JP2004095413A - 有機el素子の封止方法及び封止材 - Google Patents

有機el素子の封止方法及び封止材 Download PDF

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Shigehiro Konno
近野 繁宏
Toshishige Uehara
上原 寿茂
Naoyuki Koyama
小山 直之
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Abstract

【課題】ダークスポットの発生が防止され、搭載するEL素子の耐久性及び信頼性が高い長寿命の実装体を提供する。
【解決手段】基板5に有機EL素子を設け、弾性変形可能な芯材1と、芯材の表面の少なくとも一部を被覆する条状の金属層2と、金属層を被覆する樹脂層3’とを有する封止材を、有機EL素子を取り囲むように基板上に設け、基板と対抗基板とを対抗させ、樹脂層を流動させて金属層と基板及び対抗基板とを当接させ、金属層に対抗基板を圧接しながら、樹脂層によって基板と対抗基板とを接合させて有機EL素子を封止する。樹脂層は、高周波加熱方式16での局部加熱によ樹脂層の流動化によって流動する。
【選択図】  図26

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、LCD、有機EL等のディスプレイの表示素子を実装した基板の封止に使用する防湿性の封止材及び封止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示素子は、一般的に化学的に不安定であるために、空気中の水分や酸素との反応によって腐食や酸化を生じ、これが表示素子における経時的な特性劣化の原因となることが知られている。例えば有機EL素子の場合には、有機EL素子が酸素や水分に触れると、酸素や水分による素子構成材料の酸化が促進されて素子が劣化し、ダークスポットと呼ばれる無発光部分が発生する。従って、これらの表示素子、特にEL素子の長寿命化を図る上からは、有機EL素子に酸素や水分が出来るだけ侵入しないように当該素子を封止することが望まれる。
【0003】
従来、この封止機能を有するものとして種々のものが提案されており、その一つに、ペースト状のシール材がある。しかし、ペースト状のシール材を使うと、図27(a)(b)に示すように、シール材13を基板5上に均一に塗布することが出来ずシール材表面に凸凹が出来てしまい、有機EL素子12が外気に触れてしまうおそれがあったことから、有機EL素子装置においては、電極材料酸化、腐食化を防ぐために、乾燥剤14をシール材13と併用してきた。
【0004】
このようなシール材は、ボトムエミッション方式で用いられ、ボトムエミッション方式の場合には、図27に示すように、酸化バリウムや酸化カルシウムなどの白色粉末の固体である乾燥剤14を、対向基板6のEL素子12に面する側に固定テープで保持することにより配置する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年では、発光強度・輝度の向上を目的に、これまでのボトムエミッション方式からトップエミッション方式に変更されつつある。このトップエミッション方式は、対向基板6側から光を取り出す構造であるため、従来使用してきた乾燥剤14をこれまで通りに使用することが出来ない。かと言って、ペースト状のシール剤13のみを用いると、シール材13の凸凹から外気の進入を許してしまう。
【0006】
他方、別の封止機能を有する接合材として、透湿性の低い金属材料、特に低融点金属、その中でも特にはんだが利用されていた。接合材としてはんだ等の低融点金属を利用した場合にあっては、接着当初は基板及び対向基板に充分密着し、接着性が良いが、経時的に見ると、外部から熱・圧力がかかったときには特に接着性がもろくなり、EL素子が外気に触れることによりやはり酸化、腐食化を招いてしまうという問題点があった。又、対向基板6の材料としてガラス基板を用いた場合においては、はんだとガラス基板との良好的な密着性は本来的に期待し難い。
【0007】
本発明は、上記した従来の問題を解決するために為されたものである。すなわち、本発明の目的は、従来のシール材と乾燥剤の併合使用に代わって基板と対向基板との接合材として用いられる、接着機能及び防湿機能を有し、遮蔽性が改善される防湿性の封止材、これを用いた封止構成体及び実装体、封止材の製造方法並びに実装体の製造方法を提供することにある。
【0008】
又、本発明の他の目的は、接着機能と防湿機能とを一体的に有する封止材を用いて、有機EL素子を外気から遮断し信頼性及び耐性が高い長寿命のEL実装体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様によれば、有機EL素子の封止方法は、基板に有機EL素子を設ける工程と、弾性変形可能な芯材と、該芯材の表面の少なくとも一部を被覆する条状の金属層と、該金属層を被覆する樹脂層とを有する封止材を、前記有機EL素子を取り囲むように前記基板上に設ける工程と、前記基板と対抗基板とを対抗させる工程と、前記樹脂層を流動させて前記金属層と前記基板及び前記対抗基板とを当接させ工程と、上記金属層に前記対抗基板を圧接しながら、前記樹脂層によって前記基板と前記対抗基板とを接合させる工程とを有することを要旨とする。
【0010】
本発明の他の態様によれば、封止材は、弾性変形可能な芯材と、該芯材の表面の少なくとも一部を被覆する条状の金属層と、該金属層を被覆する樹脂層とを有する封止材であって、前記樹脂層は、前記金属層が流動化する温度より低い温度で流動化する樹脂組成物で形成されることを要旨とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。以下の図面の記載において、同じ器材、部材を有する要素は同じ参照符号で表す。各図は理解を容易にするため特徴部分を表したイラストであり、実寸図ではない。
【0012】
液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示素子を基板間に配置して封止する場合、表示素子を湿分から保護するための防湿性が封止材に求められるが、それだけではなく、温度変化に伴って生じる応力歪に接合が耐え得るような応力緩和性も必要である。一般に、封止材として用いられるものには、樹脂接着剤やはんだに代表される金属接合材があるが、樹脂接着剤は、外部応力に対して比較的適応性があり、応力歪が生じても接合剥離が生じにくい反面、湿分が透過し易い。他方、金属接合材は、湿分の遮蔽能が高いが、外部応力に対する適応性が低く、温度変化を伴う部材の接合では剥離や材料破壊を生じ易い。従って、いずれの場合も、単独では表示素子の封止には不十分である。
【0013】
そこで、基板と対向基板とを接合する封止材として、透湿防止用の金属部材と樹脂接着剤とを併用することが考えられるが、単に樹脂接着剤と金属材とを併用しただけでは、実際には双方の利点を活かすことは難しい。その理由は、樹脂接合した基板及び対向基板と金属部材との間に隙間が生じ易く、僅かな隙間により防湿性が損なわれることにある。
【0014】
従って、本発明では、基板の封止において、条状(細長く連続した状態を意味し、形状は限定されず、例えば中空であってもよい)の金属部材と樹脂接着剤とを併用した封止材を用い、樹脂接着剤が硬化した接合状態において透湿防止層を構成する金属部材の遮蔽性を高めるために、基板及び対向基板と金属部材との間に押圧力が作用するようにしてこれらを密接させ基板間の閉塞性を高める。接合状態での金属部材と基板とを密接させる押圧力は、樹脂接着剤の硬化による収縮力を利用することができ、これは、金属部材と基板とが当接する状態で樹脂接着剤を硬化させれば得られる。このような接合状態では、樹脂接着剤の収縮力によって金属部材が基板と密着する。但し、基板及び金属部材の表面の僅かな凹凸によって生じる隙間を防ぐには、さらに大きい押圧力が必要である。このためには、樹脂接着剤の硬化時に金属部材を基板に押圧して圧接状態にし、基板と金属部材とを密着させて隙間を閉塞しながら樹脂接着剤を硬化させることが有効である。この接合状態では、押圧により弾性変形した金属部材のスプリングバックが金属部材と基板との密着に寄与する。
【0015】
この際、金属部材の弾性限度あるいは融点が低いと、接合時の押圧力による塑性変形あるいは樹脂接着剤を軟化・硬化させるための加熱による軟化流動・溶融が生じる。これらは、隙間の閉塞にとっては有効に作用するが、作業状況によってはかえって材料流れによって遮蔽性を損なったり基板の位置ずれによる不良品を生じる場合もあり、スプリング効果が得られない。このような場合、弾性限度あるいは融点が高い芯材を金属部材に組み込んで用いると、芯材によって構成される弾性層がスペーサとして働いて対向基板を支持して位置ずれなどを防止し、金属の流動による隙間の閉塞によって透湿防止層の遮蔽性が更に高まる。しかも、弾性層と基板及び対抗基板との間に透湿防止層が介在すると、芯材の弾性によるスプリング作用が介在する透湿防止層に働いて基板及び対向基板に密着させる。この時、金属部材が溶融して基板に接着すると、樹脂接着剤による接合を補助する効果があるが、金属部材と基板との接着は必須ではない。
【0016】
上述した接着層、透湿防止層及び弾性層を有し透湿防止層の遮蔽性が高い封止構造は、接着層を形成する樹脂接着剤、透湿防止層を形成する金属材及び弾性層を形成する芯材からなる封止材によって得られ、封止材の態様には、1)樹脂接着剤、条状の金属材及び条状の芯材は各々別体であり使用時に組み合わせる、2)条状の金属材及び条状の芯材が一体化した条部材と樹脂接着剤とを使用時に組み合わせる、3)条状の金属材、条状の芯材及び樹脂接着剤が一体化した封止材を用いる、に大別される。
【0017】
以下に、封止材及びこれを用いて基板を接合した実装体の実施形態を説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
(実装体)
図1は、本発明の実装体の一実施形態、特にEL素子の実装を表したもので、(a)は基板接合形成前、(b)は基板接合形成後の実装体、(c)は実装体の基板に平行な断面図を示す。この実装体は、基板5と、この基板5に対向する対向基板6と、上記基板5と上記対向基板6との間に介装されたEL素子12と、EL素子12を囲繞するように基板5の周縁部に配置される4つの条状の封止材4a〜dからなる封止構成体とから構成される。
【0019】
この実施形態において封止構成体に使用される封止材4a〜dの各々は、2つの部材の組み合せ、即ち、芯材1及びこの芯材1の外周を被覆する金属層2からなる条部材と、この条部材の内側及び外側に並列配置される条状の樹脂層3との組み合せであり、基板上に適切に配置して封止構成体とする。金属層2は低融点金属で形成され、芯材1は、金属層2より弾性限度が高い弾性変形可能な素材で構成される。樹脂層3は、基板5と対向基板6とを接着する機能を有し、図1(a),(b)に示すように、対向基板6を条部材に抗して基板5の方へ押圧しながら樹脂層3により基板5と対向基板6とを接着すると、金属層2が外気を遮断し、基板5と対向基板6との間に介装されたEL素子12を酸化・腐食から守る封止機能が発揮される。
【0020】
(封止材)
上記実装体の製造に用いる封止材4a〜4dの条部材は、芯材1と金属層2とからなり、使用可能な条部材の例として、具体的には、図2〜4に示すような芯材1が異なるものが挙げられる。
【0021】
芯材1は、押圧力に対して物理的に弾性変形可能な芯材となるものであれば良く、具体的には、プラスチックワイヤ1a、金属ワイヤ1b又は金属管ワイヤ1cによって形成可能であり、これらの芯材1a〜1cを用いた条部材の例を図2〜4に示す。芯材1の線径は、基板を接合した状態で基板5及と対抗基板6との間隔がEL素子12の高さより大きくなるように、芯材1の弾性圧縮及び金属層2の変形を考慮して適宜決定する。尚、これらの図では芯材1を断面形状が円形のものとして記載するが、芯材及び条部材は必ずしも断面円形状である必要はなく、図5(b)に示すように芯材の断面が三角形の条部材であっても良く、又、図5(c)、(d)、(f)に示すように芯材1の断面が多角形状の条部材であっても良い。但し、条部材が基板及び対向基板と接触する部分において条部材の表面が連続的な曲面で基板及び対向基板と線接触すると、押圧による条部材と基板及び対向基板との密着性つまり遮蔽性が得易く、この点では、芯材及び条部材の断面形状が円形、楕円形あるいは部分的に円弧を有する形状のものが有利である。封止材の製造容易性及び封止作業での取り扱い易さを考慮すれば、断面が円形のものが好ましい。以下の説明では、断面が円形のものを説明するが、他の形状の場合は「線径」を「線幅(太さ)」と解すればよい。
【0022】
芯材1がプラスチックワイヤ1aの場合、押圧力に対して弾性変形可能なプラスチック製のワイヤであればよく、実用的には0.01GPa以上の圧力で弾性変形するものであれば特に制約はない。具体的には、圧縮弾性率が室温で、0.3GPa以上20GPa以下のものが好ましい。圧縮弾性率が0.3GPaより小さいと加圧時の変形量が大き過ぎて加湿時の防湿性が不十分になる。又、圧縮弾性率が20GPaより大きいと、加圧時の変形量が小さいため接合後に低融点金属層を基板及び対向基板に押圧する応力が小さく、防湿性が低下する。より好ましくは、圧縮弾性率が0.5GPa以上10GPa以下とし、1.0GPa以上7.0GPa以下が最も好ましい。基板の接合のために加熱を必要とする樹脂接着剤を樹脂層3として用いる場合、加熱状態で弾性変形可能である必要があるので、このような場合の芯材1には、温度が50℃以上における圧縮弾性率が上記範囲のものを用いるのが好ましくは。
【0023】
又、プラスチックワイヤ1aの線径は、0.05mm以上20mm以下のものが好ましい。線径が0.05mmより小さいと、金属層2及び基板に与える弾性圧及び押圧面積が小さくなり、遮蔽性が低下する。又、線径が20mmより大きいと、条部材の寸法が大きくなり過ぎて、樹脂層3との寸法差が過剰になり接着不良により防湿性が低下する。より好ましくは、プラスチックワイヤ1aの線径は0.1mm以上10mm以下とし、0.3mm以上5mm以下が最も好ましい。プラスチックワイヤ1aの素材の具体例としては、例えば、ポリエチレン、6−ナイロン、ポリビニルアルコール、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、PAN、ポリ塩化ビニルなどがあげられる。
【0024】
