JP2004087968A - 電波吸収部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重ねた2枚の可撓性シートの外周縁を取り囲む経路aおよび該シート面を横切る経路bに沿って、該シート1、2同士を結合する縫製4または接着を施し、それによって可撓性シート間に2以上の部屋を形成する。各部屋には電波吸収体3を収容し電波吸収部材とする。電波吸収体3としては、カーボンで被覆された複数種類の太さの極性ポリマーからなる繊維を、各種繊維が少なくとも5重量%含有されるように互いに絡ませると共に互いに結合させて形成されたマット状繊維集合体からなるものを用いる。該マット状繊維集合体の繊維密度は、厚さ方向に変化させる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電波吸収部材に関するものであり、とりわけ、物体の表面が筒状のように湾曲していても、これを好適に覆うことができるシート状の電波吸収部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話やパソコンなどの電子情報機器の目覚しい普及や、通信技術の多様化により、不要電波の抑制が社会生活上重要な問題となっている。
例えば、特定の電波発信源から受信アンテナへ直接的に入射する電波だけを取り込み、他の電波発信源から発せられアンテナ周囲の建築物壁面などに反射して入射しようとする不要電波は排除したい場合がある。このような場合、反射面となる建築物壁面を電波吸収体で覆うことによって、その部分で不要電波を吸収し、受信アンテナへの入射を低減させるという手法がとられる。
【0003】
電波吸収体としては、従来より種々のものが提案されており、例えば、発泡ウレタンにカーボンを含有させたピラミッド形状のもの、フェライトタイル焼結型のもの、フェライト粉末あるいはカーボン粉末を含有するゴムまたは塗料などの薄型のもの、導電性繊維を用いた織布または不織布などが挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、壁面に施工するために提供されている従来の電波吸収体は、いずれも、施工に手間がかかるという問題や、電波吸収体を施工した表層構造そのものが大掛かりになるという問題があった。
【0005】
例えば、シート状を呈し、接着剤を介して壁面に貼り付けるタイプの電波吸収体では、壁面への接着剤の全面塗布に手間がかかる。その上、接着状態の経時変化による剥がれが心配され、落下防止のために、さらに壁面に対してネジやアンカーなどを打ち込む必要がある。
また、前記シート状のものより比較的小さいパネルタイプの電波吸収体では、パネルを取り付ける下地を壁面上に組み上げる必要があるので、施工に手間がかかり、かつ、電波吸収に係る表層構造が大掛かりになる。また、曲面に沿った装着が困難という問題もある。
【0006】
本発明の課題は、上記問題を解決し、電波吸収性を付与すべき壁面が曲面であっても、取り付けが容易かつ良好に配置でき、しかも運搬性、取り扱い性に優れた電波吸収部材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を検討した結果、先ず、図4(a)、(b)に示すように、電波吸収体3の表面を柔軟なシート状素材11、12によって被覆し、あたかもマットレスや座布団のようなクッション状の電波吸収部材を製作するに至った。このクッション状の電波吸収部材の柔軟なクッション性によって、施工対象面が曲面であっても、貫通孔hを設け紐等で結びつけることによって曲面に沿わせながら容易にかつ良好に配置することができるようになった。
しかしながら、その実際の取り扱い性、施工性をより詳細に検討したところ、例えば、施工対象面が大面積であるような場合には、未だ改善すべき問題が生じることがわかった。
【0008】
