JP2004091561A - 生分解性熱収縮ラベル用フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】生分解性も有し、より改良された新たな熱収縮性ラベル用フィルムの提供。
【解決手段】主鎖に芳香族基を有する2次転移点50〜70℃の生分解性ポリエステル系樹脂による実質的横一軸延伸された熱収縮性フィルムであって、且つ該延伸が4〜6倍行われた場合の該フィルムの有する、縦方向の引張伸度が200%以上、80℃熱水による10秒後の横方向の収縮率35%以上、40℃空気中7日間放置後の横方向の収縮率3%以下であることを特徴とする生分解性熱収縮ラベル用フィルム。このフィルムは印刷され円筒状に加工して筒状容器に熱収縮にて一挙に装着される。
【選択図】 なし
13
【解決手段】主鎖に芳香族基を有する2次転移点50〜70℃の生分解性ポリエステル系樹脂による実質的横一軸延伸された熱収縮性フィルムであって、且つ該延伸が4〜6倍行われた場合の該フィルムの有する、縦方向の引張伸度が200%以上、80℃熱水による10秒後の横方向の収縮率35%以上、40℃空気中7日間放置後の横方向の収縮率3%以下であることを特徴とする生分解性熱収縮ラベル用フィルム。このフィルムは印刷され円筒状に加工して筒状容器に熱収縮にて一挙に装着される。
【選択図】 なし
13
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性を有する改良された熱収縮ラベル用フィルムに関する。該フィルムは、印刷され円筒状に加工されて各種筒状容器に装着され使用される。
【0002】
【従来の技術】
フィルム公害をなくそうとする試みから、生分解性を有するポリエステル樹脂をニ軸延伸して熱収縮フィルムとなし、これをラッピング包装用として使用することについては、例えば、特開平6−23836号公報、特開平7−205278号公報、特表平5−508819号公報、特開2001−114912号公報で公開され知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記包装用とは異なり、特に熱収縮ラベル用のフィルムに関し、これを生分解性を有する樹脂でもって開発することを課題として鋭意検討した結果、得られたものである。その課題達成手段は次のものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
つまり本発明は、前記請求項1を主発明とするもので、それは主鎖に芳香族基を有する2次転移点50〜70℃の生分解性ポリエステル系樹脂による実質的横一軸延伸された熱収縮性フィルムであって、且つ該延伸が4〜6倍行われた場合の該フィルムの有する、縦方向の引張伸度が200%以上、80℃熱水による10秒後の横方向の収縮率35%以上、40℃空気中7日間放置後の横方向の収縮率3%以下であることを特徴とする生分解性熱収縮ラベル用フィルムである。
【0005】
そして、請求項1の生分解性ポリエステル系樹脂の好ましい態様として請求項2が提供され、そして円筒状熱収縮ラベルとして請求項3が提供される。
以下本発明を次の実施形態で詳述する。
【0006】
【発明の実施の形態】
まず本発明が対象とする樹脂原料は、主鎖に芳香族基を有する2次転移点(以下単にTgと呼ぶ)50〜70℃の生分解性ポリエステル系樹脂である。
一般に芳香族基を主鎖に結合するポリエステルは、実質的に生分解性は有しておらず、従って、ここでの生分解性とは、生分解性を有する「ある物」の導入が行われて、全体として生分解性も付与されるというものであり、この主鎖に芳香族基を持たせるものは、他の特性、つまりフィルム強度(例えば耐引裂、耐衝撃等)、フィルムの伸性(特に無延伸サイドの伸度)、熱的性質(Tg、融点)等の機能発現に作用させる為のものである。
【0007】
前記生分解性能を有する「ある物」の導入とは、例えば脂肪族ヒドロオキシカルボン酸によるか、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオール(何れも飽和)との重縮合による脂肪族ポリエステルユニット(脂肪族ユニットと呼ぶ)である。中でも後者による導入が好ましい。これは、相手との結合が容易(これは共縮重合の形式がコントロールし易く、高分子量化も容易)であるとか、メチレン基数が変えられることで生分解性がコントロールできるからであるが、他にこのメチレン基数の変化で、ある程度のフィルム強度、熱的性質等も変えられるからである。
ここで、該脂肪族ジカルボン酸を具体的に示すと、好ましくはC2〜C4(メチレン基数)の両末端カルボン酸(又はそのエステル)、つまり琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸である。一方の脂肪族ジオールサイドは、好ましくはC2〜C4のジオール、つまりエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコールのいずれかである。
尚、これらジカルボン酸、ジオールは、それぞれ2種混合であっても良い。
【0008】
