JP2001262092A - 接着シート、および床面被覆構造体 - Google Patents

接着シート、および床面被覆構造体

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JP2001262092A
JP2001262092A JP2000077818A JP2000077818A JP2001262092A JP 2001262092 A JP2001262092 A JP 2001262092A JP 2000077818 A JP2000077818 A JP 2000077818A JP 2000077818 A JP2000077818 A JP 2000077818A JP 2001262092 A JP2001262092 A JP 2001262092A
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adhesive
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JP2000077818A
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Takehide Okuyama
剛秀 奥山
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3M Innovative Properties Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐磨耗性とポリッシング耐久性とが効果的に
高められた、床用接着シートとして最適な接着シートを
提供する。 【解決手段】 ベース層と、ベース層の表面に配置され
た保護層と、ベース層の背面に配置された接着層とを有
してなる接着シートにおいて、上記保護層は、上記保護
層表面を改質する表面改質剤と、硬化樹脂と、硬質ビー
ズとを含有する層を、少なくとも最表層として含み、か
つ、接着シート全体の厚さが100〜250μmの範囲
であることを特徴とする、接着シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベース層と、ベー
ス層の表面に配置された保護層と、そのベース層の背面
に配置された接着層とを有してなり、建物等の床面の装
飾や保護等を目的として使用される、床用接着シートと
して特に適する接着シートに関する。本発明による接着
シートを床面を被覆する様に接着して、床面被覆構造体
を形成した場合に、その床面被覆構造体は、フロアポリ
ッシュ装置で磨いた時の接着シート部分の耐久性(ポリ
ッシング耐久性)が高くなり、接着シート端部の剥がれ
や欠損が効果的に防止される。
【0002】
【従来の技術】一般に、建物室内の床部分に配置された
仕上げ床材(プラスチック床、石材床、塗り床、木質床
等)は、通常2mm以上の厚みがある。これらの床材
は、通常、接着剤を用いて床部分に施工され、建物室内
の床面を形成する。しかしながら、この様な床材の再施
工(床材の貼り換え)時には次のような問題が発生して
いた。 (a)厚みが比較的大きいので非常に剥がしにくく、貼
り換えに時間がかかる。 (b)剥がした後に、厚みの分だけ多くの廃材が出てし
まう。そこで、床材被覆層として装飾シートを利用する
ことが検討されてきた。装飾シートは、化粧シートとも
呼ばれる装飾性の接着シートであり、シート全体の厚さ
は、通常1mm未満である。装飾シートは、通常、内装
用途、壁や天井の被覆、装飾を行うために良く用いらて
いるものであるが、この装飾シートを床面被覆用に用い
ようという試みである。すなわち、施工した床材の表面
を装飾シートで被覆し、床材の再施工に代えて、装飾シ
ートの交換を行うことにより、上記(a)および(b)
の問題点を解決しようとするものである。
【0003】装飾シートの表面層としては、価格、加工
性にすぐれた塩化ビニル樹脂が一般的である。また、裏
打基材に塩化ビニル層を設け、その上に接着剤を介して
フッ素ポリマーフィルムが保護層として積層されてい
る、耐汚染性や耐擦傷性が付与されたポリ塩化ビニル化
粧シートも提案されている(特公昭64−11752号
公報、特開平8−118553号公報等)。さらに、裏
打基材上に積層する樹脂層を、可塑剤のブリード(滲
出)のないアクリル樹脂エマルジョンに変更して、その
表面に配置されたフッ素ポリマーフィルム保護層との経
時剥離を改善することも提案されている(特許第251
2003号公報等)。一方、特開平10−175270
号公報は、塵埃等による汚染付着防止性等にも優れた内
装用化粧シートを教示している。この化粧シートは、ア
クリル樹脂エマルジョンを裏打基材の表面に塗布した後
に、これを乾燥固化させてアクリル樹脂層を形成し、さ
らに該アクリル樹脂層上に帯電防止剤及び抗菌剤を含有
せしめたフッ素ポリマー層を設けて形成する。上記裏打
基材の素材の例としては、有機繊維や無機繊維が挙げら
れている。また、帯電防止剤としては、ポリオキシエチ
レンアルキルリン酸エステル系界面活性剤等が使用でき
る。
【0004】また、特開平10−95087号公報は、
フッ素ポリマーを用いない改良も教示している。この公
報に開示の化粧紙は、紙質系基材の表面に印刷層とトッ
プコート層とが順次積層されてなり、前記トップコート
層が親水基を有するフッ素モノマー重合物(オリゴマ
