JP2004107574A - インクジェットプリンタ用油性インク組成物および電子写真用液体現像剤 - Google Patents
インクジェットプリンタ用油性インク組成物および電子写真用液体現像剤 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】着色剤が均一に微粒子分散され、且つ着色剤分散液の分散安定性に優れ、ノズル部での目詰まりが起きない吐出安定性が高く、更に記録紙上での乾燥性、記録画像の耐水性、耐光性に優れ、高度の耐擦過性を有するインクジェットプリンタ用油性インクを提供する。
【解決手段】着色剤を表面処理した着色成分を該非水溶媒中に微粒子状に分散して得た着色成分微粒子をシード粒子として、一官能性単量体(A)の少なくとも一種と、ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の置換基を有する一官能性単量体(B)の少なくとも1種と、を加えた分散液を、重合開始剤の存在下に分散重合させて着色樹脂粒子を製造し、インクジェットプリンタ用油性インク組成物又は電子写真用液体現像剤とする。
【選択図】 なし
【解決手段】着色剤を表面処理した着色成分を該非水溶媒中に微粒子状に分散して得た着色成分微粒子をシード粒子として、一官能性単量体(A)の少なくとも一種と、ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の置換基を有する一官能性単量体(B)の少なくとも1種と、を加えた分散液を、重合開始剤の存在下に分散重合させて着色樹脂粒子を製造し、インクジェットプリンタ用油性インク組成物又は電子写真用液体現像剤とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクを飛翔させ、記録紙等の被転写媒体上に文字や画像を形成するインクジェット記録装置に供する油性インクに関し、特に、着色樹脂粒子が、着色剤が表面処理された着色成分粒子を更にポリマー被覆した着色樹脂粒子である油性インク、電子写真現像剤及び該着色樹脂粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット記録方式としては、オンディマンド(随意噴射)とコンティニアス(連続噴射)の方式が知られており、更に連続型では静電方式(Sweet型、Hertz型)、オンディマンド型ではピエゾ圧電方式、シェアモードピエゾ圧電方式、サーマルインクジェット方式、静電加速型と呼ばれる記録方式等が知られている。
これらインクジェット記録方式に用いるインクとしては、インク吐出部及びインク供給経路でインク目詰まりがなく、吐出安定性に優れ且つ、色彩・光沢性等のカラー画像としての品質が良好なものとして一般に水性インクが用いられている。
【0003】
静電力を用いるオンディマンド型のインクジェット方式としては、静電加速型インクジェットあるいはスリットジェットと呼ばれる方式が知られている。これは、インクタンクからスリット状のインク保持部内面に多数の電極を配置してなるスリット状インク室にインクを供給し、これらの電極に選択的に高電圧を印加することにより、スリットと近接対向する記録紙に電極近傍のインクを噴射させて記録するものである。
【0004】
一方、スリット状の記録ヘッドを用いない濃縮吐出型の静電方式も知られている。これは、インク中の色剤成分に静電力を作用させるための複数個の個別電極を、貫通孔の形成された絶縁性基板とこの貫通孔に対応して形成された制御電極とからなる制御電極基板と、この貫通孔のほぼ中心位置に配置された凸状インクガイドとから構成し、この凸状インクガイドの表面を表面張力でインクをインク滴飛翔位置まで運び、制御電極に所定の電圧を印加することで記録媒体にインク滴を飛翔させ記録するものである。
【0005】
この様な種々のインクジェット記録方式に用いるインクとしては、各種の水溶性染料を水または水及び水溶性有機溶剤からなる溶媒中に溶解、必要により各種添加剤が添加されたものが主流を占めている(以下水性染料インクと呼称する)。しかしながら、水性染料インクを用いて実印字を行った場合、紙種により記録紙上でインクがにじみ高品位な印字が得られない、形成された記録画像の耐水性・耐光性が劣っている、記録紙上での乾燥が遅く尾引きが起こる、カラーの混色(異色のドットを隣接して印字した場合に色境界面で生じる色濁りあるいは色ムラ)による記録画像の劣化等の欠点があった。
【0006】
そこで前記の水性染料インクの問題点である記録画像の耐水性・耐光性を改善する意味で、水性溶媒あるいは非水性溶媒体中に顔料を微粒子を分散してなる、顔料系インクをインクジェット記録方式に適用する試みが種々なされており、例えば、水を主成分とした溶媒中に顔料を分散させたインクジェットプリンタ用インクが提案されている。しかしながら、顔料が媒体に不溶であるため、一般に分散安定性が悪い、ノズル部で目詰まりを起こしやすい等の問題を有していた。
【0007】
一方、顔料を非極性の絶縁性溶媒に分散させたインク(以下油性顔料インクと呼称する)は、紙への吸収性が良いため滲みが少なく、また、記録画像の耐水性が良いなどの利点があり、例えば、特許文献1(特開昭57−10660号公報)ではアルコールアミド系分散剤で、また特許文献2(特開昭57−10661号公報)ではソルビタン系分散剤により、顔料を微粒子化した油性顔料インクが提案されている。しかしながら、顔料粒子を非極性の絶縁性溶媒に均一に微粒子分散させるには十分でなく、また、分散安定性が悪いため、ノズル部で目詰まりを起こしやすい等の問題を依然として有していた。更に顔料自体には記録紙に対する固着能がないために耐擦過性に乏しいという大きな欠点があった。
【0008】
これらを改良するために、非極性の絶縁性溶媒に可溶な樹脂を固着剤および顔料分散剤として兼用して用いる樹脂溶解型油性インクが提案されており、例えば、特許文献3(特開平3−234772号公報)では上記の樹脂としてテルペンフェノール系樹脂が提案されている。しかしながら、顔料の分散安定性が未だ十分でなく、インクとしての信頼性に問題があった。更に、樹脂を非極性溶媒中に溶解させているために、顔料を記録紙に完全に定着させるだけの樹脂が残らず耐水性及び耐擦過性が十分ではなかった。
【0009】
そこで更に高度の耐擦過性を得るために、非極性の絶縁性溶媒に不溶または半溶解な樹脂で顔料粒子を被覆することが提案されており、例えば、特許文献4(特開平4−25574号公報)では、マイクロカプセル法等により顔料を樹脂で被覆した油性インクが提案されている。しかしながら、顔料内包樹脂粒子を均一に微粒子分散することが困難で、その分散安定性も十分でないため、インクとしての信頼性に問題があった。
【0010】
更に、近年は水性染料インクを使用した一般のインクジェットプリンターで写真画質での高画質化が達成されており、顔料インクでも発色性や透明性を上げるためにできるだけ顔料をできるだけ微細化し、且つその分散状態を安定に保持することが要求されてきている。
しかし、一方で、顔料を微細にすればするほど顔料の微細化と同時に顔料一次粒子の破砕が起き、更に、表面エネルギーの増加により、同時に凝集エネルギーが大きくなるため、再凝集が起こりやすくなり、結局は微細化した顔料分散体の貯蔵安定性が損なわれるといった弊害が生じてくる。この様に、インクジェットプリンター用油性顔料インクに使用される顔料分散体に対する要求は、より高度の微細化が要求されているものの、顔料を微粒子分散するには高度な技術を要すると共に、その分散安定性を高めることは非常に困難なものであり、上記を満足すべき油性顔料インクがなかなかないのが実情であった。
【0011】
また更に、静電方式のインクジェットプリンタや電子写真用液体現像剤にこれらの油性顔料インクを用いる場合には、荷電極性の制御や荷電の経時安定性が要求されるものの、顔料表面の極性を制御するのが非常に困難なため、上記を満足すべき油性顔料インクがなかないのも実情であった。非水溶媒を用いた電子写真用液体現像剤には、一般的に、脂肪族炭化水素系溶媒と着色剤と定着用樹脂と分散剤と必要に応じて添加される種々の添加剤とから成る混合物を、ボールミルやアトライター等で微粉砕して製造されている。その製造方法については、これまでに種々の提案がなされている。例えば、非水溶媒中でスチレンやアクリル系モノマー等を重合させて得られるポリマーラテックスを染料で染色し、これを着色剤とする着色液体現像剤が提案されている。しかし、着色剤として染料を用いた方法では黒色液体現像剤の製造が困難なことと、染料系なので画像濃度が低いことや、光退色などの欠点があった。一方、着色剤として顔料を用いた例としては、電子写真用液体現像剤として顔料と定着用樹脂として天然樹脂変性熱硬化性樹脂を長鎖アルキル基含有モノマー中で反応させた樹脂が提案されている。しかしながら、着色剤の分散安定性の改善には効果があるが、未だ、充分な分散安定性を有するものではなかった。このように、着色剤として顔料を用いた電子写真用液体現像剤では耐擦過性と共に十分な分散安定性が望まれていた。更に、顔料はその種類により荷電極性が異なるため顔料粒子の荷電極性を明瞭にし、且つその荷電の経時変化が無い事が望まれていた。
【0012】
【特許文献1】
特開昭57−10660号公報
【特許文献2】
特開昭57−10661号公報
【特許文献3】
特開平3−234772号公報
【特許文献4】
特開平4−25574号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の第一の目的は、顔料が均一に微粒子分散され、且つ顔料分散液の分散安定性に優れることにより、ノズル部での目詰まりが起きない吐出安定性の高いインクジェットプリンタ用油性インクを提供する事である。
本発明の第二の目的は、記録紙上での乾燥性、記録画像の耐水性、耐光性に優れており、且つ高度の耐擦過性を有するインクジェットプリンタ用油性インクを提供する事である。
本発明の第三の目的は、分散安定性、耐擦過性に優れると共に、荷電極性の制御や荷電の経時安定性にも優れた静電方式インクジェツトプリンタ用油性インク、及び電子写真用液体現像剤を提供する事である。
本発明の第四の目的は、上記の特徴を有する、均一に微粒子分散された顔料を内包する樹脂粒子からなるインクジェットプリンタ用インクを得るための製造方法を提供する事である。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、下記の構成により解決される事が見出された。
(1)誘電率1.5〜20及び表面張力15〜60mN/m(25℃において)を有する非水溶媒中に、着色剤を表面処理した着色成分を該非水溶媒中に微粒子状に分散して得た着色成分微粒子をシード粒子として、一官能性単量体(A)の少なくとも一種と、ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の置換基を有する一官能性単量体(B)の少なくとも1種と、該非水溶媒に可溶であって重合体繰り返し成分の置換基の末端に、重合性二重結合基を有する重合体を主成分とする分散安定化剤(P)の少なくとも一種とを加え、重合開始剤の存在下に分散重合させることにより得られる着色樹脂粒子を含有することを特徴とするインクジェットプリンタ用油性インク組成物。
【0015】
(2)分散安定化剤(P)が、該非水溶媒に可溶であって、下記一般式(I)で示される該非水溶媒に可溶性の重合体成分Aと、下記一般式(II)で示される重合体繰返し成分の置換基の末端に重合性二重結合基を有する重合体成分Bとを主成分とする分散安定化剤(P)で有ることを特徴とする上記(1)記載のインクジェットプリンタ用油性インク組成物。
【0016】
【化3】
【0017】
一般式(I)中、X0は−COO−、−OCO−、−(CH2)k−OCO−、−(CH2)k−COO−及び−O−から選ばれた1種或いはそれらの組み合わされた連結基を表わす。kは1〜3の整数を表す。
a1とa2は、互いに同じでも異なってもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭化水素基、−COO−Z1又は炭化水素を介した−COO−Z1 (Z1は水素原子又は置換されてもよい炭化水素基を示す)を表す。
Q0は炭素数4〜22の脂肪族基を表す。
【0018】
【化4】
【0019】
一般式(II)中、X1とX3は、互いに同じでも異なってもよく、それぞれ−COO−、−OCO−、−(CH2)k COO−、−(CH2)kOCO−、−O−、−SO2−、−CONHCOO−、−CONHCONH−、−CON(Z2)−、又は−SO2N(Z2)−を表す。ここでZ2は水素原子または炭素数1〜22の炭化水素基を示し、kは1〜4の整数を示す。
Wは結合基X1と結合基X2とを連結する基で、少なくとも1つの炭素原子、酸素原子、イオウ原子、ケイ素原子又は窒素原子からなるものを表す。
b1とb2、c1とc2は、一般式(I)におけるa1とa2と同義である。
【0020】
(3)着色剤が有機顔料及び無機顔料から選択される少なくとも一種の顔料であり、着色成分が、該着色剤をポリマー被覆することにより表面処理されたものである上記(1)記載のインクジェットプリンタ用油性インク組成物。
(4)シード粒子が、表面処理された着色成分を顔料分散剤により非水溶媒中に微粒子状に分散安定化して得た着色成分微粒子である上記(1)記載のインクジェットプリンタ用油性インク組成物。
【0021】
(5)体積比抵抗109Ωcm以上の非水溶媒中に、着色剤を表面処理した着色成分を該非水溶媒中に微粒子状に分散して得た着色成分微粒子をシード粒子として、一官能性単量体(A)の少なくとも一種と、ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の置換基を有する一官能性単量体(B)の少なくとも1種と、該非水溶媒に可溶であって重合体繰り返し成分の置換基の末端に、重合性二重結合基を有する重合体を主成分とする分散安定化剤(P)の少なくとも一種とを加え、重合開始剤の存在下に分散重合させることにより得られる着色樹脂粒子を含有することを特徴とする電子写真用液体現像剤。
(6)分散安定化剤(P)が、上記一般式(I)で示される該非水溶媒に可溶である重合体成分Aと、上記一般式(II)で示される重合体繰り返し成分の置換基の末端に、重合性二重結合基を有する重合体成分Bとを主成分とする分散安定化剤であることを特徴とする上記(5)記載の電子写真用液体現像剤。
【0022】
(7)着色剤が有機顔料及び無機顔料から選択される少なくとも一種の顔料であり、着色成分が、該着色剤をポリマー被覆することにより表面処理されたものである上記(5)記載の電子写真用液体現像剤。
(8)シード粒子が、表面処理された着色成分を顔料分散剤により非水溶媒中に微粒子状に分散安定化して得た着色成分微粒子である上記(5)記載の電子写真用液体現像剤。
【0023】
(9)誘電率1.5〜20及び表面張力15〜60mN/m(25℃において)を有する非水溶媒中に、着色剤を表面処理した着色成分を該非水溶媒中に微粒子状に分散して得た着色成分微粒子をシード粒子として、一官能性単量体(A)の少なくとも一種と、ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の置換基を有する一官能性単量体(B)の少なくとも1種と、該非水溶媒に可溶であって重合体繰り返し成分の置換基の末端に、重合性二重結合基を有する重合体を主成分とする分散安定化剤(P)の少なくとも一種とを加えた分散液を、重合開始剤の存在下に分散重合させることを特徴とする着色樹脂粒子の製造方法。
(10)分散安定化剤(P)が、上記一般式(I)で示される該非水溶媒に可溶である重合体成分Aと、上記一般式(II)で示される重合体繰り返し成分の置換基の末端に、重合性二重結合基を有する重合体成分Bとを主成分とする分散安定化剤であることを特徴とする上記(9)記載の着色樹脂粒子の製造方法。
【0024】
(11)着色剤が有機顔料及び無機顔料から選択される少なくとも一種の顔料であり、該着色剤をポリマー被覆して表面処理することを特徴とする上記(9)記載の着色樹脂粒子の製造方法。
(12)着色成分微粒子を、表面処理された着色成分を顔料分散剤により該非水溶媒中に微粒子状に分散安定化することにより得ることを特徴とする上記(9)記載の着色樹脂粒子の製造方法。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に述べる。
本発明のインクジェットプリンタ用油性インク組成物に使用される非水溶媒は、非極性の絶縁性溶剤であり、誘電率1.5〜20及び表面張力15〜60mN/m(25℃にて)であることが好ましい。また、電子写真用液体現像剤に使用される非水溶媒は、体積比抵抗109Ωcm以上であることが好ましい。更に望まれる特性としては、毒性の少ないこと、引火性が少ないこと、臭気が少ないことである。
【0026】
かかる非水溶媒としては、直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、石油ナフサ及びこれらのハロゲン置換体等から選ばれた溶媒が挙げられる。例えばヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、エクソン社のアイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、フィリップ石油社のソルトール、出光石油化学社のIPソルベント、石油ナフサではシェル石油化学社のS.B.R.、シェルゾール70、シエルゾール71、モービル石油社のベガゾール等から選ばれた溶媒を単独又は混合して用いることができる。
【0027】
好ましい炭化水素溶剤としては、沸点が150〜350℃の範囲にある高純度のイソパラフィン系炭化水素が挙げられ、市販品としては前述のエクソン化学製のアイソパーG,H,L,M,V(商品名)、ノーパー12,13,15(商品名)、出光石油化学製のIPソルベント1620,2028(商品名)、日本石油化学製のアイソゾール300,400(商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ;スピリッツ社の商品名)等が挙げられる。これらの製品は、極めて純度の高い脂肪族飽和炭化水素であり、25℃における粘度は3cSt以下、25℃における表面張力は22.5〜28.0mN/m、25℃における比抵抗は1010Ω・cm以上である。また、反応性が低く安定であり、低毒性で安全性が高く、臭気も少ないという特徴がある。
【0028】
ハロゲン置換の炭化水素系溶媒としてフルオロカーボン系溶媒があり、例えばC7F16、C8F18などのCnF2n+2で表されるパーフルオロアルカン類(住友3M社製「フロリナートPF5080」、「フローリナートPF5070」(商品名)等)、フッ素系不活性液体(住友3M社製「フロリナートFCシリーズ」(商品名)等)、フルオロカーボン類(デュポンジャパンリミテッド社製「クライトックスGPLシリーズ」(商品名)等)、フロン類(ダイキン工業株式会社製「HCFC−141b 」(商品名)等)、[F(CF2)4CH2CH2I]、[F(CF2)6I]等のヨウ素化フルオロカーボン類(ダイキンファインケミカル研究所製「I−1420」、「I−1600」(商品名)等)等が挙げられる。
【0029】
本発明で使用される非水系の溶媒として、更に高級脂肪酸エステルや、シリコーンオイルも使用できる。シリコーンオイルの具体例としては、低粘度の合成ジメチルポリシロキサンが挙げられ、市販品としては、信越シリコーン製のKF96L(商品名)、東レ・ダウコーニング・シリコーン製のSH200(商品名)等が挙げられる。
シリコーンオイルとしてはこれらの具体例に限定されるものではない。これらのジメチルポリシロキサンは、その分子量により非常に広い粘度範囲のものが入手可能であるが、1〜20cStの範囲のものを用いるのが好ましい。これらのジメチルポリシロキサンは、イソパラフィン系炭化水素同様、1010Ω・cm以上の体積抵抗率を有し、高安定性、高安全性、無臭性といった特徴を有している。またこれらのジメチルポリシロキサンは、表面張力が低いことに特徴があり、18〜21mN/mの表面張力を有している。
【0030】
これらの有機溶媒とともに、混合して使用できる溶媒としては、アルコール類(例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、フッ化アルコール等)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル類(例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等)、エーテル類(例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)及びハロゲン化炭化水素類(例えばメチレンジクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、メチルクロロホルム等)等の溶媒が挙げられる。
【0031】
次に本発明の表面処理された着色成分について詳細に述べる。
本発明の表面処理された着色成分(以下単に「着色成分」と称することもある)は、着色剤を表面処理したものであり、該着色剤としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料が挙げられる。
【0032】
例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等), C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等), C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、 C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、 C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、 C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、 C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、 C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、 C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
【0033】
マゼンタ色を呈するものとして、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、 C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、 C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、 C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、 C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、 C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、 C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)り如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、 C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、 C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、 C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、 C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、 C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
【0034】
シアン色を呈する顔料として、C.Iピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、 C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、 C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、 C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、 C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、 C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
【0035】
ブラック色を呈する顔料として、BK−1(アニリンブラック)の如きアニリンブラック系顔料等の有機顔料や酸化鉄顔料、及びファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料類が挙げられる。
また、金、銀、銅などの色再現のために金属粉の応用も挙げられる。
【0036】
着色剤の表面処理方法としては、技術情報協会発行の「顔料分散技術」第5章に記載されている、ロジン処理、ポリマー処理、グラフト化処理、プラズマ処理等の方法が適用できる。
【0037】
「ロジン処理」とは、顔料とロジンを機械的に混練し顔料表面にロジンを処理する方法や,顔料の水性スラリーにロジンのアルカリ水溶液を加えた後にアルカリ土類塩や酸などを加えてロジンの難溶性塩または遊離酸を顔料粒子表面に析出させる方法などである。ロジン処理では通常、顔料の数%から20%程度のロジンが用いられ、▲1▼顔料の結晶成長防止効果により微細で透明性の大きな顔料が得られること、▲2▼粒子の乾燥凝集が弱くなるために機械的分散が容易になること、▲3▼顔料表面の親油性を増大させることにより油性ビヒクルに対するぬれを改善するなどに大きな効果があり、特に印刷インキの分野で多く使用されている。
【0038】
「グラフト化処理」とは、カーボンブラック、およびシリカや酸化チタンなどの無機微粒子、さらには有機顔料などの表面に存在する水酸基やカルボキシル基やアミノ基などの官能基とポリマーとのグラフト化反応を行うものである。顔料表面へのポリマーのグラフト化反応には、(1)顔料微粒子の存在下で、重合開始剤を用いてビニルモノマーの重合を行い、系内で生成する生長ポリマーを顔料粒子表面の官能基で停止することによる方法、(2)顔料微粒子表面へ導入した重合開始基からグラフト鎖を生長させる方法、および(3)顔料微粒子表面の官能基とポリマー末端の官能基との高分子反応による方法等がある。
【0039】
「プラズマ処理」とは、低温プラズマや熱プラズマにより顔料粉体表面の改質を行うものである。低温プラズマによる顔料表面の処理の具体例としては、(1)酸素や窒素などの非重合性気体のプラズマ照射による改質、(2)重合性気体を用いたプラズマ重合膜形成による改質、(3)プラズマ照射によって基材表面に活性種を形成させる第1段階と、照射後モノマーと接触させ、あと反応でグラフト重合を進行させる第2段階の二段階プロセスよりなるプラズマ開始グラフト重合反応による改質などが挙げられる。
【0040】
着色剤の表面処理方法としては、着色剤の分散性を向上させると共に、分散された着色成分をシード粒子として非水溶媒中で分散重合させる観点から、以下に述べるポリマー処理が特に好ましい。
【0041】
ポリマー処理の代表的方法としては、技術情報協会発行の「顔料分散技術」99頁以降に記載のin−situ重合法を利用した化学的方法、相分離法(コアセルベーション)を利用した方法、顔料分散時に機械的な力で処理する方法などが挙げられる。
【0042】
