JP2004107007A - 糸巻き返し機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】給糸パッケージPsから巻き戻された糸yを、巻き取りパッケージPwに巻き取る糸巻き返し機において、前記給糸パッケージを自由回転自在に支持する給糸パッケージ支持装置と、前記給糸パッケージの糸を前記巻き取りパッケージに巻き取る巻き取り装置と、前記給糸パッケージから前記巻き取りパッケージに至るまでの糸yに、前記巻き取りパッケージ側への送り力を付与する糸送り装置Fとを装備したものである。
【効果】給糸パッケージからの糸の解舒性を向上することができ、しかも、巻き取りパッケージに巻き取られる糸張力を、適正な値に維持することができる。
【選択図】図1
【効果】給糸パッケージからの糸の解舒性を向上することができ、しかも、巻き取りパッケージに巻き取られる糸張力を、適正な値に維持することができる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、給糸パッケージから引き出された糸を、巻き取りパッケージに巻き返す糸巻き返し機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、図6に示されているように、垂直に、且つ、非回転状態に支持されている給糸パッケージPs’から糸yを、該パッケージPs’の軸方向に引き出すとともに、該糸yを、適当なガイドg1、g2を経て、略水平に支持され、フリクションローラーRに接触し回転している巻き取りパッケージPw’に巻き取るようにした糸巻き返し機が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した垂直に、且つ、非回転状態に支持されている給糸パッケージPs’から糸yを引き出すようにした従来の糸巻き返し機においては、給糸パッケージPs’からの解舒性が悪い糸の場合には、巻き戻し途中で、解舒中の糸が、給糸パッケージPs’の他の糸に引っ掛かり、解舒できなくなるという問題があった。特に、毛羽の多い糸や弾性糸や意匠糸や加工糸等の場合には、引っ掛かり易く、また、パッケージの状態で染色されたものを、上記のように巻き戻す場合にも、染色工程により、パッケージの上層糸が下層に潜り込んでいるので、解舒性が悪く、問題となっていた。
【0004】
本発明の目的は、上述した従来の糸巻き返し機が有する課題を解決することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した目的を達成するために、給糸パッケージから巻き戻された糸を、巻き取りパッケージに巻き取る糸巻き返し機において、第1には、前記給糸パッケージを自由回転自在に支持する給糸パッケージ支持装置と、前記給糸パッケージの糸を前記巻き取りパッケージに巻き取る巻き取り装置と、前記給糸パッケージから前記巻き取りパッケージに至るまでの糸に、前記巻き取りパッケージ側への送り力を付与する糸送り装置とを備えたものであり、第2には、前記糸送り装置が、糸が相対的に滑り可能であって、糸との間の摩擦力によって、糸に送り力を付与する摩擦式のものであり、第3には、前記摩擦式の糸送り装置を、一対のローラーを有し、各ローラーが、それぞれ積極的に駆動され、糸が、前記一対のローラーに跨がって巻き掛けられているように構成したものであり、第4には、前記巻き取り装置と前記糸送り装置とを、同一駆動源にて連動するように構成したものである。
【0006】
【実施例】
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明の趣旨を越えない限り何ら、本実施例に限定されるものではない。
【0007】
Psは、給糸パッケージであり、給糸パッケージPsは、ボビン1を、ボビン把持部材2の相対するクレードルアーム2aに回転可能に支持された回転円盤2bにより挟持することにより、ボビン把持部材2に、略水平に自由回転自在に支持されている。上記ボビン把持部材2は、給糸パッケージPsを、自由回転自在に支持する給糸パッケージ支持装置を構成している。この給糸パッケージ支持装置により、糸を巻き取る方向と逆方向に給糸パッケージPsを回転させながら、給糸パッケージPsから糸を解舒することができるようになっている。
【0008】
