JP2004111956A - 磁気損失体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高速動作する能動素子や電子回路などの不要輻射の対策に有効な磁気損失体を提供すること。
【解決手段】 磁気損失体の虚部透磁率μ″の周波数分散を、分散周波数領域の異なる2つの分散D1,D2を有したものにする。そして、低周波側の分散D2と高周波側の分散D1の各々の最大値μ″max(D1)及びμ″max(D2)が、μ″max(D2)≧μ″max(D1)である関係を有する。D2は磁気共鳴による分散、D1は渦電流による分散であってもよいし、磁気共鳴による分散であってもよい。この磁気損失体は、不定形の磁性粉末に摩砕加工を施して得た軟磁性体粉末を用いるなどして作られる。
【選択図】   なし

Description

 本発明は、高周波での磁気損失特性に優れた磁気損失体及びその製造方法に関する。
 近年、高速動作する高集積な半導体素子の普及が著しい。その例として、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、マイクロプロセッサ(MPU)、中央演算処理素子(CPU)又は画像プロセッサ算術論理演算素子(IPALU)等の論理回路素子又は能動素子がある。これらの能動素子においては、演算速度や信号処理速度が日進月歩の勢いで高速化されている。その場合、電子回路を伝播する電気信号は、電圧、電流の大きな変動を伴うため、誘導性の高周波輻射ノイズを不要輻射として発生し易い。
 一方、電子部品や電子機器の軽量化、薄型化、小型化も急速に進行している。それに伴い、半導体素子の集積度や、プリント配線基板への電子部品実装密度も極めて高くなっている。従って、過密に集積あるいは実装された電子素子や信号線が、互いに極めて接近することになり、前述した信号処理速度の高速化と併せて、高周波輻射ノイズが、より誘発されやすくなってきている。
 近年、このような電子集積素子あるいは配線基板においては、伝送ラインにデカップリングコンデンサ等の集中定数部品を挿入する等の対策がなされている。しかしながら、高速化された電子集積素子あるいは配線基板においては、発生するノイズが高調波成分を含むために、信号の経路が分布定数的な振る舞いをするようになり、従来の集中定数回路を前提にしたノイズ対策が効を奏しない状況が生じている。
 最近、本発明者は高周波での大きな磁気損失を示す磁気損失体の使用を可能にした。その磁気損失体を不要輻射源の近傍に配置する事で、ノイズ発生源と輻射源との間の伝導ノイズを抑制し、半導体素子や電子回路などから発生する不要輻射を効果的に抑制することが可能である。このような磁気損失を利用した不要輻射減衰の作用機構については、最近の研究から、不要輻射源となっている電子回路に対して等価的な抵抗成分が付与されることによることが分かっている。ここで、等価的な抵抗成分の大きさは、虚部透磁率μ″の大きさに依存し、ノイズ抑制効果が現われる周波数領域は、虚部透磁率μ″の周波数分散に依存する。したがって、より大きな不要輻射の減衰を得るためには、大きなμ″と不要輻射の周波数に見合ったμ″の周波数分散が必要になってくる。
 しかし、実際に種々の電子回路にて発生している不要輻射の周波数分布は、殆どの場合、広い範囲に及んでいるため、通常の磁性体にみられる磁気共鳴による急峻なμ″の周波数分散では充分にカバーしきれず、また渦電流損失により発現する緩やかな透磁率分散では、μ″の大きさが十分ではなく大きなノイズ抑制効果が望めない。
 それ故に本発明の目的は、高速動作する能動素子や電子回路などの不要輻射の対策に有効な磁気損失体を提供することにある。
 本発明の他の目的は、広い周波数範囲に及ぶ不要輻射に対して簡便且つ効果的に対処できる磁気損失体を提供することにある。
 本発明の他の目的は、信号成分に影響を与えることなくノイズ成分を効果的に抑制することを可能にする磁気損失体を提供することにある。
 本発明のさらに他の目的は、上述した磁気損失体を製造する製造方法を提供することにある。
 本発明者らは、磁気損失をもつ磁性体を伝送線路の直近に配設したときに、線路に抵抗成分が付加される現象を定量的に詳しく考察した結果、伝導ノイズに対する抑制効果の大きさが、虚部透磁率μ″と磁化深さδとの積である虚数部パーミアンス(μ″・δ)及び周波数fにほぼ比例することを見出した。したがって、虚部透磁率μ″の周波数分散が急峻に立ち上がり、その後、緩やかに減少する、若しくは、広い帯域に渡って分散する特性を得られれば、特定のカットオフ周波数で急峻な等価抵抗変化をもたらす損失性の低域通過フィルタ特性や帯域阻止フィルタ特性が実現できると考え、本発明をなすに至った。