一方、主鎖に芳香族基を有すポリエステルユニット(半芳香族ユニットと呼ぶ)は、好ましく例示すると、テレフタル酸に代表される芳香族ジカルボン酸(又はそのエステル)とC2又はC4に−OHを結合するジオール(つまりエチレングリコール又はジエチレングリコール)の重縮合による。この中でも、基本的にはテレフタル酸とC2のエチレングリコールとの組合せであり、他の例えば、イソフタル酸とC4ジオール、つまりジエチレングリコールとは、マイナー成分として併用する形を採るのが良い。イソフタル酸に例えばスルホニル基が結合することで生分解性を加速する。
【0009】
この半芳香族ユニットの前記機能は、当然原料である生分解性ポリエステル系樹脂全体の性能を左右する。つまり全体樹脂の中での該ユニットの結合割合によって前記機能の発現は変化することになる。
本発明のラベル用フィルムとしては、生分解性は必要最低限に抑え、前記機能を相乗的に発現させるのが好ましいことから、その結合割合は、半芳香族ユニットを50モル%以上、好ましくは60〜80モル%とし、脂肪族ユニットを50モル%未満、好ましくは40〜20モル%程度に設定するのが良い。
【0010】
Tgが50〜70℃、好ましくは55〜65℃の前記原料樹脂は、基本的には前記結合割合の中で半芳香族ユニットの量を増減することで得られるが、ここで特にTg範囲が前記範囲に定められる理由は次による。
Tgが50℃未満では、(生分解性は良化するが)フィルムの伸性が減退するようになる。ここでフィルムの伸性とは、例えば横又は縦のいずれか一方向にのみ延伸した場合、延伸した方向に直交する方向のフィルム伸びが小さいことであり、これは後の二次加工(スリットとか、印刷)を困難にする結果になる。本発明では、特に横方向のみの延伸であり、従って縦の伸性に係わる。Tgが50℃未満になると、この縦方向の伸性が減少することになるので、例えば一定張力の元で、連続してスリットするとか、グラビヤ印刷する場合に、途中での破断に繋がってくる。
Tgが70℃を超えると、フィルム強度とフィルム伸性は、大きく向上するが、必要最小限とする生分解性が得られなくなる(適正な生分解性は、その樹脂の有するTgと生分解菌の分解活性にも関係があり、Tgが70℃以下にはその理由がある)。
【0011】
尚、前記Tgの生分解性ポリエステル系樹脂の製造手段は、一般にPET樹脂製造で行われるのと実質的大差のない重縮合条件下(重縮合触媒下で脱水又は脱アルコール)で合成される。
前記半芳香族ユニットにしても、脂肪族ユニットにしても、そのジカルボン酸成分とジオール成分とは、当モルで混合して重縮合する。従って、ジカルボン酸成分としての脂肪族と芳香族のジカルボン酸との全モル数とジオール成分としての2種の脂肪族ジオールとの全モル数とは基本的には当モルである必要がある。前記Tg範囲での各成分モル数について例示すると次の通りである。テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸50〜80モル%、脂肪族ジカルボン酸50〜20モル%であり、これに対する脂肪族ジオールが当モル数になるように調整される。尚、構造設計は、反応の手順によりランダムでも、ブロックでも可能である。
【0012】
次に前記生分解性熱収縮ラベル用フィルムの製造手段を例示する。
まず前記Tgを有する樹脂は事前に十分に水分乾燥(100℃前後で窒素ガス等不活性ガス雰囲気下が良い)する。加熱押出機中で加水分解の危険性があるからであり、この量は300ppm以下になるように管理するのが良い。
Tダイ又はチューブラーダイ押出機にてシート状又はチューブ状で成形するが、その温度は少なくとも該樹脂の有する融点よりも約5〜50℃高い温度で行う。
【0013】
次に前記押出機により得られるフィルム状物は、横方向の熱収縮性を付与するために横のみ延伸を行う必要がある。該延伸は一旦実質的無延伸にて成形し巻取り、その後別工程を採って行っても良いが、押出後連続して行うのが良く、成形・延伸も極めて円滑に行われるので何らの問題も発生しない。
該延伸は、そのフィルム状物の有する融点よりも低くTgよりも約5〜15℃高い温度で行い、横一軸(円筒状ラベルとした場合の周方向)方向のみをテンターにて行う。ここで実質的とは、全く横のみの延伸動作は行うが、それに追従して、止むを得ず僅少の縦方向延伸も行われた場合のことであり、そのような場合の縦延伸は、本発明のラベル用として問題はないという意味である。
【0014】
横のみの延伸倍率であるが、その倍率によって横方向の熱収縮率(筒状容器への装着力)は勿論のこと、フィルム強度等も変わる。本発明のラベル用としては4〜6倍延伸が有効である。これは4倍よりも低いと、延伸ムラ(厚みムラ)ができ易く、一定性能を有するラベル用フィルムが得られ難くなる。
一方、6倍を越すと、一定条件下での円滑な延伸ができなくなり、延伸時に破れる危険性が高くなる。
【0015】
前記の通り、横4倍〜6倍延伸により、特に熱収縮ラベル用として有効なフィルム特性が付与されるが、それは縦方向の引張伸度が200%以上、好ましくは400%以上、80℃熱水による10秒後の収縮率(以下単に熱水収縮率と呼ぶ)が横方向で35%以上、好ましくは40%以上、40℃空気中7日間放置後の収縮率(以下単に自然収縮率と呼ぶ)が横方向で3%以下、好ましくは2%以下であるということである。
【0016】
前記縦方向の引張伸度が200%以上である意義は、次のことによる。
