JP2004110280A - 移動物体検出装置 - Google Patents

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【課題】動きがあっても、輝度変動の大きさとして現れにくい部分での移動物体の検出感度を向上させる。
【解決手段】画像フレーム中のピクセルの輝度の変化をT算出部2が検出する。この検出された変化量とT閾値とをT判定部6が比較し、検出された変化量がT閾値よりも大きいとき、前記ピクセルにおいて物体の移動があると判定する。T閾値を生成する閾値設定部8は、過去のフレーム中の前記ピクセルに対応する各ピクセルの輝度値の分散を用いてT閾値に設定する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像フレームから移動物体を検出する移動物体検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像フレームから移動物体を検出する技術としては、例えばフレーム間差分法や背景差分法がある。フレーム間差分法は、現在入力されている画像フレームと前回入力された画像フレームとの差分を計算し、差分値の大きい領域を移動物体として検出するものである。背景差分法は、検出すべき物体が存在しない背景画像フレームを予め用意しておき、現在入力されている画像フレームと背景画像フレームとの差分を計算するものである。
【0003】
フレーム間差分法は、環境が変化しても対応することができるが、移動物体の全ての領域を抽出することが不可能である。背景差分法は、ほぼ完全な移動物体領域を抽出することができるが、天候等による環境変化が生じると、その度に背景画像を更新する必要がある。
【0004】
例えばフレーム間差分法を用いて動きを検出する場合、動きがあるか否かを判定するための閾値を、輝度レベルに応じて変更するものがある(例えば、特許文献1)。この特許文献1では、1画像フレーム中において動きのあるところは動画を、動きの無いところは静止画を送ることを目的としている。特に、静止画と判定した部分には、フレーム間処理を行って、ランダムノイズを低減させている。そして、輝度値が低い部分では、ノイズが混入すると、視覚的にノイズが目立つので、静止画と判断した方が有利となる。そこで、動き検出の感度を決定する閾値を、輝度値が低い場合には、下げている。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−172891号公報(第4−5頁、第1−4図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この手法では、1画像フレーム中の暗い部分において動きの検出感度を下げている。従って、画像を利用した監視システムにおける移動物体の検出に、特許文献1の技術を使用した場合、1画像フレームの暗い部分にある物体を検出することができなくなる。
【0007】
本発明は、動きがあっても、輝度変動の大きさとして現れにくい部分での、移動物体の検出感度を向上させることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による移動物体検出装置の一態様では、画像フレーム中の小領域の輝度の変化を輝度変化量検出手段が検出する。小領域としては、1ピクセルを使用することもできるし、隣接する複数のピクセルからなるブロックとすることもできる。輝度変化量検出手段としては、例えば或る画像フレームにおける前記小領域の輝度値と、この画像フレームよりも過去の複数の画像フレームにおける前記小領域の輝度値との偏差のうち最大の値を検出するものや、フレーム間差分法または背景差分法を使用して、輝度値の変化量を検出するものを使用できる。この検出された値と閾値とを判定手段が比較し、検出値が前記閾値よりも大きいとき、前記小領域において物体の移動があると判定手段が判定する。前記閾値を閾値生成手段が生成する。前記閾値生成手段は、前記過去の画像フレームにおける互いに対応する前記小領域の輝度値変化に基づいて前記閾値を生成する。
【0009】
このように構成した移動物体検出装置では、閾値が過去の画像フレームにおける互いに対応する小領域の輝度値変化に基づいて変動する。例えば小領域の輝度が余り変化していない状態を基に閾値を作成していると、その閾値の値は小さくなる。この状態で、小領域の輝度が変化すると、この輝度値は、小さな値である閾値よりも大きくなり、物体を検出することができる。即ち、物体と、その背景との輝度差が低く、輝度変動が小領域に現れにくい場合でも、検出感度を上げることができ、検出精度を向上させることができる。
【0010】