芯材1が金属ワイヤ1bの場合、金属層2より弾性限度が高いものであればよい。金属の弾性限度は素材及び熱処理によってことなるので、熱処理履歴を考慮して適宜選択することができる。金属ワイヤ1bの線径は、0.05mm以上20mm以下のものが使用可能である。線径が0.05mmより小さいと、金属層2及び基板に与える弾性圧及び押圧面積が小さくなり、遮蔽性が低下する。又、線径が20mmより大きいと、条部材の寸法が大きくなり過ぎて、樹脂層3との寸法差が過剰になり接着不良により防湿性が低下する。好ましくは、金属ワイヤ1bの線径は0.1mm以上10mm以下とし、0.3mm以上5mm以下が最も好ましい。金属ワイヤ1bの素材の具体例としては、例えば、銅、ステンレス、鉄、アルミ、ニッケルなどがあげられる。又、コバルト合金、鉄合金、ニッケル合金等の合金材を用いてもよく、更に、このような金属材を繊維材と複合化した繊維複合材料でもよい。複合化する繊維としては、スチール繊維、アルミ合金繊維、チタン合金繊維等の金属繊維の他に、ボロン繊維、アルミナ繊維、SiC繊維、ガラス繊維、炭素繊維、ケブラー繊維、PBT繊維等の非金属繊維が挙げられる。
【0025】
芯材1として管状ワイヤを用いる場合の利点は、管状ワイヤの肉厚の調整によってワイヤに適度の弾性をもたせることができることであり、素材自体の硬度や弾性等の物性による制約が軽減できる。また、例えば、複数の条部材が交差するために圧縮する必要がある場合のように、部分的に条部材の塑性変形が必要な場合にも、管状の芯材1は有利である。
【0026】
芯材1が金属管ワイヤ1cである場合、線径が0.05mm以上20mm以下で管の肉厚が10μm以上1mm以下のものが使用可能である。線径が0.05mmより小さいと、金属層2及び基板に与える弾性圧及び押圧面積が小さくなり、遮蔽性が低下する。又、線径が20mmより大きいと、条部材の寸法が大きくなり過ぎて、樹脂層3との寸法差が過剰になり接着不良により防湿性が低下する。一方、管の肉厚が10μmより小さいと、加圧時に容易に塑性変形しスプリングバックによる防湿性の向上が得られ難い。又、管の肉厚が1mmより大きいと、管状ワイヤを用いる利点が得られず、加圧時に弾性変形し難いため、やはり防湿性が向上しない。より好ましくは、金属管ワイヤ1cの肉厚は20μm以上0.5mm以下とし、30μm以上0.3mm以下が最も好ましい。金属管ワイヤ1cの材質としては、例えば、銅、ステンレス、鉄、アルミ、ニッケルなどがあげられる。又、コバルト合金,鉄合金,ニッケル合金等の合金材を用いてもよく、更に、このような金属材を繊維材と複合化した繊維複合材料でもよい。複合化する繊維としては、スチール繊維、アルミ合金繊維、チタン合金繊維等の金属繊維の他に、ボロン繊維、アルミナ繊維、SiC繊維、ガラス繊維、炭素繊維、ケブラー繊維、PBT繊維等の非金属繊維が挙げられる。
【0027】
尚、プラスチック管ワイヤを芯材1として使用することも可能であり、前述した管状ワイヤの利点が得られる。
【0028】
金属層2は、基板5及び対向基板6に密着接続して水分を遮蔽するためのもので、この意味では、湿分透過を抑制できる厚さがある限りあらゆる金属がその素材として適用可能である。この実施形態においては、融点が80〜250℃の範囲内の低融点金属を用いており、低温加熱による溶融によって基板5及び対向基板6との僅かな隙間を埋めて遮蔽性を高める効果を有する。更に、金属層2が基板に接着すると、樹脂層3による接合を補佐する。この金属の融点が50℃よりも低いと、高温時に実装体の防湿信頼性が低下するため好ましくない。融点が250℃以上であると、基板との僅かな隙間を埋めるために流動化させる場合に、素子に高温による悪影響が生じるような高温が必要となる。このような点において、より好ましくは、融点を100℃以上220℃以下とし、120℃以上200℃以下が最も好ましい。金属層2の厚みは1μm〜5mmの範囲で使用できる。この値が1μmより小さくても5mmより大きくても実装体防湿信頼性が低下する。より好ましくは、金属層2の厚みは3μm以上1mm以下とし、5μm以上0.5mm以下が最も好ましい。金属層2に用いる低融点金属としては、各種の共晶合金あるいは非共晶低融点合金あるいは単独金属が使用できる。融点が250℃以上の高融点金属であっても、Sb(630℃)、Bi(271℃)、Pb(327℃)、Zn(420℃)等の金属では、その合金や酸化物は単体のときより融点が低下する。例えば、Pb88.9%/Sn11.1%(融点250℃)や、以下同様な表現で示すと、Pb82.6/Cd17.4(248℃)Pb85/Au15(215℃)、Tl93.7/Na6.3(238℃)、Tl92/As8(220℃)、Tl99.4/L:0.6(211℃)、Tl82.9/Cd17.1(203℃)、Tl97/Mg3(203℃)、Tl80/Sb20(195℃)、Tl52.5/Bi47.5(188℃)、Tl96.5/K3.5(173℃)、Tl73/Au27(131℃)、Bi97/Na3(218℃)、Bi76.5/23.5Tl(198℃)、Bi60/Cd40(144℃)、Bi57/Sn43(139℃)、Bi56.5/Pb43.5(125℃)、Sn(232℃)、Sn67.7/Cd32.3(177℃)、Sn56.5/Tl43.5(170℃)、In97.2/Zn2.8(144℃)、In74/Cd26(123℃)、Bi57/Pb11/Sn42(135℃)、Bi56/Sn40/Zn4(130℃)、Bi53.9/Sn25.9/Cd20.2(103℃)、Sn48/In52(117℃)In(157℃)、Ag5/Pb15/In80(149℃)、Pb38/Sn62(183℃)、Pb47/Sn50/Sb3(186℃)、Pb50/In50(180℃)、Pb50/Sn50(183℃)、Pb10/Sn90(183℃) Au3.5/Pb96.5(221℃)、Pb5/Sn95(183℃)、Ag10/In90(204℃)、Pb60/Sn40(183℃)、Sn95/Sb5(232℃)、Bi67/In33(109℃),Sn35/In45/BiO(98℃)等が低融点金属の例として挙げられる。このような金属層2は、芯材1となるプラスチックワイヤ1a、金属ワイヤ1b又は金属管ワイヤ1cの外側の一部又は全面に形成され、図2bに示す低融点金属被覆プラスチックワイヤ、図3bに示す低融点金属被覆金属ワイヤ、図4bに示す低融点金属被覆金属管ワイヤとなる。接合状態においては、基板5及び対向基板6に密接する条状の金属層となる。金属層2による芯材1の被覆率が大きいほど防湿性が向上し、被覆率(経方向断面において計算される)が50%以上になるように被覆するのが適しており、90%以上とするのが好ましい。
【0029】
芯材1が金属製のワイヤである場合に、金属層2を省略して金属製芯材1のみを条部材として用いることも可能であるが、より防湿性の高い接合を形成するには芯材1及び金属層2の役割に各々適したものを適用するのが好ましい。
【0030】
樹脂層3は、基板と対向基板とを接合するための接着剤として作用する樹脂組成物からなる。この樹脂組成物として、接合形成に加熱を要する樹脂(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂)を用いる場合、熱による素子の劣化を避けるために、200℃以上に素子が加熱されることを伴わない樹脂である必要がある。つまり、軟化温度及び硬化(架橋)温度が200℃以下である必要がある。加えて、軟化温度が30℃以下では通常の雰囲気で粘着性が発現して取り扱いが困難となるため、樹脂組成物の軟化温度は30℃以上200℃以下、好ましくは50℃以上180℃以下、より好ましくは70℃以上150℃以下となる。更に、熱可塑性樹脂を主成分とした樹脂は、高温時の接着性が低下するため、温度変化を伴う基板実装体にとっては好ましくない。これらを考慮すると、樹脂組成物としては熱硬化性樹脂又は放射線硬化樹脂を使用することが好ましい。但し、熱可塑性樹脂であっても他の樹脂や架橋成分との複合化により上記の条件に適合する組成物を構成可能である。熱硬化性樹脂を使用する場合、硬化温度が50℃以上200℃以下、好ましくは180℃以下、より好ましくは70℃以上150℃以下とする。硬化温度が50℃より低いと保存安定性が劣る。又、硬化温度が低い組成物では耐熱性も低下する傾向にあるため、高温時の接着性が不足する。一方、硬化温度が200℃より高くなると、硬化時の加熱により表示素子の熱劣化を招く。樹脂の硬化は、硬化温度より低い温度においても進行し、加熱温度と樹脂の硬化温度との差が大きいほど硬化速度は遅くなる。樹脂層3の硬化に必要な温度が高い場合は、表示素子の加熱を避け得るような局所加熱方式を採ることが望ましい。
【0031】
又、樹脂組成物は、基板5及び対向基板6を接着する際、加圧及び/又は加熱により速やかに流動して、基板及び対抗基板に密着する必要があり、金属層及び芯材(芯材が金属層に完全に被覆されていない場合)にも接着するのが望ましい。そのため、樹脂の流動性を示すMI(メルトインデックス:Melt Index)が0.2〜200の範囲にあるものが好ましい。MIが0.2より小さいと流動性が不十分なため、防湿性が低下する。又、MIが200より大きくなると、流動性が高過ぎるため、条部材への密着が困難になる。MIは1.0〜150の範囲が更に好ましく、2.0〜100の範囲が最も好ましい。
【0032】
このような樹脂層3の樹脂組成物が放射線硬化樹脂の場合、α線、β線、γ線、中性子線、X線や加速電子線、紫外線などの放射線により硬化する樹脂を使用することができ、分子内に不飽和2重結合を有するプレポリマーが好適であり、ポリオキシアルキレン型ポリマーに(メタ)アクリル酸とのエステル交換反応や(メタ)アクリルイソシアネートとの反応により得られるポリマー、ポリオキシアルキレングリコール酸とグリシジル(メタ)アクリレートとの反応により得られるポリマー、ポリオキシアルキレングリコールとエピクロルヒドリンとの反応により得られるポリマーが使われる。より詳細には、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールの(メタ)アクリル酸付加物、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールの(メタ)アクリルイソシアネート付加物、ポリエチレングリコール酸やポリプロピレングリコール酸のグリシジル(メタ)アクリレート付加物、ポリエチレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物があげられる。分子内に導入する基としてはアクリロイル基とメタクリロイル基の反応性が良く、良好な結果が得られる。
【0033】
又、樹脂層3の樹脂組成物が熱硬化性樹脂である場合の具体例としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂のようななどが適用可能である。その他にもビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ポリアルコール・ポリグリコール型エポキシ樹脂、ポリオレフィン型エポキシ樹脂、脂環式やハロゲン化ビスフェノールなどのエポキシ樹脂を使用することが出来る。又、エポキシ樹脂以外では天然ゴム、ポリイソプレン、ポリ−1、2−ブタジェン、ポリイソブテン、ポリブテン、ポリ−2−ヘプチル−1、3−ブタジェン、ポリ−2−t−ブチル−1、3−ブタジェン、ポリ−1、3−ブタジェンなどの(ジ)エン類、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルヘキシルエーテル、ポリビニルブチルエーテルなどのポリエーテル類、ポリビニルアセテート 、ポリビニルプロピオネートなどのポリエステル類、ポリウレタン、エチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスルホン、ポリスルフィド、フェノキシ樹脂などをあげることが出来る。その他にもエチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体変性物、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸塩共重合体、アクリル酸エステル系ゴム、ポリイソブチレン、アタクチックポリプロピレン、ポリビニルブチラール、アクリロニトリル−ブタジェン共重合体、スチレン−ブタジェンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、エチレンセルロース、ポリアミド、シリコン系ゴム、ポリクロロプレン等の合成ゴム類、ポリビニルエーテルなどが適用可能であり、単独あるいは2種以上併用して用いられる。アクリル樹脂としては以下に示すものがあげられる。ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレート、ポリ−t−ブチルアクリレート、ポリ−3−エトキシプロピルアクリレート、ポリオキシカルボニルテトラメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリイソプロピルメタクリレート、ポリドデシルメタクリレート、ポリテトラデシルメタクリレート、ポリ−n−プロピルメタクリレート、ポリ−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリ−2−ニトロ−2−メチルプロピルメタクリレート、ポリ−1,1−ジエチルプロピルメタクリレート、ポリメチルメタクリレートなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、又はこれらの共重合体を使用することが出来る。又、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレートなども使用できる。特にウレタンアクリレート、エポキシアクリレートは被着体への密着性の点で優れており、エポキシアクリレートとしては、1、6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、アリルアルコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル等の(メタ)アクリル酸付加物があげられる。エポキシアクリレートなどのように分子内に水酸基を有するポリマーは支持体への密着性向上に有効である。
【0034】
これらのポリマーは、必要に応じて2種以上共重合しても良く、2種類以上をブレンドして使用することも可能である。又、これらは、通常、汎用溶剤に溶解させるか、又は無溶剤のまま金属分散剤などとともに攪拌・混合して使用することが出来る。
【0035】