円筒状ラベルに加工するのに際しては、前記のように、スリットとか印刷のような二次加工が事前に行われる。このスリットも、印刷もかなりのテンションの下で、高速度(例えば100〜200m/分)で行われる。このような厳しい条件で長時間に渡ってトラブルなくこの加工が行われるためには、縦の伸性(引張伸度)が必要であり、本発明では少なくとも200%以上必要である。これが前記樹脂を使って、4〜6倍の横延伸によって得られるということである。
勿論この特性は、筒状容器に装着する場合、その形状、装着位置には制限なく、より広い条件下で対応でき、円滑に、美麗に装着できるという条件にもなる。
尚、因みにその時の横方向の引張伸度は40〜60%程度に固定状態にある。
【0017】
又、80℃熱水での熱水収縮率35%以上は、少なくとも一般に使用されている筒状容器(PET樹脂等等のプラスチック製飲料ボトルとか、ガラス製、アルミ製等の飲料ボトル)に対して、どのような形状、装着位置でも容易に、強固に美麗に装着できるのに必要な収縮条件である。
尚、熱水80℃は、一般に円筒熱収縮ラベルの装着手段の一つとして熱水(蒸気)に曝す方法があり、その時の温度が80℃程度である事による。勿論場合によっては80℃前後でも行われるので、その場合はこの収縮率は上下することになる。
勿論、熱風によっても同じように装着できるが、ムラなくより均一に効率良く行うのであれば、該熱水によるのが良い。
【0018】
又、自然収縮率3%以下は、円筒状ラベルとしての使用前後に関わらず、少なくとも40℃以下の温度雰囲気下ではどのような期間置かれても3%を超える自然収縮はしないというものである。これは長期間の保管に対する耐自然収縮性であるが、自然収縮率が3%を超えると、例えば印刷の位置ズレにもなり、画質に悪影響がでる。また、装着された容器がある期間経過したら、装着状態に変化があった等の問題に繋がる。3%以下にあればこの危険性も非常に小さくなり、安全・確実に長期間の保管もできると云うものである。
【0019】
前記延伸により得られた横一軸延伸フィルムは、そのまま使用しても良いが、内部応力等緩和の為にアニーリングするのが良い。アニーリング温度は、勿論融点よりも低いが、実際の温度は、ラベルの熱収縮装着に際して、その能力をどこまでに維持しておくかによって適宜決める。
この処理も前記延伸成形とは別工程で行ってもよいが、テンターゾーン内で連続して行うのが良い。
尚、前記得られた熱収縮ラベル用フィルムの厚さは、約30〜100μmで対応する。
【0020】
次に、前記熱収縮ラベル用フィルムを、円筒状熱収縮ラベルとして使う場合の手段を例示する。
まず、前記横一軸方向に延伸し、アニーリングされたウェブフィルムの一面に必要な印刷が行われる。印刷に際しては、その面を軽く拭き取るとか、洗浄する程度で良いが、コロナ処理等の前処理しても良い。水性、油性インキ、又は(今後期待される)生分解性インキを使ってグラビヤ印刷等の方法で連続的に印刷される。勿論、場合によっては、スクリーン印刷等の他の印刷手段も採られる。
そして、この印刷フィルムを筒状ラベルとして必要な幅にスリッターにて連続カットしながら巻き取る。次にこのフィルムを引出しながら、(印刷面を内側にして)長さ方向に両端を重合密着し、円筒状のフィルムに加工する。
ここで、この重合密着の手段としては、例えばインパルス、高周波又は超音波によって外部又は内部加熱してヒ−トシ−ルするとか、接着剤による。連続重合密着には接着剤によるのが有利である。該接着剤としては、ポリエステルを主体にして、エポキシ、ウレタン等で変性した1液又は2液のポリエステル系接着剤が好ましい。これの有機溶剤溶液を重合部分にグラビヤロール、ノズル吐出等の方法で塗布し、溶剤乾燥後、押圧して常温又は加熱して密着する。
円筒状になって送り出されたフィルムは、所定長にカットされ、他方から送られてくる筒状容器に自動的に嵌入され、80〜90℃の蒸気トンネル内に送られる。そこで熱収縮されて固定されて排出される。筒状容器に嵌入する前に、用済み後の脱ラベルのための縦ミシン目の刻設も行う。
尚、本発明のフィルムは、(比較的使用し易い)テトラヒドロフラン、エステル、ケトン、キシレン等には難溶であり、前記両端重合密着手段の1つである有機溶剤シールに関して現状では適切な条件が見つけられていないが、諸条件を検討することにより可能となる。
【0021】
【実施例】
以下本発明を比較例と共に、実施例によって更に詳述する。
尚、本例における引張伸度(以下Teと呼ぶ)、熱水収縮率、自然収縮率及び衝撃強度(以下Ssと呼ぶ)は、次の通り測定した。
●Te(%)
得られたフィルムの一部をサンプルとし、引張試験機(株式会社 島津製作所 AGS−100A型)でJIS K−6732号に準じて縦方向の引張伸度を測定した。参考までに横方向も測定した。
●熱水収縮率(%)
得られたフィルムの一部を100mm角にカットし、これをサンプルとし80℃熱水の中に10秒間浸漬し、直ちに引き上げて常温に冷却し、横方向の長さを測定して、原サンプルに対する収縮率を求めた。参考までに縦方向も測定した。
●自然収縮率(%)
熱水収縮率と同じ100mm角サンプルを40℃空気中に7日間放置した後常温に冷却し、横方向の長さを測定して、原サンプルに対する収縮率を求めた。参考までに縦方向も測定した。
