JP2004093223A - 光学結晶ウエハーの屈折率分布測定法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透過波面測定による屈折率分布測定法において、光が入射できる対向する2つの主面を有した試料10において、主面鉛直方向が光軸12に対して一定傾斜角度となるよう試料を傾斜させ、P偏光を測定試料の第一の主軸を一致させた場合の第一の透過波面と、P偏光と第一の主軸と直交した第二の主軸に一致させた場合の第二の透過波面より屈折率または複屈折率分布の計測方法である。
【選択図】図10
Description
【従来の技術】
光通信やITの進展に伴って、電気光学効果を有する単結晶ウエハーが重要な役目を果たす代になっている。特に光ファイバ通信においては、通信量の爆発的増大に対応するために、1本の光ファイバに多くの波長の光を多重化して伝送させる波長多重通信WDM方式が使用されている。さらに情報量の増大にも対応するため、2.5GHzから10GHzへ、将来的にはさらに40GHz、80GHzへの変調スピードの高速化が進展しようとしている。特に長距離幹線系に用いられる変調器としては無機単結晶であるネオブ酸リチウム(LiNbO3)結晶を用いた光変調器が用いられる。ネオブ酸リチウムを用いた光変調器は、チタン拡散によりマッハツエンダー型導波路を形成しマッハツエンダーのアーム部に電極を構成電界を印加することにより片側のアームの屈折率を変調して光を変調するものである。
【0002】
10GHzから40GHzに変調速度が増すと、必要な素子長も長くなりより均質なネオブ酸リチウムウエハーが望まれている。またLi濃度が異なると導波路作成時のチタン拡散スピードが異なるため光導波路サイズが変化し光のモード径が変化する。高速動作で設計するほど作製マージンが低下し、わずかな導波路特性の変化でも動作電圧の変化をもたらし歩留まりの悪化を生じると考えられる。このために40GHz以上の高速変調器用のLiNbO3基板にはLi濃度変動0.01モル%以下の組成分布の均一性が望まれている。
【0003】
一方、LiNbO3結晶はコングルエント組成(Li=48.5モル%)からLi/Nb組成比がずれると結晶育成中にLi/Nb組成比が変化することが知られている。したがって育成したインゴットの上部と下部では組成比が異なってくるのが通常である。またウエハー内でも組成のばらつきが観測される。したがって光学用途のウエハー評価をするには高精度にLi/Nb組成比分布を計測することが重要である。
【0004】
従来こうしたLi/Nb組成比を測定する方法としてウエハーを裁断して、DTA (Differential Thermal Analysis)やDSC (Differential Scanning Calorimetory)などの熱分析によるキューリ温度を測定する方法が知られている。キューリ温度TcがLi濃度に対して直線的に変化する(ΔTc/ΔLi〜1℃/mol%)ことを利用したものであるが、測定精度そのものに限界がある(0.6℃)ばかりでなく空間分解能も悪く(3mm)実用的に用いることができない。また破壊検査であるうえ測定に膨大な時間がかかる(1点の測定で3時間)といった欠点があった。
【0005】
また従来より、異常光に対する屈折率がLi濃度に対して直線的に減少することが知られている。(U.Schlarb and K.Betzler Physical Review B Vol.50, No2, 751 (1994))
これを利用すれば異常光に対する屈折率分布を計測すればLi濃度分布を測定することができることになる。
【0006】
これらはウェハーの透過波面の変化を測定することにより、ウェハ内の屈折率濃分布を測定算出することは容易に想像できる。こうした透過波面を測定するものとして例えばトワイマングリーン干渉計またはマイケルソン干渉計等の干渉計で非接触,非破壊,非汚染という特性を備える装置が実用化されている。しかしながら、この方法は次の2つの点に問題がある。
