JP2004082880A - 客船の甲板構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ダクトやパイプ等のぎ装品の配置設計が容易で、それらぎ装品の設置において船上での甲板横桁等の船殻構造への追加工事が不要となる客船の甲板構造。
【解決手段】客船の甲板構造を、甲板の上面に甲板横桁および縦通肋骨を配設し、甲板の下側にダクト、パイプを含むぎ装品を配設してなるように構成して、ダクト、パイプを含むぎ装品が甲板横桁や甲板横桁に設けられた開口に係わりなく甲板の下側に自由に配置可能となり、設計が容易であり設計コストが低減し、甲板桁板等の船殻構造に対する船上工事の発生を激減でき、現場工事コストが激減し、またダクト、パイプを含むぎ装品のユニット工法が可能となり、工場でユニット化したものを一括で取り付けることにより現場工事コストを低減できる。さらに、大容量のダクト、パイプ等が必要な場合も、開口の寸法に制限されず大容量のものを設定でき、本数増大による機材物量増大を防止できる。
【選択図】 図1
【解決手段】客船の甲板構造を、甲板の上面に甲板横桁および縦通肋骨を配設し、甲板の下側にダクト、パイプを含むぎ装品を配設してなるように構成して、ダクト、パイプを含むぎ装品が甲板横桁や甲板横桁に設けられた開口に係わりなく甲板の下側に自由に配置可能となり、設計が容易であり設計コストが低減し、甲板桁板等の船殻構造に対する船上工事の発生を激減でき、現場工事コストが激減し、またダクト、パイプを含むぎ装品のユニット工法が可能となり、工場でユニット化したものを一括で取り付けることにより現場工事コストを低減できる。さらに、大容量のダクト、パイプ等が必要な場合も、開口の寸法に制限されず大容量のものを設定でき、本数増大による機材物量増大を防止できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、客船、フェリー、商船等の客船室を有する船舶(本明細書において、単に「客船」という)の船内配管等のぎ装に対応容易な甲板構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の客船の甲板構造を図3から図5により説明する。図3は、一般的な客船の横断面外形図、図4は図3中A部を拡大した、従来の客船の甲板構造概要図であり、図5(a)は図4中B部の拡大説明図、(b)は(a)中C−C矢視断面図である。
【0003】
図3に外形を示す客船100は甲板によって多層に形成されているが、その従来の構造概要を、図3中A部の拡大断面図である図4により示すと、図4中1は支柱であり、支柱1に対して水平方向に横桁の大骨となる甲板横桁2が配設され、甲板横桁2の上面に甲板3が配設されている。また、最外側の支柱1の外側には外板4が取り付けられ、船殻を形成している。支柱1、甲板横桁2、甲板3、外板4はともに船殻をなす強度部材である。
【0004】
また、図5に拡大して示すように、甲板横桁2はウエブ6と面材7からなり、甲板3の下面にウエブ6が溶接されるが、ウエブ6の上端縁6aには、所定間隔でスロット8が設けられ、縦通肋骨(デッキロンジ)9が挿通されて配設される。
【0005】
縦通肋骨9はスロット8の一側に溶接されるとともに甲板3にも溶接され、小骨として甲板3を支持する。甲板横桁2の間隔は、2.8m程度、縦通肋骨9の間隔は、例えば0.7〜0.8m程度である。また、甲板横桁2の高さh1 は、例えば400〜450mm程度である。
【0006】
船内において甲板3の上方には適宜の支持材を介して内装としての床10が取り付けられ、甲板横桁2の下方には適宜の支持材を介して内装としての天井11が取り付けられる。
【0007】
また、甲板横桁2のウエブには重量軽減等を目的として開口12が設けられるが、甲板横桁2の高さh1 を含む天井11裏のスペースを利用するために、ダクト13やパイプ14、その他電路等のぎ装品が、各船室内へアクセスするように開口12を挿通して設置されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、客船の天井11裏にはダクト13やパイプ14、その他電路等が甲板横桁2の開口12を挿通して配設されるが、特にシアター、レストラン等の公室は、大勢の人が集合し、空調負荷や、電気、水等の供給(排出)量も大きいので、それらが蜘蛛の巣の如く配置され、また、その容量も大きなものとなる。