Pwは、上述したボビン把持部材2と同様のボビン把持部材3により回転可能に、且つ、略水平に支持された巻き取りパッケージである。巻き取りパッケージPwは、フリクションローラーRに接触することにより、回転駆動されるように構成されている。フリクションローラーRにはプーリー4が取着されているとともに、機台Bに配設されたモーターMの駆動軸にはプーリー5が取着されており、また、フリクションローラーRに取着されたプーリー4とモーターMの駆動軸に取着されたプーリー5とには無端ベルト6が張設されている。従って、モーターMを駆動させることにより、プーリー5、無端ベルト6及びプーリー4を介して、フリクションローラーRが回転するように構成されている。上記ボビン把持部材3及びフリクションローラーRは、給糸パッケージPsの糸を、巻き取りパッケージPwに巻き取る巻き取り装置を構成している。この巻き取り装置により、巻き取りパッケージPwを回転させながら、給糸パッケージPsの糸を引き上げて、巻き取りパッケージPwに巻き取ることができる。
【0009】
Fは、給糸パッケージPsから巻き取りパッケージPwに至るまでの糸yに、巻き取りパッケージPw側への送り力を付与する糸送り装置である。糸送り装置Fは、給糸パッケージ支持装置と巻き取り装置との間で、且つ、給糸パッケージPsの略直上位置に設けられ、所定の間隔を置いて配設された一対の糸送り部材F1、F2から構成されている。各糸送り部材F1、F2は、機台Bから張り出した適当なフレーム7に取着された軸受け部材8と、軸受け部材8に内蔵された軸受けに略水平に支持された軸の一方の端部に取着されたプーリー9と、軸のもう一方の端部に取着された糸掛けローラー10とから構成されている。
【0010】
本実施例においては、糸送り装置Fを構成する一対の糸送り部材F1、F2のうち、一方の糸送り部材F1が、フレーム7の前方、即ち、機台Bから遠い方に配置されており、もう一方の糸送り部材F2が、フレーム7の後方、即ち、上記の糸送り部材F1に対して、機台B側に配置されている。以下、便宜的に、機台Bの前方に配置されている糸送り部材F1を、前方糸送り部材F1と称し、機台B側に配置されている糸送り部材F2を、後方糸送り部材F2と称する。前方糸送り部材F1の糸掛けローラー10と後方糸送り部材F2の糸掛けローラー10とは、後述する駆動手段により、回転駆動されるように構成されている。
【0011】
本実施例においては、前方糸送り部材F1は、糸掛けローラー10の軸線X1が、機台Bの長手方向、即ち、給糸パッケージPs及び巻き取りパッケージPwの回転軸線に略平行になるように配置されており、後方糸送り部材F2の糸掛けローラー10は、その軸線X2が、前方糸送り部材F1の糸掛けローラー10の軸線X1に対して、後方糸送り部材F2の糸掛けローラー10の先端側を、前方糸送り部材F1側に近づけて傾斜するように配設されている。このように、後方糸送り部材F2の糸掛けローラー10の軸線X2を、前方糸送り部材F1の糸掛けローラー10の軸線X1に対して、前方糸送り部材F1側に傾斜するように構成することにより、前方糸送り部材F1の糸掛けローラー10と後方糸引き部材F2の糸掛けローラー10とに、複数回、巻き付けられ、糸送り装置Fにより送り力を付与される糸yが、前方糸送り部材F1の糸掛けローラー10及び後方糸送り部材F2の糸掛けローラー10上で、互いに接触したり重なるようなことを防止することができる。
【0012】
糸送り装置Fが配設されているフレーム7には、中間プーリー11が配設されており、中間プーリー11と上述したモーターMの駆動軸に取着されたプーリー5との間には、無端ベルト12が張設されており、また、中間プーリー11と後方糸送り部材F2のプーリー9との間には、無端ベルト13が張設されており、更に、後方糸送り部材F2のプーリー9と前方糸送り部材F1のプーリー9との間には、無端ベルト14が張設されている。従って、モーターMを駆動させることにより、モーターMの駆動軸に取着されたプーリー5、無端ベルト12、中間プーリー11、無端ベルト13及び後方糸送り部材F2のプーリー9を介して、後方糸送り部材F2の糸掛けローラー10が回転駆動され、また、後方糸送り部材F2のプーリー9、無端ベルト14及び前方糸送り部材F1のプーリー9を介して、前方糸送り部材F1の糸掛けローラー10が回転駆動されるように構成されている。このように、モーターMは、巻き取り装置と糸送り装置Fとに対する共通の駆動源になっており、巻き取り装置と糸送り装置Fとは、機械的に連動するようになっている。即ち、巻き取り装置のフリクションローラーRと糸送り装置Fの糸掛けローラー10とは、所定比率で、同期回転駆動されるようになっている。
【0013】
なお、15は、給糸パッケージPsと糸送り装置Fとの間に、適宜、配設された糸ガイドであり、また、16は、糸送り装置Fと巻き取りパッケージPwとの間に、適宜、配設された糸ガイドである。なお、巻き取りパッケージPwに巻回される糸yは、公知のように、図示されていないトラバース装置により、巻き取りパッケージPwの軸線に沿って綾振りされながら巻き取られることになる。
【0014】
