JP2004102219A - 光学系及びそれを用いた光学装置 - Google Patents

光学系及びそれを用いた光学装置 Download PDF

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関山 健太郎
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Abstract

【課題】レンズの可動群を極力少なくでき、消費電力が非常に小さく、動作音が静かで、応答時間が短く、機械的構造が簡単でコストダウンに寄与するとともに、小型であるにも関わらず、フォーカシング、または変倍が可能な光学系およびそれを用いた光学装置を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの形状可変ミラーDMと、移動可能な少なくとも2つのレンズ群G2、G4を有している。レンズ群G2、G4が移動することで、光学系に変倍作用を持たせている。また、形状可変ミラーDMが変形することで、フォーカシングを行うことができるようになっている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子撮像装置等に用いる光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のズーム光学系は、変倍を行うためのバリエータ群と、変倍によって生じる像面の移動を補正するコンペンセータ群と、被写体の物体距離に応じてピント合わせを行うフォーカシング群等を有し、各々のレンズ群を光軸方向に移動することで変倍及びフォーカシングを行うように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、各々のレンズ駆動はモーターを用いて行うために、消費電力が大きい、動作音がうるさい、レンズの移動に時間がかかり応答速度が遅い、等の問題があった。さらに、レンズ駆動のためにモーターやカム、駆動回路等を設ける必要があるために、機械的構造が複雑になるという問題や、それらを設けるために広いスペースが必要になり、それによって装置が大型化するという問題もあった。
【0004】
本発明は、前記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、レンズの可動群を極力少なくでき、消費電力が非常に小さく、動作音が静かで、応答時間が短く、機械的構造が簡単でコストダウンに寄与するとともに、小型であるにも関わらず、フォーカシング、または変倍が可能な光学系およびそれを用いた光学装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本第1の発明による光学系及び光学装置は、少なくとも1つの形状可変ミラーと、移動可能な少なくとも2つのレンズ群を有し、変倍とフォーカシングを行うことができるようにしたことを特徴としている。
【0006】
また、本第2の発明による光学系及び光学装置は、本第1の発明において、前記形状可変ミラーが、偏心収差を低減するためにある状態で回転非対称な形状に変形することを特徴としている。
【0007】
また、本第3の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、本第1又は第2の発明において、前記形状可変ミラーによって発生する偏心収差を補正するために、少なくとも1つの回転対称なレンズあるいは撮像面がZ軸に対して偏心していることを特徴としている。
【0008】
また、本第4の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、本第1〜第3のいずれかの発明において、前記形状可変ミラーは、フォーカシングする物体距離が近くなるにつれて正のパワーが大きくなることを特徴としている。
【0009】
また、本第5の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、最も物体側に位置し、負のパワーを有する第1レンズ群と、最も像側に位置し、正のパワーを有する最終レンズ群と、該第1レンズ群と該最終レンズ群の間に位置し、正のパワーを有する第2レンズ群及び第4レンズ群と、該第2レンズ群と該第4レンズ群の間に位置し負のパワーを有する第3レンズ群を有することを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
実施例の説明に先立ち、本発明の作用効果について説明する。
まず、本第1の発明の作用効果について説明する。
本第1の発明によれば、形状可変ミラーがフォーカシング作用を持つことにより、フォーカシング時にレンズを駆動する必要がないので、消費電力が非常に小さく、動作音が静かで、機械的構造が簡単になるために小型、低コストのズーム光学系を実現できる。
【0011】
次に、本第2の発明の作用効果について説明する。
形状可変ミラーが平面から曲面に変形したとき、反射面が偏心して配置されているので、光線が形状可変ミラーで反射したときに偏心収差が発生する。この偏心収差を補正するために、形状可変ミラーは回転非対称な形状に変形することが望ましい。これによって、フォーカシング時や変倍時の全域で良好な結像性能を得ることが可能となる。
【0012】
次に、本第3の発明の作用効果について説明する。
形状可変ミラーは偏心収差を最小限に抑えるために回転非対称な形状に変形するが、形状可変ミラーのパワーが強くなるにつれて偏心収差が大きくなる。そのような場合に、ズーム光学系を構成する少なくとも1つの回転対称なレンズがZ軸に対して偏心することで偏心収差をキャンセルし、形状可変ミラーのパワーが強い場合でも良好な光学性能を得ることができる。なお、偏心とはシフト及びティルトのことを指す。
【0013】
次に、本第4の発明の作用効果について説明する。
上述のように形状可変ミラーのパワーを変化させることで、遠点から近点までの広範囲で良好な光学性能を得ることができる。なお、パワーの符号は、収束作用を持つ場合をプラス、発散作用を持つ場合をマイナスとして定義する。つまり、形状可変ミラーでは凹面の変形量が大きいほど正のパワーを持つことになる。
【0014】
次に、本第5の発明の作用効果について説明する。
第3レンズ群が変倍時に固定なので、絞りを第3レンズ群のレンズもしくはその近傍に配置することにより、変倍時に絞りも固定することができる。それによって、シャッターも固定配置することができるので、鏡枠の機械的構成が簡単になり、鏡枠のコンパクト化、軽量化、および低コスト化を図ることができる。なお、ほぼ平行とは±5°以内のことを指す。もちろん、光学性能を優先させる場合には変倍時に絞りが移動しても良い。
【0015】
さらに、本発明による光学系及びそれを用いた光学装置には、以下のようなものがある。
本第6の発明として、本第1の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、前記形状可変ミラーがフォーカシング作用を有し、前記移動可能なレンズ群が変倍及びその変倍時に伴う像面の移動を補正するコンペンセート作用を有するのが好ましい。
【0016】
また、本第7の発明として、本第6の発明による光学系及びそれを用いた装置は、前記形状可変ミラーが、偏心収差を低減するためにある状態で回転非対称な形状に変形するのが好ましい。
【0017】
また、本第8の発明として、本第6又は第7の発明による光学系及びそれを用いた装置は、前記形状可変ミラーによって発生する偏心収差を補正するために、少なくとも1つの回転対称なレンズあるいは撮像面がZ軸に対して偏心しているのが好ましい。
【0018】
また、本第9の発明として、本第6〜第8のいずれかの発明による光学系及びそれを用いた装置は、前記形状可変ミラーが、フォーカシングする物体距離が近くなるにつれて正のパワーが大きくなるのが好ましい。
【0019】
また、本第10の発明として、本第1〜第4、第6〜第9のいずれかの発明による光学系及びそれを用いた装置は、前記形状可変ミラーが、変形することにより正パワーと負パワーの両方を取ることができるのが好ましい。
形状可変ミラーは、パワーが増大するにつれて変形量が大きくなる。それによって偏心収差が発生し、光学性能が劣化してしまう。形状可変ミラーが正パワーと負パワーの両方を取ることで、変形量を抑えることができ、偏心収差の発生を抑制して良好な光学性能を得ることができる。
【0020】
また、本第11の発明として、本第1〜第4、第6〜第9のいずれかの発明による光学系及びそれを用いた装置は、前記形状可変ミラーが、正パワーのみを取ることができるようにするのが好ましい。
形状可変ミラーが正パワーのみを取ることで、機械的構造や電気的構造が簡単になり、低コストの形状可変ミラーを提供することができる。
【0021】
また、本第12の発明として、本第1〜第4、第6〜第11のいずれかの発明による光学系及びそれを用いた装置は、前記形状可変ミラーが、ミラー面の変形の際に周辺部が固定であるのが好ましい。
【0022】
また、本第13の発明として、本第1〜第4、第6〜第12のいずれかの発明による光学系及びそれを用いた装置は、変倍時に光学系の絞りが固定されているのが好ましい。
絞りを固定することで、シャッターも固定することができ、鏡枠の機械的構成が簡単になる。それによって、鏡枠のコンパクト化、軽量化、および低コスト化を図ることができる。
【0023】
また、本第14の発明として、本第1〜第4、第6〜第13のいずれかの発明による光学系及びそれを用いた装置は、少なくとも1つ以上の接合レンズを有するのが好ましい。
接合レンズにより各レンズ群で発生する色収差を補正することができ、さらに光学系のコンパクト化にも寄与することができる。
【0024】
また、本第15の発明として、本第1〜第4、第6〜第14のいずれかの発明による光学系及びそれを用いた装置は、少なくとも2つ以上の移動可能なレンズ群の移動方向が、互いにほぼ平行であるのが好ましい。なお、ほぼ平行とは±5°以内のことを指す。
このように構成すれば、鏡枠構造の単純化を達成し、光学系のコンパクト化にも寄与することができる。
【0025】
また、本第16の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、形状可変ミラーを含んだ光学系において、移動可能なレンズ群がZ軸にほぼ平行に移動することを特徴としている。なお、ほぼ平行とは±5°以内のことを指す。
【0026】
また、本第17の発明として、本第16の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、移動可能なレンズ群がZ軸に対して偏心しているのが好ましい。
【0027】
また、本第18の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、形状可変ミラーを含んだ光学系において、形状可変ミラーの最大変形量をmd、広角端における光学系の焦点距離をfw、望遠端における光学系の焦点距離をftとしたときに、ある状態で次の条件式(1−1)を満足することを特徴としている。
0  < |md/√(fw×ft)| < 0.1    …(1−1)
条件式(1−1)を満足することで、形状可変ミラーの変形量を適正な範囲に抑えることができる。
条件式(1−1)の上限を上回ると、変形量が大きくなりすぎて偏心収差の発生量が増大し、所望の光学性能を満足することが難しくなる。さらに、製造上の難易度が高くなる。
なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
【0028】
また、本第19の発明として、本第18の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、ある状態で次の条件式(1−2)を満足するのが好ましい。
0  < |md/√(fw×ft)| < 0.05    …(1−2)
ただし、mdは形状可変ミラーの最大変形量、fwは広角端における光学系の焦点距離、ftは望遠端における光学系の焦点距離である。なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
条件式(1−1)に代えて条件式(1−2)を満足すれば、さらに偏心収差の発生量を抑えることができる。
【0029】
また、本第20の発明として、本第18又は第19の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、ある状態で次の条件式(1−3)を満足するのが好ましい。
0  < |md/√(fw×ft)| < 0.03    …(1−3)
ただし、mdは形状可変ミラーの最大変形量、fwは広角端における光学系の焦点距離、ftは望遠端における光学系の焦点距離である。なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。条件式(1−2)に代えて条件式(1−3)を満足すれば、さらに良く、偏心収差の発生量を抑えることができる。
【0030】
また、本第21の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、形状可変ミラーを含んだ光学系において、形状可変ミラーの最大変形量をmd、形状可変ミラーにおける光学的に有効な反射面の面積をSmとしたときに、ある状態で次の条件式(2−1)を満足することを特徴としている。
0  < md/Sm < 0.0005         …(2−1)
条件式(2−1)を満足すれば、形状可変ミラーの変形量を適正な範囲に抑えることができる。
【0031】
また、本第22の発明として、本第21の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、ある状態で次の条件式(2−2)を満足するのが好ましい。
0  < md/Sm < 0.0002         …(2−2)
ただし、mdは形状可変ミラーの最大変形量、Smは形状可変ミラーにおける光学的に有効な反射面の面積である。
条件式(2−2)を満足すれば、さらに良く、形状可変ミラーの変形量を適正な範囲に抑えることができる。
【0032】
また、本第23の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、形状可変ミラーを含んだ光学系において、形状可変ミラーによってある物体距離の物点にフォーカシングした際に、望遠端における形状可変ミラーの変形量よりも広角端における形状可変ミラーの変形量が大きいことを特徴としている。
【0033】
また、本第24の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、形状可変ミラーを含んだ光学系において、可変ミラーの平面状態から測った、オートフォーカスを行うために必要な変形余裕量や、製造誤差の影響を考慮した変形余裕量等を含んだ形状可変ミラーの変形量をHとしたときに、広角端における前記形状可変ミラーの変形量Hが望遠端における前記形状可変ミラーの変形量Hよりも大きいことを特徴としている。
【0034】
