JP2004109570A - 焦点検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温の環境下でかつ被写体が暗い場合でも、焦点検出精度の劣化または焦点検出不能になるのを防ぐ。
【解決手段】対物レンズ1を通過した被写体からの光を受光し、被写体の輝度分布に応じた画像信号を出力するイメージセンサー3と、複数の増幅率を有し、画像信号を増幅するアンプ4と、アンプ4で増幅された画像信号に基づいて対物レンズ1の焦点調節状態を演算する演算部6、アンプ4による増幅後の画像信号を最適なレベルとするイメージセンサー3の電荷蓄積時間とアンプ4の増幅率とを設定する演算部6とを備えた焦点検出装置であって、周囲温度を検出する温度センサー10を備え、演算部6は、被写体輝度が同じであっても検出された周囲温度が高いほど小さい増幅率を設定する。
【選択図】 図1
【解決手段】対物レンズ1を通過した被写体からの光を受光し、被写体の輝度分布に応じた画像信号を出力するイメージセンサー3と、複数の増幅率を有し、画像信号を増幅するアンプ4と、アンプ4で増幅された画像信号に基づいて対物レンズ1の焦点調節状態を演算する演算部6、アンプ4による増幅後の画像信号を最適なレベルとするイメージセンサー3の電荷蓄積時間とアンプ4の増幅率とを設定する演算部6とを備えた焦点検出装置であって、周囲温度を検出する温度センサー10を備え、演算部6は、被写体輝度が同じであっても検出された周囲温度が高いほど小さい増幅率を設定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はカメラの焦点検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
焦点検出光学系により結像された被写体像を電荷蓄積型イメージセンサーで受光し、イメージセンサー出力を演算処理して撮影光学系の予定焦点面に対する被写体像面のデフォーカス量を検出し、このデフォーカス量に応じてフォーカシングレンズを駆動することによって撮影光学系を合焦させる自動焦点調節装置が知られている。
【0003】
この自動焦点調節装置において、デフォーカス量検出の可否や、得られたデフォーカス量の信頼性などは、被写体の光輝度分布であるコントラストの高さに大きく依存している。したがって、被写体のコントラストを最適にイメージセンサー出力に反映させる必要がある。
【0004】
イメージセンサーの制御パラメーターには、蓄積時間と出力アンプの増幅率(以下、ゲインという)がある。最適な出力を得るためには、被写体が暗い場合は蓄積時間を長くするか、またはゲインを大きくすればよいし、被写体が明るい場合は蓄積時間を短くするか、またはゲインを小さくすればよい。しかし、被写体が暗い場合にむやみに蓄積時間を長くしたり、ゲインを大きくすることはできない。同じ大きさのイメージセンサー出力を得るにも、ゲインを大きくして蓄積時間を短くする方法と、ゲインを小さくして蓄積時間を長くする方法があるが、一般に前者はS/N特性が悪くなり、焦点検出精度が劣化する。光電変換による画像信号と電荷蓄積部で発生するノイズはともに蓄積時間に依存して増加するので、イメージセンサー出力が大きくても小さくてもS/N比はほぼ一定である。しかし、ゲインを大きくすると、電荷蓄積部で発生するノイズだけでなく、電荷蓄積部からアンプまでの経路で発生するノイズも増加してしまうので、S/N特性は悪くなる。
【0005】
このように、ゲインを大きくするとノイズが増えるために、焦点検出精度が劣化する欠点がある。一方、蓄積時間を長くすると、焦点検出動作の応答速度が遅くなる欠点がある。イメージセンサーの制御パラメーターを決めるには、これらの点を考慮して例えば以下のようにする。
【0006】
今、被写体が明るい状態から暗い状態へ徐々に変化した場合を考える。はじめの制御パラメーターはゲインを小さく、蓄積時間を短くしておく。そして、被写体が暗くなるにつれて徐々に蓄積時間を長くしていく。蓄積時間が所定時間より長くなったら、つまりある程度、応答速度が遅くなったらゲインを大きい方へ切り替える。ゲインを大きくしたらその分、蓄積時間を短くできるので、焦点検出動作の応答速度が速くなる。被写体がさらに暗くなるにつれて蓄積時間を徐々に長くしていき、また所定時間よりも長くなったらさらにゲインを大きくする。
【0007】
この出願の発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
【特許文献1】
特開昭58−106968号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ノイズ増加の原因には周囲温度も関わっている。一般に温度が8℃上昇するとノイズは約2倍に増加する。高温の環境下でかつ被写体が暗い場合に、常温の環境下と同じようにゲインを大きくすると、S/N特性が悪くなり過ぎて焦点検出結果の精度が大幅に劣化し、場合によっては焦点検出不能になってしまう。
【0009】
本発明の目的は、高温の環境下でかつ被写体が暗い場合でも、焦点検出精度の劣化または焦点検出不能になるのを防ぐことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1) 請求項1の発明は、撮影光学系を通過した被写体からの光を受光し、被写体の輝度分布に応じた画像信号を出力する電荷蓄積型光電変換手段と、複数の増幅率を有し、前記画像信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段で増幅された画像信号に基づいて前記撮影光学系の焦点調節状態を演算する焦点検出演算手段と、前記増幅手段による増幅後の画像信号を最適なレベルとする前記光電変換手段の電荷蓄積時間と前記増幅手段の増幅率とを設定する制御パラメーター設定手段とを備えた焦点検出装置であって、周囲温度を検出する温度検出手段を備え、前記制御パラメーター設定手段は、被写体輝度が同じであっても検出した前記周囲温度が高いほど小さい増幅率を設定する。