上述した構成を有する糸巻き返し機においては、機台Bの下部に、上述した給糸パッケージPsが、その軸線が、機台Bの長手方向に略平行になるように、ボビン把持部材2に回転可能に支持されており、また、給糸パッケージPsの上方には、上述した前方糸送り部材F1と後方糸送り部材F2とからなる糸送り装置Fが、前方糸送り部材F1の糸掛けローラー10の軸線X1が機台Bの長手方向に略平行になるように配設されており、更に、糸送り装置Fの上方には、巻き取りパッケージPwが、その軸線が、機台Bの長手方向に略平行になるように配設されている。
【0015】
略水平に回転自在に支持されている給糸パッケージPsから、その周面の接線方向に引き出された糸yは、糸ガイド15を経て、糸送り装置Fを構成する前方糸送り部材F1の積極回転している糸掛けローラー10と後方糸送り部材F2の積極回転している糸掛けローラー10とに跨がって張設されるように、1回或いは複数回、巻き付けられ、その後、糸ガイド16を経て、且つ、図示されていないトラバース装置により綾振りされながら、フリクションローラーRに接触し回転している巻き取りパッケージPwに巻き取られることになる。
【0016】
上述したように、給糸パッケージPsを、その軸線が略水平に、且つ、回転自在に支持することにより、垂直に、且つ、非回転状態に支持されている給糸パッケージPs’から、その軸線方向に糸yを解舒する従来の糸巻き返し機に比べ、給糸パッケージPsから引き出される糸yの解舒性を向上することができる。
【0017】
また、糸送り装置Fを構成する前方糸送り部材F1の糸掛けローラー10と後方糸送り部材F2の糸掛けローラー10は、一定の回転速度(巻き取り装置のフリクションローラーRと同期した回転速度)で積極回転しているので、給糸パッケージPsを回転自在に支持して、給糸パッケージPsから糸yを引き出すようにしたことにより、給糸パッケージPsから解舒される糸yの解舒張力が増大し、且つ、その張力が大きく変動することが生じたとしても、即ち、糸送り装置Fと給糸パッケージPsとの間に位置する糸yの張力が、増大し、且つ、大きく変動することが生じたとしても、糸送り装置Fを設けたことにより、巻き取りパッケージPwに巻き取られる糸yの巻き取り張力を低く抑え、且つ、その巻き取り張力が変動しないようにすることができる。即ち、糸送り装置Fと巻き取りパッケージPwとの間に存在する糸yの張力を略一定で適正な値に保つことができる。このため、糸送り装置Fと巻き取りパッケージPwとの間で、糸yが不規則に弛んだり或いは糸yが不規則に引っ張られるようなことがなく、従って、巻き取りパッケージPwに、糸yを、略一定の適正な張力で巻き取ることができ、巻き取りパッケージPwの巻き姿を良好なものとすることができる。
【0018】
更に、糸送り装置Fを、糸掛けローラー10に糸yを巻き付けて、糸yに、巻き取りパッケージPw側への送り力を付与するもの、即ち、糸yが相対的に滑り可能であって、糸yとの間の摩擦力で糸yに送り力を付与する、摩擦式のものとしたので、給糸パッケージPsの解舒変動(給糸パッケージPsと糸送り装置Fとの間の糸yの弛み)を、滑りによって逃すことが可能となる。また、糸yを、糸送り装置Fを構成する一対の前方糸送り部材F1と後方糸送り部材F2とに、1回或いは複数回、張設し、給糸パッケージPsから引き出すように構成したので、糸送り装置Fを摩擦式としても、確実に、糸yに、巻き取りパッケージPwへの送り力を付与することができる。
【0019】
上述した実施例においては、糸送り装置Fが、一対の前方糸送り部材F1と後方糸送り部材F2とにより構成されているが、糸送り装置Fを、1つの糸送り部材F1、F2により構成することもできる。この場合には、1つの糸送り部材F1、F2の糸掛けローラー10に、1回或いは複数回、糸yを巻き付けることになる。
【0020】
なお、中間プーリー11を、適宜、径の異なるプーリーに変更したり、或いは、モーターMの無端ベルト12側のプーリーを、適当な減速装置を介して、モーターMに接続したり、その他のプーリー4、5、9を、適宜、径の異なるプーリーに変更することにより、フリクションローラーRの周速と糸送り部材F1、F2の糸掛けローラー10の周速とを変更して、巻き取りパッケージPwと糸送り装置Fとの間に位置する糸張力を調整することができる。
【0021】
更に、上述したように、巻き取り装置のフリクションローラーRと糸送り装置Fとの駆動源であるモーターMを共通としたので、糸巻き返し機の構造を簡素化することができる。しかも、フリクションローラーRと糸送り装置Fの糸掛けローラー10とが連動するようになっているため、巻き取り開始時等、巻き取り速度を加減速する場合にも、適正な張力に維持することができる。
【0022】