 伝導ノイズ抑制効果を検証するためには、後に詳述するが、ロス特性Plossを考えると理解し易い。ロス特性は高周波になるにつれて、虚部透磁率μ″の減少に対して緩慢に減少する。したがって、本発明の目的を達成するには虚部透磁率μ″の周波数分散が急峻に立ち上がることが必要であるが、その後、緩やかに減少するプロファイルであってもロスを高いレベルで維持できるため、優れた低域通過フィルタを構成できる。また、立ち上がりが急峻で、その後、急激に減少するプロファイルにおいては、広い帯域に渡って分散する特性を持つように設計することによって優れた低域通過フィルタや帯域阻止フィルタを構成することができる。
 虚部透磁率μ″の分散が、急峻に立ち上がり、その後、緩やかに減少するプロファイルとなるためには、分散の拡がりを非対称性、すなわち低周波側の分散が小さく、高周波側の分散を大きくする必要があるが、ひとつの透磁率緩和機構でこれを実現するのは非常に困難である。例えば周波数軸上で非対称性を示す分散を示す事例として、一枚の磁性薄膜について見ると、はじめに(すなわち低周波側で)渦電流の環流による緩やかな分散が現われ、その後(すなわち高周波側で)に磁気共鳴による急峻な分散が現われ、その結果としてμ″の立ち上がりが緩やかで急激に減少するプロファイルを示すことがわかっている。
 このように通常観察されることのある渦電流と磁気共鳴の双方が関与し、渦電流の環流による分散が低周波数側、磁気共鳴による分散が高周波側に位置する虚部透磁率のプロファイルは、本発明の目的とする急峻に立ち上がり、その後、緩やかに減少する、または、広い帯域に渡って分散するプロファイルとは要求性能を異にするものであり、信号成分とノイズ成分が接近した状況で、信号成分に影響を与えることなくノイズ成分を効果的に抑制することを目的としたノイズ対策においては、好ましくない特性である。
 上述に鑑み、本発明では、磁気損失体に互いに周波数領域の異なる2つの磁気損失をもたせることで、急峻に立ち上がり、緩やかに減少するまたは、広い帯域に渡って分散する虚部透磁率の分散プロファイルを得るようにしている。
 すなわち、本発明は、磁気損失体に互いに周波数領域の異なる2つの磁気損失をもたせることで、急峻に立ち上がり緩やかに減少する虚部透磁率の分散プロファイルを得る手段、若しくは、急峻に立ち上がり広帯域で大きな虚部透磁率を維持する虚部透磁率の分散プロファイルを得る手段を提供するものである。
 本発明の一態様によれば、軟磁性体粉末と結合剤からなり、虚部透磁率μ″の周波数分散が、分散周波数領域の異なる少なくとも2つの分散要素からなり、高周波側の分散D1と低周波側の分散D2の各々の最大値μ″max(D1)及びμ″max(D2)の関係が、μ″max(D2)≧μ″max(D1)であることを特徴とする磁気損失体が得られる。
 虚部透磁率μ″の周波数分散が、分散周波数領域の異なる2つの分散D1,D2を有し、低周波側の分散D2が磁気共鳴による分散であってもよい。
 高周波側の分散D1が渦電流による分散であってもよい。
 高周波側の分散D1が磁気共鳴による分散であってもよい。
 前記虚部透磁率μ″の分散D1とD2の各々が最大値をとる周波数fr″max(D1)及びfr″max(D2)の差Δfr″が、前記分散D1の半値幅D150及び前記分散D2の半値幅D250に対して、Δfr″≦D150及びΔfr″≦D250のいずれか一方が成り立つ関係にあってもよい。
 前記軟磁性体粉末が、組成、粒径、及び粒子形状のいずれかが異なる第1から第(n+1)の粉末を混ぜ合わせたものからなり(但しnは正の整数)、第1の粉末の虚部透磁率μ″が最大値μ″max1を与える周波数fr1と第(n+1)の粉末の虚部透磁率μ″が最大値μ″max(n+1)を与える周波数fr(n+1)の関係がfr1>fr(n+1)であり、なおかつμ″max1<μ″max(n+1)の関係にある複数の粉末を選択してもよい。
 単一種の組成と単調な粒度分布とを有する軟磁性体粉末からなり、互いに異なる大きさの2つの異方性磁界を有してもよい。
 前記軟磁性体粉末が、扁平形状を有する鉄−アルミニウム−珪素系合金粉末であり、比表面積が0.5〜2.0m/gの範囲にあり、500℃以上の温度において熱処理を施されていてもよい。
 前記軟磁性体粉末が、扁平形状を有する鉄―ニッケル系合金粉末であり、比表面積が0.3〜0.4m/gの範囲にあってもよい。
 前記軟磁性体粉末が、不定形状を有する金属酸化物粉末であり、比表面積が1.5m/g以上の範囲にあってもよい。
 前記軟磁性体粉末は粉末粒子を含有した第1及び第2の粒子群を含み、前記第1の粒子群の粉末粒子は前記軟磁性体粉末の表皮深さよりも大きな第1の寸法を有し、前記第2の粒子群の粉末粒子は前記表皮深さよりも小さな第2の寸法を有してもよい。
 前記粉末粒子は不定形状のものを有し、前記第1及び第2の寸法は前記不定形状のものの径であってもよい。
 前記粉末粒子は扁平形状のものを有し、前記第1及び第2の寸法は前記扁平形状のものの厚みであってもよい。