in−situ重合法としては、顔料およびポリマーの系を分散した後懸濁重合する方法、分散剤の存在下顔料を水系に分散し極性ポリマー、ビニル系ポリマー、多官能橋かけポリマーを加えて重合する方法、顔料を分散したモノマーを塊状重合した後懸濁重合または乳化重合することにより顔料への吸着が十分行えるようにする方法などがある。相分離法(コアセルベーション)としては、ポリマー溶液中に顔料を分散させた後、何らかの方法でポリマーの溶解度を下げ溶液系からポリマーを顔料粒子上へ析出させる方法が挙げられ、化学的方法(in−situ重合法)に比べ広い範囲のポリマーを選べる特徴がある。顔料を分散した樹脂溶液に非溶媒を加えて顔料表面に樹脂を析出させる方法や、水溶性ポリマーや水溶性樹脂溶液に顔料を微細に分散した後、pHを調整してこれらを顔料表面に析出させる方法はロジン処理を含めて広く用いられている。酸可溶性の含窒素アクリル樹脂の酸溶液中で顔料を分散させた後、pHを上げてポリマーを顔料表面で不溶化したものは塗料、印刷インキでの凝集防止、流動性、光沢、着色力向上に効果がみられている。機械的な力でポリマー処理する方法を例示すると、ポリマーと顔料を予め顔料分が5〜95%になる様に混合した後に、加熱しながらニーダー、三本ロールなどで混練し、ピンミル等で粉砕するものである。フラッシング樹脂処理という方法も機械的なポリマー処理方法に含まれる。
【0043】
ポリマー処理に用いる樹脂としては、非水溶媒中で顔料の分散性を向上させると共に、この分散された着色成分微粒子をシード粒子として非水溶媒中で分散重合させる際の加熱分散安定性を付与するものであることが好ましく、液体現像剤で従来使用されている樹脂も使用することができる。
【0044】
好ましい樹脂としては、着色剤に吸着し、且つ非水系溶媒中に良く分散する機能を有するために、溶媒に溶媒和する部分と溶媒に溶媒和しにくい部分及び極性基を有する部分を持っている樹脂が好ましい。例えば、重合後に溶媒に溶媒和するモノマーとしては、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、セチルメタクリレート等が挙げられる。重合後に溶媒に溶媒和しにくいモノマーとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、スチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。極性基を含むモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸またはそのアルカリ塩などの酸性基モノマーと、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピリジン、ビニルピロリジン、ビニルピペリジン、ビニルラクタムなどの塩基性基モノマーが挙げられる。
【0045】
ポリマー処理に用いる樹脂の具体例としては、オレフィン重合体および共重合体(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリレート共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等)、スチレンおよびその誘導体の重合体ならびに共重合体(例えばブタジエン−スチレン共重合体、イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−メタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等)、アクリル酸エステル重合体および共重合体、メタクリル酸エステル重合体および共重合体、イタコン酸ジエステル重合体および共重合体、無水マレイン酸共重合体、ロジン樹脂、水素添加ロジン樹脂、石油樹脂、水素添加石油樹脂、マレイン酸樹脂、テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂、クロマン−インデン樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル共重合体、環化ゴム−アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
【0046】
本発明の着色剤とポリマー処理に用いられる樹脂の割合は、着色剤/樹脂の重量比で好ましくは95/5〜5/95の範囲、より好ましくは80/20〜10/90の範囲である。
【0047】
更に表面処理された着色成分として、一般に市販されている加工顔料も用いることができる。市販加工顔料の具体例としては、チバスペシャリティケミカルズ社のマイクロリス顔料等が挙げられ、好ましい加工顔料の例としては、ロジンエステル樹脂で顔料を被覆したマイクロリス−T顔料が挙げられる。
【0048】
本発明においては、上記表面処理された着色成分は、非水溶媒中に微粒子状に分散されて着色成分微粒子を得、これをシード粒子として更に分散重合させるものである。まず、着色成分の分散工程について述べる。
該分散工程では、着色成分を微粒子状に分散し且つ非水溶媒中で分散安定化させるために顔料分散剤を使用することが好ましい。
【0049】
本発明に使用することができる、表面処理された着色成分を非水溶媒中で微粒子状に分散するための顔料分散剤としては、該非水溶媒中で適用される一般の顔料分散剤が使用できる。顔料分散剤としては前記非極性の絶縁性溶媒に相溶し、安定的に着色成分を微粒子分散できるものであれば良い。
【0050】
顔料分散剤の具体例としては、ソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等)、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリエチレングリコールジイソステアレート等)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等)、脂肪族ジエタノールアミド系などのノニオン系界面活性剤、及び高分子系分散剤としては、分子量1000以上の高分子化合物が良く、例えば、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ロジン、BYK−160、162、164、182(ビックケミー社製のウレタン系高分子化合物)、EFKA−47、LP−4050(EFKA社製のウレタン系分散剤)、ソルスパーズ24000(ゼネカ社製のポリエステル系高分子化合物)、ソルスパース17000(ゼネカ社の脂肪族ジエタノールアミド系)等が挙げられる。
【0051】
高分子系顔料分散剤としては上記の他に更に、溶媒に溶媒和するラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、セチルメタクリレート等のモノマーと、溶媒に溶媒和しにくいメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、スチレン、ビニルトルエン等のモノマー及び極性基を有する部分からなるランダム共重合体、又は特開平3−188469号に開示されているグラフト共重合体が挙げられる。上述の極性基を含むモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸またはそのアルカリ塩などの酸性基モノマーと、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピリジン、ビニルピロリジン、ビニルピペリジン、ビニルラクタムなどの塩基性基モノマーが挙げられる。また、この他にはスチレン―ブタジエン共重合体、特開昭60−10263号に開示されているスチレンと長鎖アルキルメタクリレートのブロック共重合体等が挙げられる。好ましい顔料分散剤としては、特開平3−188469号に開示されているグラフト共重合体等が挙げられる。
【0052】
顔料分散剤の使用量は、着色剤100重量部に対して、0.1〜300重量部が好ましい。顔料分散剤の添加量が0.1重量部より少ないと着色成分の分散効果が小さく好ましくない。また、300重量部より多く用いても用いた分の効果が得られない。
【0053】
表面処理された着色剤を、非水溶媒中に分散させるにおいて、顔料分散剤を使用する方法としては、例えば次のような方法があり、これらのいずれによっても目的とする効果が得られる。
【0054】
1.表面処理された着色剤と顔料分散剤を予め混合して得られる着色成分組成物を非水系溶媒中に添加して分散する。
2.非水系溶媒に表面処理された着色剤と顔料分散剤を別々に添加して分散する。
3.非水系溶媒に表面処理された着色剤と顔料分散剤を予め別々に分散し得られた分散体を混合する。この場合、顔料分散剤を溶剤のみで分散しても良い。
4.非水系溶媒に表面処理された着色剤を分散した後、得られた着色成分分散体に顔料分散剤を添加する。
【0055】
上記の表面処理された着色剤(着色成分)は、非水系溶媒中で混合または分散させて、着色成分微粒子とすることができる。非水系溶媒中で混合又は分散する機械としては、ディゾルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ニーダー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター等が使用できる。この分散工程での着色成分(加工顔料等)の分散平均粒径の範囲は0.01〜10μmである。インク中の着色成分の好ましい分散平均粒径範囲としては0.01〜1.0μmである。
【0056】
次に上記分散された着色成分微粒子をシード粒子(シード)として、このシード粒子に一官能性単量体(A)を添加して分散重合させる工程について説明する。
非水溶媒中に着色成分を微粒子状に分散させシード粒子とした中で、一官能性単量体(A)、ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の置換基を有する一官能性単量体(B)及び重合体繰り返し成分の置換基の末端に、重合性二重結合基を有する重合体を主成分とする分散安定化剤(P)を加えた重合系を、重合開始剤の存在下に重合させることにより、本発明の着色剤を内包した着色樹脂粒子が得られる。単量体(A)は、該非水溶媒に可溶であるがその重合する事によって該非水溶媒に不溶性となる単量体であればいずれでもよい。
具体的には、例えば下記一般式(III)で表される重合単量体が挙げられる。
【0057】
【化5】
【0058】
一般式(III)中、X2は−COO−、−OCO−、−CH2OCO−、−CH2COO−、−O−、−CONHCOO−、−CONHOCO−、−SO2−、−CON(Z2)−、−SO2N(Z2)−、またはフェニレン基(以下、フェニレン基を「−Ph−」と記載することもある。なお、フェニレン基は1,2−、1,3−および1,4−フエニレン基を包含する。)を表す。ここでZ2は、水素原子または炭素数1〜8の置換されていてもよい脂肪族基(たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、ベンジル基、クロロベンジル基、メチルベンジル基、メトキシベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ジメチルベンジル基、フロロベンジル基、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基等)を表す。
【0059】
Q2は水素原子または炭素数1〜6の置換されてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2,2−ジクロロエチル基、2,2,2−トリフロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、2−ニトロエチル基、2−メトキシエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、2−エトキシエチル基、3−ブロモプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−フルフリルエチル基、2−チエニルエチル基、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル基、4−カルボキシブチル基、2−カルボキシアミドエチル基、3−スルホアミドプロピル基、2−N−メチルカルボキシアミドエチル基、シクロペンチル基、クロロシクロヘキシル基、ジクロロヘキシル基等)を表す。
【0060】
d1 およびd2 は互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜3のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基等)、−COO−L1または−CH2−COO−L1〔ここでL1は水素原子、または置換されてもよい炭素数10以下の炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基等を表す)を表す。
【0061】
具体的な単量体(A)としては、例えば炭素数1〜6の脂肪族カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、モノクロロ酢酸、トリフロロプロピオン酸等)のビニルエステル類あるいはアリルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸の炭素数1〜4の置換されてもよいアルキルエステル類またはアミド類(アルキル基として例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−ニトロエチル基、2−メトキシエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、2−ベンゼンスルホニルエチル基、2−カルボキシエチル基、4−カルボキシブチル基、3−クロロプロピル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基、2−フルフリルエチル基、2−チエニルエチル基、2−カルボキシアミドエチル基等);スチレン誘導体(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、メトキシメチルスチレン、ビニルベンゼンカルボキシアミド、ビニルベンゼンスルホアミド等);アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;マレイン酸、イタコン酸の環状酸無水物;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;重合性二重結合基含有のヘテロ環化合物(具体的には、例えば高分子学会編「高分子データハンドブック−基礎編−」、p175〜184、培風舘(1986年刊)に記載の化合物、例えば、N−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、ビニルチオフェン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルオキサゾリン、ビニルチアゾール、N−ビニルモルホリン等)等が挙げられる。
単量体(A)は、上記の中から少なくとも一種以上選択されたモノマーを主成分とする。
【0062】
次に、本発明に用いられる一官能性単量体(B)について説明する。
単量体(B)は、単量体(A)と共重合可能であり、重合性二重結合基の側鎖置換基中に、フッ素原子及び/又はケイ素原子を含有する一官能性単量体である。
【0063】
フッ素原子を含有する置換基としては、例えば下記の1価又は2価の有機残基等が挙げられる。
−Cn(F)2n+1(nは1〜22の整数)、−CFH2 、−CFHCl、−CFCl2 、−CF2Cl、−(CF2)mCF2H(mは0、又は1〜17の整数)、−CF2−、−CFH−、−CFCl−
【0064】
これらのフッ素原子含有の有機残基は組み合わせて構成されていてもよく、その場合には、直接結合してもよいし、他の連結基を介して組み合わされてもよい。連結する基としては 、具体的には2価の有機残基が挙げられ、−O−、−S−、−N(g1)−、−CO−、−SO−、−SO2 −、−COO−、−OCO−、−CONHCO−、−NHCONH−、−CON(g1)−、−SO2 N(g1)−等から選ばれた結合基を介在させてもよい、2価の脂肪族基もしくは2価の芳香族基、又はこれらの2価の残基の組み合わせにより構成された有機残基が挙げられる。ここで、g1 は炭素数1〜3のアルキル基を表す。
【0065】
ケイ素原子を含有する置換基としては、下記のシロキサン構造(あるいはシリルオキシ構造)又はシリル基を含有するものが好ましい。
【0066】
【化6】
【0067】
上記構造において、R11及びR12並びにR13、R14及びR15は互いに同じでも異なってもよく、各々脂肪族基、芳香族基又は複素環基を表す。
R11〜R15は各々、好ましくは置換されてもよい炭素数1〜18の直鎖状又は分枝状アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−フロロエチル基、トリフロロメチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基、2−メチルカルボニルエチル基、2,3−ジメトキシプロピル基、フッ化アルキル基〔例えば−(CH2)hCiF2i+1基(但しhは1〜6の整数、iは1〜12の整数を表す)基、−(CH2)h−(CF2)j−R16基(但しjは0又は1〜12の整数、R16基は炭素数1〜12のアルキル基、−CF2H、−CFH2、−CF3を表す)、−CH(CF3) 2、−CF2Cl、−CFCl2 、−CFClH、−CF(CF3)OCiF2i+1、−OCiF2i+1、−C(CF3)2OCiF2i+1等〕、
【0068】
炭素数4〜18の置換されてもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル 基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル 基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、リノレニル基等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、ポリフロロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、メトキシシクロヘキシル基等)、炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、フロロフェニル基、クロロフェニル基、ジフロロフェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル基、トリフロロメチルフェニル基等)、又は窒素原子、酸素原子、イオウ原子から選ばれる少なくとも1種の原子を含有する縮環してもよいヘテロ環基(例えばヘテロ環としては、ピラン環、フラン環、チオフェン環、モルホリン環、ピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、ピリジン環、ピペリジン環、ピロリドン環、ベンゾチアゾール環、ベンツオキサゾール環、キノリン環、テトラヒドロフラン環等)等が挙げられる。
【0069】
特に好ましくは、R11及びR12のいずれかの置換基、そしてR13、R14及びR15の中の2つ以上の置換基が、各々、アルキル基またはアルケニル基から成ることである。
フッ素原子含有置換基及びケイ素原子含有置換基は、単量体(B)の分子中に複数個含有されてもよい。
単量体(B)は、全単量体の総量に対して、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは2〜10重量%用いられる。
【0070】
以下に、単量体(B)の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0071】
【化7】
【0072】
【化8】
【0073】
【化9】
【0074】
更に本発明においては、上記分散液中に、単量体(A)と共重合可能で下記一般式(IV)で示されるアミノ基を含有する一官能性単量体(C)を更に含有することが好ましい。
【0075】
【化10】
【0076】
一官能性単量体(C)においては、重合性二重結合基とアミノ基は直接結合していない。
【0077】
式(IV)中、R31及びR32は同じでも異なってもよく、各々好ましくは水素原子、炭素数1〜22の置換されてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、ドコシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜18の置換されてもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、リノレニル基等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例えば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基等)または炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオンアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル基等)等が挙げられる。
【0078】
また、R31及びR32は結合して窒素原子と共に環を形成する有機残基を表してもよい。この有機残基は更に、ヘテロ原子(例えば酸素原子、窒素原子、イオウ原子等)を含有してもよい。形成される環状アミノ基としては、例えばモルホリノ基、ピペリジノ基、ピリジル基、イミダゾリル基、キノリル基、等が挙げられる。
また、アミノ基は、単量体(C)の分子中に複数個含有されていてもよい。
【0079】
本発明の着色樹脂粒子は、共重合成分としてアミノ基含有の塩基性単量体(C)を用いることで、粒子自身の表面が正荷電を発現し、非水系分散媒中に分散された粒子の分散安定性が向上する。これは粒子同志の近接時の荷電反発効果によるものと推測される。
塩基性単量体(C)は、単量体(A)の総量に対して、好ましくは1〜45重量%、より好ましくは5〜30重量%用いる。この範囲内において、粒子の分散性及び画像定着性が好ましい。
以下に、塩基性単量体(C)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0080】
【化11】
【0081】
更に本発明では、−PO3H2基、−SO3H基及び−SO2H基から選ばれる少なくとも1つの酸性基を含有する、単量体(A)と共重合可能な酸性単量体(D)を、単量体(C)とともに併用してもよい。酸性単量体(D)は、分子中に複数個の上記酸性基を含有してもよい。本発明の着色樹脂粒子は、共重合成分として酸性単量体(D)を用いることで、粒子自身の表面が負荷電に発現することができ、非水溶媒中に分散された粒子の分散安定性が向上する。酸性単量体(D)は、単量体(A)の総量に対して、好ましくは1〜45重量%、より好ましくは3〜30重量%で用いる。
【0082】
以下に、単量体(D)の具体例を示す。本発明はこれらに限定されるものではない(但し下記具体例中、Yは−SO3H基及び−SO2H基又は−PO3H2又は−OPO3H2基を表す)。
【0083】
【化12】
【0084】
【化13】
【0085】
本発明では、単量体(A)と共重合可能な、長鎖の脂肪族基を有する単量体(L)を更に併用してもよい。長鎖の脂肪族基を有する単量体(L)において、長鎖の脂肪族基は炭素数7以上の脂肪族基を表す。その場合の具体例としては、総炭素数10〜32の脂肪族基(脂肪族基はハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アルコキシ基等の置換基を含有していてもよく、または酸素原子、イオウ原子、窒素原子等のヘテロ原子でその主鎖の炭素−炭素結合が介されてもよい)を有するアクリル酸、α−フルオロアクリル酸、α−クロロアクリル酸、α−シアノアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸の如き不飽和カルボン酸のエステル類(脂肪族基として、例えばデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ドコシル基、ドデセニル基、ヘキサデセニル基、オレイル基、リノレイル基、ドコセニル基等が挙げられる);上記不飽和カルボン酸のアミド類(脂肪族基として、上記エステル類で示したと同様のものが挙げられる);高級脂肪酸のビニルエステル類あるいはアリルエステル類(高級脂肪酸として、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、べヘン酸等が挙げられる);及び総炭素数8〜32の脂肪族基が酸素原子に結合したビニルエーテル類(脂肪族基としては上記の不飽和カルボン酸エステル類で例示した脂肪族基と同じものが挙げられる)等を挙げることができる。
【0086】
長鎖の脂肪族基を有する単量体(L)を用いることにより、着色樹脂粒子の分散安定性、再分散性が更に向上する。これは単量体(L)に相当する共重合成分が、溶媒との親媒和性が高いことで粒子表面部分に配向し、そのことで粒子自身の表面の溶媒との親媒和性が高まり、粒子同志の凝集・沈殿を抑制するためと推定される。単量体(L)を用いる場合の使用量は、全単量体中、0.5〜20重量%、好ましくは1〜15重量%である。
【0087】
次に分散安定化剤(P)について説明する。
分散安定化剤(P)は、該非水溶媒に可溶であって、一般式(I)で示される該非水溶媒に可溶性の重合体成分Aと、一般式(II)で示される重合体繰返し成分の置換基の末端に重合性二重結合基を有する重合体成分Bとを主成分とする。
重合体成分Aを構成する一般式(I)で示される繰り返し単位において、X0は、好ましくは−COO−、−OCO−、−O−を表わす。
Q0は炭素数4〜22の直鎖状或は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を表す。具体的には、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、リノレル基等が挙げられる。
【0088】
a1とa2は、互いに同じでも異なってもよく、好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子又は臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜3のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基又はプロピル基等)、−COO−Z1又は炭化水素を介した−COO−Z1 (Z1は水素原子又は置換されてもよい炭化水素基を示す)を表す。Z1は水素原子又は炭素数1〜22の、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、脂環式基、アリール基もしくは架橋環式炭化水素基を表わし、これらは置換されていてもよい。
【0089】
Z1の好ましい炭化水素基としては、炭素数1〜22の置換されてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基、ドコサニル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜18の置換されてもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基,2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、リノレル基等)、 炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、 炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例えば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基等)、及び炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル基等)、又は炭素数5〜18の架橋環式炭化水素基(例えば、ビシクロ〔1,1,0〕ブタン、ビシクロ〔3,2,1〕オクタン、ビシクロ〔5,2,0〕ノナン、ビシクロ〔4,3,2〕ウンデカン、アダマンタン等の基)が挙げられる。