(2) 請求項2の発明は、撮影光学系を通過した被写体からの光を受光し、被写体の輝度分布に応じた画像信号を出力する電荷蓄積型光電変換手段と、複数の増幅率を有し、前記画像信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段で増幅された画像信号に基づいて前記撮影光学系の焦点調節状態を演算する焦点検出演算手段と、前記増幅手段による増幅後の画像信号を最適なレベルとするための前記光電変換手段の電荷蓄積時間と前記増幅手段の増幅率との組み合わせパターンを有し、前記組み合わせパターンを用いて次回の電荷蓄積時の電荷蓄積時間と増幅率を設定する制御パラメーター設定手段とを備えた焦点検出装置であって、周囲温度を検出する温度検出手段を備え、前記制御パラメーター設定手段は、前記周囲温度に応じて前記組み合わせパターンを変更する。
(3) 請求項3の焦点検出装置は、前記制御パラメーター設定手段によって、前記周囲温度が高いほど増幅率が小さくなるように前記組み合わせパターンを変更するようにしたものである。
(4) 請求項4の焦点検出装置において、前記制御パラメーター設定手段によって、周囲温度に応じた前記組み合わせパターンを複数組有し、前記周囲温度が高いほど増幅率が小さくなる前記組み合わせパターンを用いるようにしたものである。
(5) 請求項5の焦点検出装置は、前記制御パラメーター設定手段によって、前記周囲温度が高いほど電荷蓄積時間の上限を長くするようにしたものである。
(6) 請求項6の焦点検出装置は、前記温度検出手段によって、前記光電変換手段のOPB(OPtical Black)画素出力に基づいて周囲温度を検出するようにしたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1に一実施の形態の構成を示す。被写体からの光束は対物レンズ1、焦点検出光学系2を通ってイメージセンサー3上に結像される。イメージセンサー3の出力はアンプ4で増幅された後、A/D変換部5でA/D変換されて演算部6に入力される。演算部6は、イメージセンサー3の出力に基づいてイメージセンサー3の制御パラメーターを演算し、さらに対物レンズ1のデフォーカス量を演算する。イメージセンサー駆動制御部7は演算部6の出力に基づいてイメージセンサー3の蓄積動作の開始、終了、蓄積電荷の読み出しなどの駆動制御を行う。また、イメージセンサー駆動制御部7は演算部6の出力に基づいてアンプ4のゲインを切り替える。レンズ駆動制御部8は演算部6から出力されるデフォーカス量に基づいてモーター9を駆動し、対物レンズ1を合焦駆動する。温度センサー10は周囲温度を検出する。
【0012】
次に、図2および図3のフローチャートにより一実施の形態の動作を説明する。カメラのレリーズボタン(不図示)を半押しすると、図2に示すメインルーチンの処理が開始される。まず、ステップ101で演算部6はイメージセンサー3の制御パラメーターに初期値を与える。例えばゲインを最小に、蓄積時間を最短蓄積時間に設定する。次に、ステップ102で演算部6はイメージセンサー駆動制御部7に蓄積開始コードを与える。イメージセンサー駆動制御部7は与えられたコードをデコードしてイメージセンサー3の蓄積を開始する。演算部6は蓄積開始コード送信後、不図示のタイマーにより設定した蓄積時間をカウントする。蓄積時間が経過したらステップ103で演算部6はイメージセンサー駆動制御部7に蓄積終了コードを与える。イメージセンサー駆動制御部7は与えられたコードをデコードしてイメージセンサー3の蓄積を終了する。
【0013】
ステップ104で、演算部6はイメージセンサー駆動制御部7にアンプ4のゲイン切替コードと蓄積電荷読み出しコードを与える。イメージセンサー駆動制御部7は与えられたコードをデコードしてアンプ4のゲインを切り替え、イメージセンサー3の蓄積電荷を読み出す。読み出された蓄積電荷はアンプ4で増幅された後、A/D変換部5でA/D変換されて演算部6へ入力される。演算部6は入力されたイメージセンサー3の出力に基づいてステップ105でピーク値を検出し、ステップ106でOPB(OPtical Black)画素の出力を検出し、さらにステップ107で対物レンズ1のデフォーカス量を算出する。OPB画素とは、イメージセンサーの端に設けられ、遮光された画素であり、暗電流の大きさをモニターするための画素である。
【0014】
次に、ステップ108でレンズ駆動制御部8は演算部6から入力された値に基づいてモーター9を駆動し、対物レンズ1を合焦駆動する。そして、ステップ109で図3に示す制御パラメーター算出サブルーチンを実行し、次回の電荷蓄積制御のための制御パラメーターを算出してステップ102へ戻る。
【0015】
制御パラメーター算出サブルーチンを説明する前に、蓄積時間とゲインの算出方法について説明する。まず、図7により最適蓄積時間の算出方法について説明する。自動焦点調節方法において、デフォーカス量検出の可否や得られたデフォーカス量の信頼性などは被写体の光輝度分布であるコントラストの高さに大きく依存している。したがって、被写体のコントラストを最適にイメージセンサー出力に反映させる必要がある。例えば図7(a)のような絵を見た場合に図7(c)のような出力になるのが望ましい。ここで、Vsatは光電変換素子の飽和レベルを示す。蓄積時間が短いと図7(b)に示すようにコントラストが低くなってしまう。逆に、蓄積時間が長いと図7(d)に示すように本来あるべきコントラストがなくなってしまう。それゆえ適当な大きさの画像出力を得る必要があり、そのために適当な蓄積時間で電荷蓄積しなければならない。
【0016】
