JP2004114595A - マーキングシート用積層シート - Google Patents
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Abstract
【課題】基布からの染料の昇華移行を抑制することができ、着色層の変色も少なく、柔軟性に優れたマーキングシート用積層シートを提供する。
【解決手段】剥離可能な基材シート上に、マーキングシートが積層されてなるマーキングシート用積層シートであって、前記マーキングシートは、表面層が着色熱可塑性樹脂層であり、裏面層がホットメルト接着剤層であり、前記着色熱可塑性樹脂層と前記ホットメルト接着剤層との間に、変性アクリル樹脂層が設けられているマーキングシート用積層シート。
【選択図】 なし
【解決手段】剥離可能な基材シート上に、マーキングシートが積層されてなるマーキングシート用積層シートであって、前記マーキングシートは、表面層が着色熱可塑性樹脂層であり、裏面層がホットメルト接着剤層であり、前記着色熱可塑性樹脂層と前記ホットメルト接着剤層との間に、変性アクリル樹脂層が設けられているマーキングシート用積層シート。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、染料移行防止性、柔軟性に優れたマーキングシート用積層シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
ウインドブレーカー等のスポーツ衣料は、基布にマーキングシートを貼付することにより、チーム名、背番号等の表示を行っている。このマーキングシートは、一般的にポリウレタン、ポリ塩化ビニル等の軟質熱可塑性樹脂に着色剤を配合して得られるものであり、所定の文字・図柄等を表す形状にカットした後、基布に貼付される。
【0003】
従来、チーム名、背番号等を表示するには、所定の形状にカットした布を衣料等の基布に縫い合わせたり、スクリーン印刷等が行われたりしていたので、作業が煩雑であったが、このようなマーキングシートを使用することでチーム名、背番号等の表示は、誰にでも容易に行うことができるようになった。
【0004】
ところが、スポーツ衣料では昇華性染料によりプリント・染色されたポリエステル繊維等の合成繊維が用いられているので、従来のマーキングシートでは、染料の昇華移行により色移行を生じ、表示色の変化を引き起こす等の問題点を有していた。
【0005】
このような問題点を解決する方法として、特許文献1には、染色された基布に、メラミン樹脂からなるバリヤー層がラミネートやコーティングにより設けられた積層シートが、特許文献2には、このようなバリヤー層がプラズマ処理により設けられた積層シートが、特許文献3には、染色された基布に、吸着剤が添加されたバリヤー層がラミネートやコーティングにより設けられた積層シートが、染料移行を防止することができるとして、開示されている。
しかしながら、基布にこれらのバリヤー層を積層して染料移行を防止する方法では、いずれも染料の着色層への移行を防ぐことには充分でなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−200873号公報
【特許文献2】
特開平2−118181号公報
【特許文献3】
特開平6−146165号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、基布からの染料の昇華移行を抑制することができ、着色層の変色も少なく、柔軟性に優れたマーキングシート用積層シートを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、剥離可能な基材シート上に、マーキングシートが積層されてなるマーキングシート用積層シートであって、前記マーキングシートは、表面層が着色熱可塑性樹脂層であり、裏面層がホットメルト接着剤層であり、着色熱可塑性樹脂層とホットメルト接着剤層との間に、変性アクリル樹脂層が設けられているマーキングシート用積層シートである。
以下に本発明を図面を参照しながら詳述する。
【0009】
図1は、本発明のマーキングシート用積層シートの1実施形態の断面を示す図である。
図1に示すように、本発明のマーキングシート用積層シートは、基材シート1上に、着色熱可塑性樹脂層2、変性アクリル樹脂層3、及び、ホットメルト接着剤層5が順次積層されたマーキングシートが積層されてなるものである。
図2は、本発明のマーキングシート用積層シートの好適な態様である、変性アクリル樹脂層3とホットメルト接着剤層5との間にポリウレタン樹脂層4が設けられている場合の1実施形態の断面を示す図である。
