JP2004110590A - 自転車の走行路面状況の評価モデルを生成する方法、自転車の走行路面環境評価方法及び評価システム - Google Patents
自転車の走行路面状況の評価モデルを生成する方法、自転車の走行路面環境評価方法及び評価システム Download PDFInfo
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Abstract
【課題】自転車の走行条件に関する客観的なデータを収集し、このデータに基づいて自転車に最適な環境の道路設計に有効なデータを収集する。
【解決手段】道路を走行する自転車の加速度データを取得する加速度データ取得・復元部21と、前記自転車の運転者から走行した道路の路面状況に関する体感情報を取得する体感情報取得手段22と、前記加速度データと体感情報との相関関係を演算しこれに基づいて道路の路面状況の評価モデルを生成する路面状況評価モデル生成部23と、前記路面状況評価モデル32に前記加速度データを適用することにより、自転車が走行した道路の路面状況を評価する走行路面状況評価部24とを備えた。
【選択図】 図10
【解決手段】道路を走行する自転車の加速度データを取得する加速度データ取得・復元部21と、前記自転車の運転者から走行した道路の路面状況に関する体感情報を取得する体感情報取得手段22と、前記加速度データと体感情報との相関関係を演算しこれに基づいて道路の路面状況の評価モデルを生成する路面状況評価モデル生成部23と、前記路面状況評価モデル32に前記加速度データを適用することにより、自転車が走行した道路の路面状況を評価する走行路面状況評価部24とを備えた。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基準車両(プローブカー)である自転車から取得した走行データに基づいて自転車の走行環境を評価するためのモデルを生成する方法、このモデルに走行データを適用して自転車の走行環境を評価する方法及びシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
誰でも気軽に利用できる交通手段として自転車がある。この自転車は、道路交通法上は車両(軽車両)に分類されているため、車道を走行するのが原則である。しかし、自転車は走行するスピードが他の車両に比べて極端に遅く車道を走行するのは危険な場合があることを考慮して、例外的に歩道を走行することが認められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、歩道は歩行者を中心に、また車道は自動車を中心に夫々環境整備が行われているが、自転車の走り易さや安全性等を考慮した環境整備は行われていないのが現状である。そのため、歩道、車道ともに自転車にとって走り難いだけでなく、他の交通主体(歩行者や自動車)との間で接触事故などのトラブルが発生している。
【0004】
このような事情に鑑み、近年、幹線道路などで歩道や車道とは独立した自転車専用の道路(自転車道)を設置することも行われている。しかし、このような自転車道は、平成11年の実績で、自転車と歩行者の両方が通行する従来型の歩道(自転車/歩行者共有道路)に比べると、延べ延長で1/4〜1/5程度にとどまっている。また自転車道といっても、単に他の交通主体(歩行者や自動車等)が通行しない道路というだけで、必ずしも自転車が走り易い道路とは言えない。
【0005】
例えば、自転車道の幅員は自転車の大きさを基準にしているだけで、自転車同士がすれ違う際の安全性などは考慮されていない。また、道路自体の段差や、マンホール・歩道との継ぎ目等の段差も自転車の走行に多大な影響があるが、従来は考慮されてこなかった。これは、自転車の走行条件に関する客観的なデータが体系的に蓄積されておらず、このようなデータに基づく道路設計がなされていないことが一因となっている。
【0006】
本出願の発明者らは、上記の事情及び下記の文献を参考にして鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成させるに至ったものである。
【0007】
【非特許文献1】
高岸節夫:都市における自転車交通の管理運用方策に関する研究、京都大学学位論文、P33〜54、1993。
【0008】
【非特許文献2】
山中英生、田宮佳代子、山川仁、;自転車走行速度に着目した歩行者・自転車混合交通の評価基準、土木計画学研究・論文集、Vol18、No.3、pp471〜476、2001。
【0009】
すなわち、本発明は、自転車の走行条件に関する客観的なデータを収集し、このデータに基づいて自転車に最適な環境の道路を設計できる評価モデル生成方法、自転車走行環境評価システム及びその方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、その第1の主要な観点によれば、道路を走行する自転車の加速度データを取得する加速度データ取得工程と、前記自転車の運転者から走行した道路の路面状況に関する体感情報を取得する体感情報取得工程と、前記取得した加速度データ及び体感情報の相関関係を演算しこれに基づいて自転車が走行した道路の路面状況の評価モデルを生成する路面状況評価モデル生成工程とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価モデル生成方法が提供される。
【0011】
このような構成によれば、道路を走行する自転車(プローブバイシクル)から取得した加速度データと路面状況に関する運転者の体感情報との相関関係に基づいて路面状況評価モデルを生成することができる。このモデルを利用することで、路面段差などの自転車走行環境に関する路面の評価結果を得ることができ、路面整備等に役立てることが可能になる。
【0012】
また、本発明の第2の主要な観点によれば、道路を走行する自転車とこの自転車の側方に位置する若しくは擦れ違う他の物体との間の側方距離データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する側方距離データ取得工程と、前記自転車の運転者から前記他の物体とニアミスした際の危険度に関する体感情報を、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する体感情報取得工程と、前記走行位置を参照することで、前記側方距離データと前記体感情報との相関関係を演算し、危険を感じる側方距離の閾値を含むニアミス発生特定モデルを生成するニアミス発生特定モデル生成工程とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価モデル生成方法が提供される。
【0013】
このような構成によれば、自転車と他の交通主体や駐車車両などの障害物とのニアミスを、運転者が危険を感じる側方距離の閾値に基づいて特定できるニアミス発生特定モデルを生成することができる。これにより、ニアミスの定量的なデータを収集でき、ニアミスデータに基づいて自転車が走行する道路の路面状況を評価することができる。
【0014】
本発明の第3の主要な観点によれば、道路を走行する自転車の加速度データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する加速度データ取得工程と、
予め加速度データと自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて生成されていた道路の路面状況の評価モデルを取得する路面状況評価モデル取得工程と、前記路面状況評価モデルに前記加速度データを適用することにより、自転車が走行した道路の路面状況をその位置情報と共に出力する走行路面状況出力工程とことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法が提供される。
【0015】
このような構成によれば、自転車から取得した加速度データと運転者の体感情報との相関関係に基づいて生成した路面状況評価モデルを利用することで、路面段差やカーブ、障害物、勾配などの自転車走行環境に関する路面の評価結果を得ることができる。
【0016】
本発明の第4の主要な観点によれば、道路を走行する自転車とこの自転車の側方に位置する若しくは擦れ違う他の物体との間の側方距離データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する側方距離データ取得工程と、前記側方距離データと、自転車の運転者が前記他の物体とニアミスした際の危険度に関する体感情報との相関関係に基づいて生成され、危険を感じる側方距離の閾値を含むニアミス発生特定モデルを取得するニアミス発生特定モデル取得工程と、前記ニアミス発生特定モデルに前記側方距離データを適用することにより走行した道路で発生したニアミスを特定するニアミス特定工程と、特定したニアミスの発生状況に基づいて自転車が走行した道路の走行路面状況をその位置情報と共に出力する走行路面状況出力工程とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法が提供される。
【0017】
このような構成によれば、自転車と他の交通主体等とのニアミスを、運転者が危険を感じる側方距離の閾値に基づいて特定できるニアミス発生特定モデルを利用することにより、ニアミスの定量的なデータを収集でき、ニアミスデータに基づいて路面状況を評価することができる。
【0018】
本発明の第5の主要な観点によれば、道路を走行する自転車の走行時の気圧データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する気圧データ取得工程と、自転車の走行時の気圧の変化に基づいて走行した道路の勾配を演算する道路勾配演算工程と、前記道路勾配と自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて生成されていた道路の路面状況の評価モデルを取得する路面状況評価モデル取得工程と、取得した路面状況評価モデルに前記演算した道路勾配の情報を適用することにより、自転車が走行した道路の路面状況をその位置情報と共に出力する走行路面状況出力工程とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法が提供される。
【0019】
このような構成によれば、自転車走行時の気圧データの変化に基づいて演算した道路の勾配と、運転者の体感情報とに基づいて生成した路面状況評価モデルを利用することで、道路の勾配が自転車の走行に与える影響を定量的に評価できる。
【0020】
本発明の第6の主要な観点によれば、道路を走行する自転車の道路上の走行位置のデータを取得する位置情報取得工程と、自転車が走行した道路が他の道路と交差する交差点を地図データから抽出する交差点抽出工程と、抽出した交差点の数、交差する他の道路の幅員、交差点の信号の有無若しくは自転車が走行した道路が優先道路かどうか、の少なくとも何れかと、自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて生成されていた道路の路面状況評価モデルを取得する路面状況評価モデル取得工程と、取得した路面状況評価モデルに前記抽出した交差点の情報を適用することにより、自転車が走行した道路の路面状況をその位置情報と共に出力する走行路面状況出力工程とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法が提供される。
【0021】
このような構成によれば、交差点数等の情報と運転者の体感情報とに基づいて生成した路面状況評価モデルを利用することで、交差点の存在が自転車の走行に与える影響を定量的に評価できる。
【0022】
本発明の第7の主要な観点によれば、道路を走行する自転車の走行データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する走行データ取得工程と、地図データ上に前記道路に関連付けて登録された自転車走行路の種別であって、自転車が走行可能な歩道、車道若しくは自転車用道路を含む自転車走行路種別と、前記自転車の位置情報とに基づいて、自転車が走行した道路が前記自転車走行路種別の何れであるかを判別する自転車走行路種別判別工程と、自転車の走行データと自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて予め生成されていた道路の路面状況の評価モデルを取得する路面状況評価モデル取得工程と、前記路面状況評価モデルに前記データ取得工程で取得した走行データを適用することにより、自転車が走行した道路の走行路面状況をその位置情報及び前記自転車走行路種別と共に出力する走行路面状況出力工程とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法が提供される。
【0023】
