JP2004099864A - 電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物および成形物 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面電荷調整とその持続性に優れた熱可塑性微生物崩壊樹脂成形物を提供すること。
【解決手段】熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)30〜98.75重量%、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)1〜69.75重量%、ポリアルキレン化合物(C)0.25〜69重量%を含有する電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物。または、熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)30〜98.75重量%、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)1〜69.75重量%、グリセリン酢酸脂肪酸エステルまたはグリセリン酢酸エステル化合物(D)0.25〜69重量%を含有する電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物。及びこれらを用いて成る成形物。
【選択図】なし
【解決手段】熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)30〜98.75重量%、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)1〜69.75重量%、ポリアルキレン化合物(C)0.25〜69重量%を含有する電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物。または、熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)30〜98.75重量%、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)1〜69.75重量%、グリセリン酢酸脂肪酸エステルまたはグリセリン酢酸エステル化合物(D)0.25〜69重量%を含有する電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物。及びこれらを用いて成る成形物。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物に関し、これを用いて得られる表面電荷調整効果とその持続性に優れた熱可塑性微生物崩壊樹脂成形物に関する。
【0002】
【従来の技術】
生分解性樹脂、いわゆる微生物崩壊樹脂は、環境に対する汚染負荷が少なく廃棄された場合でも自然界に存在する微生物により分解されることから、農業用フィルムや包装用フィルム等に使用されている。また廃棄物の減容化に優れ、強度も優れていることから、洗剤、化粧品及び飲料製品等の容器として幅広く使用されている。
【0003】
これらフィルム類では、フィルム同士の静電気付着による作業性の悪化や塵埃付着による外観不良の発生が生じる。また、容器類では、塵埃付着による製品外観不良が発生する。
【0004】
従来では、フィルム等成形品の表面電荷調整として各種の帯電防止剤を成形物表面に塗布することにより上記の不具合点を解決していた(例えば特許文献1、2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−354789号公報
【特許文献2】
特開2001−323090号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、加工工程数の増加や表面塗布の不均一化による表面電荷調整能の不均一化、成形物表面のベタツキという問題や、さらに透明成形物においては透明性阻害等の問題、また、成形物表面の摩擦により塗布した帯電防止剤が脱落してしまうという問題が発生していた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記した課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に到った。即ち、本発明は、(1)熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)30〜98.75重量%、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)1〜69.75重量%、ポリアルキレン化合物(C)0.25〜69重量%を含有する電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物、
【0008】
(2)熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)30〜98.75重量%、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)1〜69.75重量%、グリセリン酢酸脂肪酸エステルまたはグリセリン酢酸エステル化合物(D)0.25〜69重量%を含有する電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物、(3)アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)がナトリウム塩である(1)または(2)に記載の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物、
【0009】
(4)アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)のアルキル基の炭素数が8〜30である(1)〜(3)いずれかに記載の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物、(5)ポリアルキレン化合物(C)のアルキル基の炭素数が8〜1000である(1)、(3)、(4)いずれかに記載の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物、
【0010】
