JP2004085456A - 放射線撮像装置及び放射線撮像システム - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化、低コスト化に適し、製造工程での作業性の優れ、特に薄型で、解像度に優れた放射線撮像装置及び放射線撮像システムを提供する。
【解決手段】放射線を光に変換するシンチレータ11と複数の光電変換素子7が、例えばファイバープレート10のような一枚の導光手段を挟みこむ構成の放射線撮像装置において、前記導光手段10には、前記光電変換素子7のバンプ8及び外部引出し用配線の電極91による出っ張りを吸収する穴10aが設けられている。ファイバープレート10と光電変換素子7を近づけることができ、解像度の低下を防ぎ、薄型にすることができる。
【選択図】 図6
【解決手段】放射線を光に変換するシンチレータ11と複数の光電変換素子7が、例えばファイバープレート10のような一枚の導光手段を挟みこむ構成の放射線撮像装置において、前記導光手段10には、前記光電変換素子7のバンプ8及び外部引出し用配線の電極91による出っ張りを吸収する穴10aが設けられている。ファイバープレート10と光電変換素子7を近づけることができ、解像度の低下を防ぎ、薄型にすることができる。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファイバープレート(ファイバーオプテックプレートともいう)を用いたX線診断医療分野、非破壊検査分野に好適な放射線撮像装置及び放射線撮像システム、特に解像度を損なうことなく大面積撮像エリアを可能とした放射線撮像装置及び放射線撮像システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、放射線撮像装置、特に医療を目的とするX線撮像装置ではX線動画の撮像が可能で画像品位が優れ、且つ、薄型で大面積入力範囲を有するX線撮像装置が求められている。また医療用のみならず、産業用非破壊検査機等にも薄型で安価な大面積のX線撮像装置が求められている。
【0003】
かかるX線撮像装置においてX線が直接光電変換素子に入射すると、読み出し時にノイズとなり、また光電変換素子内の半導体の結晶が破壊され特性が悪くなる場合がある。
【0004】
そのため、X線を遮蔽するためファイバープレートが用いられる。ファイバープレートを用いれば撮像された光学像をぼかすことなくX線を遮蔽することが可能である。
【0005】
このようなX線撮像装置としては、例えば、(1)ファイバープレートのファイバー繊維に傾斜を設け、ファイバープレートの端部が、接続した光電変換素子(撮像素子)の不活性部を避けるようにして大面積化した装置(例えば、米国特許第5,563,414号)、(2)ファイバープレートの厚みに段差をつけ、ファイバープレートの端部が、各光電変換素子(撮像素子)の不活性部を避けるようにして大面積化した装置(例えば、米国特許第5,834,782号)等がある。
【0006】
図11は、上記(1)のX線撮像装置の概略的断面図である。X線撮像装置は、X線を可視光に変換する蛍光体等からなるシンチレータ11と、シンチレータ11によって変換された可視光を光電変換素子7側へ導く光ファイバー等のファイバープレート21と、ファイバープレート21によって導かれた可視光を電気信号に変換する光電変換素子7とを有する。
【0007】
このX線撮像装置は、ファイバープレート21を光電変換素子7に対して傾斜させており、ファイバープレート21間には、各光電変換素子7からの電気信号を処理する処理回路等が設けられている。
【0008】
図12は、上記(2)のX線撮像装置の概略的斜視図である。なお、図12において、図11と同様の部分には、同一の符号を付している。図12に示すように、ファイバープレート21の長さを部分的に変えて、例えば3つの光電変換素子7を一組として各組毎に段差を設けることによって、各光電変換素子7に処理回路等を備えられるようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記(1)の構成は、光ファイバーの軸に対して斜めに交差する導光面(光入出射面)を有しており、それぞれのファイバープレート21の光ファイバーの軸が互いに交差するように配置されている。この構成では、X線撮像装置の更なる小型化が困難である。
【0010】
一方、上記(2)の構成は、X線撮像装置が更に大型化する。また、各段差部分と光電変換素子7との位置合わせ精度が厳しいため、製造工数が多くなり、且つ高精度な位置合わせ装置が必要になる。これらを鑑みると上記(2)の構成は現実的ではない。
【0011】
このように、上記従来のX線撮像装置では、X線撮像装置の大型化、低コスト化、製造工程での作業性等の点で必ずしも十分なものではなかった。
【0012】
そこで、本発明の目的は、放射線撮像装置の小型化、低コスト化に適し、製造工程での作業性の優れ、特に薄型で、解像度に優れた放射線撮像装置及び放射線撮像システムを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、放射線を光に変換するシンチレータと複数の光電変換素子が一枚の導光手段を挟みこむ構成の放射線撮像装置において、前記導光手段には、前記光電変換素子のバンプ及び外部引出し用配線の電極による出っ張りを吸収する穴が設けられている。
【0014】
すなわち、一枚の大面積ファイバープレート上に複数の光電変換装置を隣接配置することで従来からの問題点を解決し、かつ、光電変換素子上の外部出力端子や外部出力端子と接合するためのバンプによる出っ張りを大面積ファイバープレートに設けた穴で前記出っ張りを吸収することでファイバープレートの光出射面と光電変換素子の受光部に近づけることが可能となりX線撮像装置の解像度を改善することができる。
【0015】
また、ファイバープレートに溝状の穴が設けられていることで容易に凹形状を形成することができ安価で解像度に優れた放射線撮像装置を提供することができる。
【0016】