【0007】
第一の問題点として多重干渉効果が上げられる。ウエハーは通常平行に研磨されたものであるので光を通過させると一部の光が多重反射を生じいわゆる干渉パターンも同時に生じてしまう。このため透過波面の画像自体に干渉パターンが重畳されてしまうため必要な情報が埋もれてしまう問題がある。こうした干渉効果を避けるためにウエハーを平行平板ではなく3°程度のウエッジを持った基板に研磨する必要がある。ウエッジ研磨を行うことは特に大型ウエハーなどでは技術的に難し、多大の労力を要する。また製品としてのウエハーは平行平板であるため製品検査としては使用できない問題点がある。また両面に無反射コーテイングを行うこともできるがコーテイング処理が必要で特に製品検査やインライン迅速測定では使用できないといった問題点がある。
【0008】
第二の問題点として屈折率分布のみを検出できないといった問題である。測定試料の厚みが理想的に平行で、厚み分布が無視できる程小さい場合は、試料厚み一定として透過波面歪を計測することにより屈折率分布を算出することが可能である。しかしながら一般的にこうした仮定は成立しない。特にウエハー状の大型試料については大きな厚みむらが存在するため通常の透過波面透位相差測定ではウエハーの厚みむらと屈折率分布を弁別することができないため屈折率分布を計測することができない。これを具体的に説明すると次のようになる。
【0009】
屈折率の空間的変化をΔn(x,y)、ウエハー厚みの空間的変化をΔL(x,y)、一定値をそれぞれn0, L0とすると屈折率をn(x,y),ウエハー厚みをL(x,y)は(1)(2)式のように表記される。
n(x,y)=n0+Δn(x,y) (1)
L(x,y)=L0+ΔL(x,y) (2)
従って光学長OL(Optical Length)は(3)式で表現される。
OL(x,y)=n(x,y)・L(x,y)=(n0+Δn(x,y))・(L0+ΔL(x,y))
=n0L0 +L0・Δn(x,y)+n0・ΔL(x,y)+Δn(x,y)・ΔL(x,y) ・・・・(3)
(3)式の2次の微小量(右辺第3項)を無視すると(3)式は(4)のように近似される。
L(x,y)〜n0L0 +L0・Δn(x,y)+n0・ΔL(x,y) (4)
ウエハーの厚みは均一に作製することが望ましいが、現実的にウエハーの厚み分布平行からのずれΔL(x,y)は5インチ径で1μm程度存在する。n0は2.2程度であるため第三項の大きさは2.2μmもの値となる。またLi濃度ずれ0.01モル%に相当する屈折率変動Δn(x,y)は0.0001程度で、ウエハー厚みL0は800μm程度であるため第二項の大きさは0.08μm程度である。したがって測定したい(4)式の第二項の大きさは厚みむらに起因する第三項の大きさに比較して2〜3桁も小さなものとなる。このため透波面観測による屈折率分布測定を通じたLi濃度分布測定は不可能である。こういった2つの問題が存在するため干渉計を用いて屈折率分布を測定し、組成比分布を算出することは困難であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、この従来技術の問題点に鑑み、ウエハーの表裏の干渉による影響を受けず、かつウエハー厚みの分布の影響を受けずにより精度が高くかつ迅速な方法で試料の屈折率分布を計測できるようにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、透過波面測定による屈折率分布測定法において、光が入射できる対向する2つの主面を有した試料において、主面鉛直方向が光軸に対して一定傾斜角度となるよう試料を傾斜させ、P偏光を測定試料の第一の主軸を一致させた場合の第一の透過波面と、P偏光と第一の主軸と直交した第二の主軸に一致させた場合の第二の透過波面より屈折率または複屈折率分布の計測方法である。
【0012】
