JP2004084738A - センシングシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】歪みゲージを貼り付けなくても軸受の荷重を測定することができ、また、パルサリングを装着しなくても軸受の回転数や回転速度を検知することが可能なセンシングシステムを提供する。
【解決手段】センシングシステムは、内輪4、外輪5および転動体6を有する転がり軸受1と、軸受1の周囲に配置された少なくとも1つの磁気センサ13とを備えている。内輪4、外輪5および転動体6のうちの転動体6が、所定以上の磁ひずみ定数を有する金属をセラミックスに分散させた材料で構成されており、残りの内輪4および外輪5は、セラミックスで構成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】センシングシステムは、内輪4、外輪5および転動体6を有する転がり軸受1と、軸受1の周囲に配置された少なくとも1つの磁気センサ13とを備えている。内輪4、外輪5および転動体6のうちの転動体6が、所定以上の磁ひずみ定数を有する金属をセラミックスに分散させた材料で構成されており、残りの内輪4および外輪5は、セラミックスで構成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、転がり軸受とセンサとを備えているセンシングシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、回転速度を検出するためのセンシングシステムとして、外輪、内輪および転動体を有する転がり軸受と、外輪および内輪のいずれか一方に設けられかつ周方向に等間隔をおいて交互に異なる磁気特性を有するパルサリングと、同他方にパルサリングと対向して設けられたセンサ装置とを備えているものが知られており、荷重を検出するためのセンシングシステムとして、外輪、内輪および転動体を有する転がり軸受と、転動体や外輪に貼り付けられた歪みゲージと、外輪または内輪の転動体近傍位置に設けられたセンサ装置とを備えているものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の回転速度検出可能なセンシングシステムにおいて、被検知部としてのパルサリングは、軸受に装着する手間がかかるものであり、また、検知精度のばらつきも大きいものであった。同様に、上記従来の荷重を検出するためのセンシングシステムにおいて、歪みゲージの信号を取り出すためには、ワイヤレスで転送するか、歪みゲージからの信号を保持器の公転スピードに合わせるか、スリップリングの機構を用いて電気的な信号を転送するかなどの手段が必要があり、システムの簡素化や小型化が難しいものとなっていた。
【0004】
この発明の目的は、歪みゲージを貼り付けなくても軸受の荷重を測定することができ、また、パルサリングを装着しなくても軸受の回転数や回転速度を検知することが可能なセンシングシステムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
この発明によるセンシングシステムは、内輪、外輪および転動体を有する転がり軸受と、軸受の周囲に配置された少なくとも1つの磁気センサとを備えているセンシングシステムにおいて、内輪、外輪および転動体のうちの少なくとも1つの部材が、所定以上の磁ひずみ定数を有する金属をセラミックスに分散させた材料で構成されていることを特徴とするものである。
【0006】
上記センシングシステムにおいて、所定以上の磁ひずみ定数を有する金属をセラミックスに分散させた材料で構成されているのは、内輪、外輪および転動体のうちの1つの部材だけであり、残りの部材は、セラミックスで構成されていることが好ましい。
【0007】
所定以上の磁ひずみ定数を有する金属としては、Fe,Ni,Coなどの遷移金属が例示され、これをセラミックスに分散させることにより、セラミックス/磁性金属ナノコンポジットが創製される。
【0008】