●Ss(J)
得られたフィルムの一部を100mm角に切り出し、それを水平に張架し、その中心部分にめがけて直径12.5mmの半球錘を下から付き当て、破れるまで加圧する。破れる瞬間の力を捨て針により読み取る(JIS P8134に基づく)。
【0022】
(実施例1)
ジカルボン酸成分として、テレフタル酸を主とするグルタル酸(C3メチレン基)及び微量のスルホイソフタル酸、脂肪族ジオール成分としてエチレングリコールを主とするジエチレングリコールとし、両成分を重縮合反応することで得られたTg62℃の生分解性ポリエステル樹脂(デュポン株式会社製 Biomax ♯6927、融点約237℃、MI(g/10min・245℃)=30)を一昼夜真空乾燥をして、まず次の条件でフィルム状に成形した。
リップ開度500μm、幅400mmのTダイ付き一軸スクリュ一押出機を用いて、バレル温度220〜250℃(順次高く)に温調し、Tダイ温度は245℃に温調した。そして該押出機に上記原料を供給し、Tダイから実質的に無延伸で回転冷却ロール(40℃に温調)上にキャステングしつつ、一旦冷却固化し(この時のフィルム厚さは250μm、幅は320μmであった)、引き続きこのフィルムを横方向延伸テンター内に供給し、両端を挟持しながら、まず93℃加熱ゾーン(予熱時間約12秒間)、70〜75℃の加熱ゾーン(加熱時間約18秒で、5倍の横方向延伸を行う)、そして65℃加熱ゾーン(加熱時間約15秒でアニーリングを行う)に送り、最後に系外に出してロールを介して常温に冷却しつつロールに巻取り実質的横方向一軸延伸のみのフィルムを得た。勿論この成形中何のトラブルもなく、またフィルムにフローマークとか表面ザラツキといったものはなく透明なフィルムでもあった。、
かくして得られた該フィルムの厚さは49.9±1.1μm、幅は約1.5m、長さは約1000mであった。
この一部を切り出して各サンプルを作りTe、熱水収縮率、自然収縮率及びSsを求め、表1に記載した。
【0023】
(表1)
【0024】
次に、前記得られたフィルムを幅1m当たり8kgになるようにロール間テンションをかけて、130m/分の速度でスリッターに送って両端をカットしながら幅230mmにカット仕上げしつつ巻き取った。この間全くトラブルなくカット加工ができた。
【0025】
次に、前記カットフィルムを、幅5mmで両端を重合し、その間に2液のポリエステル系接着剤(大日本インキ化学工業株式会社 主剤LX401/硬化剤SP−60=1/1)を酢酸エチルに50重量%で溶解希釈したものを塗布して、50℃に加熱しつつ圧着してチューブフィルムを得た。
そして長さ135mmにカットして、図1の1で示す6個の円筒状ラベル用として得た。この中の1つを使って、該重合シール部分の強度(180度剥離)を測定したところ、9.5〜10N/15mmであった。
【0026】
次に前記円筒状ラベル用の4個を使って、これを図1に示す形状のPETボトル2の4本に挿入した。該ボトルは、周長218mmで胴部分が6角形で、その上下が凹凸輪状のデザインになっている角ボトルで、2aがキャップに続く肩部分である。
そして該ラベルの装着位置は、胴部下から肩部分2aの5mm上の位置までとし、そこで仮り止めして、4本全部を80〜90℃の蒸気トンネル中に置き12秒間加熱した。該ラベル1の装着状態が該ボトル上の点線で示される。
結果は、いずれも隅々まで、シワ、位置ズレ等も全くなく、極めて美麗に強固に装着された。
【0027】
(比較例1)
ジカルボン酸成分として、実施例1よりも少量のテレフタル酸とグルタル酸(C3メチレン基)及び微量のスルホイソフタル酸、脂肪族ジオール成分としてエチレングリコールを主とするジエチレングリコールとし、両成分を重縮合反応することで得られたTg45℃の生分解性ポリエステル樹脂(デュポン株式会社製Biomax ♯4024、融点約200℃、MI(g/10min・220℃)=11)を一昼夜真空乾燥をして、これを実施例1に準じて無延伸フィルム成形―5倍横方向延伸―アニーリングを行い、工程途中でのトラブルもなく相当する熱収縮フィルムを得た。
但し、押出機バレル温度210〜225℃、Tダイ温度210℃に温調し、テンター内での各温度は80℃(予熱)/55〜60℃(5倍の横延伸)/50℃(アニーリング)に設定した。
得られたフィルムの厚さは50±1.5μm、幅は約1.5mであった。このものについても実施例1と同様にTs、熱水収縮率、自然収縮率及びSsを求め、表1に記載した。
【0028】
そして、前記ロールフィルムを実施例1と同様に、スリッターに掛けて両端の連続カットを試みた。その結果はスリット途中での破断が頻発したので中止した。これは縦方向の伸性が極めて悪いことに原因がある。従って、更なる円筒状フィルムへの加工テストは行わなかった。
【0029】
【発明の効果】
本発明は、前記の通り構成されているので次のような効果を奏する。
【0030】
より高いフィルム強度、縦方向の伸性、耐自然収縮性に極めて優れた、一つの新たな生分解性も有する熱収縮ラベル用フィルムが得られるようになった。
【0031】
