JP2004099726A - 光酸発生剤および感光性組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、さらにその他のフォトファブリケーション工程に使用される感光性組成物、酸硬化性組成物、印刷版等に用いられる酸発生剤に関する。特に、250nm以下の遠紫外線などの露光光源、および電子線などによる照射源とする場合に好適な酸発生剤、およびそれを用いたレジスト組成物等の感光性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
化学増幅系レジスト組成物は、遠紫外光等の放射線の照射により露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする反応によって、活性放射線の照射部と非照射部の現像液に対する溶解性を変化させ、パターンを基板上に形成させるパターン形成材料である。
【0003】
従来、このような光酸発生剤としてはジアゾニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩などが用いられてきた。しかし、これらの酸発生剤は、例えばレジスト組成物に使用した際に感度、解像力、及びプロファイルが不十分となる問題があった。
【0004】
一方、スルホニルオキシピロン化合物、スルホニルオキシクマリン化合物が非特許文献1〜5等で知られていたが、酸発生剤としての用途や効果は知られておらず、さらにこれを含有する感光性組成物も知られていなかった。
【0005】
【非特許文献1】
J.Amer.Chem.Soc.;88;1996;834−837
【非特許文献2】
Tetrahedron.;27;1971;1043−1046
【非特許文献3】
J.Chem.Soc.Perkin Trans.1;EN;21;1996;2591−2598
【非特許文献4】
J.Chem.Soc.Perkin Trans.1;EN;18;1998;3065−3080
【非特許文献5】
Tetrahedron.Lett.;EN;41;10;2000;1543−1548
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、レジスト組成物等の感光性組成物及び酸硬化性組成物等に用いられる新規な光酸発生剤(活性光線の照射により酸を発生する化合物)を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
レジスト組成物等の感光性組成物に用いられる下記の新規な光酸発生剤により本発明の上記目的が達成される。
【0008】
(1)下記式(I)で示される光酸発生剤。
【化7】
式(I)中、
Y1〜Y4は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。ただし、Y1〜Y4の少なくとも1つは−OSO2Rを有する基である。
Y1〜Y4の少なくとも2つが互いに結合し環構造を形成しても良い。
Rはアルキル基、アリール基または樟脳残基を示す。
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR61−または−CHn(R61)m−を示す。ここで、R61はアルキル基を表し、m、nは各々0、1または2を表す。ただし、m+n=2である。
【0009】
(2)下記式(II)で示される光酸発生剤。
【化8】
式(II)中、
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR61−または−CHn(R61)m−を示す。Y3及びY4は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。ここで、Rはアルキル基、アリール基または樟脳残基を示す。
また、R61はアルキル基を表し、m、nは各々0、1または2を表す。ただし、m+n=2である。
R1〜R4は各々独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。
ただし、R1〜R4、Y3、Y4の少なくとも1つは−OSO2Rを有する基である。
【0010】
(3)下記式(I)に示す化合物を含有する感光性組成物。
【化9】
式(I)中、
Y1〜Y4は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。ただし、Y1〜Y4の少なくとも1つは−OSO2Rを有する基である。
Y1〜Y4の少なくとも2つが互いに結合し環構造を形成しても良い。
Rはアルキル基、アリール基または樟脳残基を示す。
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR61−または−CHn(R61)m−を示す。ここで、R61はアルキル基を表し、m、nは各々0、1または2を表す。ただし、m+n=2である。
【0011】
(4)下記式(II)に示す化合物を含有する感光性組成物。
【化10】
式(II)中、
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR61−または−CHn(R61)m−を示す。Y3及びY4は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。ここで、Rはアルキル基、アリール基または樟脳残基を示す。また、R61はアルキル基を表し、m、nは各々0、1または2を表す。ただし、m+n=2である。
R1〜R4は各々独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。
ただし、R1〜R4、Y3、Y4の少なくとも1つは−OSO2Rを有する基である。
【0012】
(5)下記成分(A)と(B)とを含有するポジ型レジスト組成物。
(A)下記式(I)に示される光酸発生剤
【化11】
式(I)中、
Y1〜Y4は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。ただし、Y1〜Y4の少なくとも1つは−OSO2Rを有する基である。
Y1〜Y4の少なくとも2つが互いに結合し環構造を形成しても良い。
Rはアルキル基、アリール基または樟脳残基を示す。
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR61−または−CHn(R61)m−を示す。ここで、R61はアルキル基を表し、m、nは各々0、1または2を表す。ただし、m+n=2である。
(B)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する樹脂
【0013】
(6)下記成分(A)、(D)および(E)を含有するネガ型レジスト組成物。(A)下記式(I)に示される光酸発生剤
【化12】
式(I)中、
Y1〜Y4は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。ただし、Y1〜Y4の少なくとも1つは−OSO2Rを有する基である。
Y1〜Y4の少なくとも2つが互いに結合し環構造を形成しても良い。
Rはアルキル基、アリール基または樟脳残基を示す。
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR61−または−CHn(R61)m−を示す。ここで、R61はアルキル基を表し、m、nは各々0、1または2を表す。ただし、m+n=2である。
(D)アルカリ可溶性樹脂
(E)酸架橋剤
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係わる感光性組成物としては、好ましくはレジスト組成物、詳しくは化学増幅系ポジ型レジスト組成物及び化学増幅系ネガ型レジスト組成物を挙げることができる。
本発明に係わる化学増幅系ポジ型レジスト組成物は、
(A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する前記式(I)で表される化合物(酸発生剤)、及び(B)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する樹脂を含有し、必要に応じて更に(C)酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する、溶解阻止化合物を含有するか、
或いは(A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する前記一般式(I)で表される化合物(酸発生剤)、(D)アルカリ現像液に可溶な樹脂(アルカリ可溶性樹脂)、及び(C)酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する溶解阻止化合物を含有する。
本発明に係わる化学増幅系ネガ型レジスト組成物は、(A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する前記式(I)で表される化合物、(D)アルカリ現像液に可溶な樹脂(アルカリ可溶性樹脂)及び(E)酸の作用により該アルカリ現像液に可溶な樹脂と架橋する酸架橋剤を含有する。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】
〔1〕(A)光酸発生剤(以下、「(A)成分」、「(A)の化合物」ともいう)
本発明に係わる光酸発生剤は、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、X線、電子線などの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する、下記式(I)で表される化合物である。
【化13】
【0016】
式(I)中、
Y1〜Y4は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。ただし、Y1〜Y4の少なくとも1つは−OSO2Rを有する基である。
Y1〜Y4の少なくとも2つが互いに結合し環構造を形成しても良い。
Rはアルキル基、アリール基または樟脳残基を示す。
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR61−または−CHn(R61)m−を示す。ここで、R61はアルキル基を表し、m、nは各々0、1または2を表す。ただし、m+n=2である。
【0017】
Y1〜Y4のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、及びシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等の環状のアルキル基を挙げることができるが、これらは更に置換基を有していても良い。
Y1〜Y4のアリール基は、好ましくは炭素数6〜14のアリール基であり、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができるが、これらは更に置換基を有していても良い。
【0018】
Y1〜Y4のハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、弗素原子、沃素原子等を挙げることができる。
Y1〜Y4のアルコキシ基としては、例えば、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。これらは更に置換基を有していても良い。
【0019】
Y1〜Y4の少なくとも2つが互いに結合し、環構造を形成しても良いが、隣あう2つが芳香環を形成することが好ましい。その環はヘテロ原子、オキソ基を含有していてもよい。また、更に置換されていてもよい。
【0020】
Y1〜Y4の−OSO2Rを有する基とは、−OSO2Rで表される基自体、又は、置換基として−OSO2Rで表される基を有する有機基を意味する。置換基として−OSO2Rを有する有機基としては、例えば、Y1〜Y4としてのアルキル基、アリール基、アルコキシ基に−OSO2Rが置換した基を挙げることができる。
Rのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、及びシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等の環状のアルキル基を挙げることができるが、これらは更に置換基を有していても良い。
Rのアリール基は、好ましくは炭素数6〜14のアリール基であり、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができるが、これらは更に置換基を有していても良い。
【0021】
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR61−または−CHn(R61)m−を示す。ここで、R61はアルキル基を表し、m、nは各々0、1または2を表す。ただし、m+n=2である。R61は好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、及びシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等の環状のアルキル基を挙げることができるが、これらは更に置換基を有していても良い。
【0022】
Y1とY2は、好ましくは互いに結合して上記式(II)のような構造をとることが好ましい。
Y3は−OSO2Rを有する基であることが好ましい。
従って、本発明の(A)成分は、下記式(III)で示される化合物であることが好ましく、下記式(IV)で示される化合物であることがより好ましい。
【0023】
【化14】
【0024】
【化15】
【0025】
式(III)および式(IV)中、Y1、Y2、Y4、R、Xの定義は式(I)、式(II)と同じである。
R1〜R4は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。
R1〜R4のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、及びシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等の環状のアルキル基を挙げることができるが、これらは更に置換基を有していても良い。
R1〜R4のアリール基は、好ましくは炭素数6〜14のアリール基であり、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができるが、これらは更に置換基を有していても良い。
【0026】
R1〜R4のハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、弗素原子、沃素原子等を挙げることができる。
R1〜R4のアルコキシ基としては、例えば、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。これらは更に置換基を有していても良い。
【0027】
R1〜R4の−OSO2Rを有する基とは、−OSO2Rで表される基自体、又は、置換基として−OSO2Rで表される基を有する有機基を意味する。置換基として−OSO2Rを有する有機基としては、例えば、R1〜R4としてのアルキル基、アルコキシ基、水酸基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基またはアシルオキシ基に−OSO2Rが置換した基を挙げることができる。
【0028】
R1〜R4の少なくとも2つが互いに結合し、環構造を形成しても良い。
【0029】
Y1〜Y4、R、X、R1〜R4が更に置換基を有する場合、例えば、アリール基(例えばフェニル基)、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)等の置換基を有することができる。アリール基及びアリーレン基については、更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜5)を挙げることができる。
【0030】
以下に、本発明の(A)成分の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
【化16】
【0032】
式(I)で表される光酸発生剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0033】
式(I)で示される光酸発生剤はヒドロキシクマリン、ヒドロキシピロンなど対応する水酸基含有化合物とスルホン酸クロリドまたはスルホン酸無水物とをトリエチルアミンなどの塩基性条件下で反応させることにより得ることができる。
【0034】
(A)成分の光酸発生剤の本発明のレジスト組成物中における含量は、組成物の固形分を基準として、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜7質量%、更に好ましくは0.2〜5質量%である。
【0035】
尚、式(I)で示される光酸発生剤を含有するレジスト組成物は、遠紫外光による露光用であることが好ましい。
【0036】
(A)成分以外の併用しうる酸発生化合物
本発明においては、成分(A)以外に、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物を更に併用してもよい。
本発明の(A)成分と併用しうる光酸発生剤の使用量は、モル比(成分(A)/その他の酸発生剤)で、通常100/0〜20/80、好ましくは100/0〜40/60、更に好ましくは100/0〜50/50である。
そのような併用可能な光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0037】
例えば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
【0038】
また、これらの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。
【0039】
さらに米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0040】
併用してもよい活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の中で、特に好ましいものの例を以下に挙げる。
【0041】
【化17】
【0042】
【化18】
【0043】
【化19】
【0044】
〔2〕(B)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する樹脂(以下、「成分(B)」ともいう)
本発明の化学増幅系レジスト組成物に用いられる酸により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する樹脂としては、樹脂の主鎖又は側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に、酸で分解し得る基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有する樹脂である。この内、酸で分解し得る基を側鎖に有する樹脂がより好ましい。
【0045】
酸で分解し得る基として好ましい基は、−COOH基、−OH基の水素原子を酸分解性基で置換した基である。
酸分解性基としては好ましくは、シリルエーテル基、クミルエステル基、アセタール基、テトラヒドロピラニルエーテル基、エノールエーテル基、エノールエステル基、第3級のアルキルエーテル基、第3級のアルキルエステル基、第3級のアルキルカーボネート基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基、第3級アルキルカーボネート基、クミルエステル基、アセタール基、テトラヒドロピラニルエーテル基である。
【0046】
これら酸で分解し得る基が側鎖として結合する場合の母体樹脂としては、側鎖に−OHもしくは−COOH基を有するアルカリ可溶性樹脂である。例えば、後述するアルカリ可溶性樹脂を挙げることができる。
【0047】
これらアルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解速度は、0.261Nテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)で測定(23℃)して170A/秒以上のものが好ましい。特に好ましくは330A/秒以上のものである(Aはオングストローム)。
このような観点から、特に好ましいアルカリ可溶性樹脂は、o−,m−,p−ポリ(ヒドロキシスチレン)及びこれらの共重合体、水素化ポリ(ヒドロキシスチレン)、ハロゲンもしくはアルキル置換ポリ(ヒドロキシスチレン)、ポリ(ヒドロキシスチレン)の一部、O−アルキル化もしくはO−アシル化物、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、水素化ノボラック樹脂等のヒドロキシスチレン構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂である。
【0048】
本発明に用いられる成分(B)は、欧州特許254853号、特開平2−25850号、同3−223860号、同4−251259号等に開示されているように、アルカリ可溶性樹脂に酸で分解し得る基の前駆体を反応させる、もしくは、酸で分解し得る基の結合したアルカリ可溶性樹脂モノマーを種々のモノマーと共重合して得ることができる。
【0049】
本発明に使用される成分(B)の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0050】
p−t−ブトキシスチレン/p−ヒドロキシスチレン共重合体、
p−(t−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン共重合体、
p−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン共重合体、
4−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)−3−メチルスチレン/4−ヒドロキシ−3−メチルスチレン共重合体、
p−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン(10%水素添加物)共重合体、
m−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/m−ヒドロキシスチレン共重合体、
o−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/o−ヒドロキシスチレン共重合体、
p−(クミルオキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン共重合体、
クミルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体、
4−t−ブトキシカルボニルスチレン/マレイン酸ジメチル共重合体、
ベンジルメタクリレート/テトラヒドロピラニルメタクリレート、
【0051】
p−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン/スチレン共重合体、
p−t−ブトキシスチレン/p−ヒドロキシスチレン/フマロニトリル共重合体、
t−ブトキシスチレン/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、
スチレン/N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド/N−(4−t−ブトキシカルボニルオキシフェニル)マレイミド共重合体、
p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルメタクリレート共重合体、
スチレン/p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルメタクリレート共重合体、
p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレート共重合体、
スチレン/p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレート共重合体、
p−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン/N−メチルマレイミド共重合体、
t−ブチルメタクリレート/1−アダマンチルメチルメタクリレート共重合体、
p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレート/p−アセトキシスチレン共重合体、
p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレート/p−(t−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン共重合体、
p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレート/p−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン共重合体、
