JP2004111097A - 集束イオンビーム装置用試料ステージ及び薄片試料の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】集束イオンビーム装置を用いて低コストで透過型電子顕微鏡用の試料を加工する方法を提供すること、並びにその方法に用いる集束イオンビーム装置用試料ステージを提供する。
【解決手段】本発明の集束イオンビーム装置用試料ステージは、試料を搭載して収束イオンビームによって加工する試料メッシュを保持できる上側メッシュ保持部を有する第一軸方向スライドパーツと、その鉛直方向下側にグリッドメッシュ保持部を配置することができると共に、その平面内で第一軸方向及び第二軸方向に変位することができるグリッドメッシュ保持部を有する第二軸方向スライドパーツとを備え、グリッドメッシュ保持部には試料支持膜を張ったグリッドメッシュを取り付ける。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の集束イオンビーム装置用試料ステージは、試料を搭載して収束イオンビームによって加工する試料メッシュを保持できる上側メッシュ保持部を有する第一軸方向スライドパーツと、その鉛直方向下側にグリッドメッシュ保持部を配置することができると共に、その平面内で第一軸方向及び第二軸方向に変位することができるグリッドメッシュ保持部を有する第二軸方向スライドパーツとを備え、グリッドメッシュ保持部には試料支持膜を張ったグリッドメッシュを取り付ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過型電子顕微鏡用の薄い試料を加工することに関連し、特に既に薄片試料として形成されている試料の厚み方向についての断面を観察するための加工の方法、及びその方法に用いる収束イオンビーム装置用ステージの構成に関する。既に薄片試料として形成されている試料の厚み方向についての断面には、例えば、平面方向観察用試料の厚み方向についての断面、或いは断面方向観察用試料として既に薄片化されている試料の平面方向についての断面などがある。
【0002】
【従来の技術】
透過型電子顕微鏡に用いる薄膜試料の加工装置としては、例えば特開平5−52721号公報に示す様な集束イオンビーム装置(FIB)がある。この集束イオンビーム装置は、試料を搭載したステージの移動をミクロンオーダーの精度で制御することができるものであって、先端の曲率半径がミクロンオーダーであるマイクロプローブを備えている。そのマイクロプローブは導電性材料を用いて形成されており、マイクロプローブを試料に向かって移動させる際に、マイクロプローブが試料に接触したことを電気的に検知することができる。具体的には、集束イオンビーム装置内で、2次イオンビーム、または2次電子像観察しながらマイクロプローブを試料上の接触させたい位置の真上へ移動させた後、速度制御してプローブを自動的に試料に近づける。この際、試料とマイクロプローブに電位差を設け、電流計によって電流を検知することによって、試料とマイクロプローブとが接触したことを自動的に検知することができ、その結果としてプローブの移動を自動的に停止することもできる。このようにマイクロプローブに加工用試料を固定した後、マイクロプローブによって試料の姿勢を変化させながら、イオンビームを用いて試料を加工し、薄膜化試料を作成するものである。
【0003】
この加工装置を用いて、例えば半導体ウェーハの平面方向観察用試料から、その断面を透過型電子顕微鏡によって観察するための断面方向観察用試料を作成するための操作は、図8に示すような工程を経て行われている。尚、透過型電子顕微鏡試料は、観察対象部分を1μm以下の厚さに薄片化する必要があるため、試料の作成には集束イオンビーム装置によるイオンビーム加工が用いられている。
【0004】
まず、図8(a)に示すように、平面方向観察用試料基板102に対してイオンビーム101を照射して略直方体形状の穴103を形成する。次に、図8(b)に示すように、試料基板102をイオンビームの光軸に対して傾斜させて、穴103を囲む1つの壁面にイオンビーム101によって底穴104を形成する。次に、図8(c)に示すように試料基板102の姿勢を図8(a)の状態に戻して、イオンビーム101によって切欠き溝105を形成する。次に、図8(d)に示すように、マニュピレータ(図示せず)の先端に取り付けられているプローブ110の先端を、試料基板102の分離しようとする部分に接触させた後、図8(e)に示すように、ガスノズル107からW(CO)6ガス106を供給しながらイオンビーム101を照射することによって、プローブ110の先端付近の試料表面にタングステン(W)の堆積膜108を形成し、この堆積膜108によってプローブ110の先端を試料基板102に固定する。その後、図8(f)に示すように、プローブ110の先端が固定された試料基板102が分離しようと意図する形状となるように、イオンビームによってその周囲のかなりの領域をくり抜く加工を行い、透過型電子顕微鏡による観察が可能な程度の厚さの薄片部分109aを形成し、試料基板102のプローブ110の先端が固定された部分に薄片部分109aが連絡した状態の観察用試料109を分離する。このようにして得られた観察用試料109の薄片部分109aが透過型電子顕微鏡による観察用の試料となる。
【0005】
次に、図示しないが、試料109を固定しているプローブ110を移動させて、集束イオンビーム装置内に予め導入していた透過型電子顕微鏡試料ホルダに試料を接触させ、試料と試料ホルダとの接触部分に上述のような操作によってタングステンの堆積膜を形成し、試料ホルダを試料に固定させる。その後、プローブ110と試料との間の固定部分をイオンビームによって切断し、試料を試料ホルダ側に固定する。この試料ホルダを透過型電子顕微鏡にセットすることによって、最初の観察方向に対して垂直な方向の試料断面について透過型電子顕微鏡観察が可能になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した加工装置では、試料ピックアップの為のプローブとして、先端をミクロンオーダーまで細く加工したマイクロプローブを用いる必要がある。また、マイクロプローブの移動機構として、機械的にミクロンオーダーの極めて高い精度で3次元的に動かすことができる駆動系が必要であることに加えて、マイクロプローブが試料に接触したことを正確に観察することができる機構又は接触したことを検知することができる機構が必要である。
【0007】
しかしながら、極めて精密な寸法及び形状を有するプローブや、そのプローブを極めて高い精度で3次元的に制御して操作する駆動系は製造コストが高くつくため、かかる加工装置全体としてもコスト高なものになるという難点がある。
そこで、本発明は、集束イオンビーム装置を用いて低コストで透過型電子顕微鏡用の試料を加工する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、集束イオンビーム装置を用いて低コストで透過型電子顕微鏡用の試料を加工する方法に用いる集束イオンビーム装置用試料ステージを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明ではまず、第一軸方向スライドパーツ及び第二軸方向スライドパーツが取り付けられているステージ本体を有する集束イオンビーム装置用試料ステージであって、ステージ本体の基準面において互いに直交して延びる第一軸と第二軸とを想定し、第一軸方向スライドパーツは第一軸方向にスライドすることができ、第二軸方向スライドパーツは第二軸方向にスライドすることができる基本的構成を有することを特徴とする集束イオンビーム装置用試料ステージを提供する。上記集束イオンビーム装置用試料ステージは、第一軸方向スライドパーツ又は第二軸方向スライドパーツが試料メッシュを保持できる上側メッシュ保持部を少なくとも1個有し、第二軸方向スライドパーツ又はステージ本体が支持膜で覆われたグリッドメッシュを保持できるグリッドメッシュ保持部を少なくとも1個有し、上側メッシュ保持部の位置とグリッドメッシュ保持部の位置とを上側メッシュ保持部の下方にグリッドメッシュ保持部が配されるように前記基準面に対して垂直な第三軸方向について位置合わせできる構成を有することを特徴とする。
【0009】
本発明に関して、第一軸及び第二軸とはステージ本体の基準面内において、互いに直交して延びる軸を想定したものであって、第三軸とは第一軸及び第二軸の両者に対して直交する軸、従ってステージ本体の基準面に対して直交する軸を想定したものである。尚、ステージ本体の基準面とは、ステージ本体上において各スライドパーツをスライドさせる際に、各スライドパーツが実際に動ける平面のことであって、実用的には大部分の場合に水平面と同一の平面である。
【0010】
本発明の集束イオンビーム装置用試料ステージは、1つの態様において、イオン源から照射するイオンビームの照射方向を第三軸方向とすることができる。本発明の集束イオンビーム装置用試料ステージは、更に、上側メッシュ保持部に搭載した試料をイオンビームによって加工した後、前記試料を上側メッシュ保持部からグリッドメッシュ保持部へ落下させることを特徴とすることができる。かかる場合に、第三軸方向を鉛直方向とすると、鉛直方向にイオンビームを照射して試料を薄片形態に加工した後、薄片形態の試料を周囲の試料基板から打ち抜いて上側メッシュ保持部からグリッドメッシュ保持部へ鉛直方向下側へ落下させることができる。グリッドメッシュ保持部に試料支持膜を張ったグリッドメッシュを配することによって、薄片形態の試料に物理的に接触することなく、打ち抜き加工を行い、加工によって得られる薄片形態の試料を回収することができる。
【0011】
本発明の集束イオンビーム装置用試料ステージは、第一軸方向スライドパーツが上側メッシュ保持部を備え、ステージ本体がグリッドメッシュ保持部を備える構成とすることができる。かかる場合には、第一軸方向スライドパーツとステージ本体との間で第三軸方向に位置合わせを行い、上側メッシュ保持部にある試料に物理的に接触することなく加工を行い、グリッドメッシュ保持部にて薄片形態の試料を回収することができる。
【0012】
また、本発明の集束イオンビーム装置用試料ステージは、第一軸方向スライドパーツが上側メッシュ保持部を備え、第二軸方向スライドパーツがグリッドメッシュ保持部を備える構成とすることができる。かかる場合には、第一軸方向スライドパーツと第二軸方向スライドパーツとの間で第三軸方向に位置合わせを行い、上側メッシュ保持部にある試料に物理的に接触することなく加工を行い、グリッドメッシュ保持部にて薄片形態の試料を回収することができる。
【0013】
本発明の集束イオンビーム装置用試料ステージは、1つの態様において、上側メッシュ保持部及びグリッドメッシュ保持部のそれぞれの第一軸及び第二軸上での位置を座標管理し、上側メッシュ保持部の鉛直方向下側にグリッドメッシュ保持部を位置決めできるメッシュ保持部位置制御機構を備えることを特徴とすることができる。かかる構成によれば、上側メッシュ保持部とグリッドメッシュ保持部とを鉛直方向について位置合わせする操作を、目視的に確認する必要なく、自動的に行うことができ、試料をイオンビーム装置の照射系から外部に取り出さずに加工を行うことができる。
【0014】
本発明は、また、上述したいずれかの試料ステージの全体又は一部を集束イオンビーム装置の照射系の外部へ取り出すことができることを特徴とする収束イオンビーム装置を提供する。本発明の収束イオンビーム装置は、1つの態様において、前記試料ステージを収容した状態で、試料ステージの下方に配される光源とステージの上方に配される受光部とを有し、光源から発せられてメッシュ保持部を通過した光を受光部にて検知する機構を有することを特徴とすることができる。かかる構成によれば、実質的に集束イオンビームによる加工を行いながら、その直ぐそばで光学的手段による確認を行うことができるので、加工と確認とを極めて短時間にて繰り返すことができる。従って、一連の手順の中で前記の加工と確認とを繰り返す操作を効率よく行うことができる。
【0015】
本発明は更に、実質的に平板状である電子顕微鏡用試料から縦断面観察用試料を形成する試料加工方法であって、(a)試料の切り出したい部位の周囲にマークを付する工程、(b)試料の表面側に第1の表面保護層を形成する工程、(c)試料に付したマークによって囲まれる領域及びその外側の領域の上面側に第2の表面保護層を形成する工程、並びに(d)集束イオンビームを用いて、前記マークを目印として観察しようとする部位を含む領域を第三軸方向に打ち抜いて薄片形態の試料を得る工程を有することを特徴とする試料加工方法を提供する。かかる方法では、マークを目印として集束イオンビームにより薄片形態の試料を打ち抜く加工を容易に行うことができる。マークはレーザーマーカーや集束イオンビーム等を用いて形成することができる。
