JP2004085418A - 化学分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複雑な流路を有した化学分析装置を容易に小型化して構成でき、液体の精密な流量制御を可能にして信頼性の高いデータが得られ、液体を変質させるようなことがなく、また液体のみの試薬などにも適用できる汎用性と優れた操作性を備えた化学分析装置を提供する。
【解決手段】液体供給口2a、2bとその排出口2cとを連結する液体流路2dがその片面側に略矩形又はV字形、U字形断面状等に開口して形成された流路基板2と、流路基板2の開口した液体流路側に覆設された被覆基板3と、液体流路2dに対向する被覆基板3上に流路間隔を有して配置された薄膜状圧電振動体4、5と、を有した輸液機構1により化学分析装置を構成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はセンサや分析装置などを小型集積化した化学分析システム(μ−TAS)において、試料液や試薬、潤滑液などの液体を定量的に供給するための輸液機構を備えた化学分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の化学分析システムにおいては、試料液などの液体を輸送するための輸液機構として、例えば、以下のような技術のものが知られている。
【0003】
(1)特開平8−178197号公報(以下イ号公報という)には、小口径管の外壁と大口径管の内壁とが一定の間隔を保つように同軸に配置する互に径の異なる大小2本の弾性体管と、該大口径管の両端部から各々一定距離隔たった該大口径管と同軸に装着する少なくとも2箇の円環状超音波振動子と、該振動子の振動により該大口径管内面に励起された表面弾性波により該小口径管と該大口径管にはさまれた空隙内に満たされた液体を一定方向に輸送するポンプ部を備えた液体定量輸送装置が記載されている。
【0004】
(2)特開平10−70890号公報(以下ロ号公報という)には、微小物体を含む液体にレーザー光を照射して、その微小物体と周囲の液体との屈折率の差で生じる光圧回転力を利用して流体を駆動させる輸液機構が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術のものでは以下のような課題を有していた。
【0006】
(1)イ号公報に記載の液体定量輸送装置は、3次元状に形成された円環状超音波振動子を大口径管に装着して用いるので、複雑な流路構成を有した化学分析装置においては、装置全体が大型化してしまうという課題があった。
【0007】
(2)複雑で入り組んだ液体流路を有する化学分析装置においては、小型化が困難であるため液体の精密な流量制御ができず、信頼性の高いデータが得られないという課題があった。
【0008】
(3)輸液機構が大きくなるので、極微小量の液体を正確に抽出したり、供給したりする操作性に欠け、微量分析には適しないという課題があった。
【0009】
(4)ロ号公報に記載のレーザー光を用いる輸液機構では、適用される液体中に微小物体が含まれる必要があり、液体のみの試薬などには適用できず汎用性に欠けるという課題があった。
【0010】
(5)レーザー光を試料などに照射するので、光化学反応により試料が変質されて正確な化学分析データが得られない場合があるという課題があった。
【0011】
(6)レーザー光の発生装置を必要とするので装置が複雑であり、また、回転軸機構の潤滑には制約条件があり信頼性の面で問題があった。
【0012】
(7)微小物体の形状を安定した形状で生産することが難しく、性能のばらつきも大きい上、多大な設備費用も必要となるという課題があった。
【0013】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、複雑な流路を有した化学分析装置を容易に小型化して構成でき、液体の精密な流量制御を可能にして信頼性の高いデータが得られ、液体を変質させるようなことがなく、また液体のみの試薬などにも適用できる汎用性と優れた操作性を備えた化学分析装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は化学分析装置内の液体流路中に薄膜ピエゾ(薄膜状圧電振動体)をパターンニングしそれに表面弾性波を発生させて流路中の液体を駆動させることを特徴とする。これによって、複雑な流路を有した化学分析装置を容易に小型化して構成でき、液体の精密な流量制御を可能にして信頼性の高い化学分析データが得られ、液体のみの試薬などにも適用できる汎用性と優れた操作性を備えた化学分析装置を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の化学分析装置は、液体の供給口とその排出口とを連結する液体流路がその片面側に形成された流路基板と、流路基板の液体流路側に覆設された被覆基板と、被覆基板上の液体流路に対向する位置に配置された薄膜状圧電振動体と、を備えた構成とした。
