JP2004092589A - 内燃機関の排ガス浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】フィルタを用いず、かつ圧損の増大なくして、微細なものから粗大なものまで各種粒径のPMの排出を抑制する。
【解決手段】排ガス流路の上流側にサイクロン集塵装置を配置し、その下流側に放電プラズマを発生するプラズマ発生装置を配置した。
大きな粒径のPMはサイクロン集塵装置に捕集され、小さな粒径のPMのみがプラズマ発生装置に流入するので、放電プラズマで容易に除去でき消費電力が小さい。
【選択図】 図1
【解決手段】排ガス流路の上流側にサイクロン集塵装置を配置し、その下流側に放電プラズマを発生するプラズマ発生装置を配置した。
大きな粒径のPMはサイクロン集塵装置に捕集され、小さな粒径のPMのみがプラズマ発生装置に流入するので、放電プラズマで容易に除去でき消費電力が小さい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジンなどの排ガスに含まれるカーボンを主とする粒子状物質(以下PMという)を効率よく浄化できる排ガス浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンの排ガス中には、カーボン、 SOF(Soluble Organic Fraction)、高分子有機化合物、硫酸ミストなどからなるPMが含まれ、大気汚染及び人体への悪影響の面からPMの排出を抑制しようとする動きが高まっている。PMの排出を抑制するには、フィルタによってPMを捕集する方法と、フロースルー型の触媒を用いてPMを燃焼除去する方法の2種類があり、それぞれのあるいは両方を組み合わせた技術開発が進められている。
【0003】
フィルタとしては、ハニカム形状の耐熱性基材の両端開口を互い違いに市松状に閉塞したものが用いられている。またフロースルー型の触媒はPMを濾し取る構造になっておらず、PMの粒径に対して十分大きい直径0.05mm、好ましくは 0.2mm以上の連通口を有し、貴金属を担持したアルミナなどからなる触媒コート層が連通路に形成されている。このフロースルー型の触媒は、ペレット状、フォーム状、ハニカム状など種々の形状とされている。
【0004】
フィルタによってPMを捕集する方法では、振動により堆積したPMを払い落とす、あるいは高温で熱処理するなどして堆積したPMを除去する保守が必要となる。そのためフィルタには十分な強度と耐熱性が必要であるが、現時点ではまだ十分でない。また自動車の内燃機関に適用する場合には、そのための加熱装置などが必要となるという問題もある。そこで特開平06−146852号公報には、放電プラズマによってラジカルを生成し、このラジカルによってフィルタに堆積したPMを低温で酸化する方法が開示されている。
【0005】
また特許第 3056626号公報には、帯電させたPMを強誘電体からなるペレットに静電気力で捕集し、ペレット間でマイクロプラズマを発生させることで捕集されたPMを燃焼除去する方法が開示されている。このようにすればフロースルー型としてもPMの捕集効率を格段に高めることができ、かつ捕集されたPMを効率よく燃焼除去することができる。
【0006】
【特許文献】特開平06−146852号
【特許文献】特許 第 3056626号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ディーゼルエンジンなどからの排ガス中には、微細なものから粗大なものまで各種粒径のPMが含まれている。粗大粒径のPMはフィルタで容易に捕集することができるものの、捕集されたPMを放電プラズマで燃焼させようとすると多大なエネルギーが必要となり、消費電力が大きくなって自動車には適さない。
【0008】
一方、微細粒径のPMを捕集するには、通り抜けを防止するために目の細かなフィルタを使用しなければならないが、そうするとPMの堆積によって目詰まりし圧力損失が大きくなるという重大な問題がある。さらに捕集されたPMを燃焼除去したとしても、残った灰分によってフィルタに目詰まりが発生し圧力損失が大きくなるという問題もある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、フィルタを用いず、かつ圧損の増大なくして、微細なものから粗大なものまで各種粒径のPMの排出を抑制することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の内燃機関の排ガス浄化装置の特徴は、内燃機関から排出されたPMを含む排ガスを浄化する装置であって、排ガス流路に配置されたサイクロン集塵装置と、排ガス流路の該サイクロン集塵装置より下流側に配置され放電プラズマを発生するプラズマ発生装置と、よりなることにある。
【0011】
上記排ガス浄化装置において、内燃機関の運転状態から排ガス中のPMの含有量を推定し、その含有量が所定値以上の場合にプラズマ発生装置を駆動することが好ましい。
【0012】
