JP2004089457A - インプラント - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、容易に所定の血流を遮断できるインプラントを提供する。
【解決手段】本発明のインプラント10は、脳動脈瘤等における血流を遮断するためのインプラントであって、第1の温度に対して第1の形状に変形し、前記頸部を挟持するための挟持部材11を備えている。また、前記挟持部材11は、第2の温度に対して第2の形状に変形し、前記頸部を解放するものとしても機能する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明のインプラント10は、脳動脈瘤等における血流を遮断するためのインプラントであって、第1の温度に対して第1の形状に変形し、前記頸部を挟持するための挟持部材11を備えている。また、前記挟持部材11は、第2の温度に対して第2の形状に変形し、前記頸部を解放するものとしても機能する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脳動脈瘤等の手術において所定の場所の血流を遮断するためのインプラントに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来は、脳動脈瘤等の手術において用いられる器具として、所定の動脈瘤頸部(患部)の血流を遮断するための脳動脈瘤用クリップが存在する。このクリップは、一方が脳動脈瘤頸部を挟むための挟着部、他方が前記挟着部の開閉をするための開閉操作部を備えている2つのアームの所定部で交差され形成されている本体部と、前記本体部の前記挟着部が閉じられるように備えられているバネ部と、を備えている。
【0003】
これにより、クリップは、脳の動脈瘤の頸部を挟むためのブレードをクリップのバネ力で締結することで動脈瘤を閉塞しているが、動脈瘤を閉塞するためのバネ力を得るためにバネの部分がある程度の大きさを必要とし、また、そのバネの部分をつかんで開閉するための脳動脈瘤用クリップ鉗子が必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、医師等が患部をクリッピングする際には、脳動脈瘤用クリップのバネ部とクリップ鉗子で視野が狭くなるか、若しくは隠れることがあり、脳内の狭い空間でクリッピングする場合に操作が行い難い。また、このような脳動脈瘤用クリップと鉗子との組合せでは構造を小さくすることが難しい。
【0005】
本発明が解決しようとする課題には、上記した問題が一例として挙げられる。
【0006】
そこで、本発明は、容易に所定の血流を遮断できるインプラントを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0008】
本発明のインプラント(10)は、脳動脈瘤等において血流を遮断するためのインプラントであって、第1の温度に対して第1の形状に変形し、前記血流を遮断するための挟持部材(11)を備えていることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、例えば、脳動静脈奇形、又は脳動脈瘤等において、所定の血管、又は動脈瘤頸部に本発明のインプラントを配置し、このインプラントを第1の温度に達するまで熱を印加し、加熱、又は冷却することにより、インプラントに含まれる挟持部材を、血管、又は動脈瘤頸部を挟持するように第1の形状に変形できる。これにより、インプラントは、所定の血流を遮断、又は所定の動脈瘤の頸部を挟持して血流を遮断し動脈瘤を閉塞できる。
【0010】
また、前記挟持部材は、第2の温度に対して第2の形状に変形し、前記遮断された血流を解放することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、例えば、誤って所定の血流を遮断、又は動脈瘤を閉塞した場合であっても、挟持部材に所定の熱(温度)を印加することにより元の状態に復元できる。即ち、挟持部材により挟持された頸部(動脈瘤)を解放し、遮断された血流を解放できる。
【0012】
また、前記挟持部材が形状記憶部材(15)を含んで形成されていることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、形状記憶部材を使用することにより、所定の熱(温度)により所定形状に変形することを自由に記憶させることができるので、所定の温度を印加するだけで、挟持部材の形状を変形させ、例えば、容易に動脈瘤頸部を閉塞、又は解放できる形状に変形できる。
【0014】
また、前記挟持部材はバイメタル(121)を含んで形成されていることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、バイメタルを使用することにより、予め定められた所定の温度により所定形状に変形するように設定することができるので、予め定められた所定の温度を加えるだけで、バイメタルの形状を変形し、例えば、容易に動脈瘤頸部を閉塞、又は解放できる。
【0016】
また、前記第1及び第2の温度は、所定の基準温度よりも高い、若しくは低い温度に設定されることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、生体内に脳動脈瘤用インプラントを設置した際に、挟持部材が人体の温度では反応しないようにすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図6を参照して、本発明による脳動脈瘤用インプラントの各実施形態について説明する。
【0019】
−第1の実施形態−
図1は本発明のインプラントの第1実施形態を示し、図1(a)が外観図、図1(b)は変形図、図1(c)は他の変形図である。図2はインプラントの内部を示し、図2(a)は図1のA−A断面図、図2(b)、図2(c)は他の実施形態の断面構造図である。
【0020】
インプラント10は、挟持部材11と、その挟持部材11の外周面に設けられる皮膜12と、から形成される。この挟持部材11は、棒状の部材の両端部を接続し、リング穴5を有するように楕円形状に形成される。また、皮膜12は、熱による生体組織の損傷を防ぐために断熱性のある生体親和性材料であることが好ましい。また、皮膜12は後述する第1及び第2の温度設定によって(生体組織に損傷を与える程度の熱でない場合等)は必ずしも必要なものではない。