【0016】
この構成によって、以下の作用を有する。
【0017】
(a)液体流路のパターンをエッチング処理によりガラス質などの流路基板に形成させ、被覆基板上に形成された薄膜状圧電振動体を所定の振動方向に振動させることにより、薄膜状圧電振動体に接する液体流路内の液体に駆動力を発生させて液体の排出口に向けて輸送することができ、制御性に優れている。
【0018】
(b)略平板状の流路基板と被覆基板との間に液体流路を形成させるので、全体の厚みが薄く、極めて小型の輸液機構を構成させることができ、微量な試薬などの精密な添加を可能にして、信頼性の高い化学分析データが得られる。
【0019】
(c)レーザー光を用いる輸液機構の場合のように、レーザー照射による試料液の変質がなく、しかも液体を駆動させるための微小物体を添加する必要もないので、制約条件が少なく汎用性に優れた化学分析装置を提供できる。
【0020】
請求項2に記載の化学分析装置は、請求項1において、被覆基板がシリコン基板である構成とした。
【0021】
この構成によって、請求項1の作用に加えて以下の作用を有する。
【0022】
(a)被覆基板がシリコン基板であるので、液体を流動させるときの流路部分の摩擦抵抗を低減することができ、薄膜状圧電振動体で発生するせん断エネルギーが、対向する被覆基板側の抵抗により失なわれる量を低減し、振動の伝達効率を高めて効率的に液体を流動させることができる。
【0023】
請求項3に記載の化学分析装置は、薄膜状圧電振動体に対向する流路基板の流体接触面に撥水処理を施した構成とした。
【0024】
この構成によって、請求項1、2の作用に加えて以下の作用を有する。
【0025】
(a)薄膜状圧電振動体に対向する液体流路の流体接触面に撥水処理が施されているので、液体を流動させるときの流路部分の摩擦抵抗を低減することができ、薄膜状圧電振動体で発生するせん断エネルギーが、対向する液体流路側の抵抗により失なわれる量を低減し、振動の伝達効率を高めて効率的に液体を流動させることができる。
【0026】
(b)また、薄膜状圧電振動体の表面を親水化することもでき、流体へのせん断エネルギーの伝達を効率的にして、さらに効率的に液体を流動させることもできる。
【0027】
(c)比較的開口面積が大きくなる流路に適用した場合には、撥水処理がなされているので、処理する液中の固形分などが付着しにくくなり、常時一定の流動抵抗を維持させ、滴量測定などにおける注入量の精度を高めることができる。
【0028】
請求項4に記載の化学分析装置は、薄膜状圧電振動体が、Pb、Zr及びTiを含むペロブスカイト型構造を有する圧電体である構成とした。
【0029】
この構成によって、請求項1〜3の作用に加えて以下の作用を有する。
【0030】
(a)薄膜状圧電振動体が、Pb、Zr及びTiを含むペロブスカイト型構造を有する圧電体であるので、圧電体を薄膜化しても、絶縁破壊を起こすことがないので、薄膜化が可能となり液体流路を微細化して、極めて微量な液体を流動させることができる。
【0031】
請求項5に記載の化学分析装置は、薄膜状圧電振動体の膜厚が1μm〜10μm、比誘電率が150〜500である構成とした。
【0032】
この構成によって、請求項4の作用に加えて以下の作用を有する。
【0033】
(a)薄膜状圧電振動体が、薄膜状圧電振動体の膜厚が1μm〜10μm、比誘電率が150〜500であるので、薄膜化が可能で、かつ、微動も可能となり、液体流路を微細化して、極めて微量な液体を流動させることができる。
【0034】
請求項6に記載の化学分析装置は、請求項1〜5に記載の発明において、薄膜状圧電振動体が液体流路に複数備えられ、その振動方向を対向させて配置して構成されている。
【0035】
この構成によって、請求項1〜5の作用に加えて、以下の作用を有する。
【0036】
(a)化学分析装置内の単一流路中に薄膜状圧電振動体による液体駆動機構を複数設けることにより、液体流路における液体の流れの制御性をさらに向上させることができる。
【0037】
(b)薄膜状圧電振動体による液体駆動機構を複数対向させて配置し、その振動方向を対向させているので、液体流路内に生じる対向流の衝突部分では層流で流動してきた液体が強制的に乱され流路スケールによっては乱流となるか層状を保ったまま強く混合される。これによって、化学分析装置内の2種類の液体混合を強力に促進することが可能となる。