【0052】
【化20】
【0053】
酸で分解し得る基の含有率は、樹脂中の酸で分解し得る基の数(B)と酸で分解し得る基で保護されていないアルカリ可溶性基の数(S)をもって、B/(B+S)で表される。含有率は、好ましくは0.01〜0.7、より好ましくは0.05〜0.50、更に好ましくは0.05〜0.40である。
【0054】
本発明に係わるレジスト組成物にArFエキシマレーザー光を照射する場合には、(B)成分の樹脂は、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有し、酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増加する樹脂であることが好ましい。
【0055】
単環又は多環の脂環炭化水素構造を有し、酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増加する樹脂(以下、「脂環炭化水素系酸分解性樹脂」ともいう)としては、下記一般式(pI)〜一般式(pVI)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位及び下記一般式(II−AB)で示される繰り返し単位の群から選択される少なくとも1種を含有する樹脂であることが好ましい。
【0056】
【化21】
【0057】
(式中、R11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表し、Zは、炭素原子とともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団を表す。
R12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかは脂環式炭化水素基を表す。
R17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R17〜R21のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R19、R21のいずれかは炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。
R22〜R25は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R22〜R25のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。)
【0058】
【化22】
【0059】
式(II−AB)中:
R11’,R12’は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
Z’は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、置換基を有していてもよい脂環式構造を形成するための原子団を表す。
【0060】
また、上記一般式(II−AB)は、下記一般式(II−A)又は一般式(II−B)であることが更に好ましい。
【0061】
【化23】
【0062】
式(II−A)、(II−B)中:
R13’〜R16’は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOH、−COOR5、酸の作用により分解する基、−C(=O)−X−A’−R17’、又は置換基を有していてもよいアルキル基あるいは環状炭化水素基を表す。
ここで、R5は、置換基を有していてもよい、アルキル基、環状炭化水素基又は下記の−Y基を表す。
Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−NHSO2−又は−NHSO2NH−を表す。
A’は単結合又は2価の連結基を表す。
また、Rl3’〜R16’のうち少なくとも2つが結合して環を形成してもよい。nは0又は1を表す。
R17’は、−COOH、−COOR5、−CN、水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、−CO−NH−R6、−CO−NH−SO2−R6又は下記の−Y基を表す。
R6は、置換基を有していてもよい、アルキル基又は環状炭化水素基を表す。−Y基;
【0063】
【化24】
【0064】
(−Y基中、R21’〜R30’は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。a,bは1又は2を表す。)
【0065】
一般式(pI)〜(pVI)において、R12〜R25におけるアルキル基としては、置換もしくは非置換のいずれであってもよい、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。そのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、上記アルキル基の更なる置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アシル基、アシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0066】
R11〜R25における脂環式炭化水素基或いはZと炭素原子が形成する脂環式炭化水素基としては、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよい。
以下に、脂環式炭化水素基のうち、脂環式部分の構造例を示す。
【0067】
【化25】
【0068】
【化26】
【0069】
【化27】
【0070】
【化28】
【0071】
本発明においては、上記脂環式部分の好ましいものとしては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、デカリン残基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基である。
【0072】
これらの脂環式炭化水素基の置換基としては、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基よりなる群から選択された置換基を表す。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。上記アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。
【0073】
上記樹脂における一般式(pI)〜(pVI)で示される構造は、アルカリ可溶性基の保護に使用することができる。アルカリ可溶性基としては、この技術分野において公知の種々の基が挙げられる。
具体的には、カルボン酸基、スルホン酸基、フェノール基、チオール基などが挙げられ、好ましくはカルボン酸基、スルホン酸基である。
上記樹脂における一般式(pI)〜(pVI)で示される構造で保護されたアルカリ可溶性基としては、好ましくは下記一般式(pVII)〜(pXI)で表される基が挙げられる。
【0074】
【化29】
【0075】
ここで、R11〜R25ならびにZは、それぞれ前記定義に同じである。
上記樹脂において、一般式(pI)〜(pVI)で示される構造で保護されたアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(pA)で示される繰り返し単位が好ましい。
【0076】
【化30】
【0077】
ここで、Rは、水素原子、ハロゲン原子又は1〜4個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。複数のRは、各々同じでも異なっていてもよい。Rとしては、フロロアルキル等もあげられる。
Aは、単結合、アルキレン基、置換アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフォンアミド基、ウレタン基、又はウレア基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを表す。
Raは、上記式(pI)〜(pVI)のいずれかの基を表す。
【0078】
以下、一般式(pA)で示される繰り返し単位の具体例を示す。
【0079】
【化31】
【0080】
上記一般式(II−AB)において、R11’、R12’は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
Z’は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、置換基を有していてもよい脂環式構造を形成するための原子団を表す。
【0081】
上記R11’、R12’におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
上記R11’、R12’、R21’〜R30’におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基である。
【0082】
上記のアルキル基における更なる置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシ基、アシル基、シアノ基、アシルオキシ基等を挙げることができる。ハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができ、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができ、アシル基としてはホルミル基、アセチル基等を挙げることができ、アシルオキシ基としてはアセトキシ基等を挙げることができる。
【0083】
上記Z’の脂環式構造を形成するための原子団は、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素の繰り返し単位を樹脂に形成する原子団であり、中でも有橋式の脂環式炭化水素の繰り返し単位を形成する有橋式脂環式構造を形成するための原子団が好ましい。
形成される脂環式炭化水素の骨格としては、一般式(pI)〜(pVI)に於けるR11〜R25及び一般式(II−AB)に於けるZ’の脂環式部分の前記構造例(1)〜(51)と同様のものが挙げられる。
【0084】
好ましい有橋式の脂環式炭化水素の骨格としては、前記構造例のうち、(5)、(6)、(7)、(9)、(10)、(13)、(14)、(15)、(23)、(28)、(36)、(37)、(42)、(47)が挙げられる。
【0085】
上記脂環式炭化水素の骨格には置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、前記一般式(II−A)あるいは(II−B)中のR13’〜R16’を挙げることができる。
上記有橋式の脂環式炭化水素を有する繰り返し単位の中でも、上記一般式(II−A)あるいは(II−B)で表される繰り返し単位が更に好ましい。
【0086】
本発明に係わる脂環炭化水素系酸分解性樹脂において、酸分解性基は、前記−C(=O)−X−A’−R17’に含まれてもよいし、一般式(II−AB)のZ’の置換基として含まれてもよい。
酸分解性基の構造としては、−C(=O)−X1−R0 で表される。
式中、R0 としては、t−ブチル基、t−アミル基等の3級アルキル基、イソボロニル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−シクロヘキシロキシエチル基等の1−アルコキシエチル基、1−メトキシメチル基、1−エトキシメチル基等のアルコキシメチル基、3−オキソアルキル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリアルキルシリルエステル基、3−オキソシクロヘキシルエステル基、2−メチル−2−アダマンチル基、メバロニックラクトン残基等を挙げることができる。X1は、上記Xと同義である。
【0087】
上記R13’〜R16’におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0088】
上記R5、R6、R13’〜R16’におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基である。
【0089】
上記R5、R6、R13’〜R16’における環状炭化水素基としては、例えば環状アルキル基、有橋式炭化水素であり、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、イソボロニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンテニル基、ノボルナンエポキシ基、メンチル基、イソメンチル基、ネオメンチル基、テトラシクロドデカニル基等を挙げることができる。
上記R13’〜R16’のうち少なくとも2つが結合して形成する環としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の炭素数5〜12の環が挙げられる。
【0090】
上記R17’におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。
【0091】
上記アルキル基、環状炭化水素基、アルコキシ基における更なる置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシ基、アシル基、シアノ基、アシルオキシ基、アルキル基、環状炭化水素基等を挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものが挙げることができ、アシル基としてはホルミル基、アセチル基等を挙げることができ、アシルオキシ基としてはアセトキシ基等を挙げることができる。
また、アルキル基、環状炭化水素基は、上記で挙げたものが挙げられる。
【0092】
上記A’の2価の連結基としては、アルキレン基、置換アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフォンアミド基、ウレタン基、ウレア基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせが挙げられる。
上記A’におけるアルキレン基、置換アルキレン基としては、下記式で表される基を挙げることができる。
−〔C(Ra )(Rb )〕r −
式中、Ra 、Rb は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。rは1〜10の整数を表す。
【0093】
本発明に係る脂環炭化水素系酸分解性樹脂においては、酸の作用により分解する基は、前記一般式(pI)〜一般式(pVI)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位、一般式(II−AB)で表される繰り返し単位、及び後記共重合成分の繰り返し単位のうち少なくとも1種の繰り返し単位に含有することができる。
【0094】
上記一般式(II−A)あるいは一般式(II−B)におけるR13’〜R16’の各種置換基は、上記一般式(II−AB)における脂環式構造を形成するための原子団ないし有橋式脂環式構造を形成するための原子団Zの置換基ともなるものである。
【0095】
上記一般式(II−A)あるいは一般式(II−B)で表される繰り返し単位の具体例として次のものが挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0096】
【化32】
【0097】
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、下記一般式(Lc)又は下記一般式(V−1)〜(V−5)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位を含有することが好ましい。
【0098】
【化33】
【0099】
【化34】
【0100】
一般式(Lc)中、Ra1,Rb1,Rc1,Rd1,Re1は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。m,nは各々独立に0〜3の整数を表し、m+nは、2以上6以下である。
【0101】
一般式(V−1)〜(V−5)において、R1b〜R5bは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニルイミノ基又はアルケニル基を表す。R1b〜R5bの内の2つは、結合して環を形成してもよい。
【0102】
一般式(Lc)に於けるRa1〜Re1のアルキル基及び一般式(V−1)〜(V−5)に於けるR1b〜R5bのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニルイミノ基におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐状のアルキル基が挙げられ、置換基を有していてもよい。
直鎖状、分岐状のアルキル基としては、炭素数1〜12個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基である。
R1b〜R5bにおけるシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜8個のものが好ましい。
R1b〜R5bにおけるアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜6個のものが好ましい。
また、R1b〜R5bの内の2つが結合して形成する環としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環等の3〜8員環が挙げられる。
なお、一般式(V−1)〜(V−5)におけるR1b〜R5bは、環状骨格を構成している炭素原子のいずれに連結していてもよい。
【0103】
Ra1〜Re1のアルキル基及びR1b〜R5bのアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニルイミノ基、アルケニル基が有してもよい好ましい置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0104】
一般式(Lc)又は一般式(V−1)〜(V−5)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位としては、上記一般式(II−A)又は(II−B)中のR13’〜R16’のうち少なくとも1つが一般式(Lc)又は一般式(V−1)〜(V−5)で表される基を有するもの(例えば−COOR5のR5が一般式(Lc)又は一般式(V−1)〜(V−5)で表される基を表す)、又は下記一般式(AI)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
【0105】
【化35】
【0106】
一般式(AI)中、Rb0は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4の置換もしくは非置換のアルキル基を表す。Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、前記一般式(V−1)〜(V−5)におけるR1bとしてのアルキル基が有していてもよい好ましい置換基として先に例示したものが挙げられる。Rb0としては、フロロアルキル等もあげられる。
Rb0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。Rb0は水素原子が好ましい。
A’は、単結合、エーテル基、エステル基、カルボニル基、アルキレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。
B2は、一般式(Lc)又は一般式(V−1)〜(V−5)のうちのいずれかで示される基を表す。A’において、該組み合わせた2価の基としては、例えば下記式のものが挙げられる。
【0107】
【化36】
【0108】
上記式において、Rab、Rbbは、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、
ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基を挙げることができる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。r1は1〜10の整数、好ましくは1〜4の整数を表す。mは1〜3の整数、好ましくは1又は2を表す。
【0109】
以下に、一般式(AI)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明の内容がこれらに限定されるものではない。
【0110】
【化37】
【0111】
【化38】
【0112】
【化39】
【0113】
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、下記一般式(VII)で表される基を有する繰り返し単位を含有してもよい。
【0114】
【化40】
【0115】
一般式(VII)中、R2c〜R4cは、各々独立に水素原子又は水酸基を表す。ただし、R2c〜R4cのうち少なくとも1つは水酸基を表す。
【0116】
一般式(VII)で表される基は、好ましくはジヒドロキシ体、モノヒドロキシ体であり、より好ましくはジヒドロキシ体である。
【0117】
一般式(VII)で表される基を有する繰り返し単位としては、上記一般式(II−A)又は(II−B)中のR13’〜R16’のうち少なくとも1つが上記一般式(VII)で表される基を有するもの(例えば−COOR5のR5が一般式(VII)で表される基を表す)、又は下記一般式(AII)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
【0118】
【化41】
【0119】
一般式(AII)中、R1cは、水素原子、メチル基またはフロロアルキル等を表す。フロロアルキルは炭素数1〜10のものが好ましい。また、これらの基はさらに置換基を有しても良い。
R2c〜R4cは、各々独立に水素原子又は水酸基を表す。ただし、R2c〜R4cのうち少なくとも1つは水酸基を表す。
【0120】
以下に、一般式(AII)で表される構造を有する繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0121】
【化42】
【0122】
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、下記一般式(VIII)で表される繰り返し単位を含有してもよい。
【0123】
【化43】
【0124】
上記一般式(VIII)に於いて、Z2は、−O−又は−N(R41)−を表す。ここでR41は、水素原子、水酸基、アルキル基、ハロアルキル基、又は−OSO2−R42を表す。R42は、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基又は樟脳残基を表す。
【0125】
上記R41及びR42におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基である。
上記R41及びR42 におけるハロアルキル基としてはトリフルオロメチル基、ナノフルオロブチル基、ペンタデカフルオロオクチル基、トリクロロメチル基等を挙げることができる。上記R42におけるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。
【0126】
R41及びR42としてのアルキル基及びハロアルキル基、R42としてのシクロアルキル基又は樟脳残基は置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッソ素原子、沃素原子)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アシル基(好ましくは炭素数2〜5、例えば、ホルミル基、アセチル基等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜5、例えばアセトキシ基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14、例えばフェニル基)等を挙げることができる。
【0127】
上記一般式(VIII)で表される繰り返し単位の具体例として次の[I’−1]〜[I’−7]が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0128】
【化44】
【0129】
【化45】
【0130】
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を含有することができる。
【0131】
このような繰り返し構造単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これにより、脂環炭化水素系酸分解性樹脂に要求される性能、特に、
(1)塗布溶剤に対する溶解性、
(2)製膜性(ガラス転移点)、
(3)アルカリ現像性、
(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、
