JP2004108314A - 可変サイクルエンジンにおける運転サイクルの切換制御 - Google Patents
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Abstract
【課題】可変サイクルエンジンで、円滑な運転サイクルの切換を実現する。
【解決手段】回転数および要求負荷に応じて、2サイクル、4サイクル運転を切り換えるエンジンにおいて、運転サイクルの遷移を次の手順で行う。4サイクルから2サイクルへの切換は、4サイクルの爆発行程に続けて、2サイクルの初回燃焼に適した状態を整えるための遷移運転を経た後、2サイクル運転を開始する。2サイクルから4サイクルへは、切換判断の後、2サイクルの爆発行程が最初に行われる気筒を先頭に、4サイクルでの燃焼順序に従って切り換える。このように遷移させることにより、燃焼の安定化を図ることができ、円滑な切換を実現することができる。
【選択図】 図4
【解決手段】回転数および要求負荷に応じて、2サイクル、4サイクル運転を切り換えるエンジンにおいて、運転サイクルの遷移を次の手順で行う。4サイクルから2サイクルへの切換は、4サイクルの爆発行程に続けて、2サイクルの初回燃焼に適した状態を整えるための遷移運転を経た後、2サイクル運転を開始する。2サイクルから4サイクルへは、切換判断の後、2サイクルの爆発行程が最初に行われる気筒を先頭に、4サイクルでの燃焼順序に従って切り換える。このように遷移させることにより、燃焼の安定化を図ることができ、円滑な切換を実現することができる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転サイクルを変更可能なエンジンの運転制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンは、吸気行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程などの行程を繰り返し実行して運転する。エンジンの回転中に、これらの行程を実施するタイミングによって、エンジンの運転方法は、2サイクル運転、4サイクル運転などに分類される。ピストンエンジンの場合、2サイクル運転では、ピストンが上死点(以下、TDCと呼ぶ)から下死点(以下、BDCと呼ぶ)に至る期間に爆発行程、排気行程を行い、BDCからTDCの間に吸気行程、圧縮行程を行う。4サイクル運転では、吸気行程(TDCからBDCの間)、圧縮行程(BDCからTDCの間)、爆発行程(TDCからBDCの間)、排気行程(BDCからTDCの間)で各行程を行う。各運転方法の特性を活かすため、エンジンの回転数、負荷で規定される運転領域に応じて、これらの運転方法を使い分けるいわゆる可変サイクルと呼ばれる技術も提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、低回転高負荷領域で2サイクル運転、低負荷領域で6サイクル運転、その他の領域で4サイクル運転に切り替える技術が開示されている。また、特許文献1では、サイクルの変更前後の出力が同等となるよう、吸気弁、排気弁の開閉タイミングを調整することが開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−103092号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来は、サイクルの切換が判断された後、実際に、切換を実現するまでの遷移制御について十分考慮されていなかった。吸気量、燃料量、点火時期、圧力など、燃焼室内の条件は、回転数、負荷のみならず、サイクルによっても異なる。かかる相違を考慮せず、サイクルを切り換えると、燃焼の悪化や失火による過渡的な出力不足やトルクショックを生じたり、エミッションが増大したりする場合がある。本発明では、可変サイクルエンジンにおいて、サイクルの切り換え時における、これらの弊害を緩和することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明では、運転サイクルを変更可能な可変サイクルエンジンにおいて、サイクルを切り換える遷移制御によって、上記課題の少なくとも一部を解決する。本発明の制御対象となるエンジンは、吸気、圧縮、爆発、排気の4行程を繰り返し実行する。また、エンジンが2回転する間にこの4行程を実行する4サイクル運転、エンジンが1回転する間に前記4行程を実行する2サイクル運転の2通りの運転サイクルが実現可能である。両運転サイクルの切換は、例えば、回転数および負荷に関する要求値に基づいて判断することができる。
【0007】
運転サイクルを変更可能とするため、本発明のエンジンは、吸気弁、排気弁の開閉タイミングを変更する可変動弁機構を備えることが好ましい。可変動弁機構としては、開閉タイミングを素早く切り換え可能な電磁弁を用いることが好ましい。また、2サイクル運転を含む可変サイクルを行う場合には、本発明のエンジンは、2サイクル運転中の吸気を円滑に行うために、吸気系統に過給器を備えることが好ましい。
【0008】
本発明における遷移制御は、以下に示す種々の態様を採ることができる。第1の制御態様として、4サイクル運転から2サイクル運転への遷移時には、4サイクル運転における爆発行程に続けて、次に示す遷移運転を挟んで2サイクル運転に移行することができる。遷移運転では、エンジンが2回転する間に上述の4行程を実行するとともに、エンジンの燃焼室内の雰囲気が2サイクル運転における初回燃焼を達成可能な状態となるようエンジンの吸気量、排気量を制御する。こうすることにより、2サイクル運転の初回燃焼の安定化を図ることができ、円滑な遷移を実現することができる。
【0009】
一般に2サイクル運転時には、燃焼室内に排気が残留しやすい傾向にあるため、例えば、上記遷移運転時には、4サイクル運転時よりも排気弁を早めに閉じたり、吸気弁と排気弁が共に開いているオーバラップ期間を増大させるなどの制御を適用することができる。また、2サイクル運転時には、ピストンが下死点から上死点に向かう半行程が吸気行程に相当するため、遷移運転時には、この行程に併せて吸気弁を早めに閉じるようにしてもよい。
【0010】
第2の制御態様として、4サイクル運転から2サイクル運転への遷移時には、4サイクル運転における爆発行程、吸気行程のうち、遷移を判断した後、最初に実行される行程から2サイクル運転を開始させてもよい。第2の制御態様では、少なくとも一部の気筒について、先に説明した遷移運転を介さずにサイクルを切り換えることが可能となり、要求される出力を速やかに実現することができる利点がある。
【0011】
爆発行程から2サイクル運転に切り換えるとは、燃焼が行われた後、排気弁および吸気弁を2サイクル運転に準じて制御することを意味する。この場合、燃焼自体は4サイクル運転に即した条件下で行われているため、燃焼の悪化を抑制して、2サイクル運転への移行を行うことができる。吸気行程から2サイクル運転に切り換えるとは、吸気行程において吸気弁の開き期間を4サイクルの時よりも短くし、2サイクル時に相当する吸気量を実現することを意味する。かかる切換でも、2サイクル運転に即した条件下で燃焼が行われるため、燃焼の悪化を抑制することができる。
【0012】
後者の場合、4サイクル時には、ピストンが上死点から下死点に移動する際に吸気行程が行われるのに対し、2サイクル時には、下死点から上死点に移動する際に吸気行程が行われるという相違がある。従って、2サイクルへの切り換え直後の吸気行程では、2サイクル運転を定常的に行う時の吸気行程とは、弁の開閉タイミングが相違する。
【0013】
第2の制御態様では、遷移運転を介さない気筒が存在するため、先に説明した第1の制御態様ほど良好な燃焼が得られない可能性がある。かかる場合には、上述の爆発行程から遷移する第2の制御態様を、制御対象となるエンジンの複数の気筒のうち一部に制限してもよい。こうすることにより、十分良好な燃焼が得られないことに起因するトルクショックなどの弊害を緩和することができる。
【0014】
このように第2の制御態様を適用する気筒を制限する場合でも、少なくとも遷移の判断の後、最先に爆発行程を実行する気筒については、第2の制御態様を適用することが好ましい。こうすることにより、切換後の目標出力を速やかに実現できるという第2の制御態様の利点が確保される。
【0015】
第3の制御態様として、2サイクル運転から4サイクル運転への遷移を行う場合には、エンジンの複数の気筒のうち、遷移を判断した後、2サイクル運転において最初に爆発行程を迎える気筒から順次遷移させることが好ましい。こうすることにより、燃焼自体は2サイクル運転に即した条件下で行われているため、遷移時の燃焼の悪化を抑制することができる。
【0016】
更に、複数の気筒について、4サイクル運転時に爆発行程を実行する順序が決められている場合には、この順序が実現されるよう、各気筒の遷移順序を決定することが好ましい。こうすることにより、遷移時のトルクショックを緩和し、円滑に4サイクル運転に遷移させることができる。
【0017】
第3の制御態様では、遷移時に遷移運転を挟んでもよいが、速やかに遷移を実現するため、各気筒について、2サイクル運転から4サイクル運転に直接遷移させることが好ましい。
【0018】
以上で説明した第1〜第3の各制御態様において、運転サイクルの切換中の各気筒の目標出力は、遷移前後の各運転時におけるそれぞれの目標出力を補間する値とすることが好ましい。こうすることによって、遷移中のトルクショックを抑制することができる。各運転時における目標出力は、例えば、エンジンに要求される出力の目標値を、気筒数で除することによって設定される。運転サイクルの切換中とは、第1の制御態様における遷移運転が行われている期間、および2サイクル運転と4サイクル運転とが混在している期間を言う。目標出力は、トルク、吸入空気量、燃料噴射量など、各気筒の出力に関する種々のパラメータを用いて規定することができる。
【0019】
目標出力の補間値は、例えば、全気筒について、統一的に遷移前の目標出力と遷移後の目標出力の平均値としてもよい。また、各気筒の目標出力を、遷移順序に従って、遷移前の目標出力から遷移後の目標出力に漸近させるよう変化させてもよい。こうすることにより、更に、円滑な移行を実現することができる。例えば、3気筒ある場合、各気筒の目標出力を、遷移前後の目標出力の偏差の1/3ずつ異なる値に設定することができる。