【0090】
重合体成分Bを構成する一般式(II)で示される繰り返し単位において、X1の好ましい例としては、−COO−、−OCO−、−CON(Z2)−等が挙げられる。X3の好ましい例としては、−COO−、−COO(CH2)−、−O−等が挙げられる。
Wは結合基X1と結合基X3とを連結する基で、少なくとも1つの炭素原子、酸素原子、イオウ原子、ケイ素原子又は窒素原子からなるものを表し、その具体例を下記に示す。
【0091】
【化14】
【0092】
G1、G2は各々、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ヒドロキシル基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)等を示す。
G3、G4、G5は各々、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、トリル基等)または−OG5(G5は、G3における炭化水素基と同義である)を表す)等が挙げられる。
【0093】
本発明の分散安定化剤(P)の構成成分である、一般式(I)で示される該非水溶媒に可溶性の重合体成分Aと、一般式(II)で示される重合体繰返し成分の置換基の末端に重合性二重結合基を有する重合体成分Bの好ましい例を以下に挙げる。更に本発明の分散安定化剤(P)の好ましい例も以下に挙げるが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0094】
【化15】
【0095】
【化16】
【0096】
【化17】
【0097】
【化18】
【0098】
本発明の分散安定化剤(P)は、従来公知の合成方法によって容易に合成することができる。
即ち、一般式(I)で示される重合体成分Aに相当する単量体と、一般式(II)で示される重合体成分Bに相当し、ラジカル重合反応における重合反応性が異なる二官能性単量体を用いて、特開昭60−185962号公報記載の方法等により重合反応させることにより、ゲル化反応を生じることなく合成する事ができる。
【0099】
また、樹脂中に重合性二重結合基を導入する方法としては、特開昭61−43757号公報記載の方法等により合成する事ができる。具体的には、一般式(II)で示される重合体成分Bにおいて、重合性二重結合基:−X3−C(c1)=CH(c2)の代わりに、予め特定の反応性基(例えば−OH、−COOH、−SO3H、−NH2、−SH、−PO3H2、−NCO、−NCS、−COCl、−SO2Cl、エポキシ基等)を含有した単量体を、一般式(I)で示される重合体成分Aに相当する単量体と、ともに重合反応させた後に、上記の重合性二重結合基を含有する反応性試薬を反応させて、高分子反応により重合性二重結合基を導入する方法が挙げられる。
【0100】
分散安定化剤(P)において、重合性二重結合基を有する一般式(II)で示される重合体成分Bの存在割合は、全重合体100重量部中において、通常0.5〜30重量%であり、好ましくは1〜10重量%である。この範囲内において、重合造粒反応時において、反応混合物の架橋反応によるゲル化は起こらず、重合性二重結合基を有する分散安定化剤(P)を得ることができる。
【0101】
また、本発明に供される分散安定化剤(P)は、一般式(I)、(II)の各繰り返し単位とともに、他の繰り返し単位を共重合成分として含有してもよい。他の共重合成分としては、一般式(I)、(II)の各々の繰り返し単位に相当する単量体と共重合可能な単量体よりなるものであればいずれの化合物でもよい。
【0102】
本発明の分散安定化剤(P)の重量平均分子量(Mw)は、5×103〜1×106が好ましく、より好ましくは2×104〜3×105である。
【0103】
本発明で用いられる着色剤を内包した着色樹脂粒子を製造するには、非水溶媒中に表面処理された着色成分を微粒子状に分散させシード粒子とした中で、単量体と重合体繰返し成分の置換基の末端に重合性二重結合基を有する分散安定化剤(P)を加えた重合系を、過酸化ベンゾイル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリル又はブチルリチウム等の重合開始剤の存在下に重合させればよい。
【0104】
非水溶媒中に表面処理された着色成分を微粒子状に分散させシード粒子とした中に、単量体と重合体繰返し成分の置換基の末端に重合性二重結合基を有する分散安定化剤(P)と重合開始剤とを具体的に加えるには、
(1)単量体と分散安定化剤(P)と重合開始剤とを非水溶媒中に混合溶解した溶液を滴下する方法、もしくは一括あるいは分割して添加する方法、
(2)非水溶媒中に着色成分を微粒子状に分散させシード粒子とした中に分散安定化剤(P)を溶解した溶液を加え、次に単量体と重合開始剤とを滴下、もしくは一括あるいは分割して添加する方法、
(3)非水溶媒中に着色成分を微粒子状に分散させシード粒子とした中に、単量体、分散安定化剤(P)、重合開始剤を非水溶媒中に混合溶解した溶液の一部を加え分散重合させた後に、残りの単量体、分散安定化剤(P)、重合開始剤の混合物を任意に添加する方法、
(4)非水溶媒中に着色成分を微粒子状に分散させシード粒子とした中に単量体の一部を加えてシード粒子へのモノマー吸収を促進させ、次に残りの単量体、分散安定化剤(P)と重合開始剤とを滴下、もしくは一括あるいは分割して添加する方法
等があり、いずれの方法を用いても製造することができる。
【0105】
次に着色剤を内包した着色樹脂粒子を形成する各成分の量について説明する。シード粒子(着色成分微粒子)と単量体{(M)並びに、必要に応じて(B)、(A)及び/又は(L)}の総量との使用割合は、5/95〜95/5重量比が好ましく、より好ましくは10/90〜80/20重量比である。単量体総量の仕込み量は、非水溶媒100重量部に対して5〜80重量部程度であり、好ましくは10〜50重量部である。可溶性もしくはコロイド状に分散している、重合体繰返し成分の置換基の末端に重合性二重結合基を有する分散安定化剤(P)は、上記で用いる全単量体100重量部に対して1〜100重量部であり、好ましくは3〜50重量部である。重合開始剤の量は、全単量体の0.1〜5モル%が適切である。又、重合温度は20〜180℃程度であり、好ましくは30〜120℃である。反応時間は1〜15時間が好ましい。
【0106】
反応に用いた非水溶媒中に、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が残存する場合、及び前記したアルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類等の極性溶媒を併用した場合、あるいは重合造粒化される単量体の未反応物が残存する場合、該溶媒あるいは単量体の沸点以上に加温して留去するかあるいは減圧留去することによって除くことが好ましい。
【0107】
以上の如くして製造された非水系顔料内包樹脂粒子は、着色剤が均一に微粒子分散され、且つ分散液の分散安定性に優れることにより、ノズル部での目詰まりが起きない吐出安定性の高いインクジェットプリンタ用油性インクを提供する。また記録紙上での乾燥性、記録画像の耐水性、耐光性に優れており、且つ高度の耐擦過性を有する。更に、非水系溶媒中で均一に微粒子分散された着色剤内包樹脂粒子を容易に得ることができ、荷電極性の制御、荷電の経時安定性に優れたインクジェットプリンタ用油性顔料インク、及びその安価な製造方法を提供する。また、単量体を適切に選択する事により、定着性、荷電性などの機能を着色剤内包樹脂粒子に導入することができる特徴を有する。
【0108】
本発明のインク組成物には、所望により各種添加剤を加えてもよい。インクジェット方式あるいはインクジェット吐出ヘッド、インク供給部、インク循環部の材質・構造等によって、任意に選択されインク組成物として含有される。
例えば、甘利武司監修「インクジェットプリンタ−技術と材料」第17章、(株)シーエムシー刊(1998年)等に記載されている。
【0109】
具体的には、脂肪酸類(例えば、炭素数6〜32のモノカルボン酸、多塩基酸;例えば、2−エチルヘキシン酸、ドデセニルコハク酸、ブチルコハク酸、2−エチルカプロン酸、ラウリル酸、パルミチン酸、エライジン酸、リノレイン酸、リシノール酸、オレイン酸、ステアリン酸、エナント酸、ナフテン酸、エチレンジアミン四酢酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、水添ロジン等)、樹脂酸、アルキルフタル酸、アルキルサリチル酸等の金属塩(金属イオンの金属としては、Na、K、Li、B、Al、Ti、Ca、Pb、Mn、Co、Zn、Mg、Ce、Ag、Zr、Cu、Fe、Ba等)、界面活性化合物類(例えば、有機リン酸又はその塩類として、炭素数3〜18のアルキル基から成るモノ、ジ又はトリアルキルリン酸等、有機スルホン酸又はその塩類として、長鎖脂肪族スルホン酸、長鎖アルキルベンゼンスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸等又はその金属塩、両性界面活性化合物として、レシチン、ケファリン等のリン脂質等が挙げられる)、フッ素原子及び/又はジアルキルシロキサン結合基を含有するアルキル基含有の界面活性剤類、脂肪族アルコール類(例えば、炭素数9〜20の分岐状アルキル基から成る高級アルコール類、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、シクロヘキシルアルコール等)、多価アルコール類{例えば、炭素数2〜18のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ドデカンジオールなど)};炭素数4〜1000のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);炭素数5〜18の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);炭素数12〜23のビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)の炭素数2〜18のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなど)付加物、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等のポリオール類;3価〜8価またはそれ以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類の炭素数2〜18のアルキレンオキサイド付加物(付加モル数は2〜20)、上記多価アルコールのエーテル誘導体(ポリグリコールアルキルエーテル類、アルキルアリールポリグリコールエーテル等)、多価アルコールの脂肪酸エステル誘導体、多価アルコールのエーテルオレート誘導体(例えば、エチレングリコールモノエチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルアセテート、プロピレングリコールモノブチルプロピオレート、ソルビタンモノメチルジオキサノレート等)、アルキルナフタレンスルホネート、アルキルアリールスルホネート等の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0110】
各種添加剤の使用量は、インク組成物の表面張力が15〜60mN/m(25℃において)及び粘度が1.0〜40cpの範囲となるように調整して用いることが好ましい。
【0111】
また、本発明の液体現像剤には、荷電特性の強化あるいは画像特性の改良等のために、所望により種々の荷電調節剤を加えても良い。
【0112】
本発明において使用する液体現像剤用の荷電調節剤としては従来、公知のものを使用することができる。例えばナフテン酸、オクテン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸の金属塩、スルホコハク酸エステルの金属塩、特公昭45−556号、特開昭52−37435号、特開昭52−37049号の各公報等に示されている油溶性スルホン酸金属塩、特公昭4公報に示されているリン酸エステル金属塩、特公昭48−25666号公報に示されているアビエチン酸もしくは水素添加アビエチン酸の金属塩、特公昭55−2620号公報に示されているアルキルベンゼンスルホン酸Ca塩類、特開昭52−107837号、同52−38937号、同57−90643号、同57−139753号の各公報に示されている芳香族カルボン酸あるいはスルホン酸の金属塩類、ポリオキシエチル化アルキルアミンのような非イオン性界面活性剤、レシチン、アマニ油等の油脂類、ポリビニルピロリドン、多価アルコールの有機酸エステル、特開昭57−210345号公報に示されているリン酸エステル系界面活性剤、特公昭56−24944号公報に示されているスルホン酸樹脂等を使用することができる。また特開昭60−21056号、同61−50951号の各公報に記載されたアミノ酸誘導体も使用することができる。また特開昭60−173558号、同60−179750号の各公報に記載されているマレイン酸ハーフアミド成分を含む共重合体等が挙げられる。さらに特開昭54−31739号、特公昭56−24944号の各公報等に示されている4級化アミンポリマーを挙げることが出来る。
【0113】
これらの内で好ましいものとしては、ナフテン酸の金属塩、ジオクチルスルホコハク酸の金属塩、前記マレイン酸ハーフアミド成分を含む共重合体、レシチン、前記アミノ酸誘導体を挙げることができる。これらの荷電調節剤としては、2種以上の化合物を併用することも可能である。
上述の様な荷電調節剤は、非水溶媒1000重量部に対して0.001重量部〜10.0重量部が好ましい。更に所望により各種添加剤を加えても良く、それら添加物の総量は、現像剤の電気抵抗によってその上限が規制される。即ち、トナー粒子を除去した状態の液体現像剤の電気抵抗が109Ωcmより低くなると良質の連続階調像が得られ難くなるので、各添加物の各添加量を、この限度内でコントロールすることが必要である。
【0114】
以下の実施例で、本発明のインク組成物がインクジェットプリンタ用油性インクとして有用な事を示す。インクジェットプリンタとしては、ピエゾ方式及び静電方式のインクジェットプリンタを例にして説明するが、これらの方式に限定されずに、サーマル方式やNTTなどのスリットジェットに代表されるインクジェットプリンタにも適用できる。
【0115】
静電方式のインクジェットプリンタについて更に説明する。
図1及び図2は吐出ヘッドの例を説明する概略図で、図1はライン走査型マルチチャンネルインクジェットヘッドの構成を示す図で、記録ドットに対応した吐出電極の断面を示している。同図においてインク100はポンプを含む循環機構111から、ヘッドブロック101に接続されたインク供給流路112を通して、ヘッド基板102と吐出電極基板103間に供給され、同じくヘッドブロック101に形成されたインク回収流路113を通してインク循環機構111に回収される。この吐出電極基板103は、貫通孔107を有する絶縁性基板104と、この貫通孔107の周囲で記録媒体側に形成されている吐出電極109とから構成されている。一方ヘッド基板102上には凸状インクガイド108が前記貫通孔107の略中心位置に配置されている。この凸状インクガイド108はプラスチック樹脂、セラミックスなど絶縁性部材からなり、前記貫通孔107と中心が等しくなるように同じ列間隔、ピッチで配置され、所定の方法でヘッド基板102上に保持されている。各凸状インクガイド108は厚みが一定の平板の先端を三角形あるいは台形状に切り出した形状で、その先端部がインク滴飛翔位置110となる。各凸状インクガイド108はその先端部からスリット状の溝を形成しても良く、そのスリットの毛細管現象により、インク飛翔位置110へのインク供給がスムースに行われ、記録周波数を向上することが出来る。またインクガイドの任意の表面は必要に応じて導電性を有していても良く、その場合には導電部分は電気的に浮遊状態とする事によって、吐出電極への少ない電圧印加で有効にインク飛翔位置に電界を形成できる。各凸状インクガイド108は、それぞれの貫通孔からほぼ垂直に所定の距離だけインク滴飛翔方向に突きだしている。凸状インクガイド108の先端に対向して記録紙である記録媒体121が配置され、この記録媒体121のヘッド基板102と反対側の背面に、記録媒体121を案内するプラテンの役割を兼ねる対向電極122が配置されている。また、ヘッド基板102と吐出電極基板103間によって形成される空間の底部には泳動電極140が形成されており、これに所定の電圧を印加する事により、インクガイドの吐出位置方向にインク中の荷電粒子を電気泳動させ、吐出の応答性を上げることが出来る。
【0116】
次に、吐出電極基板103の具体的構成例について図2を用いて説明する。図2は、吐出電極基板103を記録媒体121側から見た図で、複数個の吐出電極が主走査方向に二列でアレイ状に配列されて、各吐出電極の中心に貫通孔107が形成され、この貫通孔107の周辺にはそれぞれ個別の吐出電極109が形成されている。本実施例では吐出電極109の内径は貫通孔107の径より一回り大きく設けられているが、貫通孔107の径と同径でも良い。ここでは、絶縁性基板104は25から200μm程度の厚さのポリイミドからなり、吐出電極109は10から100μm程度の厚さの銅箔からなり、貫通孔107の内径は150から250μmΦ程度である。
【0117】
次に、静電方式のインクジェット記録装置の記録動作を説明する。ここでは正荷電したインクを用いた場合を例にとって説明するが、本発明は本例に限定される物ではない。記録時には、インク循環機構111からインク供給流路112を経て供給されたインク100は貫通孔107から凸状インクガイド108の先端のインク飛翔位置110に供給されると共に、一部はインク回収流路113を経てインク循環機構111に回収される。ここで、吐出電極109にはバイアス電圧源123から常時バイアスとして例えば+1.5kVの電圧が与えられ、これに信号電圧源124からの画像信号に応じた信号電圧として例えばON時に+500Vのパルス電圧が吐出電圧109に重畳される。またこの際、泳動電極140は+1.8kVの電圧が印加されている。一方、記録媒体121の背面に設けられた対向電極122は、図のように接地電圧0Vに設定されている。場合によっては記録媒体121側を例えば−1.5kVに帯電させてバイアス電圧としても良い。この場合には、対向電極122表面に絶縁層を設け、記録媒体にコロナチャージャー、スコロトロンチャージャー、固体イオン発生器等により帯電を行い、かつ吐出電極109は例えば接地され、これに信号電圧源124からの画像信号に応じた信号電圧として例えばON時に+500Vのパルス電圧が吐出電圧109に重畳される。またこの際、泳動電極140は+200Vの電圧が印加される。今、吐出電圧109がON状態(500Vが印加された状態)となり、バイアスDC1.5kVに500Vのパルス電圧が重畳された合計2kVの電圧が加わると、凸状電極108先端のインク滴飛翔位置110から、インク滴115が飛び出し、対向電極122方向に引っ張られて、該記録媒体121に向けて飛翔して画像を形成する。
【0118】
なお、飛翔後のインク液滴の飛翔を精密制御し記録媒体上での着弾精度を向上するため、吐出電極と記録媒体間に中間電極を設ける、あるいは吐出電極間に電界干渉抑制用のガード電極を設ける、等の手段がしばしば講じられるが、本実施例においても必要により好適に使用されることはもちろんである。また、ヘッド基28板102と吐出電極基板103間に多孔質体を設けても良く、この場合にはインクジェットヘッドの移動等によるインク内圧の変化の影響を防止できると共にインク滴吐出後の貫通孔107部へのインク液供給が迅速に達成される。したがって、インク滴115の飛翔が安定化され、記録媒体121上に濃度の安定した良好な画像を高速に記録することができる。
【0119】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
分散安定化剤の合成例1:(P−1)の合成(化合物例(a))
ラウリルメタクリレート96.7g、ビニルメタクリレ−ト2.2g、及びイソデカン400gの混合溶液を窒素気流下、温度70℃に加温した。攪拌下、2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.0gを添加し、3時間反応させ、さらに2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.0gを添加して、4時間反応させた。得られた溶液の固形分濃度は19%であった。
上記反応溶液の1部をその10倍量のメタノール溶媒中へ投入して得た無色透明な粘稠物の高速液体クロマトグラフ法で測定した重量平均分子量は3.8×104であった。
【0120】
分散安定化剤の合成例2:(P−2)の合成(化合物例(b))
ステアリルメタクリレート128.7g、ビニルメタクリレ−ト2.2g、及びイソデカン300gの混合溶液を窒素気流下、温度75℃に加温した。その後、2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.3gを添加し、3時間攪拌した。さらに2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.3gを添加して、5時間反応させた。得られた溶液の固形分濃度は30.0%であった。合成例1の如く処理し測定した白色固体の得られた重量平均分子量は3.5×104であった。
【0121】
分散安定化剤の合成例3:(P−3)の合成(化合物例(c))
ラウリルメタクリレート71.0g、ビニルオキシカルボニルメチルオキシ・カルボニルエチルアクリレート2.2g、及びイソデカン293gの混合溶液を窒素気流下、温度70℃に加温した。その後、2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.1gを添加し、3時間攪拌した。さらに2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.1gを添加して、5時間反応させた。得られた溶液の固形分濃度は19.6%であった。合成例1の如く処理し測定した白色固体の得られた重量平均分子量は3.5×104であった。
【0122】
分散安定化剤の合成例4:(P−4)の合成(化合物例(h))
ヘキサデシルアクリレート59.0g、アリルオキシカルボニルデカメチレンメタクリルアミド3.1g、及びn−ドデカン145gの混合溶液を窒素気流下、温度75℃に加温した。その後、2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)0.9gを添加し、3時間攪拌した。さらに2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)0.9gを添加して、4時間反応させた。得られた溶液の固形分濃度は29.4%であった。合成例1の如く処理し測定した白色固体の得られた重量平均分子量は4.1×104であった。
【0123】
分散安定化剤の合成例5:(P−5)の合成(化合物例(i))
ステアリルメタクリレート45.0g、ビニルオキシエチルアクリレート1.7g、及びアイソパーGを109gの混合溶液を窒素気流下、温度75℃に加温した。その後、過酸化ベンゾイル0.7gを添加し、3時間攪拌した。さらに過酸化ベンゾイル0.7gを添加して、4時間反応させた。得られた溶液の固形分濃度は29.0%であった。合成例1の如く処理し測定した白色固体の得られた重量平均分子量は3.8×104であった。
【0124】
分散安定化剤の合成例6〜12:(P−6)〜(P−12)の合成
下記表−Aに記載の各単量体を所定量、及びアイソパーGを250gの混合溶液を窒素気流下、温度65℃に加温した。その後、2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.0gを添加し、4時間反応させ、さらに2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)0.5gを添加して、3時間反応させた。冷却後、メタノール溶媒2L中へ投入して再沈し、得られた沈殿物をろ過、室温で減圧乾燥した。得られた各樹脂の重量平均分子量は4.0×104〜8.0×104であった。
【0125】
【表1】
【0126】
分散安定化剤の合成例13:(P−13)の合成(化合物例(l))
ラウリルメタクリレート96.7g、ヒドロキシカルボニルデカメチレンメタクリルアミド5.4g、及びトルエン100gの混合溶液を窒素気流下、温度70℃に加温し、攪拌下に2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.0gを添加した。6時間後に40℃まで冷却し0.2gのハイドロキノンを添加した。更に酢酸ビニル6.9g、酢酸水銀0.05gを加えて2時間反応させた。温度を再び70℃に上げ、100%硫酸7.5x10−3モル添加し前記メタクリルアミドモノマー化合物に由来するカルボン酸定量値が50%に減少するまで反応を行った。反応後、反応液に0.04gの酢酸ナトリウム三水和物を添加してよく攪拌してから4000gのメタノールに投入して再沈精製し、やや褐色を帯びた粘稠物を得た。この粘稠物の重量平均分子量は14.5×104であった。
【0127】
分散安定化剤の合成例14:(P−14)の合成(化合物例(k))
合成例13において用いた、ラウリルメタクリレートの代わりにステアリルメタクリレート128.6gを用いて、合成例13と同様の操作を行い、やや黄色味を帯びた粉末物を得た。この粉末物の重量平均分子量は22.2×104であった。
【0128】
分散安定化剤の合成例15:(P−15)の合成(化合物例(m))
ラウリルアクリレート87.5g、ヒドロキシカルボニルデカメチレンメタクリルアミド9.7g、及びアイソパーEを120gの混合溶液を窒素気流下、温度80℃に加熱し、攪拌下に2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.0gを添加した。3時間後に再び2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.0gを添加し3時間反応させた。0.2gのハイドロキノンを添加してから、同温度で酢酸ビニル11.4g、テトラブトキシチタン1.0gを加えて前記メタクリルアミドモノマー化合物に由来するカルボン酸定量値が50%に減少するまで反応を行った。反応後、4000gのアセトニトリルより再沈精製し、やや褐色を帯びた粘稠物を得た。重量平均分子量は10.3×104であった。
【0129】
分散安定化剤の合成例16:(P−16)の合成(化合物例(o))
ステアリルメタクリレート137.1g、ヒドロキシカルボニルトリメチレンオキシ・カルボニルエチルメタクリレート11.0g、及びトルエン300gの混合溶液を窒素気流下、温度70℃に加熱し、攪拌下に2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.5gを添加した。6時間後に40℃まで冷却し0.5gのハイドロキノンを添加した。更に酢酸ビニル31.0g、酢酸水銀0.2gを加えて2時間反応させた。温度を再び70℃に上げ100%硫酸3.4×10−2モル添加し前記酸含有メタクリレートモノマー化合物に由来するカルボン酸定量値が35%に減少するまで反応を行った。反応後、反応液に0.2gの酢酸ナトリウム三水和物を添加してよく攪拌してから合成例13と同様にして再沈精製し、白色粉末物を得た。重量平均分子量は29.5×104であった。
