JP2004093776A - カメラ - Google Patents

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Toshiaki Maeda
前田 敏彰
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Abstract

【課題】至近側の被写体と遠距離側の被写体とが共存する場合でも撮影者が意図する被写体にフォーカシングするようにしたカメラを得る。
【解決手段】ズームレンズ2はレンズユニット1の画角を変更する。フォーカスレンズ3は焦点位置を調節する。ズームモータ4はズームレンズ2を光軸方向に進退駆動する。ズームモータドライバ5はズームモータ4に駆動信号を出力する。フォーカスモータ6はフォーカスレンズ3を光軸方向に進退駆動する。フォーカスモータドライバ7はフォーカスモータ6に駆動信号を出力する。撮像素子10は被写体像を撮像して撮像信号を出力する。焦点評価値演算器9は焦点検出に用いる撮像信号から焦点評価値を演算する。合焦制御回路8は焦点評価値を極大値に近づけるようにフォーカスレンズ駆動指令を出力する。合焦制御回路8は、AF選択スイッチ13からの操作信号により、フォーカスレンズ3を駆動する方向を切り換える。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オートフォーカスカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
CCDなどの撮像素子を用いて被写体像を撮像し、撮像素子から出力される撮像信号に基づいて撮影レンズによる焦点位置の調節状態を検出するカメラの焦点検出装置が知られている。中でも山登り方式と呼ばれる焦点検出方法は、レンズを合焦位置に対して前後に進退させながら、撮像信号が有する周波数の高域成分のデータ、すなわち、焦点評価値が極大値をとるように合焦位置を検出する。この方式を用いて撮像領域内にあらかじめ用意される焦点検出用領域に対応する撮像信号から合焦位置を検出し、検出された合焦位置が複数存在する場合には、カメラに対して最至近の合焦位置を当該カメラの合焦位置とする焦点検出アルゴリズムがある。カメラの至近側に位置する被写体は主要被写体である可能性が高いので、最至近の合焦位置に撮影レンズを駆動すると、主要被写体にピントが合う確率が高くなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、至近側の被写体が必ずしも撮影者が意図する被写体とは限らない場合がある。とくに、焦点検出用領域内に近距離の被写体と遠距離の被写体とが含まれて競合する場合には、撮影者が遠距離側の被写体にピントを合わせたいにもかかわらず、カメラは近距離側の被写体にピントを合わせてしまう。
【0004】
本発明の目的は、フォーカシングレンズの駆動方向を指示する操作信号と焦点評価値とに応じてフォーカシングレンズ駆動信号を出力するようにしたカメラを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によるカメラは、撮影レンズを通して被写体像を撮像する撮像素子と、撮像素子から出力される撮像信号を用いて焦点評価値を演算する評価値演算回路と、フォーカシングレンズを移動させるための駆動信号を出力する駆動信号出力回路と、フォーカシングレンズの移動方向を至近側もしくは遠距離側のいずれかに指示するための操作信号を出力する操作部材と、操作部材からの操作信号と評価値演算回路による焦点評価値とに応じて駆動信号を出力するように駆動信号出力回路を制御する制御回路とを備えることにより、上述した目的を達成する。
上記制御回路は、操作信号によって指示される方向であって評価値演算回路により演算される焦点評価値の極大値に対応する位置にフォーカシングレンズを移動させる駆動信号を出力するように駆動信号出力回路を制御することもできる。上記カメラはさらに、評価値演算回路によって演算された焦点評価値をフォーカシングレンズの位置に対応して記憶する記憶回路を備えてもよい。この場合の制御回路は、操作信号によって指示される方向であって記憶回路に記憶されている焦点評価値の極大値に対応する位置にフォーカシングレンズを移動させる駆動信号を出力するように駆動信号出力回路を制御することもできる。また、制御回路は、操作信号によって指示される方向であって記憶回路に記憶されている焦点評価値の極大値に対応する位置にフォーカシングレンズを移動させる第1の駆動信号と、評価値演算回路により演算される焦点評価値の極大値に対応する位置にフォーカシングレンズをさらに移動させる第2の駆動信号とを順に出力するように駆動信号出力回路を制御することもできる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第一の実施の形態)
