JP2004109379A - レンチキュラーレンズシート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】背面投射型テレビジョンに用いられるレンチキュラーレンズシートにおいて、そのレンチキュラーレンズシートは、光拡散性微粒子を含有する少なくとも入射側レンズ層と出射側レンズ層から形成され、入射側レンズ層には、観察角度の小さい頂上領域の利得を相対的に拡大して頂上部をなだらかにする光拡散性微粒子を含有させ、出射側レンズ層には、観察角度の大きい裾領域の利得を相対的に増加させる光拡散性微粒子を含有させることにより、上記課題を解決した。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロジェクションテレビジョンの構成部材である透過型スクリーンに使用するレンチキュラーレンズシートに関し、更に詳しくは、光拡散性微粒子を含有させることにより、スクリーンの垂直方向に十分な視野角を確保し、モアレやホットバンドを低減させたレンチキュラーレンズシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
透過型プロジェクションテレビジョンの構成部材として用いられている透過型スクリーンは、投射光を略平行光とするためのフレネルレンズシートと、視野角度を水平および垂直に拡大するためのレンチキュラーレンズシートとを、光投射側からこの順で配列して構成されている。レンチキュラーレンズシートは、光入射側の面に投射光を水平方向へ拡散させる為の縦長の蒲鉾状レンズが横方向に配列され、光出射側の面には、前記、蒲鉾状レンズの集光部に光出射部が形成され、非集光部に縦長の光吸収層(BS)が形成されたものが使用されている。
【0003】
近年、そうしたレンチキュラーレンズシートに光拡散性微粒子を含有させてその特性を向上させる検討が行われている。例えば、特許文献1では、拡散剤をレンチキュラーレンズシートに局在化させることにより、解像度の向上や、レンチキュラーレンズシート内部での損失光を少なくして光の利用効率を向上させることが検討されている。また、特許文献2では、樹脂の屈折率と光拡散性微粒子の屈折率を調整して異常光を低減させることが検討されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−61120号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平8−15780号公報(特許請求の範囲)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
プロジェクションテレビジョンにおいては、透過型スクリーンに投影された映像品質をより高めるための各種の研究がなされており、その構成部材である透過型スクリーンにおいても、視野角、特に垂直方向の視野角をさらに拡大させると共に、モアレやホットバンドをより低減させることが要求されている。
【0006】
しかしながら、上述した従来のレンチキュラーレンズシートを用いた場合においては、垂直方向における十分な視野角は確保されているとはいえず、また、モアレやホットバンドをより低減させるという要求に対しても必ずしも十分ではなく、さらにそれらの改善要求が存在している。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決すべくなされたものであって、その目的は、垂直方向における十分な視野角を確保し、モアレやホットバンドを低減させたレンチキュラーレンズシートを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、垂直方向の拡散特性が主として光拡散性微粒子に依存しているという従来からの知見を踏まえ、さらに詳細に研究を重ねた結果、レンチキュラーレンズシートを構成する樹脂中に、特定の特性を備えた光拡散性微粒子を特定位置に局在化させることにより上記課題を解決できることを見出して、以下の第1〜第3の観点に基づく本発明に到達した。
【0009】
すなわち、第1の観点に基づく本発明のレンチキュラーレンズシートは、背面投射型テレビジョンに用いられるレンチキュラーレンズシートにおいて、当該レンチキュラーレンズシートは、光拡散性微粒子を含有する少なくとも入射側レンズ層と出射側レンズ層から形成され、該入射側レンズ層は、観察角度の小さい頂上領域の利得を相対的に拡大して頂上部をなだらかにする光拡散性微粒子を含有し、該出射側レンズ層は、観察角度の大きい裾領域の利得を相対的に増加させる光拡散性微粒子を含有することに特徴を有する。
【0010】
また、第2の観点に基づく本発明のレンチキュラーレンズシートは、背面投射型テレビジョンに用いられるレンチキュラーレンズシートにおいて、当該レンチキュラーレンズシートは、光拡散性微粒子を含有する少なくとも入射側レンズ層と出射側レンズ層から形成され、該入射側レンズ層の拡散特性と該出射側レンズ層の拡散特性が、「γV1/αV1<γV2/αV2」の関係式を満たすことに特徴を有する(ここで、αV1およびγV1はそれぞれ入射側レンズ層における利得の半値幅および1/10値幅を表し、αV2およびγV2は出射側レンズ層における利得の半値幅および1/10値幅を表している)。