【0038】
(c)このように液体流路内に液体の撹拌機構を付与して、混合溶液を送りながら効率的に混合して測定のバラツキを少なくし、化学分析装置で測定されるデータの信頼性を上げることができる。
【0039】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0040】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における化学分析装置の輸液機構の模式斜視図であり、図2は本発明の実施の形態1における化学分析装置の輸液機構の分解説明図である。
【0041】
図1及び図2において、1は実施の形態1における化学分析装置の輸液機構、2は試料液や試薬などの液体が供給される液体供給口2a、2bと液体が吐出される液体排出口2cを備えた液体流路2dがその片面側に所定のパターンで形成されたガラス質板などで構成される流路基板、3は流路基板2の開口した液体流路2d側に覆設されたシリコン質板などで構成される被覆基板、4、5は液体流路2dに対向する被覆基板3上に所定の流路間隔を有して配置された厚みが数十〜数百μmの薄膜状圧電振動体、6は薄膜状圧電振動体4、5に接続され銅などの帯状の導電体で形成された電極部である。
【0042】
本実施の形態の化学分析装置では、液体供給口2aと液体供給口2bからそれぞれ異なる液体、例えば液体供給口2aからは分析の対象となる試料液が、液体供給口2bからは試料に対し特別な反応を示す試薬が供給され、試料液及び試薬がそれぞれ流入する液体流路2dに対応して薄膜状圧電振動体4、5が配置されている。
【0043】
この流路基板2における液体流路2dはガラス基板をエッチングなどの処理を施すことで容易に得ることができる。なお、この流路基板2における液体流路2dの深さは数十から数百ミクロン程度になっている。そして、流路基板2としては、ガラスや金属の板状体が適用できる。この片側面にエッチング処理などを施すことにより略矩形又はV字形、U字形等の断面状に開口してその流路深さが数十から数百μmの液体流路2dのパターンを形成させることができる。
【0044】
被覆基板3にはあらかじめ所定パターンの電極部6が形成されている。この電極部6上の一部に薄膜状圧電振動体4、5がスパッタリングなどにより接合して形成され、薄膜状圧電振動体4、5に電力が供給されて所定の振動を発生させるようにしている。そして、被覆基板3としては、シリコン基板が適用でき、シリコン基板とすることで、処理する液中の固形分などが付着しにくくなり、常時一定の流動抵抗を維持させ、滴量測定などにおける注入量の精度を高めることもできる。
【0045】
薄膜状圧電振動体4、5としては、例えば、Pb、Zr及びTiを含むペロブスカイト型構造を有する圧電体であって、その膜厚が1μm〜10μm、比誘電率が150〜500のものが使用できる。
【0046】
実施の形態1においてはこれらの基板の流路パターンの位置を一致させて接合し図1の状態で小型化学分析装置の一部である輸液機構1として適用する。
【0047】
ここで、薄膜状圧電振動体を用いた輸液機構の動作原理について図3を用いて説明する。図3は化学分析装置における輸液機構の動作原理説明図である。
【0048】
図3において、7は薄膜状圧電振動体A、Bに電力を供給するための駆動電源部であり、A、Bは液体流路に沿って互いに並列に配置された2つの薄膜状圧電振動体である。駆動電源部7を用いて所定の電圧を印加することにより薄膜状圧電振動体A、B上の一点を振動させると、その点から周囲に向って表面波振動を伝搬させることができる。
【0049】
この振動部分以外での表面の特定点Pの運動方向は接液面に垂直な方向のみではなく楕円軌道を描くことになり、この点Pにおける薄膜状圧電振動体A、Bと液体との摩擦力により液体は矢印に示す方向に引きずられ、液体は全体的に矢印の方向に移動する。この液体の輸送速度は薄膜状圧電振動体A、Bを駆動させる駆動電力によって調節される。
【0050】
図3では薄膜状圧電振動体A、Bを液体流路に沿って並列に配置させ、一方を加振部、他方を吸振部として、両薄膜状圧電振動体間に発生する表面波の伝搬方向を一定方向に維持させるようにしている。さらに、各薄膜状圧電振動体A、Bの距離はその両端部から表面弾性波の1/4波長相当の距離に設置し、薄膜状圧電振動体A、Bの駆動周波数を50KHzとした。また、並列配置された2個の薄膜状圧電振動体A、Bにそれぞれ印加する交流電圧の位相を約180度ずらすことにより、流体基板と薄膜状圧電振動体A、Bとの間に形成された液体流路に表面進行波を発生させることができる。
【0051】
