JP2004115752A - 局所結晶化ガラスの結晶化部分の識別方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】希土類元素含有のハロゲン化物結晶を局所的に析出させた結晶化ガラスにおける結晶析出部位を、迅速に検出し識別する方法を提供すること。
【解決手段】希土類元素及びハロゲン化物を含有するガラスからなり希土類元素を含むハロゲン化物結晶を局所的に析出させたガラス基材における、又は希土類元素及びハロゲン化物を含有するガラス粒子を分散した状態で含む成形物であって該成形物中局所的に該ガラス粒子に希土類元素を含むハロゲン化物結晶を析出させたものである成形物における、希土類元素を含むハロゲン化物結晶が析出した部分を識別するための方法であって、該ガラス基材又は該成形物に励起用レーザ光を照射して該希土類元素を含むハロゲン化物結晶にアップコンバージョン蛍光を発生させることにより、該ガラス基材又は該成形物中の該希土類元素を含むハロゲン化物結晶が析出している部分を識別する方法。
【選択図】 なし
【解決手段】希土類元素及びハロゲン化物を含有するガラスからなり希土類元素を含むハロゲン化物結晶を局所的に析出させたガラス基材における、又は希土類元素及びハロゲン化物を含有するガラス粒子を分散した状態で含む成形物であって該成形物中局所的に該ガラス粒子に希土類元素を含むハロゲン化物結晶を析出させたものである成形物における、希土類元素を含むハロゲン化物結晶が析出した部分を識別するための方法であって、該ガラス基材又は該成形物に励起用レーザ光を照射して該希土類元素を含むハロゲン化物結晶にアップコンバージョン蛍光を発生させることにより、該ガラス基材又は該成形物中の該希土類元素を含むハロゲン化物結晶が析出している部分を識別する方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、希土類元素及びハロゲン化物を含有するガラス基材、又はそのようなガラス粒子を分散して含んだ成形物中に希土類元素を含むハロゲン化物結晶を局所的に、特定の部分に限定して析出させたものにおいて、該結晶化ガラスが析出した部分を検出するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
希土類元素とハロゲン化物を含有するガラスを熱処理することによって希土類イオン含有ハロゲン化物結晶が析出した結晶化ガラスを得、これに長波長光を照射して、より短波長の可視領域にアップコンバージョン蛍光を発生させ得ることが知られている(例えば、特許文献1並びに非特許文献1及び2参照。)。
【0003】
これら従来の技術では、ガラス全体を熱処理しているため、得られる結晶化ガラスは、ガラス全体が結晶化したものであった。これら従来の希土類イオン含有ハロゲン化物結晶化ガラスは、フルカラーディスプレー、赤外光センサー、短波長固体レーザその他の素材として用い得る。しかしながら、様々な用途において、素材の全体が結晶化したものでなく、例えば、表面の1部のみが結晶化しているものや、ガラスの内部に結晶化ガラスの薄層が存在するもの等、ガラスの特定の部分のみ結晶化させたものが望ましい場合がある。また、種々の素材よりなる成形体において、所望の部位のみをアップコンバージョン蛍光の発生可能部位とすることができれば、ディスプレー等における種々の用途開発の可能性が広がる。
【0004】
このような背景において、本発明者等は既に、希土類元素及びハロゲン化物を含むガラス又はそのようなガラス粒子を含有する成形物にレーザ光を照射することによって、照射点に、希土類元素を含むハロゲン化物結晶が析出した結晶化ガラスを微視的に生成させることができること、及び、レーザ光のオンオフや走査パターン、集光させる場合はその焦点の深さ等を操作することにより、それらの成形物中に、結晶化ガラスを局所的に生成させて点、線、面、立体、パターンその他の図形や文字等を、任意に描くことができることを見出し、この新規な方法及びそれにより得られる素材につき、特許出願を行っている(特願2002−194115:出願日平成14年7月3日)。
【0005】
また本発明者等は、この方法で作製した結晶化ガラス生成部分を有するガラス基材又は成形物に対し、含有される希土類成分につき知られている特有の吸収波長のレーザ光を励起光として照射することにより、該結晶化ガラスにおいて発生するアップコンバージョン蛍光を利用して、該結晶化ガラス部分を、入射光より短波長の発光によって表示させることにも成功した。
【0006】
上記において作製した結晶化ガラス生成部分を有するガラス基材又は成形物に、明瞭に検出できる強度のアップコンバージョン蛍光を発生させるためには、励起光に十分大きな強度が不可欠であり、そのためには励起光としてレーザ光を用いることが必要である。しかしながら、点状断面のレーザ光の非常に狭い幅のビームでは、一度に生じさせることのできるアップコンバージョン蛍光も、そのような極めて狭い幅でカバーされる部分に限られていた。このため例えば、複数の点の集合で描かれた文字等、ビーム幅を超える広がりを有する結晶化ガラス領域をアップコンバージョン蛍光により一挙に検出することは困難であったほか、ガラス基材又は成形物中に局所的に存在している結晶化部分を励起用レーザ光で的確に捉えてその存在を検出することも、そのような部分が小さく且つ無色透明で視認できないことから、困難であった。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−69673号公報
【非特許文献1】
Journal of MATERIALS SCIENCE 33, 63 (1998)
【非特許文献2】
