JP2004109370A - 光ファイバ端面の形成方法および光ファイバ増幅器 - Google Patents
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Abstract
【課題】光ファイバの端面に光ファイバの長手方向に対して傾斜を持ったクリーブ面を形成する光ファイバ端面の形成方法と、それにより形成された断面を有する光ファイバを用いた光ファイバ増幅器を提供すること。
【解決手段】光ファイバ1の外周面に光ファイバ1の長手方向に対する垂直断面に所定角度を傾斜してスクライブ傷3を形成し、このスクライブ傷3を挟んで捩りながら長手方向への曲げ荷重を付与することで、へき開面を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】光ファイバ1の外周面に光ファイバ1の長手方向に対する垂直断面に所定角度を傾斜してスクライブ傷3を形成し、このスクライブ傷3を挟んで捩りながら長手方向への曲げ荷重を付与することで、へき開面を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバの端面の形成方法と、それにより形成された断面を有する光ファイバを用いて、信号光として入力されたパルス光を増幅する光ファイバ増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバでは端面の形成方法として、研磨やクリーブ(cleave;へき開)により清浄で光学特性のよい端面を得る方法が従来から行われてきた。へき開面は、研磨で処理した面に比べて研磨時の砥粒などの残留物が無いために清浄で耐光強度が高い。そのため、端面がへき開により形成された光ファイバは、ワット級の入出力を行う高出力の光ファイバ増幅器にも用いられることが多い。
【0003】
光ファイバのへき開面の形成法の一例を、図4(a)および(b)に示した説明図を用いて説明する。
【0004】
まず、図4(a)に示したように、光ファイバ41のクラッド上にカッタ42を用いて、光ファイバ41の長手方向に対して垂直に円周状にスクライブ傷43をつける。その後、円周状につけたスクライブ傷43を中心として、矢印Fおよび矢印G方向に折り曲げる。それにより、図4(b)に示すように、円周上につけたスクライブ傷43の位置で破断してクリーブによるへき開面による断面43aを得ることができる。この場合、へき開面で形成された光ファイバ41の端面は、光ファイバ41の長手方向に対して垂直断面になる。
【0005】
また、同様な技術の別の例として、図5(a)に示すように、光ファイバ(素線)50を固定する円筒形の保持手段であるフェルール51の端面Aに、中心部に向ってテーパ状の凹状端面Bを設ける。そして、図5(b)および図5(c)に示すように、先端が鋭利な硬質材の刃を備えた、例えばダイヤモンドカッタ53等を用いて凹状端面Bに沿うような状態で光ファイバ50に当てることで、光ファイバ50にダイヤモンドカッタ53の先端により当たり傷を付け、光ファイバ50を引張りながら内側に折り曲げると、光ファイバ50のもつ脆性破断により、各光ファイバ50はコア部がほとんど鏡面に近い状態で破断される技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、上述の各場合は、光ファイバの端面は光ファイバの長手方向に対して垂直断面に形成されているが、端面の反射を防止するために、光ファイバの一方の端面に傾斜をつけて処理したものが知られている。この場合は、光ファイバの端面の処理方法としては研磨により形成されるもの(例えば、非特許文献1参照)が一般的である。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−347651号公報(段落番号
【0002】、第5図)
【0008】
【非特許文献1】
THORLABS社カタログ、P292、 発行年2002年 Vol.14
