JP2004094065A - 騒音低減装置および排気装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】騒音低減装置またはそれを含む排気装置であって、構成が簡単で既設のプラントにも容易に施工できるもの、さらには、小規模な構成でありながら低周波の騒音をも効果的に低減できるもの、を提供する。
【解決手段】排気塔4における上向き開口部5から発せられる騒音のうち当該開口部5の周囲を回折して地上に伝播するものを低減すべく、当該開口部5の周囲に音圧低減手段を取り付ける。音圧低減手段としてはたとえば、音響管12など共鳴構造のものを採用するのがよい。
【選択図】 図1
【解決手段】排気塔4における上向き開口部5から発せられる騒音のうち当該開口部5の周囲を回折して地上に伝播するものを低減すべく、当該開口部5の周囲に音圧低減手段を取り付ける。音圧低減手段としてはたとえば、音響管12など共鳴構造のものを採用するのがよい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
請求項に係る発明は、排気塔(煙突)から発せられる騒音を、地上に達しにくいように効果的に低減できる騒音低減装置、およびそれを含む排気装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
騒音の発生源を有する工場では、敷地境界における騒音が一定の規制値以下に抑制されることが求められる。そのため、敷地境界に沿って防音壁を設けることを含め、種々の騒音低減策が施される。
【0003】
一般に、発生する騒音が排気通路や排気塔(煙突)の煙道を通ったうえその出口(開口部)から外に拡がるガスタービン等の排気装置においては、従来、消音または吸音のための処置がそのような排気の通過部分に施されている。排気の通過部分において騒音を低減しておけば、排気塔の開口部から出て敷地境界に達する騒音のレベルも低くなる、という考えである。特開平11−159347号や特公昭58−2331号の各公報に示された例においても、排気通路や排気塔の内部に消音器や吸音構造が設けられ、またはそれらの壁そのものに同様の処置がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ガスタービンのようなエネルギープラントに関して上記のように排気の通過部分に消音器や吸音構造を設ける場合、つぎのような課題がともない、それぞれ相当に高いコストが必要になる。
【0005】
イ) ガスタービンのように排気温度が高いと、排気の通過部分に設ける物は、十分な耐熱性をもたせるなど経年変化を起こしにくい構造にする必要があり、消音または吸音のための構成を特殊なものにせざるを得ない。
ロ) 設置ずみのプラントについて排気塔からの騒音が問題になった場合、再度の騒音対策を施すのが容易でない。できあがった排気通路の内部等に再び消音器や吸音構造を設けたり、排気塔をさらに上に伸ばしたりするには、かなり大がかりな工事が必要になる。また、敷地境界に設けた防音壁を全周的に高くすることは、相当のコストを要するものの、一般に、十分な騒音低減効果をもたらしがたい。
ハ) 排気塔からは低周波音が出やすいが、低周波の騒音を消音器や吸音構造によって十分に低減するには、かなり大規模な構成が必要になる。
【0006】
請求項に係る発明は、騒音低減装置またはそれを含む排気装置であって、構成が簡単で既設のプラントにも容易に施工できるもの、さらには、小規模な構成でありながら低周波の騒音をも効果的に低減できるもの、を提供するためにしたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した騒音低減装置は、排気塔における上向き開口部から発せられる騒音のうち当該開口部の周囲(周縁部)を回折して地上に伝播するものを低減すべく、当該開口部の周囲に取り付ける音圧低減手段を含めて構成したものである。
【0008】
この騒音低減装置は、排気塔における上向き開口部の周囲に音圧低減手段を取り付けるので、同手段により、当該開口部から出てその周囲を回折する騒音の音圧レベルを下げることができる。排気塔から出て地上に達する騒音は、その開口部の周囲を回折して下方へ進むものであるから、上記のように取り付ける音圧低減手段によって、地上の、たとえば工場の敷地境界における騒音レベルが低くなる。つまりこの騒音低減装置によれば、排気塔の上向き開口部から出る騒音のすべてを均一に低減できるわけではないが、上記のように回折する騒音を低減することにより、たとえば背の高い防音壁をめぐらさなくとも、地上での騒音に関する課題を効果的に解決できることになる。
【0009】
音圧低減手段を、排気の通過部分にではなく排気塔の開口部の周囲に設けるので、同手段が排気から受ける熱的な影響は軽微である。つまり、この発明の騒音低減装置は、材料または構造の面で高度な耐熱性を有していなくとも十分な耐用性を発揮できることになる。
また、この騒音低減装置なら、設置ずみのプラント等に対しても、敷地境界等での騒音低減を低コストで容易に実現できる。排気塔における上向き開口部の外側に音圧低減手段を取り付ければ足り、排気通路の内側に消音機器を設ける等の大がかりな工事は不要だからである。
【0010】
請求項2に記載の騒音低減装置は、とくに、上記の音圧低減手段を共鳴構造のものとすることを特徴とする。
【0011】
共鳴構造の音圧低減手段は、共鳴周波数を適切に設定しさえすれば、たとえば低周波音を効果的に減衰させることも困難でない。しかも、低周波音を低減するように共鳴周波数を設定するに関しても、騒音低減装置が構造的に複雑化したり特別な重量物になったりすることはない。
共鳴構造の音圧低減手段は一般に周波数依存性が強く、したがって特定の周波数帯にある音に対してのみ音圧低減の効果を発揮することが多い。しかし、ガスタービン等に排気通路および排気塔が続いた排気系においては、排気装置ごとに特定の周波数の騒音が卓越して発生するのが通常であるため、共鳴周波数の設定を適切に行えば、この請求項の装置が好ましい騒音低減効果を発揮できる。
【0012】
請求項3に記載の騒音低減装置はとくに、共鳴構造の音圧低減手段を、上下に延びた空間を有していて上端部に開口をもつ音響管または共鳴器(両者を併用する場合を含む)によって構成したことを特徴とする。
【0013】
上下に延びた空間を有していて上端部に開口をもつこのような音響管または共鳴器は、簡単な構造でありながらも、共鳴周波数の設定を容易に実現する。つまり、当該空間の長さを、たとえば排気塔の軸方向に沿った上下の向きに適宜定めることにより、任意に共鳴周波数を設定でき、もって上述の(請求項2について記載した)機能を発揮する。上下に延びた空間を有することから音圧低減手段の上下方向寸法が相当の大きさになるが、上向きに長く延びた排気塔の開口部まわりにそのような音圧低減手段を設けるのであるから、取り付けのスペース等に関する不都合は生じない。
【0014】
請求項4に記載した騒音低減装置はとくに、上記の音響管または共鳴器を、共鳴周波数の異なるものを含めて複数配置したことを特徴とする。
【0015】
音響管や共鳴器のような共鳴構造の音圧低減手段は、上記したとおり一般的には周波数依存性が強いものである。しかし、そのような音響管や共鳴器を、この発明のように共鳴周波数の異なるものを含めて複数配置するなら、広い周波数帯に及ぶ騒音が発生する場合にもすぐれた減衰効果がもたらされ得る。そのため、この発明の装置は、特定の周波数帯に偏らない騒音が発生する排気塔に取り付けるのに好適な、実用的な騒音低減装置であるといえる。
【0016】
