JP2004114089A - 溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、被溶接材の表面に形成するフラックス層の成分に依ることなく、その溶込み深さ向上特性を最大限に引き出し、フラックス層の形成コストを削減することが可能な溶接方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る溶接方法は、溶融池の表面張力温度特性が正となる酸素濃度範囲に基づき、溶融池内の酸素量が所定範囲となる量のフラックス層を被溶接材の表面に形成して溶接を行うことを特徴としている。具体的には、溶融池内の酸素量が50〜600[ppm]となる量のフラックス層を被溶接材の表面に形成して溶接を行うとよい。特に、溶融池内の酸素量が70〜300[ppm]となる量のSiO2層を被溶接材の表面に形成して溶接を行うとよい。
【選択図】 図9
【解決手段】本発明に係る溶接方法は、溶融池の表面張力温度特性が正となる酸素濃度範囲に基づき、溶融池内の酸素量が所定範囲となる量のフラックス層を被溶接材の表面に形成して溶接を行うことを特徴としている。具体的には、溶融池内の酸素量が50〜600[ppm]となる量のフラックス層を被溶接材の表面に形成して溶接を行うとよい。特に、溶融池内の酸素量が70〜300[ppm]となる量のSiO2層を被溶接材の表面に形成して溶接を行うとよい。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラックス層を被溶接材の表面に形成して溶接を行う溶接方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
GTA[Gas Tungsten Arc]溶接法(TIG[Tungsten Inert Gas]溶接法)は、ステンレス鋼、チタン合金、及びその他非鉄金属に使用される高品質溶接技術として工業的に広く用いられている。しかし、本溶接法では、溶融池の溶込み深さが浅いため、1パスで厚手の構造物を溶接するには限界があり、生産性の低さが課題とされていた。
【0003】
上記の課題を解決する技術として、近年、TIG溶接法の新規な一形態であるA−TIG[Active flux − TIG]溶接法が提案されている。A−TIG溶接法は、溶接促進剤として働くフラックス層を被溶接材の表面に事前形成してアーク溶接を行う溶接法であり、溶融池の溶込み深さを顕著に向上することができる方法として、多くの研究者の注目を集めている。なお、フラックス層の成分としては、TiO2、SiO2、Cr2O3などの金属酸化物を用いることができるが、中でもTiO2は溶込み深さを向上させる特性が高いとして、フラックス層の主成分とされていた(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−120088号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
確かに、上記した従来のA−TIG溶接法であれば、フラックス層の事前形成という比較的簡易な処理を施すことで、TIG溶接法の課題であった生産性の低さを改善することが可能である。しかしながら、従来のA−TIG溶接法でフラックス層の主成分とされていたTiO2は、他の金属酸化物(特にSiO2)に比べると高価であるため、コスト的に不利であるという課題を有していた。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑み、被溶接材の表面に形成するフラックス層の成分に依ることなく、その溶込み深さ向上特性を最大限に引き出し、フラックス層の形成コストを削減することが可能な溶接方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る溶接方法は、溶融池の表面張力温度特性が正となる酸素濃度範囲に基づき、前記溶融池内の酸素量が所定範囲となる量のフラックス層を被溶接材の表面に形成して溶接を行うことを特徴としている。具体的に言うと、溶融池内の酸素量が50〜600[ppm]となる量のフラックス層を被溶接材の表面に形成して溶接を行うようにするとよい。特に、溶融池内の酸素量が70〜300[ppm]となるSiO2層を被溶接材の表面に事前形成して溶接を行うようにするとよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、SUS304ステンレス鋼を被溶接材として実施された溶接実験(ビード・オン・プレート溶接)の結果を参照しながら、本発明に係る溶接方法についての詳細な説明を行う。
【0009】
(実験方法)
図1は実験で用いた試料の概略上面図及び概略側面図である。本図に示すように、本実験で用いた試料1は、100×50×10[mm]に切り出したSUS304ステンレス鋼の直方体板材であり、溶接に先立ち、その表面は80#研磨紙で平滑とした。また、試料1の表面中央部には、100×5×0.1[mm]の溝2を形成した。なお、試料1の平均組成は次表に示す通りであった。
