JP2004083384A - カーボンナノチューブの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アーク放電を行うことにより、カーボンナノチューブを合成するに際し、陽極電極に中空電極11を用い、中空電極11の内部11aから炭素材料からなる陰極電極2に向けてアルゴンガス等の不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスを吹付けながらその間にアークを発生させるようにする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、密閉容器等を用いずに、大気圧下・大気雰囲気中すなわち開放空間においてアーク放電法により多層あるいは単層のカーボンナノチューブの合成比率(純度)および収量の高い生成物を製造できるカーボンナノチューブの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブ(CNT)は、2つの炭素材料の間にてアーク放電を行うことにより得られるもので、炭素原子が6角形に規則正しく並んだグラフェンシートが円筒形に丸まったものがカーボンナノチューブ(CNT)であり、グラフェンシートの筒が一重のものが単層カーボンナノチューブ(SWCNT)で、その直径は1〜数nmである。また、グラフェンシートの筒が同心状に何重も重なっているものが多層カーボンナノチューブ(MWCNT)で、その直径は数nm〜数十nmである。単層カーボンナノチューブは、従来は触媒金属を含有したカーボン電極を用いるかもしくは触媒金属を陽極電極に埋め込んで、アーク放電することによって合成している。なお、ここでいう炭素材料とは、炭素を主成分とする非晶質または黒鉛質の導電性材料である(以下同じ)。
【0003】
いずれにせよ、従来より2つの炭素材料の間にてアーク放電を行うことにより、カーボンナノチューブ(CNT)を合成する技術が種々提案されている。例えば、密閉容器内にヘリウムまたはアルゴンを満たし、密閉容器内の圧力を200Torr以上としてカーボン直流アーク放電を行うことにより、カーボンナノチューブを製造する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、密閉容器内にヘリウムを満たし、密閉容器内を加熱し、その内部温度を1000〜4000℃にするとともに、その温度を制御した中で炭素棒からなる放電電極間で直流アーク放電を行うことによって、長さと直径の分布のそろったカーボンナノチューブを製造する技術が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0005】
また、不活性ガスで満たされた密閉容器内に水平方向に配置された対向する電極間でアーク放電を行うとともに、電極を相対的にかつ連続的または間欠的に回転又は往復移動させることによってカーボンナノチューブを製造する技術が提案されている(例えば特許文献3参照)。
【0006】
また、密閉容器内に配置された対向する陽極と陰極の炭素電極の周囲をヒータによって加熱してから、両電極間で直流アーク放電を行うことにより、生成されるカーボンナノチューブの純度および収量を増加させる技術が提案されている(例えば特許文献4参照)。
【0007】
また、密閉容器内に配置された炭素電極からなる陽極の先端部分を加熱手段によって加熱した後、アーク放電を行うことにより、均一な大きさ、品質のカーボンナノチューブを効率よく生成できるようにした技術が提案されている(例えば特許文献5参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−280116号公報
【特許文献2】
特開平6−157016号公報
【特許文献3】
特開平7−216660号公報
【特許文献4】
特開2000−203820
【特許文献5】
特開2000−344505
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、カーボンナノチューブは、アーク放電が行われている部分の陰極側のカーボン電極に堆積する炭素原子からなる物質内もしくはアーク周辺部に付着した煤の一部に生成される。しかしながら、前記従来のカーボンナノチューブの製造方法によれば、生成物中にカーボンナノチューブ以外の黒鉛、非晶質カーボンなどが混在するのを避けられず、カーボンナノチューブそのものの割合は低いものであった。
【0010】
