JP2004083643A - 床材表面被覆体の貼付方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期間の歩行負荷によっても接着剤が床材表面被覆体の端部からあふれ出すことがなく、従ってあふれた接着剤の上を歩行することによって床材表面被覆体の端部周囲が黒く汚れることもなく、さらに、床材表面被覆体が床面からはがれて露出した接着剤面が黒く汚れて見苦しくなることもなく、貼付後すぐに歩行でき、安価で長期間の歩行負荷に耐え得るような上記床材表面被覆体の貼付方法を提供する。
【解決手段】1分子当たりの平均官能基数が4以上の光硬化型オリゴマーを含有する被覆組成物をプラスティックフィルムの片面に塗布しあらかじめ光硬化させた床材表面被覆体を床材表面に載置(貼付)する際に、床材表面と該床材表面被覆体の間に光硬化型接着剤を介在させ、これを光硬化させる。
【選択図】 なし
【解決手段】1分子当たりの平均官能基数が4以上の光硬化型オリゴマーを含有する被覆組成物をプラスティックフィルムの片面に塗布しあらかじめ光硬化させた床材表面被覆体を床材表面に載置(貼付)する際に、床材表面と該床材表面被覆体の間に光硬化型接着剤を介在させ、これを光硬化させる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は床材を被覆する床材表面被覆体の貼付方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
床材を被覆する方法としては、▲1▼床材の上に床材を貼る、▲2▼床材にコーティング剤を塗布する、▲3▼床材に印刷フィルムや転写フィルムを貼る、等の方法が知られている。 床材を被覆する目的は、床面の保護、歩行適性や車輌運行特性の向上、床面への意匠の付与、広告や各種サインの掲示等である。
【0003】
上記▲1▼の床材としては、塩化ビニルなどの樹脂系タイル及びシート;フローリングなどの木質系材料;磁器タイルなどのセラミックス系材料;大理石、御影石、テラゾーなど石系材料;モルタルなどのコンクリート系材料;ゴムやリノリウムなどの天然樹脂系タイル及びシート等がある。かかる床材は概ね優れた耐久性を有するが、価格が高くかつ床材を被覆する作業が面倒で簡便性において優れているとは言えない。
【0004】
上記▲2▼のコーティング剤を塗布する方法は、床材を使用する場合に比べると安価ではあるが、塗布にかなりの時間とノウハウを要する人的作業に頼るため、顧客の要請に十分応えることができるほど安価とはならない。
【0005】
上記▲3▼の印刷フィルムや転写フィルムは、通常の印刷機やインクジェットプリンター等を用いて文字や写真や各種の画像をフィルムに印刷又は転写してなるものであり、様々な意匠(複雑な意匠)を容易に付与できる。しかし、床材やコーティング剤の塗膜に比べて、著しく耐久性が劣るという欠点がある。さらにまた、意匠の保護のためには、その最上層に保護フィルムを設けざるをえず、保護フィルムを通して画像を見ることになるので、画像等が暗くぼけてしまうなどの画質低下の問題もある。こうした問題を解決する方法として、特願2001−223695のごとく様々な意匠(複雑な意匠)の上に水系の紫外線硬化型コーティング剤(フロアポリッシュ)を塗布することが提案されている。けれども、こうした現場でのコーティングによる方法では人件費がかさむため、近年ますます厳しくなっている顧客の低価格化要請に応えることは難しい。
【0006】
上記のように、床材の被覆方法として、従来から各種の方法が提案されているが、簡便性にすぐれ優れた耐久性(床面の保護および歩行適性等の長期持続性)が得られ、かつ顧客からの低価格要請に十分応えうる方法は未だ確立されておらず、かような床材の被覆方法が望まれていた。その有力な解決策として、特願2002−135297のごとく片面に光硬化型オリゴマーからなる被覆組成物を塗布し光硬化させたプラスティックフィルムを床面に貼付する方法が提案されている。この方法は極めてすぐれているが、使用する接着剤として通常の床材用接着剤を用いるため、長期間の歩行負荷によって接着剤がプラスティックフィルムの端部からあふれ出し、さらにこの時あふれた接着剤の上を歩行することになるため、プラスティックフィルムの端部周囲が黒く汚れることがあった。また、歩行条件によっては、プラスティックフィルムが床面からはがれるだけでなく、その時に露出した接着剤面が黒く汚れて見苦しくなることもあった。なお、床材用接着剤ではなくウレタン系やエポキシ系の接着剤を使用すると接着剤の硬化に時間を要し、貼付後1日以上放置する必要があり実用的ではなかった。従って、貼付後すぐに歩行でき、安価で長期間の歩行負荷に耐え得るような上記プラスティックフィルムの床面への貼付方法が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情に鑑み、安価で長期間の歩行負荷に耐え得るような上記床材表面被覆体の床面への貼付方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、1分子当たりの平均官能基数が4以上の光硬化型オリゴマーを含有する被覆組成物をプラスティックフィルムの片面に塗布しあらかじめ光硬化させた床材表面被覆体を床材表面に載置(貼付)する際に、床材表面と該床材表面被覆体の間に光硬化型接着剤を介在させ、これを光硬化させることで、安価で長期間の歩行負荷に耐えうるすぐれた該床材表面被覆体の床面への貼付方法を提供できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明の特徴は以下のとおりである。
(1)床材表面に貼付する床材表面被覆体の貼付方法であって、該床材表面被覆体はプラスティックフィルムの片面に光硬化型オリゴマーを含有してなり、かつ該光硬化型オリゴマーの1分子当たりの平均官能基数が4以上である被覆組成物を塗布しあらかじめ光硬化させたものであることを特徴とし、かつ床材表面と該床材表面被覆体の間に光硬化型接着剤を介在させ、これを光硬化させることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
(2)上記光硬化型オリゴマーの1分子当たりの平均官能基数が5以上であることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
