JP2004114191A - エンドミル及びこれを用いた加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】切れ味の向上、切りくず排出性の向上により、側面や傾斜や3次元曲面を加工することができるエンドミルを提供する。
【解決手段】エンドミル1は、外周刃3の底刃5と接する付近の外周刃3のねじれ角θが0°<θ<30°と小さい。4軸加工機を使用して、このエンドミル1を加工面に沿って当該エンドミルの半径方向と軸方向の合方向に送ることにより、傾斜面あるいは3次元曲面を生成する。
【選択図】 図1
【解決手段】エンドミル1は、外周刃3の底刃5と接する付近の外周刃3のねじれ角θが0°<θ<30°と小さい。4軸加工機を使用して、このエンドミル1を加工面に沿って当該エンドミルの半径方向と軸方向の合方向に送ることにより、傾斜面あるいは3次元曲面を生成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンドミル及びこれを用いた加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のエンドミルの概略構造を図7に示す。
図7に示すように、エンドミル101は、工具本体102の外周に付けられた切れ刃(外周刃)103と工具本体102の先端(下端)に付けられた切れ刃(底刃)105を有している。この外周刃103はねじれ刃となり、このねじれ角θは回転軸Oに対して、30°〜45°前後である。また、ねじれ刃には、取付け側から見て工具本体102の回転軸Oに対するねじれの向きによりねじれの左右があり、取付け側から見て工具本体102の回転方向Aと切れ刃103の向きにより切れ刃の左右がある。
【0003】
従来のエンドミルの一例として右刃右ねじれのものを図8に示す。
図8に示すように、エンドミル101の回転方向Aが取付け側から見て時計回りの時は、切れ刃103のねじれの向きが時計回り(右ねじれ)であり、切れ刃103は上向きに付く(右刃右ねじれ)。切れ刃103の、回転方向Aと反対の面は逃げ面104となっている。
【0004】
従来のエンドミルの他の例として左刃左ねじれのものを図9に示す。
図9に示すように、エンドミル101の回転方向Bが取付け側から見て反時計回りの時は、切れ刃103のねじれの向きが反時計回り(左ねじれ)であり、切れ刃103は上向きに付く(左刃左ねじれ)。切れ刃103の、回転方向Bと反対の面は逃げ面104となっている。
【0005】
このようなエンドミル106は、図10に示すようにコレット109及びホルダ108を介して工作機械の主軸107に取り付けられる。
【0006】
上述の右刃右ねじれや左刃左ねじれの外周刃を有するエンドミルには、切削抵抗Fが、軸方向の抵抗faと半径方向の抵抗frとに作用する。また、回転方向が変わっても、切れ刃が上向きに付いているので、軸方向faの向きは同じである。軸方向の抵抗faの向きは、エンドミルを工作機械から引き抜く方向d2へ作用するため、工作機械と工具系との接触部分の接触圧が低下することにより、剛性が低下し、びびりが発生する可能性がある。また、半径方向の抵抗frは、工具又は工作物の変形をもたらすため、加工精度を悪化させる。さらに、この時の切りくず排出方向cは、エンドミル101の取付け側方向となるため、立て形の工作機械を使用する場合は、切りくずが工作物上に堆積しやすくなり、工作物の熱変形や、切りくずの噛み込みによる工具の欠損が生じやすくなる。
【0007】
上述課題を改善するために、右刃左ねじれや左刃右ねじれの外周刃を有するエンドミルが知られている。このエンドミルには、切削抵抗Fが、軸方向の抵抗faと半径方向の抵抗frとに作用する。また、回転方向が変わっても、切れ刃が下向きに付いているので、軸方向faの向きは同じである。軸方向faの向きは、エンドミル106を工作機械に押しつける方向d1方向へ作用するため、工作機械と工具との接触圧が大きくなり、剛性が向上する。また、切りくず排出方向cは、エンドミルの先端方向となる。特に、立て形の工作機械による側面加工の場合、切りくずが下方に落下し、工作物の熱変形や加工部への切りくずの噛み込みを防止することができる。また、高速切削において切りくず排出性の向上を図るものとして、超硬エンドミルが知られている。これは、工具本体の周面に外周刃が形成され、外周切れ刃にはチップブレーカ溝をねじ状に設けることにより、切りくずを破断し、切りくず排出性の向上を図っている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