この適当な蓄積時間を求めるために、今回の蓄積動作における蓄積時間とイメージセンサーの画像出力に基づいて次回の蓄積動作における出力のピーク値が適当な値になるような蓄積時間を算出する方法がある。例えば図7(b)に示すような出力が得られ、そのときの蓄積時間がTb、ピーク出力がVbであったとする。この場合は次回の蓄積動作において図7(c)に示すような適当な出力を得るには蓄積時間Tcを以下のように求めればよい。
【数1】
Tc=(Vc/Vb)×Tb
ここで、Vcは目標値でVc=A×Vsat、Aは1未満の正の実数であり、このAの大きさで画像出力の「適当な大きさ」が決定する。Aが小さいと常に画像出力のコントラストが低くなってしまい、逆に大きいと被写体の明るさが少し明るく変化しただけですぐに画像出力が飽和してしまう。以下、この方法をAGC(Automatic Gain Control)という。ただし、図7(d)に示すような出力が得られた場合は次回の蓄積時間を今回の蓄積時間の何分の一にしてよいのかが不明なので、所定分の一にするしかない。ここで、以上の画像出力の大きさには暗電流などのノイズ成分は含まれていないものとする。
【0017】
次に、図5によりゲインの選択方法について説明する。図5は両対数グラフで、横軸は被写体輝度、縦軸は蓄積時間である。ゲインG1〜G4の直線は、それぞれのゲインで増幅した画像出力が最適なレベルとなる被写体輝度と蓄積時間の関係を表している。G1が最小ゲインで、G4が最大ゲインである。実線は焦点検出に使用する範囲であり、破線は使用しない範囲である。図5(a)に示すように、ゲインG1の使用範囲はTf0〜Tf1、ゲインG2の使用範囲はTf2〜Tf3、ゲインG3の使用範囲はTf4〜Tf5、ゲインG4の使用範囲はTf6〜Tf7である。なお、Tf7>Tf5>Tf3>Tf1>Tf6>Tf4>Tf2>Tf0の関係にある。これらTf0〜Tf7をゲイン切替パラメーターと呼ぶことにする。使用範囲にはヒステリシスを設けている。真っ暗な場合は蓄積時間をいくら長くしても出力は得られないし、応答が悪くなるので、蓄積時間の上限をTf7としている。このTf7を最長蓄積時間と呼ぶ。また、焦点検出装置のハードウエアの制約により最短蓄積時間Tf0が決まる。
【0018】
図5(b)において、被写体輝度がBV1の場合はゲインと最適蓄積時間の組み合わせは点Aであるから、ゲインがG1で蓄積時間がTf8である。被写体輝度が徐々に暗くなってBV2になった場合は、ゲインと最適蓄積時間の組み合わせは点Bであるから、ゲインがG1で蓄積時間がTf1である。さらに被写体輝度が暗くなると最適蓄積時間はTf1より長くなるので、応答性を考えてゲインをG2へ切り替える。ゲインを大きくした分、蓄積時間を短くすることができるので、被写体輝度がBV3の場合はゲインと最適蓄積時間の組み合わせは点Cになり、ゲインがG2で蓄積時間がTf9となる。同様にしてゲインを切り替えていき、点Dよりも被写体輝度が暗くなった場合は蓄積時間をTf7に固定する。
【0019】
ところで、上述したように被写体輝度が一定でもゲインが異なると蓄積時間も異なるので、計算を単純にするために上述した蓄積時間の算出とゲインの選択を行うときは、最小ゲインG1に設定した場合の蓄積時間に換算して考える。これを仮蓄積時間と呼び、実際に電荷蓄積制御に用いる蓄積時間を確定蓄積時間と呼ぶ。ここで、例えばゲインG1に対しG2、G3およびG4はそれぞれR(G2)倍、R(G3)倍、R(G4)倍違うものとする。ゲイン切替パラメーターを仮蓄積時間に換算すると、ゲインG1の使用範囲はTf0〜Tf1、ゲインG2の使用範囲はTf2×R(G2)〜Tf3×R(G2)、ゲインG3の使用範囲はTf4×R(G3)〜Tf5×R(G3)、ゲインG4の使用範囲はTf6×R(G4)×Tf7×R(G4)と変換できる。これを基にゲインを選択したところ、あるときに仮蓄積時間がTLでゲインG2が選択されたとすると、確定蓄積時間Tfは次式で表される。
【数2】
Tf=TL/R(G2)
このように、まず今回の仮蓄積時間から次回の最適な仮蓄積時間を求めて、その仮蓄積時間の長さに応じてゲインを選択し、最後に仮蓄積時間とゲインから確定蓄積時間を算出する。
【0020】
次に、図3により制御パラメーター算出サブルーチンについて説明する。まず、ステップ201で演算部6は短縮判定を行う。検出したピーク値がVsatに達していたらイメージセンサー出力は図7(d)に示すように飽和しているので、ステップ202からステップ204へ進んで蓄積時間を短縮する。例えば次回の仮蓄積時間は今回の仮蓄積時間の1/2にする。短縮が不要であればステップ203へ進み、数式1のAGCにより次回の最適な仮蓄積時間を求める。次に、ステップ205、206において周囲温度Tmpを所定値Th1、Th2(<Th1)と比較する。周囲温度Tmpが所定値Th1より大きい場合はステップ207へ進み、ゲイン切替パラメーターにAを設定する。また、周囲温度Tmpが所定値Th1以下でかつ所定値Th2(<Th1)より大きい場合はステップ208へ進み、ゲイン切替パラメーターにBを設定する。さらに、周囲温度Tmpが所定値Th2以下の場合はステップ209へ進み、ゲイン切替パラメーターにCを設定する。
【0021】
ゲイン切替パラメーターA、B、Cに基づくゲイン切替グラフを、それぞれ図6(a)、(b)、(c)に示す。図6において、横軸は被写体輝度、縦軸は確定蓄積時間である。グラフに示されるように温度が高いときに使用するゲイン切替パラメーターほど、同じ輝度に対して小さいゲインを選択するようになっている。
【0022】
また、周囲温度Tmpが所定値Th1より大きい場合、つまり高温の環境下に対しては、図6(a)に示すように最長蓄積時間Tf8を他のグラフの最長蓄積時間Tf7より長くしている。つまり、周囲温度Tmpが高いほど電荷蓄積時間の上限を長くする。これにより、周囲温度Tmpが高いときに小さいゲインを選択できる確率が高くなり、高温の環境下でかつ被写体が暗い場合でも、焦点検出精度の劣化または焦点検出不能になるのを防ぐことができる。