またプラズマ発生装置に流入する排ガス中のPMの濃度を推定する濃度推定手段と、濃度推定手段で推定された濃度に応じてプラズマ発生装置の駆動を制御する制御装置とをさらに備え、制御装置は濃度が所定値以上の場合にプラズマ発生装置を駆動することも好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の排ガス浄化装置は、サイクロン集塵装置と、排ガス流路のサイクロン集塵装置より下流側に配置され放電プラズマによって排ガス中のPMを燃焼するプラズマ発生装置と、より構成される。したがって排ガスは先ずサイクロン集塵装置に流入し、大きな粒径のPMはサイクロン集塵装置に捕集される。また小さな粒径のPMの一部も、旋回による遠心力で装置の周壁に集中し凝集により粒成長して捕集される。サイクロン集塵装置に捕集されたPMは、堆積量が多くなった時点で取り出して廃棄すればよい。
【0014】
したがってサイクロン集塵装置から出た排ガス中には、小さな粒径のPMのみが含まれることになる。そしてサイクロン集塵装置から出た排ガスは、下流側に配置されたプラズマ発生装置に流入する。排ガス中のO2,NO, NO2, SO2, SO3などの酸化性成分は、放電プラズマによってラジカル化あるいはイオン化されて活性化される。活性化された酸化性成分はPMとの反応活性がきわめて高いため、排ガス中のPMはこれらによって燃焼除去される。このとき含まれているPMは小さな粒径のものでありその量も少ないので、その燃焼に必要なエネルギーは小さくてすみ、放電プラズマ生成のために消費される電力を低減することができる。さらにNO, NO2, SO2などの有害成分はPMの酸化に伴って還元されるので、PM以外の有害成分も浄化することができる。
【0015】
すなわち本発明の排ガス浄化装置によれば、サイクロン集塵装置でPMを捕集しているので、フィルタを用いた場合のような目詰まりによる圧損の増大などの不具合が生じない。また放電プラズマを用いても、その消費電力は小さいので、自動車などの電源でも用いることができる。
【0016】
サイクロン集塵装置は公知のものを利用できるが、小型のもので、かつ排ガス流自身のエネルギーによって駆動できるものが特に好ましく用いられる。
【0017】
プラズマ発生装置は、一般に10〜50kV程度の高電圧の印加によって放電プラズマが発生するように構成される。この高電圧源としては、直流電圧、交流電圧あるいは交流パルス電圧などを用いることができる。例えば排ガス流路に一対以上の電極を形成し、その電極間で放電させることでプラズマを発生させ、流路を流れる排ガス中の酸化性成分を活性化することができる。電極の形状には特に制限はないが、細線、針状、エッジ状など放電しやすい形状とする、若しくは誘電体で覆うことが望ましい。
【0018】
ところでプラズマ発生装置の放電時に供給される電力は大きいために、連続的に放電させる方法では自動車のバッテリーへの負荷が大きく実用的でない。そこでプラズマ発生装置に対してその駆動を制御することが望ましい。
【0019】
例えば内燃機関の運転状態から排ガス中のPMの含有量を推定し、その含有量が所定値以上の場合にプラズマ発生装置を駆動することが好ましい。このようにすれば、例えば定常走行時など排ガス中のPM量がほとんど存在しない場合にプラズマ発生装置が駆動されるのを回避し、また加速時など排ガス中のPM量が多い場合にのみプラズマ発生装置を駆動してPMを燃焼することができるので、電力の無駄な消費を防止することができエネルギー効率が向上する。
【0020】
またプラズマ発生装置に流入する排ガス中のPMの濃度を検出する濃度検出手段と、濃度検出手段で検出されたPM濃度に応じてプラズマ発生装置の駆動を制御する制御装置とをさらに備え、制御装置はPM濃度が所定値以上の場合にプラズマ発生装置を駆動するうぴに構成することもできる。この場合、濃度検出手段としてはスモークメータあるいは光散乱パーティクルカウンターなどのPMセンサを用いることができる。
【0021】
さらに上記排ガス浄化装置において、プラズマ発生装置の上流側及び下流側の少なくとも一方に、酸化触媒、三元触媒、NOx 還元触媒及びNOx 吸蔵還元型触媒から選ばれる少なくとも一種をさらに配置することが好ましい。例えばプラズマ発生装置の上流側にこれらの触媒の一つを配置すれば、この触媒による酸化反応によって排ガス温度が上昇するので、プラズマ発生装置におけるPMの酸化燃焼を促進することが可能となる。また三元触媒などを配置すればHC及びCOの排出をさらに抑制でき、NOx 還元触媒などを配置すればNOx の排出をさらに抑制することができる。したがってディーゼルエンジンからの排ガス中のPMばかりでなくガス状の有害成分の浄化率が向上し、環境汚染をより防止することができる。
【0022】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
【0023】
(実施例1)
図1に本発明の一実施例の排ガス浄化装置を示す。この排ガス浄化装置は、ディーゼルエンジン1の排ガス流路10に備えられたサイクロン集塵装置2と、サイクロン集塵装置2の下流側に配置されたプラズマリアクタ3とから構成されている。
【0024】
サイクロン集塵装置2は上部に入口20が形成され、下部に出口21と集塵箱22が形成されている。入口20から流入した排ガスは内部で旋回流となり、大きな粒径のPM及び遠心力で凝集したPMは重力によって下方へ落下して集塵箱内に捕集され、小さな粒径のPMを含む排ガスは出口21から出てプラズマリアクタ3に流入する。このサイクロン集塵装置2としては、例えば接線流入式,軸流式,反転もしくは直流式サイクロン,マルチサイクロンなどを用いることができる。
【0025】
