JP2004103659A - 機械強度に優れた希土類焼結磁石およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】各種モータ、アクチュエータ、センサーなどの応用分野に適合する高い機械強度を有するR−T−B系焼結磁石をミクロ組織を制御することにより提供することを目的とする。
【解決手段】R1(R1:La,Ce,Pr,Nd,Hoの少なくとも1種)、R2(R2:Dy、Tbの少なくとも1種)R1とR2の総和が28〜36質量%でR2が3.0〜8.0質量%の希土類元素を含み、Coが0.5〜4.0質量%、Al0.1〜2質量%、Al/Coの比率が0.1〜0.4、B0.9〜1.5質量%、必要によりM(M:Ti,V,Mo,Nb,Ta,W、Zr,Ga,Cuの少なくとも1種)0.05〜2質量%残部Feおよび不可避不純物からなる希土類焼結磁石で焼結体の平均結晶粒径が8μm以下でかつ20μm以上の結晶粒の存在確率が面積比率で5%以下であり、Brが1.2T以上,固有保磁力が1200kA/m以上で平均抗折強度が335MPa超であることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】R1(R1:La,Ce,Pr,Nd,Hoの少なくとも1種)、R2(R2:Dy、Tbの少なくとも1種)R1とR2の総和が28〜36質量%でR2が3.0〜8.0質量%の希土類元素を含み、Coが0.5〜4.0質量%、Al0.1〜2質量%、Al/Coの比率が0.1〜0.4、B0.9〜1.5質量%、必要によりM(M:Ti,V,Mo,Nb,Ta,W、Zr,Ga,Cuの少なくとも1種)0.05〜2質量%残部Feおよび不可避不純物からなる希土類焼結磁石で焼結体の平均結晶粒径が8μm以下でかつ20μm以上の結晶粒の存在確率が面積比率で5%以下であり、Brが1.2T以上,固有保磁力が1200kA/m以上で平均抗折強度が335MPa超であることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、R(希土類)−鉄―ホ゛ロン系の焼結型の希土類焼結磁石に係わるものであり、各種モータ、アクチュエータ、センサーなどの応用分野に適合する高い機械強度を有するR−T−B系焼結磁石をミクロ組織を制御することにより提供することを目的とする。
【0002】
【従来の技術】
近年希土類―鉄―ホ゛ロン系永久磁石(以下R−T−B系焼結磁石と記載する。)は各種モータ、アクチュエータ、センサーなどの磁気回路を構成する材料として幅広い産業分野で利用されている。特に本系磁石の高いエネルキ゛ー積に着目し環境保全、省エネルキ゛ーの観点から各種分散型電源(風力発電、マイクロシ゛ェネレータ)、輸送機械(高速エレベータ鉄道車両モータ)、電気自動車(HEV、EV、FCEV)などへの応用が進んでいる。これらの応用分野においてはモータを10000rpm以上の高速で回転することが必要であり、安全性に対する要求が厳しいため使用される永久磁石材料の機械強度に対し高い信頼性が要求される。
Nd−Fe−B焼結磁石は、高エネルギー積が得られることから、HDDのボイスコイルアクチェータやCD、DVDの光ピックアッフ゜用磁石、MRIなどに使用されている。近年、この磁石の高いエネルギー積を活用するために温度特性を改善した磁石が開発され、エアコン、冷蔵庫、電動工具、産業機械用モータ等にも利用されている。本系磁石をモータ用磁石として適合させるために、希土類元素の一部をDyやTbなどの重希土類元素に置換し、材料の異方性磁界を高めるとともに、Feの一部をCoで置換しキュリー温度を上げることにより温度特性(耐熱性)をあげることが一般的に行なわれてきた。
【0003】
【特許文献1】
特許第3009687号
【特許文献2】
特開平10−289813号公報
【0004】
【発明が解決しようとしている問題点】
しかしながら、Dy、TbやCoを置換すると、これらの元素の一部が粒界の希土類リッチ相に偏析し焼結体の機械強度を低下させるという問題点がある。特に、最近注目されている環境保全、省エネルギー分野に使用される永久磁石式モータにおいては、磁石を10000rpm以上の高速で回転する場合があり、磁石の環境温度も150℃以上に達するため永久磁石に対しより高い耐熱性が要求され、DyやTbやCoの置換量を多くする必要があり、これらの置換による機械強度の低下が問題となっている。本発明は、R−T―B系焼結磁石のミクロ組織を制御することにより、高い耐熱性と機械強度を有する高速回転機用のNd−Fe−B焼結磁石を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決する手段】