 前記第1及び第2の粒子群の各々は、前記表皮深さよりも大きな厚さ又は径を有する不定形状の出発原料粉末を摩砕することにより得られたものであってもよい。
 前記第1の粒子群による虚部透磁率μ″の最大値を与える周波数fr1と、前記第2の粒子群による虚部透磁率μ″の最大値を与える周波数fr2との間に、fr1>fr2なる関係を有してもよい。
 本発明の他の態様によれば、虚部透磁率μ″の周波数分散が、分散周波数領域の異なる2つの分散D1,D2を有し、低周波側の分散D2が磁気共鳴による分散である磁気損失体の製造方法であって、表皮深さよりも大きな厚さ又は径を有する不定形状の軟磁性体粉末を用意する工程と、前記軟磁性体粉末に磨砕加工を施すことにより、前記表皮深さよりも大きな厚さ又は径を有する不定形状ないし扁平形状の第1の粒子群と前記表皮深さよりも小さな厚さ又は径を有する不定形状ないし扁平形状の第2の粒子群からなる軟磁性体粉末を得る工程と、前記磨砕加工を施した軟磁性体粉末に高分子化合物を含む結合剤を混合して混和物とする工程と、前記混和物を成形する工程とを含むことを特徴とする、磁気損失体の製造方法が得られる。
 上述した磁気損失体は、急峻に立ち上がり緩やかに減少する虚部透磁率μ″の周波数分散または急峻に立ち上がり広帯域で大きな虚部透磁率μ″を維持する、虚部透磁率μ″の周波数分散を有し、伝導ノイズ抑制効果の指標であるPlossが急峻に立ち上がり、その後の減衰が少ない周波数特性が得られているので、この磁気損失体により、信号に悪影響を与えることなくノイズ成分を効果的に減衰できる。したがって、この磁気損失体は、不要電磁波の輻射抑制な抑制に効果の高い材料であり、電子部品、特に高速動作する能動素子や、高密度実装されたプリント配線基板等におけるノイズ防止に極めて有効である。
 以下図面を参照して、本発明の実施例に係る磁気損失体及びそれの製造方法について説明する。
 図1に示すように、電磁ノイズすなわち不要な高周波電流の流れる線路20の直近に磁気損失体21をテストシートとして配置すると、線路20と磁気損失体21とが誘導的に結合し、その結果、線路20に周波数選択性をもつ等価抵抗が付与され、図2Aに示す線路の等価回路が図2Bのように変化する。ここで、磁気損失体によって線路に付与される等価抵抗の大きさは、磁気損失体21の虚部透磁率μ″と周波数fとの積(=μ″・f)に依存する。
 図3Aに示すように、信号周波数領域(信号)では線路に付与される抵抗Rがほぼ零であり、ノイズ周波数領域(雑音)では線路に付与される抵抗Rが大きいことが好ましい。
 本発明の目的を達成するには虚部透磁率μ″の周波数分散が急峻に立ち上がることが必要である。ロス特性は高周波になるにつれて、虚部透磁率μ″の減少に対して緩慢に減少する。したがって、虚部透磁率μ″の周波数の分散が急峻に立ち上がった後に緩やかに減少すると、ロスを高いレベルで維持できるため、優れた低域通過フィルタを構成できる。また、立ち上がりが急峻で、その後、急激に減少するプロファイルにおいては、広い帯域に渡って分散する特性を持つように設計することによって優れた低域通過フィルタや帯域阻止フィルタを構成することができる。
 したがって、図3Bに示すように、周波数の上昇に対して急峻に立ち上がり、その後緩やかに減少する分散を示すものが虚部透磁率μ″の理想的な分散プロファイルであるといえる。また、特に図示しないが、前述のように立ち上がりが急峻で、その後、急激に減少するプロファイルにおいては、広い帯域に渡って分散する特性のまた、優れたプロファイルであるといえる。
 上述に鑑み、本発明では、磁気損失体の周波数特性に互いに周波数領域の異なる2つの分散D1,D2をもたせ、これにより急峻に立ち上がり緩やかに減少する虚部透磁率の分散プロファイルを得る。磁気損失体の虚部透磁率の周波数特性に2つの分散を得るには、以下に述べるように、いくつかの方法がある。これらの方法の原理は、特開平9−35927号公報及び特開2001−21510号公報などにも開示されている。
 第一の方法は、周波数分散領域の異なる2つの磁性粉末群を混合する方法である。第二の方法は、一つの出発原料から機械的な加工などによって周波数分散領域の異なる2つの磁性粉末群を得る方法である。第三の方法は、一つの粉末で2つの周波数分散を得る方法である。
 これらの方法をにさらに改善を加え、虚部透磁率の周波数特性に2つの分散をもち、尚且つ理想的な分散プロファイルを実現するための第一の方法について述べる。磁性体に磁気損失をもたらす機構には、渦電流の環流による機構と、磁気共鳴(強磁性共鳴又は自然共鳴とも呼ばれる)による機構がある。磁性体に発生する渦電流の程度は、磁性体の厚さ、電気抵抗、透磁率及び周波数に依存する。一方、磁気共鳴は磁性体の異方性磁界Hkに強く依存し、磁気共鳴による虚部透磁率の分散は、一般に渦電流による分散に比べて急峻な虚部透磁率変化を与える。