図1は、本発明の第一の実施の形態によるオートフォーカスカメラの焦点検出装置の概要を示すブロック図である。図1において、オートフォーカスカメラは、レンズユニット1と、ズームモータ4と、ズームモータドライバ5と、フォーカスモータ6と、フォーカスモータドライバ7と、合焦制御回路8と、焦点評価値演算器9と、撮像素子10と、レリーズスイッチ11と、ズーム操作スイッチ12と、AF選択スイッチ13とを有する。
【0007】
レンズユニット1は、ズームレンズ2およびフォーカスレンズ3を含む。ズームレンズ2は、レンズユニット1の焦点距離を変化させて画角を変更し、被写体像を変倍させるレンズである。フォーカスレンズ3は、レンズユニット1を通過した被写体像を撮像素子10の撮像面上に結像させるように、焦点位置を調節するレンズである。ズームモータ4は、ズームレンズ2を光軸方向に進退駆動する。ズームモータドライバ5は、ズームモータ4に対する駆動信号を生成して出力する。フォーカスモータ6は、フォーカスレンズ3を光軸方向に進退駆動する。フォーカスモータドライバ7は、フォーカスモータ6に対する駆動信号を生成して出力する。
【0008】
撮像素子10は、レンズユニット1を通過した被写体像を撮像し、各画素に対応する撮像信号を出力する。撮像素子10の各画素に対応して出力される撮像信号は、各画素に入射される光の強さに応じてその信号レベルが異なる。焦点評価値演算器9は、撮像素子10から出力される撮像信号のうち、焦点検出に用いる撮像信号から高周波成分を抽出して焦点評価値を演算する。具体的には、撮像信号をバンドパスフィルタに通して撮像信号から所望の周波数成分を抽出し、抽出された信号の絶対値を積分することにより焦点評価値を得る。
【0009】
図2は、第一の実施の形態によるカメラで撮像される被写体の例を示す図である。図2において、手前の柵ごしに人物が撮像されている。画面中央の枠21は、焦点評価値を演算するための焦点検出用領域を示す。この焦点検出用領域21内の撮像信号を用いて演算された焦点評価値と被写体距離との関係を表すと、図3のような複数の山が現れる。図3において、横軸はカメラから被写体までの距離を表し、縦軸は当該被写体に対応する撮像信号による焦点評価値を表す。
【0010】
一般に、人物の顔や肌などは構造物に比べてコントラストが低いので、人物に対応する撮像信号の高周波成分は構造物に対応する撮像信号の高周波成分より少なくなる。このため、焦点評価値の山に含まれる極大値は、人物に対応する極大値31よりも柵などの構造物に対応する極大値32の方が大きな値を有する。カメラが最至近の被写体に合焦させる至近優先オートフォーカスモードに設定されている場合や、最も大きな焦点評価値に対応する被写体に合焦させる最大値優先オートフォーカスモードに設定されている場合に図2の被写体に対して焦点検出を行わせると、合焦制御回路8は、柵に対応する極大値32を含む焦点評価値の山に関して合焦制御を行う。
【0011】
合焦制御回路8は、焦点評価値演算器9によって演算される焦点評価値を極大値32に近づけるように、すなわち、撮像素子10によって撮像される柵の像のエッジのボケをなくしてコントラストを最大にするように、フォーカスモータドライバ7に対してフォーカスレンズ駆動指令を出力する。合焦制御回路8は、フォーカスレンズ3を図3の遠距離方向に駆動して焦点評価値が減少すると、フォーカスレンズ3を至近方向に駆動する。また、合焦制御回路8は、フォーカスレンズ3を至近方向に駆動して焦点評価値が減少すると、フォーカスレンズ3を遠距離方向に駆動する。つまり、合焦制御回路8は、フォーカスレンズ3を焦点評価値の極大値32を挟んで至近方向と遠距離方向とに交互に駆動しながら、フォーカスレンズ3を合焦位置に移動させる。この場合の合焦位置とは、柵の像を撮像素子10の撮像面上に結像させるフォーカスレンズ3の位置のことである。フォーカスレンズ3が合焦位置に移動されたとき、焦点評価値は極大値32をとる。このようなオートフォーカス方式は、山登り方式と呼ばれる。
【0012】
合焦制御回路8には、ズーム操作スイッチ12からのズーム操作信号、レリーズスイッチ11からのレリーズ操作信号、およびAF選択スイッチ13からAF選択操作信号がそれぞれ入力される。合焦制御回路8はさらに、ズーム操作スイッチ12からのズーム操作信号に応じて、ズームモータドライバ5に対してズームレンズ駆動指令を出力する。ここでいうズーム操作とは、光学的にズーム倍率を変更するための操作である。AF選択操作とは、カメラの合焦制御の対象となる被写体を、至近方向側もしくは遠距離方向側に変更するための操作である。
【0013】