【0011】
また、第3の観点に基づく本発明のレンチキュラーレンズシートは、背面投射型テレビジョンに用いられるレンチキュラーレンズシートにおいて、当該レンチキュラーレンズシートは、光拡散性微粒子を含有する少なくとも入射側レンズ層と出射側レンズ層から形成され、該入射側レンズ層の拡散特性と該出射側レンズ層の拡散特性が、下記式1、2の関係を満たすことに特徴を有する。式1、2において、gは角度ψにおける利得、g0は0°における利得、αVは各レンズ層における利得の半価幅、ε1は入射側レンズ層の係数、ε2は出船側レンズ層の係数を表している。この第3の観点においては、出射側レンズ層の係数ε2が0.8以上であり、入射側レンズ層の係数ε1が0.5以下であることが好ましい。
【0012】
【数2】
【0013】
上述した本発明のレンチキュラーレンズシートによれば、それぞれ異なる光拡散性微粒子を含有させた入射側レンズ層と出射側レンズ層を少なくとも有する2層以上の層構成とし、その入射側レンズ層には拡散特性の裾を狭くし正面付近での輝度変化を小さくするタイプの光拡散性微粒子を含有させたので、ホットバンド(水平方向に生じる帯状の高輝度領域をいい、観察者に不快感を与えるものである。)の発生を抑制でき、母型や押出し成形時の成形条件等に起因するムラを隠すことができ、さらに、モアレも弱くすることができる。一方、出射側レンズ層には拡散特性の裾を広くするタイプの光拡散性微粒子を含有させたので、視野角が拡大し、カットオフ(ある角度以上で急に暗くなり映像が見えなくなる現象)を起こりにくくすることができる。こうした各層を有するレンチキュラーレンズシートは、垂直方向において十分な視野角を確保し、モアレやホットバンドを低減させることができるので、光の利用効率を実質的に向上させることができる。
【0014】
上述した第1〜第3の観点に基づく本発明のレンチキュラーレンズシートにおいては、▲1▼出射側レンズ層に含有される光拡散性微粒子と樹脂との屈折率差が、入射側レンズ層に含有される光拡散性微粒子と樹脂との屈折率差よりも大きいこと、▲2▼出射側レンズ層に含有される光拡散性微粒子が不定形粒子であり、入射側レンズ層に含有される光拡散性微粒子が球状粒子であること、▲3▼出射側レンズ層に含有される光拡散性微粒子が無機系微粒子であり、入射側レンズ層に含有される光拡散性微粒子が有機系微粒子であること、▲4▼−a)出射側レンズ層に含有される光拡散性微粒子の屈折率が、出射側レンズ層を形成する樹脂の屈折率よりも大きく、出射側レンズ層の樹脂の屈折率が、入射側レンズ層の樹脂の屈折率よりも小さいこと、▲4▼−b)出射側レンズ層に含有される光拡散性微粒子の屈折率が、出射側レンズ層を形成する樹脂の屈折率よりも小さく、出射側レンズ層の樹脂の屈折率が、入射側レンズ層の樹脂の屈折率よりも大きいこと、が好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のレンチキュラーレンズシートについて図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明のレンチキュラーレンズシートの一例を示す断面図であり、図2は、本発明のレンチキュラーレンズシートを構成する入射側レンズ層の拡散特性(a)と出射側レンズ層の拡散特性(b)を示すグラフである。図2の光拡散特性は、光線出射角度毎に輝度を測定する装置である微小偏角輝度計により測定し、真正面を0°とし、横軸を視野角(観察角度)、縦軸をMAXを1とした相対利得(ゲイン)として表している。
【0016】
本発明のレンチキュラーレンズシート1は、図1に示すように、少なくとも入射側レンズ層2と出射側レンズ層3から形成されている両面レンチキュラーレンズシートである。そして、その入射側レンズ層2と出射側レンズ層3は、特性の異なる光拡散性微粒子4、5をそれぞれ含有することにより、図2に示すような異なる拡散特性(垂直方向でのもの。以下同じ。)を有している。
【0017】
(入射側レンズ層)
入射側レンズ層2は、本発明のレンチキュラーレンズシート1における必須の層であり、図2(a)に示す形態の拡散特性を有している。図2(a)に示す拡散特性は、レンチキュラーレンズシートを構成する樹脂中に、観察角度の小さい領域(拡散特性のグラフの頂上付近の領域。以下、頂上領域ともいう。)の利得(ゲインともいう。)を相対的に拡大させる光拡散性微粒子4を含有させることにより得ることができる。なお、ここでいう「相対的」とは、後述する出射側レンズ層3の拡散特性に対比したものである。
【0018】
入射側レンズ層2を形成する樹脂としては、透過型スクリーン用のレンチキュラーレンズシートに使用可能な程度の実質的に透明性を持つ合成樹脂、すなわち光透過性の合成樹脂であれば特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート等が用いられる。中でもアクリル系樹脂は、表面耐擦傷性、耐候性及び透明性等が良好なことから好ましく用いられる。そうしたアクリル系樹脂としては、メタクリル酸メチルを主体とする樹脂が挙げられ、メチルメタクリレートの単独重合体、またはメチルメタクリレートとメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリロニトリル、無水マレイン酸、スチレンもしくはα−メチルスチレンの何れか1つ以上との共重合体、またはメチルメタクリレート単独重合体と上記共重合体との混合物等を挙げることができる。その中でも特に、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、及び、メタクリル樹脂とスチレン樹脂との共重合体樹脂(MS樹脂)が多く用いられる。なお、この合成樹脂中には、本発明の目的を損なわない範囲内で、後述の光拡散性微粒子以外の各種の作用効果を奏する添加剤、例えば、着色剤(ティント剤)、帯電防止剤等を含有させることができる。こうした樹脂で形成された入射側レンズ層2は、通常、1.49〜1.6の屈折率を有する。
