JP2004089289A - 人工心臓ポンプおよび回転装置 - Google Patents
人工心臓ポンプおよび回転装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004089289A JP2004089289A JP2002251906A JP2002251906A JP2004089289A JP 2004089289 A JP2004089289 A JP 2004089289A JP 2002251906 A JP2002251906 A JP 2002251906A JP 2002251906 A JP2002251906 A JP 2002251906A JP 2004089289 A JP2004089289 A JP 2004089289A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- impeller
- rotor
- casing
- magnetic
- rotation angle
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Control Of Non-Positive-Displacement Pumps (AREA)
- Structures Of Non-Positive Displacement Pumps (AREA)
- External Artificial Organs (AREA)
Abstract
【課題】軽量化、小型化を可能とする人工心臓ポンプ等の回転装置を提供すること。
【解決手段】この人工心臓ポンプ1は、永久磁石123を有することにより回転して血液を送り出すインペラ20と、内部にインペラ20を収容するとともに、電磁石113を有することによりステータとして機能し、回転磁界を形成してインペラ20を回転させるケーシング10とを備える。そして、この人工心臓ポンプ1では、ステータの磁界に対してインペラの磁界が所定の進み角だけ進んだ位置を中心として、電磁石113を励磁する。このような構成により、インペラ20の回転中であっても、永久磁石123と電磁石113との間に生ずる磁気的反発力の発生割合を磁気的吸着力の発生割合よりも多くできるので、インペラ20の回転中にこれを浮上させることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】この人工心臓ポンプ1は、永久磁石123を有することにより回転して血液を送り出すインペラ20と、内部にインペラ20を収容するとともに、電磁石113を有することによりステータとして機能し、回転磁界を形成してインペラ20を回転させるケーシング10とを備える。そして、この人工心臓ポンプ1では、ステータの磁界に対してインペラの磁界が所定の進み角だけ進んだ位置を中心として、電磁石113を励磁する。このような構成により、インペラ20の回転中であっても、永久磁石123と電磁石113との間に生ずる磁気的反発力の発生割合を磁気的吸着力の発生割合よりも多くできるので、インペラ20の回転中にこれを浮上させることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、人工心臓ポンプ等の回転装置に関し、さらに詳しくは、軽量化が可能であり、また小型化が可能である人工心臓ポンプおよび回転装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、生身の心臓の代わりにまたはこれを補助する目的で、人体内に埋設されて血液を送り出し循環させる人工心臓ポンプが開発されている。図12は、従来の人工心臓ポンプの一例を示す斜視図である。また、図13は、図12に記載した従来の人工心臓ポンプを示す側面断面図であり、図14は、図13に記載した人工心臓ポンプのA−A視断面図である。この人工心臓ポンプ100は、両吸込み型の遠心ポンプであり、ケーシング110内にインペラ120を備えた構成である。
【0003】
ケーシング110は、略鼓型の形状であり、血液の吸込口111、111をケーシングの両側に、血液の吐出口112をケーシング110の側周部にそれぞれ有する(図12参照)。このケーシング110内には、インペラ120がケーシング110内壁から浮遊した状態で収容される。インペラ120は、算盤玉型の胴部121の側壁部に複数の羽根122が配置された構成である。
【0004】
ケーシング110は、内部が空洞となっておりインペラ120が収納される。この空洞116は、ケーシング110の吐出口112に通じている(図14参照)。また、ケーシング110には、一対の電磁石113が埋め込まれ、電動機のステータを構成する。また、インペラ120は、複数の永久磁石123をN極とS極とが交互に位置するように配置することで、電動機のロータとして機能する。そして、一対の電磁石113が形成する回転磁界によりインペラ120が回転して、血液を送り出す人工心臓ポンプ100として機能する。
【0005】
図15は、図13に記載した電磁石および永久磁石の配置構成を平面的に示した断面図である。ケーシング110側の電磁石113は、鉄心にコイルを巻き付けた構造であり、インペラ120の外周を取り囲むように配置される。また、これらの電磁石113の磁極は、4極となる。永久磁石123は電磁石113のそれぞれの磁極に対応して8個インペラ胴部121内に埋設される(図13および図15参照)。
【0006】
駆動回路(図示せず)から、電磁石113のコイルへの励磁電流の方向を切り替えることによって回転磁界が作られる。そして、インペラ120に埋め込まれた永久磁石123がこの回転磁界により周方向の磁気的反発力または吸着力を受ける。これによってインペラ120には回転トルクが発生するので、インペラ120は回転軸心125を中心として回転する。このインペラ120の回転により、血液が2つの吸込口111、111からケーシング110内に吸い込まれ、インペラ120の羽根122によりチャンバ116内に掻き出され、吐出口112から吐き出されて人体内を循環する。
【0007】
なお、上記従来の人工心臓ポンプ100を駆動する際には、ロータであるインペラ120の磁気回転角あるいは磁気位相のずれは監視されていない。すなわち、駆動回路(図示せず)は、開ループで単に電磁石113のコイルへの励磁電流を切り替えるのみであり、インペラ120の磁気回転角に応じて電磁石113のコイルの励磁タイミングを制御するものではない。したがって、従来の人工心臓ポンプ100では、電磁石113が所定の励磁タイミングで励磁されて、これに追従して、インペラ120が回転する。
【0008】
一般に回転装置には軸と軸受けが設けられているが、人工心臓ポンプ100においては、回転部と静止部との摺動または接触に起因する血球破壊による血栓の生成が問題となる。この問題を解決するために、従来の人工心臓ポンプ100では、従来の軸と軸受けを設けず、インペラ120を磁気的な力によって浮上させて回転させる、いわゆる磁気浮上方式が採用されている。次に、磁気浮上方式について説明する。
【0009】
図13に示すように、ケーシング110には、一対の環状コイル115、115、および一対の環状永久磁石114、114が備えられている。一対の環状コイル115、115と一対の環状永久磁石114、114は、インペラ120胴部121の円錐部分の頂部外周を囲むように、ケーシング110吸込口111の付け根付近に環状に埋設されている。一方、インペラ120の胴部121は、円錐部分における両頂部付近に一対のインペラ側永久磁石(棒状)124、124が埋設されている。そして、コイル115と環状永久磁石114とインペラ側永久磁石124によって、磁気軸受け117を構成する。
【0010】
図16は、磁気軸受けとインペラ側永久磁石との位置関係を示す概念図である。インペラ側永久磁石124、124は、インペラ120をケーシング110に収容した状態で、ケーシング110に設けられたコイル115と永久磁石114と同軸状に配置される。
【0011】
この構造において、インペラ側永久磁石124とケーシング側永久磁石114との間に発生する磁気的反発力によって、永久磁石124の軸心が永久磁石114の軸心に一致するよう作用する。その結果、インペラ120が浮上して回転する。またコイル115に発生した磁束により永久磁石124が軸方向の力を受け、軸方向の変位が補正される。軸方向変位は図示省略のインペラ軸位置センサにより検出し、制御回路によりコイル115に流れる電流量が制御される。このように、従来の人工心臓ポンプ100においては、従来の軸および軸受けなしに、磁気軸受け117によってインペラ120を磁気浮上させて回転させるので、ケーシング110の内壁と接触することなく、血栓の発生を防止する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の人工心臓ポンプ100では、磁気軸受け117を構成するために、ケーシング110内にはコイル115とケーシング側永久磁石114とを、インペラ120内にはインペラ側永久磁石124を設ける必要がある。このため、人工心臓ポンプ100の質量が大きくなり、人体内への埋設に不都合を生じるという問題点があった。また、磁気浮上のためにコイル115を利用した電磁石を用いているため、これを収納するケーシング110の寸法が大きくなるという問題もあった。そして、インペラ120を駆動するための電力の他に、磁気浮上のために別個に設けたコイル115でも電力を消費するので、電力消費量が大きくなるという問題もあった。これらの問題点のため、磁気軸受け117を用いた磁気浮上方式の人工心臓ポンプ100は、実用化が困難な状況にある。
【0013】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、本体を軽量化、小型化すること、インペラ等の回転体を浮上させるための電力を必要としないこと、さらに血栓の発生を有効に抑止できる人工心臓ポンプ等の回転装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る人工心臓ポンプは、永久磁石を有し、且つ回転して血液を送り出すインペラと、内部に前記インペラを収容するとともに前記インペラの周囲に一対のコーン状の電磁石を配置して回転磁界を形成する一対のステータを構成し、前記インペラを回転させるケーシングと、このケーシングに備えられて前記インペラの回転角度を検出する回転角度検出手段と、この回転角度検出手段からの検出信号によって、前記ケーシングに備えられた前記電磁石を励磁する制御手段とを備え、当該制御手段によって、前記ステータに対する前記インペラの相対的な磁気回転角が、前記インペラの回転トルクが最大となる位置から所定の進み角φとなったときに、当該進み角φを中心とした所定の範囲で前記電磁石を励磁することを特徴とする。