プラズマリアクタ3は、図2及び図3に概略構成を示すように、ステンレス製で筒状の接地電極30とステンレス製で針金状の放電電極31とから構成され、筒状の接地電極30内を排ガスが流れるように構成されている。そして高圧電源4から12.5kVの直流電圧が図4に示すパルス状に放電電極31に印加されると、接地電極30と放電電極31との間で間欠的に放電プラズマが発生するように構成されている。
【0026】
そして排ガス中のO2,NO, NO2, SO2, SO3などの酸化性成分は、放電プラズマによってラジカル化あるいはイオン化されて活性化される。活性化された酸化性成分はPMとの反応活性がきわめて高いため、排ガス中のPMはこれらによって燃焼除去される。このとき含まれているPMは小さな粒径のものであるので、その燃焼に必要なエネルギーは小さくてすみ、消費電力を低減することができる。
【0027】
(実施例2)
本実施例の排ガス浄化装置は、図5に示すように、プラズマリアクタ3の筒状の接地電極30内にチタン酸バリウム製のペレット又はフォーム体32が充填され、その中心軸に針金状の高圧電極33が形成されていること、高圧電極33に印加される電圧が図6に示すような10kVの交流電圧であること以外は実施例1と同様の構成である。
【0028】
ペレット又はフォーム体32を構成するチタン酸バリウムは誘電体であり、交流電圧の印加によって筒状の接地電極30内に放電プラズマが均一に形成されるという効果が奏され、実施例1に比べてPMの浄化率がさらに向上する。
【0029】
(実施例3)
本実施例の排ガス浄化装置は、プラズマリアクタ3の構造が異なること以外は実施例2と同様の構成である。
【0030】
プラズマリアクタ3は、図7に示すように、板状の接地電極30と板状の高圧電極33とが互いに1mmの間隔を隔てて交互に積層され、接地電極30と高圧電極33はそれぞれ誘電体であるチタン酸バリウムのフォーム体32に覆われている。したがって高圧電極33に10kVの交流電圧を印加することにより、それぞれの接地電極30と高圧電極33の間に均一な放電プラズマが発生し、実施例1に比べてPMの浄化率がさらに向上する。
【0031】
(比較例1)
プラズマリアクタ3を用いず、サイクロン集塵装置2のみを用いたこと以外は実施例1と同様である。
【0032】
(比較例2)
サイクロン集塵装置2を用いず、プラズマリアクタ3のみを用いたこと以外は実施例1と同様である。
【0033】
(比較例3)
サイクロン集塵装置2を用いず、プラズマリアクタ3のみを用い、かつ印加される交流電圧を20kVとしたこと以外は実施例1と同様である。
【0034】
<評価>
実施例及び比較例の各排ガス浄化装置について、除去できるPMの粒径とその除去率との関係を図8に示す。
【0035】
各実施例の装置では、PM粒径に依存せずPM除去率が高い。一方、サイクロン集塵装置2のみを用いた比較例1では、大きな粒径のPMは高い除去率で除去できるものの、小さな粒径のPMほど除去率が低下してしまう。またプラズマリアクタ3のみを用いた比較例2では、大きな粒径のPMほど除去率が低下し、これは大きな粒径のPMを燃焼することができないことを示す。プラズマリアクタ3のみを用いて大きな粒径のPMも燃焼除去するためには、比較例3のように放電電力を実施例2〜3より大きくしなければならない。
【0036】
ずなわち実施例1〜3のサイクロン集塵装置2によれば、粒径に依存せず高い除去率でしかも小さな消費電力でPMを除去することができる。
【0037】
(実施例4)
本実施例の排ガス浄化装置は、図9に示すように、ディーゼルエンジン1の運転状態を制御するエンジンコントロールユニット11の信号を受けて高圧電源4を制御する制御装置5をさらに備えたこと以外は実施例1と同様の構成である。
【0038】
以下、図10に示すフローチャートに沿って制御装置5の制御内容を説明しながら、本実施例の排ガス浄化装置の作用を説明する。
【0039】
ステップ 100でディーゼルエンジン1が駆動されると、ステップ 101でディーゼルエンジン1の回転数及び負荷状況から現在のPM発生量Xが算出される。この値は、エンジンの回転数及び負荷とPM発生量の関係を事前にマップで記録したものから読み出される。もちろん関係式を用いて計算してもよい。
【0040】
次にステップ 102で現在のPM発生量Xが所定値A以上の場合には、ステップ103で高圧電源4がONとされ12.5kVのパルス電圧がプラズマリアクタ3に所定時間印加される。これによりプラズマリアクタ3には放電プラズマが発生し、排ガス中のPMが燃焼除去される。
【0041】
一方、ステップ 102でPM発生量Xが所定値A未満の場合には、何もせずステップ 101へ戻る。
【0042】
したがって本実施例のPM浄化装置によれば、PM発生量Xが所定値A未満の場合には、サイクロン集塵装置2で捕集するだけで十分と判断され、プラズマリアクタ3で処理されることなく排出される。そしてPM発生量Xが所定値A以上になると、放電プラズマで活性化された酸化性成分によってPMが燃焼除去され、PMの排出が防止される。したがってプラズマリアクタ3が駆動されるのは、現在のPM発生量Xが所定値A以上の場合のみであるので、消費電力を節約できエネルギー効率がよい。
【0043】
(実施例5)
本実施例の排ガス浄化装置は、図11に示すように、プラズマリアクタ3へ流入する排ガス中のPM濃度を検出するPMセンサ6をさらに備えたこと以外は実施例3と同様の構成である。
【0044】