そして、内輪、外輪および転動体のうちの転動体をこのナノコンポジットにすると、荷重を受けたことによって転動体に磁化の変化が生じる。この磁化の変化と荷重の変化とはリニアリティがあり、この磁化の変化に伴う磁気変化をセンサで検知することにより、転動体に歪みゲージを貼り付けなくても、転動体の荷重したがって軸受の荷重を推定することができる。また、転動体が受ける歪み変化の繰り返し数から、内輪および外輪のうちの回転輪の回転数を求めることができ、荷重変化だけでなく、回転数したがって回転速度を検知することもできる。
【0009】
また、外輪および内輪のうちの例えば固定輪の方をを上記ナノコンポジットにしてもよく、この場合には、転動体と固定輪との間で及ぼし合う力により、固定輪に磁化の変化が生じる。この磁化の変化に伴う磁気変化をセンサで検知することにより、軸受の荷重や回転速度を検知することができる。
【0010】
磁気の変化を検知するには、高感度な磁気センサ(ホール素子やMRセンサ等)もしくは電磁誘導法やフラックスゲート法により磁化の変化を測定するセンサが使用される。磁気センサは、例えば、固定輪となる外輪に設けられたセンサ支持部材に取り付けられることがあり、また、外輪を支持している軸受ハウジングに適当な孔を設けて配置されることがある。
【0011】
この発明のセンシングシステムによると、歪みゲージを貼り付けなくても軸受の荷重を測定することができ、パルサリングを装着しなくても軸受の回転数や回転速度を検知することができる。
【0012】
この発明によるセンシングシステムでは、前記磁気センサの出力から軸受の荷重を検出するセンシング処理部をさらに備えていることがあり、複数の前記磁気センサの出力から軸受の荷重分布を検出するセンシング処理部をさらに備えていることがある。軸受にかかる荷重が変化すると、転動体と軌道輪との間で及ぼし合う力が変動し、この力の変動によって、上記ナノコンポジット製の部材の磁化が変化する。磁化の変化と荷重の変化とは、リニアリティがあり、磁化の変化をセンサで検知することにより、荷重の変化を検知することができる。センサの数を転動体の数に対応させることにより、荷重分布を検知することができる。荷重分布を検知するには、例えば、センサの数を転動体の数に等しくして、等間隔で配置すればよいが、センサの数と転動体の数とは、同じでなくてもよい。
【0013】
この発明によるセンシングシステムでは、また、前記磁気センサの出力から軸受の回転速度を検出するセンシング処理部をさらに備えていることがある。転動体と軌道輪との間で及ぼし合う力は、転動体の数に対応した周期で変動することから、この変動に伴う磁化の変化をセンサで検知して、その繰り返しの数をカウントすることにより、軸受の回転数したがって回転速度を検知することができる。
【0014】
センシングシステムのセンシング処理部としては、軸受の回転に伴う変化を処理するものだけでなく、単列または複列の軸受に予圧を掛ける際の予圧を検出するものでもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、この発明のセンシングシステムの第1実施形態を示すもので、転がり軸受についてはその上半部を示している。以下の説明において、左右とは、図の左右をいうものとする。
【0017】
図1に示すように、センシングシステムは、転がり軸受(1)およびそれに設けられたセンサ装置(2)を備えている。
【0018】
軸受(1)は、固定輪である外輪(4)、回転輪である内輪(5)、これらの間に配置された複数の転動体である玉(6)および保持器(7)を備えている。図示は省略したが、外輪(4)はハウジングなどに固定され、内輪(5)には回転軸などが固定される。センサ装置(2)は外輪(4)に設けられている。
【0019】
外輪(4)の左端部の内径の肩部および同右端部の内径の肩部に、環状溝(8)(9)がそれぞれ形成されている。左端部の環状溝(8)には、接触シール(11)の外周縁部が嵌合され、シール(11)の内周縁部が内輪(5)の外径に接触している。右端部の環状溝(9)は、左端部の環状溝(8)と左右対称になるように形成されている。
【0020】
転動体である玉(6)は、所定以上の磁ひずみ定数を有する金属をセラミックスに分散させた材料で構成されている。そして、外輪(4)および内輪(5)は、セラミックスで構成されており、保持器(7)は、樹脂製とされている。
