JP2004100099A - 耐久性に優れるゴム補強用ポリベンザゾール繊維コード - Google Patents

耐久性に優れるゴム補強用ポリベンザゾール繊維コード Download PDF

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Abstract

【課題】高温かつ高湿度下に長時間暴露されても強度低下が小さいゴム補強用コードを提供すること。
【解決手段】熱分解温度が200℃以上の高耐熱性であり鉱酸に溶解する有機顔料で、好ましくはその分子構造中に−N=及び/又はNH−基を有するもの、なかでもペリノン及び/又はペリレン類、フタロシアニン類、キナクリドン類、またはジオキサジン類を糸中に含有せしめることにより、高温かつ高湿度下に長時間暴露されても強度低下が小さく、且つ耐光性の優れたゴム補強用ポリベンザゾール繊維コードが得られることを見出した。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はタイヤ、ベルト、ホースなどのゴム補強材料に関するもので、更に詳しくは、高温かつ高湿度下に暴露されたときに優れた耐久性を有する撚糸されたポリベンザゾール繊維からなるゴム補強用コードに関する。
【0002】
【従来の技術】
高強度、高耐熱性を有する繊維として、ポリベンゾオキサゾールもしくはポリベンゾチアゾールまたはこれらのコポリマーから構成されるポリベンザゾール繊維が知られている。従来、タイヤ、ホースおよびベルト等のゴム補強材として使用される繊維に関してはナイロン繊維、ポリエステル繊維、ガラス繊維およびスチール繊維が中心であったが、近年高強度、高弾性率を有する、ケブラーに代表される芳香族ポリアミド繊維が、各種ゴム補強材として用いられている。この芳香族ポリアミド繊維と比較してもはるかに高い強度・弾性率を有し、また、耐熱性、寸法安定性にも優れるポリベンザゾール繊維は、ゴム補強材として注目されている。ゴム資材分野で従来の有機繊維では性能的に不十分であった、より高強度、高耐熱性が要求される用途での補強用繊維として使用が検討されている。
【0003】
通常、ポリベンザゾール繊維は、上記ポリマーやコポリマーと酸溶媒を含むドープを紡糸口金より押し出した後、凝固性流体(水、または水と無機酸の混合液)中に浸漬して凝固させ、さらに水洗浴中で徹底的に洗浄し大部分の溶媒を除去した後、水酸化ナトリウム等の無機塩基の水溶液槽を通り、抽出されずに、糸中に残っている酸を中和した後、乾燥することによって得られる。
【0004】
この様にして製造されるポリベンザゾール繊維は上記に記載した通り、強度、弾性率などの力学特性に優れるため、ゴム補強用繊維としても使用されていることは前述した通りであるが、特に、そのゴム補強体に動的疲労が掛かる場合、ゴム中が高温かつ高湿度の環境となる場合に強度を充分に維持することができるゴム補強用のポリベンザゾール繊維が強く望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は上記事情に着目してなされたものであり、その目的は、高温かつ高湿度下に長時間暴露されても強度低下が小さい撚糸されたポリベンザゾール繊維からなるゴム補強用コードを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。熱分解温度が200℃以上の高耐熱性であり鉱酸に溶解する有機顔料で、好ましくはその分子構造中に−N=及び/又はNH−基を有するもの、なかでもペリノン及び/又はペリレン類、フタロシアニン類、キナクリドン類、またはジオキサジン類を糸中に含有せしめることにより、高温かつ高湿度下に長時間暴露されても強度低下の小さい撚糸されたポリベンザゾール繊維からなるゴム補強用コードが得られることを見いだし本発明に至った。
即ち、本発明は下記の構成からなる。
1.温度80℃相対湿度80%雰囲気下で700時間暴露した後の引張強度保持率が70%以上の、撚糸されたポリベンザゾール繊維からなることを特徴とするゴム補強用コード。
2.熱分解温度が200℃以上の高耐熱性であり鉱酸に溶解する有機顔料をポリベンザゾール繊維に含んでなることを特徴とする上記第1記載のゴム補強用コード。
3.有機顔料がその分子構造中に−N=及び/又はNH−基を有するものであることを特徴とする上記第2記載のゴム補強用コード。
4.有機顔料がペリノン及び/又はペリレン類であることを特徴とする上記第3記載のゴム補強用コード。
5.有機顔料がフタロシアニン類であることを特徴とする上記第2記載のゴム補強用コード。
6.有機顔料がキナクリドン類であることを特徴とする上記第2記載のゴム補強用コード。