請求項5に記載の騒音低減装置は、上記の音圧低減手段を、吸音構造のものを含めて構成したことを特徴とする。吸音構造の音圧低減手段としては、グラスウールやロックウール、またはアルミニウム等の繊維が圧縮されてなる金属繊維板など、空孔を多く有するために通気性のある多孔質吸音材を使用する。このような吸音構造のものを単独で、または上記した共鳴構造のものとともに音圧低減手段とするのである。
【0017】
空孔を有する多孔質吸音材は、空孔通での空気の運動に対して摩擦抵抗が生じるとともに吸音材自体も振動するため、音のエネルギーの一部が熱エネルギーに変換されて吸音効果が生じる。そうした吸音効果によって中〜高周波数の騒音を特定周波数帯に限ることなく減衰させるので、本請求項の装置は、多孔質吸音材を充填すれば足りるという簡単なものでありながら、広い周波数帯の騒音に対して低減効果を発揮できる。
【0018】
請求項6に記載の騒音低減装置は、上記した吸音構造の音圧低減手段として、上部に多孔質吸音材を有していてその下部に背後空気層を有するものを使用することを特徴とする。
【0019】
多孔質吸音材の背後に空気層(背後空気層)があると、同吸音材の吸音特性は低音側に遷移し、中〜低周波数の騒音をも効果的に吸音するようになる。したがって、上記のように上部に多孔質吸音材を有していて下部に背後空気層を有する本請求項の装置は、背後空気層の厚さ(深さすなわち空気層長さ)等を適宜に設定することにより、吸音材が本来的に吸音する周波数帯を外れた低周波寄りの騒音までも低減できることになる。なお、上部の多孔質吸音材から下部の背後空気層にかけての寸法が大きくなるが、上向きに延びた排気塔の開口部の周囲にそれらを設けるのであるから、前記と同様、取り付けスペース等に関する不都合は生じない。
【0020】
請求項7に記載の騒音低減装置は、上記の背後空気層を、空気層長さの異なるものを含めて複数配置したことを特徴とする。
【0021】
多孔質吸音材とその背後の空気層とによる騒音低減の効果は、共鳴構造の音圧低減手段による場合よりもかなり広い周波数帯に及ぶが、吸音材の性状や背後空気層の長さ等によっては特定の周波数帯に限定される場合がある。そのため、この発明にしたがって空気層長さの異なるものを含む複数の背後空気層を配置すれば、騒音が広い周波数帯に及ぶ場合にもすぐれた減衰効果が確保される。
【0022】
請求項8に記載した騒音低減装置は、請求項4または7にしたがい異なるものを含めて複数配置した音響管もしくは共鳴器または背後空気層を、排気塔における上向き開口部を囲むよう同心状(円形とは限らない)に複数列配置し、各列(同心状に配置された各列)においては、それら音響管もしくは共鳴器または背後空気層の上下への長さを同一にしたことを特徴とする。
【0023】
この騒音低減装置は、音響管・共鳴器・背後空気層のうちいずれかを、排気塔の開口部を囲むよう同心状に複数配置したもので、同心状の各列においてはそれらの上下長さを同一にして音圧低減をなす周波数帯を同一にするとともに、異なる各列においては、請求項4または7のとおり周波数帯が相違するようにしている。つまり、上記音響管等のいずれかを、排気塔の開口部を中心に軸対称的であって異種の多重構造をなすように配置したことになる。こうした騒音低減装置なら、前記のように広い周波数帯に及ぶ騒音を低減できることに加え、排気塔から周囲のどの方向に発せられる騒音をも均等に低減できるという利点がもたらされる。
【0024】
請求項9に記載した排気装置は、上記したいずれかの騒音低減装置を上記開口部の周囲に設けるとともに、上記の排気塔およびそれに至る排気通路の内部および壁(排気塔および排気通路の壁)には騒音低減のための手段を配置していないことを特徴とする。
【0025】
この排気装置は、上述の騒音低減装置を上記開口部の周囲に設けることから、当該開口部から出てその周囲を回折する騒音の音圧レベルを下げ、もって地上に達する騒音を効果的に低減することができる。
また、排気塔やそれに至る排気通路の内部および壁には騒音低減のための手段を配置しないので、つぎのような利点もある。すなわち、a)高温の排気にさらされても十分な耐用性を有するような特殊な構造または材料を排気装置のうちに必要とはしない。b)プラント(ガスタービン等)の設置後に騒音低減の機能を強化または整備する必要が生じた場合、内部の手段を取り出したり壁を崩したりすることなく短期間で簡単に必要な対応ができる。c)排気通路の内部等において排気の流れを乱すものがないので、プラント本来の機能に全くロスを生じさせないうえ、排気流の乱れにともなう二次的な騒音の発生を招くこともない。
【0026】
【発明の実施の形態】
発明の実施についての一形態を図1〜図3に示す。まず図1(a)は、ガスタービン1とその排気装置2の概要を示す正面図であり、同(b)は、排気装置2に付設した騒音低減装置11の概略構造を示す縦断面図である。図2(a)・(b)は、騒音低減装置11について想定した各部寸法と配置位置とをそれぞれ示す斜視図および側面図である。また図3(a)・(b)は、図2の騒音低減装置11による騒音低減の効果を示す線図である。
【0027】
図1(a)に示すように、ガスタービン1には、水平に延びた排気通路3と、上向きに鉛直に延びた円筒形状の排気塔4とからなる排気装置2が接続されている。騒音をともなう排気は、排気装置2の内部を煙道として通過し、排気塔4の上端にある上向きの開口部5から排出される。
【0028】
排気装置2において排気を通すための壁とその内部とには何らの騒音対策も施していないが、排気塔4の開口部5の周囲には、図1(b)のように騒音低減装置11を取り付けている。騒音低減装置11は、上下に長い有底の空間を含む音響管12を音圧低減手段とし、開口部5を囲むように配置したものである。音響管12は、円環状の側壁12aと最下部の底板12bとによって開口部5の周囲に環状の空間を形成し、開放部12cにおいてその上端を開放したものである。こうした空間においては、音響管12の共鳴周波数に近い周波数の音に対し、図1(b)中に破線で示すような1次モード(または図示しない他の低次モード)の共鳴が生じやすく、それによって上端の開放部12cに音圧の極小部Aが発生する。
【0029】
このような音響管12が排気塔4の開口部5の周囲にあると、排気とともに開口部5を出て、開口部5の周縁部で回折したうえ地上に向かおうとする騒音について、上記のような周波数帯にある音の音圧が効果的に低減される。地上に向かおうとする騒音によって音響管12の内部で共鳴が起き、開放部12cにおける音圧が極小化されるからである。そのため、図示のように騒音低減装置11を設けた排気装置2においては、排気塔4の開口部5から上向きに出る騒音の音圧は高いとしても、下方へ回折する騒音の音圧は下げられ、地表面上の(たとえば工場の敷地境界外の)観測点Xにおける騒音のレベルは十分に低くなる。
【0030】
音響管12を含む具体的な騒音低減装置11を想定し、境界要素法に基づく数値解析によってその効果を算出した例を、図2および図3にしたがい説明する。想定した騒音低減装置11は図2(a)のように、音響管12として、外径1.6m・内径1.0m・高さ0.7mであって薄い仕切板12dで周方向に30°ごとに分けた空間(合計12個)を形成したものである。そうした装置11を、図2(b)のように、地上高さ10mの位置にある排気塔4の開口部5の周囲に取り付けるものとする。
【0031】