【0019】
入射側レンズ層2を形成する樹脂として、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、及び、MS樹脂を用いた場合、入射側レンズ層2に含有される光拡散性微粒子4としては、比較的これらの基材樹脂との屈折率差が小さい(屈折率差0.005〜0.03)ものが選択される。具体的には、アクリル樹脂微粒子、ガラスビーズ、及びMS樹脂微粒子が好適に使用できる。また、入射側レンズ層には真球度の高い光拡散性微粒子を使用するのが好ましく、粒子の大きさは、出射側レンズ層に使用する光拡散剤5に比べて大きくすることが好ましく、平均粒径10〜50μmのものが好ましく用いられる。
【0020】
入射側レンズ層2を形成する樹脂6と光拡散性微粒子4は、樹脂100重量部に対して、1又は2種以上の光拡散性微粒子0.1〜30重量部の割合で配合される。このとき、光拡散性微粒子が0.1重量部未満でも、逆に、30重量部を超えても、観察角度の小さい頂上領域の利得が相対的に拡大し、裾領域の利得を小さくするという入射側レンズ層の光拡散剤の効果が十分発揮されない。
【0021】
入射側レンズ層2には、このような光拡散性微粒子4の作用により、観察角度の小さい頂上領域の利得が相対的に拡大するような拡散特性を示すので、観察角度をシフトさせた場合における照度変化を緩やかなものとする作用があり、その結果 ホットバンドの発生の抑制や、成形ムラやモアレを目立たなくすることができるという効果がある。また、裾領域へ光を拡散させないので、投射光がBSで吸収されることがなく透過率を高く維持することができる。
【0022】
(出射側レンズ層)
出射側レンズ層3は、本発明のレンチキュラーレンズシート1における必須の層であり、図2(b)に示す形態の拡散特性を有している。図2(b)に示す拡散特性は、レンチキュラーレンズシートを構成する樹脂中に、観察角度の大きい領域(拡散特性のグラフの裾側の領域。以下、裾領域ともいう。)の利得を相対的に増加させる光拡散性微粒子5を含有させることにより得ることができる。なお、ここでいう「相対的」とは、前述した入射側レンズ層2の拡散特性に対比したものである。
【0023】
出射側レンズ層3を形成する樹脂としては、透過型スクリーン用のレンチキュラーレンズシートに使用可能な程度の実質的に透明性を持つ合成樹脂、すなわち光透過性の合成樹脂であれば特に限定されず、上述の入射側レンズ層2と同様、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート等が用いられる。中でもアクリル系樹脂は、表面耐擦傷性、耐候性及び透明性等が良好なことから好ましく用いられる。そうしたアクリル系樹脂としては、メタクリル酸メチルを主体とする樹脂が挙げられ、メチルメタクリレー卜の単独重合体、またはメチルメタクリレートとメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリロニトリル、無水マレイン酸、スチレンもしくはα−メチルスチレンの何れか1つ以上との共重合体、またはメチルメタクリレー卜単独重合体と上記共重合体との混合物等を挙げることができる。なお、この合成樹脂中には、本発明の目的を損なわない範囲内で、後述の光拡散性微粒子以外の各種の作用効果を奏する添加剤、例えば、着色剤(ティント剤)、帯電防止剤等を含有させることができる。
【0024】
出射側レンズ層3に含有される光拡散性微粒子5としては、出射側レンズ層を構成する樹脂との間の屈折率差が、比較的大きい(屈折率差0.03〜0.12)ものが選択される。具体的には、スチレン樹脂微粒子、シリコーン樹脂微粒子等の有機系微粒子や、硫酸バリウム微粒子、ガラス微粒子、水酸化アルミニウム微粒子、炭酸カルシウム微粒子、シリカ(二酸化珪素)微粒子、酸化チタン微粒子等の無機系微粒子を挙げることができ、これらの1又は2種以上を樹脂中に配合することができる。また、拡散特性の調整などの理由で、さらに、入射側レンズ層2に使用するアクリル樹脂微粒子やMS樹脂微粒子を加えても良い。
【0025】
粒子形状については、真球形状、略球形状、不定形状等、各種のものを使用できるが、不定形状の光拡散性微粒子5を用いることにより、幅の広い拡散特性を持つ出射側レンズ層3を形成することができる。また、粒子の大きさは、平均粒径3〜20μmのものが好ましく用いられる。平均粒径が3μm未満の場合には、黄変しやすく、20μmを超える場合には、出射側レンズ層に求められる拡散特性が得られない。不定形状の微粒子としては、硫酸バリウム微粒子等の前記、無機系微粒子のうち、結晶性無機微粒子が入手容易で好ましく用いられる。
