JP2004099688A - 高含水土の土質改良方法及び土質改良材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水を含むことにより軟化状態となった高含水土に、発熱反応による水分蒸発及び化学反応による固結物生成の少なくともいずれか一方を生起させる無機材料を主成分とする土質改良材を添加し、前記高含水土及び前記土質改良材を撹拌・混合することにより前記高含水土を固化して改良土とする。無機材料は、アルミニウム及び生石灰を含むもの、又は鉄粉、炭素粉及び塩を含むものが使用できる。また、硫酸根(SO4 2)を含むものであってもよい。
【選択図】なし
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、高含水土の土質改良方法及び土質改良材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、産業廃棄物を積極的に有効利用することが望まれているが、その中でも建設現場から排出される建設廃棄物の一つである高含水土(建設汚泥)については、その有効利用量、又は有効利用率が、他の建設廃棄物に比べて少ないのが現状である。このため、建設工事一般から排出される高含水土の有効利用を図ることが切望されている。
【0003】
前記高含水土は、水を多量に含むことから泥土状ないしは泥水状を呈し、強度が不十分であることからそのままでは有効利用することが困難である。このような高含水土に再利用可能な強度を付与させる方法としては、機械的な力によって高含水土から水分を除く機械脱水方法や、ポゾラン反応等に代表される水との化学反応によって固まる物質、すなわち、セメント系、或いは石灰系の固化材を混合・撹拌することにより高含水土を化学的作用によって固化する固化材混合方法が知られている。
【0004】
前記固化材混合方法は、固化材にセメント系、或いは石灰系のものを用いると、化学的作用である水和反応によって固化することから、得られた改良土が強アルカリ性を呈する。そのため、この改良土を利用した場合に周辺環境への負荷が大きくなるおそれがあり、改良土の用途が制限を受ける。
【0005】
このような場合、前記固化材混合方法によって得られた改良土に、ポリ塩化アルミニウム等の酸性物質を混合することで改良土を中和することもできるが、この中和の影響は一時的なものであることが多く、経時的に改良土のpHが徐々に上昇して再びアルカリ性を呈してしまう場合がある。従って、改良土の用途には依然として制約が残る。
【0006】
一方、本出願人は、有機系材料を主とする高含水土の土質改良方法を提供してした(特許文献1参照)。この方法では、例えば、農業用土として使用される場合に良好な性質を示す改良土を提供できる点で優れているが、長期安定化が望まれる改良土を得ようとする場合には不向きである。
また、本出願人は、無機化合物から構成され、pH調整物質を含む土質改良材を添加する土質改良方法を提供している(特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平2001−16598号公報
【特許文献2】
特開平2000−319928号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、建設汚泥等の積極的利用を拡大する上からも、さらに様々な用途に適合する高含水土の土質改良方法が切望されているのが現状である。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、中性でかつ各用途に適した強度を容易に発現できる改良土が得られる高含水土の土質改良方法を提供することを技術的課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の技術的課題を達成するために次のような構成とした。すなわち、本発明の土質改良方法は、水を含むことにより軟化状態となった高含水土に、発熱反応による水分蒸発及び化学反応による固結物生成の少なくともいずれか一方を生起させる無機材料を主成分とする土質改良材を添加し、前記高含水土及び前記土質改良材を撹拌・混合することにより前記高含水土を固化して改良土とするものである。
【0011】
本発明の最大の特徴は、高含水土中の水分の固定化と土粒子間の結合力を増大させるとともに、高含水土を発熱させて土中の水分が蒸発するようにして、軟化状態の原因である高含水土中の水を固定化及び排除するものである。
このような方法によれば、前記土質改良材は、高含水土に含まれる水を固定化しまたは排除することから、土質改良材の添加量によって前記改良土の強度が自在に設定される。
【0012】