したがって、穴又は溝を設けたファイバープレートを放射線撮像装置に用いることで、解像度が高く画像品位の優れた大面積、低コストの放射線撮像装置を提供することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明によるファイバープレートの製造方法を示す図である。
【0018】
まず、図1(a)に示すように、シングルファイバーを製作する。シングルファイバーは、中心のコアガラス101とその周囲を被覆するクラッドガラス102及び吸収体ガラス103から形成されている。
【0019】
コアガラス101+クラッドガラス102+吸収体ガラス103の複合体を、加熱装置のヒータ710に通し線引きローラ720で延伸することにより、複合体と断面が相似形のシングルファイバー100が得られる。
【0020】
次に図1(b)に示すように、上記シングルファイバー100を用いてマルチファイバーを製作する。シングルファイバー100を長さ方向に揃えて、積層体200を形成する。積層体200は、ここでは断面が6角形となるように積層したが、マルチファイバーが隙間なく積層できれば他の形状でもよい。
【0021】
シングルファイバー100の場合と同様に加熱延伸しマルチファイバー300を得る。
【0022】
次にマルチファイバー300を用いてファイバーインゴット400を製作する。図1(c)に示すように、マルチファイバー300を加熱プレス装置の金型730内に積層し、高温プレスによりファイバーインゴット400を完成させる。
【0023】
図1(d)に示すように、ファイバーインゴット400は、まずインゴット外形にそってスライス装置のスライサーブレード740を用いて切断することにより、小型のファイバープレート500を得る。
【0024】
次に、図1(e)で小型のファイバープレート500同士を接着剤600により接着する。
【0025】
なお、接着剤600の具体例としては、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、これらは単独または、2種類以上を組み合わせて使用される。また、添加剤としてX線遮蔽材料である鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、銀、スズ、ガドリニウム、タングステン、鉛、金、ランタン等の少なくとも一種の材料または合金、または化合物が用いられる。
【0026】
また、接着剤として、融点がファイバープレート材料より低くかつX線を遮蔽する、例えば鉛、ランタン、ガドリウム、ガドリニウム等の酸化物等の重金属を多く含む低融点ガラスや低融点金属の鉛、スズ、亜鉛、インジュウム、銀等の金属を2種類以上含む合金を用いてもよい。例えば半田やろうずけによる接着でもよい。
【0027】
図1(f)に示すように、両面研磨装置の回転砥石750にてファイバープレート500同士を接着した際の厚みばらつきや段差、あるいは接着剤のはみ出しを研磨により取り去り、導光手段としての大面積のファイバープレート10を完成させる。
【0028】
最後に、ファイバープレート10の出力面で光電変換素子7の接続部、すなわち、フレキシブル基板9の電極91とバンプ8による出っ張り部分に合わせて穴10aを形成する。
【0029】
図2は、本実施形態に用いた光電変換素子7とフレキシブル基板9を示す図である。光電変換素子7の電極端子71からフレキシブル基板9へ配線し接続している様子を示す。72は、光電変換素子7の画素、8は、バンプであり、91、92は、フレキシブル基板9のそれぞれ電極、絶縁層である。
【0030】
図3は、ファイバープレート10の出力面に形成された穴10aを示す図であり、図4は、穴10aが形成されたファイバープレート10の全体を示す図である。
【0031】
ファイバープレート10の出力面で光電変換素子7の接続部、すなわち、フレキシブル基板9の電極91とバンプ8による出っ張り部分に合わせて穴10aが形成されている。
【0032】
図2(b)に示すように光電変換素子7の出っ張り部分は、バンプ8と電極91の高さが40μm、幅120μm、長さ200μmであるので、ファイバープレート10の穴10aは、位置合わせマージンを含め、深さ50μm、幅160μm、長さ240μmで加工した。
【0033】
加工の方法としては、ファイバープレート10にステンレス鋼によるマスクをかぶせマスキングしたのち、ブラスト処理により穴を形成している。
【0034】
今回は、ブラスト処理により加工したが、フッ酸等による化学的エッチングや超音波発振子と研磨粉による微細加工等の方法でもよい。
【0035】
上述した製造方法で製作された大面積ファイバープレート10を図4に示す。図4に示す大面積ファイバープレート10は、例えば30cm×30cmの大きさで厚みは3mm程度である。この大きさは構成するX線撮像装置の有効面積より少し大きい方が好ましい。
【0036】
厚みはX線を十分に遮蔽する厚みが求められ、例えばランタン系のガラスを用いた場合、厚みが3mmであれば、X線は1/10から1/1000に減衰する。この値は使用するX線の波長により変化するものであるから装置の使用するX線波長に合わせてファイバープレート10の厚みを決めればよい。
【0037】
この大面積のファイバープレートを図5、図6のように組み合わせ、X線撮像装置を構成する。
【0038】
図5は、ファイバープレート10を用いたX線撮像装置の基本的な構成を示す模式図である。7は、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ、バイポーラ型イメージセンサ、CMD型イメージセンサ、薄膜トランジスタ型イメージセンサ等の集積回路チップで構成された光電変換素子であり、複数の光電変換素子が並べられた大面積の光電変換素子(撮像素子)が構成されている。
【0039】
10は、図4で示した大面積のファイバープレートであるが、ここでは、小型ファイバープレート500同士のつなぎ部分を省略し、大面積のファイバープレート10のみを示している。ファイバープレート10の導光面は上下の主面(光入出射面)である。また、図4で示した、ファイバープレート10に空けた穴10aや光電変換素子の電極の出っ張りは省略している。