以下、図12に示すフローチャートに沿って制御装置5の制御内容を説明しながら、本実施例の排ガス浄化装置の作用を説明する。
【0045】
ステップ 200でディーゼルエンジン1が駆動されると、ステップ 201でサイクロン集塵装置2に堆積しているPM量Zが読み出される。そしてステップ 202でディーゼルエンジン1の回転数及び負荷状況から単位時間当たりの現在のPM発生量Xが算出される。この値は、エンジンの回転数及び負荷とPM発生量の関係を事前にマップで記録したものから読み出される。もちろん関係式を用いて計算してもよい。
【0046】
次にステップ 203で現在のPM発生量Xが所定値A以上の場合には、ステップ 206へ進み高圧電源4がONとされて、12.5kVのパルス電圧がプラズマリアクタ3に所定時間印加される。これによりプラズマリアクタ3には放電プラズマが発生し、排ガス中のPMが燃焼除去される。
【0047】
一方、ステップ 203でPM発生量Xが所定値A未満の場合には、何もせずステップ 204へ進む。
【0048】
ステップ 204では、PMセンサ6の検出信号からプラズマリアクタ3へ流入する排ガス中の現在の単位時間当たりのPM量Yが算出される。
【0049】
そしてステップ 205で現在のPM量Yが所定値B以上の場合には、ステップ 206で高圧電源4がONとされ20kVのパルス電圧がプラズマリアクタ3に所定時間印加される。これによりプラズマリアクタ3には放電プラズマが発生し、排ガス中のPMが燃焼除去される。
【0050】
一方、ステップ 205でPM量Yが所定値B未満の場合には、何もせずステップ207へ進む。ステップ 207では、ディーゼルエンジン1の駆動時間tより、Z=Z+(X−Y)*tの演算によってサイクロン集塵装置2に捕集されたPM量Zが更新される。ステップ 208ではサイクロン集塵装置2に捕集されたPM量Zが所定値C以上であるかどうかが判定され、PM量ZがC以上である場合は、ステップ 209でサイクロン集塵装置2の集塵箱22に堆積したPMを廃棄すべき旨の警告ランプを点灯させる。一方、PM量ZがCに満たない場合はステップ 202に戻る。
【0051】
したがって本実施例のPM浄化装置によれば、PM発生量Xが所定値A未満であり、かつPM量Yが所定値B未満の場合には、サイクロン集塵装置2で捕集するだけで十分と判断され、プラズマリアクタ3で処理されることなく排出される。そしてPM発生量Xが所定値A以上になると、放電プラズマで活性化された酸化性成分によってPMが燃焼除去され、PMの排出が防止される。
【0052】
さらに、PM発生量Xが所定値A未満の場合であっても、プラズマリアクタ3へ流入するPM量Yが所定値B以上の場合には、放電プラズマで活性化された酸化性成分によってPMが燃焼除去され、PMの排出が防止される。したがってプラズマリアクタ3が駆動されるのは、現在のPM量Yが所定値B以上の場合のみであるので、消費電力を節約できエネルギー効率がよい。
【0053】
また警告ランプの点灯によって集塵箱22内に堆積したPMを廃棄すべき時期を知ることができるので、集塵箱22内からPMが溢れるような不具合を未然に防止することができる。
【0054】
【発明の効果】
すなわち本発明の排ガス浄化装置によれば、サイクロン集塵装置でPMを捕集しているので、フィルタを用いた場合のような目詰まりによる圧損の増大などの不具合が生じない。また放電プラズマを用いても、その消費電力は小さいので、自動車などの電源でも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の排ガス浄化装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例の排ガス浄化装置に用いたプラズマ発生装置の横断面図である。
【図3】本発明の一実施例の排ガス浄化装置に用いたプラズマ発生装置の縦断面図である。
【図4】本発明の一実施例の排ガス浄化装置における印加電圧の波形図である。
【図5】本発明の第2実施例の排ガス浄化装置に用いたプラズマ発生装置の縦断面図である。
【図6】本発明の第2の実施例の排ガス浄化装置における印加電圧の波形図である。
【図7】本発明の第3の実施例の排ガス浄化装置に用いたプラズマ発生装置の縦断面図である。
【図8】実施例及び比較例の排ガス浄化装置のPM粒径とPM除去率の関係を示すグラフである。
【図9】本発明の第4の実施例の排ガス浄化装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第4の実施例の排ガス浄化装置の制御内容を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第5の実施例の排ガス浄化装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第5の実施例の排ガス浄化装置の制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1:ディーゼルエンジン 2:サイクロン集塵装置 3:プラズマリアクタ
4:高圧電源 5:制御装置 6:PMセンサ