この発明は、R−T−B系焼結磁石の機械強度に影響を与える要因につき分析を行なった結果,高い磁気特性を維持しつつ高い機械強度を維持する手段を鋭意検討した結果、焼結体の主相の結晶粒径を均一微細に制御し、かつDy、Tb、Coの添加による粒界の希土類リッチ相に析出するラメラー状の脆性相(図4)をAlを所定量添加して抑制することにより機械強度に優れる焼結体組織を具現することが可能であることを見出した。すなわち本発明は、R1(R1:La,Ce,Pr,Nd,Hoの少なくとも1種)、R2(R2:Dy、Tbの少なくとも1種)R1とR2の総和が28〜36質量%でR2が3.0〜8.0質量%の希土類元素を含み、Coが0.5〜4.0質量%、Al0.1超〜2質量%、Al/Coの比率が0.1〜0.4、B0.9〜1.5質量%、必要によりM(M:Ti,V,Mo,Nb,Ta,W,Zr,Ga,Cuの少なくとも1種)0.05〜2質量%残部Feおよび不可避不純物からなる希土類焼結磁石で焼結体の平均結晶粒径が8μm以下でかつ20μm以上の結晶粒の存在確率が面積比率で5%以下であり、Brが1T以上,固有保磁力が1200kA/m以上で平均抗折強度が335MPa超であることを特徴とする機械強度に優れた希土類焼結磁石である。またR2が8.0超〜14.0質量%の希土類元素を含む場合はBrが1T以上,固有保磁力が2000kA/m以上、さらには2500kA/mm以上で平均抗折強度が310MPa超であることを特徴とするものが製造可能である。
本発明の希土類焼結磁石は希土類リッチ相中にラメラ−状の中間相が実質的に存在しないことが大きな特徴である。これは後に詳述するがAlの添加により主相結晶粒の3粒界点に凝縮するCoを拡散させるためと推察される。焼結温度を最適化することによりこの組織形態を有する本発明の希土類焼結磁石の密度を7500kg/m3以上とすることが可能である。
【0006】
特に機械強度を高めた本発明の希土類焼結磁石の製造方法は、R1(R1:La,Ce,Pr,Nd,Hoの少なくとも1種)、R2(R2:Dy、Tbの少なくとも1種)R1とR2の総和が28〜36質量%でR2が3.0〜14.0質量%の希土類元素を含み、Coが0.5〜4.0質量%、Al0.1〜2質量%、Al/Coの比率が0.1〜0.4、B0.9〜1.5質量%、必要によりM(M:Ti,V,Mo,Nb,Ta,W,Zr,Ga,Cuの少なくとも1種)0.05〜2質量%残部Feおよび不可避不純物からなる原料合金を粉砕、成形し、その後1050℃から最終焼結温度(T1)までの昇温速度を50℃/H以下となるように焼結することを特徴とする。また、前記の焼結時に最終焼結温度(T1)より低温のT2にて1H以上保持後、50℃/H以下の昇温速度でT1温度まで昇温することでもさらに機械強度に優れた希土類焼結磁石とすることが可能である。さらには、前記の焼結時に最終焼結温度(T1)より高温のT2にて1〜3H保持後、50℃/H以下の冷却速度でT1温度まで冷却することでも機械強度に優れた希土類焼結磁石とすることが可能である。このT1−T2の絶対値は5〜25℃であることが好ましい。5℃未満ではその優位性が得られないし25℃を越すと最適焼結温度から外れ磁気特性が下がりやすい。
【0007】
組成の限定理由を以下に記す。本発明のNd−Fe−B焼結磁石において、R1とR2の総和を28〜36質量%と限定した理由は、28%以下では焼結時に焼結助剤として組織の緻密化を促進する希土類リッチ相が不足し焼結体密度が低下し機械強度が著しく低下し,一方36%以上では飽和磁束密度が低下するためである。後に記述する湿式プロセスにおいては28.5〜32質量%が好ましい。また、R2が3%以下では保磁力が1200kA/mを確保することが困難である。Coはモータ用磁石として要求される着磁の容易性、耐食性を維持するために0.5%以上添加することが望ましい、また4%超の添加は保磁力を低下させる。さらに好ましいCoの添加量は1.0〜3.0である。AlはDy、Tb、Coを添加することによって析出するラメラー状の中間相の析出を防止する効果が認められ、Co添加量に対し0.1〜0.4の比率で添加することにより機械強度低下をもたらす中間相の析出を抑制することが可能である。2質量%以上のAlの添加またはAl/Co=0.4超の添加はAlが磁性相に固溶し磁性相のキュリー温度の低下をもたらし磁気特性残留磁束密度の低下と耐熱温度の低下をもたらす。さらに好ましいAlの添加量は0.15〜1.0である。Bが0.9%以下では軟磁性のR2Fe17相が析出し保磁力を著しく低下させ、1.5%以上では同じく軟磁性のFe3Bが析出し保磁力と残留磁束密度を低下させる。M元素は焼結体の結晶粒以上成長を抑制することに効果があり、20μm以上の粗大粒の生成を防止することに効果がある。1.5%以上の添加は磁気特性低下させる。
【0008】
