JP2004093555A - 腸内ガス成分測定装置、放屁検知装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】患者の放散された腸内ガスを検体とし、腸内ガス中に含まれる複数の有臭成分の濃度を迅速且つ正確に分別測定する。
【解決手段】腸内ガスが放散された直後の周囲雰囲気ガス体中の微量成分を正確且つ短時間に分離するために、腸内ガスの主成分中の検知可能なガスを指標ガスとし、この指標ガスを検知した時点で周囲雰囲気ガス体のサンプリングを開始する。一方、サンプル計量管に周囲雰囲気サンプルを分取し、これをカラムで分離し、PID等の検知部で測定する。
【選択図】 図1
【解決手段】腸内ガスが放散された直後の周囲雰囲気ガス体中の微量成分を正確且つ短時間に分離するために、腸内ガスの主成分中の検知可能なガスを指標ガスとし、この指標ガスを検知した時点で周囲雰囲気ガス体のサンプリングを開始する。一方、サンプル計量管に周囲雰囲気サンプルを分取し、これをカラムで分離し、PID等の検知部で測定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ヒトの肛門から放散される腸内ガス(屁、Flatus)に含まれる有臭成分を計測する装置及び放屁検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、臨床検査分野においては尿や血液を対象とする技術は高度に発達しているが、呼気、ゲップ或いは腸内ガス(おなら、屁)等人体から発散される気体試料については、臨床検査分野における利用は全くなされていない。これは、腸内ガス等の取扱が液体試料と異なって極めて面倒であり、また、その重要性が十分に認識されていないことによる。
【0003】
もっとも、呼気や腸内ガスについては以前から細々とではあるが基礎的研究が行われており、人体内での各種反応の結果200種以上の成分がそれぞれに含まれていることが判っている。しかし、現段階においては手軽な検査機器も無く且つ検査方法も確立していないため、単なる学術的な研究の範囲に留まっている。
【0004】
ところで、呼気については肺で血液のガス交換が行われるため、呼気は血液の補完的な試料と見ることもできるが、腸内ガスは腸内に棲息するバクテリア(腸内細菌)の産生物を含むため、尿や血液とは異なった人体に関する情報が得られる可能性がある。即ち、臭いものの例えとしてよく用いられる屁(放散された腸内ガス)の臭いの元は、アンモニアや硫化水素、インドール、スカトール等の腐敗ガスであり、これらを産生する細菌(いわゆる悪玉菌)は当然に他の多くの有害不揮発成分も産生しており、これらが腸から吸収されて人体に悪影響を与えることは想像に難くない。最近、これらの悪玉菌が成人病の原因になるとも言われている。もっとも、腸内における菌群は、100種、100兆個も存在すると言われるが、その働きは全く多様で、現在でも不明な点が多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一方、屁は捕らえどころのないものの例えとしても良く用いられるように、その採取は極めて困難である。これは、腸内ガスの放出がコントロール出来ないし、放出されれば直ちに空気中に拡散してしまうことによる。更に、腸内ガス中の有臭成分は微量であるうえ空気で希釈されるので濃度が極めて低く、小型軽量な装置で採取したサンプル中の有臭成分を正確に定量することは困難である。しかも、希釈の程度も把握できず、有臭成分の濃度の正確な測定は殆ど不可能である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題を解決するために鋭意研究を続けた結果、腸内ガスの主要成分として検知可能なガスが含まれていることに着目して本発明を完成させたものである。即ち、この成分ガスを指標ガスとして採用し、この指標ガスを検知した時点で腸内ガスの放散があったと認識して試料の採取を開始するようにするとともに、指標ガスの濃度から、有臭成分の濃度を推測する技術を開発した。また、腸内ガスの分析に用いる小型・軽量で検出感度の高い腸内ガス成分測定装置を開発した。また、指標ガスを検知した時点で腸内ガスの放散があったと認識することを利用して放屁の事実の検知を行う。
【0007】
腸内ガスの成分は、個人差や身体の状態によって変化が大きいが、大まかに窒素23〜80%、酸素0.1〜2.3%、炭酸ガス5.1〜29%、メタン0.1〜26%、水素0.06〜47%程度と言われている。また有臭成分は全体で1%以下であり、アンモニアや硫化水素、インドール、スカトール等の悪玉菌に起因する有臭ガスの他に、善玉菌であるビフィズス菌などが産生する酢酸などが含まれている。
【0008】
上記腸内ガスの主要成分の内、指標ガスとしては、炭酸ガス、メタン或いは水素が用いられる。ただ、メタンや水素は含有比にバラツキが大きいため、最も好ましいのは炭酸ガスである。しかも、炭酸ガスは赤外線の吸収が大きいため、赤外線を利用した小型の検知器(濃度計)で容易に検知できるとともに、その濃度を測定することができる。但し、その炭酸ガス濃度は周囲雰囲気ガス(空気で希釈された腸内ガス)についてのものであるが、腸内ガス内に比較的狭い範囲(約5〜30%)で含まれているため、大凡の希釈率を求めることができる。そしてこの指標ガス、より好ましくは炭酸ガスの濃度を基準として有臭成分の大凡の濃度を演算により求めることができる。更に、菌種(特に悪玉菌)によって、産生される有臭成分が知られているので、有臭成分或いはその成分比等から、菌種の推定が可能になる。
【0009】
一方、本発明の腸内ガス成分測定装置は、検体として人(或いは動物)が放散した腸内ガスを採用し、腸内ガス中の微量化学物質を分離測定して臨床生化学的な各種情報を得るものである。