【0021】
また、皮膜12の一部には、挟持部材11に外部から所定の熱を伝達するための伝達手段を接続するための切欠部を備えていることが好ましい。所定の熱を効率的に挟持部材11に伝達できるからである。
【0022】
また、図2(a)〜(c)に示すように、挟持部材11の断面形状は円形状である。また、挟持部材11は形状記憶部材15を含んで形成される。
【0023】
具体的には、この挟持部材11は、図2(a)に示すように、挟持部材11全体が形状記憶部材15で形成される。また、挟持部材11は、例えば、図2(b)に示すように、樹脂部13の一部に形状記憶部材15aを含んで形成されてもよい。具体的には、挟持部材11は、主として樹脂部13で形成され、その樹脂部13の内部に板状の形状記憶部材15aが配設される。
【0024】
また、形状記憶部材15、15aは、少なくとも第1の温度に対して第1の形状に変形する第1の変態点と、第2の温度に対して第2の形状に変形する第2の変態点と、を有している。
【0025】
また、挟持部材11は、例えば、図1(c)に示すように、樹脂部13の一部に第1の温度に対して第1の形状に変形する第1の変態点と、第2の温度に対して第2の形状に変形する第2の変態点と、を備える形状記憶部材15b、15cを含んで形成されていもよい。具体的には、挟持部材11は、主として樹脂部13で形成され、その樹脂部13の内部に第1の変態点を有する板状の形状記憶部材15bと、第2の変態点を有する板状の形状記憶部材15cと、が2枚並行して配設される。
【0026】
また、形状記憶部材15〜15cは、例えば、Ni−Ti合金等の形状記憶合金、形状記憶樹脂等を使用する。また、形状記憶部材15a〜15cの断面形状は、円形状等でも構わない。更に、形状記憶部材15a〜15cの断面形状は円形状、又は板状に限定されるものではなく他の形状であっても構わない。
【0027】
このように、インプラント10は、少なくとも第1の変態点と第2の変態点とを有している形状記憶部材15〜15cを含んで形成される。
【0028】
また、第1及び第2の温度とは、所定の基準温度よりも高い、若しくは低い温度に設定されることが望ましい。所定の基準温度とは例えば体内温度である。体内温度は各人、体調等によっても異なるが一般に35〜40度程度である。例えば、所定の基準温度よりも低い温度を第1の温度、所定の基準温度よりも高い温度を第2の温度とすると、第1の温度は、30度以下であり、第2の温度は、45度以上であることが好ましい。また、第1及び第2の温度は、第1の温度を45度以上、第2の温度を30度以下としても構わない。即ち、形状記憶部材15〜15cは、所定の基準温度の上下にそれぞれ第1及び第2の変態点を有するように設定されることが望ましい。
【0029】
また、第1及び第2の形状とは、図1(a)に示すように、リング穴5が形成される形状と、図1(b)に示すように、リング穴5がつぶされる形状と、である。このリング穴5には、例えば、脳動脈瘤と診断された患者の患部(動脈瘤頸部)が挿入される。
【0030】
このように、例えば、形状記憶部材15は、第1の変態点として、第1の温度(30度以下)に達したら形状記憶部材15が収縮し、リング穴5がつぶされるような形状に回復するように予め記憶処理される。また、第2の変態点として、第2の温度(45度以上)に達したら形状記憶部材15の所定部が外部方向に突出するように湾曲し、リング穴が形成されるような形状に回復するように予め記憶処理される。
【0031】
また、例えば、インプラント10の第1の形状の変形例として、図1(c)に示すように、第1の形状は、リング穴5がつぶされるとともに、挟持部材11が二つ折りにされる形状に変形するようにしてもよい。この場合、形状記憶部材15は、第1の変態点として、第1の温度(30度以下)に達すると形状記憶部材15が収縮し、リング穴5がつぶされるとともに、二つ折りにされる形状に回復するように予め記憶処理される。
【0032】
これは、動脈瘤を挟持する際、リング穴がつぶれた形状(図1(b)参照)になると、元の形状(リング穴が形成された形状)から図上縦方向につぶされるため、形状が横方向に長くなる。そのため、処置する場所にある程度の空間を確保できる場所ならよいが、血管等が密集している場所に設置する際には、コンパクトである必要があるからである。故に、図2(c)に示すように、インプラントの形状が、リング穴がつぶされるとともに、二つ折りになれば、コンパクトに設置できるので、他の血管等を圧迫することもない。
【0033】
次に、インプラントの動作形態及び使用方法について説明する。なお、理解し易いように図1(a)、(b)を参照し、符号を付記することにするが、この実施形態に限定されるものではない。
【0034】
本発明のインプラント10は、例えば、脳動脈瘤と診断された患者の動脈瘤頸部を挟持するための手術等において使用される。
【0035】
手術等を行う医師により、インプラント10が所定の位置に配置されるとともに挟持部材11を所定の形状に回復させるために所定の温度に達するように徐々に熱が印加される。これにより挟持部材11は予め記憶された形状に回復する。
【0036】
具体的には、例えば、インプラント10は、第1の温度(30度以下)に対して第1の形状(図1(b)又は図1(c))に変形し、第2の温度(45度以上)に対して第2の形状(図1(a))に変形するように予め挟持部材11(形状記憶部材)に記憶させる。これにより、第1の温度に挟持部材11が達したら、リング穴5を閉じるように第1の形状に変形し、第2の温度に挟持部材11が達したら、リング穴5を形成するように第2の形状に変形する。
【0037】