7.有機顔料がジオキサジン類であることを特徴とする上記第2記載のゴム補強用コード。
以下、本発明を詳述する。
【0007】
本発明における熱分解温度が200℃以上の高耐熱性を有し鉱酸に溶解する有機顔料として、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、染色レーキ、イソインドリノン類、イソインドリン類、ジオキサジン類、ペリノン及び/又はペリレン類、フタロシアニン類、キナクリドン類等が挙げられる。その中でも分子内に−N=及び/又はNH−基を有するものが好ましく、より好ましくはジオキサジン類、ペリノン及び/又はペリレン類、フタロシアニン類、キナクリドン類である。
【0008】
ペリノン及び/又はペリレン類としては、ビスベンズイミダゾ[2,1−b:2’、1’−i]ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリンー8,17−ジオン、ビスベンズイミダゾ[2,1−b:1’、2’−j]ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリンー6,9−ジオン、2,9−ビス(p−メトキシベンジル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(p−エトキシベンジル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(3,5−ジメチルベンジル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(p−メトキシフェニル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(p−エトキシフェニル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(3,5−ジメチルフェニル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ジメチルアントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(4−フェニルアゾフェニル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、8,16−ピランスレンジオン等があげられる。
これらのペリノン類の1つまたは2つ以上の化合物の併用もあり得る。添加量はポリベンザゾールに対して0.01%〜20%、好ましくは0.1%〜10%である。
【0009】
フタロシアニン類としては、フタロシアニン骨格を有していればその中心に配位する金属の有無および原子種は問わない。これらの化合物の具体例としては、29H,31H−フタロシアニネート(2−)−N29,N30,N31,N32銅、29H,31H−フタロシアニネート(2−)−N29,N30,N31,N32鉄、29H,31H−フタロシアニネート−N29,N30,N31,N32コバルト、29H,31H−フタロシアニネート(2−)−N29,N30,N31,N32銅、オキソ(29H,31H−フタロシアニネート(2−)−N29,N30,N31,N32),(SP−5−12)チタニウム等があげられる。また、これらのフタロシアニン骨格が1個以上のハロゲン原子、メチル基、メトキシ基等の置換基を有していてもよい。
これらのフタロシアニン類の1つまたは2つ以上の化合物の併用もあり得る。添加量はポリベンザゾールに対して0.01%〜20%、好ましくは0.1%〜10%である。
【0010】
キナクリドン類としては、5,12−ジヒドロー2,9−ジメチルキノ[2,3−b]アクリジンー7,14−ジオン、5,12−ジヒドロキノ[2,3−b]アクリジンー7,14−ジオン、5,12−ジヒドロー2,9−ジクロロキノ[2,3−b]アクリジンー7,14−ジオン、5,12−ジヒドロー2,9−ジブロモキノ[2,3−b]アクリジンー7,14−ジオン等があげられる。
これらのキナクリドン類の1つまたは2つ以上の化合物の併用もあり得る。添加量はポリベンザゾールに対して0.01%〜20%、好ましくは0.1%〜10%である。
【0011】
ジオキサジン類としては9,19−ジクロロ−5,15−ジエチル−5,15−ジヒドロジインドロ[2,3−c:2’,3’−n]トリフェノジオキサジン、8,18−ジクロロ−5,15−ジエチル−5,15−ジヒドロジインドロ[3,2−b:3’,2’−m]トリフェノジオキサジン等が挙げられる。これらのジオキサジン類の1つまたは2つ以上の化合物の併用もあり得る。添加量はポリベンザゾールに対して0.01%―20%、好ましくは0.1%―10%である。