【0010】
本発明の腸内ガス成分測定装置は、試料採取部、腸内ガス放散検知部、腸内ガス成分分析部、及び制御・演算処理部から構成される。この内特に分析部に関しては、高感度及び小型化の要請から特殊な構造のものが用いられる。一般に、ガス体の分析にはガスクロマトグラフィーが利用され、測定ガスの種類や分析目的に応じて種々な検出器が用いられている。本発明装置でも、複数項目測定や迅速測定の目的で分離カラム特にキャピラリーを採用する。また検出器としては、PID(Photo Ionization Detector :光イオン化検出器)やIMS(Ion Mobility Spectrometer :イオン移動度スペクトル検出器)或いはECD(Electron Capture Detector :電子捕獲型イオン検出器)のように、腸内ガス中の検出対象ガス成分に光や放射線等を照射してイオン化させ、イオン化量に応じて測定信号を出力するタイプのものが用いられる。
【0011】
このタイプの検出器は、FID(Flame Ionization Detector :水素イオン化型検出器)やFPD(Flame Photometric Detector:フレーム光度型検出器)のように水素ガスの燃焼を伴わないため安全で小型化でき、且つこれら以上に高感度高精度であるし、キャリアガスに安価な空気や窒素ガスを使用できる利点がある。また、非常に高感度高精度なAPIMS(Atomospheric Pressure Ionization Mass Spectrometry :大気圧イオン化質量分析装置)は超大型であり本発明には採用不可能である。その他、定電位電解式ガスセンサのように高感度高精度の検出器もあるが、これは検出対象ガスが一酸化炭素や水素化合物に限定されるなど選択性があり、同様に本発明には利用できないものである。尚、前記した本発明に利用しうる検出器の内、PIDは放射線を用いないため、最も好ましいものである。
【0012】
次に試料採取部は、周囲雰囲気ガス体を腸内ガス放散検知部や腸内ガス成分分析部に供給するもので、チューブ状の試料採取管及び装置内の配管から構成される。試料採取管は、その内面が体温と同じかそれより高め、例えば36〜100℃より好ましくは40〜50℃程度になるように加温しておくことが望ましい。これは、試料採取管の内壁に呼気中の水分が凝縮して付着し、ここにガス成分が溶解吸着されるのを防止するためである。加温するために、採取チューブの周囲や内部に発熱体を配置するか又はそれ自体が発熱性を有する素材でチューブを構成し、その外周を断熱材で被覆した構造にするとよい。また、調温機構を組み込んでもよい。
【0013】
試料採取管は、その先端の吸引口を肛門の近傍、例えば洋便器の便座部分に配置して使用する。或いはベッドで寝ている患者の臀部にテープ等で固定してもよい。
【0014】
腸内ガス放散検知部は、周囲雰囲気ガス体を吸引する吸引ポンプとその前方に配置される指標ガス検知器から構成される。吸引ポンプは、メインスイッチ投入後は常時作動するもので、ダイヤフラム式などの空気ポンプが用いられる。ガス検知器は、例えば炭酸ガスの場合非分散型の赤外線濃度計を使用する。そしてこのガス検知器で常時監視しており、炭酸ガス濃度が急増した時点で腸内ガスの放散があったと認識する。と同時にその濃度を測定する。また、腸内ガスの放散があったと認識することを放屁の検知に利用する。
【0015】
腸内ガス成分分析部は、試料採取管を通って供給される周囲雰囲気ガス体を吸引する吸引手段とその前方(又は後方或いは並列)に配置されて一定量の周囲雰囲気サンプルを計量するサンプル計量管、該計量管内の周囲雰囲気サンプルをカラムに送り込む送出手段、カラムで分離された周囲雰囲気サンプル中の有臭成分を検出する検出器等から構成される。吸引手段は、ダイヤフラムポンプ等のポンプ或いはシリンジからなり、デッドスペースである配管中の空気を吸引し、放散された腸内ガス成分測定装置の濃度が高いと思われる部分の周囲雰囲気ガス体の一部をサンプル計量管に送り込む働きをする。送出手段は、キャリアガスを供給してサンプル計量管内の周囲雰囲気サンプルをカラムに送り込むもので、キャリアガスは通常空気を用いる。空気は、小型ガスボンベ或いは圧縮ポンプから供給される。圧縮ポンプの場合、装置周囲の空気を吸着層を通して夾雑ガスを除去したものを使用する。
【0016】
サンプル計量管の構造は、例えばキャリアガス流路の一部にバルブを2組設けその間をサンプル計量管とする。周囲雰囲気サンプルの量は、検出部の容量にもよるが0.05〜5ml程度である。より好ましくは、0.1〜1ml程度である。尚、サンプル計量管の部分も、これに到る配管部分も、水分付着の防止とサンプルの質量を一定にするために体温以上の恒温状態(例えば試料採取管と同程度)に保っておく必要がある。
【0017】
検出部は、検出対象ガス成分を分離するカラムと検出器から構成される。カラムとしては通常キャピラリーカラムが用いられるが、検出対象ガスによってはパックドカラムも使用できる。複数のカラムを並列使用するとか昇温タイプのカラムを用いてもよい。尚、分離カラムは再現性などから一定の恒温状態にする必要があるが、検出対象ガスの分解や変質を防止するためになるべく低い温度例えば室温(20℃)〜50℃程度に保温することが望ましい。複数の測定対象ガスの沸点に差がある場合、昇温タイプのカラム或いはダブルカラムを使用するとよい。
【0018】
