JP2004107174A - 動植物着生用構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】モルタルまたはコンクリートのブロックで構成される構造体に植物を生育させたり小動物を生活させたりする場を与える。
【解決手段】植物繊維を配合した保水性モルタルまたはコンクリートのブロックを用いた動植物着生用構造物であって,該ブロックの上部または側部の表面に水が貯溜する窪みを形成し,この窪み内の貯溜水が該ブロック中を自然に浸透・流下することを特徴とする動植物着生用構造物である。ブロック中に配合されている植物繊維例えば麻などが,ブロック中を水が浸透・流下できるような機能を付与する。
【選択図】  図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,モルタルまたはコンクリートのブロックに動植物が着生しやすいようにした動植物着生用構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート製品および現場打ちコンクリートに要求されているものの一つにコンクリート構造材からの植物の育成がある。自然土壌や地盤と同じように植物が生育できる環境をコンクリート構造物に求め,コンクリートそのものに植物を自然な状態で繁殖させ且つ他の生物(小動物や微生物等)も生息できる環境を実現しようとするものである。
【0003】
動植物の生育環境にとって水は必要不可欠である。しかし,水に接するコンクリート構造物でも,コンクリート本来の機能が水密を要するものが多いので,特別なことがない限り,動植物の生育環境がコンクリート内部で形成されることはない。すなわち,通常のコンクリート構造物では,水で濡れても水分保持機能がないので,太陽の直射日光等によって水分が蒸発散させられると,コンクリートは乾燥状態となり,表面も乾燥してしまう。このため,通常のコンクリート製ブロックなどでは植物は全く着生せず,小動物等も生息することもないのが普通である。しかし,例えばセメント系コンクリートは,施工性,安全性,経済性などに優れているのも事実であり,構造や力学的な問題に対してもコンクリートに代わる材料を見い出すことは困難である。
【0004】
したがって,このようなセメント系コンクリートの特質を生かしながら,土壌に似た保水機能を具備し,植物・他の生物(小動物や微生物等)の生態環境が形成できるコンクリートの出現が待たれているところである。
【0005】
他方,近年では河川の護岸や造成地法面の緑化コンクリートとして,芝や蔦などの植物を植栽できる多孔性のポーラスコンクリートが使用され始めた。このようなポーラスコンクリートは,主として骨材を隙間をもって接着させることによって空隙率10〜30%程度の空隙を確保したもので,その空隙部に土等の植生基盤を充填することで,植物や微小水生動物などの生息を可能にしている。また,高透水性を生かした排水性舗装材料としての利用も試みられている。
【0006】
しかし,従来のポーラスコンクリートは水が抜ける通路を有するものであり,透水率は大きいけれども,コンクリートの母相自身すなわち骨材やバインダー(セメント等)に保水性があるものではない。このため,ポーラスコンクリート自身が保水機能や水の蒸発散機能を持たないし,強度的にも10〜15N/mm程度と低い。したがって,セメント系コンクリート本来の施工性や力学的な特徴を具備しながらコンクリートマトリックス自身に動植物着生機能を発現させるところまでは至っていない。また,通常のセメントを使用するものでは高pHを示すのが一般であり,この点でも生物の生態に悪影響を及ぼしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は,前記のような問題を解決し,構造材としてのセメント系等の硬化体本来の特徴を有しながら動植物着生に必要な機能を新たに具備し,植物・他の生物(小動物や微生物等)の生態環境が形成できるようなモルタルまたはコンクリートのブロックからなる構造物を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決すべく,本発明者らは種々の試験研究を重ねてきたが,セメント系モルタルまたはコンクリートにおいて,適量の植物繊維を配合すると,未だ固まらない状態では各種の形状に変形できる性質を有しながら,硬化した状態では優れた保水機能と普通コンクリートと同等の強度を兼備した硬化体が得られることがわかった。