【0026】
出射側レンズ層3を形成する樹脂7と光拡散性微粒子5は、樹脂100重量部に対して、1又は2種以上の光拡散性微粒子0.5〜5重量部の割合で配合される。このとき、光拡散性微粒子が0.5重量部未満では、裾領域の利得を長く引くという出射側レンズ層の光拡散剤の効果が十分発揮されない。逆に、5重量部を超えると、スクリーンゲインが低くなりすぎてスクリーンとして好ましくないものとなることがある。また、2種類以上を配合する場合の配合比は、通常、1:1〜1:5などの簡単な整数比が選択されるが、真球の樹脂微粒子と結晶性無機微粒子を配合する場合には、100:1などの極端な配合比としても良い。
【0027】
以上説明した構成からなる出射側レンズ層3は、そこに含有する光拡散性微粒子5の作用により、観察角度の大きい裾領域の利得が相対的に増加した拡散特性を示すので、カットオフを抑制することができる。
【0028】
(層構成要素の屈折率の作用)
各レンズ層における基材樹脂と光拡散性微粒子との屈折率差がレンチキュラーレンズシートの拡散特性に及ぼす影響について説明する。本発明においては、出射側レンズ層3を形成する樹脂7と光拡散性微粒子5との屈折率差△n2が、入射側レンズ層2を形成する樹脂6と光拡散性微粒子4との屈折率差△n1よりも大きい(△n1<△n2)ことが好ましい。一般的に、同程度の拡散を得ることを考えると、基材樹脂と拡散性微粒子との間に屈折率差が大きいほど、少量の拡散性微粒子ですむので、光が通過する間に拡散性微粒子に当たる頻度が減少する。一方、光が拡散性微粒子に当たったときには、屈折率差が大きい為に大きく屈折する。その結果、基材樹脂と拡散性微粒子との間の屈折率差が大きいほど、拡散特性の先端部が鋭利になり、中腹部がやせ細り、裾部が長く引く傾向が生じる。具体的な屈折率差としては、△n1については0.005〜0.03程度であり、Δn2については0.03〜0.12程度である。
【0029】
入射側レンズ層2を構成する樹脂6と出射側レンズ層3を構成する樹脂7とを同一の樹脂としても良いし、別の樹脂としても良い。両者を屈折率の異なる別の樹脂とする場合には、入射側レンズ層2を構成する樹脂6の屈折率n6に対して、出射側レンズ層3を構成する樹脂7の屈折率n7と出射側レンズ層3に混入する拡散性微粒子5の屈折率n5とを、逆方向、すなわち、n7<n6<n5、または、n5<n6<n7とするのが好ましい。このようにすることにより、出射側レンズ層3の樹脂7と拡散性微粒子5との屈折率差Δn2を大きくとることが容易になり、また、両者の屈折率の体積平均が入射側レンズ層2の樹脂の屈折率n6と大きく食い違わない為、入射側レンズや出射側レンズのレンズ作用に悪影響を与えにくい。
【0030】
(レンチキュラーレンズシート)
以上の構成要素を備える本発明のレンチキュラーレンズシートにおいては、特性の異なる光拡散性微粒子4、5をそれぞれの樹脂2、3中に含有させることにより、各レンズ層が図2に示すような異なる拡散特性を有している。こうした異なる拡散特性は、以下の3つの観点で捉えることができる。
【0031】
第1の観点に共づくレンチキュラーレンズシートは、観察角度の小さい領域(頂上領域)の利得が相対的に拡大され且つなだらかな曲線からなる拡散特性を示す入射側レンズ層2と、観察角度の大きい領域(裾間域)の利得が相対的に増加した曲線からなる拡散特性を示す出射側レンズ層3とを有するものである。
【0032】
第2の観点に基づくレンチキュラーレンズシートは、入射側レンズ層2の拡散特性と出射側レンズ層3の拡散特性が、γV1/αV1<γV2/αV2の関係式を満たすものである。ここで、αV1およびγV1はそれぞれ入射側レンズ層2における利得の半値幅および1/10値幅を表し、αV2およびγV2は出射側レンズ層3における利得の半値幅および1/10値幅を表している。
【0033】
第3の観点に基づくレンチキュラーレンズシートは、入射側レンズ層2の拡散特性と出射側レンズ層3の拡散特性が、上述した式1、2の関係を満たすものである。式1、2において、gは角度ψにおける利得、g0は0°における利得、αVは各レンズ層における利得の半値幅、ε1は入射側レンズ層の係数、ε2は出射側レンズ層の係数を表している。図3は、レンチキュラーレンズシートの拡散特性の測定値と、式1を用いた相関値とを示したグラフであり、極めて良い一致を示すことが確認されている。
【0034】
この第3の観点に基づくレンチキュラーレンズシートにおいては、gが大きい値を示すほど図2に表される拡散特性の裾が広くなり、観察角度の大きな領域でのゲインが増加した形態となるが、観察角度の小さい中心付近においては角度変化が急峻となる。一方、εが小さい値を示すほど拡散特性の裾は狭いが、観察角度が0°付近のゲインピーク近傍が急峻でなくややなだらかになるので、輝度変化が緩和される。このεは、樹脂の屈折率と光拡散性微粒子の屈折率との差を大きくしたり不定形状の光拡散性微粒子を用いたりすることにより、大きな値にすることができる。なお、第3の観点に基づくレンチキュラーレンズシートにおいては、出射側レンズ層3の係数ε2が0.8以上であり、入射側レンズ層2の係数ε1が0.5以下であることが好ましい。出射側レンズ層3の係数ε2が0.8未満の場合は、拡散特性の裾を広げるという点で十分な効果が得られず、入射側レンズ層2の係数ε1が0.5を超えると、観察角度の小さい正面付近での急峻な角度変化を抑制するという点で十分な効果が得られない。両者を同時に満たさない場合は、ε1とε2とが近すぎる為、レンチキュラーレンズシート全体に同一の拡散性微粒子を含有させることと大差無い結果となる。