すなわち、一般のアーク放電では、その陰極点は電子放出能の高い個所に選択的に発生する。しかし陰極点がしばらく発生するとその個所の電子放出能が弱まるため、より電子放出能の高い別の個所に陰極点が移動する。このように一般のアーク放電では、陰極点が激しく不規則に移動しながらアーク放電が行われる。さらに、場合によっては、陰極点が陽極対向位置から大きくずれ、電源の負荷電圧容量を上回り、アークが消弧してしまうこともある。このように、陰極点が激しく不規則に移動するアーク放電では、陰極のある一点を見た場合、その温度および炭素蒸気密度などの化学的因子が時間的に大きく変動することになる。このため、ある期間はカーボンナノチューブが合成されやすい条件となるが、別の期間ではカーボンナノチューブが合成されにくい条件となるか、カーボンナノチューブが分解されやすい条件となり、結果として不純物を多く含むカーボンナノチューブが陰極点発生位置全体に合成されることになる。ここで、カーボンナノチューブが分解とは、カーボンナノチューブの生成機構自体が未だ不明な点が多く、断定できないが、ある温度範囲では、炭素がカーボンナノチューブの構造でいるより、グラファイトやアモルファスカーボンの形でいる方が安定な場合、カーボンナノチューブがグラファイトやアモルファスカーボンに構造変化を起こす現象や、かなりの高温下では、生成したカーボンナノチューブを構成している炭素原子の一郡(クラスタ)が放出されて、カーボンナノチューブが崩壊していく現象をいう。なお、カーボンナノチューブの生成過程自体も高温で行われるので、この生成過程においても前記のようなクラスタ放出が起きているものと考えられるが、カーボンナノチューブの生成に最適な温度では、カーボンナノチューブの生成速度が崩壊速度(クラスタ放出速度)を上回り、カーボンナノチューブが合成されるものと推察される。
【0011】
したがって、従来は、アークの安定とカーボンナノチューブの合成割合を増加させるために、前記のようにアーク放電装置を密閉容器内に設け、密閉容器内の雰囲気ガス種および圧力や密閉容器内の電極周りの温度を適正に選定、制御する手法が取られていた。
【0012】
しかしながら、密閉容器内の雰囲気ガス種および圧力や密閉容器内の電極周りの温度の調整のみでは、アークの陰極点を完全に固定することは難しく、依然として多くの不純物とカーボンナノチューブの混合体である陰極堆積物もしくは煤状物質としてしか回収することができなかった。そのため、結果的にカーボンナノチューブの収率が低下するとともに、カーボンナノチューブの純度を高めるために複雑な精製作業を行わなければならず、カーボンナノチューブの製造コストを増加させる原因となっていた。さらに、装置が大型化し、設備費用がかさむとともに、アーク放電によるカーボンナノチューブの大量合成を難しいものとしていた。
【0013】
本発明の技術的課題は、密閉容器等を用いなくても、大気雰囲気中にてアーク放電法により多層あるいは単層の高純度カーボンナノチューブを高い収率で生成できるようにすることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の請求項1に係るカーボンナノチューブの製造方法は、陽極電極から炭素材料からなる陰極電極に向けて供給されるガスの流れに沿ってアーク放電経路が形成されることを特徴としている。
【0016】
本発明の請求項2に係るカーボンナノチューブの製造方法は、下記の構成からなるものである。すなわち、アーク放電を行うことにより、カーボンナノチューブを合成するカーボンナノチューブの製造方法において、陽極電極に中空電極を用い、中空電極の内部から炭素材料からなる陰極電極に向けて不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスを吹付けながらその間にアークを発生させることを特徴としている。
【0017】
請求項1,2の発明のように、陽極電極から陰極電極に向けて例えばアルゴンガス等の不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスを吹付けながらその間にアーク放電を行わせると、ガスの電離度が高くなってガス噴出経路にアークが発生しやすい条件が形成される。また、不活性ガスを含むガスと接している陽極電極表面が安定した陽極点を形成せしめるものと考えられる。このため、アーク発生経路が拘束され、陰極電極上のアークの陰極点の不規則な移動が防止される。その結果、この固定された陰極点の発生位置(アークの中心部)でカーボンナノチューブを優先的に合成することができ、この固定された陰極点の発生位置(アークの中心部)で高純度の多層カーボンナノチューブの合成物を製造することができる。
【0018】
本発明の請求項3に係るカーボンナノチューブの製造方法は、陽極電極から触媒となる金属粉末または金属化合物粉末と共に炭素材料からなる陰極電極に向けて供給されるガスの流れに沿ってアーク放電経路が形成されることを特徴としている。
【0019】
本発明の請求項4に係るカーボンナノチューブの製造方法は、下記の構成からなるものである。すなわち、アーク放電を行うことにより、カーボンナノチューブを合成するカーボンナノチューブの製造方法において、陽極電極に中空電極を用い、中空電極の内部から炭素材料からなる陰極電極に向けて不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスを、触媒となる金属粉末または金属化合物粉末と共に吹付けながらその間にアークを発生させることを特徴としている。