【0016】
本発明の試料加工方法は、前記工程(c)と(d)との間に、上側メッシュ保持部とグリッドメッシュ保持部とを鉛直方向について位置合わせを行う工程を更に有しており、工程(d)において打ち抜いた薄片形態の試料を上側メッシュ保持部から落下させて、グリッドメッシュ保持部に配したグリッドメッシュの支持膜で受けることを特徴とすることができる。かかる方法によれば、薄片形態の試料に物理的に接触することなく打ち抜き加工を行い、加工によって得られる薄片形態の試料を回収するので、従来の方法に比べて比較的容易に試料の加工を行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、部分図(c)に示す本発明の第1の形態に係る集束イオンビーム装置用試料ステージの構成を理解しやすいように、部分図(a)に示す第二軸方向スライドパーツ10と、部分図(b)に示すステージ本体30とに分解した状態を示している。尚、図1において、部分図(a)の左側に示す矢印IAによって第一軸方向を示しており、部分図(b)の上側に示す矢印IBによって第二軸方向を示している。この実施の形態に関して、第一軸方向及び第二軸方向は説明の便宜を図るために図中にそれぞれ特定の向きの矢印で示しているが、この実施の形態に示す軸方向に限定することは必ずしも必要ではなく、それぞれの矢印の向きを逆向きにしてもよいし、第一軸方向と第二軸方向とを入れ替えて考えることもできる。また、説明の便宜上、各軸方向について矢印の向きを正方向と称する。重要なことは、第一軸及び第二軸はステージ本体の基準面内において互いに直交して延びることである。
【0019】
部分図(a)の第二軸方向スライドパーツ10はその内部に第一軸方向スライドパーツ20を収容している。部分図(a)の第二軸方向スライドパーツ10を部分図(b)のステージ本体30に対して、部分図(a)と(b)との間に示す矢印ICの向きに取り付けることによって、部分図(c)に示す集束イオンビーム装置用試料ステージが形成される。
【0020】
部分図(a)において、第二軸方向スライドパーツ10は実質的に長方形の平面形状を有する平板状の部材である。第二軸方向スライドパーツ10の内部には、実質的に長方形の平面形状を有するスライド孔11が、その長手方向が第一軸方向に延びるようにくり抜かれて設けられている。スライド孔11の内部には、これも実質的に長方形の平面形状を有する第一軸方向スライドパーツ20が取り付けられる。第二軸方向スライドパーツ10においてスライド孔11を包囲する側面のうちの第一軸方向に延びる側面には、第一軸方向に延びるレール12が設けられており、これに対応して第一軸方向スライドパーツ20の第一軸方向に延びる側面にはレール12に係合するスライド溝(図示せず)が設けられている。このスライド溝がガイド部材であるレール12に係合する状態を保つことによって、スライド孔11内で第一軸方向スライドパーツ20を第一軸方向にスライドさせることができる。
【0021】
第二軸方向スライドパーツ10において、スライド孔11を包囲して第一軸方向に延びる1つの側面には、実質的に円形の平面形状を有する孔が設けられており、その孔の中にギア13が取り付けられている。ギア13の外周部分の一部は第二軸方向スライドパーツ10のスライド孔11に臨む側面の一部においてスライド孔11内に露出しており、この部分だけレール12は途切れている。これに対応する第一軸方向スライドパーツ20の第一軸方向の側面にはそのほぼ全面にわたって、ギア13に噛み合うような縦方向に延びる多数の縦溝(図示せず)が設けられている。
【0022】
このギア13と多数の縦溝とはラック・ピニオン機構の関係で噛み合っており、ギア13が所定の角度だけ回転すると、ギア13の回転角に応じた送り量だけ第一軸方向スライドパーツ20は第一軸方向の正方向又は負方向に変位することができる。以上の構成に基づいてギア13を制御して回転させることにより、第一軸方向スライドパーツ20を第二軸方向スライドパーツ10のスライド孔11内で第一軸方向について所望する変位量だけスライドさせることができる。また、ギア13に隣接して、ギア13よりも半径の小さいギア14を設けることによって、ギア比を変換して第一軸方向スライドパーツ20の変位量をより精密に制御することができる。
【0023】
部分図(a)に示す例では、第一軸方向スライドパーツ20の内部の3箇所に上側メッシュ保持部21、21’、21’’が第一軸方向に分布するように設けられている。各メッシュ保持部21、21’、21’’は第一軸方向スライドパーツ20を第三軸方向に貫通する孔の形態であって、1つのメッシュ保持部は1つの試料メッシュ(メッシュ状の形態を有する試料等の搭載台)を収容することができる。尚、第三軸方向は、これ以降で説明するように、重力によって試料を落下させる場合には鉛直方向である。
【0024】
部分図(b)のステージ本体30の上面側には、中央の実質的に平坦な領域を挟んで、第二軸方向スライドパーツ10の第一軸方向の長さと実質的に同じ長さの間隔をおいて、第二軸方向に延びる2つの対向するレール31、32が設けられている。部分図(a)の第二軸方向スライドパーツ10を部分図(b)のステージ本体30に対して矢印の向きに移動させることによって、第二軸方向スライドパーツ10の第二軸方向に延びる2つの辺をレール31、32に係合させ、第二軸方向スライドパーツ10をステージ本体30に取り付けることができる。
【0025】
ステージ本体30の一方のレール32には、第二軸方向スライドパーツ10に設けられていたギア13、14と同様の構成のギア33、34が設けられている。第二軸方向スライドパーツ10の第二軸方向に延びる側面には、ギア33、34とラック・ピニオン機構の関係で係合する多数の縦溝が設けられていることによって、第二軸方向スライドパーツ10に対する第一軸方向スライドパーツ20の関係と同様の機構によって、ステージ本体に対して第二軸方向スライドパーツ10を変位量を精密に制御しながら、第二軸方向にスライドさせることができる。
【0026】
ステージ本体30の中央の平面部分には、グリッドメッシュ保持部35、35’、35’’が第一軸方向にわたって3箇所に分布するように設けられている。グリッドメッシュ保持部35、35’、35’’も上側メッシュ保持部21、21’、21’’と同様に第三軸方向に貫通する孔の形態であって、1つのメッシュ保持部は試料メッシュを1つ収容することができる。部分図(c)に示すように第二軸方向スライドパーツ10をステージ本体30に取り付けた状態で、第一軸方向スライドパーツ20及び第二軸方向スライドパーツ10の位置決めを適切に行うことによって、上側メッシュ保持部21、21’、21’’の全て又はいずれかとグリッドメッシュ保持部35、35’、35’’の全て又はいずれかとを第三軸方向について位置合わせさせることができる。尚、上側メッシュ保持部21、21’、21’’とグリッドメッシュ保持部35、35’、35’’との第三軸方向についての間隔は約1〜5mm又はそれ以下であることが好ましい。
【0027】
ステージ本体30の第二軸方向に延びる外部壁面にはステージ保持用ネジ穴36が設けられており、このネジ穴36に試料ステージを集束イオンビーム装置内に導入するための導入棒(図示せず)を固定することができる。ステージ本体30の底部には図1に示す例では第一軸方向に延びる溝37が設けられており、この溝37を集束イオンビーム装置側のステージを取り付ける部材に設けられている対応するレールに係合させることによって、試料ステージを集束イオンビーム装置に固定することができる。また、特に図示しないが、集束イオンビーム装置側のステージ移動機構によって、試料ステージを水平方向及び垂直方向に移動させたり、或いは傾斜させたり及び回転さたりすることもできる。
【0028】
(実施の形態2)
図2は、本発明のもう1つの実施の形態に係る集束イオンビーム装置用試料ステージを示している。図2の態様の軸方向に関しては、図の右下側の部分に3つの軸方向を示しており、第一軸方向、第二軸方向及び第三軸方向はそれぞれ表示している座標軸の向きに対応している。尚、説明の便宜上、各軸方向について矢印の向きを正方向と称する。この実施の形態に関して、第一軸方向及び第二軸方向は説明の便宜を図るために図中にそれぞれ特定の向きの矢印で示しているが、実施の形態1の場合と同様に、それぞれの矢印の向きを逆向きにしてもよいし、第一軸方向と第二軸方向とを入れ替えて考えることもできる。
【0029】
図2に示す集束イオンビーム装置用試料ステージは、ステージ本体60上に、第一軸方向にスライドする第一軸方向スライドパーツ50及び第二軸方向にスライドする第二軸方向スライドパーツ40が取り付けられる基本的構成を有している。
【0030】
ステージ本体60はL字形の平面形状を有しており、第一軸方向に延びる第一軸方向部材61と第二軸方向に延びる第二軸方向部材62とを有している。第一軸方向部材61には第一軸方向に延びる2本のガイドレール63、63’が設けられており、第一軸方向スライドパーツ50はこれらガイドレール63、63’に沿って第一軸方向にスライドできるように、ガイドレール63、63’に取り付けられている。
【0031】
第一軸方向スライドパーツ50の一部には第二軸方向に長いスライド溝54が設けられており、第一軸方向スライドパーツ・アーム51はこのスライド溝54内を第二軸方向にスライドすることができる。第一軸方向スライドパーツ50のスライド溝54に臨む部分にはギア52が取り付けられており、これに対応する第一軸方向スライドパーツ・アーム51の第二軸方向の側面には、ギア52に噛み合うような縦方向に延びる多数の縦溝が設けられている。このギア52と多数の縦溝とは、実施の形態1の場合と同様に、ラック・ピニオン機構の関係で噛み合っており、ギア52が所定の角度だけ回転すると、ギア52の回転角に応じた送り量だけ第一軸方向スライドパーツ・アーム51は第二軸方向の正方向又は負方向に変位することができる。
【0032】
第一軸方向スライドパーツ・アーム51の先端付近の部分には、上側メッシュ保持部55、55’、55’’が第二軸方向に分布するように設けられている。メッシュ保持部の形態及び機能は、実施の形態1で説明したものと同様である。
【0033】
ギア52に隣接して、ギア52よりも半径の小さいギア53が設けられており、ギア比を変換することによって第一軸方向スライドパーツ・アーム51の変位量をより精密に制御することができる。尚、この実施の形態では、ギア53はフレキシブルワイヤー56によって第一軸方向部材61の内部及び/又は図示しない制御機構に接続されており、モーター駆動、手動等の種々の機構によって回転を制御することができる。
【0034】
また、スライド溝54の一端に設けられているセンサー57によって第一軸方向スライドパーツ・アーム51の移動端が規定及び認識され、この位置を基準としてギア52及び53の回転数を制御することによって、第一軸方向スライドパーツ50上における第一軸方向スライドパーツ・アーム51の第二軸方向についての座標管理が行われる。
【0035】
第一軸方向スライドパーツ50がガイドレール63、63’上でスライドする機構も、第一軸方向スライドパーツ・アーム51について上述した機構と同様に、第一軸方向部材61側に設けられているギア65と、第一軸方向スライドパーツ50の対応する面に設けられている多数の縦溝との係合関係を利用して、ギア66及び65の回転角を制御することによって第一軸方向スライドパーツ50をガイドレール63、63’上で第一軸方向に所定の変位量にてスライドさせることができる。
【0036】
また、第一軸方向部材61の一端に設けられているセンサー69によって第一軸方向スライドパーツ50の移動端が規定及び認識され、この位置を基準としてギア65及び66の回転数を制御することによって、第一軸方向部材61上における第一軸方向スライドパーツ50の第一軸方向についての座標管理が行われる。
【0037】
第二軸方向部材62側のガイドレール64、64’上に配される第二軸方向スライドパーツ40及び第二軸方向スライドパーツ・アーム41の構成及び機能は、スライドする各部材のスライド方向が第一軸方向と第二軸方向との間で入れ替わっていること以外は、第一軸方向スライドパーツ50について上述したのと実質的に同様であると理解されたい。