自転車が走行する走行路には、車道の路側や自転車専用道路など複数の種別が存在するが、夫々の種別毎に路面状況が異なる場合が多い。そのため、全ての走行路について画一的な評価モデルを適用しても路面状況を的確に評価できないおそれがある。そこで上記した構成によれば、自転車が走行可能な走行路の種別毎に路面状況評価モデルを適用して路面状況を評価するようにしたので、走行路毎の路面状況の評価結果を得ることができる。例えば、歩道や車道の路側などの複数の種別が混在している道路を自転車が走行した場合に、走行路種別毎に異なる評価モデルを適用するなどして、走行路種別毎の評価結果を得ることができる。
【0024】
本発明の第8の主要な観点によれば、道路を走行する自転車の加速度データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する加速度データ取得手段と、予め加速度データと自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて生成されていた道路の路面状況の評価モデルを取得する路面状況評価モデル取得手段と、前記路面状況評価モデルに前記加速度データを適用することにより、自転車が走行した道路の路面状況をその位置情報と共に出力する走行路面状況出力手段とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価システムが提供される。
【0025】
このような構成により、上記した第3の主要な観点における自転車走行路面状況評価方法を好適に実現可能な自転車走行路面状況評価システムを得ることができる。
【0026】
本発明の第9の主要な観点によれば、道路を走行する自転車とこの自転車の側方に位置する若しくは擦れ違う他の物体との間の側方距離データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する側方距離データ取得手段と、前記側方距離データと、自転車の運転者が前記他の部隊とニアミスした際の危険度に関する体感情報との相関関係に基づいて生成され、危険を感じる側方距離の閾値を含むニアミス発生特定モデルを取得するニアミス発生特定モデル取得手段と、前記ニアミス発生特定モデルに前記側方距離データを適用することにより走行した道路で発生したニアミスを特定するニアミス特定手段と、特定したニアミスの発生状況に基づいて自転車が走行した道路の走行路面状況を評価する走行路面状況評価手段とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価システムが提供される。
【0027】
このような構成により、上記した第4の主要な観点における自転車走行路面状況評価方法を好適に実現可能な自転車走行路面状況評価システムを得ることができる。
【0028】
本発明の他の主要な観点によれば、道路を走行する自転車の走行時の気圧データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する気圧データ取得手段と、自転車の走行時の気圧の変化に基づいて走行した道路の勾配を演算する道路勾配演算手段と、前記道路勾配と自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて生成されていた道路の路面状況の評価モデルを取得する走行路面状況評価モデル取得手段と、取得した路面状況評価モデルに前記演算した道路勾配の情報を適用することにより、自転車が走行した道路の路面状況をその位置情報と共に出力する走行路面状況出力手段とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価システムが提供される。
【0029】
このような構成により、上記した第5の主要な観点における自転車走行路面状況評価方法を好適に実現可能な自転車走行路面状況評価システムを得ることができる。
【0030】
本発明の他の主要な観点によれば、道路を走行する自転車の道路上の走行位置のデータを取得する位置情報取得手段と、自転車が走行した道路が他の道路と交差する交差点を地図データから抽出する交差点抽出手段と、抽出した交差点の数、交差する他の道路の幅員、交差点の信号の有無若しくは自転車が走行した道路が優先道路かどうか、の少なくとも何れかと、自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて生成されていた道路の路面状況評価モデルを取得する路面状況評価モデル取得手段と、取得した路面状況評価モデルに前記抽出した交差点の情報を適用することにより、自転車が走行した道路の路面状況をその位置情報と共に出力する走行路面状況出力手段とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価システムが提供される。
【0031】
このような構成により、上記した第6の主要な観点における自転車走行路面状況評価方法を好適に実現可能な自転車走行路面状況評価システムを得ることができる。
【0032】
本発明の他の主要な観点によれば、道路を走行する自転車の走行データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する走行データ取得手段と、地図データ上に前記道路に関連付けて登録された自転車走行路の種別であって、自転車が走行可能な歩道、車道若しくは自転車用道路を含む自転車走行路種別と、前記自転車の位置情報とに基づいて、自転車が走行した道路が前記自転車走行路種別の何れであるかを判別する自転車走行路種別判別手段と、自転車の走行データと自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて予め生成されていた道路の路面状況の評価モデルを取得する路面状況評価モデル取得手段と、前記路面状況評価モデルに前記データ取得手段が取得した走行データを適用することにより、自転車が走行した道路の走行路面状況をその位置情報及び前記自転車走行路種別と共に出力する走行路面状況出力手段とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価システム提供される。
【0033】
このような構成により、上記した第7の主要な観点における自転車走行路面状況評価方法を好適に実現可能な自転車走行路面状況評価システムを得ることができる。
【0034】
なお、この発明の他の特徴と顕著な効果は、次の発明の実施の形態の項の記載と添付した図面とを参照することで、より明確に理解される。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0036】
(プローブバイシクルの構成)
図1は、自転車走行環境評価システムに利用する基準車両である自転車(プローブバイシクル)の概念説明図である。
この自転車1は、道路を走行しながら種々の走行データを測定し、測定された走行データを所定期間(12時間等)蓄積した後にサーバコンピュータ等に備えられた自転車走行環境評価システム(後述する)に送信する機能を備えている。
【0037】
具体的には、この自転車1は、まず測定機器として、後部荷台2に設置された焦電センサ3と、前部かご4の前側に設置された3次元加速度計5及び気圧高度計6と、前輪7のハブ8近傍に設置された金属センサ9と、ハンドル10に設置されたデジタル速度計11とが設けられている。
【0038】
前記焦電センサ3は、走行中に自転車1に近付いた他の交通主体(歩行者、自転車、バイク、自動車等)との側方距離を測定するものである。このデータを利用することで、自転車走行時の他の交通主体とのニアミスを判別できる。
【0039】
また、3次元加速度計5は、自転車1の鉛直方向の加速度と進行(前後)方向の加速度と左右方向(ハンドル方向)の加速度とを測定するものである。鉛直方向の加速度により路面の段差を算出することができる。また、ハンドル方向及び進行方向の加速度は、走行の快適性や総合的な道路の評価を示す指標となる。一例として、15秒間隔で最初の5秒間において0.03秒のサンプリング周期で3次元方向の加速度データを計測するPEAMON(Personal Activity Monitor)と呼ばれる加速度計と連続して加速度を計測する加速時計とを併用している。
【0040】
前記気圧高度計6は、道路の勾配を算出するために気圧の変化を測定するものである。
【0041】
前記デジタル速度計11は、金属センサ9が前輪7のスポーク12を感知してパルスを発生させ、これを回転計に入力して回転数に変換し、この回転数を電圧ロガーで記録する方式を採用している。
【0042】
これらの測定機器は、前記かご4内に設置されたマイクロコンピュータ13に接続されており、測定した走行データはこのマイクロコンピュータ13の記憶領域に随時記憶されるものである。
【0043】
また、この自転車1には、図示しないGPS(Global Positioning System)装置が設置されており、GPS衛星と位置情報を通信することで自転車1が走行している位置を地図上で特定できるようになっている。この位置情報も、その位置における時間と共に前記マイクロコンピュータ13に蓄積されるものである。
【0044】
上記した構成の自転車1による走行データの計測・処理記憶及び送信の各機能及び処理工程をまとめたのが図2である。
【0045】
まず、上記したような構成の自転車1に乗って被験者に道路を走行してもらう(ステップS1)。この自転車1は、道路を走行しながら上記した各計測機器により路面振動や速度などの走行データを取得する(ステップS2)。
【0046】
取得した走行データは、前記マイクロコンピュータ13に蓄積されると共に、必要に応じて所定周期で各データの平均値や最大値・分散値などが算出される(ステップS3)。このようにして蓄積若しくは算出された各データは、マイクロコンピュータ13の通信手段によって後述するサーバコンピュータ(自転車走行環境評価システム)に送信される(ステップS4)。
【0047】
(自転車走行路の説明)
次に、図3乃至図6を参照して、上記した自転車1が走行しながら走行データを取得した道路について説明する。ここで、基準車両による調査としては通常、指定された走行ルートを走行しながらデータを収集する「ルート指定調査」と、基準車両を被験者(モニター)に貸し出して所定時間(12時間、24時間等)の走行行動を調査する「自由走行記録調査」と、基準車両を被験者に貸し出して走行行動を逐次収集してリアルタイムで分析する「車両モニタリング」の3つが考えられる。以下においては、ルート指定調査の場合の例を説明する。
【0048】
まず図3は、走行データを計測したA〜Dの4地区の道路の種別と区間数を示す表である。この例では、道路状況の均質性に応じて、自転車が走行する道路の種別1を「車道」「歩道」「細街路」「自転車道」の4つに区分している。ここで細街路とは、図4に示すように、幅員が比較的狭く歩道が独立して設置されていない道路であり、自転車は自動車や歩行者と混在して走行する道路である。また、車道には、歩道が併設されている場合と設置されていない場合があるため、車道の区間数と歩道の区間とは必ずしも一致しない。なお、C地区に1箇所だけ自転車(専用)道が含まれているが、以下の説明では歩道として扱うものとする。
【0049】
図5に、各地区の道路の区間別の概要を示す。この図に示す区間毎の距離や幅員などは地図データとして後述する道路情報格納部に格納される。例えば、A地区の区間1は道路の全幅員が3.1mで歩道や路肩のデータがないことから、細街路であることが分かる。また、区間3〜5は、車道に歩道が併設されている区間であり、歩道の幅員と、車道のうちの路肩の幅員が夫々登録されている。
【0050】
次に図6は、A地区の道路を模式的に示した図である。A地区は道路の特徴に従って図に示す8区間に分割されており、自転車はこの区間の数字に従って1〜8の区間を順次走行するものである。図中の破線が自転車が走行した経路を示している。図示の例では、区間3では自転車1は歩道1を走行しているが、区間4から区間5の途中までは車道1を走行している。また、区間5の途中から再度歩道を走行している。これは、区間4から区間5にかけて、歩道1上に障害物(駐輪車)があったり、歩道1が工事中や工事直後で走行環境が一見して悪いと判断できるものであること、等が原因として考えられる。
【0051】
ここで、図7乃至図9を参照して、上記したA地区を自転車1が走行しながら計測した走行データの例を説明する。これらの図に示すのは、前記三次元加速度計5で計測した加速度データの例である。何れの図においても(A)は夫々の方向の加速度を0.3秒毎に計測し、連続して測定されている加速度を1.2秒刻みで4.86秒間の平均を取った値を示すものである。また、各図の(B)はその時に標準偏差を示している。
【0052】
図7は鉛直(上下)方向の加速度データ、図8はハンドル(左右)方向の加速度データ、また図9は進行(前後)方向の加速度データを夫々示す。
【0053】
これらのデータから、移動平均や移動分散値は15秒間の中でかなり変動していることがわかる。移動加速度の変化は、衝撃のような短時間の変動が生じることによる影響が大半であり、その部分を含んだ平均や分散を計量できるかどうかで代表値が相当に異なることがわかる。ただし、区間長が長く、継続した振動が生じるような場合はこうした影響は少ないと考えられる。
