JP2004108686A - 復水器、その上部本体胴および復水器上部本体胴製造方法 - Google Patents
復水器、その上部本体胴および復水器上部本体胴製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】上部胴の内面に補強リブを設置する必要なく、耐外圧強度を十分に保持することができ、それにより設置時の溶接工数の低減が図れるとともに、蒸気流動抵抗を低減して効率向上も図れ、また上部本体胴の製造を能率よく、かつ容易に行なうえるようにすること。
【解決手段】胴板9を縦断面において弧状に湾曲した曲面板を用いて構成した裁頭角錐状の復水器上部胴4であって、曲面板の板厚tと曲率Rとの比t/Rを0.0001〜0.003に設定するとともに、曲面弧の高さhと曲率半径Rとの比h/Rを0.001〜0.05に設定する。
【選択図】 図1
【解決手段】胴板9を縦断面において弧状に湾曲した曲面板を用いて構成した裁頭角錐状の復水器上部胴4であって、曲面板の板厚tと曲率Rとの比t/Rを0.0001〜0.003に設定するとともに、曲面弧の高さhと曲率半径Rとの比h/Rを0.001〜0.05に設定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸気タービン等から抽排気される蒸気を凝縮する復水器に係り、特に蒸気の流通・膨張経路を形成する上部本体胴に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
蒸気タービンプラントに適用される復水器は、低圧タービンから排気される蒸気およびバイパス系から抽気される蒸気等を冷却管群に導いて凝縮させ、復水とするものであり、大型のものは一般に、蒸気凝縮用冷却管群である管束を収容する下部本体胴と、この下部本体胴上に連結され、低圧タービン等からの抽排気等を下部本体胴内の管束に導く上部本体胴とを備えた構成とされている。
【0003】
図13は、このような復水器の従来例を示す外観構成図であり、図14は図13の側面図である。これらの図に示すように、復水器1は大別して、低圧タービン2の出口に連結された連結胴3と、この連結胴3の下部に接続された上部本体胴4と、この上部本体胴4の下部に連結された下部本体胴5とを備えている。連結胴3は、例えば上部が半円筒状かつ下部が四角筒状で低圧タービン2を囲む構成とされており、その内部が低圧タービン2から排気される蒸気を受ける排気室6とされている。上部本体胴4は裁頭四角錐状の上下開口の筒状をなし、連結胴3内の排気室6と下部本体胴5内の冷却管の管束7との間に位置している。そして、上部本体胴4の内部には、図示しないが例えば給水加熱器等が配置され、蒸気を上方から下方に導くとともに膨張させて所定の熱交換作用等が行われる。下部本体胴5は四角筒状をなし、その内部に冷却管の管束7を配置するとともに、凝縮した水を貯留する水溜め8および排水路等を有している。
【0004】
このように構成された従来の復水器1において、低圧タービン2内からの排蒸気は、排気室3および上部本体胴4内を経て下部本体胴5内に流入し、冷却管群からなる管束7に導かれて冷却管内の冷却水との熱交換によって凝縮し、下部本体胴5の底部の水溜め8に溜められる。
【0005】
ところで、復水器1内では上述したように、蒸気の凝縮・復水化の作用が行なわれることから、運転中においては上部本体胴4内が真空に近い低圧に保たれている。これにより、復水器1の上部本体胴4には外圧が働くため、この外圧に対して上部本体胴4を構成する金属板等の板材(以下、「胴板」という)9の変形防止の必要があり、従来では上部本体胴4の上下部に補強用の上部トラス10および下部トラス11をそれぞれ配設し、さらに胴板9の胴内面側に補強リブ12を設けて胴板9に作用する外圧を胴内面側から補強し、外圧による胴内方への撓み変形等の荷重に耐え得るようにする構成が採用されている。なお、下部本体胴胴5の外面側には、上下方向に長い支え板14が複数本、平行に設けられている。
【0006】
上述したように、上部本体胴4の内面側に強度保持のため補強リブ12を取付けた構成においては、補強リブ12が蒸気通路を構成する胴板9の胴内面側部分に突起となって突出するため、上部本体胴4の胴板9の内面に沿って流動する蒸気流の障害物となり、これにより低圧タービン2からの排気蒸気が復水器管群である管束7に至るまでの間の流動抵抗を増大させ、タービン復水器としての性能を低下させる一つの要因となっている。
【0007】
また、上部本体胴4の内部に設けられる補強リブ12は多数となるため、補強リブ12の設置のために広範囲に亘る多数箇所の溶接施工が必要となり、溶接工数が増大して多くの製作手間、設備が必要となる問題もある。特に、近年では可能な限り工場での加工を多くして復水器設置場所における現場作業の工数低減、施工期間短縮の要請が増しており、今後この問題が顕著化すると考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の復水器、特に上部本体胴構造に関しては、胴板に平板を適用し、かつ胴内面側に多くの補強リブを溶接により突設する構成としてあるため、補強リブが蒸気通路を構成する胴板の内面に沿う蒸気流の障害物となり、低圧タービンからの排気蒸気が管束に至るまでの間の流動抵抗を増大させ、タービン復水器としての性能を低下させる要因となり、また溶接工数が増大して多くの製作手間、設備が必要となる等の問題がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、上部胴の内面に補強リブを低減しても耐外圧強度を十分に保持することができ、それにより設置時の溶接工数の低減が図れるとともに、蒸気流動抵抗を低減して効率向上も図れる復水器およびその上部本体胴を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は上部本体胴の製造を能率よく、かつ容易に行なうことができる上部本体胴製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
従来では、復水器の上部本体胴の胴板を平板によって構成し、その胴板の内面側に補強リブを設けることについて、特に疑問視されることがなかった。しかし、発明者において多くのプラント設計、実績データ等の分析に基づき、復水器上部胴に対する形状解析を有限要素法により求めた。この解析手法としては形状最適化手法が有効であり、例えばベーシスベクトル法等が挙げられる。
【0012】
この解析の結果、胴板を曲面板により構成することによって、補強リブを低減しても所定の耐外圧強度を得ることが可能であることを見出した。
【0013】
この点について、図3を参照して説明する。図3は、曲面板を想定した概念説明図であり、曲面板の曲率半径、想定される曲面板の板厚、半径、角度等を示している。また、下記の式(1)は、図3に対応して示したアーチ型構造の座屈圧力を求める式である。
【0014】
すなわち、図3および下記の式(1)に示すように、外圧に対しては、平板構成よりも曲面板構造が優れていることが、アーチ型構造の座屈圧力(qcr)を求める数式から明らかとなる。
【0015】
【数1】
【0016】
そこで、復水器本体胴について、内部の補強を削減した構成による最適曲面形状を有限要素法による形状最適化解析により求め、その結果を上記式(1)に示すようなパラメータで表わすと、図3および下記の式(2)より、t/Rとなる。
【0017】
【数2】
θ=sin−1(L/2/R) ……(2)
【0018】
また、円弧の角度αに関係する弧の高さhは、R(1−COSθ)で表わされ、h/Rで表わすことができる。
【0019】
したがって、形状最適化解析によって求めた曲面形状をもとにして、半径Rと板厚tおよび角度の比h/Rを一定の範囲内に収めることによって、外圧に対して強度が優れた曲面構成が得られる。
【0020】