【0010】
基材シート1は、マーキングシート用積層シートを基布に接着した後、着色熱可塑性樹脂層2から剥離するものである。
基材シート1の材質としては、着色熱可塑性樹脂層2から剥離可能なものであれば特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETともいう)等を挙げることができる。なかでも、PETが好ましい。
基材シート1の厚さは特に限定されないが、取り扱い性に優れる点から50〜150μmであることが好ましい。
【0011】
着色熱可塑性樹脂層2は、顔料等により着色した熱可塑性樹脂を成形してなる軟質のフィルム又はシートからなり、意匠性を有する表面層である。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等を挙げることができる。
着色熱可塑性樹脂層2の厚さは特に限定されないが、10〜100μmであることが好ましい。10μm未満であると、隠蔽性に劣ることがあり、100μmを超えると、意匠性が悪くなることがある。
また、着色熱可塑性樹脂層2は単一の層からなるものであってもよいし、2以上の層からなるものであってもよい。
【0012】
変性アクリル樹脂層3は、基布中の染料が着色熱可塑性樹脂層2に移行することを阻止するための層である。
変性アクリル樹脂層3を構成する変性アクリル樹脂としては特に限定されず、例えば、変性アクリル樹脂層3に柔軟性を付与するために軟質アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂等により変性されたもの等が挙げられる。
変性アクリル樹脂層3の厚さは特に限定されないが、5〜20μmであることが好ましい。5μm未満であると、染料の昇華移行の防止効果が不充分なことがある。20μmを超えると、風合いが硬く、引き裂け易くなることがある。
【0013】
変性アクリル樹脂層3だけでは、充分に基布中の染料が着色熱可塑性樹脂層2に移行することを阻止できない場合には、変性アクリル樹脂層3とホットメルト接着剤層5との間にポリウレタン樹脂層4が設けられることが好ましい。ポリウレタン樹脂層4により、基布中の染料が着色熱可塑性樹脂層2に移行することを阻止し、隠蔽性をより向上させることができる。
ポリウレタン樹脂層4の厚さは特に限定されない。
また、ポリウレタン樹脂層4は、シリカ粉末を含有することが好ましい。シリカ粉末を含有することにより、シリカ粉末が吸着効果を有するので、染料の昇華移行の防止効果を更に高めることができる。
上記シリカ粉末は、比表面積が500m2/g以上であり、かつ、平均細孔径が15nm以下であることが好ましい。比表面積が500m2/g未満、又は、平均細孔径が15nmを超えると、吸着効果が低下して、染料の昇華移行の防止効果を充分に高めることができないことがある。
なお、平均細孔径が15nm以下であるとは、上記シリカ粉末の細孔径分布を測定し、上記シリカ粉末の細孔径を横軸にし、上記シリカ粉末の細孔の数を縦軸にしたときに、細孔径の分布のピークが15nm以下であることをいう。
上記シリカ粉末の配合量は、ポリウレタン樹脂成分100重量部に対して130重量部以下であることが好ましい。130重量部を超えると、変性アクリル樹脂層3及びホットメルト接着剤層5との接着性が低下したり、ポリウレタン樹脂層4の柔軟性が低下したりすることがある。
【0014】
ホットメルト接着剤層5としては基布に接着することができれば特に限定されず、例えば、熱可塑性ポリウレタン、スチレン/イソプレンブロック共重合体、スチレン/ブタジエンブロック共重合体、熱可塑性ポリエステル、スチレン/エチレン/ブチレンブロック共重合体、ポリアミド、エチレン/酢酸ビニル熱可塑エラストマー等からなる接着剤層を挙げることができる。
ホットメルト接着剤層5の厚さは特に限定されないが、30〜150μmであることが好ましい。30μm未満であると、被着体(基布)への接着力が不足することがあり、150μmを超えると、接着剤がはみ出したり、仕上がりが硬くなり風合いを損なったりすることがある。
【0015】
本発明のマーキングシート用積層シートは、所定の形状に裁断された後、例えば、熱圧着等の接着方法により基布に接着され、その後基材シートが剥がされて使用される。
図3は、マーキングシート用積層シートから基材シート1が剥離され、マーキングシートが基布6に貼付されたときの形態を示す断面図である。
【0016】