ー)を含有する透明2液硬化性ウレタン系樹脂からなる
ことを特徴としている。
【0005】さらに、特開平6−240201号公報に
は、耐汚染性及び撥水性に優れた塗料用表面改質剤、お
よびその塗料用表面改質剤を含有する塗料組成物が開示
されている。この塗料用表面改質剤は、たとえば、C8F
17CH2CH2OCOCH=CH2とC18H37OCOCH=CH2 とを反応させた
共重合体からなる、フッ素化アクリル樹脂(ポリマーま
たはオリゴマー)である。この表面改質剤を、水酸基含
有ポリエステル系粉体塗料用樹脂、ブロックイソシアネ
ート硬化剤、顔料、ジブチルチンラウレートに添加し、
混合・粉砕を行なった後、混練粉砕を行い、その塗料組
成物を鋼板に吹き付け、焼付け硬化をして塗膜を得るこ
とにより、耐汚染性及び撥水性に優れた塗膜が得られ
る。
【0006】一方、無機質系の板材からなる化粧材表面
が、摩擦や引っかきで傷がつかない様にすることができ
る装飾シートも提案されている。たとえば、プラスチッ
ク製シートまたはフィルム等からなり、表面に印刷を施
した基材の表面に、特定のコーティング層(保護層)を
形成した装飾シートが、特開平11−10823号公報
等に開示されている。たとえば、特開平11−1082
3号公報に開示のコーティング層では、(A)平均粒径
が3〜50μmの球状粒子(ビーズ)、および(B)反
応性樹脂からなり、その(A)の含有量は、(A)+
(B)の合計量に対し5〜50質量%である。上記球状
粒子は、たとえば、アルミナ等を主成分とする硬質粒子
である。この様なコーティング層を有する装飾シート
を、各種板材、特に無機質系板材に貼り合わせてなる化
粧材では、表面の耐磨耗性が効果的に高められている。
【0007】なお、ここで説明された公報に開示の装飾
シートは、いずれも床用接着シートとして使用すること
を企図して提案されたものではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、本発明者ら
は、通常の装飾シートを床用接着シートとして利用する
ために研究を重ねた結果、従来のものには次のような問
題点があることを発見した。床用接着シートは、ホテル
や店舗等の床に対して、簡易的な改修や、広告、誘導サ
インの目的で床(床を形成する床材)に接着して使う場
合が増えている。ところが、大型のスーパーマーケッ
ト、コンビニエンスストア等では、床清掃に高速バフマ
シーン等のフロアポリッシュ装置を使用する。この装置
は、床磨き用バフ(バフパッド等)やブラシからなる清
掃具を比較的高速で回転させ、清掃具と床面との摩擦接
触により、床面及び床面上の接着シート表面の汚れを落
とす。したがって、床用として使用するためには、接着
シート表面の耐磨耗性を高めなければならない。前掲の
従来技術によれば、表面の耐磨耗性を効果的に高めるこ
とができる。また、耐磨耗性をより効果的に高めるに
は、接着シート全体の厚さを比較的厚くすることが良
い。前述の様な壁や天井の被覆、装飾等の内装用途で
は、慣用的に、接着シート全体の厚さを可及的に厚くし
ている。
【0009】ところが、接着シート表面の耐磨耗性を高
めるだけでは、フロアポリッシュ装置による清掃にも耐
えられる耐久性、いわゆるポリッシング耐久性は不十分
であった。たとえば、超高速ポリッシュ装置では、清掃
具の回転数が1,000〜3,000回転/分のものも
ある。前掲のような床以外の用途のための接着シートを
床用接着シートとして用い、上記のようなポリッシュ装
置による清掃を行った場合、接着シートの端部の剥が
れ、破れ、欠損等が生ずる。
【0010】したがって、本発明の目的は、耐磨耗性
(主にシート表面の耐磨耗性)とポリッシング耐久性と
が効果的に高められた、床用接着シートとして最適な接
着シートを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によると、ベース
層と、ベース層の表面に配置された保護層と、ベース層
の背面に配置された接着層とを有してなる接着シートに
おいて、上記保護層は、上記保護層表面を改質する表面
改質剤と、硬化樹脂と、硬質ビーズとを含有する層を、
少なくとも最表層として含み、かつ、接着シート全体の
厚さが100〜250μmの範囲であることを特徴とす
る、接着シートが提供される。このような接着シート
は、耐磨耗性とポリッシング耐久性とが効果的に高めら
れており床用接着シートとして最適である。また、本発
明の別の態様は、建物の床と、その床の表面に接着され
た上記の接着シートを含んでなる、床面被覆構造体であ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】(接着シート)図1に示す通り、
本発明の接着シート(1)は、ベース層(3)と、ベー
ス層(3)の表面に配置された保護層(2)と、ベース
層(3)の背面に配置された接着層(4)とを有してな
り、この保護層が以下の特徴を有するものである。すな
わち、本発明の接着シートは、保護層が、保護層表面を
改質する表面改質剤と、硬化樹脂と、その硬化樹脂中に
分散されて含まれる硬質ビーズとを含有する層を、少な
くとも最表面部の層(表層または最表層)として含んで
なることを特徴の1つとする。これにより、接着シート
の耐磨耗性を効果的に高め、また、後述する厚さの効果
と相乗して、ポリッシング耐久性を高める様に作用す