Journal of Ceramic Society of Japan, 107, 1175 (1999)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような背景において、本発明者等は、希土類イオン含有ハロゲン化物結晶が析出した結晶化ガラスを局所的に生成させて点、線、面、立体、パターンその他の図形や文字等を書き込んだガラスその他の成形物において、それらの図形や文字を検出し識別する方法、特に、迅速且つ効率的に、取り分け、それらの図形や文字を一挙に検出し識別する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、結晶化ガラスを局所的に生成させたガラス基材又は成形物に対して、励起用レーザ光を、光源からのレーザ光のビーム幅より広い範囲に、所定の仕方で同時又は瞬時に照射することにより、該ガラス基材又は該成形物に結晶化ガラスで描かれた図形や文字等を一挙に検出できることを見出した。
【0010】
すなわち本発明は、
(1)希土類元素及びハロゲン化物を含有するガラスからなり希土類元素を含むハロゲン化物結晶を局所的に析出させたガラス基材における、又は希土類元素及びハロゲン化物を含有するガラス粒子を分散した状態で含む成形物であって該成形物中局所的に該ガラス粒子に希土類元素を含むハロゲン化物結晶を析出させたものである成形物における、希土類元素を含むハロゲン化物結晶が析出した部分を識別するための方法であって、該ガラス基材又は該成形物に励起用レーザ光を照射して該希土類元素を含むハロゲン化物結晶にアップコンバージョン蛍光を発生させることにより、該ガラス基材又は該成形物中の該希土類元素を含むハロゲン化物結晶が析出している部分を識別する方法、
(2)励起用レーザ光のビーム幅を広げて該ガラス基材又は該成形物に照射することを特徴とする、上記(1)の方法、
(3)線状断面の励起用レーザ光を用いこれを、該ガラス基材又は該成形物上で該断面の長手方向に対し直角ないし斜め方向に走査して該ガラス基材又は該成形物を照射することを特徴とする、上記(1)の方法、
(4)励起用レーザ光の点状断面のビームを該ガラス基材上又は該成形物上で1方向に走査すると同時にこれと直角ないし斜めの方向にも走査して該ガラス基材又は該成形物を照射することを特徴とする、上記(1)の方法、
(5)励起用レーザ光が、半導体レーザ光、チタンサファイアレーザ光又は色素レーザ光であることを特徴とする、上記(1)ないし(4)の何れかの方法、
(6)発生させたアップコンバージョン蛍光を、CCDカメラ又は銀塩カメラで検出することを特徴とする、上記(1)ないし(5)の何れかの方法、
を提供する。
【0011】
【作用】
上記構成の本発明によれば、ガラス基材又は成形物中に局所的に該結晶化手段を用いて書き込まれた微細な図形や文字を、十分な強度の励起光の照射により生じるアップコンバージョン蛍光によって明瞭に検出し識別できる。また励起用レーザ光を所定の仕方で同時又は瞬時に広い範囲に照射することによって、局所的に書き込まれた図形や文字の全体を一挙に識別できるほか、ガラス基材又は成形物中に存在する微細な結晶化部分をも容易に検出し識別することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本明細書において「希土類元素」とは、La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb及びLuよりなる群より選ばれるランタノイド元素である。
【0013】
本発明において、結晶化ガラスを生成させるためのレーザ光としては、例えば、炭酸ガスレーザ光、チタンサファイアレーザ光、YAGレーザ光、アルゴンレーザ光、種々の半導体レーザ光、又は色素レーザ光その他、照射を受けるガラス基材又はガラス粒子と熱的相互作用をなし得る適宜のレーザ光を用いればよい。酸化フッ化物ガラスの場合、炭酸ガスレーザ光は、基材ガラス又はガラス粒子含有成形物の表面に吸収されるため、これら表面に選択的に結晶化ガラスを生成させることができ、チタンサファイアレーザ光、YAGレーザ光、アルゴンレーザ光、半導体レーザ光、色素レーザ光は、ガラス基材又はガラス粒子含有成形物の表面および内部領域に結晶化ガラスを生成させることができる。
【0014】
本発明において用いる希土類元素及びハロゲン化物を含むガラスは、好ましくはハロゲン化物としてフッ化物を含むものであり、更に好ましくは、次の組成を有する希土類元素含有酸化フッ化物ガラスである。
SiO2・・・・20〜70モル%
AlO1.5 ・・・0〜50モル%
PbF2・・・・10〜70モル%
CdF2・・・・・0〜60モル%
LnF3・・・・10モル%以下
(ここに、Lnは、Er,Gd,Nd,Ho,Tm,Ybから選ばれる)
また、上記組成において、LnF3の量は、好ましくは0モル%<LnF3≦10モル%であり、より好ましくは、0.1〜10モル%、更に好ましくは、0.5〜10モル%、尚も更に好ましくは、1〜5モル%である。
【0015】
更に、特に好ましい一例は、SiO2、PbF2、及びErF3及び/又はGdF3の含有量が、モル比で、SiO2:PbF2:ErF3、=10:10:1、又は、SiO2:PbF2:(GdF3+ErF3)=10:10:1のガラスである。
特に好ましい例として、モル%表示で、
(1)30SiO2・15AlO1.5・28PbF2・22CdF2・(5−x)GdF3・xErF3、
(2)30SiO2・15AlO1.5・28PbF2・22CdF2・(4.8−x)GdF3・0.1NdF3・0.1HoF3・xYbF3、及び
(3)30SiO2・15AlO1.5・28PbF2・22CdF2・(4.8−x)GdF3・0.1NdF3・0.1TmF3・xYbF3
の組成(ここに、0<x≦4.8)の希土類元素含有酸化フッ化物ガラスが挙げられる。
【0016】
本発明における、希土類イオン含有ハロゲン化物結晶の析出した結晶化ガラス部分を点、線、面、立体、パターンその他の図形や文字等の形態で局所的に含んだガラス基材又は成形物は、希土類元素及びハロゲン化物を含むガラス基材又はそのようなガラス粒子を分散して含有する成形物に、図形や文字等の形態に対応するよう前記レーザ光を操作して照射して照射点に結晶化を起こさせることにより、得ることができる。ガラス基材の場合には、結晶化のためのレーザ光照射に先立って、該ガラス基材をその第1結晶化温度未満の温度に加熱しておいてもよい。この温度に加熱しておくことは、レーザ光照射時のハロゲン化物結晶析出の制御を取り分け容易にする点で有益である。加熱温度は、好ましくは、ガラス転移温度以上且つ第1結晶化温度未満に設定される。より好ましくは、加熱温度はガラス転移温度付近に設定される。