本発明のマーキングシート用積層シートは、着色熱可塑性樹脂層とホットメルト接着剤層との間に、変性アクリル樹脂層が設けられているので、昇華性染料等を含有する基布にマーキングシートを貼付しても、基布からの染料の昇華移行を極めて低く抑えることができ、マーキングシート表面の着色熱可塑性樹脂層の変色を防ぐことができる。
また、変性アクリル樹脂層とホットメルト接着剤層との間に、ポリウレタン樹脂層が設けられることにより、基布からの染料の昇華移行をより効果的に抑えることができ、更に、ポリウレタン樹脂層がシリカ粉末を含有していることにより、シリカ粉末が吸着効果を示すので、基布からの染料の昇華移行を更に効果的に抑えることができる。
【0017】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0018】
(実施例1)
ポリウレタン溶液(大日精化工業社製、ME−3134LP)100.0重量部に、TiO2白色顔料及びエチルメチルケトン/N,N−ジメチルホルムアミド混合液をそれぞれ適量添加して、着色熱可塑性樹脂層形成用溶液を調製した。
変性アクリル樹脂(ハニー化成社製、ハニロンA778)100.0重量部に、白色インキ(大日精化工業社製、MA8090)を40重量部添加して、変性アクリル樹脂層形成用溶液を調製した。
ポリウレタン溶液(大日精化工業社製、ME−2825LP、ポリウレタン樹脂成分30重量%)100.0重量部に、シリカ粉末(富士シリシア化学社製、サイシリア 740)を30.0重量部、TiO2白色顔料40重量部、及び、エチルメチルケトン30重量部/N,N−ジメチルホルムアミド30重量部からなる混合液を添加して、ポリウレタン樹脂層形成用溶液を調製した。
ポリウレタン溶液(大日精化工業社製、UD−1305)100.0重量部に、エチルメチルケトン10重量部/N,N−ジメチルホルムアミド10重量部からなる混合液を添加して、ホットメルト接着剤溶液を調製した。
【0019】
厚さ100μmのPETからなる基材シート1上に、着色熱可塑性樹脂層形成用溶液をコーティングし、140℃×2分乾燥させ、厚さ25μmの着色熱可塑性樹脂層2を形成した。次に、着色熱可塑性樹脂層2上に、変性アクリル樹脂層形成用溶液をコーティングし、140℃×1分乾燥させ、厚さ20μmの変性アクリル樹脂層3を形成した。更に、変性アクリル樹脂層3上に、ポリウレタン樹脂層形成用溶液をコーティングし、140℃×1分乾燥させ、厚さ30μmのポリウレタン樹脂層4を形成した。これにより、基材シート1上に3層の樹脂層が積層されてなるシートを得た。
次いで、シリコン離型処理を施した厚さ38μmのPET上に、ホットメルト接着剤層形成用溶液をコーティングし、140℃×3分乾燥させ、厚さ50μmのホットメルト接着剤層5を形成し、PET上にホットメルト接着剤層5を形成してなるシートを得た。
このPET上にホットメルト接着剤層5を形成してなるシートのホットメルト接着剤層5からなる面と、基材シート1上に3層の樹脂層が積層されてなるシートのポリウレタン樹脂層4からなる面とを貼り合わせた後、シリコン離型処理を施したPETを剥がすことにより、熱接着可能なマーキングシート用積層シートを得た。
【0020】
(実施例2)
変性アクリル樹脂層3の厚さが10μmになるように、着色熱可塑性樹脂層2上に変性アクリル樹脂層形成用溶液をコーティングしたこと以外は実施例1と同様にしてマーキングシート用積層シートを作製した。
【0021】
(実施例3)
変性アクリル樹脂層3の厚さが5μmになるように、着色熱可塑性樹脂層2上に変性アクリル樹脂層形成用溶液をコーティングしたこと以外は実施例1と同様にしてマーキングシート用積層シートを作製した。
【0022】
(実施例4)
実施例1で用いたポリウレタン樹脂層形成用溶液の代りに、ポリウレタン溶液(大日精化工業社製、ME−2825LP、ポリウレタン樹脂成分30重量%)100.0重量部に、TiO2白色顔料40重量部、及び、エチルメチルケトン30重量部/N,N−ジメチルホルムアミド30重量部からなる混合液を添加して調製したポリウレタン樹脂層形成用溶液を用いて、シリカ粉末を含有しないポリウレタン樹脂層5を形成したこと以外は実施例1と同様にしてマーキングシート用積層シートを作製した。
【0023】
(比較例1)
マーキングシート用積層シートとして、バリヤー層に活性炭が使用されている市販品(松井色素社製)を使用した。
【0024】
実施例1〜4及び比較例1で得られたマーキングシート用積層シートの昇華移行防止性及び風合いを以下の試験方法で評価した。