10:排ガス流路 30:接地電極 31:放電電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジンなどの排ガスに含まれるカーボンを主とする粒子状物質(以下PMという)を効率よく浄化できる排ガス浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンの排ガス中には、カーボン、 SOF(Soluble Organic Fraction)、高分子有機化合物、硫酸ミストなどからなるPMが含まれ、大気汚染及び人体への悪影響の面からPMの排出を抑制しようとする動きが高まっている。PMの排出を抑制するには、フィルタによってPMを捕集する方法と、フロースルー型の触媒を用いてPMを燃焼除去する方法の2種類があり、それぞれのあるいは両方を組み合わせた技術開発が進められている。
【0003】
フィルタとしては、ハニカム形状の耐熱性基材の両端開口を互い違いに市松状に閉塞したものが用いられている。またフロースルー型の触媒はPMを濾し取る構造になっておらず、PMの粒径に対して十分大きい直径0.05mm、好ましくは 0.2mm以上の連通口を有し、貴金属を担持したアルミナなどからなる触媒コート層が連通路に形成されている。このフロースルー型の触媒は、ペレット状、フォーム状、ハニカム状など種々の形状とされている。
【0004】
フィルタによってPMを捕集する方法では、振動により堆積したPMを払い落とす、あるいは高温で熱処理するなどして堆積したPMを除去する保守が必要となる。そのためフィルタには十分な強度と耐熱性が必要であるが、現時点ではまだ十分でない。また自動車の内燃機関に適用する場合には、そのための加熱装置などが必要となるという問題もある。そこで特開平06−146852号公報には、放電プラズマによってラジカルを生成し、このラジカルによってフィルタに堆積したPMを低温で酸化する方法が開示されている。
【0005】
また特許第 3056626号公報には、帯電させたPMを強誘電体からなるペレットに静電気力で捕集し、ペレット間でマイクロプラズマを発生させることで捕集されたPMを燃焼除去する方法が開示されている。このようにすればフロースルー型としてもPMの捕集効率を格段に高めることができ、かつ捕集されたPMを効率よく燃焼除去することができる。
【0006】
【特許文献】特開平06−146852号
【特許文献】特許 第 3056626号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ディーゼルエンジンなどからの排ガス中には、微細なものから粗大なものまで各種粒径のPMが含まれている。粗大粒径のPMはフィルタで容易に捕集することができるものの、捕集されたPMを放電プラズマで燃焼させようとすると多大なエネルギーが必要となり、消費電力が大きくなって自動車には適さない。
【0008】
一方、微細粒径のPMを捕集するには、通り抜けを防止するために目の細かなフィルタを使用しなければならないが、そうするとPMの堆積によって目詰まりし圧力損失が大きくなるという重大な問題がある。さらに捕集されたPMを燃焼除去したとしても、残った灰分によってフィルタに目詰まりが発生し圧力損失が大きくなるという問題もある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、フィルタを用いず、かつ圧損の増大なくして、微細なものから粗大なものまで各種粒径のPMの排出を抑制することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の内燃機関の排ガス浄化装置の特徴は、内燃機関から排出されたPMを含む排ガスを浄化する装置であって、排ガス流路に配置されたサイクロン集塵装置と、排ガス流路の該サイクロン集塵装置より下流側に配置され放電プラズマを発生するプラズマ発生装置と、よりなることにある。
【0011】
上記排ガス浄化装置において、内燃機関の運転状態から排ガス中のPMの含有量を推定し、その含有量が所定値以上の場合にプラズマ発生装置を駆動することが好ましい。
【0012】
またプラズマ発生装置に流入する排ガス中のPMの濃度を推定する濃度推定手段と、濃度推定手段で推定された濃度に応じてプラズマ発生装置の駆動を制御する制御装置とをさらに備え、制御装置は濃度が所定値以上の場合にプラズマ発生装置を駆動することも好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の排ガス浄化装置は、サイクロン集塵装置と、排ガス流路のサイクロン集塵装置より下流側に配置され放電プラズマによって排ガス中のPMを燃焼するプラズマ発生装置と、より構成される。したがって排ガスは先ずサイクロン集塵装置に流入し、大きな粒径のPMはサイクロン集塵装置に捕集される。また小さな粒径のPMの一部も、旋回による遠心力で装置の周壁に集中し凝集により粒成長して捕集される。サイクロン集塵装置に捕集されたPMは、堆積量が多くなった時点で取り出して廃棄すればよい。
【0014】
したがってサイクロン集塵装置から出た排ガス中には、小さな粒径のPMのみが含まれることになる。そしてサイクロン集塵装置から出た排ガスは、下流側に配置されたプラズマ発生装置に流入する。排ガス中のO2,NO, NO2, SO2, SO3などの酸化性成分は、放電プラズマによってラジカル化あるいはイオン化されて活性化される。活性化された酸化性成分はPMとの反応活性がきわめて高いため、排ガス中のPMはこれらによって燃焼除去される。このとき含まれているPMは小さな粒径のものでありその量も少ないので、その燃焼に必要なエネルギーは小さくてすみ、放電プラズマ生成のために消費される電力を低減することができる。さらにNO, NO2, SO2などの有害成分はPMの酸化に伴って還元されるので、PM以外の有害成分も浄化することができる。