製造条件の限定理由を以下に記す。焼結体の平均粒径を8μm以下に抑制するためには、成形前の原料粉の平均粒径を好ましくは3〜5μmとすることが好ましい、さらに20μm以上の粗大粒の生成を防止するためには微量のM元素の添加に加え、焼結過程での最終昇温速度を50℃/H以下に制御したり、定温保持過程を複数回設けることが有効である。これにより、均一微細な焼結体組織を形成し機械強度を改善することが可能である。この平均粒径の測定においては光学顕微鏡にて観察した焼結体組織写真に任意の直線を数本引き、その直線上の結晶粒100から150個の結晶粒径を測り平均し求めた値を平均粒径とした。また、粗大粒存在比率は光学顕微鏡にて観察した1視野950×720μmの焼結体組織写真に存在する20μm以上の粗大粒の面積比率を求め、5視野の面積比率を平均し求めた値を粗大粒存在比率とした。
【0009】
本発明においては原料を微粉砕した後、湿式回収、湿式成形を行う湿式プロセスにより微粉砕以降の酸化を防ぐことができる。例えば本発明のR−T−B系希土類磁石は例えば含有酸素量が実質的に0%の不活性ガス中で微粉砕し、さらに不活性ガス雰囲気中において微粉の酸化を阻止可能な特殊な溶媒(鉱油、植物油、合成油等)中に前記微粉を直接回収する。さらにこの特殊溶媒の共存下で磁場中成形し、得られた成形体を十分に脱溶媒後焼結することで含有酸素量、含有窒素量、含有炭素量を上記範囲に安定して抑えることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例をもって具体的に説明するが、本発明の内容はこれによって限定されるものではない。
【0011】
(実施例1)
重量百分率でNd+Pr26.0質量%、Dy5.0質量%、Co2.0質量%、Al0.20質量%、B1.05質量%残部実質的にFeからなる合金インゴットを空気を排除した炉内で水素を吸蔵させ、真空排気を行ないながら500℃まで加熱した後、冷却し、その後粗粉砕を行なった。この粗粉砕粉をN2ガス置換して酸素濃度を0.001vol%としたジェットミル内に挿入してジェットミル粉砕し、平均粒径4.5μmに微粉砕した。また、ジェットミルの粉砕微粉回収口に鉱油(出光興産製、商品名出光スーパーゾルPA―30)を満たした容器を設置し、N2ガス雰囲気中において微粉を直接鉱油中に回収してスラリー化した。次にこのスラリーを所定の磁場金型のキャビティ−内に注入し、796kA/m(10kOe)の磁界中に約150MPaの成形圧にて湿式成形した。この得られた成形体を667Pa〜933Paの真空中で200℃×1時間加熱して含有鉱油を十分に除去した後、続いて真空中で焼結温度を1050〜1120℃の範囲で変化させて焼結した。得られた焼結体の密度と焼結体の平均粒径と20μm以上粗大粒の存在比率を確認した後、JISの4点曲げ試験(R1601)により室温での抗折強度を測定した。またBHトレーサーにより室温の磁気特性を評価した。結果を表1に示す。組成により最適な焼結温度は異なるが、焼結温度を上げると密度とともに平均抗折強度が高まり、ある焼結温度から逆に上げすぎると粗大粒の存在確率が高まり、平均抗折強度が下がる傾向はどの組成の合金でも同様に見られることを確認した。
また、表1の焼結温度と平均抗折強度および密度との関係を図2に示す。横軸が焼結温度、左縦軸は平均抗折強度(丸点および実線)を示し、右縦軸は密度(角点および破線)を示している。図2の斜線部に示すように狭い焼結温度域ではあるが平均抗折強度が略最大値となる焼結温度域と密度が略最大となる焼結温度域が重なることが解る。組成ごとにこの焼結温度域を見極めて製造することで良好な磁気特性と平均抗折強度を兼ね備えた焼結磁石が製造できることが確認されている。
【0012】
【表1】
【0013】
(実施例2) 重量百分率でNd+Pr26.0質量%、Dy5.0質量%、Co2.0質量%、Al0.20質量%、B1.05質量%残部実質的にFeからなる合金インゴットを空気を排除した炉内で水素を吸蔵させ、真空排気を行ないながら500℃まで加熱した後、冷却し、その後粗粉砕を行なった。この粗粉砕粉をN2ガス置換して酸素濃度を0.001vol%としたジェットミル内に挿入してジェットミル粉砕し、平均粒径4.5μmに微粉砕した。また、ジェットミルの粉砕微粉回収口に鉱油(出光興産製、商品名出光スーパーゾルPA―30)を満たした容器を設置し、N2ガス雰囲気中において微粉を直接鉱油中に回収してスラリー化した。次にこのスラリーを所定の磁場金型のキャビティ−内に注入し、796kA/m(10kOe)の磁界中に約150MPaの成形圧にて湿式成形した。この得られた成形体を667Pa〜933Paの真空中で200℃×1時間加熱して含有鉱油を十分に除去した後、続いて真空中で焼結温度を表2に示す焼結温度にて焼結した。表2中試料Jは1050℃〜1100℃まで4時間かけて昇温し,その後1100℃で2時間焼結した。試料K,Lは焼結温度を途中で変えて行なった。実施例1と同様に焼結体平均粒径、粗大粒の存在確率、抗折強度の関係につき調べた。Hの試料とIの試料を比較すると僅か2%の粗大粒存在確立により平均抗折強度が20MPaも低下することが解る。また最適な磁気特性を得られる一定の焼結温度で焼結するよりも、粗大粒の存在確立を減らすように一定温度低い焼結温度により全焼結工程の一部で焼結を行なうことが磁気特性を低下させずに強度を向上する最適な製造方法であることが解った。