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように、光ファイバの長手方向に対して垂直に円周状に傷をつけることにより得られたへき開による端面は、光ファイバの長手方向に対して垂直になるので、光ファイバ増幅器に用いた場合には、端面において、一方の端面の反射を防止することができない。つまり、光ファイバを用いた光ファイバ増幅器では、光ファイバの内部にシード光を導入し、その光を増幅するために励起光を入射ししている。その際に、光ファイバの両端面の反射率が10%程度あるため、光ファイバの両端面が反射鏡となり、光ファイバの内部でCW光が発振してしまう。その結果、励起光のエネルギがシード光の増幅に有効に使われないといった問題点がある。
【0010】
また、上述の特許文献1に開示され技術による光ファイバ端面の形成方法では、フェルールの端面に凹形状が必要であるため、一度の光ファイバの破断により所定の表面粗さの光ファイバの破断端面が得られない場合は、このフェルールを使用することができなくなるため、光ファイバを新たなフェルールに取付けなくてはならない。そのため、手間がかかるとともに、コストがかさむという問題点がある。例えば、n本の光ファイバにおいて、全てに所定の表面粗さの破断端面を得るためには、1本の光ファイバの歩留りをa(0<a<1)とすると、n本の光ファィバでは、anの歩留りとなり、一度の破断で所定の破断面が得られる確率は、非常に悪くなるため、作業に多くの工数を要するという問題点がある。
【0011】
また、光ファイバの端面に研磨により傾斜をつけて処理する方法は、研磨時の砥粒などの残留物を完全に除去することができない場合に、十分な光学的特性が得られない。
【0012】
また、上述の非特許文献に開示された、光ファイバの端面を研磨により斜めに処理したファイバの場合は、光ファイバの端面が研磨による処理のため砥粒が残り、高い出力に対しては耐光強度が不足していた。
【0013】
本発明はこれらの事情に基づいてなされたもので、光ファイバの端面に光ファイバの長手方向に対して傾斜を持ったクリーブ面を形成する光ファイバ端面の形成方法と、それにより形成された断面を有する光ファイバを用いた光ファイバ増幅器を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明による手段によれば、光ファイバの外周面に該光ファイバの長手方向に対する垂直断面に所定角度を傾斜してスクライブ傷を形成するスクライブ工程と、
前記スクライブ傷が形成された該光ファイバを、前記スクライブ傷を挟んで捩りながら長手方向への曲げ荷重を付与することで、へき開面を形成するへき開面形成工程とを有することを特徴とする光ファイバ端面の形成方法である。
【0015】
また請求項2による発明の手段によれば、前記スクライブ傷は、前記光ファイバの外周面に該光ファイバの長手方向に対する垂直断面に15度乃至30度傾斜して形成されていることを特徴とする光ファイバ端面の形成方法である。
【0016】
また請求項3による発明の手段によれば、前記スクライブ傷に沿ってへき開面を形成することを特徴とする光ファイバ端面の形成方法である。
【0017】
また請求項4による発明の手段によれば、励起元素が添加された光ファイバと、この光ファイバの両端面にそれぞれ励起光を入力する励起源と、前記光ファイバの一方の端面に信号光を入力するシード光源とを具備した光ファイバ増幅器であって、
前記光ファイバの端面の少なくともいずれか一方は、垂直断面に対して傾斜したへき開面からなる断面を有していることを特徴とする光ファイバ増幅器である。
【0018】
また請求項5による発明の手段によれば、前記光ファイバの端面に形成された断面は、該光ファイバの長手方向に対する垂直断面に15度乃至30度傾斜して形成されていることを特徴とする請求項4記載の光ファイバ増幅器である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
最初に、本発明の光ファイバ端面の形成方法の実施の形態について説明する。
【0021】
図1(a)〜(d)は、光ファイバ端面の形成方法の工程を示す模式図である。
【0022】
まず、図1(a)に示したように、例えば、外形がφ300μm程度で、コア径がφ50μm程度の光ファイバ1を準備する。この光ファイバ1は、例えば、フッ化ガラスに励起元素としてエルビウム等を添加した光ファイバ1で、高出力レーザダイオード(不図示)により励起され、入力される信号光を増幅させるのに適している。
【0023】