【0038】
以上の構成によって、第一軸方向スライドパーツ・アーム51の先端付近の部分に設けられている上側メッシュ保持部55、55’、55’’を第一軸方向及び第二軸方向に変位させることができ、これに対応する第二軸方向スライドパーツ40側の第二軸方向スライドパーツ・アーム41の先端付近の部分に設けられているグリッドメッシュ保持部45、45’、45’’も第一軸方向及び第二軸方向に変位させることができる。従って、この実施の形態における集束イオンビーム装置用試料ステージでは、上側メッシュ保持部55とグリッドメッシュ保持部45とを第三軸方向について位置合わせさせた後、上側メッシュ保持部55’とグリッドメッシュ保持部45’とを第三軸方向について位置合わせさせ、更にその後、上側メッシュ保持部55’’とグリッドメッシュ保持部45’’とを第三軸方向について位置合わせさせるという一連の動作を行うことができる。
【0039】
上側メッシュ保持部及びグリッドメッシュ保持部を、透過光源77と検出器89との間で位置合わせさせて配置した状態を図7(a)に示している。ここで、上側メッシュ保持部には試料を搭載した試料メッシュ79が配されており、グリッドメッシュ保持部にはコロジオン等による試料支持膜88の被覆を有するグリッドメッシュ87が配されている。尚、グリッドメッシュとは、試料メッシュにおいて試料を搭載する部材にグリッド状の部材を採用した試料メッシュの1つの態様である。上側メッシュ保持部とグリッドメッシュ保持部との間隔は約1〜5mm又はそれ以下であることが好ましい。
【0040】
上側メッシュ保持部とグリッドメッシュ保持部とが第三軸方向(第三軸方向は実質的に鉛直方向であるので、以下の説明では鉛直方向と称する。)について位置合わせして配置されており、図7(a)に示すようにこれらの鉛直方向下側に透過光源77が位置し、これらの鉛直方向上側に検出器89が位置する場合には、検出器89によって光源77から発せられた光が上側メッシュ保持部とグリッドメッシュ保持部とを通過することを検知することができる。検出器89は光学顕微鏡であってもよい。
【0041】
イオンビームによる加工を行った試料を搭載している試料メッシュ79を上側メッシュ保持部に配置し、グリッドメッシュ保持部にはグリッドメッシュ87を配置し、鉛直方向について試料80の位置がグリッドメッシュ87のグリッド90の位置と重ならない場合には(図7(b)参照)、グリッド90の間を通過する光が試料の加工部位(実際には、打抜き孔86)を透過することによって、試料の加工部位を確認することができる。
【0042】
同様に、試料80を搭載している試料メッシュ87を上側メッシュ保持部に配置し、グリッドメッシュ87をグリッドメッシュ保持部に配置した場合であっても、鉛直方向について試料の位置がグリッドメッシュ87のグリッド90の位置と重なる場合には、試料の加工部位を観察することはできない。このことを利用して、上側の上側メッシュ保持部と下側のグリッドメッシュ支持膜部分の鉛直方向についての位置合わせを調整することができる。
【0043】
以上説明したような集束イオンビーム装置用試料ステージを実際に取り付けた収束イオンビーム装置の例を3に示している。図3の左側にはイオンビームによる加工を行うことができるイオンビーム光学系75が配されており、右側には光学顕微鏡76が配されている。試料ステージ73は、試料ステージスライド用レール74に沿ってイオンビーム光学系75と光学顕微鏡76との間を移動することができる。従って、イオンビーム光学系75内で加工している試料を、イオンビーム光学系75を真空状態に保持することを停止して、光学顕微鏡76側へ移動させて、加工部位を確認することができる。
【0044】
(実施の形態3)
実施の形態3では、本発明の実施の形態1の集束イオンビーム装置用試料ステージを用いて半導体デバイスの透過型電子顕微鏡用の薄片試料を形成する方法(解析方法I)について説明する。
【0045】
透過型電子顕微鏡により、LSIのSi基板の平面的な観察を行なうと、図4に示すように結晶欠陥78が観察される場合がある。図4において、79は透過型電子顕微鏡用試料メッシュ、80はLSIを薄片化した試料、81は透過型電子顕微鏡の視野の中に観察されるLSIパターンである。このような結晶欠陥を詳細に解析する場合、図4の様な平面的な観察によれば、結晶欠陥78について、その位置、形態及び大きさなどの情報を二次元的に把握することはできるが、深さ方向に関する三次元的な情報は得られず、従ってLSIの不良性状の原因を特定するには十分ではなかった。そこで、結晶欠陥について深さ方向に関する情報を得ることを目的として、上記のようなLSIのSi基板の平面方向観察用試料から結晶欠陥部分の断面を観察するための試料を形成することが必要となる。そのような場合に、本発明の方法は有用である。
【0046】
図5は、図4に示す透過型電子顕微鏡試料80を本発明の方法の手順に従って加工する工程を段階的に説明するための図であって、(a)〜(e)の各部分図は対応する各工程における透過型電子顕微鏡試料80を搭載している試料メッシュ79の中央部分についての縦断面図を示している。また、図6は、図5に示す各工程の縦断面図に対応して観察される試料80を平面方向の状態を説明するための摸式図である。
【0047】
〔I−1〕 図5(a)及び図6(a)に示すように、結晶欠陥78の位置の周囲にレーザーマーカーや集束イオンビーム等によって、結晶欠陥位置確認用のマーク82を形成する。但し、結晶欠陥78はレーザーマーカー装置に装備される光学顕微鏡や集束イオンビーム装置での2次電子象/2次イオン像では直接観察できないため、透過型電子顕微鏡による観察の段階で確認した周辺LSIパターンを参考に結晶欠陥78の位置を確認し、マーク82を形成する。図5(a)は、試料メッシュ79によって支持される試料80の中央付近に結晶欠陥78を位置せしめ、結晶欠陥78を挟んで左右両側にマーク82を形成した様子を示している。図6(a)は、これに対応する平面図を示している。試料80は、例えば熱硬化性樹脂や接着剤等(図示せず)によって試料メッシュ79に固定される。
【0048】
〔I−2〕 図5(a’)に示すように、試料80の上側表面に第1の表面保護層83を成膜する。第1の表面保護層83は、この後の工程において形成する第2の表面保護層84として標準的に用いられるタングステンが試料80の材料であるSiと反応することを防止するという機能、及び第2の表面保護層84を形成する操作の初期に、イオンビームが試料表面に損傷を与えることを防止するという機能を果たすための層である。第1の表面保護層83は、この後の工程において第1の表面保護層83の上面側にタングステンを用いて第2の表面保護層を積層することから、少なくともタングステンと反応しない安定な膜が望ましい。そのような第1の表面保護層83の材料としては、C,O系等の有機プラズマ重合膜、炭素蒸着膜、スピン塗布によって形成するSiO2系膜などを用いることができる。第1の表面保護層83の厚さは約10nm〜1μm程度とすることができる。
【0049】
〔I−3〕 以上の処理を施した試料80及び試料メッシュ79を、実施の形態1において説明した図1に示す試料ステージの上側メッシュ保持部21に固定する。一方、ステージ本体のメッシュ保持部35には、試料支持膜88、例えばコロジオン膜を張ったグリッドメッシュ87を固定する。この段階では、ギア14及び34を調整して、上側メッシュ保持部21の鉛直方向下側にグリッドメッシュ87が位置しない配置とする。その理由は、この工程の後で、集束イオンビーム85によって試料80を加工するが、その際に上側メッシュ保持部21の鉛直方向下側にグリッドメッシュ87が位置していると、試料80に対してその上方から照射したイオンビームが試料を貫通した後、下方にあるグリッドメッシュ87に当たることによって、グリッドメッシュ87やグリッドメッシュ87上の試料支持膜88を損傷するおそれがあるので、そのような事態を防止する必要があるからである。
【0050】
〔I−4〕 図5(b)及び図6(b)に示すように、試料ステージを集束イオンビーム装置内に導入し、第1の表面保護層83の上面側において結晶欠陥78及びその周囲の領域に、第2の表面保護層84としてのタングステン層を付着させる。タングステン層を形成する操作は、図8(e)に関連して説明したように、タングステン層を形成しようとする部分にガスノズルを近づけ、ガスノズルからからW(CO)6ガスを供給し、そのW(CO)6ガスに対してイオンビームを照射することによって、タングステンを第1の表面保護層83の表面に析出(蒸着)させることによって行う。タングステン層(第2の表面保護層84)の厚みは一般に1μm前後とすることが好ましい。
【0051】
〔I−5〕 図5(c)及び図6(c)に示すように、マーク82を目印として、結晶欠陥78を含む領域の周囲に集束イオンビーム85を照射し、試料の結晶欠陥78を含む観察しようとする部位(以下、観察部位とも称する)が薄片として取り出せるように、観察部位を挟む両側において第2の表面保護層84、第1の表面保護層83及び試料80を貫通する打抜き孔86、86’を形成する。図5(c)は試料80の観察部位が図5の紙面の奥行き方向に長くなるように配置して、観察部位の紙面に向かって左側に打抜き孔86を形成した状態を示している。図6(c)は、図5(c)の状態よりももう少し加工の程度が進行して、観察部位の図6の紙面に向かって右側にも打抜き孔86’を形成した状態を示している。
【0052】
〔I−6〕 図5(d)及び図6(d)に示すように、観察部位の左右方向の幅を集束イオンビーム85によって更に小さくして、試料の切り抜くべき部分を薄片化する。この操作の際に、図6(d)に示すように、観察部位の長手方向両端の2箇所は加工せず、周囲の試料基板に連絡した状態で残しておく。
〔I−7〕 試料ステージを集束イオンビーム装置から取り出して光学顕微鏡76にセットし、ギア14及び34を調整して、上側メッシュ保持部21の鉛直方向下側にグリッドメッシュ87を配置する。
【0053】
〔I−8〕 図7(a)に示すように試料ステージの鉛直方向下側に位置する透過光源77から光を照射し、その光がグリッドメッシュ87及び上側メッシュ保持部21を透過することを検出器89である顕微鏡によって確認する。具体的には、顕微鏡の視野の中で、図7(b)に示すように上側メッシュ保持部21に搭載している試料の加工部位(実際には試料に形成した打抜き孔86)が、グリッドメッシュ87のグリッドと重ならないように調整する。例えば、試料の打抜き孔86の位置の鉛直方向下側にグリッドメッシュ87のグリッド90が位置する場合には、顕微鏡の視野の中で試料の打抜き孔86を観察できない。その場合には、ギア14及び/又は34を微小量だけ回転させることによって、顕微鏡の視野の中で試料の打抜き孔86が観察できる状態とすることができる。この操作を利用して、試料の加工部がグリッドメッシュ87上の試料支持膜88のほぼ中央部に位置するように調整することができる。
【0054】
〔I−9〕 試料ステージを集束イオンビーム装置に戻し、図5(d)に示すように、観察部位の両端に残しておいた連絡部分にイオンビーム85を照射して、観察部位を含む薄片試料を試料基板から切り離す。切り離された薄片試料は重力によって落下し、その鉛直方向下側に位置するグリッドメッシュ87上に張られた試料支持膜88が落下した薄片試料を受け止める。
【0055】
〔I−10〕 試料の加工形状から、試料支持膜88によって受け止められた薄片試料は、大部分の場合には、その最も大きな表面積の面(即ち、観察しようとする面)が試料支持膜88上で鉛直方向について上下方向を向くような姿勢で落ち着く。そのような場合には、そのまま電子顕微鏡で観察することが可能である。しかしながら、稀ではあるが、観察しようとする面が試料支持膜88上において上下方向を向く姿勢で落ち着かない場合もあり得る。そのような場合には、試料支持膜88上に薄片試料を載置した状態でグリッドメッシュ87を集束イオンビーム装置から取り出した後、図外のマイクロプローブ装置(例えば、鋭利な先端を有する金属針やガラス針を精密駆動する市販のマニュアルプローブ装置)によって薄片試料の観察しようとする面が上下方向を向くような姿勢となるように調整して、観察することができる。
【0056】