【0020】
請求項3,4の発明のように、陽極電極から陰極電極に向けてアルゴンガス等の不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスを、触媒となる金属粉末または金属化合物粉末と共に吹付けると、ガスの電離度が高くなってガス噴出経路にアークが発生しやすい条件が形成される。また、不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスと接している陽極電極表面に陽極点が安定して形成される。これにより、アーク発生経路が拘束されて、陰極電極上のアークの陰極点の不規則な移動が防止され。そしてこの固定された陰極点の発生位置(アークの中心部)でカーボンナノチューブを優先的に合成することができる。ここまでは前記請求項1,2の発明と同様である。しかし、請求項1,2の発明では電極のみでのアーク放電となっているため、多層のカーボンナノチューブのみしか合成できないのに対し、請求項3,4の発明では陽極電極から陰極電極に向けて吹付ける不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスと共に、触媒となる金属粉末または金属化合物粉末を吹付けているため、触媒がアーク熱により超微粒化し、それが核となり、そこから単層のカーボンナノチューブが成長していく。つまり、固定された陰極点の発生位置(アークの中心部)に効率的に触媒金属を導入することが可能となり、アークの中心部またはアーク周辺部に高純度の単層カーボンナノチューブの合成物を製造することができる。なお、触媒となる金属粉末の粒子はできる限り細粒化することが望ましい。
【0021】
また、請求項5に係るカーボンナノチューブの製造方法は、アーク放電を、大気雰囲気中にて行なわせることを特徴としている。
【0022】
アーク放電を起こすためには、電極間空間を電離する必要がある。原子の電離には、種々の過程があるが、アーク放電においては、電子との衝突による電離過程が支配的である。一般に、原子番号の小さいHe、Neは除き、Ar、Kr、Xeなどの不活性ガスは、電子との衝突による電離能率が高く、アークを発生しやすい空間を提供する。Ar、Kr、Xeなどの不活性ガスは、酸素、窒素等に比べ電離能率が高いので、請求項5の発明のように、大気雰囲気中にて陽極電極から陰極電極に向けて、これらの不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスを供給しながらアーク放電を行うと、アークをガス流路に沿って集中して発生させることができる。つまり、陽極電極から陰極電極に向けて供給する不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスをプラズマガスとして用いることにより、アークを集中させ、陰極点を安定化させることができる。
また、大気雰囲気中では、アーク放電部に酸素を巻き込むため、炭素の酸化・燃焼が起こる。この際、生成されたカーボンナノチューブもいくぶん酸化するが、より燃焼温度の低い非晶質炭素や多結晶黒鉛粉などの不純物が優先的に酸化・燃焼し、結果として生成物中のカーボンナノチューブ純度を向上させる効果がある。
【0023】
また、請求項6に係るカーボンナノチューブの製造方法は、中空電極の内部から陰極電極に向けて吹付ける不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスの流量を、中空電極の孔の断面積1mm2 当り10〜400ml/分としたことを特徴としている。
【0024】
中空電極の孔から供給する不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスの流量が少なすぎては、プラズマガスとして十分に機能せず、また流量が多すぎると電極周辺部までプラズマガスの濃度が増加し、中央部だけでなく、周辺部でもアーク放電が起こりやすい条件となり、アークを集中させることができなくなる。そこで、請求項6の発明のように中空電極の孔から供給する不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスの流量を、中空電極の孔の断面積1mm2 当り10〜400ml/分とすることにより、プラズマガスとして機能させつつ、陽極電極中央部のみが周辺部に比べアーク放電しやすい条件をつくり出すことができる。その結果、陰極点を集中させることができ、純度の高いカーボンナノチューブを収率良く生成することができる。
【0025】
また、請求項7に係るカーボンナノチューブの製造方法は、不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスとして、アルゴンもしくはアルゴンと水素ガスの混合ガスを用いることを特徴としている。
【0026】