また本発明は、透過波面測定による屈折率分布測定法において、光が入射できる対向する2つの主面を有した試料において、主面鉛直方向が光軸に対して一定傾斜角度となるよう試料を傾斜させ、P偏光を測定試料の第一の主軸を一致させた場合の第一の透過波面と、P偏光を測定試料の第一の主軸と一致させた場合の第一の透過波面と、さらに180度試料を回転させた場合の第二の透過波面と、P偏光の偏光方向をと第一の主軸と直交した第二の主軸方向に一致させた場合の第三の透過波面とさらに180度試料回転させた場合の第四の透過波面より屈折率または複屈折率分布の計測方法である。
【0013】
ここで前記一定傾斜角度は無反射となるブリュースター角度であることが好ましい。なぜならブリュースター角度に試料をセットすることにより試料両面での多重干渉による測定値御誤差を低減することができるからである。
【0014】
また前記複屈折結晶が、主面垂直方向がxまたはy軸と一致したLiNbO3であることが好ましく、また前記複屈折結晶が、主面垂直方向がz軸と一致したLiNbO3であることも好ましい。このようにすることにより試料回転時においても試料通過時に楕円偏光等になることが無いためより精度の高い測定を行うことができる。
【0015】
そして本発明は、光源部から発生する光を参照光と測定光に分離し、測定光を被検試料に通過させる手段と被検物を通過した測定を前記参照光と干渉させ、干渉画像を取り込む画像取得部と取得した画像を解析する演算部からなる装置において、前記のいずれかの計測方法を用いて前記被検試料の屈折率分布を算出することを特徴とする屈折率もしくは複屈折率の分布測定装置である。
【0016】
図4に文献1で示されたデータをもとに、算出したLiNbO3結晶の常光、異常光屈折率のLi/Nb組成比依存性を示す。屈折率の常光成分no(nx,ny)は組成比に影響されず一定であるのに対して屈折率の異常光成分ne(nz)は組成比率を強い相関関係にあることがわかる。これはLiNbO3ウエハー中にLi/Nb組成比分布があるとすると、常光方向の偏光に対する屈折率は一定であるが、異常光の偏光に対する屈折率はLi/Nb組成比に比例して変化していることを意味する。
【0017】
一方ウエハー厚みの分布ΔL(x,y)は場所が同じであれば異常光、常光ともに同じ値である。従って、常光偏光の透過波面測定から厚み分布ΔL (x,y)を算出し、異常光偏光の透過波面測定でその厚み分布ΔT(x,y)を使用して厚み分布による効果を相殺して、屈折率分布のみを抽出することができる。
【0018】
以下xカットLiNbO3について具体的に説明する。LiNbO3結晶は1軸性結晶であり、異常光屈折率neはz軸方向、x、y軸は屈折率は等しく常光屈折率noとなる。図5に示すようにXカットはX軸がウエハー面垂直方向に向いたウエハー形態の別称で、Li/Nb組成比に比例して屈折率が変化するz軸方向がウエハー主面内に存在する。またx軸と等価なy軸も主面内に存在する。
ne(x,y)=ne0+Δne (x,y) (5)
no(x,y)=no0 (6)
L (x,y)=L0+ΔL (x,y) (2)
従って光路長は(3)式で表現される。
常光に対する光路長OLoは
OLo(x,y)=no0・L (x,y)=no0・(L0+ΔL (x,y))) (7)
異常光に対する光路長OLeは
OLe(x,y)=ne(x,y)・L (x,y)=(ne0+Δn(x,y))・(L0+ΔL (x,y))
〜ne0(L0 +ΔL (x,y))+ L0・Δn(x,y) (8)
従って(8)式を(7)式を用いて書き直すと
OLe(x,y)=ne0 OLo(x,y)/ no0 +L0・Δne(x,y) (9)
干渉計等により光路長OLを測定することができる。従ってOLe(x,y),OLo(x,y)は実測できる値である。異常光屈折率ne0、常光屈折率 no0、ウエハー厚みL0はわかっているものとすると(9)式から屈折率分布Δne(x,y)を算出することができる。この異常光の屈折率分布から図4の構成曲線を用いてLi/Nb組成比分布を導出することが可能である。
【0019】