〔I−11〕試料ステージを集束イオンビーム装置から取り出し、薄片試料を保持しているグリッドメッシュを試料ステージから外して透過型電子顕微鏡にセットすることによって、透過型電子顕微鏡を用いて試料の断面方向についての解析を行うことができる。
【0057】
(実施の形態4)
実施の形態4では、本発明の実施の形態2の集束イオンビーム装置用試料ステージを用いて薄片試料を形成する方法(解析方法II)について、図5〜7を参照して説明する。この解析方法IIについての説明では解析方法Iの場合と異なる特徴的事項や操作の説明に重点をおくため、薄片試料を形成する操作及び材料について同じ部材名称及び符号を用いる場合には、実質的に同じ部材を用いること、並びに、特に言及しない事項や操作については解析方法Iのものと同様であることと理解されたい。
【0058】
解析方法(I)と同様にLSIの平面的な透過型電子顕微鏡観察で見出された結晶欠陥の深さ方向評価のための断面方向観察として以下の方法を説明する。
図3に示す試料ステージは集束イオンビーム装置の試料ステージとして作り込まれており、集束イオンビーム装置の真空の一部を破って大気中に取り出すことができる。
【0059】
〔II−1〕 図5(a)及び図6(a)に示すように、周囲のLSIパターンなどを目印に結晶欠陥78の位置の周囲に結晶欠陥位置確認用のマーク82をレーザーマーカーや集束イオンビーム等で形成する。
〔II−2〕 図5(a’)に示すように、試料80の上側表面に炭素などによる第2の表面保護層83を成膜する。
〔II−3〕 試料ステージを集束イオンビーム装置の真空系から取り出し、第一軸方向スライドパーツ50の上側メッシュ保持部55に試料メッシュ79を設置する。
〔II−4〕 第二軸方向スライドパーツ40のグリッドメッシュ保持部45に支持膜88を張ったグリッドメッシュ87を設置する。
〔II−5〕 試料ステージを集束イオンビーム装置の真空系に戻す。
〔II−6〕 グリッドメッシュ保持部45を移動させて、集束イオンビーム装置のイオンビーム光学系直下から外し、メッシュ保持部55と鉛直方向の上下に重ならない位置に配置する。
〔II−7〕 メッシュ保持部55はセンサー47、70により第一軸方向、第二軸方向それぞれの移動限界を確認することができ、このセンサーに触れる位置を原点としてギア43、68の回転数を計測及び登録することによって座標管理することができる。この座標を用いて、集束イオンビーム装置の観察機構により予めグリッドメッシュ87上の支持膜88の中央部分(グリッド90を避けた部分)がイオンビーム光学系直下に位置する場合の座標を図外の記憶装置に登録する。
〔II−8〕 グリッドメッシュ保持部45を移動させて試料メッシュ79を集束イオンビーム装置光学系直下に移動する。次に、メッシュ保持部55を移動させて、グリッドメッシュ87をイオンーム光学系直下から外し、試料メッシュ79の下方にグリッドメッシュ87が位置しない状態にする。
〔II−9〕 図5(b)及び図6(b)に示すように、試料80のマーク82を目印として、第1の表面保護層83上にタングステンの第2の表面保護層84を形成する。第2の表面保護層の厚みは0.1μm程度以上とすることが好ましい。
〔II−10〕 図5(c)及び図6(c)に示すように、マーク82を目印として、結晶欠陥78を含む領域の周囲に集束イオンビーム85を照射し、試料の結晶欠陥78を含む観察部位の左右両側に打抜き孔86、86’を形成し、観察部位の長手方向両端の2箇所は周囲の試料基板に連絡した状態で残して、観察部位を薄片化する。
〔II−11〕 図6(d)に示すように、切り抜く部分を集束イオンビーム85によって更に薄片化する。
〔II−12〕 予め登録していたグリッドメッシュ座標を用いて、加工しつつある試料の真下にグリッドメッシュ87上の試料支持膜88の中央部が位置するようにメッシュ保持部55を調整する。
〔II−13〕 図5(d)に示すように、試料において観察部位と試料基板との連絡部2箇所を集束イオンビーム85で切断する。
〔II−14〕 試料基板から切り離されて落下する薄片試料を試料支持膜88によって受け止める。
〔II−15〕 試料ステージを集束イオンビーム装置から取り出し、薄片形態の試料を保持しているグリッドメッシュを試料ステージから外して透過型電子顕微鏡にセットすることによって、透過型電子顕微鏡を用いて試料の断面方向についての解析を行うことができる。
【0060】
尚、グリッドメッシュ87上の支持膜88の中央部分(グリッド90を避けた部分)がイオンビーム光学系直下に位置する場合の座標を記憶装置に登録する操作に関して、複数の位置、例えば図2に示す例ではグリッドメッシュ保持部45、45’、45’’の3箇所のそれぞれの位置について予め登録し、かつ、各上側メッシュ保持部55、55’、55’’にそれぞれ試料メッシュを設置しておけば、一連の操作の中で複数の試料加工を行って複数の薄片試料を得ることができる。
【0061】
また、座標の事前入力(II−7の工程)を省略し、II−11終了後、メッシュ保持部55を移動させて、試料メッシュ79の真下にグリッドメッシュ87を配置した後、透過光源77の光が試料支持膜88と試料の加工部周辺の打抜き孔86を透過して検出器89で検出されるかどうかを調べて、試料加工部直下にグリッドメッシュ87の試料支持膜88が位置していることを確認することによって、加工部直下に支持膜を確実に配置させることが出来る。更に、座標の事前入力(II−7の工程)を省略し、II−11終了後、ステージ全体を集束イオンビーム装置から取り出し、図3の様に顕微鏡下でグリッドメッシュとの位置合わせを行うことで確実に加工部直下に支持膜を配することが出来る。
【0062】
上述したように、本発明の試料ステージを用いれば、高精度なマイクロプローブが不要となる。また、3次元的に移動可能な複雑な駆動系や、試料とマイクロプローブが接したことを検知する観察形/検知機構が不要となり、装置本体の低コストが図れると共に、容易に電子顕微鏡試料を作成することが可能となる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の集束イオンビーム装置用試料ステージは、試料を搭載して収束イオンビームによって加工する試料メッシュを保持できる上側メッシュ保持部を有する第一軸方向スライドパーツと、その鉛直方向下側にグリッドメッシュ保持部を配置することができると共に、その平面内で第一軸方向及び第二軸方向に変位することができるグリッドメッシュ保持部を有する第二軸方向スライドパーツとを備え、試料支持膜を張ったグリッドメッシュをグリッドメッシュ保持部に取り付けることによって、イオンビームによって観察部位を含む薄片形態に加工して、周囲の試料基板から切り離されて落下する薄片試料を試料支持膜によって受け止めることができる。薄片形態の試料が落下する距離を約1〜5mm程度と非常に小さく設定されているので、この落下させる操作によって薄片形態の試料を損傷する可能性を極めて小さくすることができる。
【0064】
また、切り離すべき薄片形態の試料は、切り離した後にこれを受け止める試料支持膜に接触する以外にはその他のプローブなどの部材に物理的に接触する必要はないので、薄片形態の試料に損傷を加えるおそれを排除でき、更に、非常に微細な寸法を有する薄片形態の試料を操作するための高価な加工装置を用いる必要性も排除できる。
【0065】
従って、平面方向観察用試料の厚み方向についての縦断面、或いは縦断面方向観察用試料として既に薄片化されている試料の平面方向の断面についての透過型電子顕微鏡試料を容易に形成することができる。更に、本発明の方法によって形成した試料によって、LSIの不良性状の原因を特定するために有用な試料に関する三次元的な情報を比較的容易に得ることができる。
【0066】
更に、本発明は、集束イオンビーム装置内に光源と透過光検出器を取り付けることによって、上側メッシュ保持部とグリッドメッシュ保持部との第三軸方向についての位置合わせを集束イオンビーム装置内で容易に行うことを可能にして、精度の向上と加工時間の短縮を達成することができる。
【0067】
従って、本発明の試料ステージを用いれば、高精度なマイクロプローブが不要となる。また、3次元的に移動可能な複雑な駆動系や、試料とマイクロプローブが接したことを検知する観察形/検知機構が不要となり、装置本体の低コスト化が図れると共に、電子顕微鏡試料を容易に作成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施の形態に係る集束イオンビーム装置用試料ステージを説明する図である。
【図2】本発明のもう1つの実施の形態に係る集束イオンビーム装置用試料ステージを説明する図である。
【図3】本発明の集束イオンビーム装置用試料ステージを取り付けた収束イオンビーム装置を示す図である。
【図4】本発明の結晶欠陥を観察する為の透過型電子顕微鏡試料の観察像を説明する図である。
【図5】本発明の方法により、薄片形態の試料から縦断面の試料を加工する方法について各工程ごとの試料の縦断面図によって説明する図である。
【図6】本発明の方法により、薄片形態の試料から縦断面の試料を加工する方法について各工程ごとの試料の平面図によって説明する図である。
【図7】本発明の方法により、試料の加工部位とグリッドメッシュとの位置合わせの操作について説明する図である。
【図8】従来のイオンビーム加工の例を示す図である。
【符号の説明】
10…第二軸方向スライドパーツ、 11…スライド孔、 12…レール、 13、14…ギア、 20…第一軸方向スライドパーツ、 21、21’、21’’…上側メッシュ保持部、 30…ステージ本体、 31、32…レール、 33、34…ギア、 35、35’、35’’…グリッドメッシュ保持部、 36…ステージ保持用ネジ穴、 37…溝、 40…第二軸方向スライドパーツ、 41…第二軸方向スライドパーツ・アーム、 42、43…ギア、 44…スライド溝、 45、45’、45’’…グリッドメッシュ保持部、 46…フレキシブルワイヤー、 47…センサー、 50…第一軸方向スライドパーツ、 51…第一軸方向スライドパーツ・アーム、 52、53…ギア、 54…スライド溝、 55、55’、55’’…上側メッシュ保持部、 56…フレキシブルワイヤー、 57…センサー、 60…ステージ本体、 61…第一軸方向部材、 62…第二軸方向部材、 63、63’、64、64’…ガイドレール、 65、66、67、68…ギア、 69、70…センサー、 73…試料ステージ、 74…試料ステージスライド用レール、 75…イオンビーム光学系、 76…光学顕微鏡、 77…透過光源、 78…結晶欠陥、 79…試料メッシュ、 80…試料、 81…LSIパターン、 82…マーク、 83…第1の表面保護層、 84…第2の表面保護層、 85…集束イオンビーム、 86、86’…打抜き孔、 87…グリッドメッシュ、 88…試料支持膜、 89…検出器、 90…グリッド、101…イオンビーム、102…試料基板、102…平面方向観察用試料基板、103…穴、104…底穴、105…溝、106…ガス、107…ガスノズル、108…堆積膜、109…観察用試料、109a…薄片部分、110…プローブ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過型電子顕微鏡用の薄い試料を加工することに関連し、特に既に薄片試料として形成されている試料の厚み方向についての断面を観察するための加工の方法、及びその方法に用いる収束イオンビーム装置用ステージの構成に関する。既に薄片試料として形成されている試料の厚み方向についての断面には、例えば、平面方向観察用試料の厚み方向についての断面、或いは断面方向観察用試料として既に薄片化されている試料の平面方向についての断面などがある。
【0002】
【従来の技術】
透過型電子顕微鏡に用いる薄膜試料の加工装置としては、例えば特開平5−52721号公報に示す様な集束イオンビーム装置(FIB)がある。この集束イオンビーム装置は、試料を搭載したステージの移動をミクロンオーダーの精度で制御することができるものであって、先端の曲率半径がミクロンオーダーであるマイクロプローブを備えている。そのマイクロプローブは導電性材料を用いて形成されており、マイクロプローブを試料に向かって移動させる際に、マイクロプローブが試料に接触したことを電気的に検知することができる。具体的には、集束イオンビーム装置内で、2次イオンビーム、または2次電子像観察しながらマイクロプローブを試料上の接触させたい位置の真上へ移動させた後、速度制御してプローブを自動的に試料に近づける。この際、試料とマイクロプローブに電位差を設け、電流計によって電流を検知することによって、試料とマイクロプローブとが接触したことを自動的に検知することができ、その結果としてプローブの移動を自動的に停止することもできる。このようにマイクロプローブに加工用試料を固定した後、マイクロプローブによって試料の姿勢を変化させながら、イオンビームを用いて試料を加工し、薄膜化試料を作成するものである。