【0130】
分散安定化剤の合成例17:(P−17)の合成(化合物例(n))
ヘキサデシルメタクリレート105.6g、ヒドロキシカルボニルトリメチレンオキシ・カルボニルエチルメタクリレート6.7g、及びアイソパーE200gの混合溶液を窒素気流下、温度70℃に加熱し、攪拌下に2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.6gを添加した。6時間後に40℃まで冷却し0.2gのハイドロキノンを添加した。更に酢酸ビニル25.0g、テトラブトキシチタン3gを加えて温度を再び70℃に上げ、前記酸含有メタクリレートモノマー化合物に由来するカルボン酸定量値が50%に減少するまで反応を行った。反応後、合成例13と同様にして再沈精製し、やや黄色味を帯びた粘稠物を得た。重量平均分子量は28.7×104であった。
【0131】
分散安定化剤の合成例18:(P−18)の合成(化合物例(p))
ヘキサデシルメタクリレート105.6g、ヒドロキシカルボニルデカメチレンメタクリルアミド64.7g、及びアイソパーE400gの混合溶液を窒素気流下、温度80℃に加温し、攪拌下に2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.6gを添加した。6時間後に0.1gのハイドロキノンを添加してから、温度を110℃に上げアリルアルコール58.1g、濃硫酸0.5gを加え、ディーンスタークの装置で留出する水分を除去しながら反応させた。前記メタクリルアミドモノマー化合物に由来するカルボン酸定量値が35%に減少したところで反応を停止し、合成例13と同様にして再沈精製し、やや茶色味を帯びた粘稠物を得た。重量平均分子量は19.7×104であった。
【0132】
実施例1
<顔料分散液の調製>
下記構造の顔料分散剤(D−1)をアイソパーHに加熱溶解して調液した20%溶液を、顔料分散剤として用いた。上記顔料分散剤溶液88.25重量部と、黒色加工顔料としてロジンエステル樹脂で処理されたマイクロリスブラックC−T(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)17.65重量部、アイソパーH29.4重量部及びガラスビーズ250重量部とともにペイントシェイカー(東洋精機KK)で30分間混合した。次にガラスビーズをろ別した後、高速度分散混和機器ダイノミル(商品名;KDL)で回転数3000rpmで3時間分散した。メディアはガラスビーズMK−3GXを使用した。分散液中の顔料粒子の体積平均粒径を、超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700(堀場製作所)にて測定した所、0.16μmと良好に分散されていた。
【0133】
【化19】
【0134】
<着色樹脂粒子の調製>
ガラスビーズをろ過した加工顔料分散液のろ液(固形分23.3%)85.8gを四つ口フラスコに入れ窒素気流下攪拌しながら温度80℃で3時間加熱した。
次にこの加工顔料分散液中に、分散安定化剤(P)として(P−1)を粉体で8g、メタクリル酸メチル16.0g、アクリル酸メチル22.0g、下記構造のフッ素含有の置換基を有する単量体(B−1)2.0g及びアイソパーH120gの混合溶液に2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.0gを加えた溶液をフィード溶液として、滴下速度2.5ml/分で滴下しその後3時間反応させた。滴下開始から約20分して発熱が始まり、反応液温度は約5℃程上昇した。3時間反応後に温度を90℃に上げ2時間攪拌し未反応のモノマーを留去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し得られた黒色樹脂粒子分散液は重合率97%でその平均体積粒子サイズは0.24μmであった。得られた黒色樹脂粒子分散液は、1カ月静置保存した後の分散状態も良好であった。
【0135】
【化20】
【0136】
黒色樹脂粒子分散液をS−800形電界放射形走査電子顕微鏡(日立電気社製)で観察した所、約100nm程度のマイクロリスブラック顔料粒子が分散重合後には約180nmの球形状樹脂粒子に成長しており、滴下モノマーがシード顔料粒子内で吸収され重合していることが判った。
更に黒色粒子分散液を透過形走査電子顕微鏡で観察した所、分散重合後の約180nmの球形状着色樹脂粒子の中にはシードの顔料粒子が内包されているのが判った。
以上より、本発明のシード分散重合により生成した着色樹脂粒子は、ロジンエステル樹脂処理された顔料を内部に含有した着色樹脂粒子である事が判る。
【0137】
<インク組成物(IJ−1)の作製>
上記着色樹脂粒子分散液を、溶媒留去により一旦濃縮しアイソパーGにて希釈する事により、粘度は13cp(E型粘度計、温度25℃で測定)、表面張力は23mN/m(協和界面科学社製の自動表面張力計、温度25℃で測定)のインク組成物(IJ−1)を調液した。インクジェット記録装置としてカラーファクシミリ彩遊記UX−E1CL(シャープ社製)を用い、上記インク組成物(IJ−1)を充填して、富士写真フイルムインクジェットペーパーハイグレード専用紙上に描画した所、ノズル詰まりが無く安定に吐出した。得られた描画画像は、滲みがなく、画像濃度1.8の良質で明瞭なものであった。次にフルベタパターンを印字して、印字物を乾燥させた後ベタ部を指で擦ったところ、目視で地汚れが全くなく極めて耐擦過性に優れていることが判った。インク組成物は、長期に保存しても沈降凝集が見られず分散性が極めて良好で、かなりな期間連続して印刷に使用でき優れた鮮明度の印刷を与えた。
【0138】
実施例2
<顔料分散物の調製>
黒色顔料としてカーボンブラック#30(三菱化学社製)100重量部、ポリマー処理の樹脂としてエチレン/ステアリルアクリレート共重合体(95/5モル比)、200重量部をトリオブレンダーで予備粉砕しよく混合した後に、120℃に加熱した三本ロールミルで溶融混練(20分)した。上記の顔料混練物をピンミルで粉砕した。
次に顔料混練物10重量部、アイソパーH65重量部、下記構造の顔料分散剤(D−2)をアイソパーHに加熱溶解して調液した20wt%溶液を20重量部、及び3G−Xガラスビーズ250重量部とともにペイントシェイカー(東洋精機KK)で60分間混合した。次にガラスビーズをろ別した後、高速度分散混和機器ダイノミル(商品名;KDL)で回転数3000rpmで3時間分散した。メディアはガラスビーズMK−3GXを使用した。分散液中の顔料粒子の体積平均粒径を、超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700(堀場製作所)にて測定した所、0.16μと良好に分散されていた。
【0139】
【化21】
【0140】
<着色樹脂粒子の調製>
ガラスビーズをろ過した顔料分散液のろ液(固形分14.0%)214.3gを四つ口フラスコに入れ窒素気流下攪拌しながら温度75℃で1時間加熱した。次にこの顔料分散液中に、実施例1と同様に、分散安定化剤(P−2)を粉体で4g、メタクリル酸メチル5.8g、アクリル酸メチル13.2g、ケイ素原子含有の置換基を有する単量体サイラプレーンFM−0711(チッソ(株)製)1.0g及びアイソパーH80gの混合溶液に2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5gを加えた溶液をフィード溶液として、一時間で滴下しその後3時間反応させた。滴下開始から約15分して発熱が始まり、反応液温度は約4℃程上昇した。3時間反応後に温度を90℃に上げ窒素流量を上げながら、2時間攪拌し未反応のモノマーを留去した。黒色樹脂粒子分散液は重合率96.0%でその平均体積粒子サイズは0.22μmであった。得られた黒色樹脂粒子分散液は、1カ月静置保存した後の分散状態も良好であった。
【0141】
<インク組成物(IJ−2)の作製>
上記着色樹脂粒子分散液を、溶媒留去により一旦濃縮しアイソパーGにて希釈する事により、粘度は13cp、表面張力は23mN/mのインク組成物(IJ−2)を調製した。インク組成物(IJ−2)を、実施例1と同様にしてカラーファクシミリ彩遊記UX−E1CL(シャープ社製)で印刷した所、滲みのない良質の明瞭な印刷を与えた。また実施例1と同様にして耐擦過性を調べた所、目視で地汚れが全くなく極めて耐擦過性に優れていることが判った。インク組成物は、長期に保存しても沈降凝集が見られず分散性が良好であつた。
【0142】
実施例3
<顔料分散物の調製>
黒色顔料としてカーボンブラック#100(三菱化学社製)10重量部、水100重量部をフラッシャーで攪拌後、ポリマー処理の樹脂としてスチレン/ビニルトルエン/ラウリルメタクリリレート共重合体(40/58/2モル比)の33%トルエン溶液60重量部を、更にフラッシャーに加え攪拌した。次いで、加熱し減圧して水分と溶媒を除去して含水率1重量%の黒色塊状物を得た。黒色塊状物を真空乾燥し、水分を完全に除去した後、サンプルミルで粉砕し、0.1−0.01mmの黒色粉体を得た。実施例2において、顔料混練物の代わりに上記黒色粉体を用い、顔料分散剤として(D−2)の代わりに下記構造の顔料分散剤(D−3)を用いた他は、実施例2と全く同様に顔料分散を行った。ガラスビーズをろ別した後得られた黒色顔料分散液は、体積平均粒径が0.13μmと分散性は良好であった。
【0143】
【化22】
【0144】
<着色樹脂粒子の調製>
ガラスビーズをろ過した顔料分散液のろ液(固形分13.0%)をシード粒子として、実施例2において、ケイ素原子含有の置換基を有する単量体サイラプレーンFM−0711(チッソ(株)製)の代わりに下記構造のケイ素原子含有の置換基を有する単量体(B−2)を用い、又、分散安定化剤(P−1)の代わりに(P−3)を8gを用いた他は、実施例2と全く同様にして分散重合を行った。得られた黒色樹脂粒子分散液は重合率98.0%でその平均体積粒子サイズは0.21μmであった。得られた黒色樹脂粒子分散液は、1カ月静置保存した後の分散状態も良好であった。
【0145】
<インク組成物(IJ−3)の作製>
上記顔料樹脂粒子分散液を、粘度は13cp、表面張力は23mN/mに調製してインク組成物(IJ−3)を得た。インク組成物(IJ−3)を、実施例1と同様にしてカラーファクシミリ彩遊記UX−E1CL(シャープ社製)で印刷した所、滲みのない良質の明瞭な印刷を与えた。また実施例1と同様にして耐擦過性を調べた所、目視で地汚れが全くなく極めて耐擦過性に優れていることが判った。インク組成物は、長期に保存しても沈降凝集が見られず分散性が良好であつた。
【0146】
比較例1
<比較用顔料分散液の調製>
青色顔料としてアルカリブルー 5重量部、顔料分散剤としてラウリルメタクリレート/アクリル酸共重合体(組成比95/5wt/wt)5重量部とを、アイソパーH90重量部及びガラスビーズ250重量部とともにペイントシェイカー(東洋精機KK)で30分間混合した。次にガラスビーズをろ別した後、高速度分散混和機器ダイノミル(商品名;KDL)で回転数3000rpmで3時間分散し分散液中の顔料粒子の体積平均粒径を、超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700(堀場製作所)にて測定した所、0.13μmと良好に分散されていた。
【0147】
<比較用着色樹脂粒子の調製>
ガラスビーズをろ過した顔料分散液のろ液(固形分9.6%)208.3gを四つ口フラスコに入れ窒素気流下攪拌しながら溶液温度を80℃で3時間加熱した。次にこの顔料分散液中に、実施例1と同様に、分散安定化剤(P−1)を6g、メタクリル酸メチル12.0g、アクリル酸メチル28.0g及びアイソパーH120gの混合溶液に2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.0gを加えた溶液をフィード溶液として、滴下速度2.5ml/分で滴下しその後3時間反応させた。滴下開始から約15分して発熱が始まり、反応液温度は約5℃程上昇したが、フラスコ壁面に粗大粒子が付着しており、反応後にはフラスコの底に多量の沈殿物がみられた。比較例1の着色樹脂粒子は、粗大粒子、沈降物の生成のため、次ぎのインク組成物に供することができなかった。
【0148】
比較例2〜3
実施例1において、ロジンエステル樹脂処理された黒色顔料マイクロリスブラックC−T (チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)の代わりに、下記のポリマーで処理された青色顔料(C.I.Pigmet Blue 15:3)を用いた他は実施例1と全く同様に顔料分散を行った。
【0149】
分散後にガラスビーズをろ別し得られた比較例2〜3の顔料分散液は、体積平均粒径が比較例2で1.48μm、比較例3で1.67μmであった。比較例2〜3の顔料分散液は、粗大粒子があり経時で沈降物が生成するなど分散性は良好でないため、次ぎのシード重合に供することができなかった。
【0150】
実施例1〜3と比較例1〜3より、本発明の如くポリマー処理された顔料は、特異的に微細粒子化され良好な分散安定性を有し、また、分散安定化剤として重合性二重結合基を有する共重合体を用いたために、シード分散重合が良好に進行し、そのシード分散重合により生成したポリマー処理された顔料を内部に含有する着色樹脂粒子は、明瞭な印刷画質、極めて優れた耐擦過性、良好な長期分散性等の、良好なインク特性を示すことが判った。
【0151】
実施例4
<顔料分散液の調製>
黒色顔料としてカーボンブラック#30(三菱化学社製)100重量部、ポリマー処理の樹脂としてメチルメタクリレート/ステアリルメタクリレート共重合体(9/1モル比)、200重量部をトリオブレンダーで予備粉砕しよく混合した後に、120℃に加熱した三本ロールミルで溶融混練(20分)した。上記の顔料混練物をピンミルで粉砕した。
次に顔料混練物10重量部、アイソパーG65重量部、顔料分散剤としてソルプレン1205(旭化成社製、スチレン/ブタジエン共重合体)をアイソパーGに加熱溶解して調液した20wt%溶液を25重量部、及び3G−Xガラスビーズ250重量部とともにペイントシェイカー(東洋精機KK)で60分間混合した。次にガラスビーズをろ別した後、高速度分散混和機器ダイノミル(商品名;KDL)で回転数3000rpmで3時間分散した。メディアはガラスビーズMK−3GXを使用した。分散液中の顔料粒子の体積平均粒径を、超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700(堀場製作所)にて測定した所、0.21μmと良好に分散されていた。
【0152】
<着色樹脂粒子の調製>
ガラスビーズをろ過した顔料分散液のろ液(固形分14.0%)214.3gを四つ口フラスコに入れ窒素気流下攪拌しながら温度50℃で1時間加熱した。次にこの顔料分散液中に、上記の分散安定化剤(P−2)を粉体で4g、アクリル酸メチル19.6g、フッ素含有の置換基を有する単量体:ライトエステルM4F(共栄社化学(株)製)0.4g及びアイソパーH80gの混合溶液に2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)0.7gを加えた溶液をフィード溶液として、一時間で滴下しその後3時間反応させた。滴下開始から約20分して発熱が始まり、反応液温度は約5℃程上昇した。3時間反応後に温度を50℃から80℃に上げ窒素流量を上げながら、2時間攪拌し未反応のモノマーを留去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し得られた黒色樹脂粒子分散液は重合率92%でその体積平均粒子サイズは0.24μmであった。得られた黒色樹脂粒子分散液は、1カ月静置保存した後の分散状態も良好であった。
【0153】
<インク組成物(IJ−4)の作製>
上記着色樹脂粒子分散液を、溶媒留去により一旦濃縮しアイソパーGにて希釈する事により、粘度は13cp、表面張力は23mN/mのインク組成物IJ−4を調製した。インク組成物IJ−4を、実施例1と同様にしてカラーファクシミリ彩遊記UX−E1CL(シャープ社製)で印刷した所、滲みのない良質の明瞭な印刷を与えた。また実施例1と同様にして耐擦過性を調べた所、目視で地汚れが全くなく極めて耐擦過性に優れていることが判った。インク組成物は、長期に保存しても沈降凝集が見られず分散性が良好であつた。
【0154】
比較例4
<比較用インク組成物(IJR−1)の作製>
実施例4の着色樹脂粒子の代わりにシード粒子の顔料分散液を用いた他は、インク組成物(IJ−4)と同様にして、比較用インク組成物(IJR−1)を作成した。インクの粘度は12cp、表面張力は23dyne/cmであった。比較用インク組成物(IJR−1)を、実施例1と同様にしてカラーファクシミリ彩遊記UX−E1CL(シャープ社製)で印刷した所、滲みのない印刷を与えたものの、ベタ画像部を指で擦ると簡単に画像部が取れてしまい、耐擦過性が極めて悪い事が判った。更に、得られた印刷画像部を指で擦って取れないようにするには、印刷記録体を120℃以上に加熱定着する必要がある事が判った。
【0155】
本発明のインク組成物(IJ−4)と比較用インク組成物(IJR−1)の実験結果より、本発明の如くポリマー処理された顔料をシード粒子として、重合性二重結合基を有する分散安定化剤を用いたシード分散重合により、低軟化性の樹脂で被覆された着色樹脂粒子は、明瞭な印刷画質、良好な易定着性、極めて優れた耐擦過性、良好な長期分散性等の、良好なインク特性を示すことが判った。
【0156】
実施例5
<顔料分散物の調製>
実施例1において、黒色顔料マイクロリスブルーC−T (チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)の代わりに、黄色顔料マイクロリスイェロ−3R−T (チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を用いた他は実施例1と全く同様に顔料分散を行った。ガラスビーズをろ別した後得られた黄色顔料の分散液は、体積平均粒径が0.20μmと分散性は良好であった。
【0157】
<着色樹脂粒子の調製>
黄色顔料の分散液(固形分20.0%)100gを四つ口フラスコに入れ窒素気流下攪拌しながら温度80℃で2時間加熱した。実施例1において、分散安定化剤として(P−6)を粉体で4g、メタクリル酸メチル8.0g、アクリル酸メチル10.0g、ケイ素原子含有の置換基を有する単量体:サイラプレーンTM−0701(チッソ(株)製)1.0g、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル1.0g及びアイソパーH80gの混合溶液に2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.6gを加えた溶液をフィード溶液として、滴下速度2.0ml/分で滴下し3時間反応させた他は、実施例1と全く同一の反応操作を行った。反応液温度は約4℃程上昇した。得られた黄色樹脂分散液は、重合率95%、体積平均粒子サイズは0.26μmであり、1カ月静置保存した後の分散状態も良好であった。
【0158】
<インク組成物(IJ−5)の作製>
黄色樹脂粒子分散液をアイソパーGで樹脂粒子成分が6.0%になる様希釈した。次いで荷電調節剤としてオクタデセン−半マレイン酸オクタデシルアミド共重合体を、0.01g/アイソパーG 1リットルになる様添加してインク組成物(IJ−5)を調液した。インク組成物(IJ−5)の荷電量の測定を、特公昭64−696号に記載の現像特性装置(印加電圧500V、印加した電極の背面に誘起された電圧の時間変化の初期値を測定)で行った。インク組成物(IJ−5)は全体荷電が240mV、黄色樹脂粒子の荷電が201mVと明瞭な正荷電性を示し、一ヵ月後の荷電量の変化も殆ど無く極めて安定している事が判った。また、その荷電量は荷電調節剤の量により容易に制御できる事が判った。
【0159】
比較例5
<比較用インク組成物(IJR−2)の作製>
実施例5において、シード粒子である黄色顔料分散物をインク組成物(IJ−5)と同様にインク化して比較用インク組成物(IJR−2)を作成した。比較用インク組成物(IJR−2)の荷電量を測定したところ、荷電極性は負荷電で、全体荷電が90mV、黄色顔料粒子の荷電が13mVであった。
実施例5と比較例5より、シード粒子の黄色顔料マイクロリスイェロ−3R−T(比較用インク組成物(IJR−2))の荷電極性はもともと負荷電であるが、側鎖に二重結合基を含有する共重合体を分散安定化剤としたシード分散重合により樹脂被覆した本発明の着色樹脂粒子(インク組成物(IJ−5))は、荷電極性が明瞭な正荷電を示し、その荷電量も荷電調節剤の量により容易に制御できる事が判る。即ち、もともとの顔料の荷電極性に依らず、シード分散重合により顔料表面を樹脂被覆する事により、荷電極性(適切に荷電調節剤を選択して)、荷電量を自由に制御できることが判る。
【0160】
<画像描画性>
インクジェット装置として、図−1に示すヘッド構造の100dpi 64チャンネルの静電式インクジェツトヘッドを使用し、インク組成物(IJ−5)をインクタンクに充填した。エアーポンプ吸引により記録媒体であるコート記録紙表面の埃除去を行った後、吐出ヘッドを描画位置までコート記録紙に近づけ、描画解像度600dpiでインクを吐出し描画した。この際、パルス電圧を調節してドット径15μmから60μmの範囲で16段階でドット面積を変化させながら描画した。描画画像は滲みのない満足し得る濃度の良質の明瞭な画像を与えた。インクヘッドからの吐出安定性も良好で、詰まりを生じる事が無く、画像描画でも安定したドット形状の印字ができた。また実施例1と同様にして耐擦過性を調べた所、目視で地汚れが全くなく極めて耐擦過性に優れていた。インク組成物(IJ−5)は、長期に保存しても沈降凝集が見られず分散性が良好であった。
【0161】
一方、比較用インク組成物(IJR−2)を用い、吐出ヘッドに印加するパルス電圧を負極性にして上記と同様に描画した所、描画画像は滲みがひどく画像濃度も低いものであった。また、吐出不良が発生したために、画像欠落が見られ満足する画像が得られなかった。
以上の結果より、本発明のシード分散重合により樹脂被覆した顔料樹脂粒子(インク組成物(IJ−5))が、明瞭な正荷電と十分な荷電量も有するために、静電式インクジェツト装置において、明瞭な印刷画質、良好な吐出安定性、極めて優れた耐擦過性、良好な長期分散性等の、良好なインク特性を示すことが判った。
【0162】
実施例6〜19
<顔料分散液の調製>
実施例1において、顔料分散剤(D−1)の代わりに(D−3)を加工顔料に対して50wt%用い、また黒色加工顔料マイクロリスブラックC−Tの代わりに、青色加工顔料マイクロリスブルー4G−T(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を用いた他は実施例1と全く同様に顔料分散を行った。ガラスビーズをろ別した後得られた顔料分散液は、体積平均粒径は0.16μmで分散性は良好であった。この黒色顔料分散液を用いてシード分散重合を行い着色樹脂粒子、インク組成物(IJ−6)〜(IJ−19)をそれぞれ作成した。
【0163】
<着色樹脂粒子>
実施例1において、青色加工顔料分散液(固形分19.1%)157.5gを用い、下記の表−Bに記載の分散安定化剤(P)を粉体で8g、単量体を40g、アイソパーGを120g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を単量体の1モル%加えた溶液をフィード溶液と2時間で滴下して他は、実施例1と全く同一の反応操作を行った。反応液温度はそれぞれ約3〜8℃程上昇した。得られた青色粒子分散液6〜19は、重合率が約89〜98%であり、その体積平均粒子サイズは0.20〜0.26μmであった。また青色粒子分散液6〜19は、1カ月静置保存した後の分散状態もそれぞれ良好であった。
【0164】
<インク組成物:IJ−6〜IJ−19>
上記着色樹脂粒子分散液6〜19を、それぞれ粘度は12〜14cp、表面張力は22〜24mN/mに調整してインク組成物(IJ−6)〜(IJ−19)を得た。インク組成物(IJ−6)〜(IJ−19)を、実施例1と同様にしてカラーファクシミリ彩遊記UX−E1CL(シャープ社製)で印刷した所、インク組成物(IJ−6)〜(IJ−19)は、滲みのない満足し得る濃度の良質の明瞭な印刷を与え、また目視で地汚れが全くなく極めて耐擦過性に優れていた。また、インク組成物(IJ−6)〜(IJ−19)は、長期に保存しても沈降凝集が見られず分散性が良好であつた。
【0165】
【表2】
【0166】
実施例20
実施例5で得られたインク組成物(IJ−5)を電子写真用液体現像剤として、リコー製湿式複写機DT−2500を用いて印字テストしたところ、十分な画像濃度と良好な定着性を有する画像が得られた。また、この電子写真用液体現像剤は荷電の経時変化が極めて少なく、再分散性、保存安定性に優れるものであった。
【0167】
【発明の効果】
表面処理された着色剤をシード粒子として、非水溶媒中で側鎖に二重結合基を含有する共重合体を分散安定化剤としたシード分散重合により得られる、樹脂で被覆された本発明の着色樹脂粒子を含有するインク組成物により、着色剤が均一に微粒子分散され、且つ着色剤分散液の分散安定性に優れるインクジェットプリンタ用油性インクを得ることができる。また、ノズル部での目詰まりが起きない吐出安定性の高いインクジェットプリンタ用油性インクが得られる。更に記録紙上での乾燥性、記録画像の耐水性、耐光性に優れており、且つ高度の耐擦過性を有するインクジェットプリンタ用油性インクが得られる。また、分散安定性、耐擦過性に優れると共に、荷電極性の制御や荷電の経時安定性にも優れた静電方式インクジェツトプリンタ用油性インク、及び電子写真用液体現像剤を得ることができる。更に上記の特徴を有する、均一に微粒子分散された着色剤を内包する樹脂粒子の製造方法を提供できる。
【0168】
【図面の簡単な説明】
【図1】ライン走査型マルチチャンネルインクジェツトヘッドの構成例を示し、記録ドットに対応した吐出電極の断面を示す図である。
【図2】吐出電極を記録媒体側から見た図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクを飛翔させ、記録紙等の被転写媒体上に文字や画像を形成するインクジェット記録装置に供する油性インクに関し、特に、着色樹脂粒子が、着色剤が表面処理された着色成分粒子を更にポリマー被覆した着色樹脂粒子である油性インク、電子写真現像剤及び該着色樹脂粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット記録方式としては、オンディマンド(随意噴射)とコンティニアス(連続噴射)の方式が知られており、更に連続型では静電方式(Sweet型、Hertz型)、オンディマンド型ではピエゾ圧電方式、シェアモードピエゾ圧電方式、サーマルインクジェット方式、静電加速型と呼ばれる記録方式等が知られている。
これらインクジェット記録方式に用いるインクとしては、インク吐出部及びインク供給経路でインク目詰まりがなく、吐出安定性に優れ且つ、色彩・光沢性等のカラー画像としての品質が良好なものとして一般に水性インクが用いられている。
【0003】
静電力を用いるオンディマンド型のインクジェット方式としては、静電加速型インクジェットあるいはスリットジェットと呼ばれる方式が知られている。これは、インクタンクからスリット状のインク保持部内面に多数の電極を配置してなるスリット状インク室にインクを供給し、これらの電極に選択的に高電圧を印加することにより、スリットと近接対向する記録紙に電極近傍のインクを噴射させて記録するものである。
【0004】