以上の知見に基づき、請求項1に係る発明では、蒸気凝縮用冷却管の管束を収容する角筒状の下部本体胴と、この下部本体胴上に連結され、蒸気タービンからの抽排気等を前記下部本体胴内の管束に導く裁頭角錐状の上部本体胴とを備えた復水器であって、前記上部本体胴を構成する胴板を縦断面において弧状に湾曲した曲面板により構成し、かつ前記曲面板を外部圧力に耐え得る曲率および厚さに設定したことを特徴とする復水器を提供する。
【0021】
ここで、曲面板の外部圧力に耐え得る曲率および厚さ等については、曲面板の板厚tと曲率半径Rとの比t/Rを0.0001〜0.003の範囲とし、かつ曲面弧の高さhと曲率半径Rとの比h/Rを0.001〜0.05の範囲とすることが最適である。これにより、復水器上部本体胴を構成する曲面板として、必要な強度を備え、従来の補強リブを不要とすることが可能となる。
【0022】
すなわち、比t/Rを0.0001未満とした場合には、板厚tを非常に小さくするか、曲率半径Rを非常に大きくすることになるが、板厚tを小さくした場合には十分な強度を得ることができず、また曲率半径Rを大きくした場合には曲げ加工が困難となる等の製造上の問題が生じる。
【0023】
また、比t/Rが0.003を超えると、上記と逆に、曲率半径Rを曲げ加工が容易な範囲に設定した場合に、板厚tが大きくなり、重量が増大する難点がある。
【0024】
一方、h/Rが0.001未満であると、曲率半径Rが大、高さhが小ということになり、高さhを実用的な範囲に設定した場合には前記同様に曲率半径Rが大きくなり、曲げ加工が困難となる問題が生じる。
【0025】
また、h/Rが0.05を超えると、高さhを実用的な範囲に設定した場合に曲げ量が増大するため、製造が困難となる。
【0026】
以上の知見に基づき、請求項2に係る発明では、胴板を縦断面において弧状に湾曲した曲面板を用いて構成した裁頭角錐状の復水器上部胴であって、前記曲面板の板厚tと曲率Rとの比t/Rを0.0001〜0.003に設定するとともに、曲面弧の高さhと曲率半径Rとの比h/Rを0.001〜0.05に設定したことを特徴とする復水器上部本体胴を提供する。
【0027】
このような本発明により、上部胴の内面に補強リブを低減しても耐外圧強度を十分に保持することができ、それにより設置時の溶接工数の低減が図れるとともに、蒸気流動抵抗を低減して効率向上も図れるようになる。
【0028】
請求項3に係る発明では、前記上部本体胴の胴板は、胴内面側または胴外面側のいずれかに向って凸形状となる曲面をなす請求項2記載の復水器上部本体胴を提供する。
【0029】
請求項4に係る発明では、前記上部本体胴は、各側面毎に独立した胴板を互いに接合して構成されており、隣接する前記胴板同士の接合部間に、平板がその両面を挟持された状態で接合されている請求項2記載の復水器上部本体胴を提供する。
【0030】
請求項5に係る発明では、前記各面の胴板は、上下に分割された上下分割板からなり、これらの上下分割板を互いに接合して構成されている請求項4記載の復水器上部本体胴を提供する。
【0031】
請求項6に係る発明では、前記各面の胴板は、横方向に分割された複数の横分割板からなり、これらの横分割板を互いに接合して構成されている請求項4記載の復水器上部本体胴を提供する。
【0032】
請求項7に係る発明では、前記上下分割板または前記横分割板の接合面間に、平板がその両面を挟持された状態で接合されている請求項5または6記載の復水器上部本体胴を提供する。
【0033】
請求項8に係る発明では、前記横分割板の接合面に配される前記平板は、下部本体胴の周囲に設けられる縦長な支え板のいずれかの上方への延長線と一致する配置に設定されている請求項7記載の復水器上部本体胴を提供する。
【0034】
請求項9に係る発明では、平板材を初期材料として、略台形状でその斜辺が外縁側に膨らむ凸状の弧をなす胴板素体を形成する工程と、この工程で形成された前記胴板素体を板厚方向に湾曲させて胴板を形成する工程と、この工程で形成された複数の胴板の斜辺を互いに溶接することにより、胴外面側に向って凸形状となる曲面をなす裁頭角錐状の復水器上部胴を形成する工程とを備えることを特徴とする復水器上部本体胴製造方法を提供する。
【0035】
請求項10に係る発明では、平板材を初期材料として、略台形状でその斜辺が外縁側から凹状に窪む弧をなす胴板素体を形成する工程と、この工程で形成された前記胴板素体を板厚方向に湾曲させて胴板を形成する工程と、この工程で形成された複数の胴板の斜辺を互いに溶接することにより、胴内面側に向って凸形状となる曲面をなす裁頭角錐状の復水器上部胴を形成する工程とを備えることを特徴とする復水器上部本体胴製造方法を提供する。
【0036】
なお、本発明では他の望ましい製造方法として、上部本体胴を各曲面板毎に個々に分割した分割板のまま、またはいくつかの分割板を予め組立てた少数の組立体として輸送し、輸送後に前記分割板または組立体を接続して最終組立てを行なうことが挙げられる。
【0037】
また、別の望ましい製造方法として、上記のように上部本体胴を分割した状態で輸送し、輸送後に接続して最終組立てする場合に、予め前記分割板または組立体の接続部に位置合せ機構を設けておき、輸送後の接続組立て時に、前記位置合せ機構を適用して位置合せすることが挙げられる。
【0038】
さらに、別の望ましい製造方法として、輸送後に前記分割板または組立体を接続して最終組立てする際に用いる接続部の位置合せ機構として、前記分割板または組立体間に挿入される平板を用いることが挙げられる。
【0039】
さらにまた、別の望ましい製造方法として、輸送後に前記分割板または組立体を接続して最終組立てする際に用いる接続部の位置合せ機構として、前記分割板または組立体に設けた平板からなる重ね継手による溶接を用いることが挙げられる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る復水器、その上部本体胴および復水器上部本体胴製造方法の実施形態について、図1〜図12を参照して具体的に説明する。なお、従来例と同一の構成部分には図1と同一の符号を付して説明する。
【0041】
第1実施形態(図1、図2、図4、図5)
図1は本発明の一実施形態による復水器の全体構成を示す正面図であり、図2は図1の側面図である。
【0042】
これらの図に示すように、本実施形態の復水器1は、低圧タービン2の出口に連結された連結胴3と、この連結胴3の下部に接続された上部本体胴4と、この上部本体胴4の下部に連結された下部本体胴5とを備えている。連結胴3は例えば上部が半円筒状かつ下部が四角筒状で低圧タービン2を囲む構成とされており、その内部が低圧タービン2から排気される蒸気を受ける排気室6とされている。上部本体胴4は裁頭四角錐状の上下開口の筒状をなし、連結胴3内の排気室6と下部本体胴5内の冷却管の管束7との間に位置している。そして、上部本体胴4の内部には、図示しないが例えば給水加熱気等が配置され、蒸気を上方から下方に導くとともに膨張させて所定の熱交換作用等が行われる。下部本体胴5は四角筒状をなし、その内部に冷却管の管束7を配置するとともに、凝縮した水を貯留する水溜め8および排水路等を有している。
【0043】
このような構成において、本実施形態では上部本体胴4を構成する胴板9が、縦断面において、胴外面側に向って凸となる円弧状に湾曲した曲面板によって構成されている。すなわち、図4は、図1および図2に示した復水器の上部本体胴4を抽出して示した斜視図である。この図4に示したように、本実施形態による上部本体胴4は、下端部が四角形枠状の構成となっており、上端部が下端部よりも狭い四角形枠状となっている。そして、この上部本体胴4は、4枚の曲面板からなる胴板9をそれぞれ隣接する端部(接合端部)15にて溶接接合することにより構成され、全体として胴外面側に向って凸形状となる曲面をなしている。
【0044】