【0054】
(自転車走行環境評価システムの構成)
次に、図10を参照して、上記のようにして自転車1が道路を走行して計測した走行データを取得して所定の処理を行う自転車走行環境評価システムの構成について説明する。
【0055】
このシステム20は、自転車情報を集約する管理センター内のサーバコンピュータに備えられているものであり、走行データ取得・復元部21と、体感情報取得部22と、評価モデル生成部23と、自転車走行環境評価部24と、交差点抽出部25と、道路勾配演算部26と、自転車走行路種別判別部27と、評価結果出力部28とを備えている。
【0056】
前記走行データ取得・復元部21は、前記自転車1が計測した走行データを所定周期毎(12時間等)に取得し、所定の復元処理を行うものである。取得した走行データは、走行データ格納部29に自転車1が計測した時刻に関連付けて格納される。
【0057】
前記体感情報取得部22は、被験者から走行時若しくは走行後の体感情報を取得するものである。被験者の体感情報は、例えば図11に示す調査用紙を利用して取得する。この調査用紙は、複数の区間毎に、自転車走行の快適性に関する項目について5段階で評価してもらうものである。回答は各区間を走行した直後に記入してもらうのが好ましい。なお、自転車1にビデオカメラやレコーダーを搭載し、走行時に音声で体感情報を入力してもらうようにしても良い。このようにして取得した体感情報は体感情報格納部30に格納され、所定周期で区間毎、時間毎に集計される。
【0058】
前記評価モデル生成部23は、前記取得した走行データに基づいて自転車1の走行環境を評価する評価モデルを生成して評価モデル格納部31に格納するものである。具体的には、加速度データ及び被験者の体感情報の相関関係に基づいて自転車1が走行した道路の路面状況を評価する路面状況評価モデル32と、自転車1の走行位置を参照することで、自転車1と他の交通主体や障害物等との側方距離データ及び前記体感情報の相関関係に基づいて、危険を感じる側方距離の閾値を含むニアミス多発地点発見モデル33と、これらの評価モデルを含む自転車走行の安全性・快適性等の総合的な評価を行う総合評価モデル34とを生成するものである。各評価モデルについては、後に詳しく説明する。
【0059】
前記自転車走行環境評価部24は、自転車1から取得した走行データを前記評価モデル(32)に適用して自転車1の走行環境を評価するものである。具体的には、走行データに含まれる鉛直方向の加速度に基づいて路面の段差を判別する路面状況評価部35と、前記側方距離データに基づいて他の交通主体や障害物等とのニアミスの発生件数をカウントするニアミスカウント部36とを備えている。
【0060】
前記交差点抽出部25は、道路情報格納部37に格納された地図データから自転車1が走行した道路が他の道路と交差する交差点を抽出するものである。交差点は、自転車1が一旦停止や所定時間の停車を余儀なくされる地点であるため、その数は走行の快適性に多大な影響を与える。また、歩行者や他の自転車等が飛び出してくるおそれもあり、自転車走行の安全性にも影響がある。そのため、調査区間内の交差点の数を走行環境の評価指標に加えることで、自転車走行の快適性・安全性を的確に評価することができるようになる。ここで、交差点の数以外に、交差する他の道路の幅員、交差点の信号の有無若しくは自転車が走行した道路が優先道路かどうか、の少なくとも何れかに基づいて道路の走行環境を評価するのが好ましい。また、このような評価を行うための評価モデルを生成しておくのがより好ましい。
【0061】
前記道路勾配演算部26は、自転車1の走行時の気圧の変化に基づいて走行した道路の勾配を演算するものである。演算した道路勾配のデータは、前記道路情報格納部37に格納するのが好ましい。
【0062】
前記自転車走行路種別判別部27は、自転車1の走行データに関連付けられた位置情報に基づいて自転車1が走行した走行路の種別を判別するものである。この実施形態では、全ての道路が「歩道」「車道」「細街路」及び「自転車道」に区分されているため、これらの中の何れに当てはまるかを判別することになる。
【0063】
前記評価結果出力部28は、前記走行環境の評価結果を走行路種別に関連付けて地図データや統計データと共に管理者端末のディスプレイやWEBサイトなどに出力するものである。これにより、走行路種別毎の評価結果を提供することができ、歩道や自転車道の整備等の道路行政に客観的で有益な情報を提供できるようになる。具体的には、歩道の補修の実施計画、ニアミスなどの問題の発生要因の現場把握による改善計画、改善結果のモニタリング、良好現場の把握による水平展開等の種々の場面で利用することができる。
【0064】
上記した各構成要素は、実際には、サーバコンピュータにインストールされたコンピュータソフトウエアプログラム若しくは1つのプログラム中のサブルーチンである。そして、図示しないこのコンピュータの中央演算装置によってRAM上に呼び出され実行されることで、この発明の各機能を奏する。
【0065】
以下、このシステム20の動作について、図12のフローチャートを参照して説明する。
【0066】
まず、前記走行データ取得・復元部21がインターネットなどの通信回線を通じて自転車1から走行データを取得して復元処理を行う(ステップS5)。
【0067】
次いで、前記自転車走行環境評価部24が、夫々のモデルに走行データを適用して路面状態、ニアミス及びそれらを含む走行環境の評価を行う(ステップS6)。評価された路面状態・ニアミス頻度及び自転車快適性の総合評価項目は、スコア化された後、評価結果出力部28によって位置情報に関連付けれらて地図データと共に出力される(ステップS7、S8)。このようにして得られた自転車走行環境の評価結果は、路面回収が必要な場所の発見や、自転車と歩行者との共有空間を改良すべき地点の発見等に有効利用することができる(ステップS9)。
【0068】
(評価モデル)
次に、前記評価モデル生成部23が生成する評価モデルについて説明する。
【0069】
まず、路面状況評価モデル32は、評価区間での計測指標から、自転車環境の路面快適性スコアを算出するモデルである。例えば、次式に示すように、路面状態を深いと感じる割合として表現することができる。
【0070】
【式1】
【0071】
また、ニアミス多発地点発見モデル33は、図13に示すように、自転車1と他の交通主体や道路上の障害物、看板、植栽等との側方余裕幅(側方距離)が所定の閾値以下になった場合をニアミスと判断して、その発生回数(頻度)や時間比を計測する。ここで、所定の閾値は、図13(A)(B)に示すように、75cm〜100cm以下になると危険と感じる被験者が増加することから、安全性を重視して100cm程度とするのが好ましい。
【0072】
また、この図においては、他の交通主体の進行方向及び交通主体の種別(歩行者と他の自転車)毎に危険感知率を表わしている。すなわち、自転車1で他の交通主体(歩行者や他の自転車等)を追い越した場合よりも、対向する他の交通主体(自動車、バイク、他の自転車等)とすれ違う場合の方がニアミスによる危険を強く感じる傾向がある。また、歩行者よりも自転車や自動車、バイクなどに接近した場合により強く危険を感じる。そのため、他の交通主体の進行方向別や交通主体の種別毎に異なる閾値を設定したり、同じ閾値でもニアミス発生による危険度に所定の係数を乗じて進行方向別にニアミスの危険度を異ならせるのが好ましい。さらに、自転車1と他の交通主体との相対速度に基づいて閾値や所定の係数を異ならせても良い。さらに、これらを組み合わせて閾値を設定することもできる、
【0073】
次に、自転車走行総合環境評価モデル34は、次式に示す様に、評価区間での計測指標から、自転車環境の総合的な快適性スコアを求めるモデルとして表わされる。
【0074】
【式2】
【0075】
この評価モデル34は、上記した路面状況評価モデル32とニアミス多発地点発見モデル33を統合し、さらに高度差速度の時間比のパラメータを追加して総合的な快適性を求めるように構成したものである。
【0076】
(具体的な評価手法)
次に、図14乃至図23を参照して、前記自転車走行環境評価部24が行う具体的な評価手法について説明する。
【0077】
(評価意識と走行データとの関連)
まず、プローブバイシクルを被験者(モニター)に貸し出して所定時間(12時間、24時間等)の走行行動を調査する「自由走行記録調査」を行った場合の路面状況の評価結果について説明する。
【0078】
この例では、路面評価、走行の安全感、走行速度快適感、他の交通主体や駐車車両による走行妨害感及び総合評価の5項目についての被験者の評価意識と、自転車が計測した走行データとの関連性を分析して走行環境を評価するものである。またそのために、自転車1から取得する走行データは、振動加速度においては、三次元加速度データ、最大方向加速度、区間内最大値とした。また、速度の指標として、区間内標準偏差値と区間内平均値を取得するようにした。その他の、使用する自転車1の装備や自転車走行環境評価システム20の構成は前記の「ルート指定調査」と略同一である。
【0079】
以下に、上記した5項目について、取得した走行データとの関連性の分析結果を説明する。これらの分析処理は、前記自転車走行環境評価部24が主として行うものである。
【0080】
図14乃至図18に各評価項目と計測した速度、加速度等との関係を示す。これらの図においては、上記の計測データのうち、速度分散値、上下(鉛直)方向の最大加速度、ハンドル(左右)方向の最大加速度、進行(前後)方向の最大加速度等との関係を夫々抜き出して示している。
【0081】
まず、路面評価については、例えば図14(A)に示すように、速度の分散値が上がるにつれて路面に対する評価が低くなっていることが分かる(図中に太線の傾向線で示す。以下も同様)。これは、自転車1の走行速度がばらつくような状況は道路の路面状態が悪いことを示している。この図14から、上下方向・ハンドル方向及び進行方向の最大加速度や加速度の最大値が路面評価を表現する有効な指標になり得ると考えられる。
【0082】
次に、安全感については、例えば図15(B)に示すように、上下方向の最大加速度が上がるにつれて安全評価が下がっていることが分かる。この図15から、安全評価には、速度の分散値、上下方向・ハンドル方向及び進行方向の最大加速度の全てが関係が深いと言える。
【0083】
また、走行速度快適感は、図16(A)に示すように、速度の分散値が上がるにつれて評価は下がっている。これは、区間走行中の速度変化が自転車走行中に人が感じる走行速度の快適感に関係があることを示している。また、図15(B)に示すように、上下方向の最大加速度が大きくなるに従い快適性の評価は低くなっている。これに対して、ハンドル方向や進行方向の最大加速度との関係では、有意な変化は見られなかった。
【0084】
次に、走行妨害については、図17(D)に示すように、進行方向の最大加速度が上がるにつれて評価が下がっていることが分かる。その他のデータとの関連では明確な傾向は見られなかった。
【0085】
最後に、総合評価については、図18(A)に示すように、速度の分散が大きくなるにしたがって被験者が感じる騒動評価が低くなっていることが分かる。
【0086】
以上の結果をまとめると図19のようになる。図中の記号は、評価意識の5項目と計測データとの線型―線型関係を仮定した時の検定結果(Mantel−Haenszelカイニ乗法)について、有意水準のレベル(線型関係を棄却できる確率)を示すものである。
【0087】
この表から、評価意識は対象が抽象的・総合的になるほど計測データとの関連性が低くなる傾向が見られるが、物理的な状況の明確な評価項目については、計測データが明確に関連していると言える。
【0088】
上記の分析結果に基づいて、走行データから評価意識レベルを予測できる評価関数をオーダードロジットモデルを利用して作成したのが図20の自転車走行環境評価モデルである。この走行環境評価モデルを利用して、自転車から取得した計測データに基づいて自転車走行中の走行環境に対する意識を予測することができる。図21にこのモデルの推定結果を示す。この図から明らかな様に、5つの評価項目の全てにおいて、モデル適合度(カイ2乗値)、t値とも有効・有意な値となっている。したがって、この評価モデルを利用することで、被験者の道路環境評価をある程度予測することが可能となる。
【0089】
(対向交通密度と走行データとの関係)
次に、街路交通環境の一例として、みかけ(対向)交通密度と走行データ(振動加速度及び速度)との関連性の分析手法について説明する。
【0090】
この対向交通密度は、計測区間内の平均的な交通密度を、通過時間内にすれ違いの生じた交通主体の数に基づいて以下のように算出する。
【0091】
図22に模式的に示すように、自転車1に対向して流動している交通主体の平均車頭間隔をX’p(m)とし、自転車の速度をVB(m/s)とすると、この自転車1が単位時間当りに出会う主体数E’p(回/s)は次式で表わすことができる。
【0092】