例えば、上記クッション状の電波吸収部材を大面積の壁面に配置する場合、主な配置態様としては、▲1▼比較的小面積の該電波吸収部材を製作し多数個並べて配置する態様、▲2▼比較的大面積の該電波吸収部材を製作し少数個並べて配置する態様が考えられる。しかし、前記▲1▼の配置態様では、電波吸収部材をタイルのように多数並べて配置していくために、敷設に時間がかかる。一方、上記▲2▼の配置態様では、電波吸収部材が重く折り曲げ難い大型のマットレスのようになるために、運搬や取り扱いが困難となる。
【0009】
上記問題点を改善すべく、本発明者等は、クッション状の電波吸収部材を比較的大面積とすると共に、該部材に、刺子状またはキルティング状の構造を付与することによって、部材全体をロール状に巻き取ることが容易になり、運搬性や取り扱い性を改善し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の電波吸収部材は、次の特徴を有するものである。
【0010】
(1)2枚の可撓性シートが重ね合わせられ、少なくとも一方のシートは電波透過性を有し、該2枚の可撓性シートの外周縁を取り囲む経路および該シート面を横切る経路に沿って、該2枚の可撓性シート同士を結合する縫製または接着が施され、それによって前記2枚の可撓性シートの間には2以上の部屋が形成されており、それぞれの部屋には下記(A)の電波吸収体が収容され、該電波吸収体を構成するマット状繊維集合体が、電波透過性を有するシート側から他方のシート側に向かって繊維密度が順次高くなるように変化していることを特徴とする、電波吸収部材。
【0011】
(A)カーボンで被覆された複数種類の太さの極性ポリマーからなる繊維を、各種繊維が少なくとも5重量%含有されるように互いに絡ませると共に互いに結合させて形成されたマット状繊維集合体からなる電波吸収体であって、該繊維集合体の繊維密度がその厚さ方向に変化している、電波吸収体。
【0012】
(2)当該電波吸収部材の一方のシート面を見た時の上記部屋の形状が方形であって、該方形の寸法が200mm×200mm〜500mm×500mmである上記(1)記載の電波吸収部材。
【0013】
(3)当該電波吸収部材の外周縁には、当該電波吸収部材を配置するための紐を通すための貫通孔が設けられている、上記(1)記載の電波吸収部材。
【0014】
(4)上記貫通孔が設けられる部位を含む外周縁の一部または全周が、可撓性シート同士が直接密着してなる耳部となっている、上記(3)記載の電波吸収部材。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明による電波吸収部材は、全体として柔軟なクッション性を有しかつシート状を呈する。以下、当該電波吸収部材の両面のうち、電波を入射させるべき面を「電波入射面」と呼び、その反対側の面を「裏面」と呼んで、当該部材を説明する。
図1は、当該電波吸収部材の構造の一例を示す模式図であって、図1(a)は電波入射面を見た図、図1(b)は断面の一部を拡大した図である。これらの図に示すとおり、当該電波吸収部材は、2枚の可撓性シート1、2が重ね合わせられ、その間にクッションシート状である上記(A)の電波吸収体3が収容されており、これによって全体が柔軟なクッション性を有するシート状構造体となっている。
【0016】
該可撓性シート1、2のうち、少なくとも一方のシートは、電波入射面用として電波透過性を有するものが用いられている。該可撓性シート1、2の外周縁を取り囲む経路(例えば、図1(a)に示す外周経路a)および該シート面を横切る経路(例えば、図1(a)に示す経路b)に沿って、該2枚の可撓性シート同士を結合する縫製(後述のように接合であってもよい)4が施されており、それによって前記2枚の可撓性シートの間には2以上の部屋が形成されている。以下、前記部屋の形成手段として縫製を用いた場合を挙げて説明する。
【0017】
図1の例では、可撓性シート1、2の間の空間は、刺し縫いによる縫製4によってキルティング構造とされ、ハッチングで示す領域を1つの部屋として、これが6つ並ぶように仕切られているが、部屋の数は説明のための一例である。それぞれの部屋には、図1(b)に示すように、上記(A)の電波吸収体3が収容されている。各部屋では、電波吸収体3を構成するマット状繊維集合体が、電波透過性を有するシート側から他方のシート側に向かって(即ち、電波入射面側から他方の側に向かって)繊維密度が順次高くなるように配置されている。