(6)熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)100重量部に対して(1)〜(5)いずれか記載の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物を0.5〜10重量部配合して得られる電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂成形物、(7)電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂成形物がフィルムである(6)に記載の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂成形物、(8)電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂成形物が容器である(6)または(7)に記載の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂成形物である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)としては、JIS K−6950, JIS K−6951, JIS K−6953あるいは化審法生分解性試験のいずれかの試験方法により60%以上の分解度が確認されるものであり、形状および融点は特に規定しない。具体例としてはポリ乳酸等が挙げられる。
本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物における熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)の含有量は30〜98.75重量%である。
【0012】
本発明で用いられるアルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)は、そのアルキル基の炭素数8〜30が好ましく、特には炭素数10〜15が好ましく、脂肪族炭化水素基内のひとつの水素がスルホン酸金属塩基によって置換されたものである。
【0013】
また、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)において金属塩をなす金属としてはナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属、あるいはカルシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属などが挙げられる。特に好ましくはナトリウムである。これらの金属は1種、または2種以上の組み合わせで用いることができる。具体例として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
【0014】
本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物におけるアルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)の含有量は、1〜69.75重量%の範囲であるが、好ましくは5〜50重量%、更に好ましくは10〜35重量%、特に好ましくは15〜30重量%である。含有量が多いと樹脂組成物の生産性が悪化し、含有量が少ないと所望する帯電防止効果を得ることが出来なくなる傾向がある。
【0015】
本発明で用いられるポリアルキレン化合物(C)のアルキル基の炭素数は8〜1000であり、脂肪族炭化水素のグリコールであることが好ましい。具体例としてポリエチレングリコールが挙げられる。また、分子量は特に規定しないが、常温下で液体の場合は樹脂組成物の生産性を損なう傾向があるため、常温下で固体である程度の分子量であることが好ましい。
【0016】
本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物におけるポリアルキレン化合物(C)の含有量は0.25〜69重量%である。好ましくは2〜30重量%、更に好ましくは5〜25重量%、特に好ましくは10〜20重量%である。含有量が多いと樹脂組成物の生産性が悪化し、含有量が少ないと所望する帯電防止効果を得ることが出来なくなる傾向がある。
【0017】
本発明で用いられるグリセリン酢酸脂肪酸エステル化合物またはグリセリン酢酸エステル化合物(D)は、B型粘度計による20℃での粘度が300mPa・s以下の値であることが好ましい。これより粘度が高い場合は、樹脂組成物の生産時に(D)供給機器の原料容器を加熱して(D)粘度を低下させることにより、樹脂組成物の生産性を改善することができる。グリセリン酢酸エステル化合物にはジグリセリン酢酸エステルも含まれる。
【0018】
本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物におけるグリセリン酢酸脂肪酸エステル化合物またはグリセリン酢酸エステル化合物(D)の含有量は0.25〜69重量%である。好ましくは2〜30重量%、更に好ましくは5〜25重量%、特に好ましくは10〜20重量%である。含有量が多いと樹脂組成物の生産性が著しく悪化し、含有量が少ないと所望する帯電防止効果を得ることが出来なくなる傾向がある。
【0019】
本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物の構成としては、上記の熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)、ポリアルキレン化合物(C)の組み合わせ、または熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)、グリセリン酢酸脂肪酸エステルまたはグリセリン酢酸エステル化合物(D)が挙げられる。あるいは熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)、ポリアルキレン化合物(C)、グリセリン酢酸脂肪酸エステルまたはグリセリン酢酸エステル化合物(D)の組み合わせも可能である。
【0020】
そして、上記構成成分、例えば(B)と(C)を(A)に、または(B)と(D)を(A)に、あるいは(B)と(C)と(D)を(A)に添加して、エクストルーダー、2軸ニーダー、ロールミル等の混練機を用いて均一に混合することにより得られる。
【0021】
本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物は、成形物と同じ組成であり、そのままの組成で成形されるコンパウンドでもよいし、または(B)や(C)や(D)が高濃度であり、成形時に、熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)(成形樹脂)で希釈されるマスターバッチでもよい。マスターバッチは、ペレット状又はフレーク状、粉末状等の所望の形状に成形することにより得られる。
【0022】
マスターバッチである場合、成形品製造の際に、成形樹脂としての熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)100重量部に対して、本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物を0.5〜10重量部配合することが好ましく、特に0.5〜3.5重量部が好ましい。
【0023】
