。
【0022】
第1実施例のインナーケーブル22のコーティング層48はその軸線に平行な潤滑油保持溝48a…を備えているが、第2実施例のコーティング層48は螺旋状の潤滑油保持溝48a…を備えている。潤滑油保持溝48a…を螺旋状に形成したことにより、インナーケーブル22の摺動に伴って潤滑油保持溝48a…がライナー23の内周面の全域に沿って移動するため、潤滑油を摺動面の全域に均一に行き渡らせて潤滑効果を更に高めることができる。
【0023】
次に、図5に基づいて本発明の第3実施例を説明する。
【0024】
第1、第2実施例のインナーケーブル22のコーティング層48はコントロールケーブル5,6の全長に亘って長手方向に延びる潤滑油保持溝48a…を備えているが、第3実施例ではコーティング層48の外周面に潤滑油Gを保持する独立した多数の潤滑油保持穴48b…が形成される。このように各々の潤滑油保持穴48b…を独立させることで、そこに保持された潤滑油Gの流出を抑制して潤滑性能を長期に亘って維持することができる。
【0025】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0026】
例えば、実施例ではケーブル式ステアリング装置用のコントロールケーブル5,6を例示したが、本発明は他の任意の用途のコントロールケーブルに適用することができる。また本発明のコントロールケーブルは2本をセットにして使用するものに限定されず、1本を単独で使用するものであっても良い。
【0027】
また、コーティング層48の潤滑油保持溝48a…および潤滑油保持穴48b…の数や形状は実施例に限定されず、適宜変更することができる。
【0028】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、ライナーの内周面に対して摺動するインナーケーブルの外周面に合成樹脂製のコーティング層を形成したので、インナーケーブルおよびライナー間の摺動抵抗を低減することができ、しかもコーティング層に潤滑油を保持するための凹部を形成したので、潤滑油の油膜切れを防止して摺動抵抗の低減および耐久性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ケーブル式ステアリング装置の全体斜視図
【図2】コントロールケーブルの部分破断図
【図3】図2の3−3線拡大断面図
【図4】インナーケーブルのコーティング層の凹部の第2実施例を示す図
【図5】インナーケーブルのコーティング層の凹部の第3実施例を示す図
【符号の説明】
21    アウターチューブ
22    インナーケーブル
23    ライナー
45    圧延線(鋼線)
48    コーティング層
48a   潤滑油保持溝(凹部)
48b   潤滑油保持穴(凹部)
G     潤滑油

Claims (1)

  1. インナーケーブル(22)と、インナーケーブル(22)を摺動自在に案内すべく鋼線(45)を螺旋状に巻いたアウターチューブ(21)と、アウターチューブ(21)およびインナーケーブル(22)間に配置したライナー(23)とを備えたコントロールケーブルにおいて、
    インナーケーブル(22)の外周面を覆う合成樹脂製のコーティング層(48)に潤滑油(G)を保持するための凹部(48a,48b)を形成したことを特徴とするコントロールケーブル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013083286A (ja) * 2011-10-07 2013-05-09 Shimano Inc 摺動ケーブルおよびコントロールケーブル

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