本フィルムによる円筒状フィルムは、一般の筒状容器に熱収縮させて装着されるが、該容器の形状とか、装着位置は制限されずに、より広い範囲で対応できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】円筒状ラベルとPETボトルとを斜視図で示す。
【符号の説明】
1 円筒状熱収縮ラベル
2 PETボトル
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性を有する改良された熱収縮ラベル用フィルムに関する。該フィルムは、印刷され円筒状に加工されて各種筒状容器に装着され使用される。
【0002】
【従来の技術】
フィルム公害をなくそうとする試みから、生分解性を有するポリエステル樹脂をニ軸延伸して熱収縮フィルムとなし、これをラッピング包装用として使用することについては、例えば、特開平6−23836号公報、特開平7−205278号公報、特表平5−508819号公報、特開2001−114912号公報で公開され知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記包装用とは異なり、特に熱収縮ラベル用のフィルムに関し、これを生分解性を有する樹脂でもって開発することを課題として鋭意検討した結果、得られたものである。その課題達成手段は次のものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
つまり本発明は、前記請求項1を主発明とするもので、それは主鎖に芳香族基を有する2次転移点50〜70℃の生分解性ポリエステル系樹脂による実質的横一軸延伸された熱収縮性フィルムであって、且つ該延伸が4〜6倍行われた場合の該フィルムの有する、縦方向の引張伸度が200%以上、80℃熱水による10秒後の横方向の収縮率35%以上、40℃空気中7日間放置後の横方向の収縮率3%以下であることを特徴とする生分解性熱収縮ラベル用フィルムである。
【0005】
そして、請求項1の生分解性ポリエステル系樹脂の好ましい態様として請求項2が提供され、そして円筒状熱収縮ラベルとして請求項3が提供される。
以下本発明を次の実施形態で詳述する。
【0006】
【発明の実施の形態】
まず本発明が対象とする樹脂原料は、主鎖に芳香族基を有する2次転移点(以下単にTgと呼ぶ)50〜70℃の生分解性ポリエステル系樹脂である。
一般に芳香族基を主鎖に結合するポリエステルは、実質的に生分解性は有しておらず、従って、ここでの生分解性とは、生分解性を有する「ある物」の導入が行われて、全体として生分解性も付与されるというものであり、この主鎖に芳香族基を持たせるものは、他の特性、つまりフィルム強度(例えば耐引裂、耐衝撃等)、フィルムの伸性(特に無延伸サイドの伸度)、熱的性質(Tg、融点)等の機能発現に作用させる為のものである。
【0007】
前記生分解性能を有する「ある物」の導入とは、例えば脂肪族ヒドロオキシカルボン酸によるか、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオール(何れも飽和)との重縮合による脂肪族ポリエステルユニット(脂肪族ユニットと呼ぶ)である。中でも後者による導入が好ましい。これは、相手との結合が容易(これは共縮重合の形式がコントロールし易く、高分子量化も容易)であるとか、メチレン基数が変えられることで生分解性がコントロールできるからであるが、他にこのメチレン基数の変化で、ある程度のフィルム強度、熱的性質等も変えられるからである。
ここで、該脂肪族ジカルボン酸を具体的に示すと、好ましくはC2〜C4(メチレン基数)の両末端カルボン酸(又はそのエステル)、つまり琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸である。一方の脂肪族ジオールサイドは、好ましくはC2〜C4のジオール、つまりエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコールのいずれかである。
尚、これらジカルボン酸、ジオールは、それぞれ2種混合であっても良い。
【0008】
一方、主鎖に芳香族基を有すポリエステルユニット(半芳香族ユニットと呼ぶ)は、好ましく例示すると、テレフタル酸に代表される芳香族ジカルボン酸(又はそのエステル)とC2又はC4に−OHを結合するジオール(つまりエチレングリコール又はジエチレングリコール)の重縮合による。この中でも、基本的にはテレフタル酸とC2のエチレングリコールとの組合せであり、他の例えば、イソフタル酸とC4ジオール、つまりジエチレングリコールとは、マイナー成分として併用する形を採るのが良い。イソフタル酸に例えばスルホニル基が結合することで生分解性を加速する。
【0009】
この半芳香族ユニットの前記機能は、当然原料である生分解性ポリエステル系樹脂全体の性能を左右する。つまり全体樹脂の中での該ユニットの結合割合によって前記機能の発現は変化することになる。
本発明のラベル用フィルムとしては、生分解性は必要最低限に抑え、前記機能を相乗的に発現させるのが好ましいことから、その結合割合は、半芳香族ユニットを50モル%以上、好ましくは60〜80モル%とし、脂肪族ユニットを50モル%未満、好ましくは40〜20モル%程度に設定するのが良い。
【0010】