【0014】
【表2】
【0015】
参項までに平均結晶粒径と平均抗折強度との関係を図3に示す。試験に供した焼結磁石の合金組成はNd15.15質量%、Pr4.27質量%、Dy12.0%、Co2.0質量%、Cu0.1質量%、Al2.0質量%、残部Feである。なお、図3ではホールペッチの法則に従うことを示すために横軸を平均結晶粒径のdに対してd−1/2(um−1/2)としている。一番左のプロットの平均結晶粒径dは8.8μmのものである。この平均結晶粒径では粗大粒の存在確立が非常に多いことを組織観察写真からも観察できることを確認している。平均抗折強度は300MPaに満たなかった。
【0016】
(実施例3)
表3に示す組成の合金インゴットをジェットミル粉砕にて平均粒径4.5μmに微粉砕した。ジェットミルの粉砕微粉回収口に鉱油(出光興産製、商品名出光スーパーゾルPA―30)を満たした容器を設置し、N2ガス雰囲気中において微粉を直接鉱油中に回収してスラリー化した。次にこのスラリーを所定の磁場金型のキャビティ−内に注入し、796kA/m(10kOe)の磁界中に約150MPaの成形圧にて湿式成形した。この得られた成形体を667Pa〜933Paの真空中で200℃×1時間加熱して含有鉱油を十分に除去した後、続いて真空中で1050〜1120℃で焼結し、Co、Al量とラメラ相の有無、抗折強度の関係について調べた。結果を表3に併記する。作成した焼結磁石の平均結晶粒径はいずれも8μm以下であった。No.1の組成ではAl/Coの値は0.025であり、Alの添加量が不足することから強度が不十分である。No.6も同様にAl添加量が少なく平均抗折強度は300MPaに満たない。また、No.8はAl/Co=0.1であるもののCo添加量が大であり、磁気特性が低下して実用に耐えない。No.9ではAl/Co=1.0でAlが過多に添加されており、強度は改善されているもののNo.8と同様に磁気特性が実用に耐えない。試料No.1の3粒界面の組織観察写真を図4に示す。層状に形成された組織のうち、薄い層の部分がラメラー相である。このラメラー相の形成により3粒界面での強度が低下し粒界破壊が発生し易くなる。本発明である試料No.5の組織観察写真を図1に示す。図4と異なりラメラー相の発生が抑制されていることが解る。
【0017】
【表3】
【0018】
(実施例4) 表4に示す組成の合金インゴットをジェットミル粉砕にて平均粒径4.5μmに粉砕し、以降は実施例3と同様に本発明の希土類焼結磁石を製造した。R2の組成とラメラ−相の有無、抗折強度の関係について調べた。作成した焼結磁石の平均結晶粒径はいずれも8μm以下であった。結果を表4に示す。
【0019】
【表4】
【0020】
(実施例5) 表5に示す組成の合金インゴットをジェットミル粉砕にて平均粒径4.5μmに粉砕し、以降は実施例3と同様に本発明の希土類焼結磁石を製造した。R2の組成とラメラ相の有無、抗折強度の関係について調べた。結果を表5に示す。M元素の添加により磁気特性の向上が確認された。
【0021】
【表5】
【0022】
【発明の効果】
本発明によるNd−Fe−B焼結磁石は、Dy、Tbを3%以上かつCoを0.5%以上添加しても、粒界相に脆弱なラメラー状の中間相の析出がなく、かつ主相の平均粒径が均一微細なため従来のモータ用希土類磁石と比較し強度に対し高い信頼性を有するものを提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粒界部分を示す組織写真である。
【図2】焼結温度による曲げ強度と密度の関係を示す式である。
【図3】平均粒径と曲げ強度の関係を示す式である。
【図4】従来のラメラー相が発生している希土類焼結磁石の組織写真である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、R(希土類)−鉄―ホ゛ロン系の焼結型の希土類焼結磁石に係わるものであり、各種モータ、アクチュエータ、センサーなどの応用分野に適合する高い機械強度を有するR−T−B系焼結磁石をミクロ組織を制御することにより提供することを目的とする。
【0002】
【従来の技術】
近年希土類―鉄―ホ゛ロン系永久磁石(以下R−T−B系焼結磁石と記載する。)は各種モータ、アクチュエータ、センサーなどの磁気回路を構成する材料として幅広い産業分野で利用されている。特に本系磁石の高いエネルキ゛ー積に着目し環境保全、省エネルキ゛ーの観点から各種分散型電源(風力発電、マイクロシ゛ェネレータ)、輸送機械(高速エレベータ鉄道車両モータ)、電気自動車(HEV、EV、FCEV)などへの応用が進んでいる。これらの応用分野においてはモータを10000rpm以上の高速で回転することが必要であり、安全性に対する要求が厳しいため使用される永久磁石材料の機械強度に対し高い信頼性が要求される。