検出器として最も好ましいのは、現在の段階では前述したように光イオン検出器(PID)である。この検出器は、検出ガス成分にそのイオン化ポテンシャルよりも大きなエネルギーを持った光(紫外線)を照射するとイオン化が起きる現象を利用したものである。そして、イオン化量を電極でイオン電流に変換して取り出し、イオン電流の大小で検出対象ガス成分の濃度を判別するものである。他の使用可能な検出器のうちIMS(イオン移動度スペクトル検出器)は、β線でイオン化された検出対象ガス成分を周期的にシャッターで開閉することで、大気圧の移動層へ導く。ここでイオンは、イオン特性(大きさ、質量、形状)により分別される。即ち、それぞれのイオン特有の移動時間(drift time)を持つ。予めマイクロプロセッサーに記憶させた標準成分のパターンデータ(アルゴリズム)と比較して、目的成分の同定を行なう。ECD(電子捕獲型イオン検出器)もイオン化源はβ線であり、イオン化した検出対象ガス成分を高感度に検出して同定するものである。尚、将来これらと異なるイオン分析技術が開発され、それらが高感度高精度で安全で小型化できるものであれば、同様に利用できる。
【0019】
制御・演算処理部の主要部はマイクロコンピュータであり、前記指標ガス検知器からの検知信号を入力した時点で前記吸引手段及び前記送出手段に作動信号を出力するとともに、前記検出器からの測定信号を演算処理して予め記憶させている検量線から有臭成分の濃度や成分比を算出し、該算出結果を記憶したり、或いは或いは表示装置(ディスプレイ)や記録装置(プリンター)などの出力装置に信号を出力するなど装置全体の作動プログラムを管理するものである。
【0020】
【実施例】
次に、本発明を図面に示す好適な実施例に基づいて更に詳細に説明する。図1は、本発明に係る腸内ガス成分測定装置1のブロック図の一例を示す。この測定装置1は、試料採取部2、腸内ガス放散検知部3、腸内ガス成分分析部4、制御・演算処理部5、出力装置としてのプリンター6等から構成されている。また図2は、本発明腸内ガス成分測定装置の使用状態を示す概略斜視図である。尚、本発明は図示のものに何ら限定されるものではない。
【0021】
試料採取部2は、周囲雰囲気ガス体Gを吸引する試料採取管21及びそれに連なる三方分岐ジョイント22等の配管から構成される。試料採取管21は、内径が1〜5mm程度長さが1m前後のプラスチックチューブ(好ましくはテフロン(登録商標)管)の外周にヒータと保温材を被せたもので、その内部を加温して呼気中の水分の付着を防止する。加温は、コントローラで36〜100℃の任意の温度例えば50℃に調節して行なう。
【0022】腸内ガス放散検知部3は、周囲雰囲気ガス体Gを吸引する吸引ポンプ31と、その前方に配置される指標ガス検知器32から構成される。吸引ポンプ31は、メインスイッチ投入後は常時作動するもので、ダイヤフラム式ポンプを用いている。本実施例では、指標ガスとして炭酸ガスを用いており、ガス検知器32は、非分散型の炭酸ガス用赤外線濃度計を使用している。そしてこのガス検知器32で臀部の周囲雰囲気ガス体Gを常時監視しており、炭酸ガス濃度が急増した時点で腸内ガスの放散があったと認識し、その旨の信号を制御・演算処理部5に出力する。以後、吸引ポンプ31は停止してもよい。尚、急増した炭酸ガス濃度を同時に測定し、その値を制御・演算処理部に記憶させる。
【0023】
腸内ガス成分分析部4は、試料採取管21を通って供給される周囲雰囲気ガス体Gを吸引する吸引ポンプ41と、前方に配置されて一定量の周囲雰囲気サンプルSを計量するサンプル計量管42、該計量管内42の周囲雰囲気サンプルSをカラム43に送り込むキャリアガス(空気)を供給する圧縮ポンプ44、カラム43で分離された周囲雰囲気サンプル中の有臭成分を検出する検出部45等から構成される。尚、吸引ポンプ41は、腸内ガスの放散があった旨の信号を制御・演算処理部5から入力されると直ちに作動を始める。符号48は、キャリアガスとなる空気を浄化する吸着層である。
【0024】
本例におけるサンプル計量管42は、キャリアガス流路の一部を2組のバルブ46、47で区切って構成される。その容量は約0.5mlである。尚、サンプル計量管42や配管部分の内面も、40〜50℃程度に加温する。検出部45として最も好ましいのは、現在の段階では前述したように光イオン検出器(PID)である。この検出器は、検出ガス成分にそのイオン化ポテンシャルよりも大きなエネルギーを持った光(紫外線)を照射するとイオン化が起きる現象を利用したものである。そして、イオン化量を電極でイオン電流に変換して取り出し、イオン電流の大小で検出対象ガス成分の濃度を判別するものである。他の使用可能な検出器のうちIMS(イオン移動度スペクトル検出器)は、β線でイオン化された検出対象ガス成分を周期的にシャッターで開閉することで、大気圧の移動層へ導く。ここでイオンは、イオン特性(大きさ、質量、形状)により分別される。即ち、それぞれのイオン特有の移動時間(drift time)を持つ。予めマイクロプロセッサーに記憶させた標準成分のパターンデータ(アルゴリズム)と比較して、目的成分の同定を行なう。ECD(電子捕獲型イオン検出器)もイオン化源はβ線であり、イオン化した検出対象ガス成分を高感度に検出して同定するものである。尚、将来これらと異なるイオン分析技術が開発され、それらが高感度高精度で安全で小型化できるものであれば、同様に利用できる。
【0025】
制御・演算処理部5の主要部はマイクロコンピュータ51であり、前記指標ガス検知器32からの検知信号を入力した時点で前記吸引ポンプ41やキャリアガスを供給する圧縮ポンプ44に作動信号を出力するとともに、前記検出部45からの測定信号を演算処理して予め記憶させている検量線及び炭酸ガス濃度から有臭成分の濃度を算出し、該算出結果を記憶したり、或いは表示装置6に信号を出力するなど装置全体の作動プログラムを管理する。
【0026】
