JP2004087198A - 伝送ケーブル及びその製造方法 - Google Patents

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Takashi Ogasawara
小笠原 孝
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Fujikura Ltd
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Abstract

【課題】導電テープ材で横巻きされるときのドレイン線と絶縁線との間の応力により絶縁層が潰れることから生じる対内スキューのバラツキをなくす。
【解決手段】伝送ケーブル1は、信号線3を絶縁層としての例えば発泡絶縁層5で被覆した一対の絶縁線7からなる信号線対に、介在物9を介してドレイン線11が添えられ、その外周に導電テープ材13で横巻きに巻き付けられている。伝送ケーブル1を製造する際に導電テープ材13で一方向に横巻きされるとしても、絶縁線7の発泡絶縁層5とドレイン線11との間にかかる応力が介在物9で確実に分散、緩和、吸収され、発泡絶縁層5のつぶれを抑制できるので、対内スキューのバラツキが少なくなる。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、Infini Band等の通信規格に用いられる高速データ伝送用の例えばメタルケーブルの構造からなる伝送ケーブル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7を参照するに、従来の高速データ伝送用の伝送ケーブル101は、一対の信号線103(導体)がそれぞれ別々に例えば発泡樹脂(PE)などの絶縁材料からなる発泡絶縁層105でシースされて押出されて絶縁線107が構成される。これらの2本の絶縁線107のペア線としての信号線対には、1本もしくは2本のほぼ断面円形状のドレイン線109が添えられて例えばアルミマイラテープ(Al−PETテープ)などの導電テープ材111で横巻きされ被覆されている。
【0003】
この一対の2芯の信号線103に+と−の電位が印加されることにより差動電圧の信号が送られる。つまり、低電圧差動伝送(LVDS)が行われる。この低電圧差動伝送はコモンモードノイズに対して強く、印加電圧も小さくすることが可能である。低電圧差動伝送が行われる際には、両信号線103の伝送特性が等しくされることが重要となるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の伝送ケーブル101においては、伝送ケーブル101を製造する際に導電テープ材111により一対の絶縁線107とドレイン線109とを横巻きでテープ巻きされるときにかかる圧力により、ドレイン線109を介して絶縁線107の発泡絶縁層105が潰されるために誘電率の増大が起こる。したがって、発泡絶縁層105のつぶれ状態が両絶縁線107によって異なる場合、各信号線103を信号が通過するのに要する時間(伝搬遅延時間)に差ができ、所謂対内スキューが生じるという問題点があった。この対内スキューの増大により、受信信号の劣化が生じるのである。
【0005】
より詳しくは、従来の伝送ケーブル101においては、図7に示されているように、各発泡絶縁層105とドレイン線109とが点接触で接触しており、導電テープ材111によって一方向の横巻きで巻き付けられるので、その巻き方向により発泡絶縁層105に対する応力のかかり方が異なるために、ペア線の片方の絶縁線107の発泡絶縁層105とドレイン線109との間の応力が強くなる。その結果、片方の絶縁線107の発泡絶縁層105がつぶれてしまい、誘電率が増大するために対内スキューが増大するという問題点があった。
【0006】
