JP2004095107A - ディスクドライブ装置、サーボゲイン調整方法 - Google Patents

ディスクドライブ装置、サーボゲイン調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】精度が高くかつサーボ安定性を損なわないサーボゲイン調整の実現。
【解決手段】1回のサーボゲイン調整に用いる調整ソース信号として2通り以上の振幅の信号をサーボループに加算し、それぞれの振幅の調整ソース信号に対応する応答波形振幅を互いに差し引きしてサーボゲイン調整値の演算に使用する。これによって調整ソース信号と同一周波数のノイズ成分(ディスク起因のノイズなど)をキャンセルし、望むサーボループ応答成分のみを抽出して演算できるようにして誤差が少ないサーボゲイン調整を実現する。
【選択図】    図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク等のディスク記録媒体に対するディスクドライブ装置、及びサーボゲイン調整方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
デジタルデータを記録・再生するための技術として、例えば、CD(Compact Disk),MD(Mini−Disk),DVD(Digital Versatile Disk)などの、光ディスク(光磁気ディスクを含む)を記録メディアに用いたデータ記録技術がある。光ディスクとは、金属薄板をプラスチックで保護した円盤に、レーザ光を照射し、その反射光の変化で信号を読み取る記録メディアの総称である。
光ディスクには、例えばCD、CD−ROM、DVD−ROMなどとして知られているように再生専用タイプのものと、MD、CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAMなどで知られているようにユーザーデータが記録可能なタイプがある。記録可能タイプのものは、光磁気記録方式、相変化記録方式、色素膜変化記録方式などが利用されることで、データが記録可能とされる。色素膜変化記録方式はライトワンス記録方式とも呼ばれ、一度だけデータ記録が可能で書換不能であるため、データ保存用途などに好適とされる。一方、光磁気記録方式や相変化記録方式は、データの書換が可能であり音楽、映像、ゲーム、アプリケーションプログラム等の各種コンテンツデータの記録を始めとして各種用途に利用される。
更に近年、DVR(Data & Video Recording)と呼ばれる高密度光ディスクが開発され、著しい大容量化が図られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
既に公知のとおり、光ディスクに対する記録再生を行うディスクドライブ装置では、レーザ光の焦点位置をディスク記録面に制御するフォーカスサーボ動作や、レーザ光がディスク上のトラック(ピット列やグルーブ(溝)によるトラック)をトレースするように制御するトラッキングサーボ動作が行われる。
そして、これらのフォーカスサーボ、トラッキングサーボにおいては、サーボループのゲインが適切に設定されることが、動作の安定化上、必要である。
【0004】
サーボループゲインの調整のために従来から知られている手法としては、ある周波数の調整ソース信号をサーボループに加算した結果の応答波形(振幅を用いる場合もあり、位相を用いる場合もある)からサーボループの特性を計算し、サーボループゲインを一定に調整するものがある。
ところが、例えばディスク上のグルーブの成形状態などに起因するディスクノイズが高く、全周波数に渡ってノイズがある場合などで、応答波形の観測信号に調整ソースと同じ周波数のノイズ成分が多く含まれると、バンドパスフィルタ等のフィルタリングによってもノイズ成分を除去し切れず、適切に応答波形を観測できない。その結果、調整ソース信号と応答波形を用いたサーボゲイン計算も誤差を多く含んでしまい、実用に足る精度の調整ができないものとなっていた。
【0005】
また、ノイズ成分を十分無視できるほどの大振幅の調整ソース信号を加算するようにすれば、或る程度の演算精度を確保できるが、その場合、サーボゲイン調整時のサーボ安定性が確保できなくなる。なぜなら、調整ソース信号の加算は、サーボループに外乱を加算していることになるためであり、つまり調整ソース信号が大振幅になるほど、外乱成分が増大することになるためである。
サーボ安定性が確保できないことは、例えば再生中、シーク時などにおいてサーボゲイン調整を行うことが適切ではないものとなる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明はこれらの事情に鑑みて、フォーカスサーボ、トラッキングサーボのループゲインを精度良く調整できるようにし、またサーボ安定性を損なわないでループゲイン調整が実行できるようにすることを目的とする。
【0007】
このために本発明のディスクドライブ装置は、データの書込又は読出のために、ディスク記録媒体に対するレーザ照射及び反射光検出を行うヘッド手段と、上記ヘッド手段で得られる反射光からサーボエラー信号を生成するサーボエラー信号生成手段と、上記サーボエラー信号に対してゲイン処理を含めた所定の処理を行い、サーボ信号を生成して出力するサーボ信号生成手段と、上記サーボ信号生成手段から出力されるサーボ信号に基づいて、上記ヘッド手段のサーボ動作を実行させるサーボ駆動手段と、特定周波数の調整ソース信号として、2通り以上の異なる振幅の信号を発生させて上記サーボエラー信号に加算することができる調整ソース信号発生手段と、上記調整ソース信号が上記サーボエラー信号に加算されることで生ずるサーボループ応答波形の振幅を観測する観測手段と、上記調整ソース信号の2通り以上の各振幅と、上記調整ソース信号の2通り以上の各振幅が上記サーボエラー信号に加算された際のそれぞれ振幅に対応するサーボループ応答波形と、サーボループ特性値とを用いた演算を行ってサーボループゲインの調整値を算出し、上記サーボ信号生成手段の上記ゲイン処理におけるゲイン値を調整するサーボゲイン調整手段とを備えるようにする。
また、上記サーボゲイン調整手段は、上記調整ソース信号の2通り以上の各振幅が上記サーボエラー信号に加算された際の、それぞれ振幅に対応して観測された各サーボループ応答波形を、互いに差し引きする演算を行う。