(5)未露光部の基板への密着性、
(6)ドライエッチング耐性、
等の微調整が可能となる。
このような単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
【0132】
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
【0133】
脂環炭化水素系酸分解性樹脂において、各繰り返し構造単位の含有モル比はレジストのドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにはレジストの一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
【0134】
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂の好ましい態様としては、以下のものが挙げられる。
(1) 上記一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位を含有するもの(側鎖型)
(2) 一般式(II−AB)で表される繰り返し単位を含有するもの(主鎖型)
但し、(2)においては例えば、更に以下のものが挙げられる。
(3) 一般式(II−AB)で表される繰り返し単位、無水マレイン酸誘導体及び(メタ)アクリレート構造を有するもの(ハイブリッド型)
【0135】
脂環炭化水素系酸分解性樹脂中、一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中30〜70モル%が好ましく、より好ましくは35〜65モル%、更に好ましくは40〜60モル%である。
脂環炭化水素系酸分解性樹脂中、一般式(II−AB)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中10〜60モル%が好ましく、より好ましくは15〜55モル%、更に好ましくは20〜50モル%である。
【0136】
また、上記更なる共重合成分の単量体に基づく繰り返し構造単位の樹脂中の含有量も、所望のレジストの性能に応じて適宜設定することができるが、一般的に、上記一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し構造単位と上記一般式(II−AB)で表される繰り返し単位の合計した総モル数に対して99モル%以下が好ましく、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下である。
本発明のレジスト組成物がArF露光用であるとき、ArF光への透明性の点から樹脂は芳香族基を有さないことが好ましい。
【0137】
また、本発明の(B)酸分解性樹脂としては、ポリマー骨格の主鎖及び/又は側鎖にフッ素原子が置換した構造を有し、且つ酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度を増大する樹脂(以下、フッ素基含有樹脂ともいう)が好ましく、さらに好ましくは1位がフッ素原子またはフロロアルキル基で置換された水酸基または1位がフッ素原子またはフロロアルキル基で置換された水酸基を酸分解基で保護した基を含有する樹脂であり、最も好ましくはヘキサフロロ−2−プロパノール構造またはヘキサフロロ−2−プロパノールの水酸基を酸分解基で保護した構造を含有する樹脂である。フッ素原子を導入することで遠紫外光、特にF2(157nm)光に対する透明性を向上させることができる。
【0138】
(B)酸分解性樹脂におけるフッ素基含有樹脂として、例えば、下記一般式(FA)〜(FG)で示される繰り返し単位を少なくとも一つ有する樹脂を好ましく挙げることができる。
【0139】
【化46】
【0140】
前記一般式中、
R100−R103はそれぞれ水素原子、フッ素原子、アルキル基、フロロアルキル基またはアリール基、
R104およびR106はそれぞれ水素原子、フッ素原子またはフロロアルキル基であり、R104およびR106の少なくとも1方がフッ素原子またはフロロアルキル基である。R104およびR106は好ましくは両方トリフロロメチル基である。
R105は水素原子、アルキル基、フロロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基または酸の作用により分解する基である。
A1は単結合、2価の連結基、例えば直鎖、分岐、環状アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−OCO−、−COO−、または−CON(R24)−、およびこれらのうちの複数を含有する連結基である。
R24は水素原子またはアルキル基である。
R107,R108はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、フロロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基または酸の作用により分解する基である。
R109は水素原子、アルキル基、フロロアルキル基、酸の作用により分解する基である。
一般式(FA)〜(FG)で表される繰り返し単位は、一繰り返し単位あたりに少なくとも1つ、好ましくは3つ以上のフッ素原子を含む。
【0141】
上記一般式(FA)〜(FG)において、アルキル基としては、例えば炭素数1〜8個のアルキル基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基を好ましく挙げることができる。
シクロアルキル基としては単環型でもよく、多環型でもよい。単環型としては炭素数3〜8個のものであって、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基を好ましく挙げることができる。多環型としては炭素数6〜20個のものであって、例えばアダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を好ましく挙げることができる。但し、上記の単環又は多環のシクロアルキル基中の炭素原子が、酸素原子等のヘテロ原子に置換されていてもよい。
【0142】
フルオロアルキル基としては、例えば炭素数4〜12個のものであって、具体的にはパーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロオクチルエチル基、パーフルオロドデシル基等を好ましくあげることができる。
ハロアルキル基としては、例えば炭素数1〜4個のハロアルキル基であって、具体的にはクロロメチル基、クロロエチル基、クロロプロピル基、クロロブチル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基等を好ましく挙げることができる。
【0143】
アリール基としては、例えば炭素数6〜15個のアリール基であって、具体的には、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、9,10−ジメトキシアントリル基等を好ましく挙げることができる。
アラルキル基としては、例えば炭素数7〜12個のアラルキル基であって、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を好ましく挙げることができる。
アルケニル基としては、例えば炭素数2〜8個のアルケニル基であって、具体的には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基を好ましく挙げることができる。
【0144】
アルコキシ基としては、例えば炭素数1〜8個のアルコキシ基であって、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、アリルオキシ基、オクトキシ基等を好ましく挙げることができる。
アシル基としては、例えば炭素数1〜10個のアシル基であって、具体的には、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ピバロイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基等を好ましく挙げることができる。
アシロキシ基としては、炭素数2〜12個のアシロキシ基が好ましく、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等を挙げることができる。
アルキニル基としては、炭素数2〜5のアルキニル基が好ましく、例えばエチニル基、プロピニル基、ブチニル基等を挙げることができる。
アルコキシカルボニル基としては、i−プロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、t−アミロキシカルボニル基、1−メチル−1−シクロヘキシルオキシカルボニル基等、好ましくは2級、より好ましくは3級のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0145】
アルキレン基としては、好ましくは置換基を有していてもよいメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等の炭素数1〜8個のものが挙げられる。
アルケニレン基としては、好ましくは置換基を有していてもよいエテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基等の炭素数2〜6個のものが挙げられる。
シクロアルキレン基としては、好ましくは置換基を有していてもよいシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等の炭素数5〜8個のものが挙げられる。
アリーレン基としては、好ましくは置換基を有していてもよいフェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等の炭素数6〜15個のものが挙げられる。
【0146】
またこれらの基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の活性水素を有するものや、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、チオエーテル基、アシル基(アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基等)、アシロキシ基(アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基等)、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
ここで、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基は上記で示したものが挙げられるが、アルキル基は、更にフッ素原子、シクロアルキル基で置換されていてもよい。
【0147】
本発明のフッ素基含有樹脂に含まれる、酸の作用により分解しアルカリ可溶性を示す基としては、例えば−O−C(R36)(R37)(R38)、−O−C(R36)(R37)(OR39)、−O−COO−C(R36)(R37)(R38)、−O−C(R01)(R02)COO−C(R36)(R37)(R38)、−COO−C(R36)(R37)(R38)、−COO−C(R36)(R37)(OR39)等が挙げられる。R36〜R39は上記と同義であり、R01、R02は水素原子、上記で示した置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、もしくはアリール基を表す。
【0148】
好ましい具体例としては、t−ブチル基、t−アミル基、1−アルキル−1−シクロヘキシル基、2−アルキル−2−アダマンチル基、2−アダマンチル−2−プロピル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−プロピル基等の3級アルキル基のエーテル基又はエステル基、1−アルコキシ−1−エトキシ基、テトラヒドロピラニル基等のアセタール基又はアセタールエステル基、t−アルキルカーボネート基、t−アルキルカルボニルメトキシ基等が好ましく挙げられる。
【0149】
以下に一般式(FA)〜(FG)で表される繰り返し構造単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0150】
【化47】
【0151】
【化48】
【0152】
【化49】
【0153】
【化50】
【0154】
一般式(FA)〜(FG)で示される繰り返し単位の含量の合計は、樹脂を構成する全繰り返し単位に対して、一般的に10〜80モル%、好ましくは30〜70モル%、更に好ましくは35〜65モル%の範囲で使用される。
【0155】
本発明(B)の樹脂は、上記のような繰り返し構造単位以外にも、更に本発明のレジストの性能を向上させる目的で、他の重合性モノマーを共重合させてもよい。
【0156】
使用することができる共重合モノマーとしては、以下に示すものが含まれる。例えば、上記以外のアクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、クロトン酸エステル類などから選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物である。
【0157】
このようなフッ素含有樹脂には、ドライエッチング耐性向上、アルカリ可溶性調節、基板密着性向上などの観点から、前記フッ素原子を有する繰り返し単位の他に共重合成分として他の繰り返し単位を含有することが好ましい。他の繰り返し単位として好ましいものとしては:
1)前記一般式(pI)〜(pVI)及び(II−AB)に示す脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位。具体的には前記1〜23の繰り返し単位および [II−1]〜[II−32]の繰り返し単位。好ましくは上記具体例1〜23
のうちRxがCF3のものである。
2)前記一般式(Lc)及び(V−1)〜(V−5)に示すラクトン構造を有する繰り返し単位。具体的には前記(IV−1)〜(IV−16)の繰り返し
単位および(Ib−1)〜(IV−11)の繰り返し単位。
3)無水マレイン酸、ビニルエーテルまたはシアノ基を有するビニル化合物から由来される下記一般式(XV)(XVI)(XVII)、具体的には(C−1)〜(C−15)に挙げられる繰り返し単位
が挙げられる。これら他の繰り返し単位中にはフッ素原子を含んでいてもいなくてもよい。
【0158】
【化51】
【0159】
式中、R41はアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基もしくはアリール基を表す。
R42は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基又はハロアルキル基を表す。
A5は単結合、2価のアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基もしくはアリーレン基、又は−O−CO−R22−、−CO−O−R23−、−CO−N(R24)−R25−を表す。
R22、R23、R25は同じでも異なっていてもよく、単結合、又はエーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基もしくはウレイド基を有してもよい、2価のアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基を表す。
R24は水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を表す。
nは0又は1を表し、x、y、zは0〜4の整数を表す。
ここで、各置換基の例は、前記一般式(FA)〜(FG)の置換基と同様のものがあげられる。
【0160】
また一般式(XVI)〜(XVII)で表される繰り返し構造単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0161】
【化52】
【0162】
一般式(XV)〜(XVII)で表される繰り返し単位等その他繰り返し単位の含量は、樹脂を構成する全繰り返し単位に対して、一般的に0〜70モル%、好ましくは10〜60モル%、更に好ましくは20〜50モル%の範囲で使用される。
【0163】
(B)酸分解性樹脂としてのフッ素基含有樹脂は酸分解性基をいかなる繰り返し単位に含んでいてもよい。
酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位に対して、30〜70モル%が好ましく、より好ましくは35〜65モル%、更に好ましくは40〜60モル%である。
【0164】
本発明に用いる(B)酸分解性樹脂は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種を、一括であるいは反応途中で反応容器に仕込み、これを必要に応じ反応溶媒、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、さらには後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのような本発明の組成物を溶解する溶媒に溶解させ均一とした後、窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で必要に応じ加熱、市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。
反応の濃度は20質量%以上であり、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。反応温度は10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは50〜100℃である。
【0165】
上記具体例で表される繰り返し構造単位は、各々1種で使用してもよいし、複数を混合して用いてもよい。
また、本発明において、(B)樹脂は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
【0166】
本発明に係る(B)樹脂の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、1,000〜200,000であり、更に好ましくは3,000〜20,000である。重量平均分子量が1,000未満では耐熱性やドライエッチング耐性の劣化が見られるため余り好ましくなく、200,000を越えると現像性が劣化したり、粘度が極めて高くなるため製膜性が劣化するなど余り好ましくない結果を生じる。
分子量分布は1〜10であり、好ましくは1〜5、更に好ましくは1〜4の範囲のものが使用される。分子量分布の小さいものほど、解像度、レジスト形状、及びレジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
【0167】
本発明のレジスト組成物において、本発明に係わる全ての樹脂の組成物全体中の配合量は、全レジスト固形分中40〜99.99質量%が好ましく、より好ましくは50〜99.97質量%である。
【0168】
〔3〕(C)酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する溶解阻止化合物(以下、「(C)成分」或いは「酸分解性溶解阻止化合物」ともいう)
(C)酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する溶解阻止化合物としては、220nm以下の透過性を低下させないため、Proceedingof SPIE, 2724,355 (1996)に記載されている酸分解性基を含むコール酸誘導体の様な、酸分解性基を含有する脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。酸分解性基、脂環式構造としては、上記脂環炭化水素系酸分解性樹脂のところで説明したものと同様のものが挙げられる。
本発明における酸分解性溶解阻止化合物の分子量は、好ましくは3000以下であり、より好ましくは300〜3000、更に好ましくは500〜2500である。
【0169】
酸分解性溶解阻止化合物の添加量は、化学増幅系レジスト組成物の全組成物の固形分に対し、好ましくは3〜50質量%であり、より好ましくは5〜40質量%である。
【0170】
以下に酸分解性溶解阻止化合物の具体例を示すが、これらに限定されない。
【0171】
【化53】
【0172】
〔4〕(D)アルカリ現像液に可溶な樹脂(以下、「(D)成分」あるいは「アルカリ可溶性樹脂」ともいう)
アルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解速度は、0.261Nテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)で測定(23℃)して20Å/秒以上のものが好ましい。特に好ましくは200Å/秒以上のものである(Åはオングストローム)。
【0173】
本発明に用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、例えばノボラック樹脂、水素化ノボラツク樹脂、アセトン−ピロガロール樹脂、o−ポリヒドロキシスチレン、m−ポリヒドロキシスチレン、p−ポリヒドロキシスチレン、水素化ポリヒドロキシスチレン、ハロゲンもしくはアルキル置換ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、o/p−及びm/p−ヒドロキシスチレン共重合体、ポリヒドロキシスチレンの水酸基に対する一部O−アルキル化物(例えば、5〜30モル%のO−メチル化物、O−(1−メトキシ)エチル化物、O−(1−エトキシ)エチル化物、O−2−テトラヒドロピラニル化物、O−(t−ブトキシカルボニル)メチル化物等)もしくはO−アシル化物(例えば、5〜30モル%のo−アセチル化物、O−(t−ブトキシ)カルボニル化物等)、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、カルボキシル基含有メタクリル系樹脂及びその誘導体、ポリビニルアルコール誘導体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0174】
特に好ましいアルカリ可溶性樹脂はノボラック樹脂及びo−ポリヒドロキシスチレン、m−ポリヒドロキシスチレン、p−ポリヒドロキシスチレン及びこれらの共重合体、アルキル置換ポリヒドロキシスチレン、ポリヒドロキシスチレンの一部O−アルキル化、もしくはO−アシル化物、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体である。
該ノボラック樹脂は所定のモノマーを主成分として、酸性触媒の存在下、アルデヒド類と付加縮合させることにより得られる。
【0175】
また、アルカリ溶解性樹脂の重量平均分子量は、2000以上、好ましくは5000〜200000、より好ましくは5000〜100000である。
【0176】
ここで、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算値をもって定義される。
本発明におけるこれらの(D)アルカリ可溶性樹脂は2種類以上組み合わせて使用してもよい。
アルカリ可溶性樹脂の使用量は、レジスト組成物の全組成物の固形分に対し、40〜97質量%、好ましくは60〜90質量%である。
【0177】
(5)(E)酸の作用により上記アルカリ可溶性樹脂と架橋する酸架橋剤(以下「(E)成分」或いは「架橋剤」ともいう)
本発明のネガ型組成物には、架橋剤が使用される。
架橋剤としては酸の作用によりアルカリ現像液に可溶な樹脂を架橋する化合物であればいずれも用いることができるが、以下の(1)〜(3)が好ましい。
(1)フェノール誘導体のヒドロキシメチル体、アルコキシメチル体、アシルオキシメチル体。
(2)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、N−アシルオキシメチル基を有する化合物。
(3)エポキシ基を有する化合物。
アルコキシメチル基としては炭素数6個以下、アシルオキシメチル基としては炭素数6個以下が好ましい。
これらの架橋剤の内、特に好ましいものを以下に挙げる。
【0178】
【化54】
【0179】
(式中、L1〜L8は、同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基又は炭素数1〜6個のアルキル基を示す。)
【0180】
架橋剤は、組成物の固形分中、3〜70質量%、好ましくは5〜50質量%の添加量で用いられる。
架橋剤の添加量が3質量%未満であると残膜率が低下し、また、70質量%を越えると解像力が低下し、更に組成物の保存時の安定性の点で余り好ましくない。
【0181】
<本発明の感光性組成物に使用されるその他の成分>
〔6〕(F)塩基性化合物
本発明のレジスト組成物は、更に(F)塩基性化合物を含有することが好ましい。塩基性化合物としては、例えば含窒素塩基性化合物が挙げられる。
【0182】