【0012】
また、ペリレン類、ペリノン類、フタロシアニン類、キナクリドン類、およびジオキサジン類の2つまたは3つ以上の化合物の併用も可能である。
勿論本発明技術内容はこれらに限定されるものではない。
【0013】
本発明に係るポリベンザゾール繊維とは、ポリベンザゾールポリマーよりなる繊維をいい、ポリベンザゾール(PBZ)とは、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、またはポリベンズイミダゾール(PBI)から選ばれる1種以上のポリマーをいう。本発明においてPBOは芳香族基に結合されたオキサゾール環を含むポリマーをいい、その芳香族基は必ずしもベンゼン環である必要は無い。さらにPBOは、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)や芳香族基に結合された複数のオキサゾール環の単位からなるポリマーが広く含まれる。同様の考え方は、PBTやPBIにも適用される。また、PBO、PBT及び、またはPBIの混合物、PBO、PBT及びPBIのブロックもしくはランダムコポリマー等のような二つまたはそれ以上のポリベンザゾールポリマーの混合物、コポリマー、ブロックポリマーも含まれる。好ましくは、ポリベンザゾールは、鉱酸中、特定濃度で液晶を形成するライオトロピック液晶ポリマーである。
【0014】
PBZポリマーに含まれる構造単位としては、好ましくはライオトロピック液晶ポリマーから選択される。当該ポリマーは構造式 (a)〜(f)に記載されているモノマー単位から成る。
【化1】
Figure 2004100099
【0015】
ポリベンザゾール繊維は、ポリベンザゾールポリマーの溶液(PBZポリマードープ)より製造されるが、当該ドープを調製するための好適な溶媒としては、クレゾールやそのポリマーを溶解しうる非酸化性の鉱酸が挙げられる。好適な非酸化性鉱酸の例としては、ポリリン酸、メタンスルホン酸および高濃度の硫酸あるいはそれらの混合物が挙げられる。その中でもポリリン酸及びメタンスルホン酸が、最も好ましくはポリリン酸である。
【0016】
ドープ中のポリマー濃度は、1〜30%、好ましくは1〜20%である。最大濃度は、例えばポリマーの溶解性やドープ粘度といった実際上の取り扱い性により限定される。それらの限界要因のために、ポリマー濃度は通常では20重量%を越えることはない。
【0017】
本発明において、好適なポリマーまたはコポリマーとドープは公知の方法で合成される。(例えば、特許文献1〜4参照)。要約すると、好適なモノマーは非酸化性で脱水性の酸溶液中、非酸化性雰囲気で高速撹拌及び高剪断条件のもと約60℃から230℃までの間で段階的または任意の昇温速度で温度を上げることで反応させられる。
【0018】
【特許文献1】
米国特許第4,533,693号
【特許文献2】
米国特許第4,772,678号
【特許文献3】
米国特許第4,847,350号
【特許文献4】
米国特許第5,089,591号
【0019】
このようにして得られるドープを紡糸口金から押し出し、空間で引き伸ばしてフィラメントに形成される。好適な製造法は先に述べた参考文献や米国特許第5,034,250号明細書に記載されている。紡糸口金を出たドープは紡糸口金と洗浄バス間の空間に入る。この空間は一般にエアギャップと呼ばれているが、空気である必要はない。この空間は、溶媒を除去すること無く、かつ、ドープと反応しない溶媒で満たされている必要があり、例えば空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等が挙げられる。
【0020】
紡糸後のフィラメントは、過度の延伸を避けるために洗浄され溶媒の一部が除去される。そして、更に洗浄され、適宜水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム等の無機塩基で中和され、ほとんどの溶媒は除去される。ここでいう洗浄とは、ポリベンザゾールポリマーを溶解している鉱酸に対し相溶性であり、ポリベンザゾールポリマーに対して溶媒とならない液体に繊維またはフィラメントを接触させ、ドープから酸溶媒を除去することである。好適な洗浄液体としては、水や水と酸溶媒との混合物がある。フィラメントは、好ましくは残留鉱酸金属原子濃度が重量で8000ppm以下、更に好ましくは5000ppm以下に洗浄される。その後、フィラメントは、乾燥、熱処理、巻き取り等が必要に応じて行われる。
【0021】