また、2通り以上の異なる振幅の各調整ソース信号の上記サーボエラー信号への加算、及びサーボループ応答波形の観測を、ディスク記録媒体上の同一箇所、又は近傍場所で実行させる制御手段を備える。
また、上記サーボゲイン調整手段で算出された調整値を記憶する記憶手段を備え、上記サーボゲイン調整手段は、算出された調整値と、上記記憶手段に記憶された過去の調整値との平均値を算出し、平均値により上記サーボ信号生成手段の上記ゲイン処理におけるゲイン値を調整する。
また、ディスク記録媒体が装填された際に、上記調整ソース信号発生手段、上記観測手段、上記サーボゲイン調整手段により、上記ゲイン処理におけるゲイン値を調整させる制御手段を備える。
また、ディスク記録媒体が装填された後、ディスク記録媒体に対する動作実行期間において、所定タイミングで上記調整ソース信号発生手段、上記観測手段、上記サーボゲイン調整手段により、上記ゲイン処理におけるゲイン値を調整させる制御手段を備える。
【0008】
本発明のサーボゲイン調整方法は、特定周波数の調整ソース信号として、2通り以上の異なる振幅の信号を発生させて上記サーボエラー信号に加算するとともに、各振幅の調整ソース信号が上記サーボエラー信号に加算されることで生ずるサーボループ応答波形の振幅をそれぞれ観測し、上記調整ソース信号の2通り以上の各振幅と、上記調整ソース信号の2通り以上の各振幅が上記サーボエラー信号に加算された際のそれぞれ振幅に対応するサーボループ応答波形と、サーボループ特性値とを用いた演算を行ってサーボループゲインの調整値を算出し、上記算出された調整値を用いて、サーボゲインを調整する。
また、上記調整値を算出する際の演算には、上記調整ソース信号の2通り以上の各振幅が上記サーボエラー信号に加算された際のそれぞれ振幅に対応して観測された各サーボループ応答波形を、互いに差し引きする演算が含まれる。
また、2通り以上の異なる振幅の各調整ソース信号の上記サーボエラー信号への加算、及びサーボループ応答波形の観測を、ディスク記録媒体上の同一箇所、又は近傍場所で実行する。
また、算出された調整値を記憶するとともに、サーボゲイン調整の際には、上記算出された調整値と、記憶された過去の調整値との平均値を算出し、該平均値によりサーボゲインを調整する。
また、ディスク記録媒体が装填された際に、上記調整ソース信号の発生及びサーボエラー信号への加算、上記サーボループ応答波形の観測、上記調整値の算出を実行して、サーボゲインの調整を行う。
また、ディスク記録媒体が装填された後、ディスク記録媒体に対する動作実行期間において、所定タイミングで、上記調整ソース信号の発生及びサーボエラー信号への加算、上記サーボループ応答波形の観測、上記調整値の算出を実行して、サーボゲインの調整を行う。
【0009】
以上の構成の本発明によれば、1回のサーボゲイン調整に用いる調整ソース信号として2通り以上の振幅の信号をサーボループに加算する。そしてそれぞれの振幅の調整ソース信号に対応する応答波形振幅を互いに差し引きしてサーボゲイン調整値の演算に使用するものとなる。この場合、調整ソース信号と同一周波数のノイズ成分をキャンセルできる。また従って、調整ソース信号として、ノイズ成分を無視できるほどの大振幅信号を入力する必要が無くなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態として、光ディスクに対応して記録再生を行うディスクドライブ装置(記録再生装置)及びそのサーボゲイン調整方法について説明していく。説明は次の順序で行う。
1.ディスクドライブ装置の構成
2.サーボ系の構成
3.サーボゲイン調整処理例[1]
4.サーボゲイン調整処理例[2]
5.サーボゲイン調整にかかる位置及びタイミング
6.変形例
【0011】
1.ディスクドライブ装置の構成
図1に本例のディスクドライブ装置の構成を示す。
ディスク1は例えば相変化方式でデータの記録を行う光ディスクであるとする。またディスク上にはウォブリング(蛇行)されたグルーブが形成され、このグルーブが記録トラックとされる。グルーブのウォブリングによってはいわゆるADIP情報としてアドレス情報などが埋め込まれている。
【0012】
このようなディスク1は、図示しないターンテーブルに積載され、記録/再生動作時においてスピンドルモータ52によって一定線速度(CLV)で回転駆動される。
そして光学ピックアップ(光学ヘッド)51によってディスク1上のグルーブトラックのウォブリングとして埋め込まれたADIP情報の読み出しがおこなわれる。
また記録時には光学ピックアップ51によってトラックにユーザーデータがフェイズチェンジマークとして記録され、再生時には光学ピックアップによって記録されたフェイズチェンジマークの読出が行われる。
【0013】
ピックアップ51内には、レーザ光源となるレーザダイオードや、反射光を検出するためのフォトディテクタ、レーザ光の出力端となる対物レンズ、レーザ光を対物レンズを介してディスク記録面に照射し、またその反射光をフォトディテクタに導く光学系(図示せず)が形成される。
レーザダイオードは、例えば波長405nmのいわゆる青色レーザを出力するものとされる。また光学系によるNAは0.85である。
【0014】
ピックアップ51内において対物レンズは二軸機構によってトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に保持されている。
またピックアップ51全体はスレッド機構53によりディスク半径方向に移動可能とされている。
またピックアップ51におけるレーザダイオードはレーザドライバ63からのドライブ信号(ドライブ電流)によってレーザ発光駆動される。
【0015】
ディスク1からの反射光情報はフォトディテクタによって検出され、受光光量に応じた電気信号とされてマトリクス回路54に供給される。
マトリクス回路54には、フォトディテクタとしての複数の受光素子からの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
例えば再生データに相当する高周波信号(再生データ信号)、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号などを生成する。