る。また、保護層樹脂にフッ素系ポリマーを用いる必要
は特には無いので、製造コストを低くおさえることがで
きる。したがって、本発明の接着シートは、再施工を意
図した装飾シートとして最適に使用できる。
【0013】また、本発明の接着シートは、接着シート
全体の厚さが100〜250μmの範囲に制御されるこ
とをもう1つの特徴とする。厚さが250μmを超える
と、ポリッシング耐久性が十分に高められず、反対に1
00μm未満では、耐磨耗性が低下するからである。こ
の様な観点から、接着シート全体の厚さは、好適には1
20〜230μm、特に好適には130〜200μmの
範囲である。なお、接着シート全体の厚さは、接着層の
接着面、すなわち、床材等の被着体に接する面から、保
護層最表面までの距離(寸法)である。
【0014】また、保護層は、表面改質剤と、硬化樹脂
と、硬質ビーズとを含有する単一の層であっても、また
は、このような層を表層として含む複数の層からなる積
層体であってもよい。
【0015】本発明の接着シートは、ベース層と、その
ベース層の表面に固定された保護層とを含んでなる積層
体からなる支持体と、その支持体の背面(すなわち、ベ
ース層の背面)に配置された接着層とを含んでなる接着
シートである。したがって、通常の粘着シート等の接着
シートと同様にして、建物、交通車両、航空機等の床面
に接着することにより、容易に被覆施工を行うことがで
きる。また、接着シートの厚みも、通常の装飾シート等
の場合と同様に、1mm未満であるので、再施工時に剥
がしやすく、貼り替えも短時間で済み、剥がした後の廃
材も比較的少なくすることができる。
【0016】本発明の接着シートは、比較的に厚さが薄
いので、シート全体の腰を弱めない様に各層の材料や含
有量を適宜決定するのが望ましい。シート全体の腰が弱
くなると、床への施工(接着作業)が困難になるからで
ある。保護層は硬化樹脂、すなわち、硬化された樹脂を
含むので、シートの腰を強くすることに貢献する。ま
た、同様の観点から、硬質ビーズの含有量は可及的に多
くした方が良い。しかしながら、硬質ビーズ含有量が多
すぎると、硬化樹脂から硬質ビーズが脱落しやすくなる
おそれがある。したがって、硬質ビーズの含有量は、硬
化樹脂(不揮発分)100質量部に対して、好適には1
00〜450質量部、特に好適には110〜400質量
部とする。なお、本明細書における硬化樹脂は、硬化し
た「硬化性樹脂」を意味する。また、詳細は後述する
が、硬化剤等の「硬化用成分」が必須の場合、硬化樹脂
は、硬化性樹脂と硬化用成分とからなる混合物が硬化し
たものを意味する。
【0017】また、本発明の接着シートは、上記の様な
構成を有するので、床面保護を目的した場合にも十分に
適するレベルの耐傷性(たとえば、JIS K 540
0に準拠した測定による鉛筆硬度試験による評価が2H
以上)を有することもできる。
【0018】さらに、ベース層が装飾層(印刷層等)を
有する場合、保護層の透明性を十分にし、装飾層が良く
見える様にするのが良い。この様な場合、硬質ビーズ
は、無機酸化物ビーズ、ガラスビーズ、セラミックビー
ズ、ガラスーセラミックビーズ等の透明ビーズが好適で
ある。また、この様な観点から、ビーズは透明性が高く
かつビーズの直径が可及的に大きい方が好適である。ビ
ーズの直径は、通常5〜100μm、好適には10〜5
0μmである。なお、ビーズの直径は、通常、光学顕微
鏡による画像処理装置を用いて測定できる。
【0019】本発明の接着シートは、好適には、次の様
な床面被覆構造体を製造するために用いられる。すなわ
ち、建物等の床(すなわち、床部分に配置された仕上げ
床材)と、その床の表面に接着層を介して固定された接
着シートを含んでなる床面被覆構造体において、上記接
着シートが、(i)ベース層と、(ii)ベース層の表
面に配置された保護層とを有してなり、上記保護層は、
表面改質剤、硬化樹脂、およびその硬化樹脂中に分散さ
れた硬質ビーズを含有する層を表層として含んでなるこ
とを特徴とする、床面被覆構造体を製造するために用い
られる。この様な床面被覆構造体では、床面保護に適す
る十分なレベルのポリッシング耐久性と耐磨耗性を有す
る。
【0020】本発明の接着シートでは、硬化樹脂と、そ
の硬化樹脂中に分散された硬質ビーズとを含有する表層
を有するので、比較的厚みが薄くても、接着された床面
の凹凸は拾いにくく、接着後のシート表面の平滑性を高
めることができ、また、床面被覆構造としての使用に耐
え得る十分な強度(耐磨耗性、耐傷性等)を床面に付与
することもできる。しかしながら、支持体(ベース層と
保護層とを含んでなる積層体)の厚みは、好適には60
〜180μm、特に好適には70〜150μmの範囲で
ある。支持体の厚みが薄すぎると、床材等に接着した後
のシート表面の平滑性が高められず、また、床面被覆構
造としての使用に耐え得る十分な強度が床面に付与され
ないおそれがある。また、反対に厚すぎると、ポリッシ
ング耐久性を高めることが困難になるおそれがあり、ま
た、剥がした後の廃材も多くなる。
【0021】ベース層が、印刷層等の装飾層を含んでな
る場合、本発明の接着シートは、装飾シートとして利用
できる。すなわち、前記ベース層が、その表面から装飾
性外観が観察可能な装飾層を有し、前記保護層が光透過
性である、装飾性の接着シートである。保護層の光透過
率は、通常60%以上、好適には70%以上である。保
護層の光透過率が低すぎると、装飾性外観が良好に観察