 したがって、周波数の増加と共に急峻に立ち上がり、その後、緩やかに減少する虚部透磁率の分散を得るためには、比較的低い周波数で磁気共鳴を与える磁性体(磁性粉末)と、比較的高い周波数で渦電流による透磁率の緩和が生じるような磁性体(磁性粉末)を適当な割合で混合することで実現することが出来る。
 さらに、周波数の増加と共に急峻に立ち上がり、広い帯域で維持する虚部透磁率の分散を得るためには、所望の帯域幅だけ離れたところに磁気共鳴による分散を持つ磁性体(磁性粉末)同士を適宜混ぜ合わせればよい。
 次に、第二の方法について述べる。先に述べた磁気共鳴が生じるためには、磁気共鳴のはじまる周波数までは渦電流が殆ど流れないことが前提になる。したがって、同一組成で粒度分布の広い粉末において、渦電流環流の目安を与える表皮深さ(δs)が、磁気共鳴が予測される周波数よりも低い周波数領域で粒度分布の範囲内に存在するような場合には、粒子の大きさが表皮深さよりも大きい粉末群では磁気共鳴が現われるよりも低い周波数で渦電流による透磁率の緩和が生じる。
 この磁性粉末の大きさと表皮深さの関係を利用することで、単一な組成をもつ粉末で、急峻に立ち上がり、緩やかに減少する虚部透磁率の分散を得ることが可能になる。特に、出発原料粉末が比較的脆い金属磁性粉末である場合には、ボールミルのようなメディア攪拌型の粉砕機に投入すると比較的大きな粉末の一部が欠けて、それが細かい粉末となり、この細かい粉末にメディアのせん断応力が加わる事によって偏平化され、その結果として微細な粉末が更に肉薄化されるので、粉末の厚さ分布が広がると共に、その分布が2つの厚さ群の分布に分かれる場合がある。
 この粉末の内部を環流する渦電流の発生が、このような二極化した広い厚さ分布をもつ粉末の分布の中に存在するような場合には、大きな粉末が渦電流による緩やかな透磁率分散をもたらすと共に、薄く偏平な形状をもつ粉末が磁気共鳴による急峻な透磁率分散をもたらす。したがって、単一組成をもつ一つの出発原料粉末により、高周波側の分散D1が渦電流による分散でかつ低周波側の分散D2が磁気共鳴による分散である虚部透磁率が得られる。
 次に、第三の方法について述べる。粉末の組成が、ほぼ均一で、単調な粒度分布をもつ粉末においても2つの磁気共鳴が出現する場合がある。この現象は、磁歪定数が零でない磁性粉末、例えばFe(マグネタイト)や、ボールミルでせん断応力を加える事などで組成ずれが生じ、その結果、磁歪定数が零で無くなった微細な偏平状金属粉末などにおいても、粉末の表面積がある程度の大きさになると現われてくる表面磁気異方性によるものであると考えられ、本発明者らによってその詳細が示されている(特開2001−210510号公報参照)。
 この表面磁気異方性に起因すると考えられる2つの磁気共鳴の発現については、粉末単位重量あたりの表面積の大きさが支配的な要因であるが、表面磁気異方性をもたらす他の要因、例えば磁気弾性効果の大きさ、即ち、磁歪定数の大きさや、粉末に残留する歪みの大きさによっても2つの共鳴が発現する表面積が異なってくるので、その値を特定して示すのは困難である。
 このことについて、発明者らは概ね0.3m/g以上の比表面積を有する軟磁性体粉末で2つの共鳴が発現する傾向を掴んだが、低周波側で緩やかな分散、高周波側で急峻な分散のプロファイルのものを得るに留まるものであった。しかしながら、ごく最近の検討により、低周波側で急峻な分散プロファイルを持つものが、極限られた比表面積範囲や粉末の熱処理などによって得られることを見出した。これを用いることで本発明の目的を達成できる。
 なお、周波数の増加に対して虚部透磁率が急峻に立ち上がり、その後、緩やかに減少する分散または急峻に立ち上がり、広い帯域で維持する虚部透磁率の分散を得るための3つの方法を述べたが、原料として用いる軟磁性体粉末の性状や目的とする虚部透磁率の分散周波数領域に応じて、それらに最適な方法を用いれば良い。
 第一、第二、及び第三の方法のいずれによる場合であっても、虚部透磁率μ″の第1の分散D1と第2の分散D2の各々の最大値μ″max(D1)及びμ″max(D2)の関係が、μ″max(D2)≧μ″max(D1)であることが必要である。さらに、周波数fr″max(D1)及びfr″max(D2)の差をΔfr″とすると、Δfr″≦D150及びΔfr″≦D250のいずれか一方が成り立つ関係にあることが好ましい。ここで、fr″max(D1)は虚部透磁率μ″が第1の最大値μ″max(D1)であるときの周波数を表し、fr″max(D2)は虚部透磁率μ″が第2の最大値μ″max(D2)であるときの周波数を表し、D150は第1の分散D1の半値幅を表し、D250は第2の分散D2の半値幅を表す。
 以下、本発明についていくつかの実施例に基づき具体的に説明する。