Nd−Fe−B焼結磁石は、高エネルギー積が得られることから、HDDのボイスコイルアクチェータやCD、DVDの光ピックアッフ゜用磁石、MRIなどに使用されている。近年、この磁石の高いエネルギー積を活用するために温度特性を改善した磁石が開発され、エアコン、冷蔵庫、電動工具、産業機械用モータ等にも利用されている。本系磁石をモータ用磁石として適合させるために、希土類元素の一部をDyやTbなどの重希土類元素に置換し、材料の異方性磁界を高めるとともに、Feの一部をCoで置換しキュリー温度を上げることにより温度特性(耐熱性)をあげることが一般的に行なわれてきた。
【0003】
【特許文献1】
特許第3009687号
【特許文献2】
特開平10−289813号公報
【0004】
【発明が解決しようとしている問題点】
しかしながら、Dy、TbやCoを置換すると、これらの元素の一部が粒界の希土類リッチ相に偏析し焼結体の機械強度を低下させるという問題点がある。特に、最近注目されている環境保全、省エネルギー分野に使用される永久磁石式モータにおいては、磁石を10000rpm以上の高速で回転する場合があり、磁石の環境温度も150℃以上に達するため永久磁石に対しより高い耐熱性が要求され、DyやTbやCoの置換量を多くする必要があり、これらの置換による機械強度の低下が問題となっている。本発明は、R−T―B系焼結磁石のミクロ組織を制御することにより、高い耐熱性と機械強度を有する高速回転機用のNd−Fe−B焼結磁石を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決する手段】
この発明は、R−T−B系焼結磁石の機械強度に影響を与える要因につき分析を行なった結果,高い磁気特性を維持しつつ高い機械強度を維持する手段を鋭意検討した結果、焼結体の主相の結晶粒径を均一微細に制御し、かつDy、Tb、Coの添加による粒界の希土類リッチ相に析出するラメラー状の脆性相(図4)をAlを所定量添加して抑制することにより機械強度に優れる焼結体組織を具現することが可能であることを見出した。すなわち本発明は、R1(R1:La,Ce,Pr,Nd,Hoの少なくとも1種)、R2(R2:Dy、Tbの少なくとも1種)R1とR2の総和が28〜36質量%でR2が3.0〜8.0質量%の希土類元素を含み、Coが0.5〜4.0質量%、Al0.1超〜2質量%、Al/Coの比率が0.1〜0.4、B0.9〜1.5質量%、必要によりM(M:Ti,V,Mo,Nb,Ta,W,Zr,Ga,Cuの少なくとも1種)0.05〜2質量%残部Feおよび不可避不純物からなる希土類焼結磁石で焼結体の平均結晶粒径が8μm以下でかつ20μm以上の結晶粒の存在確率が面積比率で5%以下であり、Brが1T以上,固有保磁力が1200kA/m以上で平均抗折強度が335MPa超であることを特徴とする機械強度に優れた希土類焼結磁石である。またR2が8.0超〜14.0質量%の希土類元素を含む場合はBrが1T以上,固有保磁力が2000kA/m以上、さらには2500kA/mm以上で平均抗折強度が310MPa超であることを特徴とするものが製造可能である。
本発明の希土類焼結磁石は希土類リッチ相中にラメラ−状の中間相が実質的に存在しないことが大きな特徴である。これは後に詳述するがAlの添加により主相結晶粒の3粒界点に凝縮するCoを拡散させるためと推察される。焼結温度を最適化することによりこの組織形態を有する本発明の希土類焼結磁石の密度を7500kg/m3以上とすることが可能である。
【0006】
特に機械強度を高めた本発明の希土類焼結磁石の製造方法は、R1(R1:La,Ce,Pr,Nd,Hoの少なくとも1種)、R2(R2:Dy、Tbの少なくとも1種)R1とR2の総和が28〜36質量%でR2が3.0〜14.0質量%の希土類元素を含み、Coが0.5〜4.0質量%、Al0.1〜2質量%、Al/Coの比率が0.1〜0.4、B0.9〜1.5質量%、必要によりM(M:Ti,V,Mo,Nb,Ta,W,Zr,Ga,Cuの少なくとも1種)0.05〜2質量%残部Feおよび不可避不純物からなる原料合金を粉砕、成形し、その後1050℃から最終焼結温度(T1)までの昇温速度を50℃/H以下となるように焼結することを特徴とする。また、前記の焼結時に最終焼結温度(T1)より低温のT2にて1H以上保持後、50℃/H以下の昇温速度でT1温度まで昇温することでもさらに機械強度に優れた希土類焼結磁石とすることが可能である。さらには、前記の焼結時に最終焼結温度(T1)より高温のT2にて1〜3H保持後、50℃/H以下の冷却速度でT1温度まで冷却することでも機械強度に優れた希土類焼結磁石とすることが可能である。このT1−T2の絶対値は5〜25℃であることが好ましい。5℃未満ではその優位性が得られないし25℃を越すと最適焼結温度から外れ磁気特性が下がりやすい。
【0007】