本発明で使用する樹脂組成物には、必要に応じて、分散剤の他に、チクソトロピー性付与剤、消泡剤、レベリング剤、希釈剤、可塑化剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、カップリング剤や充填剤などの添加剤を配合しても良い。又、接着力を向上させるための粘着付与剤としては、ジシクロペンタジェン樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、キシレン樹脂、テルペン−フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂等があり、これらを必要に応じて、単独あるいは2種以上併用して用いる。粘着性調整剤としては、例えば、ジオクチルフタレートをはじめとする各種可塑剤類等が代表的である。
【0036】
一方、熱硬化性樹脂を利用する場合の適度な架橋性を与える硬化剤としては、トリエチレンテトラミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどのアミン類、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水ドデシルコハク酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの酸無水物、ジアミノジフェニルスルホン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ポリアミド樹脂、ジシアンジアミド、アルキル置換イミダゾールなどを使うことが出来る。これらは単独で用いても良いし、2種以上混合して用いても良い。又、使用しなくても良い。これらの硬化剤(架橋剤)の添加量は上記ポリマー100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部の範囲で選択するのが良い。この量が0.1重量部未満であると硬化が不十分となり、50重量部を超えると過剰架橋となり、接着性に悪影響を与える場合がある。尚、本発明にいう「重量部」とは、溶媒や添加剤などの配合剤の重量を、樹脂100部に対する部数で示すときに用いる表記法である。
【0037】
これらの樹脂組成物を成形する際に使用する溶剤としては、アセトン、ジエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキ サノン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセタート、エチルセロソルブアセタート等のセロソルブ系溶剤、乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル等のエステル系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のアルコール系溶剤などを必要に応じて、単独又は2種類以上組み合わせて用いることが出来る。これらの溶剤は用いても良いし用いなくても良い。
【0038】
基板5又は対向基板6上に樹脂層3(樹脂組成物の層)を形成する際、上記したような有機溶剤で樹脂組成物の粘度を適宜調節しながら、公知のディスペンサー方式、スクリーン印刷方式のような技術を用いて、所望の厚さの樹脂層3を形成することが出来る。その厚さ(基板に垂直な高さ方向の寸法)は、好ましくは前記芯材1の直径の20%以上400%以下、より好ましくは前記芯材1の直径の50%以上200%以下、最も好ましくは前記芯材1の直径の70%以上150%以下とする。樹脂層3の厚さが芯材1に比べて薄過ぎると、基板5及び対向基板6の接着が不足し易く、好ましくない。また、樹脂層3の厚さが大き過ぎると、金属層2と基板5又は対向基板6との接触界面間に樹脂が侵入し実装体の防湿性が低下してしまうため、好ましくない。
【0039】
(条部材の製造方法)
条部材は、例えば、以下のようにして製造される。まず、図2(a),図3(a)、図4(a)に示すように、変形可能な芯材1となるプラスチックワイヤ1a、金属ワイヤ1b、金属管ワイヤ1cを準備する。そして、図2(b),図3(b),図4(b)に示すように、これら芯材1の外側に金属層2を設ける。芯材1上に金属層2を形成する方法としては、公知のいかなる方法を使っても良いが、めっき法を使うことにより効果的に形成することが出来る。例えば、芯材1がプラスチックワイヤ1aの場合には、このプラスチックワイヤ1aからなる芯材にシーダ処理を施した後、無電解銅や無電解ニッケルめっきを施し、しかる後に電解めっきによって被覆ができ、金属層2が形成される。又、芯材1が金属ワイヤ1bの場合には、この金属ワイヤ1bに直接、無電解銅や無電解ニッケルめっきを施し、しかる後に電解めっきによって金属層2の被覆を形成出来る。芯材1が金属管ワイヤ1cの場合にも、金属管ワイヤ1cに直接無電解銅や無電解ニッケルめっきを施し、しかる後に電解めっきによって金属層2の被覆が出来る。あるいは、融解した上記の低融点金属を直接プラスチックワイヤ1a・金属ワイヤ1b・金属管ワイヤ1c上に融着する融着法を利用することも可能である。その際、プラスチックワイヤ1a、金属ワイヤ1b又は金属管ワイヤ1cの外面にコロナ処理、プラズマ処理、易接着コートなどの表面処理を施しておくと金属層2との密着性が向上して好ましい。
【0040】
(封止材の応用・変形)
上述した封止材は応用・変形が可能であり、条部材の芯材1と金属層2とを別体として芯材1及び金属条材の組み合せで使用することも可能である。この場合、1つの芯材1に対して1あるいは2以上の金属条材を組み合わせることが可能である。この場合の封止構成体については以下の実装体の製造方法において封止材の使用形態として後述する。
【0041】
スペーサとしての芯材1は、線径が一定である必要はなく、狭窄部を有したり数珠状であってもよいが、金属層を基板に密着させるためには、基板上での高さは一定である必要がある。換言すれば、基板上に配置される芯材1の横方向(基板と平行な方向)については線幅が一定でなくてもよい。
【0042】
(実装体の製造方法)
基板5及び対向基板6は、発光層からの発光に対して高い透過性を与える電気絶縁性物質からなっているもの(以下、「透光性基板」という。)又は電気絶縁性の非透光性基板を用いる。図1(a),(b)及び図7(b),(c),(d),(e)等に示すような対向基板6側を光取り出し面とするトップエミッション方式では、対抗基板6に透光性基板を用い、基板5には透光性基板、非透光性基板のいずれを用いても良い。基板5側から光を取り出すボトムエミッション方式の場合には、基板5には透過性基板を用い、対向基板6には透過性基板、非透過性基板のいずれを用いても良い。透過性基板及び非透過性基板は、これらのいずれを使用する場合でも、封止材を用いて封着する際に表面にかかる圧力や熱に対して耐圧性、耐熱性を有している必要がある。
【0043】
EL素子12は、すでに知られているいずれのEL素子を用いても良い。EL素子の層構成の具体例としては、基板5側から順に下記(1)〜(4)のように積層したものがあげられる。
【0044】
(1)下部電極7、発光層9、上部電極(透明電極)11
(2)下部電極7、電子輸送層8、発光層9、上部電極(透明電極)11
(3)下部電極7、発光層9、正孔輸送層10、上部電極(透明電極)11
(4)下部電極7、電子輸送層8、発光層9、正孔輸送層10、上部電極(透明電極)11
尚、上記構成は、図1(a),(b)、図7(b),(c),(d),(e),等に示すように、上部電極11側から光を取り出す場合のトップエミッション方式を示したものであり、基板5側から光を取り出すボトムエミッション方式の場合には、基板5上の積層順を上記の逆となり、その場合は下部電極7に透明電極が用いられる。
【0045】
実装体の製造は、例えば、以下のように実施することができる。
【0046】
(イ)まず、図7(a)に示すように、基板5に導体層として機能する下部電極7を設け(図7(a))、その上に、図7(b)に示すようにEL素子12を配置し、更に、EL素子12が配置されていない領域に絶縁膜15を設ける。この絶縁膜15は、窒化ケイ素(SiN)、酸化ケイ素(SiO)またはSiNOなどを蒸着やスパッタなどの方法により形成する。
【0047】
尚、絶縁膜15は、電極の腐食防止のため、及び、導電性である条部材と下部電極のショート防止のためのものであり、図1(a)、(b)に示すように、条部材4の下になる位置で下部電極7の上に設ける。絶縁膜15の厚さは10nm〜10μmの範囲で形成することが可能であるが、100nm〜1μmが最も適している。
【0048】
(ロ)次に、芯材1(図2(a),図3(a)、図4(a)に示すプラスチックワイヤ1a、金属ワイヤ1b、金属管1c)及び金属層2、又は、芯材1を金属層2で被覆した条部材と、樹脂層3とを準備する。
【0049】
(ハ)例えば図6(b)〜(e)のように封止材4a〜dでEL素子12を囲繞するように、芯材1及び金属層2を基板5又は対向基板6上に配置する。芯材1に金属層2を被覆した条部材を用いる場合は、図7(c)に示すように、絶縁膜15が敷設された基板5上、又は、対向基板6上の対応する位置に条部材を配置する。芯材1と金属層2とが別体である場合は、 例えば、図8(a)に示すように、絶縁膜15が敷設された基板5上に1対の金属層2が平列するように配置して、EL素子12を囲繞する。あるいは、対向基板6上の対応位置に金属層2を配置しても良い。その後、図8(b)に示すように、芯材1を上記金属層2に並列状に配置する。
【0050】
(ニ)さらに、図7(d),図8(c)に示すように、芯材1及び金属層2に対して並列状に、樹脂組成物からなる樹脂層3を設け、封止構成体を作成する。樹脂層3は、公知のディスペンサー、スクリーン印刷、スプレーにより作成してもよいし、樹脂成形物を配置しても良い。樹脂をスプレー法によって塗布させる場合、スプレーガンと樹脂加圧タンクより構成されるスプレーシステムを使うことが出来る。スプレーガンとしては、重力式や吸上げ式、あるいは圧送式などのものが使え、そのノズル口径は1.0〜8.0mmφが適当である。又、そのときの空気使用量は、樹脂の粘度にもよるが、50〜600l/minで使用可能である。又、空気を使わない、いわゆるエアレス方式では、コールドスプレー、ホットスプレー、2液スプレー、静電エアレススプレー、ハイドロエアスプレーなどを利用することが出来る。
【0051】
封止構成体は、EL素子12の封止が十分達成されるように配置されれば、どのように配置されていても良い。例えば、図6(b)、(d)に示すように4本の封止材4a,4b,4c,4dを基板5の4辺に沿ってそれぞれ配置することが出来る。あるいは、図6(c),(d)に示すように、一本の封止材4aを、基板5の各辺に沿って周回して配置し、封止材4aの両端を図6(c)に示すように一点でクロスさせたり、図6(d)のように封止材4aの両端の側部を密着させても良い。更に、図示はしていないが、封止材を2重、3重またはそれ以上に囲繞して封止構成体としても良い。
【0052】
封止構成体の配置の応用例を図11に示す。図11(a)及び(b)では、金属層2で被覆される芯材1の片側のみに樹脂層3を配置する。図11(c),(d)は、芯材1と金属層2とが別体の例を示し、芯材1、低融点金属層2及び樹脂層3を並列させて配置する。図11(e)では、芯材1を金属層2上に重ねて、その両側(又は片側でもよい)に樹脂層3を配置する。図11(f)では、複数の芯材1、金属層2及び樹脂層3を配置したである。金属層を基板及び対抗基板に密着させる弾性層として芯材1を機能させる観点から、少なくとも1つの芯材1と低融点金属層2とが隣接していることが望ましい。図11(g)の封止構成体では、金属層2で被覆される芯材1の下側に樹脂層3を配置する。
【0053】
(ホ)更に、図7(e)に示すように、対向基板6を配置する。
【0054】
(ヘ)その後、対抗基板6を基板5に対して押圧する方向(図9に示すD5又はD6)に加圧しながら、樹脂層3による基板の接合を行う。その際、封止構成体を構成する芯材1及び低融点金属層2は、図9に示すように変形する。樹脂層3が流動状態から硬化することにより接合が形成され、このために、熱硬化性樹脂の場合や架橋剤による硬化の場合は加熱、放射線硬化樹脂の場合は放射線の照射が適用される。加圧圧力は、10kPa〜50MPaが好適であり、好ましくは100kPa〜20MPa、より好ましくは500kPa〜10MPaとする。
【0055】
加熱での硬化は、樹脂の硬化温度付近の温度で行い、加熱温度が硬化温度より低いときは加熱時間を長くする。樹脂の加熱硬化に限らず、加熱処理は、表示素子が長時間150℃以上の高温に晒されないように配慮する。素子が晒される温度は120℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以下である。
【0056】
上記の加熱及び加圧の好適範囲は、後続の実施形態においても同様である。
【0057】
放射線硬化方式を使う場合、α線、β線、γ線、中性子線、X線や加速電子線、紫外線などの活性エネルギー線を使うことが出来る。その被照射線量は、電子線の場合、通常、0.1〜100Mradの範囲で使用されるが、1〜20Mradが望ましい。紫外線の場合は0.01〜10J/cmで0.1〜6J/cmが特に好適である。
【0058】
封止構成体を構成する樹脂層3は、加圧(及び加熱)によって塑性変形し速やかにD7,D8,D9,D10の方向に流動する。金属層2は、絶縁膜15及び対向基板6に当接する。この際、芯材1は弾性変形し、この状態で樹脂層が硬化すると、芯材1が元の形に戻ろうとするD1及びD2の方向の力が働き、それがスプリング効果を生じさせ、金属層2を基板及び対抗基板に押圧し密着させる。また、樹脂層の硬化収縮によってもスプリング効果が生じる。
【0059】
尚、図6(b)、(c)のように封止材4の一部をクロスさせる場合には、図10(a)に示すように、封止材が重なる部分がクロスしていない部分と比べて隆起することになる。この場合には、クロスしていない部分とクロスしている部分とで封止構成体が同じ高さhになるように、図10(b)に示すようにクロスしている部分に他の部分よりも高い圧力をかける。
【0060】
[第2の実施形態]
以下に、封止材及びこれを用いて基板を接合した実装体の他の実施形態を説明する。この実施形態では、前述の条部材と樹脂層3とを一体化した封止材を使用して封止構成体を設ける。
【0061】
(実装体)
図12は、芯材1、金属層2及び樹脂層3が一体化した条部材を封止材4a’〜4d’として用いて基板を接合するEL素子実装体を表したもので、(a)は基板接合形成前、(b)は基板接合形成後の実装体、(c)は実装体の基板に平行な断面図を示す。この実装体は、基板5と、この基板5に対向する対向基板6と、上記基板5と上記対向基板6との間に介装されたEL素子12と、EL素子12を囲繞するように基板5の周縁部に配置される4つの封止材からなる封止構成体とから構成される。
【0062】