【0040】
また、11は、放射線を可視光に変換するシンチレータであり、Gd2 O2 S(Tb)のようなガドリニウム硫化酸化物、CsI(TI)のようなヨウ化セシウムに代表されるハロゲン化アルカリ金属等の材料からなる層状部材である。
【0041】
貼りあわされた大面積ファイバープレート10の導光面積は、貼りあわされた大面積光電変換素子7の有効受光面積と同じか、それよりも大きなものとし、さらに、シンチレータ11の有効面積は、貼り合わされた大面積ファイバープレート10の導光面と同じか、それよりも大きくするとよい。
【0042】
図5において、上方から放射線がシンチレータ11の上面に入射すると、シンチレータ11は、可視光域の光を発光する。シンチレータ11と光電変換素子7との間に配されたファイバープレート10が、この光を光電変換素子7の受光部に導く。受光部に入射した光はそこで画素毎に光電変換され電気信号として読み出される。
【0043】
ここで、ファイバープレート10は放射線が光電変換素子7へ入射することを防いでいるので、光電変換素子の誤動作、ノイズの生成を抑制することができる。
【0044】
なお、本発明の撮像装置はX線撮像装置に好適に用いることができるが、特にそのようなX線に限定されるものではなく、α、β、γ線等の放射線像を検出する放射線撮像装置にも用いることができる。また、光は、画素により検出可能な波長領域の電磁波であり、可視光を含む。
【0045】
図6は、X線撮像装置の具体的構成例の断面図である。図6(a)には、X線を光電変換素子7で可視光等の検地可能な波長の光に変換するシンチレータ11と、シンチレータ11によって変換された光を光電変換素子7側へ導く複数のファイバープレートを接着した大面積ファイバープレート10と、光を電気信号に変換する光電変換用受光素子を備えた複数の光電変換素子7とを有する装置が示されている。
【0046】
この装置において、大面積ファイバープレート10には光電変換素子7の電極出っ張り部に対応した穴10aが設けられ、大面積ファイバープレート10と複数の画素を備えた光電変換素子7とを接着する弾性に優れた透明接着剤20と、各光電変換素子7からの電気信号を外部に出力するための配線を有するフレキシブル基板9と、フレキシブル基板9と光電変換素子7とを電気的に接続するバンプ8と、フレキシブル基板9が接続される駆動用プリント基板15と、シンチレータ11を保護するアルミ保護シート16と、光電変換素子7を搭載するベース基板14と、ベース基板14を保持するための筐体17と、筐体17に取り付けられた筐体カバー18とが備えられている。X線の透過率が高く、光に対する遮光性、機械特性に優れたCFRP板19が光電変換素子7及びシンチレータ11を保護している。なお、シンチレータ11上には、アルミ反射層12、保護層13が設けられる。
【0047】
以下に加工方法を述べる。図6(b)に示すように、光電変換素子7の電極91に金バンプ8を形成するスタッドバンプでもめっきによる方法でもかまわない。次に、フレキシブル基板9で金めっきされた電極91をバンプ8に位置合わせした後、熱と圧力によりバンプ8とフレキシブル基板9の電極91とを接合する。さらに、フレキシブル基板9は、光電変換素子7の端部にて光電変換素子7の裏面方向に曲げられる。このときフレキシブル基板9の電極91と光電変換素子7が電気的に短絡しないよう光電変換素子7の端部にはフレキシブル基板9の絶縁層92が挟まるように位置合わせする必要がある。また、挟みこんだフレキシブル基板9の絶縁層92が電極91を引っ張り切断させないように先端をテーパー形状とし、かかる応力を低減している。
【0048】
具体的には、フレキシブル基板9の絶縁層92はポリイミドでエッチングにより先端形状をテーパー状にしている。
【0049】
このフレキシブル基板9を曲げられて接続された光電変換素子7を、ベース板14上にそれぞれ位置をアライメントされ接着される。ベース板14にはフレキシブル基板9に対するスリット穴141が設けられており、フレキシブル基板9はベース板14の裏面方向へ引き出される。
【0050】
次に、貼り合わせによって大面積化した光電変換素子7とファイバープレート10を接着する。予めファイバープレート10には光電変換素子7の電極引きだしにより出っ張った部分を避けるために穴10aが設けられており、慎重にアライメント装置を用いてファイバープレート10と光電変換素子7を貼り合わせる。
【0051】
透明接着剤20は、光電変換素子7とファイバープレート10の熱膨張差のミスマッチングを補償するために弾性に優れたものを用いた。液晶パネルプロセスのように、周辺にシールを形成し透明接着剤20を真空注入することにより光電変換素子7とファイバープレート10との間に気泡が混入することを防止している。
【0052】
その後、透明接着剤20を加熱硬化させた撮像モジュールに、アルミに樹脂をラミネートしたアルミ保護層16を接着し、筐体17、筐体カバー18、CFRP19で迷光の進入、水分の浸入、外部応力から保護する目的で組立て放射線撮像装置を完成させている。
【0053】
以上説明したように、本実施形態のようにファイバープレート10に穴10aを設け、光電変換素子7の電極接続による出っ張りを吸収することにより、ファイバープレート10と光電変換素子7を近づけることができ、従来より問題となっていた解像度の低下を防ぎ、かつ、大面積の有効受光部と高い画像品位と、薄型で製造上の低コストを兼ね備えた放射線撮像装置を実現した。
【0054】
なお、導光手段としてのファイバープレート10について、ファイバープレート10にレンズ群を加えることもできる。そして、ファイバープレート10やレンズ群の材料としてX線遮蔽効果の高い鉛ガラスを含むようにすることもできる。
[第2の実施形態]
図7は、第2の実施形態におけるファイバープレート10を示す図である。ファイバープレート10に施すザグリ穴を溝状に構成したものであり、ダイシング装置、スライス装置や研磨装置といった加工装置にて比較的簡単に溝加工ができることが特徴である。760は、溝研磨ブレードである。
【0055】
