JP2004098014A - 揮発性有機化合物含有ガスの処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】吸着回収工程後のガス中に残存する揮発性有機化合物を除去する高度処理技術を提供すること。
【解決手段】揮発性有機化合物含有ガスに含まれる該揮発性有機化合物を処理するに当り、該ガスを吸着回収工程に通して揮発性有機化合物を回収した後、該吸着回収工程における未回収揮発性有機化合物を含むガスを触媒処理工程へ導入して未回収揮発性有機化合物を処理することに要旨を有する。
【選択図】 なし
【解決手段】揮発性有機化合物含有ガスに含まれる該揮発性有機化合物を処理するに当り、該ガスを吸着回収工程に通して揮発性有機化合物を回収した後、該吸着回収工程における未回収揮発性有機化合物を含むガスを触媒処理工程へ導入して未回収揮発性有機化合物を処理することに要旨を有する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は有機化合物含有ガスの処理方法に関し、詳細には揮発性有機物含有ガス、特にタンクベント排ガスを触媒を用いて処理する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、石油化学工業等の原料となる石油などの揮発性原料や、石油精製製品や揮発性化学薬品などの揮発性製品は、タンクに貯蔵されている。これら原料や製品を貯蔵タンクから出し入れする際に、ベントから排出されるガス中には有機物の蒸気圧により高濃度の有機化合物含有排ガスが排出される。またタンクに貯蔵される有機化合物の沸点が比較的低い場合、爆発等の危険を低減させるためにタンク内には窒素ガスや低酸素濃度の不活性ガスを常時供給しているが、内圧調整の必要から該ガスの供給に伴い、有機化合物含有ガスが排出されている。この様にタンクベント排ガスは揮発性有機化合物含有ガスであるため、大気汚染防止法、悪臭防止法、PRTRにより規制されており、該ガスには各種処理が提案されている。
【0003】
従来からタンクベント排ガスの処理方法としては各種薬液による洗浄処理;直接燃焼法、触媒式処理方法などの燃焼処理が知られている。薬液による洗浄処理は処理効率が低く、また使用済み洗浄液の廃棄処理や薬液コストも生じることから、工業的規模の処理には適さない。一方、燃焼処理の場合、安全性の観点からタンクベント排ガスを空気で希釈して燃焼するため、被処理ガス量が増大し、それに伴って燃料コストが上昇すると共に、燃焼装置が大型化するという問題が生じている。また燃焼処理は温暖化物質であるCO2を多量に排出する問題がある。
【0004】
近年、資源の有効利用を図る観点から、吸着材を用いた揮発性有機化合物含有ガス中に含まれている揮発性有機化合物を回収する技術が提案されている。しかしながら吸着材を用いた場合、吸着回収処理後のガス中に揮発性有機化合物が残存することがある。特に揮発性の高い液体の貯蔵タンクから排出されるベント排ガスの場合、揮発量が温度などの諸条件によって変化するため、画一的な吸着処理条件では、揮発性有機化合物を完全に吸着回収することができないため、揮発性有機化合物が吸着処理後のガス中に残存していた。
【0005】
尚、本発明は全く新規な知見に基づいてなされたものであり、本発明に関連する記載すべき先行技術文献はありません。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術に鑑みてなされたものであって、その目的は、吸着回収工程後のガス中に残存する揮発性有機化合物を除去する高度処理技術を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し得た本発明とは、揮発性有機化合物含有ガスに含まれる該揮発性有機化合物を処理するに当り、該ガスを吸着回収工程に通して揮発性有機化合物を回収した後、該吸着回収工程における未回収揮発性有機化合物を含むガスを触媒処理工程へ導入して未回収揮発性有機化合物を処理することに要旨を有するものである。
【0008】
本発明を実施するにあたっては、吸着回収工程に導入するガスの空間速度を、50〜5000hr−1、触媒処理工程に導入するガスの空間速度を5000〜50000hr−1とし、且つ触媒処理工程の空間速度を吸着回収工程の空間速度の1〜1000倍とすることが望ましい。
【0009】
本発明では、揮発性有機化合物含有ガスがタンクベント排ガスであることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で処理対象とする気体は揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds 以下、「VOC」と略記する。)を含むガスである。VOCとは常温でも高い蒸気圧を有し、常圧沸点の低い有機化合物をいい、PRTR(有害物質排出及び移動に関する登録制度)指定物質のうち、タンク類に貯蔵およびタンカー等で輸送する物質をいう。この様な物質としては例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、フェノール、テトラヒドロフラン、ヒドラジン、メチルアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセトアルデヒド、エチレンオキサイド、エチレングリコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、アクリロニトリル、アクリロアミド、アクリル酸、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、エピクロロヒドリン、クロロメタン、cis−1,2−ジクロロエチレン、trans−1,2−ジクロロエチレン、ジクロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ブロモメタン等を挙げることができる。