できないおそれがある。また、使用中の表面の摩損によ
り光透過性が低下する傾向があるが、保護層の光透過率
が低すぎると、接着シートの交換頻度が多くなり、経済
的ではない。したがって、保護層の光透過率は、特に好
適には80%以上である。なお、本明細書における「光
透過率」は、JIS K 7105「光線透過率測定
法」に準ずる方法で測定した光線透過率である。
【0022】本発明の接着シートは、ベース層と、その
ベース層の表面に固定された保護層とを含んでなる支持
体を用意し、その支持体の背面(すなわち、ベース層の
背面)に、接着層を配置することにより製造することが
できる。接着層は、通常の接着シートの場合と同様に、
粘着剤、感熱性接着剤またはホットメルト接着剤から形
成することができる。また、粘着剤を用いる場合に、再
剥離性粘着剤を使用するのが好適である。再施工時に剥
がしやすくできるからである。また、接着層の接着面に
は、表面に微細な凹凸を有する剥離紙(ライナー)から
転写して、微細な凹凸を形成することにより、接着力を
制御したり、貼り付け時の気泡抜け性を改良することも
できる。なお、接着層の厚みは、通常10〜100μ
m、好適には15〜60μmである。接着層の厚さが薄
すぎると、床面等の被着面への固着力が低下し、ポリッ
シング耐久性等が低下するおそれがあり、反対に厚すぎ
ると、十分な厚さで保護層を形成しつつ、シート全体の
厚さを所定の厚さに制御するのが困難になるおそれがあ
る。
【0023】(保護層)保護層としては、表層のみから
なる単層のものも使用できるが、好適には、(a)表面
改質剤、硬化樹脂、およびその硬化樹脂中に分散された
硬質ビーズを含有する表層と、(b)その表層と前記ベ
ース層との間に配置されたプライマー層とを含んでなる
のが好適である。保護層が固定されるベース層は、通常
は樹脂層を用いるが、この様なベース層に対しても高い
固着力(接着力)で固定でき、接着シートの耐久性や耐
磨耗性を効果的に高めることができるからである。
【0024】上記の様な保護層は、好適には下記の様な
保護フィルムとして与えられる。このような保護フィル
ムと、別途用意したベース層と積層することにより、接
着シートが形成される。すなわち、保護フィルムは、
(a)表面改質剤、硬化樹脂、およびその硬化樹脂中に
分散された硬質ビーズを含有する表層と、(b)その表
層と上記ベース層との間に配置されおり、保護フィルム
をベース層に固定するためのプライマー層とを含んでな
ることを特徴とする、接着シート用保護フィルムであ
る。これにより、上記の様なベース層に対しても高い固
着力で固定でき、本発明の接着シートの製造が容易にな
る。また、接着シート全体の厚さを最適な範囲に制御す
るために、保護層(保護フィルム)全体の厚さは、好適
には50〜150μm、特に好適には60〜120μm
である。なお、プライマー層の詳細に関しては後述す
る。
【0025】本発明の接着シートは、通常の接着シート
の場合と同様にして製造することもできるが、好適には
保護フィルムを用いて次の様にして製造するのが良い。
すなわち、(1)保護層として、(a)表面改質剤、硬
化性樹脂、およびその硬化性樹脂中に分散された硬質ビ
ーズとを有する表層と、(b)その表層と前記ベース層
との間に配置されるプライマー層、とを含んでなる保護
フィルムを用意し、(2)上記保護フィルムの硬化性樹
脂を硬化した後、(3)上記プライマー層を介して上記
保護フィルムをベース層の表面に固定する、これら
(1)〜(3)のステップを含んでなる方法により製造
することができる。この方法によれば、上記の様なすぐ
れた性能の接着シートを製造することが容易である上
に、次の様な利点も合わせて有する。すなわち、ベース
層の表面または内部に、ベース層の表面から観察可能な
印刷層等の装飾層を設ける場合などのように、ベース層
が熱損傷を受けやすい場合に、この様なベース層の損傷
を効果的に防ぐことができる。通常、硬化性樹脂の硬化
は、熱または放射線(例えば、紫外線または電子線)を
用いて行うのが最も効率的(硬化時間の短縮可能)であ
る。この時、ベース層と保護層とを積層する前に保護層
の硬化を完了させることにより、加熱または放射線照射
に伴う発熱からベース層を保護することができる。した
がって、上記(1)〜(3)のステップを含んでなる製
造方法では、この様なベース層の損傷を効果的に防ぐこ
とができる。なお、硬化時間の短縮が不要な場合は、ベ
ース層の熱的損傷を防ぐために、硬化性樹脂として、湿
気硬化型樹脂、常温硬化型樹脂や比較的低温(100℃
以下の温度)で硬化可能な樹脂を用いることもできる。
【0026】上記保護フィルムにおける表層の厚さは、
本発明の効果を損なわない限り限定されないが、通常1
0〜150μm、好適には20〜120μmである。表
層の厚さが薄すぎると、ポリッシング耐久性や耐磨耗性
が低下するおそれがあり、反対に厚すぎると、シート全
体の可撓性が低下し、再施工時に剥がしにくくなるおそ
れがある。
【0027】保護層が上記保護フィルムのようにプライ
マー層を含む場合に、プライマー層は上述のように表層
とベース層との接着力を上げるように作用する。プライ
マー層の厚さは、特に限定されないが、通常10〜10
0μm、好適には20〜80μmである。プライマー層
の厚さが薄すぎると、表層とベース層との間の密着性が
低下し、ポリッシング耐久性や耐磨耗性が低下するおそ
