JP2004115418A - 新規アンチマイシンa類化合物及びその製造方法 - Google Patents

新規アンチマイシンa類化合物及びその製造方法 Download PDF

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Kazuo Kumagai
熊谷 和夫
Yoshio Hosoya
細谷 宜生
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Abstract

【課題】新しい抗真菌治療剤を提供する。
【解決手段】例えば式(1)で表わされる化合物。
【化1】
Figure 2004115418

【選択図】なし

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、抗真菌活性を有する新規な化合物、該化合物の微生物学的製造方法、及び該化合物を有効成分として含有する医薬等に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より各種の抗真菌剤が開発されてきたが、有効性や耐性菌出現等の面からみて満足し得るものは少なく、新規抗真菌剤の開発が要望されている。
これまでに見出された抗真菌活性を示す化合物の一群として、アンチマイシンA類化合物が知られている。アンチマイシンA類化合物としては、アンチマイシン(Antimycin)A1a、A1b〜A8a、A8bの16種類が放線菌から単離され公知となっている(非特許文献1)。
【0003】
【非特許文献1】
C.J.Barrowら著 Journal of Antibiotics vol. 50: 729−733, 1997
【0004】
【発明が解決すべき課題】
本発明の課題は、抗真菌活性を有する新規な化合物、該化合物の微生物学的製造方法、及び該化合物を有効成分として含有する医薬等を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこれらの背景のもと、新規な抗真菌剤を探索した結果、本発明者らが単離した放線菌SPA−8893株及びSPA−10191株が新規なアンチマイシンA類化合物を生産すること、該化合物は強い抗真菌活性を示すことを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
[1]次式(1)から(8)のいずれかで表される化合物、
【化9】
Figure 2004115418
【化10】
Figure 2004115418
【化11】
Figure 2004115418
【化12】
Figure 2004115418
【0006】
【化13】
Figure 2004115418
【化14】
Figure 2004115418
【化15】
Figure 2004115418
【化16】
Figure 2004115418
【0007】
[2]前記[1]記載の式(1)から(8)のいずれかで表される化合物又はその塩を有効成分とする抗真菌剤、
[3]ストレプトミセス属に属し、式(1)から(8)のいずれかで表される化合物生産菌を培養して、その培養物から式(1)から(8)のいずれかで表される化合物を採取することを特徴とする式(1)から(8)のいずれかで表される化合物の製造方法、
[4]ストレプトミセス属に属し式(1)から(6)のいずれかで表されるで表される化合物の生産菌がストレプトミセス・エスピー(Streptomyces sp.)SPA−8893株又はそれらの誘導株、又は(7)から(8)のいずれかで表されるで表される化合物の生産菌がストレプトミセス・エスピー(Streptomyces sp.)SPA−10191株又はそれらの誘導株である前記[3]記載の製造方法、
[5]ストレプトミセス・エスピー(Streptomyces sp.)SPA−8893株、
[6]ストレプトミセス・エスピー(Streptomyces sp.)SPA−10191株
に関する。
【0008】
前記式(1)から(8)のいずれかで表される化合物、又はその薬学上許容される塩は、ストレプトミセス属に属する放線菌SPA−8893株或いはSPA−10191株の培養により製造することができる。該SPA−8893株は大阪府内で採取した土壌から、SPA−10191株は京都府内で採取した土壌から、本発明者らによってそれぞれ単離されたものである。SPA−8893株及びSPA−10191株は次のような菌学的性質を有する。
【0009】
SPA−8893株
(a)形態的性質
ISP培地No.2〜5にて27℃、2週間培養したときの形態的性質は、次のようなものである。基生菌糸はよく伸長し単純分岐をなし、気菌糸を形成する。気菌糸は直状又はゆるい曲状で、先端に20個以上の胞子から成る胞子鎖が形成される。胞子の表面は毛状で、大きさは直径0.6〜0.8μm、長さ0.9〜1.2μmほどの短桿状である。気菌糸及び基生菌糸の分断、及び胞子のう、鞭毛胞子、菌核等の特殊な構造は認められない。