ただし垂直入射で測定を行ったばあいウエハー表裏の間で多重干渉を生じ、この影響で観測される位相分布にはわずかに多重干渉パターンが重畳され、わずかの屈折率分布を抽出する祭に影響をうけてしまう。
【0020】
本発明では、こうした課題を解決するために、P偏光のみを用いれば表裏の干渉効果が低減できることに着目し、偏光の違いによる屈折率の組成比依存性の違いに着目して本発明にいたった。図1に示すように、入射角度がθとなるようにLiNbO3ウエハーの主面法線方向を光軸に対して斜めに傾けた場合を考える。ウエハー主面法線方向と光軸を含む面を入射面とすると、入射面内の偏光をP偏光、入射面と垂直方向の偏光をS偏光と呼ぶ。入射角度θを変えた場合のウエハー1面あたりの反射率を計算したものを図2に示した。
【0021】
θ=0度の垂直入射の場合はS波、P偏光ともに約15%程度の反射を生じる。傾けていくとP偏光の光に対して反射率は減少しθ=65度程度で無反射となる点が存在する。これはブリュースター角度と呼ばれている角度でP偏光にのみ存在することが知られている。(光・電磁波論、三好丹六著 培風館 1987)一方S波に対して反射率は角度とともに単調に増加し無反射となる角度は存在しない。
【0022】
本発明はこの点に着目し、ウエハー主面法線方向を光軸に対して傾斜させP偏光のみを利用して、干渉の効果を低減もしくは無くして屈折率分布のみを計測することを思いつくにいたったものである。理想的にはブリュースター角度と一致させて傾けることにより完全に反射率を0にすることができるが、傾き角度が大きく透過波面の画像が扁平となるため、空間分解能が劣化する。
【0023】
またウエハーを傾けてさえすれば式9より屈折率分布が計算できるわけはない。ウエハー主面法線方向を斜めにして使用するため、さらに詳細な解析が必要となる。
【0024】
以下XカットLiNbO3ウエハーを例にとって動作原理を説明する。今入ウエハー主面法制方向に対する入射角度がθとなるようにウエハーを傾けた場合を考える。まず図3(a)に示すように、ウエハーの配置はP波の偏光軸と結晶のz軸が一致する方向にセットする。このときの結晶内入射角度をθ1zとする。ウエハーの厚みは面内(x、y)で分布を持つと仮定し、位置によらず一定の値の厚みとウエハーの2次元的な位置に依存した成分ΔL(x、y)との和であらわされる。一定屈折率成分nez(θ1z)と空間依存性を有する成分をΔnez(x、y、θ1z)とし、このとき観測される位相差分布をΔZ1(x、y)とすると位相差分布は式(10)のように表される。
【0025】
【式10】
【0026】
ここでφ1は位相差の一定成分である。
【0027】
さらに図3(b)のように試料を90°回転させ、偏光方向と結晶のy軸方向と一致させる。このときの結晶内入射角度をθ1yとすると観測される位相差分布ΔY1(x、y)は式(11) で与えられる。
【0028】
【式11】
【0029】
ここでney(θ1y)>>Δney(x,y,θ1y)、 L0>>ΔL(x,y) であるので
式(11)左辺のΔney(x,y,θ1y) ・ΔL(x,y)の項は無視することができる。またφ1=neZ(θ1Z)・L0、φ2=ney(θ2Z)・ L0 を仮定すると式(11)より
【0030】
【式12】
【0031】
式(12)を用いて式(11)は式(13)のように変形される。
【0032】
【式13】
【0033】
次に実測される屈折率の空間分布ΔneZ(x,y,θ1Z)と結晶のz軸偏光の屈折率空間分布ΔnZ(x,y)の関係式を明らかにする。ここで均質な材料を仮定するとP偏光(結晶のy軸方向の偏光)異常光屈折率の角度依存性は
【0034】
【式14】
【0035】
一軸性結晶を仮定し、Δny=Δnx、 nx=ny、とすると ney(θ)の空間分布は式(15)であらわされる。
【0036】
【式15】
【0037】
一方、試料を90°回転させP偏波とy軸方向を一致させた場合、結晶y軸方向の偏光異常光屈折率の角度依存性は
【0038】
【式16】
【0039】