れがあり、反対に厚すぎると、十分な厚さで表層を形成
しつつ、シート全体の厚さを所定の厚さに制御するのが
困難になるおそれがある。
【0028】また、表層とプライマー層との密着性を高
めるに、それらの間に表層とは別個に硬化樹脂層を配置
してもよい。このような表層とプライマー層との間に配
置される硬化樹脂層は表層との密着性を考慮して好まし
くは表層と同種の硬化樹脂である。この硬化樹脂層の厚
みは、通常1〜50μmである。
【0029】表層には、硬化性樹脂等の上記必須成分の
他、硬化剤、架橋剤、硬化促進剤、重合開始剤、触媒等
の、硬化用成分を含むことができる。また、その他の添
加剤、たとえば、界面活性剤、充填剤、難燃性付与剤、
紫外線吸収剤、酸化安定剤、粘着付与樹脂、着色剤、抗
菌剤等を含むこともできる。しかしながら、好適には、
その他の添加剤の含有割合は、硬化性樹脂100質量部
に対して20質量部以下である。
【0030】表層は、たとえば、硬化性樹脂等の必須成
分を含有するスラリーを形成し、そのスラリーを塗布、
固化して形成することができる。スラリーの各成分を混
合する際、結合材(硬化性樹脂、および、含まれるなら
ば硬化用成分)の溶液の不揮発分濃度をあらかじめ20
〜40質量%の範囲に調整しておくと、塗布特性の良好
なスラリーが得られる。こうして得られたスラリーは、
ビーズを含んでいるため、ノッチバー、ラウンドバー等
で塗布するのが好適である。
【0031】(硬化樹脂)硬化樹脂は後述の硬質ビーズ
を保持するマトリックスをなす。硬化樹脂を形成するた
めに硬化性樹脂は、硬化後に、透明性および耐磨耗性に
すぐれた硬化樹脂となるものであれば特に限定されな
い。硬化樹脂(硬化された硬化性樹脂)の光透過率は、
通常70%以上、好適には80%以上、特に好適には9
0%以上である。たとえば、ウレタン系樹脂、アクリル
系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、エポ
キシ系樹脂である。好適にはウレタン系樹脂である。こ
れらの樹脂は硬質ビーズ(詳細は後述する)との密着性
が良く、また、強靭性も比較的高いので、表層の耐磨耗
性を効果的に高めることができるからである。この様な
樹脂の具体例としては、日本ポリウレタン(株)社製の
ウレタン樹脂「(品番)SH−1011」等を挙げるこ
とができる。また、好適には、このような樹脂に硬化剤
(たとえば、日本ポリウレタン(株)社製の「(品名)
コロネートHX」等)を添加した硬化性樹脂を硬化して
硬化樹脂が得られる。
【0032】硬化剤等の硬化用成分が必須の場合、その
硬化用成分の含有割合は、通常、硬化性樹脂100質量
部に対して50質量部以下、好適には30質量部以下、
特に好適には20質量部以下である。
【0033】硬化された樹脂(硬化樹脂)の弾性率は、
好適には1×109 〜1×1015dyn/cm2 の範囲であ
る。この範囲であれば、接着シート全体の可撓性を良好
にしつつ、ポリッシング耐久性や耐磨耗性を効果的に高
めることができるからである。また、硬化樹脂の表面硬
度は、前述の鉛筆硬度試験に準じて測定ときに、通常H
より硬い範囲である。この様な硬度であれば、耐傷性が
効果的に高められる。
【0034】(硬質ビーズ)硬質ビーズは接着剤シート
の耐磨耗性やポリッシング耐久性を高めることに寄与す
る。前述の様に、硬質ビーズとしては、ガラスビーズ、
無機酸化物ビーズ等が使用できる。硬質ビーズのビッカ
ース硬度は、好適には500kg/mm2 以上である。
硬度が500kg/mm2 未満であると、ポリッシング
耐久性や耐磨耗性が低下するおそれがある。ここで、
「ビッカース硬度」は、約1mmの粒子径の硬質ビーズ
を約10〜20個と、10gのエポキシ樹脂とを混合し
て固め、直径約3cm、高さ約1cmの円筒状の試料を
形成し、それを研磨して露出させたビーズ表面にて、微
小硬度計を用いて測定した値である。なお、測定時の測
定荷重は300gで、荷重時間は15秒である。硬質ビ
ーズは、好適には、無機酸化物ビーズである。無機酸化
物ビーズは、保護層の樹脂との結着作用(親和性)が高
く、特に高い耐磨耗性とポリッシング耐久性を実現でき
るからである。この様な無機酸化物ビーズとしては、ア
ルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア等を含有するも
のが好適である。特に好適にはアルミナ含有ビーズであ
る。また、無機酸化物ビーズの場合には、樹脂との密着
性を良好にするために、シランカップリング剤等による
表面処理を施すのが好適である。上記の様な硬質ビーズ
の具体例として、たとえば、昭和電工(株)社製アルミ
ナビーズ「(品番)CB A40」を挙げることができ
る。
【0035】硬質ビーズの屈折率は、表層の透明性を高
めるには、硬化樹脂の屈折率とほぼ同じであるのが好適
である。したがって、硬質ビーズの屈折率は、1.3〜
1.9の範囲が好適である。
【0036】(表面改質剤)保護層に含まれる表面改質
剤は、表層の表面の塵埃等による汚染を防止する作用を
有する。表層の表面には、硬質ビーズに由来する、複数
の微細な凹凸が形成される。したがって、塵埃等が表面
付着した場合、平滑な面に付着した場合に比べて、塵埃
と表層表面との接触面積が比較的大きくなる。この様な
場合、不要に強くポリッシングすることなく、塵埃等か
らなる汚れを簡単に拭き取れる様にするには、表層表面