また、本第25の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、形状可変ミラーを含んだ光学系において、形状可変ミラーによってフォーカシングを行う際に、形状可変ミラーの駆動方式が静電駆動方式であり、フォーカシング時に形状可変ミラーに印加する電圧をVm(Volt)としたときに、ある状態で次の条件式(3−1)を満足することを特徴としている。
0  ≦ |Vm| < 500             …(3−1)
条件式(3−1)を満足すれば、空気放電の危険性を低減し、且つ、形状可変ミラーの変形量を大きくすることができる。
【0035】
また、本第26の発明として、本第25の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、形状可変ミラーによってフォーカシングを行う際に、形状可変ミラーの駆動方式が静電駆動方式であり、フォーカシング時に形状可変ミラーに印加する電圧をVm(Volt)としたときに、ある状態で次の条件式(3−2)を満足するのが好ましい。
0  ≦ |Vm| < 300             …(3−2)
条件式(3−2)を満足すれば、消費電力を低減させることができるので、さらに良い。
【0036】
また、本第27の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、形状可変ミラーを含んだ光学系において、形状可変ミラーのパワーをφDM、広角端における光学系の焦点距離をfw、望遠端における光学系の焦点距離をftとしたときに、ある状態で次の条件式(4−1)を満足することを特徴としている。
0  ≦ |φDM×√(fw×ft)| < 1.00 …(4−1)
ただし、前記形状可変ミラーのパワーφDMは、前記形状可変ミラーの偏心方向(Y方向)面内でのパワーφDMyと、それと垂直方向(X方向)面内でのパワーφDMxとの平均値であり、次のように定義する。
φDM = (φDMx+φDMy)/2
条件式(4−1)を満足すれば、形状可変ミラーのフォーカシング作用を満足に得ることができ、さらに形状可変ミラーで発生する偏心収差を適正な範囲で抑えることができる。なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
【0037】
また、本第28の発明として、本第27の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、ある状態で次の条件式(4−2)を満足するのが好ましい。
0  ≦ |φDM×√(fw×ft)| < 0.50 …(4−2)
ただし、φDMは形状可変ミラーのパワー、fwは広角端における光学系の焦点距離、ftは望遠端における光学系の焦点距離である。前記形状可変ミラーのパワーφDMは、前記形状可変ミラーの偏心方向(Y方向)面内でのパワーφDMyと、それと垂直方向(X方向)面内でのパワーφDMxとの平均値であり、次のように定義する。
φDM = (φDMx+φDMy)/2
なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
条件式(4−1)に代えて条件式(4−2)を満足すれば、さらに偏心収差を抑えることができるので、なお良い。
【0038】
また、本第29の発明として、本第27又は第28の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、ある状態で次の条件式(4−3)を満足するのが好ましい。
0  ≦ |φDM×√(fw×ft)| < 0.20 …(4−3)
ただし、φDMは形状可変ミラーのパワー、fwは広角端における光学系の焦点距離、ftは望遠端における光学系の焦点距離である。前記形状可変ミラーのパワーφDMは、前記形状可変ミラーの偏心方向(Y方向)面内でのパワーφDMyと、それと垂直方向(X方向)面内でのパワーφDMxとの平均値であり、次のように定義する。
φDM = (φDMx+φDMy)/2
なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
条件式(4−2)に代えて条件式(4−3)を満足すれば、さらに良く、偏心収差を抑えることができる。
【0039】
また、本第30の発明として、本第27〜第29のいずれかの発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、前記形状可変ミラーによって遠点にフォーカシングした際に、形状可変ミラーがフォーカシングした状態のパワーよりも小さいパワーの状態に変形できるのが好ましい。
形状可変ミラーが遠点合焦時よりも小さいパワーになるようにすると、遠点における像のボケ具合を調節することができる。それにより、コントラスト方式のオートフォーカスを行うことが可能になる。
【0040】
また、本第31の発明として、本第27〜第29のいずれかの発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、前記形状可変ミラーによって近点にフォーカシングした際に、形状可変ミラーがフォーカシングした状態のパワーよりも大きいパワーの状態に変形できるのが好ましい。
形状可変ミラーが近点合焦時よりも大きいパワーになるようにすると、近点における像のボケ具合を調節することができる。それにより、コントラスト方式のオートフォーカスを行うことが可能になる。
【0041】
また、本第32の発明として、本第1、第27〜第29のいずれかの発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、前記形状可変ミラーによって物体距離が無限大の物点にフォーカシングした際に、形状可変ミラーの形状が平面ではなく、ゼロよりも大きなパワーを持つ凹面形状に変形するのが好ましい。
【0042】
また、本第33の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、形状可変ミラーを含んだ光学系において、形状可変ミラーの物体側に負パワーのレンズ群を有し、該レンズ群の焦点距離をf1、広角端における光学系の焦点距離をfw、望遠端における光学系の焦点距離をftとしたときに、ある状態で次の条件式(5−1)を満足するのが好ましい。
−5.0 < f1/√(fw×ft) < −0.1   …(5−1)
なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
条件式(5−1)の下限を下回ると、負レンズ群のパワーが非常に弱くなり、広角端における形状可変ミラーの軸外光線高を小さくすることができず、形状可変ミラーの大型化につながり、コスト高を招く。
一方、条件式(5−1)の上限を上回ると、負レンズ群のパワーが強くなりすぎ、そのレンズ群で発生するコマ収差や倍率の色収差を補正することが困難になる。
条件式(5−1)を満足すれば、形状可変ミラーの小型化、低コスト化、及び良好な光学性能を得ることができる。
【0043】
また、本第34の発明として、本第33の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、ある状態で次の条件式(5−2)を満足するのが好ましい。
−3.0 < f1/√(fw×ft) < −0.3   …(5−2)
ただし、f1は形状可変ミラーの物体側の負パワーのレンズ群の焦点距離、fwは広角端における光学系の焦点距離、ftは望遠端における光学系の焦点距離である。なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
条件式(5−2)を満足すれば、良好な光学性能を確保し、且つ、さらに形状可変ミラーの小型化を実現できるので、なお良い。
【0044】
また、本第35の発明として、本第33又は第34の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、ある状態で次の条件式(5−3)を満足するのが好ましい。
−2.5 < f1/√(fw×ft) < −0.4   …(5−3)
ただし、f1は形状可変ミラーの物体側の負パワーのレンズ群の焦点距離、fwは広角端における光学系の焦点距離、ftは望遠端における光学系の焦点距離である。なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
条件式(5−3)を満足すれば、さらに良く、良好な光学性能を確保し、且つ、形状可変ミラーの小型化を実現できる。
【0045】
また、本第36の発明として、本第33〜第35のいずれかの発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、形状可変ミラーの物体側に配置された負パワーのレンズ群が、凹レンズ1枚であるのが好ましい。
【0046】
また、本第37の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、形状可変ミラーを含んだ光学系において、変倍作用もしくはその変倍時に伴う像面の移動を補正するコンペンセート作用を有する変倍時に移動可能なレンズ群が、形状可変ミラーよりも像側に配置されているのが好ましい。
このように配置すれば、形状可変ミラーの変形によるフォーカシングの感度を上げることができる。また、可変ミラーから物体側のレンズ群を短くすることができるので、装置の薄型化を達成できる。
【0047】
また、本第38の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、形状可変ミラーを含んだ光学系において、形状可変ミラーによる主光線の折り曲げ角をθとしたときに、次の条件式(6−1)を満足することを特徴としている。
75°  < θ < 105°            …(6−1)
なお、ここでの主光線とは、物体中心を出て絞り中心を通り、像中心に到達する光線のことを指す。
条件式(6−1)の下限を下回ると、形状可変ミラーの長手方向のサイズが大きくなってしまい、低コスト化が困難になる。
一方、条件式(6−1)の上限を上回ると、ミラーのサイズは小さくなるが、形状可変ミラーの前後のレンズ群が干渉し、光学系の配置が難しくなる。
【0048】
また、本第39の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、形状可変ミラーを含んだ光学系において、広角端における前記形状可変ミラーの直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率をβwとしたときに、ある状態で次の条件式(7−1)を満足することを特徴としている。
0.20 < |βw| < 1.00          …(7−1)
なお、光学系が単焦点の場合には、|βw|を形状可変ミラーの直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率で置き換えるものとする。
条件式(7−1)の下限を下回ると、形状可変ミラー以降のレンズ群の倍率が低すぎるので、形状可変ミラーにおけるフォーカス感度が低下し、フォーカシングに必要な形状可変ミラーの変形量が増大してしまう。
一方、条件式(7−1)の上限を上回ると、レンズ群の倍率が高すぎるので、形状可変ミラーで発生する偏心収差が拡大され、満足な光学性能を得ることが難しくなる。
【0049】
また、本第40の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、ある状態で次の条件式(7−2)を満足するのが好ましい。
0.30 < |βw| < 0.85          …(7−2)
ただし、βwは広角端における形状可変ミラーの直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率である。なお、光学系が単焦点の場合には、|βw|を形状可変ミラーの直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率で置き換えるものとする。
条件式(7−2)を満足すれば、光学性能を確保し、且つ、形状可変ミラーの変形量を適正な範囲で抑えられるので、さらに良い。
【0050】
また、本第41の発明による光学系及びそれを備えた光学装置は、形状可変ミラーを含んだズーム光学系において、広角端における形状可変ミラーの直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率をβw、望遠端における形状可変ミラーの直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率をβtとしたときに、ある状態で次の条件式(8−1)を満足することを特徴としている。
0.2 < |βw|×|βt| < 5.0       …(8−1)
条件式(8−1)は、広角端と望遠端の倍率を掛け合わせたものである。
条件式(8−1)の上限を上回ると、望遠端での倍率が高くなり過ぎて形状可変ミラーで生じる偏心収差を除去することが困難になる。
一方、条件式(8−1)の下限を下回ると、ズーム比を大きくすることが困難になる。
【0051】
また、本第42の発明として、本第41の発明による光学系及びそれを備えた光学装置は、ある状態で次の条件式(8−2)を満足するのが好ましい。
0.3 < |βw|×|βt| < 3.0       …(8−2)
ただし、βwは広角端における形状可変ミラーの直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率、βtは望遠端における形状可変ミラーの直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率である。
条件式(8−2)を満足すると、高いズーム比を確保し、且つ、高い結像性能を得ることができる。
【0052】
また、本第43の発明として、本第41又は第42の発明による光学系及びそれを備えた光学装置は、ある状態で次の条件式(8−3)を満足するのが好ましい。
0.5 < |βw|×|βt| < 2.0       …(8−3)
ただし、βwは広角端における形状可変ミラーの直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率、βtは望遠端における形状可変ミラーの直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率である。
条件式(8−3)を満足すれば、さらに良く、高いズーム比を確保し、且つ、高い結像性能を得ることができる。
【0053】
また、本第44の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、形状可変ミラーを含んだ光学系において、光学系の全長をCj、広角端における光学系の焦点距離をfw、望遠端における光学系の焦点距離をftとしたときに、ある状態で次の条件式(9−1)を満足することを特徴としている。
1.0 < Cj/√(fw×ft) < 20.0   …(9−1)
なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