昇華性染料で染色された布地にマーキングシートを140℃×20秒圧着して貼り合わせ、基材シート1を剥がし、40℃のオーブンで60時間加熱した後、着色熱可塑性樹脂層2の昇華移行度(変色)を目視により、風合いを手感触により、それぞれ1〜5点の5段階で評価した。なお、昇華移行度の評価においては、点数が高いほど移行が進んでおらず、点数が低いほど移行が進んでいることを意味し、風合いの評価においては、点数が高いほど風合いが柔らかく、点数が低いほど風合いが硬いことを意味する。
上記昇華移行度の点数及び上記風合いの点数の和を求め、以下の基準により総合評価を行った。
◎:6点以上
○:5点
△:4点
×:3点以下
結果を表1に示した。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】
本発明のマーキングシート用積層シートは、上述の構成よりなるので、基布からの染料の昇華移行を抑制し、着色層の変色を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマーキングシート用積層シートの1実施形態の断面図である。
【図2】本発明のマーキングシート用積層シートの好適な態様である、変性アクリル樹脂層3とホットメルト接着剤層5との間にポリウレタン樹脂層4が設けられている場合の1実施形態の断面図である。
【図3】本発明のマーキングシート用積層シートから基材シート1が剥離され、マーキングシートが基布6に貼付されたときの形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基材シート
2 着色熱可塑性樹脂層
3 変性アクリル樹脂層
4 ポリウレタン樹脂層
4 ホットメルト接着剤層
5 基布
【発明の属する技術分野】
本発明は、染料移行防止性、柔軟性に優れたマーキングシート用積層シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
ウインドブレーカー等のスポーツ衣料は、基布にマーキングシートを貼付することにより、チーム名、背番号等の表示を行っている。このマーキングシートは、一般的にポリウレタン、ポリ塩化ビニル等の軟質熱可塑性樹脂に着色剤を配合して得られるものであり、所定の文字・図柄等を表す形状にカットした後、基布に貼付される。
【0003】
従来、チーム名、背番号等を表示するには、所定の形状にカットした布を衣料等の基布に縫い合わせたり、スクリーン印刷等が行われたりしていたので、作業が煩雑であったが、このようなマーキングシートを使用することでチーム名、背番号等の表示は、誰にでも容易に行うことができるようになった。
【0004】
ところが、スポーツ衣料では昇華性染料によりプリント・染色されたポリエステル繊維等の合成繊維が用いられているので、従来のマーキングシートでは、染料の昇華移行により色移行を生じ、表示色の変化を引き起こす等の問題点を有していた。
【0005】
このような問題点を解決する方法として、特許文献1には、染色された基布に、メラミン樹脂からなるバリヤー層がラミネートやコーティングにより設けられた積層シートが、特許文献2には、このようなバリヤー層がプラズマ処理により設けられた積層シートが、特許文献3には、染色された基布に、吸着剤が添加されたバリヤー層がラミネートやコーティングにより設けられた積層シートが、染料移行を防止することができるとして、開示されている。
しかしながら、基布にこれらのバリヤー層を積層して染料移行を防止する方法では、いずれも染料の着色層への移行を防ぐことには充分でなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−200873号公報
【特許文献2】
特開平2−118181号公報
【特許文献3】
特開平6−146165号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、基布からの染料の昇華移行を抑制することができ、着色層の変色も少なく、柔軟性に優れたマーキングシート用積層シートを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、剥離可能な基材シート上に、マーキングシートが積層されてなるマーキングシート用積層シートであって、前記マーキングシートは、表面層が着色熱可塑性樹脂層であり、裏面層がホットメルト接着剤層であり、着色熱可塑性樹脂層とホットメルト接着剤層との間に、変性アクリル樹脂層が設けられているマーキングシート用積層シートである。