【0015】
この発明に係る人工心臓ポンプでは、回転角度検出手段からのインペラの位置情報に基づいて、インペラの磁界に対して所定の進み角φだけ進めた位置を中心として、ステータを構成する電磁石を所定の磁気回転角度だけ励磁する。そして、インペラに備えられた永久磁石に作用する磁気的反発力の発生割合が、磁気的吸着力の発生割合よりも平均して大きくなるように制御して運転する。これにより、インペラに反発力を作用させて、インペラをその回転中にケーシングの内壁から常時磁気浮上させ得るので、従来の人工心臓ポンプのように、インペラを浮上させるための磁気軸受けその他のインペラ浮上手段が不要となる。その結果、人工心臓ポンプを軽量化し、また小型化できる。さらに、インペラは常時浮上して回転しているので、血栓の発生を有効に抑止できる。
【0016】
また、請求項2に係る人工心臓ポンプは、上記人工心臓ポンプにおいて、上記インペラは、内部に上記永久磁石を配置した外殻と、この外殻内に配置された胴部と、前記外殻と前記胴部との間に設けられた羽根とで構成されており、血液は前記外殻と前記胴部との間を流れることを特徴とする。
【0017】
この発明に係る人工心臓ポンプは、胴部と、その周囲に配置される外殻と、外殻と胴部との間に配置される羽根とで構成されるインペラを用い、インペラの外殻に永久磁石を備えるようにしてある。このような構成によって、ステータを構成する電磁石との距離を小さくできるので、距離の自乗に反比例する磁気的反発力を有効に利用できる。また、インペラとケーシングとが接近した場合には、磁気的反発力が距離の自乗に反比例して大きくなるので、インペラをケーシング内の中央付近に保持して安定した運転ができる。
【0018】
また、請求項3に係る人工心臓ポンプは、上記人工心臓ポンプにおいて、一対の上記ステータは上記インペラの回転軸を中心軸とするコーン状の構成であり、上記ステータと対向するように上記永久磁石を配置した上記インペラを一対の上記ステータによって挟み込むように構成し、上記ステータと上記永久磁石との間に生ずる反発力が上記インペラを挟み込むように作用するようにしたことを特徴とする。
【0019】
この発明に係る人工心臓ポンプでは、コーン状に配置されたそれぞれ一対のステータと永久磁石とからなりそれぞれの磁気的反発力が、インペラをその回転軸の両方向から挟み込むように作用する。この反発力、またはこれらの反発力の成分は、インペラの周方向および軸方向の変位に対して前記インペラを元の位置に押し戻す復元力として作用する。したがって、インペラの回転中に周方向または軸方向へ移動(変位、偏心)した場合にも、この復元力によってインペラを所定の位置に押し戻して保持できるので、安定して運転ができる。
【0020】
また、請求項4に係る回転装置は、永久磁石を有するロータと、内部に前記ロータを収容するとともに前記ロータの周囲に一対のコーン状の電磁石を配置して、回転磁界を形成するステータを構成し、前記ロータを回転させるケーシングと、前記ロータの回転角度を検出する回転角度検出手段と、この回転角度検出手段からの検出信号によって、前記ケーシングに備えられた前記電磁石を励磁する制御手段とを備え、当該制御手段によって、前記ステータに対する前記ロータの相対的な磁気回転角が、前記ロータの回転トルクが最大となる位置から所定の進み角φとなったときに、当該進み角φを中心とした所定の範囲で前記電磁石を励磁することを特徴とする。
【0021】
この発明に係る回転装置では、回転角度検出手段からのロータの位置情報に基づいて、インペラの磁界に対して所定の進み角φだけ進めた位置を中心として、ステータを構成する電磁石を所定の磁気回転角度だけ励磁する。そして、ロータに備えられた永久磁石に作用する磁気的反発力の発生割合が、磁気的吸着力の発生割合よりも大きくなるように制御して運転する。これにより、ロータに反発力を作用させて、ロータをその回転中にケーシングの内壁から常時磁気浮上させ得るので、ロータを浮上させるための磁気軸受けその他の浮上手段が不要となる。その結果、回転装置を軽量化し、また小型化できる。なお、この発明が好適に適用できる回転装置には、ハードディスクドライブやターボ分子ポンプ、遠心分離機、水中ポンプ等がある。
【0022】
また、請求項5に係る回転装置は、永久磁石を有するロータと、内部に前記ロータを収容するとともに前記ロータの周囲に一対のコーン状の電磁石を配置して、回転磁界を形成するステータを構成し、前記ロータを回転させるケーシングと、前記ロータの回転角度を検出する回転角度検出手段と、この回転角度検出手段からの検出信号によって、前記ケーシングに備えられた前記電磁石を励磁する制御手段とを備え、当該制御手段によって、前記ロータの永久磁石磁極が前記電磁石の磁極と重なった時に前記電磁石の励磁を開始し、励磁時間をロータの回転速度に応じて増減することによりロータ回転速度を制御することを特徴とする。
【0023】
この発明に係る回転装置では、回転角度検出手段からのロータの位置情報に基づいて、前記ロータの永久磁石磁極が前記電磁石磁極と重なった時に前記電磁石の励磁を開始し、励磁時間をロータの回転速度に応じて増減することによりロータ回転速度を制御する。これにより、ロータに反発力を作用させて、ロータをその回転中にケーシングの内壁から常時磁気浮上させるとともに、回転装置の回転速度を自由に制御可能であり、しかもロータを浮上させるための磁気軸受けその他の浮上手段が不要となる。その結果、回転装置を軽量化し、また小型化できる。ここで、ロータの永久磁石磁極がステータの電磁石磁極と重なった時とは、磁気浮力が最大となると予想される時で、かつ回転トルクが0の時をいう。また、この発明が好適に適用できる回転装置には、ハードディスクドライブやターボ分子ポンプ、遠心分離機、水中ポンプ等がある。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。また、次の説明においては人工心臓ポンプを例としてこの発明を説明するが、本発明の適用範囲はこれに限られるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係る人工心臓ポンプを示す側面断面図である。この人工心臓ポンプ1は、ロータであるインペラ20の磁気回転角情報に基づいて、ステータを構成するケーシング10の電磁石113への励磁タイミングを制御することにより、インペラ20を回転させつつケーシング10の内壁から浮上させる点に特徴がある。なお、次の説明においては、上記従来の人工心臓ポンプ100と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0026】
この人工心臓ポンプ1は両吸込み型の遠心ポンプであり、ケーシング10と、このケーシング10内に収容されるインペラ20とを備えている。ケーシング10は磁極とコイルとで構成された一対の電磁石113を有し、電動機のステータとして機能する。また、インペラ20は一対の永久磁石123を有しており、電動機のロータとして機能する。これにより、人工心臓ポンプ1は、電磁石113が発生する回転磁界によってケーシング10内でインペラ20を回転させ、吸込口111から吸い込んだ血液を吐出口112から送り出して人体内に循環させることができる。また、ケーシング10の永久磁石123と対向する位置には、インペラ20の回転位置を検出するための回転角度検出手段である検出部34が設けられている。次に、インペラ20について詳細に説明する。
【0027】
図2は、図1に示したインペラを示す斜視図である。また、図3は、図2に記載したインペラを示す側面断面図である。このインペラ20は、1対のコーン状外殻41を備えており、この外殻41内には算盤玉状の胴部121が設けられている。胴部121と外殻41との間には、血液を送り出すための羽根122が複数設けられている。
【0028】
永久磁石123は羽根122の外周に設置した外殻41内に埋設されている。この例においては、片側のコーン部につき4個の永久磁石123が配置される。インペラ20全体では8個の永久磁石123が使用される。なお、永久磁石123の個数は8個に限定されるものではなく、仕様に応じて適宜変更できる。ケーシング10に備えられた電磁石113の磁極数も同様である。このインペラ20において、血液は専ら胴部121と外殻41との間を通り、遠心力を受けてケーシング10のチャンバ116内に吐出される。
【0029】
このような構成によって、永久磁石123は、ステータを構成する電磁石113の間近に位置するため、永久磁石123と電磁石113との距離を小さくできる。磁気力は距離の自乗に反比例するので、このような構成によれば、永久磁石123と電磁石113との間に発生する磁気反発力をより有効に利用できる。その結果、人工心臓ポンプ1をより小型化かつ軽量化でき、また、電磁石113の励磁電流を節約できる利点がある。また、インペラ20の位置が回転軸心125から変位して、永久磁石123と電磁石113との距離が小さくなると磁気反発力は距離の自乗に反比例して大きくなるので、インペラ20はケーシング10内の略中心に保持される。
【0030】
また、このインペラ20は、従来の人工心臓ポンプ100に係るインペラ120(図11参照)と異なり、磁気浮上のためのインペラ側永久磁石124を内部に備えていない。そして、これに対応して、ケーシング10も、その壁内に、インペラ20を磁気浮上させるためのコイル115およびケーシング側永久磁石114を備えていない(図1参照)。
【0031】
図4は、図1に記載した人工心臓ポンプの駆動装置を示すブロック図である。駆動回路30は、速度演算部31と、制御部32と、増幅部33と、検出部34とを含んで構成される。この速度演算部31は、検出部34からの信号によりロータ速度を演算し目標速度と比較しその結果を制御部32に渡す。制御手段である制御部32は、まず検出部32からの信号により励磁のタイミングを演算し、次いで速度演算部31よりの指令により消磁タイミングを演算する。増幅部33で制御部32の指令により電磁石113のコイルを順次励磁し回転磁界を発生する。これにより、インペラ20が回転して血液を人体内に送り出す。