条件式(9−1)の上限を上回ると、光学系の全長が長くなりすぎ、コンパクト化が困難になる。
一方、条件式(9−1)の下限を下回ると、コンパクト化は達成されるが、レンズ群の配置が制限され、十分な光学性能を得ることができない。
【0054】
また、本第45の発明として、本第44の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、ある状態で次の条件式(9−2)を満足するのが好ましい。
2.5 < Cj/√(fw×ft) < 18.0    …(9−2)
ただし、Cjは光学系の全長、fwは広角端における光学系の焦点距離、ftは望遠端における光学系の焦点距離である。なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
条件式(9−2)を満足すれば、コンパクトな光学系でありながら、より高い光学性能を得ることができる。
【0055】
また、本第46の発明として、本第44又は第45の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、ある状態で次の条件式(9−3)を満足するのが好ましい。
3.0 < Cj/√(fw×ft) < 17.0    …(9−3)
ただし、Cjは光学系の全長、fwは広角端における光学系の焦点距離、ftは望遠端における光学系の焦点距離である。なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
条件式(9−3)を満足すれば、さらに良く、コンパクトな光学系でありながら、より高い光学性能を得ることができる。
【0056】
また、本第47の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、形状可変ミラーを含んだ光学系において、形状可変ミラーによって発生する偏心収差を補正するために、少なくとも1つのレンズにシフトを加え、そのシフト量をδ、広角端における光学系の焦点距離をfw、望遠端における光学系の焦点距離をftとしたときに、ある状態で次の条件式(10−1)を満足することを特徴としている。
0.0 ≦ |δ/√(fw×ft)| < 1.0   …(10−1)
なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。ここでのシフト量δとは、シフトを加えたレンズの中心軸と光学系のZ軸との距離として定義される量である。
条件式(10−1)を満足すれば、レンズに加える偏心量を適正な範囲で抑えることができ、形状可変ミラーのパワーが弱い場合と強い場合の光学性能のバランスを取ることができる。
【0057】
また、本第48の発明として、本第47の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、ある状態で次の条件式(10−2)を満足するのが好ましい。
0.0 ≦ |δ/√(fw×ft)| < 0.5   …(10−2)
ただし、δは形状可変ミラーによって発生する偏心収差を補正するために、少なくとも1つのレンズに加えたシフト量、fwは広角端における光学系の焦点距離、ftは望遠端における光学系の焦点距離である。なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。ここでのシフト量δとは、シフトを加えたレンズの中心軸と光学系のZ軸との距離として定義される量である。
条件式(10−2)を満足すれば、遠点合焦時と近点合焦時の性能をさらに良くすることができる。
【0058】
また、本第49の発明として、本第47又は第48の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、ある状態で次の条件式(10−3)を満足するのが好ましい。
0.0 ≦ |δ/√(fw×ft)| < 0.2   …(10−3)
ただし、δは形状可変ミラーによって発生する偏心収差を補正するために、少なくとも1つのレンズに加えたシフト量、fwは広角端における光学系の焦点距離、ftは望遠端における光学系の焦点距離である。なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。ここでのシフト量δとは、シフトを加えたレンズの中心軸と光学系のZ軸との距離として定義される量である。
条件式(10−3)を満足すれば、遠点合焦時と近点合焦時の性能をさらに一層良くすることができる。
【0059】
また、本第50の発明による光学系及びそれを備えた光学装置は、形状可変ミラーを含んだ光学系において、形状可変ミラーによって発生する偏心収差を補正するために、少なくとも1つのレンズあるいは撮像面にティルトを加え、そのティルト量をεとしたときに、ある状態で次の条件式(11−1)を満足することを特徴としている。
0.0° ≦ |ε| < 10.0°         …(11−1)
なお、ティルト量εとは、ティルトを加えたレンズあるいは撮像面の中心軸と光学系のZ軸との傾き角として定義される量である。
条件式(11−1)を満足すれば、レンズに加える偏心量を適正な範囲で抑えることができ、形状可変ミラーのパワーが弱い場合と強い場合の光学性能のバランスを取ることができる。
【0060】
また、本第51の発明として、本第50の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、ある状態で次の条件式(11−2)を満足するのが好ましい。
0.0° ≦ |ε| < 7.0°          …(11−2)
ただし、εは形状可変ミラーによって発生する偏心収差を補正するために、少なくとも1つのレンズあるいは撮像面に加えたティルト量である。なお、ティルト量εとは、ティルトを加えたレンズあるいは撮像面の中心軸と光学系のZ軸との傾き角として定義される量である。
条件式(11−2)を満足すれば、遠点合焦時と近点合焦時の性能をさらに良くすることができる。
【0061】
また、本第52の発明として、本第50又は第51の発明による光学系及びそれを備えた光学装置は、ある状態で次の条件式(11−3)を満足するのが好ましい。
0.0° ≦ |ε| < 5.5°                  …(11−3)
ただし、εは形状可変ミラーによって発生する偏心収差を補正するために、少なくとも1つのレンズあるいは撮像面に加えたティルト量である。なお、ティルト量εとは、ティルトを加えたレンズあるいは撮像面の中心軸と光学系のZ軸との傾き角として定義される量である。
条件式(11−3)を満足すれば、遠点合焦時と近点合焦時の性能をさらに一層良くすることができる。
【0062】
また、本第53の発明として、本第50〜第52のいずれかの発明による光学系及びそれを備えた光学装置は、それぞれのティルト量の絶対値の中で、撮像面に加えたティルト量の絶対値が最大であるのが好ましい。
【0063】
また、本第54の発明による光学系及びそれを備えた光学装置は、形状可変ミラーを含み、形状可変ミラーによって発生する偏心収差を補正するために少なくとも1つのレンズあるいは撮像面にシフト及びティルトを加えた光学系において、それぞれのシフトがある1つの平面内で行われ、かつ、ティルトの回転軸がその平面に垂直であることを特徴としている。
【0064】
また、本第55の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、形状可変ミラーを含んだ光学系において、固定されたレンズ群の前後に独立して動く少なくとも1つ以上のレンズ群を配置したことを特徴としている。
【0065】
また、本第56の発明として、本第50の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、前記独立して動く少なくとも1つ以上のレンズ群のうち、最も物体側に配置されたレンズ群において、形状可変ミラーを該レンズ群のさらに物体側に配置するのが好ましい。
【0066】
また、本第57の発明として、本第55又は第56の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、光学系の絞りが固定されたレンズ群の近傍に配置されているのが好ましい。
【0067】
また、本第58の発明として、本第55〜第57のいずれかの発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、前記形状可変ミラーに光線が斜入射することが好ましい。
【0068】
また、本第59の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、変倍作用もしくはその変倍時に伴う像面の移動を補正するコンペンセート作用を有する少なくとも2つの変倍時に移動可能なレンズ群と、少なくとも1つ以上の形状が変化しない平面ミラーあるいは曲面ミラーと、を有することを特徴としている。
【0069】
また、本第60の発明として、本第5の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、第1レンズ群と第3レンズ群と最終レンズ群とが機械的に固定されており、変倍時に第2レンズ群と第4レンズ群がZ軸にほぼ平行に移動するのが好ましい。
【0070】
また、本第61の発明として、本第5又は第60の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、光学系の中に形状可変ミラーを含むのが好ましい。
【0071】
また、本第62の発明として、本第5の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、光学系の中に形状が変化しない平面ミラーあるいは曲面ミラーを含むのが好ましい。
【0072】
また、本第63の発明として、本第5の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、第1レンズ群と第3レンズ群と最終レンズ群とが機械的に固定され、変倍時に第2レンズ群と第4レンズ群が独立してZ軸にほぼ平行に移動するのが好ましい。なお、ほぼ平行とは±5°以内のことを指す。
第2レンズ群と第4レンズ群が変倍時に独立して移動するようにすれば、変倍時に発生する像面移動の補正を行うことが容易になる。
【0073】
また、本第64の発明として、本第5の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、光学系の中に形状可変ミラーを含むのが好ましい。
【0074】
また、本第65の発明として、本第5の発明による光学系及びそれを用いた光学装置は、光学系の中に形状が変化しない平面ミラーあるいは曲面ミラーを含むのが好ましい。
【0075】
また、本第66の発明として、本第50〜本第52のいずれかの発明による光学系及びそれを備えた光学装置は、撮像面に加えたティルトの方向と可変ミラーによる光線の折り曲げ方向とが一致することが好ましい。
本発明では、図1、図8、図9に示すように、光線の進行方向が可変ミラーによってx軸のマイナス側から見て、x軸中心に時計回りに約90°回転しており、撮像面の法線も同様に、x軸のマイナス側から見てx軸中心に時計回りに回転している。ただし、回転角は±180°の範囲でとるものとする。
【0076】
以上では、本発明の光学系として、撮像光学系を想定しているが、物体面と像面を入れ替えることで、プロジェクター等の投影光学系としても使用することができる。
【0077】
なお、本発明で使用する自由曲面とは、次の式(a)で定義されるものである。この定義式のZ軸が自由曲面の軸となる。
Figure 2004102219
ここで、(a)式の第1項は球面項、第2項は自由曲面項である。
球面項中、
c:頂点の曲率
k:コーニック定数(円錐定数)
r=√(X +Y )
N:2以上の自然数
である。
自由曲面項は、
Figure 2004102219
ただし、C (jは2以上の整数)は係数である。
【0078】
上記自由曲面は、一般的には、X−Z面、Y−Z面共に対称面を持つことはないが、Xの奇数次項を全て0にすることによって、Y−Z面と平行な対称面が1つだけ存在する自由曲面となる。また、Yの奇数次項を全て0にすることによって、X−Z面と平行な対称面が1つだけ存在する自由曲面となる。
【0079】
また、上記の回転非対称な曲面形状の面である自由曲面の他の定義式として、Zernike多項式により定義できる。この面の形状は次の式(b)により定義される。その定義式(b)のZ軸がZernike多項式の軸となる。回転非対称面の定義は、X−Y面に対するZの高さの極座標で定義され、RはX−Y面内のZ軸からの距離、AはZ軸回りの方位角で、Z軸から測った回転角で表される。
【0080】
Figure 2004102219
ただし、D (mは2以上の整数)は係数である。なお、X軸方向に対称な光学系として設計するには、D ,D ,D 、D10,D11,D12,D13,D14,D20,D21,D22…を利用する。
【0081】
なお上記定義式は、回転非対称な曲面形状の面の例示のために示したものであり、他のいかなる定義式に対しても同じ効果が得られることは言うまでもない。数学的に同値ならば他の定義で曲面形状を表してもよい。
本発明においては、(a)式の中のXの奇数次の項を全て0とすることで、Y−Z面と平行な対称面を持つ自由曲面としている。
【0082】
なお、非球面形状は、光軸方向をZ、光軸に直行する方向をYにとり、円錐係数をk、非球面係数をa、b、c、dとしたとき、次式(c)で表される。
Z=(Y/r)/[1+{1−(1+k)・(Y/r)1/2]+ay+by+cy+dy10    …(c)
なお、上記数値データに関する説明は、以下で説明する本発明の各実施例の数値データに共通である。
【0083】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
以下の実施例の中で、“ASP”は非球面、“FFS”は自由曲面、“DM”は形状可変ミラーを表す。データに記載されていない非球面、自由曲面等に関する項は0である。また、“WE”、“ST”、“TE”はそれぞれ広角端、中間状態、望遠端の状態を表す。可変の間隔Di(i=1、2、3)は、順に広角端、中間状態、望遠端での値を表す。屈折率、アッベ数はともにd線(波長587.56nm)に対するものを表記してある。長さの単位はmm、角度の単位はdegである。また、各実施例ともに最像面側に2枚の平行平板を挿入しているが、これは撮像素子のカバーガラス、IRカットフィルタ、ローパスフィルタを想定したものである。
【0084】
また、以下の実施例では、物体面における座標系のZ軸を、物体中心を通り、物体面に垂直な直線で定義する。このZ軸と直交する方向をY軸とし、このY軸、Z軸と右手直交座標系を構成する軸をX軸とする。また、光線が反射面で反射された後の光学系の座標系は、反射前の座標系をX軸中心に180°回転させたものとして定義する。これによって、常に光学系のZ軸正方向に沿って光線が進行することになる。
【0085】