neZ(θ)の空間分布は式(17)であらわされる。
【0040】
【式17】
【0041】
ここで係数δneZ(θ)/δnZは式(16)をnZで微分することにより次のように求められる。
【0042】
【式18】
【0043】
式(14)から式(18)を用いて、式(13)をΔnZ(x,y)を用いて書き直すと式(19)が得られる。
【0044】
【式19】
【0045】
式(19)より結晶の複屈折率分布ΔnZ/nZ−ΔnX/nX〜(ΔnZ−ΔnX)/nZを算出することが可能である。この場合式(19)には試料厚みの空間分布ΔL(x,y)に関する項は含まれていないため厚みむらによらず複屈折率分布のみ抽出できることがわかる。この場合常光屈折率の空間分布が異常光屈折率の空間分布と比べて無視できるほど小さいという仮定は必要無いことがわかる。したがって任意の結晶材料に関しても適用可能である。
【0046】
またLiNbO3結晶においては図4に示すように異常光屈折率ne(nx=ny) はLi組成比依存性にほとんど依存しないため空間依存性は極めて小さいためΔnX(x,y)=0とすると屈折率分布ΔnZ/nZを算出することができる。
【0047】
以上測定原理について説明したが、実際の測定装置および計算手順を説明する。図6に示すように試料透過位相を測定するためにいわゆる干渉計1を構成する。干渉計はレーザ光源部30と部分反射鏡20と試料部に配置した試料10を通過して反射鏡3により干渉計に戻った光を干渉させる干渉部から構成されている。参照ミラーまでの光学長を参照ミラーに取り付けたピエゾ素子等でわずかに変化させ干渉リングの動きから試料の位相を算出することができる。
【0048】
試料部は図3(a)に示すように試料を45度傾斜させ、P偏光が結晶のz軸方向と一致するように配置する。このときに得られる透過波面画像ΔZ1(x、y)は図7(a)に示すようにz軸方向に短縮された楕円の形状となる。
【0049】
一方、試料を90°回転させP偏光方向と試料のy軸を一致させる(図3(b))。このときに得られた透過波面の画像ΔY1(x、y)図8(a)は結晶のy軸方向に短縮された楕円の形状となる。この短軸方向の異なった2つの画像を式(19)を用いて計算するには工夫が必要となる。
【0050】
両画像とも短軸方向を拡大し、y、z軸方向とも等しい比率の円形の画像に変換する (図7(b)、8(b))。この状態で両画像の軸方向は直交しているのでどちらか一方の画像を(説明ではΔY1(x、y)画像を)90°逆回転させ両画像の座標軸方向を一致させる(図8(c))。
【0051】
こうして変換された画像ΔZ1(x、y)図7(b)、ΔY1(x、y)図8(c)を用いて式(10)より屈折率分布ΔnZ(x、y)を算出することができる。
【0052】
以上説明したように、XカットLiNbO3ウエハーの場合、試料を傾けて配置し、P偏光のまま試料を90°回転させて2つのz偏光方向、y偏光方向でのの光路長ΔZ(x、y)、ΔY(x,y)を光学干渉計等により測定することにより、式20から屈折率分布Δnz(x、y)を計測することが可能であることがわかった。
【0053】
こうした操作を行うことにより、厚み分布ΔL(x、y)による波面歪中に隠れて見えなかった10000分の1の程度のわずかな屈折率分布を精度よく算出することが可能となった。
またP偏光のみを用いているためウエハー表裏の多重干渉による干渉パターンの影響もなく精度よく測定できる。
【0054】
さらに精度を向上させるために次の問題を解決する方法が望ましい。まず、試料がない場合の干渉計本体の透過波面に歪もしくは波面に傾きが(バイアス成分)存在する場合、試料を通過させた場合の透過波面にこのバイアス成分が重畳されることになる。従って図7(a)図8(a)に同じバイアス成分が重畳される。図8(c)のように画像を90度回転させるためこのバイアス成分も90°回転され、図7(a),図8(a)の同一量重畳されたバイアス成分でも、式20で算出する最、キャンセルされずに屈折率の傾斜成分となって観測されることになる。