さらに、上述のエンドミルを用い4軸加工機を使用して傾斜面加工や曲面加工する場合、エンドミル101の先端部のみを工作物に当てて加工するので、切れ刃の切れ味が低下したり、切りくずの噛み込みが発生したり、びびりが発生しやすくなる。そのため、5軸加工機を使用してボールエンドミルによる加工で対応しているが、5軸加工機、専用の工具が必要となる。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−263915号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、1つの工作物に対して、側面加工と傾斜面加工及び曲面加工を行う場合、各加工毎に工具及び加工機を変える必要があり、加工の能率が低下するという問題がある。
【0011】
このようなことから、本発明は、加工の高能率、高精度化を図ることができるエンドミルを提供することを目的としてなされたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決する本発明の構成は、工具本体の周面に外周刃が形成されると共に工具本体の先端に底刃が形成されるエンドミルにおいて、前記外周刃を前記工具本体の先端側に向けて形成し、前記外周刃の前記底刃と接する付近のねじれ角を小さくすることを特徴とする。前記ねじれ角θは、0<θ<30°とされる。
【0013】
また、本発明は、上述したエンドミルを加工面に沿って、当該エンドミルの半径方向と軸方向の合方向に送ることにより、傾斜面あるいは3次元曲面を生成することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明によるエンドミル及びこれを用いた加工方法の実施の形態を以下に説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
本発明の一実施形態であるエンドミルの正面図を図1に示す。
図1に示すように、円柱状の工具本体2の周面に外周刃3が形成され、工具本体2の先端に底刃5が形成される。前記外周刃3は前記工具本体2の先端側に向けて形成され、外周刃3の底刃5と接する付近のねじれ角θは他の部分より小さくなっている。例えばこの角度は、0°<θ<30°である。このエンドミル1は、取付け側から見て時計回り(矢印A)に駆動回転される。このエンドミル1は、右刃左ねじれのものである。外周刃3の底刃5と接する付近のみ外周刃3のねじれ角θが小さいことから、加工面に対するすくい角が他の部分より大きくなり、切れ味は向上する。
【0016】
本発明の他の実施の形態であるエンドミルの正面図を図2に示す。
図2に示すように、円柱状の工具本体2の外周に外周刃3が形成され、工具本体2の先端に底刃5が形成される。前記外周刃3は前記工具本体2の先端側に向けて形成され、外周刃3の底刃5と接する付近のねじれ角θは他の部分より小さくなっている。例えばこの角度は、0°<θ<30°である。このエンドミル1は、取付け側から見て反時計回り(矢印B)に駆動回転される。このエンドミル1は、左刃右ねじれのものである。外周刃3の底刃5と接する付近のみ外周刃3のねじれ角θが小さいことから、加工面に対するすくい角が他の部分より大きくなり、切れ味は向上する。
【0017】
本発明の一実施形態である図1に示したエンドミルを用いた加工方法を図3に示す。
この加工方法では、エンドミル1を工作物7の加工面8に沿ってエンドミル1の半径方向(矢印h)に送ることにより、切れ刃が工作物7の側面全体を切削して、加工面8を生成する。外周刃がエンドミル1の先端下向き、左ねじれでつき、回転方向Aは時計回りなので、切りくずの排出方向が回転軸方向下向きとなり、切りくずは、エンドミル1の先端側に向かって落ちる。よって、切りくずの噛み込みよる工具欠損が生じにくい。
【0018】
本発明の一実施形態である図1に示したエンドミルを用いた他の加工方法を図4に示す。