医師は、まず、挟持部材11に第2の温度に達するように熱を印加し、リング穴5が形成された状態で、所定位置にインプラント10を配置し、動脈瘤を挿入する。次に、挟持部材11が第1の温度に達するように、この挟持部材11に熱を印加する。これにより、挟持部材11は、リング穴5が塞がれた形状(第1の形状)に回復するので、動脈瘤頸部が挟持部材11により挟持され、血流が遮断される。また、インプラント10の配設位置を変更したい等の場合には、挟持部材11に第2の温度に達するように熱を印加し、挟持部材11をリング穴が形成された形状(第2の形状)に回復させ、動脈瘤頸部が解放された後、再度、インプラント10を配置しなおし、挟持部材11が第1の温度に達するように熱を印加すればよい。
【0038】
以上に説明したように、本発明のインプラント10は、脳動脈瘤等における血流を遮断(本実施形態の場合、脳動脈瘤頸部を挟持)するための挟持部材11を有し、この挟持部材11は形状記憶部材15を含んで形成される。また、この挟持部材11は、第1の温度に対して第1の形状に変形し、脳動脈瘤頸部を挟持する。また、この挟持部材11は、第2の温度に対して第2の形状に変形し、前記頸部を解放する。また、第1及び第2の温度は、所定の基準温度よりも高い、若しくは低い温度である。
【0039】
このように、このインプラント10によれば、容易に動脈瘤の頸部を挟持して血流を遮断し、動脈瘤を閉塞できる。また、インプラント10は、リング形状であるので、患部への位置決め及び、挟持等の操作が容易に行える。
【0040】
−第2の実施形態−
図3は本発明のインプラントの第2実施形態を示し、図3(a)は外観図、図3(b)は変形図である。
【0041】
インプラント50は、挟持部材51と、その挟持部材51の外周面に設けられる皮膜52と、から形成される。この挟持部材51は、患部の位置決めをし易いように所定部を曲折して形成された曲折部51aを有するように略L字形状に形成されている。また、皮膜52は、熱による生体組織の損傷を防ぐために断熱性のある生体親和性材料であることが好ましい。また、皮膜52は後述する第1及び第2の温度設定によって(生体組織に損傷を与える程度の熱でない場合等)は必ずしも必要なものではない。
【0042】
また、皮膜52の一部には、挟持部材51に外部から所定の熱を伝達するための伝達手段を接続するための切欠部を備えていることが好ましい。所定の熱を効率的に挟持部材51に伝達できるからである。
【0043】
また、挟持部材51の断面形状は円形状である。この挟持部材51は、図2(a)〜図2(c)の挟持部材11に対応し、挟持部材51の一部に形状記憶部材15〜15cを含んで形成されている。また、この形状記憶部材15〜15cは、第1の温度に対して第1の形状に変形する第1の変態点と、第2の温度に対して第2の形状に変形する第2の変態点と、を備えている。
【0044】
また、第1及び第2の形状とは、図3(a)に示すように、曲折部51aを有する略L字形状と、図3(b)に示すように、端部がリング状に巻回する形状と、である。この曲折部51aは、例えば、所定の患部を位置決めするための位置決め位置である。
【0045】
また、形状記憶部材15は、例えば、第1の変態点として、第1の温度(30度以下)に達したら形状記憶部材15の端部がリング状に巻回するような形状に回復するように予め記憶処理される。また、第2の変態点として、第2の温度(45度以上)に達したら形状記憶部材15の端部が血管を解放(動脈瘤を解放)するように巻回し、所定の曲折部51aを有する略L字形状に回復するように予め記憶処理される。
【0046】
次に、インプラントの動作形態及び使用方法について説明する。なお、理解し易いように図3(a)、(b)を参照し、符号を付記することにするが、この実施形態に限定されるものではない。
【0047】
本発明のインプラント50は、例えば、脳動静脈奇形と診断された患者の所定部の血流を遮断する手術等において使用される。
【0048】
手術等を行う医師により、インプラント50が所定の位置に配置されるとともに挟持部材51を所定の形状に回復させるために所定の温度に達するように徐々に熱を印加する。これにより挟持部材51は予め記憶された形状に回復する。
【0049】
具体的には、例えば、インプラント50は、第1の温度(30度以下)に対して第1の形状(図3(b))に変形し、第2の温度(45度以上)に対して第2の形状(図3(a))に変形するように予め挟持部材51(形状記憶部材)に記憶させる。これにより、第1の温度に挟持部材51が達したら、挟持部材51が所定部に巻き付くように第1の形状に変形し、第2の温度に挟持部材51が達したら、巻き付いていた所定部から挟持部材51が解放されるように第2の形状に変形する。
【0050】
医師は、まず、挟持部材51に第2の温度に達するように熱を印加し、挟持部材51が曲折部51aを有するL字型に形成された状態で、血管の所定部に曲折部51が位置決めされるようにインプラント10を配置する。次に、挟持部材51が第1の温度に達するように、この挟持部材51に熱を印加する。これにより、挟持部材51は、端部が巻回し、血管の所定部を挟持する(巻き付く)形状(第1の形状)に回復するので、血管の所定部が挟持され、その血流が遮断される。また、インプラント50の配設位置を変更したい等の場合には、挟持部材51に第2の温度に達するように熱を印加し、挟持部材51を血管を解放する形状(第2の形状)に回復させ、所定部の血流が解放された後、再度、インプラント50を配置しなおし、挟持部材51が第1の温度に達するように熱を印加すればよい。
【0051】
以上に説明したように、本発明のインプラント50は、例えば、脳動静脈奇形の血流を遮断するための挟持部材51を有し、この挟持部材51は形状記憶部材15を含んで形成される。また、この挟持部材51は、第1の温度に対して第1の形状に変形し、所定の血管を挟持して血流を遮断する。また、この挟持部材51は、第2の温度に対して第2の形状に変形し、前記血流を解放する。また、第1及び第2の温度は、所定の基準温度よりも高い、若しくは低い温度に設定される。
【0052】
このように、このインプラント50によれば、容易に脳動静脈奇形の場合に、容易に所定の血管を挟持し、血流を遮断できる。また、インプラント50は、曲折部51aを有する棒状であるので、患部への位置決め及び、血流の遮断(所定の血管の挟持)等の操作が容易に行える。また、挟持部材51が所定の患部(血管等)に巻き付くことで容易に所定の血流を遮断できる。