また、本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物または成形物には、その用途に応じて所望の特性を付与するため、物性を損わない範囲で他の安定剤や添加剤を添加することもできる。
安定剤としては、例えばラクトン系、燐酸系、燐系、フェノール系、ビスフェノール系、ヒンダートフェノール系等の酸化防止剤、ヒンダートアミン系等の光安定剤、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤を使用できる。
【0024】
添加剤としては、例えば着色剤、充填剤(フィラー類)、滑剤、可塑剤等が挙げられる。着色剤としては特に制限はないが、例えばカーボンブラック、フタロシアニン、アゾ、ジスアゾ、キナクリドン、アントラキノン、フラバントロン、ペリレン、ジオキサジン、縮合アゾ、アゾメチン、又はメチン系等の各種有機顔料、酸化チタン、硫化亜鉛、硫酸鉛、酸化亜鉛、クロムエロー、ジンクエロー、クロムバーミリオン、ベンガラ、コバルト紫、群青、クロムグリーン、酸化クロム、コバルトグリーン等の無機顔料が挙げられる。
【0025】
充填剤としてはシリカ、ゼオライト、モンモリロナイト、タルク、クレー、カオリン、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
又、使用し得る滑剤としては、例えばステアリン酸、ベヘン酸及びそのエステル又は塩、カルナウバワックス、ポリエチレンワックス等のワックス類及び各種界面活性剤が用いられる。
可塑剤としては例えばフタル酸、リン酸、セバシン酸等のエステルが挙げられる。
【0026】
本発明の樹脂成形物の3次元成形物は、その成形物に応じて射出成形、押し出し成形、中空成形、回転成形、粉末成形、真空成形等それ自体公知の方法で成形される。その具体例としては工業製品用部品、家電製品用部品、精密製品用部品や、食品、洗剤、医薬品、化粧品、飲料製品等の容器及びそのキャップ類が挙げられる。
【0027】
2次元成形物は、熱可塑性樹脂のフィルム化に用いられるインフレーション加工、多層インフレーション加工、Tダイフィルム加工、フラットフィルム法による縦横同時二軸延伸法、又は縦横逐次二軸延伸法、チューブラフィルム法によるフィルムやシート等、スパンボンド法、メルトブロー法等による不織布のフィルムやシート等、それ自体公知の方法により作製される。この様にして作製されたフィルムやシートは食品包装、繊維包装、雑貨包装、薬品類の包装、テープ、ヤーン、シート、モノフィラメントからなるフィルム、農業用フィルム、養生シート、各種シール、ラベル等通常の熱可塑性樹脂フィルムやシートが用いられる分野と同様の分野で用いられる。
【0028】
これらの成形物は、多層構成物の一部でも良いが、最終的に使用に供される成形物に対して所望する帯電防止効果を付与するには、最表面部分に本発明の成形物が配置されなければならない。
【0029】
【実施例】
次に実施例に依って、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。以下、重量%は%、重量部は部と書く。
【0030】
実施例1
生分解性ポリ乳酸樹脂(島津製作所製 ラクティ)80%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(竹本油脂製、TYS−101)15%、ポリエチレングリコール(日本油脂製PEG400:平均分子量400)5%を混合してスクリュー径30mm、L/D値38の二軸同方向回転スクリュー押出機で、回転数250rpm、設定温度200℃の条件で練肉・押出した後、ペレタイザーでカットし、本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物のマスターバッチを得た。
【0031】
成形樹脂として、上記と同じ生分解性ポリ乳酸樹脂(島津製作所製 ラクティ)100部に対して、この組成物を2.5部の割合で混合し、T型ダイスヘッド付押し出し成形機(東洋精機製 ラボプラストミル)を使用して200℃にて成形し、幅10cm、厚さ50μmの未延伸フィルムを得た。
【0032】
実施例2
実施例1で用いた生分解性樹脂80%及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム15%と、ポリエチレングリコール(日本油脂製PEG4000:平均分子量4000)5%を、実施例1と同様にして本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物を得た。
【0033】
成形樹脂として、上記と同じ生分解性ポリ乳酸樹脂(島津製作所製 ラクティ)100部に対して、この樹脂組成物を2.5部、3.0部、3.5部の割合でそれぞれ混合し、T型ダイスヘッド付押し出し成形機(東洋精機製 ラボプラストミル)を使用して200℃にて成形し、幅10cm、厚さ50μmの未延伸フィルムを3種類得た。
【0034】
実施例3
実施例1で用いた生分解樹脂80%及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム15%と、ポリエチレングリコール(日本油脂製PEG20000:平均分子量20000)5%を、実施例1と同様にして本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物を得、同様に成形物を得た。
【0035】
実施例4
実施例1で用いた生分解樹脂60%及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム30%と、ポリエチレングリコール(日本油脂製PEG4000:平均分子量4000)10%を、実施例1と同様にして本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物を得た。
【0036】
成形樹脂として、上記と同じ生分解性ポリ乳酸樹脂(島津製作所製 ラクティ)100部に対して、この樹脂組成物を1.5部の割合で混合し、T型ダイスヘッド付押し出し成形機(東洋精機製 ラボプラストミル)を使用して200℃にて成形し、幅10cm、厚さ50μmの未延伸フィルムを得た。
【0037】
実施例5
生分解性ポリ乳酸樹脂(島津製作所製 ラクティ)80%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(竹本油脂製、TYS−101)15%、グリセリン酢酸脂肪酸エステル(理研ビタミン製PL−009:20℃での粘度22.0mPa・s)5%を混合してスクリュー径30mm、L/D値38の二軸同方向回転スクリュー押出機で、回転数350rpm、設定温度140℃の条件で練肉・押出した後、ペレタイザーでカットし、本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物のマスターバッチを得た。
【0038】