また、光軸は物体面中心と絞り中心あるいは射出瞳を通る光線の通り道で定義する。従って、光軸は一般的には形状可変ミラーの変形と共に変化することになるが、その変化はわずかである場合が多い。従って、以下の実施例ではZ軸と光軸が略一致しているので、以下に出てくるδ、ε等はZ軸を基準として測っても、光軸を基準として測っても、略同一の値をとることになる。
【0086】
偏心面は、その座標系の原点から、その面の面頂位置のシフト(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向をそれぞれX、Y、Z)と、その面の中心軸(自由曲面については、前記(a)式のZ軸)のX軸、Y軸、Z軸それぞれを中心とするティルト(それぞれα、β、γ(deg))で与えられる。偏心を行うときの座標系の原点は、偏心を行う面をk面としたとき、k−1面の面頂位置からZ軸方向に面間隔の分だけ移動した点とする。偏心の順序は、Xシフト、Yシフト、Zシフト、αティルト、βティルト、γティルトの順である。なお、その場合αとβの正は、X軸、Y軸それぞれをマイナス側から見たときの反時計回り方向を、γの正はZ軸をマイナス方向から見たときの時計回り方向で定義する。
【0087】
なお、以下の実施例において、偏心はディセンタアンドリターン(以下DAR)とディセンタオンリー(以下DEO)の2種類がある。DARによる偏心では、k面が偏心していたとき、k+1面以降の座標系が、偏心前のk面の座標系と一致する。k+1面の面頂位置は、偏心前のk面の面頂位置からZ軸方向に面間隔の分だけ移動した点として定義する。一方、DEOでは、k面が偏心していたとき、k+1面以降の座標系は、偏心後のk面の座標系と一致する。k+1面の面頂位置は、偏心後のk面の面頂位置からZ軸方向に面間隔の分だけ移動した点として定義する。
【0088】
また、反射面の座標系のZ軸正方向は、表面から裏面側に向かう方向になる。従って、反射面がXY多項式で表される自由曲面形状に変形している場合、パワー成分であるC4、C6が正のとき、凸面ミラーになる。つまり、負のパワーを持つミラーになる。逆に、パワー成分であるC4、C6が負のとき、凹面ミラーになる。つまり、正のパワーを持つミラーになる。
【0089】
前記形状可変ミラーは、遠点から近点までフォーカシングするためにパワーを変えることができるが、コントラスト方式のオートフォーカスを行うために遠点合焦時よりも弱いパワーの状態、及び近点合焦時よりも強いパワーの状態を取れるように設計されている。以下の実施例では、遠点合焦時よりも弱いパワーの状態を遠点余裕、近点合焦時よりも強いパワーの状態を近点余裕と定義している。つまり、形状可変ミラーは遠点余裕、遠点、近点、近点余裕の4状態それぞれに、変倍の広角端、中間状態、望遠端の3状態が存在するので、全部で12状態が存在することになる。
【0090】
なお、第1実施例〜第3実施例における形状可変ミラーは、実際の製作時の製造誤差による像面のZ方向のずれ、及び温度変化による像面のZ方向のずれを考慮して、フォーカス範囲の前後に変形量の余裕を持たせた設計になっている。
また、第1実施例〜第3実施例における光学系の焦点距離は、形状可変ミラーが平面形状のときの焦点距離として定義する。その際に、形状可変ミラーを含んだ全ての光学素子の偏心は除去しないものとする。
また、形状可変ミラーのパワーは、形状可変ミラーの2次の自由曲面係数を4倍したものとして定義する。すなわち、形状可変ミラーのX方向のパワーをφDMx、形状可変ミラーのY方向のパワーをφDMyとしたとき、φDMx=4×C4、φDMy=4×C6となる。ここで、C4、C6は、それぞれX方向、Y方向の2次の自由曲面係数である。
【0091】
第1実施例〜第3実施例
第1実施例〜第3実施例は、形状可変ミラーにフォーカシングの機能をもたせたズーム光学系の実施例である。
図1は本発明の第1実施例にかかる光学系の概略構成を示すY−Z断面図であり、(a)は広角端、(b)は中間、(c)は望遠端の状態を示している。図2は第1実施例の光学系の物点距離無限遠時での広角端における横収差を示す図、図3は第1実施例の光学系の物点距離無限遠時での中間状態における横収差を示す図、図4は第1実施例の光学系の物点距離無限遠時での望遠端における横収差を示す図である。図5は第1実施例の光学系の物点距離300m時での広角端における横収差を示す図、図6は第1実施例の光学系の物点距離300m時での中間状態における横収差を示す図、図7は第1実施例の光学系の物点距離300m時での望遠端における横収差を示す図である。図8は本発明の第2実施例にかかる光学系の概略構成を示すY−Z断面図であり、(a)は広角端、(b)は中間、(c)は望遠端の状態を示している。図9は本発明の第3実施例にかかる光学系の概略構成を示すY−Z断面図であり、(a)は広角端、(b)は中間、(c)は望遠端の状態を示している。なお、図1、図8、図9において、偏心の方向を望遠端の光路図において矢印で示してある。また、図2〜図7中、夫々(a)はX方向画角がゼロ、Y方向画角がゼロを通る主光線のY方向の横収差、(b)はX方向画角がゼロ、Y方向画角がゼロを通る主光線のX方向の横収差、(c)はX方向画角がゼロ、Y負方向最大画角を通る主光線のY方向の横収差、(d)はX方向画角がゼロ、Y負方向最大画角を通る主光線のX方向の横収差、(e)はX正方向最大画角、Y負方向最大画角を通る主光線のY方向の横収差、(f)はX正方向最大画角、Y負方向最大画角を通る主光線のX方向の横収差、(g)はX正方向最大画角、Y方向画角がゼロを通る主光線のY方向の横収差、(h)はX正方向最大画角、Y方向画角がゼロを通る主光線のX方向の横収差、(i)はX正方向最大画角、Y正方向最大画角を通る主光線のY方向の横収差、(j)はX正方向最大画角、Y正方向最大画角を通る主光線のX方向の横収差、(k)はX方向画角がゼロ、Y正方向最大画角を通る主光線のY方向の横収差、(l)はX方向画角がゼロ、Y正方向最大画角を通る主光線のX方向の横収差を示している。
【0092】
第1実施例〜第3実施例の光学系は、物体側から順に、負のパワーを有する固定レンズ群G1と、形状可変ミラーDMと、正のパワーを有する移動レンズ群G2と、絞りと負のパワーを有する固定レンズ群G3と、正のパワーを有する移動レンズ群G4と、正のパワーを有する固定レンズ群G5とを有して構成されている。図1、8、9中、符号Fはフィルター群である。
移動レンズ群G2と移動レンズ群G4とが移動することで、光学系に変倍作用を持たせている。また、形状可変ミラーDMが変形することで、無限遠から近点300mmまでフォーカシングを行うことができるようになっている。
【0093】
形状可変ミラーが平面から曲面に変形すると、ミラー面の反射によって偏心収差が発生する。特に形状可変ミラーの変形量が大きい至近合焦時に偏心収差は増大する。第1実施例〜第3実施例では、遠点から近点まで良好な光学性能を得るために、レンズ群あるいは撮像面にシフト及びティルトの偏心を加えている。これにより、フォーカシング時の偏心収差の発生をバランスさせることができる。
【0094】
第1実施例〜第3実施例の光学系によれば、メカ的な駆動を行わずにフォーカシングできるので、鏡枠構造が簡単になり、小型化、低コスト化を実現することができる。さらに、フォーカシング時のモーターの駆動音がなくなるメリットがある。
【0095】
次に、第1実施例〜第3実施例の光学系を構成する光学部材の数値データを示す。
Figure 2004102219
Figure 2004102219
【0096】
Figure 2004102219
Figure 2004102219
【0098】
Figure 2004102219
Figure 2004102219
【0099】
Figure 2004102219
Figure 2004102219
【0100】
Figure 2004102219
【0101】
Figure 2004102219
【0102】
Figure 2004102219
Figure 2004102219
【0103】
Figure 2004102219
Figure 2004102219
【0104】
Figure 2004102219
【0105】
Figure 2004102219
【0106】
Figure 2004102219
Figure 2004102219
【0107】
次に、第1実施例〜第3実施例における条件式のパラメータ値を表1〜15に示す。
数値データ1(第1実施例)
【表1】
Figure 2004102219
【表2】
Figure 2004102219
【表3】
Figure 2004102219
【表4】
Figure 2004102219
【表5】
Figure 2004102219
【0108】
数値データ2(第2実施例)
【表6】
Figure 2004102219
【表7】
Figure 2004102219
【表8】
Figure 2004102219
【表9】
Figure 2004102219
【表10】
Figure 2004102219
【0109】
数値データ3(第3実施例)
【表11】
Figure 2004102219
【表12】
Figure 2004102219
【表13】
Figure 2004102219
【表14】
Figure 2004102219
【表15】
Figure 2004102219
【0110】
第1実施例〜第3実施例では、形状可変ミラーを用いた光学系について述べてきた。しかしながら、形状可変ミラーの代わりに形状が変わらない平面ミラーあるいは曲面ミラーを用いた光学系の場合でも、特に支障をきたさない限り前述の条件式及び制限等を適用してよい。なぜならばミラーを用いた屈曲光学系における小型化のメリットはそのまま保たれるからである。
【0111】
また、第1実施例〜第3実施例のズーム光学系では、レンズ群中に反射面を有する構成のズーム光学系について説明したが、反射面を有しないズーム光学系についても可変形状面を備えた光学素子、例えば、可変焦点レンズ等を用いて構成すれば、小型化、低コスト化、省電力化、作動音の静音化等の効果を得ることが可能である。さらに、可変形状面を有しない可変焦点ミラーを以上の実施例に用いても良い。
【0112】
第4実施例、第5実施例
第4実施例、第5実施例は、形状可変ミラーを用いない、共軸系のズーム光学系の実施例である。
図10は本発明の第4実施例にかかる光学系の概略構成を示すY−Z断面図である。図11は第4実施例の光学系の物点距離無限遠時での広角端における横収差を示す図、図12は第4実施例の光学系の物点距離無限遠時での中間状態における横収差を示す図、図13は第4実施例の光学系の物点距離無限遠時での望遠端における横収差を示す図であり、図11〜図13中、(a)は像高0.00dに到達する主光線のメリディオナル方向の横収差、(b)は像高0.00dに到達する主光線のサジタル方向の横収差、(c)は像高0.20dに到達する主光線のメリディオナル方向の横収差、(d)は像高0.20dに到達する主光線のサジタル方向の横収差、(e)は像高0.35dに到達する主光線のメリディオナル方向の横収差、(f)は像高0.35dに到達する主光線のサジタル方向の横収差、(g)は像高0.45dに到達する主光線のメリディオナル方向の横収差、(h)は像高0.45dに到達する主光線のサジタル方向の横収差、(j)は像高0.50dに到達する主光線のメリディオナル方向の横収差、(j)は像高0.50dに到達する主光線のサジタル方向の横収差を示している。なお、dは撮像面の対角長を表している。図14は本発明の第5実施例にかかる光学系の概略構成を示すY−Z断面図である。
【0113】
第4実施例、第5実施例の光学系は、物体側から順に配置された、負のパワーを有する固定レンズ群G1と、正のパワーを有する移動レンズ群G2と、絞りと負のパワーを有する固定レンズ群G3と、正のパワーを有する移動レンズ群G4と、正のパワーを有する固定レンズ群G5とを有して構成されている。図10、14中、符号Fはフィルター群である。
移動レンズ群G2と移動レンズ群G4とが移動することで、光学系に変倍作用を持たせている。
【0114】
第4実施例、第5実施例の光学系によれば、変倍時にレンズ群は移動するが絞りは固定なので、シャッターも固定することができ、鏡枠の機械的構造を簡素化することができる。これによって鏡枠の小型化、低コスト化を実現できる。
なお、コンパクトな光学系を達成するために、固定レンズ群G1と移動レンズ群G2との間に形状可変ミラー、あるいは形状の変化しない平面ミラーや曲面ミラーを配置しても良い。
【0115】
次に、第4実施例、第5実施例の光学系を構成する光学部材の数値データを示す。
Figure 2004102219
【0116】
Figure 2004102219
【0117】
Figure 2004102219
【0118】
Figure 2004102219
【0119】以上のような本発明による光学系は、フィルムカメラ、デジタルカメラ、テレビカメラ、携帯端末用のカメラ、監視カメラ、ロボットの眼、電子内視鏡等に適用可能である。
また、上述の光学系では、レンズ群中に反射面を有する構成の光学系について説明したが、反射面を有しない構成の光学系についても可変形状面を備えた光学素子、例えば、可変焦点レンズ等を用いて構成すれば、小型化、低コスト化、省電力化、作動音の静音化等の効果を達成することが可能である。更に、可変形状面を有しない可変焦点ミラーを前記実施例に用いても良い。なお、可変焦点ミラーについては、その一例を図30を用いて後述する。
【0120】
次に、本発明の光学系あるいは撮像装置に適用可能な形状可変ミラーの構成例について説明する。
図15は本発明の光学系に適用可能な可変ミラーとして光学特性可変ミラーを用いたデジタルカメラのケプラー式ファインダーの概略構成図である。本例の構成は、もちろん銀塩フィルムカメラにも使うことができる。まず、光学特性可変形状鏡409について説明する。
光学特性可変形状鏡409は、アルミコーティングされた薄膜(反射面)409aと複数の電極409bからなる光学特性可変形状鏡(以下、単に可変形状鏡と言う。)であり、411は各電極409bにそれぞれ接続された複数の可変抵抗器、412は可変抵抗器411と電源スイッチ413を介して薄膜409aと電極409b間に接続された電源、414は複数の可変抵抗器411の抵抗値を制御するための演算装置、415,416及び417はそれぞれ演算装置414に接続された温度センサー、湿度センサー及び距離センサーで、これらは図示のように配設されて1つの光学装置を構成している。
【0121】
なお、対物レンズ902、接眼レンズ901、及び、プリズム404、二等辺直角プリズム405、ミラー406及び可変形状鏡の各面は、平面でなくてもよく、球面、回転対称非球面の他、光軸に対して偏心した球面、平面、回転対称非球面、あるいは、対称面を有する非球面、対称面を1つだけ有する非球面、対称面のない非球面、自由曲面、微分不可能な点又は線を有する面等、いかなる形状をしていてもよく、さらに、反射面でも屈折面でも光に何らかの影響を与え得る面ならばよい。以下、これらの面を総称して拡張曲面という。
【0122】