【0003】
この加工装置を用いて、例えば半導体ウェーハの平面方向観察用試料から、その断面を透過型電子顕微鏡によって観察するための断面方向観察用試料を作成するための操作は、図8に示すような工程を経て行われている。尚、透過型電子顕微鏡試料は、観察対象部分を1μm以下の厚さに薄片化する必要があるため、試料の作成には集束イオンビーム装置によるイオンビーム加工が用いられている。
【0004】
まず、図8(a)に示すように、平面方向観察用試料基板102に対してイオンビーム101を照射して略直方体形状の穴103を形成する。次に、図8(b)に示すように、試料基板102をイオンビームの光軸に対して傾斜させて、穴103を囲む1つの壁面にイオンビーム101によって底穴104を形成する。次に、図8(c)に示すように試料基板102の姿勢を図8(a)の状態に戻して、イオンビーム101によって切欠き溝105を形成する。次に、図8(d)に示すように、マニュピレータ(図示せず)の先端に取り付けられているプローブ110の先端を、試料基板102の分離しようとする部分に接触させた後、図8(e)に示すように、ガスノズル107からW(CO)6ガス106を供給しながらイオンビーム101を照射することによって、プローブ110の先端付近の試料表面にタングステン(W)の堆積膜108を形成し、この堆積膜108によってプローブ110の先端を試料基板102に固定する。その後、図8(f)に示すように、プローブ110の先端が固定された試料基板102が分離しようと意図する形状となるように、イオンビームによってその周囲のかなりの領域をくり抜く加工を行い、透過型電子顕微鏡による観察が可能な程度の厚さの薄片部分109aを形成し、試料基板102のプローブ110の先端が固定された部分に薄片部分109aが連絡した状態の観察用試料109を分離する。このようにして得られた観察用試料109の薄片部分109aが透過型電子顕微鏡による観察用の試料となる。
【0005】
次に、図示しないが、試料109を固定しているプローブ110を移動させて、集束イオンビーム装置内に予め導入していた透過型電子顕微鏡試料ホルダに試料を接触させ、試料と試料ホルダとの接触部分に上述のような操作によってタングステンの堆積膜を形成し、試料ホルダを試料に固定させる。その後、プローブ110と試料との間の固定部分をイオンビームによって切断し、試料を試料ホルダ側に固定する。この試料ホルダを透過型電子顕微鏡にセットすることによって、最初の観察方向に対して垂直な方向の試料断面について透過型電子顕微鏡観察が可能になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した加工装置では、試料ピックアップの為のプローブとして、先端をミクロンオーダーまで細く加工したマイクロプローブを用いる必要がある。また、マイクロプローブの移動機構として、機械的にミクロンオーダーの極めて高い精度で3次元的に動かすことができる駆動系が必要であることに加えて、マイクロプローブが試料に接触したことを正確に観察することができる機構又は接触したことを検知することができる機構が必要である。
【0007】
しかしながら、極めて精密な寸法及び形状を有するプローブや、そのプローブを極めて高い精度で3次元的に制御して操作する駆動系は製造コストが高くつくため、かかる加工装置全体としてもコスト高なものになるという難点がある。
そこで、本発明は、集束イオンビーム装置を用いて低コストで透過型電子顕微鏡用の試料を加工する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、集束イオンビーム装置を用いて低コストで透過型電子顕微鏡用の試料を加工する方法に用いる集束イオンビーム装置用試料ステージを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明ではまず、第一軸方向スライドパーツ及び第二軸方向スライドパーツが取り付けられているステージ本体を有する集束イオンビーム装置用試料ステージであって、ステージ本体の基準面において互いに直交して延びる第一軸と第二軸とを想定し、第一軸方向スライドパーツは第一軸方向にスライドすることができ、第二軸方向スライドパーツは第二軸方向にスライドすることができる基本的構成を有することを特徴とする集束イオンビーム装置用試料ステージを提供する。上記集束イオンビーム装置用試料ステージは、第一軸方向スライドパーツ又は第二軸方向スライドパーツが試料メッシュを保持できる上側メッシュ保持部を少なくとも1個有し、第二軸方向スライドパーツ又はステージ本体が支持膜で覆われたグリッドメッシュを保持できるグリッドメッシュ保持部を少なくとも1個有し、上側メッシュ保持部の位置とグリッドメッシュ保持部の位置とを上側メッシュ保持部の下方にグリッドメッシュ保持部が配されるように前記基準面に対して垂直な第三軸方向について位置合わせできる構成を有することを特徴とする。
【0009】
本発明に関して、第一軸及び第二軸とはステージ本体の基準面内において、互いに直交して延びる軸を想定したものであって、第三軸とは第一軸及び第二軸の両者に対して直交する軸、従ってステージ本体の基準面に対して直交する軸を想定したものである。尚、ステージ本体の基準面とは、ステージ本体上において各スライドパーツをスライドさせる際に、各スライドパーツが実際に動ける平面のことであって、実用的には大部分の場合に水平面と同一の平面である。
【0010】
本発明の集束イオンビーム装置用試料ステージは、1つの態様において、イオン源から照射するイオンビームの照射方向を第三軸方向とすることができる。本発明の集束イオンビーム装置用試料ステージは、更に、上側メッシュ保持部に搭載した試料をイオンビームによって加工した後、前記試料を上側メッシュ保持部からグリッドメッシュ保持部へ落下させることを特徴とすることができる。かかる場合に、第三軸方向を鉛直方向とすると、鉛直方向にイオンビームを照射して試料を薄片形態に加工した後、薄片形態の試料を周囲の試料基板から打ち抜いて上側メッシュ保持部からグリッドメッシュ保持部へ鉛直方向下側へ落下させることができる。グリッドメッシュ保持部に試料支持膜を張ったグリッドメッシュを配することによって、薄片形態の試料に物理的に接触することなく、打ち抜き加工を行い、加工によって得られる薄片形態の試料を回収することができる。
【0011】
本発明の集束イオンビーム装置用試料ステージは、第一軸方向スライドパーツが上側メッシュ保持部を備え、ステージ本体がグリッドメッシュ保持部を備える構成とすることができる。かかる場合には、第一軸方向スライドパーツとステージ本体との間で第三軸方向に位置合わせを行い、上側メッシュ保持部にある試料に物理的に接触することなく加工を行い、グリッドメッシュ保持部にて薄片形態の試料を回収することができる。
【0012】
また、本発明の集束イオンビーム装置用試料ステージは、第一軸方向スライドパーツが上側メッシュ保持部を備え、第二軸方向スライドパーツがグリッドメッシュ保持部を備える構成とすることができる。かかる場合には、第一軸方向スライドパーツと第二軸方向スライドパーツとの間で第三軸方向に位置合わせを行い、上側メッシュ保持部にある試料に物理的に接触することなく加工を行い、グリッドメッシュ保持部にて薄片形態の試料を回収することができる。
【0013】
本発明の集束イオンビーム装置用試料ステージは、1つの態様において、上側メッシュ保持部及びグリッドメッシュ保持部のそれぞれの第一軸及び第二軸上での位置を座標管理し、上側メッシュ保持部の鉛直方向下側にグリッドメッシュ保持部を位置決めできるメッシュ保持部位置制御機構を備えることを特徴とすることができる。かかる構成によれば、上側メッシュ保持部とグリッドメッシュ保持部とを鉛直方向について位置合わせする操作を、目視的に確認する必要なく、自動的に行うことができ、試料をイオンビーム装置の照射系から外部に取り出さずに加工を行うことができる。
【0014】
本発明は、また、上述したいずれかの試料ステージの全体又は一部を集束イオンビーム装置の照射系の外部へ取り出すことができることを特徴とする収束イオンビーム装置を提供する。本発明の収束イオンビーム装置は、1つの態様において、前記試料ステージを収容した状態で、試料ステージの下方に配される光源とステージの上方に配される受光部とを有し、光源から発せられてメッシュ保持部を通過した光を受光部にて検知する機構を有することを特徴とすることができる。かかる構成によれば、実質的に集束イオンビームによる加工を行いながら、その直ぐそばで光学的手段による確認を行うことができるので、加工と確認とを極めて短時間にて繰り返すことができる。従って、一連の手順の中で前記の加工と確認とを繰り返す操作を効率よく行うことができる。
【0015】
本発明は更に、実質的に平板状である電子顕微鏡用試料から縦断面観察用試料を形成する試料加工方法であって、(a)試料の切り出したい部位の周囲にマークを付する工程、(b)試料の表面側に第1の表面保護層を形成する工程、(c)試料に付したマークによって囲まれる領域及びその外側の領域の上面側に第2の表面保護層を形成する工程、並びに(d)集束イオンビームを用いて、前記マークを目印として観察しようとする部位を含む領域を第三軸方向に打ち抜いて薄片形態の試料を得る工程を有することを特徴とする試料加工方法を提供する。かかる方法では、マークを目印として集束イオンビームにより薄片形態の試料を打ち抜く加工を容易に行うことができる。マークはレーザーマーカーや集束イオンビーム等を用いて形成することができる。
【0016】
本発明の試料加工方法は、前記工程(c)と(d)との間に、上側メッシュ保持部とグリッドメッシュ保持部とを鉛直方向について位置合わせを行う工程を更に有しており、工程(d)において打ち抜いた薄片形態の試料を上側メッシュ保持部から落下させて、グリッドメッシュ保持部に配したグリッドメッシュの支持膜で受けることを特徴とすることができる。かかる方法によれば、薄片形態の試料に物理的に接触することなく打ち抜き加工を行い、加工によって得られる薄片形態の試料を回収するので、従来の方法に比べて比較的容易に試料の加工を行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、部分図(c)に示す本発明の第1の形態に係る集束イオンビーム装置用試料ステージの構成を理解しやすいように、部分図(a)に示す第二軸方向スライドパーツ10と、部分図(b)に示すステージ本体30とに分解した状態を示している。尚、図1において、部分図(a)の左側に示す矢印IAによって第一軸方向を示しており、部分図(b)の上側に示す矢印IBによって第二軸方向を示している。この実施の形態に関して、第一軸方向及び第二軸方向は説明の便宜を図るために図中にそれぞれ特定の向きの矢印で示しているが、この実施の形態に示す軸方向に限定することは必ずしも必要ではなく、それぞれの矢印の向きを逆向きにしてもよいし、第一軸方向と第二軸方向とを入れ替えて考えることもできる。また、説明の便宜上、各軸方向について矢印の向きを正方向と称する。重要なことは、第一軸及び第二軸はステージ本体の基準面内において互いに直交して延びることである。
【0019】
部分図(a)の第二軸方向スライドパーツ10はその内部に第一軸方向スライドパーツ20を収容している。部分図(a)の第二軸方向スライドパーツ10を部分図(b)のステージ本体30に対して、部分図(a)と(b)との間に示す矢印ICの向きに取り付けることによって、部分図(c)に示す集束イオンビーム装置用試料ステージが形成される。
【0020】
部分図(a)において、第二軸方向スライドパーツ10は実質的に長方形の平面形状を有する平板状の部材である。第二軸方向スライドパーツ10の内部には、実質的に長方形の平面形状を有するスライド孔11が、その長手方向が第一軸方向に延びるようにくり抜かれて設けられている。スライド孔11の内部には、これも実質的に長方形の平面形状を有する第一軸方向スライドパーツ20が取り付けられる。第二軸方向スライドパーツ10においてスライド孔11を包囲する側面のうちの第一軸方向に延びる側面には、第一軸方向に延びるレール12が設けられており、これに対応して第一軸方向スライドパーツ20の第一軸方向に延びる側面にはレール12に係合するスライド溝(図示せず)が設けられている。このスライド溝がガイド部材であるレール12に係合する状態を保つことによって、スライド孔11内で第一軸方向スライドパーツ20を第一軸方向にスライドさせることができる。
