JP2004105904A - 光触媒による塩基性物質の分解方法および分解に用いる光触媒 - Google Patents

光触媒による塩基性物質の分解方法および分解に用いる光触媒 Download PDF

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Ayako Ikezawa
池澤 綾子
Masahiro Miyauchi
宮内 雅浩
Junji Kameshima
亀島 順次
Akira Shimai
島井 曜
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Abstract

【課題】塩基性物質の吸着性を向上させ、塩基性物質を効率よく吸着・分解する光触媒による塩基性物質分解方法、およびこれに用いる光触媒を提供する。
【解決手段】窒素をドープすることにより等電点のpHを低下させた光触媒を使用することを特徴とする、光触媒による塩基性物質分解方法を提供する。また、酸化物光半導体に窒素をドープすることにより等電点のpHを低下させていることを特徴とする塩基性物質を分解するための光触媒を提供する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光触媒による塩基性物質の分解方法および分解に用いる光触媒に係り、分解対象物質の濃度が低い場合でも効率よく分解することのできる、光触媒による塩基性物質分解方法および分解に用いる光触媒に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
従来の燃焼触媒による塩基性物質分解方法として、例えば塩基性ガス分解においては、塩基性ガスの吸着性を向上させるため、固体酸性度の高い複合酸化物などが吸着材として利用されている(例えば、特許文献1参照)。
また、酸化物光半導体による塩基性物質分解方法として、浄水装置において、アンモニアを高効率で吸着・分解するために、固体酸に酸化物光半導体を担持した浄化剤を用いているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−286751号公報
【特許文献2】
特開平11−253931号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の燃焼触媒による塩基性物質分解方法では、吸着材への塩基性ガス吸着後に、吸着材を100℃以上に加熱し、再脱離した塩基性ガスを酸化触媒などで酸化する必要がある。また、特許文献2では固体酸に酸化物光半導体を担持させた構成であるため、必然的に酸化物光半導体の含有量が少なくなり、分解活性が十分でない場合があった。またアンモニアを吸着する酸点とアンモニアを分解する酸化物光半導体とが離れているため、吸着したアンモニアの酸化物光半導体への拡散、または酸化物光半導体表面で生じた分解活性種の吸着材への拡散が必要となるため、吸着したアンモニアの分解効率が低いという問題点があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、固体酸性度を増加させたことによって塩基性物質を効率よく吸着し、吸着した塩基性物質をその場で分解することのできる光触媒を提供することによって、低濃度の分解対象物も効率的に分解する塩基性物質の分解方法を提供すること、および前記光触媒を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、窒素をドープすることにより等電点のpHを低下させた光触媒を使用することを特徴とする、光触媒による塩基性物質分解方法を提供する。
【0006】
本発明において窒素ドープとは、酸化物光半導体結晶に窒素を含有させることを意味し、含有の形態としては酸化物光半導体結晶の格子酸素の一部を窒素原子で置換すること、または酸化物光半導体結晶の格子間または結晶粒界に窒素原子を導入することのいずれかまたはこれらの組み合わせなどがあげられる。固体酸性度は等電点のpHで表記することが出来る。本発明では等電点のpHが5以下の光触媒を用いることが好ましい。
【0007】
本発明で分解される塩基性物質は、例えば有機性の塩基性物質があり、その種類としては、アンモニア、アミン類、ピリジンなどが挙げられる。
【0008】
本発明の好ましい態様においては、格子酸素位置に窒素を置換することにより等電点のpHを低下させた光触媒を使用する。窒素を格子酸素位置に置換することの作用効果は、以下の様に推定される。一般に酸化物の表面には多くのOH基が存在するが、このうち、格子酸素とこれに結合した水素原子によるOH基においては、O−H結合が切れやすくHを出しやすいため、酸性のOH基であるといわれる。本発明において、格子酸素を、酸素より電気陰性度の小さい窒素に置きかえることにより、Hがより放出されやすくなると考えられる。
【0009】