次に、本発明装置の使用方法について説明する。図2はその一例で、トイレ便器7の便座71の部分に、上記試料採取管21を配置したものである。この方法は、便意を催した場合に放屁が多いと言う経験則に基づいたものである。被測定者は、まず装置1のメインスイッチを投入する。臀部が便座上にきたことを赤外線センサー等で検知して自動的にメインスインチを投入するようにしてもいよ。すると、吸引ポンプ31が稼働をはじめ、肛門の周囲雰囲気ガス体Gをゆっくり吸引しはじめる。吸引速度は、例えば1リットル/分程度である。その間、指標ガス検知器32は常時炭酸ガス濃度を測定している。通常、空気中の炭酸ガス濃度はppm 単位である。それが、単位時間当たりの変化が急激な増大すると、制御・演算処理部5は腸内ガスの放散(放屁)があったと認識する。と同時に、その濃度を測定記憶しておく。
【0027】
すると、制御・演算処理部5からの指令で腸内ガス成分分析部43の吸引ポンプ41が作動を始め、周囲雰囲気ガス体Gを吸引する。その一部がサンプル計量管42に取り込まれる。次いで、サンプル計量管42内部の周囲雰囲気サンプルSが、キャリアガスによってカラム43内に送り込まれ、各成分ガスの保持時間の違いにより分離分画されて順次検出器45内でイオン化され、そのイオン化量が電気信号に変換されて出力される。電気信号は、制御・演算処理部5で演算処理され、予め記憶させてある検量線から、腸内ガス中の検出対象ガス成分の濃度を測定する。
【0028】
本発明装置は、上記した便器に取り付ける以外に、例えばベットに寝ている患者の臀部等肛門の近傍に、本発明装置の試料採取管21の吸入口をバンド等で固定し、就寝中或いは静養中に放散される腸内ガスの分析を行うようにしてもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、ヒト或いは動物の腸内ガスを分析して腸内ガス中に含まれる微量なガス成分濃度を測定する臨床生化学検査装置及び検査方法であって、微量の検出対象ガス成分に紫外線或いは放射線を照射してイオン化させて検出する検出部に、放散された腸内ガスを含む周囲雰囲気ガスサンプルをカラムを介して送り込み、検出対象ガス成分の濃度測定を行なうものである。そして、測定のタイミングとして炭酸ガス等の指標ガスに着目し、指標ガスが検知されると同時にサンプリングを開始するようにしたものである。また、本発明は指標ガスの検知により、放屁の事実があったことを知らせるものである。
【0030】
従って、以下のような特徴を有する。
(1) いつ体外へ放出されるかわからず、また制御不能に放散される腸内ガスを、タイミングよくサンプリングして分析することができる。
(2) 腸内ガスを分析することにより、その中に微量含まれている有臭成分ガスが簡単・確実に分析できる。また、指標ガスの濃度を測定することにより、大まかな希釈率が分かり、それから、有臭成分ガスの大まかな絶対濃度の測定が可能になる。
(3) 腸内ガス中の有臭成分を分析することにより、これらを産生する菌種、特に悪玉菌の種類、更にはその量や割合が推定できる。
(4) 従って、従来の血液や尿、或いは呼気等から得られる情報以外に、人体特に大腸系統の情報が得られる利点がある。また、腸内ガスの成分は食物や生活態度により大きく影響を受けると言われており、それらについての客観的なデータを得ることができ、食生活の改善や治療の進展状態等をチエックする上で大きな役割を果たす。
(5) 一方、血液分析と異なり、患者に苦痛、恐怖感、圧迫感を与えない。そのため、繰り返し測定や連続観察に対する患者の負担が完全に解消する。また、トイレ中で或いは就寝中に自動的にサンプリングが行なえるので、患者に羞恥心を与える心配もない。
(6) 水素ガスの燃焼などが不要で、高感度且つ短時間測定ができる検出器を使用しているため、装置の小型化、操作の簡便化、測定の迅速化が図れるし、検査コストが極めて安い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る腸内ガス成分測定装置のブロック図の一例である。
【図2】本発明腸内ガス成分測定装置の使用状態の一例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1 腸内ガス成分測定装置
2 試料採取部
21 試料採取管
3 腸内ガス放散検知部
31 吸引ポンプ
32 指標ガス検知器
4 腸内ガス成分分析部
41 吸引ポンプ
42 サンプル計量管
43 カラム
45 検出部
5 制御・演算処理部5
G 周囲雰囲気ガス体
S 周囲雰囲気サンプル
【産業上の利用分野】
本発明は、ヒトの肛門から放散される腸内ガス(屁、Flatus)に含まれる有臭成分を計測する装置及び放屁検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、臨床検査分野においては尿や血液を対象とする技術は高度に発達しているが、呼気、ゲップ或いは腸内ガス(おなら、屁)等人体から発散される気体試料については、臨床検査分野における利用は全くなされていない。これは、腸内ガス等の取扱が液体試料と異なって極めて面倒であり、また、その重要性が十分に認識されていないことによる。
【0003】
もっとも、呼気や腸内ガスについては以前から細々とではあるが基礎的研究が行われており、人体内での各種反応の結果200種以上の成分がそれぞれに含まれていることが判っている。しかし、現段階においては手軽な検査機器も無く且つ検査方法も確立していないため、単なる学術的な研究の範囲に留まっている。
【0004】