【0015】
すなわち本発明の排ガス浄化装置によれば、サイクロン集塵装置でPMを捕集しているので、フィルタを用いた場合のような目詰まりによる圧損の増大などの不具合が生じない。また放電プラズマを用いても、その消費電力は小さいので、自動車などの電源でも用いることができる。
【0016】
サイクロン集塵装置は公知のものを利用できるが、小型のもので、かつ排ガス流自身のエネルギーによって駆動できるものが特に好ましく用いられる。
【0017】
プラズマ発生装置は、一般に10〜50kV程度の高電圧の印加によって放電プラズマが発生するように構成される。この高電圧源としては、直流電圧、交流電圧あるいは交流パルス電圧などを用いることができる。例えば排ガス流路に一対以上の電極を形成し、その電極間で放電させることでプラズマを発生させ、流路を流れる排ガス中の酸化性成分を活性化することができる。電極の形状には特に制限はないが、細線、針状、エッジ状など放電しやすい形状とする、若しくは誘電体で覆うことが望ましい。
【0018】
ところでプラズマ発生装置の放電時に供給される電力は大きいために、連続的に放電させる方法では自動車のバッテリーへの負荷が大きく実用的でない。そこでプラズマ発生装置に対してその駆動を制御することが望ましい。
【0019】
例えば内燃機関の運転状態から排ガス中のPMの含有量を推定し、その含有量が所定値以上の場合にプラズマ発生装置を駆動することが好ましい。このようにすれば、例えば定常走行時など排ガス中のPM量がほとんど存在しない場合にプラズマ発生装置が駆動されるのを回避し、また加速時など排ガス中のPM量が多い場合にのみプラズマ発生装置を駆動してPMを燃焼することができるので、電力の無駄な消費を防止することができエネルギー効率が向上する。
【0020】
またプラズマ発生装置に流入する排ガス中のPMの濃度を検出する濃度検出手段と、濃度検出手段で検出されたPM濃度に応じてプラズマ発生装置の駆動を制御する制御装置とをさらに備え、制御装置はPM濃度が所定値以上の場合にプラズマ発生装置を駆動するうぴに構成することもできる。この場合、濃度検出手段としてはスモークメータあるいは光散乱パーティクルカウンターなどのPMセンサを用いることができる。
【0021】
さらに上記排ガス浄化装置において、プラズマ発生装置の上流側及び下流側の少なくとも一方に、酸化触媒、三元触媒、NOx 還元触媒及びNOx 吸蔵還元型触媒から選ばれる少なくとも一種をさらに配置することが好ましい。例えばプラズマ発生装置の上流側にこれらの触媒の一つを配置すれば、この触媒による酸化反応によって排ガス温度が上昇するので、プラズマ発生装置におけるPMの酸化燃焼を促進することが可能となる。また三元触媒などを配置すればHC及びCOの排出をさらに抑制でき、NOx 還元触媒などを配置すればNOx の排出をさらに抑制することができる。したがってディーゼルエンジンからの排ガス中のPMばかりでなくガス状の有害成分の浄化率が向上し、環境汚染をより防止することができる。
【0022】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
【0023】
(実施例1)
図1に本発明の一実施例の排ガス浄化装置を示す。この排ガス浄化装置は、ディーゼルエンジン1の排ガス流路10に備えられたサイクロン集塵装置2と、サイクロン集塵装置2の下流側に配置されたプラズマリアクタ3とから構成されている。
【0024】
サイクロン集塵装置2は上部に入口20が形成され、下部に出口21と集塵箱22が形成されている。入口20から流入した排ガスは内部で旋回流となり、大きな粒径のPM及び遠心力で凝集したPMは重力によって下方へ落下して集塵箱内に捕集され、小さな粒径のPMを含む排ガスは出口21から出てプラズマリアクタ3に流入する。このサイクロン集塵装置2としては、例えば接線流入式,軸流式,反転もしくは直流式サイクロン,マルチサイクロンなどを用いることができる。
【0025】
プラズマリアクタ3は、図2及び図3に概略構成を示すように、ステンレス製で筒状の接地電極30とステンレス製で針金状の放電電極31とから構成され、筒状の接地電極30内を排ガスが流れるように構成されている。そして高圧電源4から12.5kVの直流電圧が図4に示すパルス状に放電電極31に印加されると、接地電極30と放電電極31との間で間欠的に放電プラズマが発生するように構成されている。
【0026】
そして排ガス中のO2,NO, NO2, SO2, SO3などの酸化性成分は、放電プラズマによってラジカル化あるいはイオン化されて活性化される。活性化された酸化性成分はPMとの反応活性がきわめて高いため、排ガス中のPMはこれらによって燃焼除去される。このとき含まれているPMは小さな粒径のものであるので、その燃焼に必要なエネルギーは小さくてすみ、消費電力を低減することができる。
【0027】
(実施例2)
本実施例の排ガス浄化装置は、図5に示すように、プラズマリアクタ3の筒状の接地電極30内にチタン酸バリウム製のペレット又はフォーム体32が充填され、その中心軸に針金状の高圧電極33が形成されていること、高圧電極33に印加される電圧が図6に示すような10kVの交流電圧であること以外は実施例1と同様の構成である。
【0028】