さらに、グルーブのウォブリングに係る信号、即ちウォブリングを検出する信号としてプッシュプル信号を生成する。
【0016】
マトリクス回路54から出力される再生データ信号はリーダ/ライタ回路55へ、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号はサーボ回路61へ、プッシュプル信号はウォブル回路58へ、それぞれ供給される。
【0017】
リーダ/ライタ回路55は、再生データ信号に対して2値化処理、PLLによる再生クロック生成処理等を行い、フェイズチェンジマークとして読み出されたデータを再生して、変復調回路56に供給する。
変復調回路56は、再生時のデコーダとしての機能部位と、記録時のエンコーダとしての機能部位を備える。
再生時にはデコード処理として、再生クロックに基づいてランレングスリミテッドコードの復調処理を行う。
またECCエンコーダ/デコーダ57は、記録時にエラー訂正コードを付加するECCエンコード処理と、再生時にエラー訂正を行うECCデコード処理を行う。
再生時には、変復調回路56で復調されたデータを内部メモリに取り込んで、エラー検出/訂正処理及びデインターリーブ等の処理を行い、再生データを得る。
ECCエンコーダ/デコーダ57で再生データにまでデコードされたデータは、システムコントローラ60の指示に基づいて、読み出され、AV(Audio−Visual)システム120に転送される。
【0018】
グルーブのウォブリングに係る信号としてマトリクス回路54から出力されるプッシュプル信号は、ウォブル回路58において処理される。ADIP情報としてのプッシュプル信号は、ウォブル回路58においてADIPアドレスを構成するデータストリームに復調されてアドレスデコーダ59に供給される。
アドレスデコーダ59は、供給されるデータについてのデコードを行い、アドレス値を得て、システムコントローラ10に供給する。
またアドレスデコーダ9はウォブル回路8から供給されるウォブル信号を用いたPLL処理でクロックを生成し、例えば記録時のエンコードクロックとして各部に供給する。
【0019】
記録時には、AVシステム120から記録データが転送されてくるが、その記録データはECCエンコーダ/デコーダ57におけるメモリに送られてバッファリングされる。
この場合ECCエンコーダ/デコーダ57は、バファリングされた記録データのエンコード処理として、エラー訂正コード付加やインターリーブ、サブコード等の付加を行う。
またECCエンコードされたデータは、変復調回路56においてRLL(1−7)PP方式の変調が施され、リーダ/ライタ回路55に供給される。
記録時においてこれらのエンコード処理のための基準クロックとなるエンコードクロックは上述したようにウォブル信号から生成したクロックを用いる。
【0020】
エンコード処理により生成された記録データは、リーダ/ライタ回路55で記録補償処理として、記録層の特性、レーザー光のスポット形状、記録線速度等に対する最適記録パワーの微調整やレーザドライブパルス波形の調整などが行われた後、レーザドライブパルスとしてレーザードライバ63に送られる。
レーザドライバ63では供給されたレーザドライブパルスをピックアップ51内のレーザダイオードに与え、レーザ発光駆動を行う。これによりディスク1に記録データに応じたピット(フェイズチェンジマーク)が形成されることになる。
【0021】
なお、レーザドライバ63は、いわゆるAPC回路(Auto Power Control)を備え、ピックアップ51内に設けられたレーザパワーのモニタ用ディテクタの出力によりレーザ出力パワーをモニターしながらレーザーの出力が温度などによらず一定になるように制御する。記録時及び再生時のレーザー出力の目標値はシステムコントローラ60から与えられ、記録時及び再生時にはそれぞれレーザ出力レベルが、その目標値になるように制御する。
【0022】
サーボ回路61は、マトリクス回路54からのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号から、フォーカス、トラッキング、スレッドの各種サーボドライブ信号を生成しサーボ動作を実行させる。
即ちフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号に応じてフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号を生成し、ピックアップ51内の二軸機構のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することになる。これによってピックアップ51、マトリクス回路54、サーボ回路61、二軸機構によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
【0023】
またサーボ回路61は、システムコントローラ60からのトラックジャンプ指令に応じて、トラッキングサーボループをオフとし、ジャンプドライブ信号を出力することで、トラックジャンプ動作を実行させる。
【0024】
またサーボ回路61は、トラッキングエラー信号の低域成分として得られるスレッドエラー信号や、システムコントローラ60からのアクセス実行制御などに基づいてスレッドドライブ信号を生成し、スレッド機構53を駆動する。スレッド機構53には、図示しないが、ピックアップ51を保持するメインシャフト、スレッドモータ、伝達ギア等による機構を有し、スレッドドライブ信号に応じてスレッドモータを駆動することで、ピックアップ51の所要のスライド移動が行なわれる。
【0025】
スピンドルサーボ回路62はスピンドルモータ2をCLV回転させる制御を行う。
スピンドルサーボ回路62は、ウォブル信号に対するPLL処理で生成されるクロックを、現在のスピンドルモータ52の回転速度情報として得、これを所定のCLV基準速度情報と比較することで、スピンドルエラー信号を生成する。
またデータ再生時においては、リーダ/ライタ回路55内のPLLによって生成される再生クロック(デコード処理の基準となるクロック)が、現在のスピンドルモータ52の回転速度情報となるため、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成することもできる。