次に、図1(b)に示したように、準備した光ファイバ1の外周面に対して、カッタ2により光ファイバ1の長手方向に対する垂直断面に対して15度〜30程度の傾斜を有するスクライブ傷3をつける。なお、カッタ2は、例えば、先端が鋭利な硬質材の刃を備えたダイヤモンドカッタや、あるいは、ガラスカッタを用いる。
【0024】
次に、図1(b)に示したように、スクライブ傷3をつけた光ファイバ1に対して、スクライブ傷3を略中心として両側を把持し、一方1aを矢印A方向、他方1bを矢印A方向の逆方向である矢印B方向に捩りながら、スクライブ傷3を中心に破断するように、一方1aを矢印C方向に、また、他方1bを矢印Dに、それぞれ曲げ方向への荷重を付与する。その結果、光ファイバ1の破断強度を超えた曲げ荷重が加わった際に、光ファイバ1は、スクライブ傷3に沿って、光ファイバ1の長手方向に対する垂直断面に15度〜30程度の傾斜で破断し、図1(d)に示したように、傾斜を持った鏡面状態のへき開面による断面3aが形成される。
【0025】
なお、これらの工程は、例えば、光ファイバ1をゴム板(不図示)のような弾性体(所謂、ラバーステージ)の上に載置して、光ファイバ1の両端面を粘着テープ等で固定して、やわらかく支持して一体的に変形させておこなうことができる。
【0026】
次に、上述の光ファイバ端面の形成方法により形成された断面を有する光ファイバ1を用いた光ファイバ増幅器10について説明する。
【0027】
図2に模式構成図を示すように、光ファイバ増幅器10は誘導放出現象を利用して光信号の増幅をおこなうもので、信号光を出射するシード光源11の光軸上に順次、第一反射ミラー12、ダイクロイックミラーで形成した結合ミラー13、この結合ミラー13の反射光軸に沿って、集光レンズ14、両端がファイバホルダ15、16に固定された光ファイバ1、集光レンズ17、分離ミラー18、この分離ミラー18の反射光軸に沿って第二反射ミラー19が配置されている。また、結合ミラー13の透過光軸側と、分離ミラー18の透過光軸側には、それぞれ、励起源として励起用LD20(レーザダイオード)が設けられている。
【0028】
これらの構成により、信号光は第一反射ミラー12で反射された後に、結合ミラー13で反射し集光レンズ14により集光されて、ファイバホルダ15に固定されている光ファイバ1の端面に入射する。
【0029】
一方、それぞれの励起用LD20、20から発振した励起光は、それぞれ直進して、それぞれの集光レンズ14、17を介して、ファイバホルダ15、16に固定されている光ファイバ1の端面に入射する。したがって、信号光の伝播方向に対して、前方および後方から入射することで、誘導放出現象を利用して信号光を光増幅して分離ミラー18を経由して第二反射ミラー19で反射して出力(例えば、2μm光)する。
【0030】
この場合、光ファイバ1の内部に入射した光は、少なくとも光ファイバ1のいずれか一方の端面が、光ファイバ1の長手方向に対する垂直断面に15度〜30程度の傾斜の断面に形成されているので、相互の端面で反射し合うことを防止することができる。
【0031】
特に、信号光であるパルスレーザ光を増幅し、ワット級を出力する高出力の光ファイバ増幅器10では、光ファイバ1の両端面を、光ファイバ1の長手方向に対する垂直断面に15度〜30程度の傾斜でクリーブすることにより、光ファイバ増幅器10の内部で発生するCW発振を抑制してパルス光を効率よく増幅できることを実験により確認した。
【0032】
すなわち、光ファイバ1の端面の断面形状が光ファイバ1の長手方向に対して、(A)垂直断面のへき開面の場合と、(B)傾斜した断面のへき開面の場合との対比を、図3に比較結果のグラフとして示す。
【0033】
(A)においては、合計出力が10.8Wの場合、パルス光出力は5.7Wで、CW光出力は5.1Wとなり、合計出力に占めるパルス光の割合は53%となる。
【0034】
(B)においては、合計出力が10.5Wの場合、パルス光出力は9.6Wで、CW光出力は0.9Wとなり、合計出力に占めるパルス光の割合は91%となる。
【0035】
したがって、端面が長手方向に対して傾斜したへき開面による断面を有する光ファイバ1を、光ファイバ増幅器10に用いれば、光ファイバ1内部でのCW発振を抑制してパルス光を効率良く増幅でき、出力がワット級の高出力の光ファイバ1増幅装置を実現することができる。