この加工方法では、プランジ加工(エンドミル1を軸方向に送りながら半径方向へピックフィードをかけながら加工を行う方法)で、エンドミル1の先端部を矢印iで示すように工作物7の加工面8に沿って軸方向下向きに工作物の底面まで切削送りし、次いで加工面からエンドミル1を浮かせて矢印jで示すように軸方向上向きに工作物の頂部まで早送りする。再びエンドミル1の先端部を矢印iで示すように工作物7の加工面8に沿って軸方向下向きに切削する。これを繰り返すことにより、加工面8を生成する。よって、エンドミル1の先端部から切削するので、外周刃の底刃と接する付近の外周刃を利用することができる。
【0019】
本発明の更に他の実施形態になるエンドミルを用いた加工方法を図5に示す。
このエンドミル1は、工具本体2の先端部を大径部2aとし、そこに図1に示したのと同様に、外周刃3を形成し、底刃5を形成したのもである。前記外周刃は前記工具本体2の先端側に向けて形成される。外周刃の底刃5と接する付近のねじれ角θが他の部分より小さくなっている。例えばこの角度は、0°<θ<30°である。加工に作用する箇所は、工具本体2の外周刃の底刃5と接する部分なので、工具本体2の先端付近だけ切れ刃を形成し、刃の無い部分は加工面8との摩擦を回避するため、切れ刃のある部分よりも径を小さくしたものである。
【0020】
この加工方法では、図4に示したのと同様に、プランジ加工(エンドミル1を軸方向に送りながら半径方向へピックフィードをかけながら加工を行う方法)で、エンドミル1の先端部を矢印kで示すように工作物7の加工面8に沿って軸方向下向きに工作物の底面まで切削送りし、次いで加工面からエンドミル1を浮かせて矢印lで示すように軸方向上向きに工作物の頂部まで早送りする。再びエンドミル1の先端部を矢印kで示すように工作物7の加工面8に沿って軸方向下向きに切削する。これを繰り返すことにより、加工面8を生成する。エンドミル1の先端部から切削するので、外周刃の底刃と接する付近の外周刃を利用することができる。
【0021】
本発明の一実施形態である図1に示したエンドミルを用いた他の加工方法を図6に示す。
この加工方法は、下向き斜め送り加工であり、エンドミル1の先端部を工作物7の加工面8に沿って、エンドミル1の半径方向と軸方向の合方向である矢印m方向の終端まで切削し、次いでエンドミル1を工作物7の加工面8から浮かせ、エンドミル1の半径方向と軸方向の合方向である矢印n方向に早送りする。再びエンドミル1の先端部を工作物7の加工面8に沿ってエンドミル1の半径方向と軸方向の合方向である矢印m方向に切削する。これを繰り返すことにより、加工面8を生成する。よって、エンドミルの先端部の切れ刃を利用することができる。また、4軸加工機を使用して傾斜面加工や曲面加工が可能となる。
【0022】
したがって、上述したようなエンドミルは、外周刃3の底刃5と接する付近のみ外周刃3のねじれ角θは他の部分より小さく、他の部分と比べてすくい角が大きいことから、切れ味が良くなる。また、切りくず排出性が向上する。よって、加工の高能率化を図ると共に加工精度の向上を図ることができる。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、工具本体の周面に外周刃が形成されると共に工具本体に底辺が形成されるエンドミルにおいて、前記外周刃を前記工具本体の先端側に向けて形成し、前記外周刃の前記底刃と接する付近のねじれ角を小さくしたので、切れ味が良くなり、切りくずの排出性が向上する。
【0024】
さらに、上述したエンドミルを用いて加工面に沿って、当該エンドミルの半径方向と軸方向の合方向に送ることにより、傾斜面あるいは3次元曲面を生成できることから、4軸加工機を使用して、側面や傾斜面や3次元曲面を加工することができ、加工の高能率化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による右刃左ねじれのエンドミルの実施の形態の概略構造図である。
【図2】本発明による左刃右ねじれのエンドミルの実施の形態の概略構造図である。
【図3】本発明によるエンドミルを用いた側面の加工方法を示す概略図である。
【図4】本発明によるエンドミルを用いたプランジ加工を示す概略図である。
【図5】本発明による先端部のみ切れ刃を有するエンドミルを用いたプランジ加工を示す概略図である。