また、上記の伝送ケーブル101は、図8に示されているようにドレイン線109がずれることがあり、この場合は一方の信号線103とドレイン線109との距離Lと、他方の信号線103とドレイン線109との距離Lとは、L>Lという具合に異なってくる。したがって、ドレイン線109と各信号線103との距離が一定でないために伝送ケーブル101の伝送特性にバラツキが生じるという問題点があった。
【0007】
この発明は上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、導電テープ材によって横巻きで巻き付けられるときに起こるドレイン線と絶縁線との間の応力により絶縁層が潰れることから生じる対内スキューのバラツキをなくすようにした伝送ケーブル及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1によるこの発明の伝送ケーブルは、信号線を絶縁層で被覆した一対の絶縁線からなる信号線対と、ドレイン線との外周に導電テープ材を巻き付けた伝送ケーブルにおいて、
前記一対の絶縁層とドレイン線との間に各絶縁層とドレイン線とに面接触もしくは複数の点で接触すべく介在物を設けてなることを特徴とするものである。
【0009】
したがって、伝送ケーブルが製造される際に、一対の絶縁線の絶縁層とドレイン線との間に各絶縁層とドレイン線とに面接触もしくは複数の点で接触すべく介在物があるので、導電テープ材によってテープ巻きされるときのドレイン線にかかる応力が介在物で確実に吸収されるので、絶縁層のつぶれが抑制される。その結果、誘電率の増大が軽減されるので対内スキューのバラツキが少なくなる。
【0010】
請求項2によるこの発明の伝送ケーブルは、請求項1記載の伝送ケーブルにおいて、前記介在物が、断面ほぼ三角形状をなすと共に、前記三角形状の1辺のほぼ中央にドレイン線を配置するへこみ部を設け、他の2辺に一対の絶縁層の円周面を当接可能な円弧部を設けていることを特徴とするものである。
【0011】
したがって、介在物のへこみ部により、ドレイン線が所定位置に配置されるので、ドレイン線の位置がずれることなく固定されるから、信号線とドレイン線との距離が一定に保たれる。また、円弧部により、絶縁層の円周面と面接触もしくは複数の点接触で当接するので、テープ巻きされるときに生じる応力が介在物で確実に分散、緩和、吸収される。
【0012】
請求項3によるこの発明の伝送ケーブルは、請求項2記載の伝送ケーブルにおいて、前記へこみ部が、前記円弧部と同じ形状であることを特徴とするものである。
【0013】
したがって、1辺のへこみ部が他の2辺の円弧部と同一の点対称形状で、三角形状の3辺のどこでも同じ湾曲形状であるために、一対の絶縁線とドレイン線とが面接触して当てる位置を間違うことがないので、作業性の向上に寄与する。
【0014】
請求項4によるこの発明の伝送ケーブルは、請求項1記載の伝送ケーブルにおいて、前記介在物が、断面ほぼ鼓形状をなすと共に、前記鼓形状の左右両側に一対の絶縁層の円周面を当接可能な2つの円弧部を背中合わせに設け、前記2つの円弧部の両端の端辺部の少なくとも一方に前記ドレイン線を配置するへこみ部を設けていることを特徴とするものである。
【0015】
したがって、介在物のへこみ部により、ドレイン線が所定位置に配置されるので、ドレイン線の位置がずれることなく固定されるから、信号線とドレイン線との距離が一定に保たれる。また、円弧部により、絶縁層の円周面と面接触もしくは複数の点接触で当接するので、テープ巻きされるときに生じる応力が介在物で確実に分散、緩和、吸収される。
【0016】
請求項5によるこの発明の伝送ケーブルは、請求項1,2,3又は4記載の伝送ケーブルにおいて、前記介在物の材質が、絶縁層の材質より高い硬度を有する導電樹脂からなることを特徴とするものである。
【0017】
したがって、介在物の材質が絶縁層の材質より高い硬度を有しているので、テープ巻きされるときに生じるドレイン線の応力が介在物で確実に分散、緩和、吸収される。また、導電樹脂であることにより、シールド性が向上する。