【表1】
【0010】
一方、溝2の一部分(50×5×0.1[mm])には、アセトンで均一に分散された酸化物フラックス3を塗布した。なお、本実験では、酸化物フラックス3の種類の影響を明確にするために、酸化物フラックス3として、ほぼ同値の比表面積(次表参照)を有する5種類の金属酸化物パウダー(Cu2O、NiO、Cr2O3、SiO2、TiO2)を用意し、各々を単独で塗布した試料1を用いて溶込み深さの測定を行った。
【表2】
【0011】
本実験では、溶接装置として、試料1をTIGトーチ下で等速移動させるための機械化システムを有するDCEN・TIG溶接電源を用いた。本実験における溶接パラメータは次表に示す通りであった。
【表3】
【0012】
溶接後、試料1をHCl+Cu2SO4溶液でエッチング処理し、ビードの表面形状と断面を光学顕微鏡カメラ(OLYMPUS社製・HC300Z/OL)によって撮影した。そして、溶融池の溶込み深さを示す物性値として、溶接部のD/W[Depth/Width]比を計測した。
【0013】
また、溶接金属中の酸素濃度を酸素/窒素分析機(HORIBA社製・EMGA−520)で分析した。酸素分析用試料は次のように準備した。まず、160[A]で溶接されたビードについては、ビード表面のスラグを400#研磨紙によって取り除き、溶接金属を直接切り出すことで酸素分析用試料とした。一方、80[A]で形成された溶接部については、溶接金属を直接切り出すにはサイズが小さ過ぎるため、溶接部周辺の母材と共に溶接金属を切り出すことで酸素分析用試料とし、該試料中の平均酸素含有量を計測した。そして、該試料に対する溶接金属の体積比に基づいて、溶接金属中の酸素含有量を計算した。
【0014】
(溶接部の断面)
酸化物フラックス3の種類と量を変えて形成した溶接ビードの断面について顕微鏡写真を参照しながら説明する。図2は酸化物フラックス3を塗布しなかった場合の溶融領域を示す断面写真であり、本図(a)、(b)は各々溶接電流を80[A]、160[A]とした場合の溶融領域4を示している。一方、図3は溶接電流80[A]で酸化物フラックス3を塗布した場合の溶融領域を示す断面写真であり、本図(a)、(b)はそれぞれ酸化物フラックス3としてCu2O、TiO2を塗布した場合の溶融領域4を示している。また、図4は溶接電流160[A]で酸化物フラックス3を塗布した場合の溶融領域を示す断面写真であり本図(a)〜(e)ではそれぞれ酸化物フラックス3としてCu2O、NiO、Cr2O3、SiO2、及びTiO2を塗布した場合の溶融領域4を示している。
【0015】
酸化物フラックス3を塗布しなかった場合に比べれば、5種類いずれの金属酸化物(Cu2O、NiO、Cr2O3、SiO2、及びTiO2)を塗布した場合でも、塗布量が所定範囲内にあるときに溶込み深さが顕著に向上した。ここで、各金属酸化物毎に見ると、図4で示すように、フラックス塗布量の違いによって溶込み深さに大きな差異が生じていた。具体的に述べると、TiO2を除く金属酸化物を塗布した場合、所定量までは塗布量を増すことで溶込み深さが増大したが、所定量を超えて以降、塗布量の増加に伴って溶け込み深さは逆に減少した。それに対して、TiO2を塗布した場合には、含有酸素量(全て分解した場合に発生する酸素量)換算で450×10−5[mol]もの大量塗布を行っても、なお溶込み深さは増大した。この傾向は、溶接電流80[A]、160[A]のいずれでも同様であった。
【0016】
(溶接部のD/W比及び酸素分析)
断面写真に基づき、全ての試料について溶融領域4の体積とD/W比を計算した。その後、溶接部をHORIBA社製・EMGA−520による酸素分析用試料として切り出した。図5、図6はそれぞれ溶接電流80[A]、160[A]で形成した溶接部のD/W比及び酸素含有量とフラックス塗布量(含有酸素量換算)との相関関係を示すグラフである。なお、図5(a)、(b)はそれぞれ酸化物フラックス3としてCu2O、TiO2を塗布した場合を示しており、図6(a)〜(e)は各々酸化物フラックス3としてCu2O、NiO、Cr2O3、SiO2、及びTiO2を塗布した場合を示している。
【0017】
図5、図6から分かるように、酸化物フラックス3としてCu2O、NiO、Cr2O3、及びSiO2を塗布した場合、溶接部のD/W比は、フラックス塗布量の増大に伴って最初急上昇するが、その後は下降に転じた。一方、酸化物フラックス3としてTiO2を塗布した場合、溶接部のD/W比は、フラックス塗布量の増大に伴って最初急上昇し、その後はほぼ一定値を維持した。
【0018】
また、酸化物フラックス3としてCu2O、NiO、及びSiO2を塗布した場合、溶接部の酸素含有量はフラックス塗布量の増大に伴って上昇した。一方、酸化物フラックス3としてCr2O3及びTiO2を塗布した場合、溶接部の酸素含有量はフラックス塗布量の増大に伴って最初上昇し、その後はそれぞれ約500[ppm]、120[ppm]を維持した。これはCu2OやNiOと比べてCr2O3及びTiO2は安定であり、同一の溶接プロセスにおける分解が比較的困難であるため、フラックスが分解することで溶接金属に含有される酸素量が、Cu2OやNiOを塗布した場合のように継続上昇し得なかったからである。