そしてスピンドルサーボ回路62は、スピンドルエラー信号に応じて生成したスピンドルドライブ信号を出力し、スピンドルモータ62のCLV回転を実行させる。
またスピンドルサーボ回路62は、システムコントローラ60からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータ2の起動、停止、加速、減速などの動作も実行させる。
【0026】
以上のようなサーボ系及び記録再生系の各種動作はマイクロコンピュータによって形成されたシステムコントローラ60により制御される。
システムコントローラ60は、AVシステム120からのコマンドに応じて各種処理を実行する。
【0027】
例えばAVシステム120から書込命令(ライトコマンド)が出されると、システムコントローラ60は、まず書き込むべきアドレスにピックアップ51を移動させる。そしてECCエンコーダ/デコーダ57、変復調回路56により、AVシステム120から転送されてきたデータ(例えばMPEG2などの各種方式のビデオデータや、オーディオデータ等)について上述したようにエンコード処理を実行させる。そして上記のようにリーダ/ライタ回路55からのレーザドライブパルスがレーザドライバ63に供給されることで、記録が実行される。
【0028】
また例えばAVシステム120から、ディスク1に記録されている或るデータ(MPEG2ビデオデータ等)の転送を求めるリードコマンドが供給された場合は、まず指示されたアドレスを目的としてシーク動作制御を行う。即ちサーボ回路61に指令を出し、シークコマンドにより指定されたアドレスをターゲットとするピックアップ51のアクセス動作を実行させる。
その後、その指示されたデータ区間のデータをAVシステム120に転送するために必要な動作制御を行う。即ちディスク1からのデータ読出を行い、リーダ/ライタ回路55、変復調回路56、ECCエンコーダ/デコーダ57におけるデコード/バファリング等を実行させ、要求されたデータを転送する。
【0029】
なお、これらのフェイズチェンジマークによるデータの記録再生時には、システムコントローラ60は、ウォブル回路58及びアドレスデコーダ59によって検出されるADIPアドレスを用いてアクセスや記録再生動作の制御を行う。
【0030】
ところで、この図1の例は、AVシステム120に接続されるディスクドライブ装置としたが、本発明のディスクドライブ装置としては例えばパーソナルコンピュータ等と接続されるものとしてもよい。
さらには他の機器に接続されない形態もあり得る。その場合は、操作部や表示部が設けられたり、データ入出力のインターフェース部位の構成が、図40とは異なるものとなる。つまり、ユーザーの操作に応じて記録や再生が行われるとともに、各種データの入出力のための端子部が形成されればよい。
もちろん構成例としては他にも多様に考えられ、例えば記録専用装置、再生専用装置としての例も考えられる。
【0031】
2.サーボ系の構成
図1におけるサーボ回路61において、上述したフォーカスサーボループ及びトラッキングサーボループを形成する部分を図2に示す。
【0032】
マトリクス回路54からのフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEは、サーボ回路61において、それぞれA/D変換器11,21によりデジタルデータに変換されてDSP10に入力される。
DSP10には、フォーカスサーボ演算部12,トラッキングサーボ演算部22としての機能が備えられている。
【0033】
そしてフォーカスサーボ演算部12では、デジタルデータとされて入力されるフォーカスエラー信号FEに対して所定の演算を行ってフォーカスサーボ信号FSを生成して出力する。フォーカスサーボ信号FSは、D/A変換器13でアナログ信号に変換された後(PWMやPDMなども含む)、フォーカスドライバ14へ入力され、アクチュエータを駆動する。即ち光ピックアップ51において対物レンズを保持する二軸機構のフォーカスコイルに電流を印加し、フォーカスサーボ動作を実行させる。
【0034】
トラッキングサーボ演算部22では、デジタルデータとされて入力されるトラッキングエラー信号TEに対して所定の演算を行ってトラッキングサーボ信号TSを生成して出力する。トラッキングサーボ信号TSは、D/A変換器23でアナログ信号に変換された後(PWMやPDMなども含む)、トラッキングドライバ24へ入力され、アクチュエータを駆動する。即ち光ピックアップ51において対物レンズを保持する二軸機構のトラッキングコイルに電流を印加し、トラッキングサーボ動作を実行させる。
【0035】
例えばDSP10において形成されるフォーカスサーボ演算部12、トラッキングサーボ演算部22としての動作は、システムコントローラ60によって制御される。特に後述するようにサーボゲイン調整のための動作制御が行われる。
またメモリ部30は、例えば不揮発性メモリとされ、サーボゲイン調整値を記憶するものとされる。これについてはサーボゲイン調整処理例[2](図6)において説明する。
【0036】
図2に示したトラッキングサーボ演算部22の構成を図3に示す。
トラッキングサーボ演算部22は、通常のトラッキングサーボループを形成する機能部位としてサーボ処理部43、可変ゲイン部46が設けられる。
サーボ処理部43では、トラッキングエラー信号TEに対して、位相補償等のためのフィルタ処理等が行われる。可変ゲイン部46ではループゲイン処理が行われる。
トラッキングサーボ演算部22に入力されるトラッキングエラー信号TEは、このサーボ処理部43及び可変ゲイン部46の処理を介することでトラッキングサーボ信号TSとされ、図2に示したようにD/A変換器23を介してトラッキングドライバ24に供給される。
【0037】
またトラッキングサーボ演算部22には、サーボゲイン調整のために、調整ソース信号生成部42,加算器41,フィルタ部44,応答波形測定/ゲイン計算部45が設けられる。
調整ソース信号生成部42は、特定周波数のサイン波としての調整ソース信号をデジタル的に生成する。この場合、調整ソース信号の振幅としては各種の振幅の信号を出力できる。
例えば図4に示すSIN(A)、SIN(B)のように、振幅の異なる同一周波数の調整ソース信号を出力する。