成形樹脂として、上記と同じ生分解性ポリ乳酸樹脂(島津製作所製 ラクティ)100部に対して、この樹脂組成物を2.5部、3.0部、3.5部の割合でそれぞれ混合し、実施例1と同様にして成形物を3種類得た。
【0039】
実施例6
実施例5で用いた生分解性樹脂80%及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム15%と、ジグリセリン酢酸エステル(理研ビタミン製PL−710:20℃での粘度186.2mPa・s)5%を、実施例5と同様にして本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物を得た。また、実施例5と同様に、成形樹脂として上記と同じ生分解性ポリ乳酸樹脂(島津製作所製 ラクティ)100部に対して、この樹脂組成物を2.5部、3.0部、3.5部の割合でそれぞれ混合し、実施例1と同様にして成形物を3種類得た。
【0040】
実施例7
実施例1で用いた生分解樹脂60%及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム30%と、グリセリン酢酸脂肪酸エステル(理研ビタミン製PL−009:20℃での粘度22.0mPa・s)10%を、実施例1と同様にして本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物を得た。
【0041】
成形樹脂として、上記と同じ生分解性ポリ乳酸樹脂(島津製作所製 ラクティ)100部に対して、この樹脂組成物を1.5部の割合で混合し、T型ダイスヘッド付押し出し成形機(東洋精機製 ラボプラストミル)を使用して200℃にて成形し、幅10cm、厚さ50μmの未延伸フィルムを得た。
【0042】
実施例8
実施例1で用いた生分解樹脂60%及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム30%と、ジグリセリン酢酸エステル(理研ビタミン製PL−710:20℃での粘度186.2mPa・s)10%を、実施例1と同様にして本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物を得た。
【0043】
成形樹脂として、上記と同じ生分解性ポリ乳酸樹脂(島津製作所製 ラクティ)100部に対して、この樹脂組成物を1.5部の割合で混合し、T型ダイスヘッド付押し出し成形機(東洋精機製 ラボプラストミル)を使用して200℃にて成形し、幅10cm、厚さ50μmの未延伸フィルムを得た。
【0044】
比較例1
実施例1で用いた生分解性樹脂のみを、T型ダイスヘッド付押し出し成形機(東洋精機製 ラボプラストミル)を使用して200℃にて成形し、幅10cm、厚さ50μmの未延伸フィルムを得た。
【0045】
比較例2
実施例1で用いた生分解樹脂95%、非イオン系界面活性剤(花王製エレクトロストリッパーTS−5)5%を、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。そして、実施例1で用いた樹脂100部に対して、この樹脂組成物を2.5部、5部の割合でそれぞれ混合し、実施例1と同様にしてフィルムを2種類作成した。
【0046】
比較例3
実施例1で用いた生分解樹脂84%及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(竹本油脂製、TYS−101)15%と、エチレンビスステアリン酸アミド(日本油脂製、アーモワックスEBSパウダー)1%を、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。そして、実施例1で用いた樹脂100部に対して、この樹脂組成物を2.5部の割合で混合し、実施例1と同様にしてフィルムを作成した。
【0047】
[評価]
実施例及び比較例で得られたフィルムについて、表面電荷調整効果の評価を行った。温度23℃、相対湿度55%の恒温恒湿室に24時間および720時間静置したフィルムの表面抵抗率を、アドバンテスト社製超高抵抗計(R8340)を用いて測定して以下の基準で評価し、表1に示した。
【0048】
表面電荷調整効果の評価基準
A :表面抵抗率10×12乗[Ω]未満
B :表面抵抗率10×12乗[Ω]〜10×14乗[Ω]未満
C :表面抵抗率10×14乗[Ω]以上
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】
本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物は、熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)30〜98.75重量%、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)1〜69.75重量%、ポリアルキレン化合物(C)0.25〜69重量%を含有しているので、電荷制御性能を成形物に付与することができる。
【0051】
また、本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物は、熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)30〜98.75重量%、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)1〜69.75重量%、グリセリン酢酸脂肪酸エステルまたはグリセリン酢酸エステル化合物(D)0.25〜69重量%を含有しているので、電荷制御性能を成形物に付与することができる。
【0052】
アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)がナトリウム塩、また、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)のアルキル基の炭素数が8〜30である場合、上記効果はより顕著に得られる。
また、ポリアルキレン化合物(C)のアルキル基の炭素数が8〜1000の場合、上記効果はより顕著に得られる。
【0053】
本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂成形物は、熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)100重量部に対して上記の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物を0.5〜10重量部配合して得られるので、良好な電荷制御性能を有し、塵埃付着による外観不良の発生を防止できる。特に成形物がフィルムである場合、フィルム同士の静電気付着による作業性の悪化を防止できるので、生産効率の点で顕著な効果を奏する。
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物に関し、これを用いて得られる表面電荷調整効果とその持続性に優れた熱可塑性微生物崩壊樹脂成形物に関する。