Ar以上の原子番号を有するAr、Kr、Xeなどの不活性ガスは、電子との衝突による電離能率が高く、アークを発生しやすい空間を提供する。特にArは最も安価で工業的に利用しやすいガスであるため、カーボンナノチューブの製造コストを低減することができる。また、混合ガスとして、ArにH2 を数%〜数十%混ぜることにより、アークの安定性を損なうことなく、カーボンナノチューブの収量を増加することができる。これは、H2 に陽極電極上で昇華した炭素がクラスタとして成長するのを防止する効果があり、陰極電極上でカーボンナノチューブが合成されやすい条件となるためであると考えられる。
【0027】
また、請求項8に係るカーボンナノチューブの製造方法は、アーク放電に際し、陰極電極を予め500〜2000℃に加熱しておくことを特徴としている。
【0028】
一般的な炭素電極、つまり電気抵抗率(=固有抵抗)が500〜2000μΩ・cmの炭素電極を用いた場合、陰極電極を予め500〜2000℃に加熱しておいてからアーク放電を行うと、陰極点部の温度は予熱がない場合に比べ高い温度にでき、純度の高いカーボンナノチューブが合成できる。予熱温度が500℃以下では、予熱の効果はあまりなく、2000℃を超えると、陰極炭素の蒸発が激しくなり、カーボンナノチューブの収量も低下する。
【0029】
また、請求項9に係るカーボンナノチューブの製造方法は、陰極電極として、電気抵抗率が4000μΩ・cm以上もしくは熱伝導率が40W/m・K以下の炭素材料を用いることを特徴としている。
【0030】
高い純度と収量のカーボンナノチューブを合成するためには、陰極材料のアーク陰極点の温度をある程度高くすることが有利である。通常電極として使用されている炭素電極の電気抵抗率(=固有抵抗)は既述したように500〜2000μΩ・cm程度の範囲であるが、4000μΩ・cm以上の電気抵抗率を有する炭素材料を陰極材料として使用すると、陰極材料の陰極点近傍では、アーク放電時に高い電流密度となるので、電気抵抗発熱のため陰極点近傍が高温度となる。そのため、陰極を予熱したのと同様な効果が得られ、収量ならびに純度の高いカーボンナノチューブを生成することができる。
また、通常電極として使用されている炭素電極の熱伝導率は50〜200W/m・Kの範囲であり、炭素材料における電気抵抗率と熱伝導率はほぼ負の相関関係が有る。つまり、電気抵抗率が大きいものは、熱伝導率が低く熱を伝えにくいので、より陰極点近傍が高温度となる。電気抵抗率4000μΩ・cm以上の炭素材料の熱伝導率は、ほぼ40W/m・K以下に相当する。
【0031】
【発明の実施の形態】
実施形態1.
以下、本発明の第1の実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法について説明する。
【0032】
図9は大気圧下、アルゴンガス雰囲気中での炭素材料電極相互のアーク放電状況(一般放電)を模式的に示した図で、陽極1に棒状の炭素材料を、陰極2に平板状の炭素材料を用いている。図9のように大気圧下、アルゴンガス雰囲気中では、アークの発生する位置は大きく動き回り、陰極点の位置も陰極板(平板状炭素材料2)上で激しく不規則に移動する(図9では時間の異なる2つのアーク3a,3bを重ねて図示している)。4は陰極ジェットであり、陰極の炭素が蒸発し、一部の炭素原子が電離を起こしている部分である。このようなアークの激しく不規則な移動は、大気圧下、アルゴンガス雰囲気中では特に顕著であるが、低圧力下のヘリウムガスや水素ガス雰囲気中でも、同様な動きが観察される。
【0033】
図10は前記図9の一般放電によりアークを短時間発生させた場合の陰極点を観察した結果を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真であり、(a)は陰極点の中心部とその周辺部を示すSEM写真、(b)は陰極点中心部の拡大SEM写真、(c)は陰極点周辺部の拡大SEM写真である。これらのSEM写真から明らかなように、陰極点の中心部はカーボンナノチューブが密集して生成されているのに対し、陰極点の周辺部においては、非晶質カーボン(アモルファスカーボン)の塊が堆積しているのみである。つまり、アークの陰極点ではカーボンナノチューブが合成される条件が整っているのに対し、その周辺部は、カーボンナノチューブが合成されない条件となっていることが分かる。これらの結果から、陰極点が激しく不規則に移動する一般のアーク放電形態では、陰極電極上でカーボンナノチューブが合成される条件とカーボンナノチューブが合成されない条件が交互に繰り返されるために、非晶質カーボン等の不純物を多く含んだ陰極堆積物しか回収できないものと考えられる。
【0034】