【0055】
第二に、試料を90°回転させて測定するために、同じy、z座標上の観測される位相を用いて計算しても、実際には光路は同じでなくy、z座標は同じでも90°回転した光路を通過した位相差を用いることになる。このため試料厚みに傾きや大きな厚みむらがある場合は試料厚みむらの差し引き効果が弱く、結果的に計算された屈折率分布にバイアス成分や見かけ上の不均一を生じることになる。
【0056】
この2点を改良するために、図9に示すように90°ステップで試料を回転させ、4つの透過波面を計測する(ここではそれぞれ+Z画像(図9(a))、+Y画像(図9(d))、−Z画像(図9(b))、−Y画像(図9(e))と呼ぶ)。−Z画像は180°画像回転され+Z画像に加えられる。また−Y画像も180°画像回転し+Y画像にくわえ込む。ここでそれぞれ加えられた画像をZ2画像(図9(c))、Y2画像(図9(f))とすると、夫々の透過波面画像は直線傾斜などのバイアス成分はキャンセルされることになる。Z2の透過波面分布をΔZ1(x、y) (図9(c))、Y2の透過波面分布をΔY1(x、y) (図9(f))とすると式20より屈折率分布を計算することができる。このときの試料厚みは2倍となることに注意する必要がある。またZ2,Y2画像を用いることにより、ウエハー厚み方向に光路が90°回転していることによる効果は空間的に平均化され緩和させることができた。
【0057】
以上のように90°ずつ試料を回転させた際の4つの透過波面を用いて計算することにより、その分空間分解能は若干劣化するが、干渉計のバイアス成分の影響を受けることなく精度よく屈折率分布のみを測定することが可能となった。
【0058】
【発明の実施形態】
第一の実施形態として、zカット5インチLiNbO3ウエハーを用い(厚み1000μm)屈折率分布を測定した場合を図10に示す。図10(a)は測定システムの正面図、図10(b)は側面図を示す。透過波面歪(光路長)を測定するために、ZYGO社製の干渉計(GPI−XP)を使用した。反射ミラー3はチルト調整の付属したミラーマウント4に装着され、チルト調整ねじ5,6によりあおりを調整することができる。これらの光学系は防振光学定番上に配置され、全体は温度0.1℃で制御されたクリーンベンチ内に配置されている。
【0059】
まず干渉計本体1からは6インチ径のHe−Neレーザ光は出射される。出射された光は光軸12上を伝搬し、反射ミラー3により反射され、同じ光軸12を通り干渉計本体に戻る。サンプルない状態で反射ミラーのあおりを調整する。
【0060】
次に図10(a)(b)に示すようにXカットLiNbO3ウエハーの結晶のx軸が光軸12に対して角度45度となるように回転ステージ7を調整し傾けてセットする。またz軸がP偏光方向と一致するように試料台8の上で試料10をセットする。 この時,図11(a)に示すように干渉計本体の偏光方向が試料傾斜面内になるP波方向となるようにしまた試料のz軸方向がP波偏光と一致する向きに試料をセットし透過波面歪を計測する。この状態で透過波面歪ΔZ(x、y)を測定した結果を図12に示した。取得したデータは一旦、図示されていないパーソナルコンピュータの記憶装置に記録する。
【0061】
次に図11(b)に示すようにウエハー10を試料台8の上で試料x軸を中心として90度回転させ、干渉計本体P波偏光方向と結晶y軸が一致するように配置し透過波面歪ΔY(x、y)を計測する。この状態で透過波面歪ΔY(x、y)を測定した結果を図13に示した。取得したデータは一旦パーソナルコンピュータ(図示せず)上の記憶装置に記録する。
測定が終了後、P波Z軸の透過波面歪ΔZ(x、y)とP波Y軸透過波面歪ΔY(x、y)をパーソナルコンピュータの記憶領域より読み出し、図7、8に示した手順で式(19)に従って屈折率nzの分布Δnz (x,y)を計算する。計測した結果を図14に示した。最大.のΔnz (x,y)の量は0.0003程度であり、小数点4桁めの屈折率分布が抽出できることがわかる。