【0011】
本発明の方法は、VOC含有液を貯蔵したタンクから排出されるVOCを含むタンクベント排ガスの処理に適している。
【0012】
以下、本発明の処理方法を図1に例示される概略工程図に基づいて説明するが、本発明は下記のプロセスに限定される趣旨ではなく、本発明の効果を阻害しない範囲でプロセスに適宜変更を加えることができる。したがって特に特定的な記載がない限り、本発明の方法は例示以外の原料,装置,プロセスにも同様に適用できる。
【0013】
図示例では、VOC含有液をVOC含有液供給タンク(図示せず)から、ライン1を通して貯蔵タンク2へ供給すると共に、タンク内のVOC含有液を必要に応じてライン3を介して図示しないタンクへ供給し得る構成となっているが、貯蔵タンクは図示する様にライン3が接続されている必要はなく、設計に応じた構成とすればよい。
【0014】
VOC含有液の供給に伴ってタンク2内圧が上昇するため、ガス圧調節弁(図示せず)などの圧力調節手段を設けて適宜タンク内のガスを抜出し、タンク内圧を所望の圧力とすればよい。尚、VOC含有液供給タンクと貯蔵タンク2をベーパーリターンライン(図示せず)などの還流手段を設けて両タンクの内圧バランスをはかる場合、VOC含有液の蒸発によって生じた圧力上昇を調整するためにパージするガス(ベント排ガス)に含まれる揮発性有機化合物を吸着回収工程5に付した後、該吸着回収工程における未回収のVOCを含むガスを触媒処理工程7へ導入してVOCを処理すればよい。また浮屋根式タンクの場合、タンク内に気体層が形成されないが、屋根が降下した際、タンク内壁に付着したVOC含有液が外気と接触して蒸発するため、該蒸発ガスを吸着回収工程5に付した後、残存する未回収VOCをライン6を通して触媒処理工程7へ導入してVOCを処理すればよい。
【0015】
VOC含有液は常温下でも高い揮発性を有するため、タンク2内のガスはVOCとの混合相となっている。混合相を構成するVOC以外の成分は、主としてタンク2内の気相を構成する気体であり、例えば空気,窒素などの気体である。揮発性が高いVOC含有液を貯蔵する場合、タンク2内の気相部がVOCと空気の混合相であると、常温下でも爆発する恐れがあるため、空気に替えて窒素などの不活性ガスをタンク2内へ供給し、タンク2内の気相部を不活性ガスとVOCとの混合相とすることが好ましい。この様にVOC以外のガス成分は操業条件などに応じて変更してもよい。
【0016】
尚、具体的なVOC含有ガスの組成はVOC含有液によって異なるため、特定の組成に限定されない。但し、VOC含有ガス中のVOC濃度が低すぎると回収効率が悪いため、回収工程に付さずに触媒処理工程へ供給してもよい。即ち、低濃度の場合は吸着回収設備等を設けると高コストとなるため好ましくない。この様な観点からVOCを吸着回収工程に付す場合のVOC濃度は1.0%以上であることが好ましく、より好ましくは1.2%以上、更に好ましくは1.5%以上である。
【0017】
タンク2から排出されたVOC含有ガスは連続的或いは間欠的にライン4を通して吸着回収工程5へ供給される。吸着回収工程5は、吸着材を用いてVOC含有ガスに含まれるVOCを吸着・回収する工程である。該吸着回収工程5においてVOC成分をできるだけ回収することが望ましいが、吸着能力が飽和に近づくにしたがって、吸着性能が低下し、吸着回収工程後のガス中に含まれる揮発性有機化合物濃度が高まることがある。したがって吸着能力の低下した吸着材を適宜交換および/または再生し、安定した吸着能力を発揮できる様にすることが望ましい。
【0018】
吸着回収処理工程5に採用し得る吸着方法としては、酸液やアルカリ液などによる薬液吸収法,イオン交換樹脂などの化学的吸着法,活性炭などを用いた物理的吸着法などが例示され、公知の吸着法を単独、或いは任意に組合せて実施してもよい。しかしながら、薬液吸着法や化学的吸着法の場合、吸着後の薬液の後処理が必要となり、後処理費用も高いことから、物理的吸着法が推奨される。物理的吸着法の場合、吸着性能が低下した吸着材を再生処理(脱着操作)すれば再使用できるため、複数の吸着材を用いて吸着操作と脱着操作を繰返せば連続操業が可能となる。
【0019】
物理的吸着法に用いる吸着材は、所望の成分を吸着する能力を有する限り特に限定されないが、吸着効率,耐久性,再生容易性などの観点からすると、活性炭,ゼオライト,シリカゲル,アルミナゲル,活性白土よりなる群から選ばれる少なくとも1種が推奨される。これらの中でもシリカゲル,ゼオライトは吸着性能と耐熱性に優れているので望ましい。
【0020】
吸着材の吸着孔径は分子状のVOCを効率良く吸着する必要があることから、好ましくは10Å以上、より好ましくは20Å以上、更に好ましくは50Å以上である。また該孔径が1000Åを超えると、吸着箇所濃度が均一でなくなり、ローカルヒーティングを起こすことがあるので好ましくは1000Å以下、より好ましくは800Å以下、更に好ましくは700Å以下である。吸着材の形状は特に限定されず、球状、ペレット状、粉末状など任意の形状でよい。また吸着材の粒径は好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、更に好ましくは0.3mm以上である。また好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、更に好ましくは3mm以下である。10mmを越えると吸着材とVOCの接触効率が低下し、吸着効率が低下することがあるため好ましくなく、また0.1mm未満の場合は圧損の上昇等の問題が生じるため好ましくない。