【0036】
以上に説明したように、本発明によれば、光ファイバの端面に所定の角度で傾斜を持ったクリーブ面による断面を形成することができる。クリーブ面は研磨で形成した面に比べて、研磨時の砥粒などの残留物が無いために清浄で耐光強度が高い面が得られる。
【0037】
この端面に傾斜がついた断面を有する光ファイバを光ファイバ増幅器に用いることにより、光ファイバの端面でのレーザ光の反射が抑制され、パルスレーザ光を増幅する際に、光ファイバ内で発生するCW発振を抑制し、効率良くパルスレーザ光を増幅することか可能になる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、光ファイバの端面に光ファイバの長手方向に対して所定の傾斜を持った清浄で耐光強度の優れたクリーブ面を形成することができる。
【0039】
また、端面に傾斜がついた断面を有する光ファイバを光ファイバ増幅器に用いることにより、光ファイバの内部で発生するCW発振を抑制して、効率良くパルスレーザ光を増幅することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は、本発明の光ファイバ端面の形成方法の工程を示す模式図。
【図2】本発明の光ファイバ増幅器の模式構成図。
【図3】光ファイバの端面の断面形状による、効率の比較結果のグラフ。
【図4】(a)および(b)は、従来の光ファイバのへき開面の形成法の説明図。
【図5】(a)乃至(c)は、従来の光ファイバのへき開面の形成法の説明図。
【符号の説明】
1…光ファイバ、2…カッタ、3…スクライブ傷、10…光ファイバ増幅器、11…シード光源、20…励起用LD
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバの端面の形成方法と、それにより形成された断面を有する光ファイバを用いて、信号光として入力されたパルス光を増幅する光ファイバ増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバでは端面の形成方法として、研磨やクリーブ(cleave;へき開)により清浄で光学特性のよい端面を得る方法が従来から行われてきた。へき開面は、研磨で処理した面に比べて研磨時の砥粒などの残留物が無いために清浄で耐光強度が高い。そのため、端面がへき開により形成された光ファイバは、ワット級の入出力を行う高出力の光ファイバ増幅器にも用いられることが多い。
【0003】
光ファイバのへき開面の形成法の一例を、図4(a)および(b)に示した説明図を用いて説明する。
【0004】
まず、図4(a)に示したように、光ファイバ41のクラッド上にカッタ42を用いて、光ファイバ41の長手方向に対して垂直に円周状にスクライブ傷43をつける。その後、円周状につけたスクライブ傷43を中心として、矢印Fおよび矢印G方向に折り曲げる。それにより、図4(b)に示すように、円周上につけたスクライブ傷43の位置で破断してクリーブによるへき開面による断面43aを得ることができる。この場合、へき開面で形成された光ファイバ41の端面は、光ファイバ41の長手方向に対して垂直断面になる。
【0005】
また、同様な技術の別の例として、図5(a)に示すように、光ファイバ(素線)50を固定する円筒形の保持手段であるフェルール51の端面Aに、中心部に向ってテーパ状の凹状端面Bを設ける。そして、図5(b)および図5(c)に示すように、先端が鋭利な硬質材の刃を備えた、例えばダイヤモンドカッタ53等を用いて凹状端面Bに沿うような状態で光ファイバ50に当てることで、光ファイバ50にダイヤモンドカッタ53の先端により当たり傷を付け、光ファイバ50を引張りながら内側に折り曲げると、光ファイバ50のもつ脆性破断により、各光ファイバ50はコア部がほとんど鏡面に近い状態で破断される技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、上述の各場合は、光ファイバの端面は光ファイバの長手方向に対して垂直断面に形成されているが、端面の反射を防止するために、光ファイバの一方の端面に傾斜をつけて処理したものが知られている。この場合は、光ファイバの端面の処理方法としては研磨により形成されるもの(例えば、非特許文献1参照)が一般的である。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−347651号公報(段落番号