そのような想定した騒音低減装置11による周波数(1/3オクターブ周波数)別の騒音低減効果(dB)は、数値解析の結果、図3(a)のように算出される。なお、ここにいう騒音低減効果とは、騒音低減装置11がない場合とある場合との騒音レベル(dB)の差、つまり装置11を取り付けることによって低減するレベル値(dB)をいう。この結果から、160Hzまたは200Hzを中心とする周波数帯において5dBを超える騒音低減効果があると予想される。また、排気塔4から観測点Xまでの距離D(図2(b))を変化させた場合、160Hzの音について騒音低減効果(dB)を算出すると、図3(b)のようになる。排気塔4より少なくとも20mの範囲内では、地上において5dB前後の騒音低減効果が期待できるといえる。なお、音響管12は、その長さ(深さ)が長いほど共鳴周波数が低くなり、したがって低周波の騒音を低減するのに適するものとなる。
【0032】
図4は、音響管を含む騒音低減装置について図1等とは別の例を示す模式図である。すなわち、図4(a)・(b)の各例は、排気塔4(図1を参照。以下同様)における開口部5の周囲に同心状に複数列(多重)の音響管を設けるものである。
【0033】
たとえば図4(a)の騒音低減装置21は、開口部5を囲むように3重に音響管22・23・24を配置した例である。上端の開放部から底部までの長さを、周方向に並ぶ各列内においては等しく、また開口部5を中心として半径の異なる列の間では互いに異なるように形成している。つまり、半径の等しい各列においては共鳴周波数が同一でありながら、半径の異なる別の列においてはそれが相違するように、3種類の音響管22・23・24を配置している。
このような騒音低減装置21なら、騒音低減効果が高く表れる周波数(つまり共鳴周波数)を複数設定することができるので、広い範囲の周波数帯において騒音を効果的に低減することができる。また、音響管22・23・24の配置が周方向には均一であるから、排気塔から周囲360°のどの方向に発せられる騒音をも均等に低減することができる。
【0034】
図4(b)の騒音低減装置26は、図4(a)の騒音低減装置21と同様、排気塔4における開口部5の周囲に、長さの異なる複数種類(3種)の音響管27・28・29を同心状に複数列(3列)配置したものである。ただし、装置21では外側になるほど短い音響管を配置して上端の開放部を同じ高さに揃えた(開口部5とも同じ高さにした)のに対し、この装置26では、外側になるほど長い音響管を配置して上端の開放部を高い位置に設けている。こうした騒音低減装置26は、装置21の場合と同様、広い周波数帯にわたり周囲の全方向への騒音を低減できるほか、形状的な特徴から、騒音の放射指向性を制限し、回折によって騒音が地上へ到達するのをさらに効果的に抑制できるという効果をもたらす。
【0035】
図5には、共鳴器を利用する騒音低減装置について実施の形態を示す。
たとえば図5(a)の騒音低減装置31は、共鳴器(いわゆるヘルムホルツの共鳴器)32を排気塔4の上向き開口部5の周囲に配置したものである。共鳴器32は、頸部32aとそれに続く空洞部32bとを有するもので、環状に複数個を並べて設けている。共鳴周波数に近い周波数の音が各共鳴器32の頸部32a付近に当たると、この入射波によって共鳴器32の内部で共鳴が生じ、入射した音波に対して頸部32aの空気が逆位相で振動し、もって入射波が打ち消され、頸部32aにおいて音圧が極小化される。したがって、図5(a)の騒音低減装置32を備える排気塔4においては、排気塔4から出る騒音のうち開口部5の周囲を回折して地上に向かうものが共鳴器32の作用で音圧を低減される。なお、空洞部32bが長いほど共鳴周波数(つまり音圧低減効果が顕著になる周波数)を小さく(つまり低音側に)することができる。
【0036】
図5(b)・(c)に示す騒音低減装置41・46は、開口部5の周囲に同心状に複数列(多重)の共鳴器を設けたものである。
まず図5(b)の装置41では、開口部5を囲むように3重に共鳴器42・43・44を配置している。頸部の上端から空洞部の底部までの長さは、周方向に並ぶ各列内の共鳴器42・43・44については等しく、また開口部5を中心として半径の異なる列の間では互いに異なる。したがって、図4(a)の例と同様に、半径の等しい各列においては共鳴周波数が同一でありながら、半径の異なる別の列においてはそれが相違する。このような装置41によると、広い範囲の周波数にわたって騒音を効果的に低減できるとともに、排気塔から周囲360°のどの方向に発せられる騒音をも均等に低減することができる。
【0037】
図5(c)の装置46は、長さの異なる複数種類(3種)の共鳴器47・48・49を開口部5の周囲に同心状に3列配置した点では図5(a)の装置41と同じだが、つぎの点でそれと相違する。すなわち、装置41では外側になるほど短い共鳴器を配置して頸部の上端を同じ高さに揃えた(開口部5とも同じ高さにした)のに対し、この装置46では、外側になるほど長い共鳴器を配置して頸部の上端を高い位置に設けている。こうした騒音低減装置46には、広い周波数帯にわたって周囲の全方向への騒音を低減できるという装置41と同様の効果に加え、形状に基づいて騒音の放射指向を制限し、地上の観測点への騒音の到達を抑制できるという効果もある。
なお、図5の各例において各共鳴器に設けた頸部の方向(中心線の方向)は、図示のように鉛直方向(排気塔4と平行)に限るものではない。上側を開口部5寄りまたはその反対側に傾斜させたり、または水平方向(開口部5寄り)に向かせたりするのもよい。
【0038】
つづく図6には、吸音構造を採用してなる騒音低減装置を例示する。
まず図6(a)の騒音低減装置51は、上端を開放部としながら底部を板で閉じた円筒状ケーシング52を排気塔4の開口部5の外側に取り付け、そのケーシング52の内部(排気塔4の外壁との間)に多孔質吸音材52Aを充填したものである。多孔質吸音材52Aとしては耐候性にすぐれたロックウールを使用し、ケーシング52内の全体に充填している。開放された上端部に音が達すると、振動する空気と多孔質吸音材52Aとの間の摩擦によって音のエネルギーの一部が熱エネルギーに変換され、中〜高周波の音について吸音効果が生じる。それにより、開口部5を出たうえ地上へ向けて回折する騒音が低減される。
【0039】
図6(b)の騒音低減装置54は、図6(a)の装置51におけるものと同様の円筒状ケーシング55を開口部5の周囲に配置したうえ、多孔質吸音材55Aをその上半部(開放部寄りの過半部分)のみに充填したものである。ケーシング55内の下部には何も充填していないので、吸音材55Aの下には、ケーシング55の底部の板に至るまで背後空気層55Bを設けたことになる。多孔質吸音材55Aにこのように背後空気層55Bを付随させると、吸音効果が中〜低音域にまで拡大する。したがって、開口部5を出て地上へ向かう騒音が、より低周波のものを含めて低減される効果が生じる。
【0040】
図6(c)の騒音低減装置57は、図6(b)の装置と同じ円筒状ケーシング58を使用しながらも、充填する多孔質吸音材58Aをさらに薄くして、その下面からケーシング58の底部板までの背後空気層58Bの長さが吸音材58A(の厚さ)を上回るようにしたものである。背後空気層58Bが長いほど、低周波の騒音を低減するうえで効果的だからである。なお、この例のように薄くしても密度の均一な分布と機械的強度とを保ちやすい多孔質吸音材58Aとして、アルミニウム繊維等を押し固めてなる金属繊維板が好ましい。
【0041】