以下に本発明を図面を参照しながら詳述する。
【0009】
図1は、本発明のマーキングシート用積層シートの1実施形態の断面を示す図である。
図1に示すように、本発明のマーキングシート用積層シートは、基材シート1上に、着色熱可塑性樹脂層2、変性アクリル樹脂層3、及び、ホットメルト接着剤層5が順次積層されたマーキングシートが積層されてなるものである。
図2は、本発明のマーキングシート用積層シートの好適な態様である、変性アクリル樹脂層3とホットメルト接着剤層5との間にポリウレタン樹脂層4が設けられている場合の1実施形態の断面を示す図である。
【0010】
基材シート1は、マーキングシート用積層シートを基布に接着した後、着色熱可塑性樹脂層2から剥離するものである。
基材シート1の材質としては、着色熱可塑性樹脂層2から剥離可能なものであれば特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETともいう)等を挙げることができる。なかでも、PETが好ましい。
基材シート1の厚さは特に限定されないが、取り扱い性に優れる点から50〜150μmであることが好ましい。
【0011】
着色熱可塑性樹脂層2は、顔料等により着色した熱可塑性樹脂を成形してなる軟質のフィルム又はシートからなり、意匠性を有する表面層である。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等を挙げることができる。
着色熱可塑性樹脂層2の厚さは特に限定されないが、10〜100μmであることが好ましい。10μm未満であると、隠蔽性に劣ることがあり、100μmを超えると、意匠性が悪くなることがある。
また、着色熱可塑性樹脂層2は単一の層からなるものであってもよいし、2以上の層からなるものであってもよい。
【0012】
変性アクリル樹脂層3は、基布中の染料が着色熱可塑性樹脂層2に移行することを阻止するための層である。
変性アクリル樹脂層3を構成する変性アクリル樹脂としては特に限定されず、例えば、変性アクリル樹脂層3に柔軟性を付与するために軟質アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂等により変性されたもの等が挙げられる。
変性アクリル樹脂層3の厚さは特に限定されないが、5〜20μmであることが好ましい。5μm未満であると、染料の昇華移行の防止効果が不充分なことがある。20μmを超えると、風合いが硬く、引き裂け易くなることがある。
【0013】
変性アクリル樹脂層3だけでは、充分に基布中の染料が着色熱可塑性樹脂層2に移行することを阻止できない場合には、変性アクリル樹脂層3とホットメルト接着剤層5との間にポリウレタン樹脂層4が設けられることが好ましい。ポリウレタン樹脂層4により、基布中の染料が着色熱可塑性樹脂層2に移行することを阻止し、隠蔽性をより向上させることができる。
ポリウレタン樹脂層4の厚さは特に限定されない。
また、ポリウレタン樹脂層4は、シリカ粉末を含有することが好ましい。シリカ粉末を含有することにより、シリカ粉末が吸着効果を有するので、染料の昇華移行の防止効果を更に高めることができる。
上記シリカ粉末は、比表面積が500m2/g以上であり、かつ、平均細孔径が15nm以下であることが好ましい。比表面積が500m2/g未満、又は、平均細孔径が15nmを超えると、吸着効果が低下して、染料の昇華移行の防止効果を充分に高めることができないことがある。
なお、平均細孔径が15nm以下であるとは、上記シリカ粉末の細孔径分布を測定し、上記シリカ粉末の細孔径を横軸にし、上記シリカ粉末の細孔の数を縦軸にしたときに、細孔径の分布のピークが15nm以下であることをいう。
上記シリカ粉末の配合量は、ポリウレタン樹脂成分100重量部に対して130重量部以下であることが好ましい。130重量部を超えると、変性アクリル樹脂層3及びホットメルト接着剤層5との接着性が低下したり、ポリウレタン樹脂層4の柔軟性が低下したりすることがある。
【0014】
ホットメルト接着剤層5としては基布に接着することができれば特に限定されず、例えば、熱可塑性ポリウレタン、スチレン/イソプレンブロック共重合体、スチレン/ブタジエンブロック共重合体、熱可塑性ポリエステル、スチレン/エチレン/ブチレンブロック共重合体、ポリアミド、エチレン/酢酸ビニル熱可塑エラストマー等からなる接着剤層を挙げることができる。
ホットメルト接着剤層5の厚さは特に限定されないが、30〜150μmであることが好ましい。30μm未満であると、被着体(基布)への接着力が不足することがあり、150μmを超えると、接着剤がはみ出したり、仕上がりが硬くなり風合いを損なったりすることがある。