すなわち,植物繊維を配合することによって硬化体マトリックス中に,すなわち植物繊維を除くセメント(結合材)等で構成される母相中に,水が自然に浸透・流下する微細な細孔が形成され且つ十分な強度をもつ硬化体組織が得られるのである。例えば,植物繊維配合のセメント系硬化体ブロックに対して,その上部に水を貯溜させると,その水が無くなるまで,ブロック中に自然に浸透・流下してゆく。すなわち,自然土壌に類似した水の浸透・流下の現象がセメント系硬化体ブロックでも起こり得ることがわかった。
【0009】
したがって本発明によれば,植物繊維を配合した保水性モルタルまたはコンクリートのブロックを用いた動植物着生用構造物であって,該ブロックの上部または側部の表面に水が貯溜する窪みを形成し,この窪み内の貯溜水が該ブロック中に自然に浸透・流下することを特徴とする動植物着生用構造物を提供する。該ブロックの硬化体マトリックス内には,前記の植物繊維の分散によって水が浸透・流下できる細孔が形成されている。当該窪みは雨水が自然に貯溜できる水溜まりとすることもできるし,人工的に水を補給する水溜めとすることもできる。またこの窪みには植栽用基盤材を装填することによって,ここを,各種の植物の植栽場所とし同時に小動物等の生活の場とすることができる。
【0010】
この構造物に用いる該ブロックとしては,
透水係数:0.0001〜0.0005cm/sec,
下記(1) の測定法に従う単位吸水量:100〜500L/m
下記(2) の測定法に従う単位脱水量:30〜150L/m
を示すものであるのがよい。
(1) 単位吸水量の測定法:直径10cmで高さ20cmの円柱供試体を110℃で湿度0%の乾燥器内にて絶乾状態としてその重量Wd(Kg)を測定し,絶乾状態の供試体全体に給水を24時間続けた時点での重量Ww(Kg)を測定し,(Ww−Wd)/Vを求める。Vは供試体の体積,Lはリットルを表す。
(2) 単位脱水量の測定法:直径10cmで高さ20cmの円柱供試体の全体を水中に重量変化が生じないまで浸漬して定重量Wc(Kg)を測定し,この定重量物を30℃の乾燥器内で24時間保持した時点での重量We(Kg)を測定し,(Wc−We)/Vを求める。Vは供試体の体積,Lはリットルを表す。
【0011】
そして,このブロックは植物繊維として,植物短繊維10Kg/m以上配合したモルタルまたはコンクリートであるのがよく,特にセメントとして,MgOおよびPを主成分とする低pH(低アルカリ)セメントを結合材としたものであるのが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は,本発明に従う動植物着生用ブロック (以下, 植物繊維入りブロックということがある) の水の浸透・流下の挙動を普通のコンクリートブロックと対比して示したものである。図1において,1は普通コンクリートブロック,2は植物繊維入りブロックであり,これらブロックの上に,ブロック上面とほぼ同一の形状・底面積をもつ水槽3を設置する。水槽3の底部はブロックの上面であり,水槽3内の水はブロックの上面いっぱいに接している。水槽壁の下部から水が外に漏れないようにシール4を施してある。試験に供した普通コンクリートのブロック1と植物繊維入りブロック2は,表1に示す配合および材令・性質を有するものであり,その大きさは両者とも高さ200mm×幅500mm×幅500mmである。
【0013】
【表1】
Figure 2004107174
【0014】
図1のものにおいて,水槽3内に200mmの高さまで水を張り,8時間経過した時点で観察すると,普通コンクリートのブロック1aには殆ど水は浸透せず,水槽3内の水の高さも194mmを維持しているのに対し,植物繊維入りブロック2aでは,側面に水が滲み出して来ており,水槽内の水の高さも145mmまで減少した。24時間経過後でも,普通コンクリートのブロック1bでは殆どブロック内に水は浸透せず,水槽内の水の高さはほぼ初期の値と等しい191mmであったのに対し,植物繊維入りブロック2bでは,その下部から水が流出しており,水槽内の水の高さは50mmまで低下した。
【0015】