ところで、呼気については肺で血液のガス交換が行われるため、呼気は血液の補完的な試料と見ることもできるが、腸内ガスは腸内に棲息するバクテリア(腸内細菌)の産生物を含むため、尿や血液とは異なった人体に関する情報が得られる可能性がある。即ち、臭いものの例えとしてよく用いられる屁(放散された腸内ガス)の臭いの元は、アンモニアや硫化水素、インドール、スカトール等の腐敗ガスであり、これらを産生する細菌(いわゆる悪玉菌)は当然に他の多くの有害不揮発成分も産生しており、これらが腸から吸収されて人体に悪影響を与えることは想像に難くない。最近、これらの悪玉菌が成人病の原因になるとも言われている。もっとも、腸内における菌群は、100種、100兆個も存在すると言われるが、その働きは全く多様で、現在でも不明な点が多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一方、屁は捕らえどころのないものの例えとしても良く用いられるように、その採取は極めて困難である。これは、腸内ガスの放出がコントロール出来ないし、放出されれば直ちに空気中に拡散してしまうことによる。更に、腸内ガス中の有臭成分は微量であるうえ空気で希釈されるので濃度が極めて低く、小型軽量な装置で採取したサンプル中の有臭成分を正確に定量することは困難である。しかも、希釈の程度も把握できず、有臭成分の濃度の正確な測定は殆ど不可能である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題を解決するために鋭意研究を続けた結果、腸内ガスの主要成分として検知可能なガスが含まれていることに着目して本発明を完成させたものである。即ち、この成分ガスを指標ガスとして採用し、この指標ガスを検知した時点で腸内ガスの放散があったと認識して試料の採取を開始するようにするとともに、指標ガスの濃度から、有臭成分の濃度を推測する技術を開発した。また、腸内ガスの分析に用いる小型・軽量で検出感度の高い腸内ガス成分測定装置を開発した。また、指標ガスを検知した時点で腸内ガスの放散があったと認識することを利用して放屁の事実の検知を行う。
【0007】
腸内ガスの成分は、個人差や身体の状態によって変化が大きいが、大まかに窒素23〜80%、酸素0.1〜2.3%、炭酸ガス5.1〜29%、メタン0.1〜26%、水素0.06〜47%程度と言われている。また有臭成分は全体で1%以下であり、アンモニアや硫化水素、インドール、スカトール等の悪玉菌に起因する有臭ガスの他に、善玉菌であるビフィズス菌などが産生する酢酸などが含まれている。
【0008】
上記腸内ガスの主要成分の内、指標ガスとしては、炭酸ガス、メタン或いは水素が用いられる。ただ、メタンや水素は含有比にバラツキが大きいため、最も好ましいのは炭酸ガスである。しかも、炭酸ガスは赤外線の吸収が大きいため、赤外線を利用した小型の検知器(濃度計)で容易に検知できるとともに、その濃度を測定することができる。但し、その炭酸ガス濃度は周囲雰囲気ガス(空気で希釈された腸内ガス)についてのものであるが、腸内ガス内に比較的狭い範囲(約5〜30%)で含まれているため、大凡の希釈率を求めることができる。そしてこの指標ガス、より好ましくは炭酸ガスの濃度を基準として有臭成分の大凡の濃度を演算により求めることができる。更に、菌種(特に悪玉菌)によって、産生される有臭成分が知られているので、有臭成分或いはその成分比等から、菌種の推定が可能になる。
【0009】
一方、本発明の腸内ガス成分測定装置は、検体として人(或いは動物)が放散した腸内ガスを採用し、腸内ガス中の微量化学物質を分離測定して臨床生化学的な各種情報を得るものである。
【0010】
本発明の腸内ガス成分測定装置は、試料採取部、腸内ガス放散検知部、腸内ガス成分分析部、及び制御・演算処理部から構成される。この内特に分析部に関しては、高感度及び小型化の要請から特殊な構造のものが用いられる。一般に、ガス体の分析にはガスクロマトグラフィーが利用され、測定ガスの種類や分析目的に応じて種々な検出器が用いられている。本発明装置でも、複数項目測定や迅速測定の目的で分離カラム特にキャピラリーを採用する。また検出器としては、PID(Photo Ionization Detector :光イオン化検出器)やIMS(Ion Mobility Spectrometer :イオン移動度スペクトル検出器)或いはECD(Electron Capture Detector :電子捕獲型イオン検出器)のように、腸内ガス中の検出対象ガス成分に光や放射線等を照射してイオン化させ、イオン化量に応じて測定信号を出力するタイプのものが用いられる。
【0011】
このタイプの検出器は、FID(Flame Ionization Detector :水素イオン化型検出器)やFPD(Flame Photometric Detector:フレーム光度型検出器)のように水素ガスの燃焼を伴わないため安全で小型化でき、且つこれら以上に高感度高精度であるし、キャリアガスに安価な空気や窒素ガスを使用できる利点がある。また、非常に高感度高精度なAPIMS(Atomospheric Pressure Ionization Mass Spectrometry :大気圧イオン化質量分析装置)は超大型であり本発明には採用不可能である。その他、定電位電解式ガスセンサのように高感度高精度の検出器もあるが、これは検出対象ガスが一酸化炭素や水素化合物に限定されるなど選択性があり、同様に本発明には利用できないものである。尚、前記した本発明に利用しうる検出器の内、PIDは放射線を用いないため、最も好ましいものである。
【0012】
次に試料採取部は、周囲雰囲気ガス体を腸内ガス放散検知部や腸内ガス成分分析部に供給するもので、チューブ状の試料採取管及び装置内の配管から構成される。試料採取管は、その内面が体温と同じかそれより高め、例えば36〜100℃より好ましくは40〜50℃程度になるように加温しておくことが望ましい。これは、試料採取管の内壁に呼気中の水分が凝縮して付着し、ここにガス成分が溶解吸着されるのを防止するためである。加温するために、採取チューブの周囲や内部に発熱体を配置するか又はそれ自体が発熱性を有する素材でチューブを構成し、その外周を断熱材で被覆した構造にするとよい。また、調温機構を組み込んでもよい。