本発明によれば、酸化物光半導体に窒素をドープすることにより等電点のpHを低下させていることを特徴とする塩基性物質を分解するための光触媒を提供することができる。
【0010】
本発明によれば、酸化物光半導体の格子酸素位置に窒素を置換することにより等電点のpHを低下させていることを特徴とする塩基性物質を分解するための光触媒を提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する。本発明の一実施態様においては、光触媒粉体を窒素がドープされる条件で作製することによって、固体酸性度を増加させた光触媒粉体を得ることができる。
窒素がドープされる条件で光触媒粉体を作製する方法として、例えば酸化物光半導体の前駆体を、アンモニア、酸化二窒素など、窒素を含む反応性ガスを含む気流中で加熱処理することがあげられる。例えば酸化チタン酸化物光半導体の前駆体としては、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、チタンキレート、アセチルアセトンチタン、四塩化チタン、硫酸チタン、水酸化チタンからなる群から選択される少なくとも1つを好適に使用することができる。
また、窒素を含む光触媒前駆体を大気中で600℃以下で加熱処理することによっても作製することができる。例えば、窒素を含む酸化チタン光触媒の前駆体としては、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、チタンキレート、アセチルアセトンチタン、四塩化チタン、硫酸チタン、水酸化チタンからなる群より選択される少なくとも一つの酸化チタン前駆体をアンモニアを触媒として用いて加水分解したものや、オキシ蓚酸チタンアンモニウム、硫酸チタンアンモニウム等を好適に使用することができる。
【0012】
固体酸性度を増加させた光触媒粉体を得るための別の方法として、酸化物光半導体粉体に窒素がドープされる処理を行なうことがあげられる。酸化物光半導体粉体に窒素がドープされる処理方法として、例えば、市販の酸化物光半導体粉体をアンモニア、酸化二窒素など、窒素を含む反応性ガスを含む気流中で加熱処理するなどの処理があげられる。また、プラズマ処理、イオン注入などの方法を用いて窒素をドープすることもできる。
【0013】
また、上記固体酸性度を増加させた光触媒粉体を原料として光触媒膜を成膜することによって、固体酸性度を増加させた光触媒膜を得ることができる。
【0014】
固体酸性度を増加させた光触媒膜を得る別の方法として、窒素がドープされる条件で光触媒膜を作製することがあげられる。窒素がドープされる条件で光触媒膜を作製する方法として、例えば前記光触媒前駆体を成膜し、アンモニア、酸化二窒素など、窒素を含む反応性ガスを含む気流中で加熱処理する方法、また前記窒素を含む光触媒前駆体を成膜し、大気中または他の好適な条件で加熱処理することなどがあげられる。また、PVD、CVDなどのドライプロセスによる光触媒膜成膜時に窒素を含むターゲットやガスを用いることによっても窒素がドープされた光触媒膜を作製することができる。
【0015】
固体酸性度を増加させた光触媒膜を得る別の方法として、光触媒の膜に窒素がドープされる処理を行なうことがあげられる。光触媒の膜に窒素がドープされる処理として、例えば光触媒膜をアンモニア、酸化二窒素など、窒素を含む反応性ガスを含む気流中で加熱処理することなどがあげられる。また、プラズマ処理、イオン注入などの方法を用いて窒素をドープすることもできる。
【0016】
前記固体酸性度を増加させた光触媒はそのまま用いてもよく、担持体などに担持して用いてもよい。その際、光触媒の電化分離効率向上のために白金、金などの金属を担持してもよい。
【0017】
本発明で固体酸性度を増加させる酸化物光半導体としては、光照射によって酸化反応を生じるものであればどのようなものでもよく、その種類は限定されない。例えば、酸化チタン、酸化鉄、酸化タングステン、酸化スズ、酸化ビスマス、酸化ニッケル、酸化銅、酸化亜鉛、酸化ニオブ、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉄等の半導体、あるいは該半導体に白金、金などの金属を担持したものなどがあげられる。
【0018】
本発明において窒素ドープとは、酸化物光半導体結晶に窒素を含有させることを意味し、含有の形態としては酸化物光半導体結晶の格子酸素の一部を窒素原子で置換すること、または酸化物光半導体結晶の格子間あるいは結晶粒界に窒素原子を導入することのいずれかまたはこれらの組み合わせなどがあげられる。本発明のより好ましい形態としては、窒素原子は格子酸素位置に置換していることが望ましい。
【0019】
本発明において固体酸性度とは固体酸の酸性の強さを示す量である。固体酸とは陽子供与体または電子受容体として働く固体を示し、一般に固体酸は塩基を吸着する性質を持ち、固体酸性度が増加すると塩基性物質の吸着性が向上する。