図14を見てわかるように図12、13のウエハー厚み分布を反映した形状とはまったく異なった屈折率分布を示しており、ウエハー厚みに依存しない屈折率分布を精度よく計測できることがわかった。
【0062】
上記実施形態においては、一軸性結晶としてLiNbO3結晶を使用した場合について説明したが、これに限らず他の一軸性結晶であるLiTaO3やKLNであるような他の二軸性結晶の屈折率測定に用いてもよいことは明らかである。
【0063】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、LiNbO3結晶などのように組成比により屈折率が変化する結晶において、組成比に依存した屈折率分布を迅速に測定する測定法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】斜め入射での光軸図
【図2】LN反射率の入射角度依存性
【図3】(a)結晶のz軸と偏光方向が平行の場合(b)結晶のy軸と偏光方向が平行の場合
【図4】LN屈折率のLi組成比依存性
【図5】厚み分布を打ち消して屈折率のみを抽出する方法の説明図
【図6】測定システムを示すブロック図
【図7】測定された画像テ゛ータの回転変形の仕方を示す図
【図8】測定された画像テ゛ータの回転変形の仕方を示す図
【図9】透過波面傾斜成分を取り除く測定方法
【図10】(a)測定装置の正面図(b)測定装置の側面図
【図11】偏光方向と試料の結晶軸との関係を示す図
【図12】Z軸偏光の透過波面測定図
【図13】Y軸方向の透過波面測定図
【図14】ウエハーの複屈折分布測定図
【符号の説明】
1・・干渉計、 3・・反射鏡、 4・・ミラーマウント
5、6・・チルト調整ネジ、 7・・ 回転ステージ、 8・・ 試料台
10・・試料、 12・・光軸
Claims (6)
- 透過波面測定による屈折率分布測定法において、光が入射できる対向する2つの主面を有した試料において、主面鉛直方向が光軸に対して一定傾斜角度となるよう試料を傾斜させ、P偏光を測定試料の第一の主軸を一致させた場合の第一の透過波面と、P偏光と第一の主軸と直交した第二の主軸に一致させた場合の第二の透過波面より屈折率または複屈折率分布の計測方法。
- 透過波面測定による屈折率分布測定法において、光が入射できる対向する2つの主面を有した試料において、主面鉛直方向が光軸に対して一定傾斜角度となるよう試料を傾斜させ、P偏光を測定試料の第一の主軸を一致させた場合の第一の透過波面と、P偏光を測定試料の第一の主軸と一致させた場合の第一の透過波面と、さらに180度試料を回転させた場合の第二の透過波面と、P偏光の偏光方向をと第一の主軸と直交した第二の主軸方向に一致させた場合の第三の透過波面とさらに180度試料回転させた場合の第四の透過波面より屈折率または複屈折率分布の計測方法。
- 前記、一定傾斜角度は無反射となるブリュースター角度であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の計測方法。
- 前記複屈折結晶が、主面垂直方向がxまたはy軸と一致したLiNbO3であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の計測方法。
- 前記複屈折結晶が、主面垂直方向がz軸と一致したLiNbO3であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の計測方法。
- 光源部から発生する光を参照光と測定光に分離し、測定光を被検試料に通過させる手段と被検物を通過した測定を前記参照光と干渉させ、干渉画像を取り込む画像取得部と取得した画像を解析する演算部からなる装置において、請求項1から請求項3のいずれかの計測方法を用いて前記被検試料の屈折率分布を算出することを特徴とする屈折率もしくは複屈折率の分布測定装置。
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