JP2004093977A - 光学部品保持装置及び光学装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】アウトガスの発生を抑制する光学装置の提供。
【解決手段】中空の導光路(260)内部で光学部品(210,211,212)を光軸に沿って保持する光学部品保持装置において、導光路(260)の内壁に当接する複数のフランジ(234,244)を有する筒状体(236,246)を備え、筒状体の内周面(231,241)の端部は保持すべき光学部品の一面と当接し、内周面(231,241)の端部の少なくとも一部に切り欠き部(233,243)が設けられている。上記構成によれば、光学部品(210,211,212)の一面とフランジ(234,244)と導光路(260)内壁とで囲まれる光学部品周辺部における空間が切り欠き部(233,243)によって筒状体の内周面(231,241)内部の空間と連通することになり、光学部品周辺部にガスが滞留することを防止することができる。
【選択図】 図3
【解決手段】中空の導光路(260)内部で光学部品(210,211,212)を光軸に沿って保持する光学部品保持装置において、導光路(260)の内壁に当接する複数のフランジ(234,244)を有する筒状体(236,246)を備え、筒状体の内周面(231,241)の端部は保持すべき光学部品の一面と当接し、内周面(231,241)の端部の少なくとも一部に切り欠き部(233,243)が設けられている。上記構成によれば、光学部品(210,211,212)の一面とフランジ(234,244)と導光路(260)内壁とで囲まれる光学部品周辺部における空間が切り欠き部(233,243)によって筒状体の内周面(231,241)内部の空間と連通することになり、光学部品周辺部にガスが滞留することを防止することができる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、照明装置や撮像装置等、光軸に沿って複数のレンズを配置する光学装置に係り、特に、半導体製造等の真空状態が要求される光学装置に適する構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、照明装置や撮像装置等の光学装置は導光路を形成するレンズ鏡筒内部に複数のレンズを光軸に沿って配置して構成されている。レンズ鏡筒内部において、複数のレンズはそれぞれ保持部材によって間隔をおいて所定の位置に固定されていた。例えば、特開平10−123386号公報はこのような保持部材の構造について開示している(特許文献1)。
【0003】
また構造的制約からレンズ鏡筒内部における光軸の方向が変化せざるを得ない場合には、ミラーやプリズム等の光学部品を適所に配置して光軸方向を変更することが一般的であった。例えば、特開2002−217083号公報には、反射部材を利用して光軸方向を変更する照明装置が開示されている(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−123386号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2002−217083号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
半導体製造装置の分野では、フォトリソグラフィ法による露光工程やイオン注入工程において、マスクとシリコンウェハとを正確に位置合わせするために、位置検出用の照明装置及び撮像装置を用いることがある。露光やイオン注入が実施されるプロセス室は、通常高い真空状態に保たれている必要がある。そのため、まず、プロセス室の真空引きが行われ、必要な真空度に到達してから露光、イオン注入に入る必要がある。
【0007】
ところが、従来の露光工程で利用される光学装置では、内部に閉じられた空間が形成され、その空間内の空気、その他のガスは微小な隙間から徐々にもれ出すということになるため、このような光学装置がプロセス室内にあることにより、プロセス室が所定の真空度に到達するのに長時間を要するという問題があった。さらに、光学部品を接着する接着剤等の有機系物質や導光路の壁面で光が反射されることを防止するために施される表面処理(例えば、黒アルマイト)もガスの発生源となる可能性があった。また、真空引きの最中に生じるレンズ鏡筒内外の気圧の差は、レンズ鏡筒の変形の原因になる場合もあった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、残留ガスを速やかに排気することが可能な光学装置及びそのための光学部品保持装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、中空の導光路内部で複数の光学部品を光軸に沿って所定の距離を隔てて保持する光学部品保持装置において、導光路を形成する中空部材と、導光路の内壁に当接する筒状体を備え、上記中空部材は、複数の光学部品間に、当該中空部材の内周面と外周面とを連通する貫通孔が設けられており、上記筒状体の内周面の端部は保持すべき光学部品の一面と当接し、筒状体の外周面と前記内周面とを連通し、かつ前記中空部材の貫通孔と連通する貫通孔が設けられている光学部品保持装置である。
【0010】
この構成によれば、筒状体の内周面と両側の光学部品とで囲まれた内部の空間が中空部材の外部の空間と連通することになり、光学部品間の空間にガスが滞留することを防止することができる。
【0011】
また、筒状体は、前記内周面の端部の少なくとも一部に切り欠き部が設けられていることが好ましい。上記構成によれば、光学部品の一面と筒状体端面と導光路内壁とで囲まれる光学部品周辺部における空間が切り欠き部によって筒状体の内周面内部の空間と連通することになり、さらに確実に光学部品周辺部にガスが滞留することを防止することができる。
【0012】
また、上述した筒状体は、内周面が導光路の内壁に当接するフランジと、これより外径が小さい部分とを備えていてもよい。この構成によれば、筒状体に設けられた前記貫通孔と中空部材の前記貫通孔とは、両者の円周方向の相対位置関係によらず筒状体外周とフランジと中空部材内壁との間の空間を介して常に連通しているので、組立の際に両者の位置関係を気にする必要がなく、組立の容易化を図ることができる。
【0013】
また、フランジの少なくとも一部に切り欠き部を備えていてもよい。この構成によれば、光学部品の一面とフランジと導光路内壁とで囲まれる光学部品周辺部の空間がフランジと筒状体外周面と導光路内壁とで囲まれる空間に連通することになり、光学部品周辺部にガスが滞留することを防止することができる。
【0014】
ここで、本発明において「導光路」とは中空部材(筒状または柱状)を備え、光軸がその中空部分であって当該筒の軸方向に沿っている筐体によって形成されるものである。その断面が円周形状を呈するか、楕円その他多角形形状を呈するかを問わない。
【0015】
本発明において「筒状体」は内周面において筒状(柱状)を呈し、内周面で規定される中空部分に光軸が通過するものである。その断面が円周形状を呈するか、楕円その他多角形形状を呈するかを問わない。当該「筒状体」の長さは光学部品間の間隙を規定するものである。
【0016】
本発明において「フランジ」は、筒状体の一部を構成し、その外周が導光路内壁に接するが、一部において接していなくてもよい。フランジは筒状体の端面に設けられていても筒状体の中間部に設けられていてもよい。また、フランジは、筒状体の両端面に設けられていても、片側のみに設けられていてもよい。
【0017】
本発明において「切り欠き部」はガスを流通可能ならばその形状は問わない。切り欠き部が大きければ大きいほどガスの流通は容易になるが、強度その他の条件を考えてその形状を定めることが好ましい。
【0018】
また本発明において「一面」とは、光学部品の面を通過する光線に対して光学的な作用を与える面またはそれに続く面であって、必ずしも研磨されていなくてもよい。またこの面は曲面であっても平面であってもよい。
【0019】
また本発明の光学装置は、中空の導光路内部で光学部品を光軸に沿って保持する光学装置において、少なくとも2つの光学部品と、これら少なくとも2つの光学部品を保持する、前記導光路を形成する中空部材と、を備え、中空部材は、少なくとも2つの光学部品間に、当該中空部材の内周面と外周面とを連通する貫通孔が設けられ、光学部品のうち少なくとも1つにより像が収斂する光軸上の位置に、当該収斂した像を結像させるに充分な径を有する開口部が設けられた絞り部材を備えていることを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、光学部品間における空間が貫通孔を介して中空部材の外部と連通するので、光学部品の内部に入り込んだガスが滞留することを防止することが可能である。また、上記構成によれば、中空部材の内壁で光が反射されても光学部材から収斂した正規の光束のみを通過させることができるので、中空部材の内壁に光を吸収するための表面処理をする必要が無くなる。これによって光学装置内部からのアウトガスを減少させることが可能である。
【0021】
また、上述した光学装置は、絞り部材の両側に設けられる光学部品のうち、少なくとも一方の側は複数の光学部品でなり、かつ上述した本発明に係る光学部品保持装置を複数の光学部品間に備えることが好ましい。
【0022】