【0021】
第二軸方向スライドパーツ10において、スライド孔11を包囲して第一軸方向に延びる1つの側面には、実質的に円形の平面形状を有する孔が設けられており、その孔の中にギア13が取り付けられている。ギア13の外周部分の一部は第二軸方向スライドパーツ10のスライド孔11に臨む側面の一部においてスライド孔11内に露出しており、この部分だけレール12は途切れている。これに対応する第一軸方向スライドパーツ20の第一軸方向の側面にはそのほぼ全面にわたって、ギア13に噛み合うような縦方向に延びる多数の縦溝(図示せず)が設けられている。
【0022】
このギア13と多数の縦溝とはラック・ピニオン機構の関係で噛み合っており、ギア13が所定の角度だけ回転すると、ギア13の回転角に応じた送り量だけ第一軸方向スライドパーツ20は第一軸方向の正方向又は負方向に変位することができる。以上の構成に基づいてギア13を制御して回転させることにより、第一軸方向スライドパーツ20を第二軸方向スライドパーツ10のスライド孔11内で第一軸方向について所望する変位量だけスライドさせることができる。また、ギア13に隣接して、ギア13よりも半径の小さいギア14を設けることによって、ギア比を変換して第一軸方向スライドパーツ20の変位量をより精密に制御することができる。
【0023】
部分図(a)に示す例では、第一軸方向スライドパーツ20の内部の3箇所に上側メッシュ保持部21、21’、21’’が第一軸方向に分布するように設けられている。各メッシュ保持部21、21’、21’’は第一軸方向スライドパーツ20を第三軸方向に貫通する孔の形態であって、1つのメッシュ保持部は1つの試料メッシュ(メッシュ状の形態を有する試料等の搭載台)を収容することができる。尚、第三軸方向は、これ以降で説明するように、重力によって試料を落下させる場合には鉛直方向である。
【0024】
部分図(b)のステージ本体30の上面側には、中央の実質的に平坦な領域を挟んで、第二軸方向スライドパーツ10の第一軸方向の長さと実質的に同じ長さの間隔をおいて、第二軸方向に延びる2つの対向するレール31、32が設けられている。部分図(a)の第二軸方向スライドパーツ10を部分図(b)のステージ本体30に対して矢印の向きに移動させることによって、第二軸方向スライドパーツ10の第二軸方向に延びる2つの辺をレール31、32に係合させ、第二軸方向スライドパーツ10をステージ本体30に取り付けることができる。
【0025】
ステージ本体30の一方のレール32には、第二軸方向スライドパーツ10に設けられていたギア13、14と同様の構成のギア33、34が設けられている。第二軸方向スライドパーツ10の第二軸方向に延びる側面には、ギア33、34とラック・ピニオン機構の関係で係合する多数の縦溝が設けられていることによって、第二軸方向スライドパーツ10に対する第一軸方向スライドパーツ20の関係と同様の機構によって、ステージ本体に対して第二軸方向スライドパーツ10を変位量を精密に制御しながら、第二軸方向にスライドさせることができる。
【0026】
ステージ本体30の中央の平面部分には、グリッドメッシュ保持部35、35’、35’’が第一軸方向にわたって3箇所に分布するように設けられている。グリッドメッシュ保持部35、35’、35’’も上側メッシュ保持部21、21’、21’’と同様に第三軸方向に貫通する孔の形態であって、1つのメッシュ保持部は試料メッシュを1つ収容することができる。部分図(c)に示すように第二軸方向スライドパーツ10をステージ本体30に取り付けた状態で、第一軸方向スライドパーツ20及び第二軸方向スライドパーツ10の位置決めを適切に行うことによって、上側メッシュ保持部21、21’、21’’の全て又はいずれかとグリッドメッシュ保持部35、35’、35’’の全て又はいずれかとを第三軸方向について位置合わせさせることができる。尚、上側メッシュ保持部21、21’、21’’とグリッドメッシュ保持部35、35’、35’’との第三軸方向についての間隔は約1〜5mm又はそれ以下であることが好ましい。
【0027】
ステージ本体30の第二軸方向に延びる外部壁面にはステージ保持用ネジ穴36が設けられており、このネジ穴36に試料ステージを集束イオンビーム装置内に導入するための導入棒(図示せず)を固定することができる。ステージ本体30の底部には図1に示す例では第一軸方向に延びる溝37が設けられており、この溝37を集束イオンビーム装置側のステージを取り付ける部材に設けられている対応するレールに係合させることによって、試料ステージを集束イオンビーム装置に固定することができる。また、特に図示しないが、集束イオンビーム装置側のステージ移動機構によって、試料ステージを水平方向及び垂直方向に移動させたり、或いは傾斜させたり及び回転さたりすることもできる。
【0028】
(実施の形態2)
図2は、本発明のもう1つの実施の形態に係る集束イオンビーム装置用試料ステージを示している。図2の態様の軸方向に関しては、図の右下側の部分に3つの軸方向を示しており、第一軸方向、第二軸方向及び第三軸方向はそれぞれ表示している座標軸の向きに対応している。尚、説明の便宜上、各軸方向について矢印の向きを正方向と称する。この実施の形態に関して、第一軸方向及び第二軸方向は説明の便宜を図るために図中にそれぞれ特定の向きの矢印で示しているが、実施の形態1の場合と同様に、それぞれの矢印の向きを逆向きにしてもよいし、第一軸方向と第二軸方向とを入れ替えて考えることもできる。
【0029】
図2に示す集束イオンビーム装置用試料ステージは、ステージ本体60上に、第一軸方向にスライドする第一軸方向スライドパーツ50及び第二軸方向にスライドする第二軸方向スライドパーツ40が取り付けられる基本的構成を有している。
【0030】
ステージ本体60はL字形の平面形状を有しており、第一軸方向に延びる第一軸方向部材61と第二軸方向に延びる第二軸方向部材62とを有している。第一軸方向部材61には第一軸方向に延びる2本のガイドレール63、63’が設けられており、第一軸方向スライドパーツ50はこれらガイドレール63、63’に沿って第一軸方向にスライドできるように、ガイドレール63、63’に取り付けられている。
【0031】
第一軸方向スライドパーツ50の一部には第二軸方向に長いスライド溝54が設けられており、第一軸方向スライドパーツ・アーム51はこのスライド溝54内を第二軸方向にスライドすることができる。第一軸方向スライドパーツ50のスライド溝54に臨む部分にはギア52が取り付けられており、これに対応する第一軸方向スライドパーツ・アーム51の第二軸方向の側面には、ギア52に噛み合うような縦方向に延びる多数の縦溝が設けられている。このギア52と多数の縦溝とは、実施の形態1の場合と同様に、ラック・ピニオン機構の関係で噛み合っており、ギア52が所定の角度だけ回転すると、ギア52の回転角に応じた送り量だけ第一軸方向スライドパーツ・アーム51は第二軸方向の正方向又は負方向に変位することができる。
【0032】
第一軸方向スライドパーツ・アーム51の先端付近の部分には、上側メッシュ保持部55、55’、55’’が第二軸方向に分布するように設けられている。メッシュ保持部の形態及び機能は、実施の形態1で説明したものと同様である。
【0033】
ギア52に隣接して、ギア52よりも半径の小さいギア53が設けられており、ギア比を変換することによって第一軸方向スライドパーツ・アーム51の変位量をより精密に制御することができる。尚、この実施の形態では、ギア53はフレキシブルワイヤー56によって第一軸方向部材61の内部及び/又は図示しない制御機構に接続されており、モーター駆動、手動等の種々の機構によって回転を制御することができる。
【0034】
また、スライド溝54の一端に設けられているセンサー57によって第一軸方向スライドパーツ・アーム51の移動端が規定及び認識され、この位置を基準としてギア52及び53の回転数を制御することによって、第一軸方向スライドパーツ50上における第一軸方向スライドパーツ・アーム51の第二軸方向についての座標管理が行われる。
【0035】
第一軸方向スライドパーツ50がガイドレール63、63’上でスライドする機構も、第一軸方向スライドパーツ・アーム51について上述した機構と同様に、第一軸方向部材61側に設けられているギア65と、第一軸方向スライドパーツ50の対応する面に設けられている多数の縦溝との係合関係を利用して、ギア66及び65の回転角を制御することによって第一軸方向スライドパーツ50をガイドレール63、63’上で第一軸方向に所定の変位量にてスライドさせることができる。
【0036】
また、第一軸方向部材61の一端に設けられているセンサー69によって第一軸方向スライドパーツ50の移動端が規定及び認識され、この位置を基準としてギア65及び66の回転数を制御することによって、第一軸方向部材61上における第一軸方向スライドパーツ50の第一軸方向についての座標管理が行われる。
【0037】
第二軸方向部材62側のガイドレール64、64’上に配される第二軸方向スライドパーツ40及び第二軸方向スライドパーツ・アーム41の構成及び機能は、スライドする各部材のスライド方向が第一軸方向と第二軸方向との間で入れ替わっていること以外は、第一軸方向スライドパーツ50について上述したのと実質的に同様であると理解されたい。
【0038】
以上の構成によって、第一軸方向スライドパーツ・アーム51の先端付近の部分に設けられている上側メッシュ保持部55、55’、55’’を第一軸方向及び第二軸方向に変位させることができ、これに対応する第二軸方向スライドパーツ40側の第二軸方向スライドパーツ・アーム41の先端付近の部分に設けられているグリッドメッシュ保持部45、45’、45’’も第一軸方向及び第二軸方向に変位させることができる。従って、この実施の形態における集束イオンビーム装置用試料ステージでは、上側メッシュ保持部55とグリッドメッシュ保持部45とを第三軸方向について位置合わせさせた後、上側メッシュ保持部55’とグリッドメッシュ保持部45’とを第三軸方向について位置合わせさせ、更にその後、上側メッシュ保持部55’’とグリッドメッシュ保持部45’’とを第三軸方向について位置合わせさせるという一連の動作を行うことができる。
【0039】
上側メッシュ保持部及びグリッドメッシュ保持部を、透過光源77と検出器89との間で位置合わせさせて配置した状態を図7(a)に示している。ここで、上側メッシュ保持部には試料を搭載した試料メッシュ79が配されており、グリッドメッシュ保持部にはコロジオン等による試料支持膜88の被覆を有するグリッドメッシュ87が配されている。尚、グリッドメッシュとは、試料メッシュにおいて試料を搭載する部材にグリッド状の部材を採用した試料メッシュの1つの態様である。上側メッシュ保持部とグリッドメッシュ保持部との間隔は約1〜5mm又はそれ以下であることが好ましい。
【0040】
上側メッシュ保持部とグリッドメッシュ保持部とが第三軸方向(第三軸方向は実質的に鉛直方向であるので、以下の説明では鉛直方向と称する。)について位置合わせして配置されており、図7(a)に示すようにこれらの鉛直方向下側に透過光源77が位置し、これらの鉛直方向上側に検出器89が位置する場合には、検出器89によって光源77から発せられた光が上側メッシュ保持部とグリッドメッシュ保持部とを通過することを検知することができる。検出器89は光学顕微鏡であってもよい。
【0041】
イオンビームによる加工を行った試料を搭載している試料メッシュ79を上側メッシュ保持部に配置し、グリッドメッシュ保持部にはグリッドメッシュ87を配置し、鉛直方向について試料80の位置がグリッドメッシュ87のグリッド90の位置と重ならない場合には(図7(b)参照)、グリッド90の間を通過する光が試料の加工部位(実際には、打抜き孔86)を透過することによって、試料の加工部位を確認することができる。
【0042】
同様に、試料80を搭載している試料メッシュ87を上側メッシュ保持部に配置し、グリッドメッシュ87をグリッドメッシュ保持部に配置した場合であっても、鉛直方向について試料の位置がグリッドメッシュ87のグリッド90の位置と重なる場合には、試料の加工部位を観察することはできない。このことを利用して、上側の上側メッシュ保持部と下側のグリッドメッシュ支持膜部分の鉛直方向についての位置合わせを調整することができる。