(b)培養的性質
ISP培地No.2〜5にて27℃、2週間培養したときのSPA−8893株の培養的性質を以下に示す。
【0010】
Figure 2004115418
(c)生理学的性質
1.メラニン様色素の生成
ペプトン・イースト・鉄寒天培地(ISP培地 No.6)  陰性
チロシン寒天培地(ISP培地 No.7)         陰性
2.炭素源の利用性
L−アラビノース       ++
D−フルクトース       ++
D−グルコース        ++
イノシトール         +
D−マンニトール       ++
ラフィノース         −
L−ラムノース        ++
シュクロース         −
D−キシロース        +
3.化学分類学的性質
全菌体加水分解物中にLL−ジアミノピメリン酸が検出された。
【0011】
SPA−10191株
(a)形態的性質
ISP培地No.2〜5にて27℃、2週間培養したときの形態的性質は、次のようなものである。基生菌糸はよく伸長し単純分岐をなし、気菌糸を形成する。気菌糸は直状又はゆるい曲状で、先端に50個以上の胞子から成る胞子鎖が形成される。胞子の表面は平滑で、大きさは直径0.5〜0.6μm、長さ0.8〜1.0μmほどの短桿状である。気菌糸及び基生菌糸の分断、及び胞子のう、鞭毛胞子、菌核等の特殊な構造は認められない。
(b)培養的性質
ISP培地No.2〜5にて27℃、2週間培養したときのSPA−10191株の培養的性質を以下に示す。
【0012】
Figure 2004115418
【0013】
(c)生理学的性質
1.メラニン様色素の生成
ペプトン・イースト・鉄寒天培地(ISP培地 No.6)  陰性
チロシン寒天培地(ISP培地 No.7)         陰性
2.炭素源の利用性
L−アラビノース       ++
D−フルクトース       ++
D−グルコース        ++
イノシトール         ±
D−マンニトール       ++
ラフィノース         ±
L−ラムノース        ±
シュクロース         ±
D−キシロース        ++
3.化学分類学的性質
全菌体加水分解物中にLL−ジアミノピメリン酸が検出された。
【0014】
以上の菌学的性質より、SPA−8893株及びSPA−10191株はともにストレプトミセス属に属する放線菌であると同定し、それぞれストレプトミセス・エスピー(Streptomyces sp.)SPA−8893、ストレプトミセス・エスピー(Streptomyces sp.)SPA−10191と命名し、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託した(それぞれ受託番号FERM P−19027、FERM P−19028)。
【0015】
上記放線菌の培養に使用される培地は液状でも固体でもよいが、通常は液体培地による振盪培養又は通気攪拌培養が有利である。使用する培地は、特に限定されるものではないが、該物質生産菌が資化しうる炭素源及び窒素源を含む栄養培地が用いられる。炭素源としては、例えばグルコース、ラクトース、グリセリン、デンプン、デキストリン、糖蜜等が挙げられる。窒素源としては、例えばポリペプトン、カザミノ酸等の蛋白質加水分解物、肉エキス、酵母エキス、大豆粕、コーンスティープリカー、アミノ酸類等の有機窒素源やアンモニウム塩や硝酸塩等の無機窒素源が挙げられる。その他、浸透圧調整、pH調整、微量成分の補給等のために、各種リン酸塩、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム等の無機塩類を培地に添加することも可能である。さらに菌の生育を促進する目的で、各種ビタミン類、核酸関連化合物等を培地に添加してもよい。なお、培養期間中に、シリコン、ポリプロピレングリコール誘導体、大豆油等の消泡剤を培地に添加することも可能である。
培養温度としては、好ましくは20〜37℃の範囲、更に好ましくは25〜30℃の範囲の温度が挙げられる。培養期間としては例えば、4〜8日間の範囲が挙げられる。培地のpHとして例えば、中性付近の範囲が挙げられる。
培養物から本発明の化合物を単離するには、微生物の生産する代謝物についての、通常使用される単離手段が使用できる。培養液上清中からの単離法としては、培養濾液からの通常の単離法、例えば溶媒抽出法、イオン交換樹脂法又は吸着もしくは分配クロマトグラフィー及びゲル濾過クロマトグラフィー等が挙げられる。これらの単離法は単独又は組み合わせて行うことができる。また高速液体クロマトグラフィー(HPLC)や薄層クロマトグラフィーなどにより単離精製もできる。培養菌体から目的物を単離する場合は、濾過もしくは遠心分離等の手段で集めた菌体を、アセトンやメタノール等の親水性有機溶媒を用いて直接、菌体から抽出できる。抽出物からは、培養液上清からの単離精製法と同様の方法で、目的物を得ることができる。