【0018】
請求項6によるこの発明の伝送ケーブルの製造方法は、信号線を絶縁層で被覆した一対の絶縁線からなる信号線対と、ドレイン線を添えて配置すると共に、前記一対の絶縁層とドレイン線との間に各絶縁層とドレイン線とに面接触もしくは複数の点で接触すべく介在物を配置し、これらの信号線対とドレイン線の外周に横巻きにより導電テープ材を巻きつけることを特徴とするものである。
【0019】
したがって、請求項1記載の作用と同様であり、伝送ケーブルが製造される際に、一対の絶縁線の絶縁層とドレイン線との間に各絶縁層とドレイン線とに面接触もしくは複数の点で接触すべく介在物があるので、導電テープ材によってテープ巻きされるとき、ドレイン線の位置がずれることなく固定されると共にドレイン線にかかる応力が介在物で確実に吸収されるので、絶縁層のつぶれが抑制される。その結果、誘電率の増大が軽減されるので対内スキューのバラツキが少なくなる。
【0020】
請求項7によるこの発明の伝送ケーブルの製造方法は、請求項6記載の伝送ケーブルの製造方法において、前記介在物が、断面ほぼ三角形状をなすと共に、前記三角形状の1辺のほぼ中央にドレイン線を配置するへこみ部を設け、他の2辺に一対の絶縁層の円周面を当接可能な円弧部を設けていることを特徴とするものである。
【0021】
したがって、請求項2記載の作用と同様であり、介在物のへこみ部により、ドレイン線が所定位置に配置されるので、ドレイン線の位置がずれることなく固定されるから、信号線とドレイン線との距離が一定に保たれる。また、円弧部により、絶縁層の円周面と面接触もしくは複数の点接触で当接するので、テープ巻きされるときに生じる応力が介在物で確実に分散、緩和、吸収される。
【0022】
請求項8によるこの発明の伝送ケーブルの製造方法は、請求項7記載の伝送ケーブルの製造方法において、前記へこみ部が、前記円弧部と同じ形状であることを特徴とするものである。
【0023】
したがって、請求項3記載の作用と同様であり、1辺のへこみ部が他の2辺の円弧部と同一の点対称形状で、三角形状の3辺のどこでも同じ湾曲形状であるために、一対の絶縁線とドレイン線とが面接触して当てる位置を間違うことがないので、作業性の向上に寄与する。
【0024】
請求項9によるこの発明の伝送ケーブルの製造方法は、請求項6記載の伝送ケーブルの製造方法において、前記介在物が、断面ほぼ鼓形状をなすと共に、前記鼓形状の左右両側に一対の絶縁層の円周面を当接可能な2つの円弧部を背中合わせに設け、前記2つの円弧部の両端の端辺部の少なくとも一方に前記ドレイン線を配置するへこみ部を設けていることを特徴とするものである。
【0025】
したがって、請求項4記載の作用と同様であり、介在物のへこみ部により、ドレイン線が所定位置に配置されるので、ドレイン線の位置がずれることなく固定されるから、信号線とドレイン線との距離が一定に保たれる。また、円弧部により、絶縁層の円周面と面接触もしくは複数の点接触で当接するので、テープ巻きされるときに生じる応力が介在物で確実に分散、緩和、吸収される。
【0026】
請求項10によるこの発明の伝送ケーブルの製造方法は、請求項6,7,8又は9記載の伝送ケーブルの製造方法において、前記介在物の材質が、絶縁層の材質より高い硬度を有する導電樹脂からなることを特徴とするものである。
【0027】
したがって、請求項5記載の作用と同様であり、介在物の材質が絶縁層の材質より高い硬度を有しているので、テープ巻きされるときに生じるドレイン線の応力が介在物で確実に分散、緩和、吸収される。また、導電樹脂であることにより、シールド性が向上する。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0029】