【0018】
上記構成とすることによって、上記(A)の電波吸収体の特徴であるマット状繊維集合体としての柔軟な性質を損なうことなく、軽く、クッション性が高く、しかも容易に壁面に取り付けることができる電波吸収部材が得られる。
また、刺子状の縫製構造を与えたことによって、その部分がさらに折れ曲がり易くなり、部材全体をロール状に巻き取ることが容易になり、運搬性や取り扱い性が向上する。
【0019】
本発明では、従来用いられている種々の電波吸収体の中から、上記(A)の電波吸収体を選択して用いることが、柔軟性を達成する点で重要である。
上記(A)の電波吸収体は、図2にその組織を拡大して示すとおり、カーボン32で被覆された複数種類の太さの極性ポリマーからなる繊維31を互いに絡ませると共に互いに結合させて形成されたマット状繊維集合体である。それぞれの太さの繊維は、いずれも5重量%以上含有されており、それによって電波吸収帯域が広くなっており、かつ、各帯域における電波吸収率が良好となっている。また、図1(b)に示すとおり(図4(b)と同様)、マット状繊維集合体の繊維密度が厚さ方向に変化するように、可撓性シート1、2の間に電波吸収体3を配置している。図1(b)では、ハッチングによる表現の関係上、数段階の密度変化として描いているが、変化の段階数に制限は無く、また、変化は連続的(無段階的)であってもよく、最も効果的に電波が吸収されるように繊維密度を変化させればよい。
【0020】
上記マット状繊維集合体の繊維密度が厚さ方向に変化していることによって、電波入射面における電波の反射が少なくなり、電波を電波吸収体の内部へ取り込み易くなると共に、その内部において電波を良好に吸収することができる。この作用効果によって、他の電波吸収体では裏面に反射板(金属板)の装着が必要であるのに対して、上記(A)の電波吸収体は裏面の反射板を必要とせず、柔軟でクッション性の高いマット状繊維集合体の性質そのままを生かして用いることができる。
【0021】
本発明に用いる上記(A)の電波吸収体については、特公平6−32417号公報に詳細に説明されており、繊維の材料、太さ、カーボン被覆、製造方法などを参照してよい。
【0022】
当該電波吸収部材は、全体としてクッションシート状を呈するものであって、そのシートの外形や面積に限定はないが、本発明が大面積の施工対象面に取り付ける際の取り扱い性を問題にしている点から、当該電波吸収部材のシート面が比較的大面積である方が、有用性は顕著に現われる。当該部材のシート全体としての外形は、裁断や加工が容易である点からは方形(正方形、長方形)が好ましい形状であるが、施工対象面の形状など、用途に応じて、三角形、多角形、円形など、任意の形状としてもよい。
【0023】
当該電波吸収部材のシート全体の外形や寸法には制限は無く、例えば、(500mm×500mm)〜(2000mm×2000mm)程度の方形のシートとしてもよく、また、幅が300mm〜1000mm程度で、長さ方向については充分に長いものを巻き取った状態として提供してもよい。
また、当該電波吸収部材のトータルの厚さにも制限は無いが、上記(A)の通常の厚さを鑑みれば、20mm〜50mm程度が好ましい厚さである。
【0024】
可撓性シートは、上記(A)の電波吸収体の柔軟性・クッション性を損なわない程度の可撓性を有するものであればよい。さらに、防水性、気密性など、所望の性質を有するものを用いれば、水、塵埃、排気ガスなどの異物が電波吸収体内に入り込むことを抑制でき、それによって電波吸収能の劣化を抑制することもできる。
電波吸収体を挟む2枚の可撓性シートのうち、少なくとも一方のシートは電波透過性を有するものとする。また、両方のシートを電波透過性を有するものとしてもよいし、裏面側のシートとして金属箔層等を含んだ柔軟なラミネートシートを用いて、電波入射面と背面とを明確に区別してもよい。裏面側のシートとして電波透過性を有しない材料を用いる場合には、表裏の区別がつき易いように色分けをしてもよい。