上記装置にて必要な幅のブレード、あるいは研磨板を選択し必要な深さに切り込み量を設定し加工する。溝10bの深さを従来と同じに設定すれば、溝部にかかる部分のみ従来の解像度であり、その他の大部分の受光領域は解像度を向上することができる。
[第3の実施形態]
図8は、第3の実施形態を示す図である。図8(a)において、ファイバープレート10に施す溝10cが、ファイバープレート10の端部に差し掛かるもので、図7と同様、ダイシング装置、スライス装置や研磨装置といった加工装置にて比較的簡単に溝加工ができることが特徴である。
【0056】
また、図8(b)はこのファイバープレート10を用いてX線撮像装置を構成したものである。シンチレータ11がCsI等の蒸着によるものである場合、ファイバープレート10の外周部分はシンチレータ膜が薄くなり利用できる領域ではない。溝10cを入れた領域がシンチレータ膜が薄い領域を吸収するので光電変換素子の受光領域を無駄なく利用できる利点がある。
【0057】
以下に述べる放射線撮像システムの形態である非破壊検査システム又はX線診断システムは、上述した放射線撮像装置を用いたシステムである。
【0058】
図9は、X線撮像装置を備えた非破壊検査システムの構成を示す概念図である。上述した実施形態のX線撮像装置1000と、被写体2000と、被写体2000にX線を照射するマイクロフォーカスX線発生器3000と、X線撮像装置から信号を処理する画像処理装置6000と、画像処理された画像を表示するモニタ4000と、これらを制御するコントローラ5000を示している。
【0059】
マイクロフォーカスX線発生器3000により発生したX線を、非破壊検査したい被写体2000に照射すると、被写体2000内部の欠陥有無の情報がX線撮像装置1000を通じて画像処理装置6000に出力される。画像処理装置6000では、出力信号を上述しているファイバープレート間つなぎ部で出力の低下した部分の補正を行い、必要に応じて暗信号補正等も施してモニタ4000に画像を表示する。
【0060】
モニタ4000に表示されている画像は、コントローラ5000によって例えば拡大縮小、濃淡の制御ができる。こうしてモニタ4000に表示された画像を通じて被写体2000の内部の欠陥を発見、不良品として製造工程から除外する。
【0061】
図10は、X線撮像装置を備えたX線診断システムの構成を示す概念図である。
【0062】
図10には、X線撮像装置1000を備えたベッドと、被写体2000にX線を照射するためのX線発生装置7000と、X線撮像装置1000から出力される画像信号の処理と、X線発生装置1000からのX線照射時期等を制御するイメージプロセッサ8000とイメージプロセッサ8000によって処理された画像信号を表示するモニタ4000を示している。なお、図10において、図9で示した部分と同様の部分には同一符号を付している。
【0063】
図10に示すX線診断システムでは、X線発生装置7000はイメージプロセッサ8000からの指示に基づいてX線を発生させ、このX線をベッド上の被写体2000に照射すると被写体2000のレントゲン情報がX線撮像装置を通じてイメージプロセッサ8000に出力される。イメージプロセッサ8000では出力された信号を上述したファイバープレート間つなぎ部で出力の低下した部分の補正を行い、必要に応じて暗信号補正等も施してモニタ4000に画像を表示する。
【0064】
モニタ4000に表示されている画像は、コントローラによって例えば拡大縮小、濃淡の制御ができる。こうしてモニタに表示された画像を通じて被写体の病変を医師等が診断する。また、医師が診察したあとの被写体2000のレントゲン情報は、本システムの記録手段を設けて、ディスク状の記録媒体等に記録してもよい。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の放射線撮像装置によれば、導光手段に、前記光電変換素子のバンプ及び外部引出し用配線の電極による出っ張りを吸収する穴、又は溝を設けることにより、ファイバープレートと光電変換素子を近づけることができ、解像度の低下を防ぎ、薄型にすることができる。小型化、低コスト化に適し、製造工程での作業性に優れている。
【0066】
また、この放射線撮像装置を用いることで、小型化、低コストで解像度に優れた放射線撮像システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるファイバープレートの製造方法を示す図
【図2】第1の実施形態における光電変換素子とフレキシブル基板を示す図
【図3】ファイバープレートの出力面に形成された穴を示す図
【図4】穴が形成されたファイバープレートの全体を示す図
【図5】ファイバープレートを用いたX線撮像装置の基本的な構成を示す模式図
【図6】X線撮像装置の具体的構成例の断面図
【図7】第2の実施形態におけるファイバープレートを示す図
【図8】第3の実施形態を示す図
【図9】X線撮像装置を備えた非破壊検査システムの構成を示す概念図
【図10】X線撮像装置を備えたX線診断システムの構成を示す概念図
【図11】従来例(1)のX線撮像装置の概略的断面図
【図12】従来例(2)のX線撮像装置の概略的斜視図
【符号の説明】
100 シングルファイバー
200 シングルファイバー積層体
300 マルチファイバー
400 ファイバーインゴット
500 小型ファイバープレート
600 ファイバープレート接着剤
7 光電変換素子
71 光電変換素子の電極端子
72 画素
8 バンプ
9 フレキシブル基板
91 フレキシブル基板の電極
92 フレキシブル基板の絶縁層
10 大面積化したファイバープレート
10a ファイバープレートの穴
10b ファイバープレートの溝
10c ファイバープレート端部の溝
11 シンチレータ
14 ベース板
15 駆動用プリント基板
760 溝研磨ブレード