前記高含水土は、水分を含むことにより軟化状態となった土壌であれば特に限定されない。例えば、雨水等の影響で軟化状態を示すようになった高含水土としても良く、河川、海底の掘削土のように、水を含み軟化状態で得られる高含水土であっても差し支えない。さらには、泥水シールド工事等で発生する高含水土を機械脱水(フィルタープレス・ドラムプレス・サンドコレクタ・液体サイクロン)で処理したものを高含水土としても良い。
【0013】
前記土質改良材を構成する無機材料は、例えば、アルミニウム粉及び生石灰を含むもの、又は鉄粉、炭素粉及び塩を含むものが好適に用いられる。アルミニウム粉及び生石灰を含むものを用いると、カルシウム、アルミニウム等からなる化合物が生成されることで高含水土の固定化、及び粘土粒子どうしの結合力の増大作用が生じる。また、それだけでなく、アルミニウムの酸化反応に伴う発熱により、高含水土中の水分が蒸発することによって改良土の強度の増大が図られる。
【0014】
また、高含水土に鉄粉、活性炭、塩を添加する場合の作用は、鉄粉の酸化反応に伴う発熱反応が生じるので、この反応熱を利用して高含水土中の水分を蒸発させ、改良土の強度を高くすることができる。
特にアルミニウム粉及び生石灰の組合せは、▲1▼発熱反応が急激に発生すること、▲2▼アルミニウム粉中のアルミニウムと生石灰のカルシウムと土中のシリカの反応により、粘土粒子どうしの結合を促進するエトリンガイトのような無機化学物質が生成されること、▲3▼アルミニウムと生石灰と土の反応により、生石灰中のアルカリが中和され、改良土のpHが中性になること、等の観点から優れているので、アルミニウム粉と生石灰を組み合わせて土に添加することが好ましい。
前記無機材料は、アルミニウム粉及び生石灰を含むもの、又は鉄粉、炭素粉及び塩を含むものが用いられる。
【0015】
なお、アルミニウム粉及び生石灰を含むものに、必要に応じて石膏またはボウ硝のような、硫酸根(SO4 2)を含むような無機化合物を添加することができる。
このような無機化合物を添加すると、アルミニウム粉中のアルミニウム(Al)、生石灰中のカルシウム(Ca)、土中のシリカ(Si)及び硫酸根(SO4 2)によって、エトリンガイト様の無機化合物が生成され、これが粘土粒子どうしの結合材となって化学的な土質改良効果が発現する。通常は、土中に硫酸根(SO4 2)が多量に存在するので、別途、硫酸根(SO4 2)を添加する必要がない場合が多い。しかし、これを含まない土、または硫酸根(SO4 2)の含有量が少ないために土質改良効果が小さくなるときは、これを回避するために硫酸根(SO4 2)を添加することが適当な方法である。
また、鉄粉、炭素粉の組合せでは、主に発熱による水分蒸発によって土質改良効果が発現する。
【0016】
前記構成によれば、高含水土の改良は、当初、生石灰の添加により高アルカリ性を呈することになるが、アルミニウム粉の酸化・発熱反応に伴って、改良土のpHはほぼ中性になる。したがって、改良土が利用された際には、周辺環境に対する環境負荷が少なくなる。
【0017】
一方、改良土のpHが中性まで低下しない場合には、pH調整剤を使用することで、改良土のpH調整が可能となる。pH調整物質は、改良土のpHが中性付近になるように調整可能な無機化合物であればよく、例えば酸性の無機化合物(硫酸バンド、PAC等)が使用される。pH調整剤によって調整される改良土のpHが5.8〜8.6であれば、改良土の用途が制限されにくくなり好ましい。しかし、改良土のpHは前記範囲内に限定されるものではなく、改良土の用途に適したpHに調整されるように、pH調整物質を設定しても構わない。
【0018】
前記アルミニウム粉及び生石灰を含む無機材料は、さらに石膏・ボウ硝など硫酸根(SO4 2)を含有するものとしてもよい。例えば、石膏を含有することによって、石膏自体が化学反応による固結物生成の機能を発揮する。そのため、アルミニウム粉及び生石灰のみでは固結物生成の反応が鈍い場合等において、前記機能を高めることができる。
【0019】
第2の発明は、水を含むことにより軟化状態となった高含水土に、発熱反応による水分蒸発と、化学反応による固結物生成の少なくともいずれか一方を生起させる無機材料を主成分とする土質改良材を添加し、前記高含水土及び前記土質改良材を撹拌・混合することにより前記高含水土を固化してなる改良土に、土質改良剤を添加していない未改良土を混合することを特徴とする。
前記無機材料としては、アルミニウム粉、生石灰、またはこれに石膏を添加したもの等が使用できる。
【0020】
このような方法により、例えば、急激な発熱や化学反応が起こらないために改良土の強度改善が不十分であるときには、最初にアルミニウム粉等を多く添加する土質改良を実施し、その後、未改良の高含水土等を混合することで、有効利用に適した強度に調整した高含水土を得ることが可能である。