また、薄膜409aは、例えば、P.Rai−choudhury編、Handbook of MichrolithoGraphy, MichromachininG and Michrofabrication, Volume 2:MichromachininG and Michrofabrication,P495,FiG.8.58, SPIE PRESS刊やOptics Communication, 140巻(1997年)P187〜190に記載されているメンブレインミラーのように、複数の電極409bとの間に電圧が印加されると、静電気力により薄膜409aが変形してその面形状が変化するようになっており、これにより、観察者の視度に合わせたピント調整ができるだけでなく、さらに、レンズ901,902及び/又はプリズム404、二等辺直角プリズム405、ミラー406の温度や湿度変化による変形や屈折率の変化、あるいは、レンズ枠の伸縮や変形及び光学素子、枠等の部品の組立誤差による結像性能の低下が抑制され、常に適正にピント調整並びにピント調整で生じた収差の補正が行われ得る。
なお、電極409bの形は、例えば図17、図18に示すように、薄膜409aの変形のさせ方に応じて選べばよい。
【0123】
本例によれば、物体からの光は、対物レンズ902及びプリズム404の各入射面と射出面で屈折され、可変形状鏡409で反射され、プリズム404を透過して、二等辺直角プリズム405でさらに反射され(図15中、光路中の+印は、紙面の裏側へ向かって光線が進むことを示している)、ミラー406で反射され、接眼レンズ901を介して眼に入射するようになっている。このように、レンズ901,902、プリズム404,405、及び、可変形状鏡409によって、本例の光学装置の観察光学系を構成しており、これらの各光学素子の面形状と肉厚を最適化することにより、物体面の収差を最小にすることができるようになっている。
すなわち、反射面としての薄膜409aの形状は、結像性能が最適になるように演算装置414からの信号により各可変抵抗器411の抵抗値を変化させることにより制御される。すなわち、演算装置414へ、温度センサー415、湿度センサー416及び距離サンサー417から周囲温度及び湿度並びに物体までの距離に応じた大きさの信号が入力され、演算装置414は、これらの入力信号に基づき周囲の温度及び湿度条件と物体までの距離による結像性能の低下を補償すべく、薄膜409aの形状が決定されるような電圧を電極409bに印加するように、可変抵抗器411の抵抗値を決定するための信号を出力する。このように、薄膜409aは電極409bに印加される電圧すなわち静電気力で変形させられるため、その形状は状況により非球面を含む様々な形状をとる。
【0124】
なお、距離センサー417はなくてもよく、その場合、固体撮像素子408からの像の信号の高周波成分が略最大になるように、デジタルカメラの撮像レンズ403を動かし、その位置から逆に物体距離を算出し、可変形状鏡を変形させて観察者の眼にピントが合うようにすればよい。
また、薄膜409aをポリイミド等の合成樹脂で製作すれば、低電圧でも大きな変形が可能であるので好都合である。なお、プリズム404と可変形状鏡409を一体的に形成してユニット化することができる。また、図示を省略したが、可変形状鏡409の基板上に固体撮像素子408をリソグラフィープロセスにより一体的に形成してもよい。
また、レンズ901,902、プリズム404,405、ミラー406は、プラスチックモールド等で形成することにより任意の所望形状の曲面を容易に形成することができ、製作も簡単である。なお、本例の撮像装置では、レンズ901,902がプリズム404から離れて形成されているが、レンズ901,902を設けることなく収差を除去することができるようにプリズム404,405、ミラー406、可変形状鏡409を設計すれば、プリズム404,405、可変形状鏡409は1つの光学ブロックとなり、組立が容易となる。また、レンズ901,902、プリズム404,405、ミラー406の一部あるいは全部をガラスで作製してもよく、このように構成すれば、さらに精度の良い撮像装置が得られる。
【0125】
なお、図15の例では、演算装置414、温度センサー415、湿度センサー416、距離センサー417を設け、温湿度変化、物体距離の変化等も可変形状鏡409で補償するようにしたが、そうではなくてもよい。つまり、演算装置414、温度センサー415、湿度センサー416、距離センサー417を省き、観察者の視度変化のみを可変形状鏡409で補正するようにしてもよい。
【0126】
図16は本発明の光学系に用いる形状可変ミラーとして適用可能な可変形状鏡409の他の例を示す概略構成図である。
本例の可変形状鏡は、薄膜409aと電極409bとの間に圧電素子409cが介装されていて、これらが支持台423上に設けられている。そして、圧電素子409cに加わる電圧を各電極409b毎に変えることにより、圧電素子409cに部分的に異なる伸縮を生じさせて、薄膜409aの形状を変えることができるようになっている。電極409bの形は、図17に示すように同心分割であってもよいし、図18に示すように矩形分割であってもよく、その他、適宜の形のものを選択することができる。
【0127】
図16中、424は演算装置414に接続された振れ(ブレ)センサーであって、例えばデジタルカメラの振れを検知し、振れによる像の乱れを補償するように薄膜409aを変形させるべく、演算装置414及び可変抵抗器411を介して電極409bに印加される電圧を変化させる。このとき、温度センサー415、湿度センサー416及び距離センサー417からの信号も同時に考慮され、ピント合わせ、温湿度補償等が行われる。この場合、薄膜409aには圧電素子409cの変形に伴う応力が加わるので、薄膜409aの厚さはある程度厚めに作られて相応の強度を持たせるようにするのがよい。
【0128】
図19は本発明の光学系に用いる形状可変ミラーとして適用可能な可変形状鏡409のさらに他の例を示す概略構成図である。
本例の可変形状鏡は、薄膜409aと電極409bの間に介置される圧電素子が逆方向の圧電特性を持つ材料で作られた2枚の圧電素子409c及び409c’で構成されている点で図16に示された実施例の可変形状鏡とは異なる。すなわち、圧電素子409cと409c’が強誘電性結晶で作られているとすれば、結晶軸の向きが互いに逆になるように配置される。この場合、圧電素子409cと409c’は電圧が印加されると逆方向に伸縮するので、薄膜409aを変形させる力が図16に示した実施例の場合よりも強くなり、結果的にミラー表面の形を大きく変えることができるという利点がある。
【0129】
圧電素子409c,409c’に用いる材料としては、例えばチタン酸バリウム、ロッシエル塩、水晶、電気石、リン酸二水素カリウム(KDP)、リン酸二水素アンモニウム(ADP)、ニオブ酸リチウム等の圧電物質、同物質の多結晶体、同物質の結晶、PbZrO3とPbTiO3の固溶体の圧電セラミックス、二フッ化ポリビニール(PVDF)等の有機圧電物質、上記以外の強誘電体等があり、特に有機圧電物質はヤング率が小さく、低電圧でも大きな変形が可能であるので好ましい。なお、これらの圧電素子を利用する場合、厚さを不均一にすれば、上記例において薄膜409aの形状を適切に変形させることも可能である。
また、圧電素子409c,409c’の材質としては、ポリウレタン、シリコンゴム、アクリルエラストマー、PZT、PLZT、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の高分子圧電体、シアン化ビニリデン共重合体、ビニリデンフルオライドとトリフルオロエチレンの共重合体等が用いられる。圧電性を有する有機材料や、圧電性を有する合成樹脂、圧電性を有するエラストマー等を用いると可変形状鏡面の大きな変形が実現できてよい。
なお、図16、図20の圧電素子409cに電歪材料、例えば、アクリルエラストマー、シリコンゴム等を用いる場合には、圧電素子409cを別の基板409c−1と電歪材料409c−2を貼り合わせた構造にしてもよい。
【0130】
図20は本発明の光学系に用いる形状可変ミラーとして適用可能な可変形状鏡409のさらに他の例を示す概略構成図である。
本例の可変形状鏡は、圧電素子409cが薄膜409aと電極409dとにより挟持され、薄膜409aと電極409d間に演算装置414により制御される駆動回路425を介して電圧が印加されるようになっており、さらにこれとは別に、支持台423上に設けられた電極409bにも演算装置414により制御される駆動回路425を介して電圧が印加されるように構成されている。したがって、本例では、薄膜409aは電極409dとの間に印加される電圧と電極409bに印加される電圧による静電気力とにより二重に変形され得、上記例に示した何れのものよりもより多くの変形パターンが可能であり、かつ、応答性も速いという利点がある。
そして、薄膜409a、電極409d間の電圧の符号を変えれば、可変形状鏡を凸面にも凹面にも変形させることができる。その場合、大きな変形を圧電効果で行ない、微細な形状変化を静電気力で行なってもよい。また、凸面の変形には圧電効果を主に用い、凹面の変形には静電気力を主に用いてもよい。なお、電極409dは電極409bのように複数の電極から構成されてもよい。この様子を図20に示した。なお、本発明では、圧電効果と電歪効果、電歪をすべてまとめて圧電効果と述べている。従って、電歪材料も圧電材料に含むものとする。
【0131】
図21は本発明の光学系に用いる形状可変ミラーとして適用可能な可変形状鏡409のさらに他の例を示す概略構成図である。
本例の可変形状鏡は、電磁気力を利用して反射面の形状を変化させ得るようにしたもので、支持台423の内部底面上には永久磁石426が、頂面上には窒化シリコン又はポリイミド等からなる基板409eの周縁部が載置固定されており、基板409eの表面にはアルミニウム等の金属コートで作られた薄膜409aが付設されていて、可変形状鏡409を構成している。
【0132】
基板409eの下面には複数のコイル427が配設されており、これらのコイル427はそれぞれ駆動回路428を介して演算装置414に接続されている。したがって、各センサー415,416,417,424からの信号によって演算装置414において求められる光学系の変化に対応した演算装置414からの出力信号により、各駆動回路428から各コイル427にそれぞれ適当な電流が供給されると、永久磁石426との間に働く電磁気力で各コイル427は反発又は吸着され、基板409e及び薄膜409aを変形させる。
この場合、各コイル427はそれぞれ異なる量の電流を流すようにすることもできる。また、コイル427は1個でもよいし、永久磁石426を基板409eに付設しコイル427を支持台423の内部底面側に設けるようにしてもよい。また、コイル427はリソグラフィー等の手法で作るとよく、さらに、コイル427には強磁性体よりなる鉄心を入れるようにしてもよい。
この場合、薄膜コイル427の巻密度を、図22に示すように、場所によって変化させることにより、基板409e及び薄膜409aに所望の変形を与えるようにすることもできる。また、コイル427は1個でもよいし、また、これらのコイル427には強磁性体よりなる鉄心を挿入してもよい。
【0133】
図23は本発明の光学系に用いる形状可変ミラーとして適用可能な可変形状鏡409のさらに他の例を示す概略構成図である。
本例の可変形状鏡では、基板409eは鉄等の強磁性体で作られており、反射膜としての薄膜409aはアルミニウム等からなっている。この場合、薄膜コイルを設けなくてもすむから、構造が簡単で、製造コストを低減することができる。また、電源スイッチ413を切換え兼電源開閉用スイッチに置換すれば、コイル427に流れる電流の方向を変えることができ、基板409e及び薄膜409aの形状を自由に変えることができる。
【0134】
図24は本例におけるコイル427の配置を示し、図25はコイル427の他の配置例を示しているが、これらの配置は、図21に示した実施例にも適用することができる。なお、図26は、図21に示した例において、コイル427を図29のように配置した場合に適する永久磁石426の配置を示している。すなわち、図26に示すように永久磁石426を放射状に配置すれば、図21に示した例に比べて、微妙な変形を基板409e及び薄膜409aに与えることができる。また、このように電磁気力を用いて基板409e及び薄膜409aを変形させる場合(図21及び図23の例)は、静電気力を用いた場合よりも低電圧で駆動できるという利点がある。
【0135】
以上いくつかの可変形状鏡の例を述べたが、ミラーの形を変形させるのに、図20の例に示すように、2種類以上の力を用いてもよい。つまり静電気力、電磁力、圧電効果、磁歪、流体の圧力、電場、磁場、温度変化、電磁波等のうちから2つ以上を同時に用いて可変形状鏡を変形させてもよい。つまり2つ以上の異なる駆動方法を用いて光学特性可変光学素子を作れば、大きな変形と微細な変形とを同時に実現でき、精度の良い鏡面が実現できる。
また、形状可変ミラーの変形する部分の外形は、軸上光線の入射面に平行な方向に長い形状とするのが好ましく、このように構成すれば、収差補正に有利な楕円面に近い形状に変形させやすいという利点がある。前記入射面に平行な方向に長い形状としては、トラック形状、多角形、楕円等が利用できる。
【0136】
図27は本発明の光学系を用いた撮像装置に適用可能な形状可変ミラーとして可変形状鏡409を用いた撮像系、例えば携帯電話のデジタルカメラ、カプセル内視鏡、電子内視鏡、パソコン用デジタルカメラ、PDA用デジタルカメラ等に用いられる撮像系の概略構成図である。
本例の撮像系は、可変形状鏡409と、レンズ902と、固体撮像素子408と、制御系103とで一つの撮像ユニット104を構成している。本例の撮像ユニット104では、レンズ902を通った物体からの光は可変形状鏡409で集光され、固体撮像素子408の上に結像する。固体撮像素子408で得られた画像信号は、電子回路で処理され、表示装置に画像を表示することができる。また、記録装置に画像情報を蓄えることもできる。可変形状鏡409は、光学特性可変光学素子の一種であり、可変焦点ミラーとも呼ばれている。
【0137】
本例によれば、物体距離が変わっても可変形状鏡409を変形させることでピント合わせをすることができ、レンズをモータ等で駆動する必要がなく、小型化、軽量化、低消費電力化の点で優れている。また、撮像ユニット104は本発明の撮像系としてすべての実施例で用いることができる。また、可変形状鏡409を複数用いることでズーム、変倍の撮像系、光学系を作ることができる。
なお、図27では、制御系103にコイルを用いたトランスの昇圧回路を含む制御系の構成例を示している。特に積層型圧電トランスを用いると、小型化できてよい。昇圧回路は本発明のすべての電気を用いる可変形状鏡、可変焦点レンズに用いることができるが、特に静電気力、圧電効果を用いる場合の可変形状鏡、可変焦点レンズに有用である。
【0138】
図28は本発明の光学系に用いる形状可変ミラーとして適用可能なさらに他の例に係る、マイクロポンプ180で流体161を出し入れしミラー面を変形させる可変形状鏡188の概略構成図である。本例によれば、ミラー面を大きく変形させることが可能になるというメリットがある。マイクロポンプ180は、例えば、マイクロマシンの技術で作られた小型のポンプで、電力で動くように構成されている。マイクロマシンの技術で作られたポンプの例としては、熱変形を利用したもの、圧電材料を用いたもの、静電気力を用いたものなどがある。