【0016】
本発明の化合物においては、それらの塩、好ましくは医薬的又は獣医薬的に許容される塩も本発明の範疇に含まれる。ここで、塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩等の無機塩基塩や、トリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ジイソプロピルアンモニウム塩等の有機塩基塩や、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸塩などを挙げることができる。
本発明の化合物またはその塩には水やエタノール等の医薬品として許容される溶媒との溶媒和物も含まれる。
また、本発明化合物またはその塩は不斉炭素原子を含み立体異性体が存在するが、本発明の範疇にそれら異性体や、それらの混合物も含まれる。
本発明医薬は、経口的又は非経口的に投与することができる。すなわち通常用いられる投与形態、例えば粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、懸濁液等の剤型で経口的に投与することができ、あるいは、例えば、その溶液、乳剤、懸濁液等の剤型にしたものを注射の型で非経口投与することができる。坐剤の型で直腸投与することもできる。前記の適当な投与剤型は、例えば、許容される通常の担体、賦型剤、結合剤、安定剤、希釈剤等に有効成分を配合することにより製造することができる。注射剤型で用いる場合には、例えば、薬学的に許容される緩衝剤、溶解補助剤、等張剤等を添加することもできる。
投与量及び投与回数は、投与法と患者の年齢、体重、病状等によって異なるが、経口投与の場合は、通常、成人の一日当たり投与量は0.1〜1000mg、好ましくは1〜500mgの範囲で選択すればよい。
【0017】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
SPA−8893株の培養と活性物質の単離精製
グリセロール2%、デキストリン2%、大豆粉1.5%、酵母エキス0.3%、硫酸アンモニウム0.2%、炭酸カルシウム0.2%を含み、pH7.0に調整した培地75mlを500ml容坂口フラスコに分注してオートクレーブで滅菌した。これに、斜面培養したストレプトミセス・エスピーSPA−8893株を1白金耳接種し、27℃で4日間130rpmにて振盪培養して前培養とした。2リットル容坂口フラスコ8本に同組成の培地を300mlずつ分注し、オートクレーブ滅菌後、上記前培養液を2%接種し、27℃で6日間105rpmにて振盪培養した。培養終了後、培養液を20℃、9000rpmで10分間遠心分離して、菌体画分を回収した。得られた菌体画分に2リットルのアセトンを加え、室温にて1時間攪拌抽出後、抽出液を濾過により回収し、これを減圧濃縮して褐色油状物2.2gを得た。これを30mlの酢酸エチル−メタノール(1:1)に溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ3×10cm)に付し、酢酸エチル−メタノール(1:1)で溶出した。活性画分を減圧濃縮し、褐色油状物0.97gを得た。これを20mlのメタノールに溶解し、TOYOPEARL(登録商標)HW−40Fを用いるカラムクロマトグラフィー(φ3×50cm)に付し、メタノールで溶出した。活性画分を減圧濃縮し、0.34gの褐色粗物質を得た。これを2mlのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、分取HPLCに注入した。分取HPLCの条件は、カラム:Wakopak(登録商標)Wakosil−II5C18HG−Prep(φ3×10cmとφ3×25cmを連結)、溶出液A:1%ギ酸、同B:メタノール、グラジエント:B液濃度80%から100%へ130分の直線グラジエント、流速:20ml/分、検出:240nmにおける紫外吸収、とした。下記保持時間のピークを回収し、減圧乾固することにより無色固体の各精製品を取得した。
【0018】
取得化合物         保持時間(分)   取得量(mg)
SPA−8893−a     47.0      3.5
SPA−8893−b     53.5      9.0
SPA−8893−c     56.6      8.6
SPA−8893−d     63.8      6.0