(3)請求項1において、上記光硬化型オリゴマーの1分子当たりの平均官能基数が6以上であることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
(4)上記プラスティックフィルムがPETフィルム、好ましくは易接着性処理を施したPETフィルムであることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
(5)上記プラスティックフィルム厚みと上記被覆組成物の塗布硬化後厚みの合計厚みが25ミクロン以上、150ミクロン以下であることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
(6)床材の上に装飾フィルムを載置後、該装飾フィルムの上に上記光硬化型接着剤を介在させて上記床材表面被覆体を貼付した後、光硬化させることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
(7)上記床材表面被覆体の上記被覆組成物の塗布硬化塗膜面の反対面にインキ受容層を設け、該インキ受容層に画像等を形成した後、上記光硬化型接着剤を介在させて床材表面に貼付し光硬化させることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
(8)上記床材表面被覆体を上記装飾フィルムまたは上記画像等の長さおよび幅よりもそれぞれ1.5cm以上大きく切断してから貼付することを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
(9)上記床材表面被覆体を階段の水平面および/または垂直面に貼付することを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
(10)上記光硬化型接着剤が無溶剤系であることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
(11)上記光硬化型接着剤を塗布する前に、床材表面および/または装飾フィルム表面にアンダーコート剤塗膜を形成しておくことを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
【0010】
【発明の実施形態】
以下、本発明の床材表面被覆体の貼付方法を詳しく説明する。 図1は本発明の床材表面被覆体の貼付方法の最も基本的な態様(第1の態様)によって床材が被覆された状態を示している。
本発明の第1の態様は、図1に示すように、プラスティックフィルム2の表面2aに1分子当たりの平均官能基数が4以上の光硬化型オリゴマーを含有する被覆組成物を塗布しあらかじめ光硬化させた塗膜3を設けた床材表面被覆材4を、床材1の表面に載置(貼付)する際に、光硬化型接着剤5を介在させ、これを光硬化させることを特徴としている。
【0011】
本発明で使用する床材は、特に限定されず、公知の床材、例えば、塩化ビニル、ポリオレフィンなどの樹脂系タイル及びシート;フローリングなどの木質系材料;磁器タイルなどのセラミックス系材料;大理石、御影石、テラゾーなど石系材料;モルタルなどのコンクリート系材料;ゴムやリノリウムなどの天然樹脂系タイル及びシート等が挙げられる。
【0012】
本発明で用いるプラスティックフィルムとは、塩化ビニルフィルム、アクリルフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポバールフィルム、酢酸セルロースフィルム等のプラスティックフィルムのいずれでもよいが、フィルムとしての物理的強度と透明性にすぐれかつ比較的安価なポリエステルフィルム、すなわちPETフィルムが好ましく、研磨剤やフィラー等を練り込んだPETフィルムやジュアルサーフィス等の表面性を改良したPETフィルムでも良い。またプラスティックフィルムには、少なくともその片面にあらかじめ密着性を向上させるための樹脂膜を形成しておくことが好ましい。密着性を向上させるための樹脂膜としては、通常使用される如何なるものでも良い。こうした樹脂膜を設けることによって、如何なる組成の被覆組成物であってもプラスティックフィルムと該被覆組成物の硬化塗膜との間に十分な強度の密着力を付与することができる。プラスティックフィルムがPETフィルムの場合には、密着性を向上させるための樹脂膜として、いわゆる易接着性処理を施したPETフィルムを用いることができる。易接着性処理は、通常使用される如何なるものでも良い。該プラスチックフィルムは、床面に貼付する側の面にインキ受容層を設けて意匠(文字、模様、写真画像等の各種画像)を付与したものであってもよい。その際、プラスティックフィルムに付与する意匠(文字、模様、写真画像等)の付与形態は、公知の画像形成法(例えば、手書き、印刷、インクジェット記録、静電記録、電子写真法等)によって画像を担持させて意匠を付与した形態のもの等が挙げられる。もちろん、これら以外の形態であってもよく、写真印画紙等の装飾フィルムを床材に載置した上に、上記の床材表面被覆体を貼付しても良い。これら装飾フィルムについては、特願2001−223695に詳しく記載されているものを用いることができる。
【0013】
床材表面被覆体を床材表面に貼付するために使用する接着剤は、光硬化型接着剤であれば特に限定されず、如何なるものでも良いが、溶剤等を含有するため接着剤を塗布した後床材表面被覆体を貼付するまでの間に該溶剤等を揮発させる必要のある有機溶剤系や水系の接着剤よりも、溶剤等を含有しない無溶剤型の接着剤であることが好ましい。無溶剤型の接着剤としては、硬化後に得られる接着剤硬化塗膜の物性の点からウレタンアクリレート系がとくに好ましい。光硬化型接着剤は、通常の床材用接着剤とは異なり、光硬化後には接着剤自体の粘着性が事実上無くなるため、通常の床材用接着剤を用いた場合のように、長期間の歩行負荷によって接着剤が床材表面被覆体の端部からあふれ出すことがない。そのため、あふれた接着剤の上を歩行して床材表面被覆体の端部周囲を黒く汚すことがない。また、適切な光硬化型接着剤を選択することによって、長期間の歩行により床材表面被覆体が床面からはがれることもない。従って、光硬化型接着剤を使用することによって、安価で長期間の歩行負荷に耐え得るような該床材表面被覆体の床面への貼付が実現できる。