【0013】
試料採取管は、その先端の吸引口を肛門の近傍、例えば洋便器の便座部分に配置して使用する。或いはベッドで寝ている患者の臀部にテープ等で固定してもよい。
【0014】
腸内ガス放散検知部は、周囲雰囲気ガス体を吸引する吸引ポンプとその前方に配置される指標ガス検知器から構成される。吸引ポンプは、メインスイッチ投入後は常時作動するもので、ダイヤフラム式などの空気ポンプが用いられる。ガス検知器は、例えば炭酸ガスの場合非分散型の赤外線濃度計を使用する。そしてこのガス検知器で常時監視しており、炭酸ガス濃度が急増した時点で腸内ガスの放散があったと認識する。と同時にその濃度を測定する。また、腸内ガスの放散があったと認識することを放屁の検知に利用する。
【0015】
腸内ガス成分分析部は、試料採取管を通って供給される周囲雰囲気ガス体を吸引する吸引手段とその前方(又は後方或いは並列)に配置されて一定量の周囲雰囲気サンプルを計量するサンプル計量管、該計量管内の周囲雰囲気サンプルをカラムに送り込む送出手段、カラムで分離された周囲雰囲気サンプル中の有臭成分を検出する検出器等から構成される。吸引手段は、ダイヤフラムポンプ等のポンプ或いはシリンジからなり、デッドスペースである配管中の空気を吸引し、放散された腸内ガス成分測定装置の濃度が高いと思われる部分の周囲雰囲気ガス体の一部をサンプル計量管に送り込む働きをする。送出手段は、キャリアガスを供給してサンプル計量管内の周囲雰囲気サンプルをカラムに送り込むもので、キャリアガスは通常空気を用いる。空気は、小型ガスボンベ或いは圧縮ポンプから供給される。圧縮ポンプの場合、装置周囲の空気を吸着層を通して夾雑ガスを除去したものを使用する。
【0016】
サンプル計量管の構造は、例えばキャリアガス流路の一部にバルブを2組設けその間をサンプル計量管とする。周囲雰囲気サンプルの量は、検出部の容量にもよるが0.05〜5ml程度である。より好ましくは、0.1〜1ml程度である。尚、サンプル計量管の部分も、これに到る配管部分も、水分付着の防止とサンプルの質量を一定にするために体温以上の恒温状態(例えば試料採取管と同程度)に保っておく必要がある。
【0017】
検出部は、検出対象ガス成分を分離するカラムと検出器から構成される。カラムとしては通常キャピラリーカラムが用いられるが、検出対象ガスによってはパックドカラムも使用できる。複数のカラムを並列使用するとか昇温タイプのカラムを用いてもよい。尚、分離カラムは再現性などから一定の恒温状態にする必要があるが、検出対象ガスの分解や変質を防止するためになるべく低い温度例えば室温(20℃)〜50℃程度に保温することが望ましい。複数の測定対象ガスの沸点に差がある場合、昇温タイプのカラム或いはダブルカラムを使用するとよい。
【0018】
検出器として最も好ましいのは、現在の段階では前述したように光イオン検出器(PID)である。この検出器は、検出ガス成分にそのイオン化ポテンシャルよりも大きなエネルギーを持った光(紫外線)を照射するとイオン化が起きる現象を利用したものである。そして、イオン化量を電極でイオン電流に変換して取り出し、イオン電流の大小で検出対象ガス成分の濃度を判別するものである。他の使用可能な検出器のうちIMS(イオン移動度スペクトル検出器)は、β線でイオン化された検出対象ガス成分を周期的にシャッターで開閉することで、大気圧の移動層へ導く。ここでイオンは、イオン特性(大きさ、質量、形状)により分別される。即ち、それぞれのイオン特有の移動時間(drift time)を持つ。予めマイクロプロセッサーに記憶させた標準成分のパターンデータ(アルゴリズム)と比較して、目的成分の同定を行なう。ECD(電子捕獲型イオン検出器)もイオン化源はβ線であり、イオン化した検出対象ガス成分を高感度に検出して同定するものである。尚、将来これらと異なるイオン分析技術が開発され、それらが高感度高精度で安全で小型化できるものであれば、同様に利用できる。
【0019】
制御・演算処理部の主要部はマイクロコンピュータであり、前記指標ガス検知器からの検知信号を入力した時点で前記吸引手段及び前記送出手段に作動信号を出力するとともに、前記検出器からの測定信号を演算処理して予め記憶させている検量線から有臭成分の濃度や成分比を算出し、該算出結果を記憶したり、或いは或いは表示装置(ディスプレイ)や記録装置(プリンター)などの出力装置に信号を出力するなど装置全体の作動プログラムを管理するものである。
【0020】
【実施例】
次に、本発明を図面に示す好適な実施例に基づいて更に詳細に説明する。図1は、本発明に係る腸内ガス成分測定装置1のブロック図の一例を示す。この測定装置1は、試料採取部2、腸内ガス放散検知部3、腸内ガス成分分析部4、制御・演算処理部5、出力装置としてのプリンター6等から構成されている。また図2は、本発明腸内ガス成分測定装置の使用状態を示す概略斜視図である。尚、本発明は図示のものに何ら限定されるものではない。
【0021】
試料採取部2は、周囲雰囲気ガス体Gを吸引する試料採取管21及びそれに連なる三方分岐ジョイント22等の配管から構成される。試料採取管21は、内径が1〜5mm程度長さが1m前後のプラスチックチューブ(好ましくはテフロン(登録商標)管)の外周にヒータと保温材を被せたもので、その内部を加温して呼気中の水分の付着を防止する。加温は、コントローラで36〜100℃の任意の温度例えば50℃に調節して行なう。