一方、スリット状の記録ヘッドを用いない濃縮吐出型の静電方式も知られている。これは、インク中の色剤成分に静電力を作用させるための複数個の個別電極を、貫通孔の形成された絶縁性基板とこの貫通孔に対応して形成された制御電極とからなる制御電極基板と、この貫通孔のほぼ中心位置に配置された凸状インクガイドとから構成し、この凸状インクガイドの表面を表面張力でインクをインク滴飛翔位置まで運び、制御電極に所定の電圧を印加することで記録媒体にインク滴を飛翔させ記録するものである。
【0005】
この様な種々のインクジェット記録方式に用いるインクとしては、各種の水溶性染料を水または水及び水溶性有機溶剤からなる溶媒中に溶解、必要により各種添加剤が添加されたものが主流を占めている(以下水性染料インクと呼称する)。しかしながら、水性染料インクを用いて実印字を行った場合、紙種により記録紙上でインクがにじみ高品位な印字が得られない、形成された記録画像の耐水性・耐光性が劣っている、記録紙上での乾燥が遅く尾引きが起こる、カラーの混色(異色のドットを隣接して印字した場合に色境界面で生じる色濁りあるいは色ムラ)による記録画像の劣化等の欠点があった。
【0006】
そこで前記の水性染料インクの問題点である記録画像の耐水性・耐光性を改善する意味で、水性溶媒あるいは非水性溶媒体中に顔料を微粒子を分散してなる、顔料系インクをインクジェット記録方式に適用する試みが種々なされており、例えば、水を主成分とした溶媒中に顔料を分散させたインクジェットプリンタ用インクが提案されている。しかしながら、顔料が媒体に不溶であるため、一般に分散安定性が悪い、ノズル部で目詰まりを起こしやすい等の問題を有していた。
【0007】
一方、顔料を非極性の絶縁性溶媒に分散させたインク(以下油性顔料インクと呼称する)は、紙への吸収性が良いため滲みが少なく、また、記録画像の耐水性が良いなどの利点があり、例えば、特許文献1(特開昭57−10660号公報)ではアルコールアミド系分散剤で、また特許文献2(特開昭57−10661号公報)ではソルビタン系分散剤により、顔料を微粒子化した油性顔料インクが提案されている。しかしながら、顔料粒子を非極性の絶縁性溶媒に均一に微粒子分散させるには十分でなく、また、分散安定性が悪いため、ノズル部で目詰まりを起こしやすい等の問題を依然として有していた。更に顔料自体には記録紙に対する固着能がないために耐擦過性に乏しいという大きな欠点があった。
【0008】
これらを改良するために、非極性の絶縁性溶媒に可溶な樹脂を固着剤および顔料分散剤として兼用して用いる樹脂溶解型油性インクが提案されており、例えば、特許文献3(特開平3−234772号公報)では上記の樹脂としてテルペンフェノール系樹脂が提案されている。しかしながら、顔料の分散安定性が未だ十分でなく、インクとしての信頼性に問題があった。更に、樹脂を非極性溶媒中に溶解させているために、顔料を記録紙に完全に定着させるだけの樹脂が残らず耐水性及び耐擦過性が十分ではなかった。
【0009】
そこで更に高度の耐擦過性を得るために、非極性の絶縁性溶媒に不溶または半溶解な樹脂で顔料粒子を被覆することが提案されており、例えば、特許文献4(特開平4−25574号公報)では、マイクロカプセル法等により顔料を樹脂で被覆した油性インクが提案されている。しかしながら、顔料内包樹脂粒子を均一に微粒子分散することが困難で、その分散安定性も十分でないため、インクとしての信頼性に問題があった。
【0010】
更に、近年は水性染料インクを使用した一般のインクジェットプリンターで写真画質での高画質化が達成されており、顔料インクでも発色性や透明性を上げるためにできるだけ顔料をできるだけ微細化し、且つその分散状態を安定に保持することが要求されてきている。
しかし、一方で、顔料を微細にすればするほど顔料の微細化と同時に顔料一次粒子の破砕が起き、更に、表面エネルギーの増加により、同時に凝集エネルギーが大きくなるため、再凝集が起こりやすくなり、結局は微細化した顔料分散体の貯蔵安定性が損なわれるといった弊害が生じてくる。この様に、インクジェットプリンター用油性顔料インクに使用される顔料分散体に対する要求は、より高度の微細化が要求されているものの、顔料を微粒子分散するには高度な技術を要すると共に、その分散安定性を高めることは非常に困難なものであり、上記を満足すべき油性顔料インクがなかなかないのが実情であった。
【0011】
また更に、静電方式のインクジェットプリンタや電子写真用液体現像剤にこれらの油性顔料インクを用いる場合には、荷電極性の制御や荷電の経時安定性が要求されるものの、顔料表面の極性を制御するのが非常に困難なため、上記を満足すべき油性顔料インクがなかないのも実情であった。非水溶媒を用いた電子写真用液体現像剤には、一般的に、脂肪族炭化水素系溶媒と着色剤と定着用樹脂と分散剤と必要に応じて添加される種々の添加剤とから成る混合物を、ボールミルやアトライター等で微粉砕して製造されている。その製造方法については、これまでに種々の提案がなされている。例えば、非水溶媒中でスチレンやアクリル系モノマー等を重合させて得られるポリマーラテックスを染料で染色し、これを着色剤とする着色液体現像剤が提案されている。しかし、着色剤として染料を用いた方法では黒色液体現像剤の製造が困難なことと、染料系なので画像濃度が低いことや、光退色などの欠点があった。一方、着色剤として顔料を用いた例としては、電子写真用液体現像剤として顔料と定着用樹脂として天然樹脂変性熱硬化性樹脂を長鎖アルキル基含有モノマー中で反応させた樹脂が提案されている。しかしながら、着色剤の分散安定性の改善には効果があるが、未だ、充分な分散安定性を有するものではなかった。このように、着色剤として顔料を用いた電子写真用液体現像剤では耐擦過性と共に十分な分散安定性が望まれていた。更に、顔料はその種類により荷電極性が異なるため顔料粒子の荷電極性を明瞭にし、且つその荷電の経時変化が無い事が望まれていた。
【0012】
【特許文献1】
特開昭57−10660号公報
【特許文献2】
特開昭57−10661号公報
【特許文献3】
特開平3−234772号公報
【特許文献4】
特開平4−25574号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の第一の目的は、顔料が均一に微粒子分散され、且つ顔料分散液の分散安定性に優れることにより、ノズル部での目詰まりが起きない吐出安定性の高いインクジェットプリンタ用油性インクを提供する事である。
本発明の第二の目的は、記録紙上での乾燥性、記録画像の耐水性、耐光性に優れており、且つ高度の耐擦過性を有するインクジェットプリンタ用油性インクを提供する事である。
本発明の第三の目的は、分散安定性、耐擦過性に優れると共に、荷電極性の制御や荷電の経時安定性にも優れた静電方式インクジェツトプリンタ用油性インク、及び電子写真用液体現像剤を提供する事である。
本発明の第四の目的は、上記の特徴を有する、均一に微粒子分散された顔料を内包する樹脂粒子からなるインクジェットプリンタ用インクを得るための製造方法を提供する事である。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、下記の構成により解決される事が見出された。
(1)誘電率1.5〜20及び表面張力15〜60mN/m(25℃において)を有する非水溶媒中に、着色剤を表面処理した着色成分を該非水溶媒中に微粒子状に分散して得た着色成分微粒子をシード粒子として、一官能性単量体(A)の少なくとも一種と、ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の置換基を有する一官能性単量体(B)の少なくとも1種と、該非水溶媒に可溶であって重合体繰り返し成分の置換基の末端に、重合性二重結合基を有する重合体を主成分とする分散安定化剤(P)の少なくとも一種とを加え、重合開始剤の存在下に分散重合させることにより得られる着色樹脂粒子を含有することを特徴とするインクジェットプリンタ用油性インク組成物。
【0015】
(2)分散安定化剤(P)が、該非水溶媒に可溶であって、下記一般式(I)で示される該非水溶媒に可溶性の重合体成分Aと、下記一般式(II)で示される重合体繰返し成分の置換基の末端に重合性二重結合基を有する重合体成分Bとを主成分とする分散安定化剤(P)で有ることを特徴とする上記(1)記載のインクジェットプリンタ用油性インク組成物。
【0016】
【化3】
【0017】
一般式(I)中、X0は−COO−、−OCO−、−(CH2)k−OCO−、−(CH2)k−COO−及び−O−から選ばれた1種或いはそれらの組み合わされた連結基を表わす。kは1〜3の整数を表す。
a1とa2は、互いに同じでも異なってもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭化水素基、−COO−Z1又は炭化水素を介した−COO−Z1 (Z1は水素原子又は置換されてもよい炭化水素基を示す)を表す。
Q0は炭素数4〜22の脂肪族基を表す。
【0018】
【化4】
【0019】
一般式(II)中、X1とX3は、互いに同じでも異なってもよく、それぞれ−COO−、−OCO−、−(CH2)k COO−、−(CH2)kOCO−、−O−、−SO2−、−CONHCOO−、−CONHCONH−、−CON(Z2)−、又は−SO2N(Z2)−を表す。ここでZ2は水素原子または炭素数1〜22の炭化水素基を示し、kは1〜4の整数を示す。
Wは結合基X1と結合基X2とを連結する基で、少なくとも1つの炭素原子、酸素原子、イオウ原子、ケイ素原子又は窒素原子からなるものを表す。
b1とb2、c1とc2は、一般式(I)におけるa1とa2と同義である。
【0020】
(3)着色剤が有機顔料及び無機顔料から選択される少なくとも一種の顔料であり、着色成分が、該着色剤をポリマー被覆することにより表面処理されたものである上記(1)記載のインクジェットプリンタ用油性インク組成物。
(4)シード粒子が、表面処理された着色成分を顔料分散剤により非水溶媒中に微粒子状に分散安定化して得た着色成分微粒子である上記(1)記載のインクジェットプリンタ用油性インク組成物。
【0021】
(5)体積比抵抗109Ωcm以上の非水溶媒中に、着色剤を表面処理した着色成分を該非水溶媒中に微粒子状に分散して得た着色成分微粒子をシード粒子として、一官能性単量体(A)の少なくとも一種と、ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の置換基を有する一官能性単量体(B)の少なくとも1種と、該非水溶媒に可溶であって重合体繰り返し成分の置換基の末端に、重合性二重結合基を有する重合体を主成分とする分散安定化剤(P)の少なくとも一種とを加え、重合開始剤の存在下に分散重合させることにより得られる着色樹脂粒子を含有することを特徴とする電子写真用液体現像剤。
(6)分散安定化剤(P)が、上記一般式(I)で示される該非水溶媒に可溶である重合体成分Aと、上記一般式(II)で示される重合体繰り返し成分の置換基の末端に、重合性二重結合基を有する重合体成分Bとを主成分とする分散安定化剤であることを特徴とする上記(5)記載の電子写真用液体現像剤。
【0022】
(7)着色剤が有機顔料及び無機顔料から選択される少なくとも一種の顔料であり、着色成分が、該着色剤をポリマー被覆することにより表面処理されたものである上記(5)記載の電子写真用液体現像剤。
(8)シード粒子が、表面処理された着色成分を顔料分散剤により非水溶媒中に微粒子状に分散安定化して得た着色成分微粒子である上記(5)記載の電子写真用液体現像剤。
【0023】
(9)誘電率1.5〜20及び表面張力15〜60mN/m(25℃において)を有する非水溶媒中に、着色剤を表面処理した着色成分を該非水溶媒中に微粒子状に分散して得た着色成分微粒子をシード粒子として、一官能性単量体(A)の少なくとも一種と、ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の置換基を有する一官能性単量体(B)の少なくとも1種と、該非水溶媒に可溶であって重合体繰り返し成分の置換基の末端に、重合性二重結合基を有する重合体を主成分とする分散安定化剤(P)の少なくとも一種とを加えた分散液を、重合開始剤の存在下に分散重合させることを特徴とする着色樹脂粒子の製造方法。
(10)分散安定化剤(P)が、上記一般式(I)で示される該非水溶媒に可溶である重合体成分Aと、上記一般式(II)で示される重合体繰り返し成分の置換基の末端に、重合性二重結合基を有する重合体成分Bとを主成分とする分散安定化剤であることを特徴とする上記(9)記載の着色樹脂粒子の製造方法。
【0024】
(11)着色剤が有機顔料及び無機顔料から選択される少なくとも一種の顔料であり、該着色剤をポリマー被覆して表面処理することを特徴とする上記(9)記載の着色樹脂粒子の製造方法。
(12)着色成分微粒子を、表面処理された着色成分を顔料分散剤により該非水溶媒中に微粒子状に分散安定化することにより得ることを特徴とする上記(9)記載の着色樹脂粒子の製造方法。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に述べる。
本発明のインクジェットプリンタ用油性インク組成物に使用される非水溶媒は、非極性の絶縁性溶剤であり、誘電率1.5〜20及び表面張力15〜60mN/m(25℃にて)であることが好ましい。また、電子写真用液体現像剤に使用される非水溶媒は、体積比抵抗109Ωcm以上であることが好ましい。更に望まれる特性としては、毒性の少ないこと、引火性が少ないこと、臭気が少ないことである。
【0026】
かかる非水溶媒としては、直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、石油ナフサ及びこれらのハロゲン置換体等から選ばれた溶媒が挙げられる。例えばヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、エクソン社のアイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、フィリップ石油社のソルトール、出光石油化学社のIPソルベント、石油ナフサではシェル石油化学社のS.B.R.、シェルゾール70、シエルゾール71、モービル石油社のベガゾール等から選ばれた溶媒を単独又は混合して用いることができる。
【0027】
好ましい炭化水素溶剤としては、沸点が150〜350℃の範囲にある高純度のイソパラフィン系炭化水素が挙げられ、市販品としては前述のエクソン化学製のアイソパーG,H,L,M,V(商品名)、ノーパー12,13,15(商品名)、出光石油化学製のIPソルベント1620,2028(商品名)、日本石油化学製のアイソゾール300,400(商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ;スピリッツ社の商品名)等が挙げられる。これらの製品は、極めて純度の高い脂肪族飽和炭化水素であり、25℃における粘度は3cSt以下、25℃における表面張力は22.5〜28.0mN/m、25℃における比抵抗は1010Ω・cm以上である。また、反応性が低く安定であり、低毒性で安全性が高く、臭気も少ないという特徴がある。
【0028】
ハロゲン置換の炭化水素系溶媒としてフルオロカーボン系溶媒があり、例えばC7F16、C8F18などのCnF2n+2で表されるパーフルオロアルカン類(住友3M社製「フロリナートPF5080」、「フローリナートPF5070」(商品名)等)、フッ素系不活性液体(住友3M社製「フロリナートFCシリーズ」(商品名)等)、フルオロカーボン類(デュポンジャパンリミテッド社製「クライトックスGPLシリーズ」(商品名)等)、フロン類(ダイキン工業株式会社製「HCFC−141b 」(商品名)等)、[F(CF2)4CH2CH2I]、[F(CF2)6I]等のヨウ素化フルオロカーボン類(ダイキンファインケミカル研究所製「I−1420」、「I−1600」(商品名)等)等が挙げられる。
【0029】
本発明で使用される非水系の溶媒として、更に高級脂肪酸エステルや、シリコーンオイルも使用できる。シリコーンオイルの具体例としては、低粘度の合成ジメチルポリシロキサンが挙げられ、市販品としては、信越シリコーン製のKF96L(商品名)、東レ・ダウコーニング・シリコーン製のSH200(商品名)等が挙げられる。
シリコーンオイルとしてはこれらの具体例に限定されるものではない。これらのジメチルポリシロキサンは、その分子量により非常に広い粘度範囲のものが入手可能であるが、1〜20cStの範囲のものを用いるのが好ましい。これらのジメチルポリシロキサンは、イソパラフィン系炭化水素同様、1010Ω・cm以上の体積抵抗率を有し、高安定性、高安全性、無臭性といった特徴を有している。またこれらのジメチルポリシロキサンは、表面張力が低いことに特徴があり、18〜21mN/mの表面張力を有している。
【0030】
これらの有機溶媒とともに、混合して使用できる溶媒としては、アルコール類(例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、フッ化アルコール等)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル類(例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等)、エーテル類(例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)及びハロゲン化炭化水素類(例えばメチレンジクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、メチルクロロホルム等)等の溶媒が挙げられる。
【0031】
次に本発明の表面処理された着色成分について詳細に述べる。
本発明の表面処理された着色成分(以下単に「着色成分」と称することもある)は、着色剤を表面処理したものであり、該着色剤としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料が挙げられる。
【0032】
例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等), C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等), C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、 C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、 C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、 C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、 C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、 C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、 C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
【0033】
マゼンタ色を呈するものとして、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、 C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、 C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、 C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、 C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、 C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、 C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)り如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、 C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、 C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、 C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、 C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、 C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
【0034】
シアン色を呈する顔料として、C.Iピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、 C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、 C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、 C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、 C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、 C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
【0035】
ブラック色を呈する顔料として、BK−1(アニリンブラック)の如きアニリンブラック系顔料等の有機顔料や酸化鉄顔料、及びファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料類が挙げられる。
また、金、銀、銅などの色再現のために金属粉の応用も挙げられる。
【0036】
着色剤の表面処理方法としては、技術情報協会発行の「顔料分散技術」第5章に記載されている、ロジン処理、ポリマー処理、グラフト化処理、プラズマ処理等の方法が適用できる。
【0037】
「ロジン処理」とは、顔料とロジンを機械的に混練し顔料表面にロジンを処理する方法や,顔料の水性スラリーにロジンのアルカリ水溶液を加えた後にアルカリ土類塩や酸などを加えてロジンの難溶性塩または遊離酸を顔料粒子表面に析出させる方法などである。ロジン処理では通常、顔料の数%から20%程度のロジンが用いられ、▲1▼顔料の結晶成長防止効果により微細で透明性の大きな顔料が得られること、▲2▼粒子の乾燥凝集が弱くなるために機械的分散が容易になること、▲3▼顔料表面の親油性を増大させることにより油性ビヒクルに対するぬれを改善するなどに大きな効果があり、特に印刷インキの分野で多く使用されている。
【0038】
「グラフト化処理」とは、カーボンブラック、およびシリカや酸化チタンなどの無機微粒子、さらには有機顔料などの表面に存在する水酸基やカルボキシル基やアミノ基などの官能基とポリマーとのグラフト化反応を行うものである。顔料表面へのポリマーのグラフト化反応には、(1)顔料微粒子の存在下で、重合開始剤を用いてビニルモノマーの重合を行い、系内で生成する生長ポリマーを顔料粒子表面の官能基で停止することによる方法、(2)顔料微粒子表面へ導入した重合開始基からグラフト鎖を生長させる方法、および(3)顔料微粒子表面の官能基とポリマー末端の官能基との高分子反応による方法等がある。
【0039】
「プラズマ処理」とは、低温プラズマや熱プラズマにより顔料粉体表面の改質を行うものである。低温プラズマによる顔料表面の処理の具体例としては、(1)酸素や窒素などの非重合性気体のプラズマ照射による改質、(2)重合性気体を用いたプラズマ重合膜形成による改質、(3)プラズマ照射によって基材表面に活性種を形成させる第1段階と、照射後モノマーと接触させ、あと反応でグラフト重合を進行させる第2段階の二段階プロセスよりなるプラズマ開始グラフト重合反応による改質などが挙げられる。
【0040】
着色剤の表面処理方法としては、着色剤の分散性を向上させると共に、分散された着色成分をシード粒子として非水溶媒中で分散重合させる観点から、以下に述べるポリマー処理が特に好ましい。
【0041】
ポリマー処理の代表的方法としては、技術情報協会発行の「顔料分散技術」99頁以降に記載のin−situ重合法を利用した化学的方法、相分離法(コアセルベーション)を利用した方法、顔料分散時に機械的な力で処理する方法などが挙げられる。
【0042】
in−situ重合法としては、顔料およびポリマーの系を分散した後懸濁重合する方法、分散剤の存在下顔料を水系に分散し極性ポリマー、ビニル系ポリマー、多官能橋かけポリマーを加えて重合する方法、顔料を分散したモノマーを塊状重合した後懸濁重合または乳化重合することにより顔料への吸着が十分行えるようにする方法などがある。相分離法(コアセルベーション)としては、ポリマー溶液中に顔料を分散させた後、何らかの方法でポリマーの溶解度を下げ溶液系からポリマーを顔料粒子上へ析出させる方法が挙げられ、化学的方法(in−situ重合法)に比べ広い範囲のポリマーを選べる特徴がある。顔料を分散した樹脂溶液に非溶媒を加えて顔料表面に樹脂を析出させる方法や、水溶性ポリマーや水溶性樹脂溶液に顔料を微細に分散した後、pHを調整してこれらを顔料表面に析出させる方法はロジン処理を含めて広く用いられている。酸可溶性の含窒素アクリル樹脂の酸溶液中で顔料を分散させた後、pHを上げてポリマーを顔料表面で不溶化したものは塗料、印刷インキでの凝集防止、流動性、光沢、着色力向上に効果がみられている。機械的な力でポリマー処理する方法を例示すると、ポリマーと顔料を予め顔料分が5〜95%になる様に混合した後に、加熱しながらニーダー、三本ロールなどで混練し、ピンミル等で粉砕するものである。フラッシング樹脂処理という方法も機械的なポリマー処理方法に含まれる。
【0043】
ポリマー処理に用いる樹脂としては、非水溶媒中で顔料の分散性を向上させると共に、この分散された着色成分微粒子をシード粒子として非水溶媒中で分散重合させる際の加熱分散安定性を付与するものであることが好ましく、液体現像剤で従来使用されている樹脂も使用することができる。
【0044】
好ましい樹脂としては、着色剤に吸着し、且つ非水系溶媒中に良く分散する機能を有するために、溶媒に溶媒和する部分と溶媒に溶媒和しにくい部分及び極性基を有する部分を持っている樹脂が好ましい。例えば、重合後に溶媒に溶媒和するモノマーとしては、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、セチルメタクリレート等が挙げられる。重合後に溶媒に溶媒和しにくいモノマーとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、スチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。極性基を含むモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸またはそのアルカリ塩などの酸性基モノマーと、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピリジン、ビニルピロリジン、ビニルピペリジン、ビニルラクタムなどの塩基性基モノマーが挙げられる。
【0045】