【0023】
次回の仮蓄積時間が求まり、ゲイン切替パラメーターが設定されたらステップ210へ進み、次回の電荷蓄積時のゲインを選択する。図6に示すゲインと確定蓄積時間の関係をゲインと仮蓄積時間の関係に変換し、この関係に基づいて次回の電荷蓄積時のゲインを選択する。そして、ステップ211へ進み、数式2により確定蓄積時間を求める。このとき、求めた確定蓄積時間が最短蓄積時間Tf0よりも短ければ、確定蓄積時間=最短蓄積時間Tf0とする。また、確定蓄積時間が最長蓄積時間Tf7またはTf8よりも長ければ、確定蓄積時間=最長蓄積時間Tf7またはTf8とする。
【0024】
ところで、周囲温度TmpはOPB画素の出力から求められる。ステップ106で取得したOPB画素出力は、周囲温度Tmp、ゲインおよび蓄積時間の関数である。そこで、製造工程において周囲温度、ゲインおよび蓄積時間を変化させたときのOPB画素出力を測定し、マップデータとして演算部6に記憶しておく。そして、このマップデータから使用時のOPB画素出力、ゲインおよび蓄積時間に対応する周囲温度Tmpを表引き演算により求める。これにより、周囲温度を検出するための温度センサーを設置する必要がなくなる。もちろん、イメージセンサー内部または外部に温度センサーを設け、その出力から周囲温度Tmpを求めるようにしてもよい。
【0025】
このように一実施の形態によれば、被写体輝度が同じであっても検出された周囲温度が高いほど小さい増幅率を設定するようにしたので、高温の環境下でかつ被写体が暗い場合でも、焦点検出精度の劣化または焦点検出不能になるのを防ぐことができる。
【0026】
上述した一実施の形態では、ゲインをG1〜G4の4通りとし、ゲイン切替パラメーターを3通りとした例を示したが、ゲインとゲイン切替パラメーターの数はこの一実施の形態に限定されない。
【0027】
《発明の一実施の形態の変形例》
ゲイン切替パラメーターを温度関数として取り扱う一実施の形態の変形例を説明する。なお、この変形例では、図1に示す構成と、図2に示すメインルーチンの処理については、上述した処理と同様の処理を行う。図4は、変形例の制御パラメーター算出サブルーチンを示すフローチャートである。なお、図3のステップと同様な処理を行うステップに対しては同じステップ番号を付して相違点を中心に説明する。
【0028】
図4に示す制御パラメーター算出サブルーチンのステップ212において、例えばゲインG1の使用範囲上限であるゲイン切替パラメーターを次式により算出する。
【数3】
Tf1{Tmp}=α1×2K,
K=(Tmp−β)/8
ここで、周囲温度β[℃]のときにゲインG1の使用範囲をTf0〜α1に設定したとする。同様にしてTf2〜Tf7を求める。関数はゲインごとに、パラメーターごとに変えても構わない。ただし、最短蓄積時間Tf0は焦点検出装置のハードウエアの制約により決まるので温度の関数にはできない。
【0029】
特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。対物レンズ1が撮影光学系を、イメージセンサー3が光電変換手段を、アンプ4が増幅手段を、演算部6が焦点検出演算手段および制御パラメーター設定手段を、温度センサー10が温度検出手段をそれぞれ構成する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、高温の環境下でかつ被写体が暗い場合でも、焦点検出精度の劣化または焦点検出不能になるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態の構成を示す図である。
【図2】一実施の形態のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図3】制御パラメーター算出サブルーチンを示すフローチャートである。
【図4】制御パラメーター算出サブルーチンを示すフローチャートである。
【図5】輝度と最適な確定蓄積時間の関係を説明する図である。
【図6】ゲイン切替パラメーターの組み合わせを説明するための図である。
【図7】AGCの動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1 対物レンズ
2 焦点検出光学系
3 イメージセンサー
4 アンプ
5 A/D変換部
6 演算部
7 イメージセンサー駆動制御部
8 レンズ駆動制御部
9 モーター
10 温度センサー
【発明の属する技術分野】
本発明はカメラの焦点検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
焦点検出光学系により結像された被写体像を電荷蓄積型イメージセンサーで受光し、イメージセンサー出力を演算処理して撮影光学系の予定焦点面に対する被写体像面のデフォーカス量を検出し、このデフォーカス量に応じてフォーカシングレンズを駆動することによって撮影光学系を合焦させる自動焦点調節装置が知られている。
【0003】
この自動焦点調節装置において、デフォーカス量検出の可否や、得られたデフォーカス量の信頼性などは、被写体の光輝度分布であるコントラストの高さに大きく依存している。したがって、被写体のコントラストを最適にイメージセンサー出力に反映させる必要がある。
【0004】