【0009】
したがって、甲板横桁2のウエブ6に設ける開口12が多数発生し、縦横大きなものが要求される結果、甲板横桁2に補強の追設が必要となる場合や、ウエブ6には縦通肋骨9が挿通し、ダクト13等は縦通肋骨8の高さh2 を避けて開口12を挿通するためもあり、ダクト13等が挿通するために必要以上の甲板横桁2の高さ寸法h1 を設定したりする場合も生じ、甲板横桁2の重量が増大する。
【0010】
また、開口12を挿通させるのでダクト13、パイプ14、電路等の設計配置にも制約を生じ、個々のダクト13等を十分大きくできない場合は、その本数を増大することとなり、そのための機材物量増大の問題も生じる。
【0011】
また、客船内のぎ装配置、仕様は、船殻構造設計に対して遅れることがあり、また配置変更もあり、その結果ダクト13、パイプ14、電路等の配置情報の決定が遅いため、開口12を船上で設ける工事、あるいは甲板桁板2等の船殻構造への補強工事を要す場合が生じ、船上での設置工数の増大や、設置工事の困難化等の問題が生じていた。
【0012】
本発明は、かかる従来の客船の甲板構造の問題点を解消し、ダクトやパイプ、その他電路等のぎ装品の配置設計が容易で、それらぎ装品の設置において船上での甲板桁板等の船殻構造への追加工事が不要となる客船の甲板構造を提供することを課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、その第1の手段として、甲板の上面に甲板横桁および縦通肋骨を配設し、同甲板の下側にダクト、パイプを含むぎ装品を配設してなることを特徴とする客船の甲板構造を提供する。
【0014】
第1の手段によれば、上記構成により、ダクト、パイプを含むぎ装品が甲板横桁や甲板横桁に設けられた開口に係わりなく甲板の下側に自由に配置可能となり、設計が容易となる。客船内の配置、仕様の設定の遅れ、変更等に対しても、対処容易である上、甲板横桁等の船殻構造に対する船上工事の発生が低減する。また、ダクト、パイプを含むぎ装品のユニット工法が可能となり、工場でユニット化したものを一括で取り付けることで現場工事コストが低減する。さらに、大容量のダクト、パイプ等が必要な場合も、開口の寸法に制限されず大容量のものを設定できる。また、構造的には、開口拡大のための甲板横桁高さの増寸や補強材追設の必要がなく、構造的に必要な最小桁寸法とできる。そしてダクト、パイプ等は甲板桁板の開口を挿通することなく甲板下面に配設されるので、メンテナンスが容易となる。
(2)第2の手段としては、第1の手段の客船の甲板構造において、前記甲板の上側に電路を配設してなることを特徴とする客船の甲板構造を提供する。
【0015】
第2の手段によれば、上記構成により、第1の手段の作用に加え、電路を甲板の上側に設置することにより、綿密な設置工事、頻繁なメンテナンスを要求される電子通信回線等の電路に対しても人が容易に且つ安全にアクセスでき、客船のインテリジェント化の要請に対処できるものとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態に係る客船の甲板構造を、図1、図2に基づいて説明する。図1は、前述の図4と同様に図3中A部を拡大した、本実施の形態の客船の甲板構造概要図であり、図2(a)は図1中D部の拡大説明図、(b)は(a)中E−E矢視断面図である。図1、図2の説明において、前述の図3〜図5と同様部分については、上下配向等異なるところがあっても、同符号を付して説明を省略し、異なる点を主に以下説明する。
【0017】
本実施の形態の客船の甲板構造が、前述の従来例と異なる主要な点は、図1に示すように、甲板横桁2および縦通肋骨9(デッキロンジ)を甲板3の上面に配設したことである。そしてダクト13、パイプ14を含むぎ装品を、基本的には甲板横桁2および縦通肋骨9と反対側となる甲板3の下側に配設したことである。
