JP2004093725A - 表示装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】所望の反射率の色表現ができ、且つ、従来よりも高コントラスト化された表示装置及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】複数のキャビティ(空隙)6aを有するシート基材6と、キャビティ6aに配されて電界との相互作用により運動する、表面が少なくとも二色に色分けされた二色回転粒子(表示粒子)3と、キャビティ6aに封入された透光性液体7とを備え、シート基材6の色と、二色回転粒子3の一色とがほぼ同じ色であることを特徴とする表示装置による。
【選択図】 図1
【解決手段】複数のキャビティ(空隙)6aを有するシート基材6と、キャビティ6aに配されて電界との相互作用により運動する、表面が少なくとも二色に色分けされた二色回転粒子(表示粒子)3と、キャビティ6aに封入された透光性液体7とを備え、シート基材6の色と、二色回転粒子3の一色とがほぼ同じ色であることを特徴とする表示装置による。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面が少なくとも二色に色分けされた表示用粒子を電界との相互作用で運動させ、表示を行う表示装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シートに印加する電界を変化させることにより、シートの光学的吸収特性や反射特性を変化させて像表示を行うシート状表示装置が提案されている。そのようなシート状表示装置は、電子ペーパ、ペーパライクディスプレイ、デジタルペーパ等と呼ばれている。
【0003】
この従来例に係るシート状表示装置としては、特願昭62−244679に記載の、電気泳動粒子を分散させた溶媒を着色し、この溶媒を内包してなるカプセルを使用するものや、特願平7−343133に記載の、色と電気的特性との双方が異なる半球を合わせた回転体を内包したマイクロカプセルを使用するものがある。また、2色性色素とスメクチック液晶を含む液晶/高分子膜も提案されている。
【0004】
上述の各シート状表示装置は、電源が無くても像情報を保持できるメモリ性を有するうえ、紙と同様に反射光で像を表示する反射型表示装置であるため、紙の代替物として期待されている。しかも、これらの表示装置は、電極が形成されたPET(polyethylene terephtalate)フィルム上に素子を塗布することで作製されるため、薄くて、軽く、曲げることが可能な表示装置である。
【0005】
特に、米国特許4,126,854号及び同4,143,103号に記載の、半球づつを別々の色と帯電特性とに分けた二色回転粒子を使用するシート状表示装置は、他の方式に比べて優れたコントラスト特性を示すディスプレイとして知られている。このディスプレイは、二色回転粒子を透明なシート基材のキャビティ内に配し、電界を印加することで二色回転粒子の回転運動や電気泳動を引き起こし、粒子の一方の色を選択的に表示するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
その二色回転粒子を使用するシート状表示装置は、所望の反射率の色表現ができるのが好ましく、また、従来よりも更に高コントラスト化されるのが好ましい。
【0007】
本発明は係る従来例の問題点に鑑みて創作されたものであり、所望の反射率の色表現ができ、且つ、従来よりも高コントラスト化された表示装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した課題は、複数の空隙を有するシート基材と、前記空隙中に配されて電界との相互作用により運動する、表面が少なくとも二色に色分けされた表示粒子と、前記空隙に封入された透光性液体とを備え、前記シート基材の色と、前記表示粒子の一色とがほぼ同じ色であることを特徴とする表示装置によって解決する。
【0009】
次に、本発明の作用について説明する。
【0010】
本発明によれば、シート基材の色を表示粒子の一色とほぼ同じ色にしたので、シート基材が透明である従来例と比較して、高コントラストの表示が行われる。なお、色がほぼ同じであるとは、シート基材の反射濃度が、表示粒子の一色の反射濃度の0.5〜2倍であることを言う。
【0011】
また、表示粒子を白色部と黒色部との二色の領域に色分けし、シート基材の色を白色にすることで、シート基材の反射率が高くなり、紙の表現に極めて近い、所望の反射率の色表現ができる表示装置が提供される。
【0012】
或いは、表示粒子を白色部と、黒色部又は緑色部との二色の領域に色分けし、シート基材の色を黒色又は緑色にすることで、シート基材の反射率が減少し、教育用の黒板のような表現が得られる。
【0013】
そして、シート基材を顔料で着色する場合は、その顔料の粒径を1μm以下とすることで、シート基材の空隙形成が阻害されるのを防止できる。
【0014】
なお、表示粒子として白色部と黒色部との二色に色分けされたものを用いる場合は、表示粒子の直径に等しい厚さのシート基材を仮想したとき、該シート基材の反射率が、表示粒子の黒色部の反射率と白色部の反射率との間の値であるのが好ましい。そのようなシート基材によれば、表示粒子がシート基材に隠蔽されて見え難くなるのが防止される。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係るシート状表示装置の断面図である。このシート状表示装置は、キャビティ(空隙)6aが多数形成されたシート基材6を備え、そのキャビティ6a内には、二色回転粒子(表示用粒子)3が配されると共に、シリコーンオイル等の透光性液体7が封入される。
【0017】
そして、このシート基材6を挟むようにして、光学的に透明なPETよりなる第1フィルム1及び第2フィルム4が設けられる。これらの第1、第2フィルム1、4上には、光学的に透明なITOよりなる第1、第2電極2、5が形成され、電源11で発生した電圧がこれらの電極2、5に印加されて、各電極2、5間に電界が生じる。
【0018】