図5は、図4に示した上部本体胴4の製造方法を示す説明図である。すなわち、上部本体胴4を製造する場合には、図5に示したように、まず、平板材16を初期材料として、略台形状でその斜辺17が外縁側に膨らむ凸状の弧をなす胴板素体18を形成する。次に、この形成された胴板素体18を板厚方向に湾曲させ、これにより図4に示した曲面板からなる胴板9を形成する。そして、この工程で形成された複数の胴板9の斜辺からなる湾曲した接合端部15を互いに溶接することにより、胴外面側に向って凸形状となる曲面をなす裁頭角錐状の上部本体胴4を形成する。
【0045】
このような方法によれば、上部本体胴4が湾曲した構成であるにも拘らず、(1)切断、(2)曲げおよび(3)溶接の順に、上部本体胴4を能率よく、かつ容易に製造することができる。
【0046】
以上の方法で製造された曲面板としての胴板9を用いて構成された上部本体胴4およびこの本体胴4を備えた復水器1によれば、上部本体胴4の内面に補強リブを設置する必要なく、耐外圧強度を十分に保持することができるとともに、設置時の溶接工数の低減が図れ、しかも蒸気流動抵抗を低減して運転時の効率向上も図れるものとなる。
【0047】
なお、本実施形態ではリブを設置しない例で説明したが、必要に応じてリブで補強するようにしてもよい。このようにリブを設けた場合においても、従来に比べてリブを低減する(リブの数を減らし、あるいは強度を下げる)ことができるので、溶接工数の低減が図れ、上記流動抵抗を低減させることができるとともに、耐外圧強度を十分に保持することが可能となる。
【0048】
第2実施形態(図6、図7)
図6は、本発明の第2実施形態として、上部本体胴4の胴板の湾曲方向を変えた構成を示す斜視図であり、図7は、図6に示した上部本体胴4を構成する胴板素体の接合部構成を示す説明図である。
【0049】
図6に示した上部本体胴4は、第1実施形態のものと逆に、上部本体胴4を構成する胴板9が、縦断面において、胴内面側に向って凸となる円弧状に湾曲した曲面板によって構成されている。すなわち、本実施形態による上部本体胴4は、下端部が四角形枠状の構成となっており、上端部が下端部よりも狭い四角形枠状となっている。そして、この上部本体胴4は、4枚の曲面板からなる胴板9をそれぞれ隣接する端部(接合端部)15にて溶接接合することにより構成され、全体として胴内面側に向って凸形状となる曲面をなしている。
【0050】
図7は、図6に示した上部本体胴4の製造方法を示す説明図である。すなわち、上部本体胴4を製造する場合には、図7に示したように、まず、平板材16を初期材料として、略台形状でその斜辺17が外縁側に窪む凹状の弧をなす胴板素体18を形成する。次に、この形成された胴板素体18を板厚方向に湾曲させ、これにより図6に示した曲面板からなる胴板9を形成する。そして、この工程で形成された複数の胴板9の斜辺からなる湾曲した接合端部15を互いに溶接することにより、胴内面側に向って凸形状となる曲面をなす裁頭角錐状の上部本体胴4を形成する。
【0051】
このような方法によっても、前記第1実施形態と同様に、上部本体胴4を能率よく、かつ容易に製造することができる。また、本実施形態の方法で製造された曲面板としての胴板9を用いて構成された上部本体胴4およびこの本体胴4を備えた復水器1によれば、上部本体胴4の内面に補強リブを設置する必要なく、耐外圧強度を十分に保持することができるとともに、設置時の溶接工数の低減が図れ、しかも蒸気流動抵抗を低減して運転時の効率向上も図れるものとなる。
【0052】
第3実施形態(図8)
図8は、本発明の第3実施形態として、上部本体胴4の胴板接合構造の変形例を示す斜視図である。なお、本実施形態では、胴板9が胴外面側に凸となる第1実施形態(図4参照)の構成を基本とした場合の変形例について説明するが、胴板9が胴内面側に凸となる第2実施形態(図6参照)の構成を基本とする場合についても同様に適用することができる。
【0053】
上述した各実施形態では、上部本体胴4の各側面毎に独立した胴板9を直接、溶接接合することにより、上部本体胴4が構成されているが、本実施形態では、隣接する各面を構成する胴板9同士の接合部間に、平板18がその両面を挟持された状態で溶接により接合されている。すなわち、胴板9となる曲面板間の各接続部に平板18を挿入し、その平板18を介して、曲面板同士を接続したものである。なお、この平板8の胴内側への突出部分については、胴板19への溶接接続後に除去することが望ましい。後述する他の実施形態についても同様である。
【0054】
このような構成によると、薄板で、かつ接続すべき端縁が細い曲線となっている曲面板同士を直接、接続する場合に位置合わせおよび組立てが面倒な部分が生じるのに対し、その接続部間に挿入した平板18の一定の広い面積を有する表面に各曲面板を接続すればよいことから、位置合わせおよび組立てが容易になり、製造作業の迅速・能率化が図れる。また、胴外側にて平板18が補強材としての機能も兼ねるため、強度が確保された復水器上部本体胴を提供することが可能となる。
【0055】
第4実施形態(図9、図10)
本発明の第4実施形態では、上部本体胴4の各面に配置される胴板9自体の変形例について説明する。なお、本実施形態においても、胴板9が胴外面側に凸となる第1実施形態(図4参照)の構成を基本とした場合の変形例について説明するが、胴板9が胴内面側に凸となる第2実施形態(図6参照)の構成を基本とする場合についても同様に適用することができる。
【0056】
図9は、胴板9を上下分割板の接合構造とした場合を示す斜視図である。この図9に示す例では、各面の胴板9の曲率が例えば上下方向の略中間位置で最大となる構成とされている。この胴板9が、最大曲率位置である上下方向中間高さ位置(頂点位置)で上下に分割された上下分割板9a,9bからなっている。そして、上分割板9aの下辺と下分割板9bの上辺とが互いに溶接接合されている。
【0057】
このような構成によると、胴板9の曲率が最も大となる頂点位置で、上下分割板9a,9bを接続することにより、各胴板9を一枚構造として製造する場合に比して曲げ加工量が少なくて済むため加工が容易・迅速に行なえ、より簡便な製造が可能となる。
【0058】
なお、上下分割板としては2分割に限らず、それ以上の数の分割板としてもよい。また、胴板9の曲率が一定である場合などにおいて、分割位置は最大曲率位置以外の位置に設定することもできる。
【0059】
また、図9に仮想線として示したように、分割位置の接合部間に横長平板19をその両面が挟持される状態で挿入し、溶接接合することもできる。これにより、位置合わせおよび組立てが容易になり、製造作業の迅速・能率化を図ることができる。
【0060】
また、図10は、胴板9を横分割板の接合構造とした場合を示す斜視図である。この図10に示すように、各面の胴板9は、例えば横方向に2分割された複数の横分割板9c,9dからなり、これらの横分割板9c,9dを互いに溶接接合して構成されている。なお、分割数は2以上としてもよい。
【0061】
このような構成によると、復水器構成が大型で横幅寸法が長尺であるような場合、各分割板9c,9d毎の製作を行ない、搬送等が可能となるため、製造・搬送等が容易となる。
【0062】
また、図10に仮想線として示したように、分割位置の接合部間に縦向き平板20をその両面が挟持される状態で挿入し、接合することもできる。これにより図9の例と同様に、位置合わせおよび組立てが容易になり、製造作業の迅速・能率化を図ることができる。
【0063】
第5実施形態(図11)
図11は、本発明の第5実施形態として、図10に示した横分割構造の胴板9を用いた上部本体胴4と、その下部に配置される下部本体胴5とを接合した構成を示す斜視図である。
【0064】
図11に示すように、本実施形態では、上部本体胴4の幅広な一側面の胴板9が横方向に3分割構造とされ(横分割板9c,9d,9e)、これと直交する幅狭な他側面の胴板9が横方向に2分割構造とされている(横分割板9f,9g)。