【0002】、第5図)
【0008】
【非特許文献1】
THORLABS社カタログ、P292、 発行年2002年 Vol.14
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように、光ファイバの長手方向に対して垂直に円周状に傷をつけることにより得られたへき開による端面は、光ファイバの長手方向に対して垂直になるので、光ファイバ増幅器に用いた場合には、端面において、一方の端面の反射を防止することができない。つまり、光ファイバを用いた光ファイバ増幅器では、光ファイバの内部にシード光を導入し、その光を増幅するために励起光を入射ししている。その際に、光ファイバの両端面の反射率が10%程度あるため、光ファイバの両端面が反射鏡となり、光ファイバの内部でCW光が発振してしまう。その結果、励起光のエネルギがシード光の増幅に有効に使われないといった問題点がある。
【0010】
また、上述の特許文献1に開示され技術による光ファイバ端面の形成方法では、フェルールの端面に凹形状が必要であるため、一度の光ファイバの破断により所定の表面粗さの光ファイバの破断端面が得られない場合は、このフェルールを使用することができなくなるため、光ファイバを新たなフェルールに取付けなくてはならない。そのため、手間がかかるとともに、コストがかさむという問題点がある。例えば、n本の光ファイバにおいて、全てに所定の表面粗さの破断端面を得るためには、1本の光ファイバの歩留りをa(0<a<1)とすると、n本の光ファィバでは、anの歩留りとなり、一度の破断で所定の破断面が得られる確率は、非常に悪くなるため、作業に多くの工数を要するという問題点がある。
【0011】
また、光ファイバの端面に研磨により傾斜をつけて処理する方法は、研磨時の砥粒などの残留物を完全に除去することができない場合に、十分な光学的特性が得られない。
【0012】
また、上述の非特許文献に開示された、光ファイバの端面を研磨により斜めに処理したファイバの場合は、光ファイバの端面が研磨による処理のため砥粒が残り、高い出力に対しては耐光強度が不足していた。
【0013】
本発明はこれらの事情に基づいてなされたもので、光ファイバの端面に光ファイバの長手方向に対して傾斜を持ったクリーブ面を形成する光ファイバ端面の形成方法と、それにより形成された断面を有する光ファイバを用いた光ファイバ増幅器を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明による手段によれば、光ファイバの外周面に該光ファイバの長手方向に対する垂直断面に所定角度を傾斜してスクライブ傷を形成するスクライブ工程と、
前記スクライブ傷が形成された該光ファイバを、前記スクライブ傷を挟んで捩りながら長手方向への曲げ荷重を付与することで、へき開面を形成するへき開面形成工程とを有することを特徴とする光ファイバ端面の形成方法である。
【0015】
また請求項2による発明の手段によれば、前記スクライブ傷は、前記光ファイバの外周面に該光ファイバの長手方向に対する垂直断面に15度乃至30度傾斜して形成されていることを特徴とする光ファイバ端面の形成方法である。
【0016】
また請求項3による発明の手段によれば、前記スクライブ傷に沿ってへき開面を形成することを特徴とする光ファイバ端面の形成方法である。
【0017】
また請求項4による発明の手段によれば、励起元素が添加された光ファイバと、この光ファイバの両端面にそれぞれ励起光を入力する励起源と、前記光ファイバの一方の端面に信号光を入力するシード光源とを具備した光ファイバ増幅器であって、
前記光ファイバの端面の少なくともいずれか一方は、垂直断面に対して傾斜したへき開面からなる断面を有していることを特徴とする光ファイバ増幅器である。
【0018】
また請求項5による発明の手段によれば、前記光ファイバの端面に形成された断面は、該光ファイバの長手方向に対する垂直断面に15度乃至30度傾斜して形成されていることを特徴とする請求項4記載の光ファイバ増幅器である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