【0021】
これら吸着材の充填量はVOC含有ガスや吸着材の性質などに応じて適宜選定すればよいが、VOCの吸着処理を効率的に行なうには、ガス空間速度を調節することが望ましく、好ましくは50hr−1以上、より好ましくは100hr−1以上であって、好ましくは5000hr−1以下、より好ましくは4000hr−1以下である。ガス空間速度が50hr−1未満であると、吸着材量が増加し、装置が大型化することからコスト高となるため好ましくない。またガス空間速度が5000hr−1を超えると、VOCを十分に吸着できないことがある。
【0022】
吸着処理時の温度条件も特に限定されないが、吸着材が高温に曝されると吸着成分が吸着材から脱着することがあるので、好ましくは30℃以下,より好ましくは20℃以下とすることが望ましいが、供給するVOC含有ガスの温度は常温のままでよい。更に圧力条件についても特に限定されないが、50KPa以下の圧力にすると吸着性能が低下し、被吸着成分を放出する恐れが生じるので常圧でよい。
【0023】
また吸着回収工程5の設置方法は特に限定されず、吸着回収工程を複数設けて特定の吸着材で特定の成分を除去してもよい。更に複数の吸着回収工程を並列的に設置し、吸着操作と再生操作を交互に行なう連続処理方式とすれば、操業の連続性が確保できるので好ましい。吸着材の再生方法は特に限定されず、例えば吸着能力が低下した吸着層に別経路から加熱水蒸気などを流通させ、吸着材に吸着しているVOCの成分を離脱させ、再生できる様にすることも有効である。
【0024】
吸着回収工程5で処理されたタンクベント排ガス(以下、1次処理ガスという)は、ライン6を通して触媒処理工程7に供給される。
【0025】
本発明では、1次処理ガスに含まれるVOCは、更に触媒処理工程7にて処理されるため、吸着回収工程5に供給したVOC含有ガスに含まれるVOCを完全に吸着除去する必要がない。したがって長期操業する際に従来の吸着処理方法で問題となっていたVOC含有ガス組成の不均一性に起因する吸着回収処理後の処理ガスに含まれるVOC濃度のバラツキを抑制するために吸着処理条件を厳密に調節する必要がない。即ち、吸着能力がある程度低下して1次処理ガス中の揮発性有機物濃度が高くなってもよく、吸着材を従来よりも長期間使用できる。
【0026】
尚、触媒処理工程に供給する1次処理ガスに含まれるVOC濃度は好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.8%以下、更に好ましくは0.5%以下であることが望ましい。VOC濃度が1.0%を超える場合、触媒処理工程におけるVOCの燃焼熱による発熱によって触媒の劣化を防止し、更に爆発等を避けるために触媒処理工程に供給する1次処理ガスに空気等を大量に混入してVOC濃度を低減させなくてはならず、被処理ガス量が増大し、装置の小型化が図れず、また被処理ガス処理に要する燃料費が高くなることがある。また燃焼時のCO2排出量が増えるという問題も生じることがある。ただし、ベント排ガス中に酸素が含まれていない場合は吸着回収工程後に酸素、好ましくは空気を導入する必要がある。
【0027】
したがって、1次処理ガスのVOC濃度が1.0%以下となる様に、充填する吸着材量を増やす等、吸着回収工程での処理条件を適宜変更すればよい。
【0028】
触媒処理工程に充填する触媒には、不燃性の固体であって、VOC成分を酸化分解する作用を有する触媒を使用することが好ましい。本発明では不燃性固体触媒としてPt,Pd,Rh,Fe,Co,Ni,Mn,Cu,Vよりなる群から選ばれる少なくとも1種の触媒が推奨され、これら触媒はいずれもVOC成分に対する酸化分解性能が高いので好ましい。
【0029】
勿論、これら触媒は単独,或いは2種以上を併用してもよいが、特に触媒としてPt,Pd,Rhは、VOCに対して優れた分解能を有し、長期間高レベルの触媒活性を維持できるので望ましい。またこれら成分を各種担体に担持して使用することが好ましい。担体としてはアルミニウム,チタン,シリコン,ジルコニウム,セリウム,タングステンの酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0030】
この際に用いる触媒の形状にも特に制限はなく、球状、ペレット状、円柱状、破砕片状、粉末状、ハニカム状など任意の形状を用いることができるが、特に強度,効率性,耐圧損性を十分に有するハニカム状が好ましい。また触媒のサイズ,細孔径,比表面積等も特に限定されず、公知の方法で製造された触媒を用いることができる。
【0031】
触媒処理工程に導入される1次処理ガス中のVOC成分濃度は1.0%以下まで低減されていれば、VOC成分を希釈するために空気等を多量に混入させる必要がないので、触媒処理工程の大型化を抑制できる。しかしながら、触媒処理工程にてほぼ確実にVOC成分を分解除去するためには、VOC成分を燃焼する際に必要となる理論燃焼量を満足するO2を触媒処理工程に供給することが望ましい。ここで理論燃焼量とは、VOC成分を水や二酸化炭素,N2 等にまで酸化分解するのに必要なO2量をいう。
【0032】