【式3】
【0093】
したがって、単位時間当りの出会い回数Epを目視やビデオ画像などでカウントすると、対向主体のみかけ交通密度は次式のようになる。
【0094】
【式4】
【0095】
また、自転車1を追い越す自動車の場合は、次式で求めることもできる。
【0096】
【式5】
【0097】
一方、この自転車1が追い越す歩行者の場合は、次式で求めることができる。
【0098】
【式6】
【0099】
上記のようにして求めた対向交通密度は、例えば、図23のように、ハンドル方向の最大加速度と一定の相関関係が見られる。したがって、対向交通密度は自転車が走行中の周囲の交通状況を示すのに有効であり、加速度と関連があると言える。
【0100】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々変形可能である。
【0101】
例えば、自転車1にビデオを装着して、走行時の画像を撮像することで、道路の混雑状況や障害物(路上の落下物や看板・植栽等)の有無を判別するようにしても良い。この場合には、ブレーキングや急なハンドル操作をトリガーにして、その前後の所定時間の画像だけを記録することで、長時間の撮影を可能にするのが好ましい。
【0102】
また、自転車1の運転者の心拍数、皮膚温、発汗量、呼吸数などの生理計測を併用して、運転者のストレス計測や運動量評価に用いることもできる。
【0103】
また、前記評価モデル生成部23を自転車走行環境評価システム20とは別のシステムとして構成することもできる。その場合には、走行データ取得・復元部21から走行データを取得して評価モデルを生成し、自転車走行環境評価システム20から要求があった場合に生成した評価モデルを送信するようにする。または、生成後、直ちに若しくは所定周期で自転車走行環境評価システム20に評価モデルを送信して前記評価モデル格納部31に格納しておく様にしても良い。
【0104】
さらに、前記評価モデル生成部23は、所定周期で評価モデル格納部31に格納された評価モデルを最新の走行データに基づいて更新するようにしても良い。
【0105】
また、被験者の属性(年齢、職業、性別、自転車の乗車歴、普段乗り慣れているか等)を考慮して、評価指標である速度や加速度などを適宜修正するのが好ましい。
【0106】
また、路面状況の測定の時間帯を考慮するのが好ましい。例えば、同じ道路でも、夕方の買い物時や、朝夕の通勤・通学時とそれ以外の時間帯とでは、交通量等の路面状況が大きく異なることが考えられる。そのため、評価モデルの生成・適用に際しては、時間帯を考慮して異なる閾値を設定するなどの方策が有効である。
【0107】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、自転車の走行条件に関する客観的なデータを収集し、このデータに基づいて自転車に最適な環境の道路を設計できる評価モデル生成方法、自転車走行環境評価システム及びその方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プローブバイシクル(自転車)の概略構成を示す図。
【図2】自転車における走行データの取得工程を示すフローチャート。
【図3】調査対象地区毎の道路種別と区間数を示す表。
【図4】細街路の例を示す図。
【図5】調査対象地区の諸元を示す表。
【図6】調査対象道路を模式的に示す図。
【図7】上下方向加速度と移動変化との関係を示すグラフ。
【図8】ハンドル方向加速度と移動変化との関係を示すグラフ。
【図9】進行方向加速度と移動変化との関係を示すグラフ。
【図10】自転車走行環境評価システムの概略構成を示すブロック図。
【図11】区間毎のアンケート用紙の例を示す図。
【図12】自転車走行環境評価システムの概略処理工程を示すフローチャート。
【図13】ニアミスの危険感知率を示すグラフ。
【図14】路面評価と走行データとの関係を示すグラフ。
【図15】安全評価と走行データとの関係を示すグラフ。
【図16】走行速度の快適性評価と走行データとの関係を示すグラフ。
【図17】走行妨害感評価と走行データとの関係を示すグラフ。
【図18】走行環境の総合評価と走行データとの関係を示すグラフ。
【図19】評価意識指標と走行データとの関連性を示す図。
【図20】自転車走行環境評価モデルの例を示す図。
【図21】自転車走行環境評価モデルによる推定結果を示す図。
【図22】対向交通密度の説明図。
【図23】対向交通密度とハンドル方向の最大加速度との関係を示す図。
【符号の説明】
1…自転車
3…焦電センサ
9…金属センサ
13…マイクロコンピュータ
20…自転車走行環境評価システム
21…走行データ取得・復元部
22…体感情報取得部
23…評価モデル生成部
24…自転車走行環境評価部
25…交差点抽出部
26…道路勾配演算部
27…自転車走行路種別判別部
28…評価結果出力部
29…走行データ格納部
30…体感情報格納部
31…評価モデル格納部
32…路面状況評価モデル
33…ニアミス多発地点発見モデル
34…自転車走行総合環境評価モデル
35…路面状況評価部
36…ニアミスカウント部
37…道路情報格納部
【発明の属する技術分野】
本発明は、基準車両(プローブカー)である自転車から取得した走行データに基づいて自転車の走行環境を評価するためのモデルを生成する方法、このモデルに走行データを適用して自転車の走行環境を評価する方法及びシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
誰でも気軽に利用できる交通手段として自転車がある。この自転車は、道路交通法上は車両(軽車両)に分類されているため、車道を走行するのが原則である。しかし、自転車は走行するスピードが他の車両に比べて極端に遅く車道を走行するのは危険な場合があることを考慮して、例外的に歩道を走行することが認められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、歩道は歩行者を中心に、また車道は自動車を中心に夫々環境整備が行われているが、自転車の走り易さや安全性等を考慮した環境整備は行われていないのが現状である。そのため、歩道、車道ともに自転車にとって走り難いだけでなく、他の交通主体(歩行者や自動車)との間で接触事故などのトラブルが発生している。
【0004】
このような事情に鑑み、近年、幹線道路などで歩道や車道とは独立した自転車専用の道路(自転車道)を設置することも行われている。しかし、このような自転車道は、平成11年の実績で、自転車と歩行者の両方が通行する従来型の歩道(自転車/歩行者共有道路)に比べると、延べ延長で1/4〜1/5程度にとどまっている。また自転車道といっても、単に他の交通主体(歩行者や自動車等)が通行しない道路というだけで、必ずしも自転車が走り易い道路とは言えない。
【0005】
例えば、自転車道の幅員は自転車の大きさを基準にしているだけで、自転車同士がすれ違う際の安全性などは考慮されていない。また、道路自体の段差や、マンホール・歩道との継ぎ目等の段差も自転車の走行に多大な影響があるが、従来は考慮されてこなかった。これは、自転車の走行条件に関する客観的なデータが体系的に蓄積されておらず、このようなデータに基づく道路設計がなされていないことが一因となっている。
【0006】
本出願の発明者らは、上記の事情及び下記の文献を参考にして鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成させるに至ったものである。
【0007】
【非特許文献1】
高岸節夫:都市における自転車交通の管理運用方策に関する研究、京都大学学位論文、P33〜54、1993。
【0008】
【非特許文献2】
山中英生、田宮佳代子、山川仁、;自転車走行速度に着目した歩行者・自転車混合交通の評価基準、土木計画学研究・論文集、Vol18、No.3、pp471〜476、2001。
【0009】
すなわち、本発明は、自転車の走行条件に関する客観的なデータを収集し、このデータに基づいて自転車に最適な環境の道路を設計できる評価モデル生成方法、自転車走行環境評価システム及びその方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、その第1の主要な観点によれば、道路を走行する自転車の加速度データを取得する加速度データ取得工程と、前記自転車の運転者から走行した道路の路面状況に関する体感情報を取得する体感情報取得工程と、前記取得した加速度データ及び体感情報の相関関係を演算しこれに基づいて自転車が走行した道路の路面状況の評価モデルを生成する路面状況評価モデル生成工程とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価モデル生成方法が提供される。
【0011】
このような構成によれば、道路を走行する自転車(プローブバイシクル)から取得した加速度データと路面状況に関する運転者の体感情報との相関関係に基づいて路面状況評価モデルを生成することができる。このモデルを利用することで、路面段差などの自転車走行環境に関する路面の評価結果を得ることができ、路面整備等に役立てることが可能になる。
【0012】
また、本発明の第2の主要な観点によれば、道路を走行する自転車とこの自転車の側方に位置する若しくは擦れ違う他の物体との間の側方距離データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する側方距離データ取得工程と、前記自転車の運転者から前記他の物体とニアミスした際の危険度に関する体感情報を、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する体感情報取得工程と、前記走行位置を参照することで、前記側方距離データと前記体感情報との相関関係を演算し、危険を感じる側方距離の閾値を含むニアミス発生特定モデルを生成するニアミス発生特定モデル生成工程とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価モデル生成方法が提供される。
【0013】
このような構成によれば、自転車と他の交通主体や駐車車両などの障害物とのニアミスを、運転者が危険を感じる側方距離の閾値に基づいて特定できるニアミス発生特定モデルを生成することができる。これにより、ニアミスの定量的なデータを収集でき、ニアミスデータに基づいて自転車が走行する道路の路面状況を評価することができる。
【0014】
本発明の第3の主要な観点によれば、道路を走行する自転車の加速度データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する加速度データ取得工程と、
予め加速度データと自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて生成されていた道路の路面状況の評価モデルを取得する路面状況評価モデル取得工程と、前記路面状況評価モデルに前記加速度データを適用することにより、自転車が走行した道路の路面状況をその位置情報と共に出力する走行路面状況出力工程とことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法が提供される。
【0015】
このような構成によれば、自転車から取得した加速度データと運転者の体感情報との相関関係に基づいて生成した路面状況評価モデルを利用することで、路面段差やカーブ、障害物、勾配などの自転車走行環境に関する路面の評価結果を得ることができる。
【0016】
本発明の第4の主要な観点によれば、道路を走行する自転車とこの自転車の側方に位置する若しくは擦れ違う他の物体との間の側方距離データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する側方距離データ取得工程と、前記側方距離データと、自転車の運転者が前記他の物体とニアミスした際の危険度に関する体感情報との相関関係に基づいて生成され、危険を感じる側方距離の閾値を含むニアミス発生特定モデルを取得するニアミス発生特定モデル取得工程と、前記ニアミス発生特定モデルに前記側方距離データを適用することにより走行した道路で発生したニアミスを特定するニアミス特定工程と、特定したニアミスの発生状況に基づいて自転車が走行した道路の走行路面状況をその位置情報と共に出力する走行路面状況出力工程とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法が提供される。
【0017】
このような構成によれば、自転車と他の交通主体等とのニアミスを、運転者が危険を感じる側方距離の閾値に基づいて特定できるニアミス発生特定モデルを利用することにより、ニアミスの定量的なデータを収集でき、ニアミスデータに基づいて路面状況を評価することができる。
【0018】