含窒素塩基性化合物としては、有機アミン、塩基性のアンモニウム塩、塩基性のスルホニウム塩などが用いられ、昇華やレジスト性能を劣化させないものであればよい。
これらの含窒素塩基性化合物の中でも、有機アミンが画像性能が優れる点で好ましい。例えば特開昭63−149640号、特開平5−249662号、特開平5−127369号、特開平5−289322号、特開平5−249683号、特開平5−289340号、特開平5−232706号、特開平5−257282号、特開平6−242605号、特開平6−242606号、特開平6−266100号、特開平6−266110号、特開平6−317902号、特開平7−120929号、特開平7−146558号、特開平7−319163号、特開平7−508840号、特開平7−333844号、特開平7−219217号、特開平7−92678号、特開平7−28247号、特開平8−22120号、特開平8−110638号、特開平8−123030号、特開平9−274312号、特開平9−166871号、特開平9−292708号、特開平9−325496号、特表平7−508840号、USP5525453号、USP5629134号、USP5667938号等に記載の塩基性化合物を用いることができる。
【0183】
塩基性化合物は、具体的には下記式(A)〜(E)の構造を有する化合物挙げることができる。
【0184】
【化55】
【0185】
ここで、R250 、R251 及びR252 は、同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜20個のアルキル基、炭素数1〜20個のアミノアルキル基、炭素数1〜20個のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20個の置換もしくは非置換のアリール基を表し、ここで、R251とR252は、互いに結合して環を形成してもよい。
R253、R254、R255 及びR256 は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜10個のアルキル基を表す。
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物、アニリン誘導体、ジアザビシクロ化合物、ヒドロキシアルキル基を有する化合物、オニウムヒドロキシド、オニウムカルボキシレート、あるいは脂肪族3級アミンである。
【0186】
含窒素塩基性化合物としては、好ましくは、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、1−ナフチルアミン、ピペリジン類、ヘキサメチレンテトラミン、イミダゾール類、ヒドロキシピリジン類、ピリジン類、アニリン類、ヒドロキシアルキルアニリン類、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ピリジニウムp−トルエンスルホナート、2,4,6−トリメチルピリジニウムp−トルエンスルホナート、テトラメチルアンモニウムp−トルエンスルホナート、及びテトラブチルアンモニウムラクテート、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−i−オクチルアミン、トリス(エチルヘキシル)アミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン等が挙げられる。
これらの中でも、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、1−ナフチルアミン、ピペリジン、4−ヒドロキシピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン、ヘキサメチレンテトラミン、イミダゾール類、ヒドロキシピリジン類、ピリジン類、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリス(エチルヘキシル)アミン、トリドデシルアミン、N,N−ジ−ヒドロキシエチルアニリン、N−ヒドロキシエチル−N−エチルアニリン等の有機アミンが好ましい。
【0187】
これら(F)塩基性化合物は、単独であるいは2種以上で用いられる。(F)塩基性化合物の使用量は、レジスト組成物の固形分を基準として、通常、0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。0.001質量%未満では上記塩基性化合物の添加の効果が得られない。一方、10質量%を超えると感度の低下や非露光部の現像性が悪化する傾向がある。
【0188】
〔7〕<(G)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤>
本発明のレジスト組成物は、更に(G)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
本発明のレジスト組成物が上記(G)界面活性剤とを含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源の使用時に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないレジストパターンを与えることが可能となる。
これらの(G)界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0189】
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)基など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
【0190】
(G)界面活性剤の使用量は、レジスト組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
【0191】
〔8〕(H)有機溶剤
本発明のレジスト組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤に溶解して用いる。
使用し得る有機溶剤としては、例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。
【0192】
本発明において、有機溶剤としては、単独で用いても混合して用いても良いが、構造中に水酸基を含有する溶剤と、水酸基を含有しない溶剤とを混合した混合溶剤を使用することが好ましい。これによりレジスト液保存時のパーティクル発生を軽減することができる。
水酸基を含有する溶剤としては、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル等を挙げることができ、これらの内でプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチルが特に好ましい。
水酸基を含有しない溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができ、これらの内で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチルが特に好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノンが最も好ましい。
【0193】
水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量)は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
【0194】
<その他の添加剤>
本発明のレジスト組成物には、必要に応じてさらに染料、可塑剤、上記(G)成分以外の界面活性剤、光増感剤、及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物等を含有させることができる。
本発明で使用できる現像液に対する溶解促進性化合物は、フェノール性OH基を2個以上、又はカルボキシ基を1個以上有する分子量1,000以下の低分子化合物である。カルボキシ基を有する場合は脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。
これら溶解促進性化合物の好ましい添加量は、(B)の樹脂又は(D)の樹脂に対して2〜50質量%であり、さらに好ましくは5〜30質量%である。50質量%を越えた添加量では、現像残渣が悪化し、また現像時にパターンが変形するという新たな欠点が発生して好ましくない。
【0195】
このような分子量1000以下のフェノール化合物は、例えば、特開平4−122938、特開平2−28531、米国特許第4916210、欧州特許第219294等に記載の方法を参考にして、当業者において容易に合成することができる。
カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物の具体例としてはコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸などのステロイド構造を有するカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0196】
本発明においては、上記(G)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を加えることもできる。
具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤等を挙げることができる。
これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。
【0197】
≪使用方法≫
本発明の化学増幅系レジスト組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤、好ましくは前記混合溶剤に溶解し、次のように所定の支持体上に塗布して用いる。
すなわち、上記レジスト組成物を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布する。
塗布後、所定のマスクを通して露光し、ベークを行い現像する。このようにすると、良好なレジストパターンを得ることができる。
ここで露光光としては、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、X線、電子線などがあげられ、好ましくは遠紫外光であり、好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下の短波波長の活性光線である。具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、VUV(157nm)、EUV(13nm)、電子線、X線等が挙げられるが、ArFエキシマレーザー(193nm)、VUV(157nm)が特に好ましい。
【0198】
現像工程では、現像液を次のように用いる。レジスト組成物の現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
さらに、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0199】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0200】
<酸発生剤(A)の合成>
合成例(1) (I−1)の合成
4−ヒドロキシクマリン15gをクロロホルム150mlに溶解させこれにトリエチルアミン11.2g加えた。この溶液に氷冷下ブタンスルホニルクロリド15.9gをゆっくりと加えた。室温で3時間攪拌した後、反応液を水300mlに注ぎ、30分攪拌した。有機相を分液し、水相をクロロホルムで抽出、有機相を集めて水洗、乾燥、濃縮すると化合物(I−1)が17g得られた。
m.p.55−58℃
1H−NMR(CDCl3)
1.0ppm(t.3H)、1.55ppm(m.2H)、2.0ppm(m.2H)、3.45ppm(t.2H)、6.55ppm(s.1H)、7.35ppm(t.1H)、7.4ppm(d.1H)、7.63ppm(t.1H)、7.75ppm(d.1H)
【0201】
合成例(2) (I−5)の合成
4−ヒドロキシクマリン5.5gをクロロホルム100mlに溶解させこれにトリエチルアミン3.8g加えた。この溶液に氷冷下トリフロロメタンスルホン酸無水物10.0gをゆっくりと加えた。室温で3時間攪拌した後、反応液を水300mlに注ぎ、30分攪拌した。有機相を分液し、水相をクロロホルムで抽出、有機相を集めて水洗、乾燥、濃縮すると粗生成物が得られた。これをカラムクロマトにより精製すると化合物(I−9)が15g得られた。
1H−NMR(CDCl3)
6.5ppm(s.1H)、7.4ppm(t.1H)、7.45ppm(d.1H)、7.7ppm(t.1H)、7.7ppm(d.1H)
【0202】
合成例(2) (I−9)の合成
4−ヒドロキシクマリン10gをクロロホルム100mlに溶解させこれにトリエチルアミン7.5g加えた。この溶液に氷冷下2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリド20.6gのクロロホルム溶液をゆっくり加えた。室温で3時間攪拌した後、反応液を水300mlに注ぎ、30分攪拌した。有機相を分液し、水相をクロロホルムで抽出、有機相を集めて水洗、乾燥、濃縮すると粗生成物が得られた。これをジイソプロピルエーテル/ヘキサンから再結晶すると化合物(I−9)が15g得られた。
1H−NMR(CDCl3)
1.25ppm(d.6H)、1.3ppm(d.3H)、2.95ppm(m.1H)、4.1ppm(m.1H)、6.05ppm(s.1H)、7.3ppm(t.1H)、7.35ppm(d.1H)、7.6ppm(t.1H)、7.75ppm(d.1H)
【0203】
<樹脂(B)>
以下に、本願の実施例で使用した各樹脂の構造及び分子量を示す。
【0204】
【化56】
【0205】
【化57】
【0206】
【化58】
【0207】
【化59】
【0208】
【化60】
【化61】
【0209】
【化62】
【0210】
【化63】
【0211】
【表1】
【0212】
【表2】
【0213】
【化64】
【0214】
<架橋剤(E)>
以下、実施例で使用される架橋剤の構造を示す。
【0215】
【化65】
【0216】
〔実施例1〜27及び比較例1〕
<レジスト調整>
下記表3に示す成分を溶解させ固形分濃度12質量%の溶液を調整し、これを0.1μmのテフロンフィルターまたはポリエチレンフィルターでろ過してポジ型レジスト溶液を調製した。調製したポジ型レジスト溶液を下記の方法で評価し、結果を表4に示した。
【0217】
【表3】
【0218】
【表4】
【0219】
以下、各表における略号は次の通りである。
PAG−X;トリフェニルスルホニウムトリフレート
DBN;1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン
TPI;2,4,5−トリフェニルイミダゾール
TPSA;トリフェニルスルホニウムアセテート
HEP;N−ヒドロキシエチルピペリジン
DIA;2,6−ジイソプロピルアニリン
DCMA;ジシクロヘキシルメチルアミン
TPA;トリペンチルアミン
TOA;トリ−n−オクチルアミン
HAP;ヒドロキシアンチピリン
TBAH;テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
TMEA;トリス(メトキシエトキシエチル)アミン
【0220】
W−1;メガファックF176(大日本インキ(株)製)(フッ素系)
W−2;メガファックR08(大日本インキ(株)製)
(フッ素及びシリコン系)
W−3;ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)
(シリコン系)
W‐4;トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
【0221】
A1;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート
A2;2−ヘプタノン
A3;エチルエトキシプロピオネート
A4;γ−ブチロラクトン
A5;シクロヘキサノン
B1;プロピレングリコールメチルエーテル
B2;乳酸エチル
【0222】
LCB;リトコール酸t−ブチル
尚、各表に於いて樹脂又は溶剤を複数使用した場合の比は質量比である。
【0223】
<レジスト評価>
スピンコーターにてヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上にブリューワーサイエンス社製反射防止膜DUV−42を600オングストローム均一に塗布し、100℃で90秒間ホットプレート上で乾燥した後、190℃で240秒間加熱乾燥を行った。その後、各ポジ型レジスト溶液をスピンコーターで塗布し120℃で90秒乾燥を行い0.30μmのレジスト膜を形成させた。
このレジスト膜に対し、マスクを通してArFエキシマレーザーステッパー(ISI社製 NA=0.6)で露光し、露光後直ぐに120℃で90秒間ホットプレート上で加熱した。さらに2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、ラインパターンを得た。
【0224】
(1)感度
0.15μmの1/1ラインアンドスペースのマスクパターンを再現する露光量を表す。
(2)解像力
0.15μmの1/1ラインアンドスペースのマスクパターンを再現する露光量での限界解像力をもって定義した。
【0225】
(3)プロファイル
0.15μmの1/1ラインアンドスペースのラインのプロファイルを走査型顕微鏡で観察し、矩形なプロファイルを○、僅かなテーパー形状や少し裾引き形状のプロファイルを△、完全なテーパー形状や完全な裾引き形状のプロファイルを×と評価した。
【0226】
【表5】
【0227】
表4より、実施例1〜27のポジ型レジスト組成物は、感度、解像力、及びプロファイルが優れることが明らかである。
【0228】
〔実施例28〜40及び比較例2〕
<レジスト調製>
下記表5に示した成分を表5に示す溶剤に溶解させ、これを0.1μmのテフロンフィルターによりろ過して、固形分濃度14質量%のポジ型レジスト溶液を調製した。
調製したポジ型レジスト溶液につき下記の方法で評価を行い、結果を表6に示した。
【0229】
【表6】
【0230】
表5に於ける溶解阻止化合物、(C−1)及び(C−2)の構造は、下記の通りである。
【0231】
【化66】
【0232】
【化67】
【0233】
<レジスト評価>
調製したポジ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で90秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行い、0.5μmのレジスト膜を形成させた。
このレジスト膜に対し、KrFエキシマレーザーステッパー(NA=0.63)を用いラインアンドスペース用マスクを使用してパターン露光し、露光後すぐに110℃で90秒間ホットプレート上て加熱した。更に2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液で23℃下60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、ラインパターンを形成し、実施例1と同様に感度、解像力、及びプロファイルを評価した。
【0234】
【表7】
【0235】
表6より、実施例28〜40のポジ型レジスト組成物は、感度、解像力、及びプロファイルが優れることが明らかである。
【0236】
〔実施例41〜52及び比較例3〕
<レジスト調製>
下記表7に示した組成物を混合し、0.1μmのテフロンフィルターによりろ過して固形分濃度12質量%のネガ型レジスト溶液を調製した。
調製したネガ型レジスト溶液につき実施例28と同様の方法で評価を行い、結果を表8に示した。
【0237】
【表8】
【0238】
【表9】
【0239】
表8より、実施例41〜52のネガ型レジスト組成物は、感度、解像力、及びプロファイルが優れることが明らかである。
【0240】
〔実施例53〜65及び比較例4〕
<レジスト調製>
実施例28〜40及び比較例2と同様に、表5に示した成分を表5に示す溶剤に溶解させ、これを0.1μmのテフロンフィルターによりろ過して、固形分濃度12質量%のポジ型レジスト溶液を調製した。
調製したポジ型レジスト溶液につき下記の方法で評価を行い、結果を表9に示した。
【0241】
<レジスト評価>
調製したポジ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で60秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行い、0.3μmのレジスト膜を形成させた。
このレジスト膜を、ニコン社製電子線プロジェクションリソグラフィー装置(加速電圧100keV)で照射し、照射後直ぐに110℃で90秒間ホットプレート上て加熱した。
更に濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液を用いて23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、ラインパターンを形成し、感度、解像力で0.10μmの1/1ラインアンドスペースとする以外は、実施例1と同様に感度、解像力、及びプロファイルを評価した。
【0242】
【表10】
【0243】
表9より、実施例53〜65のポジ型レジスト組成物は、感度、解像力、及びプロファイルが優れることが明らかである。
【0244】
〔実施例66〜77及び比較例5〕
<レジスト調製>
実施例41〜52及び比較例3と同様に、前記表7に示した成分を溶剤に溶解し、0.1μmのテフロンフィルターによりろ過して固形分濃度12質量%のネガ型レジスト溶液を調製した。
調製したネガ型レジスト溶液につき、実施例53と同様の方法で評価を行い、結果を表10に示した。
【0245】
【表11】
【0246】
表10より、実施例66〜77のネガ型レジスト組成物は、感度、解像力、及びプロファイルが優れることが明らかである。
【0247】
〔実施例78〜103及び比較例6〕
<レジスト調製>
下記表11に示した成分を表11に示す溶剤に溶解させ、これを0.1μmのテフロンフィルターによりろ過して、固形分濃度10質量%のポジ型レジスト溶液を調製した。
調製したポジ型レジスト溶液につき下記の方法で評価を行い、結果を表12に示した。
【0248】
【表12】
【0249】
【表13】
【0250】
<レジスト評価>
調製したポジ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で90秒間真空密着型ホットプレート上で加熱乾燥を行い、0.1μmのレジスト膜を形成させた。
得られたレジスト膜に対し、157nmのレーザー露光・溶解挙動解析装置VUVES−4500(リソテックジャパン製)を用いて露光し、露光後すぐに120℃、90秒間ホットプレートで加熱した。2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で23℃下60秒現像し、純水で30秒リンスした後、乾燥し、大パターンが解像する露光量を感度とした。
【0251】
【表14】
【0252】
表12より、実施例78〜106のポジ型レジスト組成物は、感度が優れることが明らかである。
【0253】
【発明の効果】
本発明に係わる酸発生剤を用いた化学増幅系レジスト組成物は、感度、解像力、及びプロファイルが優れる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、さらにその他のフォトファブリケーション工程に使用される感光性組成物、酸硬化性組成物、印刷版等に用いられる酸発生剤に関する。特に、250nm以下の遠紫外線などの露光光源、および電子線などによる照射源とする場合に好適な酸発生剤、およびそれを用いたレジスト組成物等の感光性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
化学増幅系レジスト組成物は、遠紫外光等の放射線の照射により露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする反応によって、活性放射線の照射部と非照射部の現像液に対する溶解性を変化させ、パターンを基板上に形成させるパターン形成材料である。
【0003】
従来、このような光酸発生剤としてはジアゾニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩などが用いられてきた。しかし、これらの酸発生剤は、例えばレジスト組成物に使用した際に感度、解像力、及びプロファイルが不十分となる問題があった。
【0004】
一方、スルホニルオキシピロン化合物、スルホニルオキシクマリン化合物が非特許文献1〜5等で知られていたが、酸発生剤としての用途や効果は知られておらず、さらにこれを含有する感光性組成物も知られていなかった。
【0005】
【非特許文献1】
J.Amer.Chem.Soc.;88;1996;834−837
【非特許文献2】
Tetrahedron.;27;1971;1043−1046