このとき、調整ソース信号SIN(A)、SIN(B)の周波数としては、各種摂動(回路素子の特性ばらつきなど)により、サーボオープンループの位相が殆ど変化しないと言える周波数を選ぶ。
また、調整ソース信号SIN(A)、SIN(B)の周波数が低すぎると、調整ソース信号SIN(A)、SIN(B)に対するループ応答波形が計算しにくくなる。これは振幅測定時間が伸びる、ループゲインが高いため応答波形が小さくなってしまう、といった理由による。
これらのことから本例では、調整ソース信号の周波数としては1KHz〜2KHz程度を選択している。
【0038】
加算器41は、図2のA/D変換器21でデジタル化されたトラッキングエラー信号TEに、調整ソース信号SIN(A)、SIN(B)を加算する。
調整ソース信号SIN(A)又はSIN(B)を加算した後のトラッキングエラー信号TEには、調整ソース信号SIN(A)又はSIN(B)と同じ周波数成分に、サーボループの応答波形としてのサイン波の成分が現れる。
フィルタ部44は、バンドパスフィルタ、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ等を用いて調整ソース信号SIN(A)、SIN(B)と同じ周波数成分のみを抽出し、それを調整ソース信号SIN(A)に対応するループ応答波形RES(A)、調整ソース信号SIN(B)に対応するループ応答波形RES(B)として出力する。
【0039】
応答波形測定/ゲイン計算部45は、ループ応答波形RES(A)、RES(B)の振幅を測定すると共に、調整ソース信号SIN(A)、SIN(B)の各振幅と、ループ応答波形RES(A)、RES(B)の振幅と、サーボループ特性値とを用いた演算を行ってサーボループゲインの調整値を算出し、可変ゲイン部46のゲイン値を調整する。
【0040】
なお、図3ではトラッキングサーボ演算部22としての構成例を示したが、フォーカスサーボ演算部12の構成も同様とされる。即ちサーボ処理部43、可変ゲイン部46に相当する部位でフォーカスエラー信号FEに対する位相補償やサーボゲイン処理が行われ、またサーボループゲインの調整のために、調整ソース信号生成部42,加算器41,フィルタ部44,応答波形測定/ゲイン計算部45に相当する部位が設けられる。
以下、トラッキングサーボ演算部22を参照してサーボゲインの調整動作について説明していくが、その動作はフォーカスサーボ演算部12でも全く同様に実行されるものである。
【0041】
3.サーボゲイン調整処理例[1]
上記図3のように構成されるトラッキングサーボ演算部22によるサーボゲイン調整処理を説明する。
調整ソース信号生成部42から出力される調整ソース信号SIN(A)振幅と、サーボオープンループゲインGと、サーボオープンループ位相Θと、応答波形RES(A)振幅の間の関係式は次式で表される。
Figure 2004095107
【0042】
今、設計により決めたサーボオープンループゲインをG0、サーボオープンループ位相をΘ0とする。
ある時点でサーボループに対して調整ソース信号SIN(A)を加算した結果得たループ応答波形をRES(A1)、そのときのサーボオープンループゲインをG1、サーボオープンループ位相はほとんど変化しないのでΘ0とすれば、
Figure 2004095107
という式が成り立つ。
【0043】
また、調整ソース信号SIN(A)の加算とループ応答波形振幅RES(A1)の取得を実行した直後に、ディスク上の全く同じ場所か、または近い場所にて、調整ソース信号SIN(A)と同じ周波数で、且つ振幅が違う調整ソース信号SIN(B)をループに加算すると、時間的・場所的に近い状態であるので、調整ソース信号SIN(B)の加算時のサーボオープンループゲインはG1に限りなく近い値であり、G1と近似して計算できる。従って、調整ソース信号SIN(B)に対するループ応答波形をRES(B1)とすれば、
Figure 2004095107
とできる。
【0044】
ここで上記(式2)(式3)を、左辺、右辺とも差し引きする。つまり
Figure 2004095107
という式を得る。
【0045】
この(式4)をG1について解き、G0に対する比率を求めると、
Figure 2004095107
となる。
この(式5)により、設計ゲインと現在のオープンループゲインの比が計算できる。現在の可変ゲイン部46の設定がゲインαであったとすれば、α×G0/G1を可変ゲイン部に設定すれば、オープンループゲインが設計ゲインG0に調整できたことになる。
【0046】
このような処理によってサーボゲイン調整を行うために、システムコントローラ60の制御に基づいて、トラッキングサーボ演算部22では図5の手順でサーボゲイン調整処理を実行する。
まずステップF101で、調整ソース信号生成部42から調整ソース信号SIN(A)を出力する。すると上記のように加算器41でトラッキングエラー信号TEに調整ソース信号SIN(A)が加算され、そのトラッキングエラー信号TEには、調整ソース信号SIN(A)と同じ周波数成分に、サーボループの応答波形としてのサイン波の成分が現れる。
ステップF102ではループ応答波形RES(A)の振幅を測定する。即ちフィルタ部44で調整ソース信号SIN(A)と同じ周波数成分のみを抽出して得られたループ応答波形RES(A)について、応答波形測定/ゲイン計算部45で振幅を測定する。
【0047】
続いてステップF103では、調整ソース信号生成部42から調整ソース信号SIN(B)を出力する。すると加算器41でトラッキングエラー信号TEに調整ソース信号SIN(B)が加算され、そのトラッキングエラー信号TEには、調整ソース信号SIN(B)と同じ周波数成分に、サーボループの応答波形としてのサイン波の成分が現れる。
ステップF104ではループ応答波形RES(B)の振幅を測定する。即ちフィルタ部44で調整ソース信号SIN(B)と同じ周波数成分のみを抽出して得られたループ応答波形RES(B)について、応答波形測定/ゲイン計算部45で振幅を測定する。
【0048】
ステップF105では、応答波形測定/ゲイン計算部45で、ゲイン比G0 / G1を算出する。即ち調整ソース信号SIN(A)、SIN(B)の各振幅と、ループ応答波形RES(A)、RES(B)の振幅と、サーボループ特性値とを用いて、上記(式5)の演算を行って、設計により決めたサーボオープンループゲインG0と、加算時のゲインG1の比を求める。