【0065】
3分割された幅広な胴板9の横分割板9c,9d,9eの接合部間には、2つの縦向き平板20a,20bが挿入され、2分割された幅狭な他側面の胴板9には1つの縦向き平板20cが挿入されている。なお、四面を構成する各胴板9の接合部である隅角部には、各胴板9の接合部間に位置して、第3実施形態(図8)で示した平板18が、それぞれ挿入されている。
【0066】
このような構成において、幅広な胴板9を構成する横分割板9c,9d、9eの接合面に挿入された縦向き平板20a,20bは、それぞれ下部本体胴5の外面に設けられた縦長な支え板14のいずれかの上方への延長線上に配置されている。すなわち、縦向き平板20a,20bと所定の支え板14とは同一垂直線上に配置されている。
【0067】
このような構成によれば、曲面板を用いた構成の上部本体胴4により組立てが容易で、かつ十分な強度を確保できるうえ、さらに上部本体胴4と下部本体胴5との接続部において、支え板14と縦向き平板20a,20bとからなる強度を受け持つ構造部に上下方向の連続性が保たれるので、復水器1全体の強度をより強く保つことできる効果が奏される。
【0068】
第6実施形態(図12)
図12は、本発明の第6実施形態として、上部本体胴4を各曲面板毎に個々に分割した分割板のまま、またはいくつかの分割板を予め組立てた少数の組立体として製作し、復水器1の設置場所に輸送した後に、分割板または組立体を接続して最終組立てを行なう方法を説明する分解斜視図である。
【0069】
この図12に示すように、本実施形態では一例として、上部本体胴4を、形状が対象な1対の組立体4a,4bからなる2分割型とした場合であって、胴内面側に向って凸状に湾曲する局面板を用いた構成について説明する。これらの組立体4a,4bは、上部本体胴4の幅広な一側面の胴板9が横方向に2分割構造とされ(横分割板9c,9d)、これと直交する幅狭な他側面の胴板9は1枚構造とされている(胴板9h,9i)。
【0070】
2分割された横分割板9c,9dの接合用端部には、復水器設置現場等で互いに接合するための位置合せ機構として、それぞれ対象形状の縦向き平板21,22からなる重ね継手が設けられている。すなわち、両縦向き平板21,22は、接合時に相互に重なることができる縦長板状部分21a,22aと、これらの上下端から板幅方向に突出する上突部21b,22bとを有するコ字形のものであり、各突部21b,22bの突出方向は、接合時に組合う1対の縦向き平板21,22について相反する方向、すなわち胴内側と、胴外側とにそれぞれ向う方向とされている。これにより、各突部21b,22bが互い違いになり、接合時の位置調整用として利用し易い構成となっている。なお、四面を構成する各胴板9の接合部である隅角部には、各胴板9の接合部間に位置して、第3実施形態(図8)で示した平板18が、それぞれ挿入されている。
【0071】
このように分割体として構成される組立体4a,4bを、工場等で製造し、1組として復水器の設置現場に搬送する。設置現場では、図12に示すように、両組立体4a,4bを対向させ、縦向き平板21,22の各突部21b,22bを利用して接合用の位置決めを行ない、両縦向き平板21,22の縦長板状部分21a,22aを重ね継手として溶接接合を行なう。
【0072】
本実施形態によれば、上部本体胴4の輸送を行なう際、分割体として輸送して施設に搬入することができ、輸送時の上部本体胴部品の容積を縮小できるので、輸送手段の影響をあまり受けずに、上部本体胴4を設置することができる。また、胴板9の分割位置が即、上部本体胴4の分割位置となっているので、効率よく製造および輸送を行うことができる。さらに、銅板9の接続部に設けた両縦向き平板21,22が輸送時の強度補強を兼ねるため、輸送用として特別の補強部材を設ける必要がない。しかも、縦向き平板21,22同士を重ねる構造にしたことにより、上部本体胴4の組立てが容易となり、設置作業も容易化される。
【0073】
なお、本実施形態では上部本体胴を1対の組立体4a,4bとして構成したが、各曲面板毎に個々に分割した分割板のまま、または3以上の分割板を予め組立てた少数の組立体として輸送し、輸送後にそれらの分割板または組立体を接続して最終組立てを行なうことも可能である。
【0074】
また、分割板または組立体の接続部に使用する位置合せ機構としては、縦向き平板21,22の上下突部21b,22bに限らず、他の形状とすることもできる。要するに、輸送後の接続組立て時に、位置合せ機構を適用して位置合せする構造であればよい。
【0075】
【発明の効果】
以上で詳述したように、本発明によれば、上部胴の内面に補強リブを低減しても耐外圧強度を十分に保持することができ、それにより設置時の溶接工数の低減が図れるとともに、蒸気流動抵抗を低減して効率向上も図れ、また上部本体胴の製造を能率よく、かつ容易に行なうことができる等の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による復水器の全体構成を示す正面図。
【図2】図1の側面図。
【図3】本発明に係る上部本体胴の力学的概念を説明するための模式図。
【図4】本発明の第1実施形態による復水器の上部本体胴を示す斜視図。
【図5】図4に示した上部本体胴の製造方法を示す説明図。
【図6】本発明の第2実施形態による上部本体胴の胴板の湾曲方向を変えた構成を示す斜視図。
【図7】図6に示した上部本体胴を構成する胴板素体の接合部構成を示す説明図。
【図8】本発明の第3実施形態による胴板素体の接合部に平板を含む構成を示す説明図。
【図9】本発明の第4実施形態による胴板素体を上下分割板として構成した場合の説明図。
【図10】本発明の第5実施形態の一例を示すもので、胴板素体を横方向分割板として構成した場合の説明図。
【図11】本発明の第5実施形態の他の例を示すもので、上部本体胴に接続補強板を設けた場合の説明図。
【図12】本発明の第6実施形態による上部本体胴を分割可搬式構成とした場合の説明図。
【図13】復水器の従来例を示す正面図。
【図14】図13の側面図。
【符号の説明】
1…復水器、2…低圧タービン、3…連結胴、4…上部本体胴、4a,4b…組立体、5…下部本体胴、6…排気室、7…管束、8…水溜め胴板、9…胴板、9a,9b…上下分割板、9a…上分割板、9b…下分割板、9c,9d,9e、9f,9g…横分割板、9h,9i…胴板、14…支え板、15…端部(接合端部)、16…平板材、17…斜辺、18…胴板素体、19…横向き平板、20,20a,20b…立て向き平板、21,22…縦向き平板、21a,22a…縦長板状部分、21b,22b…上下突部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸気タービン等から抽排気される蒸気を凝縮する復水器に係り、特に蒸気の流通・膨張経路を形成する上部本体胴に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
蒸気タービンプラントに適用される復水器は、低圧タービンから排気される蒸気およびバイパス系から抽気される蒸気等を冷却管群に導いて凝縮させ、復水とするものであり、大型のものは一般に、蒸気凝縮用冷却管群である管束を収容する下部本体胴と、この下部本体胴上に連結され、低圧タービン等からの抽排気等を下部本体胴内の管束に導く上部本体胴とを備えた構成とされている。
【0003】