【0053】
―第3の実施形態―
図4は本発明のインプラントの第3実施形態の内部構造を示し、図4(a)は外観図、図4(b)は変形図である。図5は図4(b)のB−B断面図である。
【0054】
インプラント100は、樹脂部110と、樹脂部110の内部に配設された板状の挟持部材120と、樹脂部110の外周を被覆する皮膜130と、を備えている。この皮膜12は、熱による生体組織の損傷を防ぐために断熱性のある生体親和性材料であることが好ましい。また、皮膜130は後述する第1及び第2の温度設定によって(生体組織の損傷を与える程度の熱でない場合等)は必ずしも必要なものではない。
【0055】
この挟持部材120は、バイメタル121、121を2組用いて形成される。バイメタル121は、熱膨張率の異なる2種類の金属板から構成される。本実施形態においては、上部に熱膨張率の大きな金属板121a、下部に熱膨張率の小さな金属板121bを備える。また、挟持部材120は、2つのバイメタル121から構成され、各バイメタル121の熱膨張率の小さな金属板121b、121bが対向するように設けられ、バイメタル121、121の両端部120a、120a同士が接続され形成される。
【0056】
挟持部材120は、所定の熱を加えると、熱膨張率の大きな金属板121a側に湾曲し、図4(b)に示すようにリング穴125を有する形状に変形する。
【0057】
このように、挟持部材120は、第1の温度に対して第1の形状に変形する第1の変態点と、第2の温度に対して第2の形状に変形(元の状態に回復)する第2の変態点と、を備えている。
【0058】
第1及び第2の温度とは、所定の基準温度よりも高い、若しくは低い温度である。所定の基準温度とは例えば体内温度である。体内温度は、各人、体調等によっても異なるが一般に35〜40度程度である。例えば、所定の基準温度よりも高い温度を第1の温度、所定の基準温度よりも低い温度を第2の温度とすると、第1の温度は、30度以下であり、第2の温度は、45度以上であることが好ましい。
【0059】
また、第1及び第2の形状とは、図4(a)に示すように、リング穴125がつぶされた形状と、図4(b)に示すように、リング穴125が形成された形状と、である。このリング穴125には、例えば、脳動脈瘤と診断された患者の患部(動脈瘤)が挿入される。
【0060】
次に、インプラントの動作形態及び使用方法について説明する。なお理解し易いように図4(a)、(b)を参照し、符号を付記することにするが、この実施形態に限定されるものではない。
【0061】
このインプラント100は、例えば、脳動脈瘤と診断された患者の動脈瘤頸部(患部)を挟持するための手術において使用される。
【0062】
手術等を行う医師により、インプラント100が所定の位置に配置されるとともに、挟持部材120を所定の形状に回復させるために所定の温度に達するように徐々に熱を印加する。これにより、挟持部材120は予め記憶された形状に回復する。
【0063】
具体的には、例えば、インプラント100は、第1の温度(30度以下)に対してリング穴を閉じるような第1の形状(図4(a))に変形し、第2の温度(45度以上)に対してリング穴を形成するように第2の形状(図4(b))に変形するように設定する。
【0064】
医師は、まず、挟持部材120に第2の温度に達するように熱を印加し、リング穴が形成された状態で、動脈瘤を挿入する。次に、所定位置にインプラント100を配置し、挟持部材120が第1の温度に達するように、この挟持部材に熱を印加する。これにより、挟持部材120は、リング穴が塞がれた形状(第1の形状)に回復するので、動脈瘤頸部が挟持部材120により挟持され、血流が遮断される。また、インプラント100の配設位置を変更したい等の場合には、挟持部材120に第2の温度に達するように熱を印加し、挟持部材をリング穴が形成された形状(第2の形状)に回復させ、動脈瘤頸部が解放された後、再度、インプラント100を配置しなおし、挟持部材120が第1の温度に達するように熱を印加すればよい。
【0065】
以上に説明したように、本発明のインプラント100は、脳動脈瘤等における血流を遮断(本実施形態の場合、動脈瘤頸部の挟持)するための挟持部材120を有し、この挟持部材120はバイメタル121を含んで形成される。また、この挟持部材120は、第1の温度に対して第1の形状に変形し、前記動脈瘤頸部を挟持する。また、この挟持部材120は、第2の温度に対して第2の形状に変形し、前記頸部を解放する。また、第1及び第2の温度は、所定の基準温度よりも高い、若しくは低い温度に設定される。
【0066】
このように、このインプラント100によれば、容易に動脈瘤の頸部を挟持して血流を遮断し、動脈瘤を閉塞できる。また、インプラント100は、リング形状であるので、患部への位置決め及び、挟持等の操作が容易に行える。
【0067】
以上のように、前述した各実施形態によれば、所定の熱(温度)を印加することにより所定の形状に変化する挟持部材を備えているので、容易に所定の患部(血管や動脈瘤頸部)を挟持、又は/及び解放することができる。
【0068】
本発明は以上の実施形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えば、挟持部材に含まれる形状記憶部材は、その形状や本数等は適宜変更できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインプラントの第1の実施形態を示し、図1(a)が外観図、図1(b)は変形図、図1(c)は他の変形図である。
【図2】本発明のインプラントの内部を示し、図2(a)は図1のA−A断面図、図2(b)、図2(c)は他の実施形態の断面構造図である。
【図3】本発明のインプラントの第2の実施形態を示し、図3(a)が外観図、図3(b)は変形図である。
【図4】本発明のインプラントの第3の実施形態の内部構造を示し、図4(a)は外観図、図4(b)は変形図である。
【図5】図4(b)のB−B断面図である。
【符号の説明】
10 インプラント
11 挟持部材
15 形状記憶部材
120 バイメタル
【発明の属する技術分野】