【0021】
センサ装置(2)は、外輪(4)に固定された支持部材(12)と、支持部材(12)に取り付けられた複数の磁気センサ(13)と、磁気センサ(13)の出力を処理するセンシング処理部(図示略)とを備えている。
【0022】
磁気センサ(13)は、玉(6)と同じ数とされ、支持部材(12)に周方向に等間隔で配置されている。
【0023】
軸受(1)が荷重を受けると、玉(6)に掛かる力が変化し、玉(6)の歪み量が変化する。玉(6)は、所定以上の磁ひずみ定数を有する金属をセラミックスに分散させた材料で構成されているので、歪みの変化に伴ってその磁化も変化することになる。磁化の変化と荷重の変化とは、図3に示すように、リニアリティがあり、この磁化の変化に伴う磁気変化を磁気センサ(13)で検知することにより、玉(6)の荷重が測定可能となる。さらに、複数の磁気センサ(13)によって個々の玉(6)にかかる荷重を求めることにより、軸受(1)の荷重分布を知ることができる。ここで、外輪(4)固定の場合の玉(6)の公転数Nbと内輪(5)の回転数Niとの間には、接触角が小さいとして、Nb≒Ni/2の関係があるので、歪みの周期に玉(6)の数を掛けさらに2倍したものが内輪(5)の1回転に要する時間となる。したがって、歪み変化の繰り返し数から内輪(5)の回転数を求めることができる。なお、接触角がαであるときの玉(転動体)の公転数Nbと内輪の回転数Niとの関係は、Dを転動体のピッチ径、dを転動体の直径として、Nb=(1−dcosα/D)Ni/2となる。
【0024】
図2は、この発明のセンシングシステムの第2実施形態を示している。
【0025】
図2に示すように、センシングシステムは、転がり軸受(21)およびそれに設けられたセンサ装置(22)を備えている。
【0026】
軸受(21)は、固定輪である外輪(24)、回転輪である内輪(25)、これらの間に配置された複数の転動体である玉(26)および保持器(27)を備えている。外輪(24)はハウジング(23)に固定されており、センサ装置(22)はハウジング(23)に設けられている。図示省略したが、内輪(25)には回転軸などが固定される。
【0027】
外輪(24)の左端部の内径の肩部および同右端部の内径の肩部に、環状溝(28)(29)がそれぞれ形成されている。左端部の環状溝(28)には、接触シール(31)の外周縁部が嵌合され、シール(31)の内周縁部が内輪(25)の外径に接触している。右端部の環状溝(29)は、左端部の環状溝(28)と左右対称になるように形成されており、右端部の環状溝(29)には、接触シール(32)の外周縁部が嵌合され、シール(32)の内周縁部が内輪(25)の外径に接触している。
【0028】
固定輪である外輪(24)は、所定以上の磁ひずみ定数を有する金属をセラミックスに分散させた材料で構成されている。そして、内輪(25)および玉(26)は、セラミックスで構成されており、保持器(27)は、樹脂製とされている。
【0029】
センサ装置(22)は、ハウジング(23)に設けられた凹所(23a)に嵌め入れられて外輪(24)の外周面に臨まされている磁気センサ(33)と、磁気センサ(33)の出力を処理するセンシング処理部(図示略)とを備えている。
【0030】
軸受(21)が荷重を受けると、外輪(24)と玉(26)とが互いに及ぼし合う力が変化し、外輪(24)の歪み量が変化する。外輪(24)は、所定以上の磁ひずみ定数を有する金属をセラミックスに分散させた材料で構成されているので、歪みの変化に伴ってその磁化も変化することになる。磁化の変化と荷重の変化とは、図3に示すように、リニアリティがあり、この磁化の変化に伴う磁気変化を磁気センサ(33)で検知することにより、外輪(24)の荷重変動が測定可能となる。玉(26)の公転数Nbと内輪(25)の回転数Niとの間には、接触角が小さいとして、Nb≒Ni/2の関係があるので、歪みの周期に玉(26)の数を掛けさらに2倍したものが内輪(25)の1回転に要する時間となる。したがって、歪み変化の繰り返し数から内輪(25)の回転数を求めることができる。また、磁気センサ(33)の数を玉(26)の数と同じにしてかつハウジング(23)に等間隔に設けた凹所(23a)にそれぞれ配置することにより、軸受(21)の荷重分布を知ることもできる。