二色回転粒子3は、白色部3aと黒色部3bとの二色の領域に色分けされているが、各部3a、3bに別々の材料を使用することで、二色回転粒子3表面のζ電位が各部3a、3bで異なることになる。そのような電気的特性の異方性により、二色回転粒子3は、電界との相互作用によって回転運動若しくは電気泳動し、観測者に対して白色部3aの白色や黒色部3bの黒色を選択的に表示することになる。
【0019】
図2(a)〜(c)は、二色回転粒子3の種々の状態を示す断面図である。図2(a)は、電界を印加する前に白色部3aが観測者側に向いている場合を示す。そして、図2(b)は電界印加中の場合を示し、図2(c)は、電界印加によって二色回転粒子3の向きが反転して黒色部3bが観測者側に向いた場合を示す。
【0020】
本願発明者は、上記のようなシート状表示装置において、シート基材6の反射率や反射濃度がどのような場合に高いコントラスト表示が行われるのかを調査した。その調査結果を図3に示す。
【0021】
この調査においては、下地にアルミニウム金属を敷いた厚さが200μmのシート基材6を使用した。そして、二色回転粒子3は変えずに、シート基材6単体での反射率と反射濃度とを種々変えた場合に、シート基材6と二色回転粒子3とを合わせた反射率、即ち表示装置の反射率がどのように変化するかが測定された。
【0022】
なお、反射率測定と反射濃度測定では、測色計マクベス製Spectroeyeを用い、D65光源2度視野で測定した。
【0023】
そして、このときの二色回転粒子3としては、白色部3aの反射率が55%で反射濃度が0.26、黒色部3bの反射率が1%で反射濃度が2.00のものを用いた。
【0024】
図3より明らかなように、コントラストは、シート基材6として従来例に係る無色透明なものを使用した場合に4.4:1と最も低くなった。一方、シート基材6として二色回転粒子3のいずれか一方の色(白、黒)と同色のものを使用すると、シート基材6が無色透明な場合よりも高いコントラスト(5〜15:1)が得られることが判明した。なお、シート基材6や二色回転粒子3の色は、目視により判断した。
【0025】
よって、例えばシート基材6の色を二色回転粒子3の白色部3aに合わせて白色にすることで、コントラストが向上し、且つシート基材6の反射率が向上して、紙の表現に極めて近い表示装置を提供することが可能となる。
【0026】
高いコントラスト表示を得るには、シート基材6の色が二色回転粒子3の一色(白又は黒)と同色であるのが好ましいが、正確に同色である必要はなく、ほぼ同色であればよい。本明細書において、ほぼ同色とは、図3の最右欄にあるように、シート基材6と二色回転粒子3の各反射濃度の比が0.5〜2:1であることを言う。これは、換言すれば、シート基材6の反射濃度が、表示粒子の一色の反射濃度の0.5〜2倍であるとも言える。
【0027】
また、シート基材6の色と二色回転粒子3の一色を共に黒色や緑色にし、二色回転粒子3の他の一色を白色にすることで、シート基材6の反射率が減少し、コントラストの高い表示が行えるようになる。そのような表示装置は、例えば、教育用の黒板等に適用し得る。
【0028】
次に、上記した表示装置の製造方法について、図4〜図6を参照して説明する。
【0029】
まず、図4(a)に示すように、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルキルエーテル等の低分子量のオレフィン重合体及び共重合体等の樹脂を融点近傍の温度まで加熱し、その樹脂に着色剤を混練したものを圧延して、白色シート3cと黒色シート3dとを別々に作製する。白色シート3c用の着色剤としては、例えば、酸化チタン、マイカ、炭酸カルシウム等の白色顔料が使用され、黒色シート3d用の着色剤としては、例えば、カーボンブラック、マグネタイト等の黒色顔料や、黒色染料が使用される。場合によっては、樹脂中に帯電制御剤や界面活性剤等の添加剤を必要量添加してもよい。
【0030】
次いで、図4(b)に示すように、白色シート3cと黒色シート3dとを加熱し、それらを軟化させて張り合わせ、積層体8とする。
【0031】
続いて、図4(c)に示すように、積層体8をカッター等により裁断し、顆粒9を複数作成する。
【0032】
次に、図5(a)に示すように、顆粒9を適当な液体10中に投入する。
【0033】
その後、図5(b)に示すように、顆粒9のガラス転移点または融点近くの温度まで液体10を加熱することで、顆粒9が軟化して自身の表面張力により球形化し、二色回転粒子3が完成する。
【0034】
二色回転粒子3の製造方法は上記に限定されない。上記に代えて、白色樹脂と黒色樹脂を張り合わせながら繊維状にし、それを円筒状に切断して熱処理により球形化する方法を用いてもよい。又は、コアとなる球形粒子に色の異なるコート層を半円ずつ被覆して二色回転粒子3を製造してよよい。
【0035】
或いは、着色した樹脂やワックスを合一化して球形化することにより二色回転粒子3を製造してもよい。この場合の樹脂としては、上記と同様のものが使用される。また、ワックスとしては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸類、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カリウム、パルミチン酸亜鉛等の高級脂肪酸金属塩類、水添ヒマシ油、ココア脂、メチルヒドロキシステアレート、グリセロールモノヒドロキシステアレート等の高級脂肪酸の誘導体類、木ロウ、密ロウ、カルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等のワックス類が使用される。
【0036】
又は、着色したガラス粒子等の球の半円に別の色の材料(塗料や蒸着膜)を塗布して二色回転粒子3を製造してもよい。
【0037】
次に、図6(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。まず、常温で硬化するRTV(Room Temperature Vulcanizing)シリコーンゴムを、二色回転粒子3の一色(白色又は黒色)に着色する。着色するには、透明なRTVシリコーンゴムに白色や黒色の顔料を分散させるか、予め着色されたRTVシリコーンゴムと透明なゴムとを混合する。或いは、油溶性染料等を用いて着色してもよい。