本発明に係わるポリベンザゾール繊維からなるゴム補強用コードの第一の特徴は、有機顔料を含んでいることであり、これにより、温度80℃相対湿度80%雰囲気下で700時間暴露した後の引張強度保持率が70%以上を達成できる。ここでいう有機顔料は前述のごとく熱分解温度が200℃以上であり、鉱酸に溶解するものであり、好ましくはその分子構造中に−N=及び/又はNH−を有する顔料である。より好ましくは、ペリノン及び/又はペリレン類、フタロシアニン類、キナクリドン類、またはジオキサジン類である。また、鉱酸とは、メタンスルフォン酸またはポリリン酸である。
【0022】
これらの有機顔料を糸中に含有させる方法としては、特に限定されず、ポリベンザゾールの重合のいずれの段階または重合終了時のポリマードープの段階で含有させることができる。例えば、有機顔料をポリベンザゾールの原料を仕込む際に同時に仕込む方法、段階的または任意の昇温速度で温度を上げて反応させている任意の時点で添加する方法、また、重合反応終了時に反応系中に添加し、撹拌混合する方法が好ましい。
【0023】
水洗後、50℃以上、通常300℃以下でフィラメントを乾燥することにより有機顔料を固定する。乾燥処理後の引っ張り強度保持率は、有機顔料を含有していないポリベンザゾール繊維に対して80%以上を有しており、乾燥処理によるポリマーへの悪影響は少ない。
【0024】
本発明に係わるポリベンザゾール繊維からなるゴム補強用コードの第二の特徴は、糸中での有機顔料が欠点となって繊維の初期強度が低下することも無く、良好に保持されることである。また、紡糸時の可紡性も良好であり、糸切れの無い良好な操業性が維持される。これは、添加した顔料が鉱酸に溶解するため、ポリマードープ中でも溶解しているためと推測される。有機顔料含有量が20%を超えるとフィラメント繊度の増加で初期の糸強度が低くなるため好ましくない。
【0025】
繊維内部における高耐熱性有機顔料の化学的な存在状態あるいはその作用については明確には分かっていない。高耐熱性有機顔料分子がポリベンザゾール繊維中のミクロボイド内に満たされているため、高温かつ高湿度下に長時間暴露されても外からの水蒸気がポリベンザゾール分子に到達しにくくなり強度低下が起こりにくくなるのか、あるいは、ポリベンザゾール繊維中に残留している鉱酸が水分により解離して放出した水素イオンを有機顔料が捕捉して系内を中性化することにより強度低下を抑制しているのか、あるいは、発達した共役系を有する高耐熱性有機顔料が繊維中で何らかの理由で発生したラジカルを捕捉して系内を安定化させているのか等が推定される。
【0026】
本発明に係わる該ポリベンザゾール繊維は耐疲労性を改善する観点からリング撚糸機などを用いて片撚りもしくは双糸撚りを与えられる。撚り係数は350〜2000であれば良い。
尚、撚り係数K=Tw×(Den/ρ)1/2
Tw:撚り数[T/10cm]、Den:トータルデニールρ :繊維密度[g/cm ]
【0027】
ゴムとの接着性を改善すべく、上記ポリベンザゾール繊維表面にコロナ処理やプラズマ処理等を施しても良い。また繊維表面或はコロナ処理等を施した繊維表面と反応可能な化合物をポリベンザゾール繊維に付与しても良い。更にゴムとの接着性を向上させるため、ディップ処理を施されてもよい。当該処理液としては、(A)エポキシ樹脂の水分散液、(B)ブロックドイソシアネートの水分散液、(C)ゴムラテックスの水分散液、(D)レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂−ゴムラテックス(RFL)混合液、の組み合わせもしくは単独で、一段または二段以上の多段処理により施される場合が一般的であるが、その他の処方であってもよい。
【0028】
【実施例】
以下に実例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はもとより下記の実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の主旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術範囲に含まれる。
【0029】
高温かつ高湿度下における強度低下の評価は、サンプルを恒温恒湿器中で高温かつ高湿度保管処理した後、標準状態(温度:20±2℃、相対湿度65±2%)の試験室内に取り出し、30分以内に引張試験を実施し、処理前の強度に対する処理後の強度保持率で評価を行った。なお、引張強度の測定は、JIS−L1013に準じて引張試験機(島津製作所製、型式AG−50KNG)にて測定した。
【0030】