そしてステップF106では、現在の可変ゲイン部46の設定ゲインαについて、α×G0/G1に設定する。
これによって、オープンループゲインが設計ゲインG0に調整する処理が完了する。
【0049】
このようなサーボゲイン調整処理では、調整ソース信号SIN(A)、SIN(B)に対応する応答波形RES(A)、RES(B)の振幅を互いに差し引きしてサーボゲイン調整値の演算に使用する。このため調整ソース信号と同一周波数のノイズ成分(ディスク起因のノイズなど)をキャンセルし、望むサーボループ応答成分のみを抽出して演算できることになるため、誤差が少ないサーボゲイン調整が実現される。
また、これよって、調整ソース信号SIN(A)、SIN(B)として、ノイズ成分を無視できるほどの大振幅信号を入力する必要が無く、従ってサーボ安定性を損なわない状態でサーボゲイン調整が実行できる。
【0050】
4.サーボゲイン調整処理例[2]
サーボゲイン調整処理例[2]を図6に示す。
上記図5の処理例では、上記(式5)の演算で求めたゲイン比G0 / G1と現在の可変ゲイン部46の設定ゲインαから得られる、α×G0/G1に設定するようにした。
一方、図6の処理例は、メモリ部30を利用してゲイン調整処理時に算出したゲイン値を記憶しておき、記憶された過去のゲイン値を用いて平均化した値にゲイン調整するものである。
【0051】
図6のステップF201〜F205は、図5のステップF101〜F105と同様であるため説明を省略する。
ステップF206では、応答波形/ゲイン計算部45は、現在の可変ゲイン部46の設定ゲインαについて、α×G0/G1とした新たなゲインαを算出する。
ステップF207では、応答波形/ゲイン計算部45はメモリ部30に記憶されている過去所定回数のサーボゲイン調整処理時にそれぞれ記憶したゲイン値αを読み出し、今回ステップF206で算出したゲインαと、過去の所定回数の各ゲインαの平均値αAVを算出する。
そしてステップF208では、応答波形/ゲイン計算部45は、可変ゲイン部46の設定ゲインを平均値αAVとなるように制御する。
ステップF209では、今回ステップF206で算出したゲインαを、最新のゲイン履歴としてメモリ30に記憶させる。
【0052】
つまりこの図6の処理例では、サーボゲイン調整処理毎に算出された設定ゲインをメモリ部30に記憶していく。
そして実際の可変ゲイン部46のゲイン設定に関しては、過去のサーボゲイン調整処理時に記憶したゲイン値と、今回算出したゲイン値を平均化し、その平均値にゲイン設定する。
このように平均値を用いたゲイン制御を行うようにすれば、一時的で急峻なゲイン変動への応答を鈍らせ、安定したループゲイン調整を行うことができる。
【0053】
なお、メモリ部30への記憶方式としては、例えばメモリ部30をリングバッファ形態で用いるようにして、過去所定回数のゲイン履歴が保存されるようにしても良いし、また必ずしも平均化のためのサンプル数を一定としなくても良い。
また、メモリ部30に記憶したゲイン値については、例えばディスク1が入れ換えられることに応じてクリアすることが考えられる。
或いは、ディスク1の入れ換えに関わらず、或る程度長期にわたって所要数のゲインサンプルとして保存しておき、平均値算出に用いるようにすれば、例えば二軸機構等のデバイスの経年変化具合(サーボ応答性の変化)を反映したゲイン調整ができることにもなる。
【0054】
5.サーボゲイン調整にかかる位置及びタイミング
上記サーボゲイン調整処理例[1]又は[2]によりサーボループゲインが設計値に自動調整されるが、上記各処理例では2つの振幅の調整ソース信号SIN(A)、SIN(B)の各振幅と、ループ応答波形RES(A)、RES(B)の振幅を用い、上記(式4)で示したように差し引きすることで、ディスクに起因するノイズ成分をキャンセルして高精度な調整を実現するものである。
このことから、調整ソース信号SIN(A)を出力する際のディスク上の位置と、調整ソース信号SIN(B)を出力する際のディスク上の位置とは、同一又は近傍位置とすることが最適である。
即ち同一位置であれば、グルーブの成形具合や反射率ムラなどのディスク起因のノイズ成分は同様となるため、(式4)の差し引きによってノイズ成分は最も適切にキャンセルされる。また近傍位置であればディスク盤面の反射率ムラも同程度であるため、ノイズ成分は似通っており、(式4)の差し引きによってノイズ成分は適切にキャンセルされる。
【0055】
調整ソース信号SIN(A)の加算及び応答波形RES(A)の観測と、調整ソース信号SIN(B)の加算及び応答波形RES(B)の観測とを、ディスク1上の同一位置で行うためには、図5のステップF102とF103の間にトレース位置のアクセスを行えばよい。即ちステップF101での調整ソース信号SIN(A)の発生を、ディスク上のアドレスad1のトレースタイミングで開始するとすれば、ステップF103での調整ソース信号SIN(B)の発生も、ディスク上のアドレスad1にアクセスした状態で開始するようにすれば、同一位置での加算及び観測が可能となる。
また、図4のように図5の処理でステップF101、F102の処理とステップF103、F104の処理が時間をおかずに連続的に行われることは、そのままでもディスク上の近傍位置で加算及び観測が実行されることになるため、精度の良いサーボゲイン調整が可能となる。
【0056】
また、上記サーボゲイン調整処理例[1]又は[2]を実行するタイミングは多様に考えられる。
まず、ディスク装填時に実行することが適切である。ディスク装填時には、通常、ディスクの管理情報の読み出し等の処理が行われるが、その際にサーボゲイン調整処理を実行する。ディスク装填時にサーボゲイン調整処理を実行することで、個々のディスクに対応した適切なサーボゲイン調整が行われることになる。
【0057】
また、再生中、シーク前後、或いは所定時間経過後などに実行することも考えられる。
本例のサーボゲイン調整処理は、ノイズ成分を無視できるほどの大振幅信号としての調整ソース信号を入力する必要が無く、従ってサーボ安定性を損なわない状態でサーボゲイン調整が実行できるため、再生中やシークなどの動作期間にサーボゲイン調整処理を行っても問題ない。
そこで、例えば再生中であれば、ディスク1から読み出したデータのバッファリングの余裕のあるタイミングで行うことができる。