【0038】
そして、着色したRTVシリコーンゴムと上記の二色回転粒子3とを重量比1:1で混合して圧延する。その後、そのRTVシリコーンゴムを室温で硬化させることで、図6(a)に示すような、硬化したRTVシリコーンゴムよりなるシート基材6中に二色回転粒子3が分散した構造が得られる。
【0039】
続いて、そのシート基材6をシリコーンオイル等の透光性液体中に浸漬して膨潤させることにより、図6(b)に示すように、二色回転粒子3の周囲に透光性液体7が入り込み、キャビティ6aが形成される。
【0040】
このとき、シート基材6を着色する顔料の径があまり大きすぎると、その顔料の周りにも透光性液体7が入り込み、キャビティ6aの形成を阻害する恐れがある。そのため、顔料の粒径は、二色回転粒子3の粒径の1/100〜1/10以下、好ましくは1μm以下であるのが好ましい。
【0041】
また、その顔料の誘電率がシート基材6の誘電率と大きく異なると、顔料において電界が吸収されたり、顔料の近傍で電界が曲がってしまうことで、二色回転粒子3の運動を引き起こすのに大きな電界が必要となったり、二色回転粒子3の運動がばらつく恐れがある。よって、顔料としては、誘電率がRTVシリコーンゴムの誘電率にできるだけ近く、帯電性が低いものを使用するのが好ましい。帯電性が低くない顔料に対しては、その表面に帯電制御基を付ける等して、帯電性を低くする処理を施すのが好ましい。上記のような顔料を適宜選択し、その量を調節することで、図3の最左欄のような様々な反射率を呈するシート基材6が得られる。
【0042】
但し、シート基材6をより一層白色にしようとしてその反射率をあまり上げすぎると、混合した顔料やゴムの影響で二色回転粒子3の挙動が不安定になるため、白色に着色したシート基材6単体での反射率は50%以下に抑えるのが好ましい。同様の理由により、シート基材6を黒色に着色する場合も、シート基材6単体での反射率を2%以上にするのが好ましい。
【0043】
更に、シート基材6があまりに白すぎたり、或いは黒すぎたりすると、二色回転粒子3がシート基材6に隠蔽されて見え難くなってしまう恐れがある。これを防ぐため、二色回転粒子3の直径に等しい厚さのシート基材6を仮想したとき、該シート基材6の反射率が、二色回転粒子3の黒色部3bの反射率と白色部3aの反射率との間の値であるのが好ましい。
【0044】
次に、図6(c)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0045】
まず、PETよりなる第1フィルム1上にITO膜を形成し、それをパターニングすることで、第1電極2を形成する。同様に、PETよりなる第2フィルム4上に第2電極5としてITO膜を形成する。その後、これら第1、第2フィルム1、4をシート基材6の両主面上に貼り付けることで、図1に示す表示装置が完成する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、シート基材6の色を二色回転粒子3の一色とほぼ同じ色にすることで、コントラストの高い表示装置を提供することが可能となる。
【0047】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0048】
(1)第1実施例
本実施例は、図3の▲2▼のサンプルを作製したものである。
【0049】
まず、ポリエステルに白色用顔料(酸化チタン)を10wt%の割合で加熱、混練し、それを圧延して白色シート3c(図4(a))とした。また、ポリエステルに黒色用顔料(カーボンブラック)を2wt%の割合で加熱、混練し、それを圧延して黒色シート3dとした。
【0050】
その後、白色シート3cと黒色シート3dとを張り合わせながら延伸し、積層体8(図4(b))を得た。そして、その積層体8をカットして顆粒9にし、それをシリコーンオイルよりなる液体10(図5(a))内に投入して、液体10を120℃に加熱することで顆粒9が球形化し、直径100μmの二色回転粒子3(図5(b))が得られた。
【0051】
これとは別に、透明な2液性シリコーンゴムKE109(信越化学製)と、白色の2液性シリコーンゴムKE1223(信越化学製)とをそれぞれ重量比で98wt%、2wt%で混合してなる液を作製した。そして、その液と二色回転粒子3とを重量比で1:1の割合で混合し、それをシート状にした後、室温で48時間放置して硬化させることにより、二色回転粒子3を含有した白色のシート状基材6(図6(a))を得た。その白色のシート状基材6の反射率は、二色回転粒子3を含有しない単体の場合、30%となった。
【0052】
そして、そのシート状基材6を、シリコーンオイルSH200、20cS(東レダウコーニングシリコーン社製)中に60時間浸け込むことにより、シート基材6を膨潤させてキャビティ6a(図6(b))を形成すると共に、シリコーンオイルSH200、20cSよりなる透光性液体7でキャビティ6aの中を満たした。
【0053】
その後、ITOよりなる第1、第2電極2、5(図6(c))が形成された第1、第2フィルム1、4でシート状基材6を挟み、表示装置(図1)を完成させた。
【0054】
続いて、完成した表示装置の各電極2、5に交流電力を印加し、二色回転粒子3を1Hz、50V/mmの交流電界に曝して、二色回転粒子3を回転させた。その結果、二色回転粒子3の白色部3aが表示側に向いている場合、表示装置の反射率が38%となり、後述の比較例より高い反射率を実現することができ、より紙に近い表現を行うことができた。また、コントラストも6.9:1となり、比較例よりも高いコントラストが得られた。
【0055】
(2)第2実施例
本実施例は、図3の▲7▼のサンプルを作製したものである。
【0056】
まず、第1実施例と同様の方法で二色回転粒子3を作製した。
【0057】
そして、これとは別に、透明な2液性シリコーンゴムKE109(信越化学製)を重量比で90wt%と、黒色の3液性シリコーンゴムKE1217(信越化学製)10wt%とを混合してなる液を作製した。そして、その液と二色回転粒子3とを重量比で1:1の割合で混合し、それをシート状にした後、室温で48時間放置して硬化させることにより、二色回転粒子3を含有した黒色のシート状基材6(図6(a))を得た。その黒色のシート状基材6の反射率は、二色回転粒子3を含有しない単体の場合、2%となった。