最初に、本発明の光ファイバ端面の形成方法の実施の形態について説明する。
【0021】
図1(a)〜(d)は、光ファイバ端面の形成方法の工程を示す模式図である。
【0022】
まず、図1(a)に示したように、例えば、外形がφ300μm程度で、コア径がφ50μm程度の光ファイバ1を準備する。この光ファイバ1は、例えば、フッ化ガラスに励起元素としてエルビウム等を添加した光ファイバ1で、高出力レーザダイオード(不図示)により励起され、入力される信号光を増幅させるのに適している。
【0023】
次に、図1(b)に示したように、準備した光ファイバ1の外周面に対して、カッタ2により光ファイバ1の長手方向に対する垂直断面に対して15度〜30程度の傾斜を有するスクライブ傷3をつける。なお、カッタ2は、例えば、先端が鋭利な硬質材の刃を備えたダイヤモンドカッタや、あるいは、ガラスカッタを用いる。
【0024】
次に、図1(b)に示したように、スクライブ傷3をつけた光ファイバ1に対して、スクライブ傷3を略中心として両側を把持し、一方1aを矢印A方向、他方1bを矢印A方向の逆方向である矢印B方向に捩りながら、スクライブ傷3を中心に破断するように、一方1aを矢印C方向に、また、他方1bを矢印Dに、それぞれ曲げ方向への荷重を付与する。その結果、光ファイバ1の破断強度を超えた曲げ荷重が加わった際に、光ファイバ1は、スクライブ傷3に沿って、光ファイバ1の長手方向に対する垂直断面に15度〜30程度の傾斜で破断し、図1(d)に示したように、傾斜を持った鏡面状態のへき開面による断面3aが形成される。
【0025】
なお、これらの工程は、例えば、光ファイバ1をゴム板(不図示)のような弾性体(所謂、ラバーステージ)の上に載置して、光ファイバ1の両端面を粘着テープ等で固定して、やわらかく支持して一体的に変形させておこなうことができる。
【0026】
次に、上述の光ファイバ端面の形成方法により形成された断面を有する光ファイバ1を用いた光ファイバ増幅器10について説明する。
【0027】
図2に模式構成図を示すように、光ファイバ増幅器10は誘導放出現象を利用して光信号の増幅をおこなうもので、信号光を出射するシード光源11の光軸上に順次、第一反射ミラー12、ダイクロイックミラーで形成した結合ミラー13、この結合ミラー13の反射光軸に沿って、集光レンズ14、両端がファイバホルダ15、16に固定された光ファイバ1、集光レンズ17、分離ミラー18、この分離ミラー18の反射光軸に沿って第二反射ミラー19が配置されている。また、結合ミラー13の透過光軸側と、分離ミラー18の透過光軸側には、それぞれ、励起源として励起用LD20(レーザダイオード)が設けられている。
【0028】
これらの構成により、信号光は第一反射ミラー12で反射された後に、結合ミラー13で反射し集光レンズ14により集光されて、ファイバホルダ15に固定されている光ファイバ1の端面に入射する。
【0029】
一方、それぞれの励起用LD20、20から発振した励起光は、それぞれ直進して、それぞれの集光レンズ14、17を介して、ファイバホルダ15、16に固定されている光ファイバ1の端面に入射する。したがって、信号光の伝播方向に対して、前方および後方から入射することで、誘導放出現象を利用して信号光を光増幅して分離ミラー18を経由して第二反射ミラー19で反射して出力(例えば、2μm光)する。
【0030】
この場合、光ファイバ1の内部に入射した光は、少なくとも光ファイバ1のいずれか一方の端面が、光ファイバ1の長手方向に対する垂直断面に15度〜30程度の傾斜の断面に形成されているので、相互の端面で反射し合うことを防止することができる。
【0031】
特に、信号光であるパルスレーザ光を増幅し、ワット級を出力する高出力の光ファイバ増幅器10では、光ファイバ1の両端面を、光ファイバ1の長手方向に対する垂直断面に15度〜30程度の傾斜でクリーブすることにより、光ファイバ増幅器10の内部で発生するCW発振を抑制してパルス光を効率よく増幅できることを実験により確認した。
【0032】