 各実施例において、第1から第(n+1)の粉末(ここでnは正の整数とする)を含む軟磁性粉末を使用する。第1から第(n+1)の粉末は、その組成又は粒径又は粒子形状が互いに異なるものであり、且つ軟磁性粉末中に混入されている。
 はじめに第一の方法についてn=1の場合、すなわち軟磁性体粉末が2種類であるものについて、具体例を用いて説明する。ここではn=1の例を示しているが、所望の特性並びにプロファイルを得られるのであればn=2(3種類の軟磁性体粉末を用いる例)、n=3(4種類の軟磁性体粉末を用いる例)、などでも良いことはいうまでもない。
 (実施例1)
 まず、次の軟磁性体粉末a,bを用意した。
 a:水アトマイズ法により作製した涙滴形状をもつ平均粒径50μmの鉄−アルミニウム−珪素(10wt%Si−6wt%Al−残部Fe)合金粉末を出発原料とし、長軸方向の平均径が45μmとなるようにアトライタで湿式摩砕加工することにより得られた扁平状鉄−アルミニウム−珪素合金粉末。
 b:水アトマイズ法により作製した涙滴形状をもつ平均粒径20μmの鉄−アルミニウム−珪素(10wt%Si−6wt%Al−残部Fe)合金粉末を出発原料とし、長軸方向の平均径が12μmとなるようにアトライタで湿式摩砕加工することにより得られた扁平状鉄−アルミニウム−珪素合金粉末。
 これら2つの粉末をそれぞれArガス雰囲気下にて650℃で3時間焼鈍処理した後、表1の配合で混合して軟磁性体ペーストを調合し、これをドクターブレード法により製膜した後、熱プレスを施した後に85℃にて24時間キュアリングを行って実施例1による試料としての磁気損失体を得た。
Figure 2004111956
 このとき、aの粉末に起因する分散はD2であり、fr″max(D2)は26MHz、半値幅D250の値は35MHzである。一方、bの粉末に起因する分散はD1であり、fr″max(D1)は161MHz、半値幅D150の値は320MHzである。この2つの粉末ではfr″max(D1)>fr″max(D2)の関係にあり、なおかつμ″max1<μ″max2の関係を満たしている。このことは図7からも検証できる。さらに、差Δfr″=fr″max(D1)−fr″max(D2)は135MHzであるから、Δfr″≦D150の関係を満たしていることが分かる。この実施例において、この関係はΔfr″>D250であることを示す。いま、Δfr″≦D150の関係を満たしていない場合、即ち、Δfr″>D150の関係である仮定すると、μ−f特性においてD1とD2の間に谷が生じてしまい、Plossを見てもノイズを通過させてしまう特性を示すことになる。本実施例のように、上述した関係を満たしていると、谷は生じないため、所望の減衰特性が得られるものである。
 (実施例2)
 次に材料の異なる軟磁性体粉末c、dも用意した。
 c:水アトマイズ法により作製した涙滴形状をもつ平均粒径20μmのニッケル−鉄(84wt%Ni−16wt%Fe)合金粉末。
 d:出発原料に平均粒径30μmの水アトマイズ鉄−アルミニウム−珪素(10wt%Si−6wt%Al−残部Fe)合金粉末を用い、これをアトライタで湿式摩砕加工することにより得られた扁平状鉄−アルミニウム−珪素合金粉末。dの粉末はArガス雰囲気下にて650℃で3時間焼鈍処理した。
 これら2つの粉末を表2の配合で軟磁性体ペーストを調合し、これをドクターブレード法により製膜し、熱プレスを施した後に85℃にて24時間キュアリングを行って実施例2による試料としての磁気損失体を得た。
Figure 2004111956
 (実施例3)
 次に、前記第二の方法による実施例について説明する。出発原料粉末として、
鉄−アルミニウム−珪素合金インゴット(10wt%Si−6wt%Al−残部Fe)を用意し、これをスタンプ粉砕して平均粒径が40μmの不定形状をもつ粗粉末を得た。得られた不定形状を有する鉄アルミ珪素粗粉末をn−ヘキサンと共にサンドグラインドミルに投入して15時間摩砕し、粉末試料eを得た。得られた粉末eの電子顕微鏡写真を図4に示す。この粉末eを用いて表3に示す配合で第3の実施例による試料としての磁気損失体を得た。
Figure 2004111956
 同粉末の厚さ分布及び同粉末の15時間摩砕処理後の表皮深さδsを図5に示す。ランダムサンプリングした粉末を数点、数カ所に渡り走査型電子顕微鏡写真にて厚さを計測して分布を調べている。表皮深さδsは次式によって求められる。
 δs = √(ρ/πfμ) [μm]
 μ = μ0・μip = 4π×10-7×1/2μeff
(ρ:電気抵抗[Ωm]、f:周波数[Hz]、μeff:透磁率)
(参考文献)
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Y. Shimada, E. Sugawara and H. Fujimori: J. Appl. Phys., 76, 2395 (1994).