を改質して表面張力を小さくする必要がある。表面改質
剤は、通常、シリコーン系またはフッ素系の表面改質剤
である。
【0037】表層表面の表面張力を小さくする手段とし
て、保護層の表層に、前述の特開平6−240201号
公報等に開示の塗料用表面改質剤を含有させることがで
きる。この様な表面改質剤は、非イオン性のものが好適
である。これにより、表層内部から表面へのブリードが
容易であり、表面を常にフッ素系表面に保ち続けること
が可能である。フッ素系表面改質剤は、オリゴマー化合
物が良く、常温(約25℃)で液状のものが好適であ
る。その粘度(約25℃)は、通常50cps未満、特
に好適には1〜30cpsの範囲である。粘度が高すぎ
ると、表層内部から表面へのブリードが困難になるおそ
れがあり、反対に粘度が低すぎると、表面改質効果の持
続性が低下するおそれがある。
【0038】表面改質剤の含有量は、硬化樹脂(不揮発
分)100質量部に対して、通常0.1〜10質量部、
好適には0.5〜5質量部、特に好適には1〜3質量部
である。少なすぎると、表面改質効果の持続性が低下す
るおそれがあり、また、必要量より多すぎても耐汚染性
の効果はそれほど向上せず、かえって、表層を形成する
際の塗膜欠陥の発生等の悪影響が出てくるおそれもあ
る。
【0039】上記の様な表面改質剤として、たとえば、
次の様な化学構造のフッ素系化合物が使用できる。すな
わち、分子中のアルキル基の水素原子すべてをフッ素原
子に置換したパーフロロアルキル基と、親水性基(水酸
基等)または親油性基をもつ、界面活性剤である。この
様な化合物は、パーフロロアルキル基の表面移行性を利
用し、表層の表面改質を行うものであり、少量の添加で
層表面に移行して表面改質することができる。具体例と
しては、大日本インキ化学(株) 社製「フッ素系表面改
質剤(商標)DEFENSAシリーズ、「品番:MCF
−300」、「品番:MCF−310」、「品番:MC
F−312」、「品番:MCF−323」等を挙げるこ
とができる。
【0040】(プライマー層)本発明の接着シートの保
護層には、ベース層と保護層の表層との接着性を高める
ために、プライマー層を含むことができる。プライマー
層は、通常は、透明性の高い熱可塑性樹脂を含有する、
熱接着層である。熱可塑性樹脂の光透過率は、通常70
%以上、好適には80%以上、特に好適には90%以上
である。熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル系樹脂(塩
化ビニルと、他のビニルモノマーとの共重合体を含
む)、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル
系樹脂、シリコーン系樹脂(シリコーンポリウレア樹脂
を含む)等が使用できる。
【0041】なお、本発明の効果を損なわない限り、プ
ライマー層に、硬化剤、架橋剤、重合開始剤、触媒、界
面活性剤、充填剤、難燃性付与剤、紫外線吸収剤、酸化
安定剤、粘着付与樹脂、着色剤等の添加剤を含有させる
こともできる。プライマー層も、プライマー層樹脂を含
む塗布液を、通常の塗布手段を用いて塗膜化して形成す
ることができる。
【0042】(ベース層)ベース層は、接着シートの支
持体の一部を受け持ち、シート全体の機械的強度を良好
に保つために必要とされるものである。その他、接着シ
ートがシート表面に装飾性外観を付与するための印刷層
を有する場合、この印刷層を担持するための層としても
機能する。印刷層は、ベース層を着色したり、表面に文
字、図案等のイメージを設けることにより形成される、
装飾性を付与するための層である。印刷層は、(1)ベ
ース層の最表面、(2)ベース層の内部、または、
(3)ベース層の最背面(接着層と接する側)に配置さ
れる。
【0043】ベース層は、通常の接着シートの基材とし
て使用されているもののいずれかから形成することがで
き、たとえば紙、金属フィルム、樹脂フィルム等が使用
できる。樹脂としては、塩化ビニル系樹脂(塩化ビニル
と、他のビニルモノマーとの共重合体を含む)、ポリオ
レフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポ
リエステル系樹脂、シリコーン系樹脂(シリコーンポリ
ウレア樹脂を含む)等が使用できる。金属フィルムとし
ては、アルミ箔、銅箔等の金属箔が使用できる。基材と
して金属箔を使用した場合、タイルの目地に沿って良好
に追従させて接着することができる。なお、ベース層の
厚さは、通常10〜80μm、好適には15〜50μm
である。ここでベース層の厚さは、ベース層が印刷層を
含む場合は、印刷層とベース層との合計の厚さを意味す
る。
【0044】また、必要に応じて、印刷層を被覆する透
明フィルム層を配置することもできる。透明フィルム層
は、保護層が摩損した場合でも、印刷層を保護するため
に有効である。すなわち、印刷層を被覆する層がこの様
な多重構造(保護層+透明フィルム層)を有することに
より、印刷層をいっそう効果的に保護することができ
る。透明フィルム層の厚さは、通常5μm以上、好適に
は10〜100μmである。透明フィルム層の光透過率
は、通常70%以上、好適には80%以上、特に好適に
は90%以上である。また、本発明の効果を損なわない
限り、透明フィルム層には、硬化剤、架橋剤、重合開始
剤、触媒、界面活性剤、充填剤、難燃性付与剤、紫外線