【0022】腸内ガス放散検知部3は、周囲雰囲気ガス体Gを吸引する吸引ポンプ31と、その前方に配置される指標ガス検知器32から構成される。吸引ポンプ31は、メインスイッチ投入後は常時作動するもので、ダイヤフラム式ポンプを用いている。本実施例では、指標ガスとして炭酸ガスを用いており、ガス検知器32は、非分散型の炭酸ガス用赤外線濃度計を使用している。そしてこのガス検知器32で臀部の周囲雰囲気ガス体Gを常時監視しており、炭酸ガス濃度が急増した時点で腸内ガスの放散があったと認識し、その旨の信号を制御・演算処理部5に出力する。以後、吸引ポンプ31は停止してもよい。尚、急増した炭酸ガス濃度を同時に測定し、その値を制御・演算処理部に記憶させる。
【0023】
腸内ガス成分分析部4は、試料採取管21を通って供給される周囲雰囲気ガス体Gを吸引する吸引ポンプ41と、前方に配置されて一定量の周囲雰囲気サンプルSを計量するサンプル計量管42、該計量管内42の周囲雰囲気サンプルSをカラム43に送り込むキャリアガス(空気)を供給する圧縮ポンプ44、カラム43で分離された周囲雰囲気サンプル中の有臭成分を検出する検出部45等から構成される。尚、吸引ポンプ41は、腸内ガスの放散があった旨の信号を制御・演算処理部5から入力されると直ちに作動を始める。符号48は、キャリアガスとなる空気を浄化する吸着層である。
【0024】
本例におけるサンプル計量管42は、キャリアガス流路の一部を2組のバルブ46、47で区切って構成される。その容量は約0.5mlである。尚、サンプル計量管42や配管部分の内面も、40〜50℃程度に加温する。検出部45として最も好ましいのは、現在の段階では前述したように光イオン検出器(PID)である。この検出器は、検出ガス成分にそのイオン化ポテンシャルよりも大きなエネルギーを持った光(紫外線)を照射するとイオン化が起きる現象を利用したものである。そして、イオン化量を電極でイオン電流に変換して取り出し、イオン電流の大小で検出対象ガス成分の濃度を判別するものである。他の使用可能な検出器のうちIMS(イオン移動度スペクトル検出器)は、β線でイオン化された検出対象ガス成分を周期的にシャッターで開閉することで、大気圧の移動層へ導く。ここでイオンは、イオン特性(大きさ、質量、形状)により分別される。即ち、それぞれのイオン特有の移動時間(drift time)を持つ。予めマイクロプロセッサーに記憶させた標準成分のパターンデータ(アルゴリズム)と比較して、目的成分の同定を行なう。ECD(電子捕獲型イオン検出器)もイオン化源はβ線であり、イオン化した検出対象ガス成分を高感度に検出して同定するものである。尚、将来これらと異なるイオン分析技術が開発され、それらが高感度高精度で安全で小型化できるものであれば、同様に利用できる。
【0025】
制御・演算処理部5の主要部はマイクロコンピュータ51であり、前記指標ガス検知器32からの検知信号を入力した時点で前記吸引ポンプ41やキャリアガスを供給する圧縮ポンプ44に作動信号を出力するとともに、前記検出部45からの測定信号を演算処理して予め記憶させている検量線及び炭酸ガス濃度から有臭成分の濃度を算出し、該算出結果を記憶したり、或いは表示装置6に信号を出力するなど装置全体の作動プログラムを管理する。
【0026】
次に、本発明装置の使用方法について説明する。図2はその一例で、トイレ便器7の便座71の部分に、上記試料採取管21を配置したものである。この方法は、便意を催した場合に放屁が多いと言う経験則に基づいたものである。被測定者は、まず装置1のメインスイッチを投入する。臀部が便座上にきたことを赤外線センサー等で検知して自動的にメインスインチを投入するようにしてもいよ。すると、吸引ポンプ31が稼働をはじめ、肛門の周囲雰囲気ガス体Gをゆっくり吸引しはじめる。吸引速度は、例えば1リットル/分程度である。その間、指標ガス検知器32は常時炭酸ガス濃度を測定している。通常、空気中の炭酸ガス濃度はppm 単位である。それが、単位時間当たりの変化が急激な増大すると、制御・演算処理部5は腸内ガスの放散(放屁)があったと認識する。と同時に、その濃度を測定記憶しておく。
【0027】
すると、制御・演算処理部5からの指令で腸内ガス成分分析部43の吸引ポンプ41が作動を始め、周囲雰囲気ガス体Gを吸引する。その一部がサンプル計量管42に取り込まれる。次いで、サンプル計量管42内部の周囲雰囲気サンプルSが、キャリアガスによってカラム43内に送り込まれ、各成分ガスの保持時間の違いにより分離分画されて順次検出器45内でイオン化され、そのイオン化量が電気信号に変換されて出力される。電気信号は、制御・演算処理部5で演算処理され、予め記憶させてある検量線から、腸内ガス中の検出対象ガス成分の濃度を測定する。
【0028】
本発明装置は、上記した便器に取り付ける以外に、例えばベットに寝ている患者の臀部等肛門の近傍に、本発明装置の試料採取管21の吸入口をバンド等で固定し、就寝中或いは静養中に放散される腸内ガスの分析を行うようにしてもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、ヒト或いは動物の腸内ガスを分析して腸内ガス中に含まれる微量なガス成分濃度を測定する臨床生化学検査装置及び検査方法であって、微量の検出対象ガス成分に紫外線或いは放射線を照射してイオン化させて検出する検出部に、放散された腸内ガスを含む周囲雰囲気ガスサンプルをカラムを介して送り込み、検出対象ガス成分の濃度測定を行なうものである。そして、測定のタイミングとして炭酸ガス等の指標ガスに着目し、指標ガスが検知されると同時にサンプリングを開始するようにしたものである。また、本発明は指標ガスの検知により、放屁の事実があったことを知らせるものである。
【0030】