図7は、吸音材を含む騒音低減装置について他の例を示す図面である。つまり図7(a)・(b)の騒音低減装置61・66は、排気塔4の開口部5の周囲に同心状に複数列の円筒状ケーシング62・63・64または67・68・69を配置し、各ケーシングの内部に、図6(c)の例と同じく多孔質吸音材Aの充填部と背後空気層Bとを上下に設けたものである。吸音材Aの充填部の厚さはどのケーシングについても同一であるが、背後空気層B(および各ケーシング)の上下方向長さは、周方向に並ぶ各列内では等しく、また半径の異なる各列間では互いに相違する。つまり、半径の等しい各列においては吸音する周波数帯に差がなく、半径の異なる別の列においてはその差があるようにしている。このような装置61・66においては、長さの異なる背後空気層Bが吸音材Aとともに存在するため、広い周波数帯にわたる吸音作用による好ましい騒音低減効果がもたらされる。また、そのような効果が、排気塔4の周囲のいずれの方向にも均一に表れる。
【0042】
なお、図7(a)の騒音低減装置61では、外側になるほど短いケーシングを配置して上端の開放部を同じ高さに(開口部5とも同じ高さに)揃えている。その一方、図7(b)の装置66では、外側のものほど長くなるように複数列のケーシング67・68・69を配置して、外側ほど上端の開放部を高い位置に設けている。後者の騒音低減装置66の場合は、上記した効果に加え、形状的な特徴に基づいて、騒音の放射指向を制限して地上の観測点への騒音の到達を抑制するという効果もある。
【0043】
図8に示す騒音低減装置71・74は、図5の例のように共鳴器を利用するとともに図6の例で用いた吸音材をも同時に使用するものである。すなわち、たとえば図8(a)のように、頸部72aと空洞部72bとを有する共鳴器72を排気塔4の開口部5の回りに取り付け、その頸部72aを囲むネック部72cを、金属繊維板などの多孔質吸音材によって形成する。このようにした騒音低減装置71によれば、開口部5を出たうえ回折して地上に向かうはずの騒音が吸音材の作用と共鳴器の作用とによって効果的に低減される。
【0044】
図8(b)の騒音低減装置74は、上記のように吸音材を含めた環状の共鳴器75・76・77を、図5(b)の例と同じく、開口部5を囲むよう環状に3重に配置した例である。各共鳴器75・76・77の上端から空洞部の底部までの長さは、周方向に並ぶ各列内では等しく、また半径の異なる列間では互いに相違する。したがって、このような装置74によると、広い周波数帯にわたって騒音が効果的に低減され、またそのような効果が、排気塔4の周囲のいずれの方向にも均一にもたらされる。図示は省略したが、図8(b)の例と同様に吸音材を付けた共鳴器を環状かつ複数条に配置するとともに、図5(c)に倣って外側のものほど上端部が高くなるようにすることも、騒音低減について好ましい効果をもたらす。
【0045】
ところで、以上の各例は排気塔4の開口部5が円形であるものとして説明したが、開口部5は、矩形(長方形または正方形)であっても、またはそれ以外の多角形であっても差し支えない。開口部5の外周部と相似形をなすような一つまたは複数の筒体を用いて(さらには、たとえば多角形の各辺ごとに仕切板で区切って)開口部5の周囲に音響管や共鳴器、またはケーシングを形成すれば、上記各例に準じた騒音低減装置を構成できるからである。
また、上には、ガスタービンからの排気に関する排気装置および騒音低減装置について紹介したが、排気塔に接続される騒音発生源であれば、ガスタービンに限らず種々の装置やプラントにおいて騒音を低減することができる。
【0046】
なお、上に示した各騒音低減装置について耐候性のすぐれたものを構成するには、ステンレス鋼など耐食性の高い金属によって音響管等の構成部品を形成するとともに、雨水の溜まりやすい底部などに水抜き用の小孔を設けるのがよい。
【0047】
【発明の効果】
請求項1に記載した騒音低減装置によれば、排気塔の上向き開口部から出る騒音のうち地上に達するものを効果的に低減することができる。材料や構造に高度な耐熱性をもたせる必要がない点や、設置ずみのプラント等に対する騒音低減を容易に行える点にもメリットがある。
請求項2に記載の騒音低減装置によると、低周波の騒音であっても効果的に減衰させることができる。請求項3に記載の騒音低減装置なら、簡単な構造でありながら共鳴周波数の設定が容易であり、低周波の騒音の低減をとくに容易に行える。取り付けスペース等に関して困難が生じない。また、請求項4の騒音低減装置によれば、広い周波数帯に及ぶ騒音が発生する場合にもすぐれた効果が発揮される。
【0048】
請求項5に記載した騒音低減装置によれば、構造が簡単でありながら、中〜高周波のものを中心に、広い周波数帯の騒音に対して低減効果が発揮される。請求項6に記載の騒音低減装置なら、さらに低周波寄りの騒音までも低減できる。取り付けスペース等に関する困難が付随しないという利点もある。また、請求項7の騒音低減装置なら、騒音が広い周波数帯に及ぶ場合にもすぐれた効果が確保される。
請求項8に記載の騒音低減装置では、広い周波数帯に及ぶ騒音を低減できるうえ、排気塔から周囲のどの方向に発せられる騒音をも均等に低減できるという利点がある。
【0049】
請求項9に記載した排気装置によれば、地上に達する騒音を効果的に低減できることに加え、a)高温の排気にさらされても十分な耐用性を有するような特殊な構造や材料を排気装置のうちに必要とはしない、b)プラントの設置後に騒音低減の機能を強化または整備することも容易である、c)プラント本来の機能に全くロスを生じさせないうえ、排気流の乱れにともなう二次的な騒音の発生を招くこともない−といった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施について一形態を示す図であって、図1(a)は、ガスタービン1とその排気装置2の概要を示す正面図、同(b)は、排気装置2に付設した音響管型の騒音低減装置11について概略構造を示す縦断面図である。
【図2】図2(a)・(b)は、図1の騒音低減装置11について具体的に想定した各部寸法と配置位置とをそれぞれ示す斜視図および側面図である。
【図3】図3(a)・(b)のそれぞれは、図2の騒音低減装置11による騒音低減の効果を示す線図である。
【図4】図4(a)・(b)のそれぞれは騒音低減装置21・26の縦断面図で、発明の実施について上記とは別の形態を示す模式図である。
【図5】図5(a)・(b)・(c)のそれぞれは、共鳴器を利用する騒音低減装置31・41・46の縦断面図であって、発明の実施についてさらに別の形態を示すものである。
【図6】図6(a)・(b)・(c)のそれぞれは、吸音構造を利用する騒音低減装置51・54・57の縦断面図であって、発明の実施についてさらに別の形態を示すものである。
【図7】図7(a)・(b)のそれぞれは、吸音構造を含む騒音低減装置61・66の縦断面図であって、発明の実施についてさらに別の形態を示すものである。
【図8】図8(a)・(b)のそれぞれは、吸音構造とともに共鳴器を利用する騒音低減装置71・74の縦断面図であって、発明の実施についてさらに別の形態を示すものである。
【符号の説明】
2 排気装置
4 排気塔
5 開口部
11・21・26・31・41・46・51・54・57・61・66・71・74 騒音低減装置
12・22・23・24・27・28・29 音響管
32・42・43・44・47・48・49 共鳴器
52A・55A・58A・A 多孔質吸音材
55B・58B・B 背後空気層
【発明の属する技術分野】
請求項に係る発明は、排気塔(煙突)から発せられる騒音を、地上に達しにくいように効果的に低減できる騒音低減装置、およびそれを含む排気装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
騒音の発生源を有する工場では、敷地境界における騒音が一定の規制値以下に抑制されることが求められる。そのため、敷地境界に沿って防音壁を設けることを含め、種々の騒音低減策が施される。
【0003】