ズーム操作スイッチ12およびAF選択スイッチ13は、たとえば、十字スイッチにより構成される。図4は、十字スイッチの一例を示す図である。スイッチのWIDE側41を押すとズーム倍率を下げる操作信号が出力され、スイッチのTELE側42を押すとズーム倍率を上げる操作信号が出力される。スイッチのFAR側43を押すと遠距離側の被写体に変更する操作信号が出力され、スイッチのNEAR側44を押すと至近側の被写体に変更する操作信号が出力される。
【0014】
第一の実施の形態によるオートフォーカスカメラには、シングル・オートフォーカス(S−AF)モードとコンティニュアス・オートフォーカス(C−AF)モードとが用意されている。シングル・オートフォーカスモードは、合焦制御回路8がレリーズスイッチ11からの半押し操作信号を受けて焦点検出処理を行い、フォーカスレンズ3を合焦位置へ移動させると焦点検出処理を終了する動作モードである。コンティニュアス・オートフォーカスモードは、焦点検出処理が常に繰り返し行われる動作モードである。本実施の形態では、オートフォーカスカメラがシングル・オートフォーカスモードに設定されている場合の動作に特徴があるので、シングル・オートフォーカスモードを中心に説明する。
【0015】
なお、通常のシングル・オートフォーカスモードにおける焦点検出処理は、カメラに対して最至近となる被写体に合焦させる至近優先オートフォーカス処理を行うものとする。この場合、上述した図2の被写体に対して焦点検出処理を行うと、カメラは手前の柵にピント合わせを行って焦点検出処理を終了する。本発明は、ある被写体(ここでは、手前の柵)に合焦された状態から、別の他の被写体(ここでは、遠方の人物)に対して合焦制御を行うようにしたものである。第一の実施の形態では、柵に合焦した状態で遠距離側の被写体に変更する操作信号が入力されると、合焦制御回路8は、人物に対応する極大値31を含む焦点評価値の山に関して合焦制御を行う。
【0016】
合焦制御回路8で行われる処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。図5による処理は、遠距離側の被写体に変更する操作信号が合焦制御回路8に入力されると起動する。図5のステップS11において、合焦制御回路8は、カメラが合焦停止中か否かを判定する。たとえば、上述した柵などの至近の被写体に合焦して焦点検出処理を停止している場合、合焦制御回路8はステップS11を肯定判定してステップS12へ進む。この場合は、手前の柵に代えて遠方の人物に合焦させる場合である。
【0017】
一方、カメラが合焦停止していない場合、合焦制御回路8は、ステップS11を否定判定してステップS17へ進む。この場合は、パンニングされた被写体に対して初めて焦点検出処理を行わせる場合である。ステップS17において、合焦制御回路8は、上述した通常のシングル・オートフォーカスモードによる焦点検出処理、すなわち、至近優先オートフォーカス処理を行い、図5による処理を終了する。
【0018】
ステップS12において、合焦制御回路8は、フォーカスレンズ3の位置が遠距離端の位置(無限端)であるか否かを判定する。フォーカスレンズ3の位置情報は、フォーカスモータ6の回転動作をフォーカスレンズ3の進退動作に変換する不図示のフォーカス制御機構からレンズ位置を示す情報を入力して取得する。合焦制御回路8は、フォーカスレンズ3の位置が無限端のとき、ステップS12を肯定判定してステップS18へ進む。一方、合焦制御回路8は、フォーカスレンズ3の位置が無限端でないとき、ステップS12を否定判定してステップS13へ進む。
【0019】
ステップS13において、合焦制御回路8は、フォーカスモータドライバ7に対して指令を出力し、フォーカスレンズ3を遠方側にステップ移動させる。合焦制御回路8は、フォーカスレンズ3をステップ移動させるとステップS14へ進む。ステップS14において、合焦制御回路8は、焦点評価値演算器9で演算された焦点評価値を取り込むとともに、上述したフォーカス制御機構(不図示)からレンズ位置情報を取得してステップS15へ進む。
【0020】
ステップS15において、合焦制御回路8は、焦点評価値が極値か否かを判定する。合焦制御回路8は、焦点評価値が極大値の場合にステップS15を肯定判定してステップS16へ進み、極大値でない場合にステップS15を否定判定してステップS12へ戻る。ステップS16へ進む場合は、焦点評価値の山が存在する場合であり、ステップS12へ戻る場合は、焦点評価値の山がない場合である。ステップS16において、合焦制御回路8は、合焦動作を停止して図5による処理を終了する。
【0021】
上述したステップS12で肯定判定されて進むステップS18において、合焦制御回路8は、フォーカスレンズ3を無限端点で停止させ、図5による処理を終了する。この場合は、合焦停止していた被写体と別の遠方側の被写体に合焦することなく処理を終了する。