【0139】
図29は本発明の光学系に用いる形状可変ミラーに適用可能なマイクロポンプの一例を示す概略構成図である。本例のマイクロポンプ180では、振動板181は静電気力、圧電効果等の電気力により振動する。図29では静電気力により振動する例を示しており、図29中、182,183は電極である。また、点線は変形した時の振動板181を示している。振動板181の振動に伴い、2つの弁184,185が開閉し、流体161を右から左へ送るようになっている。
本例の可変形状鏡188では、反射膜189が流体161の量に応じて凹凸に変形することで、可変形状鏡として機能する。可変形状鏡188は流体161で駆動されている。流体としては、シリコンオイル、空気、水、ゼリー、等の有機物、無機物を用いることができる。
【0140】
なお、静電気力、圧電効果を用いた可変形状鏡、可変焦点レンズなどにおいては、駆動用に高電圧が必要になる場合がある。その場合には、例えば図27に示すように、昇圧用のトランス、あるいは圧電トランス等を用いて制御系を構成するとよい。
また、反射用の薄膜409aは、変形しない部分にも設けておくと、可変形状鏡の形状を干渉計等で測定する場合に、基準面として使うことができ便利である。
【0141】
図30は本発明の光学系に適用可能な、可変焦点レンズを応用した可変焦点ミラーを示すものである。この可変焦点ミラー565は、第1,第2の面566a,566bを有する第1の透明基板566と、第3,第4の面567a,567bを有する第2の透明基板567とを有する。第1の透明基板566は、平板状またはレンズ状に形成して、内面(第2の面)566bに透明電極513aを設け、第2の透明基板567は、内面(第3の面)567aを凹面状に形成して、該凹面上に反射膜568を施し、さらにこの反射膜568上に透明電極513bを設ける。透明電極513a,513b間には高分子分散液晶層514を設け、これら透明電極513a,513bをスイッチ515および可変抵抗器519を経て交流電源516に接続して、高分子分散液晶層514に交流電界を印加するようにする。なお、図30では液晶分子の図示を省略してある。このように、可変焦点ミラー565は、透明電極513a、高分子分散液晶層514、透明電極513bからなる可変焦点レンズと、第2の透明基板567、反射膜568からなる凹面鏡を組み合わせた構造になっている。
【0142】
かかる構成によれば、透明基板566側から入射する光線は、反射膜568により高分子分散液晶層514を折り返す光路となるので、高分子分散液晶層514の作用を2回もたせることができると共に、高分子分散液晶層514への印加電圧を変えることにより、反射光の焦点位置を変えることができる。この場合、可変焦点ミラー565に入射した光線は、高分子分散液晶層514を2回透過するので、高分子分散液晶層514の厚さの2倍をtとすれば、上記の各式を同様に用いることができる。なお、透明基板566または567の内面を回折格子状にして、高分子分散液晶層514の厚さを薄くすることもできる。このようにすれば、散乱光をより少なくできる利点がある。
【0143】
以上の説明では、液晶の劣化を防止するため、電源として交流電源516を用いて、液晶に交流電界を印加するようにしたが、直流電源を用いて液晶に直流電界を印加するようにすることもできる。また、液晶分子の方向を変える方法としては、電圧を変化させること以外に、液晶にかける電場の周波数、液晶にかける磁場の強さ・周波数、あるいは液晶の温度等を変化させることによってもよい。なお、本発明では図30のような形状の変化しない可変焦点ミラーも、可変形状鏡の中に含めるものとする。
【0144】
図31は本発明の光学系に用いる形状可変ミラーとして適用可能な可変形状鏡のさらに他の例を示す概略構成図である。本例では、デジタルカメラに用いられるものとして説明する。図31中、411は可変抵抗器、414は演算装置、415は温度センサー、416は湿度センサー、417は距離センサー、424は振れセンサーである。
本例の可変形状鏡45は、アクリルエラストマー等の有機材料からなる電歪材料453と間を隔てて分割電極409bを設け、電歪材料453の上に順に電極452、変形可能な基板451を設け、さらにその上に入射光を反射するアルミニウム等の金属からなる反射膜450を設けて構成されている。このように構成すると、分割電極409bを電歪材料453と一体化した場合に比べて、反射膜450の面形状が滑らかになり、光学的に収差を発生させにくくなるというメリットがある。なお、変形可能な基板451と電極452の配置は逆でも良い。
【0145】
また、図31中、449は光学系の変倍、あるいはズームを行なう釦であり、可変形状鏡45は、釦449を使用者が押すことで反射膜450の形を変形させて、変倍あるいは、ズームをすることができるように演算装置414を介して制御されている。
なお、アクリルエラストマー等の有機材料からなる電歪材料の代わりに既に述べたチタン酸バリウム等の圧電材料を用いてもよい。
【0146】
最後に、本発明で用いる用語の定義を述べておく。
光学装置とは、光学系あるいは光学素子を含む装置のことである。光学装置単体で機能しなくてもよい。つまり、装置の一部でもよい。光学装置には、撮像装置、観察装置、表示装置、照明装置、信号処理装置等が含まれる。
【0147】
撮像装置の例としては、フィルムカメラ、デジタルカメラ、ロボットの眼、レンズ交換式デジタル一眼レフカメラ、テレビカメラ、動画記録装置、電子動画記録装置、カムコーダ、VTRカメラ、電子内視鏡等がある。デジカメ、カード型デジカメ、テレビカメラ、VTRカメラ、動画記録カメラなどはいずれも電子撮像装置の一例である。
【0148】
観察装置の例としては、顕微鏡、望遠鏡、眼鏡、双眼鏡、ルーペ、ファイバースコープ、ファインダー、ビューファインダー等がある。
表示装置の例としては、液晶ディスプレイ、ビューファインダー、ゲームマシン(ソニー社製プレイステーション)、ビデオプロジェクター、液晶プロジェクター、頭部装着型画像表示装置(head mounted display:HMD)、PDA(携帯情報端末)、携帯電話等がある。
【0149】
照明装置の例としては、カメラのストロボ、自動車のヘッドライト、内視鏡光源、顕微鏡光源等がある。
【0150】
信号処理装置の例としては、携帯電話、パソコン、ゲームマシン、光ディスクの読取・書込装置、光計算機の演算装置等がある。
【0151】
なお、本発明の光学系は小型軽量なので、電子撮像装置、信号処理装置、特に、デジタルカメラ、携帯電話の撮像系に用いると効果がある。
【0152】
撮像素子は、例えばCCD、撮像管、固体撮像素子、写真フィルム等を指す。また、平行平面板はプリズムの1つに含まれるものとする。観察者の変化には、視度の変化を含むものとする。被写体の変化には、被写体となる物体距離の変化、物体の移動、物体の動き、振動、物体のぶれ等を含むものとする。
【0153】
拡張曲面の定義は以下の通りである。
球面、平面、回転対称非球面のほか、光軸に対して偏心した球面、平面、回転対称非球面、あるいは対称面を有する非球面、対称面を1つだけ有する非球面、対称面のない非球面、自由曲面、微分不可能な点や線を有する面等、いかなる形をしていても良い。反射面でも、屈折面でも、光になんらかの影響を与えうる面ならば良い。本発明では、これらを総称して拡張曲面と呼ぶことにする。
【0154】
光学特性可変光学素子とは、可変焦点レンズ、可変形状鏡、面形状の変わる偏光プリズム、頂角可変プリズム、光偏向作用の変わる可変回折光学素子、つまり可変HOE,可変DOE等を含む。可変焦点レンズには、焦点距離が変化せず、収差量が変化するような可変レンズも含むものとする。可変形状鏡についても同様である。要するに、光学素子で、光の反射、屈折、回折等の光偏向作用が変化しうるものを光学特性可変光学素子と呼ぶ。
【0155】
情報発信装置とは、携帯電話、固定式の電話、ゲームマシン、テレビ、ラジカセ、ステレオ等のリモコンや、パソコン、パソコンのキーボード、マウス、タッチパネル等の何らかの情報を入力し、送信することができる装置を指す。撮像装置のついたテレビモニター、パソコンのモニター、ディスプレイも含むものとする。情報発信装置は、信号処理装置の中に含まれる。
【0156】
以上説明したように、本発明による光学系及びそれを用いた装置は、特許請求の範囲に記載された発明の他に、次のような特徴も備えている。
【0157】
(1)前記形状可変ミラーがフォーカシング作用を有し、前記移動可能なレンズ群が変倍及びその変倍時に伴う像面の移動を補正するコンペンセート作用を有することを特徴とする請求項1に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0158】
(2)前記形状可変ミラーが、偏心収差を低減するためにある状態で回転非対称な形状に変形することを特徴とする上記(1)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0159】
(3)前記形状可変ミラーによって発生する偏心収差を補正するために、少なくとも1つの回転対称なレンズあるいは撮像面がZ軸に対して偏心していることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0160】
(4)前記形状可変ミラーは、フォーカシングする物体距離が近くなるにつれて正のパワーが大きくなることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0161】
(5)前記形状可変ミラーは、変形することにより正パワーと負パワーの両方を取ることができる請求項1〜4、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0162】
(6)前記形状可変ミラーは、正パワーのみを取ることができる請求項1〜4、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0163】
(7)前記形状可変ミラーは、ミラー面の変形の際に周辺部が固定であることを特徴とする請求項1〜4、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0164】
(8)変倍時に光学系の絞りが固定されていることを特徴とする請求項1〜4、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0165】
(9)少なくとも1つ以上の接合レンズを有することを特徴とする請求項1〜4、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0166】
(10)少なくとも2つ以上の移動可能なレンズ群の移動方向が、互いにほぼ平行であることを特徴とする請求項1〜4、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
なお、ほぼ平行とは±5°以内のことを指す。
【0167】
(11)形状可変ミラーを含んだ光学系において、移動可能なレンズ群がZ軸にほぼ平行に移動することを特徴とする光学系及びそれを用いた光学装置。
なお、ほぼ平行とは±5°以内のことを指す。
【0168】
(12)移動可能なレンズ群がZ軸に対して偏心していることを特徴とする上記(11)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0169】
(13)形状可変ミラーを含んだ光学系において、形状可変ミラーの最大変形量をmd、広角端における光学系の焦点距離をfw、望遠端における光学系の焦点距離をftとしたときに、ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする光学系及びそれを用いた光学装置。
0  < |md/√(fw×ft)| < 0.1
なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
【0170】
(14)ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする上記(13)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
0  < |md/√(fw×ft)| < 0.05
ただし、mdは形状可変ミラーの最大変形量、fwは広角端における光学系の焦点距離、ftは望遠端における光学系の焦点距離である。なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
【0171】
(15)ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする上記(13)又は(14)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
0  < |md/√(fw×ft)| < 0.03
ただし、mdは形状可変ミラーの最大変形量、fwは広角端における光学系の焦点距離、ftは望遠端における光学系の焦点距離である。なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
【0172】
(16)形状可変ミラーを含んだ光学系において、形状可変ミラーの最大変形量をmd、形状可変ミラーにおける光学的に有効な反射面の面積をSmとしたときに、ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする光学系及びそれを用いた光学装置。
0  < md/Sm < 0.0005
【0173】
(17)ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする上記(16)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
0  < md/Sm < 0.0002
ただし、mdは形状可変ミラーの最大変形量、Smは形状可変ミラーにおける光学的に有効な反射面の面積である。
【0174】
(18)形状可変ミラーを含んだ光学系において、形状可変ミラーによってある物体距離の物点にフォーカシングした際に、望遠端における形状可変ミラーの変形量よりも広角端における形状可変ミラーの変形量が大きいことを特徴とする光学系及びそれを用いた光学装置。
【0175】
(19)形状可変ミラーを含んだ光学系において、可変ミラーの平面状態から測った、オートフォーカスを行うために必要な変形余裕量や、製造誤差の影響を考慮した変形余裕量等を含んだ形状可変ミラーの変形量をHとしたときに、広角端における前記形状可変ミラーの変形量Hが望遠端における前記形状可変ミラーの変形量Hよりも大きいことを特徴とする光学系及びそれを用いた光学装置。
【0176】
(20)形状可変ミラーを含んだ光学系において、形状可変ミラーによってフォーカシングを行う際に、形状可変ミラーの駆動方式が静電駆動方式であり、フォーカシング時に形状可変ミラーに印加する電圧をVm(Volt)としたときに、ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする光学系及びそれを用いた光学装置。