このように,本発明に従う植物繊維入りブロックは,上方から下方に向けて水が自然に浸透・流下する性質を有する点に特徴がある。これに対し,普通コンクリートはこのような水の浸透・流下の性質を持たないと言える。また,従来のポーラスコンクリートでは大きな空隙を有し(大きな空隙ゆえに,そこに土等が充填される),この空隙が水の抜ける通路となっているが,そのコンクリートマトリックス自身は,普通コンクリートと同様に水が浸透・流下する性質を持たないと言える。
【0016】
ブロック中を水が自然に浸透・流下する性質は硬化体マトリックス中に植物繊維を適量配合することによって得ることができる。すなわち,本発明に従うブロックは,セメント等の結合材および骨材のほかに,植物繊維を配合した点に特徴がある。使用する植物繊維としては,長さが2〜20mm,径が0.1〜1.0mm程度の短繊維が好適であり,配合量としては,植物繊維の種類によってその適正な範囲は異なるが,10〜80Kg/m好ましくは20〜60Kg/mの範囲とするのがよく,植物繊維の配合量が多いほどブロック中に水が浸透・流下する性能は高まる。
【0017】
この理由としては,植物繊維それ自身が水を吸水する性質を有することのほかに,硬化体マトリックス中に植物繊維が分散されることにより,水が浸透するような微細な細孔が硬化体マトリックス全体に分布するようになるからであろうと考えられる。しかし,あまり植物繊維の配合量が多いと,骨材表面が植物繊維で覆われるところが増え,骨材・結合材間の接合強度を劣化させることにもなるので,80Kg/m以下,好ましくは60Kg/m以下とするのがよい。練り混ぜに際しては,例えばセメントペーストに植物繊維を先練りし,植物繊維入りセメントペーストを骨材と練り混ぜる方法が好ましい。一般に植物繊維は,コンクリートに混入されると腐食し難くなる性質があり,例えば麻はエジプトのピラミッドからも腐食していないものが発見されている実績がある。
【0018】
植物繊維としては,麻,綿,籾,藁の少なくとも1種を原料とすることができる。植物繊維の使用にあたっては,よくほぐした状態で使用するのがよい。植物繊維の性質上,その繊維一本一本の径や長さ,さらには表面状態や形状(針状か板状かなど)はランダムであるが,要するところ,その植物繊維の性質に応じてコンクリート中によく分散できるような寸法形状とすればよい。麻を用いる場合には,ほぼ長さが2〜12mmで,径が0.2〜0.7mm程度のものを練り混ぜ中の材料に少しづつ投入して分散させればよい。そのさい,水を混入する前の空練りを60秒以上行うことが好ましい。
【0019】
練り混ぜにさいしては,コンクリート用分散剤を使用して植物繊維の分散を促進させることも好ましい。使用できる分散剤には各種のものがあるが,例えば高性能減水剤や高性能AE減水剤などが挙げられる。
【0020】
使用する結合材として,セメント系では普通セメントが使用できるが,低pH(低アルカリ)セメントを使用すると,低pHの植物繊維入り調合物(生モルタル等)が得られ,低pHの本発明に従う動植物着生用ブロックを作ることができる。低pHセメントとしては,MgOおよびPを主成分とする低pHセメントを使用できる。このような低pHセメントとしては,例えば特開2001−200252号公報に記載された軽焼マグネシアを主成分とする土壌硬化剤組成物が挙げられる。またこれに相当する低pHセメントは商品名マグホワイトとして市場で入手できる。さらに,セメントの一部を,必要に応じて高炉スラグ微粉末,フライアッシュ,シリカヒュームなどで置換することもできる。
【0021】
骨材成分としては通常の細骨材および粗骨材を使用できる。場合によっては,粗骨材を使用せずいわゆるモルタル配合のブロックとすることも可能である。軽量骨材,すなわち軽量細骨材および/または軽量粗骨材を使用して,植物繊維配合の軽量ブロックとすることもできる。
【0022】
本発明の動植物着生用ブロック基材を作るための,代表的な植物繊維入り生モルタルの材料配合例を挙げると,普通セメントを使用した場合には,例えば,
普通ポルトランドセメント:600Kg/m±200Kg/m
粗骨材(最大寸法20mm) :650Kg/m± 50Kg/m
細骨材         :700Kg/m±100Kg/m
水           :240Kg/m± 40Kg/m
植物短繊維(綿の場合) : 35Kg/m± 10Kg/m
混和剤として,