【0022】
以上説明した第一の実施の形態によるオートフォーカスカメラでは、至近優先オートフォーカス処理によって至近側の柵に対するピント合わせが行われた後から、十字スイッチをFAR側43に操作するだけの簡単な操作によって柵より遠距離側の人物に対してピント合わせを行うようにした。これにより、至近側の被写体と遠距離側の被写体とが焦点検出用領域に共存する場合に、撮影者が意図する方の被写体にピント合わせを行うことが可能になる。
【0023】
以上の説明では、至近優先オートフォーカス処理によって至近側の柵に対するピント合わせが行われた後から、柵より遠距離側の人物に対するピント合わせを行う例を説明した。上述した例とは反対に、人物に対するピント合わせが行われた後から、人物より至近側の柵に対するピント合わせを行うようにしてもよい。この場合には、フォーカスレンズ3を至近方向にステップ移動して別の被写体による焦点評価値の山(極大値)を探すようにすればよい。至近側の方向に評価値の山を探すか、遠距離側の方向に評価値の山を探すかの切り換えは、上述した十字スイッチをNEAR側44に操作するか、FAR側43に操作するかによって行う。
【0024】
(第二の実施の形態)
第二の実施の形態は、フォーカスレンズ3を移動させながら焦点評価値の山(極大値)を探すのではなく、あらかじめフォーカスレンズ3の全位置に対応して焦点評価値を記憶しておき、記憶されている焦点評価値のデータから山を探すものである。第二の実施の形態による合焦制御回路8で行われる処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。図6は、焦点評価値を記憶する処理の流れを説明するフローチャートである。図6による処理は、遠距離側の被写体に変更する操作信号が合焦制御回路8に入力されると起動する。
【0025】
図6のステップS101において、合焦制御回路8は、フォーカスモータドライバ7に対して指令を出力し、フォーカスレンズ3をサーチ開始位置へ移動させる。サーチ開始位置は至近端の位置である。合焦制御回路8は、フォーカスレンズ3をサーチ開始位置へ移動させるとステップS102へ進む。
【0026】
ステップS102において、合焦制御回路8は、フォーカスレンズ3の位置が無限端であるか否かを判定する。合焦制御回路8は、フォーカスレンズ3の位置が無限端のとき、ステップS102を肯定判定してステップS106へ進む。一方、合焦制御回路8は、フォーカスレンズ3の位置が無限端でないとき、ステップS102を否定判定してステップS103へ進む。
【0027】
ステップS103において、合焦制御回路8は、フォーカスモータドライバ7に対して指令を出力し、フォーカスレンズ3を遠方側にステップ移動させる。合焦制御回路8は、フォーカスレンズ3をステップ移動させるとステップS104へ進む。ステップS104において、合焦制御回路8は、焦点評価値演算器9で演算された焦点評価値を取り込むとともに、上述したフォーカス制御機構(不図示)からレンズ位置情報を取得してステップS105へ進む。
【0028】
ステップS105において、合焦制御回路8は、焦点評価値をフォーカスレンズ3の位置に対応づけて合焦制御回路8内の不図示のメモリに記憶し、ステップS102へ戻る。これにより、フォーカスレンズ3が再び駆動され、新たなレンズ位置で焦点評価値が演算および記憶される。
【0029】
上述したステップS102で肯定判定されて進むステップS106において、合焦制御回路8は、フォーカスレンズ3を無限端点で停止させ、図7のステップS107へ進む。図7は、遠距離側の極大値を探索する処理を示すフローチャートである。ステップS107において、合焦制御回路8は、合焦制御回路8内の不図示のメモリに記憶されている焦点評価値の極大値を探す処理を行ってステップS108へ進む。
【0030】
ステップS108において、合焦制御回路8は、遠距離側の被写体に変更する操作信号が入力された時点のフォーカスレンズ3の位置より遠方側に、焦点評価値の山の候補となる極大値が無いか否かを判定する。合焦制御回路8は、極大値が無い場合にステップS108を肯定判定してステップS111へ進み、極大値がある場合にステップS108を否定判定してステップS109へ進む。ステップS111へ進む場合は、低コントラストや低輝度状態などで山が検出されない場合である。
【0031】
ステップS109において、合焦制御回路8は、極大値に対応づけられているフォーカスレンズ3の位置が最至近のもの選び、この最至近のフォーカスレンズ3の位置を目標位置としてステップS110へ進む。極大値が1つの場合はその極大値に対応するフォーカスレンズ3の位置を目標位置にする。
【0032】