このような構成によれば、当該光学部品保持装置によって、光学部品周辺部、筒状体の内周面内部、および/または筒状体の外周面とフランジと中空部材内壁とで囲まれる空間が中空部材の外部と連通することになるため、光学装置の内部に入り込んだガスが滞留することを防止することが可能である。
【0023】
さらにまた本発明は、上述した光学部品保持装置において、光軸の方向が変化する部分に、入射光の光軸方向と射出光の光軸方向とを光軸の方向の変化に対応させた単一の導光部材を備えていることを特徴とする光学部品保持装置でもある。
【0024】
さらにまた本発明は、複数の光学部品を光軸に沿って保持する光学装置において、光軸の方向が変化する部分に、入射光の光軸方向と射出光の光軸方向とを光軸の方向の変化に対応させた単一の導光部材を備えていることを特徴とする光学装置でもある。
【0025】
従来であれば、光路を変更するたびに、また、光路が長くなるたびに、ミラー、プリズム、レンズ等の光学部品を配置する必要があったが、上記構成によれば、導光部材単独で最低限必要な光学部品間を光学的に連結することが可能となり、光路変更のために利用する光学部品の点数を減少させることが可能となる。このため光学部品から必然的に発生するアウトガスを極力減少させることが可能となる。
【0026】
ここで、例えば、単一の導光部材は、単一の光ファイバ、あるいは複数の光ファイバを束ねて融着した構造を備えている。この導光部材は、上記した光学部品保持装置や絞り部材、貫通路を中空部材に備えた光学装置等と組み合わせて利用することが可能である。
【0027】
本発明の光学部品保持装置や光学装置は、照明、撮像、サーボ等あらゆる光学系に適用可能であるが、高度の真空が要求される環境における光学系、例えば半導体製造等に用いられる照明装置や撮像装置に組み込んで利用することは好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、半導体製造装置における位置合わせ装置の一部として用いられる照明装置及び撮像装置に本発明を適用したものである。
【0029】
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る位置合わせ装置の概略断面図を示す。図1に示すように、当該位置合わせ装置1は、検出照明装置100及び撮像装置200を備えている。
【0030】
当該位置合わせ装置1は、半導体製造装置における露光工程またはイオン注入工程に使用されるものである。例えば、シリコンウェハW上に形成される半導体チップに対してパターン形成するためのステンシルマスクを正しくウェハW上に位置させるために、所定のアライメントマーク等の対象物OBJに対して検出照明装置100から射出された検出光を撮像装置200が撮像して映像に変換するという構成を備えている。
【0031】
具体的に、検出照明装置100は、画像撮影に適するスペクトラムを有する検出光を画像撮影に適する光量で射出可能に構成され、光源11、集光レンズ12、導光部材13、及び照明レンズ14を備えている。
【0032】
光源11は、画像撮影に適するスペクトラムで発光する光生成手段であり、例えば、ハロゲンランプと反射板を重ねたもの、LED、レーザ装置等によって構成されている。集光レンズ12は、発散光である光源11からの検出光を導光部材13に効率よく光を入射させるように集光するための光学部品である。照明レンズ14は、導光部材13を通過した平行光線をアライメントマーク等の対象物OBJに到達させるための光学部品である。
【0033】
導光部材13は、本発明に係り、集光レンズ12から射出された平行光線を受光し、光の損失無く伝達して照明レンズ14に射出するように構成されている。特に、この導光部材13は、図1に示すように、光軸の方向が変わる光路において光を伝達可能に構成されている。具体的には、導光部材13は、石英ガラスやコーニングガラス等の各種ガラス材料で構成されている。導光部材13の両端面は光量の分布密度が均一になるように研磨面となっていることが好ましい。導光部材13の構造は、高屈折率のガラスで構成された芯部を低屈折率のガラス材料で構成されたクラッドで被覆した光ファイバに準じた構造を備えていることが好ましい。例えば、受光面の面積が比較的小さい光路ならば(例えば、φ3mm以下)単独の上記光ファイバ構造でよいが、受光面の面積がそれより大きいならば多数の上記光ファイバ構造を束ねた多芯構造とすることが好ましい。後者の場合、互いの光ファイバは熱等により相互接着し、接着剤等の有機系溶剤を使用しないで構成されていることが好ましい。また、受光面の面積と射出面の面積とが異なっていてもよい。屈曲した導光部材13を製造するためには、ガラス材料で構成されているこれら光ファイバ構造に熱を加えてから変形させ所望の屈曲構造を設けるようにする。例えば、これらの条件を満たす導光部材13の一例として、株式会社住田光学ガラス製の「ライトロッド コンジット」を使用することが可能である。
【0034】
なお、光源11及び集光レンズ12のみを大気側に配置し、真空チャンバに設けた窓(例えば、石英ガラス製の窓)を挟んでプロセス室側に導光部材13、照明レンズ14を配置するようにしてもよい。
【0035】
撮像装置200は、本発明の光学装置に係り、二次元画像を撮影可能な構造を備えている。すなわち撮像装置200は、CCDカメラとしての構造を備えており、対物レンズ群20、絞り部材(視野絞り)30、リレーレンズ群40、光学フィルタ50、CCDイメージセンサ60、及び受像回路70を備えている。これらの部材は、筐体に相当する中空部材260(詳細は後述する)に収納されている。
【0036】
中空部材260は、単一でもよいし、複数で構成してもよい。本実施の形態では、対物レンズ群20を収納する中空部材、リレーレンズ群40を収納する中空部材、両者間に設けられている中空部材、及びその他が収納される中空部材で構成され、互いに接続される。
【0037】
対物レンズ群20、絞り部材30、及びリレーレンズ群40は、本発明に係る。対物レンズ群20とリレーレンズ群40はレンズの仕様を除き本発明に係る構成は同じであるため、対物レンズ群20の構造のみを後に詳述する。
【0038】
光学フィルタ50は、入力光の不要な情報を取り除くため高い周波数成分を除去可能な構造を備えており、NDフィルタ、着色ガラスフィルタ、干渉フィルタ、帯域通過フィル等の公知の光フィルタを適用可能である。CCDイメージセンサ60は撮像素子であり、入力された光の明暗に比例した電流を画素毎に発生し、全体として二次元画像データを生成することが可能に構成されている。なお、本実施の形態では撮像素子としてCCDイメージセンサを利用するが、これに限定されることはない。例えば、撮像素子としてCCD以外の方式を用いてもよい。また、一次元画像でよい場合は、撮像素子をライン状に並べたラインセンサとしてもよい。受像回路70は、CCDイメージセンサ60から順次送出される信号電荷をライン毎に所定のタイミングで出力可能に構成されている。
【0039】
図2及び図3に、対物レンズ群20の拡大断面図を示す。図2は中空部材260の貫通孔261を含む断面で切断した様子を示しており、図3は図2における切断面と直角に交わる切断面でスペーサ230及び240の切り欠き部233及び243を含む断面で切断した様子を示している。
【0040】
対物レンズ群20は、球面レンズ210、211、及び212を光学部品として備えている。対物レンズ群20の両側には、固定部材220及び250を備えている。球面レンズ210及び211の間にはスペーサ230が、球面レンズ211及び212の間にはスペーサ240が設けられている。
【0041】
球面レンズ210、211、及び212は通常の光学部品であり、球面レンズ以外の公知のレンズを適用してもよい。その表面が曲面を有していなくてもよい。例えば、球面レンズ以外の構造である、球レンズ、非球面レンズ、ロッドレンズ、スラブレンズ等を適用可能である。当該レンズは、色収差補償のためのアクロマートレンズを備えていないことが好ましい。アクロマートレンズを球面レンズと接着するための接着剤からガスが発生することがあるからである。その代わり、本発明では複数のレンズを所定の間隔で配置することによって収差を少なくするようにレンズ群の構成が設計されている。この複数の単レンズによる収差補償用の構成には公知の技術を適用することができる。これにより、接着剤を使用したレンズの使用を不要とすることができる。
【0042】
固定部材220は、対物レンズ群20を内部に収納する中空部材260の端部に一体的に設けられる内向きフランジであり、これが対物レンズ群20の軸方向の位置決め基準としての機能を担う。また、固定部材220の球面レンズ210と接する側の端部の一部には切り欠き部223が設けられている。
【0043】
固定部材250は、端部に位置する球面レンズ212を押さえるための公知の固定部材であり、ねじ切り部222によって中空部材260の内壁のねじ切り部と歯合するようになっている。また、固定部材250の球面レンズ212と接する側の端部の一部には、切り欠き部253が設けられている。固定部材の内周面221・251の端部と球面レンズ210・212の研磨面周辺と中空部材260の内部壁面と囲まれるスペースS1・S8は、切り欠き部223及び253により内周面221・251の内部と連通される。このため、スペースS1・S8内部のガスは切り欠き部223・253を経て容易に排出される。
【0044】
図4(a)に本発明の光学部品保持装置に係るスペーサ230の正面図を、図4(b)にその側面図を示す。スペーサ240の構造もその光軸方向の幅が異なる点を除いてスペーサ230の構造と同様である。