また、シーク直前、或いはシーク直後のタイミングも、サーボゲイン調整処理の実行タイミングとして好適である。
【0058】
サーボゲインは、機器の温度状態(デバイス、アクチュエータの温度特性によるゲインの変化)、経年変化、ディスク上のトレース位置(半径位置)などに応じて調整することが好ましい。従って、ディスク1に対する動作期間中などであっても、定期的、或いは不定期にサーボゲイン調整処理が実行されることで、装置動作の安定化にとって適切なものとなる。また、温度変化検出、再生データのエラーレート/ジッタの悪化などをトリガとして、サーボゲイン調整処理を行うことも考えられる。
【0059】
6.変形例
本発明は上記実施の形態に限らず、多様な変形例が考えられる。
例えば調整ソース信号生成部42は、アナログ回路で構成しても良く、その場合、A/D変換器11,21の前に置いても、D/A変換器13,23の後に置いても良い。
【0060】
可変ゲイン部46は、デジタル回路内で構成する場合、デジタル演算部(DSP10)内のどこに挿入しても良い。例えばA/D変換器11,21の直後でも良いし、ループ整形フィルタ(サーボ処理部43)の途中でも良い。
また可変ゲイン部46は、アナログ回路で構成しても良い。その場合、A/D変換器11,21の前に置いても、D/A変換器13,23の後に置いても良い。
【0061】
上記例では発生する調整ソース信号の振幅は、SIN(A)、SIA(B)の2とおりとしたが、3とおり以上としてもよい。例えば4通りの振幅で応答波形を測定できたら、それぞれの応答波形の振幅差でゲイン比G0/G1を求め、その平均値を使うという手法が考えられる。
【0062】
また、ループ応答波形RES(A)、RES(B)の振幅の取得に関しては、異常値の場合は捨てることが考えられる。例えば設計値からかけ離れた値としてのループ応答波形の振幅は、何らかの観測エラーとして使用しないことで、精度を向上させる。
また、調整ソース信号SIN(A)、SIA(B)の各出力期間として、ある程度の時間与え、その時間内の応答波形振幅のサンプルを複数観測して平均を取るなどの処理を施すことで、更に演算精度を上げる手法も考えられる。
【0063】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように本発明によれば、1回のサーボゲイン調整に用いる調整ソース信号として2通り以上の振幅の信号をサーボループに加算し、それぞれの振幅の調整ソース信号に対応する応答波形振幅を互いに差し引きしてサーボゲイン調整値の演算に使用するようにしている。このため調整ソース信号と同一周波数のノイズ成分(ディスク起因のノイズなど)をキャンセルし、望むサーボループ応答成分のみを抽出して演算できることになるため、誤差が少ないサーボゲイン調整が実現されるという効果がある。
また、これよって、調整ソース信号として、ノイズ成分を無視できるほどの大振幅信号を入力する必要が無く、従ってサーボ安定性を損なわない状態でサーボゲイン調整が実行できるという効果もある。
【0064】
また、2通り以上の異なる振幅の調整ソース信号の加算とループ応答波形の測定を、ディスク上の全く同じ場所で行えば、ディスク起因のノイズ成分は同様であるため、それぞれの振幅の調整ソース信号に対応する応答波形振幅を互いに差し引きすることで、非常に好適なノイズキャンセルが可能となり、より演算精度を向上させることができる。またディスク上の近傍の場所であっても、ディスク起因のノイズ成分は似通っているため、ノイズキャンセル効果は大きい。
【0065】
また、サーボゲイン調整の際に、算出された調整値と、記憶された過去の調整値との平均値を用いるようにすれば、一時的で急峻なゲイン変動への応答を鈍らせ、安定したループゲイン調整を行うことができる。これもサーボ安定性の維持に好適である。
【0066】
またサーボゲイン調整は、ディスク記録媒体が装填された際や、ディスク記録媒体が装填された後、ディスク記録媒体に対する動作実行期間において行う。
ディスク記録媒体が装填された際にサーボゲイン調整を行うことで、個々のディスクに対して適切なサーボゲイン設定ができるものとなる。
また、上記のようにサーボ安定性が損なわれないため、ディスク記録媒体に対する動作実行期間、例えば再生中やシーク前後などにおいて行うことが問題ないものとなる。
そして、サーボゲイン調整を、ディスク記録再生中、シーク前後などにも、例えば定期的に行うことで、ディスクドライブ装置の温度上昇によるサーボゲインの変化(デバイス、アクチュエータの温度特性によるゲインの変化)に応じて、常にサーボ系を設計ゲインに調整することができる。
また、動作実行期間に例えば定期的にサーボゲイン調整が行われることで、ディスク面内でディスクに起因してサーボゲインが変化する場合にも常にサーボ系を設計ゲインに保つことができる。例えばディスク上の記録済みの領域と未記録の領域でのサーボエラー信号のゲイン変化や、ディスクの場所による反射率等のムラに起因するサーボエラー信号のゲイン変化、さらにはプッシュプル信号によるトラッキングサーボの場合のプッシュプルの振幅変動によるサーボゲインの変化などに対して、サーボ系を設計ゲインに保つことができる。
さらには、動作実行期間に例えば定期的にサーボゲイン調整が行われることは、3スポット法やDPP法(差動プッシュプル法)などの半径方向でサーボエラーのゲインが変わりうるサーボエラー検出方式を採用している場合において、半径方向の移動によりサーボエラーのゲインが変動する分も吸収することができる。
また、ディスク装填時や動作実行期間にサーボゲイン調整が行われることは、デバイスの経年変化によるサーボゲインの変化を吸収することができることにもなる。
【0067】
そして以上のことから、本発明はディスクドライブ装置のサーボ性能を向上させ、これによって記録再生動作を安定化させるという大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のディスクドライブ装置のブロック図である。
【図2】実施の形態のサーボ回路の構成のブロック図である。
【図3】実施の形態のトラッキングサーボ演算部の構成のブロック図である。
【図4】実施の形態の調整ソース信号の説明図である。
【図5】実施の形態のサーボゲイン調整処理のフローチャートである。