【0035】
上述した第1〜第3の観点で特定される本発明のレンチキュラーレンズシートにおいて、図2(a)で表される拡散特性を示す入射側レンズ層2が観察角度の小さい正面付近での急峻な角度変化を抑制するよう作用するので、ホットバンドの発生を抑制することができ、母型や押出し成形時の成形条件等に起因するムラを隠すことができ、さらに、モアレも弱くすることができる。一方、図2(b)で表される拡散特性を示す出射側レンズ層3が特に垂直方向の視野角を拡大するよう作用するので、カットオフを起こりにくくする。こうした構成からなるレンチキュラーレンズシートは、十分な視野角を確保し、モアレやホットバンドを低減させることができるので、光の利用効率を実質的に向上させることができる。本発明は、光拡散性微粒子を多く含有させることができないハイゲインモデルのレンチキュラーレンズシートにおいて、垂直方向における広い視野角の実現と、ホットバンドの低減とを両立させることができるという格別の効果がある。
【0036】
なお、上述のように、入射側レンズ層2に含有させる拡散性微粒子4の平均粒径を出射側レンズ層3に含有させる拡散性微粒子5の平均粒径よりも大きくする場合においては、入射側レンズ層2の厚さt2を出射側レンズ層3の厚さt3より厚くしないと、入射側レンズ層の拡散特性の特徴がレンチキュラーレンズシート全体の拡散特性に十分に寄与しないという理由から、出射側レンズ層3の厚さt3を入射側レンズ層2の厚さt2より小さくすることが好ましい。具体的には、レンチキュラーレンズシートの入射側レンズの頂部から出射側レンズの頂部までの厚さをTとすると、t2/Tは0.3〜0.95、t3/Tは0.05〜0.7、より好ましくは、t2/Tは0.7〜0.9、t3/Tは0.1〜0.3、の範囲内であることが好ましい。
【0037】
本発明のレンチキュラーレンズシートにおいては、上述の入射側レンズ層2と出射側レンズ層3により本発明特有の作用効果を奏することができれば、他の層、例えば、低反射層、反射防止層、帯電防止層、ハードコート層などが形成されていても構わない。
【0038】
レンチキュラーレンズシート1を備えた透過型スクリーンの態様については特に限定されず、従来からの各種のものを構成できる。例えば、図4に示すように、レンチキュラーレンズシート1とフレネルレンズシート12とを組み合わせてなる透過型スクリーン11や 図5(a)に示すように、レンチキュラーレンズシート1と垂直方向拡散用レンチキュラーレンズを背面に形成したフレネルレンズシート13とを組み合わせてなる透過型スクリーン21や、図5(b)に示すように、レンチキュラーレンズシート1と垂直方向拡散用レンチキュラーレンズシート14とフレネルレンズシート12とを組み合わせてなる透過型スクリーン31等を例示することができる。
【0039】
(レンチキュラーレンズシートの製造方法)
本発明のレンチキュラーレンズシートは、公知の2層のレンチキュラーレンズシートの製造方法が適応できる。すなわち、共押出し成形法、あらかじめ出射側レンズ層を形成する光拡散フィルムを成形しておき、入射側レンズ層を押出し形成する際に熱ラミネートする方法、両面とも平坦面である2層のシートを押出し成形後、熱プレスにより両面のレンズ形状を形成する方法、熱重合キャスト法により両面レンチを形成する際に、拡散剤の材料の密度(比重)により入射側レンズ層と出射側レンズ層に拡散剤の材料に分布ができることを利用する方法、入射側レンズ層を押出し法またはプレス法で製造後、拡散性微粒子を含有するバインダーを出射側の面にコーティングにより形成する方法等の方法により、例えば図1に示す断面形状を有するレンチキュラーレンズシートが製造される。これらの方法の中で、共押出し成形法は、量産性に優れるとともに、各々の層の拡散性微粒子の濃度を成形中に制御できる為、拡散特性を成形中に細かく修正することができる。
【0040】
【実施例】
以下、本発明のレンチキュラーレンズシートについて具体的な実施例および比較例に基づき説明する。
【0041】
(実施例1)
先ず、光拡散微粒子として平均粒径11μm・屈折率1.59の球形状の架橋ポリスチレンビーズ(PS、住友化学工業(株)製、PB3011)2.0重量部を用い、屈折率1.51の耐衝撃性メタクリル樹脂(住友化学工業(株)製、HT−011E)100重量部中に混合し、押出し機により押出して、厚さ0.13mmの出射側レンズ層用光拡散性フィルムを準備した。次に、光拡散性微粒子として平均粒径30μm・屈折率1.49の球形状の架橋アクリルビーズ(PMMA、住友化学工業(株)製、XC01)8重量部を用い、上記と同じメタクリル樹脂(HT−011E)100重量部中に混合し、押出し機より押出し、前記出射側レンズ層用の光拡散フィルムとともにレンチキュラーレンズの逆形状が形成された1対のロール型間にてレンチキュラーレンズの形状を賦型するとともに、両者を熱ラミネートし、厚さ0.77mmの入射側レンズ層と厚さ0.13mmの出射側レンズ層とで構成された、両面レンチキュラーレンズシートを作製した。