【0058】
そして、そのシート状基材6を、シリコーンオイルSH200、20cS(東レダウコーニングシリコーン社製)中に60時間浸けこむことにより、シート基材6を膨潤させてキャビティ6a(図6(b))を形成すると共に、シリコーンオイルSH200、20cSよりなる透光性液体7でキャビティ6aの中を満たした。
【0059】
その後、ITOよりなる第1、第2電極2、5が形成された第1、第2フィルム1、4でシート状基材6を挟み、表示装置(図1)を完成させた。
【0060】
続いて、完成した表示装置の各電極2、5(図6(c))に交流電力を印加し、二色回転粒子3を1Hz、50V/mmの交流電界に曝して、二色回転粒子3を回転させた。その結果、二色回転粒子3の黒色部3bが表示側に向いている場合、表示装置の反射率が1%未満となり、後述の比較例より更に黒い表示を行うことができ、コントラスト15:1を実現できた。
【0061】
(3)比較例
本比較例は、図3の従来例に係る▲1▼のサンプルを作製したものである。
【0062】
上記各実施例と同じ二色回転粒子3を用い、透明な2液性シリコーンゴムKE109(信越化学製)のみを用いて透明なシート基材6を作製し、表示を行ったところ、二色回転粒子3の白色部3aが表示側を向いているときのシート基材6の反射率は22%となり、黒色部3bが向いているときの反射率は5%となって、上記各実施例よりも低いコントラスト(4.4:1)となった。
【0063】
以下に、本発明の特徴を付記する。
【0064】
(付記1) 複数の空隙を有するシート基材と、
前記空隙中に配されて電界との相互作用により運動する、表面が少なくとも二色に色分けされた表示粒子と、
前記空隙に封入された透光性液体とを備え、
前記シート基材の色と、前記表示粒子の一色とがほぼ同じ色であることを特徴とする表示装置。
【0065】
(付記2) 前記シート基材の反射濃度は、前記表示粒子の一色の反射濃度の0.5〜2倍であることを特徴とする付記1に記載の表示装置。
【0066】
(付記3) 前記表示粒子は、白色部と黒色部との二色の領域に色分けされており、
前記シート基材は白色であることを特徴とする付記1又は付記2に記載の表示装置。
【0067】
(付記4) 前記表示粒子は、白色部と、黒色部又は緑色部との二色の領域に色分けされており、
前記シート基材は、黒色又は緑色であることを特徴とする付記1又は付記2に記載の表示装置。
【0068】
(付記5) 前記シート基材が顔料で着色されたことを特徴とする付記1乃至付記4のいずれかに記載の表示装置。
【0069】
(付記6) 前記顔料の粒径が1μm以下であることを特徴とする付記5に記載の表示装置。
【0070】
(付記7) 前記表示粒子は、白色部と黒色部との二色の領域に色分けされており、
前記表示粒子の直径と同じ厚さの前記シート基材の反射率が、前記表示粒子の黒色部の反射率と白色部の反射率との間の値であることを特徴とする付記1乃至付記6のいずれかに記載の表示装置。
【0071】
(付記8) 表面が少なくとも二色に色分けされた表示粒子を作製する工程と、
前記表示粒子を含有し、且つ、該表示粒子の一色とほぼ同じ色に着色されたシート基材を作製する工程と、
前記表示粒子の周囲の前記シート基材に空隙を形成し、該空隙に透光性液体を封入する工程と、
を有することを特徴とする表示装置の製造方法。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、シート基材の色を二色回転粒子(表示用粒子)の一色とほぼ同じ色にすることで、コントラストの高い表示装置を提供することが可能となる。
【0073】
また、二色回転粒子を白色部と黒色部との二色に色分けし、シート基材の色を白色にすることで、紙の表現に極めて近い表示装置を提供することができる。
【0074】
更に、二色回転粒子を、白色部と、黒色部又は緑色部との二色の領域に色分けし、シート基材の色を黒色又は緑色にすることで、教育用の黒板のような表現を得ることができる。
【0075】
そして、シート基材を着色する顔料の粒径を1μm以下とすることで、シート基材の空隙形成が阻害されるのを防止できる。
【0076】
また、表示粒子の直径に等しい厚さのシート基材を仮想したとき、該シート基材の反射率が、表示粒子の黒色部の反射率と白色部の反射率との間の値であると、表示粒子がシート基材に隠蔽されて見え難くなるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る表示装置の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る表示装置の表示状態について示す断面図。
【図3】本発明の実施の形態に係る表示装置のコントラストと反射濃度比についての調査結果である。
【図4】本発明の実施の形態に係る表示装置の製造工程について示す図(その1)である。
【図5】本発明の実施の形態に係る表示装置の製造工程について示す図(その2)である。
【図6】本発明の実施の形態に係る表示装置の製造工程について示す図(その3)である。
【符号の説明】
1…第1フィルム、2…第1電極、3…二色回転粒子、3a…白色部、3b…黒色部、3c…白色シート、3d…黒色シート、4…第2フィルム、5…第2電極、6…シート基材、6a…キャビティ、7…透光性液体、8…積層体、9…顆粒、10…液体、11…電源。
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面が少なくとも二色に色分けされた表示用粒子を電界との相互作用で運動させ、表示を行う表示装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シートに印加する電界を変化させることにより、シートの光学的吸収特性や反射特性を変化させて像表示を行うシート状表示装置が提案されている。そのようなシート状表示装置は、電子ペーパ、ペーパライクディスプレイ、デジタルペーパ等と呼ばれている。