ポリマー処理に用いる樹脂の具体例としては、オレフィン重合体および共重合体(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリレート共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等)、スチレンおよびその誘導体の重合体ならびに共重合体(例えばブタジエン−スチレン共重合体、イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−メタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等)、アクリル酸エステル重合体および共重合体、メタクリル酸エステル重合体および共重合体、イタコン酸ジエステル重合体および共重合体、無水マレイン酸共重合体、ロジン樹脂、水素添加ロジン樹脂、石油樹脂、水素添加石油樹脂、マレイン酸樹脂、テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂、クロマン−インデン樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル共重合体、環化ゴム−アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
【0046】
本発明の着色剤とポリマー処理に用いられる樹脂の割合は、着色剤/樹脂の重量比で好ましくは95/5〜5/95の範囲、より好ましくは80/20〜10/90の範囲である。
【0047】
更に表面処理された着色成分として、一般に市販されている加工顔料も用いることができる。市販加工顔料の具体例としては、チバスペシャリティケミカルズ社のマイクロリス顔料等が挙げられ、好ましい加工顔料の例としては、ロジンエステル樹脂で顔料を被覆したマイクロリス−T顔料が挙げられる。
【0048】
本発明においては、上記表面処理された着色成分は、非水溶媒中に微粒子状に分散されて着色成分微粒子を得、これをシード粒子として更に分散重合させるものである。まず、着色成分の分散工程について述べる。
該分散工程では、着色成分を微粒子状に分散し且つ非水溶媒中で分散安定化させるために顔料分散剤を使用することが好ましい。
【0049】
本発明に使用することができる、表面処理された着色成分を非水溶媒中で微粒子状に分散するための顔料分散剤としては、該非水溶媒中で適用される一般の顔料分散剤が使用できる。顔料分散剤としては前記非極性の絶縁性溶媒に相溶し、安定的に着色成分を微粒子分散できるものであれば良い。
【0050】
顔料分散剤の具体例としては、ソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等)、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリエチレングリコールジイソステアレート等)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等)、脂肪族ジエタノールアミド系などのノニオン系界面活性剤、及び高分子系分散剤としては、分子量1000以上の高分子化合物が良く、例えば、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ロジン、BYK−160、162、164、182(ビックケミー社製のウレタン系高分子化合物)、EFKA−47、LP−4050(EFKA社製のウレタン系分散剤)、ソルスパーズ24000(ゼネカ社製のポリエステル系高分子化合物)、ソルスパース17000(ゼネカ社の脂肪族ジエタノールアミド系)等が挙げられる。
【0051】
高分子系顔料分散剤としては上記の他に更に、溶媒に溶媒和するラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、セチルメタクリレート等のモノマーと、溶媒に溶媒和しにくいメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、スチレン、ビニルトルエン等のモノマー及び極性基を有する部分からなるランダム共重合体、又は特開平3−188469号に開示されているグラフト共重合体が挙げられる。上述の極性基を含むモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸またはそのアルカリ塩などの酸性基モノマーと、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピリジン、ビニルピロリジン、ビニルピペリジン、ビニルラクタムなどの塩基性基モノマーが挙げられる。また、この他にはスチレン―ブタジエン共重合体、特開昭60−10263号に開示されているスチレンと長鎖アルキルメタクリレートのブロック共重合体等が挙げられる。好ましい顔料分散剤としては、特開平3−188469号に開示されているグラフト共重合体等が挙げられる。
【0052】
顔料分散剤の使用量は、着色剤100重量部に対して、0.1〜300重量部が好ましい。顔料分散剤の添加量が0.1重量部より少ないと着色成分の分散効果が小さく好ましくない。また、300重量部より多く用いても用いた分の効果が得られない。
【0053】
表面処理された着色剤を、非水溶媒中に分散させるにおいて、顔料分散剤を使用する方法としては、例えば次のような方法があり、これらのいずれによっても目的とする効果が得られる。
【0054】
1.表面処理された着色剤と顔料分散剤を予め混合して得られる着色成分組成物を非水系溶媒中に添加して分散する。
2.非水系溶媒に表面処理された着色剤と顔料分散剤を別々に添加して分散する。
3.非水系溶媒に表面処理された着色剤と顔料分散剤を予め別々に分散し得られた分散体を混合する。この場合、顔料分散剤を溶剤のみで分散しても良い。
4.非水系溶媒に表面処理された着色剤を分散した後、得られた着色成分分散体に顔料分散剤を添加する。
【0055】
上記の表面処理された着色剤(着色成分)は、非水系溶媒中で混合または分散させて、着色成分微粒子とすることができる。非水系溶媒中で混合又は分散する機械としては、ディゾルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ニーダー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター等が使用できる。この分散工程での着色成分(加工顔料等)の分散平均粒径の範囲は0.01〜10μmである。インク中の着色成分の好ましい分散平均粒径範囲としては0.01〜1.0μmである。
【0056】
次に上記分散された着色成分微粒子をシード粒子(シード)として、このシード粒子に一官能性単量体(A)を添加して分散重合させる工程について説明する。
非水溶媒中に着色成分を微粒子状に分散させシード粒子とした中で、一官能性単量体(A)、ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の置換基を有する一官能性単量体(B)及び重合体繰り返し成分の置換基の末端に、重合性二重結合基を有する重合体を主成分とする分散安定化剤(P)を加えた重合系を、重合開始剤の存在下に重合させることにより、本発明の着色剤を内包した着色樹脂粒子が得られる。単量体(A)は、該非水溶媒に可溶であるがその重合する事によって該非水溶媒に不溶性となる単量体であればいずれでもよい。
具体的には、例えば下記一般式(III)で表される重合単量体が挙げられる。
【0057】
【化5】
【0058】
一般式(III)中、X2は−COO−、−OCO−、−CH2OCO−、−CH2COO−、−O−、−CONHCOO−、−CONHOCO−、−SO2−、−CON(Z2)−、−SO2N(Z2)−、またはフェニレン基(以下、フェニレン基を「−Ph−」と記載することもある。なお、フェニレン基は1,2−、1,3−および1,4−フエニレン基を包含する。)を表す。ここでZ2は、水素原子または炭素数1〜8の置換されていてもよい脂肪族基(たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、ベンジル基、クロロベンジル基、メチルベンジル基、メトキシベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ジメチルベンジル基、フロロベンジル基、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基等)を表す。
【0059】
Q2は水素原子または炭素数1〜6の置換されてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2,2−ジクロロエチル基、2,2,2−トリフロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、2−ニトロエチル基、2−メトキシエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、2−エトキシエチル基、3−ブロモプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−フルフリルエチル基、2−チエニルエチル基、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル基、4−カルボキシブチル基、2−カルボキシアミドエチル基、3−スルホアミドプロピル基、2−N−メチルカルボキシアミドエチル基、シクロペンチル基、クロロシクロヘキシル基、ジクロロヘキシル基等)を表す。
【0060】
d1 およびd2 は互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜3のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基等)、−COO−L1または−CH2−COO−L1〔ここでL1は水素原子、または置換されてもよい炭素数10以下の炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基等を表す)を表す。
【0061】
具体的な単量体(A)としては、例えば炭素数1〜6の脂肪族カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、モノクロロ酢酸、トリフロロプロピオン酸等)のビニルエステル類あるいはアリルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸の炭素数1〜4の置換されてもよいアルキルエステル類またはアミド類(アルキル基として例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−ニトロエチル基、2−メトキシエチル基、2−メタンスルホニルエチル基、2−ベンゼンスルホニルエチル基、2−カルボキシエチル基、4−カルボキシブチル基、3−クロロプロピル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基、2−フルフリルエチル基、2−チエニルエチル基、2−カルボキシアミドエチル基等);スチレン誘導体(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、メトキシメチルスチレン、ビニルベンゼンカルボキシアミド、ビニルベンゼンスルホアミド等);アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;マレイン酸、イタコン酸の環状酸無水物;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;重合性二重結合基含有のヘテロ環化合物(具体的には、例えば高分子学会編「高分子データハンドブック−基礎編−」、p175〜184、培風舘(1986年刊)に記載の化合物、例えば、N−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、ビニルチオフェン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルオキサゾリン、ビニルチアゾール、N−ビニルモルホリン等)等が挙げられる。
単量体(A)は、上記の中から少なくとも一種以上選択されたモノマーを主成分とする。
【0062】
次に、本発明に用いられる一官能性単量体(B)について説明する。
単量体(B)は、単量体(A)と共重合可能であり、重合性二重結合基の側鎖置換基中に、フッ素原子及び/又はケイ素原子を含有する一官能性単量体である。
【0063】
フッ素原子を含有する置換基としては、例えば下記の1価又は2価の有機残基等が挙げられる。
−Cn(F)2n+1(nは1〜22の整数)、−CFH2 、−CFHCl、−CFCl2 、−CF2Cl、−(CF2)mCF2H(mは0、又は1〜17の整数)、−CF2−、−CFH−、−CFCl−
【0064】
これらのフッ素原子含有の有機残基は組み合わせて構成されていてもよく、その場合には、直接結合してもよいし、他の連結基を介して組み合わされてもよい。連結する基としては 、具体的には2価の有機残基が挙げられ、−O−、−S−、−N(g1)−、−CO−、−SO−、−SO2 −、−COO−、−OCO−、−CONHCO−、−NHCONH−、−CON(g1)−、−SO2 N(g1)−等から選ばれた結合基を介在させてもよい、2価の脂肪族基もしくは2価の芳香族基、又はこれらの2価の残基の組み合わせにより構成された有機残基が挙げられる。ここで、g1 は炭素数1〜3のアルキル基を表す。
【0065】
ケイ素原子を含有する置換基としては、下記のシロキサン構造(あるいはシリルオキシ構造)又はシリル基を含有するものが好ましい。
【0066】
【化6】
【0067】
上記構造において、R11及びR12並びにR13、R14及びR15は互いに同じでも異なってもよく、各々脂肪族基、芳香族基又は複素環基を表す。
R11〜R15は各々、好ましくは置換されてもよい炭素数1〜18の直鎖状又は分枝状アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−フロロエチル基、トリフロロメチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基、2−メチルカルボニルエチル基、2,3−ジメトキシプロピル基、フッ化アルキル基〔例えば−(CH2)hCiF2i+1基(但しhは1〜6の整数、iは1〜12の整数を表す)基、−(CH2)h−(CF2)j−R16基(但しjは0又は1〜12の整数、R16基は炭素数1〜12のアルキル基、−CF2H、−CFH2、−CF3を表す)、−CH(CF3) 2、−CF2Cl、−CFCl2 、−CFClH、−CF(CF3)OCiF2i+1、−OCiF2i+1、−C(CF3)2OCiF2i+1等〕、
【0068】
炭素数4〜18の置換されてもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル 基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル 基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、リノレニル基等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、ポリフロロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、メトキシシクロヘキシル基等)、炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、フロロフェニル基、クロロフェニル基、ジフロロフェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル基、トリフロロメチルフェニル基等)、又は窒素原子、酸素原子、イオウ原子から選ばれる少なくとも1種の原子を含有する縮環してもよいヘテロ環基(例えばヘテロ環としては、ピラン環、フラン環、チオフェン環、モルホリン環、ピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、ピリジン環、ピペリジン環、ピロリドン環、ベンゾチアゾール環、ベンツオキサゾール環、キノリン環、テトラヒドロフラン環等)等が挙げられる。
【0069】
特に好ましくは、R11及びR12のいずれかの置換基、そしてR13、R14及びR15の中の2つ以上の置換基が、各々、アルキル基またはアルケニル基から成ることである。
フッ素原子含有置換基及びケイ素原子含有置換基は、単量体(B)の分子中に複数個含有されてもよい。
単量体(B)は、全単量体の総量に対して、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは2〜10重量%用いられる。
【0070】
以下に、単量体(B)の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0071】
【化7】
【0072】
【化8】
【0073】
【化9】
【0074】
更に本発明においては、上記分散液中に、単量体(A)と共重合可能で下記一般式(IV)で示されるアミノ基を含有する一官能性単量体(C)を更に含有することが好ましい。
【0075】
【化10】
【0076】
一官能性単量体(C)においては、重合性二重結合基とアミノ基は直接結合していない。
【0077】
式(IV)中、R31及びR32は同じでも異なってもよく、各々好ましくは水素原子、炭素数1〜22の置換されてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、ドコシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜18の置換されてもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、リノレニル基等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例えば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基等)または炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオンアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル基等)等が挙げられる。
【0078】
また、R31及びR32は結合して窒素原子と共に環を形成する有機残基を表してもよい。この有機残基は更に、ヘテロ原子(例えば酸素原子、窒素原子、イオウ原子等)を含有してもよい。形成される環状アミノ基としては、例えばモルホリノ基、ピペリジノ基、ピリジル基、イミダゾリル基、キノリル基、等が挙げられる。
また、アミノ基は、単量体(C)の分子中に複数個含有されていてもよい。
【0079】
本発明の着色樹脂粒子は、共重合成分としてアミノ基含有の塩基性単量体(C)を用いることで、粒子自身の表面が正荷電を発現し、非水系分散媒中に分散された粒子の分散安定性が向上する。これは粒子同志の近接時の荷電反発効果によるものと推測される。
塩基性単量体(C)は、単量体(A)の総量に対して、好ましくは1〜45重量%、より好ましくは5〜30重量%用いる。この範囲内において、粒子の分散性及び画像定着性が好ましい。
以下に、塩基性単量体(C)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0080】
【化11】
【0081】
更に本発明では、−PO3H2基、−SO3H基及び−SO2H基から選ばれる少なくとも1つの酸性基を含有する、単量体(A)と共重合可能な酸性単量体(D)を、単量体(C)とともに併用してもよい。酸性単量体(D)は、分子中に複数個の上記酸性基を含有してもよい。本発明の着色樹脂粒子は、共重合成分として酸性単量体(D)を用いることで、粒子自身の表面が負荷電に発現することができ、非水溶媒中に分散された粒子の分散安定性が向上する。酸性単量体(D)は、単量体(A)の総量に対して、好ましくは1〜45重量%、より好ましくは3〜30重量%で用いる。
【0082】
以下に、単量体(D)の具体例を示す。本発明はこれらに限定されるものではない(但し下記具体例中、Yは−SO3H基及び−SO2H基又は−PO3H2又は−OPO3H2基を表す)。
【0083】
【化12】
【0084】
【化13】
【0085】
本発明では、単量体(A)と共重合可能な、長鎖の脂肪族基を有する単量体(L)を更に併用してもよい。長鎖の脂肪族基を有する単量体(L)において、長鎖の脂肪族基は炭素数7以上の脂肪族基を表す。その場合の具体例としては、総炭素数10〜32の脂肪族基(脂肪族基はハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アルコキシ基等の置換基を含有していてもよく、または酸素原子、イオウ原子、窒素原子等のヘテロ原子でその主鎖の炭素−炭素結合が介されてもよい)を有するアクリル酸、α−フルオロアクリル酸、α−クロロアクリル酸、α−シアノアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸の如き不飽和カルボン酸のエステル類(脂肪族基として、例えばデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ドコシル基、ドデセニル基、ヘキサデセニル基、オレイル基、リノレイル基、ドコセニル基等が挙げられる);上記不飽和カルボン酸のアミド類(脂肪族基として、上記エステル類で示したと同様のものが挙げられる);高級脂肪酸のビニルエステル類あるいはアリルエステル類(高級脂肪酸として、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、べヘン酸等が挙げられる);及び総炭素数8〜32の脂肪族基が酸素原子に結合したビニルエーテル類(脂肪族基としては上記の不飽和カルボン酸エステル類で例示した脂肪族基と同じものが挙げられる)等を挙げることができる。
【0086】
長鎖の脂肪族基を有する単量体(L)を用いることにより、着色樹脂粒子の分散安定性、再分散性が更に向上する。これは単量体(L)に相当する共重合成分が、溶媒との親媒和性が高いことで粒子表面部分に配向し、そのことで粒子自身の表面の溶媒との親媒和性が高まり、粒子同志の凝集・沈殿を抑制するためと推定される。単量体(L)を用いる場合の使用量は、全単量体中、0.5〜20重量%、好ましくは1〜15重量%である。
【0087】
次に分散安定化剤(P)について説明する。
分散安定化剤(P)は、該非水溶媒に可溶であって、一般式(I)で示される該非水溶媒に可溶性の重合体成分Aと、一般式(II)で示される重合体繰返し成分の置換基の末端に重合性二重結合基を有する重合体成分Bとを主成分とする。
重合体成分Aを構成する一般式(I)で示される繰り返し単位において、X0は、好ましくは−COO−、−OCO−、−O−を表わす。
Q0は炭素数4〜22の直鎖状或は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を表す。具体的には、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、リノレル基等が挙げられる。
【0088】
a1とa2は、互いに同じでも異なってもよく、好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子又は臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜3のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基又はプロピル基等)、−COO−Z1又は炭化水素を介した−COO−Z1 (Z1は水素原子又は置換されてもよい炭化水素基を示す)を表す。Z1は水素原子又は炭素数1〜22の、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、脂環式基、アリール基もしくは架橋環式炭化水素基を表わし、これらは置換されていてもよい。
【0089】
Z1の好ましい炭化水素基としては、炭素数1〜22の置換されてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基、ドコサニル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜18の置換されてもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基,2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、リノレル基等)、 炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、 炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例えば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基等)、及び炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル基、ドデシロイルアミドフェニル基等)、又は炭素数5〜18の架橋環式炭化水素基(例えば、ビシクロ〔1,1,0〕ブタン、ビシクロ〔3,2,1〕オクタン、ビシクロ〔5,2,0〕ノナン、ビシクロ〔4,3,2〕ウンデカン、アダマンタン等の基)が挙げられる。
【0090】
重合体成分Bを構成する一般式(II)で示される繰り返し単位において、X1の好ましい例としては、−COO−、−OCO−、−CON(Z2)−等が挙げられる。X3の好ましい例としては、−COO−、−COO(CH2)−、−O−等が挙げられる。
Wは結合基X1と結合基X3とを連結する基で、少なくとも1つの炭素原子、酸素原子、イオウ原子、ケイ素原子又は窒素原子からなるものを表し、その具体例を下記に示す。
【0091】
【化14】
【0092】
G1、G2は各々、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ヒドロキシル基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)等を示す。
G3、G4、G5は各々、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、トリル基等)または−OG5(G5は、G3における炭化水素基と同義である)を表す)等が挙げられる。
【0093】
本発明の分散安定化剤(P)の構成成分である、一般式(I)で示される該非水溶媒に可溶性の重合体成分Aと、一般式(II)で示される重合体繰返し成分の置換基の末端に重合性二重結合基を有する重合体成分Bの好ましい例を以下に挙げる。更に本発明の分散安定化剤(P)の好ましい例も以下に挙げるが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0094】
【化15】
【0095】
【化16】
【0096】
【化17】
【0097】
【化18】
【0098】
本発明の分散安定化剤(P)は、従来公知の合成方法によって容易に合成することができる。
即ち、一般式(I)で示される重合体成分Aに相当する単量体と、一般式(II)で示される重合体成分Bに相当し、ラジカル重合反応における重合反応性が異なる二官能性単量体を用いて、特開昭60−185962号公報記載の方法等により重合反応させることにより、ゲル化反応を生じることなく合成する事ができる。
【0099】
また、樹脂中に重合性二重結合基を導入する方法としては、特開昭61−43757号公報記載の方法等により合成する事ができる。具体的には、一般式(II)で示される重合体成分Bにおいて、重合性二重結合基:−X3−C(c1)=CH(c2)の代わりに、予め特定の反応性基(例えば−OH、−COOH、−SO3H、−NH2、−SH、−PO3H2、−NCO、−NCS、−COCl、−SO2Cl、エポキシ基等)を含有した単量体を、一般式(I)で示される重合体成分Aに相当する単量体と、ともに重合反応させた後に、上記の重合性二重結合基を含有する反応性試薬を反応させて、高分子反応により重合性二重結合基を導入する方法が挙げられる。
【0100】