【0031】
なお、上記実施形態では、転がり軸受が単列の場合について説明したが、転がり軸受は、複列であってももちろんよく、この場合には、転動体に関しては、二列の転動体の少なくとも一方の列のものが所定以上の磁ひずみ定数を有する金属をセラミックスに分散させた材料で構成されていればよい。
【0032】
図4にこの発明によるセンシングシステムのセンシング処理部の概略を示す。図4に示すように、各転動体の歪み変化(または転動体が外輪に及ぼす力によって生じる外輪の歪み変化)は、上記ナノコンポジットで構成された部材の磁化の変化をもたらし、この磁化の変化が磁気センサによって検知される。磁気センサの出力には、1つの転動体ごとに得られる振幅Aと転動体の数に対応する周期T1とが現れる。振幅は荷重に、周期は回転速度にそれぞれ対応していることから、振幅Aから荷重が演算され、周期T1から回転速度が演算される。そして、複数の磁気センサから得られるそれぞれの荷重を演算することにより軸受の荷重分布を求めることができる。1つのセンシングシステムに、回転速度および荷重の両方を検出するセンシング処理部を設けてもよく、また、いずれか一方だけを検出するセンシング処理部を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるセンシングシステムの第1実施形態を示す図である。
【図2】この発明によるセンシングシステムの第2実施形態を示す図である。
【図3】この発明によるセンシングシステムで使用される所定以上の磁ひずみ定数を有する金属をセラミックスに分散させた材料の特性を示すグラフである。
【図4】この発明によるセンシングシステムのセンシング処理部の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
(1)(21) 転がり軸受
(2)(22) センサ装置
(4)(24) 外輪
(5)(25) 内輪
(6)(26) 玉(転動体)
(13)(33) 磁気センサ
【発明の属する技術分野】
この発明は、転がり軸受とセンサとを備えているセンシングシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、回転速度を検出するためのセンシングシステムとして、外輪、内輪および転動体を有する転がり軸受と、外輪および内輪のいずれか一方に設けられかつ周方向に等間隔をおいて交互に異なる磁気特性を有するパルサリングと、同他方にパルサリングと対向して設けられたセンサ装置とを備えているものが知られており、荷重を検出するためのセンシングシステムとして、外輪、内輪および転動体を有する転がり軸受と、転動体や外輪に貼り付けられた歪みゲージと、外輪または内輪の転動体近傍位置に設けられたセンサ装置とを備えているものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の回転速度検出可能なセンシングシステムにおいて、被検知部としてのパルサリングは、軸受に装着する手間がかかるものであり、また、検知精度のばらつきも大きいものであった。同様に、上記従来の荷重を検出するためのセンシングシステムにおいて、歪みゲージの信号を取り出すためには、ワイヤレスで転送するか、歪みゲージからの信号を保持器の公転スピードに合わせるか、スリップリングの機構を用いて電気的な信号を転送するかなどの手段が必要があり、システムの簡素化や小型化が難しいものとなっていた。
【0004】
この発明の目的は、歪みゲージを貼り付けなくても軸受の荷重を測定することができ、また、パルサリングを装着しなくても軸受の回転数や回転速度を検知することが可能なセンシングシステムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
この発明によるセンシングシステムは、内輪、外輪および転動体を有する転がり軸受と、軸受の周囲に配置された少なくとも1つの磁気センサとを備えているセンシングシステムにおいて、内輪、外輪および転動体のうちの少なくとも1つの部材が、所定以上の磁ひずみ定数を有する金属をセラミックスに分散させた材料で構成されていることを特徴とするものである。