【0002】
【従来の技術】
生分解性樹脂、いわゆる微生物崩壊樹脂は、環境に対する汚染負荷が少なく廃棄された場合でも自然界に存在する微生物により分解されることから、農業用フィルムや包装用フィルム等に使用されている。また廃棄物の減容化に優れ、強度も優れていることから、洗剤、化粧品及び飲料製品等の容器として幅広く使用されている。
【0003】
これらフィルム類では、フィルム同士の静電気付着による作業性の悪化や塵埃付着による外観不良の発生が生じる。また、容器類では、塵埃付着による製品外観不良が発生する。
【0004】
従来では、フィルム等成形品の表面電荷調整として各種の帯電防止剤を成形物表面に塗布することにより上記の不具合点を解決していた(例えば特許文献1、2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−354789号公報
【特許文献2】
特開2001−323090号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、加工工程数の増加や表面塗布の不均一化による表面電荷調整能の不均一化、成形物表面のベタツキという問題や、さらに透明成形物においては透明性阻害等の問題、また、成形物表面の摩擦により塗布した帯電防止剤が脱落してしまうという問題が発生していた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記した課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に到った。即ち、本発明は、(1)熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)30〜98.75重量%、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)1〜69.75重量%、ポリアルキレン化合物(C)0.25〜69重量%を含有する電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物、
【0008】
(2)熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)30〜98.75重量%、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)1〜69.75重量%、グリセリン酢酸脂肪酸エステルまたはグリセリン酢酸エステル化合物(D)0.25〜69重量%を含有する電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物、(3)アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)がナトリウム塩である(1)または(2)に記載の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物、
【0009】
(4)アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)のアルキル基の炭素数が8〜30である(1)〜(3)いずれかに記載の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物、(5)ポリアルキレン化合物(C)のアルキル基の炭素数が8〜1000である(1)、(3)、(4)いずれかに記載の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物、
【0010】
(6)熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)100重量部に対して(1)〜(5)いずれか記載の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物を0.5〜10重量部配合して得られる電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂成形物、(7)電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂成形物がフィルムである(6)に記載の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂成形物、(8)電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂成形物が容器である(6)または(7)に記載の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂成形物である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)としては、JIS K−6950, JIS K−6951, JIS K−6953あるいは化審法生分解性試験のいずれかの試験方法により60%以上の分解度が確認されるものであり、形状および融点は特に規定しない。具体例としてはポリ乳酸等が挙げられる。
本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物における熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)の含有量は30〜98.75重量%である。
【0012】
本発明で用いられるアルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)は、そのアルキル基の炭素数8〜30が好ましく、特には炭素数10〜15が好ましく、脂肪族炭化水素基内のひとつの水素がスルホン酸金属塩基によって置換されたものである。
【0013】
また、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)において金属塩をなす金属としてはナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属、あるいはカルシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属などが挙げられる。特に好ましくはナトリウムである。これらの金属は1種、または2種以上の組み合わせで用いることができる。具体例として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
【0014】
本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物におけるアルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)の含有量は、1〜69.75重量%の範囲であるが、好ましくは5〜50重量%、更に好ましくは10〜35重量%、特に好ましくは15〜30重量%である。含有量が多いと樹脂組成物の生産性が悪化し、含有量が少ないと所望する帯電防止効果を得ることが出来なくなる傾向がある。