この実施形態において封止構成体に使用される封止材4a’〜4d’の各々は、芯材1、この芯材1の外周を被覆する金属層2、及び、この金属層2の外周を被覆する樹脂層3’からなる条部材であり、図12(c)のようにEL素子12を囲繞するように基板上に適切に配置して封止構成体とする。金属層2は低融点金属で形成され、芯材1は、金属層2より弾性限度が高い弾性変形可能な素材で構成される。樹脂層3’は、基板5と対向基板6とを接着する機能を有し、図12(a),(b)に示すように、対向基板6を封止材に抗して基板5の方へ押圧しながら樹脂層3’により基板5と対向基板6とを接着する。この結果、図12(b)に示すように、得られる実装体は、前述の第1の実施形態における図1(b)の実装体と本質的に同じになる。
【0063】
(封止材)
上記実装体の製造に用いる封止構成体の封止材4a’〜4d’は、芯材1と金属層2と樹脂層3’とからなり、これらが一体化されているので、基板上に配置する作業が容易である。使用可能な封止材の例として、具体的には、図13(a)〜(c)に示すように、芯材1としてプラスチックワイヤ1a、金属ワイヤ1b又は金属管ワイヤ1cを用いたものが挙げられる。
【0064】
封止材の芯材1及び金属層2は、前述の第1の実施形態の場合と同様であるので、説明は省略する。尚、図13では芯材1を断面形状が円形のものとして記載するが、円形に限定されない。芯材及び封止材の断面形状が多角形の例を、図14(b)、(c)、(d)、(f)に示す。
【0065】
封止材の樹脂層3’は、前述の第1の実施形態の場合と同様の樹脂組成物によって構成することができる。その厚みは1μm以上10mm以下であることが好ましい。1μm未満では厚さの制御が困難な上、接着力の低下が大きい。又、厚みが10mm以上では平滑な接着面が得られないため、やはり充分な接着性が得られない。より好ましくは、樹脂層の厚みは3μm以上5mm以下、最も好ましくは5μm以上1mm以下とする。
【0066】
但し、樹脂組成物の流動性によっては、次のような構造上の変形が有効となる場合がある。
【0067】
樹脂層3’は金属層2を覆っているので、基板の接合時に樹脂組成物がうまく流動せずに金属層2と基板5及び対向基板6との間に残ると、基板5と対抗基板6との間が金属層2によって完全に遮蔽されないので、残存樹脂組成物を介して実装体内部に湿分が浸入する。このような場合、樹脂層3’が基板5及び対向基板6に接着する際に、金属層2が露出して基板5及び対抗基板6に当接可能なものである必要がある。この問題を回避するのに有効な封止材の例として、基板5及び対抗基板6に面する部分の樹脂層3’を薄くする、又は、設けないものが挙げられ、図14(e),(f)では、金属層2の頂部及び底部が完全に樹脂層3’から露出している。このような場合、図14(e),(f)に示すように、封止材を基板5及び対抗基板6間に配置して当接した状態で樹脂層3’と基板5及び対抗基板6の間に隙間D3を有していることが好ましい。図14(e),(f)の構成では、封止材が基板5と対向基板6に介装された後に図17に示すようにD5及び/又はD6の方向に圧力を加えると、金属層2と基板5及び対抗基板6とが直接接触し、樹脂層3’が金属層2と基板5及び対抗基板6の間に残らない。更に、隙間D3があることによって、芯材1は上下方向に圧縮され横方向に拡張するように容易に弾性変形する。この隙間D3は、芯材1が弾性変形した時に樹脂層3’が基板5及び対抗基板6に接して接着機能を発揮し易い寸法である必要がある。
【0068】
(封止材の製造方法)
封止材は、前述の第1の実施形態における条部材の製造方法に従って、芯材1の外側に金属層2を設け、この外側に樹脂層3’(樹脂組成物の層)を形成する。この際、第1の実施形態において記載したような有機溶剤で適宜組成物の粘度を調節し、公知のディップ法のような表面コート技術を用いて、所望の厚さの樹脂層を形成することが出来る。例えば、金属層2で芯材1を被覆した条部材を、樹脂層3’の材料となる融解した樹脂の中に浸漬させるか、又はスプレーによりふきつけることにより被覆を作成する。樹脂をスプレー法によって被覆させる場合、スプレーガンと樹脂加圧タンクより構成されるスプレーシステムを使うことが出来る。スプレーガンとしては、重力式や吸上げ式、あるいは圧送式などのものが使え、そのノズル口径は1.0〜8.0mmφが適当である。又、そのときの空気使用量は、樹脂の粘度にもよるが、50〜600l/minで使用可能である。又、空気を使わない、いわゆるエアレス方式では、コールドスプレー、ホットスプレー、2液スプレー、静電エアレススプレー、ハイドロエアスプレーなどを利用することが出来る。
【0069】
尚、図14(e),(f)に示すような封止材を形成するには、上述のように金属層2の外側全体を樹脂層3’で被覆した後、樹脂層3’の一部を削り取ればよい。
【0070】
(実装体の製造方法)
実装体の製造方法は、以下のようになる。
【0071】
(イ)まず、第1の実施形態の(イ)と同様に、基板5に下部電極7を設け(図15(a))、EL素子12を配置し、EL素子12が配置されていない領域に絶縁膜15を設ける(図15(b))。
【0072】
(ロ)次に、芯材1(プラスチックワイヤ1a、金属ワイヤ1b又は金属管1c)、金属層2及び樹脂層3’からなる封止材を準備する。
【0073】
(ハ)EL素子12を囲繞するように、封止材4a’〜4d’を基板5又は対向基板6上に配置する(図15(c))。封止材は、EL素子12の封止が十分達成されるように配置されれば、どのように配置されていても良く、例えば、第1の実施形態と同様に、図16(b)〜(e)のような配置を採用することができ、図15においては図16(b)と同様の配置を取っている。
【0074】
(ニ)更に、図15(d)に示すように、対向基板6を配置する。
【0075】
(ホ)その後、対抗基板6を基板5に対して押圧する方向(図17に示すD5又はD6)に加圧しながら、樹脂層3’による基板の接合を行う。樹脂層3’は、図17に示すように、加圧(及び加熱)によって塑性変形し速やかにD7,D8,D9,D10の方向に流動する。金属層2は、樹脂層3’から露出し、絶縁膜15及び対向基板6に当接する。この際、芯材1は弾性変形し、樹脂層3’が流動状態から硬化することにより接合が形成され、このために、熱硬化性樹脂の場合や架橋剤による硬化の場合は加熱、放射線硬化樹脂の場合は放射線の照射が適用される。樹脂層3’が硬化すると、芯材1が元の形に戻ろうとするD1及びD2の方向の力が働き、それがスプリング効果を生じさせ、金属層2を基板及び対抗基板に押圧し密着させる。また、樹脂層の硬化収縮によってもスプリング効果が生じる。
【0076】
尚、図16(b)、(c)のように封止材の一部をクロスさせる場合には、図18(a)に示すように、封止材が隆起するので、クロスしていない部分とクロスしている部分とで封止構成体が同じ高さhになるように、図18(b)に示すようにクロスしている部分に他の部分よりも高い圧力をかける。
【0077】
[第3の実施形態]
以下に、封止材及びこれを用いて基板を接合した実装体の更に他の実施形態を説明する。この実施形態では、複数の第1の実施形態の条部材を樹脂層3で一体化した封止材を使用する。
【0078】
(実装体)
図19は、少なくとも2つ以上の金属層2で被覆した芯材1が樹脂層3により一体化した条部材を封止材4a”〜4d”として用いて基板を接合するEL素子実装体を表したもので、(a)は基板接合形成前、(b)は基板接合形成後の実装体、(c)は実装体の基板に平行な断面図を示す。この実装体は、基板5と、この基板5に対向する対向基板6と、上記基板5と上記対向基板6との間に介装されたEL素子12と、EL素子12を囲繞するように基板5の周縁部に配置される4つの封止材からなる封止構成体とから構成される。
【0079】
この実施形態において封止構成体に使用される封止材4a”〜4d”の各々は、複数の芯材1、芯材1の外周を被覆する金属層2、及び、この金属層2の外周を被覆し複数の芯材1を一体化する樹脂層3”からなる条部材であり、図19(c)のようにEL素子12を囲繞するように基板上に適切に配置して封止構成体とする。金属層2は低融点金属で形成され、芯材1は、金属層2より弾性限度が高い弾性変形可能な素材で構成される。樹脂層3”は、基板5と対向基板6とを接着する機能を有し、図19(a),(b)に示すように、対向基板6を封止材に抗して基板5の方へ押圧しながら樹脂層3”により基板5と対向基板6とを接着する。この結果、図19(b)に示すように、得られる実装体は、前述の第2の実施形態における図12(b)の実装体の封止性をより強化したものになる。
【0080】
(封止材)
上記実装体の製造に用いる封止構成体の封止材4a”〜4d”は、少なくとも2本以上の芯材1及び金属層2と樹脂層3”とからなり、使用可能な封止材の例として、具体的には、図20(a)〜(c)に示すように、芯材1としてプラスチックワイヤ1a、金属ワイヤ1b又は金属管ワイヤ1cを用いたものが挙げられる。図19及び20は、金属層2で被覆した芯材1を2本用いているが、図21(e)のように3本あるいはそれ以上であってもよく、その場合、芯材1が互いに平行になるように並列させて一体化する。
【0081】
封止材の芯材1及び金属層2は、前述の第1の実施形態の場合と同様であるので、説明は省略する。尚、図20及び図21(a)では芯材1を断面形状が円形のものとして記載するが、円形に限定されない。芯材及び封止材の断面形状が多角形の例を、図21(b)、(c)、(d)に示す。
【0082】
封止材の樹脂層3”は、前述の第1,2の実施形態の場合と同様の樹脂組成物によって構成することができる。その厚みは1μm以上10mm以下であることが好ましい。1μm未満では厚さの制御が困難な上、接着力の低下が大きい。又、厚みが10mm以上では平滑な接着面が得られないため、やはり充分な接着性が得られない。より好ましくは、樹脂層の厚みは3μm以上5mm以下、最も好ましくは5μm以上1mm以下とする。
【0083】
第2の実施形態で述べたように、樹脂組成物の流動性によっては、基板5及び対抗基板6に面する部分の樹脂層3”を薄くする、又は、設けないような構造上の変形が有効となる場合がある。図21(f),(g),(h)では、金属層2の頂部及び底部が完全に樹脂層3”から露出している。このような場合、図21(g),(h)に示すように、封止材を基板5及び対抗基板6間に配置して当接した状態で樹脂層3”と基板5及び対抗基板6との間に隙間D3を有していることが好ましい。図21(g),(g),(h)の構成では、封止材が基板5と対向基板6に介装された後に図24に示すようにD5及び/又はD6の方向に圧力を加えると、金属層2と基板5及び対抗基板6とが直接接触し、樹脂層3”が金属層2と基板5及び対抗基板6の間に残らない。更に、隙間D3があることによって、芯材1は上下方向に圧縮され横方向に拡張するように容易に弾性変形する。この隙間D3は、芯材1が弾性変形した時に樹脂層3”が基板5及び対抗基板6に接して接着機能を発揮し易い寸法である必要がある。
【0084】
(封止材の製造方法)
封止材は、前述の第2の実施形態における封止材の製造方法に従って、芯材1の外側に金属層2を設け、この外側に樹脂層3’(樹脂組成物の層)を形成し、複数の封止材を製造する。これらを並列させて樹脂層3’を融着することによって複数の芯材1及び金属層2が樹脂層3”によって一体化された封止材が得られる。樹脂組成物が流動性を有する場合は、そのまま融着可能である。流動性を失っている場合は、加熱により融着することができる。
【0085】
尚、図21(f),(g),(h)に示すような封止材を形成するには、上述のように金属層2の外側全体を樹脂層3’で被覆した後、樹脂層3’の一部を削り取ればよい。
【0086】
(実装体の製造方法)
実装体の製造は、以下に示すように、封止材を図20又は21に示す封止材に代えて第2の実施形態と同様の製造方法に従って実施することができる。
【0087】
(イ)まず、第1の実施形態の(イ)と同様に、基板5に下部電極7を設け(図22(a))、EL素子12を配置し、EL素子12が配置されていない領域に絶縁膜15を設ける(図22(b))。
【0088】
(ロ)次に、芯材1(プラスチックワイヤ1a、金属ワイヤ1b又は金属管1c)、金属層2及び樹脂層3”からなる封止材を準備する。
【0089】
(ハ)EL素子12を囲繞するように、封止材4a”〜4d”を基板5又は対向基板6上に配置する(図22(c))。封止材は、EL素子12の封止が十分達成されるように配置されれば、どのように配置されていても良く、例えば、第1の実施形態と同様に、図23(b)〜(e)のような配置を採用することができ、図22においては図23(b)と同様の配置を取っている。
【0090】
(ニ)更に、図22(d)に示すように、対向基板6を配置する。
【0091】
(ホ)その後、対抗基板6を基板5に対して押圧する方向(図24に示すD5又はD6)に加圧しながら、樹脂層3”による基板の接合を行う。樹脂層3”は、図24に示すように、加圧(及び加熱)によって塑性変形し速やかにD7,D8,D9,D10の方向に流動する。金属層2は、樹脂層3”から露出し、絶縁膜15及び対向基板6に当接する。この際、芯材1は弾性変形し、樹脂層3”が流動状態から硬化することにより接合が形成され、このために、熱硬化性樹脂の場合や架橋剤による硬化の場合は加熱、放射線硬化樹脂の場合は放射線の照射が適用される。樹脂層3”が硬化すると、芯材1が元の形に戻ろうとするD1及びD2の方向の力が働き、それがスプリング効果を生じさせ、金属層2を基板及び対抗基板に押圧し密着させる。また、樹脂層の硬化収縮によってもスプリング効果が生じる。
【0092】
尚、図23(b)、(c)のように封止材の一部をクロスさせる場合には、図25(a)に示すように、封止材が隆起するので、クロスしていない部分とクロスしている部分とで封止構成体が同じ高さhになるように、図25(b)に示すようにクロスしている部分に他の部分よりも高い圧力をかける。
【0093】
[実装体の特性]
上述のように、EL素子12を囲繞する形で封止材を基板5上に配置して基板を押圧しながら接合して得られる本発明の実装体は、EL素子の防湿性に優れる。
【0094】
実装体の使用において、防湿性が低いと、表示素子にダークスポット(無発光面)が発生する。ダークスポット面積比を下記式のように定義した時、実装体の実用性としては、60℃、相対湿度90%、1000時間の加速試験後の素子の発光面積に対するダークスポット面積比が10%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましい。
【0095】
ダークスポット面積比(%)=ダークスポットの面積÷(ダークスポットの面積+発光面の面積)×100
本発明によって提供される実装体は、ダークスポットの発生及びその成長が抑制され、上記ダークスポット面積比の条件を満足するものであり、この点は従来に見られない卓越した特徴である。
【0096】