【0045】
当該スペーサ230は、中空部材260の内壁に当接するフランジ234を筒状体236の両側に備えている。筒状体236の内周面231の端部は保持すべき球面レンズ210・211の研磨面と当接するようになっている。内周面231の端部の一部に切り欠き部233が設けられている。当該切り欠き部233はフランジ234の側面に沿って外周方向へ溝状に延びている。また筒状体236には、外周面235と内周面231とを連通する貫通孔232が設けられている。また中空部材260の壁面のうち、スペーサ230における両フランジ234で挟まれ外周面235と対向することになる領域のいずれかに内壁と外部とを連通する貫通孔261が設けられている。同様に、スペーサ240における両フランジ244で挟まれ外周面245と対向することになる領域のいずれかに内壁と外部とを連通する貫通孔262が設けられている。
【0046】
このようなスペーサ230や240の構成によれば、図2に示すように、筒状体236・246の内周面231・241内部の空間が、フランジ234・244と筒状体外周面235・245と中空部材260内壁とで囲まれる空間S3・S6と連通することになり、さらに空間S3、S6は貫通孔261、262を介して中空部材260の外部と連通しているので、光学部品間の空間にガスが滞留することを防止することができる。
【0047】
また、このようなスペーサ230や240の構成によれば、図3に示すように、レンズ210・211・212の研磨面とフランジ234・244と中空部材260の内壁とで囲まれるレンズ周辺部における空間S2、S4、S5、S7が切り欠き部233・243の存在によって筒状体236・246の内周面231・241内部の空間と連通することになり、レンズ周辺部にガスが滞留することを防止することができる。
【0048】
さらに、このようなスペーサ230や240の構成によれば、図2に示すように、光学部品周辺部、筒状体の内周面内部、および/または筒状体の外周面235・245とフランジ234・244と中空部材260内壁とで囲まれる空間S3・S6が中空部材260の外部と連通することになるため、撮像装置200の内部に入り込んだり内部で発生したりしたガスを排出することが可能である。すなわち、切り欠き部233・243により空間S2、S4、S5、S7が内周部231・241内部の空間と連通し、当該内周部231・241内部の空間が貫通孔232・242により空間S3・S6と連通し、これら空間S3・S6が貫通孔261・262により外気と連通するため、内部で発生したガスが悉く外部に排気されることになる。
【0049】
図5(a)に絞り部材(視野絞り)30の正面図を、図5(b)にその側面図を、図5(c)に図5(a)における中心線断面における断面図を示す。
【0050】
本絞り部材30は、レンズ210、211、及び212によって収斂(結像)した像を遮らずにすむ程度に充分な径を有する開口部301が設けられており、その他の部分は光を遮蔽可能な壁面303になっている。当該絞り部材30は外周面302において中空部材260と嵌合するように径が調整されている。図6に示すように、当該絞り部材30は、中空部材260の光軸上において、レンズにより像が収斂(結像)する光軸上の位置Xに配置されるようになっている。
【0051】
なお、図6において、対物レンズ群20、及びリレーレンズ群40は単純化して表しており、同様に中空部材260も一体的に単純化して示している。また、実際には、中空部材260の対物レンズ群20とリレーレンズ群40との間をカバーする部分には、その外周面から内周面に貫通する貫通孔265を複数設けている。これにより、両レンズ群の間の空間も中空部材260の外部と連通されている。
【0052】
絞り部材30の開口部301における絞り径は、撮像装置200の視野の大きさと対物レンズ群20の倍率とにより決定される。視野の大きさはCCDイメージセンサ60に入力するまでの最終倍率とCCDイメージセンサの大きさで決まる。例えば視野の大きさをφ0.2mm、対物レンズの倍率を5倍とすれば、絞り部材に必要とされる絞り径の最小値は、必要とされる視野に対応する像全体が位置Xにおいて結像される大きさφ1mm(=0.2mm×5倍)となり、余裕を考慮してφ1〜2mmの範囲に設定される。
【0053】
このような絞り部材30の構成によれば、図6に示すように、中空部材260の内壁で光が反射されてもレンズ群20から収斂した正規の光束のみを通過させることができるので、中空部材260の内壁に光を吸収するための表面処理(例えば黒アルマイト)をする必要が無くなる。このため、本実施の形態においては、中空部材260の内周面はそのような表面処理はせず、さらにアウトガスの減少を徹底させるため、中空部材260の内周面等の表面粗さを小さくしている。これによって光学装置内部からのアウトガスを減少させることが可能である。
【0054】
なお、スペーサ230、240、固定部材220、250、絞り部材30、中空部材260の各々には種々の材料を用いることができるが、例えば、加工が容易なアルミニウム、またはステンレス鋼を利用可能である。
【0055】
特に中空部材260は、内壁に光吸収用の表面処理を施さないことが好ましい。上記絞り部材30により不要な反射光はリレーレンズ群40には届かないため、内壁を鏡面のままにしておいても問題がなく、かつ、不要なガスの発生を回避できるからである。
【0056】
なお、図面では、スペーサの両フランジに設けられる切り欠き部の位置が対称の位置に設けられていたが、互いにずれた位置に設けられていてもよい。切り欠き部の数についても変更可能である。同様に筒状体に設けられる貫通孔が上下対称な位置に設けられている必要はなく、互いにずれた位置に設けられていてもよい。貫通孔の数についても変更可能である。またスペーサの貫通孔の位置と切り欠き部を設ける位置が直角にずれている必要はなく、異なる角度で設けられていてもよい。さらに中空部材に設けられる貫通孔がスペーサの貫通孔と直接対向している必要はなく、互いにずれた位置に設けられていてもよい。これは、空間S3(S6)があることにより、中空部材260の貫通孔261(262)とスペーサ230(240)の貫通孔232(242)とが直接対向していなくても互いに連通するためである。このような構成とすることにより、組立ての際に貫通孔261(262)と貫通孔232(242)との位置関係を気にする必要がなく、組立作業の容易化が図れる。なお、組立ての際に貫通孔261(262)と貫通孔232(242)とを直接対向するようにすれば、空間S3(S6)は設けなくてもよい。要はガスの流通が可能なように空間的に連通していれば充分である。
【0057】
また、上記撮像装置における本発明の構造を上記照明装置に適用することも、上記照明装置における導光部材を上記撮像装置に適用することも可能である。
【0058】
さらに、固定部材220、250の球面レンズと当接する側の端部に切り欠き部223、253を設けるようにしたが、代わりに、固定部材220、250を軸方向に貫通する貫通孔を設けるようにしてもよい。
【0059】
以上、上記第1の実施の形態のスペーサによれば、筒状体の内周面内部の空間が、中空部材の外部の空間と連通することになり、光学部品間の空間にガスが滞留することを防止することができる。
【0060】
また、本第1の実施の形態のスペーサによれば、レンズの研磨面とフランジと中空部材の内壁とで囲まれるレンズ周辺部における空間が切り欠き部の存在によって筒状体の内周面内部の空間と連通することになり、レンズ周辺部にガスが滞留することを防止することができる。
【0061】
さらに、本第1の実施の形態のスペーサによれば、光学部品周辺部、筒状体の内周面内部、および/または筒状体の外周面とフランジと中空部材内壁とで囲まれる空間が中空部材の外部と連通することになるため、撮像装置の内部に入り込んだり内部で発生したりしたガスを排出することが可能である。
【0062】
本第1の実施の形態の絞り部材によれば、不要な反射光を遮蔽し必要な正規の光像のみを通過させるため、内壁を鏡面のままにしておいても問題がなく、かつ、不要なガスの発生を回避できる。
【0063】
なお、収差の問題がなければ、対物レンズ群20、リレーレンズ群40をそれぞれ1つの単レンズとし、それらの間に絞り部材を配した構成としてもよい。さらに、アクロマートレンズを使用した場合でも、アウトガスの原因となるのはこれに使用される接着剤のみとなるので、中空部材内壁に、例えば黒アルマイト処理をする場合に比較し、アウトガスを低減することが可能であるので、そのような構成にしてもよい。
【0064】
また、本実施の形態のように、絞り部材を設けて、中空部材内周面の黒アルマイト処理を行わなくても、散乱光の影響を除去できるが、このような表面処理のアウトガスの影響を無視してもよければ、本実施形態の対物レンズ群20、リレーレンズ群40の組み合わせと、従来の黒アルマイト等の表面処理がなされた中空部材との組み合わせであっても、多少のアウトガス軽減の効果を得ることができるので、そのような構成にしてもよい。
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態は、前記第1の実施の形態における撮像装置においてスペーサの変形例に関する。
【0065】
図7及び図8に、本実施の形態におけるスペーサ230b及び240bを含む対物レンズ群20の拡大断面図を示す。図7は中空部材260の貫通孔261を含む断面で切断した様子を示しており、図8は図7における切断面と直角に交わる切断面でスペーサ230b及び240bの切り欠き部233b及び243bを含む断面で切断した様子を示している。