【0042】
作製したレンチキュラーレンズシートは、ピッチ0.72mm、入出射レンズ間距離(総厚さT)0.9mm、BS率(ブラックストライプ率、出射側の光吸収層の面積率)45%、入射側レンズ形状が円錐定数0.58の楕円、出射側レンズ形状が円(r=0.25)であり、スクリーンゲインは5.5±0.2であった。
【0043】
(実施例2)
出射側レンズ層用の光拡散微粒子として平均粒径3μm・屈折率1.64の硫酸バリウム0.7重量部を用い、入射側レンズ層には、実施例1同様に光拡散性微粒子として平均粒径30μm・屈折率1.49の球形状の架橋アクリルビーズ(XC01)8重量部を用い、実施例1と同じメタクリル樹脂(HT−011E)100重量部中に混合し、押出し機より共押出しし、レンチキュラーレンズの逆形状が形成された1対のロール型間にてレンチキュラーレンズの形状を賦型することで、実施例1と同一形状の両面レンチキュラーレンズシートを作製した。なお、出射側レンズ層用の樹脂の押出機の吐出量を10%としたところ、その出射側レンズ層の厚さは0.1mm、入射側レンズ層の厚さは0.8mmとなった。
【0044】
(実施例3)
出射側レンズ層用の光拡散微粒子として平均粒径17μm・屈折率1.535のガラスビーズ(東芝バロティーニ(株)製、EMB20)1.5重量部を用いた他は、実施例2と同様な方法で実施例1と同一形状の両面レンチキュラーレンズシートを作製した。なお、出射側レンズ層用の樹脂の押出機の吐出量を40%としたところ、その出射側レンズ層の厚さは0.38mmとなった。
【0045】
(実施例4)
出射側レンズ層用の樹脂として屈折率1.49のメタクリル樹脂(住友化学工業(株)製、HT−40X)100重量部を用い、実施例2と同様な方法で実施例1と同一形状の両面レンチキュラーレンズシートを作製した。なお、出射側レンズ層用の樹脂の押出機の吐出量を10%としたところ、その出射側レンズ層の厚さは0.23mmとなった。
【0046】
(実施例5)
出射側レンズ層用の光拡散微粒子として平均粒径12μm・屈折率1.42のシリコーンビーズ(東芝シリコーン(株)製、トスバール3120)1.1重量部を用い、実施例2と同様な方法で実施例1と同一形状の両面レンチキュラーレンズシートを作製した。なお、出射側レンズ層用の樹脂の押出機の吐出量を10%としたところ、その出射側レンズ層の厚さは0.1mmとなった。評価結果を表1に示した。
【0047】
(実施例6)
入射側レンズ層用の樹脂として屈折率1.49のメタクリル樹脂(住友化学工業(株)製、HT−40X)100重量部を用い、入射側レンズ層用の光拡散微粒子として平均粒径11μm・屈折率1.535のガラスビーズ(東芝バロティーニ(株)製、EGB210)0.4重量部を用い、出射側レンズ層用の光拡散微粒子として平均粒径12μm・屈折率1.42のシリコーンビーズ(東芝シリコーン(株)製、トスバール3120)0.7重量部を用い、実施例2と同様な方法で実施例1と同一形状の両面レンチキュラーレンズシートを作製した。なお、出射側レンズ層用の樹脂の押出機の吐出量を10%としたところ、その出射側レンズ層の厚さは0.1mmとなった。
【0048】
(実施例7)
出射側レンズ層用の光拡散微粒子として平均粒径10μm・屈折率1.57の水酸化アルミニウム0.6重量部を用い、実施例2と同様な方法で実施例1と同一形状の両面レンチキュラーレンズシートを作製した。なお、出射側レンズ層用の樹脂の押出機の吐出量を25%としたところ、その出射側レンズ層の厚さは0.23mmとなった。
【0049】
(実施例8)
出射側レンズ層用の光拡散微粒子として平均粒径11μm・屈折率1.59のスチレン樹脂ビーズ(住友化学工業(株)製、PB3011E)1重量部と、平均粒径9.7μm・屈折率1.49のアクリル樹脂ビーズ(住友化学工業(株)製、MR−10HG)3重量部を用い、実施例2と同様な方法で両面のレンチキュラーレンズシートを作製した。なお、出射側レンズ層用の樹脂の押出機の吐出量を60%としたところ、その出射側レンズ層の厚さは0.54mmとなった。このとき、架橋スチレン樹脂ビーズと架橋アクリル樹脂ビーズの配合比は、1:3となっている。
【0050】
(比較例1)
光拡散微粒子として平均粒径11μm・屈折率1.535のガラスビーズ(東芝バロティーニ(株)製、EGB210)1.8重量部を用い、屈折率1.51のメタクリル樹脂(住友化学工業(株)製、耐衝撃メタクリル樹脂、HT−011E)100重量部中に混合し、押出し機により押し出して、実施例1と同一のレンチキュラーレンズの逆形状が形成された1対のロール型間にてレンチキュラーレンズの形状を賦型することで、実施例9と同一形状の両面レンチキュラーレンズシートを作製した。
【0051】
(比較例2)
光拡散微粒子として平均粒径11μm・屈折率1.535のガラビーズ(東芝バロティーニ(株)製、EGB210)0.9重量部および平均粒径30μm・屈折率1.49の球形状の架橋アクリルビーズ(PMMA、住友化学工業(株)製、XC−0l)5.4重量部を用い、それ以外は比較例1と同様にして、実施例1と同一形状の両面レンチキュラーレンズシートを作製した。このとき、ガラスビーズとアクリルビーズの配合比は、1:6となっている。