電波入射面に用いるシートは、電波をできる限りそのシート表面(空気との界面)で反射させないことが重要であって、該可撓性シートは、電波を通過させるだけでなく、電波を吸収する性質を有していてもよい。
【0025】
可撓性シートの材料は、どのようなものであってもよいが、電波透過性を有し、かつ、耐水性、耐候性、機械的強度、加工性等が良好なものとして、有機高分子材料が挙げられる。有機高分子材料の中でも好ましいものとしては、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、あるいはこれらをガラス繊維で補強したFRP(繊維強化プラスチック)などが挙げられる。
また、上記特性を低下させない範囲で、有機高分子材料に難燃剤などを添加してもよい。
【0026】
可撓性シートの組織は、繊維からなる織物(編物)であっても、押し出しなどによって得られる一枚の膜状物であってもよく、織物(編物)にプラスチック材料を含浸・コーティングしたものであってもよい。これらは、気密性などの要求に応じて適宜決定すればよい。
【0027】
可撓性シートの厚さは、可撓性、機械的強度、重量、電波入射面側に用いる場合の電波透過性などに応じて決定してよいが、通常、概して0.2mm〜2.0mm程度が好ましい厚さの範囲である。
【0028】
2枚の可撓性シートの厚さは、図1(b)に示すように、表裏同等の厚さとし、縫製によって生じる凹凸の程度を表裏同等としてもよいし、図3(a)に示すように、一方の厚さを他方よりも薄くし、縫製によって薄い方に主に凹凸を生じさせる態様としてもよい。
【0029】
当該電波吸収部材の内部構造としては、図1(b)に示すように、縫製によって形成された個々の部屋に電波吸収体を別個に収容する態様(即ち、縫製部分に電波吸収体が存在しない態様)であっても、図3(b)に示すように、縫製部分6にも可撓性シート間に電波吸収体が存在し、個々の部屋の電波吸収体同士が互いに連通している態様であってもよい。
なかでも、図3(b)に示す態様は、2枚の可撓性シート、電波吸収体を、それぞれ製造目的の大きさのシートとして用意し、(可撓性シート/電波吸収体/可撓性シート)となるように3層に単純に重ね合わせた後、図3(b)に示すように縫製を行うことによって、当該電波吸収部材が容易に得られるので、好ましい構造である。
【0030】
縫製によって形成される各部屋の形状(即ち、縫製パターン)は限定されないが、図1(a)に示す、方形の部屋が行列状に並ぶような格子状の縫製パターンの他、三角形の部屋が細密状に並ぶような縫製パターン、その他の形状の部屋が1種類以上繰り返して並ぶような縫製パターン、放射状の縫製パターン、ストライプ状の縫製パターン、またはこれらのパターンが組合わせられた縫製パターンなどが挙げられる。これらの中でも、方形や三角形が並ぶような縫製パターンは、直線的な縫製によってパターン形成でき、かつ、折り曲げの方向性も三方向、四方向と実用的であるので好ましいが、施工対象面の形状など、用途や求められる折り曲げに応じて、種々の縫製パターンを採用すればよい。
縫製にあたっては、縫い目の防水処理を兼ねた、接着剤による目止め処理を行なってもよい。
【0031】
上記部屋の形状を方形とする場合、1つの方形の寸法は200mm×200mm〜500mm×500mm程度が好ましく、これらの範囲内から正方形、長方形を任意に決定してよい。実使用上での折り曲げ性や、電波吸収部分の広さを確保する点を考慮すると、300mm×300mm〜400mm×400mm程度が特に好ましい寸法である。
部屋の形状を方形以外の形状とする場合も、上記方形の場合の寸法を参照して、同等の面積となるような縫製パターンとすればよい。
【0032】