図1を参照するに、第1の実施の形態に係わる高速データ伝送用の伝送ケーブル1は、一対の信号線3(導体)がそれぞれ別々に絶縁層としての例えば発泡樹脂(PE)などの絶縁材料からなる発泡絶縁層5でシースされて押出されて絶縁線7が構成される。これらの2本の絶縁線7のペア線としての信号線対には、介在物9を介して例えば断面がほぼ円形形状の鋼線からなるドレイン線11が添えられ、例えばアルミマイラテープ(Al−PETテープ)などの導電テープ材13によって横巻きでテープ巻きされ被覆されている。
【0030】
より詳しく説明すると、上記の介在物9は、断面がほぼ三角形状をなす長尺の線条体であり、この三角形状の図1において上部の1辺のほぼ中央にはドレイン線11を位置決めして容易に移動しないように配置するへこみ部15が設けられている。このへこみ部15はドレイン線11の外周面と面接触する形状、もしくは複数の点で接触する形状をなしていることが望ましい。
【0031】
さらに、上記の介在物9は、三角形状の図1において左右の他の2辺には、一対の絶縁線7の発泡絶縁層5の円周面を当接可能な円弧部17が形成されている。この円弧部17は発泡絶縁層5の円周面と面接触する形状であることが望ましいが、複数の点で点接触する形状であっても、あるいは発泡絶縁層5を局部的に潰さないような他の湾曲形状であっても構わない。
【0032】
また、上記の介在物9は、材質が例えば高密度ポリエチレンなどのように上記の発泡絶縁層5の材質より高い硬度を有するものである。さらに、介在物9の材質が導電性を有する導電樹脂から構成されることは、伝送ケーブル1のシールド性を向上するという点で望ましい。
【0033】
上記構成により、伝送ケーブル1が製造される際に、導電テープ材13によって一対の絶縁線7とドレイン線11が一方向の横巻きでテープ巻きされるとしても、一対の絶縁線7の発泡絶縁層5とドレイン線11との間に各発泡絶縁層5とドレイン線11とに面接触もしくは複数の点で接触すべく介在物9があるので、発泡絶縁層5とドレイン線11との接点がなくなり、面接触もしくは複数の点で接触して、テープ巻きされるときにドレイン線11から起こる応力が介在物9により確実に吸収されるので、発泡絶縁層5のつぶれが抑制されることとなる。
【0034】
より詳しくは、介在物9の材質が発泡絶縁層5の材質より高い硬度を有していることと、ドレイン線11の外周面と面接触もしくは複数の点接触するへこみ部15と、絶縁線7の発泡絶縁層5の円周面と面接触もしくは複数の点接触する円弧部17とにより、上記のテープ巻きされるときに生じる応力が分散、緩和、吸収されることになる。したがって、発泡樹脂の発泡絶縁層5が不均一に潰されることから生じる誘電率の増大がなくなるので、対内スキューのバラツキを少なくすることができる。
【0035】
また、介在物9のへこみ部15により、ドレイン線11が一対の信号線3のほぼ中間に位置決めされて容易に移動しないように配置されるので、従来に生じていたようなドレイン線11のずれがなくなる。したがって、各信号線3とドレイン線11との距離を一定に保つことができ、伝送特性のバラツキを少なくできる。
【0036】
図3(A)〜(C)を参照するに、断面ほぼ三角形状をなす介在物9の種々の形状の一例が示されており、例えば三角形状のへこみ部15の形状としては、図3(A)ではドレイン線11の外周面の一部が嵌合するように当接して確実に位置決め可能な湾曲形状をなしており、図3(B)ではドレイン線11の外周面が2点で接触するように左右の直線部19L,19Rが交叉するへこみ形状をなしている。なお、このへこみ部15の形状が多角形をなす直線部から構成されても構わない。図3(C)ではへこみ部15の形状が絶縁線7の発泡絶縁層5の円周面と同形状の円弧形状、つまり他の2辺の円弧部17と同形状をなしており、いわゆる点対称形状で三角形状の3辺のどこでも同じであるので、一対の絶縁線7とドレイン線11に当てる位置を間違うことがなく、作業性の向上に寄与する。
【0037】