金属酸化物の固体酸性度はゼータ電位測定によって測定することができる。一般に、金属酸化物を水中に浸積すると、表面のOH基が水溶液のpHに対応して解離し、金属酸化物は荷電(ゼータ電位)を持つ。この金属酸化物が固体酸である場合には、中性の水中に浸積した場合、陽子供与または電子受容によって固体酸は負の荷電を持ち、ゼータ電位は負となる。
金属酸化物の固体酸性度はゼータ電位が0となるpH(以下、等電点)で表記することができる。定義的には等電点が7より小さいとき固体酸ということができ、等電点が小さくなるほど固体酸性度が強いということができる。代表的酸化物光半導体として用いられる酸化チタンの等電点は6〜7である。
金属酸化物の固体酸性度はあるpHでのゼータ電位で表記することもできる。一般に、金属酸化物のゼータ電位は水溶液のpHにが下がるにしたがって増加し、等電点より高いpHにおいては負、等電点より低いpHにおいては正である。あるpHでのゼータ電位を比較した場合に、ゼータ電位がより負側であることは、固体酸性度がより大きいことを示す。
粉体・ゾルなどのゼータ電位は水溶液中に分散させて電気泳動を測定することによって測定することができ、膜のゼータ電位は、蛋白質などのモニター粒子の電気泳動を膜との相互作用のある領域で測定することで求めることができる。
【0020】
本発明の光触媒を、部材に強固に形成させるため、バインダーを用いても良い。
バインダーとしては、シロキサン結合を有する物質を好適に使用することができる。シロキサン結合を有する物質としては水ガラス等のアルカリシリケート、コロイダルシリカ、アルミノシリケート化合物を使用することもできる。アルミノシリケート化合物はシリケート化合物のSiの一部をAlで置換した化合物であって、更に電荷を補償するためにHやLi、Na、K、Rb、Cs、Frなどのアルカリ金属イオンやBe2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+などのアルカリ土類金属イオンが含有されていてもよい。前記シロキサン結合を有する化合物のSiの一部をAlで置換した物や、ゼオライトなどを使用することもできる。
前記シロキサン結合を有する物質として、更に好ましい態様において、シリコーンエマルジョンを用いることができる。シリコーンエマルジョンとしては、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン;エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン;n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン;n−ヘキシルトリクロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリイソプロポキシシラン、n−ヘキシルトリt−ブトキシシラン;n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン;n−オクタデシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン;フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン;テトラクロルシラン、テトラブロムシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン;ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン;ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン;フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン;トリクロルヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリイソプロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン;トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン;β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランの部分加水分解物、脱水縮重合物を好適に使用することができる。
【0021】