一般に、発生する騒音が排気通路や排気塔(煙突)の煙道を通ったうえその出口(開口部)から外に拡がるガスタービン等の排気装置においては、従来、消音または吸音のための処置がそのような排気の通過部分に施されている。排気の通過部分において騒音を低減しておけば、排気塔の開口部から出て敷地境界に達する騒音のレベルも低くなる、という考えである。特開平11−159347号や特公昭58−2331号の各公報に示された例においても、排気通路や排気塔の内部に消音器や吸音構造が設けられ、またはそれらの壁そのものに同様の処置がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ガスタービンのようなエネルギープラントに関して上記のように排気の通過部分に消音器や吸音構造を設ける場合、つぎのような課題がともない、それぞれ相当に高いコストが必要になる。
【0005】
イ) ガスタービンのように排気温度が高いと、排気の通過部分に設ける物は、十分な耐熱性をもたせるなど経年変化を起こしにくい構造にする必要があり、消音または吸音のための構成を特殊なものにせざるを得ない。
ロ) 設置ずみのプラントについて排気塔からの騒音が問題になった場合、再度の騒音対策を施すのが容易でない。できあがった排気通路の内部等に再び消音器や吸音構造を設けたり、排気塔をさらに上に伸ばしたりするには、かなり大がかりな工事が必要になる。また、敷地境界に設けた防音壁を全周的に高くすることは、相当のコストを要するものの、一般に、十分な騒音低減効果をもたらしがたい。
ハ) 排気塔からは低周波音が出やすいが、低周波の騒音を消音器や吸音構造によって十分に低減するには、かなり大規模な構成が必要になる。
【0006】
請求項に係る発明は、騒音低減装置またはそれを含む排気装置であって、構成が簡単で既設のプラントにも容易に施工できるもの、さらには、小規模な構成でありながら低周波の騒音をも効果的に低減できるもの、を提供するためにしたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した騒音低減装置は、排気塔における上向き開口部から発せられる騒音のうち当該開口部の周囲(周縁部)を回折して地上に伝播するものを低減すべく、当該開口部の周囲に取り付ける音圧低減手段を含めて構成したものである。
【0008】
この騒音低減装置は、排気塔における上向き開口部の周囲に音圧低減手段を取り付けるので、同手段により、当該開口部から出てその周囲を回折する騒音の音圧レベルを下げることができる。排気塔から出て地上に達する騒音は、その開口部の周囲を回折して下方へ進むものであるから、上記のように取り付ける音圧低減手段によって、地上の、たとえば工場の敷地境界における騒音レベルが低くなる。つまりこの騒音低減装置によれば、排気塔の上向き開口部から出る騒音のすべてを均一に低減できるわけではないが、上記のように回折する騒音を低減することにより、たとえば背の高い防音壁をめぐらさなくとも、地上での騒音に関する課題を効果的に解決できることになる。
【0009】
音圧低減手段を、排気の通過部分にではなく排気塔の開口部の周囲に設けるので、同手段が排気から受ける熱的な影響は軽微である。つまり、この発明の騒音低減装置は、材料または構造の面で高度な耐熱性を有していなくとも十分な耐用性を発揮できることになる。
また、この騒音低減装置なら、設置ずみのプラント等に対しても、敷地境界等での騒音低減を低コストで容易に実現できる。排気塔における上向き開口部の外側に音圧低減手段を取り付ければ足り、排気通路の内側に消音機器を設ける等の大がかりな工事は不要だからである。
【0010】
請求項2に記載の騒音低減装置は、とくに、上記の音圧低減手段を共鳴構造のものとすることを特徴とする。
【0011】
共鳴構造の音圧低減手段は、共鳴周波数を適切に設定しさえすれば、たとえば低周波音を効果的に減衰させることも困難でない。しかも、低周波音を低減するように共鳴周波数を設定するに関しても、騒音低減装置が構造的に複雑化したり特別な重量物になったりすることはない。
共鳴構造の音圧低減手段は一般に周波数依存性が強く、したがって特定の周波数帯にある音に対してのみ音圧低減の効果を発揮することが多い。しかし、ガスタービン等に排気通路および排気塔が続いた排気系においては、排気装置ごとに特定の周波数の騒音が卓越して発生するのが通常であるため、共鳴周波数の設定を適切に行えば、この請求項の装置が好ましい騒音低減効果を発揮できる。
【0012】
請求項3に記載の騒音低減装置はとくに、共鳴構造の音圧低減手段を、上下に延びた空間を有していて上端部に開口をもつ音響管または共鳴器(両者を併用する場合を含む)によって構成したことを特徴とする。
【0013】
上下に延びた空間を有していて上端部に開口をもつこのような音響管または共鳴器は、簡単な構造でありながらも、共鳴周波数の設定を容易に実現する。つまり、当該空間の長さを、たとえば排気塔の軸方向に沿った上下の向きに適宜定めることにより、任意に共鳴周波数を設定でき、もって上述の(請求項2について記載した)機能を発揮する。上下に延びた空間を有することから音圧低減手段の上下方向寸法が相当の大きさになるが、上向きに長く延びた排気塔の開口部まわりにそのような音圧低減手段を設けるのであるから、取り付けのスペース等に関する不都合は生じない。
【0014】
請求項4に記載した騒音低減装置はとくに、上記の音響管または共鳴器を、共鳴周波数の異なるものを含めて複数配置したことを特徴とする。
【0015】
音響管や共鳴器のような共鳴構造の音圧低減手段は、上記したとおり一般的には周波数依存性が強いものである。しかし、そのような音響管や共鳴器を、この発明のように共鳴周波数の異なるものを含めて複数配置するなら、広い周波数帯に及ぶ騒音が発生する場合にもすぐれた減衰効果がもたらされ得る。そのため、この発明の装置は、特定の周波数帯に偏らない騒音が発生する排気塔に取り付けるのに好適な、実用的な騒音低減装置であるといえる。
【0016】
請求項5に記載の騒音低減装置は、上記の音圧低減手段を、吸音構造のものを含めて構成したことを特徴とする。吸音構造の音圧低減手段としては、グラスウールやロックウール、またはアルミニウム等の繊維が圧縮されてなる金属繊維板など、空孔を多く有するために通気性のある多孔質吸音材を使用する。このような吸音構造のものを単独で、または上記した共鳴構造のものとともに音圧低減手段とするのである。
【0017】
空孔を有する多孔質吸音材は、空孔通での空気の運動に対して摩擦抵抗が生じるとともに吸音材自体も振動するため、音のエネルギーの一部が熱エネルギーに変換されて吸音効果が生じる。そうした吸音効果によって中〜高周波数の騒音を特定周波数帯に限ることなく減衰させるので、本請求項の装置は、多孔質吸音材を充填すれば足りるという簡単なものでありながら、広い周波数帯の騒音に対して低減効果を発揮できる。
【0018】
請求項6に記載の騒音低減装置は、上記した吸音構造の音圧低減手段として、上部に多孔質吸音材を有していてその下部に背後空気層を有するものを使用することを特徴とする。
【0019】
多孔質吸音材の背後に空気層(背後空気層)があると、同吸音材の吸音特性は低音側に遷移し、中〜低周波数の騒音をも効果的に吸音するようになる。したがって、上記のように上部に多孔質吸音材を有していて下部に背後空気層を有する本請求項の装置は、背後空気層の厚さ(深さすなわち空気層長さ)等を適宜に設定することにより、吸音材が本来的に吸音する周波数帯を外れた低周波寄りの騒音までも低減できることになる。なお、上部の多孔質吸音材から下部の背後空気層にかけての寸法が大きくなるが、上向きに延びた排気塔の開口部の周囲にそれらを設けるのであるから、前記と同様、取り付けスペース等に関する不都合は生じない。