したがって触媒処理工程7に供給される1次処理ガス中に、O2が十分に含有されていない場合、吸着回収処理後の1次処理ガスに酸素含有ガスを導入し、酸素濃度を高めてから触媒処理工程へ導入することが望ましく、ライン6の任意の位置にライン9を設けて酸素含有ガス(好ましくは空気)を導入すればよい。O2量が理論燃焼量未満であると、VOC成分を十分に酸化分解できず、VOC成分が残存することがある。具体的なO2供給量は理論燃焼量となる様に供給することが好ましく、1次処理ガス中のO2濃度が好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上となる様に適宜酸素含有ガスを供給することが望ましい。一方、酸素含有ガスを過剰に供給すると、被処理ガス量が増大してランニングコストが上昇し、また装置も大型化するため、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下とすることが望ましい。
【0033】
触媒処理工程7へ供給するVOC含有処理ガスの供給量は特に限定されないが、上記触媒酸化処理作用を十分に発揮させるためには、空間速度が好ましくは5000hr−1以上、より好ましくは6000hr−1以上、更に好ましくは7500hr−1以上であることが望ましい。また好ましくは50000Hr−1以下、より好ましくは45000hr−1以下、更に好ましくは40000hr−1以下となる様にガスの供給用を調節することが望ましい。空間速度が5000hr−1未満の場合、触媒量が増加し、高コストであるので好ましくない。また空間速度が50000hr−1を超える場合、十分にVOC成分を分解除去することができず、VOC成分が残存することがある。
【0034】
また触媒によるVOC分解効率を向上させるためには、高温下で処理することが推奨され、具体的には触媒処理工程の温度を好ましくは100℃以上、より好ましくは200℃以上、好ましくは400℃以下、より好ましくは350℃以下の範囲に制御すればより一層優れた触媒酸化処理効率が発揮されるので望ましい。100℃未満の場合、十分にVOC成分を分解除去することができないことがある。また一般的に高温であるほど触媒による分解処理が効率的に行なえるが、400℃を超えるとランニングコストが高くなることがある。尚、この様な温度で上記ガスの処理を行なう場合、活性炭を触媒として用いると発火,爆発の恐れが生じるため望ましくない。
【0035】
また1%以上の高濃度のVOC成分を含むガスを処理する場合、VOCのほとんどを吸着回収工程で回収し、残存したVOCを触媒により処理する。したがって、触媒空間速度に比し、吸着材の空間速度は同等あるいは小さくすることが必要である。その比率は[触媒のSV/吸着材のSV]=1〜1000となる。この条件とすることにより、効率よくVOCを処理することが可能となる。
【0036】
上記した様な本発明の方法によってVOC含有ガス(VOC濃度1.0%以上)を吸着工程5及び、触媒処理工程7で処理することによって、ライン8を通して得られる処理ガスは、VOC含有率を10ppm以下、より好ましくは5ppm以下、更に好ましくは0にまで減少された高度浄化ガスであり、大気中に放出することができる。
【0037】
【実施例】
実施例1
アクリロニトリル製品の貯蔵タンクから排出されるVOC含有ガス(タンクベント排ガス)を図1に示す様な吸着回収工程、及び触媒処理工程に供給して処理した。
[アクリロニトリル貯蔵タンク]
貯蔵タンク : 500トン貯蔵タンク
窒素導入量 : 60Nm3/h
タンク外温度 : 30℃
[アクリロニトリル貯蔵タンクからのタンクベント排出ガス]
アクリロニトリル濃度: 17.8vol%
窒素濃度 : 82.2vol%
[試験条件]
上記アクリロニトリル貯蔵タンクから排出されたタンクベント排ガス(0.1Nm3/min)を下記に示す吸着回収装置に導入した。尚、該装置に導入したアクリロニトリル濃度は17.8vol%であったが、吸着回収装置から排出された1次処理ガスのアクリロニトリル濃度は500ppm(v/v)であった。1次処理ガス中のO2濃度が11.5%となる様に空気を供給(空気供給量:0.1Nm3/min)した後、下記触媒式ガス処理装置に導入(0.182Nm3/min:ガス空間速度22000hr−1)した。触媒式ガス処理装置に導入したアクリロニトリル濃度は220ppm(v/v)であったが、処理後の排出ガスのアクリロニトリル濃度は0.5ppm(v/v)未満、NOx濃度は20ppm(v/v)であった。
【0038】
比較例1
アクリロニトリル貯蔵タンク排出ガスを吸着試験機に導入せずに、直接、下記触媒ガス処理装置に導入した以外は、上記実施例と同様にしてタンクベント排ガスの処理を行なった。触媒式ガス処理装置に導入したアクリロニトリル濃度は5740ppm(v/v)であった。また処理後の排ガスのアクリロニトリル濃度は0.5ppm(v/v)未満、NOx濃度は2310ppm(v/v)であった。
【0039】