【0019】
続いて、A−TIG溶接法のメカニズムとして提唱されているマランゴニ対流の反転モデル(図7参照)に基づき、溶接部のD/W比(溶込み深さ)と酸素含有量との相関関係について詳細に説明する。このモデルでは、溶融池内の対流モードに応じてその溶込み深さが決まるとされている。なお、対流モードを変化させる駆動力としては、電磁力、表面張力温度係数、浮力、及びアークプラズマの衝突力が挙げられるが、本モデルでは、溶接電流を一定とすることで表面張力温度係数以外のファクターを固定し、表面張力の変化だけを考慮している。
【0020】
一般的に、純金属や多くの合金の表面張力は、温度上昇に伴って減少する傾向がある(表面張力温度係数∂γ/∂T<0)。そのため、このような成分から成る溶融池では、アークに近く比較的高温となる溶融池中央部の表面張力よりも、アークから遠く比較的低温となる溶融池端部の表面張力の方が大きくなる。従って、溶融池内の対流は、溶融池中央部から溶融池端部へと向かうので、溶融池の形状は、図7(a)に示すように、比較的広く浅くなる。
【0021】
それに対して、A−TIG溶接法では、酸化物フラックスの分解によって溶融池に溶け込んだ酸素が活性元素として働き、溶融池の表面張力温度係数が負から正に変化する(表面張力温度係数∂γ/∂T>0)。そのため、A−TIG溶接法における溶融池では、溶融池端部の表面張力よりも溶融池中央部の表面張力の方が大きくなる。従って、溶融池内の対流は、溶融池端部から溶融池中央部へと向かうので、溶融池の形状は、図7(b)に示すように、比較的狭く深くなる。
【0022】
図8は純鉄溶融池の表面張力と酸素含有量との相関関係を示すグラフであり、本図はJ.High.Temp.Soc.18(1992) 14−19に掲載されたH.TaimastuとK.Nogiによる研究結果の抜粋である。本図に示す通り、純鉄の溶融池に溶け込んだ酸素は、150〜350[ppm]の濃度範囲で活性元素として機能し、Fe−O合金の表面張力温度係数を正とした。一方、上記の濃度範囲外では、活性元素として機能せず、Fe−O合金の表面張力温度係数は負もしくはほぼ0であった。
【0023】
上記と同様、SUS304ステンレス鋼の溶融池に溶け込んだ酸素も、所定の濃度範囲でのみ活性元素として機能すると仮定すれば、本実験における溶接部のD/W比と酸素含有量との相関関係を説明することができる。
【0024】
まず、酸化物フラックス3としてCu2O、NiO、Cr2O3、及びSiO2を塗布した場合について説明する。これらの金属酸化物を塗布した場合、溶接部の酸素含有量はフラックス塗布量に応じて大きく変化する(図5、図6参照)。そのため、フラックス塗布量を増大させていくと、最初は溶融池に溶け込んだ酸素が所定濃度範囲で活性元素として機能し、マランゴニ対流モードは外向きから内向きに変化するが、所定濃度範囲を超えると酸素は活性元素として機能しなくなり、内向きの対流が弱くなったり、マランゴニ対流モードが内向きから外向きに変化したりする。このような理由から、酸化物フラックス3としてCu2O、NiO、Cr2O3、及びSiO2を塗布した場合には、その塗布量の増大に伴って、溶接部のD/W比が上昇から下降に転じたと考えられる。
【0025】
次に、酸化物フラックス3としてTiO2を塗布した場合について説明する。この場合、溶接部の酸素含有量は、フラックス塗布量に依ることなく、常に200[ppm]以下を維持する。そのため、フラックス塗布量を増大させても、溶融池に溶け込んだ酸素は常に所定濃度範囲で活性元素として機能し、マランゴニ対流モードを外向きから内向きに変化させる。このような理由から、酸化物フラックス3としてTiO2を塗布した場合には、その塗布量を増大させても、溶接部のD/W比が上昇から下降に転じなかったと考えられる。
【0026】
図9は溶接部のD/W比と酸素含有量との相関関係を示すグラフである。本図から分かるように、溶接部の酸素含有量が50〜600[ppm]となる量の酸化物フラックス3を被溶接材に塗布すれば、酸化物フラックス3の成分に依ることなく、その溶込み深さ向上特性を最大限に引き出すことができる。特に、酸化物フラックス3として、溶接部の酸素含有量が70〜300[ppm]となる量のSiO2を被溶接材に塗布すれば、比較的高価なTiO2を塗布した場合と同等、或いはそれ以上の溶込み深さを得ることができるので、フラックス層の形成コストを削減することが可能となる。また、従来と同様、酸化物フラックスの主成分をTiO2とする場合でも、その塗布量を必要最低限とすることができるので、やはりフラックス層の形成コストを削減することが可能となる上、溶接部の強度低下を最小限に抑えることも可能となる。
【0027】