本発明は、脳動脈瘤等の手術において所定の場所の血流を遮断するためのインプラントに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来は、脳動脈瘤等の手術において用いられる器具として、所定の動脈瘤頸部(患部)の血流を遮断するための脳動脈瘤用クリップが存在する。このクリップは、一方が脳動脈瘤頸部を挟むための挟着部、他方が前記挟着部の開閉をするための開閉操作部を備えている2つのアームの所定部で交差され形成されている本体部と、前記本体部の前記挟着部が閉じられるように備えられているバネ部と、を備えている。
【0003】
これにより、クリップは、脳の動脈瘤の頸部を挟むためのブレードをクリップのバネ力で締結することで動脈瘤を閉塞しているが、動脈瘤を閉塞するためのバネ力を得るためにバネの部分がある程度の大きさを必要とし、また、そのバネの部分をつかんで開閉するための脳動脈瘤用クリップ鉗子が必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、医師等が患部をクリッピングする際には、脳動脈瘤用クリップのバネ部とクリップ鉗子で視野が狭くなるか、若しくは隠れることがあり、脳内の狭い空間でクリッピングする場合に操作が行い難い。また、このような脳動脈瘤用クリップと鉗子との組合せでは構造を小さくすることが難しい。
【0005】
本発明が解決しようとする課題には、上記した問題が一例として挙げられる。
【0006】
そこで、本発明は、容易に所定の血流を遮断できるインプラントを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0008】
本発明のインプラント(10)は、脳動脈瘤等において血流を遮断するためのインプラントであって、第1の温度に対して第1の形状に変形し、前記血流を遮断するための挟持部材(11)を備えていることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、例えば、脳動静脈奇形、又は脳動脈瘤等において、所定の血管、又は動脈瘤頸部に本発明のインプラントを配置し、このインプラントを第1の温度に達するまで熱を印加し、加熱、又は冷却することにより、インプラントに含まれる挟持部材を、血管、又は動脈瘤頸部を挟持するように第1の形状に変形できる。これにより、インプラントは、所定の血流を遮断、又は所定の動脈瘤の頸部を挟持して血流を遮断し動脈瘤を閉塞できる。
【0010】
また、前記挟持部材は、第2の温度に対して第2の形状に変形し、前記遮断された血流を解放することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、例えば、誤って所定の血流を遮断、又は動脈瘤を閉塞した場合であっても、挟持部材に所定の熱(温度)を印加することにより元の状態に復元できる。即ち、挟持部材により挟持された頸部(動脈瘤)を解放し、遮断された血流を解放できる。
【0012】
また、前記挟持部材が形状記憶部材(15)を含んで形成されていることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、形状記憶部材を使用することにより、所定の熱(温度)により所定形状に変形することを自由に記憶させることができるので、所定の温度を印加するだけで、挟持部材の形状を変形させ、例えば、容易に動脈瘤頸部を閉塞、又は解放できる形状に変形できる。
【0014】
また、前記挟持部材はバイメタル(121)を含んで形成されていることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、バイメタルを使用することにより、予め定められた所定の温度により所定形状に変形するように設定することができるので、予め定められた所定の温度を加えるだけで、バイメタルの形状を変形し、例えば、容易に動脈瘤頸部を閉塞、又は解放できる。
【0016】
また、前記第1及び第2の温度は、所定の基準温度よりも高い、若しくは低い温度に設定されることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、生体内に脳動脈瘤用インプラントを設置した際に、挟持部材が人体の温度では反応しないようにすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図6を参照して、本発明による脳動脈瘤用インプラントの各実施形態について説明する。
【0019】
−第1の実施形態−
図1は本発明のインプラントの第1実施形態を示し、図1(a)が外観図、図1(b)は変形図、図1(c)は他の変形図である。図2はインプラントの内部を示し、図2(a)は図1のA−A断面図、図2(b)、図2(c)は他の実施形態の断面構造図である。
【0020】
インプラント10は、挟持部材11と、その挟持部材11の外周面に設けられる皮膜12と、から形成される。この挟持部材11は、棒状の部材の両端部を接続し、リング穴5を有するように楕円形状に形成される。また、皮膜12は、熱による生体組織の損傷を防ぐために断熱性のある生体親和性材料であることが好ましい。また、皮膜12は後述する第1及び第2の温度設定によって(生体組織に損傷を与える程度の熱でない場合等)は必ずしも必要なものではない。
【0021】
また、皮膜12の一部には、挟持部材11に外部から所定の熱を伝達するための伝達手段を接続するための切欠部を備えていることが好ましい。所定の熱を効率的に挟持部材11に伝達できるからである。
【0022】
また、図2(a)〜(c)に示すように、挟持部材11の断面形状は円形状である。また、挟持部材11は形状記憶部材15を含んで形成される。
【0023】
具体的には、この挟持部材11は、図2(a)に示すように、挟持部材11全体が形状記憶部材15で形成される。また、挟持部材11は、例えば、図2(b)に示すように、樹脂部13の一部に形状記憶部材15aを含んで形成されてもよい。具体的には、挟持部材11は、主として樹脂部13で形成され、その樹脂部13の内部に板状の形状記憶部材15aが配設される。
【0024】
また、形状記憶部材15、15aは、少なくとも第1の温度に対して第1の形状に変形する第1の変態点と、第2の温度に対して第2の形状に変形する第2の変態点と、を有している。