【0017】
結晶化のためのレーザ光操作方法としては、例えば、マスクを用いた露光、レーザ光の走査、レーザ光の強度を変えながらの走査等の方法が挙げられる。また、レーザ光の焦点を、例えば、成形物の深部から表面へと、連続的に移動させながらレーザ光を照射することにより、深部から表面へと向う領域に結晶化ガラスを生成させることができる。
【0018】
本発明においては、局所的に結晶を析出させた希土類元素及びハロゲン化物を含有するガラス基材又は成形物は、プレート状、薄片状、薄膜状、棒状、ブロック状、ファイバー状その他所望の形状の基材にレーザ光を照射して照射部位に結晶化ガラスを生成させたものであってもよく、また、希土類元素及びハロゲン化物を含有するガラス粒子を分散した状態で含む、ブロック、プレート、ファイバー、シート、フィルム、コーティング膜その他の成形物にレーザ光を照射して照射部位のガラス粒子に結晶化を起させたものであってもよい。ガラス粒子を分散した状態で含有する成形物における、点、線、面、立体等からなるパターン又は図形は、成形物中に分散したガラス粒子のうち、結晶化したガラス粒子又はその集団として描き出されたものである。
【0019】
希土類元素及びハロゲン化物含有ガラス粒子を分散した状態で含む成形物の場合は、該粒子を保持している連続相は、有機ポリマー、無機ポリマー、ガラス又はそれらの複合体であってよい。有機ポリマーの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、ポリフェニレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、6−ナイロン、6,6−ナイロン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等の熱可塑性ポリマーや、熱硬化性ポリマー、紫外線硬化性ポリマー等が挙げられる。また、無機ポリマーの例としては、ポリオルガノシロキサン、ポリホスファゼン等が、ガラス基材の例としては、希土類元素又はハロゲン化物を含まないガラス等が挙げられる。
【0020】
本発明において、励起用レーザ光について、「ビーム幅を広げる」とは、ビーム幅が光路に沿って漸次拡大するようにする場合、及びこのようにしてビーム幅を拡大した上で一定幅の光とする場合が含まれる。また、ビーム断面の幅を一方向についてのみ拡大したものであってもよく、ビームを散乱させたものであってもよい。励起用レーザ光のビーム幅を広げる方法の例としては、レーザ光を凹レンズ又は凸レンズ(焦点に一旦収束した後に広がる)や、凸面鏡、凹面鏡(焦点に一旦収束した後に広がる)に入射させる方法が挙げられる。これにより断面径が漸増するビームを得、これに対し照射スポットが適当な大きさとなる位置に被検物を置いて照射すればよい。また、レンズ、凹面鏡又は凸面鏡により幅の漸増するビームを得た後、ビーム幅がある程度広がった位置でこれを次のレンズ、凹面鏡又は凸面鏡により平行光へと変換し、この平行光を被検物へと導いて照射してもよい。また、円柱レンズ(凸又は凹)や円柱面からなるミラー(凸又は凹)を用いれば、ビーム断面の幅を一方向についてのみ拡大することができる。また、粗い表面により光を散乱させる機能を有する市販の拡散板(例えば、シグマ光機(株)製、DFSQ1(素材:合成石英))を被検物の手前におき、通常の細径のレーザビームをこの拡散板に当て、拡散板から拡散する光によって被検物を照射してもよい。
これらの方法によって幅を広げたレーザ光の照射により、広い範囲を同時に照射でき、図形・文字等の全体を一体として検出することが可能となる。
【0021】
本発明において、励起用レーザ光を線状断面のものとするには、例えば、細径のビームを適宜のカマボコ型(凸型)円柱レンズ又は凹型の円柱面を有するレンズに通すことによって、又は、円柱面(凹又は凸)からなるミラーに反射させることによって、それらの円柱の軸に対して直角方向にのみビーム幅を広げればよい。ビーム幅は、光路にそって漸増するものでもよく、また、円柱レンズや円柱面からなるミラーを組み合わせて、一定幅のものとしてもよい。こうして得られた線状断面のレーザ光は、断面長手方向がガルバノミラーの振動軸に好ましくは平行になるようにガルバノミラーに入射させることによって、線状断面に対し直角方向に光路が振動するレーザ光を得ることができる。ガルバノミラーから出たこのレーザ光で結晶化ガラスを含んだガラス基材又は成形物を走査すれば、ビーム幅を広げたレーザ光で被検物を照射したときと同様に、広い範囲を瞬時に照射でき、図形・文字等の全体を一体として検出することが可能となる。
【0022】
また、結晶化ガラスを含んだガラス基材又は成形物に細径のビームを直接照射して、ガラス基材又は成形物中に書き込まれた図形等をアップコンバージョン蛍光により一挙に検出するためには、例えば、市販のガルバノミラーを用いてビームを一方向に振動させると共に、このビームを、最初のガルバノミラーと連携させた別のガルバノミラーに導いて、最初の振動とは垂直な方向にも振動させ、両者の周期及び振幅を適宜調節することにより、一定範囲内である方向に急速に振動しつつこれとは垂直な方向に緩やかに振動するビーム照射点で被検物の全体又は目的とする領域をくまなく走査すればよい。そうすることにより、広い範囲をほぼ同時に照射でき、図形・文字等の全体を一体として検出することが可能となる。また、ポリゴンミラーでビームを走査照射することもできる。
【0023】
【実施例】
以下、参考例及び代表的な実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されることは意図しない.