【0066】
本対物レンズ群20は、スペーサ230b及び240bにおける切り欠き部233b及び243bの形状を除き前記第1の実施の形態の構成と同様である。
【0067】
図9(a)に本第2の実施の形態に係るスペーサ230bの正面図を、図9(b)にその側面図を示す。スペーサ240bの構造もその光軸方向の幅が異なる点を除いてスペーサ230bの構造と同様である。
【0068】
当該スペーサ230bは、中空部材260の内壁に当接するフランジ234を筒状体236の両側に備えている。筒状体236の内周面231の端部は保持すべき球面レンズ210・211の研磨面と当接するようになっている。内周面231の端部の一部に切り欠き部233が設けられている。特に本第2の実施の形態では、この切り欠き部がフランジ234の厚みよりも深く、図9(b)に示すように、筒状体236の一部に入り込んでいる点で上記第1の実施の形態における切り欠き部と異なる。筒状体236には、外周面235と内周面231とを連通する貫通孔232が設けられている。また中空部材260の壁面のうち、スペーサ230における両フランジ234で挟まれ外周面235と対向することになる領域のいずれかに内壁と外部とを連通する貫通孔261が設けられている。同様に、スペーサ240における両フランジ244で挟まれ外周面245と対向することになる領域のいずれかに内壁と外部とを連通する貫通孔262が設けられている。
【0069】
このようなスペーサ230b及び240bの構成によれば、レンズ210、211、及び212の研磨面とフランジ234・244と中空部材260内壁とで囲まれるレンズ周辺部の空間S2、S4、S5、S7がフランジ234・244と筒状体236・246外周面235・245と中空部材260内壁とで囲まれる空間S3・S6に連通することになり、レンズ周辺部に滞留するガスをスペーサの内周面内部を介さず直接に外周部周辺に排出することが可能である。
【0070】
また、前記第1の実施の形態と同様に、このようなスペーサ230bや240bの構成によれば、筒状体236・246の内周面231・241内部の空間が、フランジ234・244と筒状体外周面235・245と中空部材260内壁とで囲まれる空間S3・S6と連通することになり、光学部品間の空間にガスが滞留することを防止することができる。
【0071】
さらに、前記第1の実施の形態と同様に、このようなスペーサ230bや240bの構成によれば、筒状体の外周面235・245とフランジ234・244と中空部材260内壁とで囲まれる空間S3・S6が貫通孔261、262を介して中空部材260の外部と連通することになるため、撮像装置200の内部に入り込んだり内部で発生したりした総てのガスを排出することが可能である。
【0072】
なお、前記第1の実施の形態と同様に、図面ではスペーサの両フランジに設けられる切り欠き部の位置が対称の位置に設けられていたが、互いにずれた位置に設けられていてもよい。同様に筒状体に設けられる貫通孔が上下対称な位置に設けられている必要はなく、互いにずれた位置に設けられていてもよい。スペーサの貫通孔の位置と切り欠き部を設ける位置が直角にずれている必要はなく、異なる角度で設けられていてもよい。さらに中空部材に設けられる貫通孔がスペーサの貫通孔と直接対向している必要はなく、互いにずれた位置に設けられていてもよい。要はガスの流通が可能なように空間的に連通していれば充分である。
【0073】
また、上記撮像装置における本発明の構造を第1の実施の形態における照明装置に適用することも、この照明装置における導光部材を上記撮像装置に適用することも可能である。
【0074】
また変形例として、フランジ234、244の外周面に軸方向に延びる溝、あるいは切り欠き部を設けるようにしても同様の効果を奏する。
【0075】
また、切り欠き部233b、243bによって、スペーサ230b、240bの内周面の内部と空間S3、S6とも連通するので、貫通孔232、242を省略するようにしてもよい。
【0076】
以上、本第2の実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の効果を奏する。特に本第2の実施の形態によれば、レンズ周辺部の空間が直接フランジと外周面と中空部材内壁とで囲まれた空間に連通しそこから直接貫通孔を通して外部へ連通するため、短い経路で迅速に内部に発生したり滞留したりしたガスを排出することが可能である。
【0077】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態は、前記第1の実施の形態における撮像装置においてスペーサの変形例に関する。
【0078】
具体的には、上述した第1の実施の形態において(図2等参照)、スペーサ230、240の端部の切り欠き部を設けないようにし、代わりに中空部材260の内周面に、少なくとも空間S1からS8に達するように、軸方向に延びる溝を設けるようにする。他の構成要素については、第1の実施の形態の場合と同様にする。このような溝を貫通孔261、262と連通するように設ける場合、空間S3、S6は省略することが可能である。
【0079】
以上、本第3の実施の形態によれば、前記第2の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、筒状体の内周面内部の空間が中空部材の外部の空間と連通することになり、光学部品間の空間にガスが滞留することを防止することができる。
【0081】
また本発明によれば、光学部品の一面とスペーサと導光路内壁とで囲まれる光学部品周辺部における空間が切り欠き部によって筒状体の内周面内部の空間と連通することになり、光学部品周辺部にガスが滞留することを防止することができる。
【0082】
また本発明によれば、筒状体に設けられた貫通孔と中空部材の貫通孔とは、両者の円周方向の相対位置関係によらず筒状体外周とフランジと中空部材内壁との間の空間を介して常に連通しているので、組立の際に両者の位置関係を気にする必要がなく、組立の容易化を図ることができる。
【0083】
また本発明によれば、光学部品の一面とフランジと導光路内壁とで囲まれる光学部品周辺部の空間がフランジと筒状体外周面と導光路内壁とで囲まれる空間に連通することになり、光学部品周辺部にガスが滞留することを防止することができる。
【0084】
また本発明によれば、光学部品間における空間が貫通孔を介して中空部材の外部と連通するので、光学部品の内部に入り込んだガスが滞留することを防止することが可能である。
【0085】
また本発明によれば、中空部材の内壁で光が反射されても光学部材から収斂した正規の光束のみを通過させることができるので、中空部材の内壁に光を吸収するための表面処理をする必要が無くなる。これによって光学装置内部からのアウトガスを減少させることが可能である。
【0086】
また本発明によれば、導光部材単独で最低限必要な光学部品間を光学的に連結することが可能となり、光路変更のために利用する光学部品の点数を減少させることが可能となる。このため光学部品から必然的に発生するアウトガスを極力減少させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本第1の実施の形態に係る位置合わせ装置の概略構成図である。
【図2】図2は、本第1の実施の形態に係る対物レンズ群の貫通孔を含む拡大断面図である。
【図3】図3は、本第1の実施の形態に係る対物レンズ群の切り欠き部を含む拡大断面図である。
【図4】図4(a)は本第1の実施の形態に係るスペーサ(光学部品保持装置)の正面図、図4(b)はその側面図である。
【図5】図5(a)は本第1の実施の形態に係る絞り部材の正面図、図5(b)はその側面図、図5(c)は図5(a)における中心線断面における断面図である。
【図6】図6は、本第1の実施の形態に係る絞り部材の配置を説明する図である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施の形態に係る対物レンズ群の貫通孔を含む拡大断面図である。
【図8】図8は、本発明の第2の実施の形態に係る対物レンズ群の切り欠き部を含む拡大断面図である。
【図9】図9(a)は本第2の実施の形態に係るスペーサ(光学部品保持装置)の正面図、図9(b)はその側面図である。
【符号の説明】
13…導光部材
30…絞り部材
301…開口部
230、240、230b、240b…スペーサ(光学部品保持装置)
231、241…内周面
232、242…貫通孔(スペーサ)
233、243、233b、243b…切り欠き部
234、244…フランジ
235、245…外周面
236、246…筒状体
260…中空部材
261…貫通孔(中空部材)
【産業上の利用分野】
本発明は、照明装置や撮像装置等、光軸に沿って複数のレンズを配置する光学装置に係り、特に、半導体製造等の真空状態が要求される光学装置に適する構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、照明装置や撮像装置等の光学装置は導光路を形成するレンズ鏡筒内部に複数のレンズを光軸に沿って配置して構成されている。レンズ鏡筒内部において、複数のレンズはそれぞれ保持部材によって間隔をおいて所定の位置に固定されていた。例えば、特開平10−123386号公報はこのような保持部材の構造について開示している(特許文献1)。