【図6】実施の形態の他のサーボゲイン調整処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1 ディスク、10 DSP、11,21 A/D変換器、12 フォーカスサーボ演算部、13,23 D/A変換器、14 フォーカスドライバ、22 トラッキングサーボ演算部、24 トラッキングドライバ、30 メモリ部、41 加算器、42 調整ソース信号生成部、43 サーボ処理部、44 フィルタ部、45 応答波形測定/ゲイン計算部、46 可変ゲイン部、51 ピックアップ、52 スピンドルモータ、53 スレッド機構、54 マトリクス回路、55 リーダ/ライタ回路、56 変復調回路、57 ECCエンコーダ/デコーダ、58 ウォブル回路、59 アドレスデコーダ、60 システムコントローラ、61 サーボ回路、62 スピンドルサーボ回路、63 レーザドライバ、120 AVシステム

Claims (12)

  1. データの書込又は読出のために、ディスク記録媒体に対するレーザ照射及び反射光検出を行うヘッド手段と、
    上記ヘッド手段で得られる反射光からサーボエラー信号を生成するサーボエラー信号生成手段と、
    上記サーボエラー信号に対してゲイン処理を含めた所定の処理を行い、サーボ信号を生成して出力するサーボ信号生成手段と、
    上記サーボ信号生成手段から出力されるサーボ信号に基づいて、上記ヘッド手段のサーボ動作を実行させるサーボ駆動手段と、
    特定周波数の調整ソース信号として、2通り以上の異なる振幅の信号を発生させて上記サーボエラー信号に加算することができる調整ソース信号発生手段と、
    上記調整ソース信号が上記サーボエラー信号に加算されることで生ずるサーボループ応答波形の振幅を観測する観測手段と、
    上記調整ソース信号の2通り以上の各振幅と、上記調整ソース信号の2通り以上の各振幅が上記サーボエラー信号に加算された際のそれぞれ振幅に対応するサーボループ応答波形と、サーボループ特性値とを用いた演算を行ってサーボループゲインの調整値を算出し、上記サーボ信号生成手段の上記ゲイン処理におけるゲイン値を調整するサーボゲイン調整手段と、
    を備えたことを特徴とするディスクドライブ装置。
  2. 上記サーボゲイン調整手段は、上記調整ソース信号の2通り以上の各振幅が上記サーボエラー信号に加算された際の、それぞれ振幅に対応して観測された各サーボループ応答波形を、互いに差し引きする演算を行うことを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。
  3. 2通り以上の異なる振幅の各調整ソース信号の上記サーボエラー信号への加算、及びサーボループ応答波形の観測を、ディスク記録媒体上の同一箇所、又は近傍場所で実行させる制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。
  4. 上記サーボゲイン調整手段で算出された調整値を記憶する記憶手段を備え、
    上記サーボゲイン調整手段は、算出された調整値と、上記記憶手段に記憶された過去の調整値との平均値を算出し、平均値により上記サーボ信号生成手段の上記ゲイン処理におけるゲイン値を調整することを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。
  5. ディスク記録媒体が装填された際に、上記調整ソース信号発生手段、上記観測手段、上記サーボゲイン調整手段により、上記ゲイン処理におけるゲイン値を調整させる制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。
  6. ディスク記録媒体が装填された後、ディスク記録媒体に対する動作実行期間において、所定タイミングで上記調整ソース信号発生手段、上記観測手段、上記サーボゲイン調整手段により、上記ゲイン処理におけるゲイン値を調整させる制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。
  7. 特定周波数の調整ソース信号として、2通り以上の異なる振幅の信号を発生させて上記サーボエラー信号に加算するとともに、各振幅の調整ソース信号が上記サーボエラー信号に加算されることで生ずるサーボループ応答波形の振幅をそれぞれ観測し、
    上記調整ソース信号の2通り以上の各振幅と、上記調整ソース信号の2通り以上の各振幅が上記サーボエラー信号に加算された際のそれぞれ振幅に対応するサーボループ応答波形と、サーボループ特性値とを用いた演算を行ってサーボループゲインの調整値を算出し、
    上記算出された調整値を用いて、サーボゲインを調整することを特徴とするサーボゲイン調整方法。
  8. 上記調整値を算出する際の演算には、上記調整ソース信号の2通り以上の各振幅が上記サーボエラー信号に加算された際のそれぞれ振幅に対応して観測された各サーボループ応答波形を、互いに差し引きする演算が含まれることを特徴とする請求項7に記載のサーボゲイン調整方法。
  9. 2通り以上の異なる振幅の各調整ソース信号の上記サーボエラー信号への加算、及びサーボループ応答波形の観測を、ディスク記録媒体上の同一箇所、又は近傍場所で実行することを特徴とする請求項7に記載のサーボゲイン調整方法。
  10. 算出された調整値を記憶するとともに、
    サーボゲイン調整の際には、上記算出された調整値と、記憶された過去の調整値との平均値を算出し、該平均値によりサーボゲインを調整することを特徴とする請求項7に記載のサーボゲイン調整方法。
  11. ディスク記録媒体が装填された際に、上記調整ソース信号の発生及びサーボエラー信号への加算、上記サーボループ応答波形の観測、上記調整値の算出を実行して、サーボゲインの調整を行うことを特徴とする請求項7に記載のサーボゲイン調整方法。
  12. ディスク記録媒体が装填された後、ディスク記録媒体に対する動作実行期間において、所定タイミングで、上記調整ソース信号の発生及びサーボエラー信号への加算、上記サーボループ応答波形の観測、上記調整値の算出を実行して、サーボゲインの調整を行うことを特徴とする請求項7に記載のサーボゲイン調整方法。
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