2枚の可撓性シートの間に部屋を形成する手段としては、糸を用いた縫製の他に、図3(a)の部位4aに示すように、糸を用いない接合(例えば、接着剤による接合、熱圧着による接合、超音波による接合、高周波加熱による接合)などが挙げられる。接合は、電波吸収体を2枚の可撓性シート間に挟んでの加工であってもよい。
縫製に用いる糸は、縫製構造自体に耐え得る強度を有し、耐候性や難燃性を有することが好ましく、このような点から、綿糸、ポリエステル、ナイロン、ポリノジックからなる糸が好ましい。
【0033】
壁面への取り付けを容易にするために、当該電波吸収部材には、種々の取り付け用構造をさらに付け加えてよい。具体例として、図1(a)に示すように、当該電波吸収部材の外周縁に、紐等を通すための貫通孔5を設けてもよい。
該貫通孔に紐を通すことによって、円柱の曲面等に沿わせながら容易に縛り付けることができる。貫通孔には、はと目や厚肉化などによる補強を適宜施すことが好ましい。
また、この貫通孔を形成する部位の2枚の可撓性シート同士を直接密着させて、耳部としてもよい。該耳部は、シートの外形からさらに外側へ張り出させて、貫通孔用に充分広い領域を持った取り付け用の耳部としてもよい。該耳部の位置は、外周の一部または全部であってよく、当該電波吸収部材を固定し得るよう適宜決定してよい。
【0034】
当該部材の外周縁全周において可撓性シート同士を直接密着させることによって、内部の電波吸収体を密封することができるが、そのシール構造は、可撓性シート同士の接着・接合によって達成されてもよいし、シール用テープによって端面を覆った構造としてもよい。
【0035】
可撓性シートの表面、特に、電波入射面となる部分には、広告や任意の文字・模様を印刷してもよく、電波吸収を行いながらの表示板として、公・官庁用、民生用に有用なものとなる。
【0036】
当該電波吸収部材は、施工対象面が広い曲面、特に筒状曲面の場合に、紐によって容易に固定し得るので長所が顕著に現われる。例えば、艦船の中には、防衛や保安などを目的として火砲や砲台を備えるものがあり、相手方のレーダーに検知されないように行動しなければならない場合もある。
このような艦船におけるレーダー対策に対しても、本発明の電波吸収部材は特に有用となる。即ち、火砲の本体は筒状曲面であるために、当該部材は紐によって火砲の本体表面に巻き付けて容易に固定でき、また、砲台の曲面に沿わせて、容易に配置できるからである。しかも、可撓性シートによって内部の電波吸収体が保護されているので、海洋上において長期間使用しても、内部の電波吸収体の特性が潮風などによって劣化することが抑制される。
【0037】
【実施例】
本実施例では、表面加工を施したテトロン帆布を用いて、上記(A)の電波吸収体を挟み込み、縫製によって図3(b)に示すキルティング構造を有する電波吸収部材を実際に製作した。
【0038】
上記(A)の電波吸収体は、極性ポリマーよりなる繊維として、線径1000(デニール)のものを70重量%、線径120(デニール)のものを15重量%)、線径50(デニール)〜70(デニール)のものを15重量%の割合で絡ませ、電波吸収体としての比重を電波入射側0.03g/cm3、裏面側0.06g/cm3となるようにマット状繊維集合体を形成し、次に、接着剤をスプレー塗布し繊維同士を接着・固定し、さらに、カーボン塗料をスプレー塗布して形成した。ここで、デニールは、絹糸・ナイロン糸などの太さを表す単位であって、1デニールは、長さ450メートルで質量が0.05グラムのものを示す。
得られた電波吸収体は、長方形の平板状を呈し、厚さ25mm、外形は900mm×1800mmである。
【0039】
可撓性シートは、2枚とも、表面にフッ素防汚加工が施された両面フラットなテトロン帆布(KANBO PRAS社製、商品名;ニュースーパースター2001、防災製品認定番号F05030)であって、厚さ0.46mm、重量550g/m2である。外形は、1000mm×1900mmである。
【0040】
図3(b)に示すように、3層構造(可撓性シート1/電波吸収体3/可撓性シート2)を形成し、ポリエステルからなる太さ1mmの糸によって格子状パターンの縫製を施した。
【0041】