本発明の実装体において初期防湿特性及び初期接着力、加熱加湿後の防湿特性及び接着性の保持が発現する理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推察することが出来る。
【0097】
すなわち、金属層2で被覆した芯材1を基板5と対向基板6との間に挟んで圧接することにより金属層2が基板5及び対向基板6と密着し、この時、金属が流動又は融解するようなエネルギーが加えられることによって、流動・融解した金属が基板及び対向基板の表面に沿って変形するため、金属層2と基板5及び対向基板6との間に隙間のない密な接触が形成され、優れた防湿性が発現する。この点に関しては、基板接合時に弾性変形し常態において元に戻ろうとするスプリング効果を発揮可能な弾性を有する芯材1と基板5及び対向基板6との間に金属層2が介在することが要点であり、芯材1を金属層2で被覆する構造が有効である。また、流動化し易い低融点金属で金属層2を形成することが極めて有効である。尚、芯材1の弾性によるスプリング効果は実装体の対衝撃性緩和にも有効である。
【0098】
更に、金属層2及び芯材1が基板5及び対向基板6に圧接した状態で、樹脂層3による接合が形成されると、樹脂層3の硬化収縮及び弾性変形した芯材1のスプリングバックによって金属層2の両端部が基板5及び対向基板6に押圧され、金属層2と基板5及び対向基板6との密着が保持される。樹脂層3は、芯材1のスプリング作用による応力、熱応力、加湿時に発生する応力を緩和しながら接合を維持し、封止材の防湿性を維持する。この結果、長期の加熱加湿試験後も安定した防湿性と接着性とが発現される。この点に関しては、ポリマーを主成分とする樹脂組成物が応力緩和性に優れているので、環境変化に対する耐性を有する接合を形成する接着剤として応力緩和性を有する樹脂組成物を用いることが要点である。また、樹脂層3の流動性は、基板5及び保護基板6の接着を確実に行う上で重要であり、特に封止材に一体化した場合、金属層2と基板5及び対向基板6との間に残存することなく金属層2を速やかに基板5及び対向基板6と密着さあせるために重要である。この点に関して、基板上に配置した封止材を、一旦、剥離処理した加圧板などを用いて軽く基板に押圧しながら樹脂の軟化温度に加熱して金属層が露出するようにし、この後、対抗基板を対面させて芯材の弾性変形に必要な加圧及び樹脂の硬化処理を行うと効果的である。
【0099】
[実装体の製造方法における改善]
本発明に係る封止材によってより防湿性の高い封止を形成するには、基板と対向基板との接合を形成する際に、樹脂層の流動によって金属層と基板及び対向基板とが密接した後に、金属層が流動化又は溶融して金属層と基板及び対向基板との間のわずかな隙間が埋まるように構成することが有効である。特に第2、3の実施形態のように樹脂層が金属層を被覆した封止材を用いる場合、重要である。このためには、樹脂層と金属層の流動化条件(温度その他)が異なれば、条件設定により好ましい順序で流動化させることが可能である。
【0100】
金属層の溶融や熱可塑性・熱硬化性樹脂で構成される樹脂層の軟化・硬化には加熱が必要である。封止材の加熱方法として、高周波加熱方式を採用すると、高温に弱いEL素子の温度はほとんど上昇させずに封止材のみを局所的に加熱することができるので、熱による素子の破損を抑制することができる。例えば、図26に示すように、加熱電極16を用いて封止材を局所的に加熱する。誘電加熱の場合は、通常、1.0MHz〜300MHzの範囲の周波数が使用されるが、4MHz〜80MHzの範囲が望ましい。誘導加熱の場合、通常、商用周波数の50/60Hz〜450Hzの範囲の周波数が使用され、非加熱物体自体が発熱体となる内部加熱であって、樹脂層と金属層とを選択して加熱することができるので、対象物のみを高温で加熱でき、EL素子への熱による影響が少ない。また、迅速な温度上昇が可能であり、加熱時間を短縮することができる。更に、全体を加熱する場合に比べて、正確な温度制御か可能である。
【0101】
尚、トップエミッション方式をとる必要がない場合は、実装体の製造時に乾燥剤を組み込むことで、EL素子実装体の信頼性及び耐久性を更に向上させることができる。
【0102】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明を説明する。但し、本実施例は、発明を限定するものではない。
【0103】
先ず、以下に示す実施例及び比較例の記載に従って実装体を作製し、下記の評価方法によって、得られた実装体を評価した。評価結果を表1〜3及び表4〜6に示す。尚、実装体の作製に用いた材料の物性は下記の測定方法に従って得た。
【0104】
[測定方法及び評価方法]
(1)プラスチックワイヤの圧縮弾性率
プラスチックワイヤの圧縮弾性率は、JIS K−7161に基づき、各プラスチックワイヤを融点以上で加熱・加圧してフィルム化し、ダンベルで所定形状に打ち抜いた後、(株)オリエンテック製、テンシロン/UTM−4−100を使って測定した。
【0105】
(2)プラスチックワイヤ、金属ワイヤ及び金属管ワイヤの平均線径、金属管ワイヤの肉厚
注形用エポキシ樹脂(エピコート828/トリエチレンテトラミン=10/1)中に金属被覆プラスチックワイヤ、金属ワイヤなどの芯材を投入して硬化させた後、ワイヤの部分が露出するまで注形樹脂の表面を研磨し、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製、S−4700)で観察した。画像処理によって線径を算出し、各サンプルについて10点の値をとってその平均値を平均線径とした。
【0106】
(3)金属の融点
ホットプレート上にサンプルを乗せ、5℃/分の昇温速度で加熱しながら、光学顕微鏡(オリンパス社製、BH−2)により倍率100倍で観察した。固体金属が100%液状化したときの温度を融点とした。
【0107】
(4)金属層の厚さ
平均線径の測定と同様に、注形用エポキシ樹脂中に金属被覆した芯材を投入して硬化させた後、芯材部分が露出するまで注形樹脂の表面を研磨し、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製、S−4700)で観察した。画像処理によって金属層の厚さを算出し、10点の値をとってその平均値を計算した。
【0108】
(5)プラスチックワイヤ、金属ワイヤ、金属管の被覆率
平均線径の測定と同様に、注形用エポキシ樹脂中に金属被覆芯材を投入して硬化させた後、芯材部分が露出するまで注形樹脂の表面を研磨し、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製、S−4700)で観察した。画像処理により、金属によるワイヤの被覆率を算出し、10点の値の平均値をとった。
【0109】
(6)樹脂組成物の軟化温度
JIS K−7206に基づいて樹脂組成物のビカット軟化温度を測定した。
【0110】
(7)MI
JIS K−7210に基づいて、手動切り取り法により、測定温度125℃、試験荷重3.2Nで樹脂組成物のMIを測定した。
【0111】
(8)樹脂組成物の硬化温度
示差熱走査熱量計(パーキン・エルマー社製、DSC−2)を使って、5℃/分の昇温速度で熱量測定を行い、発熱ピーク時の温度を硬化温度とした。
【0112】
(9)樹脂組成物の塗布厚
(株)ピーコック社製の厚みゲージ(PDS−2)を使い、5点の値の平均値をとった。
【0113】
(10)透湿度
JIS K−7129(感湿センサ法)に準拠して、0.7mm厚のソーダガラス2枚の間を封止材で封止し、サンプルの封止材内外に湿度差を設け、室温における封止材内外の水蒸気量の変化を感湿センサで測定した。24hの間に高湿側から低湿側に移動した水蒸気の量を定量することによって透湿度を算出した。
【0114】
(11)接着力
各実施例及び比較例の条件に従って、0.7mm厚のソーダガラス2枚の間を封止材で封止し、レオメータ(不動工業(株)製、NRM−3002D−H)を使って、剥離速度50mm/分におけるせん断の接着強度を測定した。
【0115】
(12)ダークスポット面積比
CCDカメラを備えた光学顕微鏡(オリンパス社製、BH−2)で、倍率800倍で有機EL素子発光面を観察した。得られた画像を画像処理により二値化することによってダークスポット面積比を測定した。
【0116】
(実施例D1) 表1に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、ポリスチレンペレットSD120(旭化成工業(株)製、弾性率1.8GPa)を融点以上に加熱溶融した後、徐冷してゲル状の球晶を得た。この集積物を圧縮成形して得られた厚さ5mmのシートを直径1mmのダイを通して超延伸し、平均線径1mm、長さ0.1mのポリスチレン製のプラスチックワイヤを得た。得られたポリスチレンワイヤに、塩化パラジウムによるシーダ処理を施した後、無電解ニッケルめっき液中で、ニッケル層を0.2μm析出させた。その後、常法により、In/Cd=74/26の共晶はんだのめっき浴中で、はんだ被覆ワイヤの直径が1200μmになるまで電解めっきを施した。このようにして得られたはんだ被覆ポリスチレンワイヤを、80℃に加熱溶融したエポキシ樹脂組成物((株)アルファ技研製、アルテコ3500、変性エポキシ樹脂/変性ポリアミン=100/50)中に浸漬し、樹脂厚が10μmになるまでワイヤ上に溶着させて封止材を得た。得られた封止材を、25mm×100mmのソーダガラスの周部に貼り付け、樹脂の軟化温度(80℃)、1Mpaで10分間加熱加圧した後、もう1枚のガラスを向かい合わせにして貼り合わせ、120℃、3Mpaで10分間加熱加圧して樹脂を硬化し、接着力測定用サンプルとした。一方、封止材を、100mm×100mmのソーダガラス上の4辺に貼り付けた。その後、軟化温度(80℃)、1Mpaで10分間加熱加圧した後、もう1枚のソーダガラスを貼り合わせ、120℃、3Mpaで60分間加熱加圧して樹脂を硬化し、透湿度測定用サンプルとした。そして、表1に示す条件のもと、評価試験を行い、表1に示す結果を得た。
【0117】
(比較例D1) 表4に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例D1で使用したポリスチレンワイヤの線径を7mmのものに変更した以外は、すべて実施例D1と同様にして接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表4に示す条件のもと、評価試験を行い、表4に示す結果を得た。この比較例D1を実施例D1と対比すると、比較例D1では透湿度が高く、ダークスポットが多数発生し、プラスチックワイヤの線径は、0.1mmの方が7mmより適していることが分かる。
【0118】
(実施例D2) 表1に示す条件でサンプルを作成した。つまり、実施例D1で使用したポリスチレンペレットの代わりに、ポリエチレン(製鉄化学(株)製、フロービーズCL12007、平均粒径1.0mm)を使い、実施例D1と同様に超延伸法により、平均線径2.0mm、長さ0.1mのポリエチレン製のプラスチックワイヤを得た。得られたワイヤに、塩化パラジウムによるシーダ処理を施した後、無電解ニッケルめっき液中で、ニッケル層を0.2μm析出させた。その後、常法により、Pb/Sn=5/95(融点183℃)の共晶はんだのめっき浴中で、はんだ被覆ワイヤの直径が3mmになるまで電解めっきを施した。このようにして得られたはんだ被覆ポリエチレンワイヤを、70℃に加熱溶融したアクリル樹脂(日立化成工業(株)製、防湿絶縁材料TF−3348−15F2G)中に浸漬し、樹脂厚が25μmになるまでワイヤ上に溶着させて封止材を得た。以下、実施例D1と同様にして、封止材をソーダガラス上に配置し、樹脂の硬化は実施例D1の加熱に代えて1.0J/cmのUV照射により行い、それ以外は実施例D1と同様にして、接着力測定用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表1に示す条件のもと、評価試験を行い、表1に示す結果を得た。
【0119】
(比較例D2) 表4に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例D2で使用したポリエチレンワイヤを圧縮弾性率が0.1GPaのものに変更した以外はすべて実施例D2と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表4に示す条件のもと、評価試験を行い、表4に示す結果を得た。この比較例D2を実施例D2と対比すると、比較例D2では透湿度が高く、ダークスポットが多数発生した。圧縮弾性率は、0.5GPaの方が0.10Gpaより適していることが分かる。
【0120】
(実施例D3) 表1に示す条件でサンプルを作成した。つまり、実施例D1で使用したポリスチレンペレットの代わりにPMMAペレット(三菱レーヨン(株)製、アクリルペレットIRD−50、平均粒径5.0mm)を用いて線径5mmの芯材とし、被覆金属として、In/Cdの代わりに共晶はんだTI/Na=93.7/6.3(融点238℃)を用い、金属の融着によりワイヤ上に被覆し、ダイヤモンドダイスにより樹脂厚が50μmになるように調節した。更に樹脂組成物として、エポキシ樹脂に代えてフェノール樹脂(住友ベークライト(株)製フェノール樹脂PM−8200)を使用して封止材を得、その他については実施例D1と同様にして、ソーダガラス上での軟化温度及び120での加熱加圧を経て、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表1に示す条件のもと、評価試験を行い、表1に示す結果を得た。
【0121】
(比較例D3) 表4に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例D3で使用した被覆金属をPb100%のものに変更した以外はすべて実施例D3と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表4に示す条件のもと、評価試験を行い、表4に示す結果を得た。この比較例D3を実施例D3と対比すると、比較例D3では透湿度が高く、ダークスポットが多数発生した。被覆金属の組成としては、TI/NA=93.7/6.3の方が鉛(Pb)100%よりも適していることが分かる。
【0122】
(実施例D4) 表1に示す条件でサンプルを作成した。つまり、実施例D1で使用したポリスチレンペレットの代わりに66ナイロンのペレット(東レ(株)製、アラミンCM3007、平均粒径0.5mm)を用いて線径0.5mmの芯材とし、被覆金属として、In/Cdの代わりに共晶はんだSn35/In45/BiO(融点98℃)を用い、金属の融着によりワイヤ上に被覆し、ダイヤモンドダイスにより樹脂厚が5μmになるように調節した。更に、樹脂組成物として、エポキシ樹脂に代えてメラミン樹脂(日立化成工業(株)製メラン523)を使用して封止材を得た。その他については実施例D1と同様にして、ソーダガラス上での軟化温度及び120℃での加熱加圧を経て、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表1に示す条件のもと、評価試験を行い、表1に示す結果を得た。