【0018】
図2に拡大して示すように、甲板横桁2はウエブ6と面材7からなり、甲板3の上面にウエブ6が溶接され、ウエブ6の下端縁6bに、所定間隔でスロット8が設けられ、縦通肋骨9が挿通されて配設され、縦通肋骨9はスロット8の一側と甲板8の上面に溶接される。
【0019】
船内において甲板横桁2の上方には適宜の支持材を介して内装としての床10が取り付けられ、甲板3の下方には適宜の支持材を介して内装としての天井11が取り付けられる。
【0020】
また、甲板横桁2のウエブ6には重量軽減等を目的として開口12が設けられるが、ダクト13やパイプ14、さらに電路等のぎ装品は、基本的に甲板3の下側の天井11裏に配設されるので、開口12はそれらを挿通させるための配置、大きさ等の設定を必要とせず、また甲板横桁2の高さh3 もそのための設定を要しない。
【0021】
以上のような本実施の形態の客船の甲板構造においては、ダクト13、パイプ14、電路等が、甲板横桁2やその開口12に係わりなく甲板3の下側に自由に配置可能となり、設計が容易であり設計コストが低減する。
【0022】
客船内のぎ装配置、仕様の設定の遅れ、変更等に対しても、設計的に制約を受けず対処容易である上、甲板横桁2等の船殻構造への船上工事の発生が激減し、現場工事コストが低減する。
【0023】
また、ダクト13やパイプ14、さらに電路等のぎ装品は、甲板3の下側に自由に配置できるため、ユニット工法が可能となり、工場でユニット化したものを一括で取り付けることで、現場工事コストが低減する。
【0024】
さらに、公室等、空調負荷や、電気、水等の供給(排出)量が大きく大容量のダクト13、パイプ14等が必要な場合も、開口12の寸法に制限されない。特にダクト13は、幅方向に適宜拡大して容量増大が可能であるため、天井11裏高さを徒に増大することなく、大容量のものを設定でき、本数増大による機材物量増大を防止でき、さらに、船殻構造への影響も回避できる。
【0025】
また、各ダクト13、パイプ14等は甲板横桁2を挿通することなく甲板3下面に配設されるので、天井10を外すだけで、容易に全体にアクセスでき、メンテナンスが容易となる。
【0026】
一方、甲板3上面には甲板横桁2、縦通肋骨(デッキロンジ)9が配設されるため、大きなダクト、パイプは配設しないが、それらの挿通を前提にしない構造的(軽量化等)目的のための開口12であっても挿通可能な、上水パイプ14a等の小径パイプ、電路15等は甲板3の上側に設置することが可能である。特に、甲板3上であるため床9を外すだけで人が容易に且つ安全にアクセスできる点を生かし、甲板3の上側には綿密な設置工事、頻繁なメンテナンスを要求される電子通信回線等の電路15を容易に設置でき、客船100のインテリジェント化の要請にも対処できるものとなる。
【0027】
そして、構造的には、本実施の形態の甲板横桁2は、ダクト13、パイプ14等の開口12挿通を前提としないので、開口12拡大のための甲板横桁高さの増寸や補強材追設の必要がなく、構造的に必要な最小桁寸法とでき、例えば、従来の桁高さh1 ; 400〜450mmに対して、桁高さh3 ;400mm以下というような低減も可能となり、船殻重量軽減に寄与可能となる。
【0028】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内でその具体的構造に種々の変更を加えてよいことは言うまでもない。
【0029】
【発明の効果】
(1)請求項1の発明によれば、客船の甲板構造を、甲板の上面に甲板横桁および縦通肋骨を配設し、同甲板の下側にダクト、パイプを含むぎ装品を配設してなるように構成したので、ダクト、パイプを含むぎ装品が甲板横桁や甲板横桁に設けられた開口に係わりなく甲板の下側に自由に配置可能となり、設計が容易であり設計コストが低減する。客船内のぎ装配置、仕様の設定の遅れ、変更等に対しても、対処容易である上、甲板横桁等の船殻構造に対する船上工事の発生を激減でき、現場工事コストが低減する。また、ダクト、パイプを含むぎ装品のユニット工法が可能となり、工場でユニット化したものを一括で取り付けることで現場工事コストが低減する。さらに、大容量のダクト、パイプ等が必要な場合も、開口の寸法に制限されず大容量のものを設定でき、本数増大による機材物量増大を防止できる。さらに構造的には、開口拡大のための甲板横桁高さの増寸や補強材追設の必要がなく、構造的に必要な最小桁寸法とでき、船殻重量軽減に寄与可能となる。そしてダクト、パイプ等は甲板横桁を挿通することなく甲板下面に配設されるので、メンテナンスが容易となる。