ステップS110において、合焦制御回路8は、フォーカスモータドライバ7に対して指令を出力し、フォーカスレンズ3を上記目標位置に移動させる。これにより、図7による処理を終了する。
【0033】
上述したステップS108で肯定判定されて進むステップS111において、合焦制御回路8は、所定位置(たとえば、2m)をフォーカスレンズ3の目標位置に定めてステップS110へ進む。
【0034】
以上説明したように第二の実施の形態によれば、第一の実施の形態と同様に、至近優先オートフォーカス処理によって至近側の柵に対するピント合わせが行われた後から、柵より遠距離側の人物に対するピント合わせを行うことができる。さらに、フォーカスレンズ3の至近側から遠距離側の全位置に対応して焦点評価値をメモリに記憶したので、ピント合わせの対象となる被写体を変える場合に焦点評価値を新たに演算する必要がない。
【0035】
以上の説明では、至近優先オートフォーカス処理によって至近側の柵に対するピント合わせが行われた後から、柵より遠距離側の人物に対するピント合わせを行う例を説明した。上述した例とは反対に、人物に対するピント合わせが行われた後から、人物より至近側の柵に対するピント合わせを行うようにしてもよい。この場合には、前回読み出された焦点評価値よりも1つ至近側に対応する焦点評価値を新たにメモリから読み出して別の被写体による焦点評価値の山を探すようにすればよい。至近側の方向に評価値の山を探すか、遠距離側の方向に評価値の山を探すかの切り換えは、上述した十字スイッチをNEAR側44に操作するか、FAR側43に操作するかによって行う。
【0036】
図8は、評価値の山を探す方向を選択し、選択した方向に極大値を探索する処理を説明するフローチャートである。図8による処理は、図7による処理に代えて行う。図8のステップS201において、合焦制御回路8は、合焦制御回路8内の不図示のメモリに記憶されている焦点評価値の極大値を探す処理を行う。合焦制御回路8は、十字スイッチから操作信号が入力された時点のフォーカスレンズ3の位置より遠方側(FAR側43の操作信号が入力された場合)、もしくは至近側(NEAR側44の操作信号が入力された場合)に、焦点評価値の山の候補となる極大値があるか否かを判定する。合焦制御回路8は、極大値が無い場合にステップS201を否定判定してステップS204へ進み、極大値がある場合にステップS201を肯定判定してステップS202へ進む。ステップS204へ進む場合は、低コントラストや低輝度状態などで山が検出されない場合である。
【0037】
ステップS202において、合焦制御回路8は、選択方向に位置する1つ目の極大値(隣の極大値)に対応づけられているフォーカスレンズ3の位置を目標位置としてステップS203へ進む。極大値が1つの場合はその極大値に対応するフォーカスレンズ3の位置を目標位置にする。
【0038】
ステップS203において、合焦制御回路8は、フォーカスモータドライバ7に対して指令を出力し、フォーカスレンズ3を上記目標位置に移動させる。これにより、図8による処理を終了する。
【0039】
上述したステップS201で否定判定されて進むステップS204において、合焦制御回路8は、選択方向の端点をフォーカスレンズ3の目標位置に定めてステップS203へ進む。選択方向の端点は、選択方向が至近側の場合は至近端、遠方側の場合は無限端である。
【0040】
(第三の実施の形態)
第二の実施の形態でフォーカスレンズ3を目標位置へ移動してから、すなわち、図7のステップS110の次において、焦点評価値を新たに演算し直してもよい。焦点評価値を新たに演算することで、最新の撮像信号を用いて合焦動作を行うことができる。
【0041】
新たに演算した焦点評価値が減少した場合、フォーカスレンズ3を至近方向もしくは遠方方向へステップ移動させ、さらに焦点評価値を演算するとよい。この場合には、焦点評価値が減少した場合にフォーカスレンズ3を反対方向にステップ移動させ、焦点評価値が増加した場合にフォーカスレンズ3の移動を停止させる。この結果、人物が動いている場合でも、人物に正しくピント合わせを行うことができる。
【0042】
以上説明した第一の実施の形態〜第三の実施の形態では、至近優先オートフォーカス処理によって至近側の柵に対するピント合わせが行われた後から、柵より遠距離側の人物に対するピント合わせを行う例を説明した。この代わりに、最大値優先オートフォーカス処理によってピント合わせが行われた後から、合焦されている被写体と異なる別の被写体にピント合わせを行うようにしてもよい。至近側の方向に評価値の山を探すか、遠距離側の方向に評価値の山を探すかの切り換えは、上述した十字スイッチをNEAR側44に操作するか、FAR側43に操作するかによって行う。
【0043】