光硬化型接着剤としては、例えば、特開平1−156387のごとく耐水性を高めた光硬化型接着剤、特開2000−63767のごとく線膨張係数が異なる基材間の接着性を高めた光硬化型接着剤、特開2002−69138のごとくプラスティックフィルムへの接着性を高めた光硬化型接着剤なども好ましく用いることができる。当該接着剤の使用量は、床材およびプラスティックフィルム表面の性質に応じて適宜選択されるが、一般に4〜1000g/m2程度が好ましく、7〜200g/m2程度がさらに好適である。
【0014】
本発明において、床材表面被覆体の大きさ(面積)、形状(外形)等は任意であり、特に限定されない。すなわち、床材に貼付するに適した大きさ、形状であればよい。また、厚みも特に限定されない。しかし、厚すぎると貼付後に照射する紫外線などの光が吸収されて光硬化型接着剤の接着性が低下する場合のあること、および床材表面との間に段差を生じ、角部の摩滅や剥がれが生じやすくなるので、プラスティックフィルムの厚みと上記被覆組成物の塗布硬化後厚みの合計厚みを150ミクロン以下とするのが好ましく、100ミクロン以下がより好ましい。なお、余り薄すぎると、貼付の際に床材表面被覆体にシワが寄るあるいは気泡を巻き込む等、載置(貼付)作業が困難となるおそれがあるので、上記合計厚みは25ミクロン以上であるのが好ましい。
さらに、必要に応じて、床材表面被覆体の上に光硬化型接着剤を介在させて、さらに床材表面被覆体を貼付しても良い。
【0015】
本発明において、床材表面被覆体の床材への貼付面に手書き、印刷、インクジェット記録、静電記録、電子写真法等、公知の画像形成法を用いて画像等を付与してなるプラスティックフィルムを用いる場合、および写真印画紙等の装飾フィルムを載置してから上記の床材表面被覆体を貼付することにより床面に意匠を付与する場合には、上記画像等を付与したプラスティックフィルムの画像等または装飾フィルムの長さおよび幅よりも床材表面被覆体をそれぞれ1.5cm以上、好ましくは15cm以上大きく切断してから貼付することが好ましい。長さおよび幅が1.5cmよりも短いと歩行等により床材表面被覆体が床面からはがれる場合があり、また15cmより長いとプラスティックフィルム自体のわずかな着色(光吸収)等を原因とする床面と床材表面被覆体の境界部の微妙な色調の違いが目立ち難くなる。当然ながら、床材の種類や歩行負荷によっては床材表面被覆体がはがれ難く、また上記の微妙な色調の違いが目立たない場合もあり、その場合には床材表面被覆体を任意の大きさに切断して貼付して何の問題もない。
【0016】
階段等、現場作業でフロアポリッシュ等を床面にコーティングすることが困難な場所に床材表面被覆体を貼付すると簡便性にすぐれた本発明の効果が最もよく現れる。階段等では作業場所が狭く、また段差もあるため各種道具を使った現場作業が面倒なだけでなく危険だからである。床材表面被覆体を階段に貼付するとき、水平面だけあるいは垂直面だけを対象に貼付することもできるが、両方に貼付する場合には水平面(踏み面)から貼り始めて垂直面の下から上へと貼付するとシワをつくることなくまた気泡を巻き込むことなく容易に貼付することができる。
【0017】
床材表面被覆体を床材表面に貼付する前に、床材表面および/または装飾フィルムおよび/または床材表面被覆体に光硬化型接着剤を塗布する必要があるが、使用する光硬化型接着剤に適した方法であれば如何なる塗布方法でも良い。
【0018】
本発明では、プラスティックフィルムの片面に光硬化型オリゴマーを含有してなりかつ該光硬化型オリゴマーの1分子当たりの平均官能基数が4以上である被覆組成物を塗布しあらかじめ光硬化させる。該被覆組成物は歩行負荷の大きな床面に特に好ましく用いられ、その配合や塗布また光硬化については特願平10−272951に詳しく記載されている方法等を用いることができる。
【0019】
光硬化型オリゴマー1分子当たりの平均官能基数とは、光硬化型オリゴマー1分子中に含まれる官能基の数の平均値をいう。この平均官能基数は、光硬化型オリゴマーが複数種類の場合にはその光硬化型オリゴマーの平均分子量を用いて計算した値となる。
【0020】
光硬化型オリゴマーが2種類である場合における、平均分子量を用いた1分子当たりの平均官能基数の計算方法について例示説明する。2種類の光硬化型オリゴマーの平均分子量をMa、Mbとし、その添加重量をWa、Wb、1分子当たりの平均官能基数をNa、Nbとすると、1分子当たりの平均官能基数Nは、N={(Wa/Ma)・Na+(Wb/Mb)・Nb}/{(Wa/Ma)+(Wb/Mb)}であらわされる。
【0021】
被覆組成物がモノマーを含有する場合には、モノマーの平均官能基数は、上記光硬化型オリゴマーの平均官能基数には含まれない。モノマーは光硬化型オリゴマーとともに硬化反応をおこすが、実質的にモノマー配合は塗膜の光沢保持性能に影響を与えないからである。その理由は、モノマー配合量は光硬化型オリゴマーに比べて少ないからであると考えられる。
【0022】
上記光硬化型オリゴマーは、1分子当たりの平均官能基数が4以上である。これにより、床材表面に、光沢劣化を防止し得る塗膜を形成することができる。一方、4未満の場合には、光沢劣化のおそれがある。
光硬化型オリゴマーの1分子当たりの平均官能基数は、5以上であり、更には6以上であることが好ましい。これにより、光沢劣化防止効果が更に高くなる。
【0023】
光硬化型オリゴマーの1分子当たりの平均官能基数の上限は、15〜20程度であることが好ましい。1分子あたりの官能基数が多くなると官能基の反応率が低下するからであり、また官能基を極めて多くすることが合成上困難であるからである。上記官能基としては、アクリロイル基、ビニル基、メタクリロイル基、アリル基等がある。この中、アクリロイル基がより好ましい。
【0024】
上記光硬化型オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレートオリゴマー、アルキドアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、ポリエーテルアクリレートオリゴマー、メラミンアクリレートオリゴマー、ポリブタジエンアクリレートオリゴマー、ポリオールアクリレートオリゴマー、シリコンアクリレートオリゴマー、不飽和ポリエステル樹脂、及び不飽和(メタ)アクリル樹脂のグループから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0025】