【0003】
また構造的制約からレンズ鏡筒内部における光軸の方向が変化せざるを得ない場合には、ミラーやプリズム等の光学部品を適所に配置して光軸方向を変更することが一般的であった。例えば、特開2002−217083号公報には、反射部材を利用して光軸方向を変更する照明装置が開示されている(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−123386号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2002−217083号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
半導体製造装置の分野では、フォトリソグラフィ法による露光工程やイオン注入工程において、マスクとシリコンウェハとを正確に位置合わせするために、位置検出用の照明装置及び撮像装置を用いることがある。露光やイオン注入が実施されるプロセス室は、通常高い真空状態に保たれている必要がある。そのため、まず、プロセス室の真空引きが行われ、必要な真空度に到達してから露光、イオン注入に入る必要がある。
【0007】
ところが、従来の露光工程で利用される光学装置では、内部に閉じられた空間が形成され、その空間内の空気、その他のガスは微小な隙間から徐々にもれ出すということになるため、このような光学装置がプロセス室内にあることにより、プロセス室が所定の真空度に到達するのに長時間を要するという問題があった。さらに、光学部品を接着する接着剤等の有機系物質や導光路の壁面で光が反射されることを防止するために施される表面処理(例えば、黒アルマイト)もガスの発生源となる可能性があった。また、真空引きの最中に生じるレンズ鏡筒内外の気圧の差は、レンズ鏡筒の変形の原因になる場合もあった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、残留ガスを速やかに排気することが可能な光学装置及びそのための光学部品保持装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、中空の導光路内部で複数の光学部品を光軸に沿って所定の距離を隔てて保持する光学部品保持装置において、導光路を形成する中空部材と、導光路の内壁に当接する筒状体を備え、上記中空部材は、複数の光学部品間に、当該中空部材の内周面と外周面とを連通する貫通孔が設けられており、上記筒状体の内周面の端部は保持すべき光学部品の一面と当接し、筒状体の外周面と前記内周面とを連通し、かつ前記中空部材の貫通孔と連通する貫通孔が設けられている光学部品保持装置である。
【0010】
この構成によれば、筒状体の内周面と両側の光学部品とで囲まれた内部の空間が中空部材の外部の空間と連通することになり、光学部品間の空間にガスが滞留することを防止することができる。
【0011】
また、筒状体は、前記内周面の端部の少なくとも一部に切り欠き部が設けられていることが好ましい。上記構成によれば、光学部品の一面と筒状体端面と導光路内壁とで囲まれる光学部品周辺部における空間が切り欠き部によって筒状体の内周面内部の空間と連通することになり、さらに確実に光学部品周辺部にガスが滞留することを防止することができる。
【0012】
また、上述した筒状体は、内周面が導光路の内壁に当接するフランジと、これより外径が小さい部分とを備えていてもよい。この構成によれば、筒状体に設けられた前記貫通孔と中空部材の前記貫通孔とは、両者の円周方向の相対位置関係によらず筒状体外周とフランジと中空部材内壁との間の空間を介して常に連通しているので、組立の際に両者の位置関係を気にする必要がなく、組立の容易化を図ることができる。
【0013】
また、フランジの少なくとも一部に切り欠き部を備えていてもよい。この構成によれば、光学部品の一面とフランジと導光路内壁とで囲まれる光学部品周辺部の空間がフランジと筒状体外周面と導光路内壁とで囲まれる空間に連通することになり、光学部品周辺部にガスが滞留することを防止することができる。
【0014】
ここで、本発明において「導光路」とは中空部材(筒状または柱状)を備え、光軸がその中空部分であって当該筒の軸方向に沿っている筐体によって形成されるものである。その断面が円周形状を呈するか、楕円その他多角形形状を呈するかを問わない。
【0015】
本発明において「筒状体」は内周面において筒状(柱状)を呈し、内周面で規定される中空部分に光軸が通過するものである。その断面が円周形状を呈するか、楕円その他多角形形状を呈するかを問わない。当該「筒状体」の長さは光学部品間の間隙を規定するものである。
【0016】
本発明において「フランジ」は、筒状体の一部を構成し、その外周が導光路内壁に接するが、一部において接していなくてもよい。フランジは筒状体の端面に設けられていても筒状体の中間部に設けられていてもよい。また、フランジは、筒状体の両端面に設けられていても、片側のみに設けられていてもよい。
【0017】
本発明において「切り欠き部」はガスを流通可能ならばその形状は問わない。切り欠き部が大きければ大きいほどガスの流通は容易になるが、強度その他の条件を考えてその形状を定めることが好ましい。
【0018】
また本発明において「一面」とは、光学部品の面を通過する光線に対して光学的な作用を与える面またはそれに続く面であって、必ずしも研磨されていなくてもよい。またこの面は曲面であっても平面であってもよい。
【0019】
また本発明の光学装置は、中空の導光路内部で光学部品を光軸に沿って保持する光学装置において、少なくとも2つの光学部品と、これら少なくとも2つの光学部品を保持する、前記導光路を形成する中空部材と、を備え、中空部材は、少なくとも2つの光学部品間に、当該中空部材の内周面と外周面とを連通する貫通孔が設けられ、光学部品のうち少なくとも1つにより像が収斂する光軸上の位置に、当該収斂した像を結像させるに充分な径を有する開口部が設けられた絞り部材を備えていることを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、光学部品間における空間が貫通孔を介して中空部材の外部と連通するので、光学部品の内部に入り込んだガスが滞留することを防止することが可能である。また、上記構成によれば、中空部材の内壁で光が反射されても光学部材から収斂した正規の光束のみを通過させることができるので、中空部材の内壁に光を吸収するための表面処理をする必要が無くなる。これによって光学装置内部からのアウトガスを減少させることが可能である。
【0021】
また、上述した光学装置は、絞り部材の両側に設けられる光学部品のうち、少なくとも一方の側は複数の光学部品でなり、かつ上述した本発明に係る光学部品保持装置を複数の光学部品間に備えることが好ましい。
【0022】
このような構成によれば、当該光学部品保持装置によって、光学部品周辺部、筒状体の内周面内部、および/または筒状体の外周面とフランジと中空部材内壁とで囲まれる空間が中空部材の外部と連通することになるため、光学装置の内部に入り込んだガスが滞留することを防止することが可能である。
【0023】
さらにまた本発明は、上述した光学部品保持装置において、光軸の方向が変化する部分に、入射光の光軸方向と射出光の光軸方向とを光軸の方向の変化に対応させた単一の導光部材を備えていることを特徴とする光学部品保持装置でもある。
【0024】
さらにまた本発明は、複数の光学部品を光軸に沿って保持する光学装置において、光軸の方向が変化する部分に、入射光の光軸方向と射出光の光軸方向とを光軸の方向の変化に対応させた単一の導光部材を備えていることを特徴とする光学装置でもある。
【0025】
従来であれば、光路を変更するたびに、また、光路が長くなるたびに、ミラー、プリズム、レンズ等の光学部品を配置する必要があったが、上記構成によれば、導光部材単独で最低限必要な光学部品間を光学的に連結することが可能となり、光路変更のために利用する光学部品の点数を減少させることが可能となる。このため光学部品から必然的に発生するアウトガスを極力減少させることが可能となる。
【0026】
ここで、例えば、単一の導光部材は、単一の光ファイバ、あるいは複数の光ファイバを束ねて融着した構造を備えている。この導光部材は、上記した光学部品保持装置や絞り部材、貫通路を中空部材に備えた光学装置等と組み合わせて利用することが可能である。
【0027】
本発明の光学部品保持装置や光学装置は、照明、撮像、サーボ等あらゆる光学系に適用可能であるが、高度の真空が要求される環境における光学系、例えば半導体製造等に用いられる照明装置や撮像装置に組み込んで利用することは好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、半導体製造装置における位置合わせ装置の一部として用いられる照明装置及び撮像装置に本発明を適用したものである。
【0029】
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る位置合わせ装置の概略断面図を示す。図1に示すように、当該位置合わせ装置1は、検出照明装置100及び撮像装置200を備えている。
【0030】
当該位置合わせ装置1は、半導体製造装置における露光工程またはイオン注入工程に使用されるものである。例えば、シリコンウェハW上に形成される半導体チップに対してパターン形成するためのステンシルマスクを正しくウェハW上に位置させるために、所定のアライメントマーク等の対象物OBJに対して検出照明装置100から射出された検出光を撮像装置200が撮像して映像に変換するという構成を備えている。