Tgが50〜70℃、好ましくは55〜65℃の前記原料樹脂は、基本的には前記結合割合の中で半芳香族ユニットの量を増減することで得られるが、ここで特にTg範囲が前記範囲に定められる理由は次による。
Tgが50℃未満では、(生分解性は良化するが)フィルムの伸性が減退するようになる。ここでフィルムの伸性とは、例えば横又は縦のいずれか一方向にのみ延伸した場合、延伸した方向に直交する方向のフィルム伸びが小さいことであり、これは後の二次加工(スリットとか、印刷)を困難にする結果になる。本発明では、特に横方向のみの延伸であり、従って縦の伸性に係わる。Tgが50℃未満になると、この縦方向の伸性が減少することになるので、例えば一定張力の元で、連続してスリットするとか、グラビヤ印刷する場合に、途中での破断に繋がってくる。
Tgが70℃を超えると、フィルム強度とフィルム伸性は、大きく向上するが、必要最小限とする生分解性が得られなくなる(適正な生分解性は、その樹脂の有するTgと生分解菌の分解活性にも関係があり、Tgが70℃以下にはその理由がある)。
【0011】
尚、前記Tgの生分解性ポリエステル系樹脂の製造手段は、一般にPET樹脂製造で行われるのと実質的大差のない重縮合条件下(重縮合触媒下で脱水又は脱アルコール)で合成される。
前記半芳香族ユニットにしても、脂肪族ユニットにしても、そのジカルボン酸成分とジオール成分とは、当モルで混合して重縮合する。従って、ジカルボン酸成分としての脂肪族と芳香族のジカルボン酸との全モル数とジオール成分としての2種の脂肪族ジオールとの全モル数とは基本的には当モルである必要がある。前記Tg範囲での各成分モル数について例示すると次の通りである。テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸50〜80モル%、脂肪族ジカルボン酸50〜20モル%であり、これに対する脂肪族ジオールが当モル数になるように調整される。尚、構造設計は、反応の手順によりランダムでも、ブロックでも可能である。
【0012】
次に前記生分解性熱収縮ラベル用フィルムの製造手段を例示する。
まず前記Tgを有する樹脂は事前に十分に水分乾燥(100℃前後で窒素ガス等不活性ガス雰囲気下が良い)する。加熱押出機中で加水分解の危険性があるからであり、この量は300ppm以下になるように管理するのが良い。
Tダイ又はチューブラーダイ押出機にてシート状又はチューブ状で成形するが、その温度は少なくとも該樹脂の有する融点よりも約5〜50℃高い温度で行う。
【0013】
次に前記押出機により得られるフィルム状物は、横方向の熱収縮性を付与するために横のみ延伸を行う必要がある。該延伸は一旦実質的無延伸にて成形し巻取り、その後別工程を採って行っても良いが、押出後連続して行うのが良く、成形・延伸も極めて円滑に行われるので何らの問題も発生しない。
該延伸は、そのフィルム状物の有する融点よりも低くTgよりも約5〜15℃高い温度で行い、横一軸(円筒状ラベルとした場合の周方向)方向のみをテンターにて行う。ここで実質的とは、全く横のみの延伸動作は行うが、それに追従して、止むを得ず僅少の縦方向延伸も行われた場合のことであり、そのような場合の縦延伸は、本発明のラベル用として問題はないという意味である。
【0014】
横のみの延伸倍率であるが、その倍率によって横方向の熱収縮率(筒状容器への装着力)は勿論のこと、フィルム強度等も変わる。本発明のラベル用としては4〜6倍延伸が有効である。これは4倍よりも低いと、延伸ムラ(厚みムラ)ができ易く、一定性能を有するラベル用フィルムが得られ難くなる。
一方、6倍を越すと、一定条件下での円滑な延伸ができなくなり、延伸時に破れる危険性が高くなる。
【0015】
前記の通り、横4倍〜6倍延伸により、特に熱収縮ラベル用として有効なフィルム特性が付与されるが、それは縦方向の引張伸度が200%以上、好ましくは400%以上、80℃熱水による10秒後の収縮率(以下単に熱水収縮率と呼ぶ)が横方向で35%以上、好ましくは40%以上、40℃空気中7日間放置後の収縮率(以下単に自然収縮率と呼ぶ)が横方向で3%以下、好ましくは2%以下であるということである。
【0016】
前記縦方向の引張伸度が200%以上である意義は、次のことによる。
円筒状ラベルに加工するのに際しては、前記のように、スリットとか印刷のような二次加工が事前に行われる。このスリットも、印刷もかなりのテンションの下で、高速度(例えば100〜200m/分)で行われる。このような厳しい条件で長時間に渡ってトラブルなくこの加工が行われるためには、縦の伸性(引張伸度)が必要であり、本発明では少なくとも200%以上必要である。これが前記樹脂を使って、4〜6倍の横延伸によって得られるということである。
勿論この特性は、筒状容器に装着する場合、その形状、装着位置には制限なく、より広い条件下で対応でき、円滑に、美麗に装着できるという条件にもなる。
尚、因みにその時の横方向の引張伸度は40〜60%程度に固定状態にある。
【0017】
又、80℃熱水での熱水収縮率35%以上は、少なくとも一般に使用されている筒状容器(PET樹脂等等のプラスチック製飲料ボトルとか、ガラス製、アルミ製等の飲料ボトル)に対して、どのような形状、装着位置でも容易に、強固に美麗に装着できるのに必要な収縮条件である。