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファイバープレート(ファイバーオプテックプレートともいう)を用いたX線診断医療分野、非破壊検査分野に好適な放射線撮像装置及び放射線撮像システム、特に解像度を損なうことなく大面積撮像エリアを可能とした放射線撮像装置及び放射線撮像システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、放射線撮像装置、特に医療を目的とするX線撮像装置ではX線動画の撮像が可能で画像品位が優れ、且つ、薄型で大面積入力範囲を有するX線撮像装置が求められている。また医療用のみならず、産業用非破壊検査機等にも薄型で安価な大面積のX線撮像装置が求められている。
【0003】
かかるX線撮像装置においてX線が直接光電変換素子に入射すると、読み出し時にノイズとなり、また光電変換素子内の半導体の結晶が破壊され特性が悪くなる場合がある。
【0004】
そのため、X線を遮蔽するためファイバープレートが用いられる。ファイバープレートを用いれば撮像された光学像をぼかすことなくX線を遮蔽することが可能である。
【0005】
このようなX線撮像装置としては、例えば、(1)ファイバープレートのファイバー繊維に傾斜を設け、ファイバープレートの端部が、接続した光電変換素子(撮像素子)の不活性部を避けるようにして大面積化した装置(例えば、米国特許第5,563,414号)、(2)ファイバープレートの厚みに段差をつけ、ファイバープレートの端部が、各光電変換素子(撮像素子)の不活性部を避けるようにして大面積化した装置(例えば、米国特許第5,834,782号)等がある。
【0006】
図11は、上記(1)のX線撮像装置の概略的断面図である。X線撮像装置は、X線を可視光に変換する蛍光体等からなるシンチレータ11と、シンチレータ11によって変換された可視光を光電変換素子7側へ導く光ファイバー等のファイバープレート21と、ファイバープレート21によって導かれた可視光を電気信号に変換する光電変換素子7とを有する。
【0007】
このX線撮像装置は、ファイバープレート21を光電変換素子7に対して傾斜させており、ファイバープレート21間には、各光電変換素子7からの電気信号を処理する処理回路等が設けられている。
【0008】
図12は、上記(2)のX線撮像装置の概略的斜視図である。なお、図12において、図11と同様の部分には、同一の符号を付している。図12に示すように、ファイバープレート21の長さを部分的に変えて、例えば3つの光電変換素子7を一組として各組毎に段差を設けることによって、各光電変換素子7に処理回路等を備えられるようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記(1)の構成は、光ファイバーの軸に対して斜めに交差する導光面(光入出射面)を有しており、それぞれのファイバープレート21の光ファイバーの軸が互いに交差するように配置されている。この構成では、X線撮像装置の更なる小型化が困難である。
【0010】
一方、上記(2)の構成は、X線撮像装置が更に大型化する。また、各段差部分と光電変換素子7との位置合わせ精度が厳しいため、製造工数が多くなり、且つ高精度な位置合わせ装置が必要になる。これらを鑑みると上記(2)の構成は現実的ではない。
【0011】
このように、上記従来のX線撮像装置では、X線撮像装置の大型化、低コスト化、製造工程での作業性等の点で必ずしも十分なものではなかった。
【0012】
そこで、本発明の目的は、放射線撮像装置の小型化、低コスト化に適し、製造工程での作業性の優れ、特に薄型で、解像度に優れた放射線撮像装置及び放射線撮像システムを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、放射線を光に変換するシンチレータと複数の光電変換素子が一枚の導光手段を挟みこむ構成の放射線撮像装置において、前記導光手段には、前記光電変換素子のバンプ及び外部引出し用配線の電極による出っ張りを吸収する穴が設けられている。
【0014】
すなわち、一枚の大面積ファイバープレート上に複数の光電変換装置を隣接配置することで従来からの問題点を解決し、かつ、光電変換素子上の外部出力端子や外部出力端子と接合するためのバンプによる出っ張りを大面積ファイバープレートに設けた穴で前記出っ張りを吸収することでファイバープレートの光出射面と光電変換素子の受光部に近づけることが可能となりX線撮像装置の解像度を改善することができる。
【0015】
また、ファイバープレートに溝状の穴が設けられていることで容易に凹形状を形成することができ安価で解像度に優れた放射線撮像装置を提供することができる。
【0016】
したがって、穴又は溝を設けたファイバープレートを放射線撮像装置に用いることで、解像度が高く画像品位の優れた大面積、低コストの放射線撮像装置を提供することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明によるファイバープレートの製造方法を示す図である。
【0018】
まず、図1(a)に示すように、シングルファイバーを製作する。シングルファイバーは、中心のコアガラス101とその周囲を被覆するクラッドガラス102及び吸収体ガラス103から形成されている。
【0019】
コアガラス101+クラッドガラス102+吸収体ガラス103の複合体を、加熱装置のヒータ710に通し線引きローラ720で延伸することにより、複合体と断面が相似形のシングルファイバー100が得られる。
【0020】
次に図1(b)に示すように、上記シングルファイバー100を用いてマルチファイバーを製作する。シングルファイバー100を長さ方向に揃えて、積層体200を形成する。積層体200は、ここでは断面が6角形となるように積層したが、マルチファイバーが隙間なく積層できれば他の形状でもよい。
【0021】
シングルファイバー100の場合と同様に加熱延伸しマルチファイバー300を得る。
【0022】
次にマルチファイバー300を用いてファイバーインゴット400を製作する。図1(c)に示すように、マルチファイバー300を加熱プレス装置の金型730内に積層し、高温プレスによりファイバーインゴット400を完成させる。
【0023】