イメージセンサーの制御パラメーターには、蓄積時間と出力アンプの増幅率(以下、ゲインという)がある。最適な出力を得るためには、被写体が暗い場合は蓄積時間を長くするか、またはゲインを大きくすればよいし、被写体が明るい場合は蓄積時間を短くするか、またはゲインを小さくすればよい。しかし、被写体が暗い場合にむやみに蓄積時間を長くしたり、ゲインを大きくすることはできない。同じ大きさのイメージセンサー出力を得るにも、ゲインを大きくして蓄積時間を短くする方法と、ゲインを小さくして蓄積時間を長くする方法があるが、一般に前者はS/N特性が悪くなり、焦点検出精度が劣化する。光電変換による画像信号と電荷蓄積部で発生するノイズはともに蓄積時間に依存して増加するので、イメージセンサー出力が大きくても小さくてもS/N比はほぼ一定である。しかし、ゲインを大きくすると、電荷蓄積部で発生するノイズだけでなく、電荷蓄積部からアンプまでの経路で発生するノイズも増加してしまうので、S/N特性は悪くなる。
【0005】
このように、ゲインを大きくするとノイズが増えるために、焦点検出精度が劣化する欠点がある。一方、蓄積時間を長くすると、焦点検出動作の応答速度が遅くなる欠点がある。イメージセンサーの制御パラメーターを決めるには、これらの点を考慮して例えば以下のようにする。
【0006】
今、被写体が明るい状態から暗い状態へ徐々に変化した場合を考える。はじめの制御パラメーターはゲインを小さく、蓄積時間を短くしておく。そして、被写体が暗くなるにつれて徐々に蓄積時間を長くしていく。蓄積時間が所定時間より長くなったら、つまりある程度、応答速度が遅くなったらゲインを大きい方へ切り替える。ゲインを大きくしたらその分、蓄積時間を短くできるので、焦点検出動作の応答速度が速くなる。被写体がさらに暗くなるにつれて蓄積時間を徐々に長くしていき、また所定時間よりも長くなったらさらにゲインを大きくする。
【0007】
この出願の発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
【特許文献1】
特開昭58−106968号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ノイズ増加の原因には周囲温度も関わっている。一般に温度が8℃上昇するとノイズは約2倍に増加する。高温の環境下でかつ被写体が暗い場合に、常温の環境下と同じようにゲインを大きくすると、S/N特性が悪くなり過ぎて焦点検出結果の精度が大幅に劣化し、場合によっては焦点検出不能になってしまう。
【0009】
本発明の目的は、高温の環境下でかつ被写体が暗い場合でも、焦点検出精度の劣化または焦点検出不能になるのを防ぐことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1) 請求項1の発明は、撮影光学系を通過した被写体からの光を受光し、被写体の輝度分布に応じた画像信号を出力する電荷蓄積型光電変換手段と、複数の増幅率を有し、前記画像信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段で増幅された画像信号に基づいて前記撮影光学系の焦点調節状態を演算する焦点検出演算手段と、前記増幅手段による増幅後の画像信号を最適なレベルとする前記光電変換手段の電荷蓄積時間と前記増幅手段の増幅率とを設定する制御パラメーター設定手段とを備えた焦点検出装置であって、周囲温度を検出する温度検出手段を備え、前記制御パラメーター設定手段は、被写体輝度が同じであっても検出した前記周囲温度が高いほど小さい増幅率を設定する。
(2) 請求項2の発明は、撮影光学系を通過した被写体からの光を受光し、被写体の輝度分布に応じた画像信号を出力する電荷蓄積型光電変換手段と、複数の増幅率を有し、前記画像信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段で増幅された画像信号に基づいて前記撮影光学系の焦点調節状態を演算する焦点検出演算手段と、前記増幅手段による増幅後の画像信号を最適なレベルとするための前記光電変換手段の電荷蓄積時間と前記増幅手段の増幅率との組み合わせパターンを有し、前記組み合わせパターンを用いて次回の電荷蓄積時の電荷蓄積時間と増幅率を設定する制御パラメーター設定手段とを備えた焦点検出装置であって、周囲温度を検出する温度検出手段を備え、前記制御パラメーター設定手段は、前記周囲温度に応じて前記組み合わせパターンを変更する。
(3) 請求項3の焦点検出装置は、前記制御パラメーター設定手段によって、前記周囲温度が高いほど増幅率が小さくなるように前記組み合わせパターンを変更するようにしたものである。
(4) 請求項4の焦点検出装置において、前記制御パラメーター設定手段によって、周囲温度に応じた前記組み合わせパターンを複数組有し、前記周囲温度が高いほど増幅率が小さくなる前記組み合わせパターンを用いるようにしたものである。
(5) 請求項5の焦点検出装置は、前記制御パラメーター設定手段によって、前記周囲温度が高いほど電荷蓄積時間の上限を長くするようにしたものである。
(6) 請求項6の焦点検出装置は、前記温度検出手段によって、前記光電変換手段のOPB(OPtical Black)画素出力に基づいて周囲温度を検出するようにしたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1に一実施の形態の構成を示す。被写体からの光束は対物レンズ1、焦点検出光学系2を通ってイメージセンサー3上に結像される。イメージセンサー3の出力はアンプ4で増幅された後、A/D変換部5でA/D変換されて演算部6に入力される。演算部6は、イメージセンサー3の出力に基づいてイメージセンサー3の制御パラメーターを演算し、さらに対物レンズ1のデフォーカス量を演算する。イメージセンサー駆動制御部7は演算部6の出力に基づいてイメージセンサー3の蓄積動作の開始、終了、蓄積電荷の読み出しなどの駆動制御を行う。また、イメージセンサー駆動制御部7は演算部6の出力に基づいてアンプ4のゲインを切り替える。レンズ駆動制御部8は演算部6から出力されるデフォーカス量に基づいてモーター9を駆動し、対物レンズ1を合焦駆動する。温度センサー10は周囲温度を検出する。
【0012】