また、糸送り装置Fは、上述した糸送り部材F1、F2に限定されることなく、略水平に回転自在に支持されている給糸パッケージPsから、糸yに、巻き取りパッケージPwへの送り力を付与することができるものであれば、どのようなものでもよい。例えば、図5に示されているように、回転駆動する水平軸17に取着されているとともに、給糸パッケージPsから引き出される糸yを挟持する2枚の円錐台状のワッシャー部材18、18から構成されていてもよい。ワッシャー部材18の垂直面18aには、放射状に延在する凸条18bが適当数形成されており、一対の円錐台状のワッシャー部材18、18を、垂直面18aが対向するように配置するとともに、一対のワッシャー部材18、18の凸条18bが、それぞれ、対向するワッシャー部材18の凸条18b間に位置するように配置する。給糸パッケージPsから巻き戻された糸yを、一対のワッシャー部材18、18の凸条18bにより、ジグザグ状に挟持することにより、糸yに、給糸パッケージPsから巻き取りパッケージPwへの方向に送り力を付与することができる。
【0023】
図3及び図5に示した糸送り装置Fは、いずれも摩擦式のものであったが、糸送り装置Fは、糸を挟持するニップ式のもの(例えば、一対のニップローラーで構成する)としてもよい。糸送り装置Fをニップ式とすると、巻き取りテンション(巻き取りパッケージPwに巻き取られる糸の張力)を確実に安定させることができるが、正確な回転精度が必要となる。また、給糸パッケージPsの解舒変動の逃げ場がなくなるため、解舒テンション(給糸パッケージPsから解舒された糸の張力)が緩むという問題が生じる恐れがある。これに対し、前記摩擦式の糸送り装置Fとした場合は、正確な回転精度が要求されないため、より実用的である。
【0024】
【発明の効果】
本発明は、以上説明した構成を有しているので、以下に記載する効果を奏するものである。
【0025】
給糸パッケージを自由回転自在に支持する給糸パッケージ支持装置と、給糸パッケージの糸を巻き取りパッケージに巻き取る巻き取り装置と、給糸パッケージから巻き取りパッケージに至るまでの糸に、巻き取りパッケージ側への送り力を付与する糸送り装置とを装備したので、給糸パッケージからの糸の解舒性を向上することができ、しかも、巻き取りパッケージに巻き取られる糸張力を、適正な値に維持することができる。
【0026】
糸送り装置を、糸が相対的に滑り可能であって、糸との間の摩擦力によって、糸に送り力を付与する摩擦式のものとしたので、給糸パッケージの解舒変動を、滑りによって逃すことが可能となる。
【0027】
摩擦式の糸送り装置を、一対のローラーを有し、各ローラーが、それぞれ積極的に駆動され、糸が、一対のローラーに跨がって巻き掛けられているように構成したので、糸送り装置を摩擦式としても、確実に、糸に、巻き取りパッケージへの送り力を付与することができる。
【0028】
巻き取り装置と糸送り装置とを、同一駆動源にて連動するように構成したので、糸巻き返し機の構造を簡素化することができるとともに、巻き取り開始時等、巻き取り速度を加減速する場合にも、適正な張力に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の糸巻き返し機の側面図である。
【図2】図2は本発明の糸巻き返し機の給糸パッケージ側の正面図である。
【図3】図3は本発明の糸巻き返し機を構成する糸送り装置の平面図である。
【図4】図4は本発明の糸巻き返し機を構成する糸送り装置の斜視図である。
【図5】図5は本発明の糸巻き返し機を構成する糸送り装置の別の実施例の斜視図である。
【図6】図6は従来の糸巻き返し機の側面図である。
【符号の説明】
F・・・・・・・・・・・・・・糸送り装置
M・・・・・・・・・・・・・・モーター
Ps・・・・・・・・・・・・・給糸パッケージ
Pw・・・・・・・・・・・・・巻き取りパッケージ
10・・・・・・・・・・・・・糸掛けローラー
【発明の属する技術分野】
本発明は、給糸パッケージから引き出された糸を、巻き取りパッケージに巻き返す糸巻き返し機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、図6に示されているように、垂直に、且つ、非回転状態に支持されている給糸パッケージPs’から糸yを、該パッケージPs’の軸方向に引き出すとともに、該糸yを、適当なガイドg1、g2を経て、略水平に支持され、フリクションローラーRに接触し回転している巻き取りパッケージPw’に巻き取るようにした糸巻き返し機が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した垂直に、且つ、非回転状態に支持されている給糸パッケージPs’から糸yを引き出すようにした従来の糸巻き返し機においては、給糸パッケージPs’からの解舒性が悪い糸の場合には、巻き戻し途中で、解舒中の糸が、給糸パッケージPs’の他の糸に引っ掛かり、解舒できなくなるという問題があった。特に、毛羽の多い糸や弾性糸や意匠糸や加工糸等の場合には、引っ掛かり易く、また、パッケージの状態で染色されたものを、上記のように巻き戻す場合にも、染色工程により、パッケージの上層糸が下層に潜り込んでいるので、解舒性が悪く、問題となっていた。