本発明の光触媒のバインダーとして、フッ素樹脂エマルジョンを使用することができる。フッ素樹脂エマルジョンを含む塗膜は化学的安定性が高く、また、耐候性も高い。フッ素樹脂エマルジョンとしては、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、パーフルオロシクロポリマー、ビニルエーテル−フルオロオレフィンコポリマー、ビニルエステル−フルオロオレフィンコポリマー、テトラフルオロエチレン−ビニルエーテルコポリマー、クロロトリフルオロエチレン−ビニルエーテルコポリマー、テトラフルオロエチレンウレタン架橋体、テトラフルオロエチレンエポキシ架橋体、テトラフルオロエチレンアクリル架橋体、テトラフルオロエチレンメラミン架橋体等フルオロ基を含有するポリマーのエマルジョン等から選択される少なくとも一つが好適に利用できる。
【0022】
本発明によれば、窒素ドープによって光触媒の固体酸性度を増加させたため、該光触媒は塩基性物質を効率よく吸着することができる。本発明によれば、塩基性物質を分解する光触媒自身の塩基性物質吸着性を向上させたため、吸着材などを用いる必要がなく、吸着材などを用いた場合に比べて光触媒の量を多くすることができ、塩基性物質を効率的に分解することができる。さらに、吸着材などを用いた場合には吸着材から酸化物光半導体への塩基性物質の脱離、拡散過程を必要とするが、本発明によればこの過程が不要となる。よって、吸着した塩基性物質を効率よく分解することができる。
また、代表的な酸化物光半導体である酸化チタンにおいて、窒素をドープすることによって、可視光照射でも励起して分解活性を示すようになることが知られている。このことから、本発明の窒素をドープした光触媒においても、可視光を含む光源の下でも高い分解活性を示すことが期待できる。
【0023】
【実施例】
実施例1
酸化チタン粉体(ST−01、石原産業)をアンモニアガス気流中、600℃で3時間熱処理して、窒素ドープされた酸化チタン粉体を得た(以下、サンプル#1)。この粉体を固形分濃度として20重量%で純水中に投入し、ZrO2ビーズミル(ビーズ径0.3mmφ)によって48時間粉砕し、酸化チタンスラリーを得た。このスラリー0.1gを10mmol/Lの塩化ナトリウム水溶液200gに滴下、混合し、電気泳動光散乱光度計(ELS−6000、大塚電子)を用いてpH2〜7でゼータ電位を測定した。pHの調節には10mmol/Lの塩酸および水酸化ナトリウムを使用した。
【0024】
比較例1
酸化チタンゾル(STS−01、石原産業)(以下、比較サンプル1)のゼータ電位を実施例1と同じ方法で測定した。
【0025】
この結果、サンプル#1の等電点は2.8となり、比較サンプル1の等電点は6.7となった。このことから窒素をドープすることによって酸化チタン粉体の固体酸性度を増加できることが示された。
【0026】
実施例2
酸化チタン粉体(ST−21、石原産業)をアンモニア気流中、600℃で3時間加熱して、窒素ドープされた酸化チタン粉体を得た(以下、サンプル#2)。この粉体によるエチルアミン分解を次の方法で測定した。粉体0.1gをpH=3およびpH=6の0.25mol/Lエチルアミン水溶液中に入れ、半日以上暗所で攪拌した後、BLBランプを用いて2mW/cm2の紫外線照射を行った。エチルアミン水溶液のpHは塩酸を用いて調整した。エチルアミン濃度はキャピラリー電気泳動システム(HP 3DCE、HEWLETT PACKARD)で測定した。
【0027】
比較例2
酸化チタン粉体(ST−21、石原産業)(以下、比較サンプル2)によるエチルアミン分解を、実施例2と同じ方法で測定した。
【0028】
この結果を図1および図2に示す。pH=3ではサンプル#2、比較サンプル2とも同程度の速度でエチルアミンの分解が進むのに対し、pH=6では比較サンプル2に対しサンプル#2の方が速く分解が進んだ。
これは、粉体の固体酸性度のエチルアミンの吸着速度への寄与で説明できる。サンプル#2、比較サンプル2は上記条件の水溶液中で、それぞれの固体酸性度とpHに応じて帯電しており、塩基性物質であるエチルアミンは水溶液中でエチルアミンイオンとなり正に帯電している。一方、上記条件ではエチルアミンの濃度を低くしたため、分解反応は吸着律速となっており、反応速度はエチルアミンイオンの酸化チタン表面への吸着速度に依存する。
pH=3では、サンプル#2、比較サンプル2とも正に帯電しているため、エチルアミンイオンのサンプルへの吸着速度は同程度であり、従って分解反応速度も同程度である。
pH=6では、サンプル#2は負、比較サンプル2は正に帯電しているため、エチルアミンイオンのサンプルへの吸着速度はサンプル#2の方が速く、従って分解反応もサンプル#2の方が速く進む。
つまり、酸化チタン粉体に窒素ドープし固体酸性度を増加させたことによって、塩基性物質であり、水溶液中で正に帯電するエチルアミンを、低濃度条件でも効率よく分解することができることが示された。
【0029】
実施例3