本発明の第5の主要な観点によれば、道路を走行する自転車の走行時の気圧データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する気圧データ取得工程と、自転車の走行時の気圧の変化に基づいて走行した道路の勾配を演算する道路勾配演算工程と、前記道路勾配と自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて生成されていた道路の路面状況の評価モデルを取得する路面状況評価モデル取得工程と、取得した路面状況評価モデルに前記演算した道路勾配の情報を適用することにより、自転車が走行した道路の路面状況をその位置情報と共に出力する走行路面状況出力工程とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法が提供される。
【0019】
このような構成によれば、自転車走行時の気圧データの変化に基づいて演算した道路の勾配と、運転者の体感情報とに基づいて生成した路面状況評価モデルを利用することで、道路の勾配が自転車の走行に与える影響を定量的に評価できる。
【0020】
本発明の第6の主要な観点によれば、道路を走行する自転車の道路上の走行位置のデータを取得する位置情報取得工程と、自転車が走行した道路が他の道路と交差する交差点を地図データから抽出する交差点抽出工程と、抽出した交差点の数、交差する他の道路の幅員、交差点の信号の有無若しくは自転車が走行した道路が優先道路かどうか、の少なくとも何れかと、自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて生成されていた道路の路面状況評価モデルを取得する路面状況評価モデル取得工程と、取得した路面状況評価モデルに前記抽出した交差点の情報を適用することにより、自転車が走行した道路の路面状況をその位置情報と共に出力する走行路面状況出力工程とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法が提供される。
【0021】
このような構成によれば、交差点数等の情報と運転者の体感情報とに基づいて生成した路面状況評価モデルを利用することで、交差点の存在が自転車の走行に与える影響を定量的に評価できる。
【0022】
本発明の第7の主要な観点によれば、道路を走行する自転車の走行データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する走行データ取得工程と、地図データ上に前記道路に関連付けて登録された自転車走行路の種別であって、自転車が走行可能な歩道、車道若しくは自転車用道路を含む自転車走行路種別と、前記自転車の位置情報とに基づいて、自転車が走行した道路が前記自転車走行路種別の何れであるかを判別する自転車走行路種別判別工程と、自転車の走行データと自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて予め生成されていた道路の路面状況の評価モデルを取得する路面状況評価モデル取得工程と、前記路面状況評価モデルに前記データ取得工程で取得した走行データを適用することにより、自転車が走行した道路の走行路面状況をその位置情報及び前記自転車走行路種別と共に出力する走行路面状況出力工程とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法が提供される。
【0023】
自転車が走行する走行路には、車道の路側や自転車専用道路など複数の種別が存在するが、夫々の種別毎に路面状況が異なる場合が多い。そのため、全ての走行路について画一的な評価モデルを適用しても路面状況を的確に評価できないおそれがある。そこで上記した構成によれば、自転車が走行可能な走行路の種別毎に路面状況評価モデルを適用して路面状況を評価するようにしたので、走行路毎の路面状況の評価結果を得ることができる。例えば、歩道や車道の路側などの複数の種別が混在している道路を自転車が走行した場合に、走行路種別毎に異なる評価モデルを適用するなどして、走行路種別毎の評価結果を得ることができる。
【0024】
本発明の第8の主要な観点によれば、道路を走行する自転車の加速度データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する加速度データ取得手段と、予め加速度データと自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて生成されていた道路の路面状況の評価モデルを取得する路面状況評価モデル取得手段と、前記路面状況評価モデルに前記加速度データを適用することにより、自転車が走行した道路の路面状況をその位置情報と共に出力する走行路面状況出力手段とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価システムが提供される。
【0025】
このような構成により、上記した第3の主要な観点における自転車走行路面状況評価方法を好適に実現可能な自転車走行路面状況評価システムを得ることができる。
【0026】
本発明の第9の主要な観点によれば、道路を走行する自転車とこの自転車の側方に位置する若しくは擦れ違う他の物体との間の側方距離データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する側方距離データ取得手段と、前記側方距離データと、自転車の運転者が前記他の部隊とニアミスした際の危険度に関する体感情報との相関関係に基づいて生成され、危険を感じる側方距離の閾値を含むニアミス発生特定モデルを取得するニアミス発生特定モデル取得手段と、前記ニアミス発生特定モデルに前記側方距離データを適用することにより走行した道路で発生したニアミスを特定するニアミス特定手段と、特定したニアミスの発生状況に基づいて自転車が走行した道路の走行路面状況を評価する走行路面状況評価手段とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価システムが提供される。
【0027】
このような構成により、上記した第4の主要な観点における自転車走行路面状況評価方法を好適に実現可能な自転車走行路面状況評価システムを得ることができる。
【0028】
本発明の他の主要な観点によれば、道路を走行する自転車の走行時の気圧データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する気圧データ取得手段と、自転車の走行時の気圧の変化に基づいて走行した道路の勾配を演算する道路勾配演算手段と、前記道路勾配と自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて生成されていた道路の路面状況の評価モデルを取得する走行路面状況評価モデル取得手段と、取得した路面状況評価モデルに前記演算した道路勾配の情報を適用することにより、自転車が走行した道路の路面状況をその位置情報と共に出力する走行路面状況出力手段とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価システムが提供される。
【0029】
このような構成により、上記した第5の主要な観点における自転車走行路面状況評価方法を好適に実現可能な自転車走行路面状況評価システムを得ることができる。
【0030】
本発明の他の主要な観点によれば、道路を走行する自転車の道路上の走行位置のデータを取得する位置情報取得手段と、自転車が走行した道路が他の道路と交差する交差点を地図データから抽出する交差点抽出手段と、抽出した交差点の数、交差する他の道路の幅員、交差点の信号の有無若しくは自転車が走行した道路が優先道路かどうか、の少なくとも何れかと、自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて生成されていた道路の路面状況評価モデルを取得する路面状況評価モデル取得手段と、取得した路面状況評価モデルに前記抽出した交差点の情報を適用することにより、自転車が走行した道路の路面状況をその位置情報と共に出力する走行路面状況出力手段とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価システムが提供される。
【0031】
このような構成により、上記した第6の主要な観点における自転車走行路面状況評価方法を好適に実現可能な自転車走行路面状況評価システムを得ることができる。
【0032】
本発明の他の主要な観点によれば、道路を走行する自転車の走行データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する走行データ取得手段と、地図データ上に前記道路に関連付けて登録された自転車走行路の種別であって、自転車が走行可能な歩道、車道若しくは自転車用道路を含む自転車走行路種別と、前記自転車の位置情報とに基づいて、自転車が走行した道路が前記自転車走行路種別の何れであるかを判別する自転車走行路種別判別手段と、自転車の走行データと自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて予め生成されていた道路の路面状況の評価モデルを取得する路面状況評価モデル取得手段と、前記路面状況評価モデルに前記データ取得手段が取得した走行データを適用することにより、自転車が走行した道路の走行路面状況をその位置情報及び前記自転車走行路種別と共に出力する走行路面状況出力手段とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価システム提供される。
【0033】
このような構成により、上記した第7の主要な観点における自転車走行路面状況評価方法を好適に実現可能な自転車走行路面状況評価システムを得ることができる。
【0034】
なお、この発明の他の特徴と顕著な効果は、次の発明の実施の形態の項の記載と添付した図面とを参照することで、より明確に理解される。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0036】
(プローブバイシクルの構成)
図1は、自転車走行環境評価システムに利用する基準車両である自転車(プローブバイシクル)の概念説明図である。
この自転車1は、道路を走行しながら種々の走行データを測定し、測定された走行データを所定期間(12時間等)蓄積した後にサーバコンピュータ等に備えられた自転車走行環境評価システム(後述する)に送信する機能を備えている。
【0037】
具体的には、この自転車1は、まず測定機器として、後部荷台2に設置された焦電センサ3と、前部かご4の前側に設置された3次元加速度計5及び気圧高度計6と、前輪7のハブ8近傍に設置された金属センサ9と、ハンドル10に設置されたデジタル速度計11とが設けられている。
【0038】
前記焦電センサ3は、走行中に自転車1に近付いた他の交通主体(歩行者、自転車、バイク、自動車等)との側方距離を測定するものである。このデータを利用することで、自転車走行時の他の交通主体とのニアミスを判別できる。
【0039】
また、3次元加速度計5は、自転車1の鉛直方向の加速度と進行(前後)方向の加速度と左右方向(ハンドル方向)の加速度とを測定するものである。鉛直方向の加速度により路面の段差を算出することができる。また、ハンドル方向及び進行方向の加速度は、走行の快適性や総合的な道路の評価を示す指標となる。一例として、15秒間隔で最初の5秒間において0.03秒のサンプリング周期で3次元方向の加速度データを計測するPEAMON(Personal Activity Monitor)と呼ばれる加速度計と連続して加速度を計測する加速時計とを併用している。
【0040】
前記気圧高度計6は、道路の勾配を算出するために気圧の変化を測定するものである。
【0041】
前記デジタル速度計11は、金属センサ9が前輪7のスポーク12を感知してパルスを発生させ、これを回転計に入力して回転数に変換し、この回転数を電圧ロガーで記録する方式を採用している。
【0042】
これらの測定機器は、前記かご4内に設置されたマイクロコンピュータ13に接続されており、測定した走行データはこのマイクロコンピュータ13の記憶領域に随時記憶されるものである。
【0043】
また、この自転車1には、図示しないGPS(Global Positioning System)装置が設置されており、GPS衛星と位置情報を通信することで自転車1が走行している位置を地図上で特定できるようになっている。この位置情報も、その位置における時間と共に前記マイクロコンピュータ13に蓄積されるものである。
【0044】
上記した構成の自転車1による走行データの計測・処理記憶及び送信の各機能及び処理工程をまとめたのが図2である。
【0045】
まず、上記したような構成の自転車1に乗って被験者に道路を走行してもらう(ステップS1)。この自転車1は、道路を走行しながら上記した各計測機器により路面振動や速度などの走行データを取得する(ステップS2)。
【0046】
取得した走行データは、前記マイクロコンピュータ13に蓄積されると共に、必要に応じて所定周期で各データの平均値や最大値・分散値などが算出される(ステップS3)。このようにして蓄積若しくは算出された各データは、マイクロコンピュータ13の通信手段によって後述するサーバコンピュータ(自転車走行環境評価システム)に送信される(ステップS4)。