【0032】
検出部34は、ケーシング10の内壁に設けられており、インペラ20の回転角を検出して、制御部32および速度演算部31に信号を入力する。制御部32および速度演算部31は電磁石113の励磁および消磁タイミングを増幅部33に対し指令する。なお、検出部34には、例えば、ホール素子、ロータリーエンコ−ダ、レゾルバその他の回転センサが使用できる。
【0033】
この実施の形態において、駆動回路30は、電磁石113の励磁にあたり、制御部32がその励磁タイミングを調整して、インペラ20が回転中にケーシング10の内壁から常時浮上するように制御する。図5は、駆動回路の励磁タイミングを決定する動作を示すフローチャートである。駆動回路30は、励磁タイミングの決定にあたり、まず、検出部34によってインペラ20の回転角を検出し(ステップST1)、これを速度演算部31に入力し、インペラ速度を演算し目標速度と比較し、その結果を制御部32に渡す(ステップST2)。次いで制御部32は検出部34によってインペラ20の磁気回転角が入力されるので、その磁気回転角情報と速度演算部31からの指令に基づいて、制御部32は電磁石113の励磁および消磁タイミングを決定し(ステップST3)、これに基づいて電磁石113に励磁電流を印加する(ステップST4)。
【0034】
次に、本発明に係る人工心臓ポンプ等の回転装置のケーシングに備えられた電磁石113(ステータと称する)とインペラに備えられた永久磁石123(ロータと称する)との関係について説明する。
【0035】
図6は、本発明および従来の人工心臓ポンプ等の回転装置におけるインペラとケーシング(ステータとロータ)との関係を示す説明図である。また、図7は、本発明および従来の人工心臓ポンプ等の回転装置におけるロータとステータとの磁気回転角と回転トルクおよび磁気浮力との関係を示す図である。また、図8は、本発明の人工心臓ポンプ等の回転装置におけるロータとステータとの磁気回転角と回転トルクおよび磁気浮力との関係を示す図である。図6は、上方にロータ側の永久磁石123の配列を、下方にステータ側の電磁石113の配列を、それぞれ磁極を付して表示している。同図において、ステータ側の電磁石113は固定状態にあり、コイルに電流が流れ励磁された状態にある。ロータ側の永久磁石123は、ロータの回転により図中の左から右方向に移動する。
【0036】
図7および図8では、ロータに作用する回転トルクTと、同じくロータに作用する磁気浮力Fとを表している。ここで磁気浮力Fとは、磁気反発力または磁気吸着力であり、正であれば反発力、負であれば吸着力と定義する。横軸はステータ磁界に対するロータ磁界の相対的な磁気回転角θを表しており、ロータに作用する回転トルクTが最大となる磁気回転角θを0度と定義する。この時、磁気浮力Fは0となる。この状態はステータ磁極NとSとの中間にロータ磁極Nが位置するとき(図6の(d)の状態)である。なお回転トルクの大きさは磁気回転角に対し、略正弦波状に変化する。また励磁を開始する磁気回転角度と消磁する磁気回転角度の中心角度を磁気位相φと定義する。磁気位相が負であれば進み位相となり正であれば遅れ位相となる。
【0037】
また磁気浮力Fが最大となるのはステータ磁極とロータ磁極がNとNもしくはSとSが重なった位置にある時である(図6の(a)の状態)。この時回転トルクTは0となる。また、磁気浮力Fが最小(吸着力最大)となるのは、ステータ磁極とロータ磁極がNとSもしくはSとNが重なった位置にあるときである(図6の(a)の状態)。図7中θ1〜θ7で示した磁気回転角は、図6中(a)〜(g)に示したロータとステータとの位置関係にそれぞれ対応する。
【0038】
従来の人工心臓ポンプ100等の回転装置(モータ)においては、基本的に回転トルクが正である時に励磁し、回転トルクが負に切り変わる時、コイルの電流方向を逆として回転トルクを正に変えることでロータを回転させる。すなわち基本的に磁気回転角−90度から磁気回転角0度を経由して90度の間に励磁する(図7参照)。磁気回転角が−90度以下の時と90度以上の時は、コイルの電流方向を逆とし、ロータに正方向の回転トルクが作用するようにする(図8の回転トルク破線表示)。故に従来の回転装置では磁気回転角180度進む毎にコイルの電流方向を逆にすれば連続した回転トルクを得ることができる。
【0039】
例として、励磁電流が、磁気回転角−40度で励磁を開始し、磁気回転角80度で消磁されるものとすると、励磁の中心の磁気回転角は20度となる。すなわち、磁気位相はφ=20度の遅れ位相となる(図7参照)。従来の回転装置ではロータを回転させるために必要なトルク(負荷トルク)と上記回転トルクとの関係は、負荷トルクの方が小さければロータは増速し、その逆に負荷トルクの方が大きければロータは減速する関係となる。ロータが増速すると、励磁のタイミングは遅れ、図7の右方向へずれ、すなわち磁気位相は遅れ方向となり、回転トルクは減少し、負荷トルクと同じ値となったところで増速は止まり、励磁周波数で回転することとなる。
【0040】
逆に負荷トルクの方が大きいと、励磁のタイミングは早まり、図7の右方向へずれ、すなわち磁気位相は進み方向となり、回転トルクは増加し、負荷トルクと同じ値となったところで減速は止まり、励磁周波数で回転することとなる。しかし負荷トルクがさらに大きくなると、磁気位相の進みはさらに大きくなり、磁気位相が0となる。こうなると回転トルクはそれ以上大きくなることはないので、ロータの回転速度を維持できなくなり、脱調状態となり回転装置としての機能を喪失することとなる。上記を避けるため回転トルクは余裕のある値とし通常運転中は遅れ位相にて運転する必要がある。
【0041】
磁気浮力Fについては磁気回転角−90度の時最大となり、磁気回転角0度の時0となり、磁気回転角90度の時最小(吸着力最大)となり略正弦波状に変化する。従来の回転装置の場合には、回転トルクのみロータに作用すればよく、磁気浮力の発生は無視され、磁気浮力が平均して正の値となるか負の値となるかは制御対象外であるが、先述の如く安定運転のため遅れ位相で運転されるので磁気浮力は負の値となって、平均すると磁気吸着力が勝った運転となる。
【0042】
本発明に係る人工心臓ポンプ等の回転装置のケーシングに備えられた電磁石113(ステータと称する)とインペラに備えられた永久磁石123(ロータと称する)との関係について、図7を用いて説明する。本発明においては、正方向の回転トルクTと正の磁気浮力Fとの双方が必要であり、ステータとロータとの磁気的反発力が最大となる回転角−90度で励磁を開始し、ステータとロータとの磁気的吸着力が最大となる回転角0度で消磁する。すなわち、ステータに対するロータ(インペラ)の相対的な磁気回転角が、ロータの回転トルクが最大となる位置から所定の進み角φとなったときに、当該進み角φを中心とした所定の範囲で前記電磁石を励磁して、消磁する。この状態を示すのが、図6の(a)、(b)、(c)および(d)である。次いで磁気浮力Fが正に切り替わる回転角90度まで消磁状態を続ければ、負の回転トルクTおよび負の磁気浮力Fを発生しないことを条件に最大の回転トルクと最大の磁気浮力を得ることが出来、無駄のない運転が可能となる。
【0043】
回転トルクT、磁気浮力Fとも、常に正の値とするのが上記条件であるが、ロータの回転速度は速く、サイクル中に負の値が含まれても、磁気浮力Fが平均して正でその積算値がロータの仕様にマッチすればよい。したがって、回転角−120度前後で励磁を開始し、回転角が30度前後にて消磁する方式を採用してもかまわない。このようにすれば、より大きな磁気浮力と回転トルクを得ることが出来るので、更なる回転装置の小型化を図ることが出来る。また、図8に示すように、回転角−70度前後で励磁を開始し、回転角が−20度前後にて消磁する方式を採用してもよい。上記いずれの場合においても、磁気位相はφ=−45度の進み位相となる。
【0044】
図9は、本発明の実施の形態1の変形例に係る人工心臓ポンプのインペラとケーシングとの関係を示す説明図である。同図に示すように、角度90度毎に4個配置されるロータ(インペラ20)側の永久磁石123に対し、ステータ(ケーシング10)側の電磁石113の磁極をその倍の8個設けた構成である。この構成の場合も、それぞれの電磁石113の磁極を励磁/消磁するタイミングは実施例1と全く同じとして良い。すなわち追加された磁極の励磁/消磁タイミングを元の磁極に対し磁気回転角で90度進ませるかもしくは遅らせれば良いことになる。
【0045】
このように、ステータ側の電磁石113を細分化してロータ側の電磁石113よりも多く設置したので、より滑らかにロータを回転させることができ、また電波障害も抑制できる。さらに、一つの電磁石113が消磁している間であっても、隣り合う電磁石113は励磁されているため、電磁石113が4個の場合と比較して、励磁時間が2倍となり回転トルクが増加し、結果として回転装置の小型化が可能となる。なお、電磁石113の磁極の個数は上記説明で開示した個数に限定されるものではなく、人工心臓ポンプ1の仕様に応じて適宜変更できる。インペラ(ロータ)20が備える永久磁石123についても同様である。
【0046】
この実施の形態1に係る人工心臓ポンプ1によれば、磁気軸受け117を構成するコイル115およびケーシング側永久磁石114、並びにインペラ側永久磁石124(図13参照)を省略できるので、軽量化でき、また、小型化できる。特に、従来の人工心臓ポンプ100では、大型かつ重量があるため、体格の小さい人への埋設は特に困難であるという問題点があったが、この人工心臓ポンプ1では、軽量かつ小型化が可能となるので、このような問題を解決できる。また、コイル115が不要になるので、その分消費電力を小さくでき、人工心臓ポンプ1の省エネルギー化に寄与する。また、インペラ20は常時浮上して回転するので、血栓の発生を有効に抑止できる。
【0047】
また、この実施の形態によれば、インペラ20の形状を、算盤玉状とし(図2参照)、このインペラ20の両円錐部分を左右方向から挟み込む方向に、電磁石113と永久磁石123との反発力を作用させたので、インペラ20をケーシング10内壁から完全に浮上させ得る。これにより、インペラ20とケーシング10内壁との接触部分を無くして血栓の発生を有効に抑制できる。