図13は、このような復水器の従来例を示す外観構成図であり、図14は図13の側面図である。これらの図に示すように、復水器1は大別して、低圧タービン2の出口に連結された連結胴3と、この連結胴3の下部に接続された上部本体胴4と、この上部本体胴4の下部に連結された下部本体胴5とを備えている。連結胴3は、例えば上部が半円筒状かつ下部が四角筒状で低圧タービン2を囲む構成とされており、その内部が低圧タービン2から排気される蒸気を受ける排気室6とされている。上部本体胴4は裁頭四角錐状の上下開口の筒状をなし、連結胴3内の排気室6と下部本体胴5内の冷却管の管束7との間に位置している。そして、上部本体胴4の内部には、図示しないが例えば給水加熱器等が配置され、蒸気を上方から下方に導くとともに膨張させて所定の熱交換作用等が行われる。下部本体胴5は四角筒状をなし、その内部に冷却管の管束7を配置するとともに、凝縮した水を貯留する水溜め8および排水路等を有している。
【0004】
このように構成された従来の復水器1において、低圧タービン2内からの排蒸気は、排気室3および上部本体胴4内を経て下部本体胴5内に流入し、冷却管群からなる管束7に導かれて冷却管内の冷却水との熱交換によって凝縮し、下部本体胴5の底部の水溜め8に溜められる。
【0005】
ところで、復水器1内では上述したように、蒸気の凝縮・復水化の作用が行なわれることから、運転中においては上部本体胴4内が真空に近い低圧に保たれている。これにより、復水器1の上部本体胴4には外圧が働くため、この外圧に対して上部本体胴4を構成する金属板等の板材(以下、「胴板」という)9の変形防止の必要があり、従来では上部本体胴4の上下部に補強用の上部トラス10および下部トラス11をそれぞれ配設し、さらに胴板9の胴内面側に補強リブ12を設けて胴板9に作用する外圧を胴内面側から補強し、外圧による胴内方への撓み変形等の荷重に耐え得るようにする構成が採用されている。なお、下部本体胴胴5の外面側には、上下方向に長い支え板14が複数本、平行に設けられている。
【0006】
上述したように、上部本体胴4の内面側に強度保持のため補強リブ12を取付けた構成においては、補強リブ12が蒸気通路を構成する胴板9の胴内面側部分に突起となって突出するため、上部本体胴4の胴板9の内面に沿って流動する蒸気流の障害物となり、これにより低圧タービン2からの排気蒸気が復水器管群である管束7に至るまでの間の流動抵抗を増大させ、タービン復水器としての性能を低下させる一つの要因となっている。
【0007】
また、上部本体胴4の内部に設けられる補強リブ12は多数となるため、補強リブ12の設置のために広範囲に亘る多数箇所の溶接施工が必要となり、溶接工数が増大して多くの製作手間、設備が必要となる問題もある。特に、近年では可能な限り工場での加工を多くして復水器設置場所における現場作業の工数低減、施工期間短縮の要請が増しており、今後この問題が顕著化すると考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の復水器、特に上部本体胴構造に関しては、胴板に平板を適用し、かつ胴内面側に多くの補強リブを溶接により突設する構成としてあるため、補強リブが蒸気通路を構成する胴板の内面に沿う蒸気流の障害物となり、低圧タービンからの排気蒸気が管束に至るまでの間の流動抵抗を増大させ、タービン復水器としての性能を低下させる要因となり、また溶接工数が増大して多くの製作手間、設備が必要となる等の問題がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、上部胴の内面に補強リブを低減しても耐外圧強度を十分に保持することができ、それにより設置時の溶接工数の低減が図れるとともに、蒸気流動抵抗を低減して効率向上も図れる復水器およびその上部本体胴を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は上部本体胴の製造を能率よく、かつ容易に行なうことができる上部本体胴製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
従来では、復水器の上部本体胴の胴板を平板によって構成し、その胴板の内面側に補強リブを設けることについて、特に疑問視されることがなかった。しかし、発明者において多くのプラント設計、実績データ等の分析に基づき、復水器上部胴に対する形状解析を有限要素法により求めた。この解析手法としては形状最適化手法が有効であり、例えばベーシスベクトル法等が挙げられる。
【0012】
この解析の結果、胴板を曲面板により構成することによって、補強リブを低減しても所定の耐外圧強度を得ることが可能であることを見出した。
【0013】
この点について、図3を参照して説明する。図3は、曲面板を想定した概念説明図であり、曲面板の曲率半径、想定される曲面板の板厚、半径、角度等を示している。また、下記の式(1)は、図3に対応して示したアーチ型構造の座屈圧力を求める式である。
【0014】
すなわち、図3および下記の式(1)に示すように、外圧に対しては、平板構成よりも曲面板構造が優れていることが、アーチ型構造の座屈圧力(qcr)を求める数式から明らかとなる。
【0015】
【数1】
【0016】
そこで、復水器本体胴について、内部の補強を削減した構成による最適曲面形状を有限要素法による形状最適化解析により求め、その結果を上記式(1)に示すようなパラメータで表わすと、図3および下記の式(2)より、t/Rとなる。
【0017】
【数2】
θ=sin−1(L/2/R) ……(2)
【0018】
また、円弧の角度αに関係する弧の高さhは、R(1−COSθ)で表わされ、h/Rで表わすことができる。
【0019】
したがって、形状最適化解析によって求めた曲面形状をもとにして、半径Rと板厚tおよび角度の比h/Rを一定の範囲内に収めることによって、外圧に対して強度が優れた曲面構成が得られる。
【0020】
以上の知見に基づき、請求項1に係る発明では、蒸気凝縮用冷却管の管束を収容する角筒状の下部本体胴と、この下部本体胴上に連結され、蒸気タービンからの抽排気等を前記下部本体胴内の管束に導く裁頭角錐状の上部本体胴とを備えた復水器であって、前記上部本体胴を構成する胴板を縦断面において弧状に湾曲した曲面板により構成し、かつ前記曲面板を外部圧力に耐え得る曲率および厚さに設定したことを特徴とする復水器を提供する。
【0021】
ここで、曲面板の外部圧力に耐え得る曲率および厚さ等については、曲面板の板厚tと曲率半径Rとの比t/Rを0.0001〜0.003の範囲とし、かつ曲面弧の高さhと曲率半径Rとの比h/Rを0.001〜0.05の範囲とすることが最適である。これにより、復水器上部本体胴を構成する曲面板として、必要な強度を備え、従来の補強リブを不要とすることが可能となる。
【0022】
すなわち、比t/Rを0.0001未満とした場合には、板厚tを非常に小さくするか、曲率半径Rを非常に大きくすることになるが、板厚tを小さくした場合には十分な強度を得ることができず、また曲率半径Rを大きくした場合には曲げ加工が困難となる等の製造上の問題が生じる。
【0023】
また、比t/Rが0.003を超えると、上記と逆に、曲率半径Rを曲げ加工が容易な範囲に設定した場合に、板厚tが大きくなり、重量が増大する難点がある。
【0024】
一方、h/Rが0.001未満であると、曲率半径Rが大、高さhが小ということになり、高さhを実用的な範囲に設定した場合には前記同様に曲率半径Rが大きくなり、曲げ加工が困難となる問題が生じる。
【0025】
また、h/Rが0.05を超えると、高さhを実用的な範囲に設定した場合に曲げ量が増大するため、製造が困難となる。
【0026】
以上の知見に基づき、請求項2に係る発明では、胴板を縦断面において弧状に湾曲した曲面板を用いて構成した裁頭角錐状の復水器上部胴であって、前記曲面板の板厚tと曲率Rとの比t/Rを0.0001〜0.003に設定するとともに、曲面弧の高さhと曲率半径Rとの比h/Rを0.001〜0.05に設定したことを特徴とする復水器上部本体胴を提供する。
【0027】
このような本発明により、上部胴の内面に補強リブを低減しても耐外圧強度を十分に保持することができ、それにより設置時の溶接工数の低減が図れるとともに、蒸気流動抵抗を低減して効率向上も図れるようになる。
【0028】