【0047】
(自転車走行路の説明)
次に、図3乃至図6を参照して、上記した自転車1が走行しながら走行データを取得した道路について説明する。ここで、基準車両による調査としては通常、指定された走行ルートを走行しながらデータを収集する「ルート指定調査」と、基準車両を被験者(モニター)に貸し出して所定時間(12時間、24時間等)の走行行動を調査する「自由走行記録調査」と、基準車両を被験者に貸し出して走行行動を逐次収集してリアルタイムで分析する「車両モニタリング」の3つが考えられる。以下においては、ルート指定調査の場合の例を説明する。
【0048】
まず図3は、走行データを計測したA〜Dの4地区の道路の種別と区間数を示す表である。この例では、道路状況の均質性に応じて、自転車が走行する道路の種別1を「車道」「歩道」「細街路」「自転車道」の4つに区分している。ここで細街路とは、図4に示すように、幅員が比較的狭く歩道が独立して設置されていない道路であり、自転車は自動車や歩行者と混在して走行する道路である。また、車道には、歩道が併設されている場合と設置されていない場合があるため、車道の区間数と歩道の区間とは必ずしも一致しない。なお、C地区に1箇所だけ自転車(専用)道が含まれているが、以下の説明では歩道として扱うものとする。
【0049】
図5に、各地区の道路の区間別の概要を示す。この図に示す区間毎の距離や幅員などは地図データとして後述する道路情報格納部に格納される。例えば、A地区の区間1は道路の全幅員が3.1mで歩道や路肩のデータがないことから、細街路であることが分かる。また、区間3〜5は、車道に歩道が併設されている区間であり、歩道の幅員と、車道のうちの路肩の幅員が夫々登録されている。
【0050】
次に図6は、A地区の道路を模式的に示した図である。A地区は道路の特徴に従って図に示す8区間に分割されており、自転車はこの区間の数字に従って1〜8の区間を順次走行するものである。図中の破線が自転車が走行した経路を示している。図示の例では、区間3では自転車1は歩道1を走行しているが、区間4から区間5の途中までは車道1を走行している。また、区間5の途中から再度歩道を走行している。これは、区間4から区間5にかけて、歩道1上に障害物(駐輪車)があったり、歩道1が工事中や工事直後で走行環境が一見して悪いと判断できるものであること、等が原因として考えられる。
【0051】
ここで、図7乃至図9を参照して、上記したA地区を自転車1が走行しながら計測した走行データの例を説明する。これらの図に示すのは、前記三次元加速度計5で計測した加速度データの例である。何れの図においても(A)は夫々の方向の加速度を0.3秒毎に計測し、連続して測定されている加速度を1.2秒刻みで4.86秒間の平均を取った値を示すものである。また、各図の(B)はその時に標準偏差を示している。
【0052】
図7は鉛直(上下)方向の加速度データ、図8はハンドル(左右)方向の加速度データ、また図9は進行(前後)方向の加速度データを夫々示す。
【0053】
これらのデータから、移動平均や移動分散値は15秒間の中でかなり変動していることがわかる。移動加速度の変化は、衝撃のような短時間の変動が生じることによる影響が大半であり、その部分を含んだ平均や分散を計量できるかどうかで代表値が相当に異なることがわかる。ただし、区間長が長く、継続した振動が生じるような場合はこうした影響は少ないと考えられる。
【0054】
(自転車走行環境評価システムの構成)
次に、図10を参照して、上記のようにして自転車1が道路を走行して計測した走行データを取得して所定の処理を行う自転車走行環境評価システムの構成について説明する。
【0055】
このシステム20は、自転車情報を集約する管理センター内のサーバコンピュータに備えられているものであり、走行データ取得・復元部21と、体感情報取得部22と、評価モデル生成部23と、自転車走行環境評価部24と、交差点抽出部25と、道路勾配演算部26と、自転車走行路種別判別部27と、評価結果出力部28とを備えている。
【0056】
前記走行データ取得・復元部21は、前記自転車1が計測した走行データを所定周期毎(12時間等)に取得し、所定の復元処理を行うものである。取得した走行データは、走行データ格納部29に自転車1が計測した時刻に関連付けて格納される。
【0057】
前記体感情報取得部22は、被験者から走行時若しくは走行後の体感情報を取得するものである。被験者の体感情報は、例えば図11に示す調査用紙を利用して取得する。この調査用紙は、複数の区間毎に、自転車走行の快適性に関する項目について5段階で評価してもらうものである。回答は各区間を走行した直後に記入してもらうのが好ましい。なお、自転車1にビデオカメラやレコーダーを搭載し、走行時に音声で体感情報を入力してもらうようにしても良い。このようにして取得した体感情報は体感情報格納部30に格納され、所定周期で区間毎、時間毎に集計される。
【0058】
前記評価モデル生成部23は、前記取得した走行データに基づいて自転車1の走行環境を評価する評価モデルを生成して評価モデル格納部31に格納するものである。具体的には、加速度データ及び被験者の体感情報の相関関係に基づいて自転車1が走行した道路の路面状況を評価する路面状況評価モデル32と、自転車1の走行位置を参照することで、自転車1と他の交通主体や障害物等との側方距離データ及び前記体感情報の相関関係に基づいて、危険を感じる側方距離の閾値を含むニアミス多発地点発見モデル33と、これらの評価モデルを含む自転車走行の安全性・快適性等の総合的な評価を行う総合評価モデル34とを生成するものである。各評価モデルについては、後に詳しく説明する。
【0059】
前記自転車走行環境評価部24は、自転車1から取得した走行データを前記評価モデル(32)に適用して自転車1の走行環境を評価するものである。具体的には、走行データに含まれる鉛直方向の加速度に基づいて路面の段差を判別する路面状況評価部35と、前記側方距離データに基づいて他の交通主体や障害物等とのニアミスの発生件数をカウントするニアミスカウント部36とを備えている。
【0060】
前記交差点抽出部25は、道路情報格納部37に格納された地図データから自転車1が走行した道路が他の道路と交差する交差点を抽出するものである。交差点は、自転車1が一旦停止や所定時間の停車を余儀なくされる地点であるため、その数は走行の快適性に多大な影響を与える。また、歩行者や他の自転車等が飛び出してくるおそれもあり、自転車走行の安全性にも影響がある。そのため、調査区間内の交差点の数を走行環境の評価指標に加えることで、自転車走行の快適性・安全性を的確に評価することができるようになる。ここで、交差点の数以外に、交差する他の道路の幅員、交差点の信号の有無若しくは自転車が走行した道路が優先道路かどうか、の少なくとも何れかに基づいて道路の走行環境を評価するのが好ましい。また、このような評価を行うための評価モデルを生成しておくのがより好ましい。
【0061】
前記道路勾配演算部26は、自転車1の走行時の気圧の変化に基づいて走行した道路の勾配を演算するものである。演算した道路勾配のデータは、前記道路情報格納部37に格納するのが好ましい。
【0062】
前記自転車走行路種別判別部27は、自転車1の走行データに関連付けられた位置情報に基づいて自転車1が走行した走行路の種別を判別するものである。この実施形態では、全ての道路が「歩道」「車道」「細街路」及び「自転車道」に区分されているため、これらの中の何れに当てはまるかを判別することになる。
【0063】
前記評価結果出力部28は、前記走行環境の評価結果を走行路種別に関連付けて地図データや統計データと共に管理者端末のディスプレイやWEBサイトなどに出力するものである。これにより、走行路種別毎の評価結果を提供することができ、歩道や自転車道の整備等の道路行政に客観的で有益な情報を提供できるようになる。具体的には、歩道の補修の実施計画、ニアミスなどの問題の発生要因の現場把握による改善計画、改善結果のモニタリング、良好現場の把握による水平展開等の種々の場面で利用することができる。
【0064】
上記した各構成要素は、実際には、サーバコンピュータにインストールされたコンピュータソフトウエアプログラム若しくは1つのプログラム中のサブルーチンである。そして、図示しないこのコンピュータの中央演算装置によってRAM上に呼び出され実行されることで、この発明の各機能を奏する。
【0065】
以下、このシステム20の動作について、図12のフローチャートを参照して説明する。
【0066】
まず、前記走行データ取得・復元部21がインターネットなどの通信回線を通じて自転車1から走行データを取得して復元処理を行う(ステップS5)。
【0067】
次いで、前記自転車走行環境評価部24が、夫々のモデルに走行データを適用して路面状態、ニアミス及びそれらを含む走行環境の評価を行う(ステップS6)。評価された路面状態・ニアミス頻度及び自転車快適性の総合評価項目は、スコア化された後、評価結果出力部28によって位置情報に関連付けれらて地図データと共に出力される(ステップS7、S8)。このようにして得られた自転車走行環境の評価結果は、路面回収が必要な場所の発見や、自転車と歩行者との共有空間を改良すべき地点の発見等に有効利用することができる(ステップS9)。
【0068】
(評価モデル)
次に、前記評価モデル生成部23が生成する評価モデルについて説明する。
【0069】
まず、路面状況評価モデル32は、評価区間での計測指標から、自転車環境の路面快適性スコアを算出するモデルである。例えば、次式に示すように、路面状態を深いと感じる割合として表現することができる。
【0070】
【式1】
【0071】
また、ニアミス多発地点発見モデル33は、図13に示すように、自転車1と他の交通主体や道路上の障害物、看板、植栽等との側方余裕幅(側方距離)が所定の閾値以下になった場合をニアミスと判断して、その発生回数(頻度)や時間比を計測する。ここで、所定の閾値は、図13(A)(B)に示すように、75cm〜100cm以下になると危険と感じる被験者が増加することから、安全性を重視して100cm程度とするのが好ましい。
【0072】
また、この図においては、他の交通主体の進行方向及び交通主体の種別(歩行者と他の自転車)毎に危険感知率を表わしている。すなわち、自転車1で他の交通主体(歩行者や他の自転車等)を追い越した場合よりも、対向する他の交通主体(自動車、バイク、他の自転車等)とすれ違う場合の方がニアミスによる危険を強く感じる傾向がある。また、歩行者よりも自転車や自動車、バイクなどに接近した場合により強く危険を感じる。そのため、他の交通主体の進行方向別や交通主体の種別毎に異なる閾値を設定したり、同じ閾値でもニアミス発生による危険度に所定の係数を乗じて進行方向別にニアミスの危険度を異ならせるのが好ましい。さらに、自転車1と他の交通主体との相対速度に基づいて閾値や所定の係数を異ならせても良い。さらに、これらを組み合わせて閾値を設定することもできる、
【0073】
次に、自転車走行総合環境評価モデル34は、次式に示す様に、評価区間での計測指標から、自転車環境の総合的な快適性スコアを求めるモデルとして表わされる。
【0074】
【式2】
【0075】
この評価モデル34は、上記した路面状況評価モデル32とニアミス多発地点発見モデル33を統合し、さらに高度差速度の時間比のパラメータを追加して総合的な快適性を求めるように構成したものである。
【0076】
(具体的な評価手法)
次に、図14乃至図23を参照して、前記自転車走行環境評価部24が行う具体的な評価手法について説明する。
【0077】
(評価意識と走行データとの関連)
まず、プローブバイシクルを被験者(モニター)に貸し出して所定時間(12時間、24時間等)の走行行動を調査する「自由走行記録調査」を行った場合の路面状況の評価結果について説明する。
【0078】
この例では、路面評価、走行の安全感、走行速度快適感、他の交通主体や駐車車両による走行妨害感及び総合評価の5項目についての被験者の評価意識と、自転車が計測した走行データとの関連性を分析して走行環境を評価するものである。またそのために、自転車1から取得する走行データは、振動加速度においては、三次元加速度データ、最大方向加速度、区間内最大値とした。また、速度の指標として、区間内標準偏差値と区間内平均値を取得するようにした。その他の、使用する自転車1の装備や自転車走行環境評価システム20の構成は前記の「ルート指定調査」と略同一である。
【0079】
以下に、上記した5項目について、取得した走行データとの関連性の分析結果を説明する。これらの分析処理は、前記自転車走行環境評価部24が主として行うものである。
【0080】
図14乃至図18に各評価項目と計測した速度、加速度等との関係を示す。これらの図においては、上記の計測データのうち、速度分散値、上下(鉛直)方向の最大加速度、ハンドル(左右)方向の最大加速度、進行(前後)方向の最大加速度等との関係を夫々抜き出して示している。
【0081】