0  ≦ |Vm| < 500
【0177】
(21)形状可変ミラーによってフォーカシングを行う際に、形状可変ミラーの駆動方式が静電駆動方式であり、フォーカシング時に形状可変ミラーに印加する電圧をVm(Volt)としたときに、ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする上記(20)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
0  ≦ |Vm| < 300
【0178】
(22)形状可変ミラーを含んだ光学系において、形状可変ミラーのパワーをφDM、広角端における光学系の焦点距離をfw、望遠端における光学系の焦点距離をftとしたときに、ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする光学系及びそれを用いた光学装置。
0  ≦ |φDM×√(fw×ft)| < 1.00
ただし、前記形状可変ミラーのパワーφDMは、前記形状可変ミラーの偏心方向(Y方向)面内でのパワーφDMyと、それと垂直方向(X方向)面内でのパワーφDMxとの平均値であり、次のように定義する。
φDM = (φDMx+φDMy)/2
なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
【0179】
(23)ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする上記(22)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
0  ≦ |φDM×√(fw×ft)| < 0.50
ただし、φDMは形状可変ミラーのパワー、fwは広角端における光学系の焦点距離、ftは望遠端における光学系の焦点距離である。前記形状可変ミラーのパワーφDMは、前記形状可変ミラーの偏心方向(Y方向)面内でのパワーφDMyと、それと垂直方向(X方向)面内でのパワーφDMxとの平均値であり、次のように定義する。
φDM = (φDMx+φDMy)/2
なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
【0180】
(24)ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする上記(22)又は(23)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
0  ≦ |φDM×√(fw×ft)| < 0.20
ただし、φDMは形状可変ミラーのパワー、fwは広角端における光学系の焦点距離、ftは望遠端における光学系の焦点距離である。前記形状可変ミラーのパワーφDMは、前記形状可変ミラーの偏心方向(Y方向)面内でのパワーφDMyと、それと垂直方向(X方向)面内でのパワーφDMxとの平均値であり、次のように定義する。
φDM = (φDMx+φDMy)/2
なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
【0181】
(25)前記形状可変ミラーによって遠点にフォーカシングした際に、形状可変ミラーがフォーカシングした状態のパワーよりも小さいパワーの状態に変形できることを特徴とする上記(22)〜(24)のいずれかに記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0182】
(26)前記形状可変ミラーによって近点にフォーカシングした際に、形状可変ミラーがフォーカシングした状態のパワーよりも大きいパワーの状態に変形できることを特徴とする上記(22)から(24)のいずれかに記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0183】
(27)前記形状可変ミラーによって物体距離が無限大の物点にフォーカシングした際に、形状可変ミラーの形状が平面ではなく、ゼロよりも大きなパワーを持つ凹面形状に変形することを特徴とする請求項1、上記(22)〜(24)のいずれかに記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0184】
(28)形状可変ミラーを含んだ光学系において、形状可変ミラーの物体側に負パワーのレンズ群を有し、該レンズ群の焦点距離をf1、広角端における光学系の焦点距離をfw、望遠端における光学系の焦点距離をftとしたときに、ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする光学系及びそれを用いた光学装置。
−5.0 < f1/√(fw×ft) < −0.1
なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
【0185】
(29)ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする上記(28)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
−3.0 < f1/√(fw×ft) < −0.3
ただし、f1は形状可変ミラーの物体側の負パワーのレンズ群の焦点距離、fwは広角端における光学系の焦点距離、ftは望遠端における光学系の焦点距離である。なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
【0186】
(30)ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする上記(28)又は(29)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
−2.5 < f1/√(fw×ft) < −0.4
ただし、f1は形状可変ミラーの物体側の負パワーのレンズ群の焦点距離、fwは広角端における光学系の焦点距離、ftは望遠端における光学系の焦点距離である。なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
【0187】
(31)形状可変ミラーの物体側に配置された負パワーのレンズ群が、凹レンズ1枚であることを特徴とする上記(28)〜(30)のいずれかに記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0188】
(32)形状可変ミラーを含んだ光学系において、変倍作用もしくはその変倍時に伴う像面の移動を補正するコンペンセート作用を有する変倍時に移動可能なレンズ群が、形状可変ミラーよりも像側に配置されていることを特徴とする光学系及びそれを用いた光学装置。
【0189】
(33)形状可変ミラーを含んだ光学系において、形状可変ミラーによる主光線の折り曲げ角をθとしたときに、次の条件式を満足することを特徴とする光学系及びそれを用いた光学装置。
75°< θ < 105°
なお、ここでの主光線とは、物体中心を出て絞り中心を通り、像中心に到達する光線のことを指す。
【0190】
(34)形状可変ミラーを含んだ光学系において、広角端における前記形状可変ミラーの直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率をβwとしたときに、ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする光学系及びそれを用いた光学装置。
0.20 < |βw| < 1.00
なお、光学系が単焦点の場合には、|βw|を形状可変ミラーの直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率で置き換えるものとする。
【0191】
(35)ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする上記(34)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
0.30 < |βw| < 0.85
ただし、βwは広角端における形状可変ミラーの直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率である。なお、光学系が単焦点の場合には、|βw|を形状可変ミラーの直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率で置き換えるものとする。
【0192】
(36)形状可変ミラーを含んだズーム光学系において、広角端における形状可変ミラーの直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率をβw、望遠端における形状可変ミラーの直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率をβtとしたときに、ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする光学系及びそれを用いた光学装置。
0.2 < |βw|×|βt| < 5.0
【0193】
(37)ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする上記(36)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
0.3 < |βw|×|βt| < 3.0
ただし、βwは広角端における形状可変ミラーの直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率、βtは望遠端における形状可変ミラーの直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率である。
【0194】
(38)ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする上記(36)又は(37)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
0.5 < |βw|×|βt| < 2.0
ただし、βwは広角端における形状可変ミラーの直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率、βtは望遠端における形状可変ミラーの直後の光学面から最終面までのレンズ群の倍率である。
【0195】
(39)形状可変ミラーを含んだ光学系において、光学系の全長をCj、広角端における光学系の焦点距離をfw、望遠端における光学系の焦点距離をftとしたときに、ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする光学系及びそれを用いた光学装置。
1.0 < Cj/√(fw×ft) < 20.0
なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
【0196】
(40)ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする上記(39)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
2.5 < Cj/√(fw×ft) < 18.0
ただし、Cjは光学系の全長、fwは広角端における光学系の焦点距離、ftは望遠端における光学系の焦点距離である。なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
【0197】
(41)ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする上記(39)又は(40)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
3.0 < Cj/√(fw×ft) < 17.0
ただし、Cjは光学系の全長、fwは広角端における光学系の焦点距離、ftは望遠端における光学系の焦点距離である。なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。
【0198】
(42)形状可変ミラーを含んだ光学系において、形状可変ミラーによって発生する偏心収差を補正するために、少なくとも1つのレンズにシフトを加え、そのシフト量をδ、広角端における光学系の焦点距離をfw、望遠端における光学系の焦点距離をftとしたときに、ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする、光学系及びそれを用いた光学装置。
0.0 ≦ |δ/√(fw×ft)| < 1.0
なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。ここでのシフト量δとは、シフトを加えたレンズの中心軸と光学系のZ軸との距離として定義される量である。
【0199】
(43)ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする上記(42)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
0.0 ≦ |δ/√(fw×ft)| < 0.5
ただし、δは形状可変ミラーによって発生する偏心収差を補正するために、少なくとも1つのレンズに加えたシフト量、fwは広角端における光学系の焦点距離、ftは望遠端における光学系の焦点距離である。なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。ここでのシフト量δとは、シフトを加えたレンズの中心軸と光学系のZ軸との距離として定義される量である。
【0200】
(44)ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする上記(42)又は(43)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
0.0 ≦ |δ/√(fw×ft)| < 0.2
ただし、δは形状可変ミラーによって発生する偏心収差を補正するために、少なくとも1つのレンズに加えたシフト量、fwは広角端における光学系の焦点距離、ftは望遠端における光学系の焦点距離である。なお、光学系が単焦点の場合には、√(fw×ft)を光学系の焦点距離で置き換えるものとする。ここでのシフト量δとは、シフトを加えたレンズの中心軸と光学系のZ軸との距離として定義される量である。
【0201】
(45)形状可変ミラーを含んだ光学系において、形状可変ミラーによって発生する偏心収差を補正するために、少なくとも1つのレンズあるいは撮像面にティルトを加え、そのティルト量をεとしたときに、ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする光学系及びそれを用いた光学装置。
0.0° ≦ |ε| < 10.0°