分散安定化剤(P)において、重合性二重結合基を有する一般式(II)で示される重合体成分Bの存在割合は、全重合体100重量部中において、通常0.5〜30重量%であり、好ましくは1〜10重量%である。この範囲内において、重合造粒反応時において、反応混合物の架橋反応によるゲル化は起こらず、重合性二重結合基を有する分散安定化剤(P)を得ることができる。
【0101】
また、本発明に供される分散安定化剤(P)は、一般式(I)、(II)の各繰り返し単位とともに、他の繰り返し単位を共重合成分として含有してもよい。他の共重合成分としては、一般式(I)、(II)の各々の繰り返し単位に相当する単量体と共重合可能な単量体よりなるものであればいずれの化合物でもよい。
【0102】
本発明の分散安定化剤(P)の重量平均分子量(Mw)は、5×103〜1×106が好ましく、より好ましくは2×104〜3×105である。
【0103】
本発明で用いられる着色剤を内包した着色樹脂粒子を製造するには、非水溶媒中に表面処理された着色成分を微粒子状に分散させシード粒子とした中で、単量体と重合体繰返し成分の置換基の末端に重合性二重結合基を有する分散安定化剤(P)を加えた重合系を、過酸化ベンゾイル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリル又はブチルリチウム等の重合開始剤の存在下に重合させればよい。
【0104】
非水溶媒中に表面処理された着色成分を微粒子状に分散させシード粒子とした中に、単量体と重合体繰返し成分の置換基の末端に重合性二重結合基を有する分散安定化剤(P)と重合開始剤とを具体的に加えるには、
(1)単量体と分散安定化剤(P)と重合開始剤とを非水溶媒中に混合溶解した溶液を滴下する方法、もしくは一括あるいは分割して添加する方法、
(2)非水溶媒中に着色成分を微粒子状に分散させシード粒子とした中に分散安定化剤(P)を溶解した溶液を加え、次に単量体と重合開始剤とを滴下、もしくは一括あるいは分割して添加する方法、
(3)非水溶媒中に着色成分を微粒子状に分散させシード粒子とした中に、単量体、分散安定化剤(P)、重合開始剤を非水溶媒中に混合溶解した溶液の一部を加え分散重合させた後に、残りの単量体、分散安定化剤(P)、重合開始剤の混合物を任意に添加する方法、
(4)非水溶媒中に着色成分を微粒子状に分散させシード粒子とした中に単量体の一部を加えてシード粒子へのモノマー吸収を促進させ、次に残りの単量体、分散安定化剤(P)と重合開始剤とを滴下、もしくは一括あるいは分割して添加する方法
等があり、いずれの方法を用いても製造することができる。
【0105】
次に着色剤を内包した着色樹脂粒子を形成する各成分の量について説明する。シード粒子(着色成分微粒子)と単量体{(M)並びに、必要に応じて(B)、(A)及び/又は(L)}の総量との使用割合は、5/95〜95/5重量比が好ましく、より好ましくは10/90〜80/20重量比である。単量体総量の仕込み量は、非水溶媒100重量部に対して5〜80重量部程度であり、好ましくは10〜50重量部である。可溶性もしくはコロイド状に分散している、重合体繰返し成分の置換基の末端に重合性二重結合基を有する分散安定化剤(P)は、上記で用いる全単量体100重量部に対して1〜100重量部であり、好ましくは3〜50重量部である。重合開始剤の量は、全単量体の0.1〜5モル%が適切である。又、重合温度は20〜180℃程度であり、好ましくは30〜120℃である。反応時間は1〜15時間が好ましい。
【0106】
反応に用いた非水溶媒中に、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が残存する場合、及び前記したアルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類等の極性溶媒を併用した場合、あるいは重合造粒化される単量体の未反応物が残存する場合、該溶媒あるいは単量体の沸点以上に加温して留去するかあるいは減圧留去することによって除くことが好ましい。
【0107】
以上の如くして製造された非水系顔料内包樹脂粒子は、着色剤が均一に微粒子分散され、且つ分散液の分散安定性に優れることにより、ノズル部での目詰まりが起きない吐出安定性の高いインクジェットプリンタ用油性インクを提供する。また記録紙上での乾燥性、記録画像の耐水性、耐光性に優れており、且つ高度の耐擦過性を有する。更に、非水系溶媒中で均一に微粒子分散された着色剤内包樹脂粒子を容易に得ることができ、荷電極性の制御、荷電の経時安定性に優れたインクジェットプリンタ用油性顔料インク、及びその安価な製造方法を提供する。また、単量体を適切に選択する事により、定着性、荷電性などの機能を着色剤内包樹脂粒子に導入することができる特徴を有する。
【0108】
本発明のインク組成物には、所望により各種添加剤を加えてもよい。インクジェット方式あるいはインクジェット吐出ヘッド、インク供給部、インク循環部の材質・構造等によって、任意に選択されインク組成物として含有される。
例えば、甘利武司監修「インクジェットプリンタ−技術と材料」第17章、(株)シーエムシー刊(1998年)等に記載されている。
【0109】
具体的には、脂肪酸類(例えば、炭素数6〜32のモノカルボン酸、多塩基酸;例えば、2−エチルヘキシン酸、ドデセニルコハク酸、ブチルコハク酸、2−エチルカプロン酸、ラウリル酸、パルミチン酸、エライジン酸、リノレイン酸、リシノール酸、オレイン酸、ステアリン酸、エナント酸、ナフテン酸、エチレンジアミン四酢酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、水添ロジン等)、樹脂酸、アルキルフタル酸、アルキルサリチル酸等の金属塩(金属イオンの金属としては、Na、K、Li、B、Al、Ti、Ca、Pb、Mn、Co、Zn、Mg、Ce、Ag、Zr、Cu、Fe、Ba等)、界面活性化合物類(例えば、有機リン酸又はその塩類として、炭素数3〜18のアルキル基から成るモノ、ジ又はトリアルキルリン酸等、有機スルホン酸又はその塩類として、長鎖脂肪族スルホン酸、長鎖アルキルベンゼンスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸等又はその金属塩、両性界面活性化合物として、レシチン、ケファリン等のリン脂質等が挙げられる)、フッ素原子及び/又はジアルキルシロキサン結合基を含有するアルキル基含有の界面活性剤類、脂肪族アルコール類(例えば、炭素数9〜20の分岐状アルキル基から成る高級アルコール類、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、シクロヘキシルアルコール等)、多価アルコール類{例えば、炭素数2〜18のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ドデカンジオールなど)};炭素数4〜1000のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);炭素数5〜18の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);炭素数12〜23のビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)の炭素数2〜18のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなど)付加物、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等のポリオール類;3価〜8価またはそれ以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類の炭素数2〜18のアルキレンオキサイド付加物(付加モル数は2〜20)、上記多価アルコールのエーテル誘導体(ポリグリコールアルキルエーテル類、アルキルアリールポリグリコールエーテル等)、多価アルコールの脂肪酸エステル誘導体、多価アルコールのエーテルオレート誘導体(例えば、エチレングリコールモノエチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルアセテート、プロピレングリコールモノブチルプロピオレート、ソルビタンモノメチルジオキサノレート等)、アルキルナフタレンスルホネート、アルキルアリールスルホネート等の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0110】
各種添加剤の使用量は、インク組成物の表面張力が15〜60mN/m(25℃において)及び粘度が1.0〜40cpの範囲となるように調整して用いることが好ましい。
【0111】
また、本発明の液体現像剤には、荷電特性の強化あるいは画像特性の改良等のために、所望により種々の荷電調節剤を加えても良い。
【0112】
本発明において使用する液体現像剤用の荷電調節剤としては従来、公知のものを使用することができる。例えばナフテン酸、オクテン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸の金属塩、スルホコハク酸エステルの金属塩、特公昭45−556号、特開昭52−37435号、特開昭52−37049号の各公報等に示されている油溶性スルホン酸金属塩、特公昭4公報に示されているリン酸エステル金属塩、特公昭48−25666号公報に示されているアビエチン酸もしくは水素添加アビエチン酸の金属塩、特公昭55−2620号公報に示されているアルキルベンゼンスルホン酸Ca塩類、特開昭52−107837号、同52−38937号、同57−90643号、同57−139753号の各公報に示されている芳香族カルボン酸あるいはスルホン酸の金属塩類、ポリオキシエチル化アルキルアミンのような非イオン性界面活性剤、レシチン、アマニ油等の油脂類、ポリビニルピロリドン、多価アルコールの有機酸エステル、特開昭57−210345号公報に示されているリン酸エステル系界面活性剤、特公昭56−24944号公報に示されているスルホン酸樹脂等を使用することができる。また特開昭60−21056号、同61−50951号の各公報に記載されたアミノ酸誘導体も使用することができる。また特開昭60−173558号、同60−179750号の各公報に記載されているマレイン酸ハーフアミド成分を含む共重合体等が挙げられる。さらに特開昭54−31739号、特公昭56−24944号の各公報等に示されている4級化アミンポリマーを挙げることが出来る。
【0113】
これらの内で好ましいものとしては、ナフテン酸の金属塩、ジオクチルスルホコハク酸の金属塩、前記マレイン酸ハーフアミド成分を含む共重合体、レシチン、前記アミノ酸誘導体を挙げることができる。これらの荷電調節剤としては、2種以上の化合物を併用することも可能である。
上述の様な荷電調節剤は、非水溶媒1000重量部に対して0.001重量部〜10.0重量部が好ましい。更に所望により各種添加剤を加えても良く、それら添加物の総量は、現像剤の電気抵抗によってその上限が規制される。即ち、トナー粒子を除去した状態の液体現像剤の電気抵抗が109Ωcmより低くなると良質の連続階調像が得られ難くなるので、各添加物の各添加量を、この限度内でコントロールすることが必要である。
【0114】
以下の実施例で、本発明のインク組成物がインクジェットプリンタ用油性インクとして有用な事を示す。インクジェットプリンタとしては、ピエゾ方式及び静電方式のインクジェットプリンタを例にして説明するが、これらの方式に限定されずに、サーマル方式やNTTなどのスリットジェットに代表されるインクジェットプリンタにも適用できる。
【0115】
静電方式のインクジェットプリンタについて更に説明する。
図1及び図2は吐出ヘッドの例を説明する概略図で、図1はライン走査型マルチチャンネルインクジェットヘッドの構成を示す図で、記録ドットに対応した吐出電極の断面を示している。同図においてインク100はポンプを含む循環機構111から、ヘッドブロック101に接続されたインク供給流路112を通して、ヘッド基板102と吐出電極基板103間に供給され、同じくヘッドブロック101に形成されたインク回収流路113を通してインク循環機構111に回収される。この吐出電極基板103は、貫通孔107を有する絶縁性基板104と、この貫通孔107の周囲で記録媒体側に形成されている吐出電極109とから構成されている。一方ヘッド基板102上には凸状インクガイド108が前記貫通孔107の略中心位置に配置されている。この凸状インクガイド108はプラスチック樹脂、セラミックスなど絶縁性部材からなり、前記貫通孔107と中心が等しくなるように同じ列間隔、ピッチで配置され、所定の方法でヘッド基板102上に保持されている。各凸状インクガイド108は厚みが一定の平板の先端を三角形あるいは台形状に切り出した形状で、その先端部がインク滴飛翔位置110となる。各凸状インクガイド108はその先端部からスリット状の溝を形成しても良く、そのスリットの毛細管現象により、インク飛翔位置110へのインク供給がスムースに行われ、記録周波数を向上することが出来る。またインクガイドの任意の表面は必要に応じて導電性を有していても良く、その場合には導電部分は電気的に浮遊状態とする事によって、吐出電極への少ない電圧印加で有効にインク飛翔位置に電界を形成できる。各凸状インクガイド108は、それぞれの貫通孔からほぼ垂直に所定の距離だけインク滴飛翔方向に突きだしている。凸状インクガイド108の先端に対向して記録紙である記録媒体121が配置され、この記録媒体121のヘッド基板102と反対側の背面に、記録媒体121を案内するプラテンの役割を兼ねる対向電極122が配置されている。また、ヘッド基板102と吐出電極基板103間によって形成される空間の底部には泳動電極140が形成されており、これに所定の電圧を印加する事により、インクガイドの吐出位置方向にインク中の荷電粒子を電気泳動させ、吐出の応答性を上げることが出来る。
【0116】
次に、吐出電極基板103の具体的構成例について図2を用いて説明する。図2は、吐出電極基板103を記録媒体121側から見た図で、複数個の吐出電極が主走査方向に二列でアレイ状に配列されて、各吐出電極の中心に貫通孔107が形成され、この貫通孔107の周辺にはそれぞれ個別の吐出電極109が形成されている。本実施例では吐出電極109の内径は貫通孔107の径より一回り大きく設けられているが、貫通孔107の径と同径でも良い。ここでは、絶縁性基板104は25から200μm程度の厚さのポリイミドからなり、吐出電極109は10から100μm程度の厚さの銅箔からなり、貫通孔107の内径は150から250μmΦ程度である。
【0117】
次に、静電方式のインクジェット記録装置の記録動作を説明する。ここでは正荷電したインクを用いた場合を例にとって説明するが、本発明は本例に限定される物ではない。記録時には、インク循環機構111からインク供給流路112を経て供給されたインク100は貫通孔107から凸状インクガイド108の先端のインク飛翔位置110に供給されると共に、一部はインク回収流路113を経てインク循環機構111に回収される。ここで、吐出電極109にはバイアス電圧源123から常時バイアスとして例えば+1.5kVの電圧が与えられ、これに信号電圧源124からの画像信号に応じた信号電圧として例えばON時に+500Vのパルス電圧が吐出電圧109に重畳される。またこの際、泳動電極140は+1.8kVの電圧が印加されている。一方、記録媒体121の背面に設けられた対向電極122は、図のように接地電圧0Vに設定されている。場合によっては記録媒体121側を例えば−1.5kVに帯電させてバイアス電圧としても良い。この場合には、対向電極122表面に絶縁層を設け、記録媒体にコロナチャージャー、スコロトロンチャージャー、固体イオン発生器等により帯電を行い、かつ吐出電極109は例えば接地され、これに信号電圧源124からの画像信号に応じた信号電圧として例えばON時に+500Vのパルス電圧が吐出電圧109に重畳される。またこの際、泳動電極140は+200Vの電圧が印加される。今、吐出電圧109がON状態(500Vが印加された状態)となり、バイアスDC1.5kVに500Vのパルス電圧が重畳された合計2kVの電圧が加わると、凸状電極108先端のインク滴飛翔位置110から、インク滴115が飛び出し、対向電極122方向に引っ張られて、該記録媒体121に向けて飛翔して画像を形成する。
【0118】
なお、飛翔後のインク液滴の飛翔を精密制御し記録媒体上での着弾精度を向上するため、吐出電極と記録媒体間に中間電極を設ける、あるいは吐出電極間に電界干渉抑制用のガード電極を設ける、等の手段がしばしば講じられるが、本実施例においても必要により好適に使用されることはもちろんである。また、ヘッド基28板102と吐出電極基板103間に多孔質体を設けても良く、この場合にはインクジェットヘッドの移動等によるインク内圧の変化の影響を防止できると共にインク滴吐出後の貫通孔107部へのインク液供給が迅速に達成される。したがって、インク滴115の飛翔が安定化され、記録媒体121上に濃度の安定した良好な画像を高速に記録することができる。
【0119】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
分散安定化剤の合成例1:(P−1)の合成(化合物例(a))
ラウリルメタクリレート96.7g、ビニルメタクリレ−ト2.2g、及びイソデカン400gの混合溶液を窒素気流下、温度70℃に加温した。攪拌下、2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.0gを添加し、3時間反応させ、さらに2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.0gを添加して、4時間反応させた。得られた溶液の固形分濃度は19%であった。
上記反応溶液の1部をその10倍量のメタノール溶媒中へ投入して得た無色透明な粘稠物の高速液体クロマトグラフ法で測定した重量平均分子量は3.8×104であった。
【0120】
分散安定化剤の合成例2:(P−2)の合成(化合物例(b))
ステアリルメタクリレート128.7g、ビニルメタクリレ−ト2.2g、及びイソデカン300gの混合溶液を窒素気流下、温度75℃に加温した。その後、2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.3gを添加し、3時間攪拌した。さらに2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.3gを添加して、5時間反応させた。得られた溶液の固形分濃度は30.0%であった。合成例1の如く処理し測定した白色固体の得られた重量平均分子量は3.5×104であった。
【0121】
分散安定化剤の合成例3:(P−3)の合成(化合物例(c))
ラウリルメタクリレート71.0g、ビニルオキシカルボニルメチルオキシ・カルボニルエチルアクリレート2.2g、及びイソデカン293gの混合溶液を窒素気流下、温度70℃に加温した。その後、2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.1gを添加し、3時間攪拌した。さらに2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.1gを添加して、5時間反応させた。得られた溶液の固形分濃度は19.6%であった。合成例1の如く処理し測定した白色固体の得られた重量平均分子量は3.5×104であった。
【0122】
分散安定化剤の合成例4:(P−4)の合成(化合物例(h))
ヘキサデシルアクリレート59.0g、アリルオキシカルボニルデカメチレンメタクリルアミド3.1g、及びn−ドデカン145gの混合溶液を窒素気流下、温度75℃に加温した。その後、2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)0.9gを添加し、3時間攪拌した。さらに2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)0.9gを添加して、4時間反応させた。得られた溶液の固形分濃度は29.4%であった。合成例1の如く処理し測定した白色固体の得られた重量平均分子量は4.1×104であった。
【0123】
分散安定化剤の合成例5:(P−5)の合成(化合物例(i))
ステアリルメタクリレート45.0g、ビニルオキシエチルアクリレート1.7g、及びアイソパーGを109gの混合溶液を窒素気流下、温度75℃に加温した。その後、過酸化ベンゾイル0.7gを添加し、3時間攪拌した。さらに過酸化ベンゾイル0.7gを添加して、4時間反応させた。得られた溶液の固形分濃度は29.0%であった。合成例1の如く処理し測定した白色固体の得られた重量平均分子量は3.8×104であった。
【0124】
分散安定化剤の合成例6〜12:(P−6)〜(P−12)の合成
下記表−Aに記載の各単量体を所定量、及びアイソパーGを250gの混合溶液を窒素気流下、温度65℃に加温した。その後、2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.0gを添加し、4時間反応させ、さらに2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)0.5gを添加して、3時間反応させた。冷却後、メタノール溶媒2L中へ投入して再沈し、得られた沈殿物をろ過、室温で減圧乾燥した。得られた各樹脂の重量平均分子量は4.0×104〜8.0×104であった。
【0125】
【表1】
【0126】
分散安定化剤の合成例13:(P−13)の合成(化合物例(l))
ラウリルメタクリレート96.7g、ヒドロキシカルボニルデカメチレンメタクリルアミド5.4g、及びトルエン100gの混合溶液を窒素気流下、温度70℃に加温し、攪拌下に2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.0gを添加した。6時間後に40℃まで冷却し0.2gのハイドロキノンを添加した。更に酢酸ビニル6.9g、酢酸水銀0.05gを加えて2時間反応させた。温度を再び70℃に上げ、100%硫酸7.5x10−3モル添加し前記メタクリルアミドモノマー化合物に由来するカルボン酸定量値が50%に減少するまで反応を行った。反応後、反応液に0.04gの酢酸ナトリウム三水和物を添加してよく攪拌してから4000gのメタノールに投入して再沈精製し、やや褐色を帯びた粘稠物を得た。この粘稠物の重量平均分子量は14.5×104であった。
【0127】
分散安定化剤の合成例14:(P−14)の合成(化合物例(k))
合成例13において用いた、ラウリルメタクリレートの代わりにステアリルメタクリレート128.6gを用いて、合成例13と同様の操作を行い、やや黄色味を帯びた粉末物を得た。この粉末物の重量平均分子量は22.2×104であった。
【0128】
分散安定化剤の合成例15:(P−15)の合成(化合物例(m))
ラウリルアクリレート87.5g、ヒドロキシカルボニルデカメチレンメタクリルアミド9.7g、及びアイソパーEを120gの混合溶液を窒素気流下、温度80℃に加熱し、攪拌下に2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.0gを添加した。3時間後に再び2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.0gを添加し3時間反応させた。0.2gのハイドロキノンを添加してから、同温度で酢酸ビニル11.4g、テトラブトキシチタン1.0gを加えて前記メタクリルアミドモノマー化合物に由来するカルボン酸定量値が50%に減少するまで反応を行った。反応後、4000gのアセトニトリルより再沈精製し、やや褐色を帯びた粘稠物を得た。重量平均分子量は10.3×104であった。
【0129】
分散安定化剤の合成例16:(P−16)の合成(化合物例(o))
ステアリルメタクリレート137.1g、ヒドロキシカルボニルトリメチレンオキシ・カルボニルエチルメタクリレート11.0g、及びトルエン300gの混合溶液を窒素気流下、温度70℃に加熱し、攪拌下に2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.5gを添加した。6時間後に40℃まで冷却し0.5gのハイドロキノンを添加した。更に酢酸ビニル31.0g、酢酸水銀0.2gを加えて2時間反応させた。温度を再び70℃に上げ100%硫酸3.4×10−2モル添加し前記酸含有メタクリレートモノマー化合物に由来するカルボン酸定量値が35%に減少するまで反応を行った。反応後、反応液に0.2gの酢酸ナトリウム三水和物を添加してよく攪拌してから合成例13と同様にして再沈精製し、白色粉末物を得た。重量平均分子量は29.5×104であった。
【0130】
分散安定化剤の合成例17:(P−17)の合成(化合物例(n))
ヘキサデシルメタクリレート105.6g、ヒドロキシカルボニルトリメチレンオキシ・カルボニルエチルメタクリレート6.7g、及びアイソパーE200gの混合溶液を窒素気流下、温度70℃に加熱し、攪拌下に2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.6gを添加した。6時間後に40℃まで冷却し0.2gのハイドロキノンを添加した。更に酢酸ビニル25.0g、テトラブトキシチタン3gを加えて温度を再び70℃に上げ、前記酸含有メタクリレートモノマー化合物に由来するカルボン酸定量値が50%に減少するまで反応を行った。反応後、合成例13と同様にして再沈精製し、やや黄色味を帯びた粘稠物を得た。重量平均分子量は28.7×104であった。
【0131】
分散安定化剤の合成例18:(P−18)の合成(化合物例(p))
ヘキサデシルメタクリレート105.6g、ヒドロキシカルボニルデカメチレンメタクリルアミド64.7g、及びアイソパーE400gの混合溶液を窒素気流下、温度80℃に加温し、攪拌下に2,2’−アゾビス(ブチロニトリル)1.6gを添加した。6時間後に0.1gのハイドロキノンを添加してから、温度を110℃に上げアリルアルコール58.1g、濃硫酸0.5gを加え、ディーンスタークの装置で留出する水分を除去しながら反応させた。前記メタクリルアミドモノマー化合物に由来するカルボン酸定量値が35%に減少したところで反応を停止し、合成例13と同様にして再沈精製し、やや茶色味を帯びた粘稠物を得た。重量平均分子量は19.7×104であった。
【0132】
実施例1
<顔料分散液の調製>
下記構造の顔料分散剤(D−1)をアイソパーHに加熱溶解して調液した20%溶液を、顔料分散剤として用いた。上記顔料分散剤溶液88.25重量部と、黒色加工顔料としてロジンエステル樹脂で処理されたマイクロリスブラックC−T(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)17.65重量部、アイソパーH29.4重量部及びガラスビーズ250重量部とともにペイントシェイカー(東洋精機KK)で30分間混合した。次にガラスビーズをろ別した後、高速度分散混和機器ダイノミル(商品名;KDL)で回転数3000rpmで3時間分散した。メディアはガラスビーズMK−3GXを使用した。分散液中の顔料粒子の体積平均粒径を、超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700(堀場製作所)にて測定した所、0.16μmと良好に分散されていた。
【0133】
【化19】
【0134】
<着色樹脂粒子の調製>
ガラスビーズをろ過した加工顔料分散液のろ液(固形分23.3%)85.8gを四つ口フラスコに入れ窒素気流下攪拌しながら温度80℃で3時間加熱した。