そこで、図1のように炭素材料からなる陽極として軸心部に孔11aを有する中空電極11を用い、開放空間(大気圧下・大気雰囲気中)にて中空電極11内部の孔11aからアーク3に向けて少量のアルゴンガスを送給したところ、アーク3がガス流経路に沿って発生し、その陰極点も常にガス噴出口に対向する位置に発生するアーク形態となることが分かった。これは、アーク放電による高温下で、アルゴンガスの電離度が上がり、導電性が周辺部に比し大きくなったためにアルゴンガス流経路に沿ってアークが発生するためであると考えられる。また、中空電極内面は不活性ガスと接しているため、陽極点が安定して形成しやすくなるためであると考えられる。また、既述したようにアルゴンなどの不活性ガスは、電子との衝突による電離能率が高く、アークを発生しやすい空間を提供する。したがって、中空電極11内部の孔11aから陰極2に向けてアルゴンガスの送給を開始してからアーク3を発生させるようにすれば、アーク発生初期からアーク発生経路を拘束することができて陰極2上のアークの陰極点の不規則な移動を防止することができる。その結果、アーク発生初期から固定された陰極点の発生位置(アークの中心部)でカーボンナノチューブを優先的に合成することができ、この固定された陰極点の発生位置(アークの中心部)で高純度の多層カーボンナノチューブの合成物を製造することができる。
この中空電極11による静止アーク放電で得られた陰極堆積物を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、その中心部である陰極点位置では、長時間アークにおいても高純度のカーボンナノチューブが合成されていることが判明した。中空電極11による静止アーク放電では、前述の図9で説明したような陰極ジェットは観察されず、陰極2から発生した炭素蒸気はアーク柱と重なる位置に噴出しているものと考えられ、アーク中での炭素原子の濃度を上昇させることによって、カーボンナノチューブの合成効率をも向上させているものと推察された。
【0035】
なお、中空の陽極電極は炭素材料に限らず、水冷銅電極などの非消耗電極を用いても良い。
【0036】
また、陽極から陰極へ向けて流す不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスは、例えば図2に示すように棒状陽極111を用い、棒状陽極111に沿わせて別途配置したガスノズル112より、陽極側面に沿うように陰極電極に向けてガスを流しても良い。このようにしても、ガス流が十分に層流であれば、ガス流に沿ってアークが発生し、陰極点が固定化される。このことは後述する他の実施形態でも同様である。
【0037】
なお、中空電極11内部の孔11aから送給するガスは、純アルゴンもしくは20%程度の水素ガスやヘリウムガスを混入したアルゴンガスを用いてもアーク形態に大きな変化は見られなかった。特にアルゴンに水素ガスを数%〜数十%混ぜると、アークの安定性を損なうことなく、カーボンナノチューブの収量を増加することができた。これは、水素ガスに陽極電極上で昇華した炭素がクラスタとして成長するのを防止する効果があり、陰極電極上でカーボンナノチューブが合成されやすい条件となるためであると考えられた。適正ガス流量は、中空電極11の孔11aの断面積に影響され、孔11aの断面積1mm2 当り10〜400ml/分であった。
【0038】
図5は中空電極孔断面積と内部に流すガス流量とアーク発生形態との関係を示す実験結果のグラフである。図5から明らかなように、中空電極11の孔11aから供給する純アルゴンもしくは20%程度の水素ガスやヘリウムガスを混入したアルゴンガスの流量が孔11aの断面積1mm2 当り10ml/分よりも少なすぎると、プラズマガスとして十分に機能せず、また流量が孔11aの断面積1mm2 当り400ml/分よりも多すぎると、電極周辺部までプラズマガスの濃度が増加し、中央部だけでなく、周辺部でもアーク放電が起こりやすい条件となり、アークを集中させることができなくなる。
本実施形態のように中空電極11の孔11aから供給するガス流量を、中空電極11の孔11aの断面積1mm2 当り10〜400ml/分とすることにより、プラズマガスとして機能させつつ、陽極電極中央部のみが周辺部に比べアーク放電しやすい条件をつくり出すことができる。その結果、陰極点を集中させることができて、純度の高いカーボンナノチューブを収率良く生成することができる。
【0039】
実施例
陽極電極として、外径36mm、内径10mmの中空電極を用い、開放空間(大気圧下・大気雰囲気中)にて中空電極内部の孔から陰極電極に向けて3%の水素を含むアルゴンガスを10リットル/分の流量送給しながら電流500A、電圧35V(アーク長約5mm)にて1分間アーク放電を行った。
【0040】
図3はこの中空電極による1分間の静止アーク放電で得られた陰極堆積物の中心部の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。このSEM写真からも明らかなように、陰極堆積物の中心部に高純度の多層カーボンナノチューブが合成されていることが分かる。この1分間の静止アーク放電により数10mgの高純度の多層カーボンナノチューブが得られた。
【0041】
実施形態2.