【0030】
(2)請求項2の発明によれば、請求項1に記載の客船の甲板構造において、前記甲板の上側に電路を配設してなるように構成したので、請求項1の発明の効果に加え、電路を甲板の上側に設置することにより、綿密な設置工事、頻繁なメンテナンスを要求される電子通信回線等の電路に対しても人が容易に且つ安全にアクセスでき、客船のインテリジェント化の要請に対処できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る客船の甲板構造概要図であり、図3中A部の拡大図である。
【図2】(a)は図1中D部の拡大説明図、(b)は(a)中E−E矢視断面図である。
【図3】一般的な客船の横断面外形図である。
【図4】従来の客船の甲板構造概要図であり、図3中A部の拡大図である。
【図5】(a)は図4中B部の拡大説明図、(b)は(a)中C−C矢視断面図である。
【符号の説明】
1 支柱
2 甲板横桁
3 甲板
4 外板
6 ウエブ
7 面材
8 スロット
9 縦通肋骨
10 床
11 天井
12 開口
13 ダクト
14 パイプ
14a 上水パイプ
15 電路
100 客船
【発明の属する技術分野】
本発明は、客船、フェリー、商船等の客船室を有する船舶(本明細書において、単に「客船」という)の船内配管等のぎ装に対応容易な甲板構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の客船の甲板構造を図3から図5により説明する。図3は、一般的な客船の横断面外形図、図4は図3中A部を拡大した、従来の客船の甲板構造概要図であり、図5(a)は図4中B部の拡大説明図、(b)は(a)中C−C矢視断面図である。
【0003】
図3に外形を示す客船100は甲板によって多層に形成されているが、その従来の構造概要を、図3中A部の拡大断面図である図4により示すと、図4中1は支柱であり、支柱1に対して水平方向に横桁の大骨となる甲板横桁2が配設され、甲板横桁2の上面に甲板3が配設されている。また、最外側の支柱1の外側には外板4が取り付けられ、船殻を形成している。支柱1、甲板横桁2、甲板3、外板4はともに船殻をなす強度部材である。
【0004】
また、図5に拡大して示すように、甲板横桁2はウエブ6と面材7からなり、甲板3の下面にウエブ6が溶接されるが、ウエブ6の上端縁6aには、所定間隔でスロット8が設けられ、縦通肋骨(デッキロンジ)9が挿通されて配設される。
【0005】
縦通肋骨9はスロット8の一側に溶接されるとともに甲板3にも溶接され、小骨として甲板3を支持する。甲板横桁2の間隔は、2.8m程度、縦通肋骨9の間隔は、例えば0.7〜0.8m程度である。また、甲板横桁2の高さh1 は、例えば400〜450mm程度である。
【0006】
船内において甲板3の上方には適宜の支持材を介して内装としての床10が取り付けられ、甲板横桁2の下方には適宜の支持材を介して内装としての天井11が取り付けられる。
【0007】
また、甲板横桁2のウエブには重量軽減等を目的として開口12が設けられるが、甲板横桁2の高さh1 を含む天井11裏のスペースを利用するために、ダクト13やパイプ14、その他電路等のぎ装品が、各船室内へアクセスするように開口12を挿通して設置されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、客船の天井11裏にはダクト13やパイプ14、その他電路等が甲板横桁2の開口12を挿通して配設されるが、特にシアター、レストラン等の公室は、大勢の人が集合し、空調負荷や、電気、水等の供給(排出)量も大きいので、それらが蜘蛛の巣の如く配置され、また、その容量も大きなものとなる。