【0031】
具体的に、検出照明装置100は、画像撮影に適するスペクトラムを有する検出光を画像撮影に適する光量で射出可能に構成され、光源11、集光レンズ12、導光部材13、及び照明レンズ14を備えている。
【0032】
光源11は、画像撮影に適するスペクトラムで発光する光生成手段であり、例えば、ハロゲンランプと反射板を重ねたもの、LED、レーザ装置等によって構成されている。集光レンズ12は、発散光である光源11からの検出光を導光部材13に効率よく光を入射させるように集光するための光学部品である。照明レンズ14は、導光部材13を通過した平行光線をアライメントマーク等の対象物OBJに到達させるための光学部品である。
【0033】
導光部材13は、本発明に係り、集光レンズ12から射出された平行光線を受光し、光の損失無く伝達して照明レンズ14に射出するように構成されている。特に、この導光部材13は、図1に示すように、光軸の方向が変わる光路において光を伝達可能に構成されている。具体的には、導光部材13は、石英ガラスやコーニングガラス等の各種ガラス材料で構成されている。導光部材13の両端面は光量の分布密度が均一になるように研磨面となっていることが好ましい。導光部材13の構造は、高屈折率のガラスで構成された芯部を低屈折率のガラス材料で構成されたクラッドで被覆した光ファイバに準じた構造を備えていることが好ましい。例えば、受光面の面積が比較的小さい光路ならば(例えば、φ3mm以下)単独の上記光ファイバ構造でよいが、受光面の面積がそれより大きいならば多数の上記光ファイバ構造を束ねた多芯構造とすることが好ましい。後者の場合、互いの光ファイバは熱等により相互接着し、接着剤等の有機系溶剤を使用しないで構成されていることが好ましい。また、受光面の面積と射出面の面積とが異なっていてもよい。屈曲した導光部材13を製造するためには、ガラス材料で構成されているこれら光ファイバ構造に熱を加えてから変形させ所望の屈曲構造を設けるようにする。例えば、これらの条件を満たす導光部材13の一例として、株式会社住田光学ガラス製の「ライトロッド コンジット」を使用することが可能である。
【0034】
なお、光源11及び集光レンズ12のみを大気側に配置し、真空チャンバに設けた窓(例えば、石英ガラス製の窓)を挟んでプロセス室側に導光部材13、照明レンズ14を配置するようにしてもよい。
【0035】
撮像装置200は、本発明の光学装置に係り、二次元画像を撮影可能な構造を備えている。すなわち撮像装置200は、CCDカメラとしての構造を備えており、対物レンズ群20、絞り部材(視野絞り)30、リレーレンズ群40、光学フィルタ50、CCDイメージセンサ60、及び受像回路70を備えている。これらの部材は、筐体に相当する中空部材260(詳細は後述する)に収納されている。
【0036】
中空部材260は、単一でもよいし、複数で構成してもよい。本実施の形態では、対物レンズ群20を収納する中空部材、リレーレンズ群40を収納する中空部材、両者間に設けられている中空部材、及びその他が収納される中空部材で構成され、互いに接続される。
【0037】
対物レンズ群20、絞り部材30、及びリレーレンズ群40は、本発明に係る。対物レンズ群20とリレーレンズ群40はレンズの仕様を除き本発明に係る構成は同じであるため、対物レンズ群20の構造のみを後に詳述する。
【0038】
光学フィルタ50は、入力光の不要な情報を取り除くため高い周波数成分を除去可能な構造を備えており、NDフィルタ、着色ガラスフィルタ、干渉フィルタ、帯域通過フィル等の公知の光フィルタを適用可能である。CCDイメージセンサ60は撮像素子であり、入力された光の明暗に比例した電流を画素毎に発生し、全体として二次元画像データを生成することが可能に構成されている。なお、本実施の形態では撮像素子としてCCDイメージセンサを利用するが、これに限定されることはない。例えば、撮像素子としてCCD以外の方式を用いてもよい。また、一次元画像でよい場合は、撮像素子をライン状に並べたラインセンサとしてもよい。受像回路70は、CCDイメージセンサ60から順次送出される信号電荷をライン毎に所定のタイミングで出力可能に構成されている。
【0039】
図2及び図3に、対物レンズ群20の拡大断面図を示す。図2は中空部材260の貫通孔261を含む断面で切断した様子を示しており、図3は図2における切断面と直角に交わる切断面でスペーサ230及び240の切り欠き部233及び243を含む断面で切断した様子を示している。
【0040】
対物レンズ群20は、球面レンズ210、211、及び212を光学部品として備えている。対物レンズ群20の両側には、固定部材220及び250を備えている。球面レンズ210及び211の間にはスペーサ230が、球面レンズ211及び212の間にはスペーサ240が設けられている。
【0041】
球面レンズ210、211、及び212は通常の光学部品であり、球面レンズ以外の公知のレンズを適用してもよい。その表面が曲面を有していなくてもよい。例えば、球面レンズ以外の構造である、球レンズ、非球面レンズ、ロッドレンズ、スラブレンズ等を適用可能である。当該レンズは、色収差補償のためのアクロマートレンズを備えていないことが好ましい。アクロマートレンズを球面レンズと接着するための接着剤からガスが発生することがあるからである。その代わり、本発明では複数のレンズを所定の間隔で配置することによって収差を少なくするようにレンズ群の構成が設計されている。この複数の単レンズによる収差補償用の構成には公知の技術を適用することができる。これにより、接着剤を使用したレンズの使用を不要とすることができる。
【0042】
固定部材220は、対物レンズ群20を内部に収納する中空部材260の端部に一体的に設けられる内向きフランジであり、これが対物レンズ群20の軸方向の位置決め基準としての機能を担う。また、固定部材220の球面レンズ210と接する側の端部の一部には切り欠き部223が設けられている。
【0043】
固定部材250は、端部に位置する球面レンズ212を押さえるための公知の固定部材であり、ねじ切り部222によって中空部材260の内壁のねじ切り部と歯合するようになっている。また、固定部材250の球面レンズ212と接する側の端部の一部には、切り欠き部253が設けられている。固定部材の内周面221・251の端部と球面レンズ210・212の研磨面周辺と中空部材260の内部壁面と囲まれるスペースS1・S8は、切り欠き部223及び253により内周面221・251の内部と連通される。このため、スペースS1・S8内部のガスは切り欠き部223・253を経て容易に排出される。
【0044】
図4(a)に本発明の光学部品保持装置に係るスペーサ230の正面図を、図4(b)にその側面図を示す。スペーサ240の構造もその光軸方向の幅が異なる点を除いてスペーサ230の構造と同様である。
【0045】
当該スペーサ230は、中空部材260の内壁に当接するフランジ234を筒状体236の両側に備えている。筒状体236の内周面231の端部は保持すべき球面レンズ210・211の研磨面と当接するようになっている。内周面231の端部の一部に切り欠き部233が設けられている。当該切り欠き部233はフランジ234の側面に沿って外周方向へ溝状に延びている。また筒状体236には、外周面235と内周面231とを連通する貫通孔232が設けられている。また中空部材260の壁面のうち、スペーサ230における両フランジ234で挟まれ外周面235と対向することになる領域のいずれかに内壁と外部とを連通する貫通孔261が設けられている。同様に、スペーサ240における両フランジ244で挟まれ外周面245と対向することになる領域のいずれかに内壁と外部とを連通する貫通孔262が設けられている。
【0046】
このようなスペーサ230や240の構成によれば、図2に示すように、筒状体236・246の内周面231・241内部の空間が、フランジ234・244と筒状体外周面235・245と中空部材260内壁とで囲まれる空間S3・S6と連通することになり、さらに空間S3、S6は貫通孔261、262を介して中空部材260の外部と連通しているので、光学部品間の空間にガスが滞留することを防止することができる。
【0047】
また、このようなスペーサ230や240の構成によれば、図3に示すように、レンズ210・211・212の研磨面とフランジ234・244と中空部材260の内壁とで囲まれるレンズ周辺部における空間S2、S4、S5、S7が切り欠き部233・243の存在によって筒状体236・246の内周面231・241内部の空間と連通することになり、レンズ周辺部にガスが滞留することを防止することができる。
【0048】
さらに、このようなスペーサ230や240の構成によれば、図2に示すように、光学部品周辺部、筒状体の内周面内部、および/または筒状体の外周面235・245とフランジ234・244と中空部材260内壁とで囲まれる空間S3・S6が中空部材260の外部と連通することになるため、撮像装置200の内部に入り込んだり内部で発生したりしたガスを排出することが可能である。すなわち、切り欠き部233・243により空間S2、S4、S5、S7が内周部231・241内部の空間と連通し、当該内周部231・241内部の空間が貫通孔232・242により空間S3・S6と連通し、これら空間S3・S6が貫通孔261・262により外気と連通するため、内部で発生したガスが悉く外部に排気されることになる。