【0048】
また、このような構成によれば、インペラ20が、その回転時に起こる軸方向移動、偏心等に対し永久磁石123がインペラ20に及ぼす反発力は、ケーシング10内壁に近づいた側では増大し、内壁から遠ざかった側では減少する。そして、この反発力は、距離の自乗に反比例するので、インペラ20がその径方向に変位した場合でも、インペラ20を定位置に押し戻す方向に作用する。これにより、インペラ20を定位置で浮上させたまま安定して保持できる。
【0049】
さらに、インペラ20の外殻41に永久磁石123を埋め込んでいるので、ケーシング10側に設けられた電磁石113とインペラ20側の永久磁石123との距離を小さくできる。これによって、磁気的反発力を有効に利用できるので、より少ない電力でインペラ20を回転させることができる。また、インペラ20とケーシング10とが接近した場合には、磁気的反発力が距離の自乗に反比例して大きくなるので、インペラ20をケーシング10内の中央付近に保持して安定した運転ができる。
【0050】
また、インペラ20の回転角を駆動回路30の検出部34で検出し、これに基づきステータの励磁タイミングを決定するので、インペラ20の脱調を考慮する必要がない。すなわち、励磁時間が短く回転トルクに対し負荷トルクが低ければインペラ20は減速し、その逆の場合にはインペラ20が増速することになるだけである。これによって、安定してインペラ20を回転させ、また、ステータを構成する電磁石113の焼損を防止して安定した運転ができる。
【0051】
なお、この実施の形態では、上記ステータおよびロータからなる回転装置を、人工心臓ポンプを一例として説明したが、この発明の適用対象はこれに限られない。例えば、本発明は、ハードディスクドライブ、ターボ分子ポンプ、遠心分離器等その他の回転装置に適用することができる。この本発明に係る回転装置は軸受を必要としないので、ロータの高速回転が可能であるとともに、軸受け損失がなく、騒音が小さい、軽量化および小型化が可能である等の利点があり、幅広い用途に適するものである。
【0052】
(実施の形態2)
本発明第2の実施の形態について説明する。本発明の構成要素は実施の形態1と変わることがないので、その説明は省略する。図10は、本発明の実施の形態2に係る励磁タイミングを説明する図である。この図では、ロータに作用する回転トルクTと、同じくロータに作用する磁気浮力Fとを表している。また、図11は、実施の形態2に係る駆動回路の励磁タイミングを決定する動作を示すフローチャートである。まず、ロータの回転角を検出し(ステップST201)、ロータの永久磁石123の磁極がステータの磁極と重なった時に電磁石113の励磁を開始する(ステップST202)。ここで、ロータの永久磁石123の磁極がステータの磁極と重なった時とは、磁気浮力Fが最大となると予想される時で、かつ回転トルクTが0の時である。次に、ロータの回転速度に応じて励磁時間を演算し(ステップST203)、この演算結果に基づいて励磁時間を制御する(ステップST204)。以上の手順によりロータ回転速度を制御する。この方法の特徴は励磁のタイミング制御が単純化され信頼性が向上することにある。
【0053】
これにより、ロータに反発力を作用させて、ロータをその回転中にケーシングの内壁から常時磁気浮上させるとともに、回転装置の回転速度を自由に制御可能であり、しかもロータを浮上させるための磁気軸受けその他の浮上手段が不要となる。その結果、回転装置を軽量化し、また小型化できる。なお、この発明が好適に適用できる回転装置には、ハードディスクドライブやターボ分子ポンプ、遠心分離機、水中ポンプ等がある。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る人工心臓ポンプ(請求項1)では、インペラの回転中においてインペラに作用する磁気的反発力を磁気的吸着力よりも大きくして、インペラをその回転中にケーシングの内壁から常時磁気浮上させるようにした。これによって、従来の磁気軸受けその他のインペラ浮上手段を省略できるので、人工心臓ポンプを軽量化し、小型化することもできる。また、インペラは常時浮上して回転しているので、血栓の発生を有効に抑止できる。
【0055】
また、この発明に係る人工心臓ポンプ(請求項2)では、インペラの外殻に永久磁石を埋設した。このような構成によって、永久磁石とステータを構成する電磁石との距離を小さくできるので、磁気的反発力を有効に利用して、より少ない電力でインペラを回転させることができる。また、インペラとケーシングとが接近した場合には、距離の自乗に反比例して大きくなる磁気的反発力によって、インペラをケーシング内の中央付近に保持できるので、安定した運転ができる。
【0056】
また、この発明に係る人工心臓ポンプ(請求項3)では、二組のステータと永久磁石とが形成する磁気的反発力同士が、インペラをその回転軸の両方向から挟み込むように作用するようにした。このため、インペラの回転中にスラスト力が発生し、インペラが回転軸方向に変位した場合にも、この復元力によってインペラを所定の位置に押し戻して保持できるので、安定して運転ができる。
【0057】
また、この発明に係る回転装置(請求項4)では、ロータの回転中においてロータに作用する磁気的反発力を磁気的吸着力よりも大きくして、ロータをその回転中にケーシングの内壁から常時磁気浮上させるようにした。これによって、従来の磁気軸受けその他のロータ浮上手段を省略できるので、回転装置自体を軽量化し、また小型化できる。
【0058】
また、この発明に係る回転装置(請求項5)では前記ロータの永久磁石磁極が前記電磁石の磁極と重なった時に前記電磁石の励磁を開始し、励磁時間をロータの回転速度に応じて増減することによりロータ回転速度を制御する様にした。これにより、制御回路が単純化されたことと、従来の回転装置の如く負荷トルク過大による脱調現象を起こすことなく高い信頼性を持たせることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る人工心臓ポンプを示す側面断面図である。
【図2】図1に示したインペラを示す斜視図である。
【図3】図2に記載したインペラを示す側面断面図である。
【図4】図1に記載した人工心臓ポンプの駆動装置を示すブロック図である。
【図5】駆動回路の励磁タイミングを決定する動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明および従来の人工心臓ポンプ等の回転装置におけるインペラとケーシング(ステータとロータ)との関係を示す説明図である。
【図7】本発明および従来の人工心臓ポンプ等の回転装置におけるロータとステータとの磁気回転角と回転トルクおよび磁気浮力との関係を示す図である。
【図8】本発明の人工心臓ポンプ等の回転装置におけるロータとステータとの磁気回転角と回転トルクおよび磁気浮力との関係を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態1の変形例に係る人工心臓ポンプのインペラとケーシングとの関係を示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る励磁タイミングを説明する図である。
【図11】実施の形態2に係る駆動回路の励磁タイミングを決定する動作を示すフローチャートである。
【図12】従来の人工心臓ポンプの一例を示す斜視図である。
【図13】図12に記載した従来の人工心臓ポンプを示す側面断面図である。
【図14】図13に記載した人工心臓ポンプのA−A視断面図である。
【図15】図13に記載した電磁石等の配置構成を平面的に示した断面図である。
【図16】磁気軸受けとインペラ側永久磁石との位置関係を示す概念図である。
【符号の説明】
1、2 人工心臓ポンプ
10 ケーシング
20 インペラ
30 駆動回路
41 外殻
113 電磁石(ステータ)
123 永久磁石(ロータ)
125 回転軸心
【発明の属する技術分野】
この発明は、人工心臓ポンプ等の回転装置に関し、さらに詳しくは、軽量化が可能であり、また小型化が可能である人工心臓ポンプおよび回転装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、生身の心臓の代わりにまたはこれを補助する目的で、人体内に埋設されて血液を送り出し循環させる人工心臓ポンプが開発されている。図12は、従来の人工心臓ポンプの一例を示す斜視図である。また、図13は、図12に記載した従来の人工心臓ポンプを示す側面断面図であり、図14は、図13に記載した人工心臓ポンプのA−A視断面図である。この人工心臓ポンプ100は、両吸込み型の遠心ポンプであり、ケーシング110内にインペラ120を備えた構成である。
【0003】
ケーシング110は、略鼓型の形状であり、血液の吸込口111、111をケーシングの両側に、血液の吐出口112をケーシング110の側周部にそれぞれ有する(図12参照)。このケーシング110内には、インペラ120がケーシング110内壁から浮遊した状態で収容される。インペラ120は、算盤玉型の胴部121の側壁部に複数の羽根122が配置された構成である。
【0004】
ケーシング110は、内部が空洞となっておりインペラ120が収納される。この空洞116は、ケーシング110の吐出口112に通じている(図14参照)。また、ケーシング110には、一対の電磁石113が埋め込まれ、電動機のステータを構成する。また、インペラ120は、複数の永久磁石123をN極とS極とが交互に位置するように配置することで、電動機のロータとして機能する。そして、一対の電磁石113が形成する回転磁界によりインペラ120が回転して、血液を送り出す人工心臓ポンプ100として機能する。
【0005】
図15は、図13に記載した電磁石および永久磁石の配置構成を平面的に示した断面図である。ケーシング110側の電磁石113は、鉄心にコイルを巻き付けた構造であり、インペラ120の外周を取り囲むように配置される。また、これらの電磁石113の磁極は、4極となる。永久磁石123は電磁石113のそれぞれの磁極に対応して8個インペラ胴部121内に埋設される(図13および図15参照)。
【0006】