従って、以下のような特徴を有する。
(1) いつ体外へ放出されるかわからず、また制御不能に放散される腸内ガスを、タイミングよくサンプリングして分析することができる。
(2) 腸内ガスを分析することにより、その中に微量含まれている有臭成分ガスが簡単・確実に分析できる。また、指標ガスの濃度を測定することにより、大まかな希釈率が分かり、それから、有臭成分ガスの大まかな絶対濃度の測定が可能になる。
(3) 腸内ガス中の有臭成分を分析することにより、これらを産生する菌種、特に悪玉菌の種類、更にはその量や割合が推定できる。
(4) 従って、従来の血液や尿、或いは呼気等から得られる情報以外に、人体特に大腸系統の情報が得られる利点がある。また、腸内ガスの成分は食物や生活態度により大きく影響を受けると言われており、それらについての客観的なデータを得ることができ、食生活の改善や治療の進展状態等をチエックする上で大きな役割を果たす。
(5) 一方、血液分析と異なり、患者に苦痛、恐怖感、圧迫感を与えない。そのため、繰り返し測定や連続観察に対する患者の負担が完全に解消する。また、トイレ中で或いは就寝中に自動的にサンプリングが行なえるので、患者に羞恥心を与える心配もない。
(6) 水素ガスの燃焼などが不要で、高感度且つ短時間測定ができる検出器を使用しているため、装置の小型化、操作の簡便化、測定の迅速化が図れるし、検査コストが極めて安い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る腸内ガス成分測定装置のブロック図の一例である。
【図2】本発明腸内ガス成分測定装置の使用状態の一例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1 腸内ガス成分測定装置
2 試料採取部
21 試料採取管
3 腸内ガス放散検知部
31 吸引ポンプ
32 指標ガス検知器
4 腸内ガス成分分析部
41 吸引ポンプ
42 サンプル計量管
43 カラム
45 検出部
5 制御・演算処理部5
G 周囲雰囲気ガス体
S 周囲雰囲気サンプル
Claims (2)
- 肛門の近傍に吸引口を配置する試料採取管を含む試料採取部と、周囲雰囲気ガス体を吸引する吸引ポンプとその前方に配置される指標ガス検知器から構成される腸内ガス放散検知部と、周囲雰囲気ガス体を吸引する吸引手段とその前方に配置されて一定量の周囲雰囲気サンプルを採取するサンプル計量管、該計量管内の周囲雰囲気サンプルをカラムに送り込む送出手段、カラムで分離された周囲雰囲気サンプル中の有臭成分を検出する検出器を含む腸内ガス成分分析部と、前記指標ガス検知器からの検知信号を入力した時点で前記吸引手段及び前記送出手段に作動信号を出力するとともに、前記検出器からの測定信号を演算処理して予め記憶させている検量線から有臭成分の濃度や成分比を算出し、該算出結果を記憶し或いは出力装置に信号を出力する演算処理部を含んで構成されることを特徴とする腸内ガス成分の測定装置。
- 肛門の近傍に吸引口を配置する試料採取管を含む試料採取部と、周囲雰囲気ガス体を吸引する吸引ポンプとその前方に配置される指標ガス検知器から構成されることを特徴とする放屁検知装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003178126A JP2004093555A (ja) | 2003-06-23 | 2003-06-23 | 腸内ガス成分測定装置、放屁検知装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003178126A JP2004093555A (ja) | 2003-06-23 | 2003-06-23 | 腸内ガス成分測定装置、放屁検知装置 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP22551794A Division JP3525157B2 (ja) | 1994-08-25 | 1994-08-25 | 腸内ガス成分測定方法及び放屁検知方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004093555A true JP2004093555A (ja) | 2004-03-25 |
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JP2003178126A Ceased JP2004093555A (ja) | 2003-06-23 | 2003-06-23 | 腸内ガス成分測定装置、放屁検知装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004093555A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018500552A (ja) * | 2014-11-27 | 2018-01-11 | コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェKoninklijke Philips N.V. | ガス・センサー・システム及びガス・センシング方法 |
WO2021033590A1 (ja) * | 2019-08-20 | 2021-02-25 | 有正 宮本 | 屁及び/又は大便の悪臭の低減剤 |
-
2003
- 2003-06-23 JP JP2003178126A patent/JP2004093555A/ja not_active Ceased
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