ガラス基板上にシリコンアルコキシド溶液(NDH500A、日本曹達)をディップコート法で成膜し、500℃で30分加熱してシリカコートガラス基板を得た。このシリカコートガラス基板上にチタンアルコキシド溶液(NDH510C、日本曹達)をディップコート法で成膜し、500℃で30分加熱して酸化チタン薄膜を得た。この酸化チタン薄膜をアンモニア気流中400℃で1時間加熱し、窒素ドープされた酸化チタン薄膜を得た(以下、サンプル#3)。サンプル#3に半日以上紫外線を照射した後、ゼータ電位を、ヒドロキシプロピルセルロースでコーティングしたラテックスをモニター粒子として、電気泳動光散乱光度計(ELS−6000、大塚電子)を用いて測定した。
【0030】
比較例3
ガラス基板上にシリコンアルコキシド溶液(NDH500A、日本曹達)をディップコート法で成膜し、500℃で30分加熱してシリカコートガラス基板を得た。このシリカコートガラス基板上にチタンアルコキシド溶液(NDH510C、日本曹達)をディップコート法で成膜し、500℃で30分加熱して酸化チタン薄膜を得た(以下、比較サンプル3)。比較サンプル3に半日以上紫外線を照射した後、ゼータ電位を実施例3と同じ方法で測定した。
【0031】
この結果、pH=6におけるゼータ電位はサンプル#3では−38mVとなり、比較サンプル3では+27mVとなった。このことから、窒素をドープすることによって酸化チタン膜の固体酸性度を増加できることが示された。
【0032】
実施例4
サンプル#3のエチルアミン分解を、次の方法で測定した。サンプル膜面に内径4mmの円筒型セルをシリコングリースで固定した。このセルにpH=6の0.25mol/Lエチルアミン水溶液10mLを注ぎ、暗所に半日以上保管した後、BLBランプを用いて2mW/cm2の紫外線照射を行った。エチルアミン濃度はキャピラリー電気泳動システム(HP 3DCE、HEWLETT PACKARD)で測定した。
【0033】
比較例4
比較サンプル3のエチルアミン分解を、実施例4と同じ方法で測定した。
【0034】
この結果を図3に示す。サンプル#3は比較サンプル3に比べて速く分解が進んだ。これは、膜の固体酸性度のエチルアミンの吸着速度への寄与で説明できる。
塩基性物質であるエチルアミンは水溶液中でエチルアミンイオンとなり正に帯電しているが、上記条件ではエチルアミンの濃度を低くしたため、分解反応は吸着律速となっており、エチルアミンイオンの酸化チタン表面への吸着速度に依存する。
一方、実施例3、比較例3によればpH=6においてサンプル#3は負に帯電しており、比較サンプル3は正に帯電している。このため、塩基性物質であり水溶液中で正に帯電しているエチルアミンイオンの吸着速度はサンプル#3の方が比較サンプル3よりも速く、分解反応もサンプル#3の方が速く進む。
つまり、酸化チタン薄膜に窒素ドープし固体酸性度を増加させたことによって、塩基性物質であり、水溶液中で正に帯電するエチルアミンを低濃度条件で効率よく分解できることが示された。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、塩基性物質を分解する光触媒自体の固体酸性度を増加させて塩基性物質の吸着性を向上することによって、低濃度の塩基性物質を効率よく分解する光触媒、およびこれを用いた塩基性物質分解方法を提供できる。本発明によれば、光触媒自体の固体酸性度を増加させて塩基性物質の吸着性を向上しているため、吸着材を用いる必要がなく、よって吸着材からの脱離や拡散の過程を必要としない塩基性物質分解方法を提供できる。
また、代表的な酸化物光半導体である酸化チタンにおいて、窒素をドープすることによって可視光照射でも励起して分解活性を示すようになることが知られている。このことから、本発明の窒素をドープした光触媒においても、可視光を含む光源の下でも高い分解活性を示すことも期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2および比較例2におけるpH=3でのエチルアミンイオン分解を示す図である。
【図2】実施例2および比較例2におけるpH=6でのエチルアミンイオン分解を示す図である。
【図3】本発明の実施例4および比較例4におけるpH=6でのエチルアミンイオン分解を示す図である。

Claims (4)

  1. 光触媒による塩基性物質の分解方法において、窒素をドープすることにより等電点のpHを低下させた光触媒を使用することを特徴とする、光触媒による塩基性物質分解方法。
  2. 光触媒による塩基性物質の分解方法において、格子酸素位置に窒素を置換することにより等電点のpHを低下させた光触媒を使用することを特徴とする、光触媒による塩基性物質分解方法。
  3. 酸化物光半導体に窒素をドープすることにより等電点のpHを低下させていることを特徴とする塩基性物質を分解するための光触媒。
  4. 酸化物光半導体の格子酸素位置に窒素を置換することにより等電点のpHを低下させていることを特徴とする塩基性物質を分解するための光触媒。
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