前記閾値生成手段は、過去の画像フレームにおける互いに対応する前記小領域の輝度の分散に比例した値を前記閾値とすることができる。例えば分散は、小領域の値に変動が少ない場合には、小さな値となる。この状態で、小領域の輝度値がわずかでも大きくなると、小領域の輝度値の方が閾値よりも大きくなる。なお、過去の画像フレームとしては、検査対象としているフレームから、或いはこのフレームよりも1つ前のフレームから、最低2フレームを使用する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の1実施態様の移動物体検出装置は、例えば屋外を監視のために撮像している撮像手段、例えばビデオカメラの映像信号から移動物体を検出する事前段階として、画像上の各小領域、例えば各ピクセルの輝度の時間的変化を観測して、そのピクセルの状態を動状態、静状態、背景状態のいずれかであると判定するものである。このようにして静状態または動状態と判定された各ピクセルは、クラスタリングにより動状態の領域と静状態の領域とに分けられる。動状態に分けられた領域を移動物体、静状態に分けられた領域を静止物体と判定する。
【0012】
この動状態、静状態、背景状態のいずれかであるかと判定するための基本原理として、ピクセルの輝度が、状況に応じて、次の3つのように変化する点を利用する。物体がピクセル上を通過するとき、そのピクセルの輝度値は、図3(a)に示すように、元の輝度値から急激に変化した後、一時的に不安定な状態となり、再度、急激に変化した後、元の値に戻る。物体がピクセル上に停止したとき、そのピクセルの輝度値は、図3(b)に示すように、元の輝度値から急激に変化した後、一時的に不安定な状態が続き、その後、元の輝度値ではなく、停止している物体の輝度値で安定する。物体が存在せずに、太陽が雲に隠れた等の環境変化が生じたとき、同図(c)に示すように、輝度値は緩やかに変化する。
【0013】
このような輝度値の変化を捉えることによって、ピクセルが動状態であるか静状態であるか背景状態であるかを捉えることができる。例えば、図2に示すような一連のフレームを考え、最新のフレームをF(t+K)とし、これよりも予め定めた数Kだけ遡ったフレームFを検査対象フレームとする。このフレームFと、このフレームFよりもさらにJフレームだけ遡ったフレームF(t−J)とを考える。そして、これら各フレームにおいて対応する1つのピクセルの輝度値をI乃至I(t−J)とする。輝度値I(t−1)乃至I(t−J)とIとの差の絶対値のうち最も大きなものを、輝度値の変化量Tとして求める。即ち、
【数1】
Figure 2004110280
の演算を行う。この演算は、輝度値変化量検出手段、例えば図1に示すT算出部2によって行われる。この演算を行うために、例えばリングバッファ4に記憶されているビデオストリームから、T算出部2にデータが入力されている。
【0014】
この変化量Tが大きければ、現在のフレームF(t+K)よりもKフレーム前のフレームFの或るピクセルとフレームF(t−J)のとの間の互いに対応するピクセルにおいて急激な輝度値の変化が生じたと、判断することができる。そこで、急激な変化であるか判定するために、輝度値の変化量Tを閾値と比較する。そのため、判定手段と閾値生成手段、例えば、図1にT判定部6とT閾値設定部8とが設けられている。
【0015】
本発明の特徴は、このT閾値設定部8でのT閾値の設定にある。T閾値として固定値を使用した場合、輝度値の変化量TがT閾値よりも大きくなければ、急激な変化とは判定されない。例えば建物や木の影になっているような領域を、物体が移動しても、その物体と背景となっている影の部分の輝度値に大きな差がないため、輝度値の変化量Tは小さく、固定値であるT閾値を超えない可能性がある。そこで、この実施の形態では、T閾値として、例えば、フレームFよりも過去のフレームにおいて、I(t−1)乃至I(t−J)に対応するピクセルの輝度値の分散Sより決定する。
【0016】
閾値を求めるために用いる過去のフレームとしては、輝度変化量を求めたI(t−1)乃至I(t−J)が属するフレームを使用することもできる。或いは、最低限度2フレーム、例えばI(t−1)及びI(t−2)が属するフレームを使用することもできる。分散Sを求めるためのフレームの期間を余り長く設定すると、環境変化による輝度の変化、例えば太陽が徐々に雲に隠れて、輝度が徐々に低下するというような輝度の変化の影響を受ける。実際の形態としては、数フレームを使用する。
【0017】
例えば影の領域を物体が移動していない状態では、その影の領域に属する或るピクセルの過去の輝度値は、このピクセルの過去の輝度値の算術平均値からの乖離が少なく、分散Sは小さな値である。この状態において、上記或るピクセル上を物体が移動すると、上記算術平均値からの乖離よりも大きな変化量Tが生じる。従って、影の領域において分散Sに比べて大きな変化量Tを伴う移動する物体を検出することが可能である。
【0018】
分散Sを、フレームF(t−k)からF(t−1)までのkフレームで求めると、
【数2】
Figure 2004110280
となる。但し、Iaveは、フレームF(t−k)からF(t−1)までの同じ位置に属するピクセルの平均輝度値である。式の変形の途中経過は省略するが、分散Sは
【数3】
Figure 2004110280
となる。T閾値設定部8は、この式を用いて、T閾値をT判定部6に設定する。
【0019】
このようにして、輝度値の急激な変化があるか判定した上に、図3(b)に示すように不安定な状態から安定した状態に過去に輝度値が変化しているか判定する。即ち、フレームF(t+1)から未来のフレームF(t+K)までのKフレームにおいて、輝度値が安定しているか判定する。そのため、フレームF(t+1)からF(t+K)までの互いに対応するピクセル(同じ位置に属するピクセル)での分散Vが、V算出部10によって算出される。この分散Vは、