吸収剤、酸化安定剤、粘着付与樹脂、着色剤等の添加剤
を含有させることもできる。
【0045】透明フィルム層の材料は、柔軟性と透明性
が良好であれば特に限定されない。したがって、熱可塑
性樹脂が使用できる。前述の様に、保護層の硬化完了後
に、保護層に積層することもできるので、この様な場
合、透明フィルム層は熱損傷をほとんど受けないからで
ある。透明フィルム層の材料としては、塩化ビニル系樹
脂(塩化ビニルと、他のビニルモノマーとの共重合体を
含む)、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂、シリコーン系樹脂(シリコーンポリウレア樹
脂を含む)等が使用できる。
【0046】透明フィルム層は、たとえば、上記樹脂を
含有する塗布液を、工程基材または印刷層上に塗布、固
化して形成する。塗布手段としては、通常の塗布手段、
たとえば、ナイフコーター、ロールコーター、ダイコー
ター、バーコーター、カーテンコーター等が使用でき
る。工程基材上に形成した透明フィルム層は、通常、印
刷層付き接着フィルム層とドライラミネートされて、ベ
ース層を形成する。この場合、透明フィルム層の樹脂
は、熱可塑性を有するのが好適である。また、ドライラ
ミネート法を用いる場合、透明フィルム層を、押出成形
法により作ることもできる。
【0047】印刷層は、従来の装飾シートの印刷層と同
様にして形成できる。たとえば、印刷インクを用いて、
スクリーン印刷、グラビア印刷、熱転写印刷等の手段に
より形成できる。印刷層の厚さは、従来の装飾シートに
おける印刷層の場合と同様にして決定できる。また、上
記印刷層に代えて、金属蒸着層を含んでなるメタリック
外観を有するメタリック層を用いることもできる。さら
に、この様なメタリック層と、その上に形成された印刷
層とを組み合わせて、装飾層として利用することもでき
る。なお、印刷層をベース層の表面に形成する前に、ベ
ース層背面に接着層を配置しても良いし、印刷層をベー
ス層表面に形成した後、接着層を配置しても良い。ま
た、印刷層付きベース層表面に、保護層や透明フィルム
層を配置した後、最後に接着層を配置しても良い。
【0048】(接着シートの製造方法)本発明の接着シ
ートは、前述の様に、好適には次の様にして製造する。 (1)まず、(a)表面改質剤、硬化性樹脂、およびそ
の硬化性樹脂中に分散された硬質ビーズとを有する表層
と、(b)その表層とベース層との間に配置されるプラ
イマー層、とを含んでなる保護フィルムを用意し、
(2)上記保護フィルムの硬化性樹脂を硬化した後、
(3)プライマー層を介して上記保護フィルムを、別途
用意したベース層の表面に固定する。硬化性樹脂の硬化
を加熱により行う場合は、通常、120〜200℃、1
分〜20分の加熱が必要な場合もある。また、紫外線、
電子線等の放射線を照射した場合も、これと同等または
同等以上の熱が保護層に加わるおそれもある。したがっ
て、保護層の硬化をベース層と積層する前に行うことに
より、ベース層を、この様な高温に比較的長時間(数分
〜数十分)さらすことなく、接着シートの製造を行うこ
とが可能となる。
【0049】(接着層)接着層は、通常、粘着剤(感圧
接着剤)、感熱接着剤、硬化型接着剤等を含んでなる層
である。また、本発明の接着シートを、再施工時に剥が
しやすくするためには、接着層の接着剤として、再剥離
性粘着剤を使用するのが好適である。
【0050】再剥離性粘着剤は、たとえば、懸濁重合に
より得られた弾性微小球と、乳化重合により得られた粘
着性ポリマー溶液とを混合して得ることができる。弾性
微小球の材料としては、入手しやすく、またゴム弾性と
粘着性の制御が容易であることから、ポリアクリレート
が好ましい。微小球の圧縮弾性率は、1×104 〜1×
107 dyne/cm2 の範囲が好ましい。圧縮弾性率が、こ
の範囲にあれば、微小球自体が効果的に変形し、再剥離
性が良好になる。圧縮弾性率は、粘弾性スペクトロメー
ター「品番:RSA II 」を用いて20℃で測定した圧
縮弾性率である。一方、粘着性ポリマーとは、常温で粘
着性を示し、感圧接着剤として使用可能なポリマーを意
味する。この様なポリマーとしては、ポリアクリレー
ト、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル等が
使用できる。粘着性ポリマーの分子量は、所定の粘着性
が発揮される範囲であれば良く、通常は重量平均分子量
で、10, 000〜100, 000の範囲である。再剥
離性粘着層は、弾性微小球と粘着性ポリマーとを含んで
なる粘着剤から、通常の塗布手段を用いて塗膜化して形
成できる。再剥離性粘着層は、弾性微小球に由来する凸
状粘着部を多数有する。弾性微小球と粘着性ポリマーと
の混合比は、粘着性ポリマー100質量部に対する微小
球の含有量が、通常20〜500質量部、好適には10
0〜400質量部の範囲である。
【0051】(抗菌剤)保護層には、本発明の効果を損
なわない限り、その他の添加剤として抗菌剤を含有させ
て良い。たとえば、表層表面に付着した塵埃には、細菌
や黴の胞子が付着している場合が多く、塵埃の付着は黴
菌類による汚染をも意味する。塵埃のみ拭き取っても黴
菌類が残留してしまう場合がある。そこで、黴菌類に対
する汚染防止効果を付与するために、少なくとも表層に
抗菌剤を添加するのが好適である。抗菌剤の含有量は、
硬化樹脂(不揮発分)100質量部に対して、通常0.