なお、純鉄の溶融池に溶け込んだ酸素は、前出の図8でも示したように、150〜350[ppm]の濃度範囲で活性元素としての機能を発揮したが、被溶接材としてSUS304ステンレス鋼を用いた本実験では、溶接部の酸素含有量が50〜600[ppm](より好ましくは70〜300[ppm])の濃度範囲で、その溶込み深さが向上した。このような濃度範囲の差違は、SUS304ステンレス鋼中に含まれる合金元素(NiやCrなど)の作用によって生じたのではないかと考えられる。
【0028】
(アーク形状及びビード形態)
最後に、酸化物フラックス3としてTiO2を塗布した場合に、その塗布量に依ることなく溶接部の酸素含有量が常に200[ppm]以下を維持するメカニズムについて、アーク形状及びビード形態の観察結果を参照しながら説明する。図10、図11はそれぞれアーク形状及びビード形態を示す観察写真である。
【0029】
図10(e)に示すように、酸化物フラックス3としてTiO2を塗布した場合、フラックス塗布量(含有酸素量換算)が120×10−5[mol]を越えると、酸化物フラックス3の大半は溶融池に溶け込むことなく、アーク直近で液滴となり、アークと共に進行方向へと移動していった。なお、TiO2の液滴サイズはフラックス塗布量の増大に伴って徐々に大きくなり、最終的にはアーク下で破裂して、図11の矢印部で示すようにビード表面のピットから離れた。このような現象により、酸化物フラックス3として塗布されたTiO2の大半は、溶接部の酸素増加に関係しなかったと考えられる。一方、図10(a)〜(d)に示すように、本実験で用いた他の金属酸化物ではこの現象が見られなかった。
【0030】
なお、上記実施形態では、本発明に係る溶接方法をTIG溶接法に適用した場合を例に挙げて説明を行ったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、フラックス層を被溶接材の表面に事前形成して溶接を行う溶接方法に広く適用が可能である。
【0031】
また、上記実施形態では、SUS304ステンレス鋼を被溶接材とした実験結果に基づいて説明を行ったが、本発明を適用可能な被溶接材はこれに限定されるものではなく、殆どの実用金属(特に、炭素鋼、低合金鋼、耐熱鋼などの鉄系材料)についても、同様の理論に基づいて本発明の適用が可能である。
【0032】
また、上記実施形態では、溶融池内の酸素量を制御するために、フラックス塗布量を制御した構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の実現手段はこれに限定されるものではなく、フラックスの比表面積(粒径)を制御する構成としても構わない。このとき、フラックス粒径を微細化して比表面積を大きくすれば、フラックスの反応性が高まって酸素を放出しやすくなるので、フラックス塗布量を削減することが可能となり、コスト面や溶接強度面において有利となる。一方、フラックス粒径を大きくして比表面積を小さくすれば、フラックスの塗布量変動に対する溶融池内の酸素量変動が鈍くなるので、フラックスの塗布量制御を容易化することができる。
【0033】
【発明の効果】
上記で説明したように、本発明に係る溶接方法であれば、被溶接材の表面に形成するフラックス層の成分に依ることなく、その溶込み深さ向上特性を最大限に引き出し、フラックス層の形成コストを削減することが可能となる。特に、溶融池内の酸素量が70〜300[ppm]となる量のSiO2層を被溶接材の表面に形成して溶接を行うようにすれば、比較的高価なTiO2層を形成した場合と同等、或いはそれ以上の溶込み深さを得ることができるので、フラックス層の形成コストを削減することが可能となる。また、従来と同様、酸化物フラックスの主成分をTiO2とする場合でも、その塗布量を必要最低限とすることができるので、やはりフラックス層の形成コストを削減することが可能となる上、溶接部の強度低下を最小限に抑えることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験で用いた試料の概略上面図及び概略側面図である。
【図2】酸化物フラックス3を塗布しなかった場合の溶融領域を示す断面写真である。
【図3】溶接電流80[A]で酸化物フラックス3を塗布した場合の溶融領域を示す断面写真である。
【図4】溶接電流160[A]で酸化物フラックス3を塗布した場合の溶融領域を示す断面写真である。
【図5】溶接電流80[A]で形成した溶接部のD/W比及び酸素含有量とフラックス塗布量(含有酸素量換算)との相関関係を示すグラフである。
【図6】溶接電流160[A]で形成した溶接部のD/W比及び酸素含有量とフラックス塗布量(含有酸素量換算)との相関関係を示すグラフである。
【図7】マランゴニ対流の反転モデルを説明するための模式図である。
【図8】純鉄溶融池の表面張力と酸素含有量との相関関係を示すグラフである。
【図9】溶接部のD/W比と酸素含有量との相関関係を示すグラフである。
【図10】アーク形状を示す観察写真である。
【図11】ビード形態を示す観察写真である。
【符号の説明】
1 試料
2 溝
3 酸化物フラックス
4 溶融領域