【0020】
上述した第1〜第3の制御態様は、適宜、組み合わせて適用しても構わない。第1の制御態様と第2の制御態様とを、エンジンの運転状態や、要求値などに応じて使い分けても良い。例えば、要求出力の変化が比較的緩やかな場合には第1の制御態様を適用し、比較的急激である場合には第2の制御態様を適用してもよい。また、本発明は、制御装置としての態様に限らず、エンジンの運転を制御する制御方法として構成してもよい。上述の制御は、混合気に点火プラグで点火する燃焼方法(以下、火花点火と呼ぶ)を採る場合、自着火による燃焼方法を採る場合のいずれにも適用可能である。火花点火と自着火とが混在してもよい。例えば、自着火による2サイクル運転と、火花点火による4サイクル運転とを行う場合の切り換え制御に適用してもよい。サイクルによって燃焼方法が異なる場合には、特に、燃焼の悪化等による弊害が生じやすいため、本発明の有用性が高い。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態につき、以下の順序で説明する。
A.装置構成:
B.制御マップ:
C.運転制御:
D.4C→2C切換処理:
E.2C→4C切換処理:
F.4C→2C切換処理の変形例:
【0022】
A.装置構成:
図1は実施例としてのエンジンシステムを示す説明図である。本実施例のエンジンシステムは、車両に搭載された3気筒のガソリンエンジンと、その運転を制御する制御ユニット100から構成される。図中では、説明の便宜上、ガソリンエンジンの各気筒に、#1〜#3の記号を付した。
【0023】
制御ユニット100は、内部にCPU、RAM、ROMを備えるマイクロコンピュータとして構成されている。CPUは、ROMに備えられたプログラムに従って、ソフトウェア的にガソリンエンジンの動作を制御する。制御ユニット100には、この制御を行うために種々の信号が入出力される。図中では、代表的なもののみを示した。入力信号としては、アクセル開度センサ21によって検出されるアクセルペダルの踏み込み量、回転数センサ23によって検出されるエンジンの回転数などが含まれる。出力信号については、エンジンの構成と併せて順次説明する。
【0024】
#1の気筒を例にとって、エンジンの構造を説明する。エンジンは、燃焼室で燃料を燃焼させて動力を出力する。燃焼室に空気を吸入するための吸気管17には、吸気弁11が設けられている。空気は、吸気弁11が開いている間、燃焼室に導入される。本実施例では、吸気弁11の開閉は、制御ユニット100からの制御信号に基づき、電磁駆動されるアクチュエータ14によって制御される。
【0025】
吸気管17には、燃料を噴射するためのインジェクタ16が設けられている。本実施例では、気筒内に直接燃料を噴射するいわゆる直噴タイプのエンジンを例示しているが、吸気管内に噴射するいわゆるポート噴射タイプのエンジンを用いても構わない。制御ユニット100は、吸入空気量に応じてインジェクタ16を制御し、正常な燃焼が行われるよう適量の燃料を噴射させる。
【0026】
燃焼室内には、点火プラグ13が設けられている。燃料と空気との混合気は、燃焼室内で圧縮された後、点火プラグ13によって点火される。制御ユニット100は、エンジンの回転数、要求負荷等に応じて、点火時期を制御する。
【0027】
燃焼後の排気は、排気管18から排出される。排気管18には、排気弁12が設けられている。排気弁12の開閉は、電磁駆動されるアクチュエータ15によって制御される。
【0028】
煩雑化を避けるため、図示を省略したが、#2〜#3の気筒も、#1と同様の構造である。
【0029】
エンジンから出力される動力は、燃焼室への吸気量によって変動する。本実施例では、吸気量は、吸気管17の負圧によって制御される。#1〜#3の吸気管は、上流でインテークマニホールド111に接続されている。インテークマニホールドの上流の吸気管内には、スロットル弁22が設けられている。制御ユニット100がスロットル弁22の開度を制御すると、吸気管の負圧が変動し、吸入空気量が変動する。例えば、スロットル弁22がほぼ全開の場合には、吸気管内は大気圧となり、燃焼室内に吸気されやすくなるため、吸気量が大きくなる。スロットル弁22を絞ると、吸気管内は大気圧よりも低い負圧となるため、燃焼室への吸気量は抑制される。この他、吸気量は、スロットル弁22の開度の他、吸気弁11が開いている期間およびリフト量によっても制御可能である。スロットル弁22の他、吸気弁11を用いた吸気量制御を併用してもよい。
【0030】
スロットル弁22の上流側には、吸気管の圧力を大気圧よりも高めることによって、吸気を促進する過給器112が設けられている。過給器112には、ターボ、スーパーチャージャなど、種々のタイプを適用可能である。
【0031】
B.制御マップ:
図2はエンジンの制御に利用される制御マップを示す説明図である。各マップは、制御ユニット100に予め記憶されている。
【0032】
本実施例のエンジンは、2サイクル、4サイクルの2種類を使い分けて運転する。本実施例のエンジンは、#1〜#3の3つの気筒を有しており、クランクシャフトを円滑に回転させるために、各気筒において燃焼を行う順序が次の通り設定されている。
4サイクル運転時…#3→#2→#1;
2サイクル運転時…#1→#2→#3;
【0033】
制御ユニット100には、エンジンの運転を制御するために、多種多様なマップを備えているが、図中には、運転サイクルの使い分けを実現するために使用されるマップを示した。エンジンの運転制御を行うメインルーチンに相当する運転制御部101は、エンジンの回転数、アクセル開度、エンジンの水温などのパラメータに基づき、各種マップを参照して、燃料噴射量、点火時期、バルブタイミング、吸気量などを制御する。
【0034】
バルブ制御マップ106は、各サイクルでの運転時における吸気弁および排気弁の開閉タイミングの基準値を与えるマップである。吸気弁、排気弁の開閉タイミングは、各サイクルで固定ではなく、この基準値に対して、エンジンの回転数、要求負荷などに応じた補正が加えられる。
【0035】
図中の各符号は、次の事項を意味する。
破線…吸気弁が開いている期間; 実線…排気弁が開いている期間;
TDC…上死点; BDC…下死点;
Po…爆発行程; Ex…排気行程および掃気行程;
In…吸気行程; Co…圧縮行程;
★…点火または自着火;
【0036】
4サイクルでは、ピストンがTDCからBDCに移行する行程、またはBDCからTDCに移行する行程に、ほぼ対応して、いずれかの燃焼行程を実行する。
【0037】
2サイクルでは、爆発行程においてピストンがTDCからBDCに移行する途中で、排気弁を開き排気行程を開始する。燃焼ガスは高圧であるため、シリンダ容積が拡大している最中でも、排気弁を開くことにより、排気が行われる。次に、BDC近傍で、排気弁を開いた状態で、吸気弁を開く。吸気管17の圧力は過給器112によって十分高められているから、吸気弁を開くことにより、吸気が行われる。この吸気は燃焼ガスを排気する作用も奏するため、排気弁と吸気弁の双方が開いている期間を掃気行程と称することもある。本実施例では、排気行程と掃気行程とを併せて、単に排気行程と称するものとする。吸気弁が、ピストンがBDCからTDCに移行する途中で閉じることにより、吸気行程が完了し、圧縮行程が開始される。TDC近傍で、混合気は、燃焼し、爆発行程が始まる。
【0038】
4サイクルから2サイクルへの遷移運転(図中の「4C→2C遷移」)では、4サイクルと同様、エンジンが2回転する間に1回の割合で点火を行う。但し、吸気弁の開期間は、4サイクル時よりも短く設定されている。この開期間は、燃焼室内の混合気が2サイクル運転時の初回燃焼を実現可能な状態となるよう調整された期間である。本実施例では、排気弁は4サイクル時と同じ開期間としたが、吸気弁と同様に調整してもよい。
【0039】
一般にガソリンエンジンにおける混合気の燃焼は、火花点火と自着火の2通りがある。火花点火とは、点火プラグで点火することにより、混合気を燃焼する方法である。自着火とは、混合気を圧縮してガソリンの発火点に至るまで高温にすることにより、混合気を発火させ、燃焼する方法である。自着火では、点火プラグによる点火は不要であるが、発火を促進する等の目的で補助的に点火プラグを使用してもよい。本実施例では、4サイクルは火花点火、2サイクルは自着火を適用するものとした。4サイクルから2サイクルへの遷移運転を行った直後は、遷移を確実に行わせるため、火花点火するものとした。遷移運転中に自着火に必要な混合気の状態および圧縮端温度を実現できる場合には、自着火させるものとしてもよい。
【0040】
サイクルマップ102は、エンジンの回転数および負荷に応じて、運転サイクルを決定するためのマップである。本実施例では、中負荷、中回転数領域で2サイクル、その他の領域で4サイクルを適用するものとした。各領域の境界近傍でサイクルが頻繁に切り替わることを回避するため、各領域間には、ヒステリシスが設けられている。サイクルマップ102は、各サイクルでの特徴を考慮して、種々の設定が可能である。
【0041】
燃料噴射量マップ103は、エンジンの回転数および負荷に応じて、燃料噴射量を決定するためのマップである。図中には、燃料噴射量一定の複数の曲線を示した。燃料噴射量には、理想的な空燃比を実現するよう、吸気量に応じた補正を考慮してもよい。燃料噴射量マップ103は、2サイクル、4サイクルに対して、個別に用意される。
【0042】
点火時期マップ104は、エンジンの回転数および負荷に応じて、点火時期の基準値を与えるためのマップである。点火時期は、TDCからのクランクシャフトの進角量で与えることができる。点火時期には、この基準値から、ノッキングの有無等に基づく補正を加えてもよい。先に説明した通り、2サイクルでは自着火を適用しているため、点火時期マップ104は、4サイクルに対して用意される。
【0043】
吸気量マップ105は、エンジンの回転数および負荷に応じて、吸気量を決定するためのマップである。吸気量マップ105は、2サイクル、4サイクルに対して、個別に用意される。