図1(d)に示すように、ファイバーインゴット400は、まずインゴット外形にそってスライス装置のスライサーブレード740を用いて切断することにより、小型のファイバープレート500を得る。
【0024】
次に、図1(e)で小型のファイバープレート500同士を接着剤600により接着する。
【0025】
なお、接着剤600の具体例としては、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、これらは単独または、2種類以上を組み合わせて使用される。また、添加剤としてX線遮蔽材料である鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、銀、スズ、ガドリニウム、タングステン、鉛、金、ランタン等の少なくとも一種の材料または合金、または化合物が用いられる。
【0026】
また、接着剤として、融点がファイバープレート材料より低くかつX線を遮蔽する、例えば鉛、ランタン、ガドリウム、ガドリニウム等の酸化物等の重金属を多く含む低融点ガラスや低融点金属の鉛、スズ、亜鉛、インジュウム、銀等の金属を2種類以上含む合金を用いてもよい。例えば半田やろうずけによる接着でもよい。
【0027】
図1(f)に示すように、両面研磨装置の回転砥石750にてファイバープレート500同士を接着した際の厚みばらつきや段差、あるいは接着剤のはみ出しを研磨により取り去り、導光手段としての大面積のファイバープレート10を完成させる。
【0028】
最後に、ファイバープレート10の出力面で光電変換素子7の接続部、すなわち、フレキシブル基板9の電極91とバンプ8による出っ張り部分に合わせて穴10aを形成する。
【0029】
図2は、本実施形態に用いた光電変換素子7とフレキシブル基板9を示す図である。光電変換素子7の電極端子71からフレキシブル基板9へ配線し接続している様子を示す。72は、光電変換素子7の画素、8は、バンプであり、91、92は、フレキシブル基板9のそれぞれ電極、絶縁層である。
【0030】
図3は、ファイバープレート10の出力面に形成された穴10aを示す図であり、図4は、穴10aが形成されたファイバープレート10の全体を示す図である。
【0031】
ファイバープレート10の出力面で光電変換素子7の接続部、すなわち、フレキシブル基板9の電極91とバンプ8による出っ張り部分に合わせて穴10aが形成されている。
【0032】
図2(b)に示すように光電変換素子7の出っ張り部分は、バンプ8と電極91の高さが40μm、幅120μm、長さ200μmであるので、ファイバープレート10の穴10aは、位置合わせマージンを含め、深さ50μm、幅160μm、長さ240μmで加工した。
【0033】
加工の方法としては、ファイバープレート10にステンレス鋼によるマスクをかぶせマスキングしたのち、ブラスト処理により穴を形成している。
【0034】
今回は、ブラスト処理により加工したが、フッ酸等による化学的エッチングや超音波発振子と研磨粉による微細加工等の方法でもよい。
【0035】
上述した製造方法で製作された大面積ファイバープレート10を図4に示す。図4に示す大面積ファイバープレート10は、例えば30cm×30cmの大きさで厚みは3mm程度である。この大きさは構成するX線撮像装置の有効面積より少し大きい方が好ましい。
【0036】
厚みはX線を十分に遮蔽する厚みが求められ、例えばランタン系のガラスを用いた場合、厚みが3mmであれば、X線は1/10から1/1000に減衰する。この値は使用するX線の波長により変化するものであるから装置の使用するX線波長に合わせてファイバープレート10の厚みを決めればよい。
【0037】
この大面積のファイバープレートを図5、図6のように組み合わせ、X線撮像装置を構成する。
【0038】
図5は、ファイバープレート10を用いたX線撮像装置の基本的な構成を示す模式図である。7は、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ、バイポーラ型イメージセンサ、CMD型イメージセンサ、薄膜トランジスタ型イメージセンサ等の集積回路チップで構成された光電変換素子であり、複数の光電変換素子が並べられた大面積の光電変換素子(撮像素子)が構成されている。
【0039】
10は、図4で示した大面積のファイバープレートであるが、ここでは、小型ファイバープレート500同士のつなぎ部分を省略し、大面積のファイバープレート10のみを示している。ファイバープレート10の導光面は上下の主面(光入出射面)である。また、図4で示した、ファイバープレート10に空けた穴10aや光電変換素子の電極の出っ張りは省略している。
【0040】
また、11は、放射線を可視光に変換するシンチレータであり、Gd2 O2 S(Tb)のようなガドリニウム硫化酸化物、CsI(TI)のようなヨウ化セシウムに代表されるハロゲン化アルカリ金属等の材料からなる層状部材である。
【0041】
貼りあわされた大面積ファイバープレート10の導光面積は、貼りあわされた大面積光電変換素子7の有効受光面積と同じか、それよりも大きなものとし、さらに、シンチレータ11の有効面積は、貼り合わされた大面積ファイバープレート10の導光面と同じか、それよりも大きくするとよい。
【0042】
図5において、上方から放射線がシンチレータ11の上面に入射すると、シンチレータ11は、可視光域の光を発光する。シンチレータ11と光電変換素子7との間に配されたファイバープレート10が、この光を光電変換素子7の受光部に導く。受光部に入射した光はそこで画素毎に光電変換され電気信号として読み出される。
【0043】
ここで、ファイバープレート10は放射線が光電変換素子7へ入射することを防いでいるので、光電変換素子の誤動作、ノイズの生成を抑制することができる。
【0044】
なお、本発明の撮像装置はX線撮像装置に好適に用いることができるが、特にそのようなX線に限定されるものではなく、α、β、γ線等の放射線像を検出する放射線撮像装置にも用いることができる。また、光は、画素により検出可能な波長領域の電磁波であり、可視光を含む。
【0045】