(実施例1)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩334.5g,テレフタル酸260.8g,122%ポリリン酸2078.2gを60℃で30分間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で20時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が30dL/gのポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)ドープ2.0kgに29H,31H−フタロシアニネート(2−)−N29,N30,N31,N32銅15.2gを添加して撹拌混合した。
その後、フィラメント径が11.5μm、1.5デニールになるような条件で紡糸を行った。紡糸温度175℃で孔径180μm、孔数166のノズルからフィラメントを適当な位置で収束させてマルチフィラメントにするように配置された第1洗浄浴中に押し出した。紡糸ノズルと第1洗浄浴の間のエアギャップには、より均一な温度でフィラメントが引き伸ばされるようにクエンチチャンバーを設置した。エアギャップ長は30cmとした。60℃の空気中にフィラメントを紡出した。テークアップ速度を200m/分とし、紡糸延伸倍率を30とした。ポリベンザゾール繊維中の残留リン濃度が6000ppm以下になるまで水洗した。さらに、1%NaOH水溶液で10秒間中和した後30秒間水洗後、200℃で3分間乾燥して、糸を糸管に巻き取った。
得られたポリベンザソール繊維6本を、Z方向に32T/10cmの撚りを加えながら撚り合わせた後、これを2本合せてS方向に32T/10cmの撚りを掛けて生コードを得た。次いで生コードに二段のディップ処理を施してディップコードを作成した。一段目のディップ処理液はエポキシ樹脂の水分散液であり、処理温度は240℃、二段目のディップ処理液はRFL液であり、処理温度は235℃であり、得られたディップコードの強力は、655Nであった。このディップコードの高温、高湿度下での強度保持率は76%と優れていた。
【0031】
(比較例1)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩334.5g,テレフタル酸260.8g,122%ポリリン酸2078.2gを60℃で30分間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で20時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が30dL/gのポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)ドープ2.0kgを用いて、前述の方法により紡糸した。
得られたポリベンザソール繊維6本を、Z方向に32T/10cmの撚りを加えながら撚り合わせた後、これを2本合せてS方向に32T/10cmの撚りを掛けて生コードを得た。次いで生コードに二段のディップ処理を施してディップコードを作成した。一段目のディップ処理液はエポキシ樹脂の水分散液であり、処理温度は240℃、二段目のディップ処理液はRFL液であり、処理温度は235℃であり、得られたディップコードの強力は、662Nであった。このディップコードの高温、高湿度下での強度保持率は59%と実施例1と比較して劣っていた。
【0032】
【発明の効果】
本発明によると、高温かつ高湿度下に長時間暴露された場合であっても強度保持率の高い撚糸されたポリベンザゾール繊維からなるゴム補強用コードを提供できた。

Claims (7)

  1. 温度80℃相対湿度80%雰囲気下で700時間暴露した後の引張強度保持率が70%以上の、撚糸されたポリベンザゾール繊維からなることを特徴とするゴム補強用コード。
  2. 熱分解温度が200℃以上の高耐熱性であり鉱酸に溶解する有機顔料をポリベンザゾール繊維に含んでなることを特徴とする請求項1記載のゴム補強用コード。
  3. 有機顔料がその分子構造中に−N=及び/又はNH−基を有するものであることを特徴とする請求項2記載のゴム補強用コード。
  4. 有機顔料がペリノン及び/又はペリレン類であることを特徴とする請求項3記載のゴム補強用コード。
  5. 有機顔料がフタロシアニン類であることを特徴とする請求項2記載のゴム補強用コード。
  6. 有機顔料がキナクリドン類であることを特徴とする請求項2記載のゴム補強用コード。
  7. 有機顔料がジオキサジン類であることを特徴とする請求項2記載のゴム補強用コード。
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