【0043】
以上説明したような集束イオンビーム装置用試料ステージを実際に取り付けた収束イオンビーム装置の例を3に示している。図3の左側にはイオンビームによる加工を行うことができるイオンビーム光学系75が配されており、右側には光学顕微鏡76が配されている。試料ステージ73は、試料ステージスライド用レール74に沿ってイオンビーム光学系75と光学顕微鏡76との間を移動することができる。従って、イオンビーム光学系75内で加工している試料を、イオンビーム光学系75を真空状態に保持することを停止して、光学顕微鏡76側へ移動させて、加工部位を確認することができる。
【0044】
(実施の形態3)
実施の形態3では、本発明の実施の形態1の集束イオンビーム装置用試料ステージを用いて半導体デバイスの透過型電子顕微鏡用の薄片試料を形成する方法(解析方法I)について説明する。
【0045】
透過型電子顕微鏡により、LSIのSi基板の平面的な観察を行なうと、図4に示すように結晶欠陥78が観察される場合がある。図4において、79は透過型電子顕微鏡用試料メッシュ、80はLSIを薄片化した試料、81は透過型電子顕微鏡の視野の中に観察されるLSIパターンである。このような結晶欠陥を詳細に解析する場合、図4の様な平面的な観察によれば、結晶欠陥78について、その位置、形態及び大きさなどの情報を二次元的に把握することはできるが、深さ方向に関する三次元的な情報は得られず、従ってLSIの不良性状の原因を特定するには十分ではなかった。そこで、結晶欠陥について深さ方向に関する情報を得ることを目的として、上記のようなLSIのSi基板の平面方向観察用試料から結晶欠陥部分の断面を観察するための試料を形成することが必要となる。そのような場合に、本発明の方法は有用である。
【0046】
図5は、図4に示す透過型電子顕微鏡試料80を本発明の方法の手順に従って加工する工程を段階的に説明するための図であって、(a)〜(e)の各部分図は対応する各工程における透過型電子顕微鏡試料80を搭載している試料メッシュ79の中央部分についての縦断面図を示している。また、図6は、図5に示す各工程の縦断面図に対応して観察される試料80を平面方向の状態を説明するための摸式図である。
【0047】
〔I−1〕 図5(a)及び図6(a)に示すように、結晶欠陥78の位置の周囲にレーザーマーカーや集束イオンビーム等によって、結晶欠陥位置確認用のマーク82を形成する。但し、結晶欠陥78はレーザーマーカー装置に装備される光学顕微鏡や集束イオンビーム装置での2次電子象/2次イオン像では直接観察できないため、透過型電子顕微鏡による観察の段階で確認した周辺LSIパターンを参考に結晶欠陥78の位置を確認し、マーク82を形成する。図5(a)は、試料メッシュ79によって支持される試料80の中央付近に結晶欠陥78を位置せしめ、結晶欠陥78を挟んで左右両側にマーク82を形成した様子を示している。図6(a)は、これに対応する平面図を示している。試料80は、例えば熱硬化性樹脂や接着剤等(図示せず)によって試料メッシュ79に固定される。
【0048】
〔I−2〕 図5(a’)に示すように、試料80の上側表面に第1の表面保護層83を成膜する。第1の表面保護層83は、この後の工程において形成する第2の表面保護層84として標準的に用いられるタングステンが試料80の材料であるSiと反応することを防止するという機能、及び第2の表面保護層84を形成する操作の初期に、イオンビームが試料表面に損傷を与えることを防止するという機能を果たすための層である。第1の表面保護層83は、この後の工程において第1の表面保護層83の上面側にタングステンを用いて第2の表面保護層を積層することから、少なくともタングステンと反応しない安定な膜が望ましい。そのような第1の表面保護層83の材料としては、C,O系等の有機プラズマ重合膜、炭素蒸着膜、スピン塗布によって形成するSiO2系膜などを用いることができる。第1の表面保護層83の厚さは約10nm〜1μm程度とすることができる。
【0049】
〔I−3〕 以上の処理を施した試料80及び試料メッシュ79を、実施の形態1において説明した図1に示す試料ステージの上側メッシュ保持部21に固定する。一方、ステージ本体のメッシュ保持部35には、試料支持膜88、例えばコロジオン膜を張ったグリッドメッシュ87を固定する。この段階では、ギア14及び34を調整して、上側メッシュ保持部21の鉛直方向下側にグリッドメッシュ87が位置しない配置とする。その理由は、この工程の後で、集束イオンビーム85によって試料80を加工するが、その際に上側メッシュ保持部21の鉛直方向下側にグリッドメッシュ87が位置していると、試料80に対してその上方から照射したイオンビームが試料を貫通した後、下方にあるグリッドメッシュ87に当たることによって、グリッドメッシュ87やグリッドメッシュ87上の試料支持膜88を損傷するおそれがあるので、そのような事態を防止する必要があるからである。
【0050】
〔I−4〕 図5(b)及び図6(b)に示すように、試料ステージを集束イオンビーム装置内に導入し、第1の表面保護層83の上面側において結晶欠陥78及びその周囲の領域に、第2の表面保護層84としてのタングステン層を付着させる。タングステン層を形成する操作は、図8(e)に関連して説明したように、タングステン層を形成しようとする部分にガスノズルを近づけ、ガスノズルからからW(CO)6ガスを供給し、そのW(CO)6ガスに対してイオンビームを照射することによって、タングステンを第1の表面保護層83の表面に析出(蒸着)させることによって行う。タングステン層(第2の表面保護層84)の厚みは一般に1μm前後とすることが好ましい。
【0051】
〔I−5〕 図5(c)及び図6(c)に示すように、マーク82を目印として、結晶欠陥78を含む領域の周囲に集束イオンビーム85を照射し、試料の結晶欠陥78を含む観察しようとする部位(以下、観察部位とも称する)が薄片として取り出せるように、観察部位を挟む両側において第2の表面保護層84、第1の表面保護層83及び試料80を貫通する打抜き孔86、86’を形成する。図5(c)は試料80の観察部位が図5の紙面の奥行き方向に長くなるように配置して、観察部位の紙面に向かって左側に打抜き孔86を形成した状態を示している。図6(c)は、図5(c)の状態よりももう少し加工の程度が進行して、観察部位の図6の紙面に向かって右側にも打抜き孔86’を形成した状態を示している。
【0052】
〔I−6〕 図5(d)及び図6(d)に示すように、観察部位の左右方向の幅を集束イオンビーム85によって更に小さくして、試料の切り抜くべき部分を薄片化する。この操作の際に、図6(d)に示すように、観察部位の長手方向両端の2箇所は加工せず、周囲の試料基板に連絡した状態で残しておく。
〔I−7〕 試料ステージを集束イオンビーム装置から取り出して光学顕微鏡76にセットし、ギア14及び34を調整して、上側メッシュ保持部21の鉛直方向下側にグリッドメッシュ87を配置する。
【0053】
〔I−8〕 図7(a)に示すように試料ステージの鉛直方向下側に位置する透過光源77から光を照射し、その光がグリッドメッシュ87及び上側メッシュ保持部21を透過することを検出器89である顕微鏡によって確認する。具体的には、顕微鏡の視野の中で、図7(b)に示すように上側メッシュ保持部21に搭載している試料の加工部位(実際には試料に形成した打抜き孔86)が、グリッドメッシュ87のグリッドと重ならないように調整する。例えば、試料の打抜き孔86の位置の鉛直方向下側にグリッドメッシュ87のグリッド90が位置する場合には、顕微鏡の視野の中で試料の打抜き孔86を観察できない。その場合には、ギア14及び/又は34を微小量だけ回転させることによって、顕微鏡の視野の中で試料の打抜き孔86が観察できる状態とすることができる。この操作を利用して、試料の加工部がグリッドメッシュ87上の試料支持膜88のほぼ中央部に位置するように調整することができる。
【0054】
〔I−9〕 試料ステージを集束イオンビーム装置に戻し、図5(d)に示すように、観察部位の両端に残しておいた連絡部分にイオンビーム85を照射して、観察部位を含む薄片試料を試料基板から切り離す。切り離された薄片試料は重力によって落下し、その鉛直方向下側に位置するグリッドメッシュ87上に張られた試料支持膜88が落下した薄片試料を受け止める。
【0055】
〔I−10〕 試料の加工形状から、試料支持膜88によって受け止められた薄片試料は、大部分の場合には、その最も大きな表面積の面(即ち、観察しようとする面)が試料支持膜88上で鉛直方向について上下方向を向くような姿勢で落ち着く。そのような場合には、そのまま電子顕微鏡で観察することが可能である。しかしながら、稀ではあるが、観察しようとする面が試料支持膜88上において上下方向を向く姿勢で落ち着かない場合もあり得る。そのような場合には、試料支持膜88上に薄片試料を載置した状態でグリッドメッシュ87を集束イオンビーム装置から取り出した後、図外のマイクロプローブ装置(例えば、鋭利な先端を有する金属針やガラス針を精密駆動する市販のマニュアルプローブ装置)によって薄片試料の観察しようとする面が上下方向を向くような姿勢となるように調整して、観察することができる。
【0056】
〔I−11〕試料ステージを集束イオンビーム装置から取り出し、薄片試料を保持しているグリッドメッシュを試料ステージから外して透過型電子顕微鏡にセットすることによって、透過型電子顕微鏡を用いて試料の断面方向についての解析を行うことができる。
【0057】
(実施の形態4)
実施の形態4では、本発明の実施の形態2の集束イオンビーム装置用試料ステージを用いて薄片試料を形成する方法(解析方法II)について、図5〜7を参照して説明する。この解析方法IIについての説明では解析方法Iの場合と異なる特徴的事項や操作の説明に重点をおくため、薄片試料を形成する操作及び材料について同じ部材名称及び符号を用いる場合には、実質的に同じ部材を用いること、並びに、特に言及しない事項や操作については解析方法Iのものと同様であることと理解されたい。
【0058】
解析方法(I)と同様にLSIの平面的な透過型電子顕微鏡観察で見出された結晶欠陥の深さ方向評価のための断面方向観察として以下の方法を説明する。
図3に示す試料ステージは集束イオンビーム装置の試料ステージとして作り込まれており、集束イオンビーム装置の真空の一部を破って大気中に取り出すことができる。
【0059】
〔II−1〕 図5(a)及び図6(a)に示すように、周囲のLSIパターンなどを目印に結晶欠陥78の位置の周囲に結晶欠陥位置確認用のマーク82をレーザーマーカーや集束イオンビーム等で形成する。
〔II−2〕 図5(a’)に示すように、試料80の上側表面に炭素などによる第2の表面保護層83を成膜する。
〔II−3〕 試料ステージを集束イオンビーム装置の真空系から取り出し、第一軸方向スライドパーツ50の上側メッシュ保持部55に試料メッシュ79を設置する。
〔II−4〕 第二軸方向スライドパーツ40のグリッドメッシュ保持部45に支持膜88を張ったグリッドメッシュ87を設置する。
〔II−5〕 試料ステージを集束イオンビーム装置の真空系に戻す。
〔II−6〕 グリッドメッシュ保持部45を移動させて、集束イオンビーム装置のイオンビーム光学系直下から外し、メッシュ保持部55と鉛直方向の上下に重ならない位置に配置する。
〔II−7〕 メッシュ保持部55はセンサー47、70により第一軸方向、第二軸方向それぞれの移動限界を確認することができ、このセンサーに触れる位置を原点としてギア43、68の回転数を計測及び登録することによって座標管理することができる。この座標を用いて、集束イオンビーム装置の観察機構により予めグリッドメッシュ87上の支持膜88の中央部分(グリッド90を避けた部分)がイオンビーム光学系直下に位置する場合の座標を図外の記憶装置に登録する。
〔II−8〕 グリッドメッシュ保持部45を移動させて試料メッシュ79を集束イオンビーム装置光学系直下に移動する。次に、メッシュ保持部55を移動させて、グリッドメッシュ87をイオンーム光学系直下から外し、試料メッシュ79の下方にグリッドメッシュ87が位置しない状態にする。
〔II−9〕 図5(b)及び図6(b)に示すように、試料80のマーク82を目印として、第1の表面保護層83上にタングステンの第2の表面保護層84を形成する。第2の表面保護層の厚みは0.1μm程度以上とすることが好ましい。