【0024】
〔参考例1〜9〕
ガラス原料として、シリカ、アルミナ、フッ化鉛、フッ化カドミウム、希土類としてフッ化エルビウム、フッ化ガドリニウム、フッ化ネオジム、フッ化ホルミウム、フッ化ツリウム、フッ化イッテルビウムを用い、表1に示したガラス組成となるようにこれらを混合後、大気中で白金ルツボを用いて900℃で10分間溶融した。約200℃に維持した真鍮基板上に溶融ガラスを流した後、ガラス転移温度で徐冷を行ってガラスを得た。得られたガラスを300℃に加熱し、これに波長10.6μmの炭酸ガスレーザ光(強度0.1W)を30ms照射した。放冷後、原子間力顕微鏡でガラス表面を観察したところ、直径50μmの円形の範囲内に、数100nmの微結晶が観察された。これらのガラスの結晶化部位を狙って800nmの半導体赤外線レーザ光(500mW)を照射したところ、結晶化した部位に50μm径の、表1に示した色の蛍光が見られた。
【0025】
【表1】
【0026】
〔実施例1〕
30SiO2・15AlO1.5・28PbF2・22CdF2・5ErF3(モル%)の組成のガラス板(約1mm厚)を350℃に加熱し、これに波長10.6μmの炭酸ガスレーザ光(強度0.3W)を照射し、各々直径約200μmの円形の結晶化部分を形成させそれらの円の配列により微小な3つの文字「NYG」(実質的に無色透明、各文字サイズは1mm角)を書き込んだ。放冷後、図1に模式的に示すように、このガラス板1(説明の便宜上、傾けた姿勢で示す。)に対して、チタンサファイアレーザ光源2(スペクトラ・フィジックス製、3900S)からの波長800nmのレーザ光3(ビーム径950μm、強度2.3W)を、凹レンズ5を通してビーム径が1.5mmまで広がった位置で照射した。ガラス板1からの蛍光の観察は、レーザ光の照射とは反対の側から、約800nm以上の波長の光をカットするフィルタ6を介して顕微鏡7及びこれに取り付けたCCDカメラ8によって行った。これにより、ガラス板1中に結晶化部分として書き込まれている各々の文字の全体を、アップコンバージョン蛍光により発光した緑色の文字として一度に検出することができた。図2に、検出された個々の文字よりなる文字列「NYG」を模式的に示す。図2において、9は、文字を構成する複数の円形の緑色発光部分(各々直径約200μm)のうちの1つを示し、バーは1mmの寸法を表す。
【0027】
〔実施例2〕
30SiO2・15AlO1.5・28PbF2・22CdF2・5ErF3(モル%)の組成のガラス板(約1mm厚)を350℃に加熱し、これに波長10.6μmの炭酸ガスレーザ光(強度0.3W)を照射し、各々直径約200μmの円形の結晶化部分を形成させそれらの円の配列により微小な3つの文字「NYG」(実質的に無色透明、各文字サイズは1mm角)を書き込んだ。図3に模式的に示すように、チタンサファイアレーザ光源10(スペクトラ・フィジックス製、3900S)からの波長800nmのレーザ光(強度2.3W)のビーム12(ビーム径950μm)を低極率の凸型円柱レンズ13に通すことによって、ビームに垂直な一つの方向(紙面に平行な方向)にのみビーム幅を広げて線状断面のレーザ光14とし、これを紙面に並行な軸周りに振動するアルミニウムコート全反射ミラーを用いたガルバノミラー15で反射させて紙面に対し垂直方向に光路を振動させつつ、これを、ビーム幅が5mmまで広がった位置でガラス板11に照射した。S及びS’は、走査領域の両端にあるときの照射光の位置を示す。ガラス板からの蛍光の観察は、レーザ光の照射とは反対の側から、約800nm以上の波長の光をカットするフィルタ6を介して顕微鏡7及びこれに取り付けたCCDカメラ8によって行った。CCDカメラ8の露出時間を長めにとってガラス板11の撮影を行うことにより、アップコンバージョン蛍光により発光した緑色の文字の全体を検出することができた。
【0028】
〔実施例3〕
30SiO2・15AlO1.5・28PbF2・22CdF2・5ErF3(モル%)の組成のガラス板(約1mm厚)を350℃に加熱し、これに波長10.6μmの炭酸ガスレーザ光(強度0.3W)を照射し、各々直径約200μmの円形の結晶化部分を形成させそれらの円の配列により微小な3つの文字「NYG」(実質的に無色透明、各文字サイズは1mm角)を書き込んだ。図4に模式的に示すように、半導体レーザ光源20(ソニー製、AlGaAsダイオードレーザSLD303XT−202)からの波長800nmのレーザ光23(ビーム径500μm、強度0.5W)を、ガルバノミラー2台に反射させた。第1のガルバノミラー24は紙面に平行な軸周りに緩やかに振動させ、第2のガルバノミラー25は紙面に垂直な軸周りに急速に振動させて、これらに半導体レーザ光を反射させることにより、光路を第1のガルバノミラー24により紙面に垂直な方向に緩やかに振動させつつ、同時に第2のガルバノミラー25により紙面に平行な方向に急速に振動させた。このレーザ光でガラス板21を走査し、ガラス板の反対側から、約800nm以上の波長をカットするフィルタ6を介して顕微鏡7及びこれに取り付けたCCDカメラ8によって、ガラス板からの蛍光を連続的に撮影して記録し、コンピュータで画像重ね合わせ処理を行って、アップコンバージョン蛍光により発光した緑色の文字の全体を検出することができた。
【0029】
〔実施例4〕
30SiO2・15AlO1.5・28PbF2・22CdF2・5ErF3(モル%)の組成のガラス板(約1mm厚)を350℃に加熱し、これに波長800nmのチタンサファイアレーザ光(強度0.3W)(スペクトラ・フィジックス製、3900S)を照射し、各々直径約200μmの円形の結晶化部分を形成させそれらの円の配列により微小な3つの文字「NYG」(実質的に無色透明、各文字サイズは1mm角)を書き込んだ。放冷後、このガラス板に対して、チタンサファイアレーザ光源(スペクトラ・フィジックス製、3900S)からの波長800nmのレーザ光(ビーム径950μm、強度2.3W)を、凹レンズを通してビーム径が1.5mmまで広がった位置で照射した。ガラス板からの蛍光の観察は、レーザ光の照射とは反対の側から、約800nm以上の波長の光をカットするフィルタを介して顕微鏡及びこれに取り付けたCCDカメラによって行った。これにより、ガラス板中に結晶化部分として書き込まれている各々の文字の全体を、アップコンバージョン蛍光により発光した緑色の文字として一度に検出することができた。また、検出系の位置を変え、ガラス板の側面(鏡面研磨してある)から厚さ方向に観察したときも、アップコンバージョン蛍光の緑色の発光部位が検出できた。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、希土類元素含有ハロゲン化物結晶が析出した結晶化ガラスを局所的に生成させて、点、線、面、立体、パターンその他の文字・図形を書き込んだガラスその他の成形物において、レーザ光を照射してアップコンバージョン蛍光を生じさせ、書き込まれたそれらの文字・図形を一度に広範囲にわたって検出することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】レンズによりビーム幅を拡大したレーザ光による照射を示す概念図。