【図6】本発明によるエンドミルを用いた下向き斜め送り加工方法を示す概略図である。
【図7】従来のエンドミルの一例の概略構造図をである。
【図8】従来の右刃右ねじれのエンドミルの正面図である。
【図9】従来の左刃左ねじれのエンドミルの正面図である。
【図10】7/24テーパBTシャンクを使用する時のエンドミル保持方法を示す図である。
【符号の説明】
1 エンドミル
2 工具本体
3 切れ刃(外周刃)
4 逃げ面
5 底刃
6 コーナー
7 工作物
8 加工面
101 エンドミル
102 工具本体
103 切れ刃(外周刃)
104 逃げ面
105 底刃
106 エンドミル
107 主軸
108 ホルダ
109 コレット
θ ねじれ角
A 回転方向(時計回り)
B 回転方向(反時計回り)
F 切削抵抗
fa 軸方向の抵抗
fr 半径方向の抵抗
c 切りくずの排出方向
d1 エンドミルを工作機械に押しつける方向
d2 エンドミルを工作機械から引き抜く方向
O 回転軸
h 切削送り方向
i 切削送り方向
j 早送り方向
k 切削送り方向
l 早送り方向
m 切削送り方向
n 早送り方向
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンドミル及びこれを用いた加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のエンドミルの概略構造を図7に示す。
図7に示すように、エンドミル101は、工具本体102の外周に付けられた切れ刃(外周刃)103と工具本体102の先端(下端)に付けられた切れ刃(底刃)105を有している。この外周刃103はねじれ刃となり、このねじれ角θは回転軸Oに対して、30°〜45°前後である。また、ねじれ刃には、取付け側から見て工具本体102の回転軸Oに対するねじれの向きによりねじれの左右があり、取付け側から見て工具本体102の回転方向Aと切れ刃103の向きにより切れ刃の左右がある。
【0003】
従来のエンドミルの一例として右刃右ねじれのものを図8に示す。
図8に示すように、エンドミル101の回転方向Aが取付け側から見て時計回りの時は、切れ刃103のねじれの向きが時計回り(右ねじれ)であり、切れ刃103は上向きに付く(右刃右ねじれ)。切れ刃103の、回転方向Aと反対の面は逃げ面104となっている。
【0004】
従来のエンドミルの他の例として左刃左ねじれのものを図9に示す。
図9に示すように、エンドミル101の回転方向Bが取付け側から見て反時計回りの時は、切れ刃103のねじれの向きが反時計回り(左ねじれ)であり、切れ刃103は上向きに付く(左刃左ねじれ)。切れ刃103の、回転方向Bと反対の面は逃げ面104となっている。
【0005】
このようなエンドミル106は、図10に示すようにコレット109及びホルダ108を介して工作機械の主軸107に取り付けられる。
【0006】
上述の右刃右ねじれや左刃左ねじれの外周刃を有するエンドミルには、切削抵抗Fが、軸方向の抵抗faと半径方向の抵抗frとに作用する。また、回転方向が変わっても、切れ刃が上向きに付いているので、軸方向faの向きは同じである。軸方向の抵抗faの向きは、エンドミルを工作機械から引き抜く方向d2へ作用するため、工作機械と工具系との接触部分の接触圧が低下することにより、剛性が低下し、びびりが発生する可能性がある。また、半径方向の抵抗frは、工具又は工作物の変形をもたらすため、加工精度を悪化させる。さらに、この時の切りくず排出方向cは、エンドミル101の取付け側方向となるため、立て形の工作機械を使用する場合は、切りくずが工作物上に堆積しやすくなり、工作物の熱変形や、切りくずの噛み込みによる工具の欠損が生じやすくなる。
【0007】
上述課題を改善するために、右刃左ねじれや左刃右ねじれの外周刃を有するエンドミルが知られている。このエンドミルには、切削抵抗Fが、軸方向の抵抗faと半径方向の抵抗frとに作用する。また、回転方向が変わっても、切れ刃が下向きに付いているので、軸方向faの向きは同じである。軸方向faの向きは、エンドミル106を工作機械に押しつける方向d1方向へ作用するため、工作機械と工具との接触圧が大きくなり、剛性が向上する。また、切りくず排出方向cは、エンドミルの先端方向となる。特に、立て形の工作機械による側面加工の場合、切りくずが下方に落下し、工作物の熱変形や加工部への切りくずの噛み込みを防止することができる。また、高速切削において切りくず排出性の向上を図るものとして、超硬エンドミルが知られている。これは、工具本体の周面に外周刃が形成され、外周切れ刃にはチップブレーカ溝をねじ状に設けることにより、切りくずを破断し、切りくず排出性の向上を図っている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