【0044】
上述した各マップについては、エンジン水温などをパラメータに含めて、多次元的に設定してもよい。
【0045】
C.運転制御:
図3は運転サイクルの切換タイミングを示す説明図である。エンジンの運転中に制御ユニット100が繰り返し実行する処理である。この処理が開始されると、制御ユニット100は、アクセル開度、回転数など制御に必要なパラメータ値を入力する(ステップS10)。そして、これらのパラメータ値に基づき、サイクルマップ102を参照して、エンジンの運転サイクルを決定する(ステップS12)。
【0046】
こうして決定された運転サイクルと現状の運転サイクルとの異同に基づいて、制御ユニット100は、運転サイクルの切換の要否を判断する(ステップS14)。4サイクル運転中に、2サイクル運転を行うよう決定された場合には、「4C→2C切換処理」を実行する(ステップS20)。2サイクル運転中に、4サイクル運転を行うよう決定された場合には、「2C→4C切換処理」を実行する(ステップS40)。これらの処理内容については、後述する。切換不要と判断された場合には、これらの処理は、スキップされる。
【0047】
こうして、運転サイクルが決まると、制御ユニット100は、運転サイクル、アクセル開度、回転数に応じて、先に図2に示した各マップを参照して、エンジンの出力制御を行う(ステップS60)。
【0048】
D.4C→2C切換処理:
図4は4サイクル運転から2サイクル運転への切換シーケンスを例示する説明図である。#1〜#3の各気筒の運転状態の時間変化を示した。本実施例では、4サイクルから、図2で説明した遷移運転を経て2サイクルに遷移する。この遷移は、各気筒につき、4サイクルの爆発行程から開始される。
【0049】
図示する通り、#1〜#3が4サイクル運転されている最中に、#1気筒の排気行程の途中で切換指示が行われたものとする。この時、#2気筒は圧縮行程の途中であり、#3気筒は爆発行程の途中である。遷移運転への切り換えは、爆発行程から開始されるから、図の例では、#3気筒で最も早く遷移運転が開始される。遷移運転の期間をハッチングで図示した。遷移運転中は、先に示した通り、吸気弁の開き期間の制御によって、2サイクル運転時の初回燃焼が安定して実現可能な状態に、燃焼室内の雰囲気が整えられる。4サイクルでは「#3→#2→#1」の順序で燃焼が行われるから、遷移運転にも、この順序で移行する。こうしてエンジンが2回転する期間に相当する遷移運転が終了すると、各気筒はそれぞれ2サイクル運転に移行する。区間Dでは、燃焼順序は、「#3→#2→#3→#1→#2→#3」という変則的な順序となるが、その後は、2サイクル運転の正常な燃焼順序「#1→#2→#3」が実現される。図4には、切換の一例を示したが、切換指示がいかなるタイミングで行われても、同様の考え方により、順次、運転サイクルを切り換えることができる。
【0050】
図5は「4C→2C切換処理」のフローチャートである。図4で説明した切換を実現するための処理内容を示した。制御ユニット100は、この処理を#1〜#3の気筒それぞれについて実行する。
【0051】
処理が開始されると、制御ユニット100は、処理対象となっている気筒について、現状の運転サイクルについて判断する(ステップS21)。4サイクル運転をしている場合には、爆発行程が完了した時点で、遷移運転への移行を行う(ステップS23、S25)。その他の行程中である場合には、4サイクル運転を継続する(ステップS23、S24)。
【0052】
遷移運転をしている場合には、遷移運転が完了した時点で、2サイクル運転への移行を行う(ステップS22、S26)。未完了の場合には、遷移運転を継続する(ステップS22、S25)。本実施例では、遷移運転の期間をエンジン2回転に相当する期間と設定しているため、遷移運転を開始した後の回転数によって、遷移運転の完了を判断することができる。遷移運転の期間を予め規定せず、圧縮端温度に関するパラメータ、例えば、排気温度などが、2サイクル運転に適した条件を満足しているか否かによって、遷移運転の完了を判断してもよい。
【0053】
制御ユニット100は、以上の判断結果に基づき、4サイクル運転(ステップS24)、遷移運転(ステップS25)、2サイクル運転(ステップS26)のいずれかを実行する。制御ユニット100は、運転サイクルの遷移時におけるトルクショックを緩和するため、各気筒について、各運転時の目標出力を次の通り設定する。
【0054】
4サイクル運転時、2サイクル運転時には、回転数、アクセル開度に応じて定まる総出力が得られるよう、各気筒の目標出力が均等に設定される。2サイクル運転時には4サイクル運転時の倍の頻度で爆発行程が実行されるから、2サイクル運転時の各気筒の目標出力は4サイクル運転時の概ね半分程度となる。遷移運転中の目標出力は、4サイクル運転時の目標出力(以下、「4サイクル出力」と呼ぶ)と、2サイクル運転時の目標出力(以下、「2サイクル出力」と呼ぶ)の補間値に設定する。本実施例では、補間値として、両者の平均値、即ち、「(4サイクル出力+2サイクル出力)/2」を用いた。
【0055】
補間値は、遷移運転中に目標出力が、4サイクル出力から2サイクル出力に漸近するように、各気筒で異なる値としてもよい。例えば、目標出力の変化量ΔPを設定し、n番目(nは自然数)に遷移運転を開始する気筒の目標出力を、「4サイクル出力+n×ΔP」と設定することができる。変化量ΔPを、「(2サイクル出力−4サイクル出力)/気筒数」と設定すれば、最後に遷移運転を行う気筒の目標出力は、2サイクル出力と一致する。変化量ΔPを、「(2サイクル出力−4サイクル出力)/(気筒数+1)」と設定すれば、遷移運転が完了した後、次に爆発行程を実行する気筒から、目標出力が2サイクル出力と一致するようになる。
【0056】
図4の区間Dにおける#3気筒のように、遷移運転中に変則的な順序で2サイクル運転が行われる場合には、この2サイクル運転も遷移運転の一過程とみなして、目標出力を設定してもよい。例えば、区間Dにおける目標出力を次の通り設定することができる。
#3(遷移運転)の目標出力=4サイクル出力+ΔP;
#2(遷移運転)の目標出力=4サイクル出力+2×ΔP;
#3(2サイクル運転)の目標出力=4サイクル出力+3×ΔP;
#1(遷移運転)の目標出力=4サイクル出力+4×ΔP;
#2、#3(2サイクル運転)の目標出力=2サイクル出力;
ΔP=(2サイクル出力−4サイクル出力)/5;
【0057】
E.2C→4C切換処理:
図6は2サイクル運転から4サイクル運転への切換シーケンスを例示する説明図である。#1〜#3の各気筒の運転状態の時間変化を示した。本実施例では、2サイクル運転における爆発行程から4サイクルに遷移する。2サイクル運転と4サイクル運転では、排気行程のタイミングが異なるため、2サイクル運転における排気行程が開始される前の状態にある気筒から切換を実行することが好ましい。本実施例では、かかる観点から、最初に切換を行う気筒(以下、切換気筒と呼ぶ)を決定する。また、その後の切換は、4サイクル運転における燃焼順序を考慮して設定する。
【0058】
図示する通り、#1〜#3が2サイクル運転されている最中に、#1気筒の圧縮行程の途中で切換指示が行われたものとする。この時、#2気筒は吸気行程の途中であり、#3気筒は爆発行程の途中である。上述の条件に従った切換を決定するため、本実施例では、切換指示が行われた時点のクランク角に基づいて切換気筒を決定するものとした。図の上方に示す通り、#1気筒が上死点にある状態を基準として、2サイクル運転中のクランク角を0〜360度の範囲で定義する。「クランク角<90°」の状態では、排気行程が行われる直前の状態にある#1気筒が切換気筒となる。「90°≦クランク角<210°」の状態では、#2気筒が切換気筒となる。「210°≦クランク角<330°」の状態では、#3気筒が切換気筒となる。「330°≦クランク角<360°」の状態では、再び#1気筒が切換気筒となる。切換気筒を判断する基準となるクランク角は、気筒数、2サイクル運転時の排気行程の開始タイミングなどを考慮して、任意に設定可能である。
【0059】
図の例では、切換気筒は#3気筒に設定される。従って、#3気筒については、切換指示の直後から4サイクル運転が開始される。切換気筒以外の気筒の切換は、4サイクル運転時の燃焼順序「#3→#2→#1」に従って行われる。#2気筒は、切換指示の後、区間D1で2サイクル運転を行った後、4サイクル運転に切換られる。#1気筒は、区間D2で2サイクル運転を行った後、4サイクル運転に切換られる。図6には、切換の一例を示したが、切換指示がいかなるタイミングで行われても、同様の考え方により、順次、運転サイクルを切り換えることができる。
【0060】
図7は「2C→4C切換処理」のフローチャートである。図6で説明した切換を実現するための処理内容を示した。制御ユニット100は、この処理を#1〜#3の気筒について、繰り返し実行する。
【0061】
処理が開始されると、制御ユニット100は、切換判断時のクランク角CAを入力し(ステップS41)、切換パターンを決定する(ステップS42)。切換パターンとは、各気筒の切換順序を規定するパターンである。図中に、クランク角CAと切換パターンとの関係を図示した。先に図6で説明した関係をテーブル化したものである。ステップS41、S42については、全気筒について行う必要はなく、いずれか一つの気筒について1回行えば足りる。従って、切換パターンが一旦設定された後は、ステップS41,S42を省略して差し支えない。
【0062】
制御ユニット100は、制御対象となっている気筒の運転サイクルを判断する(ステップS43)。既に4サイクル運転されている場合には、運転サイクルを切り換えるための制御は不要と判断し、4サイクル運転制御を実行する(ステップS45)。2サイクル運転されている場合、運転サイクルの切換タイミングに至るまでは(ステップS44)、2サイクル運転制御を実行し(ステップS46)、切換タイミングに至った後は、4サイクル運転制御を実行する(ステップS45)。切換タイミングに至ったか否かは、切換パターンと他の気筒の運転サイクルに基づいて判断することができる。例えば、切換パターンが「#2→#1→#3」である場合、#2気筒が4サイクル運転を開始した時点で、#1気筒は切換タイミングに至ったと判断することができる。また、#1気筒が4サイクル運転を開始した時点で、#3気筒は切換タイミングに至ったと判断することができる。