f=100MHzにおける粉末eのμeff=17、ρ=9.0×10-7 Ω・m であり、この時のδsは8.2μmである。
 図4及び図5から、粉末eが出発原料粗粉末の形状に近い粉末群と偏平な粉末群の2つ分布からなるとともに、粉末厚さ分布の範囲内に表皮深さδsが存在していることがわかる。
 (実施例4)
 次に、前記第3の方法による実施例を示す。出発原料粉末として、センダスト組成(9.6wt%Si−5.4wt%Al−残部Fe)よりも鉄の割合が多く、正の磁歪定数をもつ鉄−アルミニウム−珪素合金インゴット(9.4wt%Si−5.3wt%Al−残部Fe)を用意し、これをスタンプ粉砕して平均粒径が40μmの不定形状をもつ粗粉末を得た。得られた不定形状を有する鉄−アルミニウム−珪素合金粗粉末をn−ヘキサンと共にサンドグラインドミルに投入して40時間摩砕し、B.E.T.比表面積が0.86m/gの扁平状の粉末fを得た。
 この粉末を窒素ガス雰囲気下にて650℃で3時間焼鈍処理した後、表4に示す配合で軟磁性ペーストを調合し、これをドクターブレード法により製膜した後、熱プレスを施した後に85℃にて24時間キュアリングを行って実施例4による試料としての磁気損失体を得た。
Figure 2004111956
 (実施例5)
 また、同様の出発原料をn−ヘキサンと共にサンドグラインドミルに投入して60時間摩砕し、B.E.T.比表面積が1.53m/gの扁平状の粉末gを得た。
 この粉末を窒素ガス雰囲気下にて650℃で3時間焼鈍処理した後、表5に示す配合で軟磁性ペーストを調合し、これをドクターブレード法により製膜した後、熱プレスを施した後に85℃にて24時間キュアリングを行って実施例5による試料としての磁気損失体を得た。
Figure 2004111956
 (実施例6)
 出発原料粉末として、パーマロイ組成(80wt%Ni−20wt%Fe)よりも鉄の割合が多く、正の磁歪定数をもつニッケル−鉄合金インゴット(77wt%Ni−23wt%Fe)を用意し、これをスタンプ粉砕して平均粒径が25μmの不定形状をもつ粗粉末を得た。得られた不定形状を有するニッケル−鉄合金粗粉末をn−ヘキサンと共にサンドグラインドミルに投入して8時間摩砕し、B.E.T.比表面積が0.39m/gの扁平状の粉末hを得た。
 この粉末hを用いて表6に示す配合で軟磁性ペーストを調合し、これをドクターブレード法により製膜した後、熱プレスを施した後に85℃にて24時間キュアリングを行って実施例6による試料としての磁気損失体を得た。
Figure 2004111956
 (実施例7)
 B.E.T.比表面積が1.97m/gであるFe(マグネタイト)粉末iを用意し、この粉末iを用いて表7に示す配合で軟磁性ペーストを調合し、これをドクターブレード法により製膜した後、熱プレスを施して実施例7による試料としての磁気損失体を得た。
Figure 2004111956
 次に、本発明の効果を従来技術と比較検証するための比較例を示す。
 (比較例1)
 センダスト組成(9.6wt%Si−5.4wt%Al−残部Fe)を有し、B.E.T.比表面積が0.17m/gと比較的大きな扁平状鉄−珪素−アルミニウム合金粉末jを用い、表8の配合で軟磁性体ペーストを調合し、実施例1の試料と同様な方法にて比較例1の試料を得た。
Figure 2004111956
 (比較例2)
 実施例2の試料で用いた2つの軟磁性体粉末のうち、涙滴状の粉末aのみを用い、表9の配合で軟磁性体ペーストを調合し、実施例1の試料と同様な方法にて比較例2の試料を得た。
Figure 2004111956
 (比較例3)
 センダスト組成(9.6wt%Si−5.4wt%Al−残部Fe)を有し、B.E.T.比表面積が0.8m/gである扁平状鉄−アルミニウム−珪素合金の粉末kを得た。この粉末は焼鈍処理を施していないものである。この粉末kを表10の配合で軟磁性体ペーストを調合し、実施例1の試料と同様な方法にて比較例3の試料としての磁気損失体を得た。
Figure 2004111956
 実施例4と比較例3を比べた場合、比表面積は似通っているが、焼鈍の処理を施した場合としない場合ではその分散プロファイルに違いが生じることが観察される。(図10並びに図16参照)これは鉄−珪素−アルミニウム合金においては、500℃を超える温度で焼鈍することによって、DO構造の結晶成長が見られることに起因すると考えられる。DO構造を十分成長させるためには、好ましくは650℃で2時間程度の焼鈍を行うとよい。ただし、高温になると過度の酸化や燃焼などの問題も発生するため、不活性ガス雰囲気での焼鈍が好ましい。
 以上説明した本発明の実施試料について、磁気損失体としての性能を検証する
にあたり、複素透磁率の周波数依存性(μ−f特性)及び伝導ノイズ抑制効果を調べた。ここで、μ−f特性の測定には、トロイダル形状に加工された磁気損失体試料を用いた。これを1ターンコイルを形成するテストフィクスチャに挿入し、インピーダンスを計測することにより、周波数1MHzから10GHzまでの虚部透磁率μ″を求めた。
 一方、伝導ノイズ抑制効果の検証は、図6に示されるマイクロストリップ線路22とネットワークアナライザ23により構成される評価系により行った。24は同軸ケーブルである。厚さ2mmで一辺の長さが20mmの磁気損失体25をテストシートとしてマイクロストリップ線路22の中央付近に密着配置させ、このときの伝送特性S11、S21及び伝送特性から、次式によりロス特性Plossを求めた。
 Ploss=1−[(Γ)2+(Τ)2
ここで、S11=20log|Γ|、S21=20log|Τ|である。