【0003】
この従来例に係るシート状表示装置としては、特願昭62−244679に記載の、電気泳動粒子を分散させた溶媒を着色し、この溶媒を内包してなるカプセルを使用するものや、特願平7−343133に記載の、色と電気的特性との双方が異なる半球を合わせた回転体を内包したマイクロカプセルを使用するものがある。また、2色性色素とスメクチック液晶を含む液晶/高分子膜も提案されている。
【0004】
上述の各シート状表示装置は、電源が無くても像情報を保持できるメモリ性を有するうえ、紙と同様に反射光で像を表示する反射型表示装置であるため、紙の代替物として期待されている。しかも、これらの表示装置は、電極が形成されたPET(polyethylene terephtalate)フィルム上に素子を塗布することで作製されるため、薄くて、軽く、曲げることが可能な表示装置である。
【0005】
特に、米国特許4,126,854号及び同4,143,103号に記載の、半球づつを別々の色と帯電特性とに分けた二色回転粒子を使用するシート状表示装置は、他の方式に比べて優れたコントラスト特性を示すディスプレイとして知られている。このディスプレイは、二色回転粒子を透明なシート基材のキャビティ内に配し、電界を印加することで二色回転粒子の回転運動や電気泳動を引き起こし、粒子の一方の色を選択的に表示するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
その二色回転粒子を使用するシート状表示装置は、所望の反射率の色表現ができるのが好ましく、また、従来よりも更に高コントラスト化されるのが好ましい。
【0007】
本発明は係る従来例の問題点に鑑みて創作されたものであり、所望の反射率の色表現ができ、且つ、従来よりも高コントラスト化された表示装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した課題は、複数の空隙を有するシート基材と、前記空隙中に配されて電界との相互作用により運動する、表面が少なくとも二色に色分けされた表示粒子と、前記空隙に封入された透光性液体とを備え、前記シート基材の色と、前記表示粒子の一色とがほぼ同じ色であることを特徴とする表示装置によって解決する。
【0009】
次に、本発明の作用について説明する。
【0010】
本発明によれば、シート基材の色を表示粒子の一色とほぼ同じ色にしたので、シート基材が透明である従来例と比較して、高コントラストの表示が行われる。なお、色がほぼ同じであるとは、シート基材の反射濃度が、表示粒子の一色の反射濃度の0.5〜2倍であることを言う。
【0011】
また、表示粒子を白色部と黒色部との二色の領域に色分けし、シート基材の色を白色にすることで、シート基材の反射率が高くなり、紙の表現に極めて近い、所望の反射率の色表現ができる表示装置が提供される。
【0012】
或いは、表示粒子を白色部と、黒色部又は緑色部との二色の領域に色分けし、シート基材の色を黒色又は緑色にすることで、シート基材の反射率が減少し、教育用の黒板のような表現が得られる。
【0013】
そして、シート基材を顔料で着色する場合は、その顔料の粒径を1μm以下とすることで、シート基材の空隙形成が阻害されるのを防止できる。
【0014】
なお、表示粒子として白色部と黒色部との二色に色分けされたものを用いる場合は、表示粒子の直径に等しい厚さのシート基材を仮想したとき、該シート基材の反射率が、表示粒子の黒色部の反射率と白色部の反射率との間の値であるのが好ましい。そのようなシート基材によれば、表示粒子がシート基材に隠蔽されて見え難くなるのが防止される。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係るシート状表示装置の断面図である。このシート状表示装置は、キャビティ(空隙)6aが多数形成されたシート基材6を備え、そのキャビティ6a内には、二色回転粒子(表示用粒子)3が配されると共に、シリコーンオイル等の透光性液体7が封入される。
【0017】
そして、このシート基材6を挟むようにして、光学的に透明なPETよりなる第1フィルム1及び第2フィルム4が設けられる。これらの第1、第2フィルム1、4上には、光学的に透明なITOよりなる第1、第2電極2、5が形成され、電源11で発生した電圧がこれらの電極2、5に印加されて、各電極2、5間に電界が生じる。
【0018】
二色回転粒子3は、白色部3aと黒色部3bとの二色の領域に色分けされているが、各部3a、3bに別々の材料を使用することで、二色回転粒子3表面のζ電位が各部3a、3bで異なることになる。そのような電気的特性の異方性により、二色回転粒子3は、電界との相互作用によって回転運動若しくは電気泳動し、観測者に対して白色部3aの白色や黒色部3bの黒色を選択的に表示することになる。
【0019】
図2(a)〜(c)は、二色回転粒子3の種々の状態を示す断面図である。図2(a)は、電界を印加する前に白色部3aが観測者側に向いている場合を示す。そして、図2(b)は電界印加中の場合を示し、図2(c)は、電界印加によって二色回転粒子3の向きが反転して黒色部3bが観測者側に向いた場合を示す。
【0020】
本願発明者は、上記のようなシート状表示装置において、シート基材6の反射率や反射濃度がどのような場合に高いコントラスト表示が行われるのかを調査した。その調査結果を図3に示す。
【0021】
この調査においては、下地にアルミニウム金属を敷いた厚さが200μmのシート基材6を使用した。そして、二色回転粒子3は変えずに、シート基材6単体での反射率と反射濃度とを種々変えた場合に、シート基材6と二色回転粒子3とを合わせた反射率、即ち表示装置の反射率がどのように変化するかが測定された。
【0022】
なお、反射率測定と反射濃度測定では、測色計マクベス製Spectroeyeを用い、D65光源2度視野で測定した。
【0023】
そして、このときの二色回転粒子3としては、白色部3aの反射率が55%で反射濃度が0.26、黒色部3bの反射率が1%で反射濃度が2.00のものを用いた。
【0024】