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラックス層を被溶接材の表面に形成して溶接を行う溶接方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
GTA[Gas Tungsten Arc]溶接法(TIG[Tungsten Inert Gas]溶接法)は、ステンレス鋼、チタン合金、及びその他非鉄金属に使用される高品質溶接技術として工業的に広く用いられている。しかし、本溶接法では、溶融池の溶込み深さが浅いため、1パスで厚手の構造物を溶接するには限界があり、生産性の低さが課題とされていた。
【0003】
上記の課題を解決する技術として、近年、TIG溶接法の新規な一形態であるA−TIG[Active flux − TIG]溶接法が提案されている。A−TIG溶接法は、溶接促進剤として働くフラックス層を被溶接材の表面に事前形成してアーク溶接を行う溶接法であり、溶融池の溶込み深さを顕著に向上することができる方法として、多くの研究者の注目を集めている。なお、フラックス層の成分としては、TiO2、SiO2、Cr2O3などの金属酸化物を用いることができるが、中でもTiO2は溶込み深さを向上させる特性が高いとして、フラックス層の主成分とされていた(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−120088号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
確かに、上記した従来のA−TIG溶接法であれば、フラックス層の事前形成という比較的簡易な処理を施すことで、TIG溶接法の課題であった生産性の低さを改善することが可能である。しかしながら、従来のA−TIG溶接法でフラックス層の主成分とされていたTiO2は、他の金属酸化物(特にSiO2)に比べると高価であるため、コスト的に不利であるという課題を有していた。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑み、被溶接材の表面に形成するフラックス層の成分に依ることなく、その溶込み深さ向上特性を最大限に引き出し、フラックス層の形成コストを削減することが可能な溶接方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る溶接方法は、溶融池の表面張力温度特性が正となる酸素濃度範囲に基づき、前記溶融池内の酸素量が所定範囲となる量のフラックス層を被溶接材の表面に形成して溶接を行うことを特徴としている。具体的に言うと、溶融池内の酸素量が50〜600[ppm]となる量のフラックス層を被溶接材の表面に形成して溶接を行うようにするとよい。特に、溶融池内の酸素量が70〜300[ppm]となるSiO2層を被溶接材の表面に事前形成して溶接を行うようにするとよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、SUS304ステンレス鋼を被溶接材として実施された溶接実験(ビード・オン・プレート溶接)の結果を参照しながら、本発明に係る溶接方法についての詳細な説明を行う。
【0009】
(実験方法)
図1は実験で用いた試料の概略上面図及び概略側面図である。本図に示すように、本実験で用いた試料1は、100×50×10[mm]に切り出したSUS304ステンレス鋼の直方体板材であり、溶接に先立ち、その表面は80#研磨紙で平滑とした。また、試料1の表面中央部には、100×5×0.1[mm]の溝2を形成した。なお、試料1の平均組成は次表に示す通りであった。
【表1】
【0010】
一方、溝2の一部分(50×5×0.1[mm])には、アセトンで均一に分散された酸化物フラックス3を塗布した。なお、本実験では、酸化物フラックス3の種類の影響を明確にするために、酸化物フラックス3として、ほぼ同値の比表面積(次表参照)を有する5種類の金属酸化物パウダー(Cu2O、NiO、Cr2O3、SiO2、TiO2)を用意し、各々を単独で塗布した試料1を用いて溶込み深さの測定を行った。
【表2】
【0011】
本実験では、溶接装置として、試料1をTIGトーチ下で等速移動させるための機械化システムを有するDCEN・TIG溶接電源を用いた。本実験における溶接パラメータは次表に示す通りであった。
【表3】
【0012】
溶接後、試料1をHCl+Cu2SO4溶液でエッチング処理し、ビードの表面形状と断面を光学顕微鏡カメラ(OLYMPUS社製・HC300Z/OL)によって撮影した。そして、溶融池の溶込み深さを示す物性値として、溶接部のD/W[Depth/Width]比を計測した。
【0013】
また、溶接金属中の酸素濃度を酸素/窒素分析機(HORIBA社製・EMGA−520)で分析した。酸素分析用試料は次のように準備した。まず、160[A]で溶接されたビードについては、ビード表面のスラグを400#研磨紙によって取り除き、溶接金属を直接切り出すことで酸素分析用試料とした。一方、80[A]で形成された溶接部については、溶接金属を直接切り出すにはサイズが小さ過ぎるため、溶接部周辺の母材と共に溶接金属を切り出すことで酸素分析用試料とし、該試料中の平均酸素含有量を計測した。そして、該試料に対する溶接金属の体積比に基づいて、溶接金属中の酸素含有量を計算した。