【0004】
本発明の目的は、上述した従来の糸巻き返し機が有する課題を解決することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した目的を達成するために、給糸パッケージから巻き戻された糸を、巻き取りパッケージに巻き取る糸巻き返し機において、第1には、前記給糸パッケージを自由回転自在に支持する給糸パッケージ支持装置と、前記給糸パッケージの糸を前記巻き取りパッケージに巻き取る巻き取り装置と、前記給糸パッケージから前記巻き取りパッケージに至るまでの糸に、前記巻き取りパッケージ側への送り力を付与する糸送り装置とを備えたものであり、第2には、前記糸送り装置が、糸が相対的に滑り可能であって、糸との間の摩擦力によって、糸に送り力を付与する摩擦式のものであり、第3には、前記摩擦式の糸送り装置を、一対のローラーを有し、各ローラーが、それぞれ積極的に駆動され、糸が、前記一対のローラーに跨がって巻き掛けられているように構成したものであり、第4には、前記巻き取り装置と前記糸送り装置とを、同一駆動源にて連動するように構成したものである。
【0006】
【実施例】
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明の趣旨を越えない限り何ら、本実施例に限定されるものではない。
【0007】
Psは、給糸パッケージであり、給糸パッケージPsは、ボビン1を、ボビン把持部材2の相対するクレードルアーム2aに回転可能に支持された回転円盤2bにより挟持することにより、ボビン把持部材2に、略水平に自由回転自在に支持されている。上記ボビン把持部材2は、給糸パッケージPsを、自由回転自在に支持する給糸パッケージ支持装置を構成している。この給糸パッケージ支持装置により、糸を巻き取る方向と逆方向に給糸パッケージPsを回転させながら、給糸パッケージPsから糸を解舒することができるようになっている。
【0008】
Pwは、上述したボビン把持部材2と同様のボビン把持部材3により回転可能に、且つ、略水平に支持された巻き取りパッケージである。巻き取りパッケージPwは、フリクションローラーRに接触することにより、回転駆動されるように構成されている。フリクションローラーRにはプーリー4が取着されているとともに、機台Bに配設されたモーターMの駆動軸にはプーリー5が取着されており、また、フリクションローラーRに取着されたプーリー4とモーターMの駆動軸に取着されたプーリー5とには無端ベルト6が張設されている。従って、モーターMを駆動させることにより、プーリー5、無端ベルト6及びプーリー4を介して、フリクションローラーRが回転するように構成されている。上記ボビン把持部材3及びフリクションローラーRは、給糸パッケージPsの糸を、巻き取りパッケージPwに巻き取る巻き取り装置を構成している。この巻き取り装置により、巻き取りパッケージPwを回転させながら、給糸パッケージPsの糸を引き上げて、巻き取りパッケージPwに巻き取ることができる。
【0009】
Fは、給糸パッケージPsから巻き取りパッケージPwに至るまでの糸yに、巻き取りパッケージPw側への送り力を付与する糸送り装置である。糸送り装置Fは、給糸パッケージ支持装置と巻き取り装置との間で、且つ、給糸パッケージPsの略直上位置に設けられ、所定の間隔を置いて配設された一対の糸送り部材F1、F2から構成されている。各糸送り部材F1、F2は、機台Bから張り出した適当なフレーム7に取着された軸受け部材8と、軸受け部材8に内蔵された軸受けに略水平に支持された軸の一方の端部に取着されたプーリー9と、軸のもう一方の端部に取着された糸掛けローラー10とから構成されている。
【0010】
本実施例においては、糸送り装置Fを構成する一対の糸送り部材F1、F2のうち、一方の糸送り部材F1が、フレーム7の前方、即ち、機台Bから遠い方に配置されており、もう一方の糸送り部材F2が、フレーム7の後方、即ち、上記の糸送り部材F1に対して、機台B側に配置されている。以下、便宜的に、機台Bの前方に配置されている糸送り部材F1を、前方糸送り部材F1と称し、機台B側に配置されている糸送り部材F2を、後方糸送り部材F2と称する。前方糸送り部材F1の糸掛けローラー10と後方糸送り部材F2の糸掛けローラー10とは、後述する駆動手段により、回転駆動されるように構成されている。
【0011】