【0040】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、VOC含有液貯蔵タンクから排出されるVOC含有ガス(タンクベント排ガス)に含まれるVOC成分を吸着材で吸着回収した後、ガス中に残存するVOC成分を触媒処理することにより、VOC成分が除去された高度浄化ガスが得られる。またガス処理装置を大幅に小さくすることができ、ランニングコストの大幅削減ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概略説明図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は有機化合物含有ガスの処理方法に関し、詳細には揮発性有機物含有ガス、特にタンクベント排ガスを触媒を用いて処理する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、石油化学工業等の原料となる石油などの揮発性原料や、石油精製製品や揮発性化学薬品などの揮発性製品は、タンクに貯蔵されている。これら原料や製品を貯蔵タンクから出し入れする際に、ベントから排出されるガス中には有機物の蒸気圧により高濃度の有機化合物含有排ガスが排出される。またタンクに貯蔵される有機化合物の沸点が比較的低い場合、爆発等の危険を低減させるためにタンク内には窒素ガスや低酸素濃度の不活性ガスを常時供給しているが、内圧調整の必要から該ガスの供給に伴い、有機化合物含有ガスが排出されている。この様にタンクベント排ガスは揮発性有機化合物含有ガスであるため、大気汚染防止法、悪臭防止法、PRTRにより規制されており、該ガスには各種処理が提案されている。
【0003】
従来からタンクベント排ガスの処理方法としては各種薬液による洗浄処理;直接燃焼法、触媒式処理方法などの燃焼処理が知られている。薬液による洗浄処理は処理効率が低く、また使用済み洗浄液の廃棄処理や薬液コストも生じることから、工業的規模の処理には適さない。一方、燃焼処理の場合、安全性の観点からタンクベント排ガスを空気で希釈して燃焼するため、被処理ガス量が増大し、それに伴って燃料コストが上昇すると共に、燃焼装置が大型化するという問題が生じている。また燃焼処理は温暖化物質であるCO2を多量に排出する問題がある。
【0004】
近年、資源の有効利用を図る観点から、吸着材を用いた揮発性有機化合物含有ガス中に含まれている揮発性有機化合物を回収する技術が提案されている。しかしながら吸着材を用いた場合、吸着回収処理後のガス中に揮発性有機化合物が残存することがある。特に揮発性の高い液体の貯蔵タンクから排出されるベント排ガスの場合、揮発量が温度などの諸条件によって変化するため、画一的な吸着処理条件では、揮発性有機化合物を完全に吸着回収することができないため、揮発性有機化合物が吸着処理後のガス中に残存していた。
【0005】
尚、本発明は全く新規な知見に基づいてなされたものであり、本発明に関連する記載すべき先行技術文献はありません。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術に鑑みてなされたものであって、その目的は、吸着回収工程後のガス中に残存する揮発性有機化合物を除去する高度処理技術を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し得た本発明とは、揮発性有機化合物含有ガスに含まれる該揮発性有機化合物を処理するに当り、該ガスを吸着回収工程に通して揮発性有機化合物を回収した後、該吸着回収工程における未回収揮発性有機化合物を含むガスを触媒処理工程へ導入して未回収揮発性有機化合物を処理することに要旨を有するものである。
【0008】
本発明を実施するにあたっては、吸着回収工程に導入するガスの空間速度を、50〜5000hr−1、触媒処理工程に導入するガスの空間速度を5000〜50000hr−1とし、且つ触媒処理工程の空間速度を吸着回収工程の空間速度の1〜1000倍とすることが望ましい。
【0009】
本発明では、揮発性有機化合物含有ガスがタンクベント排ガスであることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で処理対象とする気体は揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds 以下、「VOC」と略記する。)を含むガスである。VOCとは常温でも高い蒸気圧を有し、常圧沸点の低い有機化合物をいい、PRTR(有害物質排出及び移動に関する登録制度)指定物質のうち、タンク類に貯蔵およびタンカー等で輸送する物質をいう。この様な物質としては例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、フェノール、テトラヒドロフラン、ヒドラジン、メチルアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセトアルデヒド、エチレンオキサイド、エチレングリコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、アクリロニトリル、アクリロアミド、アクリル酸、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、エピクロロヒドリン、クロロメタン、cis−1,2−ジクロロエチレン、trans−1,2−ジクロロエチレン、ジクロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ブロモメタン等を挙げることができる。
【0011】
本発明の方法は、VOC含有液を貯蔵したタンクから排出されるVOCを含むタンクベント排ガスの処理に適している。
【0012】
以下、本発明の処理方法を図1に例示される概略工程図に基づいて説明するが、本発明は下記のプロセスに限定される趣旨ではなく、本発明の効果を阻害しない範囲でプロセスに適宜変更を加えることができる。したがって特に特定的な記載がない限り、本発明の方法は例示以外の原料,装置,プロセスにも同様に適用できる。
【0013】