【0021】
また、本発明の高含水土の土質改良方法は、周辺環境に対する負荷を少なくするための手段として、前記土質改良材が無機化合物で構成されている。したがって、この方法による改良土からは有機化合物、及びアルカリ成分の溶出がなく、周辺環境に対する負荷が少なくなる。
【0022】
高含水土は、前述したように水分を多く含む土であり、土壌の性質によって様々であるため、土壌改良材として用いる前記無機材料の添加量、もしくは前記各物質の種類や添加量は、改良対象となる高含水土によって、或いは改良土の用途に応じてその都度設定することが好ましい。
【0023】
前記土質改良材を高含水土に添加するに際し、高含水土に対して最適量の土質改良材を添加するためには、改良対象となる高含水土を計量する必要が生じる。高含水土の計量方法には、連続式による方法とバッチ式による方法とがある。
【0024】
連続式による高含水土の計量方法では、例えば、ベルトコンベアに重量や容積を検知するセンサを取り付け連続的に高含水土を計量する方法や、ベルトコンベアの搬送能力から供給量を推定する方法等が例示できる。また、バッチ式による計量方法では、例えば、容量が既知である容器(ベッセル等)に高含水土を投入することにより容量を計測する方法や、重量計により重量を計測する方法等が例示できる。
【0025】
土質改良材の添加方法についても、連続式、又はバッチ式の添加方法が挙げられる。連続式の添加方法では、高含水土に対して最適量となるように土質改良材を、例えば、セメントサイロ等を使用して連続的に添加する方法が例示できる。また、バッチ式の添加方法には、重機(トラッククレーン・キャリーダンプ・ローリーエアー圧送・パイル建込機)等を用いて、所定量の土質改良材を添加する方法を例示できる。
【0026】
土質改良材は、単位重量が既知となるようにフレキシブルコンテナに詰められたものを使用しても良いし、所定量を重量計等で計測してバッチ毎にその都度添加するようにしても良い。
【0027】
高含水土と土質改良材の撹拌・混合方法についても、連続式、又はバッチ式の方法が挙げられる。連続式の撹拌・混合方法としては、ベルトコンベアを搭載したソイルミキサを使用する方法が例示でき、バッチ式の撹拌・混合方法には、ロードスタビライザを使用して撹拌・混合する方法や、バックホウ・ブルドーザ等により撹拌・混合する方法が例示できる。また、高含水土の量が少ない場合は、人力による撹拌・混合でも構わない。
【0028】
高含水土と土質改良材とが撹拌・混合された後の改良土の搬出方法についても、連続式、又はバッチ式の搬出方法が挙げられる。連続式の搬出方法には、ベルトコンベア等で改良土を所定の場所に搬出する方法等が例示でき、バッチ式の搬出方法には、トラックや船舶等の搬送手段によって所定の場所に搬出する方法等が例示できる。いずれの搬出方法においても、高含水土と土質改良材とを添加・撹拌した直後から搬出することができる。
【0029】
改良土が所望の物性を有するか否かは、ロッドの先端に取り付けられたコーン又はシューを改良土に圧入又は打ち込むことにより、改良土の貫入抵抗を求める貫入試験方法や、pH測定等によって確認できる。改良土の貫入抵抗を示すコーン指数は、改良土の用途や試験方法によって異なるが、例えば、地盤工学会基準で規定されるコーン貫入試験方法において概ね4.0〜8.0 kgf/cm2 程度であると好ましい。
【0030】
本発明による土質改良は、以下に示す工程によって実施することができる。
なお、ここで0次処理土、1次処理土、または2次処理土とは、すべて泥水シールド工事で発生する高含水土を処理したものであり、その処理の次元に基づいて区別をしたものである。0処理土、1次処理土は、シールド工事で排出される泥水状態の排泥を振動ふるいにかけ、いわゆる篩いによって礫分と砂分を回収し、礫分を0処理土、砂分を1次処理土とした。また、礫分や砂分が除去された後の高含水土は、フィルタープレス等の脱水機によって脱水処理が施され、この脱水処理によって得た脱水ケーキを2次処理土とした。
【0031】
第1工程
高含水土を振動ふるいにより分級して得た0次処理土及び1次処理土を、搬送量が定量となる機能を有するベルトコンベアで連続的に移送する。
第2工程
所定の土質改良材を、第1工程で移送した0次処理土及び1次処理土に対して所定の量となるようサイロから一定供給し、0次処理土及び1次処理土に添加する。
第3工程
0次処理土及び1次処理土、そして土質改良材を、二軸のパドルミキサに投入し、連続的に混合・撹拌を行う。
第4工程
第3工程で得られた粗改良土を、ベルトコンベアによってストックヤードへ連続的に移送する。