本実施例においては、前方糸送り部材F1は、糸掛けローラー10の軸線X1が、機台Bの長手方向、即ち、給糸パッケージPs及び巻き取りパッケージPwの回転軸線に略平行になるように配置されており、後方糸送り部材F2の糸掛けローラー10は、その軸線X2が、前方糸送り部材F1の糸掛けローラー10の軸線X1に対して、後方糸送り部材F2の糸掛けローラー10の先端側を、前方糸送り部材F1側に近づけて傾斜するように配設されている。このように、後方糸送り部材F2の糸掛けローラー10の軸線X2を、前方糸送り部材F1の糸掛けローラー10の軸線X1に対して、前方糸送り部材F1側に傾斜するように構成することにより、前方糸送り部材F1の糸掛けローラー10と後方糸引き部材F2の糸掛けローラー10とに、複数回、巻き付けられ、糸送り装置Fにより送り力を付与される糸yが、前方糸送り部材F1の糸掛けローラー10及び後方糸送り部材F2の糸掛けローラー10上で、互いに接触したり重なるようなことを防止することができる。
【0012】
糸送り装置Fが配設されているフレーム7には、中間プーリー11が配設されており、中間プーリー11と上述したモーターMの駆動軸に取着されたプーリー5との間には、無端ベルト12が張設されており、また、中間プーリー11と後方糸送り部材F2のプーリー9との間には、無端ベルト13が張設されており、更に、後方糸送り部材F2のプーリー9と前方糸送り部材F1のプーリー9との間には、無端ベルト14が張設されている。従って、モーターMを駆動させることにより、モーターMの駆動軸に取着されたプーリー5、無端ベルト12、中間プーリー11、無端ベルト13及び後方糸送り部材F2のプーリー9を介して、後方糸送り部材F2の糸掛けローラー10が回転駆動され、また、後方糸送り部材F2のプーリー9、無端ベルト14及び前方糸送り部材F1のプーリー9を介して、前方糸送り部材F1の糸掛けローラー10が回転駆動されるように構成されている。このように、モーターMは、巻き取り装置と糸送り装置Fとに対する共通の駆動源になっており、巻き取り装置と糸送り装置Fとは、機械的に連動するようになっている。即ち、巻き取り装置のフリクションローラーRと糸送り装置Fの糸掛けローラー10とは、所定比率で、同期回転駆動されるようになっている。
【0013】
なお、15は、給糸パッケージPsと糸送り装置Fとの間に、適宜、配設された糸ガイドであり、また、16は、糸送り装置Fと巻き取りパッケージPwとの間に、適宜、配設された糸ガイドである。なお、巻き取りパッケージPwに巻回される糸yは、公知のように、図示されていないトラバース装置により、巻き取りパッケージPwの軸線に沿って綾振りされながら巻き取られることになる。
【0014】
上述した構成を有する糸巻き返し機においては、機台Bの下部に、上述した給糸パッケージPsが、その軸線が、機台Bの長手方向に略平行になるように、ボビン把持部材2に回転可能に支持されており、また、給糸パッケージPsの上方には、上述した前方糸送り部材F1と後方糸送り部材F2とからなる糸送り装置Fが、前方糸送り部材F1の糸掛けローラー10の軸線X1が機台Bの長手方向に略平行になるように配設されており、更に、糸送り装置Fの上方には、巻き取りパッケージPwが、その軸線が、機台Bの長手方向に略平行になるように配設されている。
【0015】
略水平に回転自在に支持されている給糸パッケージPsから、その周面の接線方向に引き出された糸yは、糸ガイド15を経て、糸送り装置Fを構成する前方糸送り部材F1の積極回転している糸掛けローラー10と後方糸送り部材F2の積極回転している糸掛けローラー10とに跨がって張設されるように、1回或いは複数回、巻き付けられ、その後、糸ガイド16を経て、且つ、図示されていないトラバース装置により綾振りされながら、フリクションローラーRに接触し回転している巻き取りパッケージPwに巻き取られることになる。
【0016】
上述したように、給糸パッケージPsを、その軸線が略水平に、且つ、回転自在に支持することにより、垂直に、且つ、非回転状態に支持されている給糸パッケージPs’から、その軸線方向に糸yを解舒する従来の糸巻き返し機に比べ、給糸パッケージPsから引き出される糸yの解舒性を向上することができる。
【0017】
また、糸送り装置Fを構成する前方糸送り部材F1の糸掛けローラー10と後方糸送り部材F2の糸掛けローラー10は、一定の回転速度(巻き取り装置のフリクションローラーRと同期した回転速度)で積極回転しているので、給糸パッケージPsを回転自在に支持して、給糸パッケージPsから糸yを引き出すようにしたことにより、給糸パッケージPsから解舒される糸yの解舒張力が増大し、且つ、その張力が大きく変動することが生じたとしても、即ち、糸送り装置Fと給糸パッケージPsとの間に位置する糸yの張力が、増大し、且つ、大きく変動することが生じたとしても、糸送り装置Fを設けたことにより、巻き取りパッケージPwに巻き取られる糸yの巻き取り張力を低く抑え、且つ、その巻き取り張力が変動しないようにすることができる。即ち、糸送り装置Fと巻き取りパッケージPwとの間に存在する糸yの張力を略一定で適正な値に保つことができる。このため、糸送り装置Fと巻き取りパッケージPwとの間で、糸yが不規則に弛んだり或いは糸yが不規則に引っ張られるようなことがなく、従って、巻き取りパッケージPwに、糸yを、略一定の適正な張力で巻き取ることができ、巻き取りパッケージPwの巻き姿を良好なものとすることができる。