図4は本発明の第2の実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法の説明図であり、図中、前述の第1実施形態の図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0042】
本実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法は、炭素材料からなる陽極として前述の第1実施形態の陽極と同様の軸心部に孔11aを有する中空電極11を用いるとともに、触媒となる金属粉末または金属化合物粉末21を収容した触媒混入容器22内と中空電極11の孔11aとを接続し、開放空間(大気圧下・大気雰囲気中)にて、触媒混入容器22を介して中空電極11内部の孔11aから陰極2に向けて少量のアルゴンガス等の不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスを吹付けるとともに、このガス流に乗せて触媒金属粉末または金属化合物粉末21を注入するようにし、その間にアーク3を発生させるようにしている点に特徴を有している。
【0043】
本実施形態においても中空電極11内部の孔11aから送給するガスとして、純アルゴンもしくは20%程度の水素ガスやヘリウムガスを混入したアルゴンガスを用いた。特にアルゴンに水素ガスを数%〜数十%混ぜると、アークの安定性を損なうことなく、カーボンナノチューブの収量を増加することができた。これは既述したように水素ガスに陽極電極上で昇華した炭素がクラスタとして成長するのを防止する効果があり、陰極電極上でカーボンナノチューブが合成されやすい条件となるためであると考えられる。
【0044】
また、本実施形態においても適正ガス流量は、前述の第1実施形態と同様、中空電極11の孔11aの断面積に影響され、孔11aの断面積1mm2 当り10〜400ml/分であり、この適正ガス流量とすることで、プラズマガスとして機能させつつ、陽極電極中央部のみが周辺部に比べアーク放電しやすい条件をつくり出すことができる。その結果、陰極点を集中させることができ、純度の高いカーボンナノチューブを収率良く生成することができる。
【0045】
なお、使用される金属粉末または金属化合物粉末の種類は、触媒機能のあるものなら何でも良いが、ここではFe 、Ni 、Co 、FeS 等の単体もしくはそれらの混合体を使用した。
【0046】
本実施形態においても中空電極11内部の孔11aから陰極2に向けて不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスを吹付けているので、アーク放電による高温下で、不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスの電離度が上がり、導電性が周辺部に比し大きくなる。また、中空電極内面に陽極点が安定して形成されるため、ガス流経路に沿ってアークが発生する拘束アーク形態となる。
【0047】
さらに、本実施形態では、ガス流に乗せて触媒金属粉末または金属化合物粉末21を注入しているので、触媒がアーク熱により超微粒化し、それが核となり、そこから単層のカーボンナノチューブが成長していく。つまり、固定された陰極点の発生位置(アークの中心部)およびその周辺部で高純度の単層カーボンナノチューブの合成物を製造することができる。
【0048】
実施形態3.
図6及び図7は本発明の第3の実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法を説明するための陰極予熱温度によるカーボンナノチューブの生成状況を示す陰極点部の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【0049】
アーク放電によるカーボンナノチューブの合成では、主として陽極炭素電極から発生した炭素蒸気および炭素イオンが陰極側に拡散し、陽極より温度の低い陰極電極表面にて凝縮することによりカーボンナノチューブ(特に多層カーボンナノチューブ)が合成されるものと考えられている。そのため、陰極の温度は低い方がカーボンナノチューブの成長速度が速く、陰極材料は耐熱性導電材料であれば炭素材料である必要もないとされている。
【0050】
しかしながら、陽極の炭素蒸気および炭素イオンのみを増加させてもカーボンナノチューブの合成比率は低いものしか生成できず、カーボンナノチューブが生成される陰極の温度を適正な温度範囲に保つことが純度の高いカーボンナノチューブを生成する上で重要であることが本発明者等による実験の結果明らかとなった。すなわち、前述の第1又は第2実施形態と同様の電極構成および条件下で、陰極電極を予め500〜2000℃に加熱しておいてからアーク放電を行うと、陰極点部の温度は予熱がない場合に比べ高い温度にでき、かつ純度の高いカーボンナノチューブを合成できることが確認された。
【0051】
すなわち、予熱なし(図6(a))では、カーボンナノチューブが生成しておらず、予熱温度が500℃(図6(b))では、カーボンナノチューブが少し生成しているだけで、予熱の効果はあまりなく、2000℃(図7(a))では、カーボンナノチューブが多量に生成しており、2500℃(図7(b))では、陰極炭素の蒸発が激しくなり、カーボンナノチューブの収量も低下していることが分かった。
【0052】
実施形態4.