請求項3に係る発明では、前記上部本体胴の胴板は、胴内面側または胴外面側のいずれかに向って凸形状となる曲面をなす請求項2記載の復水器上部本体胴を提供する。
【0029】
請求項4に係る発明では、前記上部本体胴は、各側面毎に独立した胴板を互いに接合して構成されており、隣接する前記胴板同士の接合部間に、平板がその両面を挟持された状態で接合されている請求項2記載の復水器上部本体胴を提供する。
【0030】
請求項5に係る発明では、前記各面の胴板は、上下に分割された上下分割板からなり、これらの上下分割板を互いに接合して構成されている請求項4記載の復水器上部本体胴を提供する。
【0031】
請求項6に係る発明では、前記各面の胴板は、横方向に分割された複数の横分割板からなり、これらの横分割板を互いに接合して構成されている請求項4記載の復水器上部本体胴を提供する。
【0032】
請求項7に係る発明では、前記上下分割板または前記横分割板の接合面間に、平板がその両面を挟持された状態で接合されている請求項5または6記載の復水器上部本体胴を提供する。
【0033】
請求項8に係る発明では、前記横分割板の接合面に配される前記平板は、下部本体胴の周囲に設けられる縦長な支え板のいずれかの上方への延長線と一致する配置に設定されている請求項7記載の復水器上部本体胴を提供する。
【0034】
請求項9に係る発明では、平板材を初期材料として、略台形状でその斜辺が外縁側に膨らむ凸状の弧をなす胴板素体を形成する工程と、この工程で形成された前記胴板素体を板厚方向に湾曲させて胴板を形成する工程と、この工程で形成された複数の胴板の斜辺を互いに溶接することにより、胴外面側に向って凸形状となる曲面をなす裁頭角錐状の復水器上部胴を形成する工程とを備えることを特徴とする復水器上部本体胴製造方法を提供する。
【0035】
請求項10に係る発明では、平板材を初期材料として、略台形状でその斜辺が外縁側から凹状に窪む弧をなす胴板素体を形成する工程と、この工程で形成された前記胴板素体を板厚方向に湾曲させて胴板を形成する工程と、この工程で形成された複数の胴板の斜辺を互いに溶接することにより、胴内面側に向って凸形状となる曲面をなす裁頭角錐状の復水器上部胴を形成する工程とを備えることを特徴とする復水器上部本体胴製造方法を提供する。
【0036】
なお、本発明では他の望ましい製造方法として、上部本体胴を各曲面板毎に個々に分割した分割板のまま、またはいくつかの分割板を予め組立てた少数の組立体として輸送し、輸送後に前記分割板または組立体を接続して最終組立てを行なうことが挙げられる。
【0037】
また、別の望ましい製造方法として、上記のように上部本体胴を分割した状態で輸送し、輸送後に接続して最終組立てする場合に、予め前記分割板または組立体の接続部に位置合せ機構を設けておき、輸送後の接続組立て時に、前記位置合せ機構を適用して位置合せすることが挙げられる。
【0038】
さらに、別の望ましい製造方法として、輸送後に前記分割板または組立体を接続して最終組立てする際に用いる接続部の位置合せ機構として、前記分割板または組立体間に挿入される平板を用いることが挙げられる。
【0039】
さらにまた、別の望ましい製造方法として、輸送後に前記分割板または組立体を接続して最終組立てする際に用いる接続部の位置合せ機構として、前記分割板または組立体に設けた平板からなる重ね継手による溶接を用いることが挙げられる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る復水器、その上部本体胴および復水器上部本体胴製造方法の実施形態について、図1〜図12を参照して具体的に説明する。なお、従来例と同一の構成部分には図1と同一の符号を付して説明する。
【0041】
第1実施形態(図1、図2、図4、図5)
図1は本発明の一実施形態による復水器の全体構成を示す正面図であり、図2は図1の側面図である。
【0042】
これらの図に示すように、本実施形態の復水器1は、低圧タービン2の出口に連結された連結胴3と、この連結胴3の下部に接続された上部本体胴4と、この上部本体胴4の下部に連結された下部本体胴5とを備えている。連結胴3は例えば上部が半円筒状かつ下部が四角筒状で低圧タービン2を囲む構成とされており、その内部が低圧タービン2から排気される蒸気を受ける排気室6とされている。上部本体胴4は裁頭四角錐状の上下開口の筒状をなし、連結胴3内の排気室6と下部本体胴5内の冷却管の管束7との間に位置している。そして、上部本体胴4の内部には、図示しないが例えば給水加熱気等が配置され、蒸気を上方から下方に導くとともに膨張させて所定の熱交換作用等が行われる。下部本体胴5は四角筒状をなし、その内部に冷却管の管束7を配置するとともに、凝縮した水を貯留する水溜め8および排水路等を有している。
【0043】
このような構成において、本実施形態では上部本体胴4を構成する胴板9が、縦断面において、胴外面側に向って凸となる円弧状に湾曲した曲面板によって構成されている。すなわち、図4は、図1および図2に示した復水器の上部本体胴4を抽出して示した斜視図である。この図4に示したように、本実施形態による上部本体胴4は、下端部が四角形枠状の構成となっており、上端部が下端部よりも狭い四角形枠状となっている。そして、この上部本体胴4は、4枚の曲面板からなる胴板9をそれぞれ隣接する端部(接合端部)15にて溶接接合することにより構成され、全体として胴外面側に向って凸形状となる曲面をなしている。
【0044】
図5は、図4に示した上部本体胴4の製造方法を示す説明図である。すなわち、上部本体胴4を製造する場合には、図5に示したように、まず、平板材16を初期材料として、略台形状でその斜辺17が外縁側に膨らむ凸状の弧をなす胴板素体18を形成する。次に、この形成された胴板素体18を板厚方向に湾曲させ、これにより図4に示した曲面板からなる胴板9を形成する。そして、この工程で形成された複数の胴板9の斜辺からなる湾曲した接合端部15を互いに溶接することにより、胴外面側に向って凸形状となる曲面をなす裁頭角錐状の上部本体胴4を形成する。
【0045】
このような方法によれば、上部本体胴4が湾曲した構成であるにも拘らず、(1)切断、(2)曲げおよび(3)溶接の順に、上部本体胴4を能率よく、かつ容易に製造することができる。
【0046】
以上の方法で製造された曲面板としての胴板9を用いて構成された上部本体胴4およびこの本体胴4を備えた復水器1によれば、上部本体胴4の内面に補強リブを設置する必要なく、耐外圧強度を十分に保持することができるとともに、設置時の溶接工数の低減が図れ、しかも蒸気流動抵抗を低減して運転時の効率向上も図れるものとなる。
【0047】
なお、本実施形態ではリブを設置しない例で説明したが、必要に応じてリブで補強するようにしてもよい。このようにリブを設けた場合においても、従来に比べてリブを低減する(リブの数を減らし、あるいは強度を下げる)ことができるので、溶接工数の低減が図れ、上記流動抵抗を低減させることができるとともに、耐外圧強度を十分に保持することが可能となる。
【0048】
第2実施形態(図6、図7)
図6は、本発明の第2実施形態として、上部本体胴4の胴板の湾曲方向を変えた構成を示す斜視図であり、図7は、図6に示した上部本体胴4を構成する胴板素体の接合部構成を示す説明図である。
【0049】
図6に示した上部本体胴4は、第1実施形態のものと逆に、上部本体胴4を構成する胴板9が、縦断面において、胴内面側に向って凸となる円弧状に湾曲した曲面板によって構成されている。すなわち、本実施形態による上部本体胴4は、下端部が四角形枠状の構成となっており、上端部が下端部よりも狭い四角形枠状となっている。そして、この上部本体胴4は、4枚の曲面板からなる胴板9をそれぞれ隣接する端部(接合端部)15にて溶接接合することにより構成され、全体として胴内面側に向って凸形状となる曲面をなしている。
【0050】