駆動回路(図示せず)から、電磁石113のコイルへの励磁電流の方向を切り替えることによって回転磁界が作られる。そして、インペラ120に埋め込まれた永久磁石123がこの回転磁界により周方向の磁気的反発力または吸着力を受ける。これによってインペラ120には回転トルクが発生するので、インペラ120は回転軸心125を中心として回転する。このインペラ120の回転により、血液が2つの吸込口111、111からケーシング110内に吸い込まれ、インペラ120の羽根122によりチャンバ116内に掻き出され、吐出口112から吐き出されて人体内を循環する。
【0007】
なお、上記従来の人工心臓ポンプ100を駆動する際には、ロータであるインペラ120の磁気回転角あるいは磁気位相のずれは監視されていない。すなわち、駆動回路(図示せず)は、開ループで単に電磁石113のコイルへの励磁電流を切り替えるのみであり、インペラ120の磁気回転角に応じて電磁石113のコイルの励磁タイミングを制御するものではない。したがって、従来の人工心臓ポンプ100では、電磁石113が所定の励磁タイミングで励磁されて、これに追従して、インペラ120が回転する。
【0008】
一般に回転装置には軸と軸受けが設けられているが、人工心臓ポンプ100においては、回転部と静止部との摺動または接触に起因する血球破壊による血栓の生成が問題となる。この問題を解決するために、従来の人工心臓ポンプ100では、従来の軸と軸受けを設けず、インペラ120を磁気的な力によって浮上させて回転させる、いわゆる磁気浮上方式が採用されている。次に、磁気浮上方式について説明する。
【0009】
図13に示すように、ケーシング110には、一対の環状コイル115、115、および一対の環状永久磁石114、114が備えられている。一対の環状コイル115、115と一対の環状永久磁石114、114は、インペラ120胴部121の円錐部分の頂部外周を囲むように、ケーシング110吸込口111の付け根付近に環状に埋設されている。一方、インペラ120の胴部121は、円錐部分における両頂部付近に一対のインペラ側永久磁石(棒状)124、124が埋設されている。そして、コイル115と環状永久磁石114とインペラ側永久磁石124によって、磁気軸受け117を構成する。
【0010】
図16は、磁気軸受けとインペラ側永久磁石との位置関係を示す概念図である。インペラ側永久磁石124、124は、インペラ120をケーシング110に収容した状態で、ケーシング110に設けられたコイル115と永久磁石114と同軸状に配置される。
【0011】
この構造において、インペラ側永久磁石124とケーシング側永久磁石114との間に発生する磁気的反発力によって、永久磁石124の軸心が永久磁石114の軸心に一致するよう作用する。その結果、インペラ120が浮上して回転する。またコイル115に発生した磁束により永久磁石124が軸方向の力を受け、軸方向の変位が補正される。軸方向変位は図示省略のインペラ軸位置センサにより検出し、制御回路によりコイル115に流れる電流量が制御される。このように、従来の人工心臓ポンプ100においては、従来の軸および軸受けなしに、磁気軸受け117によってインペラ120を磁気浮上させて回転させるので、ケーシング110の内壁と接触することなく、血栓の発生を防止する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の人工心臓ポンプ100では、磁気軸受け117を構成するために、ケーシング110内にはコイル115とケーシング側永久磁石114とを、インペラ120内にはインペラ側永久磁石124を設ける必要がある。このため、人工心臓ポンプ100の質量が大きくなり、人体内への埋設に不都合を生じるという問題点があった。また、磁気浮上のためにコイル115を利用した電磁石を用いているため、これを収納するケーシング110の寸法が大きくなるという問題もあった。そして、インペラ120を駆動するための電力の他に、磁気浮上のために別個に設けたコイル115でも電力を消費するので、電力消費量が大きくなるという問題もあった。これらの問題点のため、磁気軸受け117を用いた磁気浮上方式の人工心臓ポンプ100は、実用化が困難な状況にある。
【0013】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、本体を軽量化、小型化すること、インペラ等の回転体を浮上させるための電力を必要としないこと、さらに血栓の発生を有効に抑止できる人工心臓ポンプ等の回転装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る人工心臓ポンプは、永久磁石を有し、且つ回転して血液を送り出すインペラと、内部に前記インペラを収容するとともに前記インペラの周囲に一対のコーン状の電磁石を配置して回転磁界を形成する一対のステータを構成し、前記インペラを回転させるケーシングと、このケーシングに備えられて前記インペラの回転角度を検出する回転角度検出手段と、この回転角度検出手段からの検出信号によって、前記ケーシングに備えられた前記電磁石を励磁する制御手段とを備え、当該制御手段によって、前記ステータに対する前記インペラの相対的な磁気回転角が、前記インペラの回転トルクが最大となる位置から所定の進み角φとなったときに、当該進み角φを中心とした所定の範囲で前記電磁石を励磁することを特徴とする。
【0015】
この発明に係る人工心臓ポンプでは、回転角度検出手段からのインペラの位置情報に基づいて、インペラの磁界に対して所定の進み角φだけ進めた位置を中心として、ステータを構成する電磁石を所定の磁気回転角度だけ励磁する。そして、インペラに備えられた永久磁石に作用する磁気的反発力の発生割合が、磁気的吸着力の発生割合よりも平均して大きくなるように制御して運転する。これにより、インペラに反発力を作用させて、インペラをその回転中にケーシングの内壁から常時磁気浮上させ得るので、従来の人工心臓ポンプのように、インペラを浮上させるための磁気軸受けその他のインペラ浮上手段が不要となる。その結果、人工心臓ポンプを軽量化し、また小型化できる。さらに、インペラは常時浮上して回転しているので、血栓の発生を有効に抑止できる。
【0016】
また、請求項2に係る人工心臓ポンプは、上記人工心臓ポンプにおいて、上記インペラは、内部に上記永久磁石を配置した外殻と、この外殻内に配置された胴部と、前記外殻と前記胴部との間に設けられた羽根とで構成されており、血液は前記外殻と前記胴部との間を流れることを特徴とする。
【0017】
この発明に係る人工心臓ポンプは、胴部と、その周囲に配置される外殻と、外殻と胴部との間に配置される羽根とで構成されるインペラを用い、インペラの外殻に永久磁石を備えるようにしてある。このような構成によって、ステータを構成する電磁石との距離を小さくできるので、距離の自乗に反比例する磁気的反発力を有効に利用できる。また、インペラとケーシングとが接近した場合には、磁気的反発力が距離の自乗に反比例して大きくなるので、インペラをケーシング内の中央付近に保持して安定した運転ができる。
【0018】
また、請求項3に係る人工心臓ポンプは、上記人工心臓ポンプにおいて、一対の上記ステータは上記インペラの回転軸を中心軸とするコーン状の構成であり、上記ステータと対向するように上記永久磁石を配置した上記インペラを一対の上記ステータによって挟み込むように構成し、上記ステータと上記永久磁石との間に生ずる反発力が上記インペラを挟み込むように作用するようにしたことを特徴とする。
【0019】
この発明に係る人工心臓ポンプでは、コーン状に配置されたそれぞれ一対のステータと永久磁石とからなりそれぞれの磁気的反発力が、インペラをその回転軸の両方向から挟み込むように作用する。この反発力、またはこれらの反発力の成分は、インペラの周方向および軸方向の変位に対して前記インペラを元の位置に押し戻す復元力として作用する。したがって、インペラの回転中に周方向または軸方向へ移動(変位、偏心)した場合にも、この復元力によってインペラを所定の位置に押し戻して保持できるので、安定して運転ができる。
【0020】
また、請求項4に係る回転装置は、永久磁石を有するロータと、内部に前記ロータを収容するとともに前記ロータの周囲に一対のコーン状の電磁石を配置して、回転磁界を形成するステータを構成し、前記ロータを回転させるケーシングと、前記ロータの回転角度を検出する回転角度検出手段と、この回転角度検出手段からの検出信号によって、前記ケーシングに備えられた前記電磁石を励磁する制御手段とを備え、当該制御手段によって、前記ステータに対する前記ロータの相対的な磁気回転角が、前記ロータの回転トルクが最大となる位置から所定の進み角φとなったときに、当該進み角φを中心とした所定の範囲で前記電磁石を励磁することを特徴とする。
【0021】
この発明に係る回転装置では、回転角度検出手段からのロータの位置情報に基づいて、インペラの磁界に対して所定の進み角φだけ進めた位置を中心として、ステータを構成する電磁石を所定の磁気回転角度だけ励磁する。そして、ロータに備えられた永久磁石に作用する磁気的反発力の発生割合が、磁気的吸着力の発生割合よりも大きくなるように制御して運転する。これにより、ロータに反発力を作用させて、ロータをその回転中にケーシングの内壁から常時磁気浮上させ得るので、ロータを浮上させるための磁気軸受けその他の浮上手段が不要となる。その結果、回転装置を軽量化し、また小型化できる。なお、この発明が好適に適用できる回転装置には、ハードディスクドライブやターボ分子ポンプ、遠心分離機、水中ポンプ等がある。
【0022】
また、請求項5に係る回転装置は、永久磁石を有するロータと、内部に前記ロータを収容するとともに前記ロータの周囲に一対のコーン状の電磁石を配置して、回転磁界を形成するステータを構成し、前記ロータを回転させるケーシングと、前記ロータの回転角度を検出する回転角度検出手段と、この回転角度検出手段からの検出信号によって、前記ケーシングに備えられた前記電磁石を励磁する制御手段とを備え、当該制御手段によって、前記ロータの永久磁石磁極が前記電磁石の磁極と重なった時に前記電磁石の励磁を開始し、励磁時間をロータの回転速度に応じて増減することによりロータ回転速度を制御することを特徴とする。
【0023】