高性能減水剤(例えば(株)エヌエムビー製の商品名8000ES):6Kg/m±2Kg/m
を例示できる。
これによって気乾比重=1.9±0.2,湿潤比重=2.1±0.2の硬化体とすることができる。この硬化体は,圧縮強度300kgf/cm ±50kg/m,曲げ強度45kgf/cm ±10kg/mの強度を有することができる。
【0023】
また,低pHセメントを使用する場合には,例えば
低pHセメント(商品名マグホワイト):500Kg/m±50Kg/m
黒土          :500Kg/m±50Kg/m
砂           :400Kg/m±40Kg/m
水           :420Kg/m±40Kg/m
植物短繊維(綿の場合) :20Kg/m±5Kg/m
混和剤として,
ソイルセメント用混和剤(商品名レオソイル100A):5Kg/m±1Kg/m
ソイルセメント用混和剤(商品名レオソイル100B):3Kg/m±1Kg/m
を例示できる。
これによって気乾比重=1.5±0.2,湿潤比重=2.1±0.2の硬化体とすることができる。この硬化体は,圧縮強度300kgf/cm ±50kg/m,曲げ強度45kgf/cm ±10kg/mで,単位吸水率が30%±10%程度の保水性を示す硬化体となる。
【0024】
このようにして得られる保水性を示す硬化体は,その保水性能を透水係数,単位吸水量および単位脱水量を用いて表すと,次のような特異な値を示す。
透水係数:0.0001〜0.0005cm/sec(普通セメントを用いた場合には通常0.0001〜0.0003cm/sec,低pHセメントを用いた場合には通常0.0004〜0.0005cm/secの程度となる)。
下記(1) の測定法に従う単位吸水量:100〜500L/m(普通セメントを用いた場合には通常100〜300L/m,低pHセメントを用いた場合には通常100〜500L/mの程度となる)。
下記(2) の測定法に従う単位脱水量:30〜150L/m(普通セメントを用いた場合には通常30〜60L/m,低pHセメントを用いた場合には通常50〜150L/mの程度となる)。
(1) 単位吸水量の測定法:直径10cmで高さ20cmの円柱供試体を110℃で湿度0%の乾燥器内にて絶乾状態としてその重量Wd(Kg)を測定し,絶乾状態の供試体全体に給水を24時間続けた時点での重量Ww(Kg)を測定し,(Ww−Wd)/Vを求める。
(2) 単位脱水量の測定法:直径10cmで高さ20cmの円柱供試体の全体を水中に重量変化が生じないまで浸漬して定重量Wc(Kg)を測定し,この定重量物を30℃の乾燥器内で24時間保持した時点での重量We(Kg)を測定し,(Wc−We)/Vを求める。Lはリットルを表しているが,L/mはKg/mで表示することもできる。
【0025】
ちなみに,普通セメントモルタルの硬化体の透水係数は3×10−5cm/sec〜6×10−5cm/sec程度,単位吸水量は50〜100L/m程度,単位脱水量は30〜60L/m程度である。なお,従来のポーラスコンクリートの本来の機能は,上方からの水が下方への簡単に抜ける(流下する)という透水性にあり,このために透水係数は3.0〜5.0cm/secと高い。しかし,コンクリート自体での保水・含水機能は持たない。このため単位吸水量および単位脱水量は極めて低く,例えばポーラスコンクリートのコンクリートマトリックス自身の単位吸水量は普通コンクリートのそれと同等の75L/m程度,単位脱水量は45L/m程度である。本発明の植物繊維入りブロックも透水性を有するものではあるが,単位吸水量および単位脱水量が従来のポーラスコンクリートとは比べて高い値を示し,多く吸水して常時含水することができる。これは,植物繊維の配合によってもたらされたものである。
【0026】
図2は,図1で説明した水の浸透・流下の性質を,動植物着生のために有利に引き出すために,本発明の植物繊維入りブロック2Aの上面に,水が貯溜する窪み5Aを形成したものである。この窪み5Aは,植物繊維入り調合物(生モルタル等)を型枠に打設するさいに形成することができる。
【0027】
図2のブロック2Aを用いたコンクリート構造物において,その構造物の天端に窪み5Aが位置するようにこのブロック2Aを屋外に施設すると,降雨時に窪み5A内に雨水が溜まる。窪み5A内の貯溜水は,図1で示したように,雨が止んだあと,それが底をつくまでブロック2A内を自然に浸透・流下してゆく。すなわち,このブロック2Aを用いたコンクリート構造物は自然土壌に類似の自然な水の浸透,保水および蒸発散機能を有するので,土壌と同様な動植物着生の場を提供できる。