【0009】
したがって、甲板横桁2のウエブ6に設ける開口12が多数発生し、縦横大きなものが要求される結果、甲板横桁2に補強の追設が必要となる場合や、ウエブ6には縦通肋骨9が挿通し、ダクト13等は縦通肋骨8の高さh2 を避けて開口12を挿通するためもあり、ダクト13等が挿通するために必要以上の甲板横桁2の高さ寸法h1 を設定したりする場合も生じ、甲板横桁2の重量が増大する。
【0010】
また、開口12を挿通させるのでダクト13、パイプ14、電路等の設計配置にも制約を生じ、個々のダクト13等を十分大きくできない場合は、その本数を増大することとなり、そのための機材物量増大の問題も生じる。
【0011】
また、客船内のぎ装配置、仕様は、船殻構造設計に対して遅れることがあり、また配置変更もあり、その結果ダクト13、パイプ14、電路等の配置情報の決定が遅いため、開口12を船上で設ける工事、あるいは甲板桁板2等の船殻構造への補強工事を要す場合が生じ、船上での設置工数の増大や、設置工事の困難化等の問題が生じていた。
【0012】
本発明は、かかる従来の客船の甲板構造の問題点を解消し、ダクトやパイプ、その他電路等のぎ装品の配置設計が容易で、それらぎ装品の設置において船上での甲板桁板等の船殻構造への追加工事が不要となる客船の甲板構造を提供することを課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、その第1の手段として、甲板の上面に甲板横桁および縦通肋骨を配設し、同甲板の下側にダクト、パイプを含むぎ装品を配設してなることを特徴とする客船の甲板構造を提供する。
【0014】
第1の手段によれば、上記構成により、ダクト、パイプを含むぎ装品が甲板横桁や甲板横桁に設けられた開口に係わりなく甲板の下側に自由に配置可能となり、設計が容易となる。客船内の配置、仕様の設定の遅れ、変更等に対しても、対処容易である上、甲板横桁等の船殻構造に対する船上工事の発生が低減する。また、ダクト、パイプを含むぎ装品のユニット工法が可能となり、工場でユニット化したものを一括で取り付けることで現場工事コストが低減する。さらに、大容量のダクト、パイプ等が必要な場合も、開口の寸法に制限されず大容量のものを設定できる。また、構造的には、開口拡大のための甲板横桁高さの増寸や補強材追設の必要がなく、構造的に必要な最小桁寸法とできる。そしてダクト、パイプ等は甲板桁板の開口を挿通することなく甲板下面に配設されるので、メンテナンスが容易となる。
(2)第2の手段としては、第1の手段の客船の甲板構造において、前記甲板の上側に電路を配設してなることを特徴とする客船の甲板構造を提供する。
【0015】
第2の手段によれば、上記構成により、第1の手段の作用に加え、電路を甲板の上側に設置することにより、綿密な設置工事、頻繁なメンテナンスを要求される電子通信回線等の電路に対しても人が容易に且つ安全にアクセスでき、客船のインテリジェント化の要請に対処できるものとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態に係る客船の甲板構造を、図1、図2に基づいて説明する。図1は、前述の図4と同様に図3中A部を拡大した、本実施の形態の客船の甲板構造概要図であり、図2(a)は図1中D部の拡大説明図、(b)は(a)中E−E矢視断面図である。図1、図2の説明において、前述の図3〜図5と同様部分については、上下配向等異なるところがあっても、同符号を付して説明を省略し、異なる点を主に以下説明する。
【0017】
本実施の形態の客船の甲板構造が、前述の従来例と異なる主要な点は、図1に示すように、甲板横桁2および縦通肋骨9(デッキロンジ)を甲板3の上面に配設したことである。そしてダクト13、パイプ14を含むぎ装品を、基本的には甲板横桁2および縦通肋骨9と反対側となる甲板3の下側に配設したことである。
【0018】
図2に拡大して示すように、甲板横桁2はウエブ6と面材7からなり、甲板3の上面にウエブ6が溶接され、ウエブ6の下端縁6bに、所定間隔でスロット8が設けられ、縦通肋骨9が挿通されて配設され、縦通肋骨9はスロット8の一側と甲板8の上面に溶接される。