さらに、上述のエンドミルを用い4軸加工機を使用して傾斜面加工や曲面加工する場合、エンドミル101の先端部のみを工作物に当てて加工するので、切れ刃の切れ味が低下したり、切りくずの噛み込みが発生したり、びびりが発生しやすくなる。そのため、5軸加工機を使用してボールエンドミルによる加工で対応しているが、5軸加工機、専用の工具が必要となる。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−263915号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、1つの工作物に対して、側面加工と傾斜面加工及び曲面加工を行う場合、各加工毎に工具及び加工機を変える必要があり、加工の能率が低下するという問題がある。
【0011】
このようなことから、本発明は、加工の高能率、高精度化を図ることができるエンドミルを提供することを目的としてなされたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決する本発明の構成は、工具本体の周面に外周刃が形成されると共に工具本体の先端に底刃が形成されるエンドミルにおいて、前記外周刃を前記工具本体の先端側に向けて形成し、前記外周刃の前記底刃と接する付近のねじれ角を小さくすることを特徴とする。前記ねじれ角θは、0<θ<30°とされる。
【0013】
また、本発明は、上述したエンドミルを加工面に沿って、当該エンドミルの半径方向と軸方向の合方向に送ることにより、傾斜面あるいは3次元曲面を生成することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明によるエンドミル及びこれを用いた加工方法の実施の形態を以下に説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
本発明の一実施形態であるエンドミルの正面図を図1に示す。
図1に示すように、円柱状の工具本体2の周面に外周刃3が形成され、工具本体2の先端に底刃5が形成される。前記外周刃3は前記工具本体2の先端側に向けて形成され、外周刃3の底刃5と接する付近のねじれ角θは他の部分より小さくなっている。例えばこの角度は、0°<θ<30°である。このエンドミル1は、取付け側から見て時計回り(矢印A)に駆動回転される。このエンドミル1は、右刃左ねじれのものである。外周刃3の底刃5と接する付近のみ外周刃3のねじれ角θが小さいことから、加工面に対するすくい角が他の部分より大きくなり、切れ味は向上する。
【0016】
本発明の他の実施の形態であるエンドミルの正面図を図2に示す。
図2に示すように、円柱状の工具本体2の外周に外周刃3が形成され、工具本体2の先端に底刃5が形成される。前記外周刃3は前記工具本体2の先端側に向けて形成され、外周刃3の底刃5と接する付近のねじれ角θは他の部分より小さくなっている。例えばこの角度は、0°<θ<30°である。このエンドミル1は、取付け側から見て反時計回り(矢印B)に駆動回転される。このエンドミル1は、左刃右ねじれのものである。外周刃3の底刃5と接する付近のみ外周刃3のねじれ角θが小さいことから、加工面に対するすくい角が他の部分より大きくなり、切れ味は向上する。
【0017】
本発明の一実施形態である図1に示したエンドミルを用いた加工方法を図3に示す。
この加工方法では、エンドミル1を工作物7の加工面8に沿ってエンドミル1の半径方向(矢印h)に送ることにより、切れ刃が工作物7の側面全体を切削して、加工面8を生成する。外周刃がエンドミル1の先端下向き、左ねじれでつき、回転方向Aは時計回りなので、切りくずの排出方向が回転軸方向下向きとなり、切りくずは、エンドミル1の先端側に向かって落ちる。よって、切りくずの噛み込みよる工具欠損が生じにくい。
【0018】