〔II−10〕 図5(c)及び図6(c)に示すように、マーク82を目印として、結晶欠陥78を含む領域の周囲に集束イオンビーム85を照射し、試料の結晶欠陥78を含む観察部位の左右両側に打抜き孔86、86’を形成し、観察部位の長手方向両端の2箇所は周囲の試料基板に連絡した状態で残して、観察部位を薄片化する。
〔II−11〕 図6(d)に示すように、切り抜く部分を集束イオンビーム85によって更に薄片化する。
〔II−12〕 予め登録していたグリッドメッシュ座標を用いて、加工しつつある試料の真下にグリッドメッシュ87上の試料支持膜88の中央部が位置するようにメッシュ保持部55を調整する。
〔II−13〕 図5(d)に示すように、試料において観察部位と試料基板との連絡部2箇所を集束イオンビーム85で切断する。
〔II−14〕 試料基板から切り離されて落下する薄片試料を試料支持膜88によって受け止める。
〔II−15〕 試料ステージを集束イオンビーム装置から取り出し、薄片形態の試料を保持しているグリッドメッシュを試料ステージから外して透過型電子顕微鏡にセットすることによって、透過型電子顕微鏡を用いて試料の断面方向についての解析を行うことができる。
【0060】
尚、グリッドメッシュ87上の支持膜88の中央部分(グリッド90を避けた部分)がイオンビーム光学系直下に位置する場合の座標を記憶装置に登録する操作に関して、複数の位置、例えば図2に示す例ではグリッドメッシュ保持部45、45’、45’’の3箇所のそれぞれの位置について予め登録し、かつ、各上側メッシュ保持部55、55’、55’’にそれぞれ試料メッシュを設置しておけば、一連の操作の中で複数の試料加工を行って複数の薄片試料を得ることができる。
【0061】
また、座標の事前入力(II−7の工程)を省略し、II−11終了後、メッシュ保持部55を移動させて、試料メッシュ79の真下にグリッドメッシュ87を配置した後、透過光源77の光が試料支持膜88と試料の加工部周辺の打抜き孔86を透過して検出器89で検出されるかどうかを調べて、試料加工部直下にグリッドメッシュ87の試料支持膜88が位置していることを確認することによって、加工部直下に支持膜を確実に配置させることが出来る。更に、座標の事前入力(II−7の工程)を省略し、II−11終了後、ステージ全体を集束イオンビーム装置から取り出し、図3の様に顕微鏡下でグリッドメッシュとの位置合わせを行うことで確実に加工部直下に支持膜を配することが出来る。
【0062】
上述したように、本発明の試料ステージを用いれば、高精度なマイクロプローブが不要となる。また、3次元的に移動可能な複雑な駆動系や、試料とマイクロプローブが接したことを検知する観察形/検知機構が不要となり、装置本体の低コストが図れると共に、容易に電子顕微鏡試料を作成することが可能となる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の集束イオンビーム装置用試料ステージは、試料を搭載して収束イオンビームによって加工する試料メッシュを保持できる上側メッシュ保持部を有する第一軸方向スライドパーツと、その鉛直方向下側にグリッドメッシュ保持部を配置することができると共に、その平面内で第一軸方向及び第二軸方向に変位することができるグリッドメッシュ保持部を有する第二軸方向スライドパーツとを備え、試料支持膜を張ったグリッドメッシュをグリッドメッシュ保持部に取り付けることによって、イオンビームによって観察部位を含む薄片形態に加工して、周囲の試料基板から切り離されて落下する薄片試料を試料支持膜によって受け止めることができる。薄片形態の試料が落下する距離を約1〜5mm程度と非常に小さく設定されているので、この落下させる操作によって薄片形態の試料を損傷する可能性を極めて小さくすることができる。
【0064】
また、切り離すべき薄片形態の試料は、切り離した後にこれを受け止める試料支持膜に接触する以外にはその他のプローブなどの部材に物理的に接触する必要はないので、薄片形態の試料に損傷を加えるおそれを排除でき、更に、非常に微細な寸法を有する薄片形態の試料を操作するための高価な加工装置を用いる必要性も排除できる。
【0065】
従って、平面方向観察用試料の厚み方向についての縦断面、或いは縦断面方向観察用試料として既に薄片化されている試料の平面方向の断面についての透過型電子顕微鏡試料を容易に形成することができる。更に、本発明の方法によって形成した試料によって、LSIの不良性状の原因を特定するために有用な試料に関する三次元的な情報を比較的容易に得ることができる。
【0066】
更に、本発明は、集束イオンビーム装置内に光源と透過光検出器を取り付けることによって、上側メッシュ保持部とグリッドメッシュ保持部との第三軸方向についての位置合わせを集束イオンビーム装置内で容易に行うことを可能にして、精度の向上と加工時間の短縮を達成することができる。
【0067】
従って、本発明の試料ステージを用いれば、高精度なマイクロプローブが不要となる。また、3次元的に移動可能な複雑な駆動系や、試料とマイクロプローブが接したことを検知する観察形/検知機構が不要となり、装置本体の低コスト化が図れると共に、電子顕微鏡試料を容易に作成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施の形態に係る集束イオンビーム装置用試料ステージを説明する図である。
【図2】本発明のもう1つの実施の形態に係る集束イオンビーム装置用試料ステージを説明する図である。
【図3】本発明の集束イオンビーム装置用試料ステージを取り付けた収束イオンビーム装置を示す図である。
【図4】本発明の結晶欠陥を観察する為の透過型電子顕微鏡試料の観察像を説明する図である。
【図5】本発明の方法により、薄片形態の試料から縦断面の試料を加工する方法について各工程ごとの試料の縦断面図によって説明する図である。
【図6】本発明の方法により、薄片形態の試料から縦断面の試料を加工する方法について各工程ごとの試料の平面図によって説明する図である。
【図7】本発明の方法により、試料の加工部位とグリッドメッシュとの位置合わせの操作について説明する図である。
【図8】従来のイオンビーム加工の例を示す図である。
【符号の説明】
10…第二軸方向スライドパーツ、 11…スライド孔、 12…レール、 13、14…ギア、 20…第一軸方向スライドパーツ、 21、21’、21’’…上側メッシュ保持部、 30…ステージ本体、 31、32…レール、 33、34…ギア、 35、35’、35’’…グリッドメッシュ保持部、 36…ステージ保持用ネジ穴、 37…溝、 40…第二軸方向スライドパーツ、 41…第二軸方向スライドパーツ・アーム、 42、43…ギア、 44…スライド溝、 45、45’、45’’…グリッドメッシュ保持部、 46…フレキシブルワイヤー、 47…センサー、 50…第一軸方向スライドパーツ、 51…第一軸方向スライドパーツ・アーム、 52、53…ギア、 54…スライド溝、 55、55’、55’’…上側メッシュ保持部、 56…フレキシブルワイヤー、 57…センサー、 60…ステージ本体、 61…第一軸方向部材、 62…第二軸方向部材、 63、63’、64、64’…ガイドレール、 65、66、67、68…ギア、 69、70…センサー、 73…試料ステージ、 74…試料ステージスライド用レール、 75…イオンビーム光学系、 76…光学顕微鏡、 77…透過光源、 78…結晶欠陥、 79…試料メッシュ、 80…試料、 81…LSIパターン、 82…マーク、 83…第1の表面保護層、 84…第2の表面保護層、 85…集束イオンビーム、 86、86’…打抜き孔、 87…グリッドメッシュ、 88…試料支持膜、 89…検出器、 90…グリッド、101…イオンビーム、102…試料基板、102…平面方向観察用試料基板、103…穴、104…底穴、105…溝、106…ガス、107…ガスノズル、108…堆積膜、109…観察用試料、109a…薄片部分、110…プローブ。
Claims (12)
- ステージ本体に、その基準面において第一軸方向にスライドする第一軸方向スライドパーツ及び第一軸と直交する第二軸方向にスライドする第二軸方向スライドパーツが取り付けられており、第一軸方向スライドパーツ又は第二軸方向スライドパーツは試料メッシュを保持できる上側メッシュ保持部を少なくとも1個有しており、第二軸方向スライドパーツ又はステージ本体は支持膜で覆われたグリッドメッシュを保持できるグリッドメッシュ保持部を少なくとも1個有しており、上側メッシュ保持部の位置とグリッドメッシュ保持部の位置とを上側メッシュ保持部の下方にグリッドメッシュ保持部が配されるように前記基準面に対して垂直な第三軸方向について位置合わせできることを特徴とする集束イオンビーム装置用試料ステージ。
- イオン源から照射するイオンビームの照射方向を第三軸方向とすることを特徴とする請求項1記載の集束イオンビーム装置用試料ステージ。
- 上側メッシュ保持部に搭載した試料をイオンビームによって加工した後、前記試料を上側メッシュ保持部からグリッドメッシュ保持部へ落下させることができることを特徴とする請求項1又は2記載の集束イオンビーム装置用試料ステージ。
- 第一軸方向スライドパーツが上側メッシュ保持部を備え、ステージ本体がグリッドメッシュ保持部を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の集束イオンビーム装置用試料ステージ。
- 第二軸方向スライドパーツに設けられている第一軸方向に延びるガイド部材に沿って第一軸方向スライドパーツを移動させる機構、及びステージ本体に設けられている第二軸方向に延びるガイド部材に沿って第二軸方向スライドパーツを移動させる機構を有することを特徴とする請求項4記載の集束イオンビーム装置用試料ステージ。
- 第一軸方向スライドパーツが上側メッシュ保持部を備え、第二軸方向スライドパーツがグリッドメッシュ保持部を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の集束イオンビーム装置用試料ステージ。
- 上側メッシュ保持部を備えて第二軸方向にスライドする第1のメッシュ保持アームを第一軸方向スライドパーツが有しており、グリッドメッシュ保持部を備えて第一軸方向にスライドする第2のメッシュ保持アームを第二軸方向スライドパーツが有することを特徴とする請求項6記載の集束イオンビーム装置用試料ステージ。
- 上側メッシュ保持部及びグリッドメッシュ保持部のそれぞれの第一軸及び第二軸上での位置を座標管理し、上側メッシュ保持部の鉛直方向下側にグリッドメッシュ保持部を位置決めできるメッシュ保持部位置制御機構を備える請求項1〜7のいずれかに記載の集束イオンビーム装置用試料ステージ。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の試料ステージを有する収束イオンビーム装置であって、前記試料ステージの全体又は一部を集束イオンビーム装置の照射系の外部へ取り出すことができる収束イオンビーム装置。
- 前記試料ステージを収容した状態で、試料ステージの下方に配される光源とステージの上方に配される受光部とを有し、光源から発せられてメッシュ保持部を通過した光を受光部にて検知する機構を有することを特徴とする請求項9記載の収束イオンビーム装置。
- 請求項9又は10記載の収束イオンビーム装置を用いて、実質的に平板状である電子顕微鏡用試料から縦断面観察用試料を形成する試料加工方法であって、
(a)試料の観察しようとする部位の周囲にマークを付する工程、
(b)試料の上側表面に第1の表面保護層を形成する工程、
(c)少なくとも試料に付したマークにより囲まれる領域の上側表面に第2の表面保護層を形成する工程、並びに
(d)集束イオンビームを用いて、前記マークを目印として観察しようとする部位を含む領域を第三軸方向に打ち抜いて薄片形態の試料を得る工程
を有することを特徴とする試料加工方法。 - 前記工程(c)と(d)との間に、上側メッシュ保持部とグリッドメッシュ保持部とを鉛直方向について位置合わせを行う工程を更に有しており、工程(d)において打ち抜いた薄片形態の試料を上側メッシュ保持部から落下させて、グリッドメッシュ保持部に配したグリッドメッシュの支持膜で受けることを特徴とする請求項11記載の試料加工方法。
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