【0014】
(溶接部の断面)
酸化物フラックス3の種類と量を変えて形成した溶接ビードの断面について顕微鏡写真を参照しながら説明する。図2は酸化物フラックス3を塗布しなかった場合の溶融領域を示す断面写真であり、本図(a)、(b)は各々溶接電流を80[A]、160[A]とした場合の溶融領域4を示している。一方、図3は溶接電流80[A]で酸化物フラックス3を塗布した場合の溶融領域を示す断面写真であり、本図(a)、(b)はそれぞれ酸化物フラックス3としてCu2O、TiO2を塗布した場合の溶融領域4を示している。また、図4は溶接電流160[A]で酸化物フラックス3を塗布した場合の溶融領域を示す断面写真であり本図(a)〜(e)ではそれぞれ酸化物フラックス3としてCu2O、NiO、Cr2O3、SiO2、及びTiO2を塗布した場合の溶融領域4を示している。
【0015】
酸化物フラックス3を塗布しなかった場合に比べれば、5種類いずれの金属酸化物(Cu2O、NiO、Cr2O3、SiO2、及びTiO2)を塗布した場合でも、塗布量が所定範囲内にあるときに溶込み深さが顕著に向上した。ここで、各金属酸化物毎に見ると、図4で示すように、フラックス塗布量の違いによって溶込み深さに大きな差異が生じていた。具体的に述べると、TiO2を除く金属酸化物を塗布した場合、所定量までは塗布量を増すことで溶込み深さが増大したが、所定量を超えて以降、塗布量の増加に伴って溶け込み深さは逆に減少した。それに対して、TiO2を塗布した場合には、含有酸素量(全て分解した場合に発生する酸素量)換算で450×10−5[mol]もの大量塗布を行っても、なお溶込み深さは増大した。この傾向は、溶接電流80[A]、160[A]のいずれでも同様であった。
【0016】
(溶接部のD/W比及び酸素分析)
断面写真に基づき、全ての試料について溶融領域4の体積とD/W比を計算した。その後、溶接部をHORIBA社製・EMGA−520による酸素分析用試料として切り出した。図5、図6はそれぞれ溶接電流80[A]、160[A]で形成した溶接部のD/W比及び酸素含有量とフラックス塗布量(含有酸素量換算)との相関関係を示すグラフである。なお、図5(a)、(b)はそれぞれ酸化物フラックス3としてCu2O、TiO2を塗布した場合を示しており、図6(a)〜(e)は各々酸化物フラックス3としてCu2O、NiO、Cr2O3、SiO2、及びTiO2を塗布した場合を示している。
【0017】
図5、図6から分かるように、酸化物フラックス3としてCu2O、NiO、Cr2O3、及びSiO2を塗布した場合、溶接部のD/W比は、フラックス塗布量の増大に伴って最初急上昇するが、その後は下降に転じた。一方、酸化物フラックス3としてTiO2を塗布した場合、溶接部のD/W比は、フラックス塗布量の増大に伴って最初急上昇し、その後はほぼ一定値を維持した。
【0018】
また、酸化物フラックス3としてCu2O、NiO、及びSiO2を塗布した場合、溶接部の酸素含有量はフラックス塗布量の増大に伴って上昇した。一方、酸化物フラックス3としてCr2O3及びTiO2を塗布した場合、溶接部の酸素含有量はフラックス塗布量の増大に伴って最初上昇し、その後はそれぞれ約500[ppm]、120[ppm]を維持した。これはCu2OやNiOと比べてCr2O3及びTiO2は安定であり、同一の溶接プロセスにおける分解が比較的困難であるため、フラックスが分解することで溶接金属に含有される酸素量が、Cu2OやNiOを塗布した場合のように継続上昇し得なかったからである。
【0019】
続いて、A−TIG溶接法のメカニズムとして提唱されているマランゴニ対流の反転モデル(図7参照)に基づき、溶接部のD/W比(溶込み深さ)と酸素含有量との相関関係について詳細に説明する。このモデルでは、溶融池内の対流モードに応じてその溶込み深さが決まるとされている。なお、対流モードを変化させる駆動力としては、電磁力、表面張力温度係数、浮力、及びアークプラズマの衝突力が挙げられるが、本モデルでは、溶接電流を一定とすることで表面張力温度係数以外のファクターを固定し、表面張力の変化だけを考慮している。
【0020】
一般的に、純金属や多くの合金の表面張力は、温度上昇に伴って減少する傾向がある(表面張力温度係数∂γ/∂T<0)。そのため、このような成分から成る溶融池では、アークに近く比較的高温となる溶融池中央部の表面張力よりも、アークから遠く比較的低温となる溶融池端部の表面張力の方が大きくなる。従って、溶融池内の対流は、溶融池中央部から溶融池端部へと向かうので、溶融池の形状は、図7(a)に示すように、比較的広く浅くなる。
【0021】
それに対して、A−TIG溶接法では、酸化物フラックスの分解によって溶融池に溶け込んだ酸素が活性元素として働き、溶融池の表面張力温度係数が負から正に変化する(表面張力温度係数∂γ/∂T>0)。そのため、A−TIG溶接法における溶融池では、溶融池端部の表面張力よりも溶融池中央部の表面張力の方が大きくなる。従って、溶融池内の対流は、溶融池端部から溶融池中央部へと向かうので、溶融池の形状は、図7(b)に示すように、比較的狭く深くなる。