まず、路面評価については、例えば図14(A)に示すように、速度の分散値が上がるにつれて路面に対する評価が低くなっていることが分かる(図中に太線の傾向線で示す。以下も同様)。これは、自転車1の走行速度がばらつくような状況は道路の路面状態が悪いことを示している。この図14から、上下方向・ハンドル方向及び進行方向の最大加速度や加速度の最大値が路面評価を表現する有効な指標になり得ると考えられる。
【0082】
次に、安全感については、例えば図15(B)に示すように、上下方向の最大加速度が上がるにつれて安全評価が下がっていることが分かる。この図15から、安全評価には、速度の分散値、上下方向・ハンドル方向及び進行方向の最大加速度の全てが関係が深いと言える。
【0083】
また、走行速度快適感は、図16(A)に示すように、速度の分散値が上がるにつれて評価は下がっている。これは、区間走行中の速度変化が自転車走行中に人が感じる走行速度の快適感に関係があることを示している。また、図15(B)に示すように、上下方向の最大加速度が大きくなるに従い快適性の評価は低くなっている。これに対して、ハンドル方向や進行方向の最大加速度との関係では、有意な変化は見られなかった。
【0084】
次に、走行妨害については、図17(D)に示すように、進行方向の最大加速度が上がるにつれて評価が下がっていることが分かる。その他のデータとの関連では明確な傾向は見られなかった。
【0085】
最後に、総合評価については、図18(A)に示すように、速度の分散が大きくなるにしたがって被験者が感じる騒動評価が低くなっていることが分かる。
【0086】
以上の結果をまとめると図19のようになる。図中の記号は、評価意識の5項目と計測データとの線型―線型関係を仮定した時の検定結果(Mantel−Haenszelカイニ乗法)について、有意水準のレベル(線型関係を棄却できる確率)を示すものである。
【0087】
この表から、評価意識は対象が抽象的・総合的になるほど計測データとの関連性が低くなる傾向が見られるが、物理的な状況の明確な評価項目については、計測データが明確に関連していると言える。
【0088】
上記の分析結果に基づいて、走行データから評価意識レベルを予測できる評価関数をオーダードロジットモデルを利用して作成したのが図20の自転車走行環境評価モデルである。この走行環境評価モデルを利用して、自転車から取得した計測データに基づいて自転車走行中の走行環境に対する意識を予測することができる。図21にこのモデルの推定結果を示す。この図から明らかな様に、5つの評価項目の全てにおいて、モデル適合度(カイ2乗値)、t値とも有効・有意な値となっている。したがって、この評価モデルを利用することで、被験者の道路環境評価をある程度予測することが可能となる。
【0089】
(対向交通密度と走行データとの関係)
次に、街路交通環境の一例として、みかけ(対向)交通密度と走行データ(振動加速度及び速度)との関連性の分析手法について説明する。
【0090】
この対向交通密度は、計測区間内の平均的な交通密度を、通過時間内にすれ違いの生じた交通主体の数に基づいて以下のように算出する。
【0091】
図22に模式的に示すように、自転車1に対向して流動している交通主体の平均車頭間隔をX’p(m)とし、自転車の速度をVB(m/s)とすると、この自転車1が単位時間当りに出会う主体数E’p(回/s)は次式で表わすことができる。
【0092】
【式3】
【0093】
したがって、単位時間当りの出会い回数Epを目視やビデオ画像などでカウントすると、対向主体のみかけ交通密度は次式のようになる。
【0094】
【式4】
【0095】
また、自転車1を追い越す自動車の場合は、次式で求めることもできる。
【0096】
【式5】
【0097】
一方、この自転車1が追い越す歩行者の場合は、次式で求めることができる。
【0098】
【式6】
【0099】
上記のようにして求めた対向交通密度は、例えば、図23のように、ハンドル方向の最大加速度と一定の相関関係が見られる。したがって、対向交通密度は自転車が走行中の周囲の交通状況を示すのに有効であり、加速度と関連があると言える。
【0100】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々変形可能である。
【0101】
例えば、自転車1にビデオを装着して、走行時の画像を撮像することで、道路の混雑状況や障害物(路上の落下物や看板・植栽等)の有無を判別するようにしても良い。この場合には、ブレーキングや急なハンドル操作をトリガーにして、その前後の所定時間の画像だけを記録することで、長時間の撮影を可能にするのが好ましい。
【0102】
また、自転車1の運転者の心拍数、皮膚温、発汗量、呼吸数などの生理計測を併用して、運転者のストレス計測や運動量評価に用いることもできる。
【0103】
また、前記評価モデル生成部23を自転車走行環境評価システム20とは別のシステムとして構成することもできる。その場合には、走行データ取得・復元部21から走行データを取得して評価モデルを生成し、自転車走行環境評価システム20から要求があった場合に生成した評価モデルを送信するようにする。または、生成後、直ちに若しくは所定周期で自転車走行環境評価システム20に評価モデルを送信して前記評価モデル格納部31に格納しておく様にしても良い。
【0104】
さらに、前記評価モデル生成部23は、所定周期で評価モデル格納部31に格納された評価モデルを最新の走行データに基づいて更新するようにしても良い。
【0105】
また、被験者の属性(年齢、職業、性別、自転車の乗車歴、普段乗り慣れているか等)を考慮して、評価指標である速度や加速度などを適宜修正するのが好ましい。
【0106】
また、路面状況の測定の時間帯を考慮するのが好ましい。例えば、同じ道路でも、夕方の買い物時や、朝夕の通勤・通学時とそれ以外の時間帯とでは、交通量等の路面状況が大きく異なることが考えられる。そのため、評価モデルの生成・適用に際しては、時間帯を考慮して異なる閾値を設定するなどの方策が有効である。
【0107】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、自転車の走行条件に関する客観的なデータを収集し、このデータに基づいて自転車に最適な環境の道路を設計できる評価モデル生成方法、自転車走行環境評価システム及びその方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プローブバイシクル(自転車)の概略構成を示す図。
【図2】自転車における走行データの取得工程を示すフローチャート。
【図3】調査対象地区毎の道路種別と区間数を示す表。
【図4】細街路の例を示す図。
【図5】調査対象地区の諸元を示す表。
【図6】調査対象道路を模式的に示す図。
【図7】上下方向加速度と移動変化との関係を示すグラフ。
【図8】ハンドル方向加速度と移動変化との関係を示すグラフ。
【図9】進行方向加速度と移動変化との関係を示すグラフ。
【図10】自転車走行環境評価システムの概略構成を示すブロック図。
【図11】区間毎のアンケート用紙の例を示す図。
【図12】自転車走行環境評価システムの概略処理工程を示すフローチャート。
【図13】ニアミスの危険感知率を示すグラフ。
【図14】路面評価と走行データとの関係を示すグラフ。
【図15】安全評価と走行データとの関係を示すグラフ。
【図16】走行速度の快適性評価と走行データとの関係を示すグラフ。
【図17】走行妨害感評価と走行データとの関係を示すグラフ。
【図18】走行環境の総合評価と走行データとの関係を示すグラフ。
【図19】評価意識指標と走行データとの関連性を示す図。
【図20】自転車走行環境評価モデルの例を示す図。
【図21】自転車走行環境評価モデルによる推定結果を示す図。
【図22】対向交通密度の説明図。
【図23】対向交通密度とハンドル方向の最大加速度との関係を示す図。
【符号の説明】
1…自転車
3…焦電センサ
9…金属センサ
13…マイクロコンピュータ
20…自転車走行環境評価システム
21…走行データ取得・復元部
22…体感情報取得部
23…評価モデル生成部
24…自転車走行環境評価部
25…交差点抽出部
26…道路勾配演算部
27…自転車走行路種別判別部
28…評価結果出力部
29…走行データ格納部
30…体感情報格納部
31…評価モデル格納部
32…路面状況評価モデル
33…ニアミス多発地点発見モデル
34…自転車走行総合環境評価モデル
35…路面状況評価部
36…ニアミスカウント部
37…道路情報格納部
Claims (31)
- 道路を走行する自転車の加速度データを取得する加速度データ取得工程と、
前記自転車の運転者から走行した道路の路面状況に関する体感情報を取得する体感情報取得工程と、
前記取得した加速度データ及び体感情報の相関関係を演算しこれに基づいて自転車が走行した道路の路面状況の評価モデルを生成する路面状況評価モデル生成工程と
を備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価モデル生成方法。 - 請求項1記載の方法において、
前記加速度データは三次元方向の加速度データを含み、
前記路面状況評価モデル生成工程は、三次元方向の各方向の加速度データと前記体感情報との相関関係をそれぞれ演算し、これに基づいて路面状況の評価モデルを生成するものである
ことを特徴とする自転車走行路面状況評価モデル生成方法。 - 請求項1記載の方法において、
前記体感情報には、自転車の運転者の属性の情報を含み、
前記路面状況評価モデル生成工程は、運転者の属性に応じた路面状況評価モデルを生成するものである
ことを特徴とする自転車走行路面状況評価モデル生成方法。 - 請求項1記載の方法において、
前記体感情報には、自転車が走行した道路の属性の情報を含み、
前記路面状況評価モデル生成工程は、取得した道路の属性に応じた路面状況評価モデルを生成するものである
ことを特徴とする自転車走行路面状況評価モデル生成方法。 - 道路を走行する自転車とこの自転車の側方に位置する若しくは擦れ違う他の物体との間の側方距離データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する側方距離データ取得工程と、
前記自転車の運転者から前記他の物体とニアミスした際の危険度に関する体感情報を、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する体感情報取得工程と、
前記走行位置を参照することで、前記側方距離データと前記体感情報との相関関係を演算し、危険を感じる側方距離の閾値を含むニアミス発生特定モデルを生成するニアミス発生特定モデル生成工程と
を備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価モデル生成方法。 - 請求項5記載の方法において、
前記側方距離データ取得工程は、自転車が走行した道路の種別を取得するものであり、
前記ニアミス発生特定モデル生成工程は、道路の種別に基づいてニアミス発生特定モデルを生成するものである
ことを特徴とする自転車走行路面状況評価モデル生成方法。 - 請求項5記載の方法において、
前記側方距離データ取得工程は、自転車の走行位置における時間のデータを取得するものであり、
前記ニアミス発生特定モデル生成工程は、時間に基づいてニアミス発生特定モデルを生成するものである
ことを特徴とする自転車走行路面状況評価モデル生成方法。 - 請求項5記載の方法において、
前記体感情報取得工程は、自転車の運転者の属性を取得するものであり、
前記ニアミス発生特定モデル生成工程は、運転者の属性に基づいてニアミス発生特定モデルを生成するものである
ことを特徴とする自転車走行路面状況評価モデル生成方法。 - 請求項5記載の方法において、
前記側方距離データ取得工程は、前記他の物体の進行方向の情報を取得するものであり、
前記ニアミス発生特定モデル生成工程は、他の物体の進行方向に基づいてニアミス発生特定モデルを生成するものである
ことを特徴とする自転車走行路面状況評価モデル生成方法。 - 請求項5記載の方法において、
前記側方距離データ取得工程は、前記他の物体の種別の情報を取得するものであり、
前記ニアミス発生特定モデル生成工程は、他の物体の種別に基づいてニアミス発生特定モデルを生成するものである
ことを特徴とする自転車走行路面状況評価モデル生成方法。 - 請求項5記載の方法において、
前記側方距離データ取得工程は、自転車と他の物体との相対速度の情報を取得するものであり、
前記ニアミス発生特定モデル生成工程は、自転車と他の物体との相対速度に基づいてニアミス発生特定モデルを生成するものである
ことを特徴とする自転車走行路面状況評価モデル生成方法。 - 道路を走行する自転車の加速度データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する加速度データ取得工程と、
予め加速度データと自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて生成されていた道路の路面状況の評価モデルを取得する路面状況評価モデル取得工程と、