図6は、X線撮像装置の具体的構成例の断面図である。図6(a)には、X線を光電変換素子7で可視光等の検地可能な波長の光に変換するシンチレータ11と、シンチレータ11によって変換された光を光電変換素子7側へ導く複数のファイバープレートを接着した大面積ファイバープレート10と、光を電気信号に変換する光電変換用受光素子を備えた複数の光電変換素子7とを有する装置が示されている。
【0046】
この装置において、大面積ファイバープレート10には光電変換素子7の電極出っ張り部に対応した穴10aが設けられ、大面積ファイバープレート10と複数の画素を備えた光電変換素子7とを接着する弾性に優れた透明接着剤20と、各光電変換素子7からの電気信号を外部に出力するための配線を有するフレキシブル基板9と、フレキシブル基板9と光電変換素子7とを電気的に接続するバンプ8と、フレキシブル基板9が接続される駆動用プリント基板15と、シンチレータ11を保護するアルミ保護シート16と、光電変換素子7を搭載するベース基板14と、ベース基板14を保持するための筐体17と、筐体17に取り付けられた筐体カバー18とが備えられている。X線の透過率が高く、光に対する遮光性、機械特性に優れたCFRP板19が光電変換素子7及びシンチレータ11を保護している。なお、シンチレータ11上には、アルミ反射層12、保護層13が設けられる。
【0047】
以下に加工方法を述べる。図6(b)に示すように、光電変換素子7の電極91に金バンプ8を形成するスタッドバンプでもめっきによる方法でもかまわない。次に、フレキシブル基板9で金めっきされた電極91をバンプ8に位置合わせした後、熱と圧力によりバンプ8とフレキシブル基板9の電極91とを接合する。さらに、フレキシブル基板9は、光電変換素子7の端部にて光電変換素子7の裏面方向に曲げられる。このときフレキシブル基板9の電極91と光電変換素子7が電気的に短絡しないよう光電変換素子7の端部にはフレキシブル基板9の絶縁層92が挟まるように位置合わせする必要がある。また、挟みこんだフレキシブル基板9の絶縁層92が電極91を引っ張り切断させないように先端をテーパー形状とし、かかる応力を低減している。
【0048】
具体的には、フレキシブル基板9の絶縁層92はポリイミドでエッチングにより先端形状をテーパー状にしている。
【0049】
このフレキシブル基板9を曲げられて接続された光電変換素子7を、ベース板14上にそれぞれ位置をアライメントされ接着される。ベース板14にはフレキシブル基板9に対するスリット穴141が設けられており、フレキシブル基板9はベース板14の裏面方向へ引き出される。
【0050】
次に、貼り合わせによって大面積化した光電変換素子7とファイバープレート10を接着する。予めファイバープレート10には光電変換素子7の電極引きだしにより出っ張った部分を避けるために穴10aが設けられており、慎重にアライメント装置を用いてファイバープレート10と光電変換素子7を貼り合わせる。
【0051】
透明接着剤20は、光電変換素子7とファイバープレート10の熱膨張差のミスマッチングを補償するために弾性に優れたものを用いた。液晶パネルプロセスのように、周辺にシールを形成し透明接着剤20を真空注入することにより光電変換素子7とファイバープレート10との間に気泡が混入することを防止している。
【0052】
その後、透明接着剤20を加熱硬化させた撮像モジュールに、アルミに樹脂をラミネートしたアルミ保護層16を接着し、筐体17、筐体カバー18、CFRP19で迷光の進入、水分の浸入、外部応力から保護する目的で組立て放射線撮像装置を完成させている。
【0053】
以上説明したように、本実施形態のようにファイバープレート10に穴10aを設け、光電変換素子7の電極接続による出っ張りを吸収することにより、ファイバープレート10と光電変換素子7を近づけることができ、従来より問題となっていた解像度の低下を防ぎ、かつ、大面積の有効受光部と高い画像品位と、薄型で製造上の低コストを兼ね備えた放射線撮像装置を実現した。
【0054】
なお、導光手段としてのファイバープレート10について、ファイバープレート10にレンズ群を加えることもできる。そして、ファイバープレート10やレンズ群の材料としてX線遮蔽効果の高い鉛ガラスを含むようにすることもできる。
[第2の実施形態]
図7は、第2の実施形態におけるファイバープレート10を示す図である。ファイバープレート10に施すザグリ穴を溝状に構成したものであり、ダイシング装置、スライス装置や研磨装置といった加工装置にて比較的簡単に溝加工ができることが特徴である。760は、溝研磨ブレードである。
【0055】
上記装置にて必要な幅のブレード、あるいは研磨板を選択し必要な深さに切り込み量を設定し加工する。溝10bの深さを従来と同じに設定すれば、溝部にかかる部分のみ従来の解像度であり、その他の大部分の受光領域は解像度を向上することができる。
[第3の実施形態]
図8は、第3の実施形態を示す図である。図8(a)において、ファイバープレート10に施す溝10cが、ファイバープレート10の端部に差し掛かるもので、図7と同様、ダイシング装置、スライス装置や研磨装置といった加工装置にて比較的簡単に溝加工ができることが特徴である。
【0056】
また、図8(b)はこのファイバープレート10を用いてX線撮像装置を構成したものである。シンチレータ11がCsI等の蒸着によるものである場合、ファイバープレート10の外周部分はシンチレータ膜が薄くなり利用できる領域ではない。溝10cを入れた領域がシンチレータ膜が薄い領域を吸収するので光電変換素子の受光領域を無駄なく利用できる利点がある。
【0057】
以下に述べる放射線撮像システムの形態である非破壊検査システム又はX線診断システムは、上述した放射線撮像装置を用いたシステムである。
【0058】
図9は、X線撮像装置を備えた非破壊検査システムの構成を示す概念図である。上述した実施形態のX線撮像装置1000と、被写体2000と、被写体2000にX線を照射するマイクロフォーカスX線発生器3000と、X線撮像装置から信号を処理する画像処理装置6000と、画像処理された画像を表示するモニタ4000と、これらを制御するコントローラ5000を示している。