【非特許文献3】
J.Chem.Soc.Perkin Trans.1;EN;21;1996;2591−2598
【非特許文献4】
J.Chem.Soc.Perkin Trans.1;EN;18;1998;3065−3080
【非特許文献5】
Tetrahedron.Lett.;EN;41;10;2000;1543−1548
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、レジスト組成物等の感光性組成物及び酸硬化性組成物等に用いられる新規な光酸発生剤(活性光線の照射により酸を発生する化合物)を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
レジスト組成物等の感光性組成物に用いられる下記の新規な光酸発生剤により本発明の上記目的が達成される。
【0008】
(1)下記式(I)で示される光酸発生剤。
【化7】
式(I)中、
Y1〜Y4は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。ただし、Y1〜Y4の少なくとも1つは−OSO2Rを有する基である。
Y1〜Y4の少なくとも2つが互いに結合し環構造を形成しても良い。
Rはアルキル基、アリール基または樟脳残基を示す。
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR61−または−CHn(R61)m−を示す。ここで、R61はアルキル基を表し、m、nは各々0、1または2を表す。ただし、m+n=2である。
【0009】
(2)下記式(II)で示される光酸発生剤。
【化8】
式(II)中、
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR61−または−CHn(R61)m−を示す。Y3及びY4は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。ここで、Rはアルキル基、アリール基または樟脳残基を示す。
また、R61はアルキル基を表し、m、nは各々0、1または2を表す。ただし、m+n=2である。
R1〜R4は各々独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。
ただし、R1〜R4、Y3、Y4の少なくとも1つは−OSO2Rを有する基である。
【0010】
(3)下記式(I)に示す化合物を含有する感光性組成物。
【化9】
式(I)中、
Y1〜Y4は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。ただし、Y1〜Y4の少なくとも1つは−OSO2Rを有する基である。
Y1〜Y4の少なくとも2つが互いに結合し環構造を形成しても良い。
Rはアルキル基、アリール基または樟脳残基を示す。
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR61−または−CHn(R61)m−を示す。ここで、R61はアルキル基を表し、m、nは各々0、1または2を表す。ただし、m+n=2である。
【0011】
(4)下記式(II)に示す化合物を含有する感光性組成物。
【化10】
式(II)中、
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR61−または−CHn(R61)m−を示す。Y3及びY4は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。ここで、Rはアルキル基、アリール基または樟脳残基を示す。また、R61はアルキル基を表し、m、nは各々0、1または2を表す。ただし、m+n=2である。
R1〜R4は各々独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。
ただし、R1〜R4、Y3、Y4の少なくとも1つは−OSO2Rを有する基である。
【0012】
(5)下記成分(A)と(B)とを含有するポジ型レジスト組成物。
(A)下記式(I)に示される光酸発生剤
【化11】
式(I)中、
Y1〜Y4は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。ただし、Y1〜Y4の少なくとも1つは−OSO2Rを有する基である。
Y1〜Y4の少なくとも2つが互いに結合し環構造を形成しても良い。
Rはアルキル基、アリール基または樟脳残基を示す。
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR61−または−CHn(R61)m−を示す。ここで、R61はアルキル基を表し、m、nは各々0、1または2を表す。ただし、m+n=2である。
(B)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する樹脂
【0013】
(6)下記成分(A)、(D)および(E)を含有するネガ型レジスト組成物。(A)下記式(I)に示される光酸発生剤
【化12】
式(I)中、
Y1〜Y4は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。ただし、Y1〜Y4の少なくとも1つは−OSO2Rを有する基である。
Y1〜Y4の少なくとも2つが互いに結合し環構造を形成しても良い。
Rはアルキル基、アリール基または樟脳残基を示す。
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR61−または−CHn(R61)m−を示す。ここで、R61はアルキル基を表し、m、nは各々0、1または2を表す。ただし、m+n=2である。
(D)アルカリ可溶性樹脂
(E)酸架橋剤
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係わる感光性組成物としては、好ましくはレジスト組成物、詳しくは化学増幅系ポジ型レジスト組成物及び化学増幅系ネガ型レジスト組成物を挙げることができる。
本発明に係わる化学増幅系ポジ型レジスト組成物は、
(A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する前記式(I)で表される化合物(酸発生剤)、及び(B)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する樹脂を含有し、必要に応じて更に(C)酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する、溶解阻止化合物を含有するか、
或いは(A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する前記一般式(I)で表される化合物(酸発生剤)、(D)アルカリ現像液に可溶な樹脂(アルカリ可溶性樹脂)、及び(C)酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する溶解阻止化合物を含有する。
本発明に係わる化学増幅系ネガ型レジスト組成物は、(A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する前記式(I)で表される化合物、(D)アルカリ現像液に可溶な樹脂(アルカリ可溶性樹脂)及び(E)酸の作用により該アルカリ現像液に可溶な樹脂と架橋する酸架橋剤を含有する。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】
〔1〕(A)光酸発生剤(以下、「(A)成分」、「(A)の化合物」ともいう)
本発明に係わる光酸発生剤は、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、X線、電子線などの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する、下記式(I)で表される化合物である。
【化13】
【0016】
式(I)中、
Y1〜Y4は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。ただし、Y1〜Y4の少なくとも1つは−OSO2Rを有する基である。
Y1〜Y4の少なくとも2つが互いに結合し環構造を形成しても良い。
Rはアルキル基、アリール基または樟脳残基を示す。
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR61−または−CHn(R61)m−を示す。ここで、R61はアルキル基を表し、m、nは各々0、1または2を表す。ただし、m+n=2である。
【0017】
Y1〜Y4のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、及びシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等の環状のアルキル基を挙げることができるが、これらは更に置換基を有していても良い。
Y1〜Y4のアリール基は、好ましくは炭素数6〜14のアリール基であり、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができるが、これらは更に置換基を有していても良い。
【0018】
Y1〜Y4のハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、弗素原子、沃素原子等を挙げることができる。
Y1〜Y4のアルコキシ基としては、例えば、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。これらは更に置換基を有していても良い。
【0019】
Y1〜Y4の少なくとも2つが互いに結合し、環構造を形成しても良いが、隣あう2つが芳香環を形成することが好ましい。その環はヘテロ原子、オキソ基を含有していてもよい。また、更に置換されていてもよい。
【0020】
Y1〜Y4の−OSO2Rを有する基とは、−OSO2Rで表される基自体、又は、置換基として−OSO2Rで表される基を有する有機基を意味する。置換基として−OSO2Rを有する有機基としては、例えば、Y1〜Y4としてのアルキル基、アリール基、アルコキシ基に−OSO2Rが置換した基を挙げることができる。
Rのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、及びシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等の環状のアルキル基を挙げることができるが、これらは更に置換基を有していても良い。
Rのアリール基は、好ましくは炭素数6〜14のアリール基であり、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができるが、これらは更に置換基を有していても良い。
【0021】
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR61−または−CHn(R61)m−を示す。ここで、R61はアルキル基を表し、m、nは各々0、1または2を表す。ただし、m+n=2である。R61は好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、及びシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等の環状のアルキル基を挙げることができるが、これらは更に置換基を有していても良い。
【0022】
Y1とY2は、好ましくは互いに結合して上記式(II)のような構造をとることが好ましい。
Y3は−OSO2Rを有する基であることが好ましい。
従って、本発明の(A)成分は、下記式(III)で示される化合物であることが好ましく、下記式(IV)で示される化合物であることがより好ましい。
【0023】
【化14】
【0024】
【化15】
【0025】
式(III)および式(IV)中、Y1、Y2、Y4、R、Xの定義は式(I)、式(II)と同じである。
R1〜R4は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。
R1〜R4のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、及びシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等の環状のアルキル基を挙げることができるが、これらは更に置換基を有していても良い。
R1〜R4のアリール基は、好ましくは炭素数6〜14のアリール基であり、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができるが、これらは更に置換基を有していても良い。
【0026】
R1〜R4のハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、弗素原子、沃素原子等を挙げることができる。
R1〜R4のアルコキシ基としては、例えば、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等を挙げることができる。これらは更に置換基を有していても良い。
【0027】
R1〜R4の−OSO2Rを有する基とは、−OSO2Rで表される基自体、又は、置換基として−OSO2Rで表される基を有する有機基を意味する。置換基として−OSO2Rを有する有機基としては、例えば、R1〜R4としてのアルキル基、アルコキシ基、水酸基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基またはアシルオキシ基に−OSO2Rが置換した基を挙げることができる。
【0028】
R1〜R4の少なくとも2つが互いに結合し、環構造を形成しても良い。
【0029】
Y1〜Y4、R、X、R1〜R4が更に置換基を有する場合、例えば、アリール基(例えばフェニル基)、ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)等の置換基を有することができる。アリール基及びアリーレン基については、更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜5)を挙げることができる。
【0030】
以下に、本発明の(A)成分の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
【化16】
【0032】
式(I)で表される光酸発生剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0033】
式(I)で示される光酸発生剤はヒドロキシクマリン、ヒドロキシピロンなど対応する水酸基含有化合物とスルホン酸クロリドまたはスルホン酸無水物とをトリエチルアミンなどの塩基性条件下で反応させることにより得ることができる。
【0034】
(A)成分の光酸発生剤の本発明のレジスト組成物中における含量は、組成物の固形分を基準として、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜7質量%、更に好ましくは0.2〜5質量%である。
【0035】
尚、式(I)で示される光酸発生剤を含有するレジスト組成物は、遠紫外光による露光用であることが好ましい。
【0036】
(A)成分以外の併用しうる酸発生化合物
本発明においては、成分(A)以外に、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物を更に併用してもよい。
本発明の(A)成分と併用しうる光酸発生剤の使用量は、モル比(成分(A)/その他の酸発生剤)で、通常100/0〜20/80、好ましくは100/0〜40/60、更に好ましくは100/0〜50/50である。
そのような併用可能な光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0037】
例えば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
【0038】
また、これらの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。
【0039】
さらに米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0040】
併用してもよい活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の中で、特に好ましいものの例を以下に挙げる。
【0041】
【化17】
【0042】
【化18】
【0043】
【化19】
【0044】
〔2〕(B)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する樹脂(以下、「成分(B)」ともいう)
本発明の化学増幅系レジスト組成物に用いられる酸により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する樹脂としては、樹脂の主鎖又は側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に、酸で分解し得る基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有する樹脂である。この内、酸で分解し得る基を側鎖に有する樹脂がより好ましい。
【0045】
酸で分解し得る基として好ましい基は、−COOH基、−OH基の水素原子を酸分解性基で置換した基である。
酸分解性基としては好ましくは、シリルエーテル基、クミルエステル基、アセタール基、テトラヒドロピラニルエーテル基、エノールエーテル基、エノールエステル基、第3級のアルキルエーテル基、第3級のアルキルエステル基、第3級のアルキルカーボネート基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基、第3級アルキルカーボネート基、クミルエステル基、アセタール基、テトラヒドロピラニルエーテル基である。
【0046】
これら酸で分解し得る基が側鎖として結合する場合の母体樹脂としては、側鎖に−OHもしくは−COOH基を有するアルカリ可溶性樹脂である。例えば、後述するアルカリ可溶性樹脂を挙げることができる。
【0047】
これらアルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解速度は、0.261Nテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)で測定(23℃)して170A/秒以上のものが好ましい。特に好ましくは330A/秒以上のものである(Aはオングストローム)。
このような観点から、特に好ましいアルカリ可溶性樹脂は、o−,m−,p−ポリ(ヒドロキシスチレン)及びこれらの共重合体、水素化ポリ(ヒドロキシスチレン)、ハロゲンもしくはアルキル置換ポリ(ヒドロキシスチレン)、ポリ(ヒドロキシスチレン)の一部、O−アルキル化もしくはO−アシル化物、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、水素化ノボラック樹脂等のヒドロキシスチレン構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂である。
【0048】
本発明に用いられる成分(B)は、欧州特許254853号、特開平2−25850号、同3−223860号、同4−251259号等に開示されているように、アルカリ可溶性樹脂に酸で分解し得る基の前駆体を反応させる、もしくは、酸で分解し得る基の結合したアルカリ可溶性樹脂モノマーを種々のモノマーと共重合して得ることができる。
【0049】
本発明に使用される成分(B)の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0050】
p−t−ブトキシスチレン/p−ヒドロキシスチレン共重合体、
p−(t−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン共重合体、
p−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン共重合体、
4−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)−3−メチルスチレン/4−ヒドロキシ−3−メチルスチレン共重合体、
p−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン(10%水素添加物)共重合体、
m−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/m−ヒドロキシスチレン共重合体、
o−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/o−ヒドロキシスチレン共重合体、
p−(クミルオキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン共重合体、
クミルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体、
4−t−ブトキシカルボニルスチレン/マレイン酸ジメチル共重合体、
ベンジルメタクリレート/テトラヒドロピラニルメタクリレート、
【0051】
p−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン/スチレン共重合体、
p−t−ブトキシスチレン/p−ヒドロキシスチレン/フマロニトリル共重合体、
t−ブトキシスチレン/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、
スチレン/N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド/N−(4−t−ブトキシカルボニルオキシフェニル)マレイミド共重合体、
p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルメタクリレート共重合体、
スチレン/p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルメタクリレート共重合体、
p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレート共重合体、
スチレン/p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレート共重合体、
p−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン/N−メチルマレイミド共重合体、
t−ブチルメタクリレート/1−アダマンチルメチルメタクリレート共重合体、
p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレート/p−アセトキシスチレン共重合体、
p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレート/p−(t−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン共重合体、
p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレート/p−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン共重合体、
【0052】
【化20】
【0053】
酸で分解し得る基の含有率は、樹脂中の酸で分解し得る基の数(B)と酸で分解し得る基で保護されていないアルカリ可溶性基の数(S)をもって、B/(B+S)で表される。含有率は、好ましくは0.01〜0.7、より好ましくは0.05〜0.50、更に好ましくは0.05〜0.40である。
【0054】
本発明に係わるレジスト組成物にArFエキシマレーザー光を照射する場合には、(B)成分の樹脂は、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有し、酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増加する樹脂であることが好ましい。
【0055】
単環又は多環の脂環炭化水素構造を有し、酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増加する樹脂(以下、「脂環炭化水素系酸分解性樹脂」ともいう)としては、下記一般式(pI)〜一般式(pVI)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位及び下記一般式(II−AB)で示される繰り返し単位の群から選択される少なくとも1種を含有する樹脂であることが好ましい。
【0056】
【化21】
【0057】
(式中、R11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表し、Zは、炭素原子とともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団を表す。