本発明の被覆組成物には、上記光硬化型オリゴマーと光硬化する上での必須成分である光開始剤のほかに、必要に応じてモノマーや添加剤又は溶剤などを添加することができる。
モノマーは、反応性希釈剤ともいわれ、一般に光硬化型オリゴマーの低粘度化のために添加するが、床材との密着性及び柔軟性など塗膜性能の向上のために添加されることがある。
【0026】
モノマーは、光硬化型オリゴマー100重量部に対して、0〜400重量部添加することができる。400重量部を超える場合には、塗膜の耐摩耗性、耐薬品性、耐候性などの塗膜物性が低下するおそれがあるからである。
【0027】
上記添加剤には、増感剤、着色剤、消泡剤、湿潤剤、レベリング剤、粘度調整剤、貯蔵安定剤、抗菌剤、滑り止め剤、塗膜ひび割れ防止剤、密着促進剤、分散剤、界面活性剤、体質顔料などがある。いずれも、既知のものを用いることができる。
【0028】
上記光硬化型オリゴマーからなる被覆組成物の塗布方法は、通常工場等で使用される如何なる方法であっても良い。
【0029】
被覆組成物の塗膜(硬化塗膜)の厚み(硬化後の厚み)は下限が好ましくは4ミクロン以上、より好ましくは7ミクロン以上であり、上限が好ましくは70ミクロン以下である。厚みが4ミクロン未満であると十分な光沢度が得られなかったり、塗膜がはやく摩滅したり、バフィングによる光沢復元が困難になる場合があり、70ミクロンを超えると塗膜の硬化収縮によって塗膜にヒビが入ったり、割れたり、或いは、塗膜と共にプラスティックフィルム自体が反ってくるおそれがある。
【0030】
光硬化用の光源としては、特に限定されないが、例えば、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、発光ダイオード、半導体レーザー等が挙げられる。
【0031】
上記光硬化型接着剤を床材または装飾フィルムと床材表面被覆体の間に介在させる前に、床材または装飾フィルムの上にアンダーコート剤を塗布し該塗膜を形成させると、光硬化型接着剤が床材または装飾フィルムの内部に浸透するのを抑制することができる場合がある。光硬化型接着剤は紫外線などの光が照射されないと硬化しないので内部に浸透した該光硬化型接着剤は未硬化のまま残る恐れがあり好ましくない。また、写真印画紙のごとく表面が特定の有機物により侵されやすい装飾フィルムでは、光硬化型接着剤を表面に直接塗布すると装飾フィルムの機能が発揮されにくい場合があり好ましくない。すなわち、アンダーコート剤を塗布することによって、床材または装飾フィルムへの光硬化型接着剤の浸透を防止するとともに、該床材または装飾フィルムの表面を保護することができて好ましい。アンダーコート剤塗膜の厚みは、該アンダーコート剤に求める機能により自由に設定することができ、如何なる厚みであっても良い。
【0032】
アンダーコート剤は、通常アンダーコート剤として用いられるコーティング剤であればとくに限定はなく、如何なるものも用いることができる。たとえば、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系、酢酸ビニル系などのコーティング剤が挙げられ、有機溶剤系、水溶液系、水性エマルション系、水性ディスパーション系など如何なる形態であっても良いが、水系であることが好ましい場合が多い。とくに、写真印画紙のごとく表面が特定の有機物により侵されやすい装飾フィルムにあっては水系であることがとくに好ましい。アンダーコート剤を塗布した後には、乾燥および塗膜硬化プロセスが必要となるが、それは光硬化、自然乾燥、熱風乾燥、輻射熱乾燥など通常コーティング剤の乾燥に用いられる方法であれば如何なる方法であってもよく、それらを複数組み合わせても良い。写真印画紙のごとく表面が特定の有機物により侵されやすい装飾フィルムでは、少なくとも自然乾燥と光硬化の組み合わせからなる乾燥および塗膜硬化プロセスを採用することが好ましく、それに適したアンダーコート剤を選択することが好ましい。自然乾燥のみで得られる塗膜物性よりも光硬化を含むプロセスで得られる塗膜物性の方が一般にすぐれているからである。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明により明らかなように、本発明によれば、1分子当たりの平均官能基数が4以上の光硬化型オリゴマーを含有する被覆組成物を片面に塗布しあらかじめ光硬化させた床材表面被覆体を床材表面に載置(貼付)する際に、床材表面と該床材表面被覆体の間に光硬化型接着剤を介在させ、これを光硬化させることにより、貼付後すぐに歩行でき、安価で長期間の歩行負荷に耐えうるすぐれた上記床材表面被覆体の貼付方法を提供できる。
【0034】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1の態様による床材表面被覆体の貼付方法によって床面が被覆された状態の模式断面図である。
【符号の説明】
1 床材
2 プラスティックフィルム
2a プラスティックフィルムと被覆組成物塗布硬化塗膜の境界面
3 被覆組成物の塗布硬化塗膜
4 床材表面被覆体
5 光硬化型接着剤
【発明の属する技術分野】
本発明は床材を被覆する床材表面被覆体の貼付方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
床材を被覆する方法としては、▲1▼床材の上に床材を貼る、▲2▼床材にコーティング剤を塗布する、▲3▼床材に印刷フィルムや転写フィルムを貼る、等の方法が知られている。 床材を被覆する目的は、床面の保護、歩行適性や車輌運行特性の向上、床面への意匠の付与、広告や各種サインの掲示等である。
【0003】
上記▲1▼の床材としては、塩化ビニルなどの樹脂系タイル及びシート;フローリングなどの木質系材料;磁器タイルなどのセラミックス系材料;大理石、御影石、テラゾーなど石系材料;モルタルなどのコンクリート系材料;ゴムやリノリウムなどの天然樹脂系タイル及びシート等がある。かかる床材は概ね優れた耐久性を有するが、価格が高くかつ床材を被覆する作業が面倒で簡便性において優れているとは言えない。