また、Γ:電圧反射係数、Τ:電圧透過係数である。
 まず、本発明の実施例1〜7の試料のμ″−f特性を図7〜13に、比較例1〜3の試料のμ″−f特性を図13〜図16に示す。本発明の実施例のμ−f特性においては、いずれの試料についても、互いに周波数領域の異なる2つの虚部透磁率分散の発現によって急峻に立ち上がり、その後、緩やかに減衰する虚部透磁率分散プロファイル、または急峻に立ち上がり広帯域で大きな虚部透磁率μ″を維持する、虚部透磁率μ″の周波数分散プロファイルが得られている。
 一方、3つの比較試料においては、比較例1の試料では磁気共鳴により急峻な立ち上がりが実現されているものの、虚部透磁率が最大を示した後に、虚部透磁率が急激に減少している。また、比較例2の試料では、渦電流の粒子内還流によると推定される緩和型の分散が見られており、虚部透磁率の立ち上がりが緩やかな為、周波数領域分離を利用する電磁ノイズの抑制には不向きである。比較例3の試料では、二つの分散を持っているものの、渦電流の環流によると見られる緩やかに立ち上がっており、周波数領域分離には不適当なことが分かる。
 以上に述べたような虚部透磁率分散を有する実施試料および比較試料を用いて、実際に伝導ノイズ抑制効果Plossの周波数依存性(周波数1MHz〜10GHz)を調べた。実施例1〜7の試料のPlossの周波数依存性を、図17〜図23に、同様に、比較例1〜3の試料のPlossの周波数依存性を、図24〜図26に各々示す。
 これらの図から、本発明の効果が明白である。すなわち、本発明の実施試料では、伝導ノイズ抑制の大きさPlossが大きな値をとる周波数領域こそ相違があるものの、いずれの試料においても、Plossが急峻に立ち上がり、その後の減衰が少ない周波数特性を示している。
 一方、比較例1の試料では、Plossが急峻に立ち上がるものの、最大値を示した後に大きく減少してしまう。また、比較例2の試料では、Plossの変化が穏やかであり、信号とノイズを周波数領域によって分離するには不向きである。比較例3の試料では、同様なB.E.T.比表面積を有し、熱処理を施している実施例4と比較すると、立ち上がりの急峻さに欠け、さらに30MHz近傍からPlossが緩やかになってしまう範囲があり、実施例4の方が優れていることがわかる。
 軟磁性体粉末の生成に使用できる磁性体としては、高周波透磁率の大きな珪素鋼、鉄アルミ珪素合金(センダスト)、鉄ニッケル合金(パーマロイ)或いはアモルファス合金等の金属軟磁性材料を代表として挙げることが出来る。これらの磁性体を粉砕、延伸、引裂加工或いはアトマイズ造粒等により粉末化したもの、あるいはこれらの粉末をボールミルなどのメディア攪拌型粉砕機により偏平状に加工した粉末を磁性粉末として用いる事が出来る。さらに、これらの粉末に焼鈍処理を施したものを磁性粉末として使用してもよい。
 また、他の軟磁性体としては、スピネル型フェライト、プレーナ型フェライト、ヘマタイト、マグネタイト、マグヘマイト等の酸化物軟磁性体もあり、これらの粉末を用いて所望の磁気損失体を得ることも出来る。
 また、磁気損失体を得るための副材料として用いる結合剤には、電子回路近傍での利用を考慮し、優れた可撓性及び難燃性を得ることができる塩素化ポリエチレンが好適であるが、それ以外に用いる事の出来る有機結合剤としては、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ABS樹脂、ニトリル−ブタジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、シリコーンゴム等の熱可塑性樹脂或いはそれらの共重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミド系樹脂、及びイミド系樹脂等の熱硬化性樹脂等を挙げることが出来る。
 なお、磁性粉末と結合剤を混練、分散して磁気損失体を得る手段には特に制限はなく、用いる結合剤の性質や工程の容易さを基準に好ましい方法を選択すればよい。
 上述した磁気損失体は、急峻に立ち上がり緩やかに減少する虚部透磁率μ″の周波数分散または急峻に立ち上がり広帯域で大きな虚部透磁率μ″を維持する、虚部透磁率μ″の周波数分散を有し、伝導ノイズ抑制効果の指標であるPlossが急峻に立ち上がり、その後の減衰が少ない周波数特性が得られているので、この磁気損失体により、信号に悪影響を与えることなくノイズ成分を効果的に減衰できる。したがって、この磁気損失体は、不要電磁波の輻射抑制な抑制に効果の高い材料であり、電子部品、特に高速動作する能動素子や、高密度実装されたプリント配線基板等におけるノイズ防止に極めて有効である。
不要な高周波電流の流れる伝送線路直近に磁気損失体を配置した例を示す図である。 分布定数線路の等価回路で配置前を示す図である。 分布定数線路の等価回路で配置後をそれぞれ示す図である。 雑音分離に必要な等価抵抗成分Rの理想周波数特性を示す図である。 磁気損失体の虚部透磁率μ″の周波数特性の理想プロファイルを示す図である。 粉末試料の走査型電子顕微鏡写真である。 粉末試料の厚さ分布及びその粉末試料の表皮深さδsを示す図である。 伝導ノイズ抑制効果検証のための評価系を示す図である。 本発明の実施例1の試料のμ"−f特性図である。 本発明の実施例2の試料のμ"−f特性図である。 本発明の実施例3の試料のμ"−f特性図である。 本発明の実施例4の試料のμ"−f特性図である。 本発明の実施例5の試料のμ"−f特性図である。 本発明の実施例6の試料のμ"−f特性図である。 本発明の実施例7の試料のμ"−f特性図である。 比較例1の試料のμ"−f特性図である。 比較例2の試料のμ"−f特性図である。 比較例3の試料のμ"−f特性図である。 実施例1の試料のPlossの周波数依存性を示す図である。 実施例2の試料のPlossの周波数依存性を示す図である。 実施例3の試料のPlossの周波数依存性を示す図である。 実施例4の試料のPlossの周波数依存性を示す図である。 実施例5の試料のPlossの周波数依存性を示す図である。 実施例6の試料のPlossの周波数依存性を示す図である。 実施例7の試料のPlossの周波数依存性を示す図である。 比較例1の試料のPlossの周波数依存性を示す図である。 比較例2の試料のPlossの周波数依存性を示す図である。 比較例3の試料のPlossの周波数依存性を示す図である。