【0052】
(比較例3)
入射側レンズ層に光拡散微粒子を含有させないこと、および、出射側レンズ層の光拡散微粒子を平均粒径11μm・屈折率1.59のスチレン樹脂ビーズ(住友化学工業(株)製、PB3011E)1重量部と、平均粒径9.7μm・屈折率1.49のアクリル樹脂ビーズ(住友化学工業(株)製、MR−10HG)3重量部を用いて作製した他は、実施例1と同様にして、実施例1と同一形状の両面レンチキュラーレンズシートを作製した。このとき、架橋スチレン樹脂ビーズと架橋アクリル樹脂ビーズの配合比は、1:3となっている。
【0053】
(比較例4)
入射側レンズ層に光拡散微粒子を含有させないこと、および、出射側レンズ層の光拡散微粒子を平均粒径11μm・屈折率1.59のスチレン樹脂ビーズ(住友化学工業(株)製、PB3011E)2重量部とした他は、実施例2と同様にして、実施例1と同一形状の両面レンチキュラーレンズシートを作製した。なお、出射側レンズ層用の樹脂の押出機の吐出量を30%としたところ、その出射側レンズ層の厚さは0.3mmとなった。
【0054】
(評価方法及び評価結果)
実施例1〜8と比較例1〜4のレンチキュラーレンズシートに関しては、ピッチ0.112mmのフレネルレンズシートと組み合わせ、映像源として3管のCRTを用いた50インチのテレビセットに実装して、スクリーンから2.5m離れた位置から観察し、ホットバンド、モアレの目視評価を行った。また、カラーシフトについては、微小偏角輝度計を用いて、入射光角度0°、±10.4°(テレビセットの集中角)でそれぞれ水平拡散特性を測定し、水平方向観察角度40°における20×log(R/B)を算出した。垂直画角(γV)については、レンチキュラーレンズシートの垂直方向の拡散特性を測定し、1/10値幅を算出した。透過率は透過率反射率計を用いて測定した。
【0055】
評価に先立ち、光拡散微粒子を含有させない入射側レンズ層を有する同一形状の両面レンチキュラーレンズシート、および光拡散微粒子を含有させない出射側レンズ層を有する同一形状の両面レンチキュラーレンズシートを、別に作製し、それぞれの垂直方向の拡散特性を測定し、その半値幅と1/10値幅の比γV/αVを算出し、相関によりε1とε2を求めた。その結果を表1に示した。
【0056】
実施例は何れの場合においても、カラーシフトが4.9以下であまり大きくなく、ホットバンド、モアレに関しても、まったく確認されないか、確認されても、弱く気にならないレベルであったが、均一に拡散剤を混入した比較例1及び比較例2では、透過率が実施例より悪く、カラーシフトも実施例のものより大きくなった。一方、入射側レンズ層に拡散性微粒子を含有させないで、出射側レンズ層のみに拡散性微粒子を含有させた比較例3および比較例4では、透過率やカラーシフトは良好なものの、ホットバンドが強く観察された。
【0057】
【表1】
【0058】
(実施例9)
シンチレーションの評価用として作製したものである。入射側レンズ層用の光拡散微粒子として平均粒径9.7μm・屈折率1.49のアクリル樹脂ビーズ(住友化学工業(株)製、MR−10HG)5重量部を用い、出射側レンズ層用の光拡散性微粒子として平均粒径11μmの架橋スチレン微粒子(住友化学工業(株)製、PB3011E)0.7重量部を用い、屈折率1.51の耐衝撃性メタクリル樹脂(住友化学工業(株)製、HT−011E)100重量部中に混合し、押出し機より共押出しし、レンチキュラーレンズの逆形状が形成された1対のロール型間にてレンチキュラーレンズの形状を賦型することで、両面レンチキュラーレンズシートを作製した。なお、出射側レンズ層用の樹脂の押出機の吐出量を25%としたところ、その出射側レンズ層の厚さは0、13mmとなった。
【0059】
作製したレンチキュラーレンズシートは、ピッチ0.35mm、入出射レンズ間距離(総厚さT)0.67mm、BS率40%、入射側レンズ形状が半径0.3mmの円、出射側レンズ形状が横径0.3mm、縦径2.0mmの凹楕円であり、スクリーンゲインは4.0±0.2であった。
【0060】
(比較例5、6)
比較例5、6は、シンチレーションの評価用として作製したものであるが、その層構成および製造方法は、それぞれ比較例2、3と同じで、レンチキュラーレンズの形状は実施例9と同一形状である。結果を表2に示した。
【0061】
(評価方法及び評価結果)
実施例9と比較例5、6のレンチキュラーレンズシートに関しては、ピッチ0.102mmのフレネルレンズシートと組み合わせ、映像源としてLCDを使用した43インチのテレビセットに実装して、スクリーンから1m離れた位置から観察し、シンチレーションの目視評価を行った。透過率、垂直画角(γV)に関しては、上記実施例1〜8と同様に測定し、水平画角(αH)については、レンチキュラーレンズシートの水平方向の拡散特性を測定し、半値幅を算出した。入射側レンズ層及び出射側レンズ層のγV/αV及びεは、上記実施例1〜8と同様に測定し算出した。その結果を表2に示した。
【0062】
実施例9のレンチキュラーレンズシートについては、シンチレーションが弱く気にならないレベルであったが、比較例5、6のレンチキュラーレンズシートについては、シンチレーション強度が強く感じられた。また、比較例5については、さらに、粒が粗くがさつき、また、水平画角(αH)に関しても実施例9及び比較例6のレンチキュラーレンズに比べて狭く、入射側レンズ層に混入した光拡散性微粒子がレンチキュラーレンズのレンズ効果を阻害していると考えられる。