【0018】
更に、糸送り装置Fを、糸掛けローラー10に糸yを巻き付けて、糸yに、巻き取りパッケージPw側への送り力を付与するもの、即ち、糸yが相対的に滑り可能であって、糸yとの間の摩擦力で糸yに送り力を付与する、摩擦式のものとしたので、給糸パッケージPsの解舒変動(給糸パッケージPsと糸送り装置Fとの間の糸yの弛み)を、滑りによって逃すことが可能となる。また、糸yを、糸送り装置Fを構成する一対の前方糸送り部材F1と後方糸送り部材F2とに、1回或いは複数回、張設し、給糸パッケージPsから引き出すように構成したので、糸送り装置Fを摩擦式としても、確実に、糸yに、巻き取りパッケージPwへの送り力を付与することができる。
【0019】
上述した実施例においては、糸送り装置Fが、一対の前方糸送り部材F1と後方糸送り部材F2とにより構成されているが、糸送り装置Fを、1つの糸送り部材F1、F2により構成することもできる。この場合には、1つの糸送り部材F1、F2の糸掛けローラー10に、1回或いは複数回、糸yを巻き付けることになる。
【0020】
なお、中間プーリー11を、適宜、径の異なるプーリーに変更したり、或いは、モーターMの無端ベルト12側のプーリーを、適当な減速装置を介して、モーターMに接続したり、その他のプーリー4、5、9を、適宜、径の異なるプーリーに変更することにより、フリクションローラーRの周速と糸送り部材F1、F2の糸掛けローラー10の周速とを変更して、巻き取りパッケージPwと糸送り装置Fとの間に位置する糸張力を調整することができる。
【0021】
更に、上述したように、巻き取り装置のフリクションローラーRと糸送り装置Fとの駆動源であるモーターMを共通としたので、糸巻き返し機の構造を簡素化することができる。しかも、フリクションローラーRと糸送り装置Fの糸掛けローラー10とが連動するようになっているため、巻き取り開始時等、巻き取り速度を加減速する場合にも、適正な張力に維持することができる。
【0022】
また、糸送り装置Fは、上述した糸送り部材F1、F2に限定されることなく、略水平に回転自在に支持されている給糸パッケージPsから、糸yに、巻き取りパッケージPwへの送り力を付与することができるものであれば、どのようなものでもよい。例えば、図5に示されているように、回転駆動する水平軸17に取着されているとともに、給糸パッケージPsから引き出される糸yを挟持する2枚の円錐台状のワッシャー部材18、18から構成されていてもよい。ワッシャー部材18の垂直面18aには、放射状に延在する凸条18bが適当数形成されており、一対の円錐台状のワッシャー部材18、18を、垂直面18aが対向するように配置するとともに、一対のワッシャー部材18、18の凸条18bが、それぞれ、対向するワッシャー部材18の凸条18b間に位置するように配置する。給糸パッケージPsから巻き戻された糸yを、一対のワッシャー部材18、18の凸条18bにより、ジグザグ状に挟持することにより、糸yに、給糸パッケージPsから巻き取りパッケージPwへの方向に送り力を付与することができる。
【0023】
図3及び図5に示した糸送り装置Fは、いずれも摩擦式のものであったが、糸送り装置Fは、糸を挟持するニップ式のもの(例えば、一対のニップローラーで構成する)としてもよい。糸送り装置Fをニップ式とすると、巻き取りテンション(巻き取りパッケージPwに巻き取られる糸の張力)を確実に安定させることができるが、正確な回転精度が必要となる。また、給糸パッケージPsの解舒変動の逃げ場がなくなるため、解舒テンション(給糸パッケージPsから解舒された糸の張力)が緩むという問題が生じる恐れがある。これに対し、前記摩擦式の糸送り装置Fとした場合は、正確な回転精度が要求されないため、より実用的である。
【0024】
【発明の効果】
本発明は、以上説明した構成を有しているので、以下に記載する効果を奏するものである。
【0025】
給糸パッケージを自由回転自在に支持する給糸パッケージ支持装置と、給糸パッケージの糸を巻き取りパッケージに巻き取る巻き取り装置と、給糸パッケージから巻き取りパッケージに至るまでの糸に、巻き取りパッケージ側への送り力を付与する糸送り装置とを装備したので、給糸パッケージからの糸の解舒性を向上することができ、しかも、巻き取りパッケージに巻き取られる糸張力を、適正な値に維持することができる。