【0004】
上記▲2▼のコーティング剤を塗布する方法は、床材を使用する場合に比べると安価ではあるが、塗布にかなりの時間とノウハウを要する人的作業に頼るため、顧客の要請に十分応えることができるほど安価とはならない。
【0005】
上記▲3▼の印刷フィルムや転写フィルムは、通常の印刷機やインクジェットプリンター等を用いて文字や写真や各種の画像をフィルムに印刷又は転写してなるものであり、様々な意匠(複雑な意匠)を容易に付与できる。しかし、床材やコーティング剤の塗膜に比べて、著しく耐久性が劣るという欠点がある。さらにまた、意匠の保護のためには、その最上層に保護フィルムを設けざるをえず、保護フィルムを通して画像を見ることになるので、画像等が暗くぼけてしまうなどの画質低下の問題もある。こうした問題を解決する方法として、特願2001−223695のごとく様々な意匠(複雑な意匠)の上に水系の紫外線硬化型コーティング剤(フロアポリッシュ)を塗布することが提案されている。けれども、こうした現場でのコーティングによる方法では人件費がかさむため、近年ますます厳しくなっている顧客の低価格化要請に応えることは難しい。
【0006】
上記のように、床材の被覆方法として、従来から各種の方法が提案されているが、簡便性にすぐれ優れた耐久性(床面の保護および歩行適性等の長期持続性)が得られ、かつ顧客からの低価格要請に十分応えうる方法は未だ確立されておらず、かような床材の被覆方法が望まれていた。その有力な解決策として、特願2002−135297のごとく片面に光硬化型オリゴマーからなる被覆組成物を塗布し光硬化させたプラスティックフィルムを床面に貼付する方法が提案されている。この方法は極めてすぐれているが、使用する接着剤として通常の床材用接着剤を用いるため、長期間の歩行負荷によって接着剤がプラスティックフィルムの端部からあふれ出し、さらにこの時あふれた接着剤の上を歩行することになるため、プラスティックフィルムの端部周囲が黒く汚れることがあった。また、歩行条件によっては、プラスティックフィルムが床面からはがれるだけでなく、その時に露出した接着剤面が黒く汚れて見苦しくなることもあった。なお、床材用接着剤ではなくウレタン系やエポキシ系の接着剤を使用すると接着剤の硬化に時間を要し、貼付後1日以上放置する必要があり実用的ではなかった。従って、貼付後すぐに歩行でき、安価で長期間の歩行負荷に耐え得るような上記プラスティックフィルムの床面への貼付方法が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情に鑑み、安価で長期間の歩行負荷に耐え得るような上記床材表面被覆体の床面への貼付方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、1分子当たりの平均官能基数が4以上の光硬化型オリゴマーを含有する被覆組成物をプラスティックフィルムの片面に塗布しあらかじめ光硬化させた床材表面被覆体を床材表面に載置(貼付)する際に、床材表面と該床材表面被覆体の間に光硬化型接着剤を介在させ、これを光硬化させることで、安価で長期間の歩行負荷に耐えうるすぐれた該床材表面被覆体の床面への貼付方法を提供できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明の特徴は以下のとおりである。
(1)床材表面に貼付する床材表面被覆体の貼付方法であって、該床材表面被覆体はプラスティックフィルムの片面に光硬化型オリゴマーを含有してなり、かつ該光硬化型オリゴマーの1分子当たりの平均官能基数が4以上である被覆組成物を塗布しあらかじめ光硬化させたものであることを特徴とし、かつ床材表面と該床材表面被覆体の間に光硬化型接着剤を介在させ、これを光硬化させることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
(2)上記光硬化型オリゴマーの1分子当たりの平均官能基数が5以上であることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
(3)請求項1において、上記光硬化型オリゴマーの1分子当たりの平均官能基数が6以上であることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
(4)上記プラスティックフィルムがPETフィルム、好ましくは易接着性処理を施したPETフィルムであることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
(5)上記プラスティックフィルム厚みと上記被覆組成物の塗布硬化後厚みの合計厚みが25ミクロン以上、150ミクロン以下であることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
(6)床材の上に装飾フィルムを載置後、該装飾フィルムの上に上記光硬化型接着剤を介在させて上記床材表面被覆体を貼付した後、光硬化させることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
(7)上記床材表面被覆体の上記被覆組成物の塗布硬化塗膜面の反対面にインキ受容層を設け、該インキ受容層に画像等を形成した後、上記光硬化型接着剤を介在させて床材表面に貼付し光硬化させることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
(8)上記床材表面被覆体を上記装飾フィルムまたは上記画像等の長さおよび幅よりもそれぞれ1.5cm以上大きく切断してから貼付することを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
(9)上記床材表面被覆体を階段の水平面および/または垂直面に貼付することを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
(10)上記光硬化型接着剤が無溶剤系であることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
(11)上記光硬化型接着剤を塗布する前に、床材表面および/または装飾フィルム表面にアンダーコート剤塗膜を形成しておくことを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