【0123】
(比較例D4) 表4に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例D4で使用した被覆金属の厚さを7mmに変更した以外はすべて実施例D4と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表4に示す条件のもと、評価試験を行い、表4に示す結果を得た。この比較例D4を実施例D4と対比すると、比較例D4では接着力が低く、取り扱い時に基板が剥離した。被覆金属の厚さとしては1.0mmの方が7.0mmよりも適していることが分かる。
【0124】
(実施例D5) 表1に示す条件でサンプルを作成した。つまり、実施例D1で使用したポリスチレンペレットの代わりにポリエステルのペレット(東レ(株)製、シベラスL204G35、平均粒径0.3mm)を用いて線径10mmの芯材とし、被覆金属としてIn/Cdの代わりに共晶はんだSn/In=48/52(融点117℃)を用いて0.05mm厚で被覆した。更に、樹脂組成物として、エポキシ樹脂に代えてキシレン/アクリル樹脂=80/20(キシレン樹脂:三菱瓦斯化学(株)製、ニカノールHP−100、アクリル樹脂:帝国化学産業(株)製、HTR−860P−3)を使用し、樹脂厚は20μmになるようにして封止材を作製し、実施例D1と同様に、ソーダガラス上での軟化温度及び120℃での加熱加圧を経て、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表1に示す条件のもと、評価試験を行い、表1に示す結果を得た。
【0125】
(比較例D5) 表4に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例D5で使用した金属被覆プラスチックワイヤの被覆率を40%とした以外はすべて実施例D5と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表4に示す条件のもと、評価試験を行い、表4に示す結果を得た。この比較例D5を実施例D5と対比すると、比較例D5では透湿度が高く、ダークスポットが多数発生した。金属によるプラスチックワイヤの被覆率は99%の方が40%よりも適していることが分かる。
【0126】
(実施例D6) 表1に示す条件でサンプルを作成した。つまり、実施例D1で使用したポリスチレンペレットの代わりにポリプロピレンのペレット(住友化学(株)製、ノーブレンH501、平均粒径0.03mm)を用いて線径0.5mmの芯材とし、被覆金属としてIn/Cdの代わりに共晶はんだBi/Cd=60/40(融点144℃)を用いて0.015mm厚で被覆した。更に、樹脂組成物として、エポキシ樹脂に代えてポリエステル樹脂/架橋剤=100/2(ポリエステル樹脂:東洋紡(株)製、バイロンVG700、架橋剤:日本ポリウレタン(株)製、コロネートL))を使用し、樹脂厚は20μmになるようにして封止材を作製し、実施例D1と同様に、ソーダガラス上での軟化温度及び120℃での加熱加圧を経て、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表1に示す条件のもと、評価試験を行い、表1に示す結果を得た。
【0127】
(比較例D6) 表4に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例D6で使用したプラスチックワイヤを線径が0.03mmのものに変更した以外は、すべて実施例D6と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表4に示す条件のもと、評価試験を行い、表4に示す結果を得た。この比較例D6を実施例D6と対比すると、比較例D6では透湿度が高く、ダークスポットが多数発生した。プラスチックワイヤの線径は0.5mmの方が0.03mmよりも適していることが分かる。
【0128】
(実施例D7) 表1に示す条件でサンプルを作成した。つまり、実施例D1で使用したポリスチレンペレットの代わりにポリ塩化ビニルのペレット(東ソー(株)製、リューロンペースト772、平均粒径0.05mm)を用いて線径10mmの芯材とし、被覆金属としてIn/Cdの代わりに共晶はんだPb/Sn=5/95(融点183℃)を用いて0.3mm厚に被覆し、更に、樹脂組成物として、エポキシ樹脂に代えてアクリル樹脂(日立化成工業(株)製、防湿絶縁材料TF−3348−15F2)を使用し、樹脂厚は20μmになるようにして封止材を作製した。樹脂の硬化は実施例1の加熱に代えて2.4J/cmのUV照射により行い、それ以外は実施例D1と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表1に示す条件のもと、評価試験を行い、表1に示す結果を得た。
【0129】
(比較例D7) 表4に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例D7で使用した金属被覆プラスチックワイヤに樹脂を塗布する厚みを1.5mmに変更した以外はすべて実施例D7と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表4に示す条件のもと、評価試験を行い、表4に示す結果を得た。この比較例D7を実施例D7と対比すると、比較例D7では透湿度が高く、ダークスポットが多数発生した。低融点金属被覆プラスチックワイヤに塗布する樹脂の厚みは、0.02mmの方が1.5mmよりも適していることが分かる。
【0130】
(実施例D8) 表1に示す条件でサンプルを作成した。つまり、実施例D1で使用したポリスチレンペレットの代わりに6ナイロンのペレット(東レ(株)製、アラミンCM1007、平均粒径0.5mm)を用いて線径0.2mmの芯材とし、被覆金属としてIn/Cdの代わりに共晶はんだIn/Zn=97.2/2.8(融点144℃)を使用して0.5mm厚に被覆した。更に、樹脂厚が20μmとなるようにエポキシ樹脂を被覆して封止材を作製し、実施例D1と同様に、ソーダガラス上での軟化温度及び120℃での加熱加圧を経て、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表1に示す条件のもと、評価試験を行い、表1に示す結果を得た。
【0131】
(比較例D8) 表4に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例D8で使用した樹脂組成物を硬化する温度を215℃とした以外はすべて実施例D8と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表4に示す条件のもと、評価試験を行い、表4に示す結果を得た。この比較例D8を実施例D8と対比すると、比較例D8ではEL素子が黒色に変色する異常が見られ、EL素子が酸化、腐食化してしまったことが分かった。従って、樹脂組成物を硬化する温度は、120℃の方が215℃より適していることが分かる。
【0132】
(実施例E1) 表2に示す条件でサンプルを作成した。つまり、金属銅のインゴットを1100℃で融解し、水を貯めた回転ドラムの内側にノズルから融液を噴出させた。固化した銅繊維を遠心力によってドラムの内側に巻いて、線径1mm、長さ1mの銅ワイヤを作製した。得られた銅ワイヤ上に、常法により、In/Cd=74/26の共晶はんだのめっき浴中で、はんだ被覆ワイヤの直径が1.2mmになるまで電解めっきを施した。このようにして得られたはんだ被覆銅ワイヤを、80℃に加熱溶融したエポキシ樹脂組成物((株)アルファ技研製、アルテコ3500、変性エポキシ樹脂/変性ポリアミン=100/50)中に浸漬し、樹脂厚が10μmになるまでワイヤ上に溶着させて封止材を得た。得られた封止材を、25mm×100mmのソーダガラスの周部に貼り付け、樹脂の軟化温度(80℃)、1Mpaで10分間加熱加圧した後、もう1枚のガラスを向かい合わせにして貼り合わせ、120℃、3Mpaで60分間加熱加圧して樹脂を硬化し、接着力測定用サンプルとした。一方、封止材を100mm×100mmのソーダガラス上の4辺に貼り付けた。その後、軟化温度(80℃)、1Mpaで10分間加熱加圧した後、もう1枚のソーダガラスを貼り合わせ、120℃、3Mpaで10分間加熱加圧して樹脂を硬化し、透湿度測定用サンプルとした。そして、表2に示す条件のもと、評価試験を行い、表2に示す結果を得た。
【0133】
(比較例E1) 表5に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例E1で使用した銅線の線径を0.01mmのものに変更した以外はすべて実施例E11と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表5に示す条件のもと、評価試験を行い、表5に示す結果を得た。この比較例E1を実施例E1と対比すると、比較例E1では透湿度が高くなるとともに、接着力も弱くなり、さらにダークスポットが発生した。金属ワイヤの線径は、1.0mmの方が0.01mmよりも適していることが分かる。
【0134】
(実施例E2) 表2に示す条件でサンプルを作成した。つまり、実施例E1で使用した金属銅の代わりにステンレスを用いて、実施例11と同様の方法で平均線径0.5mm、長さ1.0mのステンレスワイヤを得た。得られたワイヤ上に、常法により、Pb/Sn=5/95(融点183℃)の共晶はんだのめっき浴中で、はんだ被覆ワイヤの直径が1.5mmになるまで電解めっきを施した。このようにして得られたはんだ被覆ステンレスワイヤを、70℃に加熱溶融したアクリル樹脂(日立化成工業(株)製、防湿絶縁材料TF−3348−15F2G)中に浸漬して樹脂厚が25μmになるまでワイヤ上に溶着させ、封止材を得た。封止材を実施例E1と同様にソーダガラス上に配置し、樹脂の硬化は、実施例11の加熱に代えて1.0J/cmのUV照射により行い、それ以外は実施例E1と同様にして、接着力測定用サンプル及び透湿度測定用のサンプルを作製した。そして、表2に示す条件のもと、評価試験を行い、表2に示す結果を得た。
【0135】
(比較例E2) 表5に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例E2で使用した共晶はんだの組成をPb100%に変更した以外はすべて実施例E2と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表4に示す条件のもと、評価試験を行い、表4に示す結果を得た。この比較例E2を実施例E2と対比すると、比較例E2では透湿度が高く、ダークスポットが発生した。被覆金属の組成としてはPb/Sn=5/95の方がPb100%よりも適していることが分かる。
【0136】
(実施例E3) 表E2に示す条件でサンプルを作成した。つまり、実施例E1で使用した金属銅の代わりに鉄を用いて、実施例E1と同様の方法で平均線径10mm、長さ1.0mの鉄線を得た。得られたワイヤに、共晶はんだBi/In=67/33(融点109℃)を融着してワイヤの直径が16mmになるように共晶はんだで被覆した。次に、はんだ被覆鉄線を、70℃に加熱溶融したフェノール樹脂(住友ベークライト(株)製フェノール樹脂PM−8200)中に浸漬し、樹脂をワイヤ上に溶着させた。樹脂の溶着厚はダイヤモンドダイスにより50μmになるように調節した。以下、実施例E1と同様にして、ソーダガラス上での軟化温度及び120℃での加熱加圧を経て、接着力測定用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表2に示す条件のもと、評価試験を行い、表2に示す結果を得た。
【0137】
(比較例E3) 表5に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例E3で使用した被覆金属層の厚さを7.0mmとした以外はすべて実施例E3と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作成した。そして、表4に示す条件のもと、評価試験を行い、表4に示す結果を得た。この比較例E3を実施例E3と対比すると、比較例E3では透湿度が高く、ダークスポットが多数発生した。被覆金属層の厚さは、3.0mmの方が7.0mmよりも適していることが分かる。
【0138】
(実施例E4) 表2に示す条件でサンプルを作成した。つまり、実施例E1で使用した金属銅の代わりにアルミを使い、実施例E1と同様の方法で平均線径1.0 mm、長さ1.0mのアルミワイヤを得た。得られたワイヤに共晶はんだSn35/In45/BiO(融点98℃)を融着してワイヤの直径が3.0mmになるように共晶はんだで被覆した。次に、はんだ被覆アルミワイヤを、70℃に加熱溶融したメラミン樹脂(日立化成工業(株)製メラン523)中に浸漬し、樹脂厚が5μmになるまでワイヤ上に溶着させ、封止材を得た。以下、実施例E1と同様にして、ソーダガラス上での軟化温度及び120℃での加熱加圧を経て、接着力測定用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表2に示す条件のもと、評価試験を行い、表2に示す結果を得た。
【0139】
(比較例E4) 表5に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例E4で使用した金属被覆アルミワイヤの被覆率を40%とした以外はすべて実施例E4と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表5に示す条件のもと、評価試験を行い、表5に示す結果を得た。この比較例E4を実施例E4と対比すると、比較例E4では透湿度が高く、ダークスポットが多数発生した。はんだによるアルミワイヤの被覆率は、100%の方が40%よりも適していることが分かる。
【0140】
(実施例E5) 表2に示す条件でサンプルを作成した。つまり、実施例E1で使用した金属銅の代わりにニッケルを使い、実施例E1と同様にして平均線径1.0mm、長さ1.0mのニッケルワイヤを得た。被覆金属として、共晶はんだSn/In=48/52(融点117℃)を、樹脂組成物として、キシレン/アクリル樹脂=80/20(キシレン樹脂:三菱瓦斯化学(株)製、ニカノールHP−100、アクリル樹脂:帝国化学産業(株)製、HTR−860P−3)を使用し、樹脂厚は20μmになるようにして、得られたワイヤを被覆した。実施例E1と同様に、ソーダガラス上での軟化温度及び120℃での加熱加圧を経て、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表2に示す条件のもと、評価試験を行い、表2に示す結果を得た。