図2を参照するに、第2の実施の形態に係わる高速データ伝送用の伝送ケーブル21は、第1の実施の形態の伝送ケーブル1とほぼ同様であり、同様の部材は同符号にて説明する。
【0038】
伝送ケーブル21としては、絶縁線7の構成と、これらの2本の絶縁線7のペア線としての信号線対と、介在物23と、ドレイン線11と、導電テープ材13と、からなる構成は、第1の実施の形態とほぼ同様である。ただし、上記の介在物23の断面形状が第1の実施の形態の介在物9とは異なる。
【0039】
上記の介在物23についてより詳しく説明すると、介在物23は、断面ほぼ鼓形状をなす長尺の線条体であり、この鼓形状の図2において左右の両側には一対の発泡絶縁層5の円周面を当接可能な2つの円弧部25が背中合わせに備えられている。この円弧部25の形状は、前述した第1の実施の形態の介在物9の円弧部17と同様であり、すなわち発泡絶縁層5の円周面と面接触する形状であることが望ましいが、複数の点で点接触する形状であっても、あるいは発泡絶縁層5を局部的に潰さないような他の湾曲形状であっても構わない。
【0040】
さらに、上記の介在物23は、前記2つの円弧部25の図2において上下の両端の両端辺部の少なくとも一方の端辺部にはドレイン線11を位置決めして容易に移動しないように配置するへこみ部27が設けられている。この第2の実施の形態では上記のへこみ部27が両端辺部に備えられている。また、上記のへこみ部27は、前述した介在物9のへこみ部15と同様であり、ドレイン線11の外周面と面接触する形状、もしくは複数の点で接触する形状をなしていることが望ましい。
【0041】
なお、上記の介在物23の材質としては、前述した介在物9と同様であるので説明は省略する。
【0042】
上記構成により、この第2の実施の形態の伝送ケーブル21が製造される際にも、第1の実施の形態の伝送ケーブル1が介在物9を設けているのと同様に、一対の絶縁線7の発泡絶縁層5とドレイン線11との間に介在物23があるので、発泡絶縁層5とドレイン線11との接点がなくなり、面接触もしくは複数の点で接触して、テープ巻きされるときにドレイン線11から起こる応力が介在物23により確実に吸収されるので、発泡絶縁層5のつぶれが抑制されることとなる。
【0043】
より詳しくは、介在物23の材質が発泡絶縁層5の材質より高い硬度を有していることと、ドレイン線11の外周面と面接触もしくは複数の点接触するへこみ部27と、絶縁線7の発泡絶縁層5の円周面と面接触もしくは複数の点接触する円弧部25とにより、上記のテープ巻きされるときに生じる応力が分散、緩和、吸収される。
【0044】
また、介在物23のへこみ部27により、ドレイン線11が一対の信号線3のほぼ中間に位置決めされて容易に移動しないように配置され、ドレイン線11のずれがなくなるので、各信号線3とドレイン線11との距離を一定に保つことができ、伝送特性のバラツキを少なくできる。
【0045】
図4(A)〜(C)を参照するに、断面ほぼ鼓形状をなす介在物23の種々の形状の一例が示されており、例えば鼓形状の端辺部のへこみ部27の形状としては、図4(A)ではドレイン線11の外周面の一部が嵌合するように当接して確実に位置決め可能な湾曲形状をなしており、図4(B)ではドレイン線11の外周面が2点で接触するように左右の直線部29L,29Rが交叉するへこみ形状をなしている。なお、このへこみ部27の形状が多角形をなす直線部から構成されても構わない。図4(C)では図2と同様に湾曲形状をなしている。
【0046】
なお、へこみ部27は図4(A)では図において上下の両端辺部にあり、図4(B)及び図4(C)では各図において上部の端辺部にのみ設けられている。いずれにしても、へこみ部27は少なくとも両端辺部のいずれか一方に設けられればよく、両端辺部に備えられている場合は、伝送ケーブル21を製造する際に、ドレイン線11を配置する向きを考慮することなく一対の絶縁線7の発泡絶縁層5の円周面に添えることができるので作業性の向上に寄与する。