また、この薄膜状圧電振動体A、Bの個数を必要に応じて増加して各振動子への駆動電力の位相をずらして調節することで、液体流路の表面波振幅の均一性を向上させ液体輸送の安定性を改善することも可能である。
【0052】
本発明の実施の形態1における輸液機構1も、図3で説明した動作原理に基づくものである。
【0053】
ここで、図4は本発明の実施の形態1における化学分析装置の輸液機構の説明図であり、図1および図2における液体流路2dの薄膜状圧電振動体4(或いは5)を含む部分の断面を示している。図4において、8は液体流路2dの液体、12、13は薄膜状圧電振動体であり、薄膜状圧電振動体4(或いは5)の一部分である。
【0054】
図4に示すように、超音波振動子としての薄膜状圧電振動体12、13(薄膜ピエゾ)に対し、図示しない電源回路から所定パターンに形成された電極部6を介して駆動電圧をかけることで表面弾性波を生じさせることが可能で、薄膜状圧電振動体12、13に面した液体8にせん断エネルギーを与えることができる。
【0055】
よって前記と同様の輸液原理により液体流路2d内の液体8を駆動することが可能である。このとき印加電圧の駆動周波数は化学分析装置のスケールにより最適なものとするのは言うまでも無い。
【0056】
なお、本発明によれば流動させる液体8は連続して液体流路2dを満たしていなくても移送可能であり、液体8が分散した液滴状態でも構わない。
【0057】
なお、図1、図2で示した実施の形態1の化学分析装置における液体流路2dや薄膜状圧電振動体4、5、電極部6はごく単純なパターンで配置された状態を例示しており、これら流路基板2上の液体流路2dのパターン、被覆基板3上の電極部6のパターンおよび薄膜状圧電振動体4、5の配置パターンは半導体チップの生産プロセスの技術を応用することにより作成できるため、複雑でかつ極めて精度および集積度が高く、大量生産に向くため安価に生産することも可能である。そのため、本発明により装置を容易に小型化できると同時に本実施の形態よりも遥かに複雑な構成の装置も大量かつ安価に生産できることとなる。
【0058】
実施の形態1の化学分析装置は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
【0059】
(a)化学分析装置の輸液機構1における液体流路2d内に薄膜状圧電振動体を必要に応じて複数設けることができるので、液体流路2dにおける流体の制御性をさらに向上させることができる。
【0060】
(b)液体流路2dを形成させるパターンをエッチング処理によりガラス質などの流路基板2に形成させることができ、小型で複雑な液体流路2dを有した化学分析装置を容易に製造でき、生産性と経済性に優れている。
【0061】
(c)被覆基板3上に形成された薄膜状圧電振動体4、5を所定の振動方向に振動させることにより、薄膜状圧電振動体4、5に接する液体流路2d内の液体に駆動力を発生させ液体排出口2cに向けて輸送することができ、制御性に優れている。
【0062】
(d)略平板状の流路基板2と被覆基板3との間に液体流路2dを形成させるので、全体の厚みを薄くでき、微量な試薬を精密に添加でき、信頼性の高い化学分析データが得られる。
【0063】
(実施の形態2)
図5は本発明の実施の形態2における化学分析装置の輸液機構の説明図である。
【0064】
図5において、10は実施の形態2の化学分析装置における輸液機構、11は化学分析装置においてガラス製の流路基板2の液体流路2dに形成された例えば低分子ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などからなる撥水性被膜層、12、13は撥水性被膜層11に対向する被覆基板3に配置された薄膜状圧電振動体である。なお、実施の形態1と同様の機能を有するものについては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0065】
実施の形態2の化学分析装置は液体流路2dの薄膜状圧電振動体12、13の振動面に対向する流路基板2の表面に撥水性被膜層11がコーティングされて形成され、水を含んだ液体8を流動させるとき、その流路部分の摩擦抵抗を低減することができる。したがって、薄膜状圧電振動体12、13の側で発生するせん断エネルギーを対向する流路基板2側の抵抗により失う量を低減し、効率的に液体8を流動させることができる。
【0066】
さらに、薄膜状圧電振動体12、13の表面を親水性樹脂で被覆したり、表面粗さを粗くしたりして親水化することで流体へのせん断エネルギーの伝達が効率的に行われ、さらに効率的に液体を流動させることも可能となる。
【0067】
実施の形態2の化学分析装置は以上のように構成されているので、実施の形態1の作用に加えて以下の作用を有する。