図示例では、VOC含有液をVOC含有液供給タンク(図示せず)から、ライン1を通して貯蔵タンク2へ供給すると共に、タンク内のVOC含有液を必要に応じてライン3を介して図示しないタンクへ供給し得る構成となっているが、貯蔵タンクは図示する様にライン3が接続されている必要はなく、設計に応じた構成とすればよい。
【0014】
VOC含有液の供給に伴ってタンク2内圧が上昇するため、ガス圧調節弁(図示せず)などの圧力調節手段を設けて適宜タンク内のガスを抜出し、タンク内圧を所望の圧力とすればよい。尚、VOC含有液供給タンクと貯蔵タンク2をベーパーリターンライン(図示せず)などの還流手段を設けて両タンクの内圧バランスをはかる場合、VOC含有液の蒸発によって生じた圧力上昇を調整するためにパージするガス(ベント排ガス)に含まれる揮発性有機化合物を吸着回収工程5に付した後、該吸着回収工程における未回収のVOCを含むガスを触媒処理工程7へ導入してVOCを処理すればよい。また浮屋根式タンクの場合、タンク内に気体層が形成されないが、屋根が降下した際、タンク内壁に付着したVOC含有液が外気と接触して蒸発するため、該蒸発ガスを吸着回収工程5に付した後、残存する未回収VOCをライン6を通して触媒処理工程7へ導入してVOCを処理すればよい。
【0015】
VOC含有液は常温下でも高い揮発性を有するため、タンク2内のガスはVOCとの混合相となっている。混合相を構成するVOC以外の成分は、主としてタンク2内の気相を構成する気体であり、例えば空気,窒素などの気体である。揮発性が高いVOC含有液を貯蔵する場合、タンク2内の気相部がVOCと空気の混合相であると、常温下でも爆発する恐れがあるため、空気に替えて窒素などの不活性ガスをタンク2内へ供給し、タンク2内の気相部を不活性ガスとVOCとの混合相とすることが好ましい。この様にVOC以外のガス成分は操業条件などに応じて変更してもよい。
【0016】
尚、具体的なVOC含有ガスの組成はVOC含有液によって異なるため、特定の組成に限定されない。但し、VOC含有ガス中のVOC濃度が低すぎると回収効率が悪いため、回収工程に付さずに触媒処理工程へ供給してもよい。即ち、低濃度の場合は吸着回収設備等を設けると高コストとなるため好ましくない。この様な観点からVOCを吸着回収工程に付す場合のVOC濃度は1.0%以上であることが好ましく、より好ましくは1.2%以上、更に好ましくは1.5%以上である。
【0017】
タンク2から排出されたVOC含有ガスは連続的或いは間欠的にライン4を通して吸着回収工程5へ供給される。吸着回収工程5は、吸着材を用いてVOC含有ガスに含まれるVOCを吸着・回収する工程である。該吸着回収工程5においてVOC成分をできるだけ回収することが望ましいが、吸着能力が飽和に近づくにしたがって、吸着性能が低下し、吸着回収工程後のガス中に含まれる揮発性有機化合物濃度が高まることがある。したがって吸着能力の低下した吸着材を適宜交換および/または再生し、安定した吸着能力を発揮できる様にすることが望ましい。
【0018】
吸着回収処理工程5に採用し得る吸着方法としては、酸液やアルカリ液などによる薬液吸収法,イオン交換樹脂などの化学的吸着法,活性炭などを用いた物理的吸着法などが例示され、公知の吸着法を単独、或いは任意に組合せて実施してもよい。しかしながら、薬液吸着法や化学的吸着法の場合、吸着後の薬液の後処理が必要となり、後処理費用も高いことから、物理的吸着法が推奨される。物理的吸着法の場合、吸着性能が低下した吸着材を再生処理(脱着操作)すれば再使用できるため、複数の吸着材を用いて吸着操作と脱着操作を繰返せば連続操業が可能となる。
【0019】
物理的吸着法に用いる吸着材は、所望の成分を吸着する能力を有する限り特に限定されないが、吸着効率,耐久性,再生容易性などの観点からすると、活性炭,ゼオライト,シリカゲル,アルミナゲル,活性白土よりなる群から選ばれる少なくとも1種が推奨される。これらの中でもシリカゲル,ゼオライトは吸着性能と耐熱性に優れているので望ましい。
【0020】
吸着材の吸着孔径は分子状のVOCを効率良く吸着する必要があることから、好ましくは10Å以上、より好ましくは20Å以上、更に好ましくは50Å以上である。また該孔径が1000Åを超えると、吸着箇所濃度が均一でなくなり、ローカルヒーティングを起こすことがあるので好ましくは1000Å以下、より好ましくは800Å以下、更に好ましくは700Å以下である。吸着材の形状は特に限定されず、球状、ペレット状、粉末状など任意の形状でよい。また吸着材の粒径は好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、更に好ましくは0.3mm以上である。また好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、更に好ましくは3mm以下である。10mmを越えると吸着材とVOCの接触効率が低下し、吸着効率が低下することがあるため好ましくなく、また0.1mm未満の場合は圧損の上昇等の問題が生じるため好ましくない。
【0021】
これら吸着材の充填量はVOC含有ガスや吸着材の性質などに応じて適宜選定すればよいが、VOCの吸着処理を効率的に行なうには、ガス空間速度を調節することが望ましく、好ましくは50hr−1以上、より好ましくは100hr−1以上であって、好ましくは5000hr−1以下、より好ましくは4000hr−1以下である。ガス空間速度が50hr−1未満であると、吸着材量が増加し、装置が大型化することからコスト高となるため好ましくない。またガス空間速度が5000hr−1を超えると、VOCを十分に吸着できないことがある。