【0063】
制御ユニット100は、以上の判断結果に基づき、4サイクル運転(ステップS45)、2サイクル運転(ステップS46)のいずれかを実行する。全気筒が4サイクル運転への移行を完了するまでの間、各運転時の目標出力は、それぞれ4サイクル出力、2サイクル出力に設定してもよいが、「4C→2C切換処理」(図5参照)で説明したように、補間値に設定してもよい。
【0064】
以上で説明した実施例のエンジンシステムによれば、2サイクル運転と4サイクル運転の切換時における燃焼の悪化を抑制し、円滑な切換を実現することができる。
【0065】
F.4C→2C切換処理の変形例:
図8は変形例としての4サイクル運転から2サイクル運転への切換シーケンスを例示する説明図である。変形例では、運転サイクルの速やかな切換を実現するため、4サイクル運転における爆発行程または吸気行程のうち切換指示後に最初に実行される行程から、2サイクル運転への切り換えを実行する。爆発行程からの切り換えでは、遷移運転を挟まずに直接、2サイクル運転に移行する。
【0066】
吸気行程からの切り換えでは、吸気行程において吸気弁の開き期間を4サイクルの時よりも短くし、2サイクル時に相当する吸気量を実現し、その後の爆発行程から完全に2サイクル運転に移行する。4サイクル時には、ピストンが上死点から下死点に移動する際に吸気行程が行われるのに対し、2サイクル時には、下死点から上死点に移動する際に吸気行程が行われため、吸気行程からの切換では、4サイクル運転、2サイクル運転のいずれとも異なるタイミングで吸気弁の開閉タイミングを制御する必要がある。以下、説明の便宜上、この変則的な開閉タイミングでの運転を遷移運転を呼ぶものとする。変形例では、遷移運転中の弁の開閉タイミングとして、実施例で図2に示した「4C→2C遷移」を適用するものとしたが、これと異なるタイミングとしてもよい。
【0067】
図の例において、#1気筒の吸気行程の途中で切換指示が出されたものとする。この時、#2気筒は圧縮行程、#3気筒は排気行程にある。#1気筒については、切換指示の後、吸気行程よりも爆発行程が先に実行されるから、爆発行程から2サイクル運転に切り換えられる。#2気筒についても同様である。#3気筒については、吸気行程の方が先に実行されるから、吸気行程から2サイクル運転に切り換えられる。従って、#3気筒については、図中にハッチングで示す区間Dtで、遷移運転が行われる。
【0068】
2サイクルへの切換を行うべき行程は、例えば、クランク角に基づいて判断することができる。図の上方に示す通り、上死点にある状態を基準として2回転分(0〜720°)の範囲で4サイクルにおけるクランク角を定義する。「450°≦クランク角<690°」の状態(図中の区間Di)にある時には、吸気行程が爆発行程よりも先に行われるとともに、遷移運転で吸気弁の制御することが可能であるため、吸気行程からの切換を行う。その他の状態にある時には、爆発行程から切換を行う。各気筒の上死点を基準としてクランク角を定義することにより、#2,#3気筒についても同様に切換を行うべき行程を判断することができる。
【0069】
図9は変形例としての「4C→2C切換処理」のフローチャートである。図8で説明した切換を実現するための処理内容を示した。制御ユニット100は、この処理を#1〜#3の気筒について、繰り返し実行する。
【0070】
処理が開始されると、制御ユニット100は、切換判断時のクランク角CAを入力し(ステップS31)、切換タイミングを決定する(ステップS32)。図8で説明した通り、「450°≦CA<690°」であれば、吸気行程からの切換、その他の場合には、爆発行程からの切換に設定される。
【0071】
制御ユニット100は、制御対象となっている気筒の運転サイクルを判断する(ステップS33)。既に2サイクル運転されている場合には、運転サイクルを切り換えるための制御は不要と判断し、2サイクル運転制御を実行する(ステップS38)。4サイクル運転されている場合、爆発行程が開始される時点で、2サイクル運転への切換タイミングに至ったものと判断し、2サイクル運転制御を実行する(ステップS35、S38)。吸気行程が開始される時点で、遷移運転への切換タイミングに至ったものと判断し、遷移運転を実行する(ステップS35、S37)。その他の場合には、4サイクル運転を継続する(ステップS35、S36)。
【0072】
吸気行程からの切換を行う気筒について、遷移運転がされている場合には(ステップS33)、遷移運転が完了した時点で2サイクル運転に移行する(ステップS34、S38)。完了前は、遷移運転を継続する(ステップS37)。
【0073】
制御ユニット100は、以上の判断結果に基づき、4サイクル運転(ステップS36、遷移運転(ステップS37)、2サイクル運転(ステップS38)のいずれかを実行する。全気筒が2サイクル運転への移行を完了するまでの間、各運転時の目標出力は、それぞれ4サイクル出力または2サイクル出力に設定してもよいが、「4C→2C切換処理」(図5参照)で説明したように、補間値に設定してもよい。
【0074】
変形例の切換処理によれば、少なくとも一部の気筒について、遷移運転が省略されるため、2サイクル運転に速やかに切り換えることができる。
【0075】
変形例では、0°〜720°の範囲のうち、1/3に相当する区間を吸気行程からの切換に設定しているため、必ず1つの気筒は吸気行程からの切り換えが行われる。このように、一部の気筒について、遷移運転を介在させることにより、切換時のトルクショックを緩和することができる。変形例において、ステップS32の判断を省略し、全気筒について爆発行程からの切換を行うものとしてもよい。
【0076】
実施例における切換(図5)と、変形例の切換(図9)とを、使い分けても良い。例えば、アクセル開度の変化率が所定値以下の場合には、実施例の切換を適用し、所定値よりも大きい場合には、速やかな切換が要求されていると判断されるため、変形例の切換を適用してもよい。
【0077】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。例えば、上述の制御は、ソフトウェア的に実現してもよいし、ハードウェア的に実現してもよい。上述の制御は、2サイクル運転、4サイクル運転に加えて6サイクル運転を併用するエンジンにも適用可能である。実施例では、4サイクルを火花点火、2サイクルを自着火で燃焼させる場合を例示したが、本発明は、共に火花点火または自着火の場合にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例としてのエンジンシステムを示す説明図である。
【図2】エンジンの制御に利用される制御マップを示す説明図である。
【図3】運転サイクルの切換タイミングを示す説明図である。
【図4】4サイクル運転から2サイクル運転への切換シーケンスを例示する説明図である。
【図5】「4C→2C切換処理」のフローチャートである。
【図6】2サイクル運転から4サイクル運転への切換シーケンスを例示する説明図である。
【図7】「2C→4C切換処理」のフローチャートである。
【図8】変形例としての4サイクル運転から2サイクル運転への切換シーケンスを例示する説明図である。
【図9】変形例としての「4C→2C切換処理」のフローチャートである。
【符号の説明】
11…吸気弁
12…排気弁
13…点火プラグ
14、15…アクチュエータ
16…インジェクタ
17…吸気管
18…排気管
21…アクセル開度センサ
22…スロットル弁
23…回転数センサ
100…制御ユニット
101…運転制御部
102…サイクルマップ
103…燃料噴射量マップ
104…点火時期マップ
105…吸気量マップ
106…バルブ制御マップ
111…インテークマニホールド
112…過給器
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転サイクルを変更可能なエンジンの運転制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンは、吸気行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程などの行程を繰り返し実行して運転する。エンジンの回転中に、これらの行程を実施するタイミングによって、エンジンの運転方法は、2サイクル運転、4サイクル運転などに分類される。ピストンエンジンの場合、2サイクル運転では、ピストンが上死点(以下、TDCと呼ぶ)から下死点(以下、BDCと呼ぶ)に至る期間に爆発行程、排気行程を行い、BDCからTDCの間に吸気行程、圧縮行程を行う。4サイクル運転では、吸気行程(TDCからBDCの間)、圧縮行程(BDCからTDCの間)、爆発行程(TDCからBDCの間)、排気行程(BDCからTDCの間)で各行程を行う。各運転方法の特性を活かすため、エンジンの回転数、負荷で規定される運転領域に応じて、これらの運転方法を使い分けるいわゆる可変サイクルと呼ばれる技術も提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、低回転高負荷領域で2サイクル運転、低負荷領域で6サイクル運転、その他の領域で4サイクル運転に切り替える技術が開示されている。また、特許文献1では、サイクルの変更前後の出力が同等となるよう、吸気弁、排気弁の開閉タイミングを調整することが開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−103092号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来は、サイクルの切換が判断された後、実際に、切換を実現するまでの遷移制御について十分考慮されていなかった。吸気量、燃料量、点火時期、圧力など、燃焼室内の条件は、回転数、負荷のみならず、サイクルによっても異なる。かかる相違を考慮せず、サイクルを切り換えると、燃焼の悪化や失火による過渡的な出力不足やトルクショックを生じたり、エミッションが増大したりする場合がある。本発明では、可変サイクルエンジンにおいて、サイクルの切り換え時における、これらの弊害を緩和することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明では、運転サイクルを変更可能な可変サイクルエンジンにおいて、サイクルを切り換える遷移制御によって、上記課題の少なくとも一部を解決する。本発明の制御対象となるエンジンは、吸気、圧縮、爆発、排気の4行程を繰り返し実行する。また、エンジンが2回転する間にこの4行程を実行する4サイクル運転、エンジンが1回転する間に前記4行程を実行する2サイクル運転の2通りの運転サイクルが実現可能である。両運転サイクルの切換は、例えば、回転数および負荷に関する要求値に基づいて判断することができる。