【0026】
糸送り装置を、糸が相対的に滑り可能であって、糸との間の摩擦力によって、糸に送り力を付与する摩擦式のものとしたので、給糸パッケージの解舒変動を、滑りによって逃すことが可能となる。
【0027】
摩擦式の糸送り装置を、一対のローラーを有し、各ローラーが、それぞれ積極的に駆動され、糸が、一対のローラーに跨がって巻き掛けられているように構成したので、糸送り装置を摩擦式としても、確実に、糸に、巻き取りパッケージへの送り力を付与することができる。
【0028】
巻き取り装置と糸送り装置とを、同一駆動源にて連動するように構成したので、糸巻き返し機の構造を簡素化することができるとともに、巻き取り開始時等、巻き取り速度を加減速する場合にも、適正な張力に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の糸巻き返し機の側面図である。
【図2】図2は本発明の糸巻き返し機の給糸パッケージ側の正面図である。
【図3】図3は本発明の糸巻き返し機を構成する糸送り装置の平面図である。
【図4】図4は本発明の糸巻き返し機を構成する糸送り装置の斜視図である。
【図5】図5は本発明の糸巻き返し機を構成する糸送り装置の別の実施例の斜視図である。
【図6】図6は従来の糸巻き返し機の側面図である。
【符号の説明】
F・・・・・・・・・・・・・・糸送り装置
M・・・・・・・・・・・・・・モーター
Ps・・・・・・・・・・・・・給糸パッケージ
Pw・・・・・・・・・・・・・巻き取りパッケージ
10・・・・・・・・・・・・・糸掛けローラー
Claims (4)
- 給糸パッケージから巻き戻された糸を、巻き取りパッケージに巻き取る糸巻き返し機において、前記給糸パッケージを自由回転自在に支持する給糸パッケージ支持装置と、前記給糸パッケージの糸を前記巻き取りパッケージに巻き取る巻き取り装置と、前記給糸パッケージから前記巻き取りパッケージに至るまでの糸に、前記巻き取りパッケージ側への送り力を付与する糸送り装置とを備えたことを特徴とする糸巻き返し機。
- 前記糸送り装置が、糸が相対的に滑り可能であって、糸との間の摩擦力によって、糸に送り力を付与する摩擦式のものであることを特徴とする請求項1に記載の糸巻き返し機。
- 前記摩擦式の糸送り装置が、一対のローラーを有し、各ローラーが、それぞれ積極的に駆動され、糸が、前記一対のローラーに跨がって巻き掛けられるものであることを特徴とする請求項2に記載の糸巻き返し機。
- 前記巻き取り装置と前記糸送り装置とが、同一駆動源にて連動されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の糸巻き返し機。
Priority Applications (1)
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JP2002271530A JP2004107007A (ja) | 2002-09-18 | 2002-09-18 | 糸巻き返し機 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP2562113A3 (de) * | 2011-08-26 | 2014-04-16 | Saurer Germany GmbH & Co. KG | Textilmaschine mit einer Vielzahl von Arbeitsstellen |
WO2019225138A1 (ja) | 2018-05-21 | 2019-11-28 | Tmtマシナリー株式会社 | 糸巻取機 |
-
2002
- 2002-09-18 JP JP2002271530A patent/JP2004107007A/ja active Pending
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EP2562113A3 (de) * | 2011-08-26 | 2014-04-16 | Saurer Germany GmbH & Co. KG | Textilmaschine mit einer Vielzahl von Arbeitsstellen |
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EP4339145A2 (en) | 2018-05-21 | 2024-03-20 | TMT Machinery, Inc. | Yarn winder |
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