【0022】
図8は純鉄溶融池の表面張力と酸素含有量との相関関係を示すグラフであり、本図はJ.High.Temp.Soc.18(1992) 14−19に掲載されたH.TaimastuとK.Nogiによる研究結果の抜粋である。本図に示す通り、純鉄の溶融池に溶け込んだ酸素は、150〜350[ppm]の濃度範囲で活性元素として機能し、Fe−O合金の表面張力温度係数を正とした。一方、上記の濃度範囲外では、活性元素として機能せず、Fe−O合金の表面張力温度係数は負もしくはほぼ0であった。
【0023】
上記と同様、SUS304ステンレス鋼の溶融池に溶け込んだ酸素も、所定の濃度範囲でのみ活性元素として機能すると仮定すれば、本実験における溶接部のD/W比と酸素含有量との相関関係を説明することができる。
【0024】
まず、酸化物フラックス3としてCu2O、NiO、Cr2O3、及びSiO2を塗布した場合について説明する。これらの金属酸化物を塗布した場合、溶接部の酸素含有量はフラックス塗布量に応じて大きく変化する(図5、図6参照)。そのため、フラックス塗布量を増大させていくと、最初は溶融池に溶け込んだ酸素が所定濃度範囲で活性元素として機能し、マランゴニ対流モードは外向きから内向きに変化するが、所定濃度範囲を超えると酸素は活性元素として機能しなくなり、内向きの対流が弱くなったり、マランゴニ対流モードが内向きから外向きに変化したりする。このような理由から、酸化物フラックス3としてCu2O、NiO、Cr2O3、及びSiO2を塗布した場合には、その塗布量の増大に伴って、溶接部のD/W比が上昇から下降に転じたと考えられる。
【0025】
次に、酸化物フラックス3としてTiO2を塗布した場合について説明する。この場合、溶接部の酸素含有量は、フラックス塗布量に依ることなく、常に200[ppm]以下を維持する。そのため、フラックス塗布量を増大させても、溶融池に溶け込んだ酸素は常に所定濃度範囲で活性元素として機能し、マランゴニ対流モードを外向きから内向きに変化させる。このような理由から、酸化物フラックス3としてTiO2を塗布した場合には、その塗布量を増大させても、溶接部のD/W比が上昇から下降に転じなかったと考えられる。
【0026】
図9は溶接部のD/W比と酸素含有量との相関関係を示すグラフである。本図から分かるように、溶接部の酸素含有量が50〜600[ppm]となる量の酸化物フラックス3を被溶接材に塗布すれば、酸化物フラックス3の成分に依ることなく、その溶込み深さ向上特性を最大限に引き出すことができる。特に、酸化物フラックス3として、溶接部の酸素含有量が70〜300[ppm]となる量のSiO2を被溶接材に塗布すれば、比較的高価なTiO2を塗布した場合と同等、或いはそれ以上の溶込み深さを得ることができるので、フラックス層の形成コストを削減することが可能となる。また、従来と同様、酸化物フラックスの主成分をTiO2とする場合でも、その塗布量を必要最低限とすることができるので、やはりフラックス層の形成コストを削減することが可能となる上、溶接部の強度低下を最小限に抑えることも可能となる。
【0027】
なお、純鉄の溶融池に溶け込んだ酸素は、前出の図8でも示したように、150〜350[ppm]の濃度範囲で活性元素としての機能を発揮したが、被溶接材としてSUS304ステンレス鋼を用いた本実験では、溶接部の酸素含有量が50〜600[ppm](より好ましくは70〜300[ppm])の濃度範囲で、その溶込み深さが向上した。このような濃度範囲の差違は、SUS304ステンレス鋼中に含まれる合金元素(NiやCrなど)の作用によって生じたのではないかと考えられる。
【0028】
(アーク形状及びビード形態)
最後に、酸化物フラックス3としてTiO2を塗布した場合に、その塗布量に依ることなく溶接部の酸素含有量が常に200[ppm]以下を維持するメカニズムについて、アーク形状及びビード形態の観察結果を参照しながら説明する。図10、図11はそれぞれアーク形状及びビード形態を示す観察写真である。
【0029】
図10(e)に示すように、酸化物フラックス3としてTiO2を塗布した場合、フラックス塗布量(含有酸素量換算)が120×10−5[mol]を越えると、酸化物フラックス3の大半は溶融池に溶け込むことなく、アーク直近で液滴となり、アークと共に進行方向へと移動していった。なお、TiO2の液滴サイズはフラックス塗布量の増大に伴って徐々に大きくなり、最終的にはアーク下で破裂して、図11の矢印部で示すようにビード表面のピットから離れた。このような現象により、酸化物フラックス3として塗布されたTiO2の大半は、溶接部の酸素増加に関係しなかったと考えられる。一方、図10(a)〜(d)に示すように、本実験で用いた他の金属酸化物ではこの現象が見られなかった。
【0030】