【0007】
運転サイクルを変更可能とするため、本発明のエンジンは、吸気弁、排気弁の開閉タイミングを変更する可変動弁機構を備えることが好ましい。可変動弁機構としては、開閉タイミングを素早く切り換え可能な電磁弁を用いることが好ましい。また、2サイクル運転を含む可変サイクルを行う場合には、本発明のエンジンは、2サイクル運転中の吸気を円滑に行うために、吸気系統に過給器を備えることが好ましい。
【0008】
本発明における遷移制御は、以下に示す種々の態様を採ることができる。第1の制御態様として、4サイクル運転から2サイクル運転への遷移時には、4サイクル運転における爆発行程に続けて、次に示す遷移運転を挟んで2サイクル運転に移行することができる。遷移運転では、エンジンが2回転する間に上述の4行程を実行するとともに、エンジンの燃焼室内の雰囲気が2サイクル運転における初回燃焼を達成可能な状態となるようエンジンの吸気量、排気量を制御する。こうすることにより、2サイクル運転の初回燃焼の安定化を図ることができ、円滑な遷移を実現することができる。
【0009】
一般に2サイクル運転時には、燃焼室内に排気が残留しやすい傾向にあるため、例えば、上記遷移運転時には、4サイクル運転時よりも排気弁を早めに閉じたり、吸気弁と排気弁が共に開いているオーバラップ期間を増大させるなどの制御を適用することができる。また、2サイクル運転時には、ピストンが下死点から上死点に向かう半行程が吸気行程に相当するため、遷移運転時には、この行程に併せて吸気弁を早めに閉じるようにしてもよい。
【0010】
第2の制御態様として、4サイクル運転から2サイクル運転への遷移時には、4サイクル運転における爆発行程、吸気行程のうち、遷移を判断した後、最初に実行される行程から2サイクル運転を開始させてもよい。第2の制御態様では、少なくとも一部の気筒について、先に説明した遷移運転を介さずにサイクルを切り換えることが可能となり、要求される出力を速やかに実現することができる利点がある。
【0011】
爆発行程から2サイクル運転に切り換えるとは、燃焼が行われた後、排気弁および吸気弁を2サイクル運転に準じて制御することを意味する。この場合、燃焼自体は4サイクル運転に即した条件下で行われているため、燃焼の悪化を抑制して、2サイクル運転への移行を行うことができる。吸気行程から2サイクル運転に切り換えるとは、吸気行程において吸気弁の開き期間を4サイクルの時よりも短くし、2サイクル時に相当する吸気量を実現することを意味する。かかる切換でも、2サイクル運転に即した条件下で燃焼が行われるため、燃焼の悪化を抑制することができる。
【0012】
後者の場合、4サイクル時には、ピストンが上死点から下死点に移動する際に吸気行程が行われるのに対し、2サイクル時には、下死点から上死点に移動する際に吸気行程が行われるという相違がある。従って、2サイクルへの切り換え直後の吸気行程では、2サイクル運転を定常的に行う時の吸気行程とは、弁の開閉タイミングが相違する。
【0013】
第2の制御態様では、遷移運転を介さない気筒が存在するため、先に説明した第1の制御態様ほど良好な燃焼が得られない可能性がある。かかる場合には、上述の爆発行程から遷移する第2の制御態様を、制御対象となるエンジンの複数の気筒のうち一部に制限してもよい。こうすることにより、十分良好な燃焼が得られないことに起因するトルクショックなどの弊害を緩和することができる。
【0014】
このように第2の制御態様を適用する気筒を制限する場合でも、少なくとも遷移の判断の後、最先に爆発行程を実行する気筒については、第2の制御態様を適用することが好ましい。こうすることにより、切換後の目標出力を速やかに実現できるという第2の制御態様の利点が確保される。
【0015】
第3の制御態様として、2サイクル運転から4サイクル運転への遷移を行う場合には、エンジンの複数の気筒のうち、遷移を判断した後、2サイクル運転において最初に爆発行程を迎える気筒から順次遷移させることが好ましい。こうすることにより、燃焼自体は2サイクル運転に即した条件下で行われているため、遷移時の燃焼の悪化を抑制することができる。
【0016】
更に、複数の気筒について、4サイクル運転時に爆発行程を実行する順序が決められている場合には、この順序が実現されるよう、各気筒の遷移順序を決定することが好ましい。こうすることにより、遷移時のトルクショックを緩和し、円滑に4サイクル運転に遷移させることができる。
【0017】
第3の制御態様では、遷移時に遷移運転を挟んでもよいが、速やかに遷移を実現するため、各気筒について、2サイクル運転から4サイクル運転に直接遷移させることが好ましい。
【0018】
以上で説明した第1〜第3の各制御態様において、運転サイクルの切換中の各気筒の目標出力は、遷移前後の各運転時におけるそれぞれの目標出力を補間する値とすることが好ましい。こうすることによって、遷移中のトルクショックを抑制することができる。各運転時における目標出力は、例えば、エンジンに要求される出力の目標値を、気筒数で除することによって設定される。運転サイクルの切換中とは、第1の制御態様における遷移運転が行われている期間、および2サイクル運転と4サイクル運転とが混在している期間を言う。目標出力は、トルク、吸入空気量、燃料噴射量など、各気筒の出力に関する種々のパラメータを用いて規定することができる。
【0019】
目標出力の補間値は、例えば、全気筒について、統一的に遷移前の目標出力と遷移後の目標出力の平均値としてもよい。また、各気筒の目標出力を、遷移順序に従って、遷移前の目標出力から遷移後の目標出力に漸近させるよう変化させてもよい。こうすることにより、更に、円滑な移行を実現することができる。例えば、3気筒ある場合、各気筒の目標出力を、遷移前後の目標出力の偏差の1/3ずつ異なる値に設定することができる。
【0020】
上述した第1〜第3の制御態様は、適宜、組み合わせて適用しても構わない。第1の制御態様と第2の制御態様とを、エンジンの運転状態や、要求値などに応じて使い分けても良い。例えば、要求出力の変化が比較的緩やかな場合には第1の制御態様を適用し、比較的急激である場合には第2の制御態様を適用してもよい。また、本発明は、制御装置としての態様に限らず、エンジンの運転を制御する制御方法として構成してもよい。上述の制御は、混合気に点火プラグで点火する燃焼方法(以下、火花点火と呼ぶ)を採る場合、自着火による燃焼方法を採る場合のいずれにも適用可能である。火花点火と自着火とが混在してもよい。例えば、自着火による2サイクル運転と、火花点火による4サイクル運転とを行う場合の切り換え制御に適用してもよい。サイクルによって燃焼方法が異なる場合には、特に、燃焼の悪化等による弊害が生じやすいため、本発明の有用性が高い。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態につき、以下の順序で説明する。
A.装置構成:
B.制御マップ:
C.運転制御:
D.4C→2C切換処理:
E.2C→4C切換処理:
F.4C→2C切換処理の変形例:
【0022】
A.装置構成:
図1は実施例としてのエンジンシステムを示す説明図である。本実施例のエンジンシステムは、車両に搭載された3気筒のガソリンエンジンと、その運転を制御する制御ユニット100から構成される。図中では、説明の便宜上、ガソリンエンジンの各気筒に、#1〜#3の記号を付した。
【0023】
制御ユニット100は、内部にCPU、RAM、ROMを備えるマイクロコンピュータとして構成されている。CPUは、ROMに備えられたプログラムに従って、ソフトウェア的にガソリンエンジンの動作を制御する。制御ユニット100には、この制御を行うために種々の信号が入出力される。図中では、代表的なもののみを示した。入力信号としては、アクセル開度センサ21によって検出されるアクセルペダルの踏み込み量、回転数センサ23によって検出されるエンジンの回転数などが含まれる。出力信号については、エンジンの構成と併せて順次説明する。
【0024】
#1の気筒を例にとって、エンジンの構造を説明する。エンジンは、燃焼室で燃料を燃焼させて動力を出力する。燃焼室に空気を吸入するための吸気管17には、吸気弁11が設けられている。空気は、吸気弁11が開いている間、燃焼室に導入される。本実施例では、吸気弁11の開閉は、制御ユニット100からの制御信号に基づき、電磁駆動されるアクチュエータ14によって制御される。
【0025】
吸気管17には、燃料を噴射するためのインジェクタ16が設けられている。本実施例では、気筒内に直接燃料を噴射するいわゆる直噴タイプのエンジンを例示しているが、吸気管内に噴射するいわゆるポート噴射タイプのエンジンを用いても構わない。制御ユニット100は、吸入空気量に応じてインジェクタ16を制御し、正常な燃焼が行われるよう適量の燃料を噴射させる。
【0026】
燃焼室内には、点火プラグ13が設けられている。燃料と空気との混合気は、燃焼室内で圧縮された後、点火プラグ13によって点火される。制御ユニット100は、エンジンの回転数、要求負荷等に応じて、点火時期を制御する。
【0027】
燃焼後の排気は、排気管18から排出される。排気管18には、排気弁12が設けられている。排気弁12の開閉は、電磁駆動されるアクチュエータ15によって制御される。
【0028】
煩雑化を避けるため、図示を省略したが、#2〜#3の気筒も、#1と同様の構造である。
【0029】