【0022】
吸着処理時の温度条件も特に限定されないが、吸着材が高温に曝されると吸着成分が吸着材から脱着することがあるので、好ましくは30℃以下,より好ましくは20℃以下とすることが望ましいが、供給するVOC含有ガスの温度は常温のままでよい。更に圧力条件についても特に限定されないが、50KPa以下の圧力にすると吸着性能が低下し、被吸着成分を放出する恐れが生じるので常圧でよい。
【0023】
また吸着回収工程5の設置方法は特に限定されず、吸着回収工程を複数設けて特定の吸着材で特定の成分を除去してもよい。更に複数の吸着回収工程を並列的に設置し、吸着操作と再生操作を交互に行なう連続処理方式とすれば、操業の連続性が確保できるので好ましい。吸着材の再生方法は特に限定されず、例えば吸着能力が低下した吸着層に別経路から加熱水蒸気などを流通させ、吸着材に吸着しているVOCの成分を離脱させ、再生できる様にすることも有効である。
【0024】
吸着回収工程5で処理されたタンクベント排ガス(以下、1次処理ガスという)は、ライン6を通して触媒処理工程7に供給される。
【0025】
本発明では、1次処理ガスに含まれるVOCは、更に触媒処理工程7にて処理されるため、吸着回収工程5に供給したVOC含有ガスに含まれるVOCを完全に吸着除去する必要がない。したがって長期操業する際に従来の吸着処理方法で問題となっていたVOC含有ガス組成の不均一性に起因する吸着回収処理後の処理ガスに含まれるVOC濃度のバラツキを抑制するために吸着処理条件を厳密に調節する必要がない。即ち、吸着能力がある程度低下して1次処理ガス中の揮発性有機物濃度が高くなってもよく、吸着材を従来よりも長期間使用できる。
【0026】
尚、触媒処理工程に供給する1次処理ガスに含まれるVOC濃度は好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.8%以下、更に好ましくは0.5%以下であることが望ましい。VOC濃度が1.0%を超える場合、触媒処理工程におけるVOCの燃焼熱による発熱によって触媒の劣化を防止し、更に爆発等を避けるために触媒処理工程に供給する1次処理ガスに空気等を大量に混入してVOC濃度を低減させなくてはならず、被処理ガス量が増大し、装置の小型化が図れず、また被処理ガス処理に要する燃料費が高くなることがある。また燃焼時のCO2排出量が増えるという問題も生じることがある。ただし、ベント排ガス中に酸素が含まれていない場合は吸着回収工程後に酸素、好ましくは空気を導入する必要がある。
【0027】
したがって、1次処理ガスのVOC濃度が1.0%以下となる様に、充填する吸着材量を増やす等、吸着回収工程での処理条件を適宜変更すればよい。
【0028】
触媒処理工程に充填する触媒には、不燃性の固体であって、VOC成分を酸化分解する作用を有する触媒を使用することが好ましい。本発明では不燃性固体触媒としてPt,Pd,Rh,Fe,Co,Ni,Mn,Cu,Vよりなる群から選ばれる少なくとも1種の触媒が推奨され、これら触媒はいずれもVOC成分に対する酸化分解性能が高いので好ましい。
【0029】
勿論、これら触媒は単独,或いは2種以上を併用してもよいが、特に触媒としてPt,Pd,Rhは、VOCに対して優れた分解能を有し、長期間高レベルの触媒活性を維持できるので望ましい。またこれら成分を各種担体に担持して使用することが好ましい。担体としてはアルミニウム,チタン,シリコン,ジルコニウム,セリウム,タングステンの酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0030】
この際に用いる触媒の形状にも特に制限はなく、球状、ペレット状、円柱状、破砕片状、粉末状、ハニカム状など任意の形状を用いることができるが、特に強度,効率性,耐圧損性を十分に有するハニカム状が好ましい。また触媒のサイズ,細孔径,比表面積等も特に限定されず、公知の方法で製造された触媒を用いることができる。
【0031】
触媒処理工程に導入される1次処理ガス中のVOC成分濃度は1.0%以下まで低減されていれば、VOC成分を希釈するために空気等を多量に混入させる必要がないので、触媒処理工程の大型化を抑制できる。しかしながら、触媒処理工程にてほぼ確実にVOC成分を分解除去するためには、VOC成分を燃焼する際に必要となる理論燃焼量を満足するO2を触媒処理工程に供給することが望ましい。ここで理論燃焼量とは、VOC成分を水や二酸化炭素,N2 等にまで酸化分解するのに必要なO2量をいう。
【0032】
したがって触媒処理工程7に供給される1次処理ガス中に、O2が十分に含有されていない場合、吸着回収処理後の1次処理ガスに酸素含有ガスを導入し、酸素濃度を高めてから触媒処理工程へ導入することが望ましく、ライン6の任意の位置にライン9を設けて酸素含有ガス(好ましくは空気)を導入すればよい。O2量が理論燃焼量未満であると、VOC成分を十分に酸化分解できず、VOC成分が残存することがある。具体的なO2供給量は理論燃焼量となる様に供給することが好ましく、1次処理ガス中のO2濃度が好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上となる様に適宜酸素含有ガスを供給することが望ましい。一方、酸素含有ガスを過剰に供給すると、被処理ガス量が増大してランニングコストが上昇し、また装置も大型化するため、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下とすることが望ましい。
【0033】