次に、図2および図3のフローチャートにより一実施の形態の動作を説明する。カメラのレリーズボタン(不図示)を半押しすると、図2に示すメインルーチンの処理が開始される。まず、ステップ101で演算部6はイメージセンサー3の制御パラメーターに初期値を与える。例えばゲインを最小に、蓄積時間を最短蓄積時間に設定する。次に、ステップ102で演算部6はイメージセンサー駆動制御部7に蓄積開始コードを与える。イメージセンサー駆動制御部7は与えられたコードをデコードしてイメージセンサー3の蓄積を開始する。演算部6は蓄積開始コード送信後、不図示のタイマーにより設定した蓄積時間をカウントする。蓄積時間が経過したらステップ103で演算部6はイメージセンサー駆動制御部7に蓄積終了コードを与える。イメージセンサー駆動制御部7は与えられたコードをデコードしてイメージセンサー3の蓄積を終了する。
【0013】
ステップ104で、演算部6はイメージセンサー駆動制御部7にアンプ4のゲイン切替コードと蓄積電荷読み出しコードを与える。イメージセンサー駆動制御部7は与えられたコードをデコードしてアンプ4のゲインを切り替え、イメージセンサー3の蓄積電荷を読み出す。読み出された蓄積電荷はアンプ4で増幅された後、A/D変換部5でA/D変換されて演算部6へ入力される。演算部6は入力されたイメージセンサー3の出力に基づいてステップ105でピーク値を検出し、ステップ106でOPB(OPtical Black)画素の出力を検出し、さらにステップ107で対物レンズ1のデフォーカス量を算出する。OPB画素とは、イメージセンサーの端に設けられ、遮光された画素であり、暗電流の大きさをモニターするための画素である。
【0014】
次に、ステップ108でレンズ駆動制御部8は演算部6から入力された値に基づいてモーター9を駆動し、対物レンズ1を合焦駆動する。そして、ステップ109で図3に示す制御パラメーター算出サブルーチンを実行し、次回の電荷蓄積制御のための制御パラメーターを算出してステップ102へ戻る。
【0015】
制御パラメーター算出サブルーチンを説明する前に、蓄積時間とゲインの算出方法について説明する。まず、図7により最適蓄積時間の算出方法について説明する。自動焦点調節方法において、デフォーカス量検出の可否や得られたデフォーカス量の信頼性などは被写体の光輝度分布であるコントラストの高さに大きく依存している。したがって、被写体のコントラストを最適にイメージセンサー出力に反映させる必要がある。例えば図7(a)のような絵を見た場合に図7(c)のような出力になるのが望ましい。ここで、Vsatは光電変換素子の飽和レベルを示す。蓄積時間が短いと図7(b)に示すようにコントラストが低くなってしまう。逆に、蓄積時間が長いと図7(d)に示すように本来あるべきコントラストがなくなってしまう。それゆえ適当な大きさの画像出力を得る必要があり、そのために適当な蓄積時間で電荷蓄積しなければならない。
【0016】
この適当な蓄積時間を求めるために、今回の蓄積動作における蓄積時間とイメージセンサーの画像出力に基づいて次回の蓄積動作における出力のピーク値が適当な値になるような蓄積時間を算出する方法がある。例えば図7(b)に示すような出力が得られ、そのときの蓄積時間がTb、ピーク出力がVbであったとする。この場合は次回の蓄積動作において図7(c)に示すような適当な出力を得るには蓄積時間Tcを以下のように求めればよい。
【数1】
Tc=(Vc/Vb)×Tb
ここで、Vcは目標値でVc=A×Vsat、Aは1未満の正の実数であり、このAの大きさで画像出力の「適当な大きさ」が決定する。Aが小さいと常に画像出力のコントラストが低くなってしまい、逆に大きいと被写体の明るさが少し明るく変化しただけですぐに画像出力が飽和してしまう。以下、この方法をAGC(Automatic Gain Control)という。ただし、図7(d)に示すような出力が得られた場合は次回の蓄積時間を今回の蓄積時間の何分の一にしてよいのかが不明なので、所定分の一にするしかない。ここで、以上の画像出力の大きさには暗電流などのノイズ成分は含まれていないものとする。
【0017】
次に、図5によりゲインの選択方法について説明する。図5は両対数グラフで、横軸は被写体輝度、縦軸は蓄積時間である。ゲインG1〜G4の直線は、それぞれのゲインで増幅した画像出力が最適なレベルとなる被写体輝度と蓄積時間の関係を表している。G1が最小ゲインで、G4が最大ゲインである。実線は焦点検出に使用する範囲であり、破線は使用しない範囲である。図5(a)に示すように、ゲインG1の使用範囲はTf0〜Tf1、ゲインG2の使用範囲はTf2〜Tf3、ゲインG3の使用範囲はTf4〜Tf5、ゲインG4の使用範囲はTf6〜Tf7である。なお、Tf7>Tf5>Tf3>Tf1>Tf6>Tf4>Tf2>Tf0の関係にある。これらTf0〜Tf7をゲイン切替パラメーターと呼ぶことにする。使用範囲にはヒステリシスを設けている。真っ暗な場合は蓄積時間をいくら長くしても出力は得られないし、応答が悪くなるので、蓄積時間の上限をTf7としている。このTf7を最長蓄積時間と呼ぶ。また、焦点検出装置のハードウエアの制約により最短蓄積時間Tf0が決まる。
【0018】
図5(b)において、被写体輝度がBV1の場合はゲインと最適蓄積時間の組み合わせは点Aであるから、ゲインがG1で蓄積時間がTf8である。被写体輝度が徐々に暗くなってBV2になった場合は、ゲインと最適蓄積時間の組み合わせは点Bであるから、ゲインがG1で蓄積時間がTf1である。さらに被写体輝度が暗くなると最適蓄積時間はTf1より長くなるので、応答性を考えてゲインをG2へ切り替える。ゲインを大きくした分、蓄積時間を短くすることができるので、被写体輝度がBV3の場合はゲインと最適蓄積時間の組み合わせは点Cになり、ゲインがG2で蓄積時間がTf9となる。同様にしてゲインを切り替えていき、点Dよりも被写体輝度が暗くなった場合は蓄積時間をTf7に固定する。
【0019】