【0049】
図5(a)に絞り部材(視野絞り)30の正面図を、図5(b)にその側面図を、図5(c)に図5(a)における中心線断面における断面図を示す。
【0050】
本絞り部材30は、レンズ210、211、及び212によって収斂(結像)した像を遮らずにすむ程度に充分な径を有する開口部301が設けられており、その他の部分は光を遮蔽可能な壁面303になっている。当該絞り部材30は外周面302において中空部材260と嵌合するように径が調整されている。図6に示すように、当該絞り部材30は、中空部材260の光軸上において、レンズにより像が収斂(結像)する光軸上の位置Xに配置されるようになっている。
【0051】
なお、図6において、対物レンズ群20、及びリレーレンズ群40は単純化して表しており、同様に中空部材260も一体的に単純化して示している。また、実際には、中空部材260の対物レンズ群20とリレーレンズ群40との間をカバーする部分には、その外周面から内周面に貫通する貫通孔265を複数設けている。これにより、両レンズ群の間の空間も中空部材260の外部と連通されている。
【0052】
絞り部材30の開口部301における絞り径は、撮像装置200の視野の大きさと対物レンズ群20の倍率とにより決定される。視野の大きさはCCDイメージセンサ60に入力するまでの最終倍率とCCDイメージセンサの大きさで決まる。例えば視野の大きさをφ0.2mm、対物レンズの倍率を5倍とすれば、絞り部材に必要とされる絞り径の最小値は、必要とされる視野に対応する像全体が位置Xにおいて結像される大きさφ1mm(=0.2mm×5倍)となり、余裕を考慮してφ1〜2mmの範囲に設定される。
【0053】
このような絞り部材30の構成によれば、図6に示すように、中空部材260の内壁で光が反射されてもレンズ群20から収斂した正規の光束のみを通過させることができるので、中空部材260の内壁に光を吸収するための表面処理(例えば黒アルマイト)をする必要が無くなる。このため、本実施の形態においては、中空部材260の内周面はそのような表面処理はせず、さらにアウトガスの減少を徹底させるため、中空部材260の内周面等の表面粗さを小さくしている。これによって光学装置内部からのアウトガスを減少させることが可能である。
【0054】
なお、スペーサ230、240、固定部材220、250、絞り部材30、中空部材260の各々には種々の材料を用いることができるが、例えば、加工が容易なアルミニウム、またはステンレス鋼を利用可能である。
【0055】
特に中空部材260は、内壁に光吸収用の表面処理を施さないことが好ましい。上記絞り部材30により不要な反射光はリレーレンズ群40には届かないため、内壁を鏡面のままにしておいても問題がなく、かつ、不要なガスの発生を回避できるからである。
【0056】
なお、図面では、スペーサの両フランジに設けられる切り欠き部の位置が対称の位置に設けられていたが、互いにずれた位置に設けられていてもよい。切り欠き部の数についても変更可能である。同様に筒状体に設けられる貫通孔が上下対称な位置に設けられている必要はなく、互いにずれた位置に設けられていてもよい。貫通孔の数についても変更可能である。またスペーサの貫通孔の位置と切り欠き部を設ける位置が直角にずれている必要はなく、異なる角度で設けられていてもよい。さらに中空部材に設けられる貫通孔がスペーサの貫通孔と直接対向している必要はなく、互いにずれた位置に設けられていてもよい。これは、空間S3(S6)があることにより、中空部材260の貫通孔261(262)とスペーサ230(240)の貫通孔232(242)とが直接対向していなくても互いに連通するためである。このような構成とすることにより、組立ての際に貫通孔261(262)と貫通孔232(242)との位置関係を気にする必要がなく、組立作業の容易化が図れる。なお、組立ての際に貫通孔261(262)と貫通孔232(242)とを直接対向するようにすれば、空間S3(S6)は設けなくてもよい。要はガスの流通が可能なように空間的に連通していれば充分である。
【0057】
また、上記撮像装置における本発明の構造を上記照明装置に適用することも、上記照明装置における導光部材を上記撮像装置に適用することも可能である。
【0058】
さらに、固定部材220、250の球面レンズと当接する側の端部に切り欠き部223、253を設けるようにしたが、代わりに、固定部材220、250を軸方向に貫通する貫通孔を設けるようにしてもよい。
【0059】
以上、上記第1の実施の形態のスペーサによれば、筒状体の内周面内部の空間が、中空部材の外部の空間と連通することになり、光学部品間の空間にガスが滞留することを防止することができる。
【0060】
また、本第1の実施の形態のスペーサによれば、レンズの研磨面とフランジと中空部材の内壁とで囲まれるレンズ周辺部における空間が切り欠き部の存在によって筒状体の内周面内部の空間と連通することになり、レンズ周辺部にガスが滞留することを防止することができる。
【0061】
さらに、本第1の実施の形態のスペーサによれば、光学部品周辺部、筒状体の内周面内部、および/または筒状体の外周面とフランジと中空部材内壁とで囲まれる空間が中空部材の外部と連通することになるため、撮像装置の内部に入り込んだり内部で発生したりしたガスを排出することが可能である。
【0062】
本第1の実施の形態の絞り部材によれば、不要な反射光を遮蔽し必要な正規の光像のみを通過させるため、内壁を鏡面のままにしておいても問題がなく、かつ、不要なガスの発生を回避できる。
【0063】
なお、収差の問題がなければ、対物レンズ群20、リレーレンズ群40をそれぞれ1つの単レンズとし、それらの間に絞り部材を配した構成としてもよい。さらに、アクロマートレンズを使用した場合でも、アウトガスの原因となるのはこれに使用される接着剤のみとなるので、中空部材内壁に、例えば黒アルマイト処理をする場合に比較し、アウトガスを低減することが可能であるので、そのような構成にしてもよい。
【0064】
また、本実施の形態のように、絞り部材を設けて、中空部材内周面の黒アルマイト処理を行わなくても、散乱光の影響を除去できるが、このような表面処理のアウトガスの影響を無視してもよければ、本実施形態の対物レンズ群20、リレーレンズ群40の組み合わせと、従来の黒アルマイト等の表面処理がなされた中空部材との組み合わせであっても、多少のアウトガス軽減の効果を得ることができるので、そのような構成にしてもよい。
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態は、前記第1の実施の形態における撮像装置においてスペーサの変形例に関する。
【0065】
図7及び図8に、本実施の形態におけるスペーサ230b及び240bを含む対物レンズ群20の拡大断面図を示す。図7は中空部材260の貫通孔261を含む断面で切断した様子を示しており、図8は図7における切断面と直角に交わる切断面でスペーサ230b及び240bの切り欠き部233b及び243bを含む断面で切断した様子を示している。
【0066】
本対物レンズ群20は、スペーサ230b及び240bにおける切り欠き部233b及び243bの形状を除き前記第1の実施の形態の構成と同様である。
【0067】
図9(a)に本第2の実施の形態に係るスペーサ230bの正面図を、図9(b)にその側面図を示す。スペーサ240bの構造もその光軸方向の幅が異なる点を除いてスペーサ230bの構造と同様である。
【0068】
当該スペーサ230bは、中空部材260の内壁に当接するフランジ234を筒状体236の両側に備えている。筒状体236の内周面231の端部は保持すべき球面レンズ210・211の研磨面と当接するようになっている。内周面231の端部の一部に切り欠き部233が設けられている。特に本第2の実施の形態では、この切り欠き部がフランジ234の厚みよりも深く、図9(b)に示すように、筒状体236の一部に入り込んでいる点で上記第1の実施の形態における切り欠き部と異なる。筒状体236には、外周面235と内周面231とを連通する貫通孔232が設けられている。また中空部材260の壁面のうち、スペーサ230における両フランジ234で挟まれ外周面235と対向することになる領域のいずれかに内壁と外部とを連通する貫通孔261が設けられている。同様に、スペーサ240における両フランジ244で挟まれ外周面245と対向することになる領域のいずれかに内壁と外部とを連通する貫通孔262が設けられている。
【0069】
このようなスペーサ230b及び240bの構成によれば、レンズ210、211、及び212の研磨面とフランジ234・244と中空部材260内壁とで囲まれるレンズ周辺部の空間S2、S4、S5、S7がフランジ234・244と筒状体236・246外周面235・245と中空部材260内壁とで囲まれる空間S3・S6に連通することになり、レンズ周辺部に滞留するガスをスペーサの内周面内部を介さず直接に外周部周辺に排出することが可能である。
【0070】
また、前記第1の実施の形態と同様に、このようなスペーサ230bや240bの構成によれば、筒状体236・246の内周面231・241内部の空間が、フランジ234・244と筒状体外周面235・245と中空部材260内壁とで囲まれる空間S3・S6と連通することになり、光学部品間の空間にガスが滞留することを防止することができる。
【0071】