エンジンから出力される動力は、燃焼室への吸気量によって変動する。本実施例では、吸気量は、吸気管17の負圧によって制御される。#1〜#3の吸気管は、上流でインテークマニホールド111に接続されている。インテークマニホールドの上流の吸気管内には、スロットル弁22が設けられている。制御ユニット100がスロットル弁22の開度を制御すると、吸気管の負圧が変動し、吸入空気量が変動する。例えば、スロットル弁22がほぼ全開の場合には、吸気管内は大気圧となり、燃焼室内に吸気されやすくなるため、吸気量が大きくなる。スロットル弁22を絞ると、吸気管内は大気圧よりも低い負圧となるため、燃焼室への吸気量は抑制される。この他、吸気量は、スロットル弁22の開度の他、吸気弁11が開いている期間およびリフト量によっても制御可能である。スロットル弁22の他、吸気弁11を用いた吸気量制御を併用してもよい。
【0030】
スロットル弁22の上流側には、吸気管の圧力を大気圧よりも高めることによって、吸気を促進する過給器112が設けられている。過給器112には、ターボ、スーパーチャージャなど、種々のタイプを適用可能である。
【0031】
B.制御マップ:
図2はエンジンの制御に利用される制御マップを示す説明図である。各マップは、制御ユニット100に予め記憶されている。
【0032】
本実施例のエンジンは、2サイクル、4サイクルの2種類を使い分けて運転する。本実施例のエンジンは、#1〜#3の3つの気筒を有しており、クランクシャフトを円滑に回転させるために、各気筒において燃焼を行う順序が次の通り設定されている。
4サイクル運転時…#3→#2→#1;
2サイクル運転時…#1→#2→#3;
【0033】
制御ユニット100には、エンジンの運転を制御するために、多種多様なマップを備えているが、図中には、運転サイクルの使い分けを実現するために使用されるマップを示した。エンジンの運転制御を行うメインルーチンに相当する運転制御部101は、エンジンの回転数、アクセル開度、エンジンの水温などのパラメータに基づき、各種マップを参照して、燃料噴射量、点火時期、バルブタイミング、吸気量などを制御する。
【0034】
バルブ制御マップ106は、各サイクルでの運転時における吸気弁および排気弁の開閉タイミングの基準値を与えるマップである。吸気弁、排気弁の開閉タイミングは、各サイクルで固定ではなく、この基準値に対して、エンジンの回転数、要求負荷などに応じた補正が加えられる。
【0035】
図中の各符号は、次の事項を意味する。
破線…吸気弁が開いている期間; 実線…排気弁が開いている期間;
TDC…上死点; BDC…下死点;
Po…爆発行程; Ex…排気行程および掃気行程;
In…吸気行程; Co…圧縮行程;
★…点火または自着火;
【0036】
4サイクルでは、ピストンがTDCからBDCに移行する行程、またはBDCからTDCに移行する行程に、ほぼ対応して、いずれかの燃焼行程を実行する。
【0037】
2サイクルでは、爆発行程においてピストンがTDCからBDCに移行する途中で、排気弁を開き排気行程を開始する。燃焼ガスは高圧であるため、シリンダ容積が拡大している最中でも、排気弁を開くことにより、排気が行われる。次に、BDC近傍で、排気弁を開いた状態で、吸気弁を開く。吸気管17の圧力は過給器112によって十分高められているから、吸気弁を開くことにより、吸気が行われる。この吸気は燃焼ガスを排気する作用も奏するため、排気弁と吸気弁の双方が開いている期間を掃気行程と称することもある。本実施例では、排気行程と掃気行程とを併せて、単に排気行程と称するものとする。吸気弁が、ピストンがBDCからTDCに移行する途中で閉じることにより、吸気行程が完了し、圧縮行程が開始される。TDC近傍で、混合気は、燃焼し、爆発行程が始まる。
【0038】
4サイクルから2サイクルへの遷移運転(図中の「4C→2C遷移」)では、4サイクルと同様、エンジンが2回転する間に1回の割合で点火を行う。但し、吸気弁の開期間は、4サイクル時よりも短く設定されている。この開期間は、燃焼室内の混合気が2サイクル運転時の初回燃焼を実現可能な状態となるよう調整された期間である。本実施例では、排気弁は4サイクル時と同じ開期間としたが、吸気弁と同様に調整してもよい。
【0039】
一般にガソリンエンジンにおける混合気の燃焼は、火花点火と自着火の2通りがある。火花点火とは、点火プラグで点火することにより、混合気を燃焼する方法である。自着火とは、混合気を圧縮してガソリンの発火点に至るまで高温にすることにより、混合気を発火させ、燃焼する方法である。自着火では、点火プラグによる点火は不要であるが、発火を促進する等の目的で補助的に点火プラグを使用してもよい。本実施例では、4サイクルは火花点火、2サイクルは自着火を適用するものとした。4サイクルから2サイクルへの遷移運転を行った直後は、遷移を確実に行わせるため、火花点火するものとした。遷移運転中に自着火に必要な混合気の状態および圧縮端温度を実現できる場合には、自着火させるものとしてもよい。
【0040】
サイクルマップ102は、エンジンの回転数および負荷に応じて、運転サイクルを決定するためのマップである。本実施例では、中負荷、中回転数領域で2サイクル、その他の領域で4サイクルを適用するものとした。各領域の境界近傍でサイクルが頻繁に切り替わることを回避するため、各領域間には、ヒステリシスが設けられている。サイクルマップ102は、各サイクルでの特徴を考慮して、種々の設定が可能である。
【0041】
燃料噴射量マップ103は、エンジンの回転数および負荷に応じて、燃料噴射量を決定するためのマップである。図中には、燃料噴射量一定の複数の曲線を示した。燃料噴射量には、理想的な空燃比を実現するよう、吸気量に応じた補正を考慮してもよい。燃料噴射量マップ103は、2サイクル、4サイクルに対して、個別に用意される。
【0042】
点火時期マップ104は、エンジンの回転数および負荷に応じて、点火時期の基準値を与えるためのマップである。点火時期は、TDCからのクランクシャフトの進角量で与えることができる。点火時期には、この基準値から、ノッキングの有無等に基づく補正を加えてもよい。先に説明した通り、2サイクルでは自着火を適用しているため、点火時期マップ104は、4サイクルに対して用意される。
【0043】
吸気量マップ105は、エンジンの回転数および負荷に応じて、吸気量を決定するためのマップである。吸気量マップ105は、2サイクル、4サイクルに対して、個別に用意される。
【0044】
上述した各マップについては、エンジン水温などをパラメータに含めて、多次元的に設定してもよい。
【0045】
C.運転制御:
図3は運転サイクルの切換タイミングを示す説明図である。エンジンの運転中に制御ユニット100が繰り返し実行する処理である。この処理が開始されると、制御ユニット100は、アクセル開度、回転数など制御に必要なパラメータ値を入力する(ステップS10)。そして、これらのパラメータ値に基づき、サイクルマップ102を参照して、エンジンの運転サイクルを決定する(ステップS12)。
【0046】
こうして決定された運転サイクルと現状の運転サイクルとの異同に基づいて、制御ユニット100は、運転サイクルの切換の要否を判断する(ステップS14)。4サイクル運転中に、2サイクル運転を行うよう決定された場合には、「4C→2C切換処理」を実行する(ステップS20)。2サイクル運転中に、4サイクル運転を行うよう決定された場合には、「2C→4C切換処理」を実行する(ステップS40)。これらの処理内容については、後述する。切換不要と判断された場合には、これらの処理は、スキップされる。
【0047】
こうして、運転サイクルが決まると、制御ユニット100は、運転サイクル、アクセル開度、回転数に応じて、先に図2に示した各マップを参照して、エンジンの出力制御を行う(ステップS60)。
【0048】
D.4C→2C切換処理:
図4は4サイクル運転から2サイクル運転への切換シーケンスを例示する説明図である。#1〜#3の各気筒の運転状態の時間変化を示した。本実施例では、4サイクルから、図2で説明した遷移運転を経て2サイクルに遷移する。この遷移は、各気筒につき、4サイクルの爆発行程から開始される。
【0049】
図示する通り、#1〜#3が4サイクル運転されている最中に、#1気筒の排気行程の途中で切換指示が行われたものとする。この時、#2気筒は圧縮行程の途中であり、#3気筒は爆発行程の途中である。遷移運転への切り換えは、爆発行程から開始されるから、図の例では、#3気筒で最も早く遷移運転が開始される。遷移運転の期間をハッチングで図示した。遷移運転中は、先に示した通り、吸気弁の開き期間の制御によって、2サイクル運転時の初回燃焼が安定して実現可能な状態に、燃焼室内の雰囲気が整えられる。4サイクルでは「#3→#2→#1」の順序で燃焼が行われるから、遷移運転にも、この順序で移行する。こうしてエンジンが2回転する期間に相当する遷移運転が終了すると、各気筒はそれぞれ2サイクル運転に移行する。区間Dでは、燃焼順序は、「#3→#2→#3→#1→#2→#3」という変則的な順序となるが、その後は、2サイクル運転の正常な燃焼順序「#1→#2→#3」が実現される。図4には、切換の一例を示したが、切換指示がいかなるタイミングで行われても、同様の考え方により、順次、運転サイクルを切り換えることができる。
【0050】
図5は「4C→2C切換処理」のフローチャートである。図4で説明した切換を実現するための処理内容を示した。制御ユニット100は、この処理を#1〜#3の気筒それぞれについて実行する。
【0051】
処理が開始されると、制御ユニット100は、処理対象となっている気筒について、現状の運転サイクルについて判断する(ステップS21)。4サイクル運転をしている場合には、爆発行程が完了した時点で、遷移運転への移行を行う(ステップS23、S25)。その他の行程中である場合には、4サイクル運転を継続する(ステップS23、S24)。
【0052】
遷移運転をしている場合には、遷移運転が完了した時点で、2サイクル運転への移行を行う(ステップS22、S26)。未完了の場合には、遷移運転を継続する(ステップS22、S25)。本実施例では、遷移運転の期間をエンジン2回転に相当する期間と設定しているため、遷移運転を開始した後の回転数によって、遷移運転の完了を判断することができる。遷移運転の期間を予め規定せず、圧縮端温度に関するパラメータ、例えば、排気温度などが、2サイクル運転に適した条件を満足しているか否かによって、遷移運転の完了を判断してもよい。