【0068】
(a)薄膜状圧電振動体12、13に対向する流路基板2の流体接触面が撥水処理されているので、液体を流動させるときの流路部分の摩擦抵抗を低減することができ、薄膜状圧電振動体12、13で発生するせん断エネルギーが、対向する流路基板2側の抵抗により失なわれる量を低減し、振動の伝達効率を高めて効率的に液体8を流動させることができる。
【0069】
(b)薄膜状圧電振動体12、13の表面を親水化することもでき、輸送される液体8へのせん断エネルギーの伝達を効率的にして、さらに効率的に液体を流動させることもできる。
【0070】
(実施の形態3)
図6は本発明の実施の形態3における化学分析装置の輸液機構の説明図である。
【0071】
図6において、20は実施の形態3の化学分析装置における輸液機構、21、22は互いの振動方向を逆にして対向させ液体流路2dに並列配置された薄膜状圧電振動体、23は薄膜状圧電振動体21、22間の被覆基板3に形成された液体排出部である。
【0072】
なお、実施の形態1と同様の機能を有するものについては同一の符号を付してその説明を省略する。本発明の実施の形態3の輸液機構20においては、液体流路2d内に薄膜状圧電振動体21、22による流体駆動構成が振動方向を対向させて二箇所備えられていて、薄膜状圧電振動体21、22の振動によって駆動される液体の流れを薄膜状圧電振動体21、22の間で衝突混合させ、この均一混合された液体を液体排出部23から排出できるようになっている。
【0073】
なお、このような薄膜状圧電振動体21、22の配置構成は流路幅などの等しい液体流路内だけでなく一部流路を拡張したチャンバー状の流路内でも設置可能であり、そのパターンによってはさらに効率的な混合促進効果を実現することができる。
【0074】
実施の形態3の化学分析装置は以上のように構成されているので、実施の形態1の作用に加えて以下の作用を有する。
【0075】
(a)化学分析装置内の液体流路2d内に振動方向を逆向に対向して配置された薄膜状圧電振動体21、22が設けられているので、液体流路2dにおける液体の流れの制御性をさらに向上させることができる。
【0076】
(b)薄膜状圧電振動体21、22を対向させて配置し、その振動方向を対向させているので、液体流路2d内に生じる対向流の衝突部分では層流状態で流動してきた液体が強制的に乱され流路スケールによっては乱流となるか層状を保ったまま強く混合される。これによって、化学分析装置内の2種類の液体混合を強力に促進できる。
【0077】
(c)液体流路2d内に液体の撹拌機構を付与することができ、混合溶液を送りながら効率的に混合して測定のバラツキを少なくし、化学分析装置で測定されるデータの信頼性を上げることができる。
【0078】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、薄膜状圧電振動体の振動により表面弾性波を発生させることにより微小な液体流路内の流体を駆動させることができ、液体の流れを精密に制御して混合操作を行うこともでき、優れた制御性と操作性を備えると共に、小型化した化学分析装置を提供することができる。
【0079】
請求項1に記載の化学分析装置によれば、以下の効果を有する。
【0080】
(a)液体流路のパターンをエッチング処理によりガラス質などの流路基板に形成させることができ、被覆基板上に形成された薄膜状圧電振動体を所定の振動方向に振動させることにより、薄膜状圧電振動体に接する液体流路内の液体に駆動力を発生させて液体の排出口に向けて輸送することができ、制御性に優れている。
【0081】
(b)略平板状の流路基板と被覆基板との間に液体流路を形成させるので、全体の厚みが薄く、極めて小型の輸液機構を構成させることができ、微量な試薬などの精密な添加を可能にして、信頼性の高い化学分析データが得られる。
【0082】
(c)レーザー光を用いる輸液機構の場合のように、レーザー照射による試料液の変質がなく、しかも液体を駆動させるための微小物体を添加する必要もないので、制約条件が少なく汎用性に優れた化学分析装置を提供できる。
【0083】
請求項2に記載の化学分析装置によれば、請求項1の効果に加えて以下の効果を有する。
【0084】
(a)被覆基板がシリコン基板であるので、液体を流動させるときの流路部分の摩擦抵抗を低減することができ、薄膜状圧電振動体で発生するせん断エネルギーが、対向する被覆基板側の抵抗により失なわれる量を低減し、振動の伝達効率を高めて効率的に液体を流動させることができる。
【0085】
請求項3に記載の化学分析装置によれば、請求項1、2の効果に加えて以下の効果を有する。
【0086】