【図2】ガラス板より蛍光により検出された書き込み文字。
【図3】線状断面のレーザ光の走査による照射を示す概念図。
【図4】点状断面のレーザ光の走査による照射を示す概念図。
【符号の説明】
1=ガラス板、2=チタンサファイアレーザ光源、3=レーザ光、4=ミラー、5=凹レンズ、6=フィルタ、7=顕微鏡、8=CCDカメラ、9=緑色発光部分、10=チタンサファイアレーザ光源、11=ガラス板、12=ビーム、13=凸型円柱レンズ、14=線状断面のレーザ光、15=ガルバノミラー、20=半導体レーザ光源、21=ガラス板、23=レーザ光、24=ガルバノミラー、25=ガルバノミラー、S、S’=走査領域の両端にあるときの照射光の位置
【発明の属する技術分野】
本発明は、希土類元素及びハロゲン化物を含有するガラス基材、又はそのようなガラス粒子を分散して含んだ成形物中に希土類元素を含むハロゲン化物結晶を局所的に、特定の部分に限定して析出させたものにおいて、該結晶化ガラスが析出した部分を検出するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
希土類元素とハロゲン化物を含有するガラスを熱処理することによって希土類イオン含有ハロゲン化物結晶が析出した結晶化ガラスを得、これに長波長光を照射して、より短波長の可視領域にアップコンバージョン蛍光を発生させ得ることが知られている(例えば、特許文献1並びに非特許文献1及び2参照。)。
【0003】
これら従来の技術では、ガラス全体を熱処理しているため、得られる結晶化ガラスは、ガラス全体が結晶化したものであった。これら従来の希土類イオン含有ハロゲン化物結晶化ガラスは、フルカラーディスプレー、赤外光センサー、短波長固体レーザその他の素材として用い得る。しかしながら、様々な用途において、素材の全体が結晶化したものでなく、例えば、表面の1部のみが結晶化しているものや、ガラスの内部に結晶化ガラスの薄層が存在するもの等、ガラスの特定の部分のみ結晶化させたものが望ましい場合がある。また、種々の素材よりなる成形体において、所望の部位のみをアップコンバージョン蛍光の発生可能部位とすることができれば、ディスプレー等における種々の用途開発の可能性が広がる。
【0004】
このような背景において、本発明者等は既に、希土類元素及びハロゲン化物を含むガラス又はそのようなガラス粒子を含有する成形物にレーザ光を照射することによって、照射点に、希土類元素を含むハロゲン化物結晶が析出した結晶化ガラスを微視的に生成させることができること、及び、レーザ光のオンオフや走査パターン、集光させる場合はその焦点の深さ等を操作することにより、それらの成形物中に、結晶化ガラスを局所的に生成させて点、線、面、立体、パターンその他の図形や文字等を、任意に描くことができることを見出し、この新規な方法及びそれにより得られる素材につき、特許出願を行っている(特願2002−194115:出願日平成14年7月3日)。
【0005】
また本発明者等は、この方法で作製した結晶化ガラス生成部分を有するガラス基材又は成形物に対し、含有される希土類成分につき知られている特有の吸収波長のレーザ光を励起光として照射することにより、該結晶化ガラスにおいて発生するアップコンバージョン蛍光を利用して、該結晶化ガラス部分を、入射光より短波長の発光によって表示させることにも成功した。
【0006】
上記において作製した結晶化ガラス生成部分を有するガラス基材又は成形物に、明瞭に検出できる強度のアップコンバージョン蛍光を発生させるためには、励起光に十分大きな強度が不可欠であり、そのためには励起光としてレーザ光を用いることが必要である。しかしながら、点状断面のレーザ光の非常に狭い幅のビームでは、一度に生じさせることのできるアップコンバージョン蛍光も、そのような極めて狭い幅でカバーされる部分に限られていた。このため例えば、複数の点の集合で描かれた文字等、ビーム幅を超える広がりを有する結晶化ガラス領域をアップコンバージョン蛍光により一挙に検出することは困難であったほか、ガラス基材又は成形物中に局所的に存在している結晶化部分を励起用レーザ光で的確に捉えてその存在を検出することも、そのような部分が小さく且つ無色透明で視認できないことから、困難であった。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−69673号公報
【非特許文献1】
Journal of MATERIALS SCIENCE 33, 63 (1998)
【非特許文献2】
Journal of Ceramic Society of Japan, 107, 1175 (1999)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような背景において、本発明者等は、希土類イオン含有ハロゲン化物結晶が析出した結晶化ガラスを局所的に生成させて点、線、面、立体、パターンその他の図形や文字等を書き込んだガラスその他の成形物において、それらの図形や文字を検出し識別する方法、特に、迅速且つ効率的に、取り分け、それらの図形や文字を一挙に検出し識別する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、結晶化ガラスを局所的に生成させたガラス基材又は成形物に対して、励起用レーザ光を、光源からのレーザ光のビーム幅より広い範囲に、所定の仕方で同時又は瞬時に照射することにより、該ガラス基材又は該成形物に結晶化ガラスで描かれた図形や文字等を一挙に検出できることを見出した。
【0010】
すなわち本発明は、
(1)希土類元素及びハロゲン化物を含有するガラスからなり希土類元素を含むハロゲン化物結晶を局所的に析出させたガラス基材における、又は希土類元素及びハロゲン化物を含有するガラス粒子を分散した状態で含む成形物であって該成形物中局所的に該ガラス粒子に希土類元素を含むハロゲン化物結晶を析出させたものである成形物における、希土類元素を含むハロゲン化物結晶が析出した部分を識別するための方法であって、該ガラス基材又は該成形物に励起用レーザ光を照射して該希土類元素を含むハロゲン化物結晶にアップコンバージョン蛍光を発生させることにより、該ガラス基材又は該成形物中の該希土類元素を含むハロゲン化物結晶が析出している部分を識別する方法、
(2)励起用レーザ光のビーム幅を広げて該ガラス基材又は該成形物に照射することを特徴とする、上記(1)の方法、