図3より明らかなように、コントラストは、シート基材6として従来例に係る無色透明なものを使用した場合に4.4:1と最も低くなった。一方、シート基材6として二色回転粒子3のいずれか一方の色(白、黒)と同色のものを使用すると、シート基材6が無色透明な場合よりも高いコントラスト(5〜15:1)が得られることが判明した。なお、シート基材6や二色回転粒子3の色は、目視により判断した。
【0025】
よって、例えばシート基材6の色を二色回転粒子3の白色部3aに合わせて白色にすることで、コントラストが向上し、且つシート基材6の反射率が向上して、紙の表現に極めて近い表示装置を提供することが可能となる。
【0026】
高いコントラスト表示を得るには、シート基材6の色が二色回転粒子3の一色(白又は黒)と同色であるのが好ましいが、正確に同色である必要はなく、ほぼ同色であればよい。本明細書において、ほぼ同色とは、図3の最右欄にあるように、シート基材6と二色回転粒子3の各反射濃度の比が0.5〜2:1であることを言う。これは、換言すれば、シート基材6の反射濃度が、表示粒子の一色の反射濃度の0.5〜2倍であるとも言える。
【0027】
また、シート基材6の色と二色回転粒子3の一色を共に黒色や緑色にし、二色回転粒子3の他の一色を白色にすることで、シート基材6の反射率が減少し、コントラストの高い表示が行えるようになる。そのような表示装置は、例えば、教育用の黒板等に適用し得る。
【0028】
次に、上記した表示装置の製造方法について、図4〜図6を参照して説明する。
【0029】
まず、図4(a)に示すように、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルキルエーテル等の低分子量のオレフィン重合体及び共重合体等の樹脂を融点近傍の温度まで加熱し、その樹脂に着色剤を混練したものを圧延して、白色シート3cと黒色シート3dとを別々に作製する。白色シート3c用の着色剤としては、例えば、酸化チタン、マイカ、炭酸カルシウム等の白色顔料が使用され、黒色シート3d用の着色剤としては、例えば、カーボンブラック、マグネタイト等の黒色顔料や、黒色染料が使用される。場合によっては、樹脂中に帯電制御剤や界面活性剤等の添加剤を必要量添加してもよい。
【0030】
次いで、図4(b)に示すように、白色シート3cと黒色シート3dとを加熱し、それらを軟化させて張り合わせ、積層体8とする。
【0031】
続いて、図4(c)に示すように、積層体8をカッター等により裁断し、顆粒9を複数作成する。
【0032】
次に、図5(a)に示すように、顆粒9を適当な液体10中に投入する。
【0033】
その後、図5(b)に示すように、顆粒9のガラス転移点または融点近くの温度まで液体10を加熱することで、顆粒9が軟化して自身の表面張力により球形化し、二色回転粒子3が完成する。
【0034】
二色回転粒子3の製造方法は上記に限定されない。上記に代えて、白色樹脂と黒色樹脂を張り合わせながら繊維状にし、それを円筒状に切断して熱処理により球形化する方法を用いてもよい。又は、コアとなる球形粒子に色の異なるコート層を半円ずつ被覆して二色回転粒子3を製造してよよい。
【0035】
或いは、着色した樹脂やワックスを合一化して球形化することにより二色回転粒子3を製造してもよい。この場合の樹脂としては、上記と同様のものが使用される。また、ワックスとしては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸類、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カリウム、パルミチン酸亜鉛等の高級脂肪酸金属塩類、水添ヒマシ油、ココア脂、メチルヒドロキシステアレート、グリセロールモノヒドロキシステアレート等の高級脂肪酸の誘導体類、木ロウ、密ロウ、カルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等のワックス類が使用される。
【0036】
又は、着色したガラス粒子等の球の半円に別の色の材料(塗料や蒸着膜)を塗布して二色回転粒子3を製造してもよい。
【0037】
次に、図6(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。まず、常温で硬化するRTV(Room Temperature Vulcanizing)シリコーンゴムを、二色回転粒子3の一色(白色又は黒色)に着色する。着色するには、透明なRTVシリコーンゴムに白色や黒色の顔料を分散させるか、予め着色されたRTVシリコーンゴムと透明なゴムとを混合する。或いは、油溶性染料等を用いて着色してもよい。
【0038】
そして、着色したRTVシリコーンゴムと上記の二色回転粒子3とを重量比1:1で混合して圧延する。その後、そのRTVシリコーンゴムを室温で硬化させることで、図6(a)に示すような、硬化したRTVシリコーンゴムよりなるシート基材6中に二色回転粒子3が分散した構造が得られる。
【0039】
続いて、そのシート基材6をシリコーンオイル等の透光性液体中に浸漬して膨潤させることにより、図6(b)に示すように、二色回転粒子3の周囲に透光性液体7が入り込み、キャビティ6aが形成される。
【0040】
このとき、シート基材6を着色する顔料の径があまり大きすぎると、その顔料の周りにも透光性液体7が入り込み、キャビティ6aの形成を阻害する恐れがある。そのため、顔料の粒径は、二色回転粒子3の粒径の1/100〜1/10以下、好ましくは1μm以下であるのが好ましい。
【0041】
また、その顔料の誘電率がシート基材6の誘電率と大きく異なると、顔料において電界が吸収されたり、顔料の近傍で電界が曲がってしまうことで、二色回転粒子3の運動を引き起こすのに大きな電界が必要となったり、二色回転粒子3の運動がばらつく恐れがある。よって、顔料としては、誘電率がRTVシリコーンゴムの誘電率にできるだけ近く、帯電性が低いものを使用するのが好ましい。帯電性が低くない顔料に対しては、その表面に帯電制御基を付ける等して、帯電性を低くする処理を施すのが好ましい。上記のような顔料を適宜選択し、その量を調節することで、図3の最左欄のような様々な反射率を呈するシート基材6が得られる。
【0042】