【0015】
本発明のマーキングシート用積層シートは、所定の形状に裁断された後、例えば、熱圧着等の接着方法により基布に接着され、その後基材シートが剥がされて使用される。
図3は、マーキングシート用積層シートから基材シート1が剥離され、マーキングシートが基布6に貼付されたときの形態を示す断面図である。
【0016】
本発明のマーキングシート用積層シートは、着色熱可塑性樹脂層とホットメルト接着剤層との間に、変性アクリル樹脂層が設けられているので、昇華性染料等を含有する基布にマーキングシートを貼付しても、基布からの染料の昇華移行を極めて低く抑えることができ、マーキングシート表面の着色熱可塑性樹脂層の変色を防ぐことができる。
また、変性アクリル樹脂層とホットメルト接着剤層との間に、ポリウレタン樹脂層が設けられることにより、基布からの染料の昇華移行をより効果的に抑えることができ、更に、ポリウレタン樹脂層がシリカ粉末を含有していることにより、シリカ粉末が吸着効果を示すので、基布からの染料の昇華移行を更に効果的に抑えることができる。
【0017】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0018】
(実施例1)
ポリウレタン溶液(大日精化工業社製、ME−3134LP)100.0重量部に、TiO2白色顔料及びエチルメチルケトン/N,N−ジメチルホルムアミド混合液をそれぞれ適量添加して、着色熱可塑性樹脂層形成用溶液を調製した。
変性アクリル樹脂(ハニー化成社製、ハニロンA778)100.0重量部に、白色インキ(大日精化工業社製、MA8090)を40重量部添加して、変性アクリル樹脂層形成用溶液を調製した。
ポリウレタン溶液(大日精化工業社製、ME−2825LP、ポリウレタン樹脂成分30重量%)100.0重量部に、シリカ粉末(富士シリシア化学社製、サイシリア 740)を30.0重量部、TiO2白色顔料40重量部、及び、エチルメチルケトン30重量部/N,N−ジメチルホルムアミド30重量部からなる混合液を添加して、ポリウレタン樹脂層形成用溶液を調製した。
ポリウレタン溶液(大日精化工業社製、UD−1305)100.0重量部に、エチルメチルケトン10重量部/N,N−ジメチルホルムアミド10重量部からなる混合液を添加して、ホットメルト接着剤溶液を調製した。
【0019】
厚さ100μmのPETからなる基材シート1上に、着色熱可塑性樹脂層形成用溶液をコーティングし、140℃×2分乾燥させ、厚さ25μmの着色熱可塑性樹脂層2を形成した。次に、着色熱可塑性樹脂層2上に、変性アクリル樹脂層形成用溶液をコーティングし、140℃×1分乾燥させ、厚さ20μmの変性アクリル樹脂層3を形成した。更に、変性アクリル樹脂層3上に、ポリウレタン樹脂層形成用溶液をコーティングし、140℃×1分乾燥させ、厚さ30μmのポリウレタン樹脂層4を形成した。これにより、基材シート1上に3層の樹脂層が積層されてなるシートを得た。
次いで、シリコン離型処理を施した厚さ38μmのPET上に、ホットメルト接着剤層形成用溶液をコーティングし、140℃×3分乾燥させ、厚さ50μmのホットメルト接着剤層5を形成し、PET上にホットメルト接着剤層5を形成してなるシートを得た。
このPET上にホットメルト接着剤層5を形成してなるシートのホットメルト接着剤層5からなる面と、基材シート1上に3層の樹脂層が積層されてなるシートのポリウレタン樹脂層4からなる面とを貼り合わせた後、シリコン離型処理を施したPETを剥がすことにより、熱接着可能なマーキングシート用積層シートを得た。
【0020】
(実施例2)
変性アクリル樹脂層3の厚さが10μmになるように、着色熱可塑性樹脂層2上に変性アクリル樹脂層形成用溶液をコーティングしたこと以外は実施例1と同様にしてマーキングシート用積層シートを作製した。
【0021】
(実施例3)
変性アクリル樹脂層3の厚さが5μmになるように、着色熱可塑性樹脂層2上に変性アクリル樹脂層形成用溶液をコーティングしたこと以外は実施例1と同様にしてマーキングシート用積層シートを作製した。
【0022】
(実施例4)
実施例1で用いたポリウレタン樹脂層形成用溶液の代りに、ポリウレタン溶液(大日精化工業社製、ME−2825LP、ポリウレタン樹脂成分30重量%)100.0重量部に、TiO2白色顔料40重量部、及び、エチルメチルケトン30重量部/N,N−ジメチルホルムアミド30重量部からなる混合液を添加して調製したポリウレタン樹脂層形成用溶液を用いて、シリカ粉末を含有しないポリウレタン樹脂層5を形成したこと以外は実施例1と同様にしてマーキングシート用積層シートを作製した。