(3)線状断面の励起用レーザ光を用いこれを、該ガラス基材又は該成形物上で該断面の長手方向に対し直角ないし斜め方向に走査して該ガラス基材又は該成形物を照射することを特徴とする、上記(1)の方法、
(4)励起用レーザ光の点状断面のビームを該ガラス基材上又は該成形物上で1方向に走査すると同時にこれと直角ないし斜めの方向にも走査して該ガラス基材又は該成形物を照射することを特徴とする、上記(1)の方法、
(5)励起用レーザ光が、半導体レーザ光、チタンサファイアレーザ光又は色素レーザ光であることを特徴とする、上記(1)ないし(4)の何れかの方法、
(6)発生させたアップコンバージョン蛍光を、CCDカメラ又は銀塩カメラで検出することを特徴とする、上記(1)ないし(5)の何れかの方法、
を提供する。
【0011】
【作用】
上記構成の本発明によれば、ガラス基材又は成形物中に局所的に該結晶化手段を用いて書き込まれた微細な図形や文字を、十分な強度の励起光の照射により生じるアップコンバージョン蛍光によって明瞭に検出し識別できる。また励起用レーザ光を所定の仕方で同時又は瞬時に広い範囲に照射することによって、局所的に書き込まれた図形や文字の全体を一挙に識別できるほか、ガラス基材又は成形物中に存在する微細な結晶化部分をも容易に検出し識別することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本明細書において「希土類元素」とは、La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb及びLuよりなる群より選ばれるランタノイド元素である。
【0013】
本発明において、結晶化ガラスを生成させるためのレーザ光としては、例えば、炭酸ガスレーザ光、チタンサファイアレーザ光、YAGレーザ光、アルゴンレーザ光、種々の半導体レーザ光、又は色素レーザ光その他、照射を受けるガラス基材又はガラス粒子と熱的相互作用をなし得る適宜のレーザ光を用いればよい。酸化フッ化物ガラスの場合、炭酸ガスレーザ光は、基材ガラス又はガラス粒子含有成形物の表面に吸収されるため、これら表面に選択的に結晶化ガラスを生成させることができ、チタンサファイアレーザ光、YAGレーザ光、アルゴンレーザ光、半導体レーザ光、色素レーザ光は、ガラス基材又はガラス粒子含有成形物の表面および内部領域に結晶化ガラスを生成させることができる。
【0014】
本発明において用いる希土類元素及びハロゲン化物を含むガラスは、好ましくはハロゲン化物としてフッ化物を含むものであり、更に好ましくは、次の組成を有する希土類元素含有酸化フッ化物ガラスである。
SiO2・・・・20〜70モル%
AlO1.5 ・・・0〜50モル%
PbF2・・・・10〜70モル%
CdF2・・・・・0〜60モル%
LnF3・・・・10モル%以下
(ここに、Lnは、Er,Gd,Nd,Ho,Tm,Ybから選ばれる)
また、上記組成において、LnF3の量は、好ましくは0モル%<LnF3≦10モル%であり、より好ましくは、0.1〜10モル%、更に好ましくは、0.5〜10モル%、尚も更に好ましくは、1〜5モル%である。
【0015】
更に、特に好ましい一例は、SiO2、PbF2、及びErF3及び/又はGdF3の含有量が、モル比で、SiO2:PbF2:ErF3、=10:10:1、又は、SiO2:PbF2:(GdF3+ErF3)=10:10:1のガラスである。
特に好ましい例として、モル%表示で、
(1)30SiO2・15AlO1.5・28PbF2・22CdF2・(5−x)GdF3・xErF3、
(2)30SiO2・15AlO1.5・28PbF2・22CdF2・(4.8−x)GdF3・0.1NdF3・0.1HoF3・xYbF3、及び
(3)30SiO2・15AlO1.5・28PbF2・22CdF2・(4.8−x)GdF3・0.1NdF3・0.1TmF3・xYbF3
の組成(ここに、0<x≦4.8)の希土類元素含有酸化フッ化物ガラスが挙げられる。
【0016】
本発明における、希土類イオン含有ハロゲン化物結晶の析出した結晶化ガラス部分を点、線、面、立体、パターンその他の図形や文字等の形態で局所的に含んだガラス基材又は成形物は、希土類元素及びハロゲン化物を含むガラス基材又はそのようなガラス粒子を分散して含有する成形物に、図形や文字等の形態に対応するよう前記レーザ光を操作して照射して照射点に結晶化を起こさせることにより、得ることができる。ガラス基材の場合には、結晶化のためのレーザ光照射に先立って、該ガラス基材をその第1結晶化温度未満の温度に加熱しておいてもよい。この温度に加熱しておくことは、レーザ光照射時のハロゲン化物結晶析出の制御を取り分け容易にする点で有益である。加熱温度は、好ましくは、ガラス転移温度以上且つ第1結晶化温度未満に設定される。より好ましくは、加熱温度はガラス転移温度付近に設定される。
【0017】
結晶化のためのレーザ光操作方法としては、例えば、マスクを用いた露光、レーザ光の走査、レーザ光の強度を変えながらの走査等の方法が挙げられる。また、レーザ光の焦点を、例えば、成形物の深部から表面へと、連続的に移動させながらレーザ光を照射することにより、深部から表面へと向う領域に結晶化ガラスを生成させることができる。
【0018】
本発明においては、局所的に結晶を析出させた希土類元素及びハロゲン化物を含有するガラス基材又は成形物は、プレート状、薄片状、薄膜状、棒状、ブロック状、ファイバー状その他所望の形状の基材にレーザ光を照射して照射部位に結晶化ガラスを生成させたものであってもよく、また、希土類元素及びハロゲン化物を含有するガラス粒子を分散した状態で含む、ブロック、プレート、ファイバー、シート、フィルム、コーティング膜その他の成形物にレーザ光を照射して照射部位のガラス粒子に結晶化を起させたものであってもよい。ガラス粒子を分散した状態で含有する成形物における、点、線、面、立体等からなるパターン又は図形は、成形物中に分散したガラス粒子のうち、結晶化したガラス粒子又はその集団として描き出されたものである。
【0019】
希土類元素及びハロゲン化物含有ガラス粒子を分散した状態で含む成形物の場合は、該粒子を保持している連続相は、有機ポリマー、無機ポリマー、ガラス又はそれらの複合体であってよい。有機ポリマーの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、ポリフェニレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、6−ナイロン、6,6−ナイロン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等の熱可塑性ポリマーや、熱硬化性ポリマー、紫外線硬化性ポリマー等が挙げられる。また、無機ポリマーの例としては、ポリオルガノシロキサン、ポリホスファゼン等が、ガラス基材の例としては、希土類元素又はハロゲン化物を含まないガラス等が挙げられる。