【0025】
また、挟持部材11は、例えば、図1(c)に示すように、樹脂部13の一部に第1の温度に対して第1の形状に変形する第1の変態点と、第2の温度に対して第2の形状に変形する第2の変態点と、を備える形状記憶部材15b、15cを含んで形成されていもよい。具体的には、挟持部材11は、主として樹脂部13で形成され、その樹脂部13の内部に第1の変態点を有する板状の形状記憶部材15bと、第2の変態点を有する板状の形状記憶部材15cと、が2枚並行して配設される。
【0026】
また、形状記憶部材15〜15cは、例えば、Ni−Ti合金等の形状記憶合金、形状記憶樹脂等を使用する。また、形状記憶部材15a〜15cの断面形状は、円形状等でも構わない。更に、形状記憶部材15a〜15cの断面形状は円形状、又は板状に限定されるものではなく他の形状であっても構わない。
【0027】
このように、インプラント10は、少なくとも第1の変態点と第2の変態点とを有している形状記憶部材15〜15cを含んで形成される。
【0028】
また、第1及び第2の温度とは、所定の基準温度よりも高い、若しくは低い温度に設定されることが望ましい。所定の基準温度とは例えば体内温度である。体内温度は各人、体調等によっても異なるが一般に35〜40度程度である。例えば、所定の基準温度よりも低い温度を第1の温度、所定の基準温度よりも高い温度を第2の温度とすると、第1の温度は、30度以下であり、第2の温度は、45度以上であることが好ましい。また、第1及び第2の温度は、第1の温度を45度以上、第2の温度を30度以下としても構わない。即ち、形状記憶部材15〜15cは、所定の基準温度の上下にそれぞれ第1及び第2の変態点を有するように設定されることが望ましい。
【0029】
また、第1及び第2の形状とは、図1(a)に示すように、リング穴5が形成される形状と、図1(b)に示すように、リング穴5がつぶされる形状と、である。このリング穴5には、例えば、脳動脈瘤と診断された患者の患部(動脈瘤頸部)が挿入される。
【0030】
このように、例えば、形状記憶部材15は、第1の変態点として、第1の温度(30度以下)に達したら形状記憶部材15が収縮し、リング穴5がつぶされるような形状に回復するように予め記憶処理される。また、第2の変態点として、第2の温度(45度以上)に達したら形状記憶部材15の所定部が外部方向に突出するように湾曲し、リング穴が形成されるような形状に回復するように予め記憶処理される。
【0031】
また、例えば、インプラント10の第1の形状の変形例として、図1(c)に示すように、第1の形状は、リング穴5がつぶされるとともに、挟持部材11が二つ折りにされる形状に変形するようにしてもよい。この場合、形状記憶部材15は、第1の変態点として、第1の温度(30度以下)に達すると形状記憶部材15が収縮し、リング穴5がつぶされるとともに、二つ折りにされる形状に回復するように予め記憶処理される。
【0032】
これは、動脈瘤を挟持する際、リング穴がつぶれた形状(図1(b)参照)になると、元の形状(リング穴が形成された形状)から図上縦方向につぶされるため、形状が横方向に長くなる。そのため、処置する場所にある程度の空間を確保できる場所ならよいが、血管等が密集している場所に設置する際には、コンパクトである必要があるからである。故に、図2(c)に示すように、インプラントの形状が、リング穴がつぶされるとともに、二つ折りになれば、コンパクトに設置できるので、他の血管等を圧迫することもない。
【0033】
次に、インプラントの動作形態及び使用方法について説明する。なお、理解し易いように図1(a)、(b)を参照し、符号を付記することにするが、この実施形態に限定されるものではない。
【0034】
本発明のインプラント10は、例えば、脳動脈瘤と診断された患者の動脈瘤頸部を挟持するための手術等において使用される。
【0035】
手術等を行う医師により、インプラント10が所定の位置に配置されるとともに挟持部材11を所定の形状に回復させるために所定の温度に達するように徐々に熱が印加される。これにより挟持部材11は予め記憶された形状に回復する。
【0036】
具体的には、例えば、インプラント10は、第1の温度(30度以下)に対して第1の形状(図1(b)又は図1(c))に変形し、第2の温度(45度以上)に対して第2の形状(図1(a))に変形するように予め挟持部材11(形状記憶部材)に記憶させる。これにより、第1の温度に挟持部材11が達したら、リング穴5を閉じるように第1の形状に変形し、第2の温度に挟持部材11が達したら、リング穴5を形成するように第2の形状に変形する。
【0037】
医師は、まず、挟持部材11に第2の温度に達するように熱を印加し、リング穴5が形成された状態で、所定位置にインプラント10を配置し、動脈瘤を挿入する。次に、挟持部材11が第1の温度に達するように、この挟持部材11に熱を印加する。これにより、挟持部材11は、リング穴5が塞がれた形状(第1の形状)に回復するので、動脈瘤頸部が挟持部材11により挟持され、血流が遮断される。また、インプラント10の配設位置を変更したい等の場合には、挟持部材11に第2の温度に達するように熱を印加し、挟持部材11をリング穴が形成された形状(第2の形状)に回復させ、動脈瘤頸部が解放された後、再度、インプラント10を配置しなおし、挟持部材11が第1の温度に達するように熱を印加すればよい。
【0038】
以上に説明したように、本発明のインプラント10は、脳動脈瘤等における血流を遮断(本実施形態の場合、脳動脈瘤頸部を挟持)するための挟持部材11を有し、この挟持部材11は形状記憶部材15を含んで形成される。また、この挟持部材11は、第1の温度に対して第1の形状に変形し、脳動脈瘤頸部を挟持する。また、この挟持部材11は、第2の温度に対して第2の形状に変形し、前記頸部を解放する。また、第1及び第2の温度は、所定の基準温度よりも高い、若しくは低い温度である。
【0039】
このように、このインプラント10によれば、容易に動脈瘤の頸部を挟持して血流を遮断し、動脈瘤を閉塞できる。また、インプラント10は、リング形状であるので、患部への位置決め及び、挟持等の操作が容易に行える。