【0015】
本発明で用いられるポリアルキレン化合物(C)のアルキル基の炭素数は8〜1000であり、脂肪族炭化水素のグリコールであることが好ましい。具体例としてポリエチレングリコールが挙げられる。また、分子量は特に規定しないが、常温下で液体の場合は樹脂組成物の生産性を損なう傾向があるため、常温下で固体である程度の分子量であることが好ましい。
【0016】
本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物におけるポリアルキレン化合物(C)の含有量は0.25〜69重量%である。好ましくは2〜30重量%、更に好ましくは5〜25重量%、特に好ましくは10〜20重量%である。含有量が多いと樹脂組成物の生産性が悪化し、含有量が少ないと所望する帯電防止効果を得ることが出来なくなる傾向がある。
【0017】
本発明で用いられるグリセリン酢酸脂肪酸エステル化合物またはグリセリン酢酸エステル化合物(D)は、B型粘度計による20℃での粘度が300mPa・s以下の値であることが好ましい。これより粘度が高い場合は、樹脂組成物の生産時に(D)供給機器の原料容器を加熱して(D)粘度を低下させることにより、樹脂組成物の生産性を改善することができる。グリセリン酢酸エステル化合物にはジグリセリン酢酸エステルも含まれる。
【0018】
本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物におけるグリセリン酢酸脂肪酸エステル化合物またはグリセリン酢酸エステル化合物(D)の含有量は0.25〜69重量%である。好ましくは2〜30重量%、更に好ましくは5〜25重量%、特に好ましくは10〜20重量%である。含有量が多いと樹脂組成物の生産性が著しく悪化し、含有量が少ないと所望する帯電防止効果を得ることが出来なくなる傾向がある。
【0019】
本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物の構成としては、上記の熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)、ポリアルキレン化合物(C)の組み合わせ、または熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)、グリセリン酢酸脂肪酸エステルまたはグリセリン酢酸エステル化合物(D)が挙げられる。あるいは熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)、ポリアルキレン化合物(C)、グリセリン酢酸脂肪酸エステルまたはグリセリン酢酸エステル化合物(D)の組み合わせも可能である。
【0020】
そして、上記構成成分、例えば(B)と(C)を(A)に、または(B)と(D)を(A)に、あるいは(B)と(C)と(D)を(A)に添加して、エクストルーダー、2軸ニーダー、ロールミル等の混練機を用いて均一に混合することにより得られる。
【0021】
本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物は、成形物と同じ組成であり、そのままの組成で成形されるコンパウンドでもよいし、または(B)や(C)や(D)が高濃度であり、成形時に、熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)(成形樹脂)で希釈されるマスターバッチでもよい。マスターバッチは、ペレット状又はフレーク状、粉末状等の所望の形状に成形することにより得られる。
【0022】
マスターバッチである場合、成形品製造の際に、成形樹脂としての熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)100重量部に対して、本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物を0.5〜10重量部配合することが好ましく、特に0.5〜3.5重量部が好ましい。
【0023】
また、本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物または成形物には、その用途に応じて所望の特性を付与するため、物性を損わない範囲で他の安定剤や添加剤を添加することもできる。
安定剤としては、例えばラクトン系、燐酸系、燐系、フェノール系、ビスフェノール系、ヒンダートフェノール系等の酸化防止剤、ヒンダートアミン系等の光安定剤、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤を使用できる。
【0024】
添加剤としては、例えば着色剤、充填剤(フィラー類)、滑剤、可塑剤等が挙げられる。着色剤としては特に制限はないが、例えばカーボンブラック、フタロシアニン、アゾ、ジスアゾ、キナクリドン、アントラキノン、フラバントロン、ペリレン、ジオキサジン、縮合アゾ、アゾメチン、又はメチン系等の各種有機顔料、酸化チタン、硫化亜鉛、硫酸鉛、酸化亜鉛、クロムエロー、ジンクエロー、クロムバーミリオン、ベンガラ、コバルト紫、群青、クロムグリーン、酸化クロム、コバルトグリーン等の無機顔料が挙げられる。
【0025】
充填剤としてはシリカ、ゼオライト、モンモリロナイト、タルク、クレー、カオリン、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
又、使用し得る滑剤としては、例えばステアリン酸、ベヘン酸及びそのエステル又は塩、カルナウバワックス、ポリエチレンワックス等のワックス類及び各種界面活性剤が用いられる。
可塑剤としては例えばフタル酸、リン酸、セバシン酸等のエステルが挙げられる。
【0026】
本発明の樹脂成形物の3次元成形物は、その成形物に応じて射出成形、押し出し成形、中空成形、回転成形、粉末成形、真空成形等それ自体公知の方法で成形される。その具体例としては工業製品用部品、家電製品用部品、精密製品用部品や、食品、洗剤、医薬品、化粧品、飲料製品等の容器及びそのキャップ類が挙げられる。
【0027】
2次元成形物は、熱可塑性樹脂のフィルム化に用いられるインフレーション加工、多層インフレーション加工、Tダイフィルム加工、フラットフィルム法による縦横同時二軸延伸法、又は縦横逐次二軸延伸法、チューブラフィルム法によるフィルムやシート等、スパンボンド法、メルトブロー法等による不織布のフィルムやシート等、それ自体公知の方法により作製される。この様にして作製されたフィルムやシートは食品包装、繊維包装、雑貨包装、薬品類の包装、テープ、ヤーン、シート、モノフィラメントからなるフィルム、農業用フィルム、養生シート、各種シール、ラベル等通常の熱可塑性樹脂フィルムやシートが用いられる分野と同様の分野で用いられる。
【0028】