【0020】
本発明において、励起用レーザ光について、「ビーム幅を広げる」とは、ビーム幅が光路に沿って漸次拡大するようにする場合、及びこのようにしてビーム幅を拡大した上で一定幅の光とする場合が含まれる。また、ビーム断面の幅を一方向についてのみ拡大したものであってもよく、ビームを散乱させたものであってもよい。励起用レーザ光のビーム幅を広げる方法の例としては、レーザ光を凹レンズ又は凸レンズ(焦点に一旦収束した後に広がる)や、凸面鏡、凹面鏡(焦点に一旦収束した後に広がる)に入射させる方法が挙げられる。これにより断面径が漸増するビームを得、これに対し照射スポットが適当な大きさとなる位置に被検物を置いて照射すればよい。また、レンズ、凹面鏡又は凸面鏡により幅の漸増するビームを得た後、ビーム幅がある程度広がった位置でこれを次のレンズ、凹面鏡又は凸面鏡により平行光へと変換し、この平行光を被検物へと導いて照射してもよい。また、円柱レンズ(凸又は凹)や円柱面からなるミラー(凸又は凹)を用いれば、ビーム断面の幅を一方向についてのみ拡大することができる。また、粗い表面により光を散乱させる機能を有する市販の拡散板(例えば、シグマ光機(株)製、DFSQ1(素材:合成石英))を被検物の手前におき、通常の細径のレーザビームをこの拡散板に当て、拡散板から拡散する光によって被検物を照射してもよい。
これらの方法によって幅を広げたレーザ光の照射により、広い範囲を同時に照射でき、図形・文字等の全体を一体として検出することが可能となる。
【0021】
本発明において、励起用レーザ光を線状断面のものとするには、例えば、細径のビームを適宜のカマボコ型(凸型)円柱レンズ又は凹型の円柱面を有するレンズに通すことによって、又は、円柱面(凹又は凸)からなるミラーに反射させることによって、それらの円柱の軸に対して直角方向にのみビーム幅を広げればよい。ビーム幅は、光路にそって漸増するものでもよく、また、円柱レンズや円柱面からなるミラーを組み合わせて、一定幅のものとしてもよい。こうして得られた線状断面のレーザ光は、断面長手方向がガルバノミラーの振動軸に好ましくは平行になるようにガルバノミラーに入射させることによって、線状断面に対し直角方向に光路が振動するレーザ光を得ることができる。ガルバノミラーから出たこのレーザ光で結晶化ガラスを含んだガラス基材又は成形物を走査すれば、ビーム幅を広げたレーザ光で被検物を照射したときと同様に、広い範囲を瞬時に照射でき、図形・文字等の全体を一体として検出することが可能となる。
【0022】
また、結晶化ガラスを含んだガラス基材又は成形物に細径のビームを直接照射して、ガラス基材又は成形物中に書き込まれた図形等をアップコンバージョン蛍光により一挙に検出するためには、例えば、市販のガルバノミラーを用いてビームを一方向に振動させると共に、このビームを、最初のガルバノミラーと連携させた別のガルバノミラーに導いて、最初の振動とは垂直な方向にも振動させ、両者の周期及び振幅を適宜調節することにより、一定範囲内である方向に急速に振動しつつこれとは垂直な方向に緩やかに振動するビーム照射点で被検物の全体又は目的とする領域をくまなく走査すればよい。そうすることにより、広い範囲をほぼ同時に照射でき、図形・文字等の全体を一体として検出することが可能となる。また、ポリゴンミラーでビームを走査照射することもできる。
【0023】
【実施例】
以下、参考例及び代表的な実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されることは意図しない.
【0024】
〔参考例1〜9〕
ガラス原料として、シリカ、アルミナ、フッ化鉛、フッ化カドミウム、希土類としてフッ化エルビウム、フッ化ガドリニウム、フッ化ネオジム、フッ化ホルミウム、フッ化ツリウム、フッ化イッテルビウムを用い、表1に示したガラス組成となるようにこれらを混合後、大気中で白金ルツボを用いて900℃で10分間溶融した。約200℃に維持した真鍮基板上に溶融ガラスを流した後、ガラス転移温度で徐冷を行ってガラスを得た。得られたガラスを300℃に加熱し、これに波長10.6μmの炭酸ガスレーザ光(強度0.1W)を30ms照射した。放冷後、原子間力顕微鏡でガラス表面を観察したところ、直径50μmの円形の範囲内に、数100nmの微結晶が観察された。これらのガラスの結晶化部位を狙って800nmの半導体赤外線レーザ光(500mW)を照射したところ、結晶化した部位に50μm径の、表1に示した色の蛍光が見られた。
【0025】
【表1】
【0026】
〔実施例1〕
30SiO2・15AlO1.5・28PbF2・22CdF2・5ErF3(モル%)の組成のガラス板(約1mm厚)を350℃に加熱し、これに波長10.6μmの炭酸ガスレーザ光(強度0.3W)を照射し、各々直径約200μmの円形の結晶化部分を形成させそれらの円の配列により微小な3つの文字「NYG」(実質的に無色透明、各文字サイズは1mm角)を書き込んだ。放冷後、図1に模式的に示すように、このガラス板1(説明の便宜上、傾けた姿勢で示す。)に対して、チタンサファイアレーザ光源2(スペクトラ・フィジックス製、3900S)からの波長800nmのレーザ光3(ビーム径950μm、強度2.3W)を、凹レンズ5を通してビーム径が1.5mmまで広がった位置で照射した。ガラス板1からの蛍光の観察は、レーザ光の照射とは反対の側から、約800nm以上の波長の光をカットするフィルタ6を介して顕微鏡7及びこれに取り付けたCCDカメラ8によって行った。これにより、ガラス板1中に結晶化部分として書き込まれている各々の文字の全体を、アップコンバージョン蛍光により発光した緑色の文字として一度に検出することができた。図2に、検出された個々の文字よりなる文字列「NYG」を模式的に示す。図2において、9は、文字を構成する複数の円形の緑色発光部分(各々直径約200μm)のうちの1つを示し、バーは1mmの寸法を表す。
【0027】
〔実施例2〕