R12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかは脂環式炭化水素基を表す。
R17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R17〜R21のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R19、R21のいずれかは炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。
R22〜R25は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R22〜R25のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。)
【0058】
【化22】
【0059】
式(II−AB)中:
R11’,R12’は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
Z’は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、置換基を有していてもよい脂環式構造を形成するための原子団を表す。
【0060】
また、上記一般式(II−AB)は、下記一般式(II−A)又は一般式(II−B)であることが更に好ましい。
【0061】
【化23】
【0062】
式(II−A)、(II−B)中:
R13’〜R16’は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOH、−COOR5、酸の作用により分解する基、−C(=O)−X−A’−R17’、又は置換基を有していてもよいアルキル基あるいは環状炭化水素基を表す。
ここで、R5は、置換基を有していてもよい、アルキル基、環状炭化水素基又は下記の−Y基を表す。
Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−NHSO2−又は−NHSO2NH−を表す。
A’は単結合又は2価の連結基を表す。
また、Rl3’〜R16’のうち少なくとも2つが結合して環を形成してもよい。nは0又は1を表す。
R17’は、−COOH、−COOR5、−CN、水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、−CO−NH−R6、−CO−NH−SO2−R6又は下記の−Y基を表す。
R6は、置換基を有していてもよい、アルキル基又は環状炭化水素基を表す。−Y基;
【0063】
【化24】
【0064】
(−Y基中、R21’〜R30’は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。a,bは1又は2を表す。)
【0065】
一般式(pI)〜(pVI)において、R12〜R25におけるアルキル基としては、置換もしくは非置換のいずれであってもよい、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。そのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、上記アルキル基の更なる置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アシル基、アシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0066】
R11〜R25における脂環式炭化水素基或いはZと炭素原子が形成する脂環式炭化水素基としては、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよい。
以下に、脂環式炭化水素基のうち、脂環式部分の構造例を示す。
【0067】
【化25】
【0068】
【化26】
【0069】
【化27】
【0070】
【化28】
【0071】
本発明においては、上記脂環式部分の好ましいものとしては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、デカリン残基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基である。
【0072】
これらの脂環式炭化水素基の置換基としては、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基よりなる群から選択された置換基を表す。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。上記アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。
【0073】
上記樹脂における一般式(pI)〜(pVI)で示される構造は、アルカリ可溶性基の保護に使用することができる。アルカリ可溶性基としては、この技術分野において公知の種々の基が挙げられる。
具体的には、カルボン酸基、スルホン酸基、フェノール基、チオール基などが挙げられ、好ましくはカルボン酸基、スルホン酸基である。
上記樹脂における一般式(pI)〜(pVI)で示される構造で保護されたアルカリ可溶性基としては、好ましくは下記一般式(pVII)〜(pXI)で表される基が挙げられる。
【0074】
【化29】
【0075】
ここで、R11〜R25ならびにZは、それぞれ前記定義に同じである。
上記樹脂において、一般式(pI)〜(pVI)で示される構造で保護されたアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(pA)で示される繰り返し単位が好ましい。
【0076】
【化30】
【0077】
ここで、Rは、水素原子、ハロゲン原子又は1〜4個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。複数のRは、各々同じでも異なっていてもよい。Rとしては、フロロアルキル等もあげられる。
Aは、単結合、アルキレン基、置換アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフォンアミド基、ウレタン基、又はウレア基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを表す。
Raは、上記式(pI)〜(pVI)のいずれかの基を表す。
【0078】
以下、一般式(pA)で示される繰り返し単位の具体例を示す。
【0079】
【化31】
【0080】
上記一般式(II−AB)において、R11’、R12’は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
Z’は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、置換基を有していてもよい脂環式構造を形成するための原子団を表す。
【0081】
上記R11’、R12’におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
上記R11’、R12’、R21’〜R30’におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基である。
【0082】
上記のアルキル基における更なる置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシ基、アシル基、シアノ基、アシルオキシ基等を挙げることができる。ハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができ、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができ、アシル基としてはホルミル基、アセチル基等を挙げることができ、アシルオキシ基としてはアセトキシ基等を挙げることができる。
【0083】
上記Z’の脂環式構造を形成するための原子団は、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素の繰り返し単位を樹脂に形成する原子団であり、中でも有橋式の脂環式炭化水素の繰り返し単位を形成する有橋式脂環式構造を形成するための原子団が好ましい。
形成される脂環式炭化水素の骨格としては、一般式(pI)〜(pVI)に於けるR11〜R25及び一般式(II−AB)に於けるZ’の脂環式部分の前記構造例(1)〜(51)と同様のものが挙げられる。
【0084】
好ましい有橋式の脂環式炭化水素の骨格としては、前記構造例のうち、(5)、(6)、(7)、(9)、(10)、(13)、(14)、(15)、(23)、(28)、(36)、(37)、(42)、(47)が挙げられる。
【0085】
上記脂環式炭化水素の骨格には置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、前記一般式(II−A)あるいは(II−B)中のR13’〜R16’を挙げることができる。
上記有橋式の脂環式炭化水素を有する繰り返し単位の中でも、上記一般式(II−A)あるいは(II−B)で表される繰り返し単位が更に好ましい。
【0086】
本発明に係わる脂環炭化水素系酸分解性樹脂において、酸分解性基は、前記−C(=O)−X−A’−R17’に含まれてもよいし、一般式(II−AB)のZ’の置換基として含まれてもよい。
酸分解性基の構造としては、−C(=O)−X1−R0 で表される。
式中、R0 としては、t−ブチル基、t−アミル基等の3級アルキル基、イソボロニル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−シクロヘキシロキシエチル基等の1−アルコキシエチル基、1−メトキシメチル基、1−エトキシメチル基等のアルコキシメチル基、3−オキソアルキル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリアルキルシリルエステル基、3−オキソシクロヘキシルエステル基、2−メチル−2−アダマンチル基、メバロニックラクトン残基等を挙げることができる。X1は、上記Xと同義である。
【0087】
上記R13’〜R16’におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0088】
上記R5、R6、R13’〜R16’におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基である。
【0089】
上記R5、R6、R13’〜R16’における環状炭化水素基としては、例えば環状アルキル基、有橋式炭化水素であり、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、イソボロニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンテニル基、ノボルナンエポキシ基、メンチル基、イソメンチル基、ネオメンチル基、テトラシクロドデカニル基等を挙げることができる。
上記R13’〜R16’のうち少なくとも2つが結合して形成する環としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の炭素数5〜12の環が挙げられる。
【0090】
上記R17’におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。
【0091】
上記アルキル基、環状炭化水素基、アルコキシ基における更なる置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシ基、アシル基、シアノ基、アシルオキシ基、アルキル基、環状炭化水素基等を挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものが挙げることができ、アシル基としてはホルミル基、アセチル基等を挙げることができ、アシルオキシ基としてはアセトキシ基等を挙げることができる。
また、アルキル基、環状炭化水素基は、上記で挙げたものが挙げられる。
【0092】
上記A’の2価の連結基としては、アルキレン基、置換アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフォンアミド基、ウレタン基、ウレア基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせが挙げられる。
上記A’におけるアルキレン基、置換アルキレン基としては、下記式で表される基を挙げることができる。
−〔C(Ra )(Rb )〕r −
式中、Ra 、Rb は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。rは1〜10の整数を表す。
【0093】
本発明に係る脂環炭化水素系酸分解性樹脂においては、酸の作用により分解する基は、前記一般式(pI)〜一般式(pVI)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位、一般式(II−AB)で表される繰り返し単位、及び後記共重合成分の繰り返し単位のうち少なくとも1種の繰り返し単位に含有することができる。
【0094】
上記一般式(II−A)あるいは一般式(II−B)におけるR13’〜R16’の各種置換基は、上記一般式(II−AB)における脂環式構造を形成するための原子団ないし有橋式脂環式構造を形成するための原子団Zの置換基ともなるものである。
【0095】
上記一般式(II−A)あるいは一般式(II−B)で表される繰り返し単位の具体例として次のものが挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0096】
【化32】
【0097】
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、下記一般式(Lc)又は下記一般式(V−1)〜(V−5)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位を含有することが好ましい。
【0098】
【化33】
【0099】
【化34】
【0100】
一般式(Lc)中、Ra1,Rb1,Rc1,Rd1,Re1は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。m,nは各々独立に0〜3の整数を表し、m+nは、2以上6以下である。
【0101】
一般式(V−1)〜(V−5)において、R1b〜R5bは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニルイミノ基又はアルケニル基を表す。R1b〜R5bの内の2つは、結合して環を形成してもよい。
【0102】
一般式(Lc)に於けるRa1〜Re1のアルキル基及び一般式(V−1)〜(V−5)に於けるR1b〜R5bのアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニルイミノ基におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐状のアルキル基が挙げられ、置換基を有していてもよい。
直鎖状、分岐状のアルキル基としては、炭素数1〜12個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基である。
R1b〜R5bにおけるシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜8個のものが好ましい。
R1b〜R5bにおけるアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜6個のものが好ましい。
また、R1b〜R5bの内の2つが結合して形成する環としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環等の3〜8員環が挙げられる。
なお、一般式(V−1)〜(V−5)におけるR1b〜R5bは、環状骨格を構成している炭素原子のいずれに連結していてもよい。
【0103】
Ra1〜Re1のアルキル基及びR1b〜R5bのアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニルイミノ基、アルケニル基が有してもよい好ましい置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0104】
一般式(Lc)又は一般式(V−1)〜(V−5)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位としては、上記一般式(II−A)又は(II−B)中のR13’〜R16’のうち少なくとも1つが一般式(Lc)又は一般式(V−1)〜(V−5)で表される基を有するもの(例えば−COOR5のR5が一般式(Lc)又は一般式(V−1)〜(V−5)で表される基を表す)、又は下記一般式(AI)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
【0105】
【化35】
【0106】
一般式(AI)中、Rb0は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4の置換もしくは非置換のアルキル基を表す。Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、前記一般式(V−1)〜(V−5)におけるR1bとしてのアルキル基が有していてもよい好ましい置換基として先に例示したものが挙げられる。Rb0としては、フロロアルキル等もあげられる。
Rb0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。Rb0は水素原子が好ましい。
A’は、単結合、エーテル基、エステル基、カルボニル基、アルキレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。
B2は、一般式(Lc)又は一般式(V−1)〜(V−5)のうちのいずれかで示される基を表す。A’において、該組み合わせた2価の基としては、例えば下記式のものが挙げられる。
【0107】
【化36】
【0108】
上記式において、Rab、Rbbは、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、
ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基を挙げることができる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。r1は1〜10の整数、好ましくは1〜4の整数を表す。mは1〜3の整数、好ましくは1又は2を表す。
【0109】
以下に、一般式(AI)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明の内容がこれらに限定されるものではない。
【0110】
【化37】
【0111】
【化38】
【0112】
【化39】
【0113】
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、下記一般式(VII)で表される基を有する繰り返し単位を含有してもよい。
【0114】
【化40】
【0115】
一般式(VII)中、R2c〜R4cは、各々独立に水素原子又は水酸基を表す。ただし、R2c〜R4cのうち少なくとも1つは水酸基を表す。
【0116】
一般式(VII)で表される基は、好ましくはジヒドロキシ体、モノヒドロキシ体であり、より好ましくはジヒドロキシ体である。
【0117】
一般式(VII)で表される基を有する繰り返し単位としては、上記一般式(II−A)又は(II−B)中のR13’〜R16’のうち少なくとも1つが上記一般式(VII)で表される基を有するもの(例えば−COOR5のR5が一般式(VII)で表される基を表す)、又は下記一般式(AII)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
【0118】
【化41】
【0119】
一般式(AII)中、R1cは、水素原子、メチル基またはフロロアルキル等を表す。フロロアルキルは炭素数1〜10のものが好ましい。また、これらの基はさらに置換基を有しても良い。
R2c〜R4cは、各々独立に水素原子又は水酸基を表す。ただし、R2c〜R4cのうち少なくとも1つは水酸基を表す。
【0120】
以下に、一般式(AII)で表される構造を有する繰り返し単位の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0121】
【化42】
【0122】
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、下記一般式(VIII)で表される繰り返し単位を含有してもよい。
【0123】
【化43】
【0124】
上記一般式(VIII)に於いて、Z2は、−O−又は−N(R41)−を表す。ここでR41は、水素原子、水酸基、アルキル基、ハロアルキル基、又は−OSO2−R42を表す。R42は、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基又は樟脳残基を表す。
【0125】
上記R41及びR42におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基である。
上記R41及びR42 におけるハロアルキル基としてはトリフルオロメチル基、ナノフルオロブチル基、ペンタデカフルオロオクチル基、トリクロロメチル基等を挙げることができる。上記R42におけるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。
【0126】
R41及びR42としてのアルキル基及びハロアルキル基、R42としてのシクロアルキル基又は樟脳残基は置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッソ素原子、沃素原子)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アシル基(好ましくは炭素数2〜5、例えば、ホルミル基、アセチル基等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜5、例えばアセトキシ基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14、例えばフェニル基)等を挙げることができる。
【0127】
上記一般式(VIII)で表される繰り返し単位の具体例として次の[I’−1]〜[I’−7]が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0128】
【化44】
【0129】
【化45】
【0130】
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を含有することができる。
【0131】
このような繰り返し構造単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これにより、脂環炭化水素系酸分解性樹脂に要求される性能、特に、
(1)塗布溶剤に対する溶解性、
(2)製膜性(ガラス転移点)、
(3)アルカリ現像性、
(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、
(5)未露光部の基板への密着性、
(6)ドライエッチング耐性、
等の微調整が可能となる。
このような単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
【0132】
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
【0133】
脂環炭化水素系酸分解性樹脂において、各繰り返し構造単位の含有モル比はレジストのドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにはレジストの一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
【0134】
本発明の脂環炭化水素系酸分解性樹脂の好ましい態様としては、以下のものが挙げられる。
(1) 上記一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位を含有するもの(側鎖型)
(2) 一般式(II−AB)で表される繰り返し単位を含有するもの(主鎖型)
但し、(2)においては例えば、更に以下のものが挙げられる。
(3) 一般式(II−AB)で表される繰り返し単位、無水マレイン酸誘導体及び(メタ)アクリレート構造を有するもの(ハイブリッド型)
【0135】
脂環炭化水素系酸分解性樹脂中、一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中30〜70モル%が好ましく、より好ましくは35〜65モル%、更に好ましくは40〜60モル%である。