【0010】
【発明の実施形態】
以下、本発明の床材表面被覆体の貼付方法を詳しく説明する。 図1は本発明の床材表面被覆体の貼付方法の最も基本的な態様(第1の態様)によって床材が被覆された状態を示している。
本発明の第1の態様は、図1に示すように、プラスティックフィルム2の表面2aに1分子当たりの平均官能基数が4以上の光硬化型オリゴマーを含有する被覆組成物を塗布しあらかじめ光硬化させた塗膜3を設けた床材表面被覆材4を、床材1の表面に載置(貼付)する際に、光硬化型接着剤5を介在させ、これを光硬化させることを特徴としている。
【0011】
本発明で使用する床材は、特に限定されず、公知の床材、例えば、塩化ビニル、ポリオレフィンなどの樹脂系タイル及びシート;フローリングなどの木質系材料;磁器タイルなどのセラミックス系材料;大理石、御影石、テラゾーなど石系材料;モルタルなどのコンクリート系材料;ゴムやリノリウムなどの天然樹脂系タイル及びシート等が挙げられる。
【0012】
本発明で用いるプラスティックフィルムとは、塩化ビニルフィルム、アクリルフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポバールフィルム、酢酸セルロースフィルム等のプラスティックフィルムのいずれでもよいが、フィルムとしての物理的強度と透明性にすぐれかつ比較的安価なポリエステルフィルム、すなわちPETフィルムが好ましく、研磨剤やフィラー等を練り込んだPETフィルムやジュアルサーフィス等の表面性を改良したPETフィルムでも良い。またプラスティックフィルムには、少なくともその片面にあらかじめ密着性を向上させるための樹脂膜を形成しておくことが好ましい。密着性を向上させるための樹脂膜としては、通常使用される如何なるものでも良い。こうした樹脂膜を設けることによって、如何なる組成の被覆組成物であってもプラスティックフィルムと該被覆組成物の硬化塗膜との間に十分な強度の密着力を付与することができる。プラスティックフィルムがPETフィルムの場合には、密着性を向上させるための樹脂膜として、いわゆる易接着性処理を施したPETフィルムを用いることができる。易接着性処理は、通常使用される如何なるものでも良い。該プラスチックフィルムは、床面に貼付する側の面にインキ受容層を設けて意匠(文字、模様、写真画像等の各種画像)を付与したものであってもよい。その際、プラスティックフィルムに付与する意匠(文字、模様、写真画像等)の付与形態は、公知の画像形成法(例えば、手書き、印刷、インクジェット記録、静電記録、電子写真法等)によって画像を担持させて意匠を付与した形態のもの等が挙げられる。もちろん、これら以外の形態であってもよく、写真印画紙等の装飾フィルムを床材に載置した上に、上記の床材表面被覆体を貼付しても良い。これら装飾フィルムについては、特願2001−223695に詳しく記載されているものを用いることができる。
【0013】
床材表面被覆体を床材表面に貼付するために使用する接着剤は、光硬化型接着剤であれば特に限定されず、如何なるものでも良いが、溶剤等を含有するため接着剤を塗布した後床材表面被覆体を貼付するまでの間に該溶剤等を揮発させる必要のある有機溶剤系や水系の接着剤よりも、溶剤等を含有しない無溶剤型の接着剤であることが好ましい。無溶剤型の接着剤としては、硬化後に得られる接着剤硬化塗膜の物性の点からウレタンアクリレート系がとくに好ましい。光硬化型接着剤は、通常の床材用接着剤とは異なり、光硬化後には接着剤自体の粘着性が事実上無くなるため、通常の床材用接着剤を用いた場合のように、長期間の歩行負荷によって接着剤が床材表面被覆体の端部からあふれ出すことがない。そのため、あふれた接着剤の上を歩行して床材表面被覆体の端部周囲を黒く汚すことがない。また、適切な光硬化型接着剤を選択することによって、長期間の歩行により床材表面被覆体が床面からはがれることもない。従って、光硬化型接着剤を使用することによって、安価で長期間の歩行負荷に耐え得るような該床材表面被覆体の床面への貼付が実現できる。
光硬化型接着剤としては、例えば、特開平1−156387のごとく耐水性を高めた光硬化型接着剤、特開2000−63767のごとく線膨張係数が異なる基材間の接着性を高めた光硬化型接着剤、特開2002−69138のごとくプラスティックフィルムへの接着性を高めた光硬化型接着剤なども好ましく用いることができる。当該接着剤の使用量は、床材およびプラスティックフィルム表面の性質に応じて適宜選択されるが、一般に4〜1000g/m2程度が好ましく、7〜200g/m2程度がさらに好適である。
【0014】
本発明において、床材表面被覆体の大きさ(面積)、形状(外形)等は任意であり、特に限定されない。すなわち、床材に貼付するに適した大きさ、形状であればよい。また、厚みも特に限定されない。しかし、厚すぎると貼付後に照射する紫外線などの光が吸収されて光硬化型接着剤の接着性が低下する場合のあること、および床材表面との間に段差を生じ、角部の摩滅や剥がれが生じやすくなるので、プラスティックフィルムの厚みと上記被覆組成物の塗布硬化後厚みの合計厚みを150ミクロン以下とするのが好ましく、100ミクロン以下がより好ましい。なお、余り薄すぎると、貼付の際に床材表面被覆体にシワが寄るあるいは気泡を巻き込む等、載置(貼付)作業が困難となるおそれがあるので、上記合計厚みは25ミクロン以上であるのが好ましい。
さらに、必要に応じて、床材表面被覆体の上に光硬化型接着剤を介在させて、さらに床材表面被覆体を貼付しても良い。
【0015】
本発明において、床材表面被覆体の床材への貼付面に手書き、印刷、インクジェット記録、静電記録、電子写真法等、公知の画像形成法を用いて画像等を付与してなるプラスティックフィルムを用いる場合、および写真印画紙等の装飾フィルムを載置してから上記の床材表面被覆体を貼付することにより床面に意匠を付与する場合には、上記画像等を付与したプラスティックフィルムの画像等または装飾フィルムの長さおよび幅よりも床材表面被覆体をそれぞれ1.5cm以上、好ましくは15cm以上大きく切断してから貼付することが好ましい。長さおよび幅が1.5cmよりも短いと歩行等により床材表面被覆体が床面からはがれる場合があり、また15cmより長いとプラスティックフィルム自体のわずかな着色(光吸収)等を原因とする床面と床材表面被覆体の境界部の微妙な色調の違いが目立ち難くなる。当然ながら、床材の種類や歩行負荷によっては床材表面被覆体がはがれ難く、また上記の微妙な色調の違いが目立たない場合もあり、その場合には床材表面被覆体を任意の大きさに切断して貼付して何の問題もない。