ところで、上述したように被写体輝度が一定でもゲインが異なると蓄積時間も異なるので、計算を単純にするために上述した蓄積時間の算出とゲインの選択を行うときは、最小ゲインG1に設定した場合の蓄積時間に換算して考える。これを仮蓄積時間と呼び、実際に電荷蓄積制御に用いる蓄積時間を確定蓄積時間と呼ぶ。ここで、例えばゲインG1に対しG2、G3およびG4はそれぞれR(G2)倍、R(G3)倍、R(G4)倍違うものとする。ゲイン切替パラメーターを仮蓄積時間に換算すると、ゲインG1の使用範囲はTf0〜Tf1、ゲインG2の使用範囲はTf2×R(G2)〜Tf3×R(G2)、ゲインG3の使用範囲はTf4×R(G3)〜Tf5×R(G3)、ゲインG4の使用範囲はTf6×R(G4)×Tf7×R(G4)と変換できる。これを基にゲインを選択したところ、あるときに仮蓄積時間がTLでゲインG2が選択されたとすると、確定蓄積時間Tfは次式で表される。
【数2】
Tf=TL/R(G2)
このように、まず今回の仮蓄積時間から次回の最適な仮蓄積時間を求めて、その仮蓄積時間の長さに応じてゲインを選択し、最後に仮蓄積時間とゲインから確定蓄積時間を算出する。
【0020】
次に、図3により制御パラメーター算出サブルーチンについて説明する。まず、ステップ201で演算部6は短縮判定を行う。検出したピーク値がVsatに達していたらイメージセンサー出力は図7(d)に示すように飽和しているので、ステップ202からステップ204へ進んで蓄積時間を短縮する。例えば次回の仮蓄積時間は今回の仮蓄積時間の1/2にする。短縮が不要であればステップ203へ進み、数式1のAGCにより次回の最適な仮蓄積時間を求める。次に、ステップ205、206において周囲温度Tmpを所定値Th1、Th2(<Th1)と比較する。周囲温度Tmpが所定値Th1より大きい場合はステップ207へ進み、ゲイン切替パラメーターにAを設定する。また、周囲温度Tmpが所定値Th1以下でかつ所定値Th2(<Th1)より大きい場合はステップ208へ進み、ゲイン切替パラメーターにBを設定する。さらに、周囲温度Tmpが所定値Th2以下の場合はステップ209へ進み、ゲイン切替パラメーターにCを設定する。
【0021】
ゲイン切替パラメーターA、B、Cに基づくゲイン切替グラフを、それぞれ図6(a)、(b)、(c)に示す。図6において、横軸は被写体輝度、縦軸は確定蓄積時間である。グラフに示されるように温度が高いときに使用するゲイン切替パラメーターほど、同じ輝度に対して小さいゲインを選択するようになっている。
【0022】
また、周囲温度Tmpが所定値Th1より大きい場合、つまり高温の環境下に対しては、図6(a)に示すように最長蓄積時間Tf8を他のグラフの最長蓄積時間Tf7より長くしている。つまり、周囲温度Tmpが高いほど電荷蓄積時間の上限を長くする。これにより、周囲温度Tmpが高いときに小さいゲインを選択できる確率が高くなり、高温の環境下でかつ被写体が暗い場合でも、焦点検出精度の劣化または焦点検出不能になるのを防ぐことができる。
【0023】
次回の仮蓄積時間が求まり、ゲイン切替パラメーターが設定されたらステップ210へ進み、次回の電荷蓄積時のゲインを選択する。図6に示すゲインと確定蓄積時間の関係をゲインと仮蓄積時間の関係に変換し、この関係に基づいて次回の電荷蓄積時のゲインを選択する。そして、ステップ211へ進み、数式2により確定蓄積時間を求める。このとき、求めた確定蓄積時間が最短蓄積時間Tf0よりも短ければ、確定蓄積時間=最短蓄積時間Tf0とする。また、確定蓄積時間が最長蓄積時間Tf7またはTf8よりも長ければ、確定蓄積時間=最長蓄積時間Tf7またはTf8とする。
【0024】
ところで、周囲温度TmpはOPB画素の出力から求められる。ステップ106で取得したOPB画素出力は、周囲温度Tmp、ゲインおよび蓄積時間の関数である。そこで、製造工程において周囲温度、ゲインおよび蓄積時間を変化させたときのOPB画素出力を測定し、マップデータとして演算部6に記憶しておく。そして、このマップデータから使用時のOPB画素出力、ゲインおよび蓄積時間に対応する周囲温度Tmpを表引き演算により求める。これにより、周囲温度を検出するための温度センサーを設置する必要がなくなる。もちろん、イメージセンサー内部または外部に温度センサーを設け、その出力から周囲温度Tmpを求めるようにしてもよい。
【0025】
このように一実施の形態によれば、被写体輝度が同じであっても検出された周囲温度が高いほど小さい増幅率を設定するようにしたので、高温の環境下でかつ被写体が暗い場合でも、焦点検出精度の劣化または焦点検出不能になるのを防ぐことができる。
【0026】
上述した一実施の形態では、ゲインをG1〜G4の4通りとし、ゲイン切替パラメーターを3通りとした例を示したが、ゲインとゲイン切替パラメーターの数はこの一実施の形態に限定されない。
【0027】
《発明の一実施の形態の変形例》
ゲイン切替パラメーターを温度関数として取り扱う一実施の形態の変形例を説明する。なお、この変形例では、図1に示す構成と、図2に示すメインルーチンの処理については、上述した処理と同様の処理を行う。図4は、変形例の制御パラメーター算出サブルーチンを示すフローチャートである。なお、図3のステップと同様な処理を行うステップに対しては同じステップ番号を付して相違点を中心に説明する。
【0028】
図4に示す制御パラメーター算出サブルーチンのステップ212において、例えばゲインG1の使用範囲上限であるゲイン切替パラメーターを次式により算出する。
【数3】
Tf1{Tmp}=α1×2K,
K=(Tmp−β)/8
ここで、周囲温度β[℃]のときにゲインG1の使用範囲をTf0〜α1に設定したとする。同様にしてTf2〜Tf7を求める。関数はゲインごとに、パラメーターごとに変えても構わない。ただし、最短蓄積時間Tf0は焦点検出装置のハードウエアの制約により決まるので温度の関数にはできない。