組成の限定理由を以下に記す。本発明のNd−Fe−B焼結磁石において、R1とR2の総和を28〜36質量%と限定した理由は、28%以下では焼結時に焼結助剤として組織の緻密化を促進する希土類リッチ相が不足し焼結体密度が低下し機械強度が著しく低下し,一方36%以上では飽和磁束密度が低下するためである。後に記述する湿式プロセスにおいては28.5〜32質量%が好ましい。また、R2が3%以下では保磁力が1200kA/mを確保することが困難である。Coはモータ用磁石として要求される着磁の容易性、耐食性を維持するために0.5%以上添加することが望ましい、また4%超の添加は保磁力を低下させる。さらに好ましいCoの添加量は1.0〜3.0である。AlはDy、Tb、Coを添加することによって析出するラメラー状の中間相の析出を防止する効果が認められ、Co添加量に対し0.1〜0.4の比率で添加することにより機械強度低下をもたらす中間相の析出を抑制することが可能である。2質量%以上のAlの添加またはAl/Co=0.4超の添加はAlが磁性相に固溶し磁性相のキュリー温度の低下をもたらし磁気特性残留磁束密度の低下と耐熱温度の低下をもたらす。さらに好ましいAlの添加量は0.15〜1.0である。Bが0.9%以下では軟磁性のR2Fe17相が析出し保磁力を著しく低下させ、1.5%以上では同じく軟磁性のFe3Bが析出し保磁力と残留磁束密度を低下させる。M元素は焼結体の結晶粒以上成長を抑制することに効果があり、20μm以上の粗大粒の生成を防止することに効果がある。1.5%以上の添加は磁気特性低下させる。
【0008】
製造条件の限定理由を以下に記す。焼結体の平均粒径を8μm以下に抑制するためには、成形前の原料粉の平均粒径を好ましくは3〜5μmとすることが好ましい、さらに20μm以上の粗大粒の生成を防止するためには微量のM元素の添加に加え、焼結過程での最終昇温速度を50℃/H以下に制御したり、定温保持過程を複数回設けることが有効である。これにより、均一微細な焼結体組織を形成し機械強度を改善することが可能である。この平均粒径の測定においては光学顕微鏡にて観察した焼結体組織写真に任意の直線を数本引き、その直線上の結晶粒100から150個の結晶粒径を測り平均し求めた値を平均粒径とした。また、粗大粒存在比率は光学顕微鏡にて観察した1視野950×720μmの焼結体組織写真に存在する20μm以上の粗大粒の面積比率を求め、5視野の面積比率を平均し求めた値を粗大粒存在比率とした。
【0009】
本発明においては原料を微粉砕した後、湿式回収、湿式成形を行う湿式プロセスにより微粉砕以降の酸化を防ぐことができる。例えば本発明のR−T−B系希土類磁石は例えば含有酸素量が実質的に0%の不活性ガス中で微粉砕し、さらに不活性ガス雰囲気中において微粉の酸化を阻止可能な特殊な溶媒(鉱油、植物油、合成油等)中に前記微粉を直接回収する。さらにこの特殊溶媒の共存下で磁場中成形し、得られた成形体を十分に脱溶媒後焼結することで含有酸素量、含有窒素量、含有炭素量を上記範囲に安定して抑えることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例をもって具体的に説明するが、本発明の内容はこれによって限定されるものではない。
【0011】
(実施例1)
重量百分率でNd+Pr26.0質量%、Dy5.0質量%、Co2.0質量%、Al0.20質量%、B1.05質量%残部実質的にFeからなる合金インゴットを空気を排除した炉内で水素を吸蔵させ、真空排気を行ないながら500℃まで加熱した後、冷却し、その後粗粉砕を行なった。この粗粉砕粉をN2ガス置換して酸素濃度を0.001vol%としたジェットミル内に挿入してジェットミル粉砕し、平均粒径4.5μmに微粉砕した。また、ジェットミルの粉砕微粉回収口に鉱油(出光興産製、商品名出光スーパーゾルPA―30)を満たした容器を設置し、N2ガス雰囲気中において微粉を直接鉱油中に回収してスラリー化した。次にこのスラリーを所定の磁場金型のキャビティ−内に注入し、796kA/m(10kOe)の磁界中に約150MPaの成形圧にて湿式成形した。この得られた成形体を667Pa〜933Paの真空中で200℃×1時間加熱して含有鉱油を十分に除去した後、続いて真空中で焼結温度を1050〜1120℃の範囲で変化させて焼結した。得られた焼結体の密度と焼結体の平均粒径と20μm以上粗大粒の存在比率を確認した後、JISの4点曲げ試験(R1601)により室温での抗折強度を測定した。またBHトレーサーにより室温の磁気特性を評価した。結果を表1に示す。組成により最適な焼結温度は異なるが、焼結温度を上げると密度とともに平均抗折強度が高まり、ある焼結温度から逆に上げすぎると粗大粒の存在確率が高まり、平均抗折強度が下がる傾向はどの組成の合金でも同様に見られることを確認した。
また、表1の焼結温度と平均抗折強度および密度との関係を図2に示す。横軸が焼結温度、左縦軸は平均抗折強度(丸点および実線)を示し、右縦軸は密度(角点および破線)を示している。図2の斜線部に示すように狭い焼結温度域ではあるが平均抗折強度が略最大値となる焼結温度域と密度が略最大となる焼結温度域が重なることが解る。組成ごとにこの焼結温度域を見極めて製造することで良好な磁気特性と平均抗折強度を兼ね備えた焼結磁石が製造できることが確認されている。