図8は本発明の第4の実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法を説明するための各種炭素材料によるカーボンナノチューブの合成結果を示す説明図である。
【0053】
高い純度と収量のカーボンナノチューブを合成するためには、前述の第3実施形態で説明したように陰極材料のアーク陰極点の温度をある程度高くすることが有利である。通常電極として使用されている炭素電極の電気抵抗率(=固有抵抗)は500〜2000μΩ・cm程度の範囲であるが、4000μΩ・cm以上の電気抵抗率を有する炭素材料を陰極材料として使用すると、陰極材料の陰極点近傍では、アーク放電時に高い電流密度となるので、電気抵抗発熱のため陰極点近傍が高温度となる。そのため、陰極を予熱したのと同様な効果が得られ、収量ならびに純度の高いカーボンナノチューブを生成することができる。
【0054】
また、通常電極として使用されている炭素電極の熱伝導率は50〜200W/m・Kの範囲であり、炭素材料における電気抵抗率と熱伝導率はほぼ負の相関関係が有る。つまり、電気抵抗率が大きいものは、熱伝導率が低く熱を伝えにくいので、より陰極点近傍が高温度となる。電気抵抗率4000μΩ・cm以上の炭素材料の熱伝導率は、ほぼ40W/m・K以下に相当する。
【0055】
図8では炭素質、黒鉛質、炭素質+黒鉛質などからなる各種の炭素材料A〜Gを用い、前述の第1又は第2実施形態と同様の電極構成および条件下でアーク放電を行なって、得られたカーボンナノチューブの収量および純度を、3段階(○:良い,△:ふつう,×:悪い)で評価している。図8から明らかなように通常電極、つまり電気抵抗率(=固有抵抗)が500〜2000μΩ・cm程度で、熱伝導率が40W/m・K以上の炭素材料B,C,Dは、いずれもカーボンナノチューブの純度が悪く、収量も炭素材料Bは悪く、炭素材料C,Dはふつうであった。また、電気抵抗率(=固有抵抗)が2000μΩ・cmを超えていても、4000μΩ・cmには満たないで、熱伝導率も40W/m・K以上の炭素材料Eは、カーボンナノチューブの収量および純度がいずれもふつうであった。
【0056】
これに対し、電気抵抗率(=固有抵抗)が4000μΩ・cm以上で熱伝導率が40W/m・K以下の炭素材料A,F,Gは、カーボンナノチューブの収量および純度のいずれも良い結果が得られた。
【0057】
なお、前述の各実施形態ではアーク放電を開放空間(大気圧下・大気雰囲気中)にて行なわせるようにしたものを例に挙げて説明したが、容器内で行なわせることも可能である。すなわち、容器内空間をリリーフ弁を介して外部に開放するとともに、リリーフ弁によって容器内空間を大気圧よりも高い一定気圧に設定し、容器内空間に大気を強制導入して大気雰囲気とし、容器内に配置した中空電極の内部から陰極電極に向けてアルゴンガス等の不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスを吹付けながらその間にアーク放電を行わせるようにしてもよい。また逆に大気圧よりも低い容器内空間空間でアーク放電を行わせるようにしてもよい。
【0058】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、陽極電極に中空電極を用い、中空電極の内部から陰極電極に向けてアルゴンガス等の不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスを吹付けながらその間にアーク放電を行わせるようにしたので、アーク発生経路を拘束できて、陰極点の移動を防止することができた。その結果、この固定された陰極点の発生位置(アークの中心部)でカーボンナノチューブを優先的に合成することができ、この固定された陰極点の発生位置(アークの中心部)で高純度の多層カーボンナノチューブの合成物を製造することができた。
【0059】
また、中空電極の内部から陰極電極に向けてアルゴンガス等の不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスを、触媒となる金属粉末または金属化合物粉末と共に吹付けながらその間にアーク放電を行わせるようにしたので、アーク発生経路を拘束できて、陰極点の不規則な移動を防止することができるとともに、触媒がアーク熱により超微粒化し、それが核となり、そこから単層のカーボンナノチューブを成長させることが可能となり、固定された陰極点の発生位置(アークの中心部)およびその周辺部で高純度の単層カーボンナノチューブの合成物を製造することができた。
【0060】
また、アーク放電を、大気雰囲気中にて行なわせるようにしたので、中空電極の内部から供給される電離能率の高い不活性ガスによって、アークを電極中央のみに集中して発生させることができた。さらに、アーク放電部に酸素を巻き込むことができて、より燃焼温度の低い非晶質炭素や多結晶黒鉛粉などの不純物を優先的に酸化・燃焼させることが可能となり、結果として生成物中のカーボンナノチューブ純度を向上させることができた。
【0061】
また、中空電極の内部から陰極電極に向けて吹付ける不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスの流量を、中空電極の孔の断面積1mm2 当り10〜400ml/分としたので、プラズマガスとして機能させつつ、陽極電極中央部のみが周辺部に比べアーク放電しやすい条件をつくり出すことができた。その結果、陰極点を集中させることができ、純度の高いカーボンナノチューブを収率良く生成することができた。
【0062】
また、不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスとして、電子との衝突による電離能率が高く、安価で工業的に利用しやすいアルゴンもしくはアルゴンと水素ガスの混合ガスを用いるようにしたので、カーボンナノチューブの製造コストを低減することができた。さらに混合ガスとしてアルゴンに水素ガスを混ぜることにより、陽極電極上で昇華した炭素がクラスタとして成長するのを防止することができて、アークの安定性を損なうことなく、カーボンナノチューブの収量を増加することができた。