【0006】
上記センシングシステムにおいて、所定以上の磁ひずみ定数を有する金属をセラミックスに分散させた材料で構成されているのは、内輪、外輪および転動体のうちの1つの部材だけであり、残りの部材は、セラミックスで構成されていることが好ましい。
【0007】
所定以上の磁ひずみ定数を有する金属としては、Fe,Ni,Coなどの遷移金属が例示され、これをセラミックスに分散させることにより、セラミックス/磁性金属ナノコンポジットが創製される。
【0008】
そして、内輪、外輪および転動体のうちの転動体をこのナノコンポジットにすると、荷重を受けたことによって転動体に磁化の変化が生じる。この磁化の変化と荷重の変化とはリニアリティがあり、この磁化の変化に伴う磁気変化をセンサで検知することにより、転動体に歪みゲージを貼り付けなくても、転動体の荷重したがって軸受の荷重を推定することができる。また、転動体が受ける歪み変化の繰り返し数から、内輪および外輪のうちの回転輪の回転数を求めることができ、荷重変化だけでなく、回転数したがって回転速度を検知することもできる。
【0009】
また、外輪および内輪のうちの例えば固定輪の方をを上記ナノコンポジットにしてもよく、この場合には、転動体と固定輪との間で及ぼし合う力により、固定輪に磁化の変化が生じる。この磁化の変化に伴う磁気変化をセンサで検知することにより、軸受の荷重や回転速度を検知することができる。
【0010】
磁気の変化を検知するには、高感度な磁気センサ(ホール素子やMRセンサ等)もしくは電磁誘導法やフラックスゲート法により磁化の変化を測定するセンサが使用される。磁気センサは、例えば、固定輪となる外輪に設けられたセンサ支持部材に取り付けられることがあり、また、外輪を支持している軸受ハウジングに適当な孔を設けて配置されることがある。
【0011】
この発明のセンシングシステムによると、歪みゲージを貼り付けなくても軸受の荷重を測定することができ、パルサリングを装着しなくても軸受の回転数や回転速度を検知することができる。
【0012】
この発明によるセンシングシステムでは、前記磁気センサの出力から軸受の荷重を検出するセンシング処理部をさらに備えていることがあり、複数の前記磁気センサの出力から軸受の荷重分布を検出するセンシング処理部をさらに備えていることがある。軸受にかかる荷重が変化すると、転動体と軌道輪との間で及ぼし合う力が変動し、この力の変動によって、上記ナノコンポジット製の部材の磁化が変化する。磁化の変化と荷重の変化とは、リニアリティがあり、磁化の変化をセンサで検知することにより、荷重の変化を検知することができる。センサの数を転動体の数に対応させることにより、荷重分布を検知することができる。荷重分布を検知するには、例えば、センサの数を転動体の数に等しくして、等間隔で配置すればよいが、センサの数と転動体の数とは、同じでなくてもよい。
【0013】
この発明によるセンシングシステムでは、また、前記磁気センサの出力から軸受の回転速度を検出するセンシング処理部をさらに備えていることがある。転動体と軌道輪との間で及ぼし合う力は、転動体の数に対応した周期で変動することから、この変動に伴う磁化の変化をセンサで検知して、その繰り返しの数をカウントすることにより、軸受の回転数したがって回転速度を検知することができる。
【0014】
センシングシステムのセンシング処理部としては、軸受の回転に伴う変化を処理するものだけでなく、単列または複列の軸受に予圧を掛ける際の予圧を検出するものでもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、この発明のセンシングシステムの第1実施形態を示すもので、転がり軸受についてはその上半部を示している。以下の説明において、左右とは、図の左右をいうものとする。
【0017】
図1に示すように、センシングシステムは、転がり軸受(1)およびそれに設けられたセンサ装置(2)を備えている。
【0018】