尚、熱水80℃は、一般に円筒熱収縮ラベルの装着手段の一つとして熱水(蒸気)に曝す方法があり、その時の温度が80℃程度である事による。勿論場合によっては80℃前後でも行われるので、その場合はこの収縮率は上下することになる。
勿論、熱風によっても同じように装着できるが、ムラなくより均一に効率良く行うのであれば、該熱水によるのが良い。
【0018】
又、自然収縮率3%以下は、円筒状ラベルとしての使用前後に関わらず、少なくとも40℃以下の温度雰囲気下ではどのような期間置かれても3%を超える自然収縮はしないというものである。これは長期間の保管に対する耐自然収縮性であるが、自然収縮率が3%を超えると、例えば印刷の位置ズレにもなり、画質に悪影響がでる。また、装着された容器がある期間経過したら、装着状態に変化があった等の問題に繋がる。3%以下にあればこの危険性も非常に小さくなり、安全・確実に長期間の保管もできると云うものである。
【0019】
前記延伸により得られた横一軸延伸フィルムは、そのまま使用しても良いが、内部応力等緩和の為にアニーリングするのが良い。アニーリング温度は、勿論融点よりも低いが、実際の温度は、ラベルの熱収縮装着に際して、その能力をどこまでに維持しておくかによって適宜決める。
この処理も前記延伸成形とは別工程で行ってもよいが、テンターゾーン内で連続して行うのが良い。
尚、前記得られた熱収縮ラベル用フィルムの厚さは、約30〜100μmで対応する。
【0020】
次に、前記熱収縮ラベル用フィルムを、円筒状熱収縮ラベルとして使う場合の手段を例示する。
まず、前記横一軸方向に延伸し、アニーリングされたウェブフィルムの一面に必要な印刷が行われる。印刷に際しては、その面を軽く拭き取るとか、洗浄する程度で良いが、コロナ処理等の前処理しても良い。水性、油性インキ、又は(今後期待される)生分解性インキを使ってグラビヤ印刷等の方法で連続的に印刷される。勿論、場合によっては、スクリーン印刷等の他の印刷手段も採られる。
そして、この印刷フィルムを筒状ラベルとして必要な幅にスリッターにて連続カットしながら巻き取る。次にこのフィルムを引出しながら、(印刷面を内側にして)長さ方向に両端を重合密着し、円筒状のフィルムに加工する。
ここで、この重合密着の手段としては、例えばインパルス、高周波又は超音波によって外部又は内部加熱してヒ−トシ−ルするとか、接着剤による。連続重合密着には接着剤によるのが有利である。該接着剤としては、ポリエステルを主体にして、エポキシ、ウレタン等で変性した1液又は2液のポリエステル系接着剤が好ましい。これの有機溶剤溶液を重合部分にグラビヤロール、ノズル吐出等の方法で塗布し、溶剤乾燥後、押圧して常温又は加熱して密着する。
円筒状になって送り出されたフィルムは、所定長にカットされ、他方から送られてくる筒状容器に自動的に嵌入され、80〜90℃の蒸気トンネル内に送られる。そこで熱収縮されて固定されて排出される。筒状容器に嵌入する前に、用済み後の脱ラベルのための縦ミシン目の刻設も行う。
尚、本発明のフィルムは、(比較的使用し易い)テトラヒドロフラン、エステル、ケトン、キシレン等には難溶であり、前記両端重合密着手段の1つである有機溶剤シールに関して現状では適切な条件が見つけられていないが、諸条件を検討することにより可能となる。
【0021】
【実施例】
以下本発明を比較例と共に、実施例によって更に詳述する。
尚、本例における引張伸度(以下Teと呼ぶ)、熱水収縮率、自然収縮率及び衝撃強度(以下Ssと呼ぶ)は、次の通り測定した。
●Te(%)
得られたフィルムの一部をサンプルとし、引張試験機(株式会社 島津製作所 AGS−100A型)でJIS K−6732号に準じて縦方向の引張伸度を測定した。参考までに横方向も測定した。
●熱水収縮率(%)
得られたフィルムの一部を100mm角にカットし、これをサンプルとし80℃熱水の中に10秒間浸漬し、直ちに引き上げて常温に冷却し、横方向の長さを測定して、原サンプルに対する収縮率を求めた。参考までに縦方向も測定した。
●自然収縮率(%)
熱水収縮率と同じ100mm角サンプルを40℃空気中に7日間放置した後常温に冷却し、横方向の長さを測定して、原サンプルに対する収縮率を求めた。参考までに縦方向も測定した。
●Ss(J)
得られたフィルムの一部を100mm角に切り出し、それを水平に張架し、その中心部分にめがけて直径12.5mmの半球錘を下から付き当て、破れるまで加圧する。破れる瞬間の力を捨て針により読み取る(JIS P8134に基づく)。
【0022】
(実施例1)
ジカルボン酸成分として、テレフタル酸を主とするグルタル酸(C3メチレン基)及び微量のスルホイソフタル酸、脂肪族ジオール成分としてエチレングリコールを主とするジエチレングリコールとし、両成分を重縮合反応することで得られたTg62℃の生分解性ポリエステル樹脂(デュポン株式会社製 Biomax ♯6927、融点約237℃、MI(g/10min・245℃)=30)を一昼夜真空乾燥をして、まず次の条件でフィルム状に成形した。