SPA−8893−e     67.3      7.8
SPA−8893−f     76.1      5.2
取得した各化合物の物理化学的性状は以下のようであった。
【0019】
(SPA−8893−a)
外観:薄黄色固体
分子量:534
分子式:C2738
高速電子衝撃質量スペクトル(FAB−MS)m/z(positive):535(M+H)
高分解能高速電子衝撃質量スペクトル(HRFAB−MS)m/z(M+H)
実測値:535.2661
計算値:535.2656(C2739
紫外可視吸収スペクトルλmax(メタノール中)nm(ε):
228(28700), 322(5000)
【0020】
H―NMR(CDCl)δppm:
0.85(3H,t,7.0), 0.90(6H,d,6.5), 1.20〜1.40(5H,m), 1.27(3H,d,6.4), 1.29(3H,d,6.7), 1.52(2H,m), 1.56(1H,m), 1.67(1H,m), 2.34(2H,t,7.5), 2.50(1H,m), 4.97(1H,m), 5.07(1H,t,10.1), 5.28(1H,t,7.6), 5.72(1H,q,7.0), 6.90(1H,t,7.9), 7.07(1H,d,7.7), 7.23(1H,d,7.7), 7.97(1H,brs), 8.49(1H,s), 8.52(1H,d,7.4), 12.59(1H,s)
13C―NMR(CDCl)δppm:
13.76, 14.98, 17.83, 22.14(2C), 22.41, 27.62, 28.14, 29.20, 32.25, 33.68, 50.11, 53.67, 70.93, 74.88, 75.45, 112.58, 118.98, 120.14, 124.82,127.42, 150.63, 159.08, 169.37, 169.37, 172.60, 172.94
溶解性:水、ヘキサンに不溶、メタノール、DMSOに可溶
【0021】
これらからSPA−8893−aの構造式を、次式(1)と決定した。
【化17】
Figure 2004115418
【0022】
(SPA−8893−b)
外観:薄黄色固体
分子量:548
分子式:C2840
高速電子衝撃質量スペクトル(FAB−MS)m/z(positive):549(M+H)
高分解能エレクトロスプレーイオン化質量スペクトル(HRESI−MS)m/z(M+Na)
実測値:571.2601
計算値:571.2631(C2840NaO
紫外可視吸収スペクトルλmax(メタノール中)nm(ε):
228(28500), 321(4900)
【0023】
H―NMR(CDCl)δppm:
0.83(6H,d,6.7), 0.90(6H,d,6.5), 1.20〜1.50(4H,m), 1.27(3H,d,6.4), 1.30(3H,d,6.7), 1.52(2H,m), 1.56(1H,m), 1.66(1H,m), 12.62(1H,s), 2.37(2H,t,7.5), 2.51(1H,m), 5.00(1H,m), 5.07(1H,t,10.0), 5.30(1H,t,7.5), 5.74(1H,q,7.3), 6.92(1H,t,8.0), 7.08(1H,d,7.5), 7.24(1H,d,8.0), 7.97(1H,brs), 8.51(1H,s), 8.54(1H,d,7.7)
13C―NMR(CDCl)δppm:
15.15, 18.01, 22.28(2C), 22.69, 22.76, 26.47, 27.96, 27.77, 32.40, 33.87, 36.19, 50.38, 53.73, 70.96, 74.88, 75.49, 112.46, 118.86, 119.99, 124.68, 127.27, 150.42, 158.81, 169.10, 169.81, 172.32, 172.64
溶解性:水、ヘキサンに不溶、メタノール、DMSOに可溶
【0024】
これらからSPA−8893−bの構造式を、次式(2)と決定した。
【化18】
Figure 2004115418
【0025】
(SPA−8893−c)
外観:薄黄色固体
分子量:548
分子式:C2840
高速電子衝撃質量スペクトル(FAB−MS)m/z(positive):549(M+H)
高分解能エレクトロスプレーイオン化質量スペクトル(HRESI−MS)m/z(M+Na)
実測値:571.2599
計算値:571.2631(C2840NaO
紫外可視吸収スペクトルλmax(メタノール中)nm(ε):
228(26800), 321(4700)
【0026】
H―NMR(CDCl)δppm:
0.85(3H,t,7.1), 0.86(3H,d,6.2), 0.87(3H,t,7.0), 1.20〜1.40(8H,m), 1.27(3H,d,6.4), 1.30(3H,d,6.7), 1.47(1H,m), 1.64(1H,m), 1.68(1H,m), 2.36(2H,m), 2.52(1H,m), 4.99(1H,m), 5.07(1H,t,9.9), 5.30(1H,t,7.6), 5.74(1H,q,7.1), 6.92(1H,t,8.1), 7.08(1H,d,7.6), 7.24(1H,d,7.1), 7.99(1H,brs), 8.51(1H,s), 8.54(1H,d,7.1), 12.62(1H,s)
13C―NMR(CDCl)δppm:
11.42, 13.96, 15.16, 17.99, 18.88, 22.56, 28.28, 29.21, 29.33, 31.58, 32.12, 34.06, 50.17, 53.71, 70.93, 74.86, 75.41, 112.42, 118.84, 119.97, 124.65, 127.26, 150.39, 158.83, 169.07, 169.81, 172.42, 172.66
溶解性:水、ヘキサンに不溶、メタノール、DMSOに可溶
【0027】
これらからSPA−8893−cの構造式を、次式(3)と決定した。
【化19】
Figure 2004115418
【0028】
(SPA−8893−d)
外観:薄黄色固体
分子量:562
分子式:C2942
高速電子衝撃質量スペクトル(FAB−MS)m/z(positive):563(M+H)
高分解能高速電子衝撃質量スペクトル(HRFAB−MS)m/z(M+H)
実測値:563.2989
計算値:563.2969(C2943
紫外可視吸収スペクトルλmax(メタノール中)nm(ε):
228(28100), 321(4900)
【0029】
H―NMR(CDCl)δppm:
0.83(6H,d,6.7), 0.86(3H,d,6.2), 0.87(3H,t,7.0), 1.10〜1.50 (8H,m), 1.27(3H,d,6.4), 1.30(3H,d,6.7), 1.64(1H,m), 1.66(1H,m), 2.36(2H,m), 2.50(1H,m), 4.99(1H,m), 5.08(1H,t,9.9), 5.28(1H,t,7.6), 5.72(1H,q,7.1), 6.90(1H,t,8.1), 7.06(1H,d,7.6), 7.23(1H,d,7.1), 7.93(1H,brs), 8.49(1H,s), 8.53(1H,d,7.1), 12.61(1H,s)
13C―NMR(CDCl)δppm:
11.40, 15.16, 18.01, 18.89, 22.71, 22.81, 26.51, 27.97, 29.22, 31.65, 32.16, 34.08, 36.19, 50.39, 53.73, 70.97, 74.88, 75.50, 112.45, 118.86, 119.97, 124.68, 127.27, 150.42, 158.77, 169.11, 169.81, 172.38, 172.65
溶解性:水、ヘキサンに不溶、メタノール、DMSOに可溶
【0030】
これらからSPA−8893−dの構造式を、次式(4)と決定した。
【化20】
Figure 2004115418
【0031】
(SPA−8893−e)
外観:薄黄色固体
分子量:562
分子式:C2942
高速電子衝撃質量スペクトル(FAB−MS)m/z(positive):563(M+H)
高分解能高速電子衝撃質量スペクトル(HRFAB−MS)m/z(M+H)
実測値:563.2972
計算値:563.2969(C2943
紫外可視吸収スペクトルλmax(メタノール中)nm(ε):
228(27400), 321(4800)
【0032】
H―NMR(CDCl)δppm:
0.87(3H,t,7.1), 0.92(6H,d,6.4), 1.10〜1.40(9H,m), 1.27(3H,d,6.4), 1.30(3H,d,6.7), 1.55(2H,m), 1.56(1H,m), 1.69(1H,m), 2.34(2H,m), 2.52(1H,m), 4.96(1H,m), 5.07(1H,t,9.8), 5.27(1H,t,7.6), 5.72(1H,q,7.0), 6.89(1H,t,8.1), 7.07(1H,d,7.7), 7.23(1H,d,8.0), 7.98(1H,brs), 8.49(1H,s), 8.52(1H,d,7.9), 12.59(1H,s)
13C―NMR(CDCl)δppm:
14.07, 15.16, 18.01, 22.31(2C), 22.64, 27.16, 27.77, 28.56, 29.08, 31.60, 32.39, 33.80, 50.21, 53.73, 70.93, 74.88, 75.46, 112.45, 118.86, 119.98, 124.68, 127.27, 150.42, 158.81, 169.10, 169.81, 172.31, 172.66
溶解性:水、ヘキサンに不溶、メタノール、DMSOに可溶
【0033】
これらからSPA−8893−eの構造式を、次式(5)と決定した。
【化21】
Figure 2004115418
【0034】
(SPA−8893−f)
外観:薄黄色固体
分子量:576
分子式:C3044
高速電子衝撃質量スペクトル(FAB−MS)m/z(positive):577(M+H)
高分解能高速電子衝撃質量スペクトル(HRFAB−MS)m/z(M+H)
実測値:577.3154
計算値:577.3125(C3045
紫外可視吸収スペクトルλmax(メタノール中)nm(ε):
228(29100), 321(5100)
【0035】
H―NMR(CDCl)δppm:
0.86(3H,d,6.2), 0.86(3H,t,7.1), 0.87(3H,t,7.0), 1.10〜1.40(12H,m), 1.27(3H,d,6.4), 1.30(3H,d,6.7), 1.45(1H,m), 1.64(1H,m), 1.69(1H,m), 2.34(2H,m), 2.52(1H,m), 4.96(1H,m), 5.07(1H,t,9.8), 5.27(1H,t,7.6), 5.72(1H,q,7.0), 6.89(1H,t,8.1), 7.07(1H,d,7.7), 7.23(1H,d,8.0), 7.98(1H,brs), 8.49(1H,s), 8.52(1H,d,7.9), 12.59(1H,s)
13C―NMR(CDCl)δppm:
11.21, 13.98, 14.97, 17.83, 18.72, 22.47, 27.03, 28.45, 28.95, 29.08, 31.46(2C), 32.01, 33.95, 50.14, 53.66, 70.91, 74.88, 75.44, 112.58, 118.97, 120.13, 124.82, 127.42, 159.08, 150.62, 169.36, 170.08, 172.67, 172.94
溶解性:水、ヘキサンに不溶、メタノール、DMSOに可溶
【0036】
これらからSPA−8893−fの構造式を、次式(6)と決定した。
【化22】
Figure 2004115418
【0037】
実施例2
SPA−10191株の培養と活性物質の単離精製
グリセロール2%、デキストリン2%、大豆粉1.5%、酵母エキス0.3%、硫酸アンモニウム0.2%、炭酸カルシウム0.2%を含み、pH7.0に調整した培地75mlを500ml容坂口フラスコに分注してオートクレーブで滅菌した。これに、斜面培養したストレプトミセス・エスピーSPA−10191株を1白金耳接種し、27℃で4日間130rpmにて振盪培養して前培養とした。2リットル容坂口フラスコ8本に同組成の培地を300mlずつ分注し、オートクレーブ滅菌後、上記前培養液を2%接種し、27℃で8日間105rpmにて振盪培養した。培養終了後、培養液を20℃、9000rpmで10分間遠心分離して、菌体画分を回収した。得られた菌体画分に2リットルのアセトンを加え、室温にて1時間攪拌抽出後、抽出液を濾過により回収し、これを減圧濃縮して褐色油状物1.5gを得た。これを30mlの酢酸エチル−メタノール(1:1)に溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ3×10cm)に付し、酢酸エチル−メタノール(1:1)で溶出した。活性画分を減圧濃縮し、褐色油状物0.59gを得た。これを20mlのメタノールに溶解し、TOYOPEARL(登録商標) HW−40Fを用いるカラムクロマトグラフィー(φ3×50cm)に付し、メタノールで溶出した。活性画分を減圧濃縮し、0.16gの褐色粗物質を得た。これを2mlのDMSOに溶解し、分取HPLCに注入した。分取HPLCの条件は、カラム:Wakopak(登録商標)Wakosil−II5C18HG−Prep(φ3×10cmとφ3×25cmを連結)、溶出液A:1%ギ酸、同B:メタノール、グラジエント:B液濃度80%から100%へ130分の直線グラジエント、流速:20ml/分、検出:240nmにおける紫外吸収、とした。保持時間64.0分のピークを回収し、減圧乾固することによりSPA−10191−a及びSPA−10191−bの混合物1.3mgを取得した。取得した化合物の物理化学的性状は以下のようであった。
【0038】
(SPA−10191−a,b)
外観:薄黄色固体
分子量:562
分子式:C2942