【0047】
次に、この発明の第1、第2の実施の形態の伝送ケーブル1,21の製造方法について説明する。
【0048】
図1,図2及び図5を併せて参照するに、上述したように予め信号線3を発泡樹脂の発泡絶縁層5で被覆した一対の絶縁線7からなる信号線対と、例えば断面がほぼ円形形状の鋼線からなるドレイン線11と、このドレイン線11と前記信号線対との間に面接触すもしくは複数の点で接触する介在物9(又は介在物23)が図1(又は図2)に示されているようにほぼ平行に添えるように配置される。なお、介在物9(又は介在物23)は樹脂としての例えば導電性を有する導電樹脂で予め押出成形などの成形方法により長尺の線条体として製造されているものである。
【0049】
上記の一対の絶縁線7とドレイン線11の外周は、テープ巻き装置31により上述したように例えばアルミマイラテープ(Al−PETテープ)などの導電テープ材13によって横巻きでテープ巻きされて被覆され、伝送ケーブル1(又は伝送ケーブル21)が製造される。
【0050】
また、この発明の第1、第2の実施の形態の伝送ケーブル1,21の他の製造方法について説明する。
【0051】
図1,図2及び図6を併せて参照するに、上述したように予め製造された一対の絶縁線7からなる信号線対は、押出成形機33の押出金型としての例えば押出ヘッド35内に送られ、この押出ヘッド35内で樹脂としての例えば導電性を有する導電樹脂37で成形される介在物9(又は介在物23)が図1(又は図2)に示されているように一対の絶縁線7の間に面接触もしくは複数の点で接触するようにして押出し成形される。
【0052】
より詳しくは、押出成形機33の押出ヘッド35内は、介在物9(又は介在物23)を押し出すダイス39内の所定位置に上記の一対の絶縁線7を通過せしめるニップル(図示省略)が設置されている。つまり、一対の絶縁線7はニップル内の所定位置を経てダイス39内を通過するように送られ、加熱された介在物9(又は介在物23)となる導電樹脂37がダイス39内の流路を流動し、ダイス39の先端部から上記の導電樹脂37が一対の絶縁線7の間に面接触するように押出成形され、一対の絶縁線7と一緒に押し出される。
【0053】
その後、ドレイン線11が図1(又は図2)に示されているように上記の介在物9のへこみ部15(又は介在物23のへこみ部27)に、つまり一対の信号線3のほぼ中間に位置するように配置され、導電樹脂37とドレイン線11の外周は前述した実施の形態と同様にテープ巻き装置31により導電テープ材13によって横巻きでテープ巻きされて被覆され、伝送ケーブル1(又は伝送ケーブル21)が製造される。
【0054】
なお、第1、第2の実施の形態の伝送ケーブル1,21が製造されるときの作用、効果は、前述したように、テープ巻きされるときにドレイン線11から起こる応力が介在物9(又は介在物23)により確実に吸収されるので、発泡絶縁層5のつぶれが抑制される。さらに、介在物9のへこみ部15(又は介在物23のへこみ部27)により、ドレイン線11が所定位置に位置決めされてずれがなくなるので、各信号線3とドレイン線11との距離を一定に保つことができ、伝送特性のバラツキを少なくできる。
【0055】
なお、この発明は前述した実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことによりその他の態様で実施し得るものである。前述した発明の実施の形態では絶縁層として発泡絶縁層を例にとって説明したが、非発泡の絶縁層であっても構わない。この場合にはその後の集合工程で大きな外力がかかってつぶれたり、ドレイン線の位置ずれするのを抑制できる。
【0056】
【発明の効果】