【0063】
また、アーク放電に際し、陰極電極を予め500〜2000℃に加熱しておくようにしたので、より純度の高いカーボンナノチューブを合成することができた。
【0064】
また、陰極電極として、電気抵抗率が4000μΩ・cm以上もしくは熱伝導率が40W/m・K以下の炭素材料を用いるようにしたので、アーク放電時に陰極点近傍を高温度にすることができて、陰極を予熱したのと同様な効果が得られ、収量ならびに純度の高いカーボンナノチューブを生成することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法による炭素材料電極相互のアーク放電状況を模式的に示す図である。
【図2】第1実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法による陽極電極の変形例を模式的に示す図である。
【図3】第1実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法により得られた陰極堆積物の中心部の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法による炭素材料電極相互のアーク放電状況を模式的に示す図である。
【図5】中空電極孔断面積と内部に流すガス流量とアーク発生形態との関係を示す実験結果のグラフである。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法を説明するための陰極予熱温度によるカーボンナノチューブの生成状況を示す陰極点部の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法を説明するための陰極予熱温度によるカーボンナノチューブの生成状況を示す陰極点部の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法を説明するための各種炭素材料によるカーボンナノチューブの合成結果を示す説明図である。
【図9】大気圧下、アルゴンガス雰囲気中での炭素材料電極相互のアーク放電状況(一般放電)を模式的に示す図である。
【図10】一般放電によりアークを短時間発生させた場合の陰極点を観察した結果を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【符号の説明】
2 陰極電極
3 アーク
11 中空電極(陽極電極)
11a 孔(中空電極の内部)
21 触媒金属粉末または金属化合物粉末
Claims (9)
- 陽極電極から炭素材料からなる陰極電極に向けて供給されるガスの流れに沿ってアーク放電経路が形成されることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
- アーク放電を行うことにより、カーボンナノチューブを合成するカーボンナノチューブの製造方法において、
陽極電極に中空電極を用い、中空電極の内部から炭素材料からなる陰極電極に向けて不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスを吹付けながらその間にアークを発生させることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。 - 陽極電極から触媒となる金属粉末または金属化合物粉末と共に炭素材料からなる陰極電極に向けて供給されるガスの流れに沿ってアーク放電経路が形成されることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
- アーク放電を行うことにより、カーボンナノチューブを合成するカーボンナノチューブの製造方法において、
陽極電極に中空電極を用い、中空電極の内部から炭素材料からなる陰極電極に向けて不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスを、触媒となる金属粉末または金属化合物粉末と共に吹付けながらその間にアークを発生させることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。 - アーク放電を、大気雰囲気中にて行なわせることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
- 中空電極の内部から陰極電極に向けて吹付ける不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスの流量を、中空電極の孔の断面積1mm2 当り10〜400ml/分としたことを特徴とする請求項2,4,5のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
- 不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスとして、アルゴンもしくはアルゴンと水素ガスの混合ガスを用いることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
- アーク放電に際し、陰極電極を予め500〜2000℃に加熱しておくことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
- 陰極電極として、電気抵抗率が4000μΩ・cm以上もしくは熱伝導率が40W/m・K以下の炭素材料を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
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