脂環炭化水素系酸分解性樹脂中、一般式(II−AB)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中10〜60モル%が好ましく、より好ましくは15〜55モル%、更に好ましくは20〜50モル%である。
【0136】
また、上記更なる共重合成分の単量体に基づく繰り返し構造単位の樹脂中の含有量も、所望のレジストの性能に応じて適宜設定することができるが、一般的に、上記一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し構造単位と上記一般式(II−AB)で表される繰り返し単位の合計した総モル数に対して99モル%以下が好ましく、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下である。
本発明のレジスト組成物がArF露光用であるとき、ArF光への透明性の点から樹脂は芳香族基を有さないことが好ましい。
【0137】
また、本発明の(B)酸分解性樹脂としては、ポリマー骨格の主鎖及び/又は側鎖にフッ素原子が置換した構造を有し、且つ酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度を増大する樹脂(以下、フッ素基含有樹脂ともいう)が好ましく、さらに好ましくは1位がフッ素原子またはフロロアルキル基で置換された水酸基または1位がフッ素原子またはフロロアルキル基で置換された水酸基を酸分解基で保護した基を含有する樹脂であり、最も好ましくはヘキサフロロ−2−プロパノール構造またはヘキサフロロ−2−プロパノールの水酸基を酸分解基で保護した構造を含有する樹脂である。フッ素原子を導入することで遠紫外光、特にF2(157nm)光に対する透明性を向上させることができる。
【0138】
(B)酸分解性樹脂におけるフッ素基含有樹脂として、例えば、下記一般式(FA)〜(FG)で示される繰り返し単位を少なくとも一つ有する樹脂を好ましく挙げることができる。
【0139】
【化46】
【0140】
前記一般式中、
R100−R103はそれぞれ水素原子、フッ素原子、アルキル基、フロロアルキル基またはアリール基、
R104およびR106はそれぞれ水素原子、フッ素原子またはフロロアルキル基であり、R104およびR106の少なくとも1方がフッ素原子またはフロロアルキル基である。R104およびR106は好ましくは両方トリフロロメチル基である。
R105は水素原子、アルキル基、フロロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基または酸の作用により分解する基である。
A1は単結合、2価の連結基、例えば直鎖、分岐、環状アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−OCO−、−COO−、または−CON(R24)−、およびこれらのうちの複数を含有する連結基である。
R24は水素原子またはアルキル基である。
R107,R108はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、フロロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基または酸の作用により分解する基である。
R109は水素原子、アルキル基、フロロアルキル基、酸の作用により分解する基である。
一般式(FA)〜(FG)で表される繰り返し単位は、一繰り返し単位あたりに少なくとも1つ、好ましくは3つ以上のフッ素原子を含む。
【0141】
上記一般式(FA)〜(FG)において、アルキル基としては、例えば炭素数1〜8個のアルキル基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基を好ましく挙げることができる。
シクロアルキル基としては単環型でもよく、多環型でもよい。単環型としては炭素数3〜8個のものであって、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基を好ましく挙げることができる。多環型としては炭素数6〜20個のものであって、例えばアダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基、アンドロスタニル基等を好ましく挙げることができる。但し、上記の単環又は多環のシクロアルキル基中の炭素原子が、酸素原子等のヘテロ原子に置換されていてもよい。
【0142】
フルオロアルキル基としては、例えば炭素数4〜12個のものであって、具体的にはパーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロオクチルエチル基、パーフルオロドデシル基等を好ましくあげることができる。
ハロアルキル基としては、例えば炭素数1〜4個のハロアルキル基であって、具体的にはクロロメチル基、クロロエチル基、クロロプロピル基、クロロブチル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基等を好ましく挙げることができる。
【0143】
アリール基としては、例えば炭素数6〜15個のアリール基であって、具体的には、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、9,10−ジメトキシアントリル基等を好ましく挙げることができる。
アラルキル基としては、例えば炭素数7〜12個のアラルキル基であって、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を好ましく挙げることができる。
アルケニル基としては、例えば炭素数2〜8個のアルケニル基であって、具体的には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基を好ましく挙げることができる。
【0144】
アルコキシ基としては、例えば炭素数1〜8個のアルコキシ基であって、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、アリルオキシ基、オクトキシ基等を好ましく挙げることができる。
アシル基としては、例えば炭素数1〜10個のアシル基であって、具体的には、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ピバロイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基等を好ましく挙げることができる。
アシロキシ基としては、炭素数2〜12個のアシロキシ基が好ましく、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等を挙げることができる。
アルキニル基としては、炭素数2〜5のアルキニル基が好ましく、例えばエチニル基、プロピニル基、ブチニル基等を挙げることができる。
アルコキシカルボニル基としては、i−プロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、t−アミロキシカルボニル基、1−メチル−1−シクロヘキシルオキシカルボニル基等、好ましくは2級、より好ましくは3級のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0145】
アルキレン基としては、好ましくは置換基を有していてもよいメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等の炭素数1〜8個のものが挙げられる。
アルケニレン基としては、好ましくは置換基を有していてもよいエテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基等の炭素数2〜6個のものが挙げられる。
シクロアルキレン基としては、好ましくは置換基を有していてもよいシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等の炭素数5〜8個のものが挙げられる。
アリーレン基としては、好ましくは置換基を有していてもよいフェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等の炭素数6〜15個のものが挙げられる。
【0146】
またこれらの基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の活性水素を有するものや、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、チオエーテル基、アシル基(アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基等)、アシロキシ基(アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基等)、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
ここで、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基は上記で示したものが挙げられるが、アルキル基は、更にフッ素原子、シクロアルキル基で置換されていてもよい。
【0147】
本発明のフッ素基含有樹脂に含まれる、酸の作用により分解しアルカリ可溶性を示す基としては、例えば−O−C(R36)(R37)(R38)、−O−C(R36)(R37)(OR39)、−O−COO−C(R36)(R37)(R38)、−O−C(R01)(R02)COO−C(R36)(R37)(R38)、−COO−C(R36)(R37)(R38)、−COO−C(R36)(R37)(OR39)等が挙げられる。R36〜R39は上記と同義であり、R01、R02は水素原子、上記で示した置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、もしくはアリール基を表す。
【0148】
好ましい具体例としては、t−ブチル基、t−アミル基、1−アルキル−1−シクロヘキシル基、2−アルキル−2−アダマンチル基、2−アダマンチル−2−プロピル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−プロピル基等の3級アルキル基のエーテル基又はエステル基、1−アルコキシ−1−エトキシ基、テトラヒドロピラニル基等のアセタール基又はアセタールエステル基、t−アルキルカーボネート基、t−アルキルカルボニルメトキシ基等が好ましく挙げられる。
【0149】
以下に一般式(FA)〜(FG)で表される繰り返し構造単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0150】
【化47】
【0151】
【化48】
【0152】
【化49】
【0153】
【化50】
【0154】
一般式(FA)〜(FG)で示される繰り返し単位の含量の合計は、樹脂を構成する全繰り返し単位に対して、一般的に10〜80モル%、好ましくは30〜70モル%、更に好ましくは35〜65モル%の範囲で使用される。
【0155】
本発明(B)の樹脂は、上記のような繰り返し構造単位以外にも、更に本発明のレジストの性能を向上させる目的で、他の重合性モノマーを共重合させてもよい。
【0156】
使用することができる共重合モノマーとしては、以下に示すものが含まれる。例えば、上記以外のアクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、クロトン酸エステル類などから選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物である。
【0157】
このようなフッ素含有樹脂には、ドライエッチング耐性向上、アルカリ可溶性調節、基板密着性向上などの観点から、前記フッ素原子を有する繰り返し単位の他に共重合成分として他の繰り返し単位を含有することが好ましい。他の繰り返し単位として好ましいものとしては:
1)前記一般式(pI)〜(pVI)及び(II−AB)に示す脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位。具体的には前記1〜23の繰り返し単位および [II−1]〜[II−32]の繰り返し単位。好ましくは上記具体例1〜23
のうちRxがCF3のものである。
2)前記一般式(Lc)及び(V−1)〜(V−5)に示すラクトン構造を有する繰り返し単位。具体的には前記(IV−1)〜(IV−16)の繰り返し
単位および(Ib−1)〜(IV−11)の繰り返し単位。
3)無水マレイン酸、ビニルエーテルまたはシアノ基を有するビニル化合物から由来される下記一般式(XV)(XVI)(XVII)、具体的には(C−1)〜(C−15)に挙げられる繰り返し単位
が挙げられる。これら他の繰り返し単位中にはフッ素原子を含んでいてもいなくてもよい。
【0158】
【化51】
【0159】
式中、R41はアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基もしくはアリール基を表す。
R42は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基又はハロアルキル基を表す。
A5は単結合、2価のアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基もしくはアリーレン基、又は−O−CO−R22−、−CO−O−R23−、−CO−N(R24)−R25−を表す。
R22、R23、R25は同じでも異なっていてもよく、単結合、又はエーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基もしくはウレイド基を有してもよい、2価のアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基を表す。
R24は水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を表す。
nは0又は1を表し、x、y、zは0〜4の整数を表す。
ここで、各置換基の例は、前記一般式(FA)〜(FG)の置換基と同様のものがあげられる。
【0160】
また一般式(XVI)〜(XVII)で表される繰り返し構造単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0161】
【化52】
【0162】
一般式(XV)〜(XVII)で表される繰り返し単位等その他繰り返し単位の含量は、樹脂を構成する全繰り返し単位に対して、一般的に0〜70モル%、好ましくは10〜60モル%、更に好ましくは20〜50モル%の範囲で使用される。
【0163】
(B)酸分解性樹脂としてのフッ素基含有樹脂は酸分解性基をいかなる繰り返し単位に含んでいてもよい。
酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位に対して、30〜70モル%が好ましく、より好ましくは35〜65モル%、更に好ましくは40〜60モル%である。
【0164】
本発明に用いる(B)酸分解性樹脂は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種を、一括であるいは反応途中で反応容器に仕込み、これを必要に応じ反応溶媒、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、さらには後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのような本発明の組成物を溶解する溶媒に溶解させ均一とした後、窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で必要に応じ加熱、市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。
反応の濃度は20質量%以上であり、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。反応温度は10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは50〜100℃である。
【0165】
上記具体例で表される繰り返し構造単位は、各々1種で使用してもよいし、複数を混合して用いてもよい。
また、本発明において、(B)樹脂は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
【0166】
本発明に係る(B)樹脂の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、1,000〜200,000であり、更に好ましくは3,000〜20,000である。重量平均分子量が1,000未満では耐熱性やドライエッチング耐性の劣化が見られるため余り好ましくなく、200,000を越えると現像性が劣化したり、粘度が極めて高くなるため製膜性が劣化するなど余り好ましくない結果を生じる。
分子量分布は1〜10であり、好ましくは1〜5、更に好ましくは1〜4の範囲のものが使用される。分子量分布の小さいものほど、解像度、レジスト形状、及びレジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
【0167】
本発明のレジスト組成物において、本発明に係わる全ての樹脂の組成物全体中の配合量は、全レジスト固形分中40〜99.99質量%が好ましく、より好ましくは50〜99.97質量%である。
【0168】
〔3〕(C)酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する溶解阻止化合物(以下、「(C)成分」或いは「酸分解性溶解阻止化合物」ともいう)
(C)酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する溶解阻止化合物としては、220nm以下の透過性を低下させないため、Proceedingof SPIE, 2724,355 (1996)に記載されている酸分解性基を含むコール酸誘導体の様な、酸分解性基を含有する脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。酸分解性基、脂環式構造としては、上記脂環炭化水素系酸分解性樹脂のところで説明したものと同様のものが挙げられる。
本発明における酸分解性溶解阻止化合物の分子量は、好ましくは3000以下であり、より好ましくは300〜3000、更に好ましくは500〜2500である。
【0169】
酸分解性溶解阻止化合物の添加量は、化学増幅系レジスト組成物の全組成物の固形分に対し、好ましくは3〜50質量%であり、より好ましくは5〜40質量%である。
【0170】
以下に酸分解性溶解阻止化合物の具体例を示すが、これらに限定されない。
【0171】
【化53】
【0172】
〔4〕(D)アルカリ現像液に可溶な樹脂(以下、「(D)成分」あるいは「アルカリ可溶性樹脂」ともいう)
アルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解速度は、0.261Nテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)で測定(23℃)して20Å/秒以上のものが好ましい。特に好ましくは200Å/秒以上のものである(Åはオングストローム)。
【0173】
本発明に用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、例えばノボラック樹脂、水素化ノボラツク樹脂、アセトン−ピロガロール樹脂、o−ポリヒドロキシスチレン、m−ポリヒドロキシスチレン、p−ポリヒドロキシスチレン、水素化ポリヒドロキシスチレン、ハロゲンもしくはアルキル置換ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、o/p−及びm/p−ヒドロキシスチレン共重合体、ポリヒドロキシスチレンの水酸基に対する一部O−アルキル化物(例えば、5〜30モル%のO−メチル化物、O−(1−メトキシ)エチル化物、O−(1−エトキシ)エチル化物、O−2−テトラヒドロピラニル化物、O−(t−ブトキシカルボニル)メチル化物等)もしくはO−アシル化物(例えば、5〜30モル%のo−アセチル化物、O−(t−ブトキシ)カルボニル化物等)、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、カルボキシル基含有メタクリル系樹脂及びその誘導体、ポリビニルアルコール誘導体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0174】
特に好ましいアルカリ可溶性樹脂はノボラック樹脂及びo−ポリヒドロキシスチレン、m−ポリヒドロキシスチレン、p−ポリヒドロキシスチレン及びこれらの共重合体、アルキル置換ポリヒドロキシスチレン、ポリヒドロキシスチレンの一部O−アルキル化、もしくはO−アシル化物、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体である。
該ノボラック樹脂は所定のモノマーを主成分として、酸性触媒の存在下、アルデヒド類と付加縮合させることにより得られる。
【0175】
また、アルカリ溶解性樹脂の重量平均分子量は、2000以上、好ましくは5000〜200000、より好ましくは5000〜100000である。
【0176】
ここで、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算値をもって定義される。
本発明におけるこれらの(D)アルカリ可溶性樹脂は2種類以上組み合わせて使用してもよい。
アルカリ可溶性樹脂の使用量は、レジスト組成物の全組成物の固形分に対し、40〜97質量%、好ましくは60〜90質量%である。
【0177】
(5)(E)酸の作用により上記アルカリ可溶性樹脂と架橋する酸架橋剤(以下「(E)成分」或いは「架橋剤」ともいう)
本発明のネガ型組成物には、架橋剤が使用される。
架橋剤としては酸の作用によりアルカリ現像液に可溶な樹脂を架橋する化合物であればいずれも用いることができるが、以下の(1)〜(3)が好ましい。
(1)フェノール誘導体のヒドロキシメチル体、アルコキシメチル体、アシルオキシメチル体。
(2)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、N−アシルオキシメチル基を有する化合物。
(3)エポキシ基を有する化合物。
アルコキシメチル基としては炭素数6個以下、アシルオキシメチル基としては炭素数6個以下が好ましい。
これらの架橋剤の内、特に好ましいものを以下に挙げる。
【0178】
【化54】
【0179】
(式中、L1〜L8は、同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基又は炭素数1〜6個のアルキル基を示す。)
【0180】
架橋剤は、組成物の固形分中、3〜70質量%、好ましくは5〜50質量%の添加量で用いられる。
架橋剤の添加量が3質量%未満であると残膜率が低下し、また、70質量%を越えると解像力が低下し、更に組成物の保存時の安定性の点で余り好ましくない。
【0181】
<本発明の感光性組成物に使用されるその他の成分>
〔6〕(F)塩基性化合物
本発明のレジスト組成物は、更に(F)塩基性化合物を含有することが好ましい。塩基性化合物としては、例えば含窒素塩基性化合物が挙げられる。
【0182】
含窒素塩基性化合物としては、有機アミン、塩基性のアンモニウム塩、塩基性のスルホニウム塩などが用いられ、昇華やレジスト性能を劣化させないものであればよい。
これらの含窒素塩基性化合物の中でも、有機アミンが画像性能が優れる点で好ましい。例えば特開昭63−149640号、特開平5−249662号、特開平5−127369号、特開平5−289322号、特開平5−249683号、特開平5−289340号、特開平5−232706号、特開平5−257282号、特開平6−242605号、特開平6−242606号、特開平6−266100号、特開平6−266110号、特開平6−317902号、特開平7−120929号、特開平7−146558号、特開平7−319163号、特開平7−508840号、特開平7−333844号、特開平7−219217号、特開平7−92678号、特開平7−28247号、特開平8−22120号、特開平8−110638号、特開平8−123030号、特開平9−274312号、特開平9−166871号、特開平9−292708号、特開平9−325496号、特表平7−508840号、USP5525453号、USP5629134号、USP5667938号等に記載の塩基性化合物を用いることができる。
【0183】
塩基性化合物は、具体的には下記式(A)〜(E)の構造を有する化合物挙げることができる。
【0184】
【化55】
【0185】
ここで、R250 、R251 及びR252 は、同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜20個のアルキル基、炭素数1〜20個のアミノアルキル基、炭素数1〜20個のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20個の置換もしくは非置換のアリール基を表し、ここで、R251とR252は、互いに結合して環を形成してもよい。