以上のごとき発明の実施の形態の説明から理解されるように、請求項1の発明によれば、伝送ケーブルが製造される際に、一対の絶縁線の絶縁層とドレイン線との間に各絶縁層とドレイン線とに面接触もしくは複数の点で接触すべく介在物を設けたので、導電テープ材によって一方向にテープ巻きされるときのドレイン線にかかる応力を介在物で確実に吸収できるので、絶縁層のつぶれを抑制できる。したがって、誘電率の増大を軽減でき、対内スキューのバラツキを少なくできる。
【0057】
請求項2の発明によれば、介在物のへこみ部により、ドレイン線を所定位置に配置できるので、ドレイン線の位置がずれることなく固定され、ずれを防止できることから、信号線とドレイン線との距離を一定に保つことができ、伝送特性のバラツキを少なくできる。また、円弧部により、絶縁層の円周面と面接触もしくは複数の点接触で当接するので、テープ巻きされるときに生じる応力を介在物で確実に分散、緩和、吸収できる。
【0058】
請求項3の発明によれば、1辺のへこみ部を他の2辺の円弧部と同一の点対称形状で、三角形状の3辺のどこでも同じ湾曲形状としたので、一対の絶縁線とドレイン線とが面接触して当てる位置を間違うことがなく、作業性の向上を図ることができる。
【0059】
請求項4の発明によれば、介在物のへこみ部により、ドレイン線を所定位置に配置できるので、ドレイン線の位置がずれることなく固定され、ずれを防止できることから、信号線とドレイン線との距離を一定に保つことができ、伝送特性のバラツキを少なくできる。また、円弧部により、絶縁層の円周面と面接触もしくは複数の点接触で当接するので、テープ巻きされるときに生じる応力を介在物で確実に分散、緩和、吸収できる。
【0060】
請求項5の発明によれば、介在物の材質を絶縁層の材質より高い硬度としたので、テープ巻きされるときに生じるドレイン線の応力を介在物で確実に分散、緩和、吸収できる。また、導電樹脂としたのでシールド性を向上できる。
【0061】
請求項6の発明によれば、請求項1記載の効果と同様であり、伝送ケーブルが製造される際に、一対の絶縁線の絶縁層とドレイン線との間に各絶縁層とドレイン線とに面接触もしくは複数の点で接触すべく介在物を設けたので、導電テープ材によって一方向にテープ巻きされるときのドレイン線にかかる応力を介在物で確実に吸収できるので、絶縁層のつぶれを抑制できる。したがって、誘電率の増大を軽減でき、対内スキューのバラツキを少なくできる。
【0062】
請求項7の発明によれば、請求項2記載の効果と同様であり、介在物のへこみ部により、ドレイン線を所定位置に配置できるので、ドレイン線の位置がずれることなく固定され、ずれを防止できることから、信号線とドレイン線との距離を一定に保つことができ、伝送特性のバラツキを少なくできる。また、円弧部により、絶縁層の円周面と面接触もしくは複数の点接触で当接するので、テープ巻きされるときに生じる応力を介在物で確実に分散、緩和、吸収できる。
【0063】
請求項8の発明によれば、請求項3記載の効果と同様であり、1辺のへこみ部を他の2辺の円弧部と同一の点対称形状で、三角形状の3辺のどこでも同じ湾曲形状としたので、一対の絶縁線とドレイン線とが面接触して当てる位置を間違うことがなく、作業性の向上を図ることができる。
【0064】
請求項9の発明によれば、請求項4記載の効果と同様であり、介在物のへこみ部により、ドレイン線を所定位置に配置できるので、ドレイン線の位置がずれることなく固定され、ずれを防止できることから、信号線とドレイン線との距離を一定に保つことができ、伝送特性のバラツキを少なくできる。また、円弧部により、絶縁層の円周面と面接触もしくは複数の点接触で当接するので、テープ巻きされるときに生じる応力を介在物で確実に分散、緩和、吸収できる。
【0065】
請求項10の発明によれば、請求項5記載の効果と同様であり、介在物の材質を絶縁層の材質より高い硬度としたので、テープ巻きされるときに生じるドレイン線の応力を介在物で確実に分散、緩和、吸収できる。また、導電樹脂としたのでシールド性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態の伝送ケーブルの構造を示す断面図である。