【0040】
−第2の実施形態−
図3は本発明のインプラントの第2実施形態を示し、図3(a)は外観図、図3(b)は変形図である。
【0041】
インプラント50は、挟持部材51と、その挟持部材51の外周面に設けられる皮膜52と、から形成される。この挟持部材51は、患部の位置決めをし易いように所定部を曲折して形成された曲折部51aを有するように略L字形状に形成されている。また、皮膜52は、熱による生体組織の損傷を防ぐために断熱性のある生体親和性材料であることが好ましい。また、皮膜52は後述する第1及び第2の温度設定によって(生体組織に損傷を与える程度の熱でない場合等)は必ずしも必要なものではない。
【0042】
また、皮膜52の一部には、挟持部材51に外部から所定の熱を伝達するための伝達手段を接続するための切欠部を備えていることが好ましい。所定の熱を効率的に挟持部材51に伝達できるからである。
【0043】
また、挟持部材51の断面形状は円形状である。この挟持部材51は、図2(a)〜図2(c)の挟持部材11に対応し、挟持部材51の一部に形状記憶部材15〜15cを含んで形成されている。また、この形状記憶部材15〜15cは、第1の温度に対して第1の形状に変形する第1の変態点と、第2の温度に対して第2の形状に変形する第2の変態点と、を備えている。
【0044】
また、第1及び第2の形状とは、図3(a)に示すように、曲折部51aを有する略L字形状と、図3(b)に示すように、端部がリング状に巻回する形状と、である。この曲折部51aは、例えば、所定の患部を位置決めするための位置決め位置である。
【0045】
また、形状記憶部材15は、例えば、第1の変態点として、第1の温度(30度以下)に達したら形状記憶部材15の端部がリング状に巻回するような形状に回復するように予め記憶処理される。また、第2の変態点として、第2の温度(45度以上)に達したら形状記憶部材15の端部が血管を解放(動脈瘤を解放)するように巻回し、所定の曲折部51aを有する略L字形状に回復するように予め記憶処理される。
【0046】
次に、インプラントの動作形態及び使用方法について説明する。なお、理解し易いように図3(a)、(b)を参照し、符号を付記することにするが、この実施形態に限定されるものではない。
【0047】
本発明のインプラント50は、例えば、脳動静脈奇形と診断された患者の所定部の血流を遮断する手術等において使用される。
【0048】
手術等を行う医師により、インプラント50が所定の位置に配置されるとともに挟持部材51を所定の形状に回復させるために所定の温度に達するように徐々に熱を印加する。これにより挟持部材51は予め記憶された形状に回復する。
【0049】
具体的には、例えば、インプラント50は、第1の温度(30度以下)に対して第1の形状(図3(b))に変形し、第2の温度(45度以上)に対して第2の形状(図3(a))に変形するように予め挟持部材51(形状記憶部材)に記憶させる。これにより、第1の温度に挟持部材51が達したら、挟持部材51が所定部に巻き付くように第1の形状に変形し、第2の温度に挟持部材51が達したら、巻き付いていた所定部から挟持部材51が解放されるように第2の形状に変形する。
【0050】
医師は、まず、挟持部材51に第2の温度に達するように熱を印加し、挟持部材51が曲折部51aを有するL字型に形成された状態で、血管の所定部に曲折部51が位置決めされるようにインプラント10を配置する。次に、挟持部材51が第1の温度に達するように、この挟持部材51に熱を印加する。これにより、挟持部材51は、端部が巻回し、血管の所定部を挟持する(巻き付く)形状(第1の形状)に回復するので、血管の所定部が挟持され、その血流が遮断される。また、インプラント50の配設位置を変更したい等の場合には、挟持部材51に第2の温度に達するように熱を印加し、挟持部材51を血管を解放する形状(第2の形状)に回復させ、所定部の血流が解放された後、再度、インプラント50を配置しなおし、挟持部材51が第1の温度に達するように熱を印加すればよい。
【0051】
以上に説明したように、本発明のインプラント50は、例えば、脳動静脈奇形の血流を遮断するための挟持部材51を有し、この挟持部材51は形状記憶部材15を含んで形成される。また、この挟持部材51は、第1の温度に対して第1の形状に変形し、所定の血管を挟持して血流を遮断する。また、この挟持部材51は、第2の温度に対して第2の形状に変形し、前記血流を解放する。また、第1及び第2の温度は、所定の基準温度よりも高い、若しくは低い温度に設定される。
【0052】
このように、このインプラント50によれば、容易に脳動静脈奇形の場合に、容易に所定の血管を挟持し、血流を遮断できる。また、インプラント50は、曲折部51aを有する棒状であるので、患部への位置決め及び、血流の遮断(所定の血管の挟持)等の操作が容易に行える。また、挟持部材51が所定の患部(血管等)に巻き付くことで容易に所定の血流を遮断できる。
【0053】
―第3の実施形態―
図4は本発明のインプラントの第3実施形態の内部構造を示し、図4(a)は外観図、図4(b)は変形図である。図5は図4(b)のB−B断面図である。
【0054】
インプラント100は、樹脂部110と、樹脂部110の内部に配設された板状の挟持部材120と、樹脂部110の外周を被覆する皮膜130と、を備えている。この皮膜12は、熱による生体組織の損傷を防ぐために断熱性のある生体親和性材料であることが好ましい。また、皮膜130は後述する第1及び第2の温度設定によって(生体組織の損傷を与える程度の熱でない場合等)は必ずしも必要なものではない。
【0055】
この挟持部材120は、バイメタル121、121を2組用いて形成される。バイメタル121は、熱膨張率の異なる2種類の金属板から構成される。本実施形態においては、上部に熱膨張率の大きな金属板121a、下部に熱膨張率の小さな金属板121bを備える。また、挟持部材120は、2つのバイメタル121から構成され、各バイメタル121の熱膨張率の小さな金属板121b、121bが対向するように設けられ、バイメタル121、121の両端部120a、120a同士が接続され形成される。