【0063】
【表2】
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のレンチキュラーレンズシートによれば、特定の拡散特性をもった入射側レンズ層により、ホットバンドの発生を抑制でき、母型や押出し成形時の成形条件等に起因するムラを隠すことができ、さらに、モアレも弱くすることができる。また、特定の拡散特性をもった出射側レンズ層により、視野角が拡大し、カットオフを起こりにくくすることができる。こうした各層を有するレンチキュラーレンズシートは、垂直方向において十分な視野角を確保し、モアレやホットバンドを低減させることができるので、光の利用効率を実質的に向上させることができる。特に、光拡散性微粒子を多く含有させることができないハイゲインモデルのレンチキュラーレンズシートにおいて好ましく適用でき、垂直方向における広い視野角の実現と、ホットバンドの低減とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレンチキュラーレンズシートの一例を示す断面図である。
【図2】本発明のレンチキュラーレンズシートを構成する入射側レンズ層の拡散特性(a)と出射側レンズ層の拡散特性(b)を示すグラフである。
【図3】レンチキュラーレンズシートの拡散特性の実測値と、式1を用いた相関値とを示したグラフである。
【図4】本発明のレンチキュラーレンズシートを備えた透過型スクリーンの一例を示す構成図である。
【図5】本発明のレンチキュラーレンズシートを備えた透過型スクリーンの他の例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 レンチキュラーレンズシート
2 入射側レンズ層
3 出射側レンズ層
4、5 光拡散性微粒子
6、7 樹脂
8 ブラックストライプ
11、21、31 透渦型スクリーン
12 フレネルレンズシート
13 垂直拡散用レンチキュラーレンズを有するフレネルレンズシート
14 垂直拡散用レンチキュラーレンズシート
Claims (9)
- 背面投射型テレビジョンに用いられるレンチキュラーレンズシートにおいて、
当該レンチキュラーレンズシートは、光拡散性微粒子を含有する少なくとも入射側レンズ層と出射側レンズ層から形成され、該入射側レンズ層は、観察角度の小さい頂上領域の利得を相対的に拡大して頂上部をなだらかにする光拡散性微粒子を含有し、該出射側レンズ層は、観察角度の大きい裾領域の利得を相対的に増加させる光拡散性微粒子を含有することを特徴とするレンチキュラーレンズシート。 - 背面投射型テレビジョンに用いられるレンチキュラーレンズシートにおいて、
当該レンチキュラーレンズシートは、光拡散性微粒子を含有する少なくとも入射側レンズ層と出射側レンズ層から形成され、該入射側レンズ層の拡散特性と該出射側レンズ層の拡散特性が、γV1/αV1 < γV2/αV2(ここで、αV1およびγV1はそれぞれ入射側レンズ層における利得の半値幅および1/10値幅を表し、αV2およびγV2は出射側レンズ層における利得の半値幅および1/10値幅を表している。)の関係式を満たすことを特徴とするレンチキュラーレンズシート。 - 出射側レンズ層の係数ε2が0.8以上であり、入射側レンズ層の係数ε1が0.5以下であることを特徴とする請求項3に記載のレンチキュラーレンズシート。
- 出射側レンズ層に含有される光拡散性微粒子と樹脂との屈折率差が、入射側レンズ層に含有される光拡散性微粒子と樹脂との屈折率差よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のレンチキュラーレンズシート。
- 出射側レンズ層に含有される光拡散性微粒子が不定形粒子であり、入射側レンズ層に含有される光拡散性微粒子が球状粒子であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のレンチキュラーレンズシート。
- 出射側レンズ層に含有される光拡散性微粒子が無機系微粒子であり、入射側レンズ層に含有される光拡散性微粒子が有機系微粒子であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のレンチキュラーレンズシート。
- 出射側レンズ層に含有される光拡散性微粒子の屈折率が、出射側レンズ層を形成する樹脂の屈折率よりも大きく、出射側レンズ層の樹脂の屈折率が、入射側レンズ層の樹脂の屈折率よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のレンチキュラーレンズシート。
- 出射側レンズ層に含有される光拡散性微粒子の屈折率が、出射側レンズ層を形成する樹脂の屈折率よりも小さく、出射側レンズ層の樹脂の屈折率が、入射側レンズ層の樹脂の屈折率よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記戦のレンチキュラーレンズシート。
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