【0019】
船内において甲板横桁2の上方には適宜の支持材を介して内装としての床10が取り付けられ、甲板3の下方には適宜の支持材を介して内装としての天井11が取り付けられる。
【0020】
また、甲板横桁2のウエブ6には重量軽減等を目的として開口12が設けられるが、ダクト13やパイプ14、さらに電路等のぎ装品は、基本的に甲板3の下側の天井11裏に配設されるので、開口12はそれらを挿通させるための配置、大きさ等の設定を必要とせず、また甲板横桁2の高さh3 もそのための設定を要しない。
【0021】
以上のような本実施の形態の客船の甲板構造においては、ダクト13、パイプ14、電路等が、甲板横桁2やその開口12に係わりなく甲板3の下側に自由に配置可能となり、設計が容易であり設計コストが低減する。
【0022】
客船内のぎ装配置、仕様の設定の遅れ、変更等に対しても、設計的に制約を受けず対処容易である上、甲板横桁2等の船殻構造への船上工事の発生が激減し、現場工事コストが低減する。
【0023】
また、ダクト13やパイプ14、さらに電路等のぎ装品は、甲板3の下側に自由に配置できるため、ユニット工法が可能となり、工場でユニット化したものを一括で取り付けることで、現場工事コストが低減する。
【0024】
さらに、公室等、空調負荷や、電気、水等の供給(排出)量が大きく大容量のダクト13、パイプ14等が必要な場合も、開口12の寸法に制限されない。特にダクト13は、幅方向に適宜拡大して容量増大が可能であるため、天井11裏高さを徒に増大することなく、大容量のものを設定でき、本数増大による機材物量増大を防止でき、さらに、船殻構造への影響も回避できる。
【0025】
また、各ダクト13、パイプ14等は甲板横桁2を挿通することなく甲板3下面に配設されるので、天井10を外すだけで、容易に全体にアクセスでき、メンテナンスが容易となる。
【0026】
一方、甲板3上面には甲板横桁2、縦通肋骨(デッキロンジ)9が配設されるため、大きなダクト、パイプは配設しないが、それらの挿通を前提にしない構造的(軽量化等)目的のための開口12であっても挿通可能な、上水パイプ14a等の小径パイプ、電路15等は甲板3の上側に設置することが可能である。特に、甲板3上であるため床9を外すだけで人が容易に且つ安全にアクセスできる点を生かし、甲板3の上側には綿密な設置工事、頻繁なメンテナンスを要求される電子通信回線等の電路15を容易に設置でき、客船100のインテリジェント化の要請にも対処できるものとなる。
【0027】
そして、構造的には、本実施の形態の甲板横桁2は、ダクト13、パイプ14等の開口12挿通を前提としないので、開口12拡大のための甲板横桁高さの増寸や補強材追設の必要がなく、構造的に必要な最小桁寸法とでき、例えば、従来の桁高さh1 ; 400〜450mmに対して、桁高さh3 ;400mm以下というような低減も可能となり、船殻重量軽減に寄与可能となる。
【0028】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内でその具体的構造に種々の変更を加えてよいことは言うまでもない。
【0029】
【発明の効果】
(1)請求項1の発明によれば、客船の甲板構造を、甲板の上面に甲板横桁および縦通肋骨を配設し、同甲板の下側にダクト、パイプを含むぎ装品を配設してなるように構成したので、ダクト、パイプを含むぎ装品が甲板横桁や甲板横桁に設けられた開口に係わりなく甲板の下側に自由に配置可能となり、設計が容易であり設計コストが低減する。客船内のぎ装配置、仕様の設定の遅れ、変更等に対しても、対処容易である上、甲板横桁等の船殻構造に対する船上工事の発生を激減でき、現場工事コストが低減する。また、ダクト、パイプを含むぎ装品のユニット工法が可能となり、工場でユニット化したものを一括で取り付けることで現場工事コストが低減する。さらに、大容量のダクト、パイプ等が必要な場合も、開口の寸法に制限されず大容量のものを設定でき、本数増大による機材物量増大を防止できる。さらに構造的には、開口拡大のための甲板横桁高さの増寸や補強材追設の必要がなく、構造的に必要な最小桁寸法とでき、船殻重量軽減に寄与可能となる。そしてダクト、パイプ等は甲板横桁を挿通することなく甲板下面に配設されるので、メンテナンスが容易となる。