【0056】
挟持部材120は、所定の熱を加えると、熱膨張率の大きな金属板121a側に湾曲し、図4(b)に示すようにリング穴125を有する形状に変形する。
【0057】
このように、挟持部材120は、第1の温度に対して第1の形状に変形する第1の変態点と、第2の温度に対して第2の形状に変形(元の状態に回復)する第2の変態点と、を備えている。
【0058】
第1及び第2の温度とは、所定の基準温度よりも高い、若しくは低い温度である。所定の基準温度とは例えば体内温度である。体内温度は、各人、体調等によっても異なるが一般に35〜40度程度である。例えば、所定の基準温度よりも高い温度を第1の温度、所定の基準温度よりも低い温度を第2の温度とすると、第1の温度は、30度以下であり、第2の温度は、45度以上であることが好ましい。
【0059】
また、第1及び第2の形状とは、図4(a)に示すように、リング穴125がつぶされた形状と、図4(b)に示すように、リング穴125が形成された形状と、である。このリング穴125には、例えば、脳動脈瘤と診断された患者の患部(動脈瘤)が挿入される。
【0060】
次に、インプラントの動作形態及び使用方法について説明する。なお理解し易いように図4(a)、(b)を参照し、符号を付記することにするが、この実施形態に限定されるものではない。
【0061】
このインプラント100は、例えば、脳動脈瘤と診断された患者の動脈瘤頸部(患部)を挟持するための手術において使用される。
【0062】
手術等を行う医師により、インプラント100が所定の位置に配置されるとともに、挟持部材120を所定の形状に回復させるために所定の温度に達するように徐々に熱を印加する。これにより、挟持部材120は予め記憶された形状に回復する。
【0063】
具体的には、例えば、インプラント100は、第1の温度(30度以下)に対してリング穴を閉じるような第1の形状(図4(a))に変形し、第2の温度(45度以上)に対してリング穴を形成するように第2の形状(図4(b))に変形するように設定する。
【0064】
医師は、まず、挟持部材120に第2の温度に達するように熱を印加し、リング穴が形成された状態で、動脈瘤を挿入する。次に、所定位置にインプラント100を配置し、挟持部材120が第1の温度に達するように、この挟持部材に熱を印加する。これにより、挟持部材120は、リング穴が塞がれた形状(第1の形状)に回復するので、動脈瘤頸部が挟持部材120により挟持され、血流が遮断される。また、インプラント100の配設位置を変更したい等の場合には、挟持部材120に第2の温度に達するように熱を印加し、挟持部材をリング穴が形成された形状(第2の形状)に回復させ、動脈瘤頸部が解放された後、再度、インプラント100を配置しなおし、挟持部材120が第1の温度に達するように熱を印加すればよい。
【0065】
以上に説明したように、本発明のインプラント100は、脳動脈瘤等における血流を遮断(本実施形態の場合、動脈瘤頸部の挟持)するための挟持部材120を有し、この挟持部材120はバイメタル121を含んで形成される。また、この挟持部材120は、第1の温度に対して第1の形状に変形し、前記動脈瘤頸部を挟持する。また、この挟持部材120は、第2の温度に対して第2の形状に変形し、前記頸部を解放する。また、第1及び第2の温度は、所定の基準温度よりも高い、若しくは低い温度に設定される。
【0066】
このように、このインプラント100によれば、容易に動脈瘤の頸部を挟持して血流を遮断し、動脈瘤を閉塞できる。また、インプラント100は、リング形状であるので、患部への位置決め及び、挟持等の操作が容易に行える。
【0067】
以上のように、前述した各実施形態によれば、所定の熱(温度)を印加することにより所定の形状に変化する挟持部材を備えているので、容易に所定の患部(血管や動脈瘤頸部)を挟持、又は/及び解放することができる。
【0068】
本発明は以上の実施形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えば、挟持部材に含まれる形状記憶部材は、その形状や本数等は適宜変更できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインプラントの第1の実施形態を示し、図1(a)が外観図、図1(b)は変形図、図1(c)は他の変形図である。
【図2】本発明のインプラントの内部を示し、図2(a)は図1のA−A断面図、図2(b)、図2(c)は他の実施形態の断面構造図である。
【図3】本発明のインプラントの第2の実施形態を示し、図3(a)が外観図、図3(b)は変形図である。
【図4】本発明のインプラントの第3の実施形態の内部構造を示し、図4(a)は外観図、図4(b)は変形図である。
【図5】図4(b)のB−B断面図である。
【符号の説明】
10 インプラント
11 挟持部材
15 形状記憶部材
120 バイメタル
Claims (5)
- 脳動脈瘤等において血流を遮断するためのインプラントであって、
第1の温度に対して第1の形状に変形し、前記血流を遮断するための挟持部材を備えていることを特徴とするインプラント。 - 前記挟持部材は、第2の温度に対して第2の形状に変形し、前記遮断された血流が解放されることを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
- 前記挟持部材が形状記憶部材を含んで形成されていることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のインプラント。
- 前記挟持部材はバイメタルを含んで形成されていることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のインプラント。
- 前記第1及び第2の温度は、所定の基準温度よりも高い、若しくは低い温度に設定されることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のインプラント。
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