すなわち、光ファイバ1の端面の断面形状が光ファイバ1の長手方向に対して、(A)垂直断面のへき開面の場合と、(B)傾斜した断面のへき開面の場合との対比を、図3に比較結果のグラフとして示す。
【0033】
(A)においては、合計出力が10.8Wの場合、パルス光出力は5.7Wで、CW光出力は5.1Wとなり、合計出力に占めるパルス光の割合は53%となる。
【0034】
(B)においては、合計出力が10.5Wの場合、パルス光出力は9.6Wで、CW光出力は0.9Wとなり、合計出力に占めるパルス光の割合は91%となる。
【0035】
したがって、端面が長手方向に対して傾斜したへき開面による断面を有する光ファイバ1を、光ファイバ増幅器10に用いれば、光ファイバ1内部でのCW発振を抑制してパルス光を効率良く増幅でき、出力がワット級の高出力の光ファイバ1増幅装置を実現することができる。
【0036】
以上に説明したように、本発明によれば、光ファイバの端面に所定の角度で傾斜を持ったクリーブ面による断面を形成することができる。クリーブ面は研磨で形成した面に比べて、研磨時の砥粒などの残留物が無いために清浄で耐光強度が高い面が得られる。
【0037】
この端面に傾斜がついた断面を有する光ファイバを光ファイバ増幅器に用いることにより、光ファイバの端面でのレーザ光の反射が抑制され、パルスレーザ光を増幅する際に、光ファイバ内で発生するCW発振を抑制し、効率良くパルスレーザ光を増幅することか可能になる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、光ファイバの端面に光ファイバの長手方向に対して所定の傾斜を持った清浄で耐光強度の優れたクリーブ面を形成することができる。
【0039】
また、端面に傾斜がついた断面を有する光ファイバを光ファイバ増幅器に用いることにより、光ファイバの内部で発生するCW発振を抑制して、効率良くパルスレーザ光を増幅することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は、本発明の光ファイバ端面の形成方法の工程を示す模式図。
【図2】本発明の光ファイバ増幅器の模式構成図。
【図3】光ファイバの端面の断面形状による、効率の比較結果のグラフ。
【図4】(a)および(b)は、従来の光ファイバのへき開面の形成法の説明図。
【図5】(a)乃至(c)は、従来の光ファイバのへき開面の形成法の説明図。
【符号の説明】
1…光ファイバ、2…カッタ、3…スクライブ傷、10…光ファイバ増幅器、11…シード光源、20…励起用LD
Claims (5)
- 光ファイバの外周面に該光ファイバの長手方向に対する垂直断面に所定角度を傾斜してスクライブ傷を形成するスクライブ工程と、
前記スクライブ傷が形成された該光ファイバを、前記スクライブ傷を挟んで捩りながら長手方向への曲げ荷重を付与することで、へき開面を形成するへき開面形成工程とを有することを特徴とする光ファイバ端面の形成方法。 - 前記スクライブ傷は、前記光ファイバの外周面に該光ファイバの長手方向に対する垂直断面に15度乃至30度傾斜して形成されていることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ端面の形成方法。
- 前記スクライブ傷に沿ってへき開面を形成することを特徴とする請求項2記載の光ファイバ端面の形成方法。
- 励起元素が添加された光ファイバと、この光ファイバの両端面にそれぞれ励起光を入力する励起源と、前記光ファイバの一方の端面に信号光を入力するシード光源とを具備した光ファイバ増幅器であって、
前記光ファイバの端面の少なくともいずれか一方は、垂直断面に対して傾斜したへき開面からなる断面を有していることを特徴とする光ファイバ増幅器。 - 前記光ファイバの端面に形成された断面は、該光ファイバの長手方向に対する垂直断面に15度乃至30度傾斜して形成されていることを特徴とする請求項4記載の光ファイバ増幅器。
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- 2002-09-17 JP JP2002270488A patent/JP2004109370A/ja active Pending
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