【図2】この発明の第2の実施の形態の伝送ケーブルの構造を示す断面図である。
【図3】(A)〜(C)は、図1の断面ほぼ三角形状をなす介在物の他の形状を示す断面図である。
【図4】(A)〜(C)は、図2の断面ほぼ鼓形状をなす介在物の他の形状を示す断面図である。
【図5】この発明の第1,第2の実施の形態の伝送ケーブルの製造方法を示す概略説明図である。
【図6】この発明の第1,第2の実施の形態の他の伝送ケーブルの製造方法を示す概略説明図である。
【図7】従来の伝送ケーブルの構造を示す断面図である。
【図8】従来の伝送ケーブルでドレイン線が移動したときの状態説明図である。
【符号の説明】
1 伝送ケーブル(第1の実施の形態の)
3 信号線(導体)
5 発泡絶縁層(絶縁層)
7 絶縁線
9 介在物(断面ほぼ三角形状の)
11 ドレイン線
13 導電テープ材
15 へこみ部
17 円弧部
21 伝送ケーブル(第2の実施の形態の)
23 介在物(断面ほぼ鼓形状の)
25 円弧部
27 へこみ部
31 テープ巻き装置
33 押出成形機
37 導電樹脂

Claims (10)

  1. 信号線を絶縁層で被覆した一対の絶縁線からなる信号線対と、ドレイン線との外周に導電テープ材を巻き付けた伝送ケーブルにおいて、
    前記一対の発泡絶縁層とドレイン線との間に各絶縁層とドレイン線とに面接触もしくは複数の点で接触すべく介在物を設けてなることを特徴とする伝送ケーブル。
  2. 前記介在物が、断面ほぼ三角形状をなすと共に、前記三角形状の1辺のほぼ中央にドレイン線を配置するへこみ部を設け、他の2辺に一対の絶縁層の円周面を当接可能な円弧部を設けていることを特徴とする請求項1記載の伝送ケーブル。
  3. 前記へこみ部が、前記円弧部と同じ形状であることを特徴とする請求項2記載の伝送ケーブル。
  4. 前記介在物が、断面ほぼ鼓形状をなすと共に、前記鼓形状の左右両側に一対の絶縁層の円周面を当接可能な2つの円弧部を背中合わせに設け、前記2つの円弧部の両端の端辺部の少なくとも一方に前記ドレイン線を配置するへこみ部を設けていることを特徴とする請求項1記載の伝送ケーブル。
  5. 前記介在物の材質が、絶縁層の材質より高い硬度を有する導電樹脂からなることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の伝送ケーブル。
  6. 信号線を絶縁層で被覆した一対の絶縁線からなる信号線対と、ドレイン線を添えて配置すると共に、前記一対の絶縁層とドレイン線との間に各絶縁層とドレイン線とに面接触もしくは複数の点で接触すべく介在物を配置し、これらの信号線対とドレイン線の外周に横巻きにより導電テープ材を巻きつけることを特徴とする伝送ケーブルの製造方法。
  7. 前記介在物が、断面ほぼ三角形状をなすと共に、前記三角形状の1辺のほぼ中央にドレイン線を配置するへこみ部を設け、他の2辺に一対の絶縁層の円周面を当接可能な円弧部を設けていることを特徴とする請求項6記載の伝送ケーブルの製造方法。
  8. 前記へこみ部が、前記円弧部と同じ形状であることを特徴とする請求項7記載の伝送ケーブルの製造方法。
  9. 前記介在物が、断面ほぼ鼓形状をなすと共に、前記鼓形状の左右両側に一対の絶縁層の円周面を当接可能な2つの円弧部を背中合わせに設け、前記2つの円弧部の両端の端辺部の少なくとも一方に前記ドレイン線を配置するへこみ部を設けていることを特徴とする請求項6記載の伝送ケーブルの製造方法。
  10. 前記介在物の材質が、絶縁層の材質より高い硬度を有する導電樹脂からなることを特徴とする請求項6,7,8又は9記載の伝送ケーブルの製造方法。
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