(a)薄膜状圧電振動体に対向する液体流路の流体接触面に撥水処理が施されているので、液体を流動させるときの流路部分の摩擦抵抗を低減することができ、薄膜状圧電振動体で発生するせん断エネルギーが、対向する液体流路側の抵抗により失なわれる量を低減し、振動の伝達効率を高めて効率的に液体を流動させることができる。
【0087】
(b)また、薄膜状圧電振動体の表面を親水化することもでき、流体へのせん断エネルギーの伝達を効率的にして、さらに効率的に液体を流動させることもできる。
【0088】
(c)撥水処理がなされているので、処理する液中の固形分などが付着しにくくなり、常時一定の流動抵抗を維持させ、滴量測定などにおける注入量の精度を高めることができる。
【0089】
請求項4に記載の化学分析装置によれば、請求項1〜3の効果に加えて、以下の効果を有する。
【0090】
(a)薄膜状圧電振動体が、Pb、Zr及びTiを含むペロブスカイト型構造を有する圧電体であるので、圧電体を薄膜化しても、絶縁破壊を起こすことがないので、薄膜化が可能となり液体流路を微細化して、極めて微量な液体を流動させることができる。
【0091】
請求項5に記載の化学分析装置によれば、請求項4の効果に加えて、以下の効果を有する。
【0092】
(a)薄膜状圧電振動体が、薄膜状圧電振動体の膜厚が1μm〜10μm、比誘電率が150〜500であるので、薄膜化が可能で、かつ、微動も可能となり、液体流路を微細化して、極めて微量な液体を流動させることができる。
【0093】
請求項6に記載の化学分析装置によれば、請求項1〜5の効果に加えて、以下の効果を有する。
【0094】
(a)化学分析装置内の単一流路中に薄膜状圧電振動体による液体駆動機構を複数設けることにより、液体流路における液体の流れの制御性をさらに向上させることができる。
【0095】
(b)薄膜状圧電振動体による液体駆動機構を複数対向させて配置し、その振動方向を対向させているので、液体流路内に生じる対向流の衝突部分では層流で流動してきた液体が強制的に乱され流路スケールによっては乱流となるか層状を保ったまま強く混合される。これによって、化学分析装置内の2種類の液体混合を強力に促進することが可能となる。
【0096】
(c)このように液体流路内に液体の撹拌機構を付与して、混合溶液を送りながら効率的に混合して測定のバラツキを少なくし、化学分析装置で測定されるデータの信頼性を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における化学分析装置の輸液機構の模式斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における化学分析装置の輸液機構の分解説明図
【図3】化学分析装置における輸液機構の動作原理説明図
【図4】本発明の実施の形態1における化学分析装置の輸液機構の説明図
【図5】本発明の実施の形態2における化学分析装置の輸液機構の説明図
【図6】本発明の実施の形態3における化学分析装置の輸液機構の説明図
【符号の説明】
1 輸液機構
2 流路基板
2a、2b 液体供給口
2c 液体排出口
2d 液体流路
3 被覆基板
4、5 薄膜状圧電振動体
6 電極部
7 駆動電源部
10 輸液機構
11 撥水性被膜層
12、13 薄膜状圧電振動体
20 輸液機構
21、22 薄膜状圧電振動体
23 液体排出部

Claims (6)

  1. 液体の供給口とその排出口とを連結する液体流路がその片面側に形成された流路基板と、前記流路基板の液体流路側に覆設された被覆基板と、前記被覆基板上の前記液体流路に対向する位置に配置された薄膜状圧電振動体と、を備えたことを特徴とする化学分析装置。
  2. 前記被覆基板がシリコン基板であることを特徴とする請求項1に記載の化学分析装置。
  3. 前記薄膜状圧電振動体に対向する前記流路基板の流体接触面に撥水処理を施したことを特徴とする請求項1、2いずれか1項に記載の化学分析装置。
  4. 前記薄膜状圧電振動体が、Pb、Zr及びTiを含むペロブスカイト型構造を有する圧電体であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の化学分析装置。
  5. 前記薄膜状圧電振動体の膜厚が1μm〜10μm、比誘電率が150〜500であることを特徴とする請求項4に記載の化学分析装置。
  6. 前記薄膜状圧電振動体が前記液体流路に複数備えられ、その振動方向を対向させて配置したことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の化学分析装置。
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