この発明に係る回転装置では、回転角度検出手段からのロータの位置情報に基づいて、前記ロータの永久磁石磁極が前記電磁石磁極と重なった時に前記電磁石の励磁を開始し、励磁時間をロータの回転速度に応じて増減することによりロータ回転速度を制御する。これにより、ロータに反発力を作用させて、ロータをその回転中にケーシングの内壁から常時磁気浮上させるとともに、回転装置の回転速度を自由に制御可能であり、しかもロータを浮上させるための磁気軸受けその他の浮上手段が不要となる。その結果、回転装置を軽量化し、また小型化できる。ここで、ロータの永久磁石磁極がステータの電磁石磁極と重なった時とは、磁気浮力が最大となると予想される時で、かつ回転トルクが0の時をいう。また、この発明が好適に適用できる回転装置には、ハードディスクドライブやターボ分子ポンプ、遠心分離機、水中ポンプ等がある。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。また、次の説明においては人工心臓ポンプを例としてこの発明を説明するが、本発明の適用範囲はこれに限られるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係る人工心臓ポンプを示す側面断面図である。この人工心臓ポンプ1は、ロータであるインペラ20の磁気回転角情報に基づいて、ステータを構成するケーシング10の電磁石113への励磁タイミングを制御することにより、インペラ20を回転させつつケーシング10の内壁から浮上させる点に特徴がある。なお、次の説明においては、上記従来の人工心臓ポンプ100と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0026】
この人工心臓ポンプ1は両吸込み型の遠心ポンプであり、ケーシング10と、このケーシング10内に収容されるインペラ20とを備えている。ケーシング10は磁極とコイルとで構成された一対の電磁石113を有し、電動機のステータとして機能する。また、インペラ20は一対の永久磁石123を有しており、電動機のロータとして機能する。これにより、人工心臓ポンプ1は、電磁石113が発生する回転磁界によってケーシング10内でインペラ20を回転させ、吸込口111から吸い込んだ血液を吐出口112から送り出して人体内に循環させることができる。また、ケーシング10の永久磁石123と対向する位置には、インペラ20の回転位置を検出するための回転角度検出手段である検出部34が設けられている。次に、インペラ20について詳細に説明する。
【0027】
図2は、図1に示したインペラを示す斜視図である。また、図3は、図2に記載したインペラを示す側面断面図である。このインペラ20は、1対のコーン状外殻41を備えており、この外殻41内には算盤玉状の胴部121が設けられている。胴部121と外殻41との間には、血液を送り出すための羽根122が複数設けられている。
【0028】
永久磁石123は羽根122の外周に設置した外殻41内に埋設されている。この例においては、片側のコーン部につき4個の永久磁石123が配置される。インペラ20全体では8個の永久磁石123が使用される。なお、永久磁石123の個数は8個に限定されるものではなく、仕様に応じて適宜変更できる。ケーシング10に備えられた電磁石113の磁極数も同様である。このインペラ20において、血液は専ら胴部121と外殻41との間を通り、遠心力を受けてケーシング10のチャンバ116内に吐出される。
【0029】
このような構成によって、永久磁石123は、ステータを構成する電磁石113の間近に位置するため、永久磁石123と電磁石113との距離を小さくできる。磁気力は距離の自乗に反比例するので、このような構成によれば、永久磁石123と電磁石113との間に発生する磁気反発力をより有効に利用できる。その結果、人工心臓ポンプ1をより小型化かつ軽量化でき、また、電磁石113の励磁電流を節約できる利点がある。また、インペラ20の位置が回転軸心125から変位して、永久磁石123と電磁石113との距離が小さくなると磁気反発力は距離の自乗に反比例して大きくなるので、インペラ20はケーシング10内の略中心に保持される。
【0030】
また、このインペラ20は、従来の人工心臓ポンプ100に係るインペラ120(図11参照)と異なり、磁気浮上のためのインペラ側永久磁石124を内部に備えていない。そして、これに対応して、ケーシング10も、その壁内に、インペラ20を磁気浮上させるためのコイル115およびケーシング側永久磁石114を備えていない(図1参照)。
【0031】
図4は、図1に記載した人工心臓ポンプの駆動装置を示すブロック図である。駆動回路30は、速度演算部31と、制御部32と、増幅部33と、検出部34とを含んで構成される。この速度演算部31は、検出部34からの信号によりロータ速度を演算し目標速度と比較しその結果を制御部32に渡す。制御手段である制御部32は、まず検出部32からの信号により励磁のタイミングを演算し、次いで速度演算部31よりの指令により消磁タイミングを演算する。増幅部33で制御部32の指令により電磁石113のコイルを順次励磁し回転磁界を発生する。これにより、インペラ20が回転して血液を人体内に送り出す。
【0032】
検出部34は、ケーシング10の内壁に設けられており、インペラ20の回転角を検出して、制御部32および速度演算部31に信号を入力する。制御部32および速度演算部31は電磁石113の励磁および消磁タイミングを増幅部33に対し指令する。なお、検出部34には、例えば、ホール素子、ロータリーエンコ−ダ、レゾルバその他の回転センサが使用できる。
【0033】
この実施の形態において、駆動回路30は、電磁石113の励磁にあたり、制御部32がその励磁タイミングを調整して、インペラ20が回転中にケーシング10の内壁から常時浮上するように制御する。図5は、駆動回路の励磁タイミングを決定する動作を示すフローチャートである。駆動回路30は、励磁タイミングの決定にあたり、まず、検出部34によってインペラ20の回転角を検出し(ステップST1)、これを速度演算部31に入力し、インペラ速度を演算し目標速度と比較し、その結果を制御部32に渡す(ステップST2)。次いで制御部32は検出部34によってインペラ20の磁気回転角が入力されるので、その磁気回転角情報と速度演算部31からの指令に基づいて、制御部32は電磁石113の励磁および消磁タイミングを決定し(ステップST3)、これに基づいて電磁石113に励磁電流を印加する(ステップST4)。
【0034】
次に、本発明に係る人工心臓ポンプ等の回転装置のケーシングに備えられた電磁石113(ステータと称する)とインペラに備えられた永久磁石123(ロータと称する)との関係について説明する。
【0035】
図6は、本発明および従来の人工心臓ポンプ等の回転装置におけるインペラとケーシング(ステータとロータ)との関係を示す説明図である。また、図7は、本発明および従来の人工心臓ポンプ等の回転装置におけるロータとステータとの磁気回転角と回転トルクおよび磁気浮力との関係を示す図である。また、図8は、本発明の人工心臓ポンプ等の回転装置におけるロータとステータとの磁気回転角と回転トルクおよび磁気浮力との関係を示す図である。図6は、上方にロータ側の永久磁石123の配列を、下方にステータ側の電磁石113の配列を、それぞれ磁極を付して表示している。同図において、ステータ側の電磁石113は固定状態にあり、コイルに電流が流れ励磁された状態にある。ロータ側の永久磁石123は、ロータの回転により図中の左から右方向に移動する。
【0036】
図7および図8では、ロータに作用する回転トルクTと、同じくロータに作用する磁気浮力Fとを表している。ここで磁気浮力Fとは、磁気反発力または磁気吸着力であり、正であれば反発力、負であれば吸着力と定義する。横軸はステータ磁界に対するロータ磁界の相対的な磁気回転角θを表しており、ロータに作用する回転トルクTが最大となる磁気回転角θを0度と定義する。この時、磁気浮力Fは0となる。この状態はステータ磁極NとSとの中間にロータ磁極Nが位置するとき(図6の(d)の状態)である。なお回転トルクの大きさは磁気回転角に対し、略正弦波状に変化する。また励磁を開始する磁気回転角度と消磁する磁気回転角度の中心角度を磁気位相φと定義する。磁気位相が負であれば進み位相となり正であれば遅れ位相となる。
【0037】
また磁気浮力Fが最大となるのはステータ磁極とロータ磁極がNとNもしくはSとSが重なった位置にある時である(図6の(a)の状態)。この時回転トルクTは0となる。また、磁気浮力Fが最小(吸着力最大)となるのは、ステータ磁極とロータ磁極がNとSもしくはSとNが重なった位置にあるときである(図6の(a)の状態)。図7中θ1〜θ7で示した磁気回転角は、図6中(a)〜(g)に示したロータとステータとの位置関係にそれぞれ対応する。
【0038】
従来の人工心臓ポンプ100等の回転装置(モータ)においては、基本的に回転トルクが正である時に励磁し、回転トルクが負に切り変わる時、コイルの電流方向を逆として回転トルクを正に変えることでロータを回転させる。すなわち基本的に磁気回転角−90度から磁気回転角0度を経由して90度の間に励磁する(図7参照)。磁気回転角が−90度以下の時と90度以上の時は、コイルの電流方向を逆とし、ロータに正方向の回転トルクが作用するようにする(図8の回転トルク破線表示)。故に従来の回転装置では磁気回転角180度進む毎にコイルの電流方向を逆にすれば連続した回転トルクを得ることができる。
【0039】
例として、励磁電流が、磁気回転角−40度で励磁を開始し、磁気回転角80度で消磁されるものとすると、励磁の中心の磁気回転角は20度となる。すなわち、磁気位相はφ=20度の遅れ位相となる(図7参照)。従来の回転装置ではロータを回転させるために必要なトルク(負荷トルク)と上記回転トルクとの関係は、負荷トルクの方が小さければロータは増速し、その逆に負荷トルクの方が大きければロータは減速する関係となる。ロータが増速すると、励磁のタイミングは遅れ、図7の右方向へずれ、すなわち磁気位相は遅れ方向となり、回転トルクは減少し、負荷トルクと同じ値となったところで増速は止まり、励磁周波数で回転することとなる。
【0040】
逆に負荷トルクの方が大きいと、励磁のタイミングは早まり、図7の右方向へずれ、すなわち磁気位相は進み方向となり、回転トルクは増加し、負荷トルクと同じ値となったところで減速は止まり、励磁周波数で回転することとなる。しかし負荷トルクがさらに大きくなると、磁気位相の進みはさらに大きくなり、磁気位相が0となる。こうなると回転トルクはそれ以上大きくなることはないので、ロータの回転速度を維持できなくなり、脱調状態となり回転装置としての機能を喪失することとなる。上記を避けるため回転トルクは余裕のある値とし通常運転中は遅れ位相にて運転する必要がある。