【0059】
マイクロフォーカスX線発生器3000により発生したX線を、非破壊検査したい被写体2000に照射すると、被写体2000内部の欠陥有無の情報がX線撮像装置1000を通じて画像処理装置6000に出力される。画像処理装置6000では、出力信号を上述しているファイバープレート間つなぎ部で出力の低下した部分の補正を行い、必要に応じて暗信号補正等も施してモニタ4000に画像を表示する。
【0060】
モニタ4000に表示されている画像は、コントローラ5000によって例えば拡大縮小、濃淡の制御ができる。こうしてモニタ4000に表示された画像を通じて被写体2000の内部の欠陥を発見、不良品として製造工程から除外する。
【0061】
図10は、X線撮像装置を備えたX線診断システムの構成を示す概念図である。
【0062】
図10には、X線撮像装置1000を備えたベッドと、被写体2000にX線を照射するためのX線発生装置7000と、X線撮像装置1000から出力される画像信号の処理と、X線発生装置1000からのX線照射時期等を制御するイメージプロセッサ8000とイメージプロセッサ8000によって処理された画像信号を表示するモニタ4000を示している。なお、図10において、図9で示した部分と同様の部分には同一符号を付している。
【0063】
図10に示すX線診断システムでは、X線発生装置7000はイメージプロセッサ8000からの指示に基づいてX線を発生させ、このX線をベッド上の被写体2000に照射すると被写体2000のレントゲン情報がX線撮像装置を通じてイメージプロセッサ8000に出力される。イメージプロセッサ8000では出力された信号を上述したファイバープレート間つなぎ部で出力の低下した部分の補正を行い、必要に応じて暗信号補正等も施してモニタ4000に画像を表示する。
【0064】
モニタ4000に表示されている画像は、コントローラによって例えば拡大縮小、濃淡の制御ができる。こうしてモニタに表示された画像を通じて被写体の病変を医師等が診断する。また、医師が診察したあとの被写体2000のレントゲン情報は、本システムの記録手段を設けて、ディスク状の記録媒体等に記録してもよい。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の放射線撮像装置によれば、導光手段に、前記光電変換素子のバンプ及び外部引出し用配線の電極による出っ張りを吸収する穴、又は溝を設けることにより、ファイバープレートと光電変換素子を近づけることができ、解像度の低下を防ぎ、薄型にすることができる。小型化、低コスト化に適し、製造工程での作業性に優れている。
【0066】
また、この放射線撮像装置を用いることで、小型化、低コストで解像度に優れた放射線撮像システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるファイバープレートの製造方法を示す図
【図2】第1の実施形態における光電変換素子とフレキシブル基板を示す図
【図3】ファイバープレートの出力面に形成された穴を示す図
【図4】穴が形成されたファイバープレートの全体を示す図
【図5】ファイバープレートを用いたX線撮像装置の基本的な構成を示す模式図
【図6】X線撮像装置の具体的構成例の断面図
【図7】第2の実施形態におけるファイバープレートを示す図
【図8】第3の実施形態を示す図
【図9】X線撮像装置を備えた非破壊検査システムの構成を示す概念図
【図10】X線撮像装置を備えたX線診断システムの構成を示す概念図
【図11】従来例(1)のX線撮像装置の概略的断面図
【図12】従来例(2)のX線撮像装置の概略的斜視図
【符号の説明】
100 シングルファイバー
200 シングルファイバー積層体
300 マルチファイバー
400 ファイバーインゴット
500 小型ファイバープレート
600 ファイバープレート接着剤
7 光電変換素子
71 光電変換素子の電極端子
72 画素
8 バンプ
9 フレキシブル基板
91 フレキシブル基板の電極
92 フレキシブル基板の絶縁層
10 大面積化したファイバープレート
10a ファイバープレートの穴
10b ファイバープレートの溝
10c ファイバープレート端部の溝
11 シンチレータ
14 ベース板
15 駆動用プリント基板
760 溝研磨ブレード
Claims (7)
- 放射線を光に変換するシンチレータと複数の光電変換素子が一枚の導光手段を挟みこむ構成の放射線撮像装置において、前記導光手段には、前記光電変換素子のバンプ及び外部引出し用配線の電極による出っ張りを吸収する穴が設けられていることを特徴とする放射線撮像装置。
- 前記導光手段に穴の代わりに溝が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の放射線撮像装置。
- 前記導光手段の端部に溝が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の放射線撮像装置。
- 前記導光手段はファイバープレートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放射線撮像装置。
- 前記導光手段はファイバープレートとレンズ群であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放射線撮像装置。
- 前記導光手段の材料に鉛ガラスを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の放射線撮像装置。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の放射線撮像装置と、前記放射線撮像装置からの信号を処理するための信号処理手段と、前記信号処理手段からの信号を記録するための記録手段と、前記信号処理手段からの信号を表示するための表示手段と、前記放射線を発生させるための放射線源とを具備することを特徴とする放射線撮像システム。
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