これらの成形物は、多層構成物の一部でも良いが、最終的に使用に供される成形物に対して所望する帯電防止効果を付与するには、最表面部分に本発明の成形物が配置されなければならない。
【0029】
【実施例】
次に実施例に依って、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。以下、重量%は%、重量部は部と書く。
【0030】
実施例1
生分解性ポリ乳酸樹脂(島津製作所製 ラクティ)80%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(竹本油脂製、TYS−101)15%、ポリエチレングリコール(日本油脂製PEG400:平均分子量400)5%を混合してスクリュー径30mm、L/D値38の二軸同方向回転スクリュー押出機で、回転数250rpm、設定温度200℃の条件で練肉・押出した後、ペレタイザーでカットし、本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物のマスターバッチを得た。
【0031】
成形樹脂として、上記と同じ生分解性ポリ乳酸樹脂(島津製作所製 ラクティ)100部に対して、この組成物を2.5部の割合で混合し、T型ダイスヘッド付押し出し成形機(東洋精機製 ラボプラストミル)を使用して200℃にて成形し、幅10cm、厚さ50μmの未延伸フィルムを得た。
【0032】
実施例2
実施例1で用いた生分解性樹脂80%及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム15%と、ポリエチレングリコール(日本油脂製PEG4000:平均分子量4000)5%を、実施例1と同様にして本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物を得た。
【0033】
成形樹脂として、上記と同じ生分解性ポリ乳酸樹脂(島津製作所製 ラクティ)100部に対して、この樹脂組成物を2.5部、3.0部、3.5部の割合でそれぞれ混合し、T型ダイスヘッド付押し出し成形機(東洋精機製 ラボプラストミル)を使用して200℃にて成形し、幅10cm、厚さ50μmの未延伸フィルムを3種類得た。
【0034】
実施例3
実施例1で用いた生分解樹脂80%及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム15%と、ポリエチレングリコール(日本油脂製PEG20000:平均分子量20000)5%を、実施例1と同様にして本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物を得、同様に成形物を得た。
【0035】
実施例4
実施例1で用いた生分解樹脂60%及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム30%と、ポリエチレングリコール(日本油脂製PEG4000:平均分子量4000)10%を、実施例1と同様にして本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物を得た。
【0036】
成形樹脂として、上記と同じ生分解性ポリ乳酸樹脂(島津製作所製 ラクティ)100部に対して、この樹脂組成物を1.5部の割合で混合し、T型ダイスヘッド付押し出し成形機(東洋精機製 ラボプラストミル)を使用して200℃にて成形し、幅10cm、厚さ50μmの未延伸フィルムを得た。
【0037】
実施例5
生分解性ポリ乳酸樹脂(島津製作所製 ラクティ)80%、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(竹本油脂製、TYS−101)15%、グリセリン酢酸脂肪酸エステル(理研ビタミン製PL−009:20℃での粘度22.0mPa・s)5%を混合してスクリュー径30mm、L/D値38の二軸同方向回転スクリュー押出機で、回転数350rpm、設定温度140℃の条件で練肉・押出した後、ペレタイザーでカットし、本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物のマスターバッチを得た。
【0038】
成形樹脂として、上記と同じ生分解性ポリ乳酸樹脂(島津製作所製 ラクティ)100部に対して、この樹脂組成物を2.5部、3.0部、3.5部の割合でそれぞれ混合し、実施例1と同様にして成形物を3種類得た。
【0039】
実施例6
実施例5で用いた生分解性樹脂80%及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム15%と、ジグリセリン酢酸エステル(理研ビタミン製PL−710:20℃での粘度186.2mPa・s)5%を、実施例5と同様にして本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物を得た。また、実施例5と同様に、成形樹脂として上記と同じ生分解性ポリ乳酸樹脂(島津製作所製 ラクティ)100部に対して、この樹脂組成物を2.5部、3.0部、3.5部の割合でそれぞれ混合し、実施例1と同様にして成形物を3種類得た。
【0040】
実施例7
実施例1で用いた生分解樹脂60%及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム30%と、グリセリン酢酸脂肪酸エステル(理研ビタミン製PL−009:20℃での粘度22.0mPa・s)10%を、実施例1と同様にして本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物を得た。
【0041】
成形樹脂として、上記と同じ生分解性ポリ乳酸樹脂(島津製作所製 ラクティ)100部に対して、この樹脂組成物を1.5部の割合で混合し、T型ダイスヘッド付押し出し成形機(東洋精機製 ラボプラストミル)を使用して200℃にて成形し、幅10cm、厚さ50μmの未延伸フィルムを得た。
【0042】
実施例8
実施例1で用いた生分解樹脂60%及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム30%と、ジグリセリン酢酸エステル(理研ビタミン製PL−710:20℃での粘度186.2mPa・s)10%を、実施例1と同様にして本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物を得た。
【0043】
成形樹脂として、上記と同じ生分解性ポリ乳酸樹脂(島津製作所製 ラクティ)100部に対して、この樹脂組成物を1.5部の割合で混合し、T型ダイスヘッド付押し出し成形機(東洋精機製 ラボプラストミル)を使用して200℃にて成形し、幅10cm、厚さ50μmの未延伸フィルムを得た。
【0044】
比較例1
実施例1で用いた生分解性樹脂のみを、T型ダイスヘッド付押し出し成形機(東洋精機製 ラボプラストミル)を使用して200℃にて成形し、幅10cm、厚さ50μmの未延伸フィルムを得た。
【0045】
比較例2