【0041】
磁気浮力Fについては磁気回転角−90度の時最大となり、磁気回転角0度の時0となり、磁気回転角90度の時最小(吸着力最大)となり略正弦波状に変化する。従来の回転装置の場合には、回転トルクのみロータに作用すればよく、磁気浮力の発生は無視され、磁気浮力が平均して正の値となるか負の値となるかは制御対象外であるが、先述の如く安定運転のため遅れ位相で運転されるので磁気浮力は負の値となって、平均すると磁気吸着力が勝った運転となる。
【0042】
本発明に係る人工心臓ポンプ等の回転装置のケーシングに備えられた電磁石113(ステータと称する)とインペラに備えられた永久磁石123(ロータと称する)との関係について、図7を用いて説明する。本発明においては、正方向の回転トルクTと正の磁気浮力Fとの双方が必要であり、ステータとロータとの磁気的反発力が最大となる回転角−90度で励磁を開始し、ステータとロータとの磁気的吸着力が最大となる回転角0度で消磁する。すなわち、ステータに対するロータ(インペラ)の相対的な磁気回転角が、ロータの回転トルクが最大となる位置から所定の進み角φとなったときに、当該進み角φを中心とした所定の範囲で前記電磁石を励磁して、消磁する。この状態を示すのが、図6の(a)、(b)、(c)および(d)である。次いで磁気浮力Fが正に切り替わる回転角90度まで消磁状態を続ければ、負の回転トルクTおよび負の磁気浮力Fを発生しないことを条件に最大の回転トルクと最大の磁気浮力を得ることが出来、無駄のない運転が可能となる。
【0043】
回転トルクT、磁気浮力Fとも、常に正の値とするのが上記条件であるが、ロータの回転速度は速く、サイクル中に負の値が含まれても、磁気浮力Fが平均して正でその積算値がロータの仕様にマッチすればよい。したがって、回転角−120度前後で励磁を開始し、回転角が30度前後にて消磁する方式を採用してもかまわない。このようにすれば、より大きな磁気浮力と回転トルクを得ることが出来るので、更なる回転装置の小型化を図ることが出来る。また、図8に示すように、回転角−70度前後で励磁を開始し、回転角が−20度前後にて消磁する方式を採用してもよい。上記いずれの場合においても、磁気位相はφ=−45度の進み位相となる。
【0044】
図9は、本発明の実施の形態1の変形例に係る人工心臓ポンプのインペラとケーシングとの関係を示す説明図である。同図に示すように、角度90度毎に4個配置されるロータ(インペラ20)側の永久磁石123に対し、ステータ(ケーシング10)側の電磁石113の磁極をその倍の8個設けた構成である。この構成の場合も、それぞれの電磁石113の磁極を励磁/消磁するタイミングは実施例1と全く同じとして良い。すなわち追加された磁極の励磁/消磁タイミングを元の磁極に対し磁気回転角で90度進ませるかもしくは遅らせれば良いことになる。
【0045】
このように、ステータ側の電磁石113を細分化してロータ側の電磁石113よりも多く設置したので、より滑らかにロータを回転させることができ、また電波障害も抑制できる。さらに、一つの電磁石113が消磁している間であっても、隣り合う電磁石113は励磁されているため、電磁石113が4個の場合と比較して、励磁時間が2倍となり回転トルクが増加し、結果として回転装置の小型化が可能となる。なお、電磁石113の磁極の個数は上記説明で開示した個数に限定されるものではなく、人工心臓ポンプ1の仕様に応じて適宜変更できる。インペラ(ロータ)20が備える永久磁石123についても同様である。
【0046】
この実施の形態1に係る人工心臓ポンプ1によれば、磁気軸受け117を構成するコイル115およびケーシング側永久磁石114、並びにインペラ側永久磁石124(図13参照)を省略できるので、軽量化でき、また、小型化できる。特に、従来の人工心臓ポンプ100では、大型かつ重量があるため、体格の小さい人への埋設は特に困難であるという問題点があったが、この人工心臓ポンプ1では、軽量かつ小型化が可能となるので、このような問題を解決できる。また、コイル115が不要になるので、その分消費電力を小さくでき、人工心臓ポンプ1の省エネルギー化に寄与する。また、インペラ20は常時浮上して回転するので、血栓の発生を有効に抑止できる。
【0047】
また、この実施の形態によれば、インペラ20の形状を、算盤玉状とし(図2参照)、このインペラ20の両円錐部分を左右方向から挟み込む方向に、電磁石113と永久磁石123との反発力を作用させたので、インペラ20をケーシング10内壁から完全に浮上させ得る。これにより、インペラ20とケーシング10内壁との接触部分を無くして血栓の発生を有効に抑制できる。
【0048】
また、このような構成によれば、インペラ20が、その回転時に起こる軸方向移動、偏心等に対し永久磁石123がインペラ20に及ぼす反発力は、ケーシング10内壁に近づいた側では増大し、内壁から遠ざかった側では減少する。そして、この反発力は、距離の自乗に反比例するので、インペラ20がその径方向に変位した場合でも、インペラ20を定位置に押し戻す方向に作用する。これにより、インペラ20を定位置で浮上させたまま安定して保持できる。
【0049】
さらに、インペラ20の外殻41に永久磁石123を埋め込んでいるので、ケーシング10側に設けられた電磁石113とインペラ20側の永久磁石123との距離を小さくできる。これによって、磁気的反発力を有効に利用できるので、より少ない電力でインペラ20を回転させることができる。また、インペラ20とケーシング10とが接近した場合には、磁気的反発力が距離の自乗に反比例して大きくなるので、インペラ20をケーシング10内の中央付近に保持して安定した運転ができる。
【0050】
また、インペラ20の回転角を駆動回路30の検出部34で検出し、これに基づきステータの励磁タイミングを決定するので、インペラ20の脱調を考慮する必要がない。すなわち、励磁時間が短く回転トルクに対し負荷トルクが低ければインペラ20は減速し、その逆の場合にはインペラ20が増速することになるだけである。これによって、安定してインペラ20を回転させ、また、ステータを構成する電磁石113の焼損を防止して安定した運転ができる。
【0051】
なお、この実施の形態では、上記ステータおよびロータからなる回転装置を、人工心臓ポンプを一例として説明したが、この発明の適用対象はこれに限られない。例えば、本発明は、ハードディスクドライブ、ターボ分子ポンプ、遠心分離器等その他の回転装置に適用することができる。この本発明に係る回転装置は軸受を必要としないので、ロータの高速回転が可能であるとともに、軸受け損失がなく、騒音が小さい、軽量化および小型化が可能である等の利点があり、幅広い用途に適するものである。
【0052】
(実施の形態2)
本発明第2の実施の形態について説明する。本発明の構成要素は実施の形態1と変わることがないので、その説明は省略する。図10は、本発明の実施の形態2に係る励磁タイミングを説明する図である。この図では、ロータに作用する回転トルクTと、同じくロータに作用する磁気浮力Fとを表している。また、図11は、実施の形態2に係る駆動回路の励磁タイミングを決定する動作を示すフローチャートである。まず、ロータの回転角を検出し(ステップST201)、ロータの永久磁石123の磁極がステータの磁極と重なった時に電磁石113の励磁を開始する(ステップST202)。ここで、ロータの永久磁石123の磁極がステータの磁極と重なった時とは、磁気浮力Fが最大となると予想される時で、かつ回転トルクTが0の時である。次に、ロータの回転速度に応じて励磁時間を演算し(ステップST203)、この演算結果に基づいて励磁時間を制御する(ステップST204)。以上の手順によりロータ回転速度を制御する。この方法の特徴は励磁のタイミング制御が単純化され信頼性が向上することにある。
【0053】
これにより、ロータに反発力を作用させて、ロータをその回転中にケーシングの内壁から常時磁気浮上させるとともに、回転装置の回転速度を自由に制御可能であり、しかもロータを浮上させるための磁気軸受けその他の浮上手段が不要となる。その結果、回転装置を軽量化し、また小型化できる。なお、この発明が好適に適用できる回転装置には、ハードディスクドライブやターボ分子ポンプ、遠心分離機、水中ポンプ等がある。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る人工心臓ポンプ(請求項1)では、インペラの回転中においてインペラに作用する磁気的反発力を磁気的吸着力よりも大きくして、インペラをその回転中にケーシングの内壁から常時磁気浮上させるようにした。これによって、従来の磁気軸受けその他のインペラ浮上手段を省略できるので、人工心臓ポンプを軽量化し、小型化することもできる。また、インペラは常時浮上して回転しているので、血栓の発生を有効に抑止できる。
【0055】
また、この発明に係る人工心臓ポンプ(請求項2)では、インペラの外殻に永久磁石を埋設した。このような構成によって、永久磁石とステータを構成する電磁石との距離を小さくできるので、磁気的反発力を有効に利用して、より少ない電力でインペラを回転させることができる。また、インペラとケーシングとが接近した場合には、距離の自乗に反比例して大きくなる磁気的反発力によって、インペラをケーシング内の中央付近に保持できるので、安定した運転ができる。
【0056】
また、この発明に係る人工心臓ポンプ(請求項3)では、二組のステータと永久磁石とが形成する磁気的反発力同士が、インペラをその回転軸の両方向から挟み込むように作用するようにした。このため、インペラの回転中にスラスト力が発生し、インペラが回転軸方向に変位した場合にも、この復元力によってインペラを所定の位置に押し戻して保持できるので、安定して運転ができる。
【0057】
また、この発明に係る回転装置(請求項4)では、ロータの回転中においてロータに作用する磁気的反発力を磁気的吸着力よりも大きくして、ロータをその回転中にケーシングの内壁から常時磁気浮上させるようにした。これによって、従来の磁気軸受けその他のロータ浮上手段を省略できるので、回転装置自体を軽量化し、また小型化できる。
【0058】