R253、R254、R255 及びR256 は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜10個のアルキル基を表す。
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物、アニリン誘導体、ジアザビシクロ化合物、ヒドロキシアルキル基を有する化合物、オニウムヒドロキシド、オニウムカルボキシレート、あるいは脂肪族3級アミンである。
【0186】
含窒素塩基性化合物としては、好ましくは、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、1−ナフチルアミン、ピペリジン類、ヘキサメチレンテトラミン、イミダゾール類、ヒドロキシピリジン類、ピリジン類、アニリン類、ヒドロキシアルキルアニリン類、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ピリジニウムp−トルエンスルホナート、2,4,6−トリメチルピリジニウムp−トルエンスルホナート、テトラメチルアンモニウムp−トルエンスルホナート、及びテトラブチルアンモニウムラクテート、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−i−オクチルアミン、トリス(エチルヘキシル)アミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン等が挙げられる。
これらの中でも、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、1−ナフチルアミン、ピペリジン、4−ヒドロキシピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン、ヘキサメチレンテトラミン、イミダゾール類、ヒドロキシピリジン類、ピリジン類、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリス(エチルヘキシル)アミン、トリドデシルアミン、N,N−ジ−ヒドロキシエチルアニリン、N−ヒドロキシエチル−N−エチルアニリン等の有機アミンが好ましい。
【0187】
これら(F)塩基性化合物は、単独であるいは2種以上で用いられる。(F)塩基性化合物の使用量は、レジスト組成物の固形分を基準として、通常、0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。0.001質量%未満では上記塩基性化合物の添加の効果が得られない。一方、10質量%を超えると感度の低下や非露光部の現像性が悪化する傾向がある。
【0188】
〔7〕<(G)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤>
本発明のレジスト組成物は、更に(G)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
本発明のレジスト組成物が上記(G)界面活性剤とを含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源の使用時に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないレジストパターンを与えることが可能となる。
これらの(G)界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0189】
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)基など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
【0190】
(G)界面活性剤の使用量は、レジスト組成物全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
【0191】
〔8〕(H)有機溶剤
本発明のレジスト組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤に溶解して用いる。
使用し得る有機溶剤としては、例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。
【0192】
本発明において、有機溶剤としては、単独で用いても混合して用いても良いが、構造中に水酸基を含有する溶剤と、水酸基を含有しない溶剤とを混合した混合溶剤を使用することが好ましい。これによりレジスト液保存時のパーティクル発生を軽減することができる。
水酸基を含有する溶剤としては、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル等を挙げることができ、これらの内でプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチルが特に好ましい。
水酸基を含有しない溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができ、これらの内で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチルが特に好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノンが最も好ましい。
【0193】
水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量)は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
【0194】
<その他の添加剤>
本発明のレジスト組成物には、必要に応じてさらに染料、可塑剤、上記(G)成分以外の界面活性剤、光増感剤、及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物等を含有させることができる。
本発明で使用できる現像液に対する溶解促進性化合物は、フェノール性OH基を2個以上、又はカルボキシ基を1個以上有する分子量1,000以下の低分子化合物である。カルボキシ基を有する場合は脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。
これら溶解促進性化合物の好ましい添加量は、(B)の樹脂又は(D)の樹脂に対して2〜50質量%であり、さらに好ましくは5〜30質量%である。50質量%を越えた添加量では、現像残渣が悪化し、また現像時にパターンが変形するという新たな欠点が発生して好ましくない。
【0195】
このような分子量1000以下のフェノール化合物は、例えば、特開平4−122938、特開平2−28531、米国特許第4916210、欧州特許第219294等に記載の方法を参考にして、当業者において容易に合成することができる。
カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物の具体例としてはコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸などのステロイド構造を有するカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0196】
本発明においては、上記(G)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を加えることもできる。
具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤等を挙げることができる。
これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。
【0197】
≪使用方法≫
本発明の化学増幅系レジスト組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤、好ましくは前記混合溶剤に溶解し、次のように所定の支持体上に塗布して用いる。
すなわち、上記レジスト組成物を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布する。
塗布後、所定のマスクを通して露光し、ベークを行い現像する。このようにすると、良好なレジストパターンを得ることができる。
ここで露光光としては、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、X線、電子線などがあげられ、好ましくは遠紫外光であり、好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下の短波波長の活性光線である。具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、VUV(157nm)、EUV(13nm)、電子線、X線等が挙げられるが、ArFエキシマレーザー(193nm)、VUV(157nm)が特に好ましい。
【0198】
現像工程では、現像液を次のように用いる。レジスト組成物の現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
さらに、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0199】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0200】
<酸発生剤(A)の合成>
合成例(1) (I−1)の合成
4−ヒドロキシクマリン15gをクロロホルム150mlに溶解させこれにトリエチルアミン11.2g加えた。この溶液に氷冷下ブタンスルホニルクロリド15.9gをゆっくりと加えた。室温で3時間攪拌した後、反応液を水300mlに注ぎ、30分攪拌した。有機相を分液し、水相をクロロホルムで抽出、有機相を集めて水洗、乾燥、濃縮すると化合物(I−1)が17g得られた。
m.p.55−58℃
1H−NMR(CDCl3)
1.0ppm(t.3H)、1.55ppm(m.2H)、2.0ppm(m.2H)、3.45ppm(t.2H)、6.55ppm(s.1H)、7.35ppm(t.1H)、7.4ppm(d.1H)、7.63ppm(t.1H)、7.75ppm(d.1H)
【0201】
合成例(2) (I−5)の合成
4−ヒドロキシクマリン5.5gをクロロホルム100mlに溶解させこれにトリエチルアミン3.8g加えた。この溶液に氷冷下トリフロロメタンスルホン酸無水物10.0gをゆっくりと加えた。室温で3時間攪拌した後、反応液を水300mlに注ぎ、30分攪拌した。有機相を分液し、水相をクロロホルムで抽出、有機相を集めて水洗、乾燥、濃縮すると粗生成物が得られた。これをカラムクロマトにより精製すると化合物(I−9)が15g得られた。
1H−NMR(CDCl3)
6.5ppm(s.1H)、7.4ppm(t.1H)、7.45ppm(d.1H)、7.7ppm(t.1H)、7.7ppm(d.1H)
【0202】
合成例(2) (I−9)の合成
4−ヒドロキシクマリン10gをクロロホルム100mlに溶解させこれにトリエチルアミン7.5g加えた。この溶液に氷冷下2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリド20.6gのクロロホルム溶液をゆっくり加えた。室温で3時間攪拌した後、反応液を水300mlに注ぎ、30分攪拌した。有機相を分液し、水相をクロロホルムで抽出、有機相を集めて水洗、乾燥、濃縮すると粗生成物が得られた。これをジイソプロピルエーテル/ヘキサンから再結晶すると化合物(I−9)が15g得られた。
1H−NMR(CDCl3)
1.25ppm(d.6H)、1.3ppm(d.3H)、2.95ppm(m.1H)、4.1ppm(m.1H)、6.05ppm(s.1H)、7.3ppm(t.1H)、7.35ppm(d.1H)、7.6ppm(t.1H)、7.75ppm(d.1H)
【0203】
<樹脂(B)>
以下に、本願の実施例で使用した各樹脂の構造及び分子量を示す。
【0204】
【化56】
【0205】
【化57】
【0206】
【化58】
【0207】
【化59】
【0208】
【化60】
【化61】
【0209】
【化62】
【0210】
【化63】
【0211】
【表1】
【0212】
【表2】
【0213】
【化64】
【0214】
<架橋剤(E)>
以下、実施例で使用される架橋剤の構造を示す。
【0215】
【化65】
【0216】
〔実施例1〜27及び比較例1〕
<レジスト調整>
下記表3に示す成分を溶解させ固形分濃度12質量%の溶液を調整し、これを0.1μmのテフロンフィルターまたはポリエチレンフィルターでろ過してポジ型レジスト溶液を調製した。調製したポジ型レジスト溶液を下記の方法で評価し、結果を表4に示した。
【0217】
【表3】
【0218】
【表4】
【0219】
以下、各表における略号は次の通りである。
PAG−X;トリフェニルスルホニウムトリフレート
DBN;1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン
TPI;2,4,5−トリフェニルイミダゾール
TPSA;トリフェニルスルホニウムアセテート
HEP;N−ヒドロキシエチルピペリジン
DIA;2,6−ジイソプロピルアニリン
DCMA;ジシクロヘキシルメチルアミン
TPA;トリペンチルアミン
TOA;トリ−n−オクチルアミン
HAP;ヒドロキシアンチピリン
TBAH;テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
TMEA;トリス(メトキシエトキシエチル)アミン
【0220】
W−1;メガファックF176(大日本インキ(株)製)(フッ素系)
W−2;メガファックR08(大日本インキ(株)製)
(フッ素及びシリコン系)
W−3;ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)
(シリコン系)
W‐4;トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
【0221】
A1;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート
A2;2−ヘプタノン
A3;エチルエトキシプロピオネート
A4;γ−ブチロラクトン
A5;シクロヘキサノン
B1;プロピレングリコールメチルエーテル
B2;乳酸エチル
【0222】
LCB;リトコール酸t−ブチル
尚、各表に於いて樹脂又は溶剤を複数使用した場合の比は質量比である。
【0223】
<レジスト評価>
スピンコーターにてヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上にブリューワーサイエンス社製反射防止膜DUV−42を600オングストローム均一に塗布し、100℃で90秒間ホットプレート上で乾燥した後、190℃で240秒間加熱乾燥を行った。その後、各ポジ型レジスト溶液をスピンコーターで塗布し120℃で90秒乾燥を行い0.30μmのレジスト膜を形成させた。
このレジスト膜に対し、マスクを通してArFエキシマレーザーステッパー(ISI社製 NA=0.6)で露光し、露光後直ぐに120℃で90秒間ホットプレート上で加熱した。さらに2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、ラインパターンを得た。
【0224】
(1)感度
0.15μmの1/1ラインアンドスペースのマスクパターンを再現する露光量を表す。
(2)解像力
0.15μmの1/1ラインアンドスペースのマスクパターンを再現する露光量での限界解像力をもって定義した。
【0225】
(3)プロファイル
0.15μmの1/1ラインアンドスペースのラインのプロファイルを走査型顕微鏡で観察し、矩形なプロファイルを○、僅かなテーパー形状や少し裾引き形状のプロファイルを△、完全なテーパー形状や完全な裾引き形状のプロファイルを×と評価した。
【0226】
【表5】
【0227】
表4より、実施例1〜27のポジ型レジスト組成物は、感度、解像力、及びプロファイルが優れることが明らかである。
【0228】
〔実施例28〜40及び比較例2〕
<レジスト調製>
下記表5に示した成分を表5に示す溶剤に溶解させ、これを0.1μmのテフロンフィルターによりろ過して、固形分濃度14質量%のポジ型レジスト溶液を調製した。
調製したポジ型レジスト溶液につき下記の方法で評価を行い、結果を表6に示した。
【0229】
【表6】
【0230】
表5に於ける溶解阻止化合物、(C−1)及び(C−2)の構造は、下記の通りである。
【0231】
【化66】
【0232】
【化67】
【0233】
<レジスト評価>
調製したポジ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で90秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行い、0.5μmのレジスト膜を形成させた。
このレジスト膜に対し、KrFエキシマレーザーステッパー(NA=0.63)を用いラインアンドスペース用マスクを使用してパターン露光し、露光後すぐに110℃で90秒間ホットプレート上て加熱した。更に2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液で23℃下60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、ラインパターンを形成し、実施例1と同様に感度、解像力、及びプロファイルを評価した。
【0234】
【表7】
【0235】
表6より、実施例28〜40のポジ型レジスト組成物は、感度、解像力、及びプロファイルが優れることが明らかである。
【0236】
〔実施例41〜52及び比較例3〕
<レジスト調製>
下記表7に示した組成物を混合し、0.1μmのテフロンフィルターによりろ過して固形分濃度12質量%のネガ型レジスト溶液を調製した。
調製したネガ型レジスト溶液につき実施例28と同様の方法で評価を行い、結果を表8に示した。
【0237】
【表8】
【0238】
【表9】
【0239】
表8より、実施例41〜52のネガ型レジスト組成物は、感度、解像力、及びプロファイルが優れることが明らかである。
【0240】
〔実施例53〜65及び比較例4〕
<レジスト調製>
実施例28〜40及び比較例2と同様に、表5に示した成分を表5に示す溶剤に溶解させ、これを0.1μmのテフロンフィルターによりろ過して、固形分濃度12質量%のポジ型レジスト溶液を調製した。
調製したポジ型レジスト溶液につき下記の方法で評価を行い、結果を表9に示した。
【0241】
<レジスト評価>
調製したポジ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で60秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行い、0.3μmのレジスト膜を形成させた。
このレジスト膜を、ニコン社製電子線プロジェクションリソグラフィー装置(加速電圧100keV)で照射し、照射後直ぐに110℃で90秒間ホットプレート上て加熱した。
更に濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液を用いて23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、ラインパターンを形成し、感度、解像力で0.10μmの1/1ラインアンドスペースとする以外は、実施例1と同様に感度、解像力、及びプロファイルを評価した。
【0242】
【表10】
【0243】
表9より、実施例53〜65のポジ型レジスト組成物は、感度、解像力、及びプロファイルが優れることが明らかである。
【0244】
〔実施例66〜77及び比較例5〕
<レジスト調製>
実施例41〜52及び比較例3と同様に、前記表7に示した成分を溶剤に溶解し、0.1μmのテフロンフィルターによりろ過して固形分濃度12質量%のネガ型レジスト溶液を調製した。
調製したネガ型レジスト溶液につき、実施例53と同様の方法で評価を行い、結果を表10に示した。
【0245】
【表11】
【0246】
表10より、実施例66〜77のネガ型レジスト組成物は、感度、解像力、及びプロファイルが優れることが明らかである。
【0247】
〔実施例78〜103及び比較例6〕
<レジスト調製>
下記表11に示した成分を表11に示す溶剤に溶解させ、これを0.1μmのテフロンフィルターによりろ過して、固形分濃度10質量%のポジ型レジスト溶液を調製した。
調製したポジ型レジスト溶液につき下記の方法で評価を行い、結果を表12に示した。
【0248】
【表12】
【0249】
【表13】
【0250】
<レジスト評価>
調製したポジ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で90秒間真空密着型ホットプレート上で加熱乾燥を行い、0.1μmのレジスト膜を形成させた。
得られたレジスト膜に対し、157nmのレーザー露光・溶解挙動解析装置VUVES−4500(リソテックジャパン製)を用いて露光し、露光後すぐに120℃、90秒間ホットプレートで加熱した。2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で23℃下60秒現像し、純水で30秒リンスした後、乾燥し、大パターンが解像する露光量を感度とした。
【0251】
【表14】
【0252】
表12より、実施例78〜106のポジ型レジスト組成物は、感度が優れることが明らかである。
【0253】
【発明の効果】
本発明に係わる酸発生剤を用いた化学増幅系レジスト組成物は、感度、解像力、及びプロファイルが優れる。
Claims (6)
- 下記式(II)で示される光酸発生剤。
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR61−または−CHn(R61)m−を示す。Y3及びY4は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。ここで、Rはアルキル基、アリール基または樟脳残基を示す。
また、R61はアルキル基を表し、m、nは各々0、1または2を表す。ただし、m+n=2である。
R1〜R4は各々独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。
ただし、R1〜R4、Y3、Y4の少なくとも1つは−OSO2Rを有する基である。 - 下記式(II)に示す化合物を含有する感光性組成物。
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR61−または−CHn(R61)m−を示す。Y3及びY4は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。ここで、Rはアルキル基、アリール基または樟脳残基を示す。
また、R61はアルキル基を表し、m、nは各々0、1または2を表す。ただし、m+n=2である。
R1〜R4は各々独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。
ただし、R1〜R4、Y3、Y4の少なくとも1つは−OSO2Rを有する基である。 - 下記成分(A)と(B)とを含有するポジ型レジスト組成物。
(A)下記式(I)に示される光酸発生剤
Y1〜Y4は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。ただし、Y1〜Y4の少なくとも1つは−OSO2Rを有する基である。
Y1〜Y4の少なくとも2つが互いに結合し環構造を形成しても良い。
Rはアルキル基、アリール基または樟脳残基を示す。
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR61−または−CHn(R61)m−を示す。ここで、R61はアルキル基を表し、m、nは各々0、1または2を表す。ただし、m+n=2である。
(B)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する樹脂 - 下記成分(A)、(D)および(E)を含有するネガ型レジスト組成物。
(A)下記式(I)に示される光酸発生剤
Y1〜Y4は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基または−OSO2Rを有する基を示す。ただし、Y1〜Y4の少なくとも1つは−OSO2Rを有する基である。
Y1〜Y4の少なくとも2つが互いに結合し環構造を形成しても良い。
Rはアルキル基、アリール基または樟脳残基を示す。
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR61−または−CHn(R61)m−を示す。ここで、R61はアルキル基を表し、m、nは各々0、1または2を表す。ただし、m+n=2である。
(D)アルカリ可溶性樹脂
(E)酸架橋剤
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