軸受(1)は、固定輪である外輪(4)、回転輪である内輪(5)、これらの間に配置された複数の転動体である玉(6)および保持器(7)を備えている。図示は省略したが、外輪(4)はハウジングなどに固定され、内輪(5)には回転軸などが固定される。センサ装置(2)は外輪(4)に設けられている。
【0019】
外輪(4)の左端部の内径の肩部および同右端部の内径の肩部に、環状溝(8)(9)がそれぞれ形成されている。左端部の環状溝(8)には、接触シール(11)の外周縁部が嵌合され、シール(11)の内周縁部が内輪(5)の外径に接触している。右端部の環状溝(9)は、左端部の環状溝(8)と左右対称になるように形成されている。
【0020】
転動体である玉(6)は、所定以上の磁ひずみ定数を有する金属をセラミックスに分散させた材料で構成されている。そして、外輪(4)および内輪(5)は、セラミックスで構成されており、保持器(7)は、樹脂製とされている。
【0021】
センサ装置(2)は、外輪(4)に固定された支持部材(12)と、支持部材(12)に取り付けられた複数の磁気センサ(13)と、磁気センサ(13)の出力を処理するセンシング処理部(図示略)とを備えている。
【0022】
磁気センサ(13)は、玉(6)と同じ数とされ、支持部材(12)に周方向に等間隔で配置されている。
【0023】
軸受(1)が荷重を受けると、玉(6)に掛かる力が変化し、玉(6)の歪み量が変化する。玉(6)は、所定以上の磁ひずみ定数を有する金属をセラミックスに分散させた材料で構成されているので、歪みの変化に伴ってその磁化も変化することになる。磁化の変化と荷重の変化とは、図3に示すように、リニアリティがあり、この磁化の変化に伴う磁気変化を磁気センサ(13)で検知することにより、玉(6)の荷重が測定可能となる。さらに、複数の磁気センサ(13)によって個々の玉(6)にかかる荷重を求めることにより、軸受(1)の荷重分布を知ることができる。ここで、外輪(4)固定の場合の玉(6)の公転数Nbと内輪(5)の回転数Niとの間には、接触角が小さいとして、Nb≒Ni/2の関係があるので、歪みの周期に玉(6)の数を掛けさらに2倍したものが内輪(5)の1回転に要する時間となる。したがって、歪み変化の繰り返し数から内輪(5)の回転数を求めることができる。なお、接触角がαであるときの玉(転動体)の公転数Nbと内輪の回転数Niとの関係は、Dを転動体のピッチ径、dを転動体の直径として、Nb=(1−dcosα/D)Ni/2となる。
【0024】
図2は、この発明のセンシングシステムの第2実施形態を示している。
【0025】
図2に示すように、センシングシステムは、転がり軸受(21)およびそれに設けられたセンサ装置(22)を備えている。
【0026】
軸受(21)は、固定輪である外輪(24)、回転輪である内輪(25)、これらの間に配置された複数の転動体である玉(26)および保持器(27)を備えている。外輪(24)はハウジング(23)に固定されており、センサ装置(22)はハウジング(23)に設けられている。図示省略したが、内輪(25)には回転軸などが固定される。
【0027】
外輪(24)の左端部の内径の肩部および同右端部の内径の肩部に、環状溝(28)(29)がそれぞれ形成されている。左端部の環状溝(28)には、接触シール(31)の外周縁部が嵌合され、シール(31)の内周縁部が内輪(25)の外径に接触している。右端部の環状溝(29)は、左端部の環状溝(28)と左右対称になるように形成されており、右端部の環状溝(29)には、接触シール(32)の外周縁部が嵌合され、シール(32)の内周縁部が内輪(25)の外径に接触している。
【0028】
固定輪である外輪(24)は、所定以上の磁ひずみ定数を有する金属をセラミックスに分散させた材料で構成されている。そして、内輪(25)および玉(26)は、セラミックスで構成されており、保持器(27)は、樹脂製とされている。
【0029】
センサ装置(22)は、ハウジング(23)に設けられた凹所(23a)に嵌め入れられて外輪(24)の外周面に臨まされている磁気センサ(33)と、磁気センサ(33)の出力を処理するセンシング処理部(図示略)とを備えている。
【0030】