【0030】
(2)請求項2の発明によれば、請求項1に記載の客船の甲板構造において、前記甲板の上側に電路を配設してなるように構成したので、請求項1の発明の効果に加え、電路を甲板の上側に設置することにより、綿密な設置工事、頻繁なメンテナンスを要求される電子通信回線等の電路に対しても人が容易に且つ安全にアクセスでき、客船のインテリジェント化の要請に対処できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る客船の甲板構造概要図であり、図3中A部の拡大図である。
【図2】(a)は図1中D部の拡大説明図、(b)は(a)中E−E矢視断面図である。
【図3】一般的な客船の横断面外形図である。
【図4】従来の客船の甲板構造概要図であり、図3中A部の拡大図である。
【図5】(a)は図4中B部の拡大説明図、(b)は(a)中C−C矢視断面図である。
【符号の説明】
1 支柱
2 甲板横桁
3 甲板
4 外板
6 ウエブ
7 面材
8 スロット
9 縦通肋骨
10 床
11 天井
12 開口
13 ダクト
14 パイプ
14a 上水パイプ
15 電路
100 客船
Claims (2)
- 甲板の上面に甲板横桁および縦通肋骨を配設し、同甲板の下側にダクト、パイプを含むぎ装品を配設してなることを特徴とする客船の甲板構造。
- 請求項1に記載の客船の甲板構造において、前記甲板の上側に電路を配設してなることを特徴とする客船の甲板構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002247054A JP2004082880A (ja) | 2002-08-27 | 2002-08-27 | 客船の甲板構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002247054A JP2004082880A (ja) | 2002-08-27 | 2002-08-27 | 客船の甲板構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004082880A true JP2004082880A (ja) | 2004-03-18 |
Family
ID=32054795
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002247054A Withdrawn JP2004082880A (ja) | 2002-08-27 | 2002-08-27 | 客船の甲板構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004082880A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102556281A (zh) * | 2011-12-01 | 2012-07-11 | 大连中远船务工程有限公司 | 钻井船多功能通道 |
JP2019006276A (ja) * | 2017-06-26 | 2019-01-17 | 三菱重工業株式会社 | 船舶 |
-
2002
- 2002-08-27 JP JP2002247054A patent/JP2004082880A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102556281A (zh) * | 2011-12-01 | 2012-07-11 | 大连中远船务工程有限公司 | 钻井船多功能通道 |
JP2019006276A (ja) * | 2017-06-26 | 2019-01-17 | 三菱重工業株式会社 | 船舶 |
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