30SiO2・15AlO1.5・28PbF2・22CdF2・5ErF3(モル%)の組成のガラス板(約1mm厚)を350℃に加熱し、これに波長10.6μmの炭酸ガスレーザ光(強度0.3W)を照射し、各々直径約200μmの円形の結晶化部分を形成させそれらの円の配列により微小な3つの文字「NYG」(実質的に無色透明、各文字サイズは1mm角)を書き込んだ。図3に模式的に示すように、チタンサファイアレーザ光源10(スペクトラ・フィジックス製、3900S)からの波長800nmのレーザ光(強度2.3W)のビーム12(ビーム径950μm)を低極率の凸型円柱レンズ13に通すことによって、ビームに垂直な一つの方向(紙面に平行な方向)にのみビーム幅を広げて線状断面のレーザ光14とし、これを紙面に並行な軸周りに振動するアルミニウムコート全反射ミラーを用いたガルバノミラー15で反射させて紙面に対し垂直方向に光路を振動させつつ、これを、ビーム幅が5mmまで広がった位置でガラス板11に照射した。S及びS’は、走査領域の両端にあるときの照射光の位置を示す。ガラス板からの蛍光の観察は、レーザ光の照射とは反対の側から、約800nm以上の波長の光をカットするフィルタ6を介して顕微鏡7及びこれに取り付けたCCDカメラ8によって行った。CCDカメラ8の露出時間を長めにとってガラス板11の撮影を行うことにより、アップコンバージョン蛍光により発光した緑色の文字の全体を検出することができた。
【0028】
〔実施例3〕
30SiO2・15AlO1.5・28PbF2・22CdF2・5ErF3(モル%)の組成のガラス板(約1mm厚)を350℃に加熱し、これに波長10.6μmの炭酸ガスレーザ光(強度0.3W)を照射し、各々直径約200μmの円形の結晶化部分を形成させそれらの円の配列により微小な3つの文字「NYG」(実質的に無色透明、各文字サイズは1mm角)を書き込んだ。図4に模式的に示すように、半導体レーザ光源20(ソニー製、AlGaAsダイオードレーザSLD303XT−202)からの波長800nmのレーザ光23(ビーム径500μm、強度0.5W)を、ガルバノミラー2台に反射させた。第1のガルバノミラー24は紙面に平行な軸周りに緩やかに振動させ、第2のガルバノミラー25は紙面に垂直な軸周りに急速に振動させて、これらに半導体レーザ光を反射させることにより、光路を第1のガルバノミラー24により紙面に垂直な方向に緩やかに振動させつつ、同時に第2のガルバノミラー25により紙面に平行な方向に急速に振動させた。このレーザ光でガラス板21を走査し、ガラス板の反対側から、約800nm以上の波長をカットするフィルタ6を介して顕微鏡7及びこれに取り付けたCCDカメラ8によって、ガラス板からの蛍光を連続的に撮影して記録し、コンピュータで画像重ね合わせ処理を行って、アップコンバージョン蛍光により発光した緑色の文字の全体を検出することができた。
【0029】
〔実施例4〕
30SiO2・15AlO1.5・28PbF2・22CdF2・5ErF3(モル%)の組成のガラス板(約1mm厚)を350℃に加熱し、これに波長800nmのチタンサファイアレーザ光(強度0.3W)(スペクトラ・フィジックス製、3900S)を照射し、各々直径約200μmの円形の結晶化部分を形成させそれらの円の配列により微小な3つの文字「NYG」(実質的に無色透明、各文字サイズは1mm角)を書き込んだ。放冷後、このガラス板に対して、チタンサファイアレーザ光源(スペクトラ・フィジックス製、3900S)からの波長800nmのレーザ光(ビーム径950μm、強度2.3W)を、凹レンズを通してビーム径が1.5mmまで広がった位置で照射した。ガラス板からの蛍光の観察は、レーザ光の照射とは反対の側から、約800nm以上の波長の光をカットするフィルタを介して顕微鏡及びこれに取り付けたCCDカメラによって行った。これにより、ガラス板中に結晶化部分として書き込まれている各々の文字の全体を、アップコンバージョン蛍光により発光した緑色の文字として一度に検出することができた。また、検出系の位置を変え、ガラス板の側面(鏡面研磨してある)から厚さ方向に観察したときも、アップコンバージョン蛍光の緑色の発光部位が検出できた。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、希土類元素含有ハロゲン化物結晶が析出した結晶化ガラスを局所的に生成させて、点、線、面、立体、パターンその他の文字・図形を書き込んだガラスその他の成形物において、レーザ光を照射してアップコンバージョン蛍光を生じさせ、書き込まれたそれらの文字・図形を一度に広範囲にわたって検出することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】レンズによりビーム幅を拡大したレーザ光による照射を示す概念図。
【図2】ガラス板より蛍光により検出された書き込み文字。
【図3】線状断面のレーザ光の走査による照射を示す概念図。
【図4】点状断面のレーザ光の走査による照射を示す概念図。
【符号の説明】
1=ガラス板、2=チタンサファイアレーザ光源、3=レーザ光、4=ミラー、5=凹レンズ、6=フィルタ、7=顕微鏡、8=CCDカメラ、9=緑色発光部分、10=チタンサファイアレーザ光源、11=ガラス板、12=ビーム、13=凸型円柱レンズ、14=線状断面のレーザ光、15=ガルバノミラー、20=半導体レーザ光源、21=ガラス板、23=レーザ光、24=ガルバノミラー、25=ガルバノミラー、S、S’=走査領域の両端にあるときの照射光の位置
Claims (6)
- 希土類元素及びハロゲン化物を含有するガラスからなり希土類元素を含むハロゲン化物結晶を局所的に析出させたガラス基材における、又は希土類元素及びハロゲン化物を含有するガラス粒子を分散した状態で含む成形物であって該成形物中局所的に該ガラス粒子に希土類元素を含むハロゲン化物結晶を析出させたものである成形物における、希土類元素を含むハロゲン化物結晶が析出した部分を識別するための方法であって、該ガラス基材又は該成形物に励起用レーザ光を照射して該希土類元素を含むハロゲン化物結晶にアップコンバージョン蛍光を発生させることにより、該ガラス基材又は該成形物中の該希土類元素を含むハロゲン化物結晶が析出している部分を識別する方法。
- 励起用レーザ光のビーム幅を広げて該ガラス基材又は該成形物に照射することを特徴とする、請求項1の方法。
- 線状断面の励起用レーザ光を用いこれを、該ガラス基材又は該成形物上で該断面の長手方向に対し直角ないし斜め方向に走査して該ガラス基材又は該成形物を照射することを特徴とする、請求項1の方法。
- 励起用レーザ光の点状断面のビームを該ガラス基材上又は該成形物上で1方向に走査すると同時にこれと直角ないし斜めの方向にも走査して該ガラス基材又は該成形物を照射することを特徴とする、請求項1の方法。
- 励起用レーザ光が、半導体レーザ光、チタンサファイアレーザ光又は色素レーザ光であることを特徴とする、請求項1ないし4の何れかの方法。
- 発生させたアップコンバージョン蛍光を、CCDカメラ又は銀塩カメラで検出することを特徴とする、請求項1ないし5の何れかの方法。
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2002
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