ペレット又はフォーム体32を構成するチタン酸バリウムは誘電体であり、交流電圧の印加によって筒状の接地電極30内に放電プラズマが均一に形成されるという効果が奏され、実施例1に比べてPMの浄化率がさらに向上する。
【0029】
(実施例3)
本実施例の排ガス浄化装置は、プラズマリアクタ3の構造が異なること以外は実施例2と同様の構成である。
【0030】
プラズマリアクタ3は、図7に示すように、板状の接地電極30と板状の高圧電極33とが互いに1mmの間隔を隔てて交互に積層され、接地電極30と高圧電極33はそれぞれ誘電体であるチタン酸バリウムのフォーム体32に覆われている。したがって高圧電極33に10kVの交流電圧を印加することにより、それぞれの接地電極30と高圧電極33の間に均一な放電プラズマが発生し、実施例1に比べてPMの浄化率がさらに向上する。
【0031】
(比較例1)
プラズマリアクタ3を用いず、サイクロン集塵装置2のみを用いたこと以外は実施例1と同様である。
【0032】
(比較例2)
サイクロン集塵装置2を用いず、プラズマリアクタ3のみを用いたこと以外は実施例1と同様である。
【0033】
(比較例3)
サイクロン集塵装置2を用いず、プラズマリアクタ3のみを用い、かつ印加される交流電圧を20kVとしたこと以外は実施例1と同様である。
【0034】
<評価>
実施例及び比較例の各排ガス浄化装置について、除去できるPMの粒径とその除去率との関係を図8に示す。
【0035】
各実施例の装置では、PM粒径に依存せずPM除去率が高い。一方、サイクロン集塵装置2のみを用いた比較例1では、大きな粒径のPMは高い除去率で除去できるものの、小さな粒径のPMほど除去率が低下してしまう。またプラズマリアクタ3のみを用いた比較例2では、大きな粒径のPMほど除去率が低下し、これは大きな粒径のPMを燃焼することができないことを示す。プラズマリアクタ3のみを用いて大きな粒径のPMも燃焼除去するためには、比較例3のように放電電力を実施例2〜3より大きくしなければならない。
【0036】
ずなわち実施例1〜3のサイクロン集塵装置2によれば、粒径に依存せず高い除去率でしかも小さな消費電力でPMを除去することができる。
【0037】
(実施例4)
本実施例の排ガス浄化装置は、図9に示すように、ディーゼルエンジン1の運転状態を制御するエンジンコントロールユニット11の信号を受けて高圧電源4を制御する制御装置5をさらに備えたこと以外は実施例1と同様の構成である。
【0038】
以下、図10に示すフローチャートに沿って制御装置5の制御内容を説明しながら、本実施例の排ガス浄化装置の作用を説明する。
【0039】
ステップ 100でディーゼルエンジン1が駆動されると、ステップ 101でディーゼルエンジン1の回転数及び負荷状況から現在のPM発生量Xが算出される。この値は、エンジンの回転数及び負荷とPM発生量の関係を事前にマップで記録したものから読み出される。もちろん関係式を用いて計算してもよい。
【0040】
次にステップ 102で現在のPM発生量Xが所定値A以上の場合には、ステップ103で高圧電源4がONとされ12.5kVのパルス電圧がプラズマリアクタ3に所定時間印加される。これによりプラズマリアクタ3には放電プラズマが発生し、排ガス中のPMが燃焼除去される。
【0041】
一方、ステップ 102でPM発生量Xが所定値A未満の場合には、何もせずステップ 101へ戻る。
【0042】
したがって本実施例のPM浄化装置によれば、PM発生量Xが所定値A未満の場合には、サイクロン集塵装置2で捕集するだけで十分と判断され、プラズマリアクタ3で処理されることなく排出される。そしてPM発生量Xが所定値A以上になると、放電プラズマで活性化された酸化性成分によってPMが燃焼除去され、PMの排出が防止される。したがってプラズマリアクタ3が駆動されるのは、現在のPM発生量Xが所定値A以上の場合のみであるので、消費電力を節約できエネルギー効率がよい。
【0043】
(実施例5)
本実施例の排ガス浄化装置は、図11に示すように、プラズマリアクタ3へ流入する排ガス中のPM濃度を検出するPMセンサ6をさらに備えたこと以外は実施例3と同様の構成である。
【0044】
以下、図12に示すフローチャートに沿って制御装置5の制御内容を説明しながら、本実施例の排ガス浄化装置の作用を説明する。
【0045】
ステップ 200でディーゼルエンジン1が駆動されると、ステップ 201でサイクロン集塵装置2に堆積しているPM量Zが読み出される。そしてステップ 202でディーゼルエンジン1の回転数及び負荷状況から単位時間当たりの現在のPM発生量Xが算出される。この値は、エンジンの回転数及び負荷とPM発生量の関係を事前にマップで記録したものから読み出される。もちろん関係式を用いて計算してもよい。
【0046】
次にステップ 203で現在のPM発生量Xが所定値A以上の場合には、ステップ 206へ進み高圧電源4がONとされて、12.5kVのパルス電圧がプラズマリアクタ3に所定時間印加される。これによりプラズマリアクタ3には放電プラズマが発生し、排ガス中のPMが燃焼除去される。
【0047】
一方、ステップ 203でPM発生量Xが所定値A未満の場合には、何もせずステップ 204へ進む。
【0048】
ステップ 204では、PMセンサ6の検出信号からプラズマリアクタ3へ流入する排ガス中の現在の単位時間当たりのPM量Yが算出される。
【0049】