縫製パターンは、一辺300mmの正方形の部屋が仕切られるように、ピッチ300mmの格子状のパターンとし、全周にわたって幅50mmの側縁部を確保した。この縫製パターンによって、一辺300mmの正方形の部屋が3行×6列配置されてなる電波吸収部材を得た。
外周縁のシール構造は、接着性ポリマーを可撓性シート間に挟み、熱溶着させた。
この側縁部に、さらに、四隅および縫製パターンのピッチ300mmに合わせて口径8mmの貫通孔を形成した。
【0042】
この電波吸収部材の取り付け・取り外し作業性、取り付き状態を評価したところ、平面状の壁面に対しては、該壁面に設けたフックに貫通孔を引っ掛けて容易に取り付け・取り外しすることができ、また、円柱状の柱に対しても、ロープを用いて容易に巻き付けることができた。また、壁面の凹凸や、円柱の湾曲に対しても、よく追従させながら接着剤によって取り付けることも可能となった。
この電波吸収部材を円柱に取り付け、アーチ法によって周波数5.8GHzの電波を入射角度30°で入射したところ、電波吸収量は20dB以上であり、良好な電波吸収特性を示すことがわかった。
また、この電波吸収部材は、全体の寸法が比較的大面積(1000mm×1900mm)であるにも関わらず、ロール状に巻きつけることができ、施工現場までの運搬性や保管性、取り扱い性が良好であることが確認できた。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明による電波吸収部材は、電波吸収性を付与すべき壁面が曲面であっても、取り付けが容易かつ良好に配置でき、しかも運搬性、取り扱い性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電波吸収部材の構造の一例を示す模式図である。図1(a)は電波入射面を見た図、図1(b)は、図1(a)のX−X断面の一部を拡大した図である。
【図2】電波吸収体を構成するマット状繊維集合体の組織を拡大して示した模式図である。
【図3】本発明による電波吸収部材の構造の他の例を示す断面図である。
【図4】従来の問題点を解決すべく本発明者等が発明した、クッション状の電波吸収部材(ただし、本発明の電波吸収部材が解決した問題点を有している)の構造を示す図である。図4(a)は、電波吸収部材の板面を見た図であり、図4(b)は、図4(a)のY−Y断面図を示している。
【符号の説明】
1 可撓性シート
2 可撓性シート
3 電波吸収体
4 縫製
Claims (4)
- 2枚の可撓性シートが重ね合わせられ、少なくとも一方のシートは電波透過性を有し、
該2枚の可撓性シートの外周縁を取り囲む経路および該シート面を横切る経路に沿って、該2枚の可撓性シート同士を結合する縫製または接着が施され、それによって前記2枚の可撓性シートの間には2以上の部屋が形成されており、
それぞれの部屋には下記(A)の電波吸収体が収容され、該電波吸収体を構成するマット状繊維集合体が、電波透過性を有するシート側から他方のシート側に向かって繊維密度が順次高くなるように変化していることを特徴とする、電波吸収部材。
(A)カーボンで被覆された複数種類の太さの極性ポリマーからなる繊維を、各種繊維が少なくとも5重量%含有されるように互いに絡ませると共に互いに結合させて形成されたマット状繊維集合体からなる電波吸収体であって、該繊維集合体の繊維密度がその厚さ方向に変化している、電波吸収体。 - 当該電波吸収部材の一方のシート面を見た時の上記部屋の形状が方形であって、該方形の寸法が200mm×200mm〜500mm×500mmである請求項1記載の電波吸収部材。
- 当該電波吸収部材の外周縁には、当該電波吸収部材を配置するための紐を通すための貫通孔が設けられている、請求項1記載の電波吸収部材。
- 上記貫通孔が設けられる部位を含む外周縁の一部または全周が、可撓性シート同士が直接密着してなる耳部となっている、請求項3記載の電波吸収部材。
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