【数4】
Figure 2004110280
によって求められる。
【0020】
この分散Vが小さい値であるなら、安定した状態にあると判定することができる。そのため、V判定部12において、V閾値設定部14からのV閾値と比較され、分散VがV閾値よりも小さい値の時、ピクセルは安定状態にあると判定される。
【0021】
これらT判定部6及びV判定部12での判定結果が、判定部16に供給され、これら判定結果に基づいて、検査対象フレームFの対象としているピクセルの状態を判定する。例えば、このピクセルの前回の状態が静または背景であり、変化量TがT閾値を超えたとT判定部6が判定しているとき、判定部16は、このピクセルが動状態であると判定する。また、現在のピクセルの状態が動状態であって、V判定部12で分散VがV閾値よりも小さいと判断されている場合、さらに輝度値Iが、このピクセル用に予め設定されている背景用輝度値に属するか判断し、属していれば、このピクセルを背景と判断し、属していなければ、このピクセルを静状態であると判定する。
【0022】
このような操作を、全てのピクセルに対して行うことによって、各ピクセルが動状態、静状態、背景状態のいずれであるかを判定する。これら各ピクセルの状態を基に背景以外のピクセル群をセグメンテーションして、動状態のみによって構成されている領域を移動物体の領域と判定する。静状態のみによって構成されている領域を、停止している物体の領域と判定する。これらの判定法の詳細は、本発明とは直接に関連しないので、その詳細な説明は省略する。
【0023】
なお、図1では、この移動物体検出装置の構成をブロック図によって示したが、実際には、CPUやDSPによってプログラムを実行することによって、この移動物体検出装置を実現することができる。
【0024】
上記の実施の形態では、輝度値の変化量Tを、IとI(t−i)との偏差のうち最も大きなものとしたが、これに限ったものではなく、例えば公知のフレーム間差分値または、背景差分値を変化量Tとすることもできる。また、上記の実施の形態では、分散Sに比例した値をT閾値として使用したが、過去の輝度値の影響を受けているもの、例えば算術平均値や標準偏差を使用することもできる。また、上記の実施の形態では、輝度値の変化量Tを算出するために、連続するJ個のフレームの互いに対応するピクセルの輝度値を使用したが、例えば不連続な、具体的には1つおきまたは2つおきのフレームの互いに対応するピクセルの輝度値を使用しても良い。また、ピクセルごとに輝度値の変化量を求めたが、これに限ったものではなく、例えば水平及び垂直方向に連続する複数個、例えばn*m個のピクセルからなるブロックごとに輝度値の変化量を求めることもできる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、輝度値の変化量と比較して物体が移動しているか否かを判定するのに使用する閾値を、輝度値の過去の変化に基づいて決定しているので、影の領域のように輝度値の変化が少ない領域において物体が移動したような場合でも、高精度に移動物体を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態の移動物体検出装置のブロック図である。
【図2】図1の移動物体検出装置の動作説明図である。
【図3】或るピクセル上を物体が通過した場合、物体が静止した場合及び或るピクセルの環境が変化した場合の輝度値の時間経過に伴う変化を示す図である。
【符号の説明】
2 T算出部(輝度値変化量検出手段)
6 T判定部(判定手段)
8 T閾値設定部(閾値生成手段)

Claims (5)

  1. 画像フレーム中の小領域の輝度の変化を検出する輝度変化量検出手段と、
    この検出された変化量と閾値とを比較し、検出された変化量が前記閾値よりも大きいとき、前記小領域において物体の移動があると判定する判定手段と、
    前記閾値を生成する閾値生成手段とを、
    具備し、前記閾値生成手段は、前記フレームよりも過去のフレーム中の前記小領域に対応する小領域における輝度値に基づいて変動する前記閾値を生成する
    移動物体検出装置。
  2. 請求項1記載の移動物体検出装置において、前記閾値生成手段は、過去の画像フレームにおける互いに対応する前記小領域の輝度の分散を前記閾値とする移動物体検出装置。
  3. 請求項2記載の移動物体検出装置において、前記輝度変化量検出手段は、或る画像フレームにおける前記小領域の輝度値と、この画像フレームよりも過去の複数の画像フレームにおける前記小領域の輝度値との偏差のうち最大の値を検出する移動物体検出装置。
  4. 請求項2記載の移動物体検出装置において、前記輝度変化量検出手段は、フレーム間差分法によって輝度の変化を検出する移動物体検出装置。
  5. 請求項2記載の移動物体検出装置において、前記輝度変化量検出手段は、背景差分法によって輝度の変化を検出する移動物体検出装置。
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