本発明の一実施形態である図1に示したエンドミルを用いた他の加工方法を図4に示す。
この加工方法では、プランジ加工(エンドミル1を軸方向に送りながら半径方向へピックフィードをかけながら加工を行う方法)で、エンドミル1の先端部を矢印iで示すように工作物7の加工面8に沿って軸方向下向きに工作物の底面まで切削送りし、次いで加工面からエンドミル1を浮かせて矢印jで示すように軸方向上向きに工作物の頂部まで早送りする。再びエンドミル1の先端部を矢印iで示すように工作物7の加工面8に沿って軸方向下向きに切削する。これを繰り返すことにより、加工面8を生成する。よって、エンドミル1の先端部から切削するので、外周刃の底刃と接する付近の外周刃を利用することができる。
【0019】
本発明の更に他の実施形態になるエンドミルを用いた加工方法を図5に示す。
このエンドミル1は、工具本体2の先端部を大径部2aとし、そこに図1に示したのと同様に、外周刃3を形成し、底刃5を形成したのもである。前記外周刃は前記工具本体2の先端側に向けて形成される。外周刃の底刃5と接する付近のねじれ角θが他の部分より小さくなっている。例えばこの角度は、0°<θ<30°である。加工に作用する箇所は、工具本体2の外周刃の底刃5と接する部分なので、工具本体2の先端付近だけ切れ刃を形成し、刃の無い部分は加工面8との摩擦を回避するため、切れ刃のある部分よりも径を小さくしたものである。
【0020】
この加工方法では、図4に示したのと同様に、プランジ加工(エンドミル1を軸方向に送りながら半径方向へピックフィードをかけながら加工を行う方法)で、エンドミル1の先端部を矢印kで示すように工作物7の加工面8に沿って軸方向下向きに工作物の底面まで切削送りし、次いで加工面からエンドミル1を浮かせて矢印lで示すように軸方向上向きに工作物の頂部まで早送りする。再びエンドミル1の先端部を矢印kで示すように工作物7の加工面8に沿って軸方向下向きに切削する。これを繰り返すことにより、加工面8を生成する。エンドミル1の先端部から切削するので、外周刃の底刃と接する付近の外周刃を利用することができる。
【0021】
本発明の一実施形態である図1に示したエンドミルを用いた他の加工方法を図6に示す。
この加工方法は、下向き斜め送り加工であり、エンドミル1の先端部を工作物7の加工面8に沿って、エンドミル1の半径方向と軸方向の合方向である矢印m方向の終端まで切削し、次いでエンドミル1を工作物7の加工面8から浮かせ、エンドミル1の半径方向と軸方向の合方向である矢印n方向に早送りする。再びエンドミル1の先端部を工作物7の加工面8に沿ってエンドミル1の半径方向と軸方向の合方向である矢印m方向に切削する。これを繰り返すことにより、加工面8を生成する。よって、エンドミルの先端部の切れ刃を利用することができる。また、4軸加工機を使用して傾斜面加工や曲面加工が可能となる。
【0022】
したがって、上述したようなエンドミルは、外周刃3の底刃5と接する付近のみ外周刃3のねじれ角θは他の部分より小さく、他の部分と比べてすくい角が大きいことから、切れ味が良くなる。また、切りくず排出性が向上する。よって、加工の高能率化を図ると共に加工精度の向上を図ることができる。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、工具本体の周面に外周刃が形成されると共に工具本体に底辺が形成されるエンドミルにおいて、前記外周刃を前記工具本体の先端側に向けて形成し、前記外周刃の前記底刃と接する付近のねじれ角を小さくしたので、切れ味が良くなり、切りくずの排出性が向上する。
【0024】
さらに、上述したエンドミルを用いて加工面に沿って、当該エンドミルの半径方向と軸方向の合方向に送ることにより、傾斜面あるいは3次元曲面を生成できることから、4軸加工機を使用して、側面や傾斜面や3次元曲面を加工することができ、加工の高能率化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による右刃左ねじれのエンドミルの実施の形態の概略構造図である。
【図2】本発明による左刃右ねじれのエンドミルの実施の形態の概略構造図である。
【図3】本発明によるエンドミルを用いた側面の加工方法を示す概略図である。
【図4】本発明によるエンドミルを用いたプランジ加工を示す概略図である。