【0023】
(比較例1)
マーキングシート用積層シートとして、バリヤー層に活性炭が使用されている市販品(松井色素社製)を使用した。
【0024】
実施例1〜4及び比較例1で得られたマーキングシート用積層シートの昇華移行防止性及び風合いを以下の試験方法で評価した。
昇華性染料で染色された布地にマーキングシートを140℃×20秒圧着して貼り合わせ、基材シート1を剥がし、40℃のオーブンで60時間加熱した後、着色熱可塑性樹脂層2の昇華移行度(変色)を目視により、風合いを手感触により、それぞれ1〜5点の5段階で評価した。なお、昇華移行度の評価においては、点数が高いほど移行が進んでおらず、点数が低いほど移行が進んでいることを意味し、風合いの評価においては、点数が高いほど風合いが柔らかく、点数が低いほど風合いが硬いことを意味する。
上記昇華移行度の点数及び上記風合いの点数の和を求め、以下の基準により総合評価を行った。
◎:6点以上
○:5点
△:4点
×:3点以下
結果を表1に示した。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】
本発明のマーキングシート用積層シートは、上述の構成よりなるので、基布からの染料の昇華移行を抑制し、着色層の変色を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマーキングシート用積層シートの1実施形態の断面図である。
【図2】本発明のマーキングシート用積層シートの好適な態様である、変性アクリル樹脂層3とホットメルト接着剤層5との間にポリウレタン樹脂層4が設けられている場合の1実施形態の断面図である。
【図3】本発明のマーキングシート用積層シートから基材シート1が剥離され、マーキングシートが基布6に貼付されたときの形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基材シート
2 着色熱可塑性樹脂層
3 変性アクリル樹脂層
4 ポリウレタン樹脂層
4 ホットメルト接着剤層
5 基布
Claims (5)
- 剥離可能な基材シート上に、マーキングシートが積層されてなるマーキングシート用積層シートであって、
前記マーキングシートは、表面層が着色熱可塑性樹脂層であり、裏面層がホットメルト接着剤層であり、前記着色熱可塑性樹脂層と前記ホットメルト接着剤層との間に、変性アクリル樹脂層が設けられている
ことを特徴とするマーキングシート用積層シート。 - 変性アクリル樹脂層とホットメルト接着剤層との間に、ポリウレタン樹脂層が設けられていることを特徴とする請求項1記載のマーキングシート用積層シート。
- ポリウレタン樹脂層は、シリカ粉末を含有することを特徴とする請求項2記載のマーキング用積層シート。
- シリカ粉末は、比表面積が500m2/g以上、平均細孔径が15nm以下であって、ポリウレタン樹脂成分100重量部に対して130重量部以下配合されることを特徴とする請求項3記載のマーキング用積層シート。
- 変性アクリル樹脂層の厚さが5〜20μmであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のマーキングシート用積層シート。
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JP2002283558A JP2004114595A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | マーキングシート用積層シート |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP1780329A1 (en) * | 2005-10-27 | 2007-05-02 | Polygraphic Holding B.V. | Multilayer emblem |
CN102407637A (zh) * | 2011-08-01 | 2012-04-11 | 吴江三辉纺织有限公司 | 一种具有收缩花纹的水晶感合成革 |
-
2002
- 2002-09-27 JP JP2002283558A patent/JP2004114595A/ja active Pending
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