図7は、図6に示した上部本体胴4の製造方法を示す説明図である。すなわち、上部本体胴4を製造する場合には、図7に示したように、まず、平板材16を初期材料として、略台形状でその斜辺17が外縁側に窪む凹状の弧をなす胴板素体18を形成する。次に、この形成された胴板素体18を板厚方向に湾曲させ、これにより図6に示した曲面板からなる胴板9を形成する。そして、この工程で形成された複数の胴板9の斜辺からなる湾曲した接合端部15を互いに溶接することにより、胴内面側に向って凸形状となる曲面をなす裁頭角錐状の上部本体胴4を形成する。
【0051】
このような方法によっても、前記第1実施形態と同様に、上部本体胴4を能率よく、かつ容易に製造することができる。また、本実施形態の方法で製造された曲面板としての胴板9を用いて構成された上部本体胴4およびこの本体胴4を備えた復水器1によれば、上部本体胴4の内面に補強リブを設置する必要なく、耐外圧強度を十分に保持することができるとともに、設置時の溶接工数の低減が図れ、しかも蒸気流動抵抗を低減して運転時の効率向上も図れるものとなる。
【0052】
第3実施形態(図8)
図8は、本発明の第3実施形態として、上部本体胴4の胴板接合構造の変形例を示す斜視図である。なお、本実施形態では、胴板9が胴外面側に凸となる第1実施形態(図4参照)の構成を基本とした場合の変形例について説明するが、胴板9が胴内面側に凸となる第2実施形態(図6参照)の構成を基本とする場合についても同様に適用することができる。
【0053】
上述した各実施形態では、上部本体胴4の各側面毎に独立した胴板9を直接、溶接接合することにより、上部本体胴4が構成されているが、本実施形態では、隣接する各面を構成する胴板9同士の接合部間に、平板18がその両面を挟持された状態で溶接により接合されている。すなわち、胴板9となる曲面板間の各接続部に平板18を挿入し、その平板18を介して、曲面板同士を接続したものである。なお、この平板8の胴内側への突出部分については、胴板19への溶接接続後に除去することが望ましい。後述する他の実施形態についても同様である。
【0054】
このような構成によると、薄板で、かつ接続すべき端縁が細い曲線となっている曲面板同士を直接、接続する場合に位置合わせおよび組立てが面倒な部分が生じるのに対し、その接続部間に挿入した平板18の一定の広い面積を有する表面に各曲面板を接続すればよいことから、位置合わせおよび組立てが容易になり、製造作業の迅速・能率化が図れる。また、胴外側にて平板18が補強材としての機能も兼ねるため、強度が確保された復水器上部本体胴を提供することが可能となる。
【0055】
第4実施形態(図9、図10)
本発明の第4実施形態では、上部本体胴4の各面に配置される胴板9自体の変形例について説明する。なお、本実施形態においても、胴板9が胴外面側に凸となる第1実施形態(図4参照)の構成を基本とした場合の変形例について説明するが、胴板9が胴内面側に凸となる第2実施形態(図6参照)の構成を基本とする場合についても同様に適用することができる。
【0056】
図9は、胴板9を上下分割板の接合構造とした場合を示す斜視図である。この図9に示す例では、各面の胴板9の曲率が例えば上下方向の略中間位置で最大となる構成とされている。この胴板9が、最大曲率位置である上下方向中間高さ位置(頂点位置)で上下に分割された上下分割板9a,9bからなっている。そして、上分割板9aの下辺と下分割板9bの上辺とが互いに溶接接合されている。
【0057】
このような構成によると、胴板9の曲率が最も大となる頂点位置で、上下分割板9a,9bを接続することにより、各胴板9を一枚構造として製造する場合に比して曲げ加工量が少なくて済むため加工が容易・迅速に行なえ、より簡便な製造が可能となる。
【0058】
なお、上下分割板としては2分割に限らず、それ以上の数の分割板としてもよい。また、胴板9の曲率が一定である場合などにおいて、分割位置は最大曲率位置以外の位置に設定することもできる。
【0059】
また、図9に仮想線として示したように、分割位置の接合部間に横長平板19をその両面が挟持される状態で挿入し、溶接接合することもできる。これにより、位置合わせおよび組立てが容易になり、製造作業の迅速・能率化を図ることができる。
【0060】
また、図10は、胴板9を横分割板の接合構造とした場合を示す斜視図である。この図10に示すように、各面の胴板9は、例えば横方向に2分割された複数の横分割板9c,9dからなり、これらの横分割板9c,9dを互いに溶接接合して構成されている。なお、分割数は2以上としてもよい。
【0061】
このような構成によると、復水器構成が大型で横幅寸法が長尺であるような場合、各分割板9c,9d毎の製作を行ない、搬送等が可能となるため、製造・搬送等が容易となる。
【0062】
また、図10に仮想線として示したように、分割位置の接合部間に縦向き平板20をその両面が挟持される状態で挿入し、接合することもできる。これにより図9の例と同様に、位置合わせおよび組立てが容易になり、製造作業の迅速・能率化を図ることができる。
【0063】
第5実施形態(図11)
図11は、本発明の第5実施形態として、図10に示した横分割構造の胴板9を用いた上部本体胴4と、その下部に配置される下部本体胴5とを接合した構成を示す斜視図である。
【0064】
図11に示すように、本実施形態では、上部本体胴4の幅広な一側面の胴板9が横方向に3分割構造とされ(横分割板9c,9d,9e)、これと直交する幅狭な他側面の胴板9が横方向に2分割構造とされている(横分割板9f,9g)。
【0065】
3分割された幅広な胴板9の横分割板9c,9d,9eの接合部間には、2つの縦向き平板20a,20bが挿入され、2分割された幅狭な他側面の胴板9には1つの縦向き平板20cが挿入されている。なお、四面を構成する各胴板9の接合部である隅角部には、各胴板9の接合部間に位置して、第3実施形態(図8)で示した平板18が、それぞれ挿入されている。
【0066】
このような構成において、幅広な胴板9を構成する横分割板9c,9d、9eの接合面に挿入された縦向き平板20a,20bは、それぞれ下部本体胴5の外面に設けられた縦長な支え板14のいずれかの上方への延長線上に配置されている。すなわち、縦向き平板20a,20bと所定の支え板14とは同一垂直線上に配置されている。
【0067】
このような構成によれば、曲面板を用いた構成の上部本体胴4により組立てが容易で、かつ十分な強度を確保できるうえ、さらに上部本体胴4と下部本体胴5との接続部において、支え板14と縦向き平板20a,20bとからなる強度を受け持つ構造部に上下方向の連続性が保たれるので、復水器1全体の強度をより強く保つことできる効果が奏される。
【0068】
第6実施形態(図12)
図12は、本発明の第6実施形態として、上部本体胴4を各曲面板毎に個々に分割した分割板のまま、またはいくつかの分割板を予め組立てた少数の組立体として製作し、復水器1の設置場所に輸送した後に、分割板または組立体を接続して最終組立てを行なう方法を説明する分解斜視図である。
【0069】
この図12に示すように、本実施形態では一例として、上部本体胴4を、形状が対象な1対の組立体4a,4bからなる2分割型とした場合であって、胴内面側に向って凸状に湾曲する局面板を用いた構成について説明する。これらの組立体4a,4bは、上部本体胴4の幅広な一側面の胴板9が横方向に2分割構造とされ(横分割板9c,9d)、これと直交する幅狭な他側面の胴板9は1枚構造とされている(胴板9h,9i)。
【0070】