【図5】本発明による先端部のみ切れ刃を有するエンドミルを用いたプランジ加工を示す概略図である。
【図6】本発明によるエンドミルを用いた下向き斜め送り加工方法を示す概略図である。
【図7】従来のエンドミルの一例の概略構造図をである。
【図8】従来の右刃右ねじれのエンドミルの正面図である。
【図9】従来の左刃左ねじれのエンドミルの正面図である。
【図10】7/24テーパBTシャンクを使用する時のエンドミル保持方法を示す図である。
【符号の説明】
1 エンドミル
2 工具本体
3 切れ刃(外周刃)
4 逃げ面
5 底刃
6 コーナー
7 工作物
8 加工面
101 エンドミル
102 工具本体
103 切れ刃(外周刃)
104 逃げ面
105 底刃
106 エンドミル
107 主軸
108 ホルダ
109 コレット
θ ねじれ角
A 回転方向(時計回り)
B 回転方向(反時計回り)
F 切削抵抗
fa 軸方向の抵抗
fr 半径方向の抵抗
c 切りくずの排出方向
d1 エンドミルを工作機械に押しつける方向
d2 エンドミルを工作機械から引き抜く方向
O 回転軸
h 切削送り方向
i 切削送り方向
j 早送り方向
k 切削送り方向
l 早送り方向
m 切削送り方向
n 早送り方向
Claims (2)
- 工具本体の周面に外周刃が形成されると共に工具本体の先端に底刃が形成されるエンドミルにおいて、前記外周刃を前記工具本体の先端側に向けて形成し、前記外周刃の前記底刃と接する付近のねじれ角を小さくしたことを特徴とするエンドミル。
- 請求項1に記載されたエンドミルを加工面に沿って、当該エンドミルの半径方向と軸方向の合方向に送ることにより、傾斜面あるいは3次元曲面を生成することを特徴とする加工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002278625A JP2004114191A (ja) | 2002-09-25 | 2002-09-25 | エンドミル及びこれを用いた加工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002278625A JP2004114191A (ja) | 2002-09-25 | 2002-09-25 | エンドミル及びこれを用いた加工方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004114191A true JP2004114191A (ja) | 2004-04-15 |
Family
ID=32273856
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002278625A Withdrawn JP2004114191A (ja) | 2002-09-25 | 2002-09-25 | エンドミル及びこれを用いた加工方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004114191A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007290105A (ja) * | 2006-04-27 | 2007-11-08 | Tungaloy Corp | エンドミル |
JPWO2021172065A1 (ja) * | 2020-02-28 | 2021-09-02 |
-
2002
- 2002-09-25 JP JP2002278625A patent/JP2004114191A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007290105A (ja) * | 2006-04-27 | 2007-11-08 | Tungaloy Corp | エンドミル |
JPWO2021172065A1 (ja) * | 2020-02-28 | 2021-09-02 | ||
JP7161254B2 (ja) | 2020-02-28 | 2022-10-26 | 国立大学法人東海国立大学機構 | 加工方法、加工装置およびプログラム |
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