【0053】
制御ユニット100は、以上の判断結果に基づき、4サイクル運転(ステップS24)、遷移運転(ステップS25)、2サイクル運転(ステップS26)のいずれかを実行する。制御ユニット100は、運転サイクルの遷移時におけるトルクショックを緩和するため、各気筒について、各運転時の目標出力を次の通り設定する。
【0054】
4サイクル運転時、2サイクル運転時には、回転数、アクセル開度に応じて定まる総出力が得られるよう、各気筒の目標出力が均等に設定される。2サイクル運転時には4サイクル運転時の倍の頻度で爆発行程が実行されるから、2サイクル運転時の各気筒の目標出力は4サイクル運転時の概ね半分程度となる。遷移運転中の目標出力は、4サイクル運転時の目標出力(以下、「4サイクル出力」と呼ぶ)と、2サイクル運転時の目標出力(以下、「2サイクル出力」と呼ぶ)の補間値に設定する。本実施例では、補間値として、両者の平均値、即ち、「(4サイクル出力+2サイクル出力)/2」を用いた。
【0055】
補間値は、遷移運転中に目標出力が、4サイクル出力から2サイクル出力に漸近するように、各気筒で異なる値としてもよい。例えば、目標出力の変化量ΔPを設定し、n番目(nは自然数)に遷移運転を開始する気筒の目標出力を、「4サイクル出力+n×ΔP」と設定することができる。変化量ΔPを、「(2サイクル出力−4サイクル出力)/気筒数」と設定すれば、最後に遷移運転を行う気筒の目標出力は、2サイクル出力と一致する。変化量ΔPを、「(2サイクル出力−4サイクル出力)/(気筒数+1)」と設定すれば、遷移運転が完了した後、次に爆発行程を実行する気筒から、目標出力が2サイクル出力と一致するようになる。
【0056】
図4の区間Dにおける#3気筒のように、遷移運転中に変則的な順序で2サイクル運転が行われる場合には、この2サイクル運転も遷移運転の一過程とみなして、目標出力を設定してもよい。例えば、区間Dにおける目標出力を次の通り設定することができる。
#3(遷移運転)の目標出力=4サイクル出力+ΔP;
#2(遷移運転)の目標出力=4サイクル出力+2×ΔP;
#3(2サイクル運転)の目標出力=4サイクル出力+3×ΔP;
#1(遷移運転)の目標出力=4サイクル出力+4×ΔP;
#2、#3(2サイクル運転)の目標出力=2サイクル出力;
ΔP=(2サイクル出力−4サイクル出力)/5;
【0057】
E.2C→4C切換処理:
図6は2サイクル運転から4サイクル運転への切換シーケンスを例示する説明図である。#1〜#3の各気筒の運転状態の時間変化を示した。本実施例では、2サイクル運転における爆発行程から4サイクルに遷移する。2サイクル運転と4サイクル運転では、排気行程のタイミングが異なるため、2サイクル運転における排気行程が開始される前の状態にある気筒から切換を実行することが好ましい。本実施例では、かかる観点から、最初に切換を行う気筒(以下、切換気筒と呼ぶ)を決定する。また、その後の切換は、4サイクル運転における燃焼順序を考慮して設定する。
【0058】
図示する通り、#1〜#3が2サイクル運転されている最中に、#1気筒の圧縮行程の途中で切換指示が行われたものとする。この時、#2気筒は吸気行程の途中であり、#3気筒は爆発行程の途中である。上述の条件に従った切換を決定するため、本実施例では、切換指示が行われた時点のクランク角に基づいて切換気筒を決定するものとした。図の上方に示す通り、#1気筒が上死点にある状態を基準として、2サイクル運転中のクランク角を0〜360度の範囲で定義する。「クランク角<90°」の状態では、排気行程が行われる直前の状態にある#1気筒が切換気筒となる。「90°≦クランク角<210°」の状態では、#2気筒が切換気筒となる。「210°≦クランク角<330°」の状態では、#3気筒が切換気筒となる。「330°≦クランク角<360°」の状態では、再び#1気筒が切換気筒となる。切換気筒を判断する基準となるクランク角は、気筒数、2サイクル運転時の排気行程の開始タイミングなどを考慮して、任意に設定可能である。
【0059】
図の例では、切換気筒は#3気筒に設定される。従って、#3気筒については、切換指示の直後から4サイクル運転が開始される。切換気筒以外の気筒の切換は、4サイクル運転時の燃焼順序「#3→#2→#1」に従って行われる。#2気筒は、切換指示の後、区間D1で2サイクル運転を行った後、4サイクル運転に切換られる。#1気筒は、区間D2で2サイクル運転を行った後、4サイクル運転に切換られる。図6には、切換の一例を示したが、切換指示がいかなるタイミングで行われても、同様の考え方により、順次、運転サイクルを切り換えることができる。
【0060】
図7は「2C→4C切換処理」のフローチャートである。図6で説明した切換を実現するための処理内容を示した。制御ユニット100は、この処理を#1〜#3の気筒について、繰り返し実行する。
【0061】
処理が開始されると、制御ユニット100は、切換判断時のクランク角CAを入力し(ステップS41)、切換パターンを決定する(ステップS42)。切換パターンとは、各気筒の切換順序を規定するパターンである。図中に、クランク角CAと切換パターンとの関係を図示した。先に図6で説明した関係をテーブル化したものである。ステップS41、S42については、全気筒について行う必要はなく、いずれか一つの気筒について1回行えば足りる。従って、切換パターンが一旦設定された後は、ステップS41,S42を省略して差し支えない。
【0062】
制御ユニット100は、制御対象となっている気筒の運転サイクルを判断する(ステップS43)。既に4サイクル運転されている場合には、運転サイクルを切り換えるための制御は不要と判断し、4サイクル運転制御を実行する(ステップS45)。2サイクル運転されている場合、運転サイクルの切換タイミングに至るまでは(ステップS44)、2サイクル運転制御を実行し(ステップS46)、切換タイミングに至った後は、4サイクル運転制御を実行する(ステップS45)。切換タイミングに至ったか否かは、切換パターンと他の気筒の運転サイクルに基づいて判断することができる。例えば、切換パターンが「#2→#1→#3」である場合、#2気筒が4サイクル運転を開始した時点で、#1気筒は切換タイミングに至ったと判断することができる。また、#1気筒が4サイクル運転を開始した時点で、#3気筒は切換タイミングに至ったと判断することができる。
【0063】
制御ユニット100は、以上の判断結果に基づき、4サイクル運転(ステップS45)、2サイクル運転(ステップS46)のいずれかを実行する。全気筒が4サイクル運転への移行を完了するまでの間、各運転時の目標出力は、それぞれ4サイクル出力、2サイクル出力に設定してもよいが、「4C→2C切換処理」(図5参照)で説明したように、補間値に設定してもよい。
【0064】
以上で説明した実施例のエンジンシステムによれば、2サイクル運転と4サイクル運転の切換時における燃焼の悪化を抑制し、円滑な切換を実現することができる。
【0065】
F.4C→2C切換処理の変形例:
図8は変形例としての4サイクル運転から2サイクル運転への切換シーケンスを例示する説明図である。変形例では、運転サイクルの速やかな切換を実現するため、4サイクル運転における爆発行程または吸気行程のうち切換指示後に最初に実行される行程から、2サイクル運転への切り換えを実行する。爆発行程からの切り換えでは、遷移運転を挟まずに直接、2サイクル運転に移行する。
【0066】
吸気行程からの切り換えでは、吸気行程において吸気弁の開き期間を4サイクルの時よりも短くし、2サイクル時に相当する吸気量を実現し、その後の爆発行程から完全に2サイクル運転に移行する。4サイクル時には、ピストンが上死点から下死点に移動する際に吸気行程が行われるのに対し、2サイクル時には、下死点から上死点に移動する際に吸気行程が行われため、吸気行程からの切換では、4サイクル運転、2サイクル運転のいずれとも異なるタイミングで吸気弁の開閉タイミングを制御する必要がある。以下、説明の便宜上、この変則的な開閉タイミングでの運転を遷移運転を呼ぶものとする。変形例では、遷移運転中の弁の開閉タイミングとして、実施例で図2に示した「4C→2C遷移」を適用するものとしたが、これと異なるタイミングとしてもよい。
【0067】
図の例において、#1気筒の吸気行程の途中で切換指示が出されたものとする。この時、#2気筒は圧縮行程、#3気筒は排気行程にある。#1気筒については、切換指示の後、吸気行程よりも爆発行程が先に実行されるから、爆発行程から2サイクル運転に切り換えられる。#2気筒についても同様である。#3気筒については、吸気行程の方が先に実行されるから、吸気行程から2サイクル運転に切り換えられる。従って、#3気筒については、図中にハッチングで示す区間Dtで、遷移運転が行われる。
【0068】
2サイクルへの切換を行うべき行程は、例えば、クランク角に基づいて判断することができる。図の上方に示す通り、上死点にある状態を基準として2回転分(0〜720°)の範囲で4サイクルにおけるクランク角を定義する。「450°≦クランク角<690°」の状態(図中の区間Di)にある時には、吸気行程が爆発行程よりも先に行われるとともに、遷移運転で吸気弁の制御することが可能であるため、吸気行程からの切換を行う。その他の状態にある時には、爆発行程から切換を行う。各気筒の上死点を基準としてクランク角を定義することにより、#2,#3気筒についても同様に切換を行うべき行程を判断することができる。
【0069】
図9は変形例としての「4C→2C切換処理」のフローチャートである。図8で説明した切換を実現するための処理内容を示した。制御ユニット100は、この処理を#1〜#3の気筒について、繰り返し実行する。
【0070】
処理が開始されると、制御ユニット100は、切換判断時のクランク角CAを入力し(ステップS31)、切換タイミングを決定する(ステップS32)。図8で説明した通り、「450°≦CA<690°」であれば、吸気行程からの切換、その他の場合には、爆発行程からの切換に設定される。