【0028】
実際には,窪み5A内に植栽用の基盤材例えば一般の土や人工培養土等を装填し,この基盤材に播種または植栽することにより,各種の植物を栽培するのが便利である。これにより,降雨や人工給水によって窪み5A内の基盤材の空隙に貯留した水は,その過剰分が半永久的に貯溜することなく,ブロック2A内に浸透・流下してゆくので,基盤材は自然土壌と同じような自然な保水環境に維持される結果,植物の根腐れが防止されると共に,各種生物の生活環境に適した雰囲気が維持される。
【0029】
図3は,本発明に従う植物繊維入りブロック2Bの側面に,水が貯溜する溝状の窪み5Bを形成した例を示す。このブロック2Bを用いたコンクリート構造物において,その構造物の法面に,この溝状の窪み5Bがほぼ水平を保つようにして施設すると,降雨時に窪み5B内に雨水が溜まる。図4の(イ)はその状態を示しており,窪み5B内に水6が貯溜し,この貯溜水が自然にブロック2B内に浸透・流下してゆく。図4の(ロ)は,窪み5B内に植栽用基盤材7として例えば一般の土や人工培養土等を装填し,この基盤材7に植物8を植栽した状態を示している。この基盤材7には降雨や人工給水によって水が貯溜する状態が生じ,その水(過剰分)はブロック2B内に浸透・流下してゆくので,基盤材7は自然土壌と同じように時には乾き,時には湿るといった自然な環境に維持される結果,植物8の根腐れが防止されると共に,各種生物の生活環境に適した雰囲気が維持される。
【0030】
図5は,図3の溝状の窪み5Bを,スポット状の窪み5Cに代えた以外は,図3と同様の本発明に従う植物繊維入りブロック2Cを示したものであり,図6の(イ)は,そのスポット状の窪み5Cに水6が貯溜している状態を,また図6の(ロ)は,その窪み5Cに植栽用基盤材7を装填し,この基盤材7に植物8を植栽した状態を示している。この場合も,図4と同様に,植物8は自然な状態で生育でき且つ各種生物の生活環境に適した雰囲気が維持される。なお,図3および図5のような植物繊維入りブロック1個に対して1つまたは複数の窪み5Bや5Cを形成しておくことのほか,このような植物繊維入りブロックの複数を組み合わせてコンクリート構造物を形成する場合に,その天端や側面に必要数の窪みを自在に形成することができる。
【0031】
図7は,本発明に従う植物繊維入りブロック2Dの側面に,一部突き出た窪み5Dを形成した例を示している。すなわち,垂直面9に対して,逆勾配をもつ側面10を形成し,この側面10から一部突出した窪み5Dを形成することにより,コンクリート構造物の側面が垂直方向をもつ場合でも,側面10に当たった雨水等が窪み5D内に自然に入り込むようにしたものである。窪み5D内には,前記同様に植栽用基盤材を装填することにより動植物着生環境が形成される。この構造を垂直方向の面をもつ外壁や屋外建造物に適用すると,その壁面を植栽場所とすることができる。
【0032】
図8は,本発明に従う植物繊維入りブロック2Fを用いて囲いを形成し,この囲いの内側に植栽用基盤材11を装填した構造物を示したものである。ブロック2Fを用いて形成される囲いは,図示のようにブロック2Fで包囲された囲いであってもよいが,囲いの一部だけをブロック2Fで形成してもよい。いずれにしても,ブロック2Fの外側の面には,前述したような窪み5Fを形成して,この窪み5F内の貯溜水6がブロック2F内に自然に浸透・流下させると共に,ブロック2Fの内側では基盤材11から自然にブロック2F内に水が浸透・流下するようにしたものである。図8の構造物は,旧来の石垣造りの石をコンクリートブロックに代えたような構造となり,施工性や強度の面で石積みでは達成できないような利点を有しながら,基盤材11には各種の樹木等を植栽できるようになり,これまでのものにはない植栽構造物を形成することができる。
【0033】