2分割された横分割板9c,9dの接合用端部には、復水器設置現場等で互いに接合するための位置合せ機構として、それぞれ対象形状の縦向き平板21,22からなる重ね継手が設けられている。すなわち、両縦向き平板21,22は、接合時に相互に重なることができる縦長板状部分21a,22aと、これらの上下端から板幅方向に突出する上突部21b,22bとを有するコ字形のものであり、各突部21b,22bの突出方向は、接合時に組合う1対の縦向き平板21,22について相反する方向、すなわち胴内側と、胴外側とにそれぞれ向う方向とされている。これにより、各突部21b,22bが互い違いになり、接合時の位置調整用として利用し易い構成となっている。なお、四面を構成する各胴板9の接合部である隅角部には、各胴板9の接合部間に位置して、第3実施形態(図8)で示した平板18が、それぞれ挿入されている。
【0071】
このように分割体として構成される組立体4a,4bを、工場等で製造し、1組として復水器の設置現場に搬送する。設置現場では、図12に示すように、両組立体4a,4bを対向させ、縦向き平板21,22の各突部21b,22bを利用して接合用の位置決めを行ない、両縦向き平板21,22の縦長板状部分21a,22aを重ね継手として溶接接合を行なう。
【0072】
本実施形態によれば、上部本体胴4の輸送を行なう際、分割体として輸送して施設に搬入することができ、輸送時の上部本体胴部品の容積を縮小できるので、輸送手段の影響をあまり受けずに、上部本体胴4を設置することができる。また、胴板9の分割位置が即、上部本体胴4の分割位置となっているので、効率よく製造および輸送を行うことができる。さらに、銅板9の接続部に設けた両縦向き平板21,22が輸送時の強度補強を兼ねるため、輸送用として特別の補強部材を設ける必要がない。しかも、縦向き平板21,22同士を重ねる構造にしたことにより、上部本体胴4の組立てが容易となり、設置作業も容易化される。
【0073】
なお、本実施形態では上部本体胴を1対の組立体4a,4bとして構成したが、各曲面板毎に個々に分割した分割板のまま、または3以上の分割板を予め組立てた少数の組立体として輸送し、輸送後にそれらの分割板または組立体を接続して最終組立てを行なうことも可能である。
【0074】
また、分割板または組立体の接続部に使用する位置合せ機構としては、縦向き平板21,22の上下突部21b,22bに限らず、他の形状とすることもできる。要するに、輸送後の接続組立て時に、位置合せ機構を適用して位置合せする構造であればよい。
【0075】
【発明の効果】
以上で詳述したように、本発明によれば、上部胴の内面に補強リブを低減しても耐外圧強度を十分に保持することができ、それにより設置時の溶接工数の低減が図れるとともに、蒸気流動抵抗を低減して効率向上も図れ、また上部本体胴の製造を能率よく、かつ容易に行なうことができる等の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による復水器の全体構成を示す正面図。
【図2】図1の側面図。
【図3】本発明に係る上部本体胴の力学的概念を説明するための模式図。
【図4】本発明の第1実施形態による復水器の上部本体胴を示す斜視図。
【図5】図4に示した上部本体胴の製造方法を示す説明図。
【図6】本発明の第2実施形態による上部本体胴の胴板の湾曲方向を変えた構成を示す斜視図。
【図7】図6に示した上部本体胴を構成する胴板素体の接合部構成を示す説明図。
【図8】本発明の第3実施形態による胴板素体の接合部に平板を含む構成を示す説明図。
【図9】本発明の第4実施形態による胴板素体を上下分割板として構成した場合の説明図。
【図10】本発明の第5実施形態の一例を示すもので、胴板素体を横方向分割板として構成した場合の説明図。
【図11】本発明の第5実施形態の他の例を示すもので、上部本体胴に接続補強板を設けた場合の説明図。
【図12】本発明の第6実施形態による上部本体胴を分割可搬式構成とした場合の説明図。
【図13】復水器の従来例を示す正面図。
【図14】図13の側面図。
【符号の説明】
1…復水器、2…低圧タービン、3…連結胴、4…上部本体胴、4a,4b…組立体、5…下部本体胴、6…排気室、7…管束、8…水溜め胴板、9…胴板、9a,9b…上下分割板、9a…上分割板、9b…下分割板、9c,9d,9e、9f,9g…横分割板、9h,9i…胴板、14…支え板、15…端部(接合端部)、16…平板材、17…斜辺、18…胴板素体、19…横向き平板、20,20a,20b…立て向き平板、21,22…縦向き平板、21a,22a…縦長板状部分、21b,22b…上下突部。
Claims (10)
- 蒸気凝縮用冷却管の管束を収容する角筒状の下部本体胴と、この下部本体胴上に連結され、蒸気タービンからの抽排気等を前記下部本体胴内の管束に導く裁頭角錐状の上部本体胴とを備えた復水器であって、前記上部本体胴を構成する胴板を縦断面において弧状に湾曲した曲面板により構成し、かつ前記曲面板を外部圧力に耐え得る曲率および厚さに設定したことを特徴とする復水器。
- 胴板を縦断面において弧状に湾曲した曲面板を用いて構成した裁頭角錐状の復水器上部胴であって、前記曲面板の板厚tと曲率Rとの比t/Rを0.0001〜0.003に設定するとともに、曲面弧の高さhと曲率半径Rとの比h/Rを0.001〜0.05に設定したことを特徴とする復水器上部本体胴。
- 前記上部本体胴の胴板は、胴内面側または胴外面側のいずれかに向って凸形状となる曲面をなす請求項2記載の復水器上部本体胴。
- 前記上部本体胴は、各側面毎に独立した胴板を互いに接合して構成されており、隣接する前記胴板同士の接合部間に、平板がその両面を挟持された状態で接合されている請求項2記載の復水器上部本体胴。
- 前記各面の胴板は、上下に分割された上下分割板からなり、これらの上下分割板を互いに接合して構成されている請求項4記載の復水器上部本体胴。
- 前記各面の胴板は、横方向に分割された複数の横分割板からなり、これらの横分割板を互いに接合して構成されている請求項4記載の復水器上部本体胴。
- 前記上下分割板または前記横分割板の接合面間に、平板がその両面を挟持された状態で接合されている請求項5または6記載の復水器上部本体胴。
- 前記横分割板の接合面に配される前記平板は、下部本体胴の周囲に設けられる縦長な支え板のいずれかの上方への延長線と一致する配置に設定されている請求項7記載の復水器上部本体胴。
- 平板材を初期材料として、略台形状でその斜辺が外縁側に膨らむ凸状の弧をなす胴板素体を形成する工程と、この工程で形成された前記胴板素体を板厚方向に湾曲させて胴板を形成する工程と、この工程で形成された複数の胴板の斜辺を互いに溶接することにより、胴外面側に向って凸形状となる曲面をなす裁頭角錐状の復水器上部胴を形成する工程とを備えることを特徴とする復水器上部本体胴製造方法。
- 平板材を初期材料として、略台形状でその斜辺が外縁側から凹状に窪む弧をなす胴板素体を形成する工程と、この工程で形成された前記胴板素体を板厚方向に湾曲させて胴板を形成する工程と、この工程で形成された複数の胴板の斜辺を互いに溶接することにより、胴内面側に向って凸形状となる曲面をなす裁頭角錐状の復水器上部胴を形成する工程とを備えることを特徴とする復水器上部本体胴製造方法。
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CN107186316A (zh) * | 2017-05-22 | 2017-09-22 | 山东电力建设第工程公司 | 一种用于大型汽轮机低压缸接凝汽器焊接防变形的焊接工艺 |
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JP2017190910A (ja) * | 2016-04-14 | 2017-10-19 | カルソニックカンセイ株式会社 | 熱交換器 |
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-
2002
- 2002-09-19 JP JP2002272977A patent/JP2004108686A/ja active Pending
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