【0012】
【表1】
【0013】
(実施例2) 重量百分率でNd+Pr26.0質量%、Dy5.0質量%、Co2.0質量%、Al0.20質量%、B1.05質量%残部実質的にFeからなる合金インゴットを空気を排除した炉内で水素を吸蔵させ、真空排気を行ないながら500℃まで加熱した後、冷却し、その後粗粉砕を行なった。この粗粉砕粉をN2ガス置換して酸素濃度を0.001vol%としたジェットミル内に挿入してジェットミル粉砕し、平均粒径4.5μmに微粉砕した。また、ジェットミルの粉砕微粉回収口に鉱油(出光興産製、商品名出光スーパーゾルPA―30)を満たした容器を設置し、N2ガス雰囲気中において微粉を直接鉱油中に回収してスラリー化した。次にこのスラリーを所定の磁場金型のキャビティ−内に注入し、796kA/m(10kOe)の磁界中に約150MPaの成形圧にて湿式成形した。この得られた成形体を667Pa〜933Paの真空中で200℃×1時間加熱して含有鉱油を十分に除去した後、続いて真空中で焼結温度を表2に示す焼結温度にて焼結した。表2中試料Jは1050℃〜1100℃まで4時間かけて昇温し,その後1100℃で2時間焼結した。試料K,Lは焼結温度を途中で変えて行なった。実施例1と同様に焼結体平均粒径、粗大粒の存在確率、抗折強度の関係につき調べた。Hの試料とIの試料を比較すると僅か2%の粗大粒存在確立により平均抗折強度が20MPaも低下することが解る。また最適な磁気特性を得られる一定の焼結温度で焼結するよりも、粗大粒の存在確立を減らすように一定温度低い焼結温度により全焼結工程の一部で焼結を行なうことが磁気特性を低下させずに強度を向上する最適な製造方法であることが解った。
【0014】
【表2】
【0015】
参項までに平均結晶粒径と平均抗折強度との関係を図3に示す。試験に供した焼結磁石の合金組成はNd15.15質量%、Pr4.27質量%、Dy12.0%、Co2.0質量%、Cu0.1質量%、Al2.0質量%、残部Feである。なお、図3ではホールペッチの法則に従うことを示すために横軸を平均結晶粒径のdに対してd−1/2(um−1/2)としている。一番左のプロットの平均結晶粒径dは8.8μmのものである。この平均結晶粒径では粗大粒の存在確立が非常に多いことを組織観察写真からも観察できることを確認している。平均抗折強度は300MPaに満たなかった。
【0016】
(実施例3)
表3に示す組成の合金インゴットをジェットミル粉砕にて平均粒径4.5μmに微粉砕した。ジェットミルの粉砕微粉回収口に鉱油(出光興産製、商品名出光スーパーゾルPA―30)を満たした容器を設置し、N2ガス雰囲気中において微粉を直接鉱油中に回収してスラリー化した。次にこのスラリーを所定の磁場金型のキャビティ−内に注入し、796kA/m(10kOe)の磁界中に約150MPaの成形圧にて湿式成形した。この得られた成形体を667Pa〜933Paの真空中で200℃×1時間加熱して含有鉱油を十分に除去した後、続いて真空中で1050〜1120℃で焼結し、Co、Al量とラメラ相の有無、抗折強度の関係について調べた。結果を表3に併記する。作成した焼結磁石の平均結晶粒径はいずれも8μm以下であった。No.1の組成ではAl/Coの値は0.025であり、Alの添加量が不足することから強度が不十分である。No.6も同様にAl添加量が少なく平均抗折強度は300MPaに満たない。また、No.8はAl/Co=0.1であるもののCo添加量が大であり、磁気特性が低下して実用に耐えない。No.9ではAl/Co=1.0でAlが過多に添加されており、強度は改善されているもののNo.8と同様に磁気特性が実用に耐えない。試料No.1の3粒界面の組織観察写真を図4に示す。層状に形成された組織のうち、薄い層の部分がラメラー相である。このラメラー相の形成により3粒界面での強度が低下し粒界破壊が発生し易くなる。本発明である試料No.5の組織観察写真を図1に示す。図4と異なりラメラー相の発生が抑制されていることが解る。
【0017】
【表3】
【0018】
(実施例4) 表4に示す組成の合金インゴットをジェットミル粉砕にて平均粒径4.5μmに粉砕し、以降は実施例3と同様に本発明の希土類焼結磁石を製造した。R2の組成とラメラ−相の有無、抗折強度の関係について調べた。作成した焼結磁石の平均結晶粒径はいずれも8μm以下であった。結果を表4に示す。
【0019】
【表4】
【0020】
(実施例5) 表5に示す組成の合金インゴットをジェットミル粉砕にて平均粒径4.5μmに粉砕し、以降は実施例3と同様に本発明の希土類焼結磁石を製造した。R2の組成とラメラ相の有無、抗折強度の関係について調べた。結果を表5に示す。M元素の添加により磁気特性の向上が確認された。
【0021】
【表5】
【0022】
【発明の効果】