図面に例示のほか,各種形状の植物繊維入りブロックを用いた場合でも,雨水等が貯溜する窪みを形成することにより,同様に動植物の着生および生育を行わせることができる。そのさい,ブロックを形成するセメント系結合材として低pHセメントを使用すれば,一層動植物着生が良好となり,構造材として適したコンクリートまたはモルタルのブロック構造物でありながら,動植物の生育環境を保全することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によると,モルタルまたはコンクリートのブロックに各種の植物を植栽することができるようになり,また小動物等も生活可能なコンクリート構造物を構築することがてきる。したがって,これまでのコンクリート構造物によってもたらされてきた無機的な環境を,動植物着生可能な有機的な環境に変えることができると共に,緑化を楽しめるコンクリート構造物が得られるので,都市景観等の向上に多いに貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う動植物着生用ブロックの水の浸透・流下の挙動を普通コンクリートブロックと対比して示した図である。
【図2】本発明に従う動植物着生用ブロックの1実施例を示す斜視図である。
【図3】本発明に従う動植物着生用ブロックの他の実施例を示す斜視図である。
【図4】図3のブロックの一部断面切欠斜視図であり,図4の(イ)は窪みに水が貯溜している状態を,図4の(ロ)は窪みに植栽用基盤材を装填した状態を示す。
【図5】本発明に従う動植物着生用ブロックの他の実施例を示す斜視図である。
【図6】図5のブロックの一部断面切欠斜視図であり,図5の(イ)は窪みに水が貯溜している状態を,図5の(ロ)は窪みに植栽用基盤材を装填した状態を示す。
【図7】本発明に従う動植物着生用ブロックの他の実施例を示す一部断面図である。
【図8】本発明に従う動植物着生用ブロックを用いて構成した構造物の例を示す略断面図である。
【符号の説明】
1,1a〜1b 普通コンクリートブロック
2,2a〜2b,2A〜2F 本発明に従う動植物着生用ブロック(植物繊維入りブロック)
3 水槽
5A〜5F 窪み
6 貯溜水
7,11 植栽用基盤材
8 植物

Claims (5)

  1. 植物繊維を配合した保水性モルタルまたはコンクリートのブロックを用いた動植物着生用構造物であって,該ブロックの上部または側部の表面に水が貯溜する窪みを形成し,この窪み内の貯溜水が該ブロック中に自然に浸透・流下する動植物着生用構造物。
  2. 該ブロックは,
    透水係数:0.0001〜0.0005cm/sec,
    下記(1) の測定法に従う単位吸水量:100〜500L/m
    下記(2) の測定法に従う単位脱水量:30〜150L/m
    を示すものである請求項1に記載の動植物着生用構造物。
    (1) 単位吸水量の測定法:直径10cmで高さ20cmの円柱供試体を110℃で湿度0%の乾燥器内にて絶乾状態としてその重量Wd(Kg)を測定し,絶乾状態の供試体全体に給水を24時間続けた時点での重量Ww(Kg)を測定し,(Ww−Wd)/Vを求める。Vは供試体の体積,Lはリットルを表す。
    (2) 単位脱水量の測定法:直径10cmで高さ20cmの円柱供試体の全体を水中に重量変化が生じないまで浸漬して定重量Wc(Kg)を測定し,この定重量物を30℃の乾燥器内で24時間保持した時点での重量We(Kg)を測定し,(Wc−We)/Vを求める。Vは供試体の体積,Lはリットルを表す。
  3. 該ブロックは,植物繊維の配合量が10Kg/m以上の保水性モルタルまたはコンクリートからなる請求項1または2に記載の動植物着生用構造物。
  4. 該ブロックは,MgOおよびPを主成分とする低pHセメントを結合材としたものである請求項1,2または3に記載の動植物着生用構造物。
  5. 該窪みには,植栽用基盤材が装填される請求項1ないし4のいずれかに記載の動植物着生用構造物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007314367A (ja) * 2006-05-24 2007-12-06 Kajima Corp 軽量・ソフトコンクリート
JP2010095426A (ja) * 2008-10-20 2010-04-30 Kajima Corp 生物成育促進基盤
JP2011020103A (ja) * 2009-07-18 2011-02-03 Kajima Corp 脱水器およびスラリーの脱水法

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