【0141】
(比較例E5) 表5に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例E5で使用した金属ワイヤを線径10mmの鉛とした以外はすべて実施例E5と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表5に示す条件のもと、評価試験を行い、表5に示す結果を得た。この比較例E5を実施例E5と対比すると、比較例E5ではワイヤ線が断線するなどの異常が発見された。従って、金属ワイヤの種類及び線径は、線径1.0mmのニッケル線の方が線径10mmの鉛線よりも適していることが分かる。
【0142】
(実施例E6) 表2に示す条件でサンプルを作成した。つまり、実施例E1で使用した金属銅の代わりにステンレスを使い、実施例E1と同様にして平均線径0.5 mm、長さ1.0mのニッケルワイヤを得た。共晶はんだBi/Cd=60/40(融点144℃)を0.015mm厚に被覆し、樹脂組成物として、ポリエステル樹脂/架橋剤=100/2(ポリエステル樹脂:東洋紡(株)製、バイロンVG700、架橋剤:日本ポリウレタン(株)製、コロネートL))を使用して、樹脂厚は20μmになるようにして被覆し、封止材を得た。更に、実施例E1と同様にして、ソーダガラス上での軟化温度及び120℃での加熱加圧を経て、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表2に示す条件のもと、評価試験を行い、表2に示す結果を得た。
【0143】
(比較例E6) 表5に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例E1で使用した金属ワイヤを線径30mmの銅線に変更した以外はすべて実施例E1と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表5に示す条件のもと、評価試験を行い、表5に示す結果を得た。この比較例E6を実施例E1と対比すると、比較例E6では透湿度が高く、ダークスポットが多数発生した。金属ワイヤの線径は、線径1.0mmのものの方が線径30.0mmのものよりも適していることが分かる。
【0144】
(実施例E7) 表2に示す条件でサンプルを作成した。つまり、実施例E1で使用した金属銅の代わりにステンレスを使い、実施例E1と同様にして平均線径0.5mm、長さ1.0mのニッケルワイヤを得た。共晶はんだPb/Sn=5/95(融点183℃)を得られたワイヤに被覆し、樹脂組成物としてアクリル樹脂(日立化成工業(株)製、防湿絶縁材料TF−3348−15F2)を使用し、樹脂厚は20μmとなるように被覆して、封止材を得た。実施例E1と同様に封止材をソーダガラス上に配置し、樹脂の硬化は実施例E1の加熱に代えて2.4J/cmのUV照射により行い、それ以外は実施例E1と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表2に示す条件のもと、評価試験を行い、表2に示す結果を得た。
【0145】
(比較例E7) 表5に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例E3で使用した被覆金属層の厚さを0.0005mmとした以外はすべて実施例E3と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表5に示す条件のもと、評価試験を行い、表5に示す結果を得た。この比較例E7を実施例E3と対比すると、比較例E7では透湿度が高く、ダークスポットが多数発生した。被覆金属層の厚さは、0.3mmの方が0.0005mmよりも適していることが分かる。
【0146】
(実施例E8) 表2に示す条件でサンプルを作成した。つまり、実施例E1で使用した金属銅の代わりにステンレスを使い、実施例E1と同様にして平均線径0.5mm、長さ1.0mのニッケルワイヤを得た。共晶はんだIn/Zn=97.2/2.8(融点144℃)をワイヤに被覆し、樹脂組成物として実施例E1と同じエポキシ樹脂を使用し、樹脂厚は20μmになるように、得られたワイヤに被覆し、封止材を得た。更に、実施例E1と同様に、ソーダガラス上での軟化温度及び120℃での加熱加圧を経て、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表2に示す条件のもと、評価試験を行い、表2に示す結果を得た。
【0147】
(比較例E8) 表5に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例E8で使用した樹脂組成物の硬化温度を215℃とした以外はすべて実施例E8と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表5に示す条件のもと、評価試験を行い、表5に示す結果を得た。この比較例E8を実施例E8と対比すると、比較例E8ではEL素子が黒色に変色するという異常が見られ、EL素子が酸化、腐食化してしたことが分かった。従って、樹脂組成物を硬化する温度は、120℃の方が215℃より適していることが分かる。
【0148】
(実施例F1) 表3に示す条件でサンプルを作成した。つまり、実施例F1と同様にして、金属銅のインゴットを1100℃で融解し、水を貯めた回転ドラムの内側にノズルから融液を噴出させた。ただし、ノズル孔の断面形状を円環状として、中空の銅線が得られた。次に、固化した中空銅ワイヤ(銅管線)を遠心力によってドラムの内側に巻いて、線径1mm、管の肉厚0.1mm、長さ1mの銅管線を作製した。得られた銅管線に、実施例1と同様にして、In/Cd=74/26の共晶はんだのめっき浴中で、はんだ被覆銅管線の直径が1.2mmになるまで電解めっきを施した。このようにして得られたはんだ被覆銅管線を、80℃に加熱溶融したエポキシ樹脂組成物((株)アルファ技研製、アルテコ3500、変性エポキシ樹脂/変性ポリアミン=100/50)中に浸漬し、樹脂厚が10μmになるまでワイヤ上に溶着させ、封止材を得た。得られた封止材を、25mm×100mmのソーダガラスの周辺に貼り付け、樹脂の軟化温度(80℃)、1Mpaで10分間加熱加圧した後、もう1枚のガラスが向かい合わせになるようにして貼り合わせ、120℃、3Mpaで10分間加熱加圧して接着力測定用サンプルとした。一方、封止材を100mm×100mmのソーダガラス上の4辺に貼り付けた。その後、軟化温度(80℃)、1Mpaで10分間加熱加圧した後、もう1枚のソーダガラスを貼り合わせ、120℃、3Mpaで10分間加熱加圧して透湿度測定用のサンプルとした。そして、表3に示す条件のもと、評価試験を行い、表3に示す結果を得た。
【0149】
(比較例F1) 表6に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例F1で使用した銅線の線径を0.04mmのものを使用した以外は、すべて実施例F1と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして表6に示す条件のもと、評価試験を行い、表6に示す結果を得た。この比較例F1を実施例F1と対比すると、比較例F1では透湿度が高くなるとともに、接着力も弱くなり、さらにダークスポットも発生した。金属管ワイヤの線径が1.0mmで肉厚0.1mmの方が線径が0.04mmで肉厚0.01mmよりも適していることが分かる。
【0150】
(実施例F2) 表3に示す条件でサンプルを作成した。つまり、実施例F1で使用した金属銅の代わりにステンレスを使い、実施例F2と同様にして、平均線径0.5mm、管の肉厚0.05mm、長さ1.0mのステンレス管ワイヤを得た。得られたワイヤに、常法により、Pb/Sn=5/95(融点183℃)の共晶はんだのめっき浴中で、はんだ被覆管ワイヤの直径が1.5mmになるまで電解めっきを施した。このようにして得られたはんだ被覆ステンレス管ワイヤを、70℃に加熱溶融したアクリル樹脂(日立化成工業(株)製、防湿絶縁材料TF−3348−15F2G)中に浸漬し、樹脂厚が25μmになるまでワイヤ上に溶着させ、封止材を得た。更に、実施例F1と同様にして封止材をソーダガラス上に配置して、樹脂の硬化は実施例F1の加熱に代えて1.0J/cmのUV照射により行い、それ以外は実施例F1と同様にして、接着力測定用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表3に示す条件のもと、評価試験を行い、表3に示す結果を得た。
【0151】
(比較例F2) 表6に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例F2で使用した共晶はんだに代えてPb100%とした以外はすべて実施例F2と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表6に示す条件のもと、評価試験を行い、表6に示す結果を得た。この比較例F2を実施例f2と対比すると、比較例F2では透湿度が高く、ダークスポットが多数発生した。被覆金属の組成はPb/Sn=5/95の方がPb100%よりも適していることが分かる。
【0152】
(実施例F3) 表3に示す条件でサンプルを作成した。つまり、実施例F1で使用した金属銅の代わりに鉄を使い、実施例F1と同様にして平均線径10mm、管の肉厚0.5mm、長さ1.0mの鉄管線を得た。得られた鉄管線に共晶はんだBi/In=67/33(融点109℃)を融着し、被覆管線の直径が16mmになるように共晶はんだで被覆した。次に、はんだ被覆鉄管線を、70℃に加熱溶融したフェノール樹脂(住友ベークライト(株)製フェノール樹脂PM−8200)中に浸漬し、樹脂を鉄管線上に溶着させた。樹脂の溶着厚は、ダイヤモンドダイスにより5μmになるように調節した。以下、実施例F1と同様にして、ソーダガラス上での樹脂の軟化温度及び120℃での加熱加圧を経て、接着力測定用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表3に示す条件のもと、評価試験を行い、表3に示す結果を得た。
【0153】
(比較例F3) 表6に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例F3で使用した金属被覆管線の金属層の厚さを7.0mmとした以外はすべて実施例F3と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表6に示す条件のもと、評価試験を行い、表6に示す結果を得た。この比較例F3を実施例F3と対比すると、比較例F3では透湿度が高く、ダークスポットが多数発生してしまった。被覆金属層の厚さは、3.0mmの方が7.0mmよりも適していることが分かる。
【0154】
(実施例F4) 表3に示す条件でサンプルを作成した。つまり、実施例F1で使用した金属銅の代わりにアルミを使い、実施例F1と同様にして平均線径1.0mm、管の肉厚0.2mm、長さ1.0mのアルミ管ワイヤを得た。得られた管ワイヤに、共晶はんだSn35/In45/BiO(融点98℃)を融着して被覆管ワイヤの直径が3.0mmになるように共晶はんだで被覆した。次に、はんだ被覆アルミ管ワイヤを、70℃に加熱溶融したメラミン樹脂(日立化成工業(株)製メラン523)中に浸漬し、樹脂厚が0.2mmになるまで管ワイヤ上に溶着させ、封止材を得た。以下、実施例F1と同様にして、ソーダガラス上での樹脂の軟化温度及び120℃での加熱加圧を経て、接着力測定用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表3に示す条件のもと、評価試験を行い、表3に示す結果を得た。
【0155】
(比較例F4) 表16に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例F4で使用した金属によるアルミ管ワイヤの被覆率を40%とした以外はすべて実施例F4と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表6に示す条件のもと、評価試験を行い、表6に示す結果を得た。この比較例F4を実施例F4と対比すると、比較例F4では透湿度が高く、ダークスポットが多数発生した。被覆金属による金属管ワイヤの被覆率は100%の方が40%よりも適していることが分かる。
【0156】
(実施例F5) 表3に示す条件でサンプルを作成した。つまり、実施例F1で使用した金属銅の代わりにニッケルを使い、実施例F1と同様にして平均線径1.0mm、管の肉厚0.1mm、長さ1.0mのニッケル管ワイヤを得た。得られた管ワイヤを、共晶はんだSn/In=48/52(融点117℃)で被覆し、更に樹脂組成物として、キシレン/アクリル樹脂=80/20(キシレン樹脂:三菱瓦斯化学(株)製、ニカノールHP−100、アクリル樹脂:帝国化学産業(株)製、HTR−860P−3)を使用して、樹脂厚が20μmになるように被覆して封止材を得た。実施例F1と同様に、ソーダガラス上での軟化温度及び120℃での加熱加圧を経て、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表3に示す条件のもと、評価試験を行い、表3に示す結果を得た。
【0157】
(比較例F5) 表6に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例F5で使用した金属管ワイヤを線径10mmの鉛管ワイヤとした以外はすべて実施例F5と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表6に示す条件のもと、評価試験を行い、表6に示す結果を得た。この比較例F5を実施例F5と対比すると、比較例F5ではワイヤ線が断線するなどの異常が発見された。従って、金属管ワイヤの種類及び線径は、ニッケル製の線径が1.0mmのもの方が鉛製の線径10mmのものよりも適していることが分かる。
【0158】
(実施例F6) 表3に示す条件でサンプルを作成した。つまり、実施例F1で使用した金属銅の代わりにステンレスを使い、実施例F1と同様にして平均線径0.5mm、管の肉厚0.1mm、長さ1.0mのステンレス管ワイヤを得た。得られた管ワイヤに、共晶はんだBi/Cd=60/40(融点144℃)を被覆し、更に樹脂組成物として、ポリエステル樹脂/架橋剤=100/2(ポリエステル樹脂:東洋紡(株)製、バイロンVG700、架橋剤:日本ポリウレタン(株)製、コロネートL))を使用して樹脂厚が20μmになるように被覆して封止材を得た。実施例F1と同様に、ソーダガラス上での軟化温度及び120℃での加熱加圧を経て、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表3に示す条件のもと、評価試験を行い、表3に示す結果を得た。