リップ開度500μm、幅400mmのTダイ付き一軸スクリュ一押出機を用いて、バレル温度220〜250℃(順次高く)に温調し、Tダイ温度は245℃に温調した。そして該押出機に上記原料を供給し、Tダイから実質的に無延伸で回転冷却ロール(40℃に温調)上にキャステングしつつ、一旦冷却固化し(この時のフィルム厚さは250μm、幅は320μmであった)、引き続きこのフィルムを横方向延伸テンター内に供給し、両端を挟持しながら、まず93℃加熱ゾーン(予熱時間約12秒間)、70〜75℃の加熱ゾーン(加熱時間約18秒で、5倍の横方向延伸を行う)、そして65℃加熱ゾーン(加熱時間約15秒でアニーリングを行う)に送り、最後に系外に出してロールを介して常温に冷却しつつロールに巻取り実質的横方向一軸延伸のみのフィルムを得た。勿論この成形中何のトラブルもなく、またフィルムにフローマークとか表面ザラツキといったものはなく透明なフィルムでもあった。、
かくして得られた該フィルムの厚さは49.9±1.1μm、幅は約1.5m、長さは約1000mであった。
この一部を切り出して各サンプルを作りTe、熱水収縮率、自然収縮率及びSsを求め、表1に記載した。
【0023】
(表1)
【0024】
次に、前記得られたフィルムを幅1m当たり8kgになるようにロール間テンションをかけて、130m/分の速度でスリッターに送って両端をカットしながら幅230mmにカット仕上げしつつ巻き取った。この間全くトラブルなくカット加工ができた。
【0025】
次に、前記カットフィルムを、幅5mmで両端を重合し、その間に2液のポリエステル系接着剤(大日本インキ化学工業株式会社 主剤LX401/硬化剤SP−60=1/1)を酢酸エチルに50重量%で溶解希釈したものを塗布して、50℃に加熱しつつ圧着してチューブフィルムを得た。
そして長さ135mmにカットして、図1の1で示す6個の円筒状ラベル用として得た。この中の1つを使って、該重合シール部分の強度(180度剥離)を測定したところ、9.5〜10N/15mmであった。
【0026】
次に前記円筒状ラベル用の4個を使って、これを図1に示す形状のPETボトル2の4本に挿入した。該ボトルは、周長218mmで胴部分が6角形で、その上下が凹凸輪状のデザインになっている角ボトルで、2aがキャップに続く肩部分である。
そして該ラベルの装着位置は、胴部下から肩部分2aの5mm上の位置までとし、そこで仮り止めして、4本全部を80〜90℃の蒸気トンネル中に置き12秒間加熱した。該ラベル1の装着状態が該ボトル上の点線で示される。
結果は、いずれも隅々まで、シワ、位置ズレ等も全くなく、極めて美麗に強固に装着された。
【0027】
(比較例1)
ジカルボン酸成分として、実施例1よりも少量のテレフタル酸とグルタル酸(C3メチレン基)及び微量のスルホイソフタル酸、脂肪族ジオール成分としてエチレングリコールを主とするジエチレングリコールとし、両成分を重縮合反応することで得られたTg45℃の生分解性ポリエステル樹脂(デュポン株式会社製Biomax ♯4024、融点約200℃、MI(g/10min・220℃)=11)を一昼夜真空乾燥をして、これを実施例1に準じて無延伸フィルム成形―5倍横方向延伸―アニーリングを行い、工程途中でのトラブルもなく相当する熱収縮フィルムを得た。
但し、押出機バレル温度210〜225℃、Tダイ温度210℃に温調し、テンター内での各温度は80℃(予熱)/55〜60℃(5倍の横延伸)/50℃(アニーリング)に設定した。
得られたフィルムの厚さは50±1.5μm、幅は約1.5mであった。このものについても実施例1と同様にTs、熱水収縮率、自然収縮率及びSsを求め、表1に記載した。
【0028】
そして、前記ロールフィルムを実施例1と同様に、スリッターに掛けて両端の連続カットを試みた。その結果はスリット途中での破断が頻発したので中止した。これは縦方向の伸性が極めて悪いことに原因がある。従って、更なる円筒状フィルムへの加工テストは行わなかった。
【0029】
【発明の効果】
本発明は、前記の通り構成されているので次のような効果を奏する。
【0030】
より高いフィルム強度、縦方向の伸性、耐自然収縮性に極めて優れた、一つの新たな生分解性も有する熱収縮ラベル用フィルムが得られるようになった。
【0031】
本フィルムによる円筒状フィルムは、一般の筒状容器に熱収縮させて装着されるが、該容器の形状とか、装着位置は制限されずに、より広い範囲で対応できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】円筒状ラベルとPETボトルとを斜視図で示す。
【符号の説明】
1 円筒状熱収縮ラベル
2 PETボトル
Claims (3)
- 主鎖に芳香族基を有する2次転移点50〜70℃の生分解性
ポリエステル系樹脂による実質的横一軸延伸された熱収縮性フィルムであって、且つ該延伸が4〜6倍行われた場合の該フィルムの有する、縦方向の引張伸度が200%以上、80℃熱水による10秒後の横方向の収縮率35%以上、40℃空気中7日間放置後の横方向の収縮率3%以下であることを特徴とする生分解性熱収縮ラベル用フィルム。 - 前記ポリエステル系樹脂が、半芳香族ポリエステルユニットと脂肪族ポリエステルユニットとを有してなるコポリマである請求項1に記載の生分解性熱収縮ラベル用フィルム
- 前記生分解性熱収縮ラベル用フィルムが、印刷され、両端が重合されシール密着されてなる生分解性円筒状熱収縮ラベル。
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