【0071】
制御ユニット100は、制御対象となっている気筒の運転サイクルを判断する(ステップS33)。既に2サイクル運転されている場合には、運転サイクルを切り換えるための制御は不要と判断し、2サイクル運転制御を実行する(ステップS38)。4サイクル運転されている場合、爆発行程が開始される時点で、2サイクル運転への切換タイミングに至ったものと判断し、2サイクル運転制御を実行する(ステップS35、S38)。吸気行程が開始される時点で、遷移運転への切換タイミングに至ったものと判断し、遷移運転を実行する(ステップS35、S37)。その他の場合には、4サイクル運転を継続する(ステップS35、S36)。
【0072】
吸気行程からの切換を行う気筒について、遷移運転がされている場合には(ステップS33)、遷移運転が完了した時点で2サイクル運転に移行する(ステップS34、S38)。完了前は、遷移運転を継続する(ステップS37)。
【0073】
制御ユニット100は、以上の判断結果に基づき、4サイクル運転(ステップS36、遷移運転(ステップS37)、2サイクル運転(ステップS38)のいずれかを実行する。全気筒が2サイクル運転への移行を完了するまでの間、各運転時の目標出力は、それぞれ4サイクル出力または2サイクル出力に設定してもよいが、「4C→2C切換処理」(図5参照)で説明したように、補間値に設定してもよい。
【0074】
変形例の切換処理によれば、少なくとも一部の気筒について、遷移運転が省略されるため、2サイクル運転に速やかに切り換えることができる。
【0075】
変形例では、0°〜720°の範囲のうち、1/3に相当する区間を吸気行程からの切換に設定しているため、必ず1つの気筒は吸気行程からの切り換えが行われる。このように、一部の気筒について、遷移運転を介在させることにより、切換時のトルクショックを緩和することができる。変形例において、ステップS32の判断を省略し、全気筒について爆発行程からの切換を行うものとしてもよい。
【0076】
実施例における切換(図5)と、変形例の切換(図9)とを、使い分けても良い。例えば、アクセル開度の変化率が所定値以下の場合には、実施例の切換を適用し、所定値よりも大きい場合には、速やかな切換が要求されていると判断されるため、変形例の切換を適用してもよい。
【0077】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。例えば、上述の制御は、ソフトウェア的に実現してもよいし、ハードウェア的に実現してもよい。上述の制御は、2サイクル運転、4サイクル運転に加えて6サイクル運転を併用するエンジンにも適用可能である。実施例では、4サイクルを火花点火、2サイクルを自着火で燃焼させる場合を例示したが、本発明は、共に火花点火または自着火の場合にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例としてのエンジンシステムを示す説明図である。
【図2】エンジンの制御に利用される制御マップを示す説明図である。
【図3】運転サイクルの切換タイミングを示す説明図である。
【図4】4サイクル運転から2サイクル運転への切換シーケンスを例示する説明図である。
【図5】「4C→2C切換処理」のフローチャートである。
【図6】2サイクル運転から4サイクル運転への切換シーケンスを例示する説明図である。
【図7】「2C→4C切換処理」のフローチャートである。
【図8】変形例としての4サイクル運転から2サイクル運転への切換シーケンスを例示する説明図である。
【図9】変形例としての「4C→2C切換処理」のフローチャートである。
【符号の説明】
11…吸気弁
12…排気弁
13…点火プラグ
14、15…アクチュエータ
16…インジェクタ
17…吸気管
18…排気管
21…アクセル開度センサ
22…スロットル弁
23…回転数センサ
100…制御ユニット
101…運転制御部
102…サイクルマップ
103…燃料噴射量マップ
104…点火時期マップ
105…吸気量マップ
106…バルブ制御マップ
111…インテークマニホールド
112…過給器
Claims (12)
- 吸気、圧縮、爆発、排気の4行程を繰り返し実行して運転するエンジンの運転を制御する制御装置であって、
前記エンジンの回転数および負荷に関する要求値を入力する要求値入力部と、
前記エンジンが2回転する間に前記4行程を実行する4サイクル運転を行う4サイクル運転制御部と、
前記エンジンが1回転する間に前記4行程を実行する2サイクル運転を行う2サイクル運転制御部と、
前記要求値に基づいて前記4サイクル運転から前記2サイクル運転への遷移を行う遷移制御部とを備え、
該遷移制御部は、
前記4サイクル運転における爆発行程に続けて、該エンジンが2回転する間に前記4行程を実行するとともに、該エンジンの燃焼室内の雰囲気が2サイクル運転における初回燃焼を達成可能な状態となるよう該エンジンの吸気量、排気量を制御する制御装置。 - 吸気、圧縮、爆発、排気の4行程を繰り返し実行して運転するエンジンの運転を制御する制御装置であって、
前記エンジンの回転数および負荷に関する要求値を入力する要求値入力部と、
前記エンジンが2回転する間に前記4行程を実行する4サイクル運転を行う4サイクル運転制御部と、
前記エンジンが1回転する間に前記4行程を実行する2サイクル運転を行う2サイクル運転制御部と、
前記要求値に基づいて前記4サイクル運転から前記2サイクル運転への遷移を行う遷移制御部とを備え、
該遷移制御部は、
前記4サイクル運転における爆発行程、吸気行程のうち、前記要求値に基づいて前記遷移を判断した後、最初に実行される行程から前記2サイクル運転を開始させる制御装置。 - 請求項2記載の制御装置であって、
前記エンジンは、複数の気筒を有しており、
前記遷移制御部は、該複数の気筒の一部についてのみ、前記爆発行程での遷移を適用する制御装置。 - 請求項2記載の制御装置であって、
前記行程での遷移が適用される気筒は、前記判断の後、最先に爆発行程を実行する気筒を含む制御装置。 - 複数の気筒を有し、気筒ごとに異なるタイミングで吸気、圧縮、爆発、排気の4行程を繰り返し実行して運転するエンジンの運転を制御する制御装置であって、
前記エンジンの回転数および負荷に関する要求値を入力する要求値入力部と、
前記エンジンが2回転する間に前記4行程を実行する4サイクル運転を行う4サイクル運転制御部と、
前記エンジンが1回転する間に前記4行程を実行する2サイクル運転を行う2サイクル運転制御部と、
前記要求値に基づいて前記2サイクル運転から前記4サイクル運転への遷移を行う遷移制御部とを備え、
該遷移制御部は、前記要求値に基づいて前記遷移を判断した後、2サイクル運転において最初に爆発行程を迎える気筒から順次遷移させる制御装置。 - 請求項5記載の制御装置であって、
前記4サイクル運転制御部は、前記複数の気筒について、所定の順序で爆発行程を実行し、
前記遷移制御部は、前記順序が実現されるよう、各気筒の遷移順序を決定する制御装置。 - 請求項6記載の制御装置であって、
前記遷移制御部は、各気筒について、前記2サイクル運転から4サイクル運転に直接遷移させる制御装置。 - 請求項1〜6いずれか記載の制御装置であって、
前記遷移制御部は、
各気筒について、前記遷移前後の各運転時に対して前記要求値に基づいて定まるそれぞれの目標出力を補間する値を、遷移中の各気筒の目標出力に設定する制御装置。 - 請求項5記載の制御装置であって、
前記遷移制御部は、前記各気筒の目標出力を、遷移順序に従って、前記遷移前の目標出力から遷移後の目標出力に漸近させる制御装置。 - 吸気、圧縮、爆発、排気の4行程を繰り返し実行して運転するエンジンの運転を制御する制御方法であって、
前記エンジンの回転数および負荷に関する要求値を入力する要求値入力ステップと、
前記エンジンが2回転する間に前記4行程を実行する4サイクル運転を行う4サイクル運転ステップと、
前記エンジンが1回転する間に前記4行程を実行する2サイクル運転を行う2サイクル運転ステップと、
前記要求値に基づいて前記4サイクル運転から前記2サイクル運転への遷移を行う遷移ステップとを備え、
該遷移ステップは、
前記4サイクル運転における爆発行程に続けて、該エンジンが2回転する間に前記4行程を実行するとともに、該エンジンの燃焼室内の雰囲気が2サイクル運転における初回燃焼を達成可能な状態となるよう該エンジンの吸気量、排気量を制御する制御方法。 - 吸気、圧縮、爆発、排気の4行程を繰り返し実行して運転するエンジンの運転を制御する制御方法であって、
前記エンジンの回転数および負荷に関する要求値を入力する要求値入力ステップと、
前記エンジンが2回転する間に前記4行程を実行する4サイクル運転を行う4サイクル運転ステップと、
前記エンジンが1回転する間に前記4行程を実行する2サイクル運転を行う2サイクル運転ステップと、
前記要求値に基づいて前記4サイクル運転から前記2サイクル運転への遷移を行う遷移ステップとを備え、
該遷移ステップは、
前記4サイクル運転における爆発行程、吸気行程のうち、前記要求値に基づいて前記遷移を判断した後、最初に実行される行程から前記2サイクル運転を開始させる制御方法。 - 複数の気筒を有し、気筒ごとに異なるタイミングで吸気、圧縮、爆発、排気の4行程を繰り返し実行して運転するエンジンの運転を制御する制御方法であって、
前記エンジンの回転数および負荷に関する要求値を入力する要求値入力ステップと、
前記エンジンが2回転する間に前記4行程を実行する4サイクル運転を行う4サイクル運転ステップと、
前記エンジンが1回転する間に前記4行程を実行する2サイクル運転を行う2サイクル運転ステップと、
前記要求値に基づいて前記2サイクル運転から前記4サイクル運転への遷移を行う遷移ステップとを備え、
該遷移ステップは、前記要求値に基づいて前記遷移を判断した後、2サイクル運転において最初に爆発行程を迎える気筒から順次遷移させる制御方法。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070925 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080226 |