第5工程
前記粗改良土を、ストックヤード内でバックホウを用いて2次処理土と簡易的に撹拌する。
第6工程
第5工程で得られた改良土をトラックで搬出する。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の高含水土の土質改良方法を、二次処理土(フィルタープレス脱水ケーキ)に対して実施した配合試験について述べる。
土質改良材の組成は、生石灰とアルミニウムを、所定の配合比及び高含水土に対する添加量(重量%)を変えることにより行われる。なお、前記生石灰の添加量は6kg/m3とし、前記アルミニウムの添加量を5〜30kg/m3とした。
【0033】
(試験例1)
<アルミニウム粉添加量に対する改良土の強度試験>
本実施例における高含水土は、宅地造成工事により発生した工事濁水を、フィルタープレスと呼ばれる機械脱水機により含水比46%の処理土とし、これに表1に示すような添加量の生石灰及びアルミニウム粉、pH調整材を加えたものを用いた。アルミニウム粉の添加量の相違により五種類の改良土を得た。
【表1】
【0034】
次に、この改良土のそれぞれについてコーン指数の測定を実施した。改良土のコーン指数の測定は、地盤工学会基準JSFT211−1990に基づき測定される。すなわち、鉄製円筒体であるモールドの一端を底板で閉塞し、前記モールド内にスペーサーディスクを配置してモールド内に形成される空間の体積を調整し、この空間内に改良土を三層にわたって充填する。改良土の充填に際しては、所定の質量を有するランマーによって一層毎に均一になるよう突き固め、モールド内に充填された改良土に、荷重計及びロッドを備えたコーン(円錘体)を所定の深さまで挿入する。このときの荷重計の目盛りを読みとることにより、改良土のコーン指数を測定する。
【0035】
また、改良土のpHの測定は、地盤工学会基準JSFT716−1990に基づき測定される。すなわち、改良土をビーカー内に所定量測り取り、測り取られた改良土に対して質量比が2〜3倍になるように純水を加え、改良土及び純水を前記ビーカー内で良く撹拌した後、30分以上3時間以内静置したときの上澄み液のpHを、ガラス電極式pH計によって測定することにより改良土のpHを測定する。
【0036】
前述した改良土のコーン指数とpHの測定結果を表2に示す。
【表2】
改良土の強度は、アルミニウム粉添加量の増加に伴い増大することから、アルミニウム粉の添加量により改良土の強度設計が可能なことが判明した。
一方、改良土のpHは、アルミニウム粉添加量の増大に伴い低下する傾向を示すことが認められた。
【0037】
(試験例2)
<改良土と未改良土の混合試験>
土質改良材の組成は、生石灰とアルミニウムを、所定の配合比及び高含水土に対する添加量(重量%)を変えることにより行われる。なお、前記生石灰の添加量は28.5kg/m3とし、前記アルミニウムの添加量を20〜40kg/m3とした。
【0038】
<アルミニウム粉末添加量に対する改良土の強度試験>
本実施例における高含水土は、河川の底泥である高含水土を振動ふるい等で分級して、含水比50%の処理土とし、これに表3に示すような添加量の生石灰およびアルミニウム粉を加えたものを用いた。アルミニウム粉の添加量の相違により三種類の改良土を得た。
【表3】
【0039】
次に、この改良土のそれぞれについてコーン指数の測定を実施した。改良土のコーン指数の測定は、地盤工学会基準JSFT211−1990に基づき測定される。すなわち、鉄製円筒体であるモールドの一端を底板で閉塞し、前記モールド内にスペーサーディスクを配置してモールド内に形成される空間の体積を調整し、この空間内に改良土を三層にわたって充填する。改良土の充填に際しては、所定の質量を有するランマーによって一層毎に均一になるよう突き固め、モールド内に充填された改良土に、荷重計及びロッドを備えたコーン(円錐体)を所定の深さまで挿入する。このときの荷重計の目盛りを読みとることにより、改良土のコーン指数を測定する。
【0040】
また、改良土のpHの測定は、地盤工学会基準JSFT716−1990に基づき測定される。すなわち、改良土をビーカー内に所定量測り取り、測り取られた改良土に対して質量比が2〜3倍になるように純水を加え、改良土及び純水を前記ビーカー内で良く撹拌した後、30分以上3時間以内静置したときの上澄み液のpHを、ガラス電極式pH計によって測定することにより改良土のpHを測定する。
【0041】
前述した改良土のコーン指数とpHの測定結果を表4に示す。
【表4】
改良土の強度は、アルミニウム粉添加量の増加に伴い増大することから、アルミニウム粉の添加量により改良土の強度設計が可能なことが判明した。