01〜2質量部、好適には0.05〜1質量部である。
少なすぎると、効果の持続性が低下するおそれがあり、
また、必要量より多すぎても効果はそれほど向上せず、
かえって、悪影響(たとえば、表層を形成する際の塗膜
欠陥の発生等)が出てくるおそれもある。抗菌剤として
は、細菌類を殺したり増殖を抑える狭義の「抗菌剤」
と、黴を殺したり増殖を抑える狭義の「防黴剤」の両方
が使用できる。
【0052】
【実施例】保護層のための保護フィルムの作製 まず、次の様にして、各例で保護層として用いる保護フ
ィルムを形成した。1.リリース処理を施した紙上に、
塩化ビニル(PVC)樹脂を含有する塗布液をコーティ
ングし、50μmの熱ラミネート可能なプライマー層を
形成した。2.上記のプライマー層上に、表1−第1層
配合にしたがって混合した組成物をコーティングし、9
0℃で2分乾燥し、厚さ15μmの第1の熱硬化性樹脂
層を保護層の第1層として設けた。3.続いて、上記第
1層上に、表1−第2層配合にしたがって混合した組成
物をコーティングし、第2の熱硬化性樹脂層である表層
を形成し、プライマー層/第1層/表層の三層からなる
積層体を形成した後、この積層体を、100℃で1分間
加熱し、さらに160℃で4分30秒間加熱して、乾燥
と硬化処理とを行い、保護フィルムを作製した。なお、
保護層第1層と表層のトータルの厚さは40μmであっ
た。
【0053】
【表1】
【0054】なお、上記の表中において、「(品番)S
H−1011」は、日本ポリウレタン(株)社製のポリ
ウレタン樹脂塗料で、固形分(不揮発分)濃度は30質
量%(wt%)であり、「(品名)コロネートHX」は
日本ポリウレタン(株)社製のイソシアネート系硬化剤
で、固形分(不揮発分)濃度は100質量%であり、
「(品番)GB731A」は東芝バロティーニ社製の平
均粒径30μmおよびビッカース硬度600kg/mm
2 のガラスビーズであり、「(品番)CB A40」は
昭和電工(株)社製の平均粒径40μmおよびビッカー
ス硬度2500kg/mm2 のアルミナビーズであり、
「(品名)アメニトップ」は松下電工(株)社製の抗菌
剤であり、「DEFENSAシリーズ(品番)MCF−
312」は大日本インキ化学(株)社製のフッ素系表面
改質剤である。
【0055】接着シートの作製 実施例1、実施例3および比較例3の接着シート 上記の様にして得られた保護フィルムからリリース処理
紙を剥離し、全体の厚さが20μmの印刷層付きベース
層(バンドー化学(株) 社製の塩化ビニル樹脂フィルム
であって、その一方の表面に印刷層を配置して形成した
もの)を熱ラミネートして、接着シート前駆体を得た。
さらに、この接着シート前駆体と、剥離紙にアクリル系
粘着剤を40μmの厚さでコーティングし、乾燥して形
成した接着層(剥離紙付き)とをラミネートして接着シ
ートを形成した。このようにして、実施例1、実施例3
および比較例3の接着シートを完成させた。図2に示す
ように、ビーズ含有熱硬化樹脂層(5)、熱硬化樹脂層
(6)およびプライマー層(7)からなる保護層
(2)、印刷層(8)および印刷されたベース層(9)
からなるベース層(3)、接着層(4)並びに剥離紙
(10)の積層体である接着シート(1)を形成した。実施例2および4、比較例1、2、4および5の接着シ
ート 上記印刷層付きベース層の上に、表2に示される様にそ
れぞれの厚さが異なる透明フィルム層(バンドー化学
(株) 社製の塩化ビニル樹脂(PVC)フィルム)を中
間層として熱ラミネートし、その中間層の上に上記保護
層を熱ラミネートした以外は、上記実施例1と同様にし
て各例の接着シートを完成させた。下記の表2に各例の
接着シートの構成を示す。
【0056】
【表2】
【0057】次に、各例の接着シートの性能試験につい
て説明する。 (試験方法) 1)ポリッシング耐久性:図3に示すように100mm
四方の接着シート(1)の各サンプルを床面に貼りつ
け、床用高速バフマシーンのパッド(11)を往復20
パス通過させた後の端部の最大磨耗幅(13)を測定し
た。最大磨耗幅が15mm以下であれば、耐久性が良い
と判断される。また、最大磨耗幅が10mm以下であれ
ば、耐久性が特にすぐれていると判断される。 2)耐磨耗性:テーバー磨耗試験機を用いて、S−42
研磨紙、荷重1kgの条件で試験を実施し、印刷層の消
失する回転数を測定した。 3)耐傷性:JIS K 5400に準拠した測定によ
る鉛筆硬度試験であった。 4)耐汚染性:実施例1〜4の接着シートを床面に施工
し、1週間経過後に表面を水洗いし、汚染状況を目視比
較した。
【0058】試験1)〜3)の結果を表3に示す。
【0059】
【表3】
【0060】試験4)で汚染状況を調べたところ、いず
れの接着シートにおいても、試験前のシートと比較し
て、同一レベルの清浄状態が保たれており、耐汚染性は
すぐれていることが分かった。また、これらの保護フィ
ルムの光線透過率を、JISK 7105の光線透過率
測定法に準ずる方法で、表層から裏面(プライマー層)
に向かって光が進む様にして測定したところ、約90%
であり、光透過性も良好であった。なお、表層に表面改
質剤が含有されていない場合、試験前のシートと比較す
ると違いが分かる程度に汚れたり、水洗いだけでは取れ
ないほどの汚れが付着する。
【0061】
【発明の効果】本発明の接着シートは耐磨耗性とポリッ
シング耐久性とが効果的に高められている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1態様の接着シートの断面図である。
【図2】本発明の別の態様の接着シートの断面図であ
る。
【図3】ポリッシング耐久性試験法を示す略図である。
【符号の説明】
1…接着シート 2…保護層 3…ベース層 4…接着層 5…ビーズ含有熱硬化樹脂層 6…熱硬化樹脂層 7…プライマー層 8…印刷層 9…印刷されたベース層 10…剥離紙 11…パッド 12…床タイル 13…最大磨耗幅
フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AG00A AG00H AK01A AK15B AK25C AK51A AR00C AT00B BA03 BA07 BA10A BA10C CA30A CB00 DE04A DE04H GB08 GB31 HB31 JA20 JB12A JK09 JK12A JK12H JL06 JL11C JL13C JN01A YY00 4J004 AB01 AB03 AB04 CC03

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベース層と、ベース層の表面に配置され
    た保護層と、ベース層の背面に配置された接着層とを有
    してなる接着シートにおいて、 上記保護層は、上記保護層表面を改質する表面改質剤
    と、硬化樹脂と、硬質ビーズとを含有する層を、少なく
    とも最表層として含み、かつ、 接着シート全体の厚さが100〜250μmの範囲であ
    ることを特徴とする、接着シート。
  2. 【請求項2】 建物の床と、その床の表面に接着された
    請求項1の接着シートを含んでなる、床面被覆構造体。
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