但し、シート基材6をより一層白色にしようとしてその反射率をあまり上げすぎると、混合した顔料やゴムの影響で二色回転粒子3の挙動が不安定になるため、白色に着色したシート基材6単体での反射率は50%以下に抑えるのが好ましい。同様の理由により、シート基材6を黒色に着色する場合も、シート基材6単体での反射率を2%以上にするのが好ましい。
【0043】
更に、シート基材6があまりに白すぎたり、或いは黒すぎたりすると、二色回転粒子3がシート基材6に隠蔽されて見え難くなってしまう恐れがある。これを防ぐため、二色回転粒子3の直径に等しい厚さのシート基材6を仮想したとき、該シート基材6の反射率が、二色回転粒子3の黒色部3bの反射率と白色部3aの反射率との間の値であるのが好ましい。
【0044】
次に、図6(c)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0045】
まず、PETよりなる第1フィルム1上にITO膜を形成し、それをパターニングすることで、第1電極2を形成する。同様に、PETよりなる第2フィルム4上に第2電極5としてITO膜を形成する。その後、これら第1、第2フィルム1、4をシート基材6の両主面上に貼り付けることで、図1に示す表示装置が完成する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、シート基材6の色を二色回転粒子3の一色とほぼ同じ色にすることで、コントラストの高い表示装置を提供することが可能となる。
【0047】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0048】
(1)第1実施例
本実施例は、図3の▲2▼のサンプルを作製したものである。
【0049】
まず、ポリエステルに白色用顔料(酸化チタン)を10wt%の割合で加熱、混練し、それを圧延して白色シート3c(図4(a))とした。また、ポリエステルに黒色用顔料(カーボンブラック)を2wt%の割合で加熱、混練し、それを圧延して黒色シート3dとした。
【0050】
その後、白色シート3cと黒色シート3dとを張り合わせながら延伸し、積層体8(図4(b))を得た。そして、その積層体8をカットして顆粒9にし、それをシリコーンオイルよりなる液体10(図5(a))内に投入して、液体10を120℃に加熱することで顆粒9が球形化し、直径100μmの二色回転粒子3(図5(b))が得られた。
【0051】
これとは別に、透明な2液性シリコーンゴムKE109(信越化学製)と、白色の2液性シリコーンゴムKE1223(信越化学製)とをそれぞれ重量比で98wt%、2wt%で混合してなる液を作製した。そして、その液と二色回転粒子3とを重量比で1:1の割合で混合し、それをシート状にした後、室温で48時間放置して硬化させることにより、二色回転粒子3を含有した白色のシート状基材6(図6(a))を得た。その白色のシート状基材6の反射率は、二色回転粒子3を含有しない単体の場合、30%となった。
【0052】
そして、そのシート状基材6を、シリコーンオイルSH200、20cS(東レダウコーニングシリコーン社製)中に60時間浸け込むことにより、シート基材6を膨潤させてキャビティ6a(図6(b))を形成すると共に、シリコーンオイルSH200、20cSよりなる透光性液体7でキャビティ6aの中を満たした。
【0053】
その後、ITOよりなる第1、第2電極2、5(図6(c))が形成された第1、第2フィルム1、4でシート状基材6を挟み、表示装置(図1)を完成させた。
【0054】
続いて、完成した表示装置の各電極2、5に交流電力を印加し、二色回転粒子3を1Hz、50V/mmの交流電界に曝して、二色回転粒子3を回転させた。その結果、二色回転粒子3の白色部3aが表示側に向いている場合、表示装置の反射率が38%となり、後述の比較例より高い反射率を実現することができ、より紙に近い表現を行うことができた。また、コントラストも6.9:1となり、比較例よりも高いコントラストが得られた。
【0055】
(2)第2実施例
本実施例は、図3の▲7▼のサンプルを作製したものである。
【0056】
まず、第1実施例と同様の方法で二色回転粒子3を作製した。
【0057】
そして、これとは別に、透明な2液性シリコーンゴムKE109(信越化学製)を重量比で90wt%と、黒色の3液性シリコーンゴムKE1217(信越化学製)10wt%とを混合してなる液を作製した。そして、その液と二色回転粒子3とを重量比で1:1の割合で混合し、それをシート状にした後、室温で48時間放置して硬化させることにより、二色回転粒子3を含有した黒色のシート状基材6(図6(a))を得た。その黒色のシート状基材6の反射率は、二色回転粒子3を含有しない単体の場合、2%となった。
【0058】
そして、そのシート状基材6を、シリコーンオイルSH200、20cS(東レダウコーニングシリコーン社製)中に60時間浸けこむことにより、シート基材6を膨潤させてキャビティ6a(図6(b))を形成すると共に、シリコーンオイルSH200、20cSよりなる透光性液体7でキャビティ6aの中を満たした。
【0059】
その後、ITOよりなる第1、第2電極2、5が形成された第1、第2フィルム1、4でシート状基材6を挟み、表示装置(図1)を完成させた。
【0060】
続いて、完成した表示装置の各電極2、5(図6(c))に交流電力を印加し、二色回転粒子3を1Hz、50V/mmの交流電界に曝して、二色回転粒子3を回転させた。その結果、二色回転粒子3の黒色部3bが表示側に向いている場合、表示装置の反射率が1%未満となり、後述の比較例より更に黒い表示を行うことができ、コントラスト15:1を実現できた。
【0061】
(3)比較例
本比較例は、図3の従来例に係る▲1▼のサンプルを作製したものである。
【0062】
上記各実施例と同じ二色回転粒子3を用い、透明な2液性シリコーンゴムKE109(信越化学製)のみを用いて透明なシート基材6を作製し、表示を行ったところ、二色回転粒子3の白色部3aが表示側を向いているときのシート基材6の反射率は22%となり、黒色部3bが向いているときの反射率は5%となって、上記各実施例よりも低いコントラスト(4.4:1)となった。
【0063】
以下に、本発明の特徴を付記する。
【0064】