【0159】
(比較例F6) 表6に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例F1で使用した金属管ワイヤを肉厚が0.005mmの銅線に変更した以外はすべて実施例F1と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表4に示す条件のもと、評価試験を行い、表4に示す結果を得た。この比較例F6を実施例F1と対比すると、比較例F6では透湿度が高く、ダークスポットが多数発生した。金属ワイヤ管の種類及びその線径としては、ステンレス製の線径0.1mmのものの方が銅製の線径が0.005mmのものよりも適していることが分かる。
【0160】
(実施例F7) 表3に示す条件でサンプルを作成した。つまり、実施例F1で使用した金属銅の代わりにステンレスを使い、実施例F1と同様にして平均線径0.5mm、管の肉厚0.1mm、長さ1.0mのステンレス管ワイヤを得た。得られた管ワイヤに、共晶はんだPb/Sn=5/95(融点183℃)を被覆し、更に樹脂組成物として、アクリル樹脂(日立化成工業(株)製、防湿絶縁材料TF−3348−15F2)を使用して樹脂厚は20μmとなるよう被覆して封止材を得た。実施例F1と同様に封止材をソーダガラス上に配置し、樹脂の硬化は実施例F1の加熱に代えて2.4J/cmのUV照射により行い、それ以外は実施例21と同様に、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表3に示す条件のもと、評価試験を行い、表3に示す結果を得た。
【0161】
(比較例F7) 表6に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例F3で使用した被覆金属層を電解めっきで0.0005mmの厚さとした以外はすべて実施例F3と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表6に示す条件のもと、評価試験を行い、表6に示す結果を得た。この比較例F7を実施例F3と対比すると、比較例F7では透湿度が高く、ダークスポットが多数発生した。被覆金属層の厚さは、0.3mmの方が0.0005mmよりも適していることが分かる。
【0162】
(実施例F8) 表3に示す条件でサンプルを作成した。つまり、実施例F1で使用した金属銅の代わりにステンレスを使い、実施例F1と同様にして平均線径0.5mm、管の肉厚0.1mm、長さ1.0mのステンレス管ワイヤを得た。得られた管ワイヤに、共晶はんだIn/Zn=97.2/2.8(融点144℃)を被覆し、樹脂組成物として、実施例F1と同じエポキシ樹脂を使用して樹脂厚が0.2mmになるように被覆して封止材を得た。実施例F1と同様に、ソーダガラス上での軟化温度及び120℃での加熱加圧を経て、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表3に示す条件のもと、評価試験を行い、表3に示す結果を得た。
【0163】
(比較例F8) 表6に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例F8で使用した樹脂組成物を硬化する温度を215℃とした以外はすべて実施例F8と同様にして、接着用サンプル及び透湿度測定用サンプルを作製した。そして、表6に示す条件のもと、評価試験を行い、表6に示す結果を得た。この比較例F8を実施例F8と対比すると、比較例F8ではEL素子が黒色に変色するという異常が見られ、EL素子が酸化、腐食化したことが分かった。従って、樹脂組成物の硬化温度は、120℃の方が215℃より適していることが分かる。
【0164】
(実施例D9) 表1に示す条件でサンプルを作成した。すなわち、実施例D1と同様にして平均線径1mm、長さ0.1mのポリスチレン製のプラスチックワイヤを得て、得られたポリスチレンワイヤに、塩化パラジウムによるシーダ処理を施した後、無電解ニッケルめっき液中で、ニッケル層を0.2μm析出させた。その後、常法により、In/Cd=74/26の共晶はんだのめっき浴中で、はんだ被覆ワイヤの直径が1200μmになるまで電解めっきを施した。このようにして得られたはんだ被覆ポリスチレンワイヤを、80℃に加熱溶融したエポキシ樹脂組成物((株)アルファ技研製、アルテコ3500、変性エポキシ樹脂/変性ポリアミン=100/50)中に浸漬し、樹脂厚が10μmになるまでワイヤ上に溶着させて、封止材を得た。得られた封止材を、EL素子が実装された60mm×60mmのソーダガラス上の周部に貼り付け、その上にもう1枚のガラスを向かい合わせにして貼り合わせ、図26のような高周波加熱装置を用いて、9Mpaの加圧下で封止材を局所的に加熱したところ、3分間の加熱で接合が完了し、EL素子外観観察用のサンプルが作製できた。表1に示す条件のもと、評価試験を行い、表1に示す結果を得た。
【0165】
(比較例D9) 実施例D9で作製した封止材を、同様に、EL素子が実装されたソーダガラス上の周部に貼り付け、その上にもう1枚のガラスを向かい合わせにして貼り合わせ、温度が150℃の上下熱板を用いて、9Mpaの加圧下で全体を加熱加圧したところ、EL素子外観観察用のサンプルの作製に15分間を要した。そして、同様に評価試験を行ったところ、表4に示す結果を得た。この比較例D9を実施例D9と対比すると、比較例D9ではEL素子が黒色に変色しするという異常が見られ、EL素子が酸化、腐食化してしたことが分かった。従って、高周波による局所加熱を用いた接合に要する加熱時間は、熱板を用いた場合より短縮でき、所要熱量も減少するので、熱によるEL素子の損傷を抑制できる。
【0166】
【表1】
Figure 2004095413
【表2】
Figure 2004095413
【表3】
Figure 2004095413
【表4】
Figure 2004095413
【表5】
Figure 2004095413
【表6】
Figure 2004095413
【0167】
【発明の効果】
本発明によれば、基板と対向基板とを接着機能及び防湿機能に優れた条部材を用いて封止することで、基板及び対向基板と封止材との密着性が良好で初期及び長時間加熱加湿後の防湿性に優れた実装体の製造が可能となり、ダークスポット(無発光部分)の発生が防止された、搭載するEL素子の耐久性及び信頼性が高い長寿命の実装体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る実装体の基板接合前の基板に垂直な断面図(a)、基板接合後の実装体を示す基板に垂直な断面図(b)、及び、図1(a),(b)の実装体の封止材の配置を説明するための基板に平行な概略構成図(c)である。
【図2】第1の実施形態における封止材の条部材の製造工程の一例を説明するための斜断図(a),(b)である。
【図3】第1の実施形態における封止材の条部材の製造工程の他の例を説明するための斜断図(a),(b)である。
【図4】第1の実施形態における封止材の条部材の製造工程の他の例を説明するための斜断図(a),(b)である。
【図5】第1の実施形態における封止材の芯材の断面図(a),(b),(c),(d)である。
【図6】第1の実施形態における封止構成体の配置状態の例を示し、(b),(c),(d),(e)は基板に平行な概略構成図、(a)は、図6(b),(c),(d),(e)のA−A’線断面図である。
【図7】第1の実施形態における実装体の製造方法を説明する製造工程の模式図(a)〜(f)である。
【図8】第1の実施形態における実装体の製造方法の他の例を説明する製造工程の模式図(a)〜(c)である。
【図9】第1の実施形態に係る実装体の製造における加圧下での封止構成体を表す要部断面図である。
【図10】図6(b)の封止構成体の配置での実装体の製造過程を説明するための、図6(b)のB−B’線方向から見た要部の断面図であり、(a)は接合前、(b)は接合後を示す。
【図11】封止構成体の応用例を示す、基板に垂直な断面図(a)〜(g)である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る実装体の基板接合前の基板に垂直な断面図(a)、基板接合後の実装体を示す基板に垂直な断面図(b)、及び、図12(a),(b)の実装体の封止材の配置を説明するための基板に平行な概略構成図(c)である。
【図13】第2の実施形態における封止材の例を説明するための斜断図(a),(b),(c)である。
【図14】第2の実施形態における封止材の断面図(a)〜(f)である。
【図15】第2の実施形態における実装体の製造方法を説明する製造工程の模式図(a)〜(e)である。
【図16】第2の実施形態における封止構成体の配置状態の例を示し、(b),(c),(d),(e)は基板に平行な概略構成図、(a)は、図16(b),(c),(d),(e)のA−A’線断面図である。
【図17】第2の実施形態に係る実装体の製造における加圧下での封止構成体を表す要部断面図である。
【図18】図16(b)の封止構成体の配置での実装体の製造過程を説明するための、図6(b)のB−B’線方向から見た要部の断面図であり、(a)は接合前、(b)は接合後を示す。
【図19】本発明の第3の実施の形態に係る実装体の基板接合前の基板に垂直な断面図(a)、基板接合後の実装体を示す基板に垂直な断面図(b)、及び、図19(a),(b)の実装体の封止材の配置を説明するための基板に平行な概略構成図(c)である。
【図20】第3の実施形態における封止材の例を説明するための斜断図(a),(b),(c)である。
【図21】第3の実施形態における封止材の断面図(a)〜(h)である。
【図22】第3の実施形態における実装体の製造方法を説明する製造工程の模式図(a)〜(e)である。
【図23】第3の実施形態における封止構成体の配置状態の例を示し、(b),(c),(d),(e)は基板に平行な概略構成図、(a)は、図23(b),(c),(d),(e)のA−A’線断面図である。
【図24】第3の実施形態に係る実装体の製造における加圧下での封止構成体を表す要部断面図である。
【図25】図23(b)の封止構成体の配置での実装体の製造過程を説明するための、図23(b)のB−B’線方向から見た要部の断面図であり、(a)は接合前、(b)は接合後を示す。
【図26】本発明に係る実装体を高周波加熱を用いて製造する方法を示す概略構成図である。
【図27】従来の実装体の基板接合前の基板に垂直な断面図(a)、基板接合後の実装体を示す基板に垂直な断面図(b)、及び、図26(a),(b)の実装体の封止材の配置を説明するための基板に平行な概略構成図(c)である。
【符号の説明】
1  芯材
1a プラスチック線
1b 金属線
1c 金属管線
2  金属層
3,3’,3”  樹脂層
4a〜4d,4a’〜4d’,4a”〜4d” 封止材
5  基板
6  対向基板
7  下部電極
8  電子輸送層
9  発光層
10 正孔輸送層
11 上部電極
13 ペースト状シール材
12 EL素子
14 乾燥剤
15 絶縁膜
16 加熱電極

Claims (13)

  1. 基板に有機EL素子を設ける工程と、
    弾性変形可能な芯材と、該芯材の表面の少なくとも一部を被覆する条状の金属層と、該金属層を被覆する樹脂層とを有する封止材を、前記有機EL素子を取り囲むように前記基板上に設ける工程と、
    前記基板と対抗基板とを対抗させる工程と、
    前記樹脂層を流動させて前記金属層と前記基板及び前記対抗基板とを当接させ工程と、
    上記金属層に前記対抗基板を圧接しながら、前記樹脂層によって前記基板と前記対抗基板とを接合させる工程と
    を有することを特徴とする有機EL素子の封止方法。
  2. 前記金属層は、融点が80℃以上250℃以下の金属からなり、前記樹脂層を流動化する工程の後に、該金属層を流動化する工程を更に有することを特徴とする有機EL素子の封止方法。
  3. 前記樹脂層は、高周波加熱方式での局部加熱による該樹脂層の流動化によって流動することを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL素子の封止方法。
  4. 前記金属ははんだであり、前記金属層は、高周波加熱方式による該金属層の局部加熱によって溶融することにより流動化することを特徴とする請求項2又は3に記載の有機EL素子の封止方法。
  5. 前記基板と前記対抗基板とは、高周波加熱方式による前記樹脂層の局部加熱によって硬化することにより接合されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機EL素子の封止方法。
  6. 弾性変形可能な芯材と、該芯材の表面の少なくとも一部を被覆する条状の金属層と、該金属層を被覆する樹脂層とを有する封止材であって、前記樹脂層は、前記金属層が流動化する温度より低い温度で流動化する樹脂組成物で形成されることを特徴とする封止材。
  7. 前記金属層の厚さが1μm以上5mm以下であることを特徴とする請求項6に記載の封止材。
  8. 前記金属層が、鉛、スズ、ビスマス、インジウム、カドミウム及び亜鉛から選択される2以上の金属からなる合金であることを特徴とする請求項6又は7に記載の封止材。
  9. 前記金属層が前記芯材の表面を50%以上被覆していることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の封止材。
  10. 前記樹脂層が、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂及びキシレン樹脂のうちの少なくとも1種を主成分とする樹脂組成物で形成されることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の封止材。
  11. 前記樹脂層は、メルトインデックスが0.2〜200の樹脂組成物で形成されることを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の封止材。
  12. 前記樹脂層は、硬化温度が50℃以上200℃以下の樹脂組成物で形成されることを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の封止材。
  13. 前記樹脂層の厚みが1μm以上10mm以下であることを特徴とする請求項6〜12のいずれか1項に記載の封止材。
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