触媒処理工程7へ供給するVOC含有処理ガスの供給量は特に限定されないが、上記触媒酸化処理作用を十分に発揮させるためには、空間速度が好ましくは5000hr−1以上、より好ましくは6000hr−1以上、更に好ましくは7500hr−1以上であることが望ましい。また好ましくは50000Hr−1以下、より好ましくは45000hr−1以下、更に好ましくは40000hr−1以下となる様にガスの供給用を調節することが望ましい。空間速度が5000hr−1未満の場合、触媒量が増加し、高コストであるので好ましくない。また空間速度が50000hr−1を超える場合、十分にVOC成分を分解除去することができず、VOC成分が残存することがある。
【0034】
また触媒によるVOC分解効率を向上させるためには、高温下で処理することが推奨され、具体的には触媒処理工程の温度を好ましくは100℃以上、より好ましくは200℃以上、好ましくは400℃以下、より好ましくは350℃以下の範囲に制御すればより一層優れた触媒酸化処理効率が発揮されるので望ましい。100℃未満の場合、十分にVOC成分を分解除去することができないことがある。また一般的に高温であるほど触媒による分解処理が効率的に行なえるが、400℃を超えるとランニングコストが高くなることがある。尚、この様な温度で上記ガスの処理を行なう場合、活性炭を触媒として用いると発火,爆発の恐れが生じるため望ましくない。
【0035】
また1%以上の高濃度のVOC成分を含むガスを処理する場合、VOCのほとんどを吸着回収工程で回収し、残存したVOCを触媒により処理する。したがって、触媒空間速度に比し、吸着材の空間速度は同等あるいは小さくすることが必要である。その比率は[触媒のSV/吸着材のSV]=1〜1000となる。この条件とすることにより、効率よくVOCを処理することが可能となる。
【0036】
上記した様な本発明の方法によってVOC含有ガス(VOC濃度1.0%以上)を吸着工程5及び、触媒処理工程7で処理することによって、ライン8を通して得られる処理ガスは、VOC含有率を10ppm以下、より好ましくは5ppm以下、更に好ましくは0にまで減少された高度浄化ガスであり、大気中に放出することができる。
【0037】
【実施例】
実施例1
アクリロニトリル製品の貯蔵タンクから排出されるVOC含有ガス(タンクベント排ガス)を図1に示す様な吸着回収工程、及び触媒処理工程に供給して処理した。
[アクリロニトリル貯蔵タンク]
貯蔵タンク : 500トン貯蔵タンク
窒素導入量 : 60Nm3/h
タンク外温度 : 30℃
[アクリロニトリル貯蔵タンクからのタンクベント排出ガス]
アクリロニトリル濃度: 17.8vol%
窒素濃度 : 82.2vol%
[試験条件]
上記アクリロニトリル貯蔵タンクから排出されたタンクベント排ガス(0.1Nm3/min)を下記に示す吸着回収装置に導入した。尚、該装置に導入したアクリロニトリル濃度は17.8vol%であったが、吸着回収装置から排出された1次処理ガスのアクリロニトリル濃度は500ppm(v/v)であった。1次処理ガス中のO2濃度が11.5%となる様に空気を供給(空気供給量:0.1Nm3/min)した後、下記触媒式ガス処理装置に導入(0.182Nm3/min:ガス空間速度22000hr−1)した。触媒式ガス処理装置に導入したアクリロニトリル濃度は220ppm(v/v)であったが、処理後の排出ガスのアクリロニトリル濃度は0.5ppm(v/v)未満、NOx濃度は20ppm(v/v)であった。
【0038】
比較例1
アクリロニトリル貯蔵タンク排出ガスを吸着試験機に導入せずに、直接、下記触媒ガス処理装置に導入した以外は、上記実施例と同様にしてタンクベント排ガスの処理を行なった。触媒式ガス処理装置に導入したアクリロニトリル濃度は5740ppm(v/v)であった。また処理後の排ガスのアクリロニトリル濃度は0.5ppm(v/v)未満、NOx濃度は2310ppm(v/v)であった。
【0039】
【0040】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、VOC含有液貯蔵タンクから排出されるVOC含有ガス(タンクベント排ガス)に含まれるVOC成分を吸着材で吸着回収した後、ガス中に残存するVOC成分を触媒処理することにより、VOC成分が除去された高度浄化ガスが得られる。またガス処理装置を大幅に小さくすることができ、ランニングコストの大幅削減ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概略説明図である。
Claims (3)
- 揮発性有機化合物含有ガスに含まれる該揮発性有機化合物を処理するに当り、該ガスを吸着回収工程に通して揮発性有機化合物を回収した後、該吸着回収工程における未回収揮発性有機化合物を含むガスを触媒処理工程へ導入して未回収揮発性有機化合物を処理することを特徴とする揮発性有機化合物含有ガスの処理方法。
- 前記吸着回収工程に導入するガスの空間速度を、50〜5000hr−1、前記触媒処理工程に導入するガスの空間速度を5000〜50000hr−1とし、且つ前記触媒処理工程の空間速度を前記吸着回収工程の空間速度の1〜1000倍とする請求項1に記載の処理方法。
- 前記揮発性有機化合物含有ガスがタンクベント排ガスであることを特徴とする請求項1または2に記載の処理方法。
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2002
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