次にこの加工顔料分散液中に、分散安定化剤(P)として(P−1)を粉体で8g、メタクリル酸メチル16.0g、アクリル酸メチル22.0g、下記構造のフッ素含有の置換基を有する単量体(B−1)2.0g及びアイソパーH120gの混合溶液に2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.0gを加えた溶液をフィード溶液として、滴下速度2.5ml/分で滴下しその後3時間反応させた。滴下開始から約20分して発熱が始まり、反応液温度は約5℃程上昇した。3時間反応後に温度を90℃に上げ2時間攪拌し未反応のモノマーを留去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し得られた黒色樹脂粒子分散液は重合率97%でその平均体積粒子サイズは0.24μmであった。得られた黒色樹脂粒子分散液は、1カ月静置保存した後の分散状態も良好であった。
【0135】
【化20】
【0136】
黒色樹脂粒子分散液をS−800形電界放射形走査電子顕微鏡(日立電気社製)で観察した所、約100nm程度のマイクロリスブラック顔料粒子が分散重合後には約180nmの球形状樹脂粒子に成長しており、滴下モノマーがシード顔料粒子内で吸収され重合していることが判った。
更に黒色粒子分散液を透過形走査電子顕微鏡で観察した所、分散重合後の約180nmの球形状着色樹脂粒子の中にはシードの顔料粒子が内包されているのが判った。
以上より、本発明のシード分散重合により生成した着色樹脂粒子は、ロジンエステル樹脂処理された顔料を内部に含有した着色樹脂粒子である事が判る。
【0137】
<インク組成物(IJ−1)の作製>
上記着色樹脂粒子分散液を、溶媒留去により一旦濃縮しアイソパーGにて希釈する事により、粘度は13cp(E型粘度計、温度25℃で測定)、表面張力は23mN/m(協和界面科学社製の自動表面張力計、温度25℃で測定)のインク組成物(IJ−1)を調液した。インクジェット記録装置としてカラーファクシミリ彩遊記UX−E1CL(シャープ社製)を用い、上記インク組成物(IJ−1)を充填して、富士写真フイルムインクジェットペーパーハイグレード専用紙上に描画した所、ノズル詰まりが無く安定に吐出した。得られた描画画像は、滲みがなく、画像濃度1.8の良質で明瞭なものであった。次にフルベタパターンを印字して、印字物を乾燥させた後ベタ部を指で擦ったところ、目視で地汚れが全くなく極めて耐擦過性に優れていることが判った。インク組成物は、長期に保存しても沈降凝集が見られず分散性が極めて良好で、かなりな期間連続して印刷に使用でき優れた鮮明度の印刷を与えた。
【0138】
実施例2
<顔料分散物の調製>
黒色顔料としてカーボンブラック#30(三菱化学社製)100重量部、ポリマー処理の樹脂としてエチレン/ステアリルアクリレート共重合体(95/5モル比)、200重量部をトリオブレンダーで予備粉砕しよく混合した後に、120℃に加熱した三本ロールミルで溶融混練(20分)した。上記の顔料混練物をピンミルで粉砕した。
次に顔料混練物10重量部、アイソパーH65重量部、下記構造の顔料分散剤(D−2)をアイソパーHに加熱溶解して調液した20wt%溶液を20重量部、及び3G−Xガラスビーズ250重量部とともにペイントシェイカー(東洋精機KK)で60分間混合した。次にガラスビーズをろ別した後、高速度分散混和機器ダイノミル(商品名;KDL)で回転数3000rpmで3時間分散した。メディアはガラスビーズMK−3GXを使用した。分散液中の顔料粒子の体積平均粒径を、超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700(堀場製作所)にて測定した所、0.16μと良好に分散されていた。
【0139】
【化21】
【0140】
<着色樹脂粒子の調製>
ガラスビーズをろ過した顔料分散液のろ液(固形分14.0%)214.3gを四つ口フラスコに入れ窒素気流下攪拌しながら温度75℃で1時間加熱した。次にこの顔料分散液中に、実施例1と同様に、分散安定化剤(P−2)を粉体で4g、メタクリル酸メチル5.8g、アクリル酸メチル13.2g、ケイ素原子含有の置換基を有する単量体サイラプレーンFM−0711(チッソ(株)製)1.0g及びアイソパーH80gの混合溶液に2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5gを加えた溶液をフィード溶液として、一時間で滴下しその後3時間反応させた。滴下開始から約15分して発熱が始まり、反応液温度は約4℃程上昇した。3時間反応後に温度を90℃に上げ窒素流量を上げながら、2時間攪拌し未反応のモノマーを留去した。黒色樹脂粒子分散液は重合率96.0%でその平均体積粒子サイズは0.22μmであった。得られた黒色樹脂粒子分散液は、1カ月静置保存した後の分散状態も良好であった。
【0141】
<インク組成物(IJ−2)の作製>
上記着色樹脂粒子分散液を、溶媒留去により一旦濃縮しアイソパーGにて希釈する事により、粘度は13cp、表面張力は23mN/mのインク組成物(IJ−2)を調製した。インク組成物(IJ−2)を、実施例1と同様にしてカラーファクシミリ彩遊記UX−E1CL(シャープ社製)で印刷した所、滲みのない良質の明瞭な印刷を与えた。また実施例1と同様にして耐擦過性を調べた所、目視で地汚れが全くなく極めて耐擦過性に優れていることが判った。インク組成物は、長期に保存しても沈降凝集が見られず分散性が良好であつた。
【0142】
実施例3
<顔料分散物の調製>
黒色顔料としてカーボンブラック#100(三菱化学社製)10重量部、水100重量部をフラッシャーで攪拌後、ポリマー処理の樹脂としてスチレン/ビニルトルエン/ラウリルメタクリリレート共重合体(40/58/2モル比)の33%トルエン溶液60重量部を、更にフラッシャーに加え攪拌した。次いで、加熱し減圧して水分と溶媒を除去して含水率1重量%の黒色塊状物を得た。黒色塊状物を真空乾燥し、水分を完全に除去した後、サンプルミルで粉砕し、0.1−0.01mmの黒色粉体を得た。実施例2において、顔料混練物の代わりに上記黒色粉体を用い、顔料分散剤として(D−2)の代わりに下記構造の顔料分散剤(D−3)を用いた他は、実施例2と全く同様に顔料分散を行った。ガラスビーズをろ別した後得られた黒色顔料分散液は、体積平均粒径が0.13μmと分散性は良好であった。
【0143】
【化22】
【0144】
<着色樹脂粒子の調製>
ガラスビーズをろ過した顔料分散液のろ液(固形分13.0%)をシード粒子として、実施例2において、ケイ素原子含有の置換基を有する単量体サイラプレーンFM−0711(チッソ(株)製)の代わりに下記構造のケイ素原子含有の置換基を有する単量体(B−2)を用い、又、分散安定化剤(P−1)の代わりに(P−3)を8gを用いた他は、実施例2と全く同様にして分散重合を行った。得られた黒色樹脂粒子分散液は重合率98.0%でその平均体積粒子サイズは0.21μmであった。得られた黒色樹脂粒子分散液は、1カ月静置保存した後の分散状態も良好であった。
【0145】
<インク組成物(IJ−3)の作製>
上記顔料樹脂粒子分散液を、粘度は13cp、表面張力は23mN/mに調製してインク組成物(IJ−3)を得た。インク組成物(IJ−3)を、実施例1と同様にしてカラーファクシミリ彩遊記UX−E1CL(シャープ社製)で印刷した所、滲みのない良質の明瞭な印刷を与えた。また実施例1と同様にして耐擦過性を調べた所、目視で地汚れが全くなく極めて耐擦過性に優れていることが判った。インク組成物は、長期に保存しても沈降凝集が見られず分散性が良好であつた。
【0146】
比較例1
<比較用顔料分散液の調製>
青色顔料としてアルカリブルー 5重量部、顔料分散剤としてラウリルメタクリレート/アクリル酸共重合体(組成比95/5wt/wt)5重量部とを、アイソパーH90重量部及びガラスビーズ250重量部とともにペイントシェイカー(東洋精機KK)で30分間混合した。次にガラスビーズをろ別した後、高速度分散混和機器ダイノミル(商品名;KDL)で回転数3000rpmで3時間分散し分散液中の顔料粒子の体積平均粒径を、超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700(堀場製作所)にて測定した所、0.13μmと良好に分散されていた。
【0147】
<比較用着色樹脂粒子の調製>
ガラスビーズをろ過した顔料分散液のろ液(固形分9.6%)208.3gを四つ口フラスコに入れ窒素気流下攪拌しながら溶液温度を80℃で3時間加熱した。次にこの顔料分散液中に、実施例1と同様に、分散安定化剤(P−1)を6g、メタクリル酸メチル12.0g、アクリル酸メチル28.0g及びアイソパーH120gの混合溶液に2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.0gを加えた溶液をフィード溶液として、滴下速度2.5ml/分で滴下しその後3時間反応させた。滴下開始から約15分して発熱が始まり、反応液温度は約5℃程上昇したが、フラスコ壁面に粗大粒子が付着しており、反応後にはフラスコの底に多量の沈殿物がみられた。比較例1の着色樹脂粒子は、粗大粒子、沈降物の生成のため、次ぎのインク組成物に供することができなかった。
【0148】
比較例2〜3
実施例1において、ロジンエステル樹脂処理された黒色顔料マイクロリスブラックC−T (チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)の代わりに、下記のポリマーで処理された青色顔料(C.I.Pigmet Blue 15:3)を用いた他は実施例1と全く同様に顔料分散を行った。
【0149】
分散後にガラスビーズをろ別し得られた比較例2〜3の顔料分散液は、体積平均粒径が比較例2で1.48μm、比較例3で1.67μmであった。比較例2〜3の顔料分散液は、粗大粒子があり経時で沈降物が生成するなど分散性は良好でないため、次ぎのシード重合に供することができなかった。
【0150】
実施例1〜3と比較例1〜3より、本発明の如くポリマー処理された顔料は、特異的に微細粒子化され良好な分散安定性を有し、また、分散安定化剤として重合性二重結合基を有する共重合体を用いたために、シード分散重合が良好に進行し、そのシード分散重合により生成したポリマー処理された顔料を内部に含有する着色樹脂粒子は、明瞭な印刷画質、極めて優れた耐擦過性、良好な長期分散性等の、良好なインク特性を示すことが判った。
【0151】
実施例4
<顔料分散液の調製>
黒色顔料としてカーボンブラック#30(三菱化学社製)100重量部、ポリマー処理の樹脂としてメチルメタクリレート/ステアリルメタクリレート共重合体(9/1モル比)、200重量部をトリオブレンダーで予備粉砕しよく混合した後に、120℃に加熱した三本ロールミルで溶融混練(20分)した。上記の顔料混練物をピンミルで粉砕した。
次に顔料混練物10重量部、アイソパーG65重量部、顔料分散剤としてソルプレン1205(旭化成社製、スチレン/ブタジエン共重合体)をアイソパーGに加熱溶解して調液した20wt%溶液を25重量部、及び3G−Xガラスビーズ250重量部とともにペイントシェイカー(東洋精機KK)で60分間混合した。次にガラスビーズをろ別した後、高速度分散混和機器ダイノミル(商品名;KDL)で回転数3000rpmで3時間分散した。メディアはガラスビーズMK−3GXを使用した。分散液中の顔料粒子の体積平均粒径を、超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA700(堀場製作所)にて測定した所、0.21μmと良好に分散されていた。
【0152】
<着色樹脂粒子の調製>
ガラスビーズをろ過した顔料分散液のろ液(固形分14.0%)214.3gを四つ口フラスコに入れ窒素気流下攪拌しながら温度50℃で1時間加熱した。次にこの顔料分散液中に、上記の分散安定化剤(P−2)を粉体で4g、アクリル酸メチル19.6g、フッ素含有の置換基を有する単量体:ライトエステルM4F(共栄社化学(株)製)0.4g及びアイソパーH80gの混合溶液に2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)0.7gを加えた溶液をフィード溶液として、一時間で滴下しその後3時間反応させた。滴下開始から約20分して発熱が始まり、反応液温度は約5℃程上昇した。3時間反応後に温度を50℃から80℃に上げ窒素流量を上げながら、2時間攪拌し未反応のモノマーを留去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し得られた黒色樹脂粒子分散液は重合率92%でその体積平均粒子サイズは0.24μmであった。得られた黒色樹脂粒子分散液は、1カ月静置保存した後の分散状態も良好であった。
【0153】
<インク組成物(IJ−4)の作製>
上記着色樹脂粒子分散液を、溶媒留去により一旦濃縮しアイソパーGにて希釈する事により、粘度は13cp、表面張力は23mN/mのインク組成物IJ−4を調製した。インク組成物IJ−4を、実施例1と同様にしてカラーファクシミリ彩遊記UX−E1CL(シャープ社製)で印刷した所、滲みのない良質の明瞭な印刷を与えた。また実施例1と同様にして耐擦過性を調べた所、目視で地汚れが全くなく極めて耐擦過性に優れていることが判った。インク組成物は、長期に保存しても沈降凝集が見られず分散性が良好であつた。
【0154】
比較例4
<比較用インク組成物(IJR−1)の作製>
実施例4の着色樹脂粒子の代わりにシード粒子の顔料分散液を用いた他は、インク組成物(IJ−4)と同様にして、比較用インク組成物(IJR−1)を作成した。インクの粘度は12cp、表面張力は23dyne/cmであった。比較用インク組成物(IJR−1)を、実施例1と同様にしてカラーファクシミリ彩遊記UX−E1CL(シャープ社製)で印刷した所、滲みのない印刷を与えたものの、ベタ画像部を指で擦ると簡単に画像部が取れてしまい、耐擦過性が極めて悪い事が判った。更に、得られた印刷画像部を指で擦って取れないようにするには、印刷記録体を120℃以上に加熱定着する必要がある事が判った。
【0155】
本発明のインク組成物(IJ−4)と比較用インク組成物(IJR−1)の実験結果より、本発明の如くポリマー処理された顔料をシード粒子として、重合性二重結合基を有する分散安定化剤を用いたシード分散重合により、低軟化性の樹脂で被覆された着色樹脂粒子は、明瞭な印刷画質、良好な易定着性、極めて優れた耐擦過性、良好な長期分散性等の、良好なインク特性を示すことが判った。
【0156】
実施例5
<顔料分散物の調製>
実施例1において、黒色顔料マイクロリスブルーC−T (チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)の代わりに、黄色顔料マイクロリスイェロ−3R−T (チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を用いた他は実施例1と全く同様に顔料分散を行った。ガラスビーズをろ別した後得られた黄色顔料の分散液は、体積平均粒径が0.20μmと分散性は良好であった。
【0157】
<着色樹脂粒子の調製>
黄色顔料の分散液(固形分20.0%)100gを四つ口フラスコに入れ窒素気流下攪拌しながら温度80℃で2時間加熱した。実施例1において、分散安定化剤として(P−6)を粉体で4g、メタクリル酸メチル8.0g、アクリル酸メチル10.0g、ケイ素原子含有の置換基を有する単量体:サイラプレーンTM−0701(チッソ(株)製)1.0g、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル1.0g及びアイソパーH80gの混合溶液に2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.6gを加えた溶液をフィード溶液として、滴下速度2.0ml/分で滴下し3時間反応させた他は、実施例1と全く同一の反応操作を行った。反応液温度は約4℃程上昇した。得られた黄色樹脂分散液は、重合率95%、体積平均粒子サイズは0.26μmであり、1カ月静置保存した後の分散状態も良好であった。
【0158】
<インク組成物(IJ−5)の作製>
黄色樹脂粒子分散液をアイソパーGで樹脂粒子成分が6.0%になる様希釈した。次いで荷電調節剤としてオクタデセン−半マレイン酸オクタデシルアミド共重合体を、0.01g/アイソパーG 1リットルになる様添加してインク組成物(IJ−5)を調液した。インク組成物(IJ−5)の荷電量の測定を、特公昭64−696号に記載の現像特性装置(印加電圧500V、印加した電極の背面に誘起された電圧の時間変化の初期値を測定)で行った。インク組成物(IJ−5)は全体荷電が240mV、黄色樹脂粒子の荷電が201mVと明瞭な正荷電性を示し、一ヵ月後の荷電量の変化も殆ど無く極めて安定している事が判った。また、その荷電量は荷電調節剤の量により容易に制御できる事が判った。
【0159】
比較例5
<比較用インク組成物(IJR−2)の作製>
実施例5において、シード粒子である黄色顔料分散物をインク組成物(IJ−5)と同様にインク化して比較用インク組成物(IJR−2)を作成した。比較用インク組成物(IJR−2)の荷電量を測定したところ、荷電極性は負荷電で、全体荷電が90mV、黄色顔料粒子の荷電が13mVであった。
実施例5と比較例5より、シード粒子の黄色顔料マイクロリスイェロ−3R−T(比較用インク組成物(IJR−2))の荷電極性はもともと負荷電であるが、側鎖に二重結合基を含有する共重合体を分散安定化剤としたシード分散重合により樹脂被覆した本発明の着色樹脂粒子(インク組成物(IJ−5))は、荷電極性が明瞭な正荷電を示し、その荷電量も荷電調節剤の量により容易に制御できる事が判る。即ち、もともとの顔料の荷電極性に依らず、シード分散重合により顔料表面を樹脂被覆する事により、荷電極性(適切に荷電調節剤を選択して)、荷電量を自由に制御できることが判る。
【0160】
<画像描画性>
インクジェット装置として、図−1に示すヘッド構造の100dpi 64チャンネルの静電式インクジェツトヘッドを使用し、インク組成物(IJ−5)をインクタンクに充填した。エアーポンプ吸引により記録媒体であるコート記録紙表面の埃除去を行った後、吐出ヘッドを描画位置までコート記録紙に近づけ、描画解像度600dpiでインクを吐出し描画した。この際、パルス電圧を調節してドット径15μmから60μmの範囲で16段階でドット面積を変化させながら描画した。描画画像は滲みのない満足し得る濃度の良質の明瞭な画像を与えた。インクヘッドからの吐出安定性も良好で、詰まりを生じる事が無く、画像描画でも安定したドット形状の印字ができた。また実施例1と同様にして耐擦過性を調べた所、目視で地汚れが全くなく極めて耐擦過性に優れていた。インク組成物(IJ−5)は、長期に保存しても沈降凝集が見られず分散性が良好であった。
【0161】
一方、比較用インク組成物(IJR−2)を用い、吐出ヘッドに印加するパルス電圧を負極性にして上記と同様に描画した所、描画画像は滲みがひどく画像濃度も低いものであった。また、吐出不良が発生したために、画像欠落が見られ満足する画像が得られなかった。
以上の結果より、本発明のシード分散重合により樹脂被覆した顔料樹脂粒子(インク組成物(IJ−5))が、明瞭な正荷電と十分な荷電量も有するために、静電式インクジェツト装置において、明瞭な印刷画質、良好な吐出安定性、極めて優れた耐擦過性、良好な長期分散性等の、良好なインク特性を示すことが判った。
【0162】
実施例6〜19
<顔料分散液の調製>
実施例1において、顔料分散剤(D−1)の代わりに(D−3)を加工顔料に対して50wt%用い、また黒色加工顔料マイクロリスブラックC−Tの代わりに、青色加工顔料マイクロリスブルー4G−T(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を用いた他は実施例1と全く同様に顔料分散を行った。ガラスビーズをろ別した後得られた顔料分散液は、体積平均粒径は0.16μmで分散性は良好であった。この黒色顔料分散液を用いてシード分散重合を行い着色樹脂粒子、インク組成物(IJ−6)〜(IJ−19)をそれぞれ作成した。
【0163】
<着色樹脂粒子>
実施例1において、青色加工顔料分散液(固形分19.1%)157.5gを用い、下記の表−Bに記載の分散安定化剤(P)を粉体で8g、単量体を40g、アイソパーGを120g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を単量体の1モル%加えた溶液をフィード溶液と2時間で滴下して他は、実施例1と全く同一の反応操作を行った。反応液温度はそれぞれ約3〜8℃程上昇した。得られた青色粒子分散液6〜19は、重合率が約89〜98%であり、その体積平均粒子サイズは0.20〜0.26μmであった。また青色粒子分散液6〜19は、1カ月静置保存した後の分散状態もそれぞれ良好であった。
【0164】
<インク組成物:IJ−6〜IJ−19>
上記着色樹脂粒子分散液6〜19を、それぞれ粘度は12〜14cp、表面張力は22〜24mN/mに調整してインク組成物(IJ−6)〜(IJ−19)を得た。インク組成物(IJ−6)〜(IJ−19)を、実施例1と同様にしてカラーファクシミリ彩遊記UX−E1CL(シャープ社製)で印刷した所、インク組成物(IJ−6)〜(IJ−19)は、滲みのない満足し得る濃度の良質の明瞭な印刷を与え、また目視で地汚れが全くなく極めて耐擦過性に優れていた。また、インク組成物(IJ−6)〜(IJ−19)は、長期に保存しても沈降凝集が見られず分散性が良好であつた。
【0165】
【表2】
【0166】
実施例20
実施例5で得られたインク組成物(IJ−5)を電子写真用液体現像剤として、リコー製湿式複写機DT−2500を用いて印字テストしたところ、十分な画像濃度と良好な定着性を有する画像が得られた。また、この電子写真用液体現像剤は荷電の経時変化が極めて少なく、再分散性、保存安定性に優れるものであった。
【0167】
【発明の効果】
表面処理された着色剤をシード粒子として、非水溶媒中で側鎖に二重結合基を含有する共重合体を分散安定化剤としたシード分散重合により得られる、樹脂で被覆された本発明の着色樹脂粒子を含有するインク組成物により、着色剤が均一に微粒子分散され、且つ着色剤分散液の分散安定性に優れるインクジェットプリンタ用油性インクを得ることができる。また、ノズル部での目詰まりが起きない吐出安定性の高いインクジェットプリンタ用油性インクが得られる。更に記録紙上での乾燥性、記録画像の耐水性、耐光性に優れており、且つ高度の耐擦過性を有するインクジェットプリンタ用油性インクが得られる。また、分散安定性、耐擦過性に優れると共に、荷電極性の制御や荷電の経時安定性にも優れた静電方式インクジェツトプリンタ用油性インク、及び電子写真用液体現像剤を得ることができる。更に上記の特徴を有する、均一に微粒子分散された着色剤を内包する樹脂粒子の製造方法を提供できる。
【0168】
【図面の簡単な説明】
【図1】ライン走査型マルチチャンネルインクジェツトヘッドの構成例を示し、記録ドットに対応した吐出電極の断面を示す図である。
【図2】吐出電極を記録媒体側から見た図である。
Claims (9)
- 誘電率1.5〜20及び表面張力15〜60mN/m(25℃において)を有する非水溶媒中に、着色剤を表面処理した着色成分を該非水溶媒中に微粒子状に分散して得た着色成分微粒子をシード粒子として、一官能性単量体(A)の少なくとも一種と、ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の置換基を有する一官能性単量体(B)の少なくとも1種と、該非水溶媒に可溶であって重合体繰り返し成分の置換基の末端に、重合性二重結合基を有する重合体を主成分とする分散安定化剤(P)の少なくとも一種とを加え、重合開始剤の存在下に分散重合させることにより得られる着色樹脂粒子を含有することを特徴とするインクジェットプリンタ用油性インク組成物。
- 分散安定化剤(P)が、該非水溶媒に可溶であって、下記一般式(I)で示される該非水溶媒に可溶性の重合体成分Aと、下記一般式(II)で示される重合体繰返し成分の置換基の末端に重合性二重結合基を有する重合体成分Bとを主成分とする分散安定化剤(P)で有ることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタ用油性インク組成物。
a1とa2は、互いに同じでも異なってもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭化水素基、−COO−Z1又は炭化水素を介した−COO−Z1 (Z1は水素原子又は置換されてもよい炭化水素基を示す)を表す。
Q0は炭素数4〜22の脂肪族基を表す。
Wは結合基X1と結合基X2とを連結する基で、少なくとも1つの炭素原子、酸素原子、イオウ原子、ケイ素原子又は窒素原子からなるものを表す。
b1とb2、c1とc2は、一般式(I)におけるa1とa2と同義である。 - 着色剤が有機顔料及び無機顔料から選択される少なくとも一種の顔料であり、着色成分が、該着色剤をポリマー被覆することにより表面処理されたものである請求項1記載のインクジェットプリンタ用油性インク組成物。
- 体積比抵抗109Ωcm以上の非水溶媒中に、着色剤を表面処理した着色成分を該非水溶媒中に微粒子状に分散して得た着色成分微粒子をシード粒子として、一官能性単量体(A)の少なくとも一種と、ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の置換基を有する一官能性単量体(B)の少なくとも1種と、該非水溶媒に可溶であって重合体繰り返し成分の置換基の末端に、重合性二重結合基を有する重合体を主成分とする分散安定化剤(P)の少なくとも一種とを加え、重合開始剤の存在下に分散重合させることにより得られる着色樹脂粒子を含有することを特徴とする電子写真用液体現像剤。
- 分散安定化剤(P)が、上記一般式(I)で示される該非水溶媒に可溶である重合体成分Aと、上記一般式(II)で示される重合体繰り返し成分の置換基の末端に、重合性二重結合基を有する重合体成分Bとを主成分とする分散安定化剤であることを特徴とする請求項4記載の電子写真用液体現像剤。
- 着色剤が有機顔料及び無機顔料から選択される少なくとも一種の顔料であり、着色成分が、該着色剤をポリマー被覆することにより表面処理されたものである請求項4記載の電子写真用液体現像剤。
- 誘電率1.5〜20及び表面張力15〜60mN/m(25℃において)を有する非水溶媒中に、着色剤を表面処理した着色成分を該非水溶媒中に微粒子状に分散して得た着色成分微粒子をシード粒子として、一官能性単量体(A)の少なくとも一種と、ケイ素原子及び/又はフッ素原子含有の置換基を有する一官能性単量体(B)の少なくとも1種と、該非水溶媒に可溶であって重合体繰り返し成分の置換基の末端に、重合性二重結合基を有する重合体を主成分とする分散安定化剤(P)の少なくとも一種とを加えた分散液を、重合開始剤の存在下に分散重合させることを特徴とする着色樹脂粒子の製造方法。
- 分散安定化剤(P)が、上記一般式(I)で示される該非水溶媒に可溶である重合体成分Aと、上記一般式(II)で示される重合体繰り返し成分の置換基の末端に、重合性二重結合基を有する重合体成分Bとを主成分とする分散安定化剤であることを特徴とする請求項7記載の着色樹脂粒子の製造方法。
- 着色剤が有機顔料及び無機顔料から選択される少なくとも一種の顔料であり、該着色剤をポリマー被覆して表面処理することを特徴とする請求項7記載の着色樹脂粒子の製造方法。
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JP2012025834A (ja) * | 2010-07-22 | 2012-02-09 | Fujifilm Corp | インク組成物、インクセット及び画像形成方法 |
JP2012181267A (ja) * | 2011-02-28 | 2012-09-20 | Seiko Epson Corp | 液体現像剤および液体現像剤の製造方法 |
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2002
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