なお、上記実施形態では、本発明に係る溶接方法をTIG溶接法に適用した場合を例に挙げて説明を行ったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、フラックス層を被溶接材の表面に事前形成して溶接を行う溶接方法に広く適用が可能である。
【0031】
また、上記実施形態では、SUS304ステンレス鋼を被溶接材とした実験結果に基づいて説明を行ったが、本発明を適用可能な被溶接材はこれに限定されるものではなく、殆どの実用金属(特に、炭素鋼、低合金鋼、耐熱鋼などの鉄系材料)についても、同様の理論に基づいて本発明の適用が可能である。
【0032】
また、上記実施形態では、溶融池内の酸素量を制御するために、フラックス塗布量を制御した構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の実現手段はこれに限定されるものではなく、フラックスの比表面積(粒径)を制御する構成としても構わない。このとき、フラックス粒径を微細化して比表面積を大きくすれば、フラックスの反応性が高まって酸素を放出しやすくなるので、フラックス塗布量を削減することが可能となり、コスト面や溶接強度面において有利となる。一方、フラックス粒径を大きくして比表面積を小さくすれば、フラックスの塗布量変動に対する溶融池内の酸素量変動が鈍くなるので、フラックスの塗布量制御を容易化することができる。
【0033】
【発明の効果】
上記で説明したように、本発明に係る溶接方法であれば、被溶接材の表面に形成するフラックス層の成分に依ることなく、その溶込み深さ向上特性を最大限に引き出し、フラックス層の形成コストを削減することが可能となる。特に、溶融池内の酸素量が70〜300[ppm]となる量のSiO2層を被溶接材の表面に形成して溶接を行うようにすれば、比較的高価なTiO2層を形成した場合と同等、或いはそれ以上の溶込み深さを得ることができるので、フラックス層の形成コストを削減することが可能となる。また、従来と同様、酸化物フラックスの主成分をTiO2とする場合でも、その塗布量を必要最低限とすることができるので、やはりフラックス層の形成コストを削減することが可能となる上、溶接部の強度低下を最小限に抑えることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験で用いた試料の概略上面図及び概略側面図である。
【図2】酸化物フラックス3を塗布しなかった場合の溶融領域を示す断面写真である。
【図3】溶接電流80[A]で酸化物フラックス3を塗布した場合の溶融領域を示す断面写真である。
【図4】溶接電流160[A]で酸化物フラックス3を塗布した場合の溶融領域を示す断面写真である。
【図5】溶接電流80[A]で形成した溶接部のD/W比及び酸素含有量とフラックス塗布量(含有酸素量換算)との相関関係を示すグラフである。
【図6】溶接電流160[A]で形成した溶接部のD/W比及び酸素含有量とフラックス塗布量(含有酸素量換算)との相関関係を示すグラフである。
【図7】マランゴニ対流の反転モデルを説明するための模式図である。
【図8】純鉄溶融池の表面張力と酸素含有量との相関関係を示すグラフである。
【図9】溶接部のD/W比と酸素含有量との相関関係を示すグラフである。
【図10】アーク形状を示す観察写真である。
【図11】ビード形態を示す観察写真である。
【符号の説明】
1 試料
2 溝
3 酸化物フラックス
4 溶融領域
Claims (3)
- 溶融池の表面張力温度特性が正となる酸素濃度範囲に基づき、前記溶融池内の酸素量が所定範囲となる量のフラックス層を被溶接材の表面に形成して溶接を行うことを特徴とする溶接方法。
- 溶融池内の酸素量が50〜600[ppm]となる量のフラックス層を被溶接材の表面に形成して溶接を行うことを特徴とする溶接方法。
- 溶融池内の酸素量が70〜300[ppm]となる量のSiO2層を被溶接材の表面に形成して溶接を行うことを特徴とする溶接方法。
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---|---|---|---|---|
JP2007290033A (ja) * | 2006-03-29 | 2007-11-08 | Jfe Steel Kk | 溶込み形状および加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼溶接金属 |
KR100879163B1 (ko) * | 2007-04-25 | 2009-01-16 | 대우조선해양 주식회사 | 플럭스를 이용한 가스텅스텐 아크 용접방법 |
JP2016093838A (ja) * | 2014-11-05 | 2016-05-26 | 新日鐵住金株式会社 | 溶接継手の製造方法 |
CN111069739A (zh) * | 2019-12-31 | 2020-04-28 | 西安西工大超晶科技发展有限责任公司 | 一种低成本钛合金材料手工氩弧焊接试验方法 |
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