【0020】
請求項7に記載の騒音低減装置は、上記の背後空気層を、空気層長さの異なるものを含めて複数配置したことを特徴とする。
【0021】
多孔質吸音材とその背後の空気層とによる騒音低減の効果は、共鳴構造の音圧低減手段による場合よりもかなり広い周波数帯に及ぶが、吸音材の性状や背後空気層の長さ等によっては特定の周波数帯に限定される場合がある。そのため、この発明にしたがって空気層長さの異なるものを含む複数の背後空気層を配置すれば、騒音が広い周波数帯に及ぶ場合にもすぐれた減衰効果が確保される。
【0022】
請求項8に記載した騒音低減装置は、請求項4または7にしたがい異なるものを含めて複数配置した音響管もしくは共鳴器または背後空気層を、排気塔における上向き開口部を囲むよう同心状(円形とは限らない)に複数列配置し、各列(同心状に配置された各列)においては、それら音響管もしくは共鳴器または背後空気層の上下への長さを同一にしたことを特徴とする。
【0023】
この騒音低減装置は、音響管・共鳴器・背後空気層のうちいずれかを、排気塔の開口部を囲むよう同心状に複数配置したもので、同心状の各列においてはそれらの上下長さを同一にして音圧低減をなす周波数帯を同一にするとともに、異なる各列においては、請求項4または7のとおり周波数帯が相違するようにしている。つまり、上記音響管等のいずれかを、排気塔の開口部を中心に軸対称的であって異種の多重構造をなすように配置したことになる。こうした騒音低減装置なら、前記のように広い周波数帯に及ぶ騒音を低減できることに加え、排気塔から周囲のどの方向に発せられる騒音をも均等に低減できるという利点がもたらされる。
【0024】
請求項9に記載した排気装置は、上記したいずれかの騒音低減装置を上記開口部の周囲に設けるとともに、上記の排気塔およびそれに至る排気通路の内部および壁(排気塔および排気通路の壁)には騒音低減のための手段を配置していないことを特徴とする。
【0025】
この排気装置は、上述の騒音低減装置を上記開口部の周囲に設けることから、当該開口部から出てその周囲を回折する騒音の音圧レベルを下げ、もって地上に達する騒音を効果的に低減することができる。
また、排気塔やそれに至る排気通路の内部および壁には騒音低減のための手段を配置しないので、つぎのような利点もある。すなわち、a)高温の排気にさらされても十分な耐用性を有するような特殊な構造または材料を排気装置のうちに必要とはしない。b)プラント(ガスタービン等)の設置後に騒音低減の機能を強化または整備する必要が生じた場合、内部の手段を取り出したり壁を崩したりすることなく短期間で簡単に必要な対応ができる。c)排気通路の内部等において排気の流れを乱すものがないので、プラント本来の機能に全くロスを生じさせないうえ、排気流の乱れにともなう二次的な騒音の発生を招くこともない。
【0026】
【発明の実施の形態】
発明の実施についての一形態を図1〜図3に示す。まず図1(a)は、ガスタービン1とその排気装置2の概要を示す正面図であり、同(b)は、排気装置2に付設した騒音低減装置11の概略構造を示す縦断面図である。図2(a)・(b)は、騒音低減装置11について想定した各部寸法と配置位置とをそれぞれ示す斜視図および側面図である。また図3(a)・(b)は、図2の騒音低減装置11による騒音低減の効果を示す線図である。
【0027】
図1(a)に示すように、ガスタービン1には、水平に延びた排気通路3と、上向きに鉛直に延びた円筒形状の排気塔4とからなる排気装置2が接続されている。騒音をともなう排気は、排気装置2の内部を煙道として通過し、排気塔4の上端にある上向きの開口部5から排出される。
【0028】
排気装置2において排気を通すための壁とその内部とには何らの騒音対策も施していないが、排気塔4の開口部5の周囲には、図1(b)のように騒音低減装置11を取り付けている。騒音低減装置11は、上下に長い有底の空間を含む音響管12を音圧低減手段とし、開口部5を囲むように配置したものである。音響管12は、円環状の側壁12aと最下部の底板12bとによって開口部5の周囲に環状の空間を形成し、開放部12cにおいてその上端を開放したものである。こうした空間においては、音響管12の共鳴周波数に近い周波数の音に対し、図1(b)中に破線で示すような1次モード(または図示しない他の低次モード)の共鳴が生じやすく、それによって上端の開放部12cに音圧の極小部Aが発生する。
【0029】
このような音響管12が排気塔4の開口部5の周囲にあると、排気とともに開口部5を出て、開口部5の周縁部で回折したうえ地上に向かおうとする騒音について、上記のような周波数帯にある音の音圧が効果的に低減される。地上に向かおうとする騒音によって音響管12の内部で共鳴が起き、開放部12cにおける音圧が極小化されるからである。そのため、図示のように騒音低減装置11を設けた排気装置2においては、排気塔4の開口部5から上向きに出る騒音の音圧は高いとしても、下方へ回折する騒音の音圧は下げられ、地表面上の(たとえば工場の敷地境界外の)観測点Xにおける騒音のレベルは十分に低くなる。
【0030】
音響管12を含む具体的な騒音低減装置11を想定し、境界要素法に基づく数値解析によってその効果を算出した例を、図2および図3にしたがい説明する。想定した騒音低減装置11は図2(a)のように、音響管12として、外径1.6m・内径1.0m・高さ0.7mであって薄い仕切板12dで周方向に30°ごとに分けた空間(合計12個)を形成したものである。そうした装置11を、図2(b)のように、地上高さ10mの位置にある排気塔4の開口部5の周囲に取り付けるものとする。
【0031】
そのような想定した騒音低減装置11による周波数(1/3オクターブ周波数)別の騒音低減効果(dB)は、数値解析の結果、図3(a)のように算出される。なお、ここにいう騒音低減効果とは、騒音低減装置11がない場合とある場合との騒音レベル(dB)の差、つまり装置11を取り付けることによって低減するレベル値(dB)をいう。この結果から、160Hzまたは200Hzを中心とする周波数帯において5dBを超える騒音低減効果があると予想される。また、排気塔4から観測点Xまでの距離D(図2(b))を変化させた場合、160Hzの音について騒音低減効果(dB)を算出すると、図3(b)のようになる。排気塔4より少なくとも20mの範囲内では、地上において5dB前後の騒音低減効果が期待できるといえる。なお、音響管12は、その長さ(深さ)が長いほど共鳴周波数が低くなり、したがって低周波の騒音を低減するのに適するものとなる。
【0032】
図4は、音響管を含む騒音低減装置について図1等とは別の例を示す模式図である。すなわち、図4(a)・(b)の各例は、排気塔4(図1を参照。以下同様)における開口部5の周囲に同心状に複数列(多重)の音響管を設けるものである。
【0033】
たとえば図4(a)の騒音低減装置21は、開口部5を囲むように3重に音響管22・23・24を配置した例である。上端の開放部から底部までの長さを、周方向に並ぶ各列内においては等しく、また開口部5を中心として半径の異なる列の間では互いに異なるように形成している。つまり、半径の等しい各列においては共鳴周波数が同一でありながら、半径の異なる別の列においてはそれが相違するように、3種類の音響管22・23・24を配置している。
このような騒音低減装置21なら、騒音低減効果が高く表れる周波数(つまり共鳴周波数)を複数設定することができるので、広い範囲の周波数帯において騒音を効果的に低減することができる。また、音響管22・23・24の配置が周方向には均一であるから、排気塔から周囲360°のどの方向に発せられる騒音をも均等に低減することができる。