本発明によるNd−Fe−B焼結磁石は、Dy、Tbを3%以上かつCoを0.5%以上添加しても、粒界相に脆弱なラメラー状の中間相の析出がなく、かつ主相の平均粒径が均一微細なため従来のモータ用希土類磁石と比較し強度に対し高い信頼性を有するものを提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粒界部分を示す組織写真である。
【図2】焼結温度による曲げ強度と密度の関係を示す式である。
【図3】平均粒径と曲げ強度の関係を示す式である。
【図4】従来のラメラー相が発生している希土類焼結磁石の組織写真である。
Claims (8)
- R1(R1:La,Ce,Pr,Nd,Hoの少なくとも1種)、R2(R2:Dy、Tbの少なくとも1種)R1とR2の総和が28〜36質量%でR2が3.0〜8.0質量%の希土類元素を含み、Coが0.5〜4.0質量%、Al0.1〜2質量%、Al/Coの比率が0.1〜0.4、B0.9〜1.5質量%、必要によりM(M:Ti,V,Mo,Nb,Ta,W,Zr,Ga,Cuの少なくとも1種)0.05〜2質量%残部Feおよび不可避不純物からなる希土類焼結磁石で焼結体の平均結晶粒径が8μm以下でかつ20μm以上の結晶粒の存在確率が面積比率で5%以下であり、Brが1.2T以上,固有保磁力が1200kA/m以上で平均抗折強度が335MPa超であることを特徴とする機械強度に優れた希土類焼結磁石。
- R1(R1:La,Ce,Pr,Nd,Hoの少なくとも1種)、R2(R2:Dy、Tbの少なくとも1種)R1とR2の総和が28〜36質量%でR2が8.0超〜14.0質量%の希土類元素を含み、Coが0.5〜4.0質量%、Al0.1〜2質量%、Al/Coの比率が0.1〜0.4、B0.9〜1.5質量%、必要によりM(M:Ti,V,Mo,Nb,Ta,W,Zr,Ga,Cuの少なくとも1種)0.05〜2質量%残部Feおよび不可避不純物からなる希土類焼結磁石で焼結体の平均結晶粒径が8μm以下でかつ20μm以上の結晶粒の存在確率が面積比率で5%以下であり、Brが1.0T以上,固有保磁力が2000kA/m以上で平均抗折強度が310MPa超であることを特徴とする機械強度に優れた希土類焼結磁石。
- 請求項1または2に記載の希土類焼結磁石において粒界希土類リッチ相中にラメラ−状の中間相が実質的に存在しないことを特徴とする機械強度に優れた希土類焼結磁石。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の希土類焼結磁石で密度が7500kg/m3以上であることを特徴とする機械強度に優れた希土類焼結磁石。
- R1(R1:La,Ce,Pr,Nd,Hoの少なくとも1種)、R2(R2:Dy、Tbの少なくとも1種)R1とR2の総和が28〜36質量%でR2が3.0〜14.0質量%の希土類元素を含み、Coが0.5〜4.0質量%、Al0.1〜2質量%、Al/Coの比率が0.1〜0.4、B0.9〜1.5質量%、必要によりM(M:Ti,V,Mo,Nb,Ta,W,Zr,Ga,Cuの少なくとも1種)0.05〜2質量%残部Feおよび不可避不純物からなる原料合金を粉砕、成形し、その後1050℃から最終焼結温度(T1)までの昇温速度を50℃/H以下となるように焼結することを特徴とする機械強度に優れた希土類焼結磁石の製造方法。
- R1(R1:La,Ce,Pr,Nd,Hoの少なくとも1種)、R2(R2:Dy、Tbの少なくとも1種)R1とR2の総和が28〜36質量%でR2が3.0〜14.0質量%の希土類元素を含み、Coが0.5〜4.0質量%、Al0.1〜2質量%、Al/Coの比率が0.1〜0.4、B0.9〜1.5質量%、必要によりM(M:Ti,V,Mo,Nb,Ta,W,Zr,Ga,Cuの少なくとも1種)0.05〜2質量%残部Feおよび不可避不純物からなる原料合金を粉砕、成形し、その後焼結時に最終焼結温度(T1)より低温のT2にて1H以上保持後、50℃/H以下の昇温速度でT1温度まで昇温することを特徴とする機械強度に優れた希土類焼結磁石の製造方法。
- R1(R1:La,Ce,Pr,Nd,Hoの少なくとも1種)、R2(R2:Dy、Tbの少なくとも1種)R1とR2の総和が28〜36質量%でR2が3.0〜14.0質量%の希土類元素を含み、Coが0.5〜4.0質量%、Al0.1〜2質量%、Al/Coの比率が0.1〜0.4、B0.9〜1.5質量%、必要によりM(M:Ti,V,Mo,Nb,Ta,W,Zr,Ga,Cuの少なくとも1種)0.05〜2質量%残部Feおよび不可避不純物からなる原料合金を粉砕、成形し、その後最終焼結温度(T1)より高温のT2にて1〜3H保持後、50℃/H以下の冷却速度でT1温度まで冷却することを特徴とする機械強度に優れた希土類焼結磁石の製造方法。
- 請求項6、7に記載の希土類永久磁石の製造方法において、T1−T2の絶対値が5〜25℃であることを特徴とする機械強度に優れた希土類焼結磁石の製造方法。
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