【0029】
特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。対物レンズ1が撮影光学系を、イメージセンサー3が光電変換手段を、アンプ4が増幅手段を、演算部6が焦点検出演算手段および制御パラメーター設定手段を、温度センサー10が温度検出手段をそれぞれ構成する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、高温の環境下でかつ被写体が暗い場合でも、焦点検出精度の劣化または焦点検出不能になるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態の構成を示す図である。
【図2】一実施の形態のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図3】制御パラメーター算出サブルーチンを示すフローチャートである。
【図4】制御パラメーター算出サブルーチンを示すフローチャートである。
【図5】輝度と最適な確定蓄積時間の関係を説明する図である。
【図6】ゲイン切替パラメーターの組み合わせを説明するための図である。
【図7】AGCの動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1 対物レンズ
2 焦点検出光学系
3 イメージセンサー
4 アンプ
5 A/D変換部
6 演算部
7 イメージセンサー駆動制御部
8 レンズ駆動制御部
9 モーター
10 温度センサー
Claims (6)
- 撮影光学系を通過した被写体からの光を受光し、被写体の輝度分布に応じた画像信号を出力する電荷蓄積型光電変換手段と、
複数の増幅率を有し、前記画像信号を増幅する増幅手段と、
前記増幅手段で増幅された画像信号に基づいて前記撮影光学系の焦点調節状態を演算する焦点検出演算手段と、
前記増幅手段による増幅後の画像信号を最適なレベルとする前記光電変換手段の電荷蓄積時間と前記増幅手段の増幅率とを設定する制御パラメーター設定手段とを備えた焦点検出装置であって、
周囲温度を検出する温度検出手段を備え、
前記制御パラメーター設定手段は、被写体輝度が同じであっても検出した前記周囲温度が高いほど小さい増幅率を設定することを特徴とする焦点検出装置。 - 撮影光学系を通過した被写体からの光を受光し、被写体の輝度分布に応じた画像信号を出力する電荷蓄積型光電変換手段と、
複数の増幅率を有し、前記画像信号を増幅する増幅手段と、
前記増幅手段で増幅された画像信号に基づいて前記撮影光学系の焦点調節状態を演算する焦点検出演算手段と、
前記増幅手段による増幅後の画像信号を最適なレベルとするための前記光電変換手段の電荷蓄積時間と前記増幅手段の増幅率との組み合わせパターンを有し、前記組み合わせパターンを用いて次回の電荷蓄積時の電荷蓄積時間と増幅率を設定する制御パラメーター設定手段とを備えた焦点検出装置であって、
周囲温度を検出する温度検出手段を備え、
前記制御パラメーター設定手段は、前記周囲温度に応じて前記組み合わせパターンを変更することを特徴とする焦点検出装置。 - 請求項2に記載の焦点検出装置において、
前記制御パラメーター設定手段は、前記周囲温度が高いほど増幅率が小さくなるように前記組み合わせパターンを変更することを特徴とすることを特徴とする焦点検出装置。 - 請求項2に記載の焦点検出装置において、
前記制御パラメーター設定手段は、周囲温度に応じた前記組み合わせパターンを複数組有し、前記周囲温度が高いほど増幅率が小さくなる前記組み合わせパターンを用いることを特徴とする焦点検出装置。 - 請求項1〜4のいずれかの項に記載の焦点検出装置において、
前記制御パラメーター設定手段は、前記周囲温度が高いほど電荷蓄積時間の上限を長くすることを特徴とする焦点検出装置。 - 請求項1〜5のいずれかの項に記載の焦点検出装置において、
前記温度検出手段は、前記光電変換手段のOPB(OPtical Black)画素出力に基づいて周囲温度を検出することを特徴とする焦点検出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002272755A JP2004109570A (ja) | 2002-09-19 | 2002-09-19 | 焦点検出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002272755A JP2004109570A (ja) | 2002-09-19 | 2002-09-19 | 焦点検出装置 |
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JP2002272755A Pending JP2004109570A (ja) | 2002-09-19 | 2002-09-19 | 焦点検出装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004109570A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006121151A (ja) * | 2004-10-19 | 2006-05-11 | Sony Corp | 信号処理方法および信号処理装置並びに物理情報取得装置 |
WO2015012096A1 (ja) * | 2013-07-22 | 2015-01-29 | オリンパスメディカルシステムズ株式会社 | 医療用観察装置 |
-
2002
- 2002-09-19 JP JP2002272755A patent/JP2004109570A/ja active Pending
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