そしてステップ 205で現在のPM量Yが所定値B以上の場合には、ステップ 206で高圧電源4がONとされ20kVのパルス電圧がプラズマリアクタ3に所定時間印加される。これによりプラズマリアクタ3には放電プラズマが発生し、排ガス中のPMが燃焼除去される。
【0050】
一方、ステップ 205でPM量Yが所定値B未満の場合には、何もせずステップ207へ進む。ステップ 207では、ディーゼルエンジン1の駆動時間tより、Z=Z+(X−Y)*tの演算によってサイクロン集塵装置2に捕集されたPM量Zが更新される。ステップ 208ではサイクロン集塵装置2に捕集されたPM量Zが所定値C以上であるかどうかが判定され、PM量ZがC以上である場合は、ステップ 209でサイクロン集塵装置2の集塵箱22に堆積したPMを廃棄すべき旨の警告ランプを点灯させる。一方、PM量ZがCに満たない場合はステップ 202に戻る。
【0051】
したがって本実施例のPM浄化装置によれば、PM発生量Xが所定値A未満であり、かつPM量Yが所定値B未満の場合には、サイクロン集塵装置2で捕集するだけで十分と判断され、プラズマリアクタ3で処理されることなく排出される。そしてPM発生量Xが所定値A以上になると、放電プラズマで活性化された酸化性成分によってPMが燃焼除去され、PMの排出が防止される。
【0052】
さらに、PM発生量Xが所定値A未満の場合であっても、プラズマリアクタ3へ流入するPM量Yが所定値B以上の場合には、放電プラズマで活性化された酸化性成分によってPMが燃焼除去され、PMの排出が防止される。したがってプラズマリアクタ3が駆動されるのは、現在のPM量Yが所定値B以上の場合のみであるので、消費電力を節約できエネルギー効率がよい。
【0053】
また警告ランプの点灯によって集塵箱22内に堆積したPMを廃棄すべき時期を知ることができるので、集塵箱22内からPMが溢れるような不具合を未然に防止することができる。
【0054】
【発明の効果】
すなわち本発明の排ガス浄化装置によれば、サイクロン集塵装置でPMを捕集しているので、フィルタを用いた場合のような目詰まりによる圧損の増大などの不具合が生じない。また放電プラズマを用いても、その消費電力は小さいので、自動車などの電源でも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の排ガス浄化装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例の排ガス浄化装置に用いたプラズマ発生装置の横断面図である。
【図3】本発明の一実施例の排ガス浄化装置に用いたプラズマ発生装置の縦断面図である。
【図4】本発明の一実施例の排ガス浄化装置における印加電圧の波形図である。
【図5】本発明の第2実施例の排ガス浄化装置に用いたプラズマ発生装置の縦断面図である。
【図6】本発明の第2の実施例の排ガス浄化装置における印加電圧の波形図である。
【図7】本発明の第3の実施例の排ガス浄化装置に用いたプラズマ発生装置の縦断面図である。
【図8】実施例及び比較例の排ガス浄化装置のPM粒径とPM除去率の関係を示すグラフである。
【図9】本発明の第4の実施例の排ガス浄化装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第4の実施例の排ガス浄化装置の制御内容を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第5の実施例の排ガス浄化装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第5の実施例の排ガス浄化装置の制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1:ディーゼルエンジン 2:サイクロン集塵装置 3:プラズマリアクタ
4:高圧電源 5:制御装置 6:PMセンサ
10:排ガス流路 30:接地電極 31:放電電極
Claims (3)
- 内燃機関から排出された粒子状物質を含む排ガスを浄化する装置であって、排ガス流路に配置されたサイクロン集塵装置と、該排ガス流路の該サイクロン集塵装置より下流側に配置され放電プラズマを発生するプラズマ発生装置と、よりなることを特徴とする排ガス浄化装置。
- 内燃機関の運転状態から排ガス中の前記粒子状物質の含有量を推定し、該含有量が所定値以上の場合に前記プラズマ発生装置を駆動する請求項1に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
- 前記プラズマ発生装置に流入する排ガス中の前記粒子状物質の濃度を検出する濃度検出手段と、該濃度検出手段で検出された濃度に応じて前記プラズマ発生装置の駆動を制御する制御装置とをさらに備え、該制御装置は該濃度が所定値以上の場合に前記プラズマ発生装置を駆動する請求項1に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
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-
2002
- 2002-09-03 JP JP2002257700A patent/JP2004092589A/ja active Pending
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