【0016】
階段等、現場作業でフロアポリッシュ等を床面にコーティングすることが困難な場所に床材表面被覆体を貼付すると簡便性にすぐれた本発明の効果が最もよく現れる。階段等では作業場所が狭く、また段差もあるため各種道具を使った現場作業が面倒なだけでなく危険だからである。床材表面被覆体を階段に貼付するとき、水平面だけあるいは垂直面だけを対象に貼付することもできるが、両方に貼付する場合には水平面(踏み面)から貼り始めて垂直面の下から上へと貼付するとシワをつくることなくまた気泡を巻き込むことなく容易に貼付することができる。
【0017】
床材表面被覆体を床材表面に貼付する前に、床材表面および/または装飾フィルムおよび/または床材表面被覆体に光硬化型接着剤を塗布する必要があるが、使用する光硬化型接着剤に適した方法であれば如何なる塗布方法でも良い。
【0018】
本発明では、プラスティックフィルムの片面に光硬化型オリゴマーを含有してなりかつ該光硬化型オリゴマーの1分子当たりの平均官能基数が4以上である被覆組成物を塗布しあらかじめ光硬化させる。該被覆組成物は歩行負荷の大きな床面に特に好ましく用いられ、その配合や塗布また光硬化については特願平10−272951に詳しく記載されている方法等を用いることができる。
【0019】
光硬化型オリゴマー1分子当たりの平均官能基数とは、光硬化型オリゴマー1分子中に含まれる官能基の数の平均値をいう。この平均官能基数は、光硬化型オリゴマーが複数種類の場合にはその光硬化型オリゴマーの平均分子量を用いて計算した値となる。
【0020】
光硬化型オリゴマーが2種類である場合における、平均分子量を用いた1分子当たりの平均官能基数の計算方法について例示説明する。2種類の光硬化型オリゴマーの平均分子量をMa、Mbとし、その添加重量をWa、Wb、1分子当たりの平均官能基数をNa、Nbとすると、1分子当たりの平均官能基数Nは、N={(Wa/Ma)・Na+(Wb/Mb)・Nb}/{(Wa/Ma)+(Wb/Mb)}であらわされる。
【0021】
被覆組成物がモノマーを含有する場合には、モノマーの平均官能基数は、上記光硬化型オリゴマーの平均官能基数には含まれない。モノマーは光硬化型オリゴマーとともに硬化反応をおこすが、実質的にモノマー配合は塗膜の光沢保持性能に影響を与えないからである。その理由は、モノマー配合量は光硬化型オリゴマーに比べて少ないからであると考えられる。
【0022】
上記光硬化型オリゴマーは、1分子当たりの平均官能基数が4以上である。これにより、床材表面に、光沢劣化を防止し得る塗膜を形成することができる。一方、4未満の場合には、光沢劣化のおそれがある。
光硬化型オリゴマーの1分子当たりの平均官能基数は、5以上であり、更には6以上であることが好ましい。これにより、光沢劣化防止効果が更に高くなる。
【0023】
光硬化型オリゴマーの1分子当たりの平均官能基数の上限は、15〜20程度であることが好ましい。1分子あたりの官能基数が多くなると官能基の反応率が低下するからであり、また官能基を極めて多くすることが合成上困難であるからである。上記官能基としては、アクリロイル基、ビニル基、メタクリロイル基、アリル基等がある。この中、アクリロイル基がより好ましい。
【0024】
上記光硬化型オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレートオリゴマー、アルキドアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、ポリエーテルアクリレートオリゴマー、メラミンアクリレートオリゴマー、ポリブタジエンアクリレートオリゴマー、ポリオールアクリレートオリゴマー、シリコンアクリレートオリゴマー、不飽和ポリエステル樹脂、及び不飽和(メタ)アクリル樹脂のグループから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0025】
本発明の被覆組成物には、上記光硬化型オリゴマーと光硬化する上での必須成分である光開始剤のほかに、必要に応じてモノマーや添加剤又は溶剤などを添加することができる。
モノマーは、反応性希釈剤ともいわれ、一般に光硬化型オリゴマーの低粘度化のために添加するが、床材との密着性及び柔軟性など塗膜性能の向上のために添加されることがある。
【0026】
モノマーは、光硬化型オリゴマー100重量部に対して、0〜400重量部添加することができる。400重量部を超える場合には、塗膜の耐摩耗性、耐薬品性、耐候性などの塗膜物性が低下するおそれがあるからである。
【0027】
上記添加剤には、増感剤、着色剤、消泡剤、湿潤剤、レベリング剤、粘度調整剤、貯蔵安定剤、抗菌剤、滑り止め剤、塗膜ひび割れ防止剤、密着促進剤、分散剤、界面活性剤、体質顔料などがある。いずれも、既知のものを用いることができる。
【0028】
上記光硬化型オリゴマーからなる被覆組成物の塗布方法は、通常工場等で使用される如何なる方法であっても良い。
【0029】
被覆組成物の塗膜(硬化塗膜)の厚み(硬化後の厚み)は下限が好ましくは4ミクロン以上、より好ましくは7ミクロン以上であり、上限が好ましくは70ミクロン以下である。厚みが4ミクロン未満であると十分な光沢度が得られなかったり、塗膜がはやく摩滅したり、バフィングによる光沢復元が困難になる場合があり、70ミクロンを超えると塗膜の硬化収縮によって塗膜にヒビが入ったり、割れたり、或いは、塗膜と共にプラスティックフィルム自体が反ってくるおそれがある。
【0030】
光硬化用の光源としては、特に限定されないが、例えば、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、発光ダイオード、半導体レーザー等が挙げられる。
【0031】