【0034】
図4(b)の騒音低減装置26は、図4(a)の騒音低減装置21と同様、排気塔4における開口部5の周囲に、長さの異なる複数種類(3種)の音響管27・28・29を同心状に複数列(3列)配置したものである。ただし、装置21では外側になるほど短い音響管を配置して上端の開放部を同じ高さに揃えた(開口部5とも同じ高さにした)のに対し、この装置26では、外側になるほど長い音響管を配置して上端の開放部を高い位置に設けている。こうした騒音低減装置26は、装置21の場合と同様、広い周波数帯にわたり周囲の全方向への騒音を低減できるほか、形状的な特徴から、騒音の放射指向性を制限し、回折によって騒音が地上へ到達するのをさらに効果的に抑制できるという効果をもたらす。
【0035】
図5には、共鳴器を利用する騒音低減装置について実施の形態を示す。
たとえば図5(a)の騒音低減装置31は、共鳴器(いわゆるヘルムホルツの共鳴器)32を排気塔4の上向き開口部5の周囲に配置したものである。共鳴器32は、頸部32aとそれに続く空洞部32bとを有するもので、環状に複数個を並べて設けている。共鳴周波数に近い周波数の音が各共鳴器32の頸部32a付近に当たると、この入射波によって共鳴器32の内部で共鳴が生じ、入射した音波に対して頸部32aの空気が逆位相で振動し、もって入射波が打ち消され、頸部32aにおいて音圧が極小化される。したがって、図5(a)の騒音低減装置32を備える排気塔4においては、排気塔4から出る騒音のうち開口部5の周囲を回折して地上に向かうものが共鳴器32の作用で音圧を低減される。なお、空洞部32bが長いほど共鳴周波数(つまり音圧低減効果が顕著になる周波数)を小さく(つまり低音側に)することができる。
【0036】
図5(b)・(c)に示す騒音低減装置41・46は、開口部5の周囲に同心状に複数列(多重)の共鳴器を設けたものである。
まず図5(b)の装置41では、開口部5を囲むように3重に共鳴器42・43・44を配置している。頸部の上端から空洞部の底部までの長さは、周方向に並ぶ各列内の共鳴器42・43・44については等しく、また開口部5を中心として半径の異なる列の間では互いに異なる。したがって、図4(a)の例と同様に、半径の等しい各列においては共鳴周波数が同一でありながら、半径の異なる別の列においてはそれが相違する。このような装置41によると、広い範囲の周波数にわたって騒音を効果的に低減できるとともに、排気塔から周囲360°のどの方向に発せられる騒音をも均等に低減することができる。
【0037】
図5(c)の装置46は、長さの異なる複数種類(3種)の共鳴器47・48・49を開口部5の周囲に同心状に3列配置した点では図5(a)の装置41と同じだが、つぎの点でそれと相違する。すなわち、装置41では外側になるほど短い共鳴器を配置して頸部の上端を同じ高さに揃えた(開口部5とも同じ高さにした)のに対し、この装置46では、外側になるほど長い共鳴器を配置して頸部の上端を高い位置に設けている。こうした騒音低減装置46には、広い周波数帯にわたって周囲の全方向への騒音を低減できるという装置41と同様の効果に加え、形状に基づいて騒音の放射指向を制限し、地上の観測点への騒音の到達を抑制できるという効果もある。
なお、図5の各例において各共鳴器に設けた頸部の方向(中心線の方向)は、図示のように鉛直方向(排気塔4と平行)に限るものではない。上側を開口部5寄りまたはその反対側に傾斜させたり、または水平方向(開口部5寄り)に向かせたりするのもよい。
【0038】
つづく図6には、吸音構造を採用してなる騒音低減装置を例示する。
まず図6(a)の騒音低減装置51は、上端を開放部としながら底部を板で閉じた円筒状ケーシング52を排気塔4の開口部5の外側に取り付け、そのケーシング52の内部(排気塔4の外壁との間)に多孔質吸音材52Aを充填したものである。多孔質吸音材52Aとしては耐候性にすぐれたロックウールを使用し、ケーシング52内の全体に充填している。開放された上端部に音が達すると、振動する空気と多孔質吸音材52Aとの間の摩擦によって音のエネルギーの一部が熱エネルギーに変換され、中〜高周波の音について吸音効果が生じる。それにより、開口部5を出たうえ地上へ向けて回折する騒音が低減される。
【0039】
図6(b)の騒音低減装置54は、図6(a)の装置51におけるものと同様の円筒状ケーシング55を開口部5の周囲に配置したうえ、多孔質吸音材55Aをその上半部(開放部寄りの過半部分)のみに充填したものである。ケーシング55内の下部には何も充填していないので、吸音材55Aの下には、ケーシング55の底部の板に至るまで背後空気層55Bを設けたことになる。多孔質吸音材55Aにこのように背後空気層55Bを付随させると、吸音効果が中〜低音域にまで拡大する。したがって、開口部5を出て地上へ向かう騒音が、より低周波のものを含めて低減される効果が生じる。
【0040】
図6(c)の騒音低減装置57は、図6(b)の装置と同じ円筒状ケーシング58を使用しながらも、充填する多孔質吸音材58Aをさらに薄くして、その下面からケーシング58の底部板までの背後空気層58Bの長さが吸音材58A(の厚さ)を上回るようにしたものである。背後空気層58Bが長いほど、低周波の騒音を低減するうえで効果的だからである。なお、この例のように薄くしても密度の均一な分布と機械的強度とを保ちやすい多孔質吸音材58Aとして、アルミニウム繊維等を押し固めてなる金属繊維板が好ましい。
【0041】
図7は、吸音材を含む騒音低減装置について他の例を示す図面である。つまり図7(a)・(b)の騒音低減装置61・66は、排気塔4の開口部5の周囲に同心状に複数列の円筒状ケーシング62・63・64または67・68・69を配置し、各ケーシングの内部に、図6(c)の例と同じく多孔質吸音材Aの充填部と背後空気層Bとを上下に設けたものである。吸音材Aの充填部の厚さはどのケーシングについても同一であるが、背後空気層B(および各ケーシング)の上下方向長さは、周方向に並ぶ各列内では等しく、また半径の異なる各列間では互いに相違する。つまり、半径の等しい各列においては吸音する周波数帯に差がなく、半径の異なる別の列においてはその差があるようにしている。このような装置61・66においては、長さの異なる背後空気層Bが吸音材Aとともに存在するため、広い周波数帯にわたる吸音作用による好ましい騒音低減効果がもたらされる。また、そのような効果が、排気塔4の周囲のいずれの方向にも均一に表れる。
【0042】
なお、図7(a)の騒音低減装置61では、外側になるほど短いケーシングを配置して上端の開放部を同じ高さに(開口部5とも同じ高さに)揃えている。その一方、図7(b)の装置66では、外側のものほど長くなるように複数列のケーシング67・68・69を配置して、外側ほど上端の開放部を高い位置に設けている。後者の騒音低減装置66の場合は、上記した効果に加え、形状的な特徴に基づいて、騒音の放射指向を制限して地上の観測点への騒音の到達を抑制するという効果もある。
【0043】
図8に示す騒音低減装置71・74は、図5の例のように共鳴器を利用するとともに図6の例で用いた吸音材をも同時に使用するものである。すなわち、たとえば図8(a)のように、頸部72aと空洞部72bとを有する共鳴器72を排気塔4の開口部5の回りに取り付け、その頸部72aを囲むネック部72cを、金属繊維板などの多孔質吸音材によって形成する。このようにした騒音低減装置71によれば、開口部5を出たうえ回折して地上に向かうはずの騒音が吸音材の作用と共鳴器の作用とによって効果的に低減される。