軸受(21)が荷重を受けると、外輪(24)と玉(26)とが互いに及ぼし合う力が変化し、外輪(24)の歪み量が変化する。外輪(24)は、所定以上の磁ひずみ定数を有する金属をセラミックスに分散させた材料で構成されているので、歪みの変化に伴ってその磁化も変化することになる。磁化の変化と荷重の変化とは、図3に示すように、リニアリティがあり、この磁化の変化に伴う磁気変化を磁気センサ(33)で検知することにより、外輪(24)の荷重変動が測定可能となる。玉(26)の公転数Nbと内輪(25)の回転数Niとの間には、接触角が小さいとして、Nb≒Ni/2の関係があるので、歪みの周期に玉(26)の数を掛けさらに2倍したものが内輪(25)の1回転に要する時間となる。したがって、歪み変化の繰り返し数から内輪(25)の回転数を求めることができる。また、磁気センサ(33)の数を玉(26)の数と同じにしてかつハウジング(23)に等間隔に設けた凹所(23a)にそれぞれ配置することにより、軸受(21)の荷重分布を知ることもできる。
【0031】
なお、上記実施形態では、転がり軸受が単列の場合について説明したが、転がり軸受は、複列であってももちろんよく、この場合には、転動体に関しては、二列の転動体の少なくとも一方の列のものが所定以上の磁ひずみ定数を有する金属をセラミックスに分散させた材料で構成されていればよい。
【0032】
図4にこの発明によるセンシングシステムのセンシング処理部の概略を示す。図4に示すように、各転動体の歪み変化(または転動体が外輪に及ぼす力によって生じる外輪の歪み変化)は、上記ナノコンポジットで構成された部材の磁化の変化をもたらし、この磁化の変化が磁気センサによって検知される。磁気センサの出力には、1つの転動体ごとに得られる振幅Aと転動体の数に対応する周期T1とが現れる。振幅は荷重に、周期は回転速度にそれぞれ対応していることから、振幅Aから荷重が演算され、周期T1から回転速度が演算される。そして、複数の磁気センサから得られるそれぞれの荷重を演算することにより軸受の荷重分布を求めることができる。1つのセンシングシステムに、回転速度および荷重の両方を検出するセンシング処理部を設けてもよく、また、いずれか一方だけを検出するセンシング処理部を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるセンシングシステムの第1実施形態を示す図である。
【図2】この発明によるセンシングシステムの第2実施形態を示す図である。
【図3】この発明によるセンシングシステムで使用される所定以上の磁ひずみ定数を有する金属をセラミックスに分散させた材料の特性を示すグラフである。
【図4】この発明によるセンシングシステムのセンシング処理部の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
(1)(21) 転がり軸受
(2)(22) センサ装置
(4)(24) 外輪
(5)(25) 内輪
(6)(26) 玉(転動体)
(13)(33) 磁気センサ
Claims (4)
- 内輪、外輪および転動体を有する転がり軸受と、軸受の周囲に配置された少なくとも1つの磁気センサとを備えているセンシングシステムにおいて、内輪、外輪および転動体のうちの少なくとも1つの部材が、所定以上の磁ひずみ定数を有する金属をセラミックスに分散させた材料で構成されていることを特徴とするセンシングシステム。
- 前記磁気センサの出力から軸受の荷重を検出するセンシング処理部をさらに備えている請求項1のセンシングシステム。
- 複数の前記磁気センサの出力から軸受の荷重分布を検出するセンシング処理部をさらに備えている請求項1のセンシングシステム。
- 前記磁気センサの出力から軸受の回転速度を検出するセンシング処理部をさらに備えている請求項1のセンシングシステム。
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- 2002-08-26 JP JP2002244494A patent/JP2004084738A/ja active Pending
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