なお、ティルト量εとは、ティルトを加えたレンズあるいは撮像面の中心軸と光学系のZ軸との傾き角として定義される量である。
【0202】
(46)ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする上記(45)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
0.0° ≦ |ε| < 7.0°
ただし、εは形状可変ミラーによって発生する偏心収差を補正するために、少なくとも1つのレンズあるいは撮像面に加えたティルト量である。なお、ティルト量εとは、ティルトを加えたレンズあるいは撮像面の中心軸と光学系のZ軸との傾き角として定義される量である。
【0203】
(47)ある状態で次の条件式を満足することを特徴とする上記(45)又は(46)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
0.0° ≦ |ε| < 5.5°
ただし、εは形状可変ミラーによって発生する偏心収差を補正するために、少なくとも1つのレンズあるいは撮像面に加えたティルト量である。なお、ティルト量εとは、ティルトを加えたレンズあるいは撮像面の中心軸と光学系のZ軸との傾き角として定義される量である。
【0204】
(48)それぞれのティルト量の絶対値の中で、撮像面に加えたティルト量の絶対値が最大であることを特徴とする上記(45)〜(47)のいずれかに記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0205】
(49)形状可変ミラーを含み、形状可変ミラーによって発生する偏心収差を補正するために少なくとも1つのレンズあるいは撮像面にシフト及びティルトを加えた光学系において、それぞれのシフトがある1つの平面内で行われ、かつ、ティルトの回転軸がその平面に垂直であることを特徴とする光学系及びそれを用いた光学装置。
【0206】
(50)形状可変ミラーを含んだ光学系において、固定されたレンズ群の前後に独立して動く少なくとも1つ以上のレンズ群を配置したことを特徴とする光学系及びそれを用いた光学装置。
【0207】
(51)前記独立して動く少なくとも1つ以上のレンズ群のうち、最も物体側に配置されたレンズ群において、形状可変ミラーを該レンズ群のさらに物体側に配置したことを特徴とする上記(50)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0208】
(52)光学系の絞りが固定されたレンズ群の近傍に配置されていることを特徴とする上記(50)又は(51)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0209】
(53)前記形状可変ミラーに光線が斜入射することを特徴とする上記(50)〜(52)のいずれかに記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0210】
(54)変倍作用もしくはその変倍時に伴う像面の移動を補正するコンペンセート作用を有する少なくとも2つの変倍時に移動可能なレンズ群と、少なくとも1つ以上の形状が変化しない平面ミラーあるいは曲面ミラーと、を有することを特徴とする光学系及びそれを用いた光学装置。
【0211】
(55)第1レンズ群と第3レンズ群と最終レンズ群とが機械的に固定されており、変倍時に第2レンズ群と第4レンズ群がZ軸にほぼ平行に移動することを特徴とする請求項5に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0212】
(56)光学系の中に形状可変ミラーを含むことを特徴とする請求項5又は上記(55)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0213】
(57)光学系の中に形状が変化しない平面ミラーあるいは曲面ミラーを含むことを特徴とする請求項5に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0214】
(58)第1レンズ群と第3レンズ群と最終レンズ群とが機械的に固定され、変倍時に第2レンズ群と第4レンズ群が独立してZ軸にほぼ平行に移動することを特徴とする請求項5に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。なお、ほぼ平行とは±5°以内のことを指す。
【0215】
(59)光学系の中に形状可変ミラーを含むことを特徴とする上記(58)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0216】
(60)光学系の中に形状が変化しない平面ミラーあるいは曲面ミラーを含むことを特徴とする上記(58)に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
【0217】
(61)撮像面に加えたティルトの方向と可変ミラーによる光線の折り曲げ方向とが一致することを特徴とする上記(45)〜(47)のいずれかに記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
本発明では、図1、図8、図9に示すように、光線の進行方向が可変ミラーによってx軸のマイナス側から見て、x軸中心に時計回りに約90°回転しており、撮像面の法線も同様に、x軸のマイナス側から見てx軸中心に時計回りに回転している。ただし、回転角は±180°の範囲でとるものとする。
【0218】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の光学系及びそれを用いた光学装置によれば、レンズの可動群が少なく、小型で、消費電力が少なく、動作音が静かな光学系及びそれを用いた光学装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例にかかる光学系の概略構成を示すY−Z断面図であり、(a)は広角端、(b)は中間、(c)は望遠端の状態を示している。偏心の方向を望遠端の光路図において矢印で示してある。図8と図9も同様である。
【図2】第1実施例の光学系の物点距離無限遠時での広角端における横収差を示す図である。
【図3】第1実施例の光学系の物点距離無限遠時での中間状態における横収差を示す図である。
【図4】第1実施例の光学系の物点距離無限遠時での望遠端における横収差を示す図である。
【図5】第1実施例の光学系の物点距離300m時での広角端における横収差を示す図である。
【図6】第1実施例の光学系の物点距離300m時での中間状態における横収差を示す図である。
【図7】第1実施例の光学系の物点距離300m時での望遠端における横収差を示す図である。
【図8】本発明の第2実施例にかかる光学系の概略構成を示すY−Z断面図であり、(a)は広角端、(b)は中間、(c)は望遠端の状態を示している。
【図9】本発明の第3実施例にかかる光学系の概略構成を示すY−Z断面図であり、(a)は広角端、(b)は中間、(c)は望遠端の状態を示している。
【図10】本発明の第4実施例にかかる光学系の概略構成を示すY−Z断面図である。
【図11】第4実施例の光学系の物点距離無限遠時での広角端における横収差を示す図であり、(a)は像高0.00dに到達する主光線のメリディオナル方向の横収差、(b)は像高0.00dに到達する主光線のサジタル方向の横収差、(c)は像高0.20dに到達する主光線のメリディオナル方向の横収差、(d)は像高0.20dに到達する主光線のサジタル方向の横収差、(e)は像高0.35dに到達する主光線のメリディオナル方向の横収差、(f)は像高0.35dに到達する主光線のサジタル方向の横収差、(g)は像高0.45dに到達する主光線のメリディオナル方向の横収差、(h)は像高0.45dに到達する主光線のサジタル方向の横収差、(j)は像高0.50dに到達する主光線のメリディオナル方向の横収差、(j)は像高0.50dに到達する主光線のサジタル方向の横収差を示している。
【図12】第4実施例の光学系の物点距離無限遠時での中間状態における横収差を示す図であり、(a)は像高0.00dに到達する主光線のメリディオナル方向の横収差、(b)は像高0.00dに到達する主光線のサジタル方向の横収差、(c)は像高0.20dに到達する主光線のメリディオナル方向の横収差、(d)は像高0.20dに到達する主光線のサジタル方向の横収差、(e)は像高0.35dに到達する主光線のメリディオナル方向の横収差、(f)は像高0.35dに到達する主光線のサジタル方向の横収差、(g)は像高0.45dに到達する主光線のメリディオナル方向の横収差、(h)は像高0.45dに到達する主光線のサジタル方向の横収差、(j)は像高0.50dに到達する主光線のメリディオナル方向の横収差、(j)は像高0.50dに到達する主光線のサジタル方向の横収差を示している。
【図13】第4実施例の光学系の物点距離無限遠時での望遠端における横収差を示す図であり、(a)は像高0.00dに到達する主光線のメリディオナル方向の横収差、(b)は像高0.00dに到達する主光線のサジタル方向の横収差、(c)は像高0.20dに到達する主光線のメリディオナル方向の横収差、(d)は像高0.20dに到達する主光線のサジタル方向の横収差、(e)は像高0.35dに到達する主光線のメリディオナル方向の横収差、(f)は像高0.35dに到達する主光線のサジタル方向の横収差、(g)は像高0.45dに到達する主光線のメリディオナル方向の横収差、(h)は像高0.45dに到達する主光線のサジタル方向の横収差、(j)は像高0.50dに到達する主光線のメリディオナル方向の横収差、(j)は像高0.50dに到達する主光線のサジタル方向の横収差を示している。
【図14】本発明の第5実施例にかかる光学系の概略構成を示すY−Z断面図である。
【図15】本発明に適用可能な形状可変ミラーとしての光学特性可変ミラーを用いたデジタルカメラのケプラー式ファインダーの概略構成図である。
【図16】本発明に用いる形状可変ミラーとして適用可能な可変形状鏡409の他の例を示す概略構成図である。
【図17】図16の例の可変形状鏡に用いる電極の一形態を示す説明図である。
【図18】図16の例の可変形状鏡に用いる電極の他の形態を示す説明図である。
【図19】本発明に用いる形状可変ミラーとして適用可能な可変形状鏡409のさらに他の例を示す概略構成図である。
【図20】本発明に用いる形状可変ミラーとして適用可能な可変形状鏡409のさらに他の例を示す概略構成図である。
【図21】本発明に用いる形状可変ミラーとして適用可能な可変形状鏡409のさらに他の例を示す概略構成図である。
【図22】図21の例における薄膜コイル427の巻密度の状態を示す説明図である。
【図23】本発明のズーム光学系に用いる形状可変ミラーとして適用可能な可変形状鏡409のさらに他の例を示す概略構成図である。
【図24】図23の例におけるコイル427の一配置例を示す説明図である。
【図25】図23の例におけるコイル427の他の配置例を示す説明図である。
【図26】図21に示した例において、コイル427を図25のように配置した場合に適する永久磁石426の配置を示す説明図である。
【図27】本発明のズーム光学系を用いた撮像装置に適用可能な形状可変ミラーとしての可変形状鏡409を用いた撮像系の概略構成図である。
【図28】本発明に用いる形状可変ミラーとして適用可能なさらに他の例の可変形状鏡188の概略構成図である。
【図29】本発明に用いる形状可変ミラーに適用可能なマイクロポンプの一例を示す概略構成図である。
【図30】本発明に適用可能な、可変焦点レンズを応用した可変焦点ミラーを示す図である。
【図31】本発明に用いる形状可変ミラーに適用可能な可変形状鏡のさらに他の例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
DM     形状可変ミラー
G1     (負のパワーを有する)固定レンズ群
G2     (正のパワーを有する)移動レンズ群
G3     (負のパワーを有する)固定レンズ群
G4     (正のパワーを有する)移動レンズ群
G5     (正のパワーを有する)固定レンズ群
F      フィルター群
45,188,409    可変形状鏡
103    制御系
104    撮像ユニット
161    流体
180    マイクロポンプ
181    振動板
182,183,409b,409d,452    電極
184,185    弁
189    反射膜
404    プリズム
405    二等辺直角プリズム
406    ミラー
408    固体撮像素子
409a   薄膜
409c,409c’    圧電素子
409c−1,409e   基板
409c−2,453    電歪材料
411    可変抵抗器
412    電源
413    電源スイッチ
414    演算装置
415    温度センサー
416    湿度センサー
417    距離センサー
423    支持台
424    振れセンサー
425,428    駆動回路
426    永久磁石
427    コイル
449    釦
450    反射膜
451    変形可能な基板
513a,513b    透明電極
514    高分子分散液晶層
515    スイッチ
516    交流電源
519    可変抵抗器
565    可変焦点ミラー
566    第1の透明基板
566a   第1の面
566b   第2の面
567    第2の透明基板
567a   第3の面
567b   第4の面
568    反射膜
901    接眼レンズ
902    対物レンズ

Claims (5)

  1. 少なくとも1つの形状可変ミラーと、移動可能な少なくとも2つのレンズ群を有し、変倍とフォーカシングを行うことができる光学系及びそれを用いた光学装置。
  2. 前記形状可変ミラーは、偏心収差を低減するためにある状態で回転非対称な形状に変形することを特徴とする請求項1に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
  3. 前記形状可変ミラーによって発生する偏心収差を補正するために、少なくとも1つの回転対称なレンズあるいは撮像面がZ軸に対して偏心していることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
  4. 前記形状可変ミラーは、フォーカシングする物体距離が近くなるにつれて正のパワーが大きくなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学系及びそれを用いた光学装置。
  5. 最も物体側に位置し、負のパワーを有する第1レンズ群と、最も像側に位置し、正のパワーを有する最終レンズ群と、該第1レンズ群と該最終レンズ群の間に位置し、正のパワーを有する第2レンズ群及び第4レンズ群と、該第2レンズ群と該第4レンズ群の間に位置し負のパワーを有する第3レンズ群とを有することを特徴とする光学系及びそれを用いた光学装置。
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