実施例1で用いた生分解樹脂95%、非イオン系界面活性剤(花王製エレクトロストリッパーTS−5)5%を、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。そして、実施例1で用いた樹脂100部に対して、この樹脂組成物を2.5部、5部の割合でそれぞれ混合し、実施例1と同様にしてフィルムを2種類作成した。
【0046】
比較例3
実施例1で用いた生分解樹脂84%及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(竹本油脂製、TYS−101)15%と、エチレンビスステアリン酸アミド(日本油脂製、アーモワックスEBSパウダー)1%を、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。そして、実施例1で用いた樹脂100部に対して、この樹脂組成物を2.5部の割合で混合し、実施例1と同様にしてフィルムを作成した。
【0047】
[評価]
実施例及び比較例で得られたフィルムについて、表面電荷調整効果の評価を行った。温度23℃、相対湿度55%の恒温恒湿室に24時間および720時間静置したフィルムの表面抵抗率を、アドバンテスト社製超高抵抗計(R8340)を用いて測定して以下の基準で評価し、表1に示した。
【0048】
表面電荷調整効果の評価基準
A :表面抵抗率10×12乗[Ω]未満
B :表面抵抗率10×12乗[Ω]〜10×14乗[Ω]未満
C :表面抵抗率10×14乗[Ω]以上
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】
本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物は、熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)30〜98.75重量%、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)1〜69.75重量%、ポリアルキレン化合物(C)0.25〜69重量%を含有しているので、電荷制御性能を成形物に付与することができる。
【0051】
また、本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物は、熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)30〜98.75重量%、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)1〜69.75重量%、グリセリン酢酸脂肪酸エステルまたはグリセリン酢酸エステル化合物(D)0.25〜69重量%を含有しているので、電荷制御性能を成形物に付与することができる。
【0052】
アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)がナトリウム塩、また、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)のアルキル基の炭素数が8〜30である場合、上記効果はより顕著に得られる。
また、ポリアルキレン化合物(C)のアルキル基の炭素数が8〜1000の場合、上記効果はより顕著に得られる。
【0053】
本発明の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂成形物は、熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)100重量部に対して上記の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物を0.5〜10重量部配合して得られるので、良好な電荷制御性能を有し、塵埃付着による外観不良の発生を防止できる。特に成形物がフィルムである場合、フィルム同士の静電気付着による作業性の悪化を防止できるので、生産効率の点で顕著な効果を奏する。
Claims (8)
- 熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)30〜98.75重量%、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)1〜69.75重量%、ポリアルキレン化合物(C)0.25〜69重量%を含有する電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物。
- 熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)30〜98.75重量%、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)1〜69.75重量%、グリセリン酢酸脂肪酸エステルまたはグリセリン酢酸エステル化合物(D)0.25〜69重量%を含有する電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物。
- アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)がナトリウム塩である請求項1または2に記載の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物。
- アルキルベンゼンスルホン酸金属塩(B)のアルキル基の炭素数が8〜30である請求項1〜3いずれかに記載の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物。
- ポリアルキレン化合物(C)のアルキル基の炭素数が8〜1000である請求項1、3、4いずれかに記載の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物。
- 熱可塑性微生物崩壊樹脂(A)100重量部に対して請求項1〜5いずれか記載の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂組成物を0.5〜10重量部配合して得られる電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂成形物。
- 電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂成形物がフィルムである請求項6に記載の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂成形物。
- 電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂成形物が容器である請求項6または7に記載の電荷制御用熱可塑性微生物崩壊樹脂成形物。
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