さらに、前記第1の実施の形態と同様に、このようなスペーサ230bや240bの構成によれば、筒状体の外周面235・245とフランジ234・244と中空部材260内壁とで囲まれる空間S3・S6が貫通孔261、262を介して中空部材260の外部と連通することになるため、撮像装置200の内部に入り込んだり内部で発生したりした総てのガスを排出することが可能である。
【0072】
なお、前記第1の実施の形態と同様に、図面ではスペーサの両フランジに設けられる切り欠き部の位置が対称の位置に設けられていたが、互いにずれた位置に設けられていてもよい。同様に筒状体に設けられる貫通孔が上下対称な位置に設けられている必要はなく、互いにずれた位置に設けられていてもよい。スペーサの貫通孔の位置と切り欠き部を設ける位置が直角にずれている必要はなく、異なる角度で設けられていてもよい。さらに中空部材に設けられる貫通孔がスペーサの貫通孔と直接対向している必要はなく、互いにずれた位置に設けられていてもよい。要はガスの流通が可能なように空間的に連通していれば充分である。
【0073】
また、上記撮像装置における本発明の構造を第1の実施の形態における照明装置に適用することも、この照明装置における導光部材を上記撮像装置に適用することも可能である。
【0074】
また変形例として、フランジ234、244の外周面に軸方向に延びる溝、あるいは切り欠き部を設けるようにしても同様の効果を奏する。
【0075】
また、切り欠き部233b、243bによって、スペーサ230b、240bの内周面の内部と空間S3、S6とも連通するので、貫通孔232、242を省略するようにしてもよい。
【0076】
以上、本第2の実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の効果を奏する。特に本第2の実施の形態によれば、レンズ周辺部の空間が直接フランジと外周面と中空部材内壁とで囲まれた空間に連通しそこから直接貫通孔を通して外部へ連通するため、短い経路で迅速に内部に発生したり滞留したりしたガスを排出することが可能である。
【0077】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態は、前記第1の実施の形態における撮像装置においてスペーサの変形例に関する。
【0078】
具体的には、上述した第1の実施の形態において(図2等参照)、スペーサ230、240の端部の切り欠き部を設けないようにし、代わりに中空部材260の内周面に、少なくとも空間S1からS8に達するように、軸方向に延びる溝を設けるようにする。他の構成要素については、第1の実施の形態の場合と同様にする。このような溝を貫通孔261、262と連通するように設ける場合、空間S3、S6は省略することが可能である。
【0079】
以上、本第3の実施の形態によれば、前記第2の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、筒状体の内周面内部の空間が中空部材の外部の空間と連通することになり、光学部品間の空間にガスが滞留することを防止することができる。
【0081】
また本発明によれば、光学部品の一面とスペーサと導光路内壁とで囲まれる光学部品周辺部における空間が切り欠き部によって筒状体の内周面内部の空間と連通することになり、光学部品周辺部にガスが滞留することを防止することができる。
【0082】
また本発明によれば、筒状体に設けられた貫通孔と中空部材の貫通孔とは、両者の円周方向の相対位置関係によらず筒状体外周とフランジと中空部材内壁との間の空間を介して常に連通しているので、組立の際に両者の位置関係を気にする必要がなく、組立の容易化を図ることができる。
【0083】
また本発明によれば、光学部品の一面とフランジと導光路内壁とで囲まれる光学部品周辺部の空間がフランジと筒状体外周面と導光路内壁とで囲まれる空間に連通することになり、光学部品周辺部にガスが滞留することを防止することができる。
【0084】
また本発明によれば、光学部品間における空間が貫通孔を介して中空部材の外部と連通するので、光学部品の内部に入り込んだガスが滞留することを防止することが可能である。
【0085】
また本発明によれば、中空部材の内壁で光が反射されても光学部材から収斂した正規の光束のみを通過させることができるので、中空部材の内壁に光を吸収するための表面処理をする必要が無くなる。これによって光学装置内部からのアウトガスを減少させることが可能である。
【0086】
また本発明によれば、導光部材単独で最低限必要な光学部品間を光学的に連結することが可能となり、光路変更のために利用する光学部品の点数を減少させることが可能となる。このため光学部品から必然的に発生するアウトガスを極力減少させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本第1の実施の形態に係る位置合わせ装置の概略構成図である。
【図2】図2は、本第1の実施の形態に係る対物レンズ群の貫通孔を含む拡大断面図である。
【図3】図3は、本第1の実施の形態に係る対物レンズ群の切り欠き部を含む拡大断面図である。
【図4】図4(a)は本第1の実施の形態に係るスペーサ(光学部品保持装置)の正面図、図4(b)はその側面図である。
【図5】図5(a)は本第1の実施の形態に係る絞り部材の正面図、図5(b)はその側面図、図5(c)は図5(a)における中心線断面における断面図である。
【図6】図6は、本第1の実施の形態に係る絞り部材の配置を説明する図である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施の形態に係る対物レンズ群の貫通孔を含む拡大断面図である。
【図8】図8は、本発明の第2の実施の形態に係る対物レンズ群の切り欠き部を含む拡大断面図である。
【図9】図9(a)は本第2の実施の形態に係るスペーサ(光学部品保持装置)の正面図、図9(b)はその側面図である。
【符号の説明】
13…導光部材
30…絞り部材
301…開口部
230、240、230b、240b…スペーサ(光学部品保持装置)
231、241…内周面
232、242…貫通孔(スペーサ)
233、243、233b、243b…切り欠き部
234、244…フランジ
235、245…外周面
236、246…筒状体
260…中空部材
261…貫通孔(中空部材)
Claims (8)
- 中空の導光路内部で複数の光学部品を光軸に沿って所定の距離を隔てて保持する光学部品保持装置において、
前記導光路を形成する中空部材と、
前記導光路の内壁に当接する筒状体を備え、
前記中空部材は、前記複数の光学部品間に、当該中空部材の内周面と外周面とを連通する貫通孔が設けられており、
前記筒状体の内周面の端部は保持すべき光学部品の一面と当接し、
前記筒状体の外周面と前記内周面とを連通し、かつ前記中空部材の貫通孔と連通する貫通孔が設けられていることを特徴とする光学部品保持装置。 - 前記筒状体は、前記内周面の端部の少なくとも一部に切り欠き部が設けられている、請求項1に記載の光学部品保持装置。
- 前記筒状体は、前記内周面が前記導光路の内壁に当接するフランジと、これより外径が小さい部分とを備えている、請求項1または2に記載の光学部品保持装置。
- 中空の導光路内部で光学部品を光軸に沿って保持する光学装置において、
少なくとも2つの光学部品と、
前記少なくとも2つの光学部品を保持する、前記導光路を形成する中空部材と、を備え、
前記中空部材は、前記少なくとも2つの光学部品間に、当該中空部材の内周面と外周面とを連通する貫通孔が設けられ、前記光学部品のうち少なくとも1つにより像が収斂する前記光軸上の位置に、当該収斂した像を結像させるに充分な径を有する開口部が設けられた絞り部材を備えていることを特徴とする光学装置。 - 前記絞り部材の両側に設けられる光学部品のうち、少なくとも一方の側は複数の光学部品でなり、かつ請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学部品保持装置を前記複数の光学部品間に備える、請求項4に記載の光学装置。
- 複数の光学部品を光軸に沿って保持する光学装置において、
前記光軸の方向が変化する部分に、入射光の光軸方向と射出光の光軸方向とを前記光軸の方向の変化に対応させた単一の導光部材を備えていることを特徴とする光学装置。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学部品保持装置において、
前記光軸の方向が変化する部分に、入射光の光軸方向と射出光の光軸方向とを前記光軸の方向の変化に対応させた単一の導光部材を備えている光学部品保持装置。 - 請求項4又は5に記載の光学装置において、
前記光軸の方向が変化する部分に、入射光の光軸方向と射出光の光軸方向とを前記光軸の方向の変化に対応させた単一の導光部材を備えている光学装置。
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JP2010186157A (ja) * | 2009-01-15 | 2010-08-26 | Hoya Corp | 鏡枠部材、及び鏡枠部材の表面加工方法 |
JP2015143652A (ja) * | 2014-01-31 | 2015-08-06 | オムロン株式会社 | 光学計測装置用のセンサヘッド |
-
2002
- 2002-08-30 JP JP2002256017A patent/JP2004093977A/ja active Pending
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