符号の説明
 20 線路
 21 磁気損失体
 22 マイクロストリップ線路
 23 ネットワークアナライザ
 24 同軸ケーブル
 25 磁気損失体

Claims (16)

  1.  軟磁性体粉末と結合剤からなり、虚部透磁率μ″の周波数分散が、分散周波数領域の異なる少なくとも2つの分散要素からなり、高周波側の分散D1と低周波側の分散D2の各々の最大値μ″max(D1)及びμ″max(D2)の関係が、μ″max(D2)≧μ″max(D1)であることを特徴とする磁気損失体。
  2.  虚部透磁率μ″の周波数分散が、分散周波数領域の異なる2つの分散D1,D2を有し、低周波側の分散D2が磁気共鳴による分散である、請求項1に記載の磁気損失体。
  3.  高周波側の分散D1が渦電流による分散である、請求項1又は2に記載の磁気損失体。
  4.  高周波側の分散D1が磁気共鳴による分散である、請求項1又は2に記載の磁気損失体。
  5.  前記虚部透磁率μ″の分散D1とD2の各々が最大値をとる周波数fr″max(D1)及びfr″max(D2)の差Δfr″が、前記分散D1の半値幅D150及び前記分散D2の半値幅D250に対して、
     Δfr″≦D150
    及び
     Δfr″≦D250
    のいずれか一方が成り立つ関係にある、請求項1から4のいずれかに記載の磁気損失体。
  6.  前記軟磁性体粉末が、組成、粒径、及び粒子形状のいずれかが異なる第1から第(n+1)の粉末を混ぜ合わせたものからなり(但しnは正の整数)、第1の粉末の虚部透磁率μ″が最大値μ″max1を与える周波数fr1と第(n+1)の粉末の虚部透磁率μ″が最大値μ″max(n+1)を与える周波数fr(n+1)の関係がfr1>fr(n+1)であり、なおかつμ″max1<μ″max(n+1)の関係にある複数の粉末を選択した、請求項1から5のいずれかに記載の磁気損失体。
  7.  単一種の組成と単調な粒度分布とを有する軟磁性体粉末からなり、互いに異なる大きさの2つの異方性磁界を有する、請求項1から4のいずれかに記載の磁気損失体。
  8.  前記軟磁性体粉末が、扁平形状を有する鉄−アルミニウム−珪素系合金粉末であり、比表面積が0.5〜2.0m/gの範囲にあり、500℃以上の温度において熱処理を施されている、請求項7に記載の磁気損失体。
  9.  前記軟磁性体粉末が、扁平形状を有する鉄―ニッケル系合金粉末であり、比表面積が0.3〜0.4m/gの範囲にある、請求項7に記載の磁気損失体。
  10.  前記軟磁性体粉末が、不定形状を有する金属酸化物粉末であり、比表面積が1.5m/g以上の範囲にある、請求項7に記載の磁気損失体。
  11.  前記軟磁性体粉末は粉末粒子を含有した第1及び第2の粒子群を含み、前記第1の粒子群の粉末粒子は前記軟磁性体粉末の表皮深さよりも大きな第1の寸法を有し、前記第2の粒子群の粉末粒子は前記表皮深さよりも小さな第2の寸法を有する、請求項1から4のいずれかに記載の磁気損失体。
  12.  前記粉末粒子は不定形状のものを有し、前記第1及び第2の寸法は前記不定形状のものの径である、請求項11に記載の磁気損失体。
  13.  前記粉末粒子は扁平形状のものを有し、前記第1及び第2の寸法は前記扁平形状のものの厚みである、請求項11に記載の磁気損失体。
  14.  前記第1及び第2の粒子群の各々は、前記表皮深さよりも大きな厚さ又は径を有する不定形状の出発原料粉末を摩砕することにより得られたものである、請求項11から13のいずれかに記載の磁気損失体。
  15.  前記第1の粒子群による虚部透磁率μ″の最大値を与える周波数fr1と、前記第2の粒子群による虚部透磁率μ″の最大値を与える周波数fr2との間に、
     fr1>fr2
    なる関係を有する、請求項11から14のいずれかに記載の磁気損失体。
  16.  虚部透磁率μ″の周波数分散が、分散周波数領域の異なる2つの分散D1,D2を有し、低周波側の分散D2が磁気共鳴による分散である磁気損失体の製造方法であって、
     表皮深さよりも大きな厚さ又は径を有する不定形状の軟磁性体粉末を用意する工程と、
     前記軟磁性体粉末に磨砕加工を施すことにより、前記表皮深さよりも大きな厚さ又は径を有する不定形状ないし扁平形状の第1の粒子群と前記表皮深さよりも小さな厚さ又は径を有する不定形状ないし扁平形状の第2の粒子群からなる軟磁性体粉末を得る工程と、
     前記磨砕加工を施した軟磁性体粉末に高分子化合物を含む結合剤を混合して混和物とする工程と、
     前記混和物を成形する工程とを含む
     ことを特徴とする、磁気損失体の製造方法。

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