一方、改良土のpHは、アルミニウム粉添加量の増大に伴い、低下する傾向を示すことが認められたが、中性まではpH低下しなかった。このため、pH調整剤を添加して改良土のpHを中性に調整する方法と、未改良土を改良土と混合することでpHを中性にする方法が考えられる。
以下、(試験例3)に改良土と未改良土を混合してpH調整する方法を述べる。
【0042】
(試験例3)
<改良土と未改良土の混合試験)
上述した含水比50%の底泥に、生石灰28.5kg/m3、アルミニウム粉30kg/m3を添加した改良土に、未改良土を混合するブレンド法を実施した。ここでは、表2に示すように、それぞれ改良土と未改良土のブレンド比が異なる七種類の改良土を得た。
【表5】
【0043】
このような未改良土をブレンドした改良土について、コーン指数とpHを測定した結果を表6に示す。
【表6】
表6は、改良土と未改良土のブレンド比と、ブレンド後の改良土の強度、pHの関係を示す。このように改良土に未改良土をブレンド(ブレンド比0.2〜0.5)することで、pHが中性の改良土が得られた。また、ブレンド比を0.4以上とすることで、0.4Mpa以上の改良土を得ることができた。
【0044】
次に、前記ブレンド法によって底泥を改良した場合において、改良土と未改良土のブレンド比とブレンド後のアルミニウム粉添加量の関係を表7に示す。
【表7】
表7に示す結果から、前記ブレンド比が大きくなる程、改良土全体に対するアルミニウム粉添加量は少なくなることがわかった。
【0045】
また、本実施例における高含水土の土質改良方法は、化学反応による固結物生成と発熱反応による水分蒸発の両方か、いずれか一方によるものである。このため、セメントや石灰系の土質改良材による化学的作用が卓越した土質改良材によるものではないため、少量のpH調整物質を添加することにより、容易に、かつ、長期にわたってpHを中性(5.8〜8.6)に保つことが可能となる。さらに、前記土質改良材は、無機化合物のみで構成されているため、有機化合物による土壌汚染(COD、BOD等の上昇)の心配がなく、環境に対して負荷の少ない改良土を得ることができる。
【0046】
【発明の効果】
本発明の高含水土の土質改良方法は、高含水土に、発熱反応による水分蒸発及び化学反応による固結物生成のうち、少なくともいずれか一方を生起させる無機材料を主成分とする土質改良材を添加して、撹拌・混合することにより高含水土を固化して改良土とするもので、高含水土の土改良材の主成分がアルミニウム等の無機化合物で構成されているため、有機物による土壌汚染の問題が発生しない。
また、改良材の添加量によって前記改良土の強度を自由に設定することができ、改良材を添加してから数時間程度で所望の強度が発現する。
【0047】
また、本発明の高含水土の土質改良方法は、例えば、強アルカリ性を示すセメント等を用いる土質改良方法と異なり、前述した化学的作用または発熱作用を呈する固化材を使用するので改良土のpHが上昇しない。従って、改良土のpHを中性付近に調整・維持することが容易となる。
以上のように、本発明によれば、周辺環境に対する負荷が少なく、かつ安定した性質を有する改良土を得ることができる。
Claims (6)
- 水を含むことにより軟化状態となった高含水土に、発熱反応による水分蒸発及び化学反応による固結物生成のうち、少なくともいずれか一方を生起させる無機材料を主成分とする土質改良材を添加し、前記高含水土及び前記土質改良材を撹拌・混合することにより前記高含水土を固化して改良土とすることを特徴とする高含水土の土質改良方法。
- 前記無機材料は、アルミニウム及び生石灰を含むもの、又は鉄粉、炭素粉及び塩を含むものであることを特徴とする請求項1記載の高含水土の土質改良方法。
- 前記アルミニウム及び生石灰を含む無機材料は、硫酸根(SO4 2)を含む無機化合物をさらに含有することを特徴とする請求項2記載の高含水土の土質改良方法。
- 水を含むことにより軟化状態となった高含水土に、発熱反応による水分蒸発と、化学反応による固結物生成の少なくともいずれか一方を生起させる無機材料を主成分とする土質改良材を添加し、前記高含水土及び前記土質改良材を撹拌・混合することにより前記高含水土を固化してなる改良土に、土質改良剤を添加していない未改良土を混合することを特徴とする高含水土の土質改良方法。
- 請求項1から4に記載の高含水土の土質改良方法に用いる土質改良材であって、アルミニウム及び生石灰を含むもの、または鉄粉、炭素粉及び塩を含むものであることを特徴とする土質改良材。
- アルミニウム及び生石灰に、硫酸根(SO4 2)を含む無機化合物を添加したものである請求項5に記載の土質改良材。
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