(付記1) 複数の空隙を有するシート基材と、
前記空隙中に配されて電界との相互作用により運動する、表面が少なくとも二色に色分けされた表示粒子と、
前記空隙に封入された透光性液体とを備え、
前記シート基材の色と、前記表示粒子の一色とがほぼ同じ色であることを特徴とする表示装置。
【0065】
(付記2) 前記シート基材の反射濃度は、前記表示粒子の一色の反射濃度の0.5〜2倍であることを特徴とする付記1に記載の表示装置。
【0066】
(付記3) 前記表示粒子は、白色部と黒色部との二色の領域に色分けされており、
前記シート基材は白色であることを特徴とする付記1又は付記2に記載の表示装置。
【0067】
(付記4) 前記表示粒子は、白色部と、黒色部又は緑色部との二色の領域に色分けされており、
前記シート基材は、黒色又は緑色であることを特徴とする付記1又は付記2に記載の表示装置。
【0068】
(付記5) 前記シート基材が顔料で着色されたことを特徴とする付記1乃至付記4のいずれかに記載の表示装置。
【0069】
(付記6) 前記顔料の粒径が1μm以下であることを特徴とする付記5に記載の表示装置。
【0070】
(付記7) 前記表示粒子は、白色部と黒色部との二色の領域に色分けされており、
前記表示粒子の直径と同じ厚さの前記シート基材の反射率が、前記表示粒子の黒色部の反射率と白色部の反射率との間の値であることを特徴とする付記1乃至付記6のいずれかに記載の表示装置。
【0071】
(付記8) 表面が少なくとも二色に色分けされた表示粒子を作製する工程と、
前記表示粒子を含有し、且つ、該表示粒子の一色とほぼ同じ色に着色されたシート基材を作製する工程と、
前記表示粒子の周囲の前記シート基材に空隙を形成し、該空隙に透光性液体を封入する工程と、
を有することを特徴とする表示装置の製造方法。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、シート基材の色を二色回転粒子(表示用粒子)の一色とほぼ同じ色にすることで、コントラストの高い表示装置を提供することが可能となる。
【0073】
また、二色回転粒子を白色部と黒色部との二色に色分けし、シート基材の色を白色にすることで、紙の表現に極めて近い表示装置を提供することができる。
【0074】
更に、二色回転粒子を、白色部と、黒色部又は緑色部との二色の領域に色分けし、シート基材の色を黒色又は緑色にすることで、教育用の黒板のような表現を得ることができる。
【0075】
そして、シート基材を着色する顔料の粒径を1μm以下とすることで、シート基材の空隙形成が阻害されるのを防止できる。
【0076】
また、表示粒子の直径に等しい厚さのシート基材を仮想したとき、該シート基材の反射率が、表示粒子の黒色部の反射率と白色部の反射率との間の値であると、表示粒子がシート基材に隠蔽されて見え難くなるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る表示装置の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る表示装置の表示状態について示す断面図。
【図3】本発明の実施の形態に係る表示装置のコントラストと反射濃度比についての調査結果である。
【図4】本発明の実施の形態に係る表示装置の製造工程について示す図(その1)である。
【図5】本発明の実施の形態に係る表示装置の製造工程について示す図(その2)である。
【図6】本発明の実施の形態に係る表示装置の製造工程について示す図(その3)である。
【符号の説明】
1…第1フィルム、2…第1電極、3…二色回転粒子、3a…白色部、3b…黒色部、3c…白色シート、3d…黒色シート、4…第2フィルム、5…第2電極、6…シート基材、6a…キャビティ、7…透光性液体、8…積層体、9…顆粒、10…液体、11…電源。
Claims (5)
- 複数の空隙を有するシート基材と、
前記空隙中に配されて電界との相互作用により運動する、表面が少なくとも二色に色分けされた表示粒子と、
前記空隙に封入された透光性液体とを備え、
前記シート基材の色と、前記表示粒子の一色とがほぼ同じ色であることを特徴とする表示装置。 - 前記シート基材の反射濃度は、前記表示粒子の一色の反射濃度の0.5〜2倍であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
- 前記表示粒子は、白色部と黒色部との二色の領域に色分けされており、
前記シート基材は白色であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置。 - 前記表示粒子は、白色部と、黒色部又は緑色部との二色の領域に色分けされており、
前記シート基材は、黒色又は緑色であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置。 - 表面が少なくとも二色に色分けされた表示粒子を作製する工程と、
前記表示粒子を含有し、且つ、該表示粒子の一色とほぼ同じ色に着色されたシート基材を作製する工程と、
前記表示粒子の周囲の前記シート基材に空隙を形成し、該空隙に透光性液体を封入する工程と、
を有することを特徴とする表示装置の製造方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014142505A (ja) * | 2013-01-24 | 2014-08-07 | Toppan Printing Co Ltd | ツイストボール及びそれを用いた表示パネル |
-
2002
- 2002-08-30 JP JP2002252460A patent/JP2004093725A/ja not_active Withdrawn
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JP2014142505A (ja) * | 2013-01-24 | 2014-08-07 | Toppan Printing Co Ltd | ツイストボール及びそれを用いた表示パネル |
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