上記光硬化型接着剤を床材または装飾フィルムと床材表面被覆体の間に介在させる前に、床材または装飾フィルムの上にアンダーコート剤を塗布し該塗膜を形成させると、光硬化型接着剤が床材または装飾フィルムの内部に浸透するのを抑制することができる場合がある。光硬化型接着剤は紫外線などの光が照射されないと硬化しないので内部に浸透した該光硬化型接着剤は未硬化のまま残る恐れがあり好ましくない。また、写真印画紙のごとく表面が特定の有機物により侵されやすい装飾フィルムでは、光硬化型接着剤を表面に直接塗布すると装飾フィルムの機能が発揮されにくい場合があり好ましくない。すなわち、アンダーコート剤を塗布することによって、床材または装飾フィルムへの光硬化型接着剤の浸透を防止するとともに、該床材または装飾フィルムの表面を保護することができて好ましい。アンダーコート剤塗膜の厚みは、該アンダーコート剤に求める機能により自由に設定することができ、如何なる厚みであっても良い。
【0032】
アンダーコート剤は、通常アンダーコート剤として用いられるコーティング剤であればとくに限定はなく、如何なるものも用いることができる。たとえば、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系、酢酸ビニル系などのコーティング剤が挙げられ、有機溶剤系、水溶液系、水性エマルション系、水性ディスパーション系など如何なる形態であっても良いが、水系であることが好ましい場合が多い。とくに、写真印画紙のごとく表面が特定の有機物により侵されやすい装飾フィルムにあっては水系であることがとくに好ましい。アンダーコート剤を塗布した後には、乾燥および塗膜硬化プロセスが必要となるが、それは光硬化、自然乾燥、熱風乾燥、輻射熱乾燥など通常コーティング剤の乾燥に用いられる方法であれば如何なる方法であってもよく、それらを複数組み合わせても良い。写真印画紙のごとく表面が特定の有機物により侵されやすい装飾フィルムでは、少なくとも自然乾燥と光硬化の組み合わせからなる乾燥および塗膜硬化プロセスを採用することが好ましく、それに適したアンダーコート剤を選択することが好ましい。自然乾燥のみで得られる塗膜物性よりも光硬化を含むプロセスで得られる塗膜物性の方が一般にすぐれているからである。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明により明らかなように、本発明によれば、1分子当たりの平均官能基数が4以上の光硬化型オリゴマーを含有する被覆組成物を片面に塗布しあらかじめ光硬化させた床材表面被覆体を床材表面に載置(貼付)する際に、床材表面と該床材表面被覆体の間に光硬化型接着剤を介在させ、これを光硬化させることにより、貼付後すぐに歩行でき、安価で長期間の歩行負荷に耐えうるすぐれた上記床材表面被覆体の貼付方法を提供できる。
【0034】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1の態様による床材表面被覆体の貼付方法によって床面が被覆された状態の模式断面図である。
【符号の説明】
1 床材
2 プラスティックフィルム
2a プラスティックフィルムと被覆組成物塗布硬化塗膜の境界面
3 被覆組成物の塗布硬化塗膜
4 床材表面被覆体
5 光硬化型接着剤
Claims (11)
- 床材表面に貼付する床材表面被覆体の貼付方法であって、該床材表面被覆体はプラスティックフィルムの片面に光硬化型オリゴマーを含有してなり、かつ該光硬化型オリゴマーの1分子当たりの平均官能基数が4以上である被覆組成物を塗布しあらかじめ光硬化させたものであることを特徴とし、かつ床材表面と該床材表面被覆体のプラスティックフィルム面の間に光硬化型接着剤を介在させ、これを光硬化させることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
- 請求項1において、上記光硬化型オリゴマーの1分子当たりの平均官能基数が5以上であることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
- 請求項1において、上記光硬化型オリゴマーの1分子当たりの平均官能基数が6以上であることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項において、上記プラスティックフィルムがPETフィルム、好ましくは易接着性処理を施したPETフィルムであることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項において、上記プラスティックフィルム厚みと上記被覆組成物の塗布硬化後厚みの合計厚みが25ミクロン以上、150ミクロン以下であることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項において、床材の上に装飾フィルムを載置後、該装飾フィルムの上に上記光硬化型接着剤を介在させて上記床材表面被覆体を貼付した後、光硬化させることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項において、上記床材表面被覆体の上記被覆組成物の塗布硬化塗膜面の反対面にインキ受容層を設け、該インキ受容層に画像等を形成した後、上記光硬化型接着剤を介在させて床材表面に貼付し光硬化させることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
- 請求項6〜7のいずれか1項において、上記床材表面被覆体を上記装飾フィルムまたは上記画像等の長さおよび幅よりもそれぞれ1.5cm以上大きく切断してから貼付することを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項において、上記床材表面被覆体を階段の水平面および/または垂直面に貼付することを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項において、上記光硬化型接着剤が無溶剤系であることを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
- 請求項1〜10のいずれか1項において、上記光硬化型接着剤を塗布する前に、床材表面および/または装飾フィルム表面にアンダーコート剤塗膜を形成しておくことを特徴とする床材表面被覆体の貼付方法。
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