また、この発明に係る回転装置(請求項5)では前記ロータの永久磁石磁極が前記電磁石の磁極と重なった時に前記電磁石の励磁を開始し、励磁時間をロータの回転速度に応じて増減することによりロータ回転速度を制御する様にした。これにより、制御回路が単純化されたことと、従来の回転装置の如く負荷トルク過大による脱調現象を起こすことなく高い信頼性を持たせることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る人工心臓ポンプを示す側面断面図である。
【図2】図1に示したインペラを示す斜視図である。
【図3】図2に記載したインペラを示す側面断面図である。
【図4】図1に記載した人工心臓ポンプの駆動装置を示すブロック図である。
【図5】駆動回路の励磁タイミングを決定する動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明および従来の人工心臓ポンプ等の回転装置におけるインペラとケーシング(ステータとロータ)との関係を示す説明図である。
【図7】本発明および従来の人工心臓ポンプ等の回転装置におけるロータとステータとの磁気回転角と回転トルクおよび磁気浮力との関係を示す図である。
【図8】本発明の人工心臓ポンプ等の回転装置におけるロータとステータとの磁気回転角と回転トルクおよび磁気浮力との関係を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態1の変形例に係る人工心臓ポンプのインペラとケーシングとの関係を示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る励磁タイミングを説明する図である。
【図11】実施の形態2に係る駆動回路の励磁タイミングを決定する動作を示すフローチャートである。
【図12】従来の人工心臓ポンプの一例を示す斜視図である。
【図13】図12に記載した従来の人工心臓ポンプを示す側面断面図である。
【図14】図13に記載した人工心臓ポンプのA−A視断面図である。
【図15】図13に記載した電磁石等の配置構成を平面的に示した断面図である。
【図16】磁気軸受けとインペラ側永久磁石との位置関係を示す概念図である。
【符号の説明】
1、2 人工心臓ポンプ
10 ケーシング
20 インペラ
30 駆動回路
41 外殻
113 電磁石(ステータ)
123 永久磁石(ロータ)
125 回転軸心
Claims (5)
- 永久磁石を有し、且つ回転して血液を送り出すインペラと、内部に前記インペラを収容するとともに前記インペラの周囲に一対のコーン状の電磁石を配置して回転磁界を形成する一対のステータを構成し、前記インペラを回転させるケーシングと、
このケーシングに備えられて前記インペラの回転角度を検出する回転角度検出手段と、
この回転角度検出手段からの検出信号によって、前記ケーシングに備えられた前記電磁石を励磁する制御手段とを備え、
当該制御手段によって、前記ステータに対する前記インペラの相対的な磁気回転角が、前記インペラの回転トルクが最大となる位置から所定の進み角φとなったときに、当該進み角φを中心とした所定の範囲で前記電磁石を励磁することを特徴とする人工心臓ポンプ。 - 上記インペラは、内部に上記永久磁石を配置した外殻と、この外殻内に配置された胴部と、前記外殻と前記胴部との間に設けられた羽根とで構成されており、血液は前記外殻と前記胴部との間を流れることを特徴とする請求項1に記載の人工心臓ポンプ。
- 一対の上記ステータは上記インペラの回転軸を中心軸とするコーン状の構成であり、上記ステータと対向するように上記永久磁石を配置した上記インペラを一対の上記ステータによって挟み込むように構成し、上記ステータと上記永久磁石との間に生ずる反発力が上記インペラを挟み込むように作用するようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の人工心臓ポンプ。
- 永久磁石を有するロータと、
内部に前記ロータを収容するとともに前記ロータの周囲に一対のコーン状の電磁石を配置して、回転磁界を形成するステータを構成し、前記ロータを回転させるケーシングと、
前記ロータの回転角度を検出する回転角度検出手段と、
この回転角度検出手段からの検出信号によって、前記ケーシングに備えられた前記電磁石を励磁する制御手段とを備え、
当該制御手段によって、前記ステータに対する前記ロータの相対的な磁気回転角が、前記ロータの回転トルクが最大となる位置から所定の進み角φとなったときに、当該進み角φを中心とした所定の範囲で前記電磁石を励磁することを特徴とする回転装置。 - 永久磁石を有するロータと、
内部に前記ロータを収容するとともに前記ロータの周囲に一対のコーン状の電磁石を配置して、回転磁界を形成するステータを構成し、前記ロータを回転させるケーシングと、
前記ロータの回転角度を検出する回転角度検出手段と、
この回転角度検出手段からの検出信号によって、前記ケーシングに備えられた前記電磁石を励磁する制御手段とを備え、
当該制御手段によって、前記ロータの永久磁石磁極が前記電磁石の磁極と重なった時に前記電磁石の励磁を開始し、励磁時間をロータの回転速度に応じて増減することによりロータ回転速度を制御することを特徴とする回転装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002251906A JP2004089289A (ja) | 2002-08-29 | 2002-08-29 | 人工心臓ポンプおよび回転装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002251906A JP2004089289A (ja) | 2002-08-29 | 2002-08-29 | 人工心臓ポンプおよび回転装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004089289A true JP2004089289A (ja) | 2004-03-25 |
Family
ID=32058361
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002251906A Withdrawn JP2004089289A (ja) | 2002-08-29 | 2002-08-29 | 人工心臓ポンプおよび回転装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004089289A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114306922A (zh) * | 2021-12-25 | 2022-04-12 | 上海炫脉医疗科技有限公司 | 一种磁控式心脏辅助系统 |
-
2002
- 2002-08-29 JP JP2002251906A patent/JP2004089289A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114306922A (zh) * | 2021-12-25 | 2022-04-12 | 上海炫脉医疗科技有限公司 | 一种磁控式心脏辅助系统 |
CN114306922B (zh) * | 2021-12-25 | 2023-08-25 | 上海炫脉医疗科技有限公司 | 一种磁控式心脏辅助系统 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4472610B2 (ja) | 遠心式血液ポンプ装置 | |
US9638202B2 (en) | Centrifugal pump apparatus | |
US9366261B2 (en) | Centrifugal pump device | |
EP2461465B1 (en) | Rotation drive device and centrifugal pump device | |
US7470246B2 (en) | Centrifugal blood pump apparatus | |
US6394769B1 (en) | Pump having a magnetically suspended rotor with one active control axis | |
WO2011102176A1 (ja) | 遠心式ポンプ装置 | |
KR20010090858A (ko) | 혈액 펌프용 능동 자기 베어링 | |
US7847453B2 (en) | Bearingless step motor | |
JP2009273214A (ja) | ベアリングレスモータ及び該ベアリングレスモータを搭載した人工心臓、血液ポンプ、人工心肺、ポンプ、ファン、ブロワ、コンプレッサ、アクチュエータ、リアクションホイール、フライホイール、揺動ステージ | |
CN201754550U (zh) | 人工心脏用永磁轴承双定子盘式无刷直流电动机 | |
JP4320409B2 (ja) | 磁気軸支電気駆動装置 | |
JP3820479B2 (ja) | フライホイール装置 | |
US6700259B1 (en) | Magnetic repulsion-actuated magnetic bearing | |
JP2004089289A (ja) | 人工心臓ポンプおよび回転装置 | |
JP7052920B2 (ja) | 真空ポンプ | |
JPH10288191A (ja) | ポンプ | |
JPH08298745A (ja) | フライホイール装置 | |
JP2002130177A (ja) | 磁気浮上型ポンプ | |
JP5378060B2 (ja) | 遠心式ポンプ装置 | |
JPH10299772A (ja) | 軸受装置 | |
Sugimoto et al. | Design of a novel disk-shaped single-drive bearingless motor with high torque density | |
JP2002252957A (ja) | コア付ブラシレスモータ | |
JPH0488207A (ja) | 高速回転装置の軸受装置 | |
JP2001123980A (ja) | ポンプ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20051101 |