【0044】
図8(b)の騒音低減装置74は、上記のように吸音材を含めた環状の共鳴器75・76・77を、図5(b)の例と同じく、開口部5を囲むよう環状に3重に配置した例である。各共鳴器75・76・77の上端から空洞部の底部までの長さは、周方向に並ぶ各列内では等しく、また半径の異なる列間では互いに相違する。したがって、このような装置74によると、広い周波数帯にわたって騒音が効果的に低減され、またそのような効果が、排気塔4の周囲のいずれの方向にも均一にもたらされる。図示は省略したが、図8(b)の例と同様に吸音材を付けた共鳴器を環状かつ複数条に配置するとともに、図5(c)に倣って外側のものほど上端部が高くなるようにすることも、騒音低減について好ましい効果をもたらす。
【0045】
ところで、以上の各例は排気塔4の開口部5が円形であるものとして説明したが、開口部5は、矩形(長方形または正方形)であっても、またはそれ以外の多角形であっても差し支えない。開口部5の外周部と相似形をなすような一つまたは複数の筒体を用いて(さらには、たとえば多角形の各辺ごとに仕切板で区切って)開口部5の周囲に音響管や共鳴器、またはケーシングを形成すれば、上記各例に準じた騒音低減装置を構成できるからである。
また、上には、ガスタービンからの排気に関する排気装置および騒音低減装置について紹介したが、排気塔に接続される騒音発生源であれば、ガスタービンに限らず種々の装置やプラントにおいて騒音を低減することができる。
【0046】
なお、上に示した各騒音低減装置について耐候性のすぐれたものを構成するには、ステンレス鋼など耐食性の高い金属によって音響管等の構成部品を形成するとともに、雨水の溜まりやすい底部などに水抜き用の小孔を設けるのがよい。
【0047】
【発明の効果】
請求項1に記載した騒音低減装置によれば、排気塔の上向き開口部から出る騒音のうち地上に達するものを効果的に低減することができる。材料や構造に高度な耐熱性をもたせる必要がない点や、設置ずみのプラント等に対する騒音低減を容易に行える点にもメリットがある。
請求項2に記載の騒音低減装置によると、低周波の騒音であっても効果的に減衰させることができる。請求項3に記載の騒音低減装置なら、簡単な構造でありながら共鳴周波数の設定が容易であり、低周波の騒音の低減をとくに容易に行える。取り付けスペース等に関して困難が生じない。また、請求項4の騒音低減装置によれば、広い周波数帯に及ぶ騒音が発生する場合にもすぐれた効果が発揮される。
【0048】
請求項5に記載した騒音低減装置によれば、構造が簡単でありながら、中〜高周波のものを中心に、広い周波数帯の騒音に対して低減効果が発揮される。請求項6に記載の騒音低減装置なら、さらに低周波寄りの騒音までも低減できる。取り付けスペース等に関する困難が付随しないという利点もある。また、請求項7の騒音低減装置なら、騒音が広い周波数帯に及ぶ場合にもすぐれた効果が確保される。
請求項8に記載の騒音低減装置では、広い周波数帯に及ぶ騒音を低減できるうえ、排気塔から周囲のどの方向に発せられる騒音をも均等に低減できるという利点がある。
【0049】
請求項9に記載した排気装置によれば、地上に達する騒音を効果的に低減できることに加え、a)高温の排気にさらされても十分な耐用性を有するような特殊な構造や材料を排気装置のうちに必要とはしない、b)プラントの設置後に騒音低減の機能を強化または整備することも容易である、c)プラント本来の機能に全くロスを生じさせないうえ、排気流の乱れにともなう二次的な騒音の発生を招くこともない−といった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施について一形態を示す図であって、図1(a)は、ガスタービン1とその排気装置2の概要を示す正面図、同(b)は、排気装置2に付設した音響管型の騒音低減装置11について概略構造を示す縦断面図である。
【図2】図2(a)・(b)は、図1の騒音低減装置11について具体的に想定した各部寸法と配置位置とをそれぞれ示す斜視図および側面図である。
【図3】図3(a)・(b)のそれぞれは、図2の騒音低減装置11による騒音低減の効果を示す線図である。
【図4】図4(a)・(b)のそれぞれは騒音低減装置21・26の縦断面図で、発明の実施について上記とは別の形態を示す模式図である。
【図5】図5(a)・(b)・(c)のそれぞれは、共鳴器を利用する騒音低減装置31・41・46の縦断面図であって、発明の実施についてさらに別の形態を示すものである。
【図6】図6(a)・(b)・(c)のそれぞれは、吸音構造を利用する騒音低減装置51・54・57の縦断面図であって、発明の実施についてさらに別の形態を示すものである。
【図7】図7(a)・(b)のそれぞれは、吸音構造を含む騒音低減装置61・66の縦断面図であって、発明の実施についてさらに別の形態を示すものである。
【図8】図8(a)・(b)のそれぞれは、吸音構造とともに共鳴器を利用する騒音低減装置71・74の縦断面図であって、発明の実施についてさらに別の形態を示すものである。
【符号の説明】
2 排気装置
4 排気塔
5 開口部
11・21・26・31・41・46・51・54・57・61・66・71・74 騒音低減装置
12・22・23・24・27・28・29 音響管
32・42・43・44・47・48・49 共鳴器
52A・55A・58A・A 多孔質吸音材
55B・58B・B 背後空気層
Claims (9)
- 排気塔における上向き開口部から発せられる騒音のうち当該開口部の周囲を回折して地上に伝播するものを低減すべく、当該開口部の周囲に取り付けられる音圧低減手段を含むことを特徴とする騒音低減装置。
- 上記の音圧低減手段が共鳴構造のものであることを特徴とする請求項1に記載の騒音低減装置。
- 共鳴構造の音圧低減手段が、上下に延びた空間を有していて上端部に開口をもつ音響管または共鳴器であることを特徴とする請求項2に記載の騒音低減装置。
- 音響管または共鳴器が、共鳴周波数の異なるものを含んで複数配置されていることを特徴とする請求項3に記載の騒音低減装置。
- 上記の音圧低減手段が吸音構造のものを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の騒音低減装置。
- 吸音構造の音圧低減手段が、上部に多孔質吸音材を有していてその下部に背後空気層を有するものであることを特徴とする請求項5に記載の騒音低減装置。
- 背後空気層が、空気層長さの異なるものを含んで複数配置されていることを特徴とする請求項6に記載の騒音低減装置。
- 音響管もしくは共鳴器または背後空気層が、排気塔における上向き開口部を囲むよう同心状に複数列配置されていて、各列においては、それら音響管もしくは共鳴器または背後空気層の上下への長さが同一であることを特徴とする請求項4または7に記載の騒音低減装置。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の騒音低減装置を上記開口部の周囲に備えるとともに、上記の排気塔およびそれに至る排気通路の内部および壁には騒音低減のための手段を有しないことを特徴とする排気装置。
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- 2002-09-03 JP JP2002257317A patent/JP2004094065A/ja active Pending
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