前記路面状況評価モデルに前記加速度データを適用することにより、自転車が走行した道路の路面状況をその位置情報と共に出力する走行路面状況出力工程と
ことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法。 - 請求項12記載の方法において、
前記加速度データは三次元方向の加速度データを含むものであり、
前記路面状況評価モデル取得工程は、予め三次元方向の各方向の加速度データと前記体感情報との相関関係に基づいて生成されていた路面状況評価モデルを取得するものである
ことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法。 - 請求項12記載の方法において、
前記体感情報は、自転車の運転者の属性の情報を含むものであり、
前記路面状況評価モデル取得工程は、予め運転者の属性に応じて生成されていた路面状況評価モデルを取得するものである
ことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法。 - 請求項12記載の方法において、
前記体感情報は、自転車が走行した道路の属性の情報を含むものであり、
前記路面状況評価モデル取得工程は、予め道路の属性に応じて生成されていた路面状況評価モデルを取得するものである
ことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法。 - 請求項12記載の方法において、
前記路面状況評価モデル取得工程は、自転車の加速度データに基づいて予め路面状況評価モデルを生成しておくものである
ことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法。 - 道路を走行する自転車とこの自転車の側方に位置する若しくは擦れ違う他の物体との間の側方距離データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する側方距離データ取得工程と、
前記側方距離データと、自転車の運転者が前記他の物体とニアミスした際の危険度に関する体感情報との相関関係に基づいて生成され、危険を感じる側方距離の閾値を含むニアミス発生特定モデルを取得するニアミス発生特定モデル取得工程と、
前記ニアミス発生特定モデルに前記側方距離データを適用することにより走行した道路で発生したニアミスを特定するニアミス特定工程と、
特定したニアミスの発生状況に基づいて自転車が走行した道路の走行路面状況をその位置情報と共に出力する走行路面状況出力工程と
を備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法。 - 請求項17記載の方法において、
前記側方距離データ取得工程は、自転車が走行した道路の種別を取得するものであり、
前記ニアミス発生特定モデル取得工程は、道路の種別に基づいて生成されたニアミス発生特定モデルを取得するものであり、
前記ニアミス特定工程は、取得した道路の種別に基づいてニアミスを特定するものである
ことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法。 - 請求項17記載の方法において、
前記側方距離データ取得工程は、自転車の走行位置における時間のデータを取得するものであり、
前記ニアミス発生特定モデル取得工程は、時間に基づいて生成されたニアミス発生特定モデルを取得するものであり、
前記ニアミス特定工程は、取得した時間のデータに基づいてニアミスを特定するものである
ことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法。 - 請求項17記載の方法において、
前記側方距離データ取得工程は、自転車が運転者の属性を取得するものであり、
前記ニアミス発生特定モデル取得工程は、運転者の属性に基づいて生成されたニアミス発生特定モデルを取得するものであり、
前記ニアミス特定工程は、取得した運転者の属性に基づいてニアミスを特定するものである
ことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法。 - 請求項17記載の方法において、
前記側方距離データ取得工程は、前記他の物体の進行方向の情報を取得するものであり、
前記ニアミス発生特定モデル取得工程は、他の物体の進行方向に基づいて生成されたニアミス発生特定モデルを取得するものであり、
前記ニアミス特定工程は、取得した他の物体の進行方向に基づいてニアミスを特定するものである
ことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法。 - 請求項17記載の方法において、
前記側方距離データ取得工程は、自転車と他の物体との相対速度の情報を取得するものであり、
前記ニアミス発生特定モデル取得工程は、自転車と他の物体との相対速度に基づいて生成されたニアミス発生特定モデルを取得するものであり、
前記ニアミス特定工程は、取得した自転車と他の物体との相対速度に基づいてニアミスを特定するものである
ことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法。 - 請求項17記載の方法において、
前記ニアミス特定工程は、ニアミスが発生した位置を特定するニアミス発生位置特定工程と、特定したニアミス発生位置に基づいて、自転車が走行した道路のニアミス発生回数をカウントするニアミスカウント工程とを備え、
前記走行路面状況評価工程は、ニアミスの発生回数に基づいて道路の走行路面状況を評価するものである
ことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法。 - 道路を走行する自転車の走行時の気圧データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する気圧データ取得工程と、
自転車の走行時の気圧の変化に基づいて走行した道路の勾配を演算する道路勾配演算工程と、
前記道路勾配と自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて生成されていた道路の路面状況の評価モデルを取得する路面状況評価モデル取得工程と、
取得した路面状況評価モデルに前記演算した道路勾配の情報を適用することにより、自転車が走行した道路の路面状況をその位置情報と共に出力する走行路面状況出力工程と
を備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法。 - 道路を走行する自転車の道路上の走行位置のデータを取得する位置情報取得工程と、
自転車が走行した道路が他の道路と交差する交差点を地図データから抽出する交差点抽出工程と、
抽出した交差点の数、交差する他の道路の幅員、交差点の信号の有無若しくは自転車が走行した道路が優先道路かどうか、の少なくとも何れかと、自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて生成されていた道路の路面状況評価モデルを取得する路面状況評価モデル取得工程と、
取得した路面状況評価モデルに前記抽出した交差点の情報を適用することにより、自転車が走行した道路の路面状況をその位置情報と共に出力する走行路面状況出力工程と
を備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法。 - 道路を走行する自転車の走行データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する走行データ取得工程と、
地図データ上に前記道路に関連付けて登録された自転車走行路の種別であって、自転車が走行可能な歩道、車道若しくは自転車用道路を含む自転車走行路種別と、前記自転車の位置情報とに基づいて、自転車が走行した道路が前記自転車走行路種別の何れであるかを判別する自転車走行路種別判別工程と、
自転車の走行データと自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて予め生成されていた道路の路面状況の評価モデルを取得する路面状況評価モデル取得工程と、
前記路面状況評価モデルに前記データ取得工程で取得した走行データを適用することにより、自転車が走行した道路の走行路面状況をその位置情報及び前記自転車走行路種別と共に出力する走行路面状況出力工程と
を備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価方法。 - 道路を走行する自転車の加速度データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する加速度データ取得手段と、
予め加速度データと自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて生成されていた道路の路面状況の評価モデルを取得する路面状況評価モデル取得手段と、
前記路面状況評価モデルに前記加速度データを適用することにより、自転車が走行した道路の路面状況をその位置情報と共に出力する走行路面状況出力手段とを備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価システム - 道路を走行する自転車とこの自転車の側方に位置する若しくは擦れ違う他の物体との間の側方距離データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する側方距離データ取得手段と、
前記側方距離データと、自転車の運転者が前記他の部隊とニアミスした際の危険度に関する体感情報との相関関係に基づいて生成され、危険を感じる側方距離の閾値を含むニアミス発生特定モデルを取得するニアミス発生特定モデル取得手段と、
前記ニアミス発生特定モデルに前記側方距離データを適用することにより走行した道路で発生したニアミスを特定するニアミス特定手段と、
特定したニアミスの発生状況に基づいて自転車が走行した道路の走行路面状況を評価する走行路面状況評価手段と
を備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価システム。 - 道路を走行する自転車の走行時の気圧データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する気圧データ取得手段と、
自転車の走行時の気圧の変化に基づいて走行した道路の勾配を演算する道路勾配演算手段と、
前記道路勾配と自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて生成されていた道路の路面状況の評価モデルを取得する走行路面状況評価モデル取得手段と、
取得した路面状況評価モデルに前記演算した道路勾配の情報を適用することにより、自転車が走行した道路の路面状況をその位置情報と共に出力する走行路面状況出力手段と
を備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価システム。 - 道路を走行する自転車の道路上の走行位置のデータを取得する位置情報取得手段と、
自転車が走行した道路が他の道路と交差する交差点を地図データから抽出する交差点抽出手段と、
抽出した交差点の数、交差する他の道路の幅員、交差点の信号の有無若しくは自転車が走行した道路が優先道路かどうか、の少なくとも何れかと、自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて生成されていた道路の路面状況評価モデルを取得する路面状況評価モデル取得手段と、
取得した路面状況評価モデルに前記抽出した交差点の情報を適用することにより、自転車が走行した道路の路面状況をその位置情報と共に出力する走行路面状況出力手段と
を備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価システム。 - 道路を走行する自転車の走行データを、当該自転車の道路上の走行位置に関連付けて取得する走行データ取得手段と、
地図データ上に前記道路に関連付けて登録された自転車走行路の種別であって、自転車が走行可能な歩道、車道若しくは自転車用道路を含む自転車走行路種別と、前記自転車の位置情報とに基づいて、自転車が走行した道路が前記自転車走行路種別の何れであるかを判別する自転車走行路種別判別手段と、
自転車の走行データと自転車の運転者の走行路面状況に関する体感情報との相関関係に基づいて予め生成されていた道路の路面状況の評価モデルを取得する路面状況評価モデル取得手段と、
前記路面状況評価モデルに前記データ取得手段が取得した走行データを適用することにより、自転車が走行した道路の走行路面状況をその位置情報及び前記自転車走行路種別と共に出力する走行路面状況出力手段と
を備えたことを特徴とする自転車走行路面状況評価システム。
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