上述した説明では、オートフォーカスディジタルスチルカメラを例にあげて説明したが、山登り方式の焦点検出装置を有するカメラであれば、ビデオカメラや銀塩カメラなどにも本発明を適用することができる。
【0044】
特許請求の範囲における各構成要素と、発明の実施の形態における各構成要素との対応について説明する。評価値演算回路は、たとえば、焦点評価値演算器9によって構成される。駆動信号出力回路は、たとえば、フォーカスモータドライバ7によって構成される。操作部材7は、たとえば、AF選択スイッチ13(十字スイッチのNEAR側44およびFAR側43)によって構成される。制御回路、記憶回路は、たとえば、合焦制御回路8によって構成される。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【0045】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によれば、フォーカシングレンズの移動方向を指示する操作信号と焦点評価値とに応じてフォーカシングレンズの駆動信号を出力するようにしたので、至近側の被写体と遠距離側の被写体とが共存する場合でも撮影者が意図する被写体にフォーカシングできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態によるオートフォーカスカメラの焦点検出装置の概要を示すブロック図である。
【図2】カメラで撮像される被写体の例を示す図である。
【図3】焦点評価値と被写体距離との関係を表す図である。
【図4】十字スイッチの一例を示す図である。
【図5】第一の実施の形態における遠距離側の被写体を探索する処理の流れを説明するフローチャートである。
【図6】第二の実施の形態における焦点評価値を記憶する処理の流れを説明するフローチャートである。
【図7】第二の実施の形態における遠距離側の被写体を探索する処理の流れを説明するフローチャートである。
【図8】選択方向に応じて被写体を探索する処理の流れを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…レンズユニット、        2…ズームレンズ、
3…フォーカスレンズ、       4…ズームモータ、
5…ズームモータドライバ、          6…フォーカスモータ、
7…フォーカスモータドライバ、   8…合焦制御回路、
9…焦点評価値演算器、      10…撮像素子、
11…レリーズスイッチ、      12…ズーム操作スイッチ、
13…AF選択スイッチ

Claims (4)

  1. 撮影レンズを通して被写体像を撮像する撮像素子と、
    前記撮像素子から出力される撮像信号を用いて焦点評価値を演算する評価値演算回路と、
    フォーカシングレンズを移動させるための駆動信号を出力する駆動信号出力回路と、
    前記フォーカシングレンズの移動方向を至近側もしくは遠距離側のいずれかに指示するための操作信号を出力する操作部材と、
    前記操作部材からの操作信号と前記評価値演算回路による焦点評価値とに応じて駆動信号を出力するように前記駆動信号出力回路を制御する制御回路とを備えることを特徴とするカメラ。
  2. 請求項1に記載のカメラにおいて、
    前記制御回路は、前記操作信号によって指示される方向であって前記評価値演算回路により演算される焦点評価値の極大値に対応する位置に前記フォーカシングレンズを移動させる駆動信号を出力するように前記駆動信号出力回路を制御することを特徴とするカメラ。
  3. 請求項1に記載のカメラにおいて、
    前記評価値演算回路によって演算された焦点評価値を前記フォーカシングレンズの位置に対応して記憶する記憶回路をさらに備え、
    前記制御回路は、前記操作信号によって指示される方向であって前記記憶回路に記憶されている焦点評価値の極大値に対応する位置に前記フォーカシングレンズを移動させる駆動信号を出力するように前記駆動信号出力回路を制御することを特徴とするカメラ。
  4. 請求項1に記載のカメラにおいて、
    前記評価値演算回路によって演算された焦点評価値を前記フォーカシングレンズの位置に対応して記憶する記憶回路をさらに備え、
    前記制御回路は、前記操作信号によって指示される方向であって前記記憶回路に記憶されている焦点評価値の極大値に対応する位置に前記フォーカシングレンズを移動させる第1の駆動信号と、前記評価値演算回路により演算される焦点評価値の極大値に対応する位置に前記フォーカシングレンズをさらに移動させる第2の駆動信号とを順に出力するように前記駆動信号出力回路を制御することを特徴とするカメラ。
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