高速電子衝撃質量スペクトル(FAB−MS)m/z(positive):563(M+H)
高分解能高速電子衝撃質量スペクトル(HRFAB−MS)m/z(M+H)
実測値:563.2952
計算値:563.2969(C2943
紫外可視吸収スペクトルλmax(メタノール中)nm(ε):
228(26800), 321(5000)
【0039】
H―NMR(CDCl)δppm:
0.80(d,5.8), 0.81(t,6.4), 0.93(t,7.3), 0.97(d,6.4), 1.17(d,6.4), 1.10〜1.40(m), 1.27(d,6.4), 1.30(d,6.7), 1.48(,m), 1.66(m), 1.71(m), 2.13(m), 2.24(d,6.7), 2.40(m), 2.52(m), 4.98(m), 5.08(t,9.7), 5.27(t,7.6), 5.72(q,7.0), 6.91(t,7.8), 7.05(d,6.4), 7.22(d,8.1), 7.92(brs), 8.49(s), 8.53(d,7.9), 12.60(s)
13C―NMR(CDCl)δppm:
11.37, 11.71, 14.97, 16.74, 17.85, 18.99, 22.42(2C), 24.46, 25.48, 26.46, 28.64, 29.46, 34.03, 36.09, 41.26, 43.23, 50.12, 53.67, 70.91, 74.90, 75.29, 112.54, 119.00, 120.09, 124.84, 127.41, 150.64, 159.08, 169.39, 170.07, 171.44, 172.93, 175.19
溶解性:水、ヘキサンに不溶、メタノール、DMSOに可溶
【0040】
単離した本物質はSPA−10191−aとSPA−10191−bが85:15の比率で混ざった混合物であったが、混合物のまま構造式を決めることができ、SPA−10191−aの構造式は次式(7)と決定した。
【化23】
Figure 2004115418
【0041】
また、SPA−10191−bの構造式は次式(8)と決定した。
【化24】
Figure 2004115418
【0042】
実施例3
抗真菌活性の測定
本発明化合物の抗真菌活性をCandida utilis NBRC10707を被験菌として測定した。すなわち、30℃で24時間、サブロー液体培地(D−グルコース4%、ポリペプトン1%、pH未調整)で振盪前培養したNBRC10707株1mlと、オートクレーブ後50℃に冷却したサブロー寒天培地(D−グルコース4%、ポリペプトン1%、寒天1.5%、pH未調)7mlとを混和し、平板に固めた。これに、DMSOで溶解希釈した本発明化合物を2μlずつ滴下し、30℃で2日間インキュベートして発育阻止円の有無を観察した。結果は以下の通りとなり、本発明化合物は抗真菌活性を示した。
【0043】
Figure 2004115418
【0044】
【発明の効果】
前記式(1)から(8)で表される新規アクチノマイシンA類化合物又はその塩は抗真菌活性を示し、抗真菌剤として有用である。

Claims (6)

  1. 次式(1)から(8)のいずれかで表される化合物。
    Figure 2004115418
    Figure 2004115418
    Figure 2004115418
    Figure 2004115418
    Figure 2004115418
    Figure 2004115418
    Figure 2004115418
    Figure 2004115418
  2. 請求項1記載の式(1)から(8)のいずれかで表される化合物又はその塩を有効成分とする抗真菌剤。
  3. ストレプトミセス属に属し、式(1)から(8)のいずれかで表される化合物生産菌を培養して、その培養物から式(1)から(8)のいずれかで表される化合物を採取することを特徴とする式(1)から(8)のいずれかで表される化合物の製造方法。
  4. ストレプトミセス属に属し式(1)から(6)のいずれかで表されるで表される化合物の生産菌がストレプトミセス・エスピー(Streptomycessp.)SPA−8893株又はそれらの誘導株、又は(7)から(8)のいずれかで表される化合物の生産菌がストレプトミセス・エスピー(Streptomyces sp.)SPA−10191株又はそれらの誘導株である請求項3記載の製造方法。
  5. ストレプトミセス・エスピー(Streptomyces sp.)